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特許7370776ラップフィルム用カートン及びラップフィルム入りカートン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ラップフィルム用カートン及びラップフィルム入りカートン
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/72 20060101AFI20231023BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
B65D5/72 A
B65D25/52 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019166419
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021041978
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-07-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.展示日 平成31年2月21日 2.展示会名 AJS 2019年 春期商品展示会 3.開催場所 京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町5 京都パルスプラザ 4.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料2の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料2の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料3の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料3の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料4の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料4の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料5の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料5の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料6の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料6の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料7の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料7の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料8の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料8の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料9の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料9の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料10の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料10の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料11の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料11の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料12の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料12の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料13の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料13の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料14の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料14の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料15の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料15の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料16の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料16の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料17の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料17の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料18の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料18の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社 〔刊行物等〕 1.販売日 別紙の資料19の出荷日を参照 2.販売先 別紙の資料19の納品先名及び納品先住所を参照 3.公開者 宇部フィルム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】398068200
【氏名又は名称】宇部フィルム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】初永 智洋
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 典秀
(72)【発明者】
【氏名】杉山 有二
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-034046(JP,A)
【文献】特開2013-039954(JP,A)
【文献】米国特許第04582234(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/72
B65D 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたラップフィルムを収納するラップフィルム用カートンであって、
一方向に延びる直方体状のカートン本体であって、前記カートン本体の延びる方向に延び、互いに対向する前板及び後板と、前記カートン本体の上方に位置する開口部と、を有するカートン本体と、
前記後板の上辺に、前記開口部を覆うように回動可能に連結されている蓋体と、
前記蓋体の前記後板に連結されている側とは反対側に連結され、前記蓋体が前記開口部を覆っているときに前記前板に部分的に重なる掩蓋片と、
前記掩蓋片の前記蓋体に連結されている側とは反対側の端部に沿って設けられている切断刃と、を備え、
前記前板は、前板前面部と、前記前板前面部の後ろ側において前記前板前面部と重なるように、前記前板前面部の上辺から折り返され、少なくとも部分的に前記前板前面部の後ろ側の面と接着されている前板後面部とを有し、
前記前板前面部は、前記前板後面部と接着されている前面本体部と、前記前板前面部に形成されている中央切り込みによって前記前面本体部から区画されている中央フラップと、前記前板前面部に形成されている一対の側方切り込みによって前記前面本体部から区画され、前記前板の延びる方向にみて前記中央フラップをはさむ位置に位置する一対の側方フラップとを有し、
前記中央フラップ及び一対の前記側方フラップはそれぞれ、前記中央切り込み又は前記側方切り込みの両端を結ぶように延びる基部と、前記基部よりも下方に位置する先端部と、を有し、
前記中央フラップと前記側方フラップとの先端側の間隔は、15mm以上100mm以下であり、
前記中央フラップの前記基部と前記側方フラップの前記基部との間隔は、8mm以上である、ラップフィルム用カートン。
【請求項2】
前記中央フラップと前記側方フラップとの間、かつ前記中央フラップの前記先端部または前記側方フラップの前記先端部のうち前記前板の上辺からみて遠い側の前記先端部から10mmだけ前記前板の上辺側に位置する範囲をラップつまみ範囲と称する場合、前記前板の延びる方向における前記ラップつまみ範囲の長さが8mm以上30mm以下である、請求項1に記載のラップフィルム用カートン。
【請求項3】
前記ラップつまみ範囲の中心点と、前記前板の延びる方向にみた場合における前記前板の一方の端辺と他方の端辺との中間に位置する中間線との距離は、前記前板の延びる方向における前記前板の長さの0.03倍以上0.25倍以下である、請求項2に記載のラップフィルム用カートン。
【請求項4】
前記中央フラップは、前記前板の延びる方向にみて前記中央フラップの側方側に位置する一対の側方側縁部をさらに有し、
前記側方フラップは、前記前板の延びる方向にみて前記中央フラップ側に位置する中央側縁部をさらに有し、
前記中央フラップの一対の前記側方側縁部、及び前記側方フラップの前記中央側縁部は、10mm以上の曲率半径を有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のラップフィルム用カートン。
【請求項5】
前記中央フラップの前記基部は、前記前板の延びる方向にみて、15mm以上の幅を有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のラップフィルム用カートン。
【請求項6】
一対の前記側方フラップの前記基部は、前記前板の延びる方向にみて、前記中央フラップの前記基部の幅よりも大きな幅を有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のラップフィルム用カートン。
【請求項7】
前記中央フラップ又は一対の前記側方フラップの少なくともいずれか一つに、粘着性を有する表面層が設けられている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のラップフィルム用カートン。
【請求項8】
前記切断刃は、樹脂を含み、鋸刃が直線状に並ぶ形状を有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のラップフィルム用カートン。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか一項に記載のラップフィルム用カートンと、
前記カートン本体に収納されている、ポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムと、を備える、ラップフィルム入りカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップフィルム用カートン及びラップフィルム入りカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラップフィルムを収納するラップフィルム用カートンが知られている。従来のラップフィルム用カートンは、紙基材からなり、前板及び後板と、上方に位置する開口部とを有し、ロール状に巻かれたラップフィルムを収納するカートン本体と、カートン本体の後板の上辺に連結され、カートン本体の開口部を開閉する蓋体と、蓋体に連結され、蓋体が開口部を覆っているときに前板に重なる掩蓋片と、掩蓋片の端部に設けられている切断刃と、を有する。この場合、ラップフィルム用カートンの使用者は、カートン本体に収納されているラップフィルムを開口部から引き出した後、蓋体を閉じて、切断刃によってラップフィルムを切断することによって、所望の量のラップフィルムを取り出すことができる。
【0003】
ラップフィルム用カートンの一形態として、例えば特許文献1に開示されているように、カートン本体の前板が突出片を有するものが知られている。このようなラップフィルム用カートンによれば、ラップフィルムの切断後に、カートン本体側に残ったラップフィルムの先端部が前壁の広範囲に密着することを、突出片によって抑制することができる。このため、ラップフィルム用カートンの使用者がラップフィルムを引き出そうとする際に、ラップフィルムの先端部を摘まむことが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-274534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用者が切断刃を用いてラップフィルムを切断する場合に、容易にラップフィルムを切断できるラップフィルム用カートンが求められている。
【0006】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るラップフィルム用カートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ロール状に巻かれたラップフィルムを収納するラップフィルム用カートンであって、一方向に延びる直方体状のカートン本体であって、前記カートン本体の延びる方向に延び、互いに対向する前板及び後板と、前記カートン本体の上方に位置する開口部と、を有するカートン本体と、前記後板の上辺に、前記開口部を覆うように回動可能に連結されている蓋体と、前記蓋体の前記後板に連結されている側とは反対側に連結され、前記蓋体が前記開口部を覆っているときに前記前板に部分的に重なる掩蓋片と、前記掩蓋片の前記蓋体に連結されている側とは反対側の端部に沿って設けられている切断刃と、を備え、前記前板は、前板前面部と、前記前板前面部の後ろ側において前記前板前面部と重なるように、前記前板前面部の上辺から折り返され、少なくとも部分的に前記前板前面部の後ろ側の面と接着されている前板後面部とを有し、前記前板前面部は、前記前板後面部と接着されている前面本体部と、前記前板前面部に形成されている中央切り込みによって前記前面本体部から区画されている中央フラップと、前記前板前面部に形成されている一対の側方切り込みによって前記前面本体部から区画され、前記前板の延びる方向にみて前記中央フラップをはさむ位置に位置する一対の側方フラップとを有し、前記中央フラップ及び一対の前記側方フラップはそれぞれ、前記中央切り込み又は前記側方切り込みの両端を結ぶように延びる基部と、前記基部よりも下方に位置する先端部と、を有し、前記中央フラップと前記側方フラップとの先端側の間隔は、15mm以上100mm以下である、ラップフィルム用カートンである。
