(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】開口固定蓋
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20231023BHJP
E02D 29/14 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
E03F5/04 D
E02D29/14 A
(21)【出願番号】P 2019186123
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】大植 宏和
(72)【発明者】
【氏名】阿部 恵一
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-169043(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/04
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側面を備え所定の差し渡しの開口を形成する開口形成物の前記開口の縁に載せられ前記開口形成物の前記開口を覆うための本体と、
前記本体を前記開口形成物に固定するための本体固定体とを備え、
前記本体固定体が、
前記本体が前記開口形成物の前記開口を覆うとき前記開口形成物の前記内周側面にもたれることが可能な位置に配置される接触体と、
前記開口形成物の前記差し渡しの方向についての端部の位置が変動する揺動が可能で前記揺動の中心軸の前記本体に対する相対位置が固定されるよう前記接触体を前記本体に接続する軸材とを有している開口固定蓋であって、
前記接触体が、
前記軸材が接続され
、前記軸材が接続される箇所を挟んで配置される外周面の対を形成する軸材接続部と、
前記本体が前記開口形成物の前記開口を覆うときの前記開口形成物の前記内周側面側において前記軸材接続部に連なり
、前記軸材接続部が形成する前記外周面の対の一方に連なる凹みを形成する凹形成部と、
前記本体が前記開口形成物の前記開口を覆うときの前記開口形成物の前記内周側面側において前記軸材接続部に連なり、前記凹形成部
が形成する前記凹みの裏側にあたる位置に配置され、前記本体が前記開口形成物の前記開口を覆うとき前記開口形成物の前記内周側面に接触するための前記端部を形成する接触端部形成部とを有していることを特徴とする開口固定蓋。
【請求項2】
前記接触端部形成部が、
前記揺動の中心軸に直交する断面において前記揺動の中心軸を中心とする円に内接する内接面を前記端部として形成する内接面形成部と、
前記内接面から前記軸材接続部
のうち前記軸材接続部が形成する前記外周面の対の他方までの区間で張り出す張出面を前記端部として形成する張出面形成部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の開口固定蓋。
【請求項3】
前記内接面が、前記揺動の中心軸に直交する断面において前記揺動の中心軸を中心とする円に内接する円弧を描く円弧曲面であり、
前記張出面が、前記揺動の中心軸に直交する断面において円弧を描き前記円弧曲面に連なる曲面を含むことを特徴とする請求項2に記載の開口固定蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口固定蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マンホール用外蓋のための施錠装置を開示する。このマンホール用外蓋のための施錠装置において、マンホール用の枠管内に嵌め込まれる外蓋の端部付近下面には接触体接続部が設けられる。この接触体接続部には接触体が取り付けられる。この接触体は枠管の内壁面に接したり離したりさせるために形成されるものである。この接触体は、自重による揺動動作可能で枠管の内壁面に対する揺動端が規定されるように取り付けられる。この接触体には操作部材が連なっている。この操作部材は、この接触体の揺動姿勢を変えるために設けられるものである。
【0003】
