IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミネベア株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】振動アクチュエータ及び振動呈示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20231023BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20231023BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G06F3/041 480
B06B1/04 Z
G06F3/01 560
G06F3/041 600
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019207380
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021081876
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】石谷 智也
(72)【発明者】
【氏名】沼宮内 貴之
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0239432(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0246571(US,A1)
【文献】特開2018-187596(JP,A)
【文献】特開2019-087135(JP,A)
【文献】特開2019-028624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
B06B 1/04
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作に応じて振動を呈示する振動呈示部に振動を付与する振動アクチュエータであって、
固定体と、
可動体と、
前記固定体に対して、前記可動体を移動可能に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記可動体は、前記可動体の長手方向に延在し、前記長手方向において互いに離間する支持部側固定部と呈示部側固定部とが設けられた板バネ材を有し、前記支持部側固定部で前記弾性支持部に固定され、前記呈示部側固定部で前記振動呈示部に固定され、
前記板バネ材は、前記支持部側固定部と前記呈示部側固定部との間が、前記振動呈示部への押圧操作に応じて歪む起歪体であり、前記起歪体の歪みを検出する歪み検出部設けられ、
前記可動体は、前記起歪体の歪みに応じて電磁駆動により振動する、
ことを特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項2】
前記歪み検出部及び前記起歪体は、前記可動体とは別体に構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項3】
前記振動呈示部は、押圧操作される操作面を有し、
前記可動体は、前記操作面の面直方向に振動する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の振動アクチュエータ。
【請求項4】
前記可動体は、前記呈示部側固定部を複数有し、
複数の前記呈示部側固定部に対応して前記起歪体は複数設けられ、
複数の前記起歪体は、一体のバネ板材により形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の振動アクチュエータ。
【請求項5】
前記歪み検出部が、複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の振動アクチュエータ。
【請求項6】
複数の前記歪み検出部は、フルブリッジ結線の歪み検出センサであり、互いに並列結線されている、
ことを特徴とする請求項に記載の振動アクチュエータ。
【請求項7】
前記支持部側固定部の前記振動呈示部に対する移動を規制する移動規制部を有する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の振動アクチュエータ。
【請求項8】
前記可動体は、平板状の本体部と、前記本体部の四隅からそれぞれ延在する前記板バネ材としての腕部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータ。
【請求項9】
複数の前記起歪体上の位置に配置された複数の前記歪み検出部を実装する1枚のフレキシブルプリント基板が、前記一体の板バネ材の上面に設けられている、
請求項4に記載の振動アクチュエータ。
【請求項10】
前記振動呈示部としてのタッチパネルと、
前記タッチパネルに振動を付与する請求項1からのいずれか一項に記載の振動アクチュエータと、を実装した、
ことを特徴とする振動呈示装置。
【請求項11】
前記タッチパネルは、
前記タッチパネルを押圧操作する押圧物との間の静電容量に検知して前記押圧物の位置を検出する位置検出部を有し、
前記可動体は、前記押圧物の位置と、前記起歪体の歪みに基づいて前記タッチパネルに振動を付与する、
ことを特徴とする請求項10に振動呈示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧操作に応じて振動を付与する振動アクチュエータ及びこれを備える振動呈示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感知パネルであるタッチパネルの操作の際に、タッチパネルに表示された表示画面に接触した操作者の指腹等に対し、接触操作感(接触して操作する感覚)として、振動アクチュエータにより振動を付与する構成が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、タッチパネルの裏面に、振動伝達部を介して振動アクチュエータが取り付けられた携帯端末装置が開示されている。この振動アクチュエータは、振動伝達部に固定されるハウジング内に、可動子が、タッチパネルに対して垂直に配置されたガイドシャフトに沿って往復移動可能に配置されている。この振動アクチュエータでは、タッチパネルへの操作に対応して可動子をハウジングに衝突させることで、振動伝達部を介してタッチパネルに接触する指腹に振動を付与する。
【0004】
また、特許文献2では、タッチパネルへの操作に対応して振動を付与する振動呈示装置が開示されている。この振動呈示装置では、振動を呈示する振動部である振動パネルと、振動パネルを支持する筐体との間に、振動を発生させるボイスコイルモータと、振動パネルと配置されて所定の力で圧縮される支持部と、振動部の振動に制動作用を付与するダンパと、支持部及びダンパに圧縮力を付与するばねと、が並行して介設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-070729号公報
【文献】特開2016-163854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような振動呈示装置においては、操作機器の用途や使用状況に応じた接触操作感となる振動を表現することが望まれている。
例えば、タッチパネルへの押圧操作の際の押圧量に対応して振動を付与する場合、タッチパネルへの実際の操作に対応して変化する部位に起歪体を設け、起歪体における歪みを検出し、その検出量に応じて振動を付与する構成が考えられる。この場合、起歪体は、変位量が大きい部位に配置されることが望ましいものの、変位量が大きい部位では、その部位の変位に応じて起歪体も変位することになり、起歪体の疲労耐久性の確保が困難である。加えて、変位が大きい部位の変位を阻害しないような起歪体の取付スペースを確保する必要があり、起歪体を取り付ける部位の厚みが厚くなるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、押圧操作による様々な接触操作感に応じた振動を安定して確実に表現でき信頼性が高く、コンパクト化を図ることができる振動アクチュエータ及び振動呈示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動アクチュエータは、
押圧操作に応じて振動を呈示する振動呈示部に振動を付与する振動アクチュエータであって、
固定体と、
可動体と、
前記固定体に対して、前記可動体を移動可能に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記可動体は、前記可動体の長手方向に延在し、前記長手方向において互いに離間する支持部側固定部と呈示部側固定部とが設けられた板バネ材を有し、前記支持部側固定部で前記弾性支持部に固定され、前記呈示部側固定部で前記振動呈示部に固定され、
前記板バネ材は、前記支持部側固定部と前記呈示部側固定部との間が、前記振動呈示部への押圧操作に応じて歪む起歪体であり、前記起歪体の歪みを検出する歪み検出部設けられ、
前記可動体は、前記起歪体の歪みに応じて電磁駆動により振動する構成を採る。
【0009】
本発明の振動呈示装置は、
前記振動呈示部としてのタッチパネルと、
前記タッチパネルに振動を付与する上記構成の振動アクチュエータと、を実装した構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、押圧操作による様々な接触操作感に応じた振動を安定して確実に表現でき信頼性が高く、コンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る振動アクチュエータを有する振動呈示装置の平面図である。
図2】同振動呈示装置の背面側斜視図である。
図3図1における振動呈示装置のストッパを示す拡大平面図である。
図4】振動アクチュエータの正面側斜視図である。
図5】同振動アクチュエータの背面側斜視図である。
図6】同振動アクチュエータの正面図である。
図7】同振動アクチュエータの正面側分解斜視図である。
図8】同振動アクチュエータの背面側分解斜視図である。
図9】同振動アクチュエータにおけるアクチュエータ本体の正面側斜視図である。
図10】同アクチュエータ本体の背面側斜視図である。
図11図9のB-B線矢視断面図である。
図12】同アクチュエータ本体の分解斜視図である。
図13】同アクチュエータ本体の磁気回路構成を示す図である。
図14】同アクチュエータ本体の動作の説明に供する図である。
図15】同アクチュエータ本体の制御部の説明に供する図である。
図16】歪み検出体の配線を示す図である。
図17】本発明の実施の形態1に係る振動アクチュエータを有する振動呈示装置の動作の説明に供する図である。
図18】本発明の実施の形態2に係る振動アクチュエータを有する振動呈示装置の背面側斜視図である。
図19】同振動呈示装置の平面図である。
図20】同振動呈示装置における振動アクチュエータのストッパを示す拡大図である。
図21】同振動アクチュエータの正面側外観斜視図である。
図22】同振動アクチュエータの背面側外観斜視図である。
図23】同振動アクチュエータの分解斜視図である。
図24】起歪体の背面側斜視図である。
図25】ベース部の背面側斜視図である。
図26】本発明の実施の形態3に係る振動アクチュエータの正面側斜視図である。
図27】同振動アクチュエータの背面側斜視図である。