【0008】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、前記中央フラップと前記側方フラップとの間、かつ前記中央フラップの前記先端部または前記側方フラップの前記先端部のうち前記前板の上辺からみて遠い側の前記先端部から10mmだけ前記前板の上辺側に位置する範囲をラップつまみ範囲と称する場合、前記前板の延びる方向における前記ラップつまみ範囲の長さが8mm以上30mm以下であってもよい。
【0009】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、前記ラップつまみ範囲の中心点と、前記前板の延びる方向にみた場合における前記前板の一方の端辺と他方の端辺との中間に位置する中間線との距離は、前記前板の延びる方向における前記前板の長さの0.03倍以上0.25倍以下であってもよい。
【0010】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、前記中央フラップの前記基部と前記側方フラップの前記基部との間隔は、8mm以上であってもよい。
【0011】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、前記中央フラップは、前記前板の延びる方向にみて前記中央フラップの側方側に位置する一対の側方側縁部をさらに有し、前記側方フラップは、前記前板の延びる方向にみて前記中央フラップ側に位置する中央側縁部をさらに有し、前記中央フラップの一対の前記側方側縁部、及び前記側方フラップの前記中央側縁部は、10mm以上の曲率半径を有してもよい。
【0012】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、前記中央フラップの前記基部は、前記前板の延びる方向にみて、15mm以上の幅を有してもよい。
【0013】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、一対の前記側方フラップの前記基部は、前記前板の延びる方向にみて、前記中央フラップの前記基部の幅よりも大きな幅を有してもよい。
【0014】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、前記中央フラップ又は一対の前記側方フラップの少なくともいずれか一つに、粘着性を有する表面層が設けられていてもよい。
【0015】
本発明によるラップフィルム用カートンにおいて、前記切断刃は、樹脂を含み、鋸刃が直線状に並ぶ形状を有してもよい。
【0016】
本発明は、上記記載のラップフィルム用カートンと、前記カートン本体に収納されている、ポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムと、を備える、ラップフィルム入りカートンである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用者が切断刃を用いてラップフィルムを切断する場合に、容易にラップフィルムを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態におけるラップフィルム用カートンを示す斜視図である。
図2図1のラップフィルム用カートンについて、蓋体を開けた状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態におけるラップフィルム用カートンのブランクの展開図である。
図4図2の状態のラップフィルム用カートンを、前板側からみた場合を示す正面図である。
図5図4のラップフィルム用カートンを線V-Vに沿って切断した場合を示す断面図である。
図6】使用者がカートン本体に収納されているラップフィルムの先端をつまんでいる様子を示す斜視図である。
図7】使用者が切断刃の端部をラップフィルムに食い込ませるようにラップフィルムの先端を引いている様子を示す斜視図である。
図8】使用者が切断刃の端部を起点としてラップフィルムを切断している様子を示す斜視図である。
図9】中央フラップの一変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1乃至図8を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態におけるラップフィルム用カートン1を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態におけるラップフィルム用カートン1について、後述する蓋体を開けた状態を示す斜視図である。
【0020】
(ラップフィルム用カートン)
ラップフィルム用カートン1は、図1及び図2に示すように、開口部15を有する直方体状のカートン本体10と、カートン本体10に、開口部15を覆うように回動可能に連結されている蓋体21と、蓋体21に連結されている掩蓋片22と、掩蓋片22に設けられている切断刃30と、を備える。
【0021】
(カートン本体)
次にカートン本体10について説明する。図1及び図2に示すように、カートン本体10は、一方向に延びる直方体状の形状を有する。図1及び図2に示す例において、カートン本体10は、方向d1に延びている。また、カートン本体10は、カートン本体10の上方に位置する開口部15を有する。図2に示す例においては、直方体状の形状を有するカートン本体10の上方の一面が開口されることによって、開口部15が形成されている。また、カートン本体10は、カートン本体10の延びる方向である方向d1に延び、互いに対向する前板11及び後板12を有する。図1及び図2に示す例において、カートン本体10は、前板11及び後板12とともに、カートン本体10の下方に位置する底板13と、方向d1に沿ってみた場合におけるカートン本体10の両側に位置する一対の側板14と、を有する。なお、「前板」、「後板」及び「底板」などの名称、並びに、「上方」などの用語は、カートン本体10の開口部15を上にし、蓋体21が開口部15を覆っているときに掩蓋片22が位置する側を前方とした状態を基準として、ラップフィルム用カートン1やその構成要素であるカートン本体10などの位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。ラップフィルム用カートン1の輸送時や使用時の姿勢などは、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
