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特許7370761防災行政無線装置、移動体無線端末及び防災行政無線方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】防災行政無線装置、移動体無線端末及び防災行政無線方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/029 20180101AFI20231023BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20231023BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20231023BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20231023BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20231023BHJP
   H04W 76/50 20180101ALI20231023BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20231023BHJP
【FI】
H04W4/029
G08B25/04 K
G08B25/10 A
G08B27/00 C
H04W16/26
H04W76/50
H04W88/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019149550
(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公開番号】P2021034770
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】曲渕 正敏
(72)【発明者】
【氏名】上関 栄
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149058(JP,A)
【文献】国際公開第2013/012059(WO,A1)
【文献】特開2008-146274(JP,A)
【文献】特開2013-228838(JP,A)
【文献】特開2012-141867(JP,A)
【文献】特開2015-213322(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114333(WO,A1)
【文献】特開2014-082730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00-31/00
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災行政無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信する通信可否確認受付部と、
移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を送信する通信可否確認命令部と、
移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を受信する通信可能情報受信部と、
防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を送信する通信可能情報送信部と、
を備えることを特徴とする防災行政無線装置。
【請求項2】
前記通信可否確認受付部は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信し、
前記通信可否確認命令部は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を送信し、
前記通信可能情報受信部は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を受信し、
前記通信可能情報送信部は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載の防災行政無線装置。
【請求項3】
前記通信可否確認受付部は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信し、
前記通信可否確認命令部は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を送信し、
前記通信可能情報送信部は、防災行政無線通信を用いて、(1)前記防災行政無線装置における、位置情報及び前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報の受信時刻情報と、(2)前記防災行政無線装置と前記被災者の移動体無線端末との間を中継する前記被災者以外の移動体無線端末における、位置情報及び前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報の受信時刻情報と、のうちの少なくともいずれかを送信し、市役所内無線装置における、前記被災者の移動体無線端末の位置の測定を可能とする
ことを特徴とする、請求項1に記載の防災行政無線装置。
【請求項4】
防災行政無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信する通信可否確認受付手順と、
移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を送信する通信可否確認命令手順と、
を防災行政無線装置において順に備え、
