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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】アクチュエータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/044 20060101AFI20231023BHJP
   F15B 11/042 20060101ALI20231023BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20231023BHJP
   E02F 9/22 20060101ALN20231023BHJP
【FI】
F15B11/044
F15B11/042
F15B11/08 A
E02F9/22 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019237113
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105421
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-149402(JP,A)
【文献】特開平04-083904(JP,A)
【文献】特開2019-124227(JP,A)
【文献】特開2007-064446(JP,A)
【文献】特開2006-125566(JP,A)
【文献】特開平11-201104(JP,A)
【文献】特開平08-114203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/042-11/044
F15B 11/08
F15B 11/00
F15B 11/028
F15B 13/043-11/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パイロット圧又は第2パイロット圧により作動流体をアクチュエータの一方の流体圧室からタンクへ排出するメータアウト弁と、
前記第1パイロット圧又は前記第2パイロット圧により作動流体源からの前記作動流体を前記アクチュエータの他方の流体圧室へ出力するメータイン弁と、
前記第1パイロット圧及び前記第2パイロット圧の少なくとも一方に基づいて、前記第1パイロット圧及び前記第2パイロット圧の一方を前記メータアウト弁に出力し他方を前記メータイン弁に出力するように切り替えられる切替機構と、
を備えるアクチュエータ制御装置。
【請求項2】
前記切替機構は、前記メータアウト弁の移動により切り替えられる、
請求項1に記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項3】
前記切替機構は、前記第1パイロット圧を前記メータアウト弁に出力する第1位置又は前記第1パイロット圧を前記メータイン弁に出力する第2位置に切り替えられる第1セレクタ弁と、前記第2パイロット圧を前記メータイン弁に出力する第3位置又は前記第2パイロット圧を前記メータアウト弁に出力する第4位置に切り替えられる第2セレクタ弁と、を備える、
請求項1又は2に記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項4】
前記切替機構は、前記第2パイロット圧が供給されていないときに前記第1パイロット圧を受けたことに応じて、前記第1セレクタ弁を前記第1位置に切り替え前記第2セレクタ弁を前記第3位置に切り替える、
請求項3に記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項5】
前記切替機構は、前記第1パイロット圧が供給されていないときに前記第2パイロット圧を受けたことに応じて、前記第1セレクタ弁を前記第2位置に切り替え前記第2セレクタ弁を前記第4位置に切り替える、
請求項3に記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項6】
前記メータイン弁は、前記第1パイロット圧又は前記第2パイロット圧に応じて前記作動流体を前記アクチュエータに出力する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記メータアウト弁は、前記第1パイロット圧又は前記第2パイロット圧に応じて前記作動流体を前記アクチュエータから排出する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記メータイン弁は、前記アクチュエータと第1作動流体源及び第2作動流体源との間に設けられている、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項9】
前記メータイン弁は、前記第1作動流体源及び前記第2作動流体源のいずれか一方から前記作動流体を前記アクチュエータに出力する位置と前記第1作動流体源及び前記第2作動流体源の両方から前記作動流体を前記アクチュエータに出力する位置との間で切り替えられる、
請求項8に記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項10】
第1電磁比例弁と、
第2電磁比例弁と、
前記第1電磁比例弁から出力される第1パイロット圧によりアクチュエータの一方の流体圧室から作動流体をタンクへ排出する第1排出位置に切り替えられ、前記第2電磁比例弁から出力される第2パイロット圧により前記アクチュエータの他方の流体圧室から作動流体をタンクへ排出する第2排出位置に切り替えられるメータアウト弁と、
前記第1パイロット圧により作動流体源からの作動流体をアクチュエータの一方の流体圧室に供給する第1連通位置に切り替えられ、前記第2パイロット圧により作動流体源からの作動流体をアクチュエータの他方の流体圧室に供給する第2連通位置に切り替えられるメータイン弁と、
