(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ドアクローザ
(51)【国際特許分類】
E05F 3/10 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
E05F3/10 A
(21)【出願番号】P 2019228132
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 省次
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-070442(JP,A)
【文献】実開昭57-078364(JP,U)
【文献】特開2015-055081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0076621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-13/04
E05F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉と扉枠のうちの一方に取り付けられるドアクローザ本体と、
扉と扉枠のうちの他方とドアクローザ本体との間に配置されるアームと、を備え、
ドアクローザ本体は、
天面部及び底面部を有するハウジングと、上下方向の軸線を有し、アームと連結されて扉の開閉に伴って回転する主軸と、
ハウジングの天面部において主軸を回転可能に支持する
第一軸受けと、
ハウジングの底面部において主軸を回転可能に支持する第二軸受けと、を備え、
主軸は、アームが相対回転不能に連結され
、第一軸受け
に回転可能に支持された第一軸部材と、第一軸部材とは別体の構成であって第一軸部材の下側に設けられ
、第二軸受け
に回転可能に支持された第二軸部材と、を備え、
主軸の全長のうち
ハウジングの天面部における第一軸受けの径方向内側の位置において、第一軸部材と第二軸部材が相対回転不能に接合されている、ドアクローザ。
【請求項2】
第一軸受けは、第二軸受けよりも径が大きい、請求項1記載のドアクローザ。
【請求項3】
扉と扉枠のうちの一方に取り付けられるドアクローザ本体と、
扉と扉枠のうちの他方とドアクローザ本体との間に配置されるアームと、を備え、
ドアクローザ本体は、ハウジングと、上下方向の軸線を有し、アームと連結されて扉の開閉に伴って回転する主軸と、主軸を回転可能に支持する第一及び第二軸受けと、主軸と一体に回転するピニオンギヤ及びカムと、を備え、
主軸は、アームが相対回転不能に連結され、第一軸受けに回転可能に支持された第一軸部材と、第一軸部材とは別体の構成であって第一軸部材の下側に設けられ、第二軸受けに回転可能に支持された第二軸部材と、を備え、
主軸の全長のうち第一軸受けの径方向内側の位置において、第一軸部材と第二軸部材が相対回転不能に接合されており、
第一軸部材は、下側に開口し、雌側回転阻止条を有する接合孔を有し、
第二軸部材にピニオンギヤが設けられ、第二軸部材は、ピニオンギヤの上側に、雌側回転阻止条と係合する雄側回転阻止条が形成された軸部を有し、
カムの内周面には、雄側回転阻止条と係合する雌側回転阻止条が形成され、カムは、軸部に上下方向に移動可能に装着され、
第二軸部材の軸部が第一軸部材の接合孔に挿入され、第一軸部材とピニオンギヤによってカムの上下方向の移動が規制されている
、ドアクローザ。
【請求項4】
ハウジングは、ハウジングの内部とハウジングの外部とを連通し、雌ネジ部を有する連通孔を有し、
ドアクローザ本体は、第一軸受けを保持し、連通孔の雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有する軸受けホルダを備え、
軸受けホルダと第一軸受けと第一軸部材はユニット化されており、
軸受けホルダがハウジングの連通孔に螺入されることにより、第一軸部材の接合孔に第二軸部材の軸部が相対的に挿入されて第一軸部材と第二軸部材が相対回転不能に接合される、請求項3記載のドアクローザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアクローザに関する。
【背景技術】
【0002】
ドアクローザは、ドアクローザ本体とアームを備えている。ドアクローザ本体は、主軸を備えている。主軸の上端部にアームが連結される。ドアクローザ本体は、例えば扉に取り付けられる。アームは扉枠とドアクローザ本体との間に配置される。扉が開閉する際に、主軸にはアームを介して大きな力が作用する。従って、主軸を支持している軸受けにも大きな力が作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5702678号公報
【文献】特許第5010972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、主軸の軸受けの耐久性を向上させることができるドアクローザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るドアクローザは、扉と扉枠のうちの一方に取り付けられるドアクローザ本体と、扉と扉枠のうちの他方とドアクローザ本体との間に配置されるアームと、を備え、ドアクローザ本体は、ハウジングと、上下方向の軸線を有し、アームと連結されて扉の開閉に伴って回転する主軸と、主軸を回転可能に支持する第一及び第二軸受けと、を備え、主軸は、アームが相対回転不能に連結され、ハウジングに第一軸受けを介して回転可能に支持された第一軸部材と、第一軸部材とは別体の構成であって第一軸部材の下側に設けられ、ハウジングに第二軸受けを介して回転可能に支持された第二軸部材と、を備え、第一軸受けの径方向内側の位置において、第一軸部材と第二軸部材が相対回転不能に接合されている。
