IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許7370860磁気共鳴画像から3D物体を正確に位置特定する放射線治療システム
<>
  • 特許-磁気共鳴画像から3D物体を正確に位置特定する放射線治療システム 図1
  • 特許-磁気共鳴画像から3D物体を正確に位置特定する放射線治療システム 図2
  • 特許-磁気共鳴画像から3D物体を正確に位置特定する放射線治療システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】磁気共鳴画像から3D物体を正確に位置特定する放射線治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20231023BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B5/055 380
A61N5/10 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019542788
(86)(22)【出願日】2017-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2017076656
(87)【国際公開番号】W WO2018077705
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-14
(31)【優先権主張番号】16195502.6
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーラ テウヴォ ユハニ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハラ エルキ タパニ
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0256712(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0297316(US,A1)
【文献】特開2005-078176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の標識により標識付けされた臓器の患部の照射を制御するための磁気共鳴画像誘導放射線治療装置であって、前記磁気共鳴画像誘導放射線治療装置は、磁気共鳴撮像システムと、当該磁気共鳴画像誘導放射線治療装置を制御するためのプロセッサと、マシン実行可能な命令を格納するメモリとを有し、前記所定の標識は変形可能な標識であり、前記命令の実行が前記プロセッサに、
前記磁気共鳴撮像システムを用いて前記臓器から3D画像データ又は3D画像データ及び2D画像データを有する磁気共鳴データを取得させ、
前記標識の形状を記述する1以上のパラメータの基準値を供給させ、
前記3D画像データから若しくは前記2D画像データから再構成された再構成2D画像において前記標識の少なくとも1つの無信号域候補を識別させるか、又は、前記3D画像データから若しくは前記2D画像データから再構成された前記再構成2D画像における前記標識の前記無信号域候補の識別に関するユーザ入力を受信させ、
前記再構成2D画像において識別された前記標識の前記無信号域候補の磁気共鳴特性を用いて、前記標識の形状を決定するために前記3D画像データを処理させ、
前記3D画像データにおいて決定された前記標識の形状を用いて、前記標識の前記パラメータの値を算出させ、
決定された前記パラメータの値を前記基準値と比較させ、
該比較結果を用いて、識別された前記無信号域候補が前記標識の一部であるという尤度を算出させ、
算出された前記尤度の指示情報を出力させ、
前記算出された尤度の出力に応答して、放射線治療計画に関するユーザ入力を受信させ、並びに
前記臓器の照射を前記放射線治療計画に従って制御させる、
磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項2】
前記命令の実行が前記プロセッサに、更に、前記無信号域候補を前記2D画像のピクセルの磁気共鳴特性を用いて自動的に識別させる、請求項1に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項3】
前記命令の実行が前記プロセッサに、更に、前記2D画像をグラフィックユーザインターフェース上に表示させると共に、前記識別された無信号域候補の選択を受信させる、請求項1に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項4】
前記出力させることが、前記尤度の指示情報を前記2D画像に関連させて表示させることを有する、請求項1から3の何れか一項に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項5】
前記処理させることが、
前記識別された無信号域候補に対応する前記2D画像のピクセルを識別させること、
前記ピクセルの磁気共鳴特性を前記3D画像データのボクセルの磁気共鳴特性と比較させること、及び
該比較結果を用いて前記尤度を算出させること、