移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を受信する通信可否確認受信手順と、
前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、自移動体無線端末の識別情報と一致するとき、移動体無線通信を用いて、前記自移動体無線端末の識別情報を付した、前記自移動体無線端末の通信可能との情報を返信する通信可能情報返信手順と、
を移動体無線端末において順に備え、
移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を受信する通信可能情報受信手順と、
防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を送信する通信可能情報送信手順と、
を前記防災行政無線装置において順に備える
ことを特徴とする防災行政無線方法。
【請求項5】
前記防災行政無線装置において、
前記通信可否確認受付手順は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信し、
前記通信可否確認命令手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を送信し、
前記移動体無線端末において、
前記通信可否確認受信手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受信し、
前記通信可能情報返信手順は、前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、前記自移動体無線端末の識別情報と一致するとき、移動体無線通信を用いて、前記自移動体無線端末の識別情報を付した、前記自移動体無線端末の位置の情報を返信し、
前記防災行政無線装置において、
前記通信可能情報受信手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を受信し、
前記通信可能情報送信手順は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を送信する
ことを特徴とする、請求項に記載の防災行政無線方法。
【請求項6】
前記防災行政無線装置において、
前記通信可否確認受付手順は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信し、
前記通信可否確認命令手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を送信し、
前記移動体無線端末において、
前記通信可否確認受信手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受信し、
前記防災行政無線装置において、
前記通信可能情報送信手順は、防災行政無線通信を用いて、(1)前記防災行政無線装置における、位置情報及び前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報の受信時刻情報と、(2)前記防災行政無線装置と前記被災者の移動体無線端末との間を中継する前記被災者以外の移動体無線端末における、位置情報及び前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報の受信時刻情報と、のうちの少なくともいずれかを送信し、市役所内無線装置における、前記被災者の移動体無線端末の位置の測定を可能とする
ことを特徴とする、請求項4に記載の防災行政無線方法。
【請求項7】
前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、前記自移動体無線端末の識別情報と一致しないとき、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を転送する通信可否確認転送手順、
を前記移動体無線端末において前記通信可能情報返信手順と択一に備える
ことを特徴とする、請求項4から6のいずれかに記載の防災行政無線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被災後に被災者を探索する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防災行政無線システムでは、市役所の職員は、放送卓のマイクで防災情報を話し、市役所内の無線装置は、防災情報を送信し、市役所外の無線装置は、防災情報を受信し、市役所外の拡声器は、音声でもって防災情報を流す(例えば、特許文献1等を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-228838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の防災行政無線システムでは、市役所内から市役所外への一方向の通信を実行するのみであり、防災情報を流すのみであり、被災後に被災者を探索できなかった。ここで、探索の対象となる被災者は、自身の生存又は状況を外部に通知することができない被災者、例えば、雪崩又は土砂災害によって地中に閉じ込められた被災者、及び、被災によって外傷を被り又は気を失い外部への通報活動が困難な被災者等である。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、防災行政無線システムにおいて、防災情報を流すのみならず、被災後に被災者を探索することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、移動体無線端末は、被災者が携帯することが多いことに着目した。しかし、移動体無線通信は、高速通信であるが短距離通信であるため、移動体無線通信の基地局の一部が、被災後に故障を生じれば、移動体無線通信の通信網の全体は、被災後に障害を生じる可能性が高い。一方で、防災行政無線通信は、低速通信であるが長距離通信であるため、防災行政無線通信の基地局の一部が、被災後に故障を生じても、防災行政無線通信の通信網の全体は、被災後に障害を生じる可能性が低い。