【0006】
この構成によれば、第一軸受けの径方向内側の位置において、第一軸部材と第二軸部材が互いに相対回転不能に接合されているので、第一軸受けを大径化することが容易となる。大径の第一軸受けを用いることにより、第一軸受けの耐荷重が増え、第一軸受けの耐久性を向上させることができる。
【0007】
好ましくは、第一軸受けは、第二軸受けよりも径が大きい。この構成によれば、第二軸受けが相対的に小さいので、ドアクローザ本体の大型化を抑制できる。そして、第一軸受けが相対的に大きいので、第一軸受けの耐久性を向上させることができる。
【0008】
好ましくは、ドアクローザ本体は、主軸と一体に回転するピニオンギヤ及びカムを備え、第一軸部材は、下側に開口し、雌側回転阻止条を有する接合孔を有し、第二軸部材にピニオンギヤが設けられ、第二軸部材は、ピニオンギヤの上側に、雌側回転阻止条と係合する雄側回転阻止条が形成された軸部を有し、カムの内周面には、雄側回転阻止条と係合する雌側回転阻止条が形成され、カムは、軸部に上下方向に移動可能に装着され、第二軸部材の軸部が第一軸部材の接合孔に挿入され、第一軸部材とピニオンギヤによってカムの上下方向の移動が規制されている。
【0009】
この構成によれば、第二軸部材の軸部の雄側回転阻止条にカムの雌側回転阻止条が係合することにより、第二軸部材とカムの相対回転が阻止されて、第二軸部材とカムは一体となって回転する。また、第一軸部材の接合孔の雌側回転阻止条に第二軸部材の軸部の雄側回転阻止条が係合することにより、第一軸部材と第二軸部材の相対回転が阻止されて、第一軸部材と第二軸部材は一体となって回転する。第一軸部材とピニオンギヤによってカムの上下方向の移動が規制されるので、カムの上下方向の位置が安定する。カムが第二軸部材と別体の構成であるため、カムを容易に製造することができる。
【0010】
好ましくは、ハウジングは、ハウジングの内部とハウジングの外部とを連通し、雌ネジ部を有する連通孔を有し、ドアクローザ本体は、第一軸受けを保持し、連通孔の雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部を有する軸受けホルダを備え、軸受けホルダと第一軸受けと第一軸部材はユニット化されており、軸受けホルダがハウジングの連通孔に螺入されることにより、第一軸部材の接合孔に第二軸部材の軸部が相対的に挿入されて第一軸部材と第二軸部材が相対回転不能に接合される。
【0011】
この構成によれば、軸受けホルダと第一軸受けと第一軸部材がユニット化されているので、これらの部材を一纏めにしてハウジングに着脱することができる。そして、軸受けホルダをハウジングの連通孔に螺入することにより、第一軸部材と第二軸部材を接合させることができる。従って、組み立て性が向上する。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、主軸の軸受けの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態におけるドアクローザを示す縦断面図であって、開扉角度が0度の状態を示す。
【
図6】同ドアクローザのピストンとスライダを示す斜視図。
【
図7】同ドアクローザの縦断面図であって、開扉角度が90度の状態を示す。
【
図8】
図2に対応した断面図であって、開扉角度が90度の状態を示す。
【
図9】同ドアクローザの縦断面図であって、開扉角度が120度の状態を示す。
【
図10】
図2に対応した断面図であって、開扉角度が120度の状態を示す。
【
図11】同ドアクローザの縦断面図であって、開扉角度が180度の状態を示す。
【
図12】
図2に対応した断面図であって、開扉角度が180度の状態を示す。
【
図13】同ドアクローザの組み立て途中の状態を示す
図3に対応した断面図。
【
図14】同ドアクローザの組み立て途中の状態を示す
図3に対応した断面図。
【
図15】同ドアクローザの組み立て途中の状態を示す
図3に対応した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかるドアクローザについて
図1~
図15を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるドアクローザは、
図1に示すように、ドアクローザ本体1と取付板2とアーム3を備えている。ドアクローザは、スライド型のものである。ドアクローザ本体1は、扉あるいは扉枠に取り付けられる。扉は、例えば上下方向の軸線まわりに回動する。例えば扉にドアクローザ本体1が取り付けられる場合には、扉枠には左右方向(水平方向)に延びる図示しないレールが取り付けられる。本実施形態のドアクローザは、コンシールドタイプのものである。ドアクローザ本体1は、扉の内部に配置される。ドアクローザ本体1は、取付板2を介して扉にネジ止めされる。取付板2は、ドアクローザ本体1の上面にネジ止めされている。尚、左右方向は、扉の面に沿った方向であって、扉の回転中心に対して径方向である。また、前後方向は、扉の面に対して法線方向である。