を有する、請求項1から4の何れか一項に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項6】
前記命令の実行が前記プロセッサに、更に、前記2D画像上で前記標識の形状の輪郭を描くために前記識別させること及び前記処理させることを反復させる、請求項1からの何れか一項に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの無信号域候補が複数の無信号域候補を有し、前記識別された無信号域候補の各々が前記標識の一部であるという尤度を算出するために前記3D画像データ及び前記複数の無信号域候補における各識別された無信号域候補の処理が実行され、前記命令の実行が前記プロセッサに更に前記標識の形状を前記複数の無信号域候補の尤度を用いて形成させる、請求項1からの何れか一項に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項8】
前記パラメータが形状に依存しないパラメータである、請求項に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項9】
前記パラメータが金属標識の体積及び寸法を有する、請求項又は請求項に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項10】
前記磁気共鳴特性が信号の強度及び振幅の少なくとも一方を有する、請求項に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項11】
前記臓器は前立腺であり、前記標識が所定の形状及び/又は所定のコントラストを有する物体である、請求項1に記載の磁気共鳴画像誘導放射線治療装置。
【請求項12】
磁気共鳴撮像誘導放射線治療装置を制御するプロセッサにより実行するためのマシン実行可能な命令を有するコンピュータプログラムであって、前記マシン実行可能な命令の実行が前記プロセッサに、
所定の標識により標識付けされた臓器から磁気共鳴撮像システムを用いて取得された3D画像データ又は3D画像データ及び2D画像データを有する磁気共鳴データを受信させ、前記所定の標識は変形可能な標識であり、
前記標識の形状を記述する1以上のパラメータの基準値を供給させ、
前記3D画像データから若しくは前記2D画像データから再構成された再構成2D画像において前記標識の少なくとも1つの無信号域候補を識別させるか又は、前記3D画像データから若しくは前記2D画像データから再構成された前記再構成2D画像における前記標識の前記無信号域候補の識別に関するユーザ入力を受信させ、
前記再構成2D画像において識別された前記標識の前記無信号域候補の磁気共鳴特性を用いて、前記標識の形状を決定するために前記3D画像データを処理させ、
前記3D画像データにおいて決定された前記標識の形状を用いて、前記標識の前記パラメータの値を算出させ、
決定された前記パラメータの値を前記基準値と比較させ、
該比較結果を用いて、識別された前記無信号域候補が前記標識の一部であるという尤度を算出させ、
算出された前記尤度の指示情報を出力させ、
前記算出された尤度の出力に応答して、放射線治療計画に関するユーザ入力を受信させ、並びに
前記臓器の照射を前記放射線治療計画に従って制御させる、
コンピュータプログラム。
【請求項13】
磁気共鳴撮像システムを有する磁気共鳴撮像誘導放射線治療装置の作動方法であって、
前記磁気共鳴画像誘導放射線治療装置を制御するためのプロセッサが、所定の標識により標識付けされた臓器から前記磁気共鳴撮像システムを用いて3D画像データ又は3D画像データ及び2D画像データを有する磁気共鳴データを取得するステップであって、前記所定の標識は変形可能な標識である、ステップと、
前記プロセッサが、前記標識の形状を記述する1以上のパラメータの基準値を供給するステップと、
前記プロセッサが、前記3D画像データから若しくは前記2D画像データから再構成された再構成2D画像において前記標識の少なくとも1つの無信号域候補を識別するか、又は、前記3D画像データから若しくは前記2D画像データから再構成された前記再構成2D画像における前記標識の前記無信号域候補の識別に関するユーザ入力を受信するステップと、
前記プロセッサが、前記再構成2D画像において識別された前記標識の前記無信号域候補の磁気共鳴特性を用いて、前記標識の形状を決定するために前記3D画像データを処理するステップと、
前記プロセッサが、前記3D画像データにおいて決定した前記標識の形状を用いて、前記標識の前記パラメータの値を算出するステップと、
前記プロセッサが、決定した前記パラメータの値を前記基準値と比較するステップと、
前記プロセッサが、該比較結果を用いて、識別した前記無信号域候補が前記標識の一部であるという尤度を算出するステップと、
前記プロセッサが、算出された前記尤度の指示情報を出力するステップと、
前記プロセッサが、算出された前記尤度の出力に応答して、放射線治療計画に関するユーザ入力を受信するステップと、
前記プロセッサが、前記臓器の照射を前記放射線治療計画に従って制御するステップと、