【0007】
そこで、被災者が携帯する移動体無線端末と、市役所が設置する防災行政無線通信の通信網と、を無線接続することとした。しかし、被災者は、自らの移動体無線端末を起動して、自らの被災を市役所に通知することが困難である。そこで、市役所が、被災者の移動体無線端末の識別情報に基づいて、被災者の安否を確認することとした。
【0008】
具体的には、本開示は、防災行政無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信する通信可否確認受付部と、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を送信する通信可否確認命令部と、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を受信する通信可能情報受信部と、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を送信する通信可能情報送信部と、を備えることを特徴とする防災行政無線装置である。
【0009】
また、本開示は、移動体無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を受信する通信可否確認受信部と、前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、自移動体無線端末の識別情報と一致するとき、移動体無線通信を用いて、前記自移動体無線端末の識別情報を付した、前記自移動体無線端末の通信可能との情報を返信する通信可能情報返信部と、を備えることを特徴とする移動体無線端末である。
【0010】
また、本開示は、防災行政無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信する通信可否確認受付手順と、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を送信する通信可否確認命令手順と、を防災行政無線装置において順に備え、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を受信する通信可否確認受信手順と、前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、自移動体無線端末の識別情報と一致するとき、移動体無線通信を用いて、前記自移動体無線端末の識別情報を付した、前記自移動体無線端末の通信可能との情報を返信する通信可能情報返信手順と、を移動体無線端末において順に備え、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を受信する通信可能情報受信手順と、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可能との情報を送信する通信可能情報送信手順と、を前記防災行政無線装置において順に備えることを特徴とする防災行政無線方法である。
【0011】
これらの構成によれば、防災行政無線システムにおいて、被災者の移動体無線端末の識別情報に基づいて、被災後に被災者の安否を確認することができる。
【0012】
また、本開示は、前記通信可否確認受付部は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信し、前記通信可否確認命令部は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を送信し、前記通信可能情報受信部は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を受信し、前記通信可能情報送信部は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を送信することを特徴とする防災行政無線装置である。
【0013】
また、本開示は、前記通信可否確認受信部は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受信し、前記通信可能情報返信部は、前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、前記自移動体無線端末の識別情報と一致するとき、移動体無線通信を用いて、前記自移動体無線端末の識別情報を付した、前記自移動体無線端末の位置の情報を返信することを特徴とする移動体無線端末である。
【0014】
また、本開示は、前記防災行政無線装置において、前記通信可否確認受付手順は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受け付け、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を受信し、前記通信可否確認命令手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付した、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を送信し、前記移動体無線端末において、前記通信可否確認受信手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の確認命令を受信し、前記通信可能情報返信手順は、前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、前記自移動体無線端末の識別情報と一致するとき、移動体無線通信を用いて、前記自移動体無線端末の識別情報を付した、前記自移動体無線端末の位置の情報を返信し、前記防災行政無線装置において、前記通信可能情報受信手順は、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を受信し、前記通信可能情報送信手順は、防災行政無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の位置の情報を送信することを特徴とする防災行政無線方法である。