【0015】
図1~
図5は、扉が全閉状態のときのドアクローザを示している。ドアクローザ本体1は、ハウジング10と、主軸11と、ピストン12と、第一及び第二カム13a,13bと、ピニオンギヤ14と、第一及び第二コロ15a,15bと、スライダ16と、メインコイルバネ17と、サブコイルバネ18と、バネ力調整機構19とを備えている。第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16は、カムフォロアである。
【0016】
ハウジング10は、全体として、左右方向に長い横長の直方体形状である。尚、
図1において、向かって右側を単に右側と称し、向かって左側を単に左側と称する。本実施形態において、扉の回動中心は、ドアクローザ本体1に対して左側に位置するが、右側に位置してもよい。
【0017】
ハウジング10は、左右方向に延びる一つの収容室20を有している。収容室20に、ピストン12と第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18が配置されている。収容室20の左右両端部にはそれぞれエンドキャップ21,22が装着されている。収容室20には作動油が入れられている。取付板2は、ハウジング10にネジ止めされている。ハウジング10の内面は、収容室20の壁面20aである。収容室20の壁面20aは、主軸11の近傍を除いて断面視円形の周面である。収容室20は、左右方向に延びる中心線を有している。
図2ような平面視において、収容室20の中心線上に、主軸11とピストン12と第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18が配置されている。従って、主軸11とピストン12と第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18は、平面視において、左右方向に沿った同一線上に位置している。また、
図1のような側面視あるいは正面視において、ピストン12とスライダ16とメインコイルバネ17とサブコイルバネ18は、左右方向に沿った同一線上に位置していて、上下方向において同一高さにある。尚、第一及び第二コロ15a,15bの上下方向の中央部は、収容室20の中心線上に位置している。
【0018】
主軸11は、ハウジング10に回転可能に支持されている。主軸11は、
図1のようにハウジング10の左右方向の中央よりも左側に偏って配置されている。主軸11は、
図2のように、ハウジング10の前後方向の略中央に位置している。主軸11は、上下方向の軸線まわりに回転する。主軸11の上端部は、ハウジング10から上方に突出していると共に取付板2からも上方に突出している。その主軸11の上端部に、アーム3の第一端部が相対回転不能に取り付けられている。アーム3の第二端部は、上述したレールに係合している。扉が回動すると、アーム3の第二端部がレールに案内されつつ左右方向にスライドする。扉の開閉動作に伴って、主軸11はアーム3と共に回転する。
【0019】
ハウジング10の天面部と底面部にはそれぞれ第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24が取り付けられている。第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24は、それぞれ円筒状である。ハウジング10の天面部には、第一連通孔27が形成されている。第一連通孔27は、上側に開口している。第一連通孔27は、収容室20とハウジング10の外部とを連通する。第一連通孔27は上下方向の軸線を有している。第一連通孔27には雌ネジ部が形成されている。第一軸受けホルダ23の外周面には雄ネジ部が形成されている。第一軸受けホルダ23は、第一連通孔27に上側から螺入されている。同様に、ハウジング10の底面部には、第二連通孔28が形成されている。第二連通孔28は、下側に開口している。第二連通孔28は、収容室20とハウジング10の外部とを連通する、第二連通孔28は上下方向の軸線を有している。第二連通孔28には雌ネジ部が形成されている。第二軸受けホルダ24の外周面には雄ネジ部が形成されている。第二軸受けホルダ24は、第二連通孔28に下側から螺入されている。第一連通孔27と第二連通孔28は、同軸上に位置し、第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24は、同軸上に位置している。
【0020】
第一軸受けホルダ23は、その内周面に第一軸受け25を保持している。第二軸受けホルダ24は、その内周面に第二軸受け26を保持している。第一及び第二軸受け25,26は、ニードルベアリングであることが好ましく、特に、総コロタイプのニードルベアリングであることが好ましい。第一軸受け25は、第二軸受け26よりも大径である。主軸11は、第一軸受けホルダ23と第二軸受けホルダ24にそれぞれ第一軸受け25と第二軸受け26を介して回転可能に支持されている。主軸11の下端部は、第二軸受けホルダ24から下側に突出していない。主軸11の上端部は、第一軸受けホルダ23から上側に所定長さ突出している。
【0021】
主軸11の詳細について更に説明する。
図3及び
図13~
