IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 愛知時計電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサチップ 図1
  • 特許-センサチップ 図2
  • 特許-センサチップ 図3
  • 特許-センサチップ 図4
  • 特許-センサチップ 図5
  • 特許-センサチップ 図6
  • 特許-センサチップ 図7
  • 特許-センサチップ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】センサチップ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20231023BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G01L9/00 303D
G01L9/00 303M
H01L29/84 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019200117
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021071452
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 将志
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-038731(JP,A)
【文献】特開2005-227283(JP,A)
【文献】特開2009-265012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力検出用のセンサチップであって、
圧力が作用する薄肉なダイヤフラム部と、
前記ダイヤフラム部に配置されているピエゾ抵抗部と、
前記ダイヤフラム部の外周端部に固定されている支持部であって、前記ダイヤフラム部よりも厚肉な前記支持部と、
一端部が前記ピエゾ抵抗部に接続されている配線と、を備えており、
前記支持部は、
前記ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視たときに前記ダイヤフラム部の前記外周端部に沿って並んで配置されている複数の溝部であって、前記ダイヤフラム部の前記外周端部に沿って延びている複数の前記溝部と、
前記ダイヤフラム部の前記外周端部に沿って隣り合っている前記溝部と前記溝部の間に位置している通路部と、を備えており、
前記通路部は、前記ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視たときに、第1方向に延びている第1部分と、前記第1部分から屈曲して前記第1方向と異なる第2方向に延びている第2部分と、を備えており、
前記配線は、前記通路部を通過しており、前記通路部の前記第1部分に配置されている第1配線部と、前記第1配線部から屈曲して前記通路部の前記第2部分に配置されている第2配線部と、を備えている、センサチップ。
【請求項2】
前記支持部における前記溝部よりも外側の部分に配置されている電極パッドであって、前記配線の他端部が接続されている前記電極パッドを更に備えている、請求項に記載のセンサチップ。
【請求項3】
前記第1部分は、その延長線が前記ダイヤフラム部の中心部を通過せずに前記ダイヤフラム部の中心部から外れた位置を通過するように延びている、請求項1又は2に記載のセンサチップ。
【請求項4】
前記通路部は、前記ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視たときに、前記ダイヤフラム部の中心部と前記ピエゾ抵抗部とを結んだ直線が前記通路部を通過せずに前記通路部から外れた位置を通過するように構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載のセンサチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、センサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に圧力検出用のセンサチップが開示されている。特許文献1のセンサチップは、圧力が作用する薄肉なダイヤフラム部と、ダイヤフラム部に配置されているピエゾ抵抗部と、ダイヤフラム部の外周端部に固定されている支持部であって、ダイヤフラム部よりも厚肉な支持部とを備えている。また、特許文献1のセンサチップは、ピエゾ抵抗部の周りに形成されている溝部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-30159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のセンサチップとは異なる位置に溝部が形成されることがある。例えば、ダイヤフラム部の周りの支持部で生じる応力がダイヤフラム部に影響することを抑制するために、ダイヤフラム部の周りに溝部が形成されることがある。この構成では、ダイヤフラム部の周りに形成される溝部の存在によって、ダイヤフラム部に配置されているピエゾ抵抗部と外部の電極パッドとを接続するための配線を配置することが難しくなる。そのため、ピエゾ抵抗部から電気信号を取得することが難しくなる。