【0015】
これらの構成によれば、防災行政無線システムにおいて、被災者の移動体無線端末の識別情報に基づいて、被災後に被災者の位置を探索することができる。
【0016】
また、本開示は、前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、前記自移動体無線端末の識別情報と一致しないとき、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を転送する通信可否確認転送部、をさらに備えることを特徴とする移動体無線端末である。
【0017】
また、本開示は、前記被災者の移動体無線端末の識別情報が、前記自移動体無線端末の識別情報と一致しないとき、移動体無線通信を用いて、前記被災者の移動体無線端末の識別情報を付された、前記被災者の移動体無線端末の通信可否の確認命令を転送する通信可否確認転送手順、を前記移動体無線端末において前記通信可能情報返信手順と択一に備えることを特徴とする防災行政無線方法である。
【0018】
これらの構成によれば、防災行政無線システムにおいて、被災者の移動体無線端末が防災行政無線通信の基地局から遠くても、被災後に被災者の安否を確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように、本開示は、防災行政無線システムにおいて、防災情報を流すのみならず、被災後に被災者を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の防災行政無線システムの概要を示す図である。
図2】本開示の防災行政無線システムの構成を示す図である。
図3】本開示の防災行政無線システムの処理を示す図である。
図4】本開示の防災行政無線システムの処理を示す図である。
図5】本開示の被災者の移動体無線端末の位置測定を示す図である。
図6】本開示の被災者の移動体無線端末の位置測定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0022】
本開示の防災行政無線システムの概要を図1に示す。本開示の防災行政無線システムDは、市役所C、市役所内無線装置1(図1に不図示。図2から図4までに図示。)、拡声器L-1、L-2、L-3、防災行政無線装置2-1、2-2、2-3及び移動体無線端末3-1、3-2、3-3、3-4、3-5、3-Aから構成される。
【0023】
本開示の防災行政無線システムDでも、市役所Cの職員は、放送卓のマイクで防災情報を話し、市役所内無線装置1は、防災行政無線通信を用いて、防災情報を送信し、市役所外の防災行政無線装置2-1、2-2、2-3は、防災行政無線通信を用いて、防災情報を受信し、市役所外の拡声器L-1、L-2、L-3は、音声でもって防災情報を流す。
【0024】
しかし、防災情報の送受信及び音声拡声のみでは、市役所内から市役所外への一方向の通信を実行するのみであり、防災情報を流すのみであり、被災後に被災者を探索できなかった。ここで、探索の対象となる被災者は、自身の生存又は状況を外部に通知することができない被災者、例えば、雪崩又は土砂災害によって地中に閉じ込められた被災者、及び、被災によって外傷を被り又は気を失い外部への通報活動が困難な被災者等である。
【0025】
本開示の防災行政無線システムDでは、移動体無線端末3-1~3-5、3-Aは、被災者が携帯することが多いことに着目した。しかし、移動体無線通信(図1から図4まででは、LTE無線通信又は無線LAN通信。)は、高速通信であるが短距離通信であるため、移動体無線通信の基地局B-1、B-2、B-3の一部が、被災後に故障を生じれば、移動体無線通信の通信網の全体は、被災後に障害を生じる可能性が高い。一方で、防災行政無線通信(図1から図4まででは、VHF無線通信。)は、低速通信であるが長距離通信であるため、防災行政無線通信の防災行政無線装置2-1、2-2、2-3の一部が、被災後に故障を生じても、防災行政無線通信の通信網の全体は、被災後に障害を生じる可能性が低い。
【0026】
そこで、被災者が携帯する移動体無線端末3-Aと、市役所Cが設置する防災行政無線通信の通信網と、を無線接続することとした。しかし、被災者は、自らの移動体無線端末3-Aを起動して、自らの被災を市役所Cに通知することが困難である。そこで、市役所Cが、被災者の移動体無線端末3-Aの識別情報(図2から図4まででは、MACアドレス又は電話番号。)に基づいて、被災者の安否を確認することとした。
【0027】
そして、市役所外の防災行政無線装置2-1、2-2、2-3は、移動体無線通信を用いて、防災情報を送信してもよく、移動体無線端末3-1~3-5、3-Aは、個別受信機として、移動体無線通信を用いて、防災情報を受信して音声でもって防災情報を流してもよい。
【0028】