図15のように、主軸11は、第一軸部材30と第二軸部材31を備えている。第一軸部材30と第二軸部材31は、互いに別体である。主軸11は、上下二分割の構成となっている。第一軸部材30と第二軸部材31は、互いに上下に連結されている。第一軸部材30と第二軸部材31は、相対回転できない。
【0022】
<第一軸部材30>
第一軸部材30は、第一軸受け25を介して第一軸受けホルダ23に回転可能に支持されている。第一軸部材30の下部が第一軸受けホルダ23に支持され、第一軸部材30の上部は第一軸受けホルダ23から上側に突出している。第一軸部材30の上端部が主軸11の上端部である。第一軸部材30の上端部にアーム3が固定されている。第一軸部材30の上端面には、ネジ孔300が形成されている。ネジ孔300に、アーム3を第一軸部材30に取り付けるためのネジ301が螺合している。ネジ孔300は所定の深さを有していて、非貫通の孔である。第一軸部材30の上端部には、段差部30bを介して一段細く形成された係合軸部30aが形成されている。アーム3には、貫通した係合孔3aが形成されている。係合軸部30aは、正方形状の四角柱であり、アーム3の係合孔3aは、正方形状の四角孔である。アーム3の係合孔3aに、係合軸部30aが係合している。尚、係合軸部30aが上側が細くなる正四角錐台形状であり、アーム3の係合孔3aが下側に向けて拡開したテーパ形状の正四角孔であることが好ましい。このように係合軸部30aと係合孔3aがテーパ形状である場合は、アーム3が係合軸部30aにガタツキ少なく、しっかりと固定される。この場合、アーム3の下面と第一軸部材30の段差部30bとの間には若干の隙間が形成される。
【0023】
第一軸部材30は、第一軸受けホルダ23よりも下側に突出している。第一軸部材30の下端面は、第一軸受けホルダ23の下端面よりも下側に位置している。第一軸部材30は、下側に開口する接合孔302を有している。接合孔302は、第一軸部材30の下端面に開口している。接合孔302は、上下方向に沿っている。接合孔302は、ネジ孔300と連通していない。接合孔302は、第一軸受け25の径方向内側に位置している。接合孔302の上端部の位置は、第一軸受け25の上端部と略同じ高さであるか、あるいは、第一軸受け25の上端部よりも高い。接合孔302の壁面には、上下方向に沿って延びる縦セレーション32aが形成されている。この縦セレーション32aは、雌側回転阻止条である。縦セレーション32aは、接合孔302の壁面の略全長に亘って形成されている。
【0024】
<第二軸部材31>
第二軸部材31は、第二軸受け26を介して第二軸受けホルダ24に回転可能に支持されている。第二軸部材31の下部が第二軸受けホルダ24に支持されている。第二軸部材31は、第二軸受けホルダ24から下側に突出していない。第二軸部材31には、第一及び第二カム13a,13bと、ピニオンギヤ14が設けられている。第一及び第二カム13a,13bとピニオンギヤ14は、収容室20内に位置している。
【0025】
第一及び第二カム13a,13bは、互いに上下に離間して配置されている。ピニオンギヤ14は第一カム13aと第二カム13bの間に位置している。第一及び第二カム13a,13bは、ピニオンギヤ14に対して上下対称に配置されている。第一及び第二カム13a,13bは同一形状である。第一カム13aは、ピニオンギヤ14の上側に配置され、第二カム13bは、ピニオンギヤ14の下側に配置されている。
【0026】
第一及び第二カム13a,13bは、第二軸部材31とは別体である。但し、第一及び第二カム13a,13bが第二軸部材31に一体的に形成されていてもよい。ピニオンギヤ14は、第二軸部材31に一体的に形成されている。但し、ピニオンギヤ14が第二軸部材31と別体の構成であってもよい。
【0027】
ピニオンギヤ14は、第二軸部材31の上下方向の中間部に位置している。ピニオンギヤ14は、外周面の全周のうち所定角度範囲のみに歯部を有しており、その他の領域には歯部が形成されていない。即ち、ピニオンギヤ14の外周面は、歯部が形成された歯部形成領域と、歯部が形成されずに滑面とされた歯部非形成領域とに区分される。ピニオンギヤ14は、収容室20の上下方向の略中央に位置している。
【0028】
第二軸部材31は、ピニオンギヤ14から上側に延びる上軸部310と、ピニオンギヤ14から下側に延びる下軸部311とを有している。上軸部310の外周面には、縦セレーション32bが形成されている。この縦セレーション32bは、雄側回転阻止条である。縦セレーション32bは、上軸部310の基端部を除いて上軸部310の略全長に亘って形成されている。上軸部310に第一カム13aが相対回転不能に装着されている。第一カム13aの内周面には縦セレーション32cが形成されている。縦セレーション32cは、雌側回転阻止条である。第一カム13aの縦セレーション32cが上軸部310の縦セレーション32bと係合している。第一カム13aは、上軸部310に上下方向に移動可能に装着されている。ピニオンギヤ14は上軸部310よりも大径である。第一カム13aの下端面は、ピニオンギヤ14の上端面に当接している、あるいは、ピニオンギヤ14の上端面と僅かな隙間を介して対峙している。上軸部310は第一軸部材30の接合孔302に挿入されている。上軸部310は、第一軸受け25の径方向内側の位置まで挿入されている。上軸部310の縦セレーション32bが接合孔302の縦セレーション32aと係合している。これにより、第一軸部材30と第二軸部材31が相対回転不能に接合されている。第一軸部材30の下端面は、第一カム13aの上端面と当接している、あるいは、第一カム13aの上端面と僅かな隙間を介して対峙している。第一軸部材30の下端面とピニオンギヤ14の上端面とにより第一カム13aの上下方向の移動が規制されている。