前記第1パイロット圧を前記メータアウト弁に供給する第1位置又は前記第1パイロット圧を前記メータイン弁に供給する第2位置に切り替えられる第1セレクタ弁及び前記第2パイロット圧を前記メータイン弁に供給する第3位置又は前記第2パイロット圧を前記メータアウト弁に供給する第4位置に切り替えられる第2セレクタ弁を備え、前記メータアウト弁の移動により前記第1セレクタ弁の前記第1位置から前記第2位置への切り替え又は前記第2セレクタ弁の前記第4位置から前記第3位置への切り替えを行う切替機構と、
を備えるアクチュエータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータの作動を制御するアクチュエータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作動流体によって駆動されるアクチュエータは、建設機械等の様々な機械において用いられている。作動流体によって駆動されるアクチュエータは、例えば油圧シリンダ等の流体圧シリンダである。建設機械が備える流体圧シリンダとして、ブームを駆動するブームシリンダ、アームを駆動するアームシリンダ、及びバケットを駆動するバケットシリンダがある。
【0003】
アクチュエータの作動を制御する従来のアクチュエータ制御装置は、当該アクチュエータと作動流体源及びタンクとの間に設けられたコントロール弁を有する。コントロール弁は、軸方向に移動可能な単一のスプールを備えている。このスプールの軸方向における位置に応じて流体圧シリンダへ供給する作動流体の流量及び流体圧シリンダから排出される作動流体の流量を調整するメータイン・メータアウト制御が行われる。単一のスプールを有するコントロール弁によりメータイン・メータアウト制御を行う従来のアクチュエータ制御装置は、例えば、特開2003-269411号公報に開示されている。
【0004】
単一のスプールによってメータイン・メータアウト制御を適切に行うためには、当該スプールの外表面の適切な位置に軸周りの周方向に延びる溝(「絞り」ともいわれる。)を設ける必要がある。スプールにおける絞りの位置や大きさは、スプールの試作品で制御対象のアクチュエータを実際に作動させることで取得される試験データを用いて調整される。試作品の製作は、通常、複数回行う必要がある。
【0005】
上記のように、単一のスプールによってメータイン・メータアウト制御を行うアクチュエータ制御装置には、スプールに適切な絞りを設けることが難しいという問題がある。そこで、複数のスプールの位置を独立して制御することでメータイン制御及びメータアウト制御を行うIMV(Independent Metering Valve)方式のアクチュエータ制御装置が提案されている。従来のIMV方式のアクチュエータ制御装置は、特開2001-003905号公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-269411号公報
【文献】特開2001-003905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
IMVを採用した従来のアクチュエータ制御装置は、メータイン制御を行うための2本のスプールと、メータアウト制御を行うための2本のスプールと、これら4本のスプールの位置を独立して制御するための4つの電磁比例弁とを備える。つまり、従来のIMV方式のアクチュエータ制御装置は、4本のスプールと4つの電磁比例弁を有している。
【0008】
本開示の目的は、上述した従来の問題の少なくとも一部を緩和又は解決することである。具体的な本開示の目的の一つは、メータイン・メータアウト制御を行うアクチュエータ制御装置をより簡素な構成で実現することである。本開示の上記以外の目的は、本明細書の記載全体を通じて明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるアクチュエータ制御装置は、第1パイロット圧又は第2パイロット圧により作動流体をアクチュエータの第1流体圧室からタンクへ排出するメータアウト弁と、前記第1パイロット圧又は前記第2パイロット圧により作動流体源からの前記作動流体を前記アクチュエータの第2流体圧室へ出力するメータイン弁と、前記第1パイロット圧及び前記第2パイロット圧の少なくとも一方に基づいて、前記第1パイロット圧及び前記第2パイロット圧の一方を前記メータアウト弁に出力し他方を前記メータイン弁に出力するように切り替えられる切替機構と、を備える。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記切替機構は、前記メータアウト弁の移動により切り替えられる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記切替機構は、前記第1パイロット圧を前記メータアウト弁に出力する第1位置又は前記第1パイロット圧を前記メータイン弁に出力する第2位置に切り替えられる第1セレクタ弁と、前記第2パイロット圧を前記メータイン弁に出力する第3位置又は前記第2パイロット圧を前記メータアウト弁に出力する第4位置に切り替えられる第2セレクタ弁と、を有する。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記切替機構は、前記第2パイロット圧が供給されていないときに前記第1パイロット圧を受けたことに応じて、前記第1セレクタ弁を前記第1位置に切り替え前記第2セレクタ弁を前記第3位置に切り替える。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記切替機構は、前記第1パイロット圧が供給されていないときに前記第2パイロット圧を受けたことに応じて、前記第1セレクタ弁を前記第2位置に切り替え前記第2セレクタ弁を前記第4位置に切り替える。