本開示の防災行政無線システムの構成を図2に示す。本開示の防災行政無線システムの処理を図3及び図4に示す。市役所内無線装置1は、通信可否確認命令部11及び通信可能情報受信部12から構成される。防災行政無線装置2は、通信可否確認受付部21、通信可否確認命令部22、通信可能情報受信部23、通信可能情報記憶部24及び通信可能情報送信部25から構成される。移動体無線端末3-1(3-A)は、通信可否確認受信部31-1(31-A)、通信可否確認転送部32-1(32-A)、通信可能情報返信部33-1(33-A)、通信可能情報受信部34-1(34-A)及び通信可能情報送信部35-1(35-A)から構成される。移動体無線端末3-1は、防災行政無線装置2から近い、非被災者の移動体無線端末である。移動体無線端末3-Aは、防災行政無線装置2から遠いが、移動体無線端末3-1から近い、被災者の移動体無線端末である。
【0029】
市役所C内において、市役所Cの職員は、被災者の近親者から、被災者の安否の確認及び位置の探索を受け付ける。通信可否確認命令部11は、VHF無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可否の確認命令及び位置の確認命令を送信し、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を送信する(ステップS1)。
【0030】
防災行政無線装置2において、通信可否確認受付部21は、VHF無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可否の確認命令及び位置の確認命令を受け付け、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を受信する(ステップS2)。通信可否確認命令部22は、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付した、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可否の確認命令及び位置の確認命令を送信する(ステップS3)。ここで、通信可否確認命令部22は、ブロードキャストのアドレスを宛先とすることができる。そして、通信可否確認命令部22は、メール等のアプリケーションを適用することができ、LTE無線通信又は無線LAN通信からVHF無線通信への無線接続を考慮して、メール等の容量を制限することが望ましい。
【0031】
移動体無線端末3-1において、通信可否確認受信部31-1は、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可否の確認命令及び位置の確認命令を受信する(ステップS4)。通信可否確認転送部32-1は、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号が、自移動体無線端末3-1のMACアドレス又は電話番号と一致しないため(ステップS5)、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可否の確認命令及び位置の確認命令を転送する(ステップS6)。ここで、通信可否確認転送部32-1は、ブロードキャストのアドレスを宛先とすることができる。そして、通信可否確認転送部32-1は、メール等のアプリケーションを適用することができ、LTE無線通信又は無線LAN通信からVHF無線通信への無線接続を考慮して、メール等の容量を制限することが望ましい。
【0032】
移動体無線端末3-Aにおいて、通信可否確認受信部31-Aは、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可否の確認命令及び位置の確認命令を受信する(ステップS7)。通信可能情報返信部33-Aは、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号が、自移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号と一致するため(ステップS8)、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、自移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付した、自移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を返信する(ステップS9)。ここで、通信可能情報返信部33-Aは、防災行政無線装置2のアドレスを宛先とすることができるが、ブロードキャストのアドレスを宛先とすることもできる。そして、通信可能情報返信部33-Aは、メール等のアプリケーションを適用することができ、LTE無線通信又は無線LAN通信からVHF無線通信への無線接続を考慮して、メール等の容量を制限することが望ましい。なお、位置の情報については、図5及び図6で後述する。
【0033】
移動体無線端末3-1において、通信可能情報受信部34-1は、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を受信する(ステップS10)。通信可能情報送信部35-1は、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を送信する(ステップS11)。ここで、通信可能情報送信部35-1は、防災行政無線装置2のアドレスを宛先とすることができるが、ブロードキャストのアドレスを宛先とすることもできる。そして、通信可能情報送信部35-1は、メール等のアプリケーションを適用することができ、LTE無線通信又は無線LAN通信からVHF無線通信への無線接続を考慮して、メール等の容量を制限することが望ましい。
【0034】