【0029】
下軸部311の上部には、上下方向に沿った縦セレーション33bが形成されている。縦セレーション33bは、雄側回転阻止条である。上軸部310の縦セレーション32bと下軸部311の縦セレーション33bは、同一径である。下軸部311の縦セレーション33bに第二カム13bが装着されている。第二カム13bの内周面には縦セレーション33aが形成されている。縦セレーション33aは、雌側回転阻止条である。第二カム13bの縦セレーション33aが下軸部311の縦セレーション33bと係合している。第二カム13bは、下軸部311に上下方向に移動可能に装着されている。第二カム13bは、縦セレーション33a,33bにより、下軸部31の上部に相対回転不能に装着されている。下軸部311の下部は、第二軸受け26を介して第二軸受けホルダ24に回転可能に支持されている。
【0030】
第一軸受けホルダ23と第一軸受け25と第一軸部材30はユニット化されている。このユニットを上部ユニットと称する。上部ユニットには、作動油のハウジング10の外部への漏れ出しを防止するためのシール部材34,35が含まれている。第一軸受けホルダ23と第一軸受け25と第一軸部材30は、一括してハウジング10に着脱可能である。
図13~
図15に組み立て途中の状態を示している。
図13は、上部ユニットをハウジング10に取り付ける前の状態、あるいは、ハウジング10から上部ユニットを取り外した状態である。
図14は、上部ユニットをハウジング10に取り付けている途中の状態である。第一軸受けホルダ23をハウジング10の第一連通孔27に螺入していくと、第一軸部材30の接合孔302に第二軸部材31の上軸部310が相対的に挿入される。第一軸部材30の接合孔302の縦セレーション32aと第二軸部材31の上軸部310の縦セレーション32bが自動的に係合する。
図15は、上部ユニットをハウジング10に完全に取り付けた状態である。
図15においては、取付板2はハウジング10に取り付けられておらず、アーム3は主軸11に取り付けられていない。
【0031】
第一及び第二カム13a,13bは、開扉動作時にはメインコイルバネ17を圧縮させ、閉扉動作時にはメインコイルバネ17からその弾性復元力を受ける。メインコイルバネ17の弾性復元力は、第一及び第二カム13a,13bを介して主軸11に伝達されて扉を閉じるための閉じ力となる。第一及び第二カム13a,13bは、その外周面をカム面とする板カムである。扉の開閉動作において、第一及び第二カム13a,13bの全周のうち所定角度領域のみが使用される。
【0032】
第一及び第二カム13a,13bの右側に、上下一対の第一及び第二コロ15a,15bと、スライダ16が配置されている。第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16は、メインコイルバネ17と第一及び第二カム13a,13bとの間に位置している。第一及び第二コロ15a,15bは、スライダ16の左側に位置している。第一及び第二コロ15a,15bは、第一及び第二カム13a,13bに対応して上下に配置されている。第一及び第二コロ15a,15bは、それぞれ第一及び第二カム13a,13bと当接している。第一及び第二コロ15a,15bは、支軸40に回転可能に支持されている。支軸40は、上下方向に沿った軸線を有している。支軸40は、スライダ16の左部に固定されている。第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16は、支軸40を介して連結されていて、一体となって左右方向に移動する。
【0033】
スライダ16は、
図6にも示しているように、スライダ主部50と軸取付部51とを有している。スライダ主部50は、円筒状である。スライダ主部50の右端部は開口している。スライダ主部50の左端部は閉口している。スライダ主部50の右端部には、径方向外側に向けてフランジ部52が突設されている。フランジ部52は全周に亘って形成されている。従って、フランジ部52は環状である。フランジ部52の外周面は、収容室20の壁面20aに当接している。フランジ部52の外周面は、収容室20の壁面20aに支持されている。スライダ16が移動する際、フランジ部52の外周面は、収容室20の壁面20aに案内されて、収容室20の壁面20aを左右方向に摺動する。フランジ部52よりも左側であってスライダ主部50の上部と下部には、それぞれ左右方向に沿って長い長孔53が形成されている。軸取付部51は、スライダ主部50の左端部から左側に向けて突設されている。軸取付部51は、上下方向を板厚方向とする板状である。軸取付部51に上下方向に沿って貫通孔54が形成されている。その貫通孔54に、上述の支軸40が挿入されている。支軸40は、軸取付部51に固定されている。第一及び第二コロ15a,15bは、軸取付部51の上側と下側に上下対称に配置されている。
【0034】