【0022】
図3を参照して、カートン本体10の構造について詳述する。図3は、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1のブランク60の展開図である。図3において、符号17を付した破線は、ブランク60からラップフィルム用カートン1を形成する際に折られる折れ線を示している。図3に示すように、ブランク60においては、カートン本体10を構成する前板11、底板13及び後板12が、折れ線17を介して互いに連結されている。そして、後板12の底板13に連結されている側とは反対側には、後述する蓋体21が連結されている。また、ブランク60において前板11、底板13及び後板12の延びる方向d2における前板11、底板13及び後板12の両側には、折れ線17を介して、それぞれ第1側片18、側板14及び第2側片19が連結されている。図3に示す例において、側板14の側方には、折れ線17を介して飛び出し防止片14aが連結されている。図3に示す例において、側板14のd2方向における長さは、前板11及び後板12の、d2方向に直交するd3方向における長さと同一である。また、第1側片18及び第2側片19のd2方向における長さは、側板14のd2方向における長さよりも小さくなっている。
【0023】
図3に示すように、ブランク60は、折れ線17を介して底板13に連結されている前板前面部111と、底板13とは反対の側で折れ線17を介して前板前面部111と連結されている前板後面部112と、を有する。図1及び図2に示す本実施の形態のカートン本体10においては、図3に示す前板後面部112が、前板前面部111と重なるように前板前面部111の前板後面部112側の辺に位置する折れ線17において折り返され、少なくとも部分的に前板前面部111に接着されていることによって、前板前面部111と前板後面部112とから前板11が構成される。以下の説明において、カートン本体10において前板前面部111と前板後面部112との間に位置する折れ線17の部分のことを、折り返し部114とも称する。
【0024】
図3に示す、カートン本体10、並びに後述する蓋体21及び掩蓋片22などを構成するブランク60は、紙基材から構成される。この場合、ブランク60を構成する紙基材の坪量は、例えば250g/m2以上450g/m2以下である。
【0025】
図4及び図5を参照して、前板11の構造について詳述する。図4は、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1の、図2に示すように蓋体21を開けた状態を、前板11側からみた場合を示す正面図である。図5は、図4のラップフィルム用カートン1を線V-Vに沿って切断した場合を示す断面図である。図5に示すように、ラップフィルム用カートン1において、前板後面部112は、前板前面部111の後ろ側において前板前面部111と重なるように、前板前面部111の上辺から折り返されている。前板後面部112は、図5に示すように、少なくとも部分的に前板前面部111の後ろ側の面と接着されている。本実施の形態においては、図4に示す符号113を付した破線で囲まれた領域に、前板後面部112を前板前面部111に接着する接着部が設けられている。図4に示す例において、接着部113は、方向d1に直線状に延びている。接着部113は、例えば紙基材同士を接着する接着剤によって形成される。
【0026】
前板前面部111は、前板前面部111に形成されている切り込みによって、前面本体部111aとフラップ4、51、52とに区画されている。図4及び図5に示すように、前面本体部111aは、少なくとも部分的に前板後面部112と接着されている。一方、フラップ4、51、52は、前板後面部112と接着されていない。また、フラップ4、51、52は、基部41、511、521において前面本体部111aに連設されている。このため、フラップ4、51、52は、基部41、511、521を介して前面本体部111aとの連設を維持しながら、前面本体部111aの面の法線方向において前板後面部112から離れることができる。
【0027】
フラップ4、51、52は、中央切り込み161によって前面本体部111aから区画されている中央フラップ4と、一対の側方切り込み162によって前面本体部111aから区画されている一対の側方フラップ51、52とを有する。図4に示すように、一対の側方フラップ51、52は、前板11の延びる方向d1にみて、中央フラップ4をはさむ位置に位置する。図4に示すように、中央フラップ4及び一対の側方フラップ51、52はそれぞれ、中央切り込み161又は側方切り込み162の両端を結ぶように延びる基部41、511、521と、基部41、511、521よりも下方に位置する先端部42、512、522とを有する。図4に示す例においては、中央切り込み161又は側方切り込み162が前板11の上辺に達しないように設けられていることによって、中央フラップ4及び一対の側方フラップ51、52の基部41、511、521が、前板11の上辺の位置よりも下方に形成されている。図4に示す直線L5は、前板11の延びる方向d1にみた場合における前板11の一方の端辺と他方の端辺との中間に位置する中間線である。図4に示す例において、中央フラップ4は、中間線L5にまたがる位置に位置する。以下の説明においては、前板11の正面視において左側に位置する側方フラップ51を第1側方フラップ51、右側に位置する側方フラップ52を第2側方フラップ52とも称する。
【0028】
本実施の形態においては、中央フラップ4及び側方フラップ51、52の基部41、511、521が、前板11の上辺側、すなわち前板前面部111と前板後面部112との間の折り返し部114の側に位置する。この場合、折り返し部114においてブランク60に生じる弾性的な力が、基部41、511、521の近傍を起点として先端部42、512、522を前方に突出させるようにはたらく。これによって、図5に示すように、先端部42、512、522を前方に突出させ、この状態を維持させることができる。これによって、カートン本体10に収納されているラップフィルムの一部が前板11の前方に延び出している場合に、中央フラップ4及び側方フラップ51、52によってラップフィルムを支持して、ラップフィルムの先端の全体が前板11に密着することを抑制することができる。本実施の形態においては、中央フラップ4及び側方フラップ51、52によって、ラップフィルムの先端が、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間において前板11の前面本体部111aから離間させられる。このため、使用者は、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間において、容易にラップフィルムの先端をつまむことができる。
【0029】
次に、前板11の延びる方向d1における、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間の間隔や位置について説明する。まず、フラップの先端側における間隔について説明する。
【0030】