特許文献1に開示された発明によると、枠管への加工を排除することができる。特許文献1に開示された発明によると、外蓋の施錠状態を強化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、外蓋を固定できる枠管のサイズの範囲について制約があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するものである。その目的は、内周側面を備える開口形成物に固定でき、かつ、その固定が可能な開口形成物のサイズが広い開口固定蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面を参照して本発明の開口固定蓋を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、開口固定蓋30は、本体40と、本体固定体42とを備える。本体40は、開口形成物200の開口240の縁に載せられるためのものである。この開口形成物200は内周側面220を備え所定の差し渡しの開口240を形成する。本体40は、開口形成物200の開口240を覆うためのものである。本体固定体42は、本体40を開口形成物200に固定するためのものである。本体固定体42が、接触体60と、軸材62とを有している。接触体60は、本体40が開口形成物200の開口240を覆うとき開口形成物200の内周側面220にもたれることが可能な位置に配置される。軸材62は、開口形成物200の差し渡しの方向についての端部の位置が変動する揺動が可能で揺動の中心軸の本体40に対する相対位置が固定されるよう接触体60を本体40に接続する。接触体60が、軸材接続部80と、凹形成部82と、接触端部形成部84とを有している。軸材接続部80に軸材62が接続される。軸材接続部80は外周面180,182の対を形成する。外周面180,182の対は、軸材62が接続される箇所を挟んで配置される。凹形成部82は本体40が開口形成物200の開口240を覆うときの開口形成物200の内周側面220側において軸材接続部80に連なる。凹形成部82は凹みを形成する。凹みは軸材接続部80が形成する外周面180,182の対の一方に連なる。接触端部形成部84は本体40が開口形成物200の開口240を覆うときの開口形成物200の内周側面220側において軸材接続部80に連なる。接触端部形成部84は、凹形成部82が形成する凹みの裏側にあたる位置に配置される。接触端部形成部84は、本体40が開口形成物200の開口240を覆うとき次に述べられる端部を形成する。この端部は、開口形成物200の内周側面220に接触するための端部である。
【0009】
接触体60は、本体40が開口形成物200の開口240を覆うとき開口形成物200の内周側面220にもたれることが可能な位置に配置される。これにより、開口形成物200が形成する開口240を覆う本体40に対してその開口240から離す方向の力がかかる場合、開口形成物200の内周側面220にもたれる接触体60は開口形成物200の内周側面220から摩擦力を受ける。接触体60がそのような摩擦力を受けると、接触体60の端部の位置が変動する揺動が生じようとする。開口形成物200の差し渡しの方向についてのその端部の位置が変動する揺動が可能となるよう接触体60は軸材62によって本体40に接続されている。このように接続されている場合、その摩擦力によって接触体60にはトルクがかかるからである。接触体60の端部の位置が変動する揺動が生じようとすると、その揺動はまず開口形成物200の内周側面220によって制限される。さらに接触体60の動きはその揺動の中心軸の本体40に対する相対位置が固定されていることで制限される。これにより、接触体60が開口形成物200の内周側面220に強く押付けられる。接触体60が開口形成物200の内周側面220に強く押付けられると、本体40は開口形成物200に固定される。本発明においては、凹形成部82の裏側にあたる位置に接触端部形成部84が配置される。凹形成部82は凹みを形成する。これにより、接触体60の重心は、これに凹みが形成されていない場合に比べ、接触端部形成部84寄りに位置することとなる。接触体60の重心が接触端部形成部84寄りに位置すると、その重心が凹形成部82寄りに位置する場合に比べ、接触体60の傾斜のうち次に述べられる要件が満たされる最大の傾斜が急傾斜となる。その要件は、接触体60の重心が接触体60の揺動の中心軸から見て内周側面220側という要件である。この要件が満たされるとき、そうでない場合に比べて、接触体60は、仮に内周側面220から離れても、再び内周側面220にもたれようとする。接触体60にそうなるような重力がかかるためである。接触体60の傾斜のうちこの要件が満たされる最大の傾斜が急傾斜になると、その最大の傾斜が急傾斜でない場合に比べ、次に述べられる最小の距離が短いものとなる。その最小の距離は、接触体60の揺動の中心から開口形成物200の内周側面220までの距離のうち、接触体60が開口形成物200の内周側面220から受ける摩擦力によって、接触体60の端部の位置が変動する揺動が生じ得る最小の距離である。その最小の距離が短くなると、その最小の距離が短くならない場合に比べ、本体40が固定され得る開口形成物200の開口240の差し渡しの方向のサイズの範囲が広いものとなる。その結果、内周側面を備える開口形成物に固定でき、かつ、その固定が可能な開口形成物のサイズが広い開口固定蓋が提供される。