スライダ16の右側にメインコイルバネ17が配置されている。メインコイルバネ17は、扉を閉じるための閉じ力を発生させる。メインコイルバネ17は、スライダ16、第一及び第二コロ15a,15b及び第一及び第二カム13a,13bを左側に付勢している。メインコイルバネ17は、圧縮バネである。メインコイルバネ17は、スライダ16とバネ押さえ60との間に介装されている。メインコイルバネ17の左端部はスライダ主部50の右端面に当接しており、メインコイルバネ17の右端部はバネ押さえ60に当接している。バネ押さえ60は、メインコイルバネ17の右側に位置している。バネ押さえ60は、収容室20の壁面20aに案内されて左右方向に移動可能である。バネ押さえ60を調整軸61が左右方向に貫通している。調整軸61は、雄ネジ部を有し、バネ押さえ60の雌ネジ部に螺合している。調整軸61を回転させることによりバネ押さえ60を左右方向に移動させることができる。バネ押さえ60が左側に移動するとメインコイルバネ17が圧縮されてバネ力が強くなる。逆に、バネ押さえ60が右側に移動するとメインコイルバネ17の圧縮量が減少してバネ力が弱くなる。
【0035】
調整軸61は右側のエンドキャップ22を貫通している。調整軸61は、エンドキャップ22に回転可能に支持されている。調整軸61の右端部はエンドキャップ22の外側に突出していて、その右端部に第一調整ギヤ62が取り付けられている。第一調整ギヤ62は第二調整ギヤ63と噛み合っている。第二調整ギヤ63は、取付板2の下側に位置している。取付板2に操作軸64が回転可能に支持されている。操作軸64の下端部に第二調整ギヤ63が取り付けられている。取付板2の上側から操作軸64を回転操作することにより、第二調整ギヤ63を回転させることができる。第二調整ギヤ63を介して第一調整ギヤ62を回転させることにより、調整軸61を回転させてバネ押さえ60を移動させることができる。本実施形態において、バネ押さえ60、調整軸61、第一調整ギヤ62、第二調整ギヤ63、及び、操作軸64により、バネ力調整機構19が構成されている。
【0036】
ピストン12は、閉扉動作を緩衝する。ピストン12は、閉扉動作時に作動油を図示しない流量制御流路に押し流すことにより、閉扉動作を緩衝する。ピストン12は、左端部に第一ヘッド部70を有している。第一ヘッド部70は、主軸11よりも左側に位置している。第一ヘッド部70は左右方向を軸線とする円柱状である。第一ヘッド部70の外周面は、収容室20の壁面20aと略同一径である。第一ヘッド部70の外周面は、収容室20の壁面20aに支持されている。ピストン12が移動する際、第一ヘッド部70の外周面は収容室20の壁面20aと摺動する。第一ヘッド部70の中心部分には軸線方向(左右方向)に沿って貫通孔71が形成されている。この貫通孔71には逆止弁が設けられている。開扉動作時にピストン12は右側に移動する。開扉動作時に逆止弁の弁体であるボール72が左側に移動して弁を開き、作動油は貫通孔71を挿通できる。一方、閉扉動作時にはピストン12は左側に移動する。閉扉動作時には逆止弁のボール72が作動油の油圧によって右側に押されて貫通孔71を閉じ、作動油は貫通孔71を挿通できない。閉扉動作時にピストン12によって左側に押される作動油は、迂回路である流量制御流路に押し込まれる。作動油は、流量制御流路を通って第一ヘッド部70よりも右側の領域に移動する。流量制御流路には、流量制御流路を流れる作動油の流量を制御するための図示しない調整弁が配置されている。調整弁はハウジング10の上側から調整可能である。流量制御流路を流れる作動油の流量を制御することにより、閉扉動作時の緩衝の程度を調整することができる。
【0037】
ピストン12は、第一ヘッド部70の右側に、前後一対の腕部73を有している。一対の腕部73は互いに平行である。腕部73の外面は、断面視円弧状の曲面である。腕部73の外面は、その一部が収容室20の壁面20aと摺動する。腕部73は、左右方向に沿って直線状に延びている。腕部73は、主軸11を右側に越えて延びている。一方の腕部73の内面にラック74が形成されている。ラック74はピニオンギヤ14と噛み合っている。扉の開閉動作に伴って主軸11が回転すると、ピニオンギヤ14は、ピストン12を左右方向に移動させる。扉の開閉動作に伴って主軸11が回転すると、第一及び第二コロ15a,15b及びスライダ16とピストン12は何れも同じ方向に移動する。その移動量は、ピストン12の方が第一及び第二コロ15a,15b及びスライダ16よりも大きい。そして、ピストン12は、第一及び第二コロ15a,15b及びスライダ16に対して、開扉動作時には相対的に右側に大きく移動し、閉扉動作時には相対的に左側に大きく移動する。
【0038】
ピストン12は、右端部に第二ヘッド部75を有している。腕部73は、第二ヘッド部75まで延びている。腕部73は、第一ヘッド部70と第二ヘッド部75を連結している。第二ヘッド部75は、円筒状である。第二ヘッド部75は、左右方向に沿った中心線を有している。第二ヘッド部75の外周面は、収容室20の壁面20aと略同一径である。第二ヘッド部75の外周面は収容室20の壁面20aに支持されており、ピストン12が移動する際、第二ヘッド部75の外周面は収容室20の壁面20aを摺動する。第二ヘッド部75の内側にスライダ16が部分的に入り込んでいる。スライダ16の軸取付部51とスライダ主部50が第二ヘッド部75の内側に右側から進入している。スライダ主部50の径方向外側に、第二ヘッド部75が被せられている。第二ヘッド部75の内周面は、スライダ16のスライダ主部50の外周面と略同一径である。スライダ主部50の外周面は、第二ヘッド部75の内周面に支持されている。スライダ主部50の外周面は、第二ヘッド部75によって支持される被支持面であり、第二ヘッド部75の内周面は、スライダ主部50の外周面を支持する支持面である。