図4において、符号W1は、先端側における中央フラップ4と第1側方フラップ51との間隔を表し、符号W2は、先端側における中央フラップ4と第2側方フラップ52との間隔を表す。間隔W1、W2は、15mm以上100mm以下であることが好ましい。
【0031】
先端側の間隔W1を算出する方法は下記の通りである。まず、第1側方フラップ51の輪郭線上の点であって、前板11の上辺に平行な接線を有する点のうち、前板11の延びる方向d1にみて最も中央フラップ4側に位置する点513を特定する。また、中央フラップ4の輪郭線上の点であって、前板11の上辺に平行な接線を有する点のうち、前板11の延びる方向d1にみて最も第1側方フラップ51側に位置する点43を特定する。次に、特定した2点のうち、より前板11の上辺側に位置する点を通り、前板11の上辺に平行な直線L1をひく。図4に示す例においては、点43と前板11の上辺との間の距離と、点513と前板11の上辺との間の距離とは等しいため、直線L1は、点43及び点513を通る直線に相当する。この場合に、直線L1と中央フラップ4の輪郭線とが交わる点と、直線L1と第1側方フラップ51の輪郭線とが交わる点との間隔を、中央フラップ4と第1側方フラップ51との先端側の間隔W1と定めることができる。図4に示す例においては、直線L1が点43において中央フラップ4の輪郭線と交わり、点513において第1側方フラップ51の輪郭線と交わるため、間隔W1は、点43と点513との間隔に相当する。また、中央フラップ4と、第2側方フラップ52との先端側の間隔W2も、間隔W1を定める方法と同様の方法によって定めることができる。すなわち、直線L1をひく方法と同様の方法によって直線L2をひき、直線L2と中央フラップ4の輪郭線とが交わる点43と、直線L2と第2側方フラップ52の輪郭線とが交わる点523との間隔を、間隔W2と定めることができる。
【0032】
間隔W1、W2が15mm以上100mm以下であることの技術的な意義について説明する。
間隔W1、W2が15mm以上であることによって、使用者が中央フラップ4と側方フラップ51、52との間においてラップフィルムの先端をつまむ際に、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間に指を入れることを容易にすることができる。
また、間隔W1、W2が100mm以下であることによって、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間においてラップフィルムの先端がたるんで前面本体部111aに密着することを、より抑制しやすくすることができる。このため、ラップフィルムの先端を、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間において、より安定的に前面本体部111aから離間させることができる。
【0033】
次に、中央フラップ4の側縁部と側方フラップ51、52の側縁部との間の隙間の間隔及び位置について説明する。具体的には、中央フラップ4の側縁部と側方フラップ51、52の側縁部との間の、後述するラップつまみ範囲の長さ及び位置について説明する。
【0034】
ラップフィルムが、中央フラップ4及び側方フラップ51、52の先端部42、512、522を覆うように、カートン本体10の開口部15から延び出している場合について考える。この場合、使用者は、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間、かつ中央フラップ4の先端部42または側方フラップ51、52の先端部512、522のうち前板11の上辺からみて遠い側の先端部から10mm程度、前板11の上辺側の位置をつまむと考えられる。以下において、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間、かつ中央フラップ4の先端部42または側方フラップ51、52の先端部512、522のうち前板11の上辺からみて遠い側の先端部から10mmだけ前板11の上辺側に位置する範囲を、ラップつまみ範囲71、72と称する。特に、中央フラップ4と第1側方フラップ51との間に位置するラップつまみ範囲を、第1ラップつまみ範囲71とも称する。また、中央フラップ4と第2側方フラップ52との間に位置する範囲を、第2ラップつまみ範囲72とも称する。
【0035】
なお、中央フラップ4の先端部42と側方フラップ51、52の先端部512、522との上下方向における位置が、10mmよりも大きな距離だけ離れている場合も考えられる。この場合には、先端部が前板11の上辺に近い側に位置するほうのフラップが、前板11の上辺からみて遠い側の先端部から10mmだけ前板11の上辺側の位置には、存在しないことになる。この場合、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間、かつ上下方向にみて前板11の上辺に近い側の先端部の位置を、ラップつまみ範囲とみなしてもよい。
【0036】
前板11の延びる方向d1におけるラップつまみ範囲71、72の長さW5、W6は、例えば8mm以上30mm以下である。ラップつまみ範囲71、72の長さW5、W6が8mm以上であることによって、使用者がラップつまみ範囲71、72の近傍においてラップフィルムをつまむ場合に、中央フラップ4又は側方フラップ51、52が邪魔になるおそれをより低減することができる。これによって、使用者がラップフィルムをつまむことをより容易にすることができる。また、ラップつまみ範囲71、72の長さW5、W6が30mm以下であることによって、使用者がラップフィルムをつまみ得る範囲が限定される。このため、後述するラップフィルムの切断が容易となる位置がつままれるように使用者の指を誘導する効果を、より向上することができる。
【0037】
ラップつまみ範囲71、72の中心点71a、72aと、前板11の延びる方向d1にみた場合における前板11の一方の端辺と他方の端辺との中間に位置する中間線L5との距離W3、W4は、例えば、前板11の延びる方向d1における前板11の長さW12の0.03倍以上0.25倍以下である。ラップつまみ範囲71、72の中心点71a、72aを定める方法の一例として、第1ラップつまみ範囲71の中心点71aを定める方法について説明する。まず、中央フラップ4の先端部42または第1側方フラップ51の先端部512のうち前板11の上辺からみて遠い側の先端部を通り、前板11の上辺に平行な直線をひく。図4に示す例においては、中央フラップ4の先端部42及び第1側方フラップ51の先端部512を通る直線L1が、上述の直線に相当する。次に、上述の直線L1よりも10mmだけ前板11の上辺側に、前板11の上辺に平行な直線L3をひく。この場合に、直線L3と中央フラップ4の輪郭線とが交わる点73と、直線L3と第1側方フラップ51の輪郭線とが交わる点74との中点の位置を、中心点71aと定めることができる。また、中央フラップ4と、第2側方フラップ52との間のラップつまみ範囲72の中心点72aも、中心点71aを定める方法と同様の方法によって定めることができる。すなわち、直線L1を基準として直線L3をひく方法と同様の方法によって、直線L2を基準として直線L4をひき、直線L4と中央フラップ4の輪郭線とが交わる点75と、直線L4と第2側方フラップ52の輪郭線とが交わる点76との中点の位置を、中心点72aと定めることができる。また、距離W3、W4は、例えば10mm以上である。距離W3、W4が10mm以上であることによって、後述する中央フラップ4の基部41の幅W9を、十分に確保しやすくすることができる。