図28】同振動アクチュエータの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。以下において、振動アクチュエータ10を有する振動呈示装置200の幅、高さ、奥行きは、それぞれ、X方向、Y方向、Z方向の長さであり、振動アクチュエータ10の幅、高さ、奥行きもそれぞれ対応して、X方向、Y方向、Z方向の長さとする。また、Z方向プラス側は、操作者に振動フィードバックを付与する方向であり、「正面側」とし、Z方向マイナス側は、操作者が操作する際に押圧する方向であり、「背面側」として説明する。
【0014】
(振動アクチュエータ10を有する振動呈示装置200の基本構成)
図1及び図2に示す振動呈示装置200は、振動アクチュエータ10、及び、操作者が接触操作する振動呈示部としての操作機器(本実施の形態ではタッチパネル2)を有する。振動呈示装置200では、操作者の操作機器への接触操作に対応して、操作機器に振動を付与する。つまり、操作機器を介して、操作機器を接触して操作する操作者に接触操作感(「触感」「力覚」ともいう)を付与する。
【0015】
本実施の形態では、操作機器は、画面を表示し、画面に接触することにより操作されるタッチパネル2としている。タッチパネル2は、静電式、抵抗膜式、又は光学式等のタッチパネルである。なお、タッチパネル2は、操作者の接触位置を検知し、制御部1(図2参照)により制御される。本実施の形態では、タッチパネル2は、静電式のタッチパネルである。制御部1は、図示しないタッチパネル制御部を介してユーザのタッチ位置の情報を得ることができる。また、タッチパネル2の画面2aは、液晶方式、有機EL方式、電子ペーパー方式、プラズマ方式などの表示部により構成される。タッチパネル2は、タッチパネル制御部により制御されてもよい。タッチパネル制御部は、図示しない表示情報を制御して画面に、提示振動の種類に対応した画像を操作者に呈示する。
【0016】
振動呈示装置200は、例えば、電子機器として、カーナビゲーションシステムのタッチパネル装置として用いられる。振動呈示装置200は、タッチパネル2の画面2aに接触して操作する操作者に振動を呈示する装置として機能する。このとき、振動呈示装置200としては、振動対象に接触する操作者に対して振動を提示することにより操作者に触感を付与する電子機器であれば、どのようなものでもよい。例えば、振動呈示装置200は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、テレビ等の画像表示装置、タッチパネル付きゲーム機或いはタッチパネル付きゲームコントローラ等であってもよい。
【0017】
振動呈示装置200は、具体的には、タッチパネル2の画面2aに操作者の指腹等の押圧物が接触されて操作される際に、これに対応して振動アクチュエータ10が駆動して振動する。この振動により、操作者には触感が付与される。
【0018】
本実施の形態の振動アクチュエータ10は、操作者が操作する表示画像に対応して様々な種類の触感を付与する。振動アクチュエータ10は、例えば、接触して操作される対象となる画像に対応して、タクタイルスイッチ、オルタネイト型スイッチ、モーメンタリスイッチ、トグルスイッチ、スライドスイッチ、ロータリースイッチ、DIPスイッチ、ロッカースイッチ等の機械式スイッチとしての触感を付与する。また、プッシュ式のスイッチにおいては、押し込み度合いが異なるスイッチの触感も付与できる。
【0019】
なお、振動呈示装置200では、操作機器としてのタッチパネル2に変えて、表示機能がなく、単に操作者が触れて操作可能な操作機器としてもよい。
【0020】
図1から図3に示す振動呈示装置200では、振動アクチュエータ10は、タッチパネル2と、タッチパネル2の裏面側に配置される基台部(図示省略)との間に配置される。振動アクチュエータ10は、固定体30で基台部(図示省略)に固定されている。
【0021】
タッチパネル2は、裏面側で、振動アクチュエータ10において、アクチュエータ本体Aの可動体40(図2参照)に設けられる荷重検出モジュールKの起歪部材9に固定されている。このように、振動アクチュエータ10は、タッチパネル2と基台部(図示省略)のそれぞれの間で、互いを接続するように配置されている。
【0022】
タッチパネル2自体は、可動体40と一体に駆動可能である。操作者の指等でタッチパネル2の画面2aに接触して押圧する方向、例えば、タッチパネル2の画面に対して垂直な方向(「面直方向」ともいう)は、振動アクチュエータ10における可動体40の振動方向であるZ方向と同じ方向に含まれる。振動アクチュエータ10では、ストッパ400により、タッチパネル2に対して、可動体40のZ方向プラス側への移動を規制する。
【0023】
このように、制御部1、タッチパネル2、振動アクチュエータ10を実装した振動呈示装置200によれば、タッチパネル2を直接動作させる、つまり可動体40とともにタッチパネル2を指の接触方向と同方向で駆動させるため、タッチパネル2を直接振動できる。
【0024】
よって、タッチパネル2に表示される画像に接触して操作する際に、可動体40を可動して、タッチパネル2に対して画像に応じた操作感となる振動を付与できる。なお、画像としては、接触した際に指等に触感を付与する物体等の画像や、接触操作により触感を付与しつつ動く物体の画像等であってもよい。
これにより、タッチパネル2は操作者に振動を呈示し、使い心地の良い操作を表現することができる。
【0025】
本実施の形態のタッチパネル2は、タッチパネル2の画面2aを押圧操作する操作者の指(押圧物)の位置を、非接触で検出する位置検出部2bを有する。位置検出部2bは、近接ずる押圧物の存在を電気的に検出する近接センサであり、本実施の形態では、操作者の指との間の静電容量を検出して指の位置を検知する。
【0026】
通常の静電容量式のタッチパネルで用いられる静電容量センサは、画面に当接する指の位置で反応するレベルの感度をものである。これに対し、本実施の形態の位置検出部2bは、画面2aに触れず画面2aから指が所定間隔浮いた状態でも検知可能である。この所定間隔は、静電容量を検知する位置検出部2bの感度を、通常のタッチパネルで画面に接触する押圧物の検知の対象に用いられる静電容量センサよりも高感度にすることにより設定される。これにより、位置検出部2bは、静電容量検知不可能な物質を介しての接触であっても指等の押圧物の位置検出が可能な検出検知感度を有する。このように位置検出部2bで検出された指の位置に基づいて、後述する制御部1により、振動アクチュエータ10の可動体40は駆動する。
【0027】
<振動アクチュエータ10の全体構成>
図4から図8は、それぞれ、振動アクチュエータ10の正面側斜視図、背面側斜視図、正面図、正面側分解斜視図、背面側分解斜視図である。
【0028】
振動アクチュエータ10は、板状の振動アクチュエータであり、Z方向を厚み方向とすると厚み方向で、タッチパネル2の裏面側に対向するように配置される。
振動アクチュエータ10は、制御部1と、アクチュエータ本体Aと、荷重検出モジュールKと、を有する。制御部1は本実施の形態ではアクチュエータ本体Aに設けられてもよい。荷重検出モジュールKは、起歪部材9と、起歪部材9に設けられる歪み検出体7と、を有する。
【0029】
振動アクチュエータ10は、タッチパネル2が押圧操作された際の起歪部材9の歪みを歪み検出体7で検出し、この歪み検出体7の検出結果に応じて振動アクチュエータ10が振動し、タッチパネル2に振動を付与する。まず、アクチュエータ本体Aについて説明する。
【0030】
<アクチュエータ本体A>
図9は、本発明の実施の形態に係る振動アクチュエータにおけるアクチュエータ本体Aの正面側斜視図であり、図10は、同アクチュエータ本体Aの背面側斜視図である。また、図11は、図9のB-B線矢視断面図であり、図12は、アクチュエータ本体Aの分解斜視図である。
【0031】
図9図12に示すアクチュエータ本体Aは、本実施の形態では、制御部1とともに振動呈示装置(電子機器)200に実装されて、操作機器の一例であるタッチパネル2(図1参照)の振動発生源として機能する。
【0032】
アクチュエータ本体Aは、可動体40を一方向に駆動させ、付勢力を発生する部材(板状弾性部50)の付勢力により可動体40を一方向とは反対の方向に移動させることで、可動体40を直線往復移動(振動)させる電磁駆動の電磁アクチュエータとして機能する。
【0033】
タッチパネル2の画面2a上における操作者による接触操作に対応して、振動を操作者に伝達して体感させることで、タッチパネル2を触れた操作者に直感的な操作を可能とする。例えば、タッチパネル2は、タッチパネル2上における操作者による接触操作を受け付けて、その接触位置を出力する接触位置出力部を有するものとする。この場合、接触位置出力部により出力される接触位置情報、及び駆動タイミングに基づいて制御部1は、接触操作に対応する振動が発生するように、アクチュエータ本体Aに、アクチュエータ駆動信号を出力して駆動電流を供給する。
【0034】
制御部1から供給される駆動電流を受けたアクチュエータ本体Aは、タッチパネル2から出力された接触位置に対応した振動を発生し、タッチパネル2に伝達して、タッチパネル2を直接振動させる。このように、タッチパネル2で受けた操作者の操作を受け付けて、それに対応してアクチュエータ本体Aは駆動する。
【0035】
アクチュエータ本体Aは、制御部1を介してアクチュエータ駆動信号が入力されることにより、可動体40を付勢力に抗して一方向として、例えば、Z方向マイナス側に移動させる。また、このアクチュエータ本体Aへのアクチュエータ駆動信号の入力が停止されることにより、アクチュエータ本体Aは、付勢力を開放し、可動体40を、付勢力により他方向側(Z方向プラス側)に移動させる。アクチュエータ本体Aは、アクチュエータ駆動信号の入力と停止により可動体40及び操作機器を振動させる。アクチュエータ本体Aは、マグネットを用いずに可動体40を駆動して、操作機器を振動させている。
【0036】
なお、アクチュエータ駆動信号は、本実施の形態では、可動体40及び操作機器を駆動する駆動電流としてコイル22に供給される複数の駆動電流パルス(「電流パルス」とも称する)列に相当する。アクチュエータ本体Aでは、電流パルスがコイル22に供給されると、可動体40は一方向に移動する。これを繰り返すことにより可動体40は振動する。
【0037】
アクチュエータ本体Aは、コア24にコイル22が巻回されてなるコア組立体20及びベース部32を有する固定体30と、磁性体のヨーク41を有する可動体40と、弾性支持部としての板状弾性部50(50-1、50-2)と、を有する。板状弾性部50(50-1、50-2)は、固定体30に対して可動体40を振動方向に可動可能に弾性支持する。なお、弾性支持部としての板状弾性部50としたが、固定体30に対して可動体40を振動方向に可動可能に弾性支持するものであれば、弾性支持部は板状でなくてもよい。
【0038】
アクチュエータ本体Aは、板状弾性部50で移動可能に支持される可動体40を、固定体30に対して、一方向に移動するように駆動する。また、可動体40の一方向と逆方向へ移動は、板状弾性部50の付勢力により行われる。
【0039】
具体的には、アクチュエータ本体Aは、コア組立体20により、可動体40のヨーク41を振動させる。具体的には、通電されるコイル22および通電されるコイル22により励磁されるコア24の吸着力と、板状弾性部50(50-1、50-2)による付勢力とにより、可動体40を振動させる。
【0040】
アクチュエータ本体Aは、Z方向を厚み方向とした扁平形状に構成される。アクチュエータ本体Aは、可動体40を、固定体30に対して、Z方向、つまり、厚み方向を振動方向として振動させ、アクチュエータ本体A自体の厚み方向で離れて配置される表裏面のうちの一方の面を他方の面に対してZ方向に接近、離間させる。
【0041】