【0039】
一対の腕部73の右部の内面には、それぞれ第二ヘッド部75の内周面と同一径の円弧状面76が形成されている。円弧状面76は、第二ヘッド部75の内周面と連続している。スライダ主部50の外周面は、第二ヘッド部75の内周面と腕部73の円弧状面76によって径方向外側から支持される。即ち、第二ヘッド部75の内周面と腕部73の円弧状面76は、スライダ16の外周面を支持する支持面である。ピストン12はスライダ16に対して同一方向に相対移動するが、その際、第二ヘッド部75の内周面と腕部73の円弧状面76は、スライダ主部50の外周面と摺動する。
図2のように、第二ヘッド部75と腕部73の右部は、スライダ16の中心線に対して、第一及び第二コロ15a,15bあるいはスライダ16の径方向外側に位置し、扉の開閉時に第一及び第二コロ15a,15bあるいはスライダ16とハウジング10の収容室20の壁面20aとの間を、左右方向且つ同一方向に相対移動する。ピストン12は、第一及び第二コロ15a,15bの一部とスライダ16の径方向外側に位置しており、ピストン12と第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16は、
図2のような平面視において、径方向の内外に二重構造となっている。
【0040】
図5及び
図6のように第二ヘッド部75は、上下方向に貫通する貫通孔77を有している。この第二ヘッド部75の貫通孔77に支持ピン78が挿入固定されている。支持ピン78は、スライダ主部50の上下一対の長孔53を上下方向に挿通している。支持ピン78により、ピストン12に対するスライダ16の相対回転が阻止されている。ピストン12がスライダ16に対して相対移動する際、支持ピン78はスライダ16の長孔53を左右方向に移動する。
【0041】
メインコイルバネ17の内側に、サブコイルバネ18が同軸状に配置されている。サブコイルバネ18は、メインコイルバネ17よりも小径であって且つバネ力が弱い。サブコイルバネ18は圧縮バネである。サブコイルバネ18の左端部はスライダ主部50の内側に挿入されている。サブコイルバネ18の左端部は第二ヘッド部75の支持ピン78に当接している。調整軸61の左端部にはバネ押さえ用のフランジ部61aが形成されている。サブコイルバネ18の右端部は調整軸61のフランジ部61aに当接している。即ち、サブコイルバネ18は、支持ピン78と調整軸61のフランジ部61aとの間に介装されている。サブコイルバネ18は、支持ピン78を介してピストン12を左側に付勢している。ピストン12は、開扉動作時にサブコイルバネ18を圧縮させ、閉扉動作時にはサブコイルバネ18からその弾性復元力を受ける。サブコイルバネ18の弾性復元力はピストン12を介して主軸11に伝達されて閉じ力となる。閉じ力は、メインコイルバネ17の弾性復元力とサブコイルバネ18の弾性復元力の合力となる。尚、メインコイルバネ17の弾性復元力は、サブコイルバネ18の弾性復元力よりも大きい。
【0042】
収容室20には発泡ゴム65が収容されている。発泡ゴム65は、作動油の温度上昇による膨張を吸収するためのものである。発泡ゴム65は例えば棒状である。発泡ゴム65は例えばサブコイルバネ18の内側に配置される。
【0043】
図7~
図12に扉を開いた状態を示している。
図7及び
図8は扉を90度まで開いたときの状態を示している。
図9及び
図10は扉を120度まで開いたときの状態を示している。
図11及び
図12は扉を180度まで開いたときの状態を示している。扉を開いていくと、アーム3と共に主軸11が回転して、第一及び第二カム13a,13bによって第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16は右側に移動する。スライダ16が右側に移動することによりメインコイルバネ17が押されて圧縮される。第一及び第二カム13a,13bによってメインコイルバネ17が圧縮されるので、カム面を設定することにより、所定の開扉角度まで扉を開いた後は軽い力で扉を開くことができる。
【0044】
一方、ピニオンギヤ14とラック74によってピストン12も同じく右側に移動する。ピストン12が右側に移動することにより、サブコイルバネ18が押されて圧縮される。ピストン12と第一及び第二コロ15a,15b及びスライダ16は同一方向に移動するが、ピストン12の移動速度はスライダ16の移動速度よりも全体として速く、ピストン12の移動量はスライダ16の移動量よりも大きい。そのため、ピストン12は、第一及び第二コロ15a,15b及びスライダ16よりも相対的に大きく右側に移動する。尚、サブコイルバネ18の圧縮量はメインコイルバネ17の圧縮量よりも大きい。ピストン12の移動速度が全区間のうち一部の区間においてスライダ16の移動速度よりも遅くても、ピストン12の移動速度がスライダ16の移動速度よりも全体として速ければよい。
【0045】
扉が120度まで開くと、