を有する、磁気共鳴撮像誘導放射線治療装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ治療装置に、特には、所定の標識(マーカ)により標識付けされた臓器の患部の照射を制御するための治療システムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線療法(RT)治療計画システム及び画像解析ソフトウェアは、ユーザが磁気共鳴画像内で臓器を見つけることを助けるツールを必要とする。特に、前立腺等の臓器のMRIのみに基づくRT又はMRI支援RTにおいては磁気共鳴(MR)画像の処理を改善する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
種々の実施態様は、独立請求項の主題により記載される磁気共鳴撮像誘導放射線治療装置、改善された方法、及びコンピュータプログラム製品を提供する。有利な実施態様は従属請求項に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は所定の標識(マーカ)により標識付け(マーク付け)された臓器の患部の照射を制御するための磁気共鳴画像誘導放射線治療装置(MRI装置)に関するものである。該MRI装置は、磁気共鳴撮像システム、当該装置を制御するためのプロセッサ、及びマシン実行可能な命令を格納するメモリを有し、これら命令の実行は該プロセッサに:
- 前記磁気共鳴撮像システム(106)を用いて前記臓器から3D画像データ又は3D画像データ及び2D画像データを有する磁気共鳴データを取得させ、
- 前記3D画像データから又は前記2D画像データから再構成された再構成2D画像において前記標識の少なくとも1つの無信号域(signal void)候補を識別させ、
- 前記識別された無信号域候補が前記標識の一部であるという尤度を算出するために前記3D画像データ及び前記識別された無信号域を処理させ、
- 前記算出された尤度の指示情報を出力させ、
- 前記算出された尤度の出力に応答して、放射線治療計画に関するユーザ入力を受信させ、及び
- 前記臓器の照射を前記放射線治療計画に従って制御させる。
【0005】
例えば、単一の放射線治療計画を用いることができ、前記算出された尤度を当該臓器の位置検証のために用いることができる。他の例においては、算出された尤度を、位置検証のためのみならず、計画目的で(例えば、標識位置の領域における密度情報を補正するために)使用することができる。
【0006】
例えば、治療計画システムにおいて前立腺のMRIベースの放射線治療(RT)計画が準備される場合、前立腺に挿入された金属ワイヤの小片の形状を手動で輪郭を描く必要性が、しばしば、存在する。RTのための前立腺の正確な位置合わせのために、正確な輪郭描写が必要である。本装置及び方法は、治療されるべき臓器に挿入された標識の正確な輪郭描写を可能にすることができる。
【0007】
本装置及び方法は、当該装置のユーザがMR画像内の3D物体の既知の(恐らくは変形された)形状を、該3D物体の後の印し付け又は輪郭描写のために位置特定することができるような出力を可能にすることができる。前記標識は該3D物体を有する。当該装置は、前立腺のRTのために使用することができるのみならず、肝臓又は他の臓器の場合にも用いることができる。
【0008】
前記標識の形状は当該臓器内で時間にわたり(例えば、該臓器の患部を治療又は照射している間に)変化し得る。このように、該標識の初期形状は、最早、有効でなくなり得る。本装置及び方法は、当該標識の最新の形状を動的に提供するために動的データ処理(例えば、自動的、周期的又はイベント若しくはユーザ起動処理)を可能にすることができる。
【0009】
他の利点は、上述したフィーチャが、放射線線量分布を標識の最新の形状に基づいて正確に計算することにより、放射線線量分布の一層良好な制御を行うことを可能にし得ることであり得る。
【0010】
他の利点は、本方法が、MR画像上での放射線線量計画を可能にし、これによりコンピュータトモグラフィ(CT)画像の取得及び再構成を回避することにより、資源及び処理時間を節約することができることであり得る。このことは、正確な放射線治療計画のためにMR手順に加えてCTベースの手順が必要とされる従来の方法(例えば、前立腺放射線治療計画に対する現在の標準である)とは対照的である。
【0011】
他の利点は、本方法がMR画像において異質標識の形状から生じる無信号域の変形された形状を位置特定することを可能にし得ることであり得る。このことは、MR画像における標識の検出が、画像形成の物理的メカニズムが異なる故にCT画像におけるほど容易ではないので特に有利であり得る。また、MR撮像によれば、組織におけるコントラストはCT画像におけるよりも大幅に変化し得る。
【0012】
前記標識は、例えば、先験的に既知の若しくは予め定められた寸法及び/又は先験的に既知の若しくは予め定められたコントラストの物体を有することができる。例えば、当該標識は金属、プラスチック又は物質の混合物から形成することができる。
【0013】