アクチュエータ本体Aは、本実施の形態では、コア24の吸着力により可動体40を、一方向としてのZ方向マイナス側に移動し、板状弾性部50(50-1、50-2)による付勢力により、可動体40をZ方向プラス側に移動する。
【0042】
本実施の形態のアクチュエータ本体Aでは、可動体40は、可動体40の可動中心に対して点対称の位置で、Z方向と直交する方向に沿って複数配置された板状弾性部50(50-1、50-2)により弾性支持されているが、この構成に限らない。
【0043】
板状弾性部50は、可動体40と固定体30との間に固定され、且つ、弾性変形する蛇腹形状部を有し固定体30に対して可動体40を、少なくともコア24の両端部(磁極部242、244)のうちの一方の端部と対向する方向で移動自在に弾性支持する。このような構成であれば、どのように設けられてもよい。例えば、板状弾性部50は、固定体30(コア組立体20)に対して可動体40を、コア24の一方の端部(磁極部242或いは磁極部244)と対向する方向で移動自在に弾性支持するようにしてもよい。また、板状弾性部50-1、50-2は、可動体40の中心(可動中心)に対し、線対称で配置されてもよく、2つ以上の複数の板状弾性部50を用いてもよい。それぞれの板状弾性部50-1、50-2は、一端側で固定体30に固定され、他端側で可動体40に固定され、可動体40を固定体30に対して振動方向(Z方向であり、ここでは上下方向)に移動可能に支持している。
本実施の形態では、アクチュエータ本体Aは、押圧操作されるタッチパネル2の変位を、歪み検出部としての歪み検出センサ70-1~70-4により、起歪部材9の歪みとして検出し、この検出した歪みに対応して可動体40を可動して振動する。
【0044】
<固定体30>
固定体30は、図9から図12に示すように、コイル22及びコア24を有するコア組立体20と、ベース部32とを有する。
【0045】
ベース部32には、コア組立体20が固定される。ベース部32は、板状弾性部50(50-1、50-2)を介して可動体40に連結され、可動体40を振動方向に移動自在に支持する。ベース部32は、扁平形状の部材であり、アクチュエータ本体Aの底面、言い換えると、振動アクチュエータ10の底面を形成する。
ベース部32は、コア組立体20を挟むように、板状弾性部50(50-1、50-2)の一端部が固定される取付部32aを有する。取付部32aは、それぞれコア組立体20から同じ間隔を空けて配置される。なお、この間隔は板状弾性部50(50-1、50-2)の変形領域となる間隔である。
【0046】
取付部32aは、図10及び図12に示すように、板状弾性部50(50-1、50-2)を固定する固定孔321と、ベース部32を、基台部側(図示省略に固定するための固定孔322とを有する。
【0047】
固定孔322は、固定孔321を挟むように、取付部32aの両端部に設けられ、取付部32aの裏面側に突設された筒状の固定脚部324と連通している。これにより、ベース部32は、固定脚部324を介して固定孔322に篏合する止着部材を介して基台部(図示省略)に全面的に安定して固定される。
【0048】
ベース部32は、本実施の形態では、板金を加工して、取付部32aである一辺部と他辺部とが底面部32bを挟み、幅(X方向)方向で離れて位置するよう構成されている。 取付部32a間には、取付部32aよりも奥行きの短い底面部32bを有する凹状部が設けられている。凹状部内、つまり底面部32bの表面側の空間は、板状弾性部50(50-1、50-2)の弾性変形領域を確保するものであり、板状弾性部50(50-1、50-2)により支持される可動体40の可動領域を確保するための空間である。
【0049】
底面部32bは矩形状であり、その中央部には、開口部36が形成され、この開口部36内にコア組立体20が配置されている。
【0050】
開口部36は、コア組立体20の形状に対応した形状である。開口部36は、本実施の形態では、正方形状に形成されている。これにより、コア組立体20と可動体40とをアクチュエータ本体Aの中央部に配置させて、アクチュエータ本体A全体を平面視して略正方形状にすることができる。なお、開口部36は、矩形状(正方形状を含む)であってもよい。
【0051】
開口部36内には、コア組立体20の下側のボビン26の分割体26b及びコイル22の下側部分が挿入され、側面視して底面部32b上にコア24が位置するように固定される。これにより、底面部32b上にコア組立体20が取り付けられる構成と比較して、Z方向の長さ(厚み)が薄くなっている。また、コア組立体20は、その一部、ここでは底面側の一部が開口部36内に嵌まり込んだ状態で、止着部材としのねじ62により固定されている。これにより、コア組立体20は、底面部32bに対して、底面部32bから外れにくい状態で強固に固定される。
【0052】
コア組立体20は、コア24の外周にボビン26を介してコイル22が巻回されることにより構成されている。
【0053】
コア組立体20は、コイル22に通電されると、板状弾性部50(50-1、50-2)との協働により、可動体40のヨーク41を振動(Z方向に往復直線移動)する。
【0054】
コア組立体20は、本実施の形態では、矩形板状に形成されている。矩形板状の長手方向で離間する両辺部分に磁極部242、244が配置されている。
【0055】
磁極部242、244は、Z方向でギャップをあけて可動体40の被吸着面部46、47と対向可能に配置されている。本実施の形態では、上面である対向面(対向面部)20a、20bが、可動体40の振動方向(Z方向)で、ヨーク41における被吸着面部46、47の裏面とはす向かいで近接する。
【0056】
図9から図11に示すように、コイル22の巻回軸を、ベース部32において離間する取付部32aどうしの対向方向(振動方向と直交するX方向)に向けて、コア組立体20は、ベース部32に固定されている。コア組立体20は、本実施の形態では、ベース部32の中央部、具体的には底面部32bの中央部に配置されている。
【0057】
コア組立体20は、図10図12に示すように、コア24が底面部32bと平行に、底面上に開口部36を跨いで位置するように、底面部32bに固定されている。コア組立体20は、コイル22及びコイル22に巻回される部位(コア本体241)をベース部32の開口部36内に位置させた状態で、固定されている。
【0058】
具体的には、コア組立体20は、底面部32bに対して、コイル22を開口部36内に配置した状態で、止着部材としてのねじ68を固定孔28と底面部32bの止着孔33(図10から図12参照)とを通して締結することで固定されている。コア組立体20と底面部32bとは、コイル22を挟み、Y方向で離間する開口部36の両辺部と磁極部242、244とで、止着部材であるねじ68により接合されている。ねじ68の止着箇所は、コイル22の軸心上の二箇所である。
【0059】
コイル22は、アクチュエータ本体Aの駆動時に通電されて、磁界を発生するソレノイドとして機能する。コイル22は、コア24及び可動体40とともに、可動体40を吸い寄せて移動させる磁気回路(磁路)を構成する。なお、コイル22には、制御部1を介して、外部電源から電力供給される。例えば、制御部1から駆動電流がアクチュエータ本体Aに供給されることでコイル22に電力を供給してアクチュエータ本体Aを駆動する。
【0060】
コア24は、コイル22が巻回されるコア本体241と、コア本体241の両端部に設けられ、コイル22を通電することにより励磁する磁極部242、244とを有する。コア24は、コイル22の通電により両端部が磁極部242、244となる長さを有する構造であれば、どのような構造でもよい。例えば、ストレート型(I型)平板状に形成されてもよいが、本実施の形態のコア24は、平面視H型の平板状に形成されている。
【0061】
I型のコアとした場合、I型コアの両端部(磁極部)において、ギャップ(エアギャップ)Gを空けて対向する被吸着面部46、47側の面(エアギャップ側面)の面積が狭くなる。これにより、磁気回路における磁気抵抗が高まり、変換効率が低下する恐れがある。また、コア24にボビン26を取り付ける場合、コア24の長手方向におけるボビンが長手方向から抜けないような位置決めとなる突起部分が無くなるまたは小さくなるので、別途設ける必要が生じる。これに対し、コア24は、H型であるので、コア本体241の両端部でエアギャップ側面を、コイル22が巻回されるコア本体241の幅よりも長く前後方向(Y方向)に拡大することができ、磁気抵抗を低下させて、磁気回路の効率の改善を図ることができる。また、磁極部242、244においてコア本体241から張り出した部位の間に、ボビン26を嵌め込むだけでコイル22の位置決めを行うことができ、コア24に対するボビン26の位置決め部材を別途設ける必要が無い。
【0062】
コア24は、コイル22が巻回される板状のコア本体241の両端部のそれぞれに、磁極部242、244が、コイル22の巻回軸と直交する方向に突出して設けられている。
コア24は、軟磁性材料等からなる磁性体であり、例えば、ケイ素鋼板、パーマロイ、フェライト等により形成される。また、コア24は、電磁ステンレス、焼結材、MIM(メタルインジェクションモールド)材、積層鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)等により構成されてもよい。
【0063】
磁極部242、244は、コイル22への通電により励磁されて、振動方向(Z方向)で離間する可動体40のヨーク41を吸引し、移動する。具体的には、磁極部242、244は、発生する磁束により、ギャップGを介して対向配置された可動体40の被吸着面部46、47を吸着する。
【0064】
本実施の形態では、X方向に延在するコア本体241に対して垂直方向であるY方向に延在する板状体である。磁極部242、244は、Y方向に長いため、コア本体241の両端部に形成される構成よりも、ヨーク41に対向する対向面20a、20bの面積が広い。
【0065】
ボビン26は、コア24のコア本体241を振動方向と直交する方向で囲むように配置されている。ボビン26は、例えば、樹脂材料により形成される。これにより、金属製の他の部材(例えば、コア24)との電気的絶縁を確保することができるので、電気回路としての信頼性が向上する。樹脂材料には、高流動の樹脂を用いることにより成形性が良くなり、ボビン26の強度を確保しつつ肉厚を薄くすることができる。なお、ボビン26は、コア本体241を挟むように分割体26a、26bを組み付けることにより、コア本体241の周囲を覆う筒状体に形成されている。ボビン26には、筒状体の両端部にフランジが設けられ、コイル22がコア本体241の外周上に位置するように規定している。
【0066】
<可動体40>
可動体40は、コア組立体20に振動方向(Z方向)と直交する方向でギャップを空けて、対向するように配置される。可動体40は、コア組立体20に対して、振動方向に往復移動自在に設けられている。
【0067】
可動体40は、ヨーク41を有し、ヨーク41に固定される板状弾性部50-1、50-2の可動体側固定部54を含む。
【0068】
可動体40は、板状弾性部50(50-1、50-2)を介して、底面部32bに対して接離方向(Z方向)に移動可能に、略平行に離間して吊られた状態(基準常態位置)で配置されている。
【0069】
ヨーク41は、コイル22に通電した際に発生する磁束の磁路であり、電磁ステンレス、焼結材、MIM(メタルインジェクションモールド)材、積層鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)等の磁性体から構成される板状体である。ヨーク41は本実施の形態では、SECC板を加工して形成されている。
【0070】