防災行政無線装置2において、通信可能情報受信部23は、LTE無線通信又は無線LAN通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を受信する(ステップS12)。通信可能情報記憶部24は、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を一時記憶する(ステップS13)。ここで、通信可能情報記憶部24は、LTE無線通信又は無線LAN通信からVHF無線通信への無線接続を考慮して、多数の移動体無線端末3-1~3-5、3-Aからのメール等のデータを少しずつ出力する。通信可能情報送信部25は、VHF無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を送信する(ステップS14)。
【0035】
市役所C内において、通信可能情報受信部12は、VHF無線通信を用いて、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号を付された、被災者の移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を受信する(ステップS15)。市役所Cの職員は、被災者の近親者へと、被災者の安否の情報及び位置の情報を知らせる。
【0036】
本開示の被災者の移動体無線端末の位置測定を図5に示す。図5の左欄では、図4のステップS9に示したように、被災者の移動体無線端末3-Aは、自移動体無線端末3-Aの通信可能との情報を返信するとともに、GPSの測位衛星S-1、S-2、S-3、S-4を用いて、自移動体無線端末3-Aの位置を測定することができる。
【0037】
図5の中欄では、図4のステップS9と異なり、被災者の移動体無線端末3-Aは、自移動体無線端末3-Aの通信可能との情報を返信するものの、自移動体無線端末3-Aの位置を測定するわけではない。3台以上の防災行政無線装置2-1、・・・、2-nは、移動体無線端末3-Aから、移動体無線端末3-Aの通信可能との情報を受信し、各防災行政無線装置2-1、・・・、2-nの受信時刻情報及び位置情報をヘッダに追記して送信する。市役所内無線装置1は、3台以上の防災行政無線装置2-1、・・・、2-nから、移動体無線端末3-Aの通信可能との情報と、各防災行政無線装置2-1、・・・、2-nの受信時刻情報及び位置情報と、を受信する。市役所内無線装置1は、3台以上の防災行政無線装置2-1、・・・、2-nの受信時刻情報及び位置情報に基づいて、移動体無線端末3-Aの位置を測定することができる。つまり、市役所内無線装置1は、各防災行政無線装置2-1、・・・、2-nの位置を中心とし、移動体無線端末3-Aから各防災行政無線装置2-1、・・・、2-nまでの距離(=伝搬時間×光速)を半径とする円又は球の交点として、移動体無線端末3-Aの位置を測定する。或いは、市役所内無線装置1は、(1)2台1組の防災行政無線装置を焦点とし、移動体無線端末3-Aからその1組の防災行政無線装置までの距離の差分(=受信時刻の差分×光速)に基づいた双曲線を算出し、(2)様々な組について算出した双曲線の交点として、移動体無線端末3-Aの位置を測定する。以上の計算方法は、一般には、三角測量、双曲線測位などと称されている方法であり、伝搬時間や受信時刻の差分の求め方は適宜変更できるものとする。さらに、各防災行政無線装置2-1、・・・、2-nの受信時刻情報のリファレンスのため、GPS同期時刻、LTEネットワーク同期時刻又は高精度の時刻信号等により、各防災行政無線装置2-1、・・・、2-nの時刻同期が取れればよい。
【0038】
図5の右欄では、図4のステップS9と異なり、被災者の移動体無線端末3-Aは、自移動体無線端末3-Aの通信可能との情報を返信するものの、自移動体無線端末3-Aの位置を測定するわけではない。3台以上の移動体無線端末3-1、・・・、3-nは、移動体無線端末3-Aから、移動体無線端末3-Aの通信可能との情報を受信し、各移動体通信端末3-1、・・・、3-nの受信時刻情報及び位置情報をヘッダに追記して送信する。防災行政無線装置2-1(、・・・、2-n)は、移動体無線端末3-1(、・・・、3-n)から、移動体無線端末3-Aの通信可能との情報と、移動体無線端末3-1(、・・・、3-n)の受信時刻情報及び位置情報と、を受信する。市役所内無線装置1は、3台以上の防災行政無線装置2-1、・・・、2-nから、移動体無線端末3-Aの通信可能との情報と、3台以上の移動体無線端末3-1、・・・、3-nの受信時刻情報及び位置情報と、を受信する。市役所内無線装置1は、3台以上の移動体無線端末3-1、・・・、3-nの受信時刻情報及び位置情報に基づいて、移動体無線端末3-Aの位置を測定することができる。つまり、市役所内無線装置1は、各移動体無線端末3-1、・・・、3-nの位置を中心とし、移動体無線端末3-Aから各移動体無線端末3-1、・・・、3-nまでの距離(=伝搬時間×光速)を半径とする円又は球の交点として、移動体無線端末3-Aの位置を測定する。或いは、市役所内無線装置1は、(1)2台1組の非被災者が持ち歩く移動体無線端末を焦点とし、移動体無線端末3-Aからその1組の非被災者が持ち歩く移動体無線端末までの距離の差分(=受信時刻の差分×光速)に基づいた双曲線を算出し、(2)様々な組について算出した双曲線の交点として、移動体無線端末3-Aの位置を測定する。以上の計算方法は、一般には、三角測量、双曲線測位などと称されている方法であり、伝搬時間や受信時刻の差分の求め方は適宜変更できるものとする。さらに、各移動体無線端末3-1、・・・、3-nの受信時刻情報のリファレンスのため、GPS同期時刻、LTEネットワーク同期時刻又は高精度の時刻信号等により、各移動体無線端末3-1、・・・、3-nの時刻同期が取れればよい。
【0039】