前記再構成2D画像は、2D又は3D画像データから再構成することができる。例えば、3D画像データがマルチスライス技術を用いて複数のスライスで取得される場合、該再構成2D画像は、これらスライスの再構成スライスであり得る。ユーザは斯かる再構成2D画像上で無信号域を識別したいものであり、識別された無信号域は、連続するスライスの画像データを調べて(前記3D画像データは連続するスライスの画像データを有する)、これが標識であるかをチェックするために用いられる。一例において、前記再構成2D画像の画像データ及び3D画像データは、位置合わせすることができる。
【0014】
“位置合わせする”なる用語は、同一の又は異なる撮像方式を用いて取得された同一の又は異なる被検体の画像の間の位置合わせ(整列)を指す。画像位置合わせは、対応する特徴構造を関係付けることができるように、異なる画像における空間的情報の一致を確立する。画像の位置合わせ及び比較は、当該臓器(例えば、患者又は個人の)の2D及び3D画像データの間のものであり得る。
【0015】
“無信号域(signal void)”なる用語は、2D画像におけるラジオ波信号を放出しない領域(一般的に、当該MR画像における暗い領域として示される)又は既知の品質若しくはコントラストの信号(例えば、液体で満たされた容器若しくは袋、プラスチックインサート又は臓器等から生じ若しくは発する)を放出する領域を指す。これは、該領域に活性化された陽子が存在しない故(流れる血液等)、又は補償されないディフェージング故である。無信号域は、該領域の1以上のピクセル又はボクセルを参照し又は有し得る。無信号域は基なる源により生じ得る。例えば、無信号域は正常な解剖学的構造により生じる幾らかの僅かな流れの攪乱を有する領域において生じ得る。例えば、乳頭筋が生理学的撹乱体として作用する心室中部領域に無信号域が存在する。無信号域は、撮像される被写体における金属等の物体の存在により生じ得る。
【0016】
一例において、前記出力させる及び受信させるステップはオプションとすることができる。例えば、前記尤度を決定したら、当該無信号域に関連する該決定された尤度の比較を、基準無信号域に関連する尤度の予め決定された基準値に対して実行することができる。該比較結果に基づいて(例えば、無信号域及び/又は尤度のズレに基づいて)、当該臓器の照射を制御するために所定のRT計画を用いることができる。例えば、前記標識の初期形状を当該臓器のMR画像上で決定することができ、基準無信号域を基準MR画像上で識別することができると共に、それらの尤度を算出することができる。これらの基準尤度値及び関連する基準無信号域(例えば、基準MR画像のピクセル)は記憶することができる。現在識別される無信号域に関する現在の尤度を算出するに際して、現在のMR画像において取得される値及び位置を、記憶された基準値と比較することができる。(例えば、基準MR画像及び現在のMR画像は、当該算出及び比較を実行する前に位置合わせすることができる)。更に、放射線治療計画は、予め定めると共に、予め定められた尤度及び/又は無信号域値と関連させて記憶することができる。
【0017】
前記無信号域候補を識別又は決定するステップは、1以上のMR画像を用いて実行することができる。例えば、ユーザは、標識の形状をより良く輪郭描写するために、複数のスライスにおける各スライスにおいて無信号域候補を識別することができる。識別された各無信号域候補に対して、前述したステップを実行することができる。
【0018】
一実施態様によれば、前記命令の実行は前記プロセッサに、更に、前記無信号域を前記2D画像のピクセルの磁気共鳴特性を用いて自動的に識別させる。この構成は、標識の形状をチェックするための系統的方法を提供することができる。例えば、前記無信号域を識別するステップ及び対応する尤度を決定するステップは、反復することができ、各反復において標識の形状を決定することができる。前の反復に対して標識の形状が変化する場合、出力させ、受信させ及び当該装置を制御させる後続のステップを実行することができる。
【0019】
一実施態様によれば、前記命令の実行は前記プロセッサに、更に、前記2D画像をグラフィックユーザインターフェース上に表示させると共に、前記識別された無信号域の選択を受信させる。この構成は、臓器の制御された照射を可能にすることができる。
【0020】
一実施態様によれば、前記出力させるステップは、前記尤度の指示情報を前記2D画像に関連させて表示させるステップを有する。例えば、ポインタを前記2D画像において無信号域上に表示することができる。該ポインタは当該尤度を示すカラーを有することができる。例えば、緑色は当該尤度が90%より高いことを示すことができる。
【0021】
一実施態様によれば、前記処理させるステップは、前記2D画像における前記識別された無信号域に対応するピクセルを識別させるステップと、前記ピクセルの磁気共鳴特性を前記3D画像データのボクセルの磁気共鳴特性と比較させるステップと、該比較結果を用いて前記尤度を算出させるステップと、を有する。ボクセルは、3D空間で定義される体積要素である。ボクセルの寸法は、当該ピクセル及び当該スライスの厚さにより与えられる。スライスの厚さは、2Dマルチスライス撮像を用いて又は3Dスキャン技術により得られる。
【0022】