【0010】
また、上述した接触端部形成部84が、内接面形成部140と、張出面形成部142とを有していることが望ましい。内接面形成部140は、内接面を端部として形成する。内接面は、揺動の中心軸に直交する断面において揺動の中心軸を中心とする円に内接する。張出面形成部142は、張出面を端部として形成する。張出面は、内接面から軸材接続部80のうち軸材接続部80が形成する外周面180,182の対の他方までの区間で張り出す。
【0011】
内接面形成部140が内接面を端部として形成する。内接面は、揺動の中心軸に直交する断面において揺動の中心軸を中心とする円に内接する。これにより、接触体60が開口形成物200の内周側面220にもたれる際、内接面がその内周側面220に接触することがある。内接面がその内周側面220に接触すると、開口形成物200が形成する開口240を覆う本体40に対してその開口240から離す方向の力がかかる場合、内接面が開口形成物200の内周側面220から摩擦力を受けることとなる。内接面がそのような摩擦力を受けると、接触体60の端部の位置が変動する揺動が生じようとする。そのような揺動が生じようとすると、内接面が開口形成物200の内周側面220に強く押付けられる。また、張出面が内接面から軸材接続部80のうち軸材接続部80が形成する外周面180,182の対の他方までの区間で張り出すので、揺動の中心軸から開口形成物200の内周側面220までの距離が揺動の中心軸から内接面までの距離より短い場合、接触体60が開口形成物200の内周側面220にもたれる際、内接面に代わって張出面がその内周側面220に接触することとなる。内接面に代わって張出面がその内周側面220に接触すると、内接面がその内周側面220と接触する場合に比べて、内周側面220にもたれる接触体60において内周側面220に接触する端部の位置が低くなる。この場合、その位置で内接面がその内周側面220と接触する場合に比べて、接触体60の揺動の中心軸が本体40に近くなる。接触体60の揺動の中心軸が本体40に近くなると、それが本体40から離れている場合に比べ、本体固定体42の体積が小さくなる。さらに、張出面が内接面から軸材接続部80のうち軸材接続部80が形成する外周面180,182の対の他方までの区間で張り出すと、そうでない場合に比べて、接触体60の重心は、接触端部形成部84寄りに位置することとなる。接触体60の重心が接触端部形成部84寄りに位置すると、本体40が固定され得る開口形成物200の開口240の差し渡しの方向のサイズの範囲がより広いものとなる。その結果、内周側面を備える開口形成物に固定でき、その固定が可能な開口形成物のサイズが広く、かつ、本体固定体42の体積が小さい開口固定蓋が提供される。
【0012】
もしくは、上述した内接面が、次に述べられる円弧を描く円弧曲面であることが望ましい。その円弧は、揺動の中心軸に直交する断面において揺動の中心軸を中心とする円に内接する。この場合、張出面が、次に述べられる曲面を含むことが望ましい。その曲面は、揺動の中心軸に直交する断面において円弧を描き円弧曲面に連なる。
【0013】
張出面が揺動の中心軸に直交する断面において円弧を描くと、次に述べられる箇所は、接触体60の揺動の中心から開口形成物200の内周側面220までの距離に応じて様々に異なることとなる。その箇所は、接触体60が内周側面220にもたれる際に張出面のうち接触体60の端部として内周側面220に接触する箇所である。その箇所が様々に異なるので、限られた箇所が内周側面220に接触する場合に比べ、接触体60が内周側面220にもたれる際に接触体60の端部が内周側面220に接触する位置が高くなる可能性が低くなる。その可能性が低くなるので、その位置が高くなることを想定して接触体60の揺動の中心軸を本体40から離す必要性が低くなる。その必要性が低くなるので、本体固定体42の体積を抑えることが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる開口固定蓋は、内周側面を備える開口形成物に固定でき、かつ、その固定が可能な開口形成物のサイズを広くし得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のある実施形態にかかるグレーチングが溝渠に固定されている状況を示す概念図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかるグレーチングの平面図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる本体固定体の正面図である。
