(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】座席装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/14 20060101AFI20231023BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20231023BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20231023BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20231023BHJP
A47C 3/18 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
B60N2/14
B60N2/90
B60N2/56
A47C7/74 C
A47C3/18 B
(21)【出願番号】P 2019175344
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】西田 学
(72)【発明者】
【氏名】小川 征輝
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-196376(JP,A)
【文献】特開2010-137651(JP,A)
【文献】国際公開第02/30704(WO,A1)
【文献】特開平7-186794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
B61D 33/00
A47C 3/00-40
A47C 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席を床面上に回転可能に支持する座席装置において、
床面の取付箇所に一端側が固定された固定部品と、該固定部品上に座席と共に回転可能に支持される回転部品とを備え、
前記固定部品に対する前記回転部品の回転中心は、前記取付箇所より前記固定部品の他端側に延出した位置にあり、
前記固定部品で前記回転中心より他端側の遠位箇所に、該遠位箇所が受ける下向き荷重を床面側より支持可能な脚部を設け
、
前記固定部品の一端側の内側に、床面に設けられた通気口と、該通気口を覆うフィルターとが配置され、
前記固定部品の一端側に、前記フィルターを外部より挿脱可能な開口部を有することを特徴とする座席装置。
【請求項2】
前記固定部品は、一端側が固定された床面上の前記取付箇所より他端側が側方に延出した片持ち状態にあり、
前記固定部品の前記遠位箇所は片持ち状態の自由端であり、該自由端に前記脚部が下向き荷重を受けた際に床面側に当接する状態に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の座席装置。
【請求項3】
前記固定部品に対して前記回転部品を回転不能に拘束するロック機構と、該ロック機構による拘束を足踏み操作で解除する操作ペダルとを備え、
前記操作ペダルを前記脚部に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の座席装置。
【請求項4】
前記固定部品の一端側に、床面側からの配線と座席側からの配線との接続箇所を配置したことを特徴とする請求項1,2または3に記載の座席装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席を床面上に回転可能に支持する座席装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両等に装備される座席は、例えば車両の進行方向に合わせて向きを変換できるように、床面上に回転可能に支持されたものが知られている(例えば特許文献1,2)。このような回転式の座席では、床面側に固定した脚台上に、座席側の台枠が回転機構を介して支持されていた。
【0003】
一般に脚台は、その底面側の少なくとも四隅が床面上に安定した状態で固定されるが、床面上の取付箇所(例えば金属部分)が局所的に限定される場合もある。かかる場合は、脚台の一端側のみを床面上の限られた取付位置に固定して、他端側は片持ち状態にすることも多々ある(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平6-50962号公報
【文献】特開平6-135327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した回転式の座席では、片持ち状態の脚台において、床面上に直接的には支持されていない自由端側への下向き荷重に対しては、強度が不足する虞がある。ここで脚台のメインフレームが重量削減のためにアルミ材の場合や、座席全体の重量自体が嵩む場合には、いっそう強度不足への懸念があった。
【0006】
特に、片持ち状態の脚台上では、その一端側の取付箇所よりも離れた位置に座席が回転可能に支持されおり、回転する座席側の重心ともなる回転中心よりも、自由端はさらに他端側に離れて位置することになる。従って、脚台の自由端においては、なおさら強度を保つための工夫が求められていた。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点に着目してなされたものであり、床面上の取付箇所に対して座席の回転中心や下向き荷重を受ける箇所が離れていても、十分な強度を確保することができる座席装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