【0005】
本明細書は、ダイヤフラム部の周りに溝部が形成されている構成において、ダイヤフラム部に配置されているピエゾ抵抗部から電気信号を取得するための配線を容易に配置することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示するセンサチップは、圧力検出用のセンサチップである。センサチップは、圧力が作用する薄肉なダイヤフラム部と、前記ダイヤフラム部に配置されているピエゾ抵抗部と、前記ダイヤフラム部の外周端部に固定されている支持部であって、前記ダイヤフラム部よりも厚肉な前記支持部と、を備えていてもよい。前記支持部は、前記ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視たときに前記ダイヤフラム部の前記外周端部に沿って並んで配置されている複数の溝部であって、前記ダイヤフラム部の前記外周端部に沿って延びている複数の前記溝部を備えていてもよい。前記支持部は、前記ダイヤフラム部の前記外周端部に沿って隣り合っている前記溝部と前記溝部の間に位置している通路部を備えていてもよい。
【0007】
この構成によれば、溝部と溝部の間の通路部に配線を配置することができる。通路部に配置される配線によって、ダイヤフラム部に配置されているピエゾ抵抗部と例えば外部の電極パッドとを接続することができ、ピエゾ抵抗部から電気信号を取得することができる。上記の構成によれば、ダイヤフラム部の周りに溝部が形成されている構成において、通路部を備えていることによって、ダイヤフラム部に配置されているピエゾ抵抗部から電気信号を取得するための配線を容易に配置することができる。
【0008】
上記のセンサチップは、前記通路部を通過している配線であって、その一端部が前記ピエゾ抵抗部に接続されている前記配線を更に備えていてもよい。この構成によれば、ピエゾ抵抗部から電気信号を取得することができる。
【0009】
上記のセンサチップは、前記支持部における前記溝部よりも外側の部分に配置されている電極パッドであって、前記配線の他端部が接続されている前記電極パッドを更に備えていてもよい。この構成によれば、支持部に配置されている電極パッドを介してピエゾ抵抗部から電気信号を取得することができる。
【0010】
前記通路部は、前記ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視たときに、第1方向に延びている第1部分を備えていてもよい。前記第1部分は、その延長線が前記ダイヤフラム部の中心部を通過せずに前記ダイヤフラム部の中心部から外れた位置を通過するように延びていてもよい。この構成によれば、支持部に生じる応力が支持部から通路部を介してダイヤフラム部に伝わることを抑制することができる。
【0011】
前記通路部は、前記ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視たときに、前記第1方向と異なる第2方向に延びている第2部分を更に備えていてもよい。この構成によれば、支持部に生じる応力が支持部から通路部を介してダイヤフラム部に伝わることを抑制することができる。
【0012】
前記通路部は、前記ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視たときに、前記ダイヤフラム部の中心部と前記ピエゾ抵抗部とを結んだ直線が前記通路部を通過せずに前記通路部から外れた位置を通過するように構成されていいてもよい。この構成によれば、支持部に生じる応力が支持部から通路部を介してピエゾ抵抗部に伝わることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例に係るセンサチップの上面図である(ダイヤフラム部の上面と直交する方向に視た図である。)。
図2】実施例に係るセンサチップの断面図である(図1のII-II断面図である)。
図3図1の部分IIIの拡大図である。
図4】他の実施例に係るセンサチップの図3に対応する図である。
図5】他の実施例に係るセンサチップの断面図である。
図6】他の実施例に係るセンサチップの断面図である。
図7】他の実施例に係るセンサチップの断面図である。