【
図5】本発明のある実施形態にかかる接触体の斜視図である。
【
図6】本発明のある実施形態にかかる接触体の動作を示す第1の概念図である。
【
図7】本発明のある実施形態にかかる接触体の動作を示す第2の概念図である。
【
図8】本発明のある実施形態にかかるグレーチングにおいて溝渠の開口の差し渡しの方向のサイズの範囲が広い理由が示される概念図である。
【
図9】本発明のある実施形態にかかるグレーチングにおいて本体固定体の体積が小さい理由が示される概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
[開口固定蓋の構成]
図1は、本実施形態にかかるグレーチング30が溝渠200に固定されている状況を示す概念図である。
図2は、本実施形態にかかるグレーチング30の平面図である。
図1と
図2とに基づいて、本実施形態にかかるグレーチング30の構成が説明される。
【0018】
本実施形態にかかるグレーチング30は開口固定蓋の一種である。本実施形態にかかるグレーチング30は溝渠200に固定される。本実施形態にかかる溝渠200は内周側面220を備える。本実施形態にかかる溝渠200は所定の差し渡しの開口240を形成する。本実施形態にかかる溝渠200は開口形成物の一種である。すなわち、本実施形態にかかるグレーチング30は、これが固定され得る溝渠200の開口240の差し渡しが予め定められている。本実施形態の場合、その差し渡しの値は定数に限られない。その差し渡しの値は最大値と最小値とを有する所定の範囲に含まれるものであってもよい。本実施形態にかかるグレーチング30は、本体40と4個の本体固定体42とを備える。本体40は、溝渠200の開口240の縁に載せられる。本体40は、溝渠200の開口240を覆う。本体固定体42は、本体40を溝渠200に固定するためのものである。このため、本実施形態にかかるグレーチング30の大きさは、固定される予定の溝渠200の大きさに合わせて定められる。
【0019】
本体40は、複数のメインバー50と、複数のクロスバー52と、枠体54の対とを備えている。
【0020】
メインバー50は金属製の部材である。複数のメインバー50は、グレーチング30の長手方向に対して直交する方向に延びるように配置されている。複数のメインバー50は、互いに隙間をあけて配置されている。
【0021】
クロスバー52は金属製の部材である。本実施形態にかかるクロスバー52は、角鋼棒を捩じって形成されたものである。複数のクロスバー52は、グレーチング30の長手方向に沿って延びるように配置されている。複数のクロスバー52は、互いに隙間をあけて配置されている。各クロスバー52は、複数のメインバー50の上端部に固定されている。こうして、複数のクロスバー52が、複数のメインバー50と格子状となるように組まれている。
【0022】
枠体54は、金属製の部材である。本実施形態の場合、枠体54は周知の山形鋼から構成される。枠体54は、クロスバー52に沿うように本体40の両端に配置される。枠体54は、支持部96と、側面形成部98とを有する。支持部96は、枠体54のうち山形鋼の辺の一方からなる。支持部96が溝渠200の開口240の縁に載せられることで本体40は溝渠200の開口240を覆うこととなる。支持部96は、本体40を支持する。側面形成部98は、枠体54のうち山形鋼の辺の他方からなる。側面形成部98は、本体40のうち溝渠200の延びる方向に沿って配置されるための側面を形成する。その結果、本実施形態の場合、本体40は直方体状部分を有することとなる。上述されたように、枠体54は、クロスバー52に沿うように本体40の両端に配置される。これにより、本体40は溝渠200の延びる方向に沿って配置されるための側面を有することとなる。
【0023】
図3は、本実施形態にかかる本体固定体42の正面図である。
図3に基づいて、本実施形態にかかるグレーチング30の構成が説明される。本体固定体42が、接触体60と、軸材62と、軸支持材64の対と、連結固定体66とを有している。
【0024】
接触体60は、本体40が溝渠200の開口240を覆うとき溝渠200の内周側面220にもたれることが可能な位置に配置される。このため、枠体54には、接触体60の一部が側面形成部98から出入りするための切欠部100が形成されている。本実施形態における接触体60の具体的な構成は後述される。
【0025】