例えば、当該治療装置のユーザが前記2D画像上で2D領域(例えば、無信号域候補)を選択する場合、本方法は1以上の先験的に選択されたモデルを、サンプル総当たり適合(当て嵌め)のように、前記選択された領域を含むように適合させる(当て嵌める)ことができる。このようなモデルの例は、人の臓器の基本モデル、選択された身体領域における典型的な疾病、又は市販の人工物体(例えば、MRI対応体内アプリケータ)を含むことができる。当該適合の良さは、ユーザの可視範囲又は分類に対して正規化することができる。適合値はユーザに示すことができ(例えば、対話的に)、かくして、複数の可能性のある場所を即座にカバーすることができ、最良の整合を、2D画像形態の視覚的見え方、適合品質の視覚化及び位置特定されるべき標識の可能性のある位置に関してユーザが有する解剖学的知識に基づいて、見つけることができる。最良の位置が見付かったなら、ユーザはモデルを適用し又は位置を印すことができる。例えば、ユーザは2DのMR画像上でマウスによりクリックすることにより単一のピクセルを選択することができる。該選択されたピクセルに加えて該選択されたピクセルを囲む又は該ピクセルに関係するピクセルをグループ化して、一群のピクセルを形成することができる。この場合、周囲のピクセルも検索に含めることができる(例えば、マウスポインティングの不正確さを考慮に入れるために、可視視野若しくはビューポート解像度依存性計算又はピクセルウインドウ“5ピクセル内”検索基準を用いて)。当該方法は、上記群の各ピクセルを処理することができる。当該群の各ピクセルに関して、モデルマスク及び当該ピクセルからの該マスクのオフセットを含む小さな3D行列の事前に計算されたアレイが、3D画像ボリューム内のピクセル位置において適用されて(例えば、エッジ等の局部構造又は領域を捜して3DのMRデータを調べることができ、これらは関心物体を識別するために行列へと組み立てられる)、相関を計算する。最良の相関は適合の良さとして与えられる。
【0023】
一実施態様によれば、前記命令の実行は前記プロセッサに、更に、前記標識の形状を記述する1以上のパラメータの基準値を供給させ、前記標識の形状を前記無信号域の磁気共鳴特性を用いて決定するために前記3D画像データを処理させ、前記パラメータの値を前記決定された前記標識の形状を用いて決定させ、前記決定された値を前記基準値と比較させ、及び該比較結果を用いて前記尤度を算出させる。
【0024】
標識の形状の輪郭を正確に描くことは、時間がかかり、エラーが生じやすく、且つ、専門知識を必要とし得る。この実施態様は、標識(金属ワイヤ片又は他の物体)の形状(例えば、長さ及び体積)を先験的情報として用いて、当該MR画像から当該標識の識別された無信号域を見つける助けとすることができる。実施化は、例えば、予め定められた形状(Gold AnchorTMワイヤ等の標識の)が、当該無信号域候補が存在する領域上にドラッグされるというようなものであり得、本方法は長さ(及び体積)情報を用いて、標識の位置及び形状の検索を当該3Dボリューム(ボクセル)におけるありそうな近くの画像要素に限定する。標識(例えば、ワイヤ)は変形し得るが、収縮又は膨張することはないので、前記パラメータは、当該標識のありそうな位置を推定するために、この情報を用いて定義することができる。MR画像は典型的に同一の撮像セッションから到来するので、異なるコントラストを容易に用いることができる。これら画像は、典型的に、十分に位置合わせされているからである。これらは、形状検索処理の前に再位置合わせすることもできる。例えば、当該MR画像において標識の予測される形状及び局部的グレイレベル構造を表すモデルを用いることができる。
【0025】
標識(臓器に挿入される)の任意の形状を事前に定義する能力及び本方法が該情報を用いることを可能にすることは、画像空間からの標識形状の検索を、この形状情報を用いて限定する。MRIによれば、検索における多くの画像コントラストの利用も用いることができる。画像は同一の撮像セッションから到来し、これにより容易に位置合わせされるからである。
【0026】
一実施態様によれば、前記命令の実行は前記プロセッサに、更に、前記2D画像上で前記標識の形状の輪郭を描くために前記識別させるステップ及び前記処理させるステップを反復させる。この実施態様は、前記無信号域の制御された選択を可能にする(例えば、ユーザは正確に決定された無信号域を1つずつ供給することができる)ので有利であり得る。このことは、当該標識の正しい形状を見つける確率を増加させることができる。
【0027】
一実施態様によれば、前記少なくとも1つの無信号域は複数の無信号域を有し、前記識別された無信号域候補の各々が前記標識の一部である(又は該標識により生じ若しくは発せられた)尤度を算出するために前記3D画像データ及び前記複数の無信号域における各識別された無信号域の処理が実行され、前記命令の実行は前記プロセッサに更に前記標識の形状を前記複数の無信号域の尤度を用いて形成させる。この実施態様は、全ての識別された無信号域の単一の処理を可能にすることができ、このことは、さもなければ無信号域の個々の処理により必要とされる資源を節約することができる。
【0028】
一実施態様によれば、前記パラメータは形状に依存