座席を床面上に回転可能に支持する座席装置において、
床面の取付箇所に一端側が固定された固定部品と、該固定部品上に座席と共に回転可能に支持される回転部品とを備え、
前記固定部品に対する前記回転部品の回転中心は、前記取付箇所より前記固定部品の他端側に延出した位置にあり、
前記固定部品で前記回転中心より他端側の遠位箇所に、該遠位箇所が受ける下向き荷重を床面側より支持可能な脚部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る座席装置によれば、床面上の取付箇所に対して座席の回転中心や下向き荷重を受ける箇所が離れていても、十分な強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る座席装置を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る座席装置の脚台を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る座席装置の脚台を別角度から示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る座席装置の脚台にある脚部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る座席装置の脚台から回転機構を外して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
図1~
図5は、本発明の一実施形態を示している。
本実施形態に係る座席装置10は、座席11を床面F上に回転可能に支持するものである。なお、座席11の種類は特に限定されないが、以下、本実施形態では、鉄道車両の客室内に装備する腰掛に適用した場合を例に説明する。
【0012】
<座席装置10の概要>
図1に示すように、座席装置10は、床面Fの取付箇所F1に一端側が固定された脚台20と、該脚台20上に座席11と共に回転可能に支持された台枠30とを備える。本実施形態では、脚台20が本発明における「固定部品」の一例に相当し、台枠30が本発明における「回転部品」の一例に相当する。
【0013】
座席11は、例えば2人掛けの腰掛として、左右に一対ずつ並ぶ座部12と背凭れ13とを備える。各背凭れ13は、それぞれ下端側が座部12の後端側に支持され、リクライニング機構を介して傾動可能に構成すると良い。なお、一対の座部12の両側には、袖状のサイドアームレスト14が設けられている。また、一対の座部12の間には、仕切りとなるコンソール状のセンターアームレスト15が設けられている。
【0014】
脚台20に対して台枠30は、回転機構28を介して略水平方向に回転可能に支持され、座席11を前後逆向きに方向転換させることができる。また、脚台20に対して台枠30は、ロック機構29を介して回転不能に拘束でき、座席11を進行方向に合わせて一方向(0度)または逆方向(180度)に固定することができる。このような座席装置10は、車両客室内の床面F上で、例えば中央の通路を間にして両側壁Wに沿うように並び、車両の前後(長手)方向に亘って所定間隔おきに複数列となるように設置される。
【0015】
<脚台20について>
脚台20は、床面F上に固定される固定部品であり、一端側が床面Fの取付箇所F1に固定され、他端側が取付箇所F1より側方に延出した片持ち状態となっている。なお、脚台20上に回転可能に支持された台枠30は、
図1に示すように、座部12の底面側に配設された略板状のフレームであるが、その構成は一般的なものであるため詳細な説明は省略する。
【0016】
図1に示すように、床面Fの取付箇所F1は、例えば金属材F2が表面付近に敷設されて高い剛性を備えた部位であり、車両車体の設計上予め位置が定められている。金属材F2は、例えば床面Fにおいて側壁Wから座席11の横幅半分に満たない位置に沿って、側壁Wと平行な車両前後方向に延びている。この金属材F2に沿った細幅な部位が取付箇所F1となる。
【0017】
図2および
図3に示すように、脚台20は、床面F上の取付箇所F1に固定される支持部21と、該支持部21の上端より車両前後方向と直交する側方(車体中央の通路側)に延設された水平部22とを備える。脚台20において、一端側に支持部21があり、他端側に水平部22の自由端がある。
【0018】
支持部21は、例えば金属のフレーム材を略立方体状に組み合わせてなる。支持部21は、側壁W側を向く一端面側の開口部より内部にアクセスできるように構成されている。水平部22は、例えば金属のフレーム材を一端側から他端側に延びた略枠組状に組み合わせてなる。水平部22は、一端側が支持部21の上端に連結され、一端側から他端側に亘る上面が床面Fと略平行となる片持ち状態となっている。
【0019】
<<脚台20の支持部21>>