【0038】
前板前面部111のうち、ラップつまみ範囲71、72の中心点71a、72aの位置には、印刷などによって、使用者に中心点71a、72a又はその近傍においてラップフィルムをつまむことを指示する旨の表示が設けられていてもよい。
【0039】
次に、中央フラップ4の基部41と側方フラップ51、52の基部511、521との位置関係について説明する。
【0040】
図3に示すように、中央フラップ4の基部41と側方フラップ51、52の基部511、521との間には、間隔が設けられている。この特徴の効果の説明のため、仮に、中央フラップ4の基部41と側方フラップ51、52の基部511、521の間に間隔が設けられておらず、中央切り込み161と側方切り込み162とがつながっている場合について考える。この場合、中央切り込み161と側方切り込み162とがつながっていることによって、前板11が、切り込みが連続する広い範囲において、前面本体部111aと前板後面部112との間隔を広げるように変形するおそれが生じる。仮にこの変形を抑制しようとする場合には、中央切り込み161及び側方切り込み162の近傍などにおいて前面本体部111aと前板後面部112とを接着するなどの手段をとる必要が生じる。これに対し、中央フラップ4の基部41と側方フラップ51、52の基部511、521との間に間隔が設けられている場合には、中央切り込み161と側方切り込み162とが分離するため、前面本体部111aと前板後面部112との間隔を広げるような変形が生じにくくなる。これによって、前板11の強度を確保することができる。また、図4に示すように、前板11の下辺側に直線状の接着部113を設ければ、中央切り込み161及び側方切り込み162の近傍などにおいて前面本体部111aと前板後面部112とを接着せずとも、前板11の強度を確保することができる。
【0041】
図4に示す中央フラップ4の基部41と側方フラップ51、52の基部511、521との間隔W7、W8は、8mm以上である。これによって、中央フラップ4の基部41と側方フラップ51、52の基部511、521との間隔を十分に確保して、前板11の強度を安定的に確保することができる。間隔W7、W8は、例えば30mm以下である。
【0042】
中央フラップ4は、前板11の延びる方向d1にみて、中央フラップ4の側方に位置する一対の側方側縁部44、45を有する。一対の側方側縁部44、45のうち、第1側方フラップ51側の側方側縁部44の範囲は、以下のように定められる。中央フラップ4の輪郭線上の点であって、前板11の上辺に平行な接線を有する点のうち、前板11の延びる方向d1にみて、最も第1側方フラップ51側に位置する点43を特定する。この場合に、中央フラップ4の、点43と、中央フラップ4の基部41に位置する点のうち第1側方フラップ51側の点46との間の縁部を、中央フラップ4の第1側方フラップ51側の側方側縁部44の範囲と定めることができる。また、同様の方法によって、中央フラップ4の、点43と、中央フラップ4の基部41に位置する点のうち第2側方フラップ52側の点47との間の縁部を、中央フラップ4の第2側方フラップ52側の側方側縁部45と定めることができる。
【0043】
また、側方フラップ51、52は、前板11の延びる方向d1にみて中央フラップ4側に位置する中央側縁部514、524を有する。第1側方フラップ51の中央側縁部514は、上述の点513と、第1側方フラップ51の基部511に位置する点のうち中央フラップ4側の点515との間の縁部と定めることができる。また、第2側方フラップ52の中央側縁部524は、上述の点523と、第2側方フラップ52の基部521に位置する点のうち中央フラップ4側の点525との間の縁部と定めることができる。
【0044】
図4に示す例において、中央フラップ4の一対の側方側縁部44、45、及び側方フラップ51、52の中央側縁部514、524には、丸みがつけられている。中央フラップ4の一対の側方側縁部44、45、及び側方フラップ51、52の中央側縁部514、524は、10mm以上の曲率半径を有する。これによって、使用者が中央フラップ4と側方フラップ51、52との間に指を入れる場合に、例えば側方側縁部44、45及び中央側縁部514、524が角ばっている場合と比較して、角部が指にあたってダメージを与えるおそれを低減することができる。これによって、使用者に、よりスムーズにラップフィルムの先端をつまませることができる。なお、図4に示す例において、側方フラップ51、52は、方向d1にみて中央フラップ4側とは反対側にも、10mm以上の曲率半径を有する縁部を有する。
【0045】
図4に示す中央フラップ4の基部41の、前板11の延びる方向d1における幅W9は、例えば15mm以上である。この場合、折り返されている前板11に生じる弾性的な力を、中央フラップ4に十分に作用させて、図5に示すような中央フラップ4が前方に突出している状態を、より安定的に維持することができる。なお、上記の効果をより得やすくするためには、幅W9は、20mm以上であることがより好ましい。また、図4に示す一対の側方フラップ51、52の基部511、521の、前板11の延びる方向d1における幅W10、W11は、例えば15mm以上であってもよい。この場合、折り返されている前板11に生じる弾性的な力を、側方フラップ51、52に十分に作用させて、側方フラップ51、52が前方に突出している状態を、より安定的に維持することができる。なお、上記の効果をより得やすくするためには、幅W10、W11は、20mm以上であることがより好ましい。
【0046】
また、図4に示す例において、一対の側方フラップ51、52の基部511、521の前板11の延びる方向d1における幅W10、W11は、中央フラップ4の基部41の幅W9よりも大きい。これによって、前板11の上辺側を方向d1にみた場合に、前板11の上辺側の広範囲が、中央フラップ4と側方フラップ51、52とによって占められるようになる。このため、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間に残される隙間を、より視覚的に目立たせることができる。これによって、使用者の意識を中央フラップ4と側方フラップ51、52との間に向けさせ、使用者が中央フラップ4と側方フラップ51、52との間においてラップフィルムをつまむように誘導することができる。
【0047】
図示はしないが、中央フラップ4又は一対の側方フラップ51、52の少なくともいずれか一つには、粘着性を有する表面層が設けられていてもよい。表面層は、例えば、中央フラップ4又は一対の側方フラップ51、52の前方の面に配置されているニスを含む。表面層のパターン及び表面層のニスの材質は、カートン本体10に収納するラップフィルムの材質に応じて適宜選択することができる。ニスなどの粘着性を有する材料を含む表面層をフラップに設けることにより、使用者がラップフィルムの先端をつまんで引っ張るとラップフィルムが表面層から離間する程度に、表面層にラップフィルムを粘着させることができる。これにより、ラップフィルムの端部がカートン本体10側へ巻き戻ってしまうことを抑制することができる。