図8】他の実施例に係るセンサチップの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例に係るセンサチップ1について図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、実施例に係るセンサチップ1は、ダイヤフラム部10と、複数(本実施例では4個)のピエゾ抵抗部20と、支持部30とを備えている。また、センサチップ1は、複数(本実施例では4個)の溝部40と、複数(本実施例では4個)の通路部60とを備えている。更に、センサチップ1は、複数(本実施例では4個)の電極パッド50と、複数(本実施例では4個)の配線52とを備えている。
【0015】
図1及び図2に示すセンサチップ1は、例えば、半導体であるSi基板から作製されている。センサチップ1は、例えば、基板200に固定されている。センサチップ1は、流体(液体及び/又は気体)の圧力を検出するために用いられる。圧力検出の対象である流体は、例えば水である。
【0016】
センサチップ1のダイヤフラム部10は、半導体(例えば、Si)からなる薄肉の膜状の構成である。ダイヤフラム部10は、センサチップ1の上面に沿う方向においてセンサチップ1の中央部に形成されている。ダイヤフラム部10は、例えば、Si基板をエッチングすることによって形成される。ダイヤフラム部10は、流体の圧力を受圧する受圧面14を備えている。流体の圧力が受圧面14に作用する。受圧面14は、ダイヤフラム部10の上面に形成されている。他の例では、受圧面14がダイヤフラム部10の下面に形成されていてもよい。ダイヤフラム部10は、受圧面14が流体の圧力を受圧すると下側に撓むように変形する。受圧面14は、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂からなる絶縁性の保護膜(不図示)で被覆されていてもよい。ダイヤフラム部10は、受圧面14と直交する方向から視たときに円形状に形成されている(図1参照)。他の実施例では、ダイヤフラム部10は四角形状に形成されていてもよい。ダイヤフラム部10の形状は限定されるものではない。
【0017】
複数のピエゾ抵抗部20は、ダイヤフラム部10の上部に配置されている。複数のピエゾ抵抗部20は、互いに間隔をあけて配置されている。各ピエゾ抵抗部20は、例えば、ダイヤフラム部10を構成する半導体(例えば、Si)にイオン注入をすることによって形成される。各ピエゾ抵抗部20は、流体の圧力によってダイヤフラム部10が変形したときに、それに応じて歪む。各ピエゾ抵抗部20に歪みが生じると、各ピエゾ抵抗部20の抵抗値が変化する。
【0018】
複数のピエゾ抵抗部20は、ダイヤフラム部10の応力を検出するためのブリッジ回路(不図示)の一部を構成している。各ピエゾ抵抗部20は、ブリッジ回路における各抵抗要素に相当する。各ピエゾ抵抗部20には、ブリッジ回路の配線が接続されている。ブリッジ回路に基づいてダイヤフラム部10の応力を検出することによって、ダイヤフラム部10の受圧面14に作用する流体の圧力を検出することができる。ブリッジ回路に基づいて応力を検出する方法についてはよく知られているので詳細な説明を省略する。
【0019】
センサチップ1の支持部30は、ダイヤフラム部10の周りに配置されている。支持部30よりも内側にダイヤフラム部10が配置されている。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12に固定されている。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12を支持している。支持部30は、半導体(例えば、Si)から形成されている。支持部30は、ダイヤフラム部10と一体的に形成されている。支持部30は、ダイヤフラム部10よりも厚肉の構成である。上下方向における支持部30の厚みは、ダイヤフラム部10の厚みよりも厚い。支持部30は、厚いブロック状の構成である。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12の全周を囲んでいる。支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12に沿って連続して一周している。
【0020】
支持部30は、基板200に固定される固定面32を備えている。固定面32は、支持部30の下面に設けられている。固定面32は、ダイヤフラム部10の受圧面14と反対側(下側)を向いている。固定面32は、受圧面14よりも下側に位置している。固定面32は、基板200の上面に接着剤90によって接着されている。接着剤90は、例えばシリコーンである。固定面32は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、後述する溝部40よりも外側に位置している。基板200に固定されるセンサチップ1では、基板200に固定される支持部30の固定面32に応力が生じることがある。例えば、支持部30の熱膨張率と基板200の熱膨張率との差に起因して固定面32に熱応力が生じることがある。
【0021】