ここで、図5の中欄及び右欄と異なり、市役所内無線装置1は、2台のみの移動体無線端末3又は防災行政無線装置2の受信時刻情報及び位置情報を受信したときには、移動体無線端末3-Aの緯度及び経度のみ含む平面座標位置を測定するのみであっても、移動体無線端末3-Aの位置として2つの候補から絞り込むことができない。しかし、図5の中欄及び右欄のように、市役所内無線装置1は、3台以上の移動体無線端末3又は防災行政無線装置2の受信時刻情報及び位置情報を受信したときには、移動体無線端末3-Aの位置として1つの候補に絞り込むことができる。そして、市役所内無線装置1は、3台以上の移動体無線端末3又は防災行政無線装置2の受信時刻情報及び位置情報を受信することにより、これらの受信時刻情報がフェージング等による誤差を含むときであっても、移動体無線端末3-Aの位置として高精度な位置に絞り込むことができる。さらに、市役所内無線装置1は、3台以上の移動体無線端末3又は防災行政無線装置2の受信時刻情報及び位置情報を受信することにより、これらの受信時刻情報がフェージング等による誤差を含むときであっても、移動体無線端末3-Aの標高又は深度も含む立体座標位置を測定することができる。市役所内無線装置1は、受信時刻情報及び位置情報を受信する移動体無線端末3又は防災行政無線装置2の台数が多くなるほど、移動体無線端末3-Aの位置として高精度な位置に絞り込むことができる。
【0040】
そして、図5の中欄及び右欄と異なり、移動体無線端末3-Aから市役所内無線装置1への中継数(図5の中欄及び右欄では、それぞれ1回及び2回。)が経路毎に異なっていても、移動体無線端末3-Aから最初に受信した移動体無線端末3又は防災行政無線装置2が受信時刻情報及び位置情報をヘッダに追記して送信すれば、市役所内無線装置1は移動体無線端末3-Aの位置を測定することができる。図6では、移動体無線端末3-Aから防災行政無線装置2-1を経て市役所内無線装置1への中継数は1回であり、移動体無線端末3-Aから移動体無線端末3-2及び防災行政無線装置2-2を経て市役所内無線装置1への中継数は2回であり、移動体無線端末3-Aから移動体無線端末3-3及び防災行政無線装置2-3を経て市役所内無線装置1への中継数は2回である。すると、移動体無線端末3-Aから最初に受信した防災行政無線装置2-1及び移動体無線端末3-2、3-3が受信時刻情報及び位置情報をヘッダに追記して送信すれば、市役所内無線装置1は移動体無線端末3-Aの位置を測定することができる。そして、市役所内無線装置1が防災行政無線装置2-1及び移動体無線端末3-2、3-3のうち、移動体無線端末3-Aから最も離れた2台の装置を円若しくは球の中心又は双曲線の焦点として選択すれば、市役所内無線装置1は移動体無線端末3-Aの位置を高精度に測定することができる。
【0041】
ここで、受信時刻情報は、気象状況及び地形状況に応じてフェージング等による誤差を含むことが考えられる。そこで、フェージング補償回路を用いて受信時刻を補償したうえで、補償された受信時刻に基づいて移動体無線端末3-Aの位置を測定すればよい。
【0042】
そして、移動体無線端末3-Aの標高又は深度も含む立体座標位置を測定するために、3台以上の防災行政無線装置2を高低差を持たせて(例えば、市役所Cの屋上及び広場内の地上等。山岳救助等では、登山口及び山頂等。)設置してもよい。さらに、移動体無線端末3-Aの位置を測定するために、防災行政無線装置2のみならず、測位のみを目的とする無線装置を設置してもよい。
【0043】
このように、防災行政無線システムDにおいて、被災者の移動体無線端末3-Aが防災行政無線装置2から遠くても、被災者の移動体無線端末3-AのMACアドレス又は電話番号に基づいて、被災後に被災者の安否の確認及び位置の探索をすることができる。
【0044】
本実施形態では、LTE無線通信又は無線LAN通信の通信網の全体は、被災後に障害を生じる可能性が高いものの、VHF無線通信の通信網の全体は、被災後に障害を生じる可能性が低いと考えて、VHF無線通信の通信網を用いるとともに、LTE無線通信又は無線LAN通信のマルチホップも用いて、移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を取得している。
【0045】
変形例として、LTE無線通信又は無線LAN通信の通信網の全体は、被災後に障害を生じる可能性が高いとともに、VHF無線通信の通信網の全体も、被災後に障害を生じる可能性があると考えて、VHF無線通信の通信網を用いることなく、LTE無線通信又は無線LAN通信のマルチホップのみ用いて、移動体無線端末3-Aの通信可能との情報及び位置の情報を取得してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示の防災行政無線装置、移動体無線端末及び防災行政無線方法は、防災行政無線システムにおいて、防災情報を流すのみならず、被災後に被災者を探索することができる。
【符号の説明】
【0047】
D:防災行政無線システム
C:市役所
L-1、L-2、L-3:拡声器
B-1、B-2、B-3:基地局
S-1、S-2、S-3、S-4:測位衛星
1:市役所内無線装置
2、2-1、2-2、2-3、2-n:防災行政無線装置
3-1、3-2、3-3、3-4、3-5、3-A、3-n:移動体無線端末
11:通信可否確認命令部
12:通信可能情報受信部
21:通信可否確認受付部
22:通信可否確認命令部
23:通信可能情報受信部
24:通信可能情報記憶部
25:通信可能情報送信部
31-1、31-A:通信可否確認受信部
32-1、32-A:通信可否確認転送部
33-1、33-A:通信可能情報返信部
34-1、34-A:通信可能情報受信部
35-1、35-A:通信可能情報送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6