図10のように、ピニオンギヤ14の歯部がラック74から外れる。即ち、ピニオンギヤ14とラック74との噛み合いが終了する。そのため、それ以上扉が開いて主軸11が回転しても、ピニオンギヤ14は空転し、ピストン12は右側には移動せず、それ以上サブコイルバネ18は圧縮されない。従って、サブコイルバネ18は過度に圧縮されない。また、開扉角度が120度から180度の範囲において、第一及び第二カム13a,13bのカム面は略一定半径となり、第一及び第二コロ15a,15bとスライダ16はほとんど右側には移動せず、メインコイルバネ17はほとんど圧縮されない。従って、扉を120度から180度まで楽に開くことができる。また、メインコイルバネ17が過度に圧縮されない。また、ピニオンギヤ14の外周面の歯部非形成領域がラック74の左端の最終歯に当接し続けるので、ピストン12の左側への戻り移動も阻止される。
【0046】
一方、180度まで開いた扉を閉じる場合には、人が扉を手動で操作して扉を120度まで閉じる。扉の開扉角度が180度から120度までの範囲においては、サブコイルバネ18はピストン12を付勢しているが、ピニオンギヤ14の歯部がラック74に噛み合っていないので、ピストン12は左側には移動しない。扉が120度まで閉じると、ピニオンギヤ14の歯部がラック74と噛み合い始め、ピストン12は左側への移動を開始する。それと同時に、サブコイルバネ18の弾性復元力がラック74とピニオンギヤ14を介して主軸11に伝わり、メインコイルバネ17と共に主軸11を回転させる。そのため、大きな閉じ力が得られる。また、第一及び第二カム13a,13bを備えているので、全閉直前において大きな閉じ力が得られる。更に、ピストン12の大きな移動量によって、十分な量の作動油を流量制御流路に押し流すことができ、緩衝機能の調整が容易である。
【0047】
以上のように、第一軸受け25の径方向内側の位置において、第一軸部材30と第二軸部材31が互いに相対回転不能に接合されている。第一軸受け25の径方向内側の位置において、第二軸部材31の上軸部310が第一軸部材30の接合孔302に挿入されている。そのため、第一軸受け25を大径化することができ、第一軸受け25の耐久性を向上させることができる。特に、第一軸受け25は、第二軸受け26よりも径が大きい。そのため、ドアクローザ本体1の大型化が抑制され、第一軸受け25の耐久性が向上する。また、ドアクローザ本体1の上下方向の寸法が過度に大きくなることを抑制することができる。第一軸部材30と第二軸部材31が別部材であって且つ縦セレーション32a,32bによって接合されているため、第一軸部材30のみを容易に交換できる。
【0048】
第一軸部材30の下端面とピニオンギヤ14の上端面によって第一カム13aの上下方向の移動が規制されている。そのため、第一カム13aの挙動が安定する。ピニオンギヤ14の上下にそれぞれ第一及び第二カム13a,13bが配置されているので、主軸11の回転がピストン12の移動と第一及び第二コロ15a,15b及びスライダ16の移動にスムーズに変換される。
【0049】
第一軸受けホルダ23と第一軸受け25と第一軸部材30はユニット化されている。そのため、上部ユニットをハウジング10に容易に着脱でき、組み立て性が向上する。特に、第一軸受け25が総コロタイプのニードルベアリングの場合には、ニードルベアリングのコロの脱落を容易に防止することができる。
【0050】
尚、本実施形態では、第二軸部材31に、第一及び第二カム13a,13bが設けられていたが、一つのカムのみが設けられていてもよい。また、第二軸部材31に、カムとピニオンギヤ14のうち何れか一方のみが設けられていてもよい。
【0051】
尚、上記実施形態では、コンシールドタイプのドアクローザを例示したが、扉の外面に取り付けられる構成であてもよい。また、スライド型のものではなく、リンク機構を備えるものであってもよい。即ち、リンク機構がアーム3と図示しない第二アームとを備えるものであってもよい。その場合、アーム3の第二端部が第二アームの第一端部に回動可能に連結される。扉枠には図示しないブラケットが取り付けられる。第二アームの第二端部はブラケットに回動可能に連結される。
【符号の説明】
【0052】
1 ドアクローザ本体
2 取付板
3 アーム
3a 係合孔
10 ハウジング
11 主軸
12 ピストン
13a 第一カム
13b 第二カム
14 ピニオンギヤ
15a 第一コロ
15b 第二コロ
16 スライダ
17 メインコイルバネ
18 サブコイルバネ
19 バネ力調整機構
20 収容室
20a 壁面
21 左側のエンドキャップ
22 右側のエンドキャップ
23 第一軸受けホルダ
24 第二軸受けホルダ
25 第一軸受け
26 第二軸受け
27 第一連通孔
28 第二連通孔
30 第一軸部材
30a 係合軸部
30b 段差部
31 第二軸部材
32a 縦セレーション(雌側回転阻止条)
32b 縦セレーション(雄側回転阻止条)
32c 縦セレーション(雌側回転阻止条)
33a 縦セレーション(雌側回転阻止条)
33b 縦セレーション(雄側回転阻止条)
34 シール部材
35 シール部材
40 支軸
50 スライダ主部
51 軸取付部
52 フランジ部
53 長孔
54 軸取付部の貫通孔
60 バネ押さえ
61 調整軸
61a フランジ部
62 第一調整ギヤ
63 第二調整ギヤ
64 操作軸
65 発泡ゴム
70 第一ヘッド部
71 貫通孔
72 ボール
73 腕部
74 ラック
75 第二ヘッド部
76 円弧状面
77 第二ヘッド部の上下方向の貫通孔
78 支持ピン
300 ネジ孔
301 ネジ
302 接合孔
310 上軸部
311 下軸部