図3に示すように、支持部21は、その両側端をなす互いに平行な一対の箱状の側端フレーム211等を有し、各側端フレーム211の底面側が、床面Fにある金属材F2にボルト等で固定される。床面Fで金属材F2以外の表面は、例えば硬質ゴム層により覆われており、さらに硬質ゴム層上にはカーペットが敷かれている。ここで床面F上に金属材Fを露出させるためのカーペットの切り欠きは、支持部21全体の底面より内側に隠れる大きさに設定すると良い。
【0020】
図5に示すように、支持部21の内側となる取付箇所F1には、ダクト状の通気口23が設けられている。通気口23は、客室内の空気を外部へ排気したり外部の空気を給気するためのものであり、脚台20によって隠蔽されている。通気口23の上端開口には、枠型網状のエアーフィルター24が装着されている。本実施形態では、エアーフィルター24が本発明における「フィルター」の一例に相当する。
【0021】
支持部21の内側にあるエアーフィルター24に対しては、支持部21にて側壁W側を向く一端面側の開口部よりアクセスすることができ、当該開口部を通じて交換可能となっている。また、支持部21の内側には、床面F側からの配線25と、座席11側からの配線26が延ばされている。各配線25,26は、それぞれ例えばコンセント用の電線と、図示省略したが座席11に装備する電動式のレッグレストおよび読書灯の電線等と、必要な数だけ適宜用意されている。
【0022】
支持部21の内側には、床面F側からの配線25と座席11側からの配線26との接続箇所が配置されている。ここで接続箇所として、各配線25,26の先端にあるコネクタを表裏から取り付けて互いに接続させるコネクタ取付板27が配設されている。コネクタ取付板27は、通気口23およびエアーフィルター24よりも手前の開口部側に配置されている。
【0023】
<<脚台20の水平部22>>
図2に示すように、水平部22は、その両側端をなす互いに平行に延びる一対のビーム状の側端フレーム221と、各側端フレーム221の他端間を結ぶ他端フレーム222等を有する。各側端フレーム221の一端側が、支持部21の各側端フレーム211の上端に一体に連結されている。水平部22の他端フレーム222は自由端であり、脚台20全体としては、支持部21によって片持ち状態で床面F上に支持されている。
【0024】
水平部22の上面において、支持部21より他端寄りの位置に、回転機構28を介して台枠30が回転可能に支持されている。回転機構28は、一般的な構成のものであり、例えば上下一対のリング状の回転盤が、その間にベアリング等を介在させて互いに回転可能に組み合わされて構成されている。
【0025】
回転機構28の下側の回転盤が脚台20に取り付けられ、上側の回転盤が台枠30に取り付けられる。この回転機構28の上下の回転盤の中心線が、物理的な実体を伴う回転軸ではないが、座席11の回転中心、すなわち脚台20に対する台枠30の回転中心となる。座席11の回転中心は、座席11の重心にほぼ一致しており、取付箇所F1よりも水平部22の他端側に延出した位置にある。
【0026】
<脚部40について>
脚台20の水平部22において、座席11の回転中心より他端側の遠位箇所には、該遠位箇所が受ける下向き荷重を床面F側より支持可能な脚部40が設けられている。ここで遠位箇所とは、本実施形態では水平部22の他端側の最も先の自由端であるが、座席11の回転中心より他端側に位置する箇所であれば適宜定めることができる。脚部40は、水平部22の自由端の下側より垂下し、自由端が着座者からの下向き荷重を受けたとき、脚部40が床面F側に当接するように設定されている。
【0027】
図4に示すように、脚部40は、他端フレーム222の下面に沿って同じ長さに延びる略矩形断面に金属のフレーム材を組み合わせてなる。詳しく言えば、脚部40は、その両端をなす互いに平行な一対の箱状の側端フレーム41と、各側端フレーム41間を結ぶ底面板42等を有する。また、底面板42の下面側には、金属板からなるスペーサー43が固定されている。このような脚部40は、両端の側端フレーム41の上端側が、他端フレーム222の下面に対してボルト止め、あるいは溶接等により一体に固定されている。
【0028】
スペーサー43は、床面F上の硬質ゴム層に当接する部位であり、底面板42の外側3辺の周縁より内側に一段狭まる大きさに形成されている。スペーサー43が当接する硬質ゴム層は、床面F上のカーペットを切り欠いて露出させている。ここでカーペットの切り欠きは、スペーサー43に合致する形状であり、底面板42の内側に隠れる大きさに形成されている。
【0029】
脚部40において、両端の側端フレーム41間の底面板42上には空間があり、底面板42の上面側には、次述するロック機構29による座席11の拘束を解除する操作ペダル44が配設されている。操作ペダル44は、ブラケット45を介して脚台20の他端側へ突出する状態で、上下方向に揺動可能に支持されている。操作ペダル44は、通常時は上方にバネ等で付勢されているが、足踏み操作により付勢力に抗して下方へ揺動するように構成されている。ここで操作ペダル44は、既知のリンク機構等を介してロック機構29に連結されている。
【0030】
<ロック機構29、その他の構成>
脚台20の水平部22における他端フレーム222には、脚台20に対して座席11(台枠30)を回転不能に拘束するロック機構29が設けられている。