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記メータイン弁は、前記第1パイロット圧又は前記第2パイロット圧に応じて前記作動流体を前記アクチュエータに出力する。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記メータアウト弁は、前記第1パイロット圧又は前記第2パイロット圧に応じて前記作動流体を前記アクチュエータから排出する。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記メータイン弁は、前記アクチュエータと第1作動流体源及び第2作動流体源との間に設けられている。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記メータイン弁は、前記第1作動流体源及び前記第2作動流体源のいずれか一方から前記作動流体を前記アクチュエータに出力する位置と前記第1作動流体源及び前記他の作動流体源の両方から前記作動流体を前記アクチュエータに出力する位置との間で切り替えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によって、複数のスプールを用いてメータイン制御及びメータアウト制御を行うアクチュエータ制御装置をより簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態によるアクチュエータ制御装置を模式的に示す図である。
図2a図1のアクチュエータ制御装置においてアクチュエータを収縮させる動作を説明する図である。図2aにおいては、メータアウト弁6がアクチュエータ8の第1流体圧室8aと連通している。
図2b図1のアクチュエータ制御装置においてアクチュエータを収縮させる動作を説明する図である。図2bにおいては、メータアウト弁6がアクチュエータ8の第1流体圧室8aと連通しメータイン弁5がアクチュエータ8の第2流体圧室8bと連通している。
図3a図1のアクチュエータ制御装置においてアクチュエータを伸長させる動作を説明する図である。図1のアクチュエータ制御装置を模式的に示す図である。図3aにおいては、メータアウト弁6がアクチュエータ8の第2流体圧室8bと連通している。
図3b図1のアクチュエータ制御装置においてアクチュエータを伸長させる動作を説明する図である。図3bにおいては、メータアウト弁6がアクチュエータ8の第2流体圧室8bと連通しメータイン弁5がアクチュエータ8の第1流体圧室8aと連通している。
図4】本発明の他の実施形態によるアクチュエータ制御装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。各図面においては、説明の都合上、一部の構成要素が省略されることがある。
【0021】
本発明は、少なくとも2つの流体圧室に区画された流体圧アクチュエータの作動を制御するアクチュエータ制御装置に適用され得る。図1を参照して、本発明の一態様によるアクチュエータ制御装置について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態によるアクチュエータ制御装置1を模式的に示す図である。アクチュエータ制御装置1は、アクチュエータ8を作動させることにより駆動対象の部材を駆動する。アクチュエータ8により駆動される部材は、例えば、建設機械のブーム、アーム、バケット、及びこれら以外の建設機械における可動部材である。アクチュエータ制御装置1は、建設機械以外の様々な機械に適用され得る。
【0023】
図示の実施形態において、アクチュエータ制御装置1は、アクチュエータ8に作動流体を供給する作動流体源2と、アクチュエータ8から排出された作動流体を貯留するタンク3と、チェック弁4と、メータイン弁5と、メータアウト弁6と、コントローラ10と、切替機構20と、第1電磁比例弁31と、第2電磁比例弁32と、を備えている。
【0024】
作動流体源2は、作動流体を吐出する。作動流体源2から吐出された作動流体は、メータイン弁5を経由してアクチュエータ8に出力される。作動流体源2は、例えば吐出する作動流体の量を調整することができる可変容量型のポンプである。作動流体源2とメータイン弁5との間には、負圧保持用のチェック弁4が設けられている。
【0025】
アクチュエータ8は、例えば作動流体により駆動される流体圧式アクチュエータである。アクチュエータ8は、作動油により駆動される油圧式アクチュエータであってもよい。アクチュエータ8は、圧縮空気により作動される空気圧式アクチュエータ及びこれら以外の作動流体により作動される任意の流体圧式アクチュエータであってもよい。アクチュエータ制御装置1は、複数のアクチュエータを備えてもよい。
【0026】
アクチュエータ8は、中空のシリンダ内に設けられたピストン8cにより、第1流体圧室8a及び第2流体圧室8bに区画される。アクチュエータ8のシリンダは、その長手方向の一方が開口し他方が閉塞するように構成されている。ピストン8cには、ピストンロッド8dが接続されている。ピストンロッド8dは、その一部がシリンダの外部に突出している。ピストンロッド8dの先端がブーム、アーム、バケット等の可動部材に接続される。アクチュエータ8は、ピストン8cの位置を検出する位置センサを備えてもよい。この位置センサは、例えば、線形可変差動変圧器(LVDT)である。
【0027】