支持部30には複数の溝部40が形成されている。図1に示すように、複数の溝部40は、ダイヤフラム部10の外周端部12の周りに形成されている。複数の溝部40は、ダイヤフラム部10の外周端部12を囲むように形成されている。複数の溝部40は、ダイヤフラム部10の外周端部12に沿って並んで配置されている。複数の溝部40は、間隔をあけて配置されている。複数の溝部40は、ダイヤフラム部10の外周端部12に沿って延びている。複数の溝部40の幅は、同じであっても異なっていてもよい。複数の溝部40の長さは、同じであっても異なっていてもよい。
【0022】
図2に示すように、各溝部40は、支持部30の上面31から下方に延びている。各溝部40は、支持部30の厚み方向(Z方向)に延びている。各溝部40は、支持部30の上面31で開口している。各溝部40は、例えば、Si基板をエッチングすることによって形成される。各溝部40の底面42は、ダイヤフラム部10の下面よりも下側に位置している。各溝部40は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、支持部30の固定面32よりも内側に形成されている。
【0023】
図1に示すように、支持部30には複数の通路部60が形成されている。各通路部60は、ダイヤフラム部10の外周端部12に沿って隣り合って並んでいる溝部40と溝部40の間に位置している。各通路部60は、ダイヤフラム部10の周方向において溝部40と溝部40に挟まれている。各通路部60は、支持部30における溝部40よりも内側(ダイヤフラム部10側)の部分と、溝部40よりも外側(ダイヤフラム部10と反対側)の部分とを繋いでいる。各通路部60は、溝部40の幅方向の一端部から他端部まで延びている。各通路部60は、ダイヤフラム部10の中心部Cとピエゾ抵抗部20とを結んだ直線Mが各通路部60を通過せずに各通路部60から外れた位置を通過するように配置されている。なお、図1では、代表として、上下のピエゾ抵抗部20、20とダイヤフラム部10の中心部Cとを結んだ直線Mが示されているが、左右のピエゾ抵抗部20、20とダイヤフラム部10の中心部Cとを結んだ直線(不図示)についても同様である。
【0024】
次に、複数の通路部60のうちの1つの通路部60aに着目して説明する。図3図1の部分IIIの拡大図である。図3に示すように、通路部60aは、その途中で屈曲している。通路部60aは、第1部分61と第2部分62を備えている。第1部分61と第2部分62は、異なる方向に延びている。第1部分61は第1方向(図3の紙面左右方向)に延びており、第2部分62は第1方向と異なる第2方向(図3の紙面上下方向)に延びている。第1部分61は、その延長線L1がダイヤフラム部10の中心部Cを通過せずに、延長線L1がダイヤフラム部10の中心部Cから外れた位置を通過するように延びている(図1参照)。第2部分62も、その延長線L2がダイヤフラム部10の中心部Cを通過せずに、延長線L2がダイヤフラム部10の中心部Cから外れた位置を通過するように延びている(図1参照)。通路部60aの幅w60は、溝部40の幅w40よりも狭い。例えば、通路部60aの幅w60は、溝部40の幅w40の1/2以下である。
【0025】
図1に示すように、支持部30の上面31には複数の電極パッド50が配置されている。複数の電極パッド50は、支持部30における溝部40よりも外側(ダイヤフラム部10と反対側)の部分に配置されている。複数の電極パッド50とダイヤフラム部10の間に溝部40が形成されている。各電極パッド50は、例えば銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の金属から構成されている。各電極パッド50は膜状に形成されている。各電極パッド50には各配線52が接続されている。
【0026】
複数の配線52は、支持部30の上面31及びダイヤフラム部10の上面(受圧面14)に配置されている。各配線52の外側の端部522は、支持部30に配置されている各電極パッド50に接続されている。各配線52の内側の端部521は、ダイヤフラム部10に配置されている各ピエゾ抵抗部20に接続されている。各電極パッド50と各ピエゾ抵抗部20とが、各配線52を介して電気的に接続される。各電極パッド50から各配線52を通じて各ピエゾ抵抗部20に電流が流れる。各配線52は、その途中で複数回屈曲している。図3に示すように、各配線52は、各通路部60を通過している。各配線52は、各通路部60の上面に配置されている。
【0027】
上記のセンサチップ1では、流体の圧力がダイヤフラム部10の受圧面14に作用すると、ダイヤフラム部10が下側に撓むように変形する。ダイヤフラム部10が変形すると、ダイヤフラム部10に配置されている複数のピエゾ抵抗部20に歪みが生じる。各ピエゾ抵抗部20に歪みが生じると、各ピエゾ抵抗部20の抵抗値が変化する。複数のピエゾ抵抗部20の抵抗値を利用して、ブリッジ回路に基づいてダイヤフラム部10の応力が検出される。各ピエゾ抵抗部20に接続されている各配線52を通じて各ピエゾ抵抗部20から電気信号を取得することによって、ダイヤフラム部10の応力を検出することができる。