図2に示すように、ロック機構29は、他端フレーム222の上面側より上方へ出没可能に設けられたロックピン291と、図示省略したが台枠30(
図1参照)に設けられてロックピン291が係脱する複数の受け穴とを備えている。
【0031】
ロックピン291は、座席11が所定の向きに回転されたとき、当該位置で上下に合致する台枠30側の受け穴に挿入されて係合する。ここで受け穴は、座席11が拘束される各回転位置ごとに設けられている。ロックピン291は、通常時は受け穴に挿入する上方へ突出するようにバネ等で付勢されているが、操作ペダル44の足踏操作に連動して引かれると、付勢力に抗して受け穴から外れるように下方へ没入するように構成されている。
【0032】
また、
図1に示すように、脚台20の水平部22の下側において、支持部21と脚部40の間には、電源装置50が配設されている。電源装置50は、座席11に装備された各種電動部品等に給電するものである。脚台20の支持部21の内部は、その両側端面は側端フレーム211で仕切られ、他端面側の開口部は電源装置50により塞がれる。よって、前述したように支持部21の内部は、側壁W側を向く一端面側の開口部だけから内部にアクセス可能となっている。
【0033】
その他、
図2に示すように、脚台20の水平部22における上面側には、座席11が各回転位置に拘束されたとき、台枠30の下面側に当接して支持するための受け部材46やダンパー47が設けられている。また、水平部22の他端フレーム222に沿って、座席11の回転方向ないし範囲を規制するストッパ48が設けられている。さらに、水平部22には、座席11の回転位置を検出するセンサ等の関連部品も必要に応じて設けられている。
【0034】
<座席装置10の作用>
次に、本実施形態に係る座席装置10の作用を説明する。
図1において、座席装置10を床面F上に組み付ける場合、先ず脚台20の一端側の支持部21を床面Fの取付箇所F1に固定する。ここで取付箇所F1は、車両車体の設計上予め位置が定められている。
【0035】
図1に示す取付箇所F1は、側壁Wから座席11の横幅半分に満たない位置に沿って車両前後方向に細幅に延びている。従って、脚台20を床面F上に固定するには、片持ち状態にしなければならないという設計上の制約がある。すなわち、脚台20は、床面F上の取付箇所F1に固定された一端側の支持部21より、支持部21の上端に連結された水平部22の他端側が側方に延出した片持ち状態となる。
【0036】
片持ち状態の脚台20上には、回転機構28を介して座席11の台枠30を回転可能に支持する。ここで回転機構28の回転中心は、座席11の重心にほぼ一致しており、取付箇所F1よりも水平部22の他端側に延出した位置にある。水平部22において、前記回転中心よりさらに他端側の遠位箇所(自由端)である他端フレーム222の下面に、下向き荷重を受けた際に床面F側に当接する脚部40を設ける。
【0037】
座席装置10の組み付け後、座席11が所望の回転向きにあるとき、ロック機構29により、座席11の台枠30は脚台20に対して回転不能に拘束されている。すなわち、
図4に示すロック機構29のロックピン291が台枠30にある受け穴(図示せず)に係合している。
【0038】
このような状況下で、座席11に着座者が着座したことにより、脚台20の自由端側に下向き荷重がかかると、脚台20の水平部22は僅かに下方へ撓むことになる。その結果、水平部22の他端フレーム222の下面より垂下する脚部40が床面Fに当接して、水平部22の自由端側の下方への撓みが阻止される。
【0039】
これにより、脚台20の自由端側が受ける下向き荷重を床面F側で受けて支持することができ、座席11全体の強度を確保することができる。なお、座席11に着座者が着座していないときは、脚台20の自由端側が下方に撓むことはなく、脚部40の底面にあるスペーサー43と床面Fとの間には僅かな隙間が生じるように設定すると良い。
【0040】
座席11の回転向きを変更するには、操作ペダル44を足踏み操作することで、ロック機構29による座席11の拘束を解除する。座席11の回転時に、前述したように脚部40と床面Fとの間に隙間があれば、脚部40が座席11の回転の妨げとなることはない。操作ペダル44は脚部40に設けたから、操作ペダル44の取付箇所を脚部40において確保することができ、脚部40を脚台20の自由端側の支持以外にも有効利用することができる。
【0041】
また、本座席装置10では、脚台20の支持部21の内側に、床面F側からの配線25と座席11側からの配線26の先端を引き延ばして配置させる。そして、各配線25,26の先端にあるコネクタを、同じく支持部21の内側に配置したコネクタ取付板27に接続させている。これにより、脚台20の支持部21を、各配線25,26やコネクタ取付板27の配置スペースとしても有効利用することができる。
【0042】
また、脚台20の支持部21の内側には、床面Fに設けられた通気口23とそのエアーフィルター24も配置されている。これにより、脚台20の支持部21を、通気口23とそのエアーフィルター24の配置スペースとしても有効利用することができる。ここで支持部21の内部は、側壁Wを向く一端面側の開口部よりアクセスできるため、開口部を通じて容易にエアーフィルター24を交換することができる。なお、支持部21の開口部からエアーフィルター24を挿脱する時、その手前側から延びる配線25は一旦外せばよい。