本実施形態の場合、軸材62は周知のボルトとナットとから構成される。本実施形態の場合、軸材62は、枠体54の側面形成部98が延びる方向に沿って延びるように配置される。本実施形態の場合、軸材62は、接触体60を貫通する。これにより、軸材62は、軸材62自身の中心を軸として接触体60が揺動可能となるよう、その接触体60を本体40に接続することとなる。その結果、接触体60は、本体40が溝渠200の開口240を覆うときのその溝渠200の差し渡しの方向についての端部の位置が変動する揺動が可能となる。なお、本実施形態に言う「差し渡しの方向」とは、開口形成物が形成する開口においてその開口のある縁からこれに対向する他の縁へ向かう方向またはその逆方向を言う。開口形成物が形成する開口が円状の場合、差し渡しの方向はその開口の直径方向を意味する。開口形成物が形成する開口が溝状の場合、差し渡しの方向はその縁の一方から他方へ向かう方向(
図1におけるメインバー50が延びる方向)を意味する。また、軸材62は、揺動の中心軸の本体40に対する相対位置が固定されるよう接触体60を本体40に接続する部材でもある。
【0026】
本実施形態の場合、軸支持材64は周知の山形鋼から構成される。本実施形態の場合、軸支持材64は、本体40のうち隣り合うメインバー50にまたがるように固定されている。本実施形態の場合、軸材62は、軸支持材64の対を貫通する。これにより、軸材62は本体40に接続されることとなる。
【0027】
本実施形態の場合、連結固定体66は板材から構成される。本実施形態の場合、連結固定体66は、軸支持材64の対の端同士を接続する。これにより、軸材62と接触体60とを支える構造体の強度が強化される。
【0028】
図4は、
図3のA-A矢視図である。
図5は接触体60の斜視図である。
図3乃至
図5に基づいて、本実施形態にかかる接触体60の具体的な構成が説明される。本実施形態の場合、接触体60が、軸材接続部80と、凹形成部82と、接触端部形成部84と、押下対象部86とを有している。
【0029】
軸材接続部80には貫通孔90が形成されている。この貫通孔90を軸材62が貫通する。その結果、軸材接続部80に軸材62が接続されることとなる。
軸材接続部80は外周面180,182の対を形成する。外周面180,182の対は、軸材62が接続される箇所を挟んで配置される。接触体60は、軸材62の中心を軸として
図4における時計回り方向および反時計回り方向への揺動が可能である。その結果、接触体60は、本体40が溝渠200の開口240を覆うときのその溝渠200の差し渡しの方向(
図4においてはメインバー50が延びる方向)およびこれに直交する方向(
図4においては枠体54が突出する方向)について接触体60の端部の位置が変動する揺動が可能となる。
【0030】
凹形成部82は軸材接続部80に連なる。凹形成部82は凹みを形成する。本実施形態の場合、この凹みは、接触体60の厚さ方向の全範囲にわたっている。この凹みは、接触体60の揺動の中心軸に直交する断面(
図4においてはメインバー50が延びる方向に平行な断面)において円弧を描く。この凹みの表面は、軸材接続部80の外周面
180に連なる。
【0031】
接触端部形成部84は、凹形成部82と共に軸材接続部80に連なる。接触端部形成部84は、凹形成部82の裏側にあたる位置に配置される。接触端部形成部84は、軸材接続部80から見て凹形成部82よりも遠い位置に配置される。接触端部形成部84は、本体40が溝渠200の開口240を覆うとき溝渠200の内周側面220に接触するための端部を形成する。
【0032】
押下対象部86は、軸材62から見て凹形成部82および接触端部形成部84とは反対側において軸材接続部80に連なる。押下対象部86は、本体40を貫通した図示されない部材などを介して力を受けるための部分である。
【0033】
接触端部形成部84が、内接面形成部140と、張出面形成部142とを有している。内接面形成部140は、内接面を接触体60の端部として形成する。張出面形成部142は、張出面を接触体60の端部として形成する。張出面は、内接面から軸材接続部80が形成する外周面182までの区間で張り出す面である。
【0034】
本実施形態において、内接面とは、揺動の中心軸に直交する断面において揺動の中心軸を中心とする仮想上の円に内接する面のことである。この内接面は、その仮想上の円に対して1箇所で内接する曲面であってもよいし、その仮想上の円に対して2箇所で同時に内接する平面であってもよい。本実施形態において、この内接面は円弧曲面である。その円弧曲面は、揺動の中心軸に直交する断面において揺動の中心軸を中心とする円に内接する円弧を描く。
【0035】