【0048】
(蓋体)
蓋体21は、図2に示すように、後板12の上辺に連結されている。蓋体21は、図1に示すように開口部15を覆うように回動可能に、後板12の上辺に連結されている。図1及び図2に示す例において、蓋体21は、後板12の上辺と連結されている辺を軸として、カートン本体10に対して回動することができるように、後板12の上辺と連結されている。
【0049】
(掩蓋片)
掩蓋片22は、図1及び図2に示すように、蓋体21の、後板12に連結されている側とは反対側に連結されている。掩蓋片22は、図1に示すように、蓋体21が開口部15を覆っているときに、前板11に部分的に重なる。図1に示す例において、掩蓋片22は、前板11の前板前面部111の上側の部分に重なっている。図1に示す例において、掩蓋片22は、前板前面部111に重なっている場合に中央フラップ4及び側方フラップ51、52を覆うように、上下方向にみて、中央フラップ4及び側方フラップ51、52の先端部42、512、522から前板11の上辺までの距離よりも、大きな寸法を有する。
【0050】
図3に示すように、ブランク60において、蓋体21及び掩蓋片22の延びる方向d2における蓋体21及び掩蓋片22の両側には、折れ線17を介して、それぞれ側蓋板23及び側蓋片24が連結されている。また、図3に示すように、掩蓋片22の、蓋体21に連結されている側とは反対側には、切り取り線25を介して、開封片26が連結されていてもよい。図示はしないが、図3に示すブランク60を用いてラップフィルム用カートンを組み立てた場合には、開封片26は、掩蓋片22とともに前板11に重なり、後述する切断刃30の刃先を覆う位置に配置される。なお、図1及び図2に示すラップフィルム用カートン1は、図3に示すブランク60を用いてラップフィルム用カートンを組み立てた後に、切り取り線25を用いて開封片26を掩蓋片22から切り離したものに相当する。
【0051】
(切断刃)
切断刃30は、図2に示すように、掩蓋片22の、蓋体21に連結されている側とは反対側の端部に沿って設けられている。図2に示す例において、切断刃30は、掩蓋片22の、前板11に部分的に重なるときに前板11側に位置する面に設けられている。切断刃30によって、カートン本体10の開口部15から延び出し、前板11と掩蓋片22との間に位置するラップフィルムが、切断刃30の刃先の位置において切断される。この場合、ラップフィルムの切断の後には、ラップフィルムの開口部15から延び出している部分が、掩蓋片22の蓋体21に連結されている側の端部から切断刃30の刃先までの距離に相当する長さの分だけ残される。
【0052】
図2に示す例において、切断刃30は、鋸刃が直線状に並ぶ形状を有する。切断刃30の鋸刃が直線状に並ぶことによって、鋸刃が直線状に並ばない場合、例えば鋸刃がV字状又はM字状に並ぶ場合と比較して、切断刃30の形状を、より単純化することができる。このため、切断刃30を設計すること、切断刃30を作成すること、及び切断刃30を掩蓋片22に連結してラップフィルム用カートン1を製造することが、より容易になる。また、鋸刃が直線状に並ぶ場合は、切断刃30の面積がより小さくなるため、より少ない材料から切断刃30を作成することができる。本実施の形態において、切断刃30は樹脂を含む。切断刃30が樹脂を含む場合、カートン本体10、蓋体21、掩蓋片22などを紙基材によって構成することにより、ラップフィルム用カートン1の材料を可燃性の材料に揃えることができる。このため、使用済みのラップフィルム用カートン1を廃棄する場合に、ラップフィルム用カートン1を可燃ごみとして廃棄することが容易となる。
【0053】
(ラップフィルム)
本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1のカートン本体10に、ロール状に巻かれたラップフィルムを収納して、ラップフィルム入りカートンとすることができる。この場合、ラップフィルム入りカートンのカートン本体10に収納されているラップフィルムは、例えば、ポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムである。ラップフィルムの材料は、ポリ塩化ビニリデンであってもよい。
【0054】
(ラップフィルム用カートンの作用)
次に、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1の作用の一例について説明する。まず、カートン本体10にラップフィルム9が収納されており、ラップフィルム9の先端が掩蓋片22と前板11との間に延び出している場合について考える。この場合、中央フラップ4及び側方フラップ51、52が前方に突出していることによって、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間においては、ラップフィルム9の先端が前板11から離間する。
【0055】
このときに、使用者が所望の量のラップフィルム9を取り出す場合について考える。この場合、使用者はまず、図6に示すように、一方の手で、掩蓋片22を前板11から離すように蓋体21を回動させ、もう一方の手で、ラップフィルム9の先端をつまむ。図6に示す例においては、使用者が左手で蓋体21を回動させ、右手でラップフィルム9をつまむ例を示している。このとき、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間においてラップフィルム9の先端が前板11から離間していることによって、使用者が、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間においてラップフィルム9をつまみやすくなっている。これによって、図6に示すように、使用者がラップフィルムをつまむ位置は、中央フラップ4と側方フラップ51、52との間の位置に誘導される。図6に示す例においては、使用者が、中央フラップ4と第2側方フラップ52との間において、ラップフィルム9の先端をつまんでいる様子を示している。図示はしないが、使用者が右手で蓋体21を回動させ、左手でラップフィルム9をつまむ場合には、使用者は、中央フラップ4と第1側方フラップ51との間において、ラップフィルム9の先端をつまんでもよい。
【0056】
ラップフィルム9の先端をつまんだ後、使用者は、ラップフィルム9の先端を引いて、必要量のラップフィルム9を引き出す。そして、掩蓋片22が前板11に重なるように蓋体21を回動させた後、図7に示すように切断刃30のいずれか一方の端部をラップフィルム9に食い込ませるように、ラップフィルム用カートン1をひねり、またはラップフィルム9の先端を引く。図7に示す例においては、ラップフィルム9の先端を引くことによって、切断刃30の第2側方フラップ52側の端部をラップフィルム9に食い込ませている様子を示している。図示はしないが、使用者が中央フラップ4と第1側方フラップ51との間においてラップフィルム9の先端をつまんだ場合には、切断刃30の第1側方フラップ51側の端部をラップフィルム9に食い込ませてもよい。以上の方法によって、図8に示すように、切断刃30の端部の位置を起点としてラップフィルム9を切断することができる。