【0043】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0044】
先ず、本発明は、座席11を床面F上に回転可能に支持する座席装置10において、
床面Fの取付箇所F1に一端側が固定された固定部品20と、該固定部品20上に座席11と共に回転可能に支持された回転部品30とを備え、
前記固定部品20に対する前記回転部品30の回転中心は、前記取付箇所F1より前記固定部品20の他端側に延出した位置にあり、
前記固定部品20で前記回転中心より他端側の遠位箇所に、該遠位箇所が受ける下向き荷重を床面F側より支持可能な脚部40を設けた。
【0045】
このように、回転部品30の回転中心が、固定部品20の一端側の取付箇所F1より他端側に延出した位置にあれば、固定部品20において回転部品30の回転中心ないし他端側には、固定部品20自体による垂直抗力は働かない。よって、垂直抗力が働かない部位に下向き荷重がかかると、座席11全体の強度が不足する虞があった。
【0046】
そこで、固定部品20で前記回転中心より他端側の遠位箇所に、該遠位箇所が受ける下向き荷重を床面F側より支持可能な脚部40を設けた。これにより、固定部品20で床面Fに対して鉛直方向に直接固定されていない他端側でも、下向き荷重を脚部40を介して床面F側で受けることが可能となり、座席11全体の強度を確保することができる。
【0047】
また、本座席装置10において、前記固定部品20は、一端側が固定された床面F上の前記取付箇所F1より他端側が側方に延出した片持ち状態にあり、
前記固定部品20の前記遠位箇所は片持ち状態の自由端であり、該自由端に前記脚部40が下向き荷重を受けた際に床面F側に当接する状態に設けられた。
【0048】
このような構成は、例えば床面Fの取付箇所F1が局所的に限定される等の設計上の理由により、固定部品20を全体的に明らかな片持ち状態とする必要がある場合に有効である。固定部品20の他端側の遠位箇所である片持ち状態の自由端に脚部40を設ければ、固定部品20の他端側が下向き荷重を受けると、脚部40が床面F側に当接する状態となり、固定部品20の一端側から他端側の自由端にかけて、十分な強度を確保することができる。
【0049】
また、本座席装置10において、前記固定部品20に対して前記回転部品30を回転不能に拘束するロック機構29と、該ロック機構29による拘束を足踏み操作で解除する操作ペダル44とを備え、
前記操作ペダル44を前記脚部40に設けた。
【0050】
このような構成によれば、座席11の向きをロック機構29によって所定の回転角度に拘束することができ、また操作ペダル44の足踏み操作でロック機構29による拘束を解除することができる。ここで操作ペダル44を脚部40に設けたから、操作ペダル44の取付箇所を脚部40において確保することができ、脚部40を固定部品20の他端側の支持以外にも有効利用することができる。
【0051】
また、本座席装置10において、前記固定部品20の一端側に、床面F側からの配線25と座席11側からの配線26との接続箇所27を配置した。
【0052】
このような構成によれば、固定部品20の一端側を各配線25,26の接続箇所27の配置スペースとしても有効利用することができる。固定部品20の一端側に各配線25,26の接続箇所27も集約させることにより、他の空いたスペースにおける設計の自由度を高めることが可能となる。
【0053】
また、本座席装置10において、前記固定部品20の一端側の内側に、床面Fに設けられた通気口23と、該通気口23を覆うエアーフィルター24とが配置され、
前記固定部品20の一端側に、前記エアーフィルター24を外部より挿脱可能な開口部を有する。
【0054】
このような構成によれば、固定部品20の一端側を通気口23とそのエアーフィルター24の配置スペースとしても有効利用することができる。固定部品20の一端側に通気口23とそのエアーフィルター24も集約させることにより、他の空いたスペースにおける設計の自由度をさらに高めることが可能となる。また、エアーフィルター24は、開口部を通じて外部より挿脱(交換)することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、脚台20や台枠30の形状は図示したものに限定されることはない。また、座席は2人掛けの腰掛を例に説明したが、1人掛けの腰掛にも適用することができる。また、鉄道車両用の座席に限られるものでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、鉄道車両、自動車、船舶等の客室内に設置される乗物用の座席の他、劇場用、家庭用、事務用の椅子を対象とした座席支持装置として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10…座席装置
11…座席
12…座部
13…背凭れ
20…脚台(固定部品)
21…支持部
22…水平部
23…通気口
24…エアーフィルター
25…配線
26…配線
27…コネクタ取付板(接続箇所)
28…回転機構
29…ロック機構
30…台枠(回転部品)
40…脚部
44…操作ペダル