コントローラ10は、各種の演算処理を行うプロセッサと、各種プログラム及び各種データを格納するメモリと、各種センサ及びこれ以外の機器と接続される機器インタフェースと、を備える。コントローラ10は、電磁比例弁31、32に制御パルスを出力することで電磁比例弁31、32から出力されるパイロット圧の流量を調整することができる。アクチュエータ制御装置1が建設機械に搭載される場合には、コントローラ10は、建設機械の操作レバーの操作に関連する制御信号を受信し、その制御信号に応じて電磁比例弁31及び電磁比例弁32を制御することができる。
【0028】
第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32は、不図示のパイロット圧源に接続されている。第1電磁比例弁31は流路13aにより切替機構20と接続されており、第2電磁比例弁32は流路13dにより切替機構20と接続されている。第1電磁比例弁31は、ソレノイドコイルと、ソレノイドコイルにより駆動されて軸方向に移動する駆動ロッドと、駆動ロッドから受ける推力により軸方向に移動するパイロットスプールと、を有している。第1電磁比例弁31自身及び第2電磁比例弁32自身は、公知の電磁比例弁であってもよい。ソレノイドコイルへの印可電流は、コントローラ10からの制御パルスに応じて定められる。第1電磁比例弁31には、パイロット圧源と流路13aとを連通する流路が設けられている。この流路の開口面積は、パイロットスプールの軸方向の位置に応じて変化する。第1電磁比例弁31は、パイロットスプールの軸方向の位置に応じて変化する開口面積に応じた流量でパイロット圧源からのパイロット流体を流路13aに出力することができる。第2電磁比例弁32は、第1電磁比例弁31と同様の構成要素を備える。第2電磁比例弁32は、パイロットスプールの軸方向の位置に応じて変化する開口面積に応じた流量でパイロット圧源からのパイロット流体を流路13dに供給することができる。本明細書においては、第1電磁比例弁31から出力されるパイロット流体又はパイロット圧を第1パイロット圧と呼び、第2電磁比例弁32から出力されるパイロット流体又はパイロット圧を第2パイロット圧と呼ぶことがある。
【0029】
メータイン弁5は、アクチュエータ8と作動流体源2との間に設けられている。アクチュエータ8の第1流体圧室8aは、第1ポートP1、流路11a、及び流路11bによりメータイン弁5と接続されている。アクチュエータ8の第2流体圧室8bは、ポートP2、流路11d、及び流路11eによりメータイン弁5と接続されている。また、メータイン弁5は、パイロット圧の供給を受けるために切替機構20とも接続されている。具体的には、メータイン弁5は、流路13b及び流路13eにより切替機構20に接続されている。メータイン弁5は、少なくとも一つのパイロット受圧室を有している。メータイン弁5の当該少なくとも一つのパイロット受圧室には、切替機構20の切り替えに応じて第1電磁比例弁31又は第2電磁比例弁32からパイロット圧が出力される。
【0030】
メータイン弁5は、マニホールドの内部空間に収容されたスプールを有する。メータイン弁5のスプールをメータイン弁スプールと呼ぶことがある。メータイン弁5は、電磁比例弁31又は第2電磁比例弁32からのパイロット圧によりメータイン弁スプールを軸方向において変位させることで、メータイン弁5とアクチュエータ8とを接続する流路を切り替えることができるように構成される。具体的には、メータイン弁5は、作動流体源2からの作動流体を流路11b、流路11a、及び第1ポートP1を介して第1流体圧室8aに出力する第1連通位置5X、各流体圧室8a,8bへの作動流体の出力を遮断する遮断位置5Y、並びに作動流体源2からの作動流体を流路11e、流路11d、及び第2ポートP2を介して第2流体圧室8bに出力する第2連通位置5Zのいずれかに切り替えられる。図示の実施形態において、メータイン弁5は、第1電磁比例弁31からのパイロット圧により第1連通位置5Xに切り替えられ、第2電磁比例弁32からのパイロット圧により第2連通位置5Zに切り替えられる。
【0031】
メータイン弁5には、作動流体源2に繋がる流路12aと流路11b又は流路11eとを接続する流路が設けられている。メータイン弁5が第1連通位置5Xに切り替えられたときには、メータイン弁5の流路が流路11bと接続されて、作動流体源2から第1流体圧室8aに至る流路が開放され、この流路を通って作動流体が第1流体圧室8aに出力される。メータイン弁5が第2連通位置5Zに切り替えられたときには、メータイン弁5の流路が流路11eと接続されて、作動流体源2から第2流体圧室8bに至る流路が開放され、この流路を通って作動流体が第2流体圧室8bに出力される。このメータイン弁5内の作動流体が通過する流路の開口面積は、メータイン弁スプールの軸方向の位置に応じて変化する。メータイン弁スプールの軸方向の位置は、メータイン弁5のパイロット受圧室に出力される第1パイロット圧又は第2パイロット圧によって調整される。このようにして、メータイン弁5は、メータイン弁スプールの軸方向の位置に応じて変化するメータイン弁5内の流路の開口面積に応じた流量で流体圧源2からの作動流体を第1流体圧室8a又は第2流体圧室8bに選択的に出力することができる。メータイン弁5内の作動流体を通過させる流路の開口面積は、第1パイロット圧又は第2パイロット圧を調整してメータイン弁スプールの軸方向の位置を変位させることにより調整される。このように、メータイン弁5は、第1パイロット圧又は第2パイロット圧に応じた流量で作動流体をアクチュエータ8に出力することができる。
【0032】
メータアウト弁6は、アクチュエータ8とタンク3との間に設けられている。アクチュエータ8の第1流体圧室8aは、第1ポートP1、流路11a、及び流路11cによりメータアウト弁6と接続されている。アクチュエータ8の第2流体圧室8bは、第2ポートP2、流路11d、及び流路11fによりメータアウト弁6と接続されている。また、メータアウト弁6は、パイロット圧の供給を受けるために切替機構20とも接続されている。具体的には、メータアウト弁6は、流路13c及び流路13fにより切替機構20に接続されている。メータアウト弁6は、少なくとも一つのパイロット受圧室を有している。メータアウト弁6の当該少なくとも一つのパイロット受圧室には、切替機構20の切り替えに応じて、第1電磁比例弁31又は第2電磁比例弁32からパイロット圧が出力される。