【0057】
本実施の形態によれば、中央フラップ4を設けることにより、使用者がラップフィルム9をつまむ位置を、中間線L5よりも側方に偏った位置に誘導することができる。このため、ラップフィルム9が使用者につままれる位置と、ラップフィルム9が切断刃30の端部の一方に当たる位置との距離を、ラップフィルム9の幅方向における中央がつままれる場合よりも短くすることができる。これによって、使用者が切断刃30の端部の位置を起点としてラップフィルム9を切断する際に、切断刃30をラップフィルム9に食い込ませる力を、より効率よく生じさせることができる。
【0058】
好ましくは、ラップつまみ範囲71、72の中心点71a、72aと、前板11の延びる方向d1にみた場合における前板11の一方の端辺と他方の端辺との中間に位置する中間線L5との距離W3、W4が、前板11の延びる方向d1における前板11の長さW12の0.03倍以上0.25倍以下である。距離W3、W4が0.03倍以上であることによって、ラップフィルム9上の使用者につままれる位置を、ラップフィルム9の幅方向における側方に十分に偏らせ、ラップフィルム9上における使用者につままれる位置と切断刃30の端部の一方に当たる位置との距離を、十分に短くすることができる。このため、使用者が切断刃30の端部の位置を起点としてラップフィルム9を切断する際に、切断刃30をラップフィルム9に食い込ませる力を、十分に効率よく生じさせることができる。なお、上記の効果をより得やすくするためには、距離W3、W4は、長さW12の0.04倍以上であることがより好ましい。また、距離W3、W4を0.25倍以下とすることによって、ラップフィルム9がつままれる位置をラップフィルム9の幅方向の一方の側に偏らせつつ、ラップフィルム9の他方の側の側縁から離れすぎないようにすることができる。これによって、使用者がラップフィルム9をつまんでカートン本体10から引き出した際に、ラップフィルム9の他方の側においてラップフィルム9が大きくたるむことを抑制することができる。このため、例えば、カートン本体10から引き出したラップフィルム9を皿などのラップフィルムを被せる対象に被せてから切断する場合に、ラップフィルム9が大きくたるむことを抑制して、対象にラップフィルム9を被せやすくすることができる。
【0059】
本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1によれば、上述のとおり、切断刃30をラップフィルム9に食い込ませる力を効率よく生じさせることによって、より容易にラップフィルムを切断することができる。ここで、ポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムは、例えばポリ塩化ビニリデンのラップフィルムと比較して、より伸びやすく、切断しにくい。本実施の形態の係るラップフィルム用カートン1によれば、このようなポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムも、容易に切断することができる。このため、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1は、特にポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムに適している。
【0060】
本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1の作用の更なる説明のため、比較例として、中央において下方に凸となる形状、例えばV字状の形状を有する切断刃を用いて、ラップフィルムの幅方向の中央の位置を起点としてラップフィルムを切断するラップフィルム用カートンについて考える。上述の比較例と比較して、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1は、切断刃30の端部をラップフィルム9に食い込ませるために、切断刃30をラップフィルム9に食い込ませる力を、より効率よく生じさせることができる。このため、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1は、上述の比較例と比べて、特に、より伸びやすく、切断しにくいポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムも、容易に切断することができる。したがって、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1は、上述の比較例と比べて、特にポリエチレン系樹脂を原料として形成されるラップフィルムに適しているといえる。
【0061】
また、上述の比較例と比較して、本実施の形態に係るラップフィルム用カートン1は、切断刃30の端部をラップフィルム9に食い込ませるものであるために、切断刃30の形状を、中央において下方に凸となる形状とする必要がない。このため、切断刃30の形状を、切断刃30の端部において切断刃30をラップフィルム9に食い込ませることができる限りにおいて、自由に設計することができる。例えば、上述の通り、切断刃30の設計、切断刃30の作成、及び切断刃30の掩蓋片22への連結をより容易にする観点、又は切断刃30の材料をより少なくする観点から、切断刃30の形状を、鋸刃が直線状に並ぶ形状とすることができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0063】
(中央フラップの変形例)
上述の実施の形態においては、中央フラップ4が、基部41において幅が最大となっている例を示した。しかしながら、中央フラップ4の形状はこれに限られない。以下、図9を参照して、中央フラップの変形例について説明する。図9は、中央フラップの変形例に係るラップフィルム用カートン1の、蓋体21を開けた状態を、前板11側からみた場合を示す正面図である。図9に示す例において、中央フラップ4は、基部41と先端部42との間に、幅が最大となる部分を有する。この場合においても、図9に示すように、上述の実施の形態に記載した方法と同様の方法によって、中央フラップ4と側方フラップ51、52との先端側の間隔W1、W2、ラップつまみ範囲71、72、ラップつまみ範囲71、72の中心点71a、72a、及びラップつまみ範囲71、72の長さW5、W6を特定することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ラップフィルム用カートン
10 カートン本体
11 前板
111 前板前面部
111a 前面本体部
112 前板後面部
12 後板
13 底板
14 側板
15 開口部
161 中央切り込み
162 側方切り込み
21 蓋体
22 掩蓋片
30 切断刃
4 中央フラップ
41 基部
42 先端部
44,45 側方側縁部
51 第1側方フラップ
511 基部
512 先端部
514 中央側縁部
52 第2側方フラップ
521 基部
522 先端部
524 中央側縁部
71,72 ラップつまみ範囲
71a,72a 中心点
9 ラップフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9