ヨーク41は、X方向で離間する被吸着面部46、47のそれぞれに固定される板状弾性部50(50-1、50-2)により、コア組立体20に対して、振動方向(Z方向)にギャップG(図11参照)を空けて対向する様に吊設されている。
【0071】
ヨーク41は、操作機器(図1に示すタッチパネル2参照)に取り付けるために、起歪部材9に固定される面部固定部44と、磁極部242、244に対向配置される被吸着面部46、47とを有する。ヨーク41は、面部固定部44と被吸着面部46、47とで、中央部に開口部48を有する矩形枠状に形成されている。
【0072】
開口部48は、コイル22と対向する。本実施の形態では、開口部48は、コイル22の真上に位置し、開口部48の開口形状は、ヨーク41が底面部32b側に移動した際に、コア組立体20のコイル22部分が挿入可能な形状である。
【0073】
ヨーク41は開口部48を有する構成にすることより、開口部48が無い場合と比較して、アクチュエータ本体A、ひいては振動アクチュエータ10全体の厚みを薄くできる。
【0074】
また、開口部48内に、コア組立体20を位置させるため、コイル22近傍にヨーク41が配置されることがなく、コイル22から漏れる漏えい磁束による変換効率の低下を抑制でき、高出力を図ることができる。
【0075】
面部固定部44は、起歪部材9の本体枠部95aに固定する固定面44aを有する。面部固定部44は、板状であり、本実施の形態では、タッチパネル2における操作面の中心を囲む部位でタッチパネル2と対向するように配置され、起歪部材9を介してタッチパネル2に固定される。
【0076】
具体的には、面部固定部44の固定面44aの縁部が、本体枠部95aの長辺部に起歪部材9の本体枠部95aの長辺部に面接触して固定される。固定面44aは本実施の形態では、平面視台形状をなしており、面部固定孔42に挿入されるねじ69(図4から図6参照)等の止着部材を介して起歪部材9に固定される。
【0077】
面部固定部44は、起歪部材9を介してタッチパネル2に接合されることにより、可動体40の振動方向(Z方向)に延びる中心が、タッチパネル2の操作面の中心と同じ線上に位置するように配置されることが好ましい。これにより、タッチパネル2の変位を、起歪部材9を介して可動体40が正面側の全面で受けることができる。
【0078】
本実施の形態では、面部固定孔42は、可動体40において正面視して、コア組立体20を中心に外側で、対角線上に位置する部位或いはその近傍に設けられている。
【0079】
被吸着面部46、47は、コア組立体20において磁化された磁極部242、244に吸い寄せられるとともに、板状弾性部50(50-1、50-2)が固定される。
【0080】
被吸着面部46、47には、それぞれ、板状弾性部50-1、50-2の可動体側固定部54が積層された状態で固定される。被吸着面部46、47には、底面部32b側に移動した際に、コア組立体20のねじ68の頭部を逃げる切欠部49が設けられている。
これにより、可動体40が底面部32b側に移動して、被吸着面部46、47が磁極部242、244に接近しても、磁極部242、244を底面部32bに固定するねじ68に接触することがなく、その分のZ方向のヨーク41の可動領域を確保できる。
【0081】
<板状弾性部50(50-1、50-2)>
板状弾性部50(50-1、50-2)は、固定体30に対して可動体40を可動自在に支持する。板状弾性部50(50-1、50-2)は、可動体40の上面を、固定体30の上面と同じ奥行き、もしくは、固定体30の上面(本実施の形態では、コア組立体20の上面)よりも下面側で、互いに平行となるように支持する。なお、板状弾性部50-1、50-2は、可動体40の中心に対して対称の形状を有し、本実施の形態では、同様に形成された部材である。
【0082】
板状弾性部50は、ヨーク41を、固定体30のコア24の磁極部242、244に対してギャップGを空けて対向するように、略平行に配置される。板状弾性部50は、可動体40の下面をコア組立体20の上面の奥行きレベルと略同じレベルよりも、底面部32b側の位置で、振動方向に移動自在に支持する。
【0083】
板状弾性部50は、板バネ(バネ板材)であり、固定体側固定部52、可動体側固定部54、固定体側固定部52と可動体側固定部54とを連絡する蛇腹状弾性アーム部56を有する。
【0084】
板状弾性部50は、取付部32aの表面に固定体側固定部52を取り付け、ヨーク41の被吸着面部46、47の表面に、可動体側固定部54を取り付けて、蛇腹状弾性アーム部56を底面部32bと平行にして、可動体40を取り付ける。
【0085】
固定体側固定部52は、取付部32aに面接触してねじ62により接合して固定され、可動体側固定部54は、被吸着面部46、47に面接触してねじ64により接合して固定されている。
【0086】
蛇腹状弾性アーム部56は、蛇腹形状部を有するアーム部である。蛇腹状弾性アーム部56は、蛇腹形状部を有することにより、固定体側固定部52と可動体側固定部54との間で、且つ、振動方向と直交する面(X方向及びY方向で形成される面)において、可動体40の振動に必要な変形が可能である長さを確保している。
【0087】
蛇腹状弾性アーム部56は、本実施の形態では、固定体側固定部52と可動体側固定部54との対向方向に伸びて折り返された形状を有する。蛇腹状弾性アーム部56において、固定体側固定部52と可動体側固定部54とにそれぞれ接合される端部は、Y方向でずれた位置に形成されている。蛇腹状弾性アーム部56は、可動体40の中心に対して、点対称或いは線対称の位置に配置されている。
【0088】
これにより、可動体40は、蛇腹形状のばねを有する蛇腹状弾性アーム部56により両側方で支持されるため、弾性変形する際の応力分散が可能となる。すなわち、板状弾性部50は、可動体40を、コア組立体20に対して傾斜することなく、振動方向(Z方向)に移動させることができ、振動状態の信頼性の向上を図ることができる。
【0089】
板状弾性部50は、それぞれ、少なくとも2つ以上の蛇腹状弾性アーム部56を有している。これにより、板状弾性部50は、蛇腹状弾性アーム部をそれぞれ一つずつ有する場合と比較して、弾性変形する際の応力が分散され、信頼性の向上を図ることができるとともに、可動体40に対する支持のバランスが良くなり、安定性の改善を図ることができる。
【0090】
板状弾性部50は、本実施の形態では、磁性体からなる。また、板状弾性部50の可動体側固定部54は、コア24の両端部(磁極部242、244)とのコイル巻回軸方向で対向する位置ないしその上側に配置され、磁路として機能する。本実施の形態では、可動体側固定部54は被吸着面部46、47の上側に積層した状態で固定されている。これにより、コア組立体の磁極部242、244に対向する被吸着面部46、47の厚み(Z方向、振動方向の長さ)H(図11参照)を磁性体の厚みとして大きくできる。
【0091】
本実施の形態では、板状弾性部50の厚みと、ヨーク41の厚みとが同じであるので、磁極部242、244に対向する磁性体の部位の断面積を2倍にできる。これにより、板ばねが非磁性の場合と比較して、磁気回路を拡張して、磁気回路における磁気飽和による特性の低下を緩和し、出力向上を図ることができる。
【0092】
図13は、振動アクチュエータ10におけるの磁気回路を示す図である。なお、図13は、図9のB-B線で切断した部分を示すアクチュエータ本体Aの斜視図であり、磁気回路は、図示しない部分も図示された部分と同様の磁束の流れMを有する。また、図14は、磁気回路による可動体40の移動を模式的に示す断面図である。詳細には、図14Aは板状弾性部50により、可動体40が、コア組立体20から離間した位置に保持されている状態の図であり、図14Bは、磁気回路による起磁力によりコア組立体20側に吸引されて移動した可動体40を示す。
【0093】
具体的には、コイル22を通電すると、コア24が励磁されて磁場が発生し、コア24の両端部が磁極となる。例えば、図13では、コア24において、磁極部242がN極となり、磁極部244がS極となっている。すると、コア組立体20とヨーク41との間には、磁束の流れMで示す磁気回路が形成される。この磁気回路における磁束の流れMは、磁極部242から対向するヨーク41の被吸着面部46に流れ、ヨーク41の面部固定部44を通り、被吸着面部47から、被吸着面部47に対向する磁極部244に至る。本実施の形態では、板状弾性部50も磁性体である。よって、被吸着面部46に流れた磁束(磁束の流れMで示す)は、ヨーク41の被吸着面部46及び可動体側固定部54を通り、被吸着面部46の両端から、面部固定部44を介して被吸着面部47及び、板状弾性部50-2の可動体側固定部54の両端に至る。
【0094】
これにより、電磁ソレノイドの原理により、コア組立体20の磁極部242、244は、ヨーク41の被吸着面部46、47を吸着する吸引力Fを発生する。すると、ヨーク41の被吸着面部46、47は、コア組立体20の磁極部242、244の双方で引き寄せられる。これにより、ヨーク41の開口部48内に、コイル22が挿入されて、ヨーク41を含む可動体40は、板状弾性部50の付勢力に抗して、F方向に移動する(図14A及び図14B参照)。
【0095】
また、コイル22への通電を解除すると、磁界は消滅し、コア組立体20による可動体40の吸引力Fは無くなり、板状弾性部50の付勢力により、元の位置に移動(-F方向に移動)する。
【0096】
これを繰り返すことで、アクチュエータ本体Aでは、可動体40が往復移動して振動方向(Z方向)の振動を発生することができる。
【0097】
可動体40を往復直線移動させることにより、可動体40が固定される操作機器であるタッチパネル2も、可動体40に追従してZ方向に変位する。本実施の形態では、駆動による可動体40の変位、つまり、タッチパネル2の変位量は、0.03mm~0.3mmの範囲としている。
【0098】
この変位量の範囲は、操作機器であるタッチパネル2の画面2aにおいて、操作者が押圧した表示に対応する振動を付与できる範囲である。例えば、画面2aにおいて操作者の押圧対象となる表示が、機械式のボタン或いは各種スイッチである場合、これら機械式のボタン或いは各種スイッチを実際に押圧した際と同じ触感を付与できる振幅の範囲である。この範囲は、可動体40の振幅の変位が小さいと触感が不十分となったり、また、大きいと不快に感じたりすることに基づいて設定される。
【0099】
アクチュエータ本体Aでは、コア組立体20の磁極部242、244に、ヨーク41の被吸着面部46、47を近接して配置することで、磁気回路効率を上げ、高出力を図ることができる。また、アクチュエータ本体Aでは、マグネットを用いることがないので、低コストの構造となる。
【0100】
板状弾性部50(50-1、50-2)である蛇腹形状のばねにより、応力分散が可能となり、信頼性の向上を図ることができる。特に、複数の板状弾性部50(50-1、50-2)により可動体40を支持しているため、より効果的に応力分散を可能にしている。このように、アクチュエータ本体Aは、上下方向駆動により上下方向で画面2aに接触する操作者に対してダイレクトな感触を提供できる。
【0101】
コイル22が巻回されるコア24を有するコア組立体20が固定体30に固定され、このコア組立体20は、板状弾性部50により固定体30に対してZ方向に可動自在に支持された可動体40のヨーク41の開口部48内に配置されている。これにより、磁気を発生してZ方向に可動体を駆動させるために固定体及び可動体のそれぞれに設ける部材をZ方向で重ねて設ける(例えば、コイルとマグネットをZ方向で対向して配置)必要がないので、電磁アクチュエータとしてのアクチュエータ本体AのZ方向の厚みを薄くできる。また、マグネットを用いることなく、可動体40を往復直線移動させることで、操作機器に、触覚フィーリングとしての振動を付与できる。このように、支持構造が単純であるため設計がシンプルになり、省スペース化を図ることができ、アクチュエータ本体Aの薄型化を図ることができる。また、マグネットを用いたアクチュエーターではないので、マグネットを用いる構成と比較してコストの低廉化を図ることができる。