【0033】
メータアウト弁6は、メータイン弁5と同様に、マニホールドの内部空間に収容されたスプールを有する。メータアウト弁6のスプールをメータアウト弁スプールと呼ぶことがある。メータアウト弁6は、電磁比例弁31又は第2電磁比例弁32からのパイロット圧によりメータアウト弁スプールを軸方向において変位させることで、メータアウト弁6とアクチュエータ8とを接続する流路を切り替えることができるように構成される。具体的には、メータアウト弁6は、第1流体圧室8aの作動流体を第1ポートP1、流路11a、流路11c、流路12bを介してタンク3に排出する第1排出位置6X、各流体圧室8a,8bからの作動流体の排出を遮断する遮断位置6Y、及び第2流体圧室8bの作動流体を第2ポートP2、流路11d、流路11f、流路12bを介してタンク3に排出する第2排出位置6Zのいずれかに切り替えられる。図示の実施形態において、メータアウト弁6は、第1電磁比例弁31からのパイロット圧により第1排出位置6Xに切り替えられ、第2電磁比例弁32からのパイロット圧により第2排出位置6Zに切り替えられる。
【0034】
メータアウト弁6には、タンク3に繋がる流路12bと流路11c又は流路11fとを接続する流路が設けられている。メータアウト弁6が第1排出位置6Xに切り替えられたときには、メータアウト弁6の流路が流路11cと接続されて、第1流体圧室8aからタンク3に至る流路が開放され、この流路を通って作動流体が第1流体圧室8aから排出される。メータイン弁6が第2排出位置6Zに切り替えられたときには、メータアウト弁6の流路が流路11fと接続されて、第2流体圧室8bからタンク3に至る流路が開放され、この流路を通って作動流体が第2流体圧室8bから排出される。このメータアウト弁6内の作動流体が通過する流路の開口面積は、メータアウト弁スプールの軸方向の位置に応じて変化する。メータアウト弁スプールの軸方向の位置は、メータアウト弁6のパイロット受圧室に出力される第1パイロット圧又は第2パイロット圧によって調整される。このようにして、メータアウト弁6は、メータアウト弁スプールの軸方向の位置に応じて変化するメータアウト弁5内の流路の開口面積に応じた流量で流体圧源2からの作動流体を選択的に排出することができる。メータアウト弁6内の作動流体を通過させる流路の開口面積は、第1パイロット圧又は第2パイロット圧を調整してメータイン弁スプールの軸方向の位置を変位させることにより調整される。このように、メータアウト弁6は、第1パイロット圧又は第2パイロット圧に応じた流量で作動流体をアクチュエータ8から排出することができる。
【0035】
切替機構20は、第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32とメータイン弁5及びメータアウト弁6との間の流路を切り替えることにより、メータイン弁5及びメータアウト弁6のうちの一方に第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧を出力しメータイン弁5及びメータアウト弁6のうちの他方に第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧を出力するように構成される。具体的には、切替機構20は、第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧をメータイン弁5に出力する場合には、第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧をメータアウト弁6に出力する。これとは逆に、切替機構20は、第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧をメータアウト弁6に出力する場合には、第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧をメータイン弁5に出力する。切替機構20による流路の切替は、以下で詳しく説明するように、第1パイロット圧、第2パイロット圧、及びメータアウト弁6の移動(メータアウト弁6の位置)のうちの少なくとも一つに基づいて行われる。
【0036】
切替機構20は、第1セレクタ弁21及び第2セレクタ弁22を備える。第1セレクタ弁21は、流路13aにより第1電磁比例弁31に接続され、流路13bによりメータイン弁5に接続され、流路13cによりメータアウト弁6に接続されている。第1セレクタ弁21は、第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧をメータアウト弁6に出力する第1位置21X、及び、第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧をメータイン弁5に出力する第2位置21Yのいずれかに切り替えられる。第1セレクタ弁21自身及び第2セレクタ弁22自身は公知のセレクタ弁であってもよい。
【0037】
第2セレクタ弁22は、流路13dにより第2電磁比例弁32に接続され、流路13eによりメータイン弁5に接続され、流路13fによりメータアウト弁6に接続されている。第2セレクタ弁22は、第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧をメータイン弁5に出力する第3位置22X、及び、第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧をメータアウト弁6に出力する第4位置22Yのいずれかに切り替えられる。