【0028】
以上、実施例に係るセンサチップ1について説明した。上記の説明から明らかなように、上記のセンサチップ1では、支持部30が、ダイヤフラム部10の上面(受圧面14)と直交する方向(Z方向)に視たときにダイヤフラム部10の外周端部12に沿って並んで配置されている複数の溝部40を備えている。複数の溝部40はダイヤフラム部10の外周端部12に沿って延びている。また、支持部30は、ダイヤフラム部10の外周端部12に沿って隣り合っている溝部40と溝部40の間に位置している通路部60を備えている。上記のセンサチップ1は、通路部60を通過している配線52を備えている。配線52の内側の端部521がピエゾ抵抗部20に接続されている。
【0029】
この構成によれば、ダイヤフラム部10の周りに溝部40が形成されている構成において、通路部60を備えていることによって、ダイヤフラム部10に配置されているピエゾ抵抗部20から電気信号を取得するための配線52を容易に配置することができる。配線52を通じてピエゾ抵抗部20から電気信号を取得することができる。
【0030】
上記のセンサチップ1は、支持部30における溝部40よりも外側の部分に配置されている電極パッド50を備えている。配線52の外側の端部522が電極パッド50に接続されている。この構成によれば、支持部30に配置されている電極パッド50を介してピエゾ抵抗部20から電気信号を取得することができる。
【0031】
上記の通路部60は、第1方向に延びている第1部分61を備えている。第1部分61は、その延長線L1がダイヤフラム部10の中心部Cを通過せずに中心部Cから外れた位置を通過するように延びている。この構成によれば、例えば、支持部30の熱膨張率と基板200の熱膨張率との差に起因して支持部30に熱応力が生じることがあったとしても、その応力が通路部60を介してダイヤフラム部10に伝わることを抑制することができる。
【0032】
上記の通路部60は、第1方向と異なる第2方向に延びている第2部分62を備えている。即ち、通路部60が屈曲している。この構成によれば、屈曲部分がバネのように機能するので、支持部30に生じる応力が通路部60を介してダイヤフラム部10に伝わることを抑制することができる。
【0033】
上記の通路部60は、ダイヤフラム部10の中心部Cとピエゾ抵抗部20とを結んだ直線Mが通路部60を通過せずに通路部60から外れた位置を通過するように構成されている。この構成によれば、支持部30に生じる応力が通路部60を介してピエゾ抵抗部20に伝わることを抑制することができる。
【0034】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
(1)他の実施例では、図4に示すように、通路部60が複数回屈曲していてもよい。
【0036】
(2)他の実施例では、図5に示すように、センサチップ1が絶縁膜160を備えていてもよい。絶縁膜160は、例えばSiO膜である。絶縁膜160は、ダイヤフラム部10の下に配置されている。絶縁膜160は、ダイヤフラム部10の下面の全体を覆っている。絶縁膜160は、ダイヤフラム部10の下面に沿う方向に延びている。絶縁膜160は、ダイヤフラム部10の下面に沿う方向においてダイヤフラム部10の外周端部12よりも外側まで延びている。更に、絶縁膜160は、ダイヤフラム部10から支持部30にわたって延びている。絶縁膜160は、支持部30の内部に配置されている。
【0037】
(3)また、図5に示すように、センサチップ1が第2溝部150を備えていてもよい。第2溝部150は、支持部30に形成されている。第2溝部150は、支持部30の下面から上方に延びている。第2溝部150は、支持部30の厚み方向(Z方向)に延びている。第2溝部150は、支持部30の下面で開口している。第2溝部150は、例えば、Si基板をエッチングすることによって形成される。第2溝部150の底面152は、ダイヤフラム部10の下面よりも下側に位置している。第2溝部150の底面152は、溝部40の底面42よりも上側に位置している。第2溝部150は、溝部40の周りに形成されている。第2溝部150は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、溝部40よりも外側に形成されている。第2溝部150は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、支持部30の固定面32よりも内側に形成されている。第2溝部150は、支持部30の厚み方向と直交する方向において溝部40と重なる重複部153を備えている。支持部30の厚み方向と直交する方向に支持部30を視たときに、溝部40と第2溝部150とが重なる部分が存在する。重複部153は、第2溝部150の上部に形成されている。重複部153は、溝部40の下部と重なる。第2溝部150の上部と溝部40の下部とがオーバーラップしている。