【0102】
以下に、アクチュエータ本体Aの駆動原理について簡単に説明する。アクチュエータ本体A、つまり、振動アクチュエータ10は、下記の運動方程式および回路方程式を用いてパルスを用いて共振現象を発生させて駆動することもできる。なお、動作としては共振駆動ではなく、操作機器としてのタッチパネルに表示される機械式スイッチの操作感を表現するものであり、本実施の形態では、制御部1を介して複数の電流パルスを入力することにより駆動する。
【0103】
なお、アクチュエータ本体Aにおける可動体40は、式(1)、(2)に基づいて往復運動を行う。
【0104】
【数1】
【0105】
【数2】
【0106】
すなわち、アクチュエータ本体Aにおける質量m[Kg]、変位x(t)[m]、推力定数K[N/A]、電流i(t)[A]、ばね定数Ksp[N/m]、減衰係数D[N/(m/s)]等は、式(1)を満たす範囲内で適宜変更できる。また、電圧e(t)[V]、抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]、逆起電力定数K[V/(rad/s)]は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0107】
このように、アクチュエータ本体Aと、可動体40の質量mと、板状弾性部50としての金属ばね(弾性体、本実施の形態では板ばね)のばね定数Kspにより決まる。
【0108】
また、アクチュエータ本体Aでは、ベース部32と板状弾性部50との固定、及び、板状弾性部50と可動体40との固定には、止着部材としてのねじ62、64が用いられている。これにより、可動体40が駆動するために、固定体30及び可動体40に対して強固に固定する必要がある板状弾性部50を、リワークを可能とした状態で機械的に強固に固定することができる。
【0109】
このアクチュエータ本体Aによれば、コイル22と、コイル22が巻回され、両端部がコイル22から突出するコア24とを有する固定体30を有する。また、振動アクチュエータ10は、コア24の両端部である磁極部242、244の対向面20a、20bに対して、コイル22の巻回軸と交わる方向でギャップGを空けて対向して近接配置され、且つ、磁性体からなるヨーク41を有し、接触により操作される操作接触面部に固定可能な可動体40を有する。
【0110】
アクチュエータ本体Aは、可動体40と固定体30との間に固定され、弾性変形する蛇腹状弾性アーム部56を有する板状弾性部50により、固定体30に対して可動体40を、磁極部242、244と対向する方向で移動自在に弾性支持している。これにより、操作接触面部であるタッチパネルに取り付けた場合でも、薄型化及び低コスト化を図りつつ、タッチパネルの操作時にユーザに好適な操作感を付与できる。
【0111】
<制御部1>
制御部1は、弾性振動可能に支持された操作機器(図1ではタッチパネル2)をその振動方向の一方向に駆動するアクチュエータ本体A、ひいては、振動アクチュエータ10を制御する。
【0112】
制御部1は、操作機器の接触操作に応じて、振動アクチュエータ10に駆動電流を供給して、磁界を発生させ、弾性振動可能な可動体40を、固定体30に対して一方向、ここではZ方向マイナス側に移動する。これにより、制御部1は、操作者に操作機器に接触した際に、振動を触感として付与する。本実施の形態では、接触操作は、歪み検出センサ70で検出した信号であるが、これに加えて、センサ80により検出した信号を用いて検出するが、また、例えば、タッチパネル2から入力される接触状態を示す信号であってもよい。
【0113】
制御部1は、本実施の形態では、振動アクチュエータ10を駆動するアクチュエータ駆動信号として、単数の電流パルスないし複数の電流パルスをコイル22に供給する。本実施の形態では、アクチュエータ駆動信号は、複数の電流パルスの列により構成している。
【0114】
制御部1は、電流パルスをコイル22に供給することにより、可動体40は、板状弾性部50の付勢力に抗して、磁気吸引力により、コイル22側、つまり、Z方向マイナス側に引き込まれて変位する。これに追従して、タッチパネル2も、固定体30が固定される基台(図示省略)に対してZ方向マイナス側に移動する。
【0115】
また、コイル22への駆動電流の供給を停止することにより、付勢力は開放されて、可動体40は、基準位置に対するZ方向マイナス側での位置での保持状態が解除される。これにより、可動体40は、板状弾性部50の付勢力により、Z方向マイナス側での最大変位位置から、引き込まれた方向(Z方向マイナス側)と逆方向(Z方向プラス側)に付勢されて移動し、振動をフィードバックする。
【0116】
制御部1は、単数の電流パルス或いは複数の電流パルスの列におけるそれぞれのパルスの振幅、それぞれの波長、それぞれの供給タイミング等により、様々な種類の振動形態を生成して、アクチュエータ駆動信号としてアクチュエータ本体Aに供給可能である。これにより、アクチュエータ本体Aの振動は、操作者に体感として付与される。
【0117】
制御部1は、例えば、電流パルス供給部、電圧パルス印加部を有する。
電流パルス供給部は、操作機器(タッチパネル2)の接触操作に応じて、操作機器を駆動する駆動電流として、複数の駆動電流パルスを振動アクチュエータ10のコイル22に供給する。
【0118】
電圧パルス印加部は、アクチュエーター駆動信号を構成する単数の電流パルスないし複数の電流パルスの列をそれぞれ発生させる複数の制御電圧パルスを、断続的に電流パルス供給部に印加する。
【0119】
図15は、同アクチュエータ本体の制御部の説明に供する図であり、振動アクチュエータを駆動する駆動回路の一例を示す図である。
【0120】
図15に示す制御部1では、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)により構成される電流パルス供給部としてのスイッチング素子12、電圧パルス印加部としての信号発生部(Signal generation)14、抵抗R1、R2、SBD(Schottky Barrier Diodes:ショットキーバリアダイオード)を有する。
【0121】
制御部1では、電源電圧Vccに接続された信号発生部14は、スイッチング素子12のゲートに接続されている。スイッチング素子12は、放電切換スイッチである。スイッチング素子12は、振動アクチュエータ10、SBDに接続されるとともに、電源部Vactから電圧が供給される振動アクチュエータ10、具体的には、アクチュエータ本体A(図15では[Actuator]で示す)に接続される。
【0122】
なお、制御部1は、図示しないが、振動呈示装置の構成要素の動作を制御するためのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えてもよい。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して、振動アクチュエータ10を含む振動呈示装置の構成要素の動作を制御する。このとき、記憶部(図示略)に格納されている各種の振動減衰期間発生パターンを含む各種データが参照される。記憶部(図示略)は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)等で構成されてもよい。例えば、記憶部、ROM或いはRAM等に、複数のパルス列の様々な複数のパターンのパルス波形データを格納する。ROMには、アクチュエータ本体Aを駆動して振動を呈示する振動呈示プログラムを含み振動呈示装置を制御する各種のプログラムが格納されている。振動呈示プログラムとしては、例えば、歪み検出センサ70から接触状態を示す情報が入力された際に、接触情報に対応する振動を発生するアクチュエーター駆動信号を生成するためのパルス波形データを読み出すプログラム等である。また、振動呈示プログラムとしては、例えば、読み出したデータを組み合わせて接触情報に対応するアクチュエータ駆動信号として生成するプログラム、生成したアクチュエータ駆動信号をコイルに供給するプログラム等である。アクチュエーター駆動信号は、複数の電流パルスの組みあわせとして、アクチュエータ本体Aを駆動するドライバを介してコイル22に印加される。CPUは、これらプログラム及びデータを用いて振動呈示装置の構成要素の動作を制御してもよく、電流パルス供給部及び電圧パルス印加部を制御するようにしてもよい。例えば、歪み検出センサ70-1~70-4からの信号は、増幅部で増幅され、変換部でアナログデジタル変換されて、CPUに出力されて、図15に示す駆動回路により振動アクチュエータ10を振動させる。
【0123】
制御部1は、電流パルスをコイル22に供給して可動体40を振動方向の一方向に駆動する。コイル22へ電流パルスを供給することにより可動体40は、板状弾性部50の付勢力に抗して、振動方向の一方向に変位する。電流パルスの供給中は、可動体40の振動方向の一方向への変位は継続される。電流パルスの供給を停止する、つまり、コイル22への電流パルスの入力をオフにすることにより、可動体40の振動方向の一方向(Z方向)へ変位させる力は解放される。電流パルスの入力のオフは、当該電流パルスを生成する電圧がオフになったタイミングを意味する。電圧がオフになった時点では、電流パルスは完全にオフではなく減衰している状態である。
【0124】
可動体40は、引き込み方向(Z方向マイナス側)の最大変位可能位置で蓄積された板状弾性部50の付勢力により、振動方向のうちの他方向(Z方向プラス側)へ移動して変位する。操作機器側である他方向側へ移動した可動体40を介して操作機器に強い振動が伝播され、操作者に触感が付与される。
制御部1は、歪み検出センサ70からの情報に基づいて、操作者による画面2aへの接触に応じて、コイル22に、一つ以上の電流パルスを供給する。制御部1は、可動体40の振動において、一つ目のパルスを供給し、加えて、その後に供給するパルスによって、一つ目のパルスの供給の停止後も残って継続する振動等を調整する。
【0125】
<荷重検出モジュールK>
図4から図8に戻り荷重検出モジュールKについて説明する。
荷重検出モジュールKは、アクチュエータ本体Aの可動体40と、タッチパネル2との間に介在し、可動体40とタッチパネル2とに固定される。
【0126】
荷重検出モジュールKは、タッチパネル2の押圧操作時に応じて起歪部材9で発生した歪みを歪み検出体7で検出する。検出した歪みは制御部1に出力され、制御部1は歪みに応じてアクチュエータ本体Aを駆動して振動を発生させる。
【0127】
<起歪部材9>
起歪部材9は、可動体40の面部固定部44に固定される可動体側固定部(支持部側固定部)92と、振動提示部としてのタッチパネル2に固定される呈示部側固定部94とを有する。
起歪部材9は、タッチパネル2の押圧操作により外力が加わることで歪みを発生する起歪体として機能する。起歪部材9は、本実施の形態では、板金を加工することにより、矩形枠状の板状に形成されている。この形状は、面状であるタッチパネル2に固定された際に、タッチパネル2において押圧操作される部位をタッチパネル2の裏面側で囲むように配置される形状である。起歪部材9は、本実施の形態では、可動体40の板状弾性部50よりも硬い板金で構成される。
【0128】