本実施形態における張出面は、次に述べられる曲面を含む。その曲面は、揺動の中心軸に直交する断面において円弧を描き、かつ、円弧曲面に連なる曲面である。本実施形態の場合、その曲面には、軸材62の中心軸ひいては揺動の中心軸が延びる方向に沿う複数の溝160が形成されている。
【0036】
[開口固定蓋の製造手順]
本実施形態にかかるグレーチング30は、本体40に対して本体固定体42を取り付けることにより製造される。本実施形態の場合、本体固定体42は、次に述べられる手順で本体40に取り付けられる。まず、作業者は、周知のL型鋼の対をメインバー50に溶接する。これらのL型鋼の対が軸支持材64の対となる。これらのL型鋼の対には、あらかじめ孔が形成されている。これらの孔は一直線上に並ぶように配置される。これらの孔を軸材62が貫通することとなる。次に、作業者は、周知の板材を軸支持材64の対の間に渡して溶接する。この板材が本実施形態にかかる連結固定体66となる。連結固定体66が溶接されると、作業者は、接触体60を軸支持材64の対の間に配置する。接触体60が配置されたら、作業者は、軸支持材64の孔と接触体60の貫通孔90とを周知のボルトに貫通させる。作業者はそのボルトに周知のナットをねじ込む。このボルトとナットとが本実施形態にかかる軸材62となる。同様にして、作業者は、本体40に対して他の本体固定体42を取り付ける。それらの取り付けが完了すると、本実施形態にかかるグレーチング30が完成する。
【0037】
[使用方法の説明]
図6は、本実施形態にかかる接触体60の動作を示す第1の概念図である。
図7は、本実施形態にかかる接触体60の動作を示す第2の概念図である。
図6と
図7とに基づいて、本実施形態にかかるグレーチング30の使用時における動作が説明される。
【0038】
本実施形態にかかるグレーチング30は、周知のグレーチングと同様の方法により溝渠200に嵌め込まれる。グレーチング30が溝渠200に嵌め込まれる前、接触体60の接触端部形成部84は自重により下がっている。グレーチング30が溝渠200に嵌め込まれると、
図6において二点鎖線で示されている方向を向いていた接触体60が実線で示されている方向を向くように、溝渠200の縁によって接触体60の接触端部形成部84は押し上げられる。そのまま接触体60の接触端部形成部84は溝渠200の内周側面220を滑る。枠体54の支持部96が溝渠200の開口240の縁に載せられると、本実施形態にかかるグレーチング30の嵌め込みは完了する。これにより、
図6に示されているように、接触体60は溝渠200の内周側面220にもたれることとなる。
【0039】
その後、グレーチング30に対してこれを引き抜こうとする力がかかるとする。これにより、軸材62にも同じ方向の力がかかる。一方、接触体60の接触端部形成部84は溝渠200の内周側面220に接触している。溝渠200の内周側面220に接触しているので、グレーチング30に対して上述された力がかかると接触端部形成部84と内周側面220の間で摩擦が発生する。その摩擦により接触端部形成部84のうち接触端部形成部84と接触した箇所は滑らずにその場に留まろうとする。これにより、接触体60は接触端部形成部84と接触した箇所を中心に回転しようとする。接触体60がその箇所を中心に回転すると軸材62は溝渠200の内側方向に移動しようとする。しかし軸材62はグレーチング30に固定されている。そのため軸材62は溝渠200の内側方向に移動できない。軸材62が移動できないので、接触端部形成部84が溝渠200の内周側面220に押し付けられる。接触端部形成部84が押付けられると、これと内周側面220との間の摩擦力が大きくなる。摩擦力が大きくなると接触端部形成部84は滑りにくくなる。接触端部形成部84が滑りにくくなるので、接触体60の動きが拘束される。その結果、本実施形態にかかるグレーチング30は固定されることとなる。
【0040】
本実施形態にかかるグレーチング30を取り外そうとする場合、作業者は、メインバー50とクロスバー52との隙間に任意の棒状の部材を貫通させて接触体60の押下対象部86を押し下げる。押下対象部86が押し下げられると、接触端部形成部84ははね上げられる。接触端部形成部84がはね上げられるので、接触体60が溝渠200の内周側面220から離れる。その状態のまま、作業者は本体40を引き上げる。これにより本実施形態にかかるグレーチング30は取り外される。
【0041】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかるグレーチング30は、溝渠200に嵌め込まれた際にその溝渠200へグレーチング30の本体40を強固に固定できる。本実施形態にかかるグレーチング30は、その固定が可能な溝渠200のサイズを広くし得る。