【0038】
第1セレクタ弁21は、第2電磁比例弁32が励磁されていない間に第1電磁比例弁31が励磁されたときに、第1電磁比例弁31から第1パイロット圧を受けて第1位置21Xに切り替えられる。第2電磁比例弁32が励磁されていない場合には切替機構20に対して第2電磁比例弁32から第2パイロット圧が出力されていない。つまり、第1セレクタ弁21は、第2電磁比例弁32から第2パイロット圧が出力されていない間に第1電磁比例弁31から第1パイロット圧が出力された場合に、第1位置21Xに切り替えられる。第1セレクタ弁21は、メータアウト弁6に接続されたプッシュピン21aを有している。プッシュピン21aは、第1セレクタ弁21に第1パイロット圧が出力されていない間にメータアウト弁6が第2排出位置6Zに切り替えられると第1セレクタ弁21の内側に押し込まれる。プッシュピン21aが第1セレクタ弁21の内側に押し込まれると、第1セレクタ弁21は第2位置21Yに切り替えられる。第1セレクタ弁21に第1パイロット圧が出力されている間に切替機構20に対して第2電磁比例弁32から第2パイロット圧が出力されても、第1セレクタ弁21は第1位置21Xのままであり第2セレクタ弁22は第3位置22Xのままである。つまり、第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧により第1セレクタ弁21は第1位置21Xにロックされ第2セレクタ弁22は第3位置22Xにロックされる。
【0039】
第2セレクタ弁22は、第1電磁比例弁31が励磁されていない間に第2電磁比例弁32が励磁されたときに、第2電磁比例弁31から第2パイロット圧を受けて第4位置22Yに切り替えられる。第1電磁比例弁32が励磁されていない場合には切替機構20に対して第1電磁比例弁31から第1パイロット圧が出力されていない。つまり、第2セレクタ弁22は、第1電磁比例弁31から第1パイロット圧が出力されていない間に第2電磁比例弁32から第1パイロット圧が出力された場合に、第4位置22Yに切り替えられる。第2セレクタ弁22は、メータアウト弁6に接続されたプッシュピン22aを有している。プッシュピン22aは、第2セレクタ弁22に第2パイロット圧が出力されていない間にメータアウト弁6が第1排出位置6Xに切り替えられると第2セレクタ弁22の内側に押し込まれる。プッシュピン22aが第2セレクタ弁22の内側に押し込まれると、第2セレクタ弁22は第3位置22Xに切り替えられる。第2セレクタ弁22に第2パイロット圧が出力されている間に切替機構20に対して第1電磁比例弁31から第1パイロット圧が出力されても、第2セレクタ弁22は第4位置22Yのままであり第1セレクタ弁21は第2位置21Yのままである。つまり、第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧により第2セレクタ弁22は第4位置22Yにロックされ第1セレクタ弁21は第2位置21Yにロックされる。
【0040】
次に、図2a、図2b、図3a、及び図3bをさらに参照して、アクチュエータ制御装置1の動作について説明する。動作開始時には、第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32がいずれも励磁されておらず、このため第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32のいずれからもパイロット圧が出力されていないと想定する。この場合、図1に示されているように、メータイン弁5は遮断位置5Yにあり、メータアウト弁6は遮断位置6Yにある。また、第1セレクタ弁21及び第2セレクタ弁22はロックされていない。
【0041】
図2a及び図2bを参照してアクチュエータ8を収縮させる動作について説明する。コントローラ10は、アクチュエータ8を収縮させる場合、第1電磁比例弁31を励磁する。これにより第1電磁比例弁31は開弁し、第1電磁比例弁31から切替機構20の第1セレクタ弁21に対して第1パイロット圧が出力される。この第1パイロット圧により、第1セレクタ弁21は第1位置21Xに切り替えられる。
【0042】
第1セレクタ弁21が第1位置21Xに切り替えられたことにより、第1パイロット圧はメータアウト弁6に出力される。この第1パイロット圧により、図2aに示すように、メータアウト弁6は第1排出位置6Xに切り替えられる。これにより、アクチュエータ8の第1流体圧室8aから流路11a、流路11c、及び流路12bによりタンク3に至る流路が開放される。また、メータアウト弁6が第1排出位置6Xに切り替えられたことにより、プッシュピン22aが第2セレクタ弁22の内部に押し込まれ、これにより第2セレクタ弁22は第3位置22Xに切り替えられる。
【0043】
次に、コントローラ10は、第1電磁比例弁31を励磁したまま第2電磁比例弁32を励磁して、第2電磁比例弁32を開弁させる。第2セレクタ弁22は第3位置22Xに切り替えられているので、第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧はメータイン弁5に対して出力される。第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧により、図2bに示すように、メータイン弁5は第2連通位置5Zに切り替えられる。これにより、作動流体源2から流路12a、流路11e、及び流路11dによりアクチュエータ8の第2流体圧室8bに至る流路が開放される。
【0044】
このようにしてアクチュエータ8の第2流体圧室8bに作動流体が供給され第1流体圧室8aから作動流体が排出されるので、アクチュエータ8を収縮させることができる。