起歪部材9では、平板矩形枠状の本体枠部95aの4隅から長手方向に延在して接続腕部95bが長手方向に延びるように設けられている。起歪部材9は、接続腕部95bの基端部が接続される本体枠部95aの部位にそれぞれ設けられた可動体側固定部92を有する。起歪部材9は、可動体側固定部92を介して面部固定部44に固定されている。本実施の形態の起歪部材9では、本体枠部95aが、可動体40の面部固定部44に固定されるため、起歪体としての機能は主に、接続腕部95bで発揮する。起歪部材9は、接続腕部95bの先端部にそれぞれ呈示部側固定部94を有し、呈示部側固定部94でタッチパネル2に固定されている。
【0129】
起歪部材9は、本体枠部95aの長手方向で離間する外縁部に沿って、本体枠部95aに対して垂直に設けられたリブ95cを有する。本体枠部95aはリブ95cにより補強された状態となっている。
起歪部材9において、呈示部側固定部94でそれぞれタッチパネル2に接合固定されることにより、呈示部側固定部94は、タッチパネル2における操作面の中心を囲む部位でタッチパネル2と接合されている。また、この呈示部側固定部94で囲まれた内側の領域で、可動体側固定部92を介して可動体40に固定されている。
【0130】
<歪み検出体7>
歪み検出体7は、起歪部材9に一体的に設けられ、アクチュエータ本体Aを駆動させるために、起歪体としての起歪部材9に掛かる荷重により発生する歪みを検出する歪み検出部を有する。
歪み検出体7は、例えば、歪み検出部としての歪み検出センサ70(70-1~70-4)を複数実装したフレキシブルプリント基板(以下、「FPC」と称することもある)72である。
【0131】
歪み検出センサ70は、面部固定部44が起歪部材9を介して固定されるタッチパネル2が操作された際に可動体40とともに変位する起歪部材9の押し込み量をタッチパネル2の押し込み量として検知する。
【0132】
歪み検出センサ70(70-1~70-4)は、面部固定部44とともに、底面部32b側に押し込まれた際に板状弾性部50の変形に伴う起歪部材9の歪みを検出する。検出した歪みは、制御装置等に出力されて、この歪みに対応した可動体40の移動量となるように、コイル22が通電され、ヨーク41を吸引して移動させる。
【0133】
本実施の形態では、制御部1は、歪み検出センサ70により検出される歪みを用いて、タッチパネル2の移動量を判定して、接触に対する振動フィードバックを実現しているが、これに限らない。制御部1は、他に操作機器への操作者の接触が検出するセンサを用いて、実際の操作機器の移動量に対応した移動量で、板状弾性部50に対する押し込み量を検出するようにし、この検出結果を用いて、より自然な感触の表現を実現できるようにしてもよい。
【0134】
また、歪み検出センサ70を用いて、操作者の接触操作、つまり、可動体40の押し込み量を検出するセンサの検出結果に基づいて、制御部1の電流パルス供給部による駆動電流パルスを供給した際の可動体40(操作機器であるタッチパネル2も含めてもよい)の振動周期を調整してもよい。また、歪み検出センサ70とは別に、タッチパネル2において検知した操作者の接触位置の表示形態に連動して、その表示形態に対応する振動を発生するように、制御部1に操作状態を示す操作信号を出力し、それに応じて制御部1が制御するようにしてもよい。
【0135】
歪み検出体7は、起歪部材9において主に接続腕部95bを起歪体とし、その歪みを検出し、検出した歪みを制御部1に出力する。
【0136】
歪み検出体7は、具体的には、起歪部材9の本体枠部95a上に、本体枠部95aの四隅に渡って配置されたステープル状(U字状)に形成されたFPC72を有する。すなわち、FPC72は、幅方向に延びる長手部72aの両側から長手部72aに対して垂直に短手部72bが高さ方向に延出するように設けられ、これら長手部72a及び短手部72bによりU字状に形成されている。
【0137】
歪み検出体7では、歪み検出センサ70-1~70-4は、それぞれ可動体側固定部92と呈示部側固定部94との間に配置され、具体的には、起歪体として機能する接続腕部95b上に実装され、起歪部材9の接続腕部95bにおいてそれぞれ歪みを検出する。
【0138】
歪み検出センサ70-1~70-4は、荷重検出モジュールKにおいて、一か所に設けてもよいが複数個所に設けることが好ましい。振動アクチュエータ10が振動呈示部(タッチパネル2)に取り付けられる場合、振動呈示部の操作面の中心に対して放射状に等間隔を空けて囲むように、少なくとも3か所以上に設けることが好ましい。これにより、振動アクチュエータ10は、押圧操作されるタッチパネル2の変位を、面で受けて精度よく検出することができる。
【0139】
本実施の形態では、歪み検出センサ70-1~70-4は、タッチパネル2との固定箇所である呈示部側固定部94の近傍の4か所に設けられ、タッチパネル2の押圧操作領域の中心を囲む枠状の角部部分の歪みを検出する。よって、タッチパネル2のように、振動呈示部として矩形状のタッチパネルディスプレイを用いた場合、このディスプレイに荷重検出モジュールKを介してアクチュエータ本体Aをバランスよく取り付けることができる。これにより、起歪部材9の歪方向を面直方向に安定して一致させることができる。
【0140】
図16は、歪み検出体7の配線を示す図である。
FPC72上に実装される歪み検出センサ70-1~70-4は、起歪部材9上に配置されて、それぞれ同一平面上に位置する。
歪み検出センサ70-1~70-4は、それぞれ複数の歪ゲージ部(R-A1~R-A4、R-B1~R-B4、R-C1~R-C4、R-D1~R-D4)を有し、フルブリッジ結線の歪み検出センサである。
【0141】
歪み検出センサ70-1~70-4は、FPC72において、それぞれが並列で電源電圧Vcc、GNDに接続され互いに並列結線され、荷重が掛かることで変化する電気抵抗値の変化量を出力するように接続されている。これにより各歪み検出センサ70-1~70-4からの出力が平均化され、安定した挙動となる。また、出力値は各歪み検出センサ70-1~70-4毎で温度が概ね均一化し、温度安定性の向上を図ることができる。
【0142】
<振動アクチュエータ10の効果>
・効果1
歪み検出センサ70が、この歪み検出センサ70により歪みを検出される起歪体としての接続腕部95b上に設けられている。すなわち、歪み検出センサ70と起歪体とが、振動呈示部としてのタッチパネル2と可動体40との間、つまり、可動体側固定部92と呈示部側固定部94との間に配設されている。
【0143】
これにより、歪み検出センサ70が、アクチュエータ本体A内に配設されておらず、起歪体が板状弾性部50とは別体となるので、歪み検出対象が可動体40の質量を受けることがなく、板状弾性部50の振動仕様にも影響が無くなる。これにより、アクチュエータ本体Aの設計が困難にならず、アクチュエータ本体Aの様々な仕様を実現できる。
【0144】
また、可動体40において板状弾性部50との固定部分(可動体側固定部92に相当)と振動呈示部との固定部分(呈示部側固定部94に相当)との間に歪み検出センサ70及び起歪体を配置している。これにより、み検出センサ70及び起歪体をアクチュエータ本体Aと一体にすることができ、触感表現の完結した振動アクチュエータ製品を実現できる。
【0145】
・効果2
アクチュエータ本体Aは、歪み検出センサ70及び起歪部材9を一体にした荷重検出モジュールKを介して、振動呈示部であるタッチパネル2に固定される。これにより、荷重検出モジュールKとアクチュエータ本体Aとを別々に汲み上げた後で、振動アクチュエータ10と組み立てることができる。これにより、歪み検出センサ70と起歪体とを、アクチュエータ本体の可動体の一部とした構成と比較して、歪み検出センサ70を組み付け後に、アクチュエータを組み立てるか、或いは、その逆の工程が必要となることがなく、組立性の向上を図ることができる。
【0146】
また、振動呈示部の形状に対応して、起歪部材9を変更できるため、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0147】
・効果3
また、アクチュエータ本体Aの可動体40は、振動呈示部であるタッチパネル2の面直方向に駆動する。具体的には、振動呈示部としてのタッチパネル2を画面(接触面)と水平方向に動かす場合と異なり、振動アクチュエータの荷重により、タッチパネル2並びに可動体40が面直方向にたわむ。これにより、例えば、スイッチの挙動を表現する場合、たわみも表現でき、実際のスイッチなどの操作に近くリアルな触覚表現を実現できる。
【0148】
・効果4
起歪部材9は、板状のバネ板材である。これにより、繰り返し振動が加わる場合でも、金属疲労を緩和して、信頼性を向上させることができる。
【0149】
また、振動アクチュエータ10では、起歪部材9を一体のバネ板材にて構成されている。これにより、起歪部材9の接続腕部95bへの歪み検出センサ70-1~70-4の配置位置の位置精度を高めることができ、組み付け時の精度改善を図ることができる。すなわち、起歪部材9において検出対象部位となる起歪体としての接続腕部95bを複数に分離して構成した場合と異なり、組み付け時にばらつきが発生することがなく、組立性の向上を図ることができる。
【0150】
ストッパ400により、荷重検出モジュールKを介して可動体40が固定されたタッチパネル2と、可動体40に板状弾性部を介して接続される固定体30とが、所定間隔以上離間することを防止する。所定間隔とは、板状弾性部50及び起歪部材9が塑性変形しない長さである。これにより、振動アクチュエータ10への外部からの衝撃時にストッパ400が機能して、起歪部材9に荷重がかかることがなく、起歪部材9の塑性の抑制、起歪部材9及び歪み検出センサ70の破損を防止し、信頼性の向上を図ることができる。
【0151】
・効果5
本実施の形態では、パネル2の画面2aを押圧操作する操作者の指の位置を非接触で、具体的には、操作者の指との間の静電容量により、検出する位置検出部2b(図1及び図2参照)を有する。位置検出部2bは、指とタッチパネル2との間に距離が在っても反応する静電容量検知の感度を有する。つまり、振動呈示装置200は、位置検出部2bにより、指が浮いた状態でもその位置を検知できる。
【0152】
例えば、図17に示すように、手袋Tを装着した指Uで振動呈示装置200を操作する場合、指Uは浮いた状態(ホバー状態)となる。
静電容量センサを用いてタッチパネルを操作する指の位置を検出する通常の構造では、手袋を装着した指専用の手袋以外の手袋は、静電容量に反応しないため、指とタッチパネルの距離が実質遠くなる。この距離は、図17では距離H2に相当する。
【0153】
これに対し、本実施の形態によれば、手袋Tを介してタッチパネル2に触れる状態(実際には手袋で押している状態)であっても、つまり、指Uがホバー状態であっても、位置検出部2bは、指Uの位置を検出する。すなわち、振動呈示装置200は、手袋T等を介した操作のように静電容量検知が不可能な状況での操作であっても、操作している指の位置を接触提示部であるタッチパネル2で検知できる。
【0154】
加えて、振動呈示装置200(振動アクチュエータ10でもよい)は、手袋Tを装着した指Uでの押圧操作による操作を検出、つまり、歪み検出センサ70で、押込み荷重で押し込んでいることを検出する。
【0155】
このように、本実施の形態によれば、指Uが画面2aから離れた状態でも指Uの位置を検出し、押し込んだことを正確に検出して、振動アクチュエータ10の振動にてタッチパネル2に振動フィードバックを付与できる。振動呈示装置200は、手袋を装着しての操作でもより効果的に操作感触を高めることができる。また、指Uとタッチパネル2の距離があっても反応する機能と、歪み検出センサ70の検出にて、指Uが押し込んだことを検知する機能とを有することにより、押圧操作の検出における誤反応・誤作動の抑制が可能となる。