【0042】
図8は、本実施形態にかかるグレーチング30において溝渠200の開口240の差し渡しの方向のサイズの範囲が広い理由が示される概念図である。
図8に示されるように、本実施形態にかかるグレーチング30においては、凹形成部82の裏側にあたる位置に接触端部形成部84が配置される。凹形成部82は凹みを形成する。これにより、接触体60の重心260は、接触体60に凹みが形成されていない場合の重心262に比べ、接触端部形成部84寄りに位置することとなる。接触体60の重心260が接触端部形成部84寄りに位置すると、接触体60に凹みが形成されていない場合に比べ、接触体60の傾斜のうち次に述べられる要件が満たされる最大の傾斜が急傾斜となる。その要件は、接触体60の重心260が接触体60の揺動の中心軸(本実施形態の場合、揺動の中心軸は軸材62の中心に一致する)から見て内周側面220側という要件である。この要件が満たされるとき、そうでない場合に比べて、接触体60は、仮に内周側面220から離れても、再び内周側面220にもたれようとする。接触体60にそうなるような重力がかかるためである。接触体60の傾斜のうちこの要件が満たされる最大の傾斜が急傾斜になると、その最大の傾斜が急傾斜でない場合に比べ、次に述べられる最小の距離が短いものとなる。その最小の距離は、接触体60の揺動の中心から溝渠200の内周側面220までの距離のうち、接触体60が溝渠200の内周側面220から受ける摩擦力によって、接触体60の端部の位置が変動する揺動が生じ得る最小の距離である。その最小の距離が短くなると、その最小の距離が短くならない場合に比べ、本体40が固定され得る溝渠200の開口240の差し渡しの方向のサイズの範囲が広いものとなる。その結果、内周側面220を備える溝渠200に固定でき、かつ、その固定が可能な溝渠200のサイズが広いグレーチング30が提供される。
【0043】
図9は、本実施形態にかかるグレーチング30において本体固定体42の体積が小さい理由が示される概念図である。本実施形態にかかるグレーチング30の場合、張出面が内接面から軸材接続部80までの区間で張り出す。張出面が張り出すので、揺動の中心軸から溝渠200の内周側面220までの距離が短い場合、接触体60が溝渠200の内周側面220にもたれる際、内接面に代わって張出面がその内周側面220に接触することとなる。内接面に代わって張出面がその内周側面220に接触すると、次に述べられる場合に比べて、接触体60の揺動の中心軸が本体40に近くなる。その場合とは、張出面が内接面から軸材接続部80までの区間で張り出していない場合である。
図9には、内接面から軸材接続部80までの区間に張出面が形成されていない接触体280の例が二点鎖線で示されている。接触体60の揺動の中心軸が本体40に近いのは、内周側面220にもたれる接触体60における内周側面220に接触する端部と揺動の中心軸との高低差が小さくなるためである。接触体60の揺動の中心軸が本体40に近くなるので、それが本体40から離れている場合に比べ、本体固定体42特に軸支持材64の体積が小さくされ得る。その結果、本体固定体42の体積が小さいグレーチング30が提供される。
【0044】
[変形例の説明]
上述したグレーチング30は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。各部材の形状、構造、配置などをこれらの実施形態のものに限定するものではない。各部材の形状、構造、配置は、種々の変更を加え得るものである。
【0045】
例えば、接触端部形成部84の構成は上述したものに限定されない。すなわち、接触端部形成部84は次に述べられる単一の曲面を形成するものであってもよい。その曲面は、次に述べられる円弧を描くものである。その円弧は、揺動の中心軸に直交する断面において揺動の中心軸を中心とする仮想上の円とその仮想上の円との接点と揺動の中心軸とを結ぶ線上に中心がある他の仮想上の円とに内接するものである。また、本体40の具体的な構成は上述したものに限定されない。
【符号の説明】
【0046】
30…グレーチング
40…本体
42…本体固定体
50…メインバー
52…クロスバー
54…枠体
60,280…接触体
62…軸材
64…軸支持材
66…連結固定体
80…軸材接続部
84…接触端部形成部
86…押下対象部
90…貫通孔
96…支持部
98…側面形成部
100…切欠部
140…内接面形成部
142…張出面形成部
200…溝渠
220…内周側面
240…開口
260,262…重心