【0045】
続いて、図3a及び図3bを参照してアクチュエータ8を伸長させる動作について説明する。図2bに示されているように第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32がいずれも励磁されているときにアクチュエータ8を伸長させる場合には、コントローラ10は、第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32の励磁を中止して第1セレクタ弁21及び第2セレクタ弁22のロックを解除する。コントローラ10は、次に第2電磁比例弁32を励磁して第2電磁比例弁32を開弁させる。これにより、第2電磁比例弁32から切替機構20の第2セレクタ弁22に対して第2パイロット圧が出力される。この第2パイロット圧により、第2セレクタ弁22は第4位置22Yに切り替えられる。
【0046】
第2セレクタ弁22が第4位置22Yに切り替えられたことにより、第2パイロット圧はメータアウト弁6に出力される。この第2パイロット圧により、図3aに示すように、メータアウト弁6は第2排出位置6Zに切り替えられる。これにより、アクチュエータ8の第2流体圧室8bから流路11d、流路11f、及び流路12bによりタンク3に至る流路が開放される。また、メータアウト弁6が第2排出位置6Zに切り替えられたことにより、プッシュピン21aが第1セレクタ弁21の内部に押し込まれ、これにより第1セレクタ弁21は第2位置21Yに切り替えられる。
【0047】
次に、コントローラ10は、第2電磁比例弁32を励磁したまま第1電磁比例弁31を励磁して第1電磁比例弁31を開弁させる。第1セレクタ弁21は第2位置21Yに切り替えられているので、第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧はメータイン弁5に対して出力される。第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧により、図3bに示すように、メータイン弁5は第1連通位置5Xに切り替えられる。これにより、作動流体源2から流路12a、流路11b、及び流路11aによりアクチュエータ8の第1流体圧室8aに至る流路が開放される。
【0048】
このようにしてアクチュエータ8の第1流体圧室8aに作動流体が供給され第2流体圧室8bから作動流体が排出されるので、アクチュエータ8を伸長させることができる。
【0049】
アクチュエータ8の収縮時及び伸長時におけるピストン8cの移動速度は、メータイン弁5内の作動流体の流路の開口面積及びメータアウト弁6内の作動流体の流路の開口面積によって制御される。上記のように、これらの開口面積は、第1パイロット圧及び第2パイロット圧により調整され得る。このように、第1パイロット圧及び第2パイロット圧の制御によりメータイン弁5内の作動流体の流路の開口面積及びメータアウト弁6内の作動流体の流路の開口面積を調整することにより、アクチュエータ8の作動時に作動流体源2からメータイン弁5を介してアクチュエータ8に出力される作動流体の流量を調整するメータイン制御及びアクチュエータ8からメータアウト弁6を介してタンク3に排出される作動流体の流量を調整するメータアウト制御が行われる。
【0050】
次に、図4を参照して、本発明の別の実施形態によるアクチュエータ制御装置101について説明する。本発明の別の実施形態によるアクチュエータ制御装置101は、2つの作動流体源を有する点及びこの2つの作動流体源からの作動流体の供給がメータイン弁105により制御される点でアクチュエータ制御装置1と異なっている。図4に示されているアクチュエータ制御装置101の構成要素のうち図1に示されているアクチュエータ制御装置1の構成要素と同一又は類似のものには図1と同じ又は類似の参照符号を付し、これらの構成要素については詳細な説明を省略する。
【0051】
図示されているように、アクチュエータ制御装置101は、作動流体源2に加えて作動流体源102を備えている。作動流体源102は、流路112aによりメータイン弁105に接続されている。流路112aには、負圧保持用のチェック弁104が設けられている。
【0052】
メータイン弁105は、作動流体源2及び作動流体源102とアクチュエータ8との間に設けられている。作動流体源2及び作動流体源102は、メータイン弁105に対して並列に配置されている。
【0053】
メータイン弁105は、メータイン弁スプールを有しており、電磁比例弁31又は第2電磁比例弁32からのパイロット圧によりメータイン弁スプールを変位させることで、メータイン弁105とアクチュエータ8とを接続する作動流体の経路を切り替えることができるように構成される。具体的には、メータイン弁105は、作動流体源2からの作動流体を流路11b、流路11a、及び第1ポートP1を介して第1流体圧室8aに出力する第1連通位置105X、各流体圧室8a,8bへの作動流体の出力を遮断する遮断位置105Y、並びに作動流体源2及び作動流体源102からの作動流体の少なくとも一方を流路11e、流路11d、及び第2ポートP2を介して第2流体圧室8bに出力する第2連通位置105Zのいずれかに切り替えられる。図示の実施形態において、メータイン弁105は、第1電磁比例弁31からの第1パイロット圧により第1連通位置105Xに切り替えられ、第2電磁比例弁32からの第2パイロット圧により第2連通位置105Zに切り替えられる。第2連通位置105Zは、並列に配置された作動流体源2及び作動流体源102のうち作動流体源2のみの作動流体を第2流体圧室8bに出力する第2単連通位置105Z1及び作動流体源2及び作動流体源102の両方からの作動流体を第2流体圧室8bに出力する第2複連通位置105Z2とに分けられる。メータイン弁105は、第2パイロット圧が所定の基準圧よりも小さい場合には第2単連通位置105Z1に切り替えられ、第2パイロット圧が所定の基準圧以上の場合には第2複連通位置105Z2に切り替えられてもよい。