【0156】
このように本実施の形態の振動呈示装置200は、スイッチの感触のようなリアルな触感表現を、荷重検出に基づくリアルな触感表現で実現する。
【0157】
(実施の形態2)
図18は、本発明の実施の形態2に係る振動アクチュエータを有する振動呈示装置200Aの背面側斜視図であり、図19は、同振動呈示装置200Aの平面図である。また、図20は、同振動呈示装置200Aにおける振動アクチュエータ10Aのストッパを示す拡大図である。また、図21図23は、それぞれ、同振動アクチュエータ10Aの正面側外観斜視図、背面側外観斜視図、及び分解斜視図である。なお、図23に示す振動アクチュエータ10Aでは、便宜上、荷重検出モジュールK1の歪み検出体7は、振動アクチュエータ10のものと同様の構成であり、同様に起歪部材上に設けられるため、図示を省略している。また、図24は、起歪部材9Aの背面側斜視図であり、図25は、ベース部の背面側斜視図である。
【0158】
図18図20に示す振動呈示装置200Aは、実施の形態1の振動呈示装置200と比較して、振動アクチュエータ10Aの構成のみ異なる。具体的には、振動呈示装置200Aでは、振動呈示部としてのタッチパネル2に設けたストッパ400の機能を、振動呈示装置200Aの振動アクチュエータ10Aに設けた構成である。振動呈示装置200Aのその他の基本的な構成は、振動呈示装置200の構成と同様である。よって、以下では、振動呈示装置200と異なる構成について説明し同様の構成には同符号を付して説明を省略する。
【0159】
振動呈示装置200Aは、振動アクチュエータ10A、及び、操作者が接触操作する操作機器(本実施の形態ではタッチパネル2)を有する。
【0160】
振動呈示装置200Aは、振動呈示装置200と同様に、タッチパネル2の画面2aに操作者の指腹等が接触されて操作される際に、これに対応して振動アクチュエータ10Aが駆動して振動する。この振動により、操作者に接触操作感(「触感」「力覚」)を付与する。本実施の形態の振動アクチュエータ10Aは、振動アクチュエータ10と同様に、操作者が操作する表示画像に対応して様々な種類の触感を付与する。なお、タッチパネル2は、表示機能がなく、単に操作者が触れて操作可能な操作機器としてもよい。
【0161】
振動アクチュエータ10Aは、板状の振動アクチュエータであり、Z方向を厚み方向とすると厚み方向で、タッチパネル2の裏面側、つまり、操作面となる画面2aとは反対側の面に、対向するように配置される。
【0162】
振動アクチュエータ10Aは、制御部1を有するアクチュエータ本体A1と、荷重検出モジュールK1と、を有する。
【0163】
また、アクチュエータ本体A1は、コア24にコイル22が巻回されてなるコア組立体20及びベース部32Aを有する固定体30Aと、磁性体のヨーク41を有する可動体40と、板状弾性部50(50-1、50-2)と、を有する。板状弾性部50(50-1、50-2)は、固定体30Aに対して可動体40を振動方向に可動可能に弾性支持する。また、荷重検出モジュールK1は、起歪部材9Aと、起歪部材9に設けられる歪み検出体7と、を有する。振動アクチュエータ10Aは、タッチパネル2が押圧操作された際の起歪部材9Aの変位、本実施の形態では歪みを歪み検出体7で検出し、この歪み検出体7の検出結果に応じてアクチュエータ本体A1の可動体40が振動し、タッチパネル2に振動を付与する。なお、アクチュエータ本体A1は、アクチュエータ本体Aと同様の磁気回路を有し、アクチュエータ本体Aと同様に式(1)、式(2)に基づく駆動原理により可動体40は往復運動を行う。
【0164】
図18図24に示すアクチュエータ本体A1は、アクチュエータ本体Aと比較して、荷重検出モジュールK1の起歪部材9Aと固定体30のベース部32Aとのそれぞれに、互いに係合する移動規制部96と、被移動規制部37とを有する点で異なる。
【0165】
起歪部材9Aは、アクチュエータ本体A1の可動体40のヨーク41に固定される矩形枠状の本体枠部95aと、本体枠部95aの角部から長手方向に沿って延出する接続腕部95bと、接続腕部95bの先端側に設けられた移動規制部96とを有する。
【0166】
移動規制部96は、本実施の形態では、図18図22に示すように、接続腕部95bにおいて、呈示部側固定部94に近接する位置に設けられている。具体的には、図20に示すように、移動規制部96は、接続腕部95bにおいて、呈示部側固定部94の位置よりも可動体側固定部92から離間する位置で、接続腕部95bの延在方向と直交して延出する。移動規制部96は、ベース部32の取付部32Aaよりも背面側に位置するように設けられている。
【0167】
ベース部32Aは、ベース部材3と同様に、矩形の扁平形状の長尺の部材であり、本実施の形態では板金を加工することにより形成されており、両端に取付部32Aaが設けられた凹状の底面部32Abを有する。底面部32Abの中央部には開口部36Aが設けられ、開口部36A内にコア組立体20が配置されている。取付部32Aaには、移動規制部96と係合して互いの対向方向への移動を規制する被移動規制部37が突設されている。
【0168】
被移動規制部37は、取付部32Aaから長手方向に突設され、Z方向(振動方向)で、起歪部材9Aが取り付けられる側の面とは反対側の面で、起歪部材9Aの移動規制部96と重なる位置に位置するように設けられている。
【0169】
よって、振動呈示装置200Aに衝撃が加わり、タッチパネル2が面直方向に移動し、起歪部材9Aが、タッチパネル2側に移動する場合、起歪部材9Aの移動に伴い移動する移動規制部96が、被移動規制部37に当接する。これにより、移動規制部96の移動が抑制され、起歪部材9A自体の移動も抑制され、起歪部材9Aに荷重が掛かることを防止できる。
【0170】
すなわち、振動呈示装置200Aにおいて衝撃を受けた際の起歪部材9Aの振動方向への移動のうち、固定体30A側(Z方向マイナス側)への移動は、固定体30A側のねじ68がヨーク41に当接する等、互いの構成要素が当接して抑制される。一方、振動呈示装置200Aにおいて衝撃を受けた際の起歪部材9Aの固定体30A側(Z方向マイナス側)への移動は、起歪部材9Aの移動規制部96が、被移動規制部37に、被移動規制部37の裏面側で係合して、規制される。
【0171】
これより、起歪部材9Aの塑性が抑制され、起歪部材9Aの変形ひいては破損を防止し、信頼性を向上させることができる。
【0172】
よって、実施の形態1と比較して、振動アクチュエータ10Aが取り付けられる振動呈示部であるタッチパネル2自体に、ストッパ機能を設けること無く、耐衝撃性を有する振動アクチュエータ10A及び振動呈示装置200Aを製造できる。また、実施の形態2の振動アクチュエータ10A及び振動呈示装置200Aによれば、実施の形態1の効果1、3と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、タッチパネル2において、振動呈示装置200のタッチパネル2の位置検出部2bと同様に、タッチパネル2の画面2aを押圧操作する操作者の指(押圧物)の位置を、非接触で検出する位置検出部を有してもよい。これにより、実施の形態1による効果5と同様の作用効果を得ることができる。
【0173】
(実施の形態3)
図26は、本発明の実施の形態3に係る振動アクチュエータ10Bの正面側斜視図であり、図27は、同振動アクチュエータ10Bの背面側斜視図であり、図28は、同振動アクチュエータ10Bの分解斜視図である。
【0174】
実施の形態3の振動アクチュエータ10Bは、振動アクチュエータ10における荷重検出モジュールKの機能を、電磁アクチュエータであるアクチュエータ本体Aの可動体40に設けたものである。
【0175】
振動アクチュエータ10Bは、アクチュエータ本体Aと比較して、可動体40Bの検出部付ヨーク41Bの構成のみ異なる。よって、振動アクチュエータ10Bについて、以下では、アクチュエータ本体Aと異なる構成のみ説明し、その他のアクチュエータAと同様の構成要素については、同符号同名称を付して説明は省略する。
【0176】
振動アクチュエータ10Bは、本実施の形態では、制御部1とともに振動呈示装置である電子機器に実装されて、操作機器の一例であるタッチパネル2(図1参照)の振動発生源として機能する。
【0177】
振動アクチュエータ10Bは、実施の形態1の振動アクチュエータ10と同様に、可動体40Bを一方向に駆動させ、付勢力を発生する部材(板状弾性部50)の付勢力により可動体40Bを一方向とは反対の方向に移動させる。これにより、振動アクチュエータ10Bは、可動体40Bを直線往復移動(振動)させる電磁アクチュエータとして機能する。なお、振動アクチュエータ10Bは、実施の形態1のアクチュエータ本体Aと同様の磁気回路を有し、アクチュエータ本体Aと同様に式(1)、式(2)に基づく駆動原理により可動体40Bは往復運動を行う。
【0178】
振動アクチュエータ10Bは、コア24にコイル22が巻回されてなるコア組立体20及びベース部32を有する固定体30と、磁性体の検出部付ヨーク41Bを有する可動体40Bと、板状弾性部50(50-1、50-2)と、を有する。板状弾性部50(50-1、50-2)は、固定体30に対して可動体40Bを振動方向に可動可能に弾性支持する。
【0179】
振動アクチュエータ10Bは、コア組立体20により、可動体40Bの検出部付ヨーク41Bを振動させる。具体的には、振動アクチュエータ10と同様に、通電されるコイル22および通電されるコイル22により励磁されるコア24の吸着力と、板状弾性部50(50-1、50-2)による付勢力とにより、可動体40Bを振動させる。
振動アクチュエータ10Bは、押圧操作されるタッチパネル2(図1参照)の変位を、歪み検出部としての歪み検出センサ70-1~70-4により、可動体40Bと一体の延出部45の歪みとして検出する。この検出した歪みに対応して可動体40Bを可動して振動させ、可動体40Bが固定されるタッチパネル(図1のタッチパネル2と同様)に、操作感としてフィードバックする。
【0180】
板状弾性部50-1、50-2及び固定体30についての詳細な説明は、実施の形態1における振動アクチュエータ10のアクチュエータ本体Aのものと同様の構成機能であるので省略する。また、板状弾性部50-1、50-2の可動体20Bに対する接合位置等も振動アクチュエータ10のアクチュエータ本体Aのものと同様であるので説明は省略する。
【0181】
可動体40Bは、コア組立体20に振動方向(Z方向)と直交する方向でギャップを空けて、対向するように配置される。可動体40Bは、コア組立体20に対して、板状弾性部50-1、50-2を介して振動方向に往復移動自在に設けられている。
【0182】
可動体40Bは、検出部付ヨーク41Bを有し、検出部付ヨーク41Bに固定される板状弾性部50-1、50-2の可動体側固定部54を含む。
【0183】
可動体40Bは、振動アクチュエータ10の可動体40と同様に、板状弾性部50(50-1、50-2)を介して、底面部32bに対して接離方向(Z方向)に移動可能に、略平行に離間して吊られた状態(基準常態位置)で配置されている。
【0184】
検出部付ヨーク41Bは、実施の形態1のヨーク41と同様の機能を有し、コイル22に通電した際に発生する磁束の磁路として機能する。検出部付ヨーク41Bは、電磁ステンレス、焼結材、MIM(メタルインジェクションモールド)材、積層鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板(SECC)等の磁性体から構成される矩形枠状の板状体である。検出部付ヨーク41Bは本実施の形態では、SECC板を加工して形成されている。
【0185】