【0038】
(4)また、他の実施例では、図6に示すように、固定面32が、センサチップ1の上面に設けられていてもよい。固定面32は、ダイヤフラム部10の受圧面14側(上側)を向いている。固定面32は、基板200の下面に接着剤90によって接着されている。固定面32は、支持部30の厚み方向(Z方向)と直交する方向において、溝部40よりも外側に位置している。
【0039】
(5)上記の実施例では、センサチップ1の支持部30が基板200に固定されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、図7に示すように、センサチップ1の支持部30がガラス部材130に固定されていてもよい。支持部30は、接着剤を介さずにガラス部材130に固定されていてもよい。ガラス部材130は、支持部30の下面に固定されている。ガラス部材130は、支持部30を支持している。ガラス部材130は、開口部132を備えている。ガラス部材130は、その開口部132がダイヤフラム部10と向かい合うように配置されている。他の例では、ガラス部材130が開口部132を備えていなくてもよい。ガラス部材130は、基板200に固定されている。
【0040】
(6)上記の実施例では、センサチップ1の支持部30が基板200に固定されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、センサチップ1の支持部30が管又は容器に固定されていてもよい(不図示)。更に、センサチップ1の支持部30が管又は容器の内面に固定されていてもよい。この場合は、センサチップ1が管又は容器の内部に配置される。この構成によれば、容器又は管の内部の流体の圧力がセンサチップ1に作用したときに、センサチップ1が容器又は管の内面に押し付けられるので、センサチップ1を容器又は管に強固に固定することができる。
【0041】
(7)上記の実施例では、センサチップ1が接着剤90によって基板200に固定されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、接着剤90に代えて、はんだや低融点ガラスが用いられてもよい。
【0042】
(8)他の実施例では、図8に示すように、センサチップ1が、複数(本実施例では4個)の外側溝部240と、複数(本実施例では4個)の外側通路部260とを更に備えていてもよい。複数の外側溝部240は、複数の溝部40を囲んでいる。各外側溝部240は、各溝部40よりも外側に配置されている。外側溝部240の構成は、溝部40の構成と同様である。よって、外側溝部240の構成については詳細な説明を省略する。センサチップ1の支持部30には、内側から外側に向かう方向において複数の溝部が並んで形成されていてもよい。
【0043】
複数の外側通路部260は、複数の通路部60を囲んでいる。各外側通路部260は、各通路部60よりも外側に配置されている。各配線52が各外側通路部260を通過している。各外側通路部260は、ダイヤフラム部10の中心部Cとピエゾ抵抗部20とを結んだ直線Mが各外側通路部260を通過せずに各外側通路部260から外れた位置を通過するように配置されている。外側通路部260の構成は、通路部60の構成と同様である。よって、外側通路部260の構成については詳細な説明を省略する。センサチップ1の支持部30には、内側から外側に向かう方向において複数の通路部が並んで配置されていてもよい。また、外側通路部260は、ダイヤフラム部10の中心部Cと内側の通路部60とを結んだ直線Zが外側通路部260を通過せずに外側通路部260から外れた位置を通過するように配置されている。この構成によれば、外力の影響がピエゾ抵抗部20に及ぶことを抑制することができる。なお、図8では、代表として、右斜め上の通路部60とダイヤフラム部10の中心部Cとを結んだ直線Zが示されているが、他の通路部60とダイヤフラム部10の中心部Cとを結んだ直線(不図示)についても同様である。
【0044】
(9)他の実施例では、複数の電極パッド50の外側に溝部(不図示)が更に形成されていてもよい。当該溝部は、複数の電極パッド50を囲んでいてもよい。当該溝部は、複数の電極パッド50の周りを一周していてもよい。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
1:センサチップ、10:ダイヤフラム部、12:外周端部、14:受圧面、20:ピエゾ抵抗部、30:支持部、31:上面、32:固定面、40:溝部、50:電極パッド、52:配線、60:通路部、61:第1部分、62:第2部分、200:基板、521:端部、522:端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8