【0054】
図示の実施形態においては、メータイン弁105は、第1流体圧室8aに対して作動流体源2及び作動流体源102の両方からの作動流体を出力できるように構成されてもよい。例えば、第1連通位置105Xは、並列に配置された作動流体源2及び作動流体源102のうち作動流体源2のみの作動流体を第1流体圧室8aに出力する第1単連通位置及び作動流体源2及び作動流体源102の両方からの作動流体を第1流体圧室8aに出力する第1複連通位置とに分けられてもよい。メータイン弁105は、第1パイロット圧が所定の基準圧よりも小さい場合には第1単連通位置105に切り替えられ、第1パイロット圧が所定の基準圧以上の場合には第1複連通位置に切り替えられてもよい。
【0055】
アクチュエータ制御装置101は、概ねアクチュエータ制御装置1と同様に動作する。コントローラ10は、メータイン弁5を第3連通位置105Z2に切り替える場合には、第2パイロット圧が所定の基準値以上となるように第2電磁比例弁32を励磁する。
【0056】
続いて、上記実施形態が奏する作用効果について説明する。上記の実施形態によるアクチュエータ制御装置1、101は、切替機構20が第1電磁比例弁31から出力される第1パイロット圧及び第2電磁比例弁32から出力される第2パイロット圧を選択的にメータイン弁5及びメータアウト弁6に出力してアクチュエータ8とメータイン弁5・メータアウト弁6との間の流路を切り替えることができる。これにより、アクチュエータ制御装置1によれば、第1パイロット圧及び第2パイロット圧の2つのパイロット圧の制御により、アクチュエータ8のメータイン制御及びメータアウト制御を実現できる。より具体的には、上記の実施形態においては、2つのスプール(メータイン弁5のメータイン弁スプール及びメータアウト弁6のメータアウト弁スプール)及び2つの電磁パイロット弁31、32によりアクチュエータ8のメータイン制御及びメータアウト制御を実現できる。したがって、上記の実施形態によるアクチュエータ制御装置1、101によれば、4つのスプール(2つのメータイン弁スプール及び2つのメータアウト弁スプール)と4つの電磁比例弁によりメータイン制御及びメータアウト制御を行う従来のIMV方式のアクチュエータ制御装置と比べて、簡易な構成でメータイン制御及びメータアウト制御を行うことができる。
【0057】
上記の一実施形態によれば、第1セレクタ弁21及び第2セレクタ弁22により切替機構20を実現できる。第1セレクタ弁21及び第2セレクタ弁22はいずれも2つの位置の間で切り替えられる簡易な構成を有する2位置弁とすることができる。よって、上記の実施形態によれば、アクチュエータ制御装置のための切替機構20を簡易な構成で実現することができる。
【0058】
上記の一実施形態によれば、第2電磁比例弁32から切替機構20に第2パイロット圧が出力されていないときに第1電磁比例弁31を制御して切替機構20に第1パイロット圧を出力することにより、第1セレクタ弁21が第1位置21Xに切り替えられ、第2セレクタ弁22が第2位置22Xに切り替えられる。これにより、第1電磁比例弁31に対する制御を通じて切替機構20における切り替えを実行することができる。
【0059】
上記の一実施形態によれば、第1電磁比例弁31から切替機構20に第1パイロット圧が出力されていないときに第2電磁比例弁32を制御して切替機構20に第2パイロット圧を出力することにより、第1セレクタ弁21が第2位置21Yに切り替えられ、第2セレクタ弁22が第4位置22Yに切り替えられる。これにより、第2電磁比例弁31に対する制御を通じて切替機構20における切り替えを実行することができる。
【0060】
上記の一実施形態によれば、第1パイロット圧又は第2パイロット圧に応じた流量で作動流体をアクチュエータ8に出力することができるので、第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32の2つの電磁比例弁に対する制御を通じてメータイン制御を行うことができる。
【0061】
上記の一実施形態によれば、第1パイロット圧又は第2パイロット圧に応じた流量で作動流体をアクチュエータ8から排出することができるので、第1電磁比例弁31及び第2電磁比例弁32の2つの電磁比例弁に対する制御を通じてメータアウト制御を行うことができる。
【0062】
上記の一実施形態によれば、アクチュエータ8を駆動するために、2つの作動流体源2、102からの作動流体を独立に利用することができる。
【0063】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0064】
メータイン弁5、メータアウト弁6、第1セレクタ弁21、第2セレクタ弁22、第1電磁比例弁31、及び第2電磁比例弁32は、単一のマニホールド(又は弁本体)に設けられてもよく、複数のマニホールドに分散して設けられてもよい。これらの弁が複数のマニホールドに分散して設けられる場合には、当該複数のマニホールドを組み立てることによりアクチュエータ制御装置1、101が作製される。
【符号の説明】
【0065】
1、101 アクチュエータ制御装置
2、102 作動流体源
3 タンク
4、104 チェック弁
5、105 メータイン弁
6 メータアウト弁
8 アクチュエータ
8a 第1流体圧室
8b 第2流体圧室
10 コントローラ
20 切替機構
21 第1セレクタ弁
22 第2セレクタ弁
31 第1電磁比例弁
32 第2電磁比例弁
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4