検出部付ヨーク41Bは、X方向で離間する被吸着面部46、47のそれぞれに固定される板状弾性部50(50-1、50-2)により、コア組立体20に対して、振動方向(Z方向)にギャップを空けて対向する様に吊設されている。
【0186】
検出部付ヨーク41Bは、板状弾性部50(50-1、50-2)に接合されるヨーク本体4と、ヨーク本体4から延出し、先端側の取付孔452で操作機器(図1に示すタッチパネル2参照)に固定される延出部45と、歪み検出センサ70とを有する。
【0187】
ヨーク本体4は、磁極部242、244に対向配置される被吸着面部46B、47Bと、これら被吸着面部46B、47Bの両端部間にそれぞれ直交する方向で架設された枠形成部43a、43bと、を有する。ヨーク本体4は、被吸着面部46B、47Bと枠形成部43a、43bとにより、中央部に開口部48Bを有する矩形枠状体に形成されている。
【0188】
開口部48Bは、コイル22と対向する。本実施の形態では、開口部48Bは、コイル22の真上に位置し、開口部48Bの開口形状は、検出部付ヨーク41Bが底面部32b側に移動した際に、コア組立体20のコイル22部分が挿入可能な形状である。
【0189】
ヨーク本体4が開口部48Bを有するので、開口部48Bが無い場合と比較して、振動アクチュエータ10B、ひいては振動アクチュエータ10B全体の厚みを薄くできる。
【0190】
また、開口部48B内に、コア組立体20を位置させるため、コイル22近傍に検出部付ヨーク41Bが配置されることがなく、コイル22から漏れる漏えい磁束による変換効率の低下を抑制でき、高出力を図ることができる。
【0191】
被吸着面部46B、47Bは、振動アクチュエータ10の被吸着面部46、47と同様の機能を有する。被吸着面部46B、47Bは、コア組立体20において磁化された磁極部242、244に吸い寄せられるとともに、板状弾性部50(50-1、50-2)が固定される。ヨーク本体4の被吸着面部46B、47Bに、板状弾性部50(50-1、50-2)が固定されるため、被吸着面部46B、47B、つまり、ヨーク本体4自体が可動体側固定部(支持部側固定部)として機能する。
【0192】
被吸着面部46B、47Bには、それぞれ、板状弾性部50-1、50-2の可動体側固定部54が積層された状態で固定される。被吸着面部46B、47Bには、ヨーク本体4が底面部32b側に移動した際に、コア組立体20のねじ68の頭部を逃げる切欠部49Bが設けられている。
【0193】
これにより、可動体40Bが底面部32b側に移動して、被吸着面部46B、47Bが磁極部242、244に接近しても、磁極部242、244を底面部32bに固定するねじ68に接触することがなく、その分のZ方向の検出部付ヨーク41Bの可動領域を確保できる。
【0194】
なお、実施の形態3でも、検出部付ヨーク41Bの厚みは、板状弾性部50の厚みと同じであり、磁極部242、244に対向する磁性体の部位の断面積が2倍となっている。これにより、板ばねが非磁性の場合と比較して、磁気回路を拡張して、磁気回路における磁気飽和による特性の低下を緩和し、出力向上を図ることができる。
【0195】
延出部45は、可動体40Bにおいて、板状弾性部50(50-1、50-2)との固定部分と、操作機器との固定部分(本実施形態では、取付孔452)とを連絡し、双方と一体に設けられている。
【0196】
延出部45は、ヨーク本体4と一体の金属板で形成され、ヨーク本体4の被吸着面部46B、47Bと同一平面上に位置するように形成されている。本実施の形態では、延出部45の先端側の取付孔452と、被吸着面部46B、47Bにおける板状弾性部50(50-1、50-2)の可動体側固定部54との取付位置は、同じ高さ位置に設けられている。本実施の形態では、延出部45は、ヨーク本体4の中心(振動方向(Z方向)に延びる中心)を中心としてヨーク本体4の角部からそれぞれ放射方向に延出して設けられている。
【0197】
延出部45は、歪み検出センサ70の起歪体となる部分である。
延出部45は、タッチパネルへの押圧操作の際の押圧量に対応して振動を付与する場合、タッチパネルへの実際の操作に対応して歪む。
【0198】
取付孔452は、可動体40Bにおいて正面視して、コア組立体20を中心に外側で、対角線上に位置する部位或いはその近傍に位置する。
【0199】
取付孔452は、タッチパネル2(振動呈示部、図1参照)に固定される。本実施の形態では、取付孔452は、可動体40Bのヨーク本体4を四隅で囲む4つの位置に設けられ、それぞれで振動呈示部に固定される。
【0200】
取付孔452がタッチパネル2に接合されることにより、可動体40Bの中心が、タッチパネル2の操作面の中心と同じ線上に位置するように配置されることが好ましい。これにより、タッチパネル2の変位を、延出部45で受けることができる。
【0201】
歪み検出センサ70(70-1~70-4)は、延出部45上に設けられる。すなわち、歪み検出センサ70(70-1~70-4)は、それぞれ可動体側固定部を有する被吸着面部46B、47Bと、呈示部側固定部としての取付孔452との間に配置されている。
【0202】
歪み検出センサ70(70-1~70-4)は、起歪体として機能する延出部45上に実装され、可動体40Bが底面部32b側に押し込まれた際の延出部45の歪みを検出する。なお、検出した歪みは、実施の形態1と同様に、制御部1に出力され、この歪みに対応して振動アクチュエータ10Bが振動する。また、歪み検出センサ70(70-1~70-4)の結線は、実施の形態1のものと同様であることが好ましい。
【0203】
このような実施の形態3の振動アクチュエータ10Bによれば、振動アクチュエータ10における効果1、3,4と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、タッチパネル2において、振動呈示装置200のタッチパネル2の位置検出部2bと同様に、タッチパネル2の画面2aを押圧操作する操作者の指(押圧物)の位置を、非接触で検出する位置検出部を有してもよい。これにより、実施の形態1による効果5と同様の作用効果を得ることができる。
【0204】
また、各実施の形態によれば、マグネット等を用いる事無くコストの低廉化を図ることができ、装置全体の低コスト化を図りつつ、様々な接触操作感の振動を表現することができる。
【0205】
なお、板状弾性部50は、可動体40、40Bの中心に対して対称な位置に複数固定されていることが好ましいが、上述したように、一つの板状弾性部50で、可動体40を固定体30に対して振動可能に支持するようにしてもよい。板状弾性部50は、可動体40と固定体30とを連結し、且つ、蛇腹状弾性アーム部56を有するアーム部を少なくとも2つ以上備えてもよい。板状弾性部50は、磁性体で構成されてもよい。この場合、板状弾性部50の可動体側固定部54は、コア24の両端部に対してそれぞれコイル22の巻回軸方向または、巻回軸方向と直交する方向に配置され、コイル22に通電された際に、コア24とともに磁路を構成する。
【0206】
また、各振動アクチュエータ10、10A、10Bの構成において、ベース部32、32Bと板状弾性部50との固定、及び、板状弾性部50と可動体40、40Bとの固定に用いた止着部材としてのねじ62、64、68、69に変えて、リベットを用いてもよい。リベットは、それぞれ頭部とねじ部のない胴部からなり、穴を空けた部材に差し込み、反対側の端部をかしめて塑性変形させることで穴を空けた部材同士を接合する。かしめは、例えば、プレス加工機や専用の工具等を用いておこなってもよい。
【0207】
歪み検出センサ70が取得する歪みのデータに基づいて、振動アクチュエータ10、10A、10Bにおける各構成要素の個体差等により入力パルスの周期の修正を行うようにしてもよい。
【0208】
本実施の形態において制御部1により駆動制御される振動アクチュエータ10、10Aの駆動方向はZ方向としたが、これに限らず、操作者の接触面と平行の方向、具体的には、X方向ないしY方向においても、上述した効率的な駆動や振動の強化等の効果を得ることができる。
【0209】
また、各実施の形態の振動アクチュエータ10、10A、10Bは、可動体40、40Bを一方向に駆動させ、付勢力を発生する部材(板状弾性部50)の付勢力により可動体40、40Bを一方向とは反対の方向に移動させることで、可動体40、40Bを直線往復移動(振動)させる電磁アクチュエータとしたが、この構成に限らない。固定体に対して板状バネ等の板状弾性部により可動体を振動自在に支持し、この可動体が振動呈示(振動フィードバック)対象となるタッチパネル等に取り付けられる構成であれば、どのような構成の振動アクチュエータであってもよい。
【0210】
実施の形態2、3の振動アクチュエータ10A、10Bにおける歪み検出センサ70-1~70-4の配置位置も、振動アクチュエータ10の歪み検出センサ70-1~70-4と同様の配置で設けられる。すなわち、振動アクチュエータ10A、10Bにおける歪み検出センサ70-1~70-4は、振動呈示部であるタッチパネル2の操作面(画面2a)の中心に対して放射状に等間隔を空けて囲むように、少なくとも3か所以上に設けることが好ましい。これにより、振動アクチュエータ10は、押圧操作されるタッチパネル2の変位を、面で受けて精度よく検出することができる。振動アクチュエータ10A、10Bは、歪み検出センサ70-1~70-4を、振動アクチュエータ10と同様に、タッチパネル2の押圧操作領域の中心を枠状に囲む4つの角部分に位置させており、振動アクチュエータ10と同様の作用効果を得る。
【0211】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明に係る振動アクチュエータは、様々な接触操作感に応じた振動を付与可能であり、容易に組み立てることができる効果を有し、例えば、車載製品や産業機器において、画面上の画像に指等を接触させることにより操作を入力する操作機器、例えば、画像に表示した機械式スイッチ等の様々な画像に触れた際の操作感と同様の操作感をフィードバックできるタッチパネル装置が搭載されるタッチディスプレイ装置等の操作機器に有用なものである。
【符号の説明】
【0213】
1 制御部
2 タッチパネル(振動呈示部)
2a 画面(操作面)
2b 位置検出部
4 ヨーク本体
7 歪み検出体
9、9A 起歪部材
10、10A、10B 振動アクチュエータ
12 スイッチング素子
14 信号発生部
20 コア組立体
20a、20b 対向面
22 コイル
24 コア
26 ボビン
26a、26b 分割体
28、321、322 固定孔
30、30A 固定体
32、32A、32B ベース部
32a、32Aa 取付部
32b、32Ab 底面部
33 止着孔
36、36A 開口部
37 被移動規制部
40、40B 可動体
41 ヨーク
41B 検出部付ヨーク
42 面部固定孔
43a、43b 枠形成部
44 面部固定部
44a 固定面
45 延出部(起歪体)
46、46B、47、47B 被吸着面部(支持部側固定部)
48、48B 開口部
49、49B 切欠部
50、50-1、50-2 板状弾性部(弾性支持部)
52 固定体側固定部
54 可動体側固定部
56 蛇腹状弾性アーム部
62、64、68、69 ねじ
70 歪み検出センサ(歪み検出部)
72 FPC
92 可動体側固定部(支持部側固定部)
94 呈示部側固定部
95a 本体枠部
95b 接続腕部
95c リブ
96 移動規制部
200、200A 振動呈示装置
241 コア本体
242、244 磁極部
400 ストッパ
452 取付孔(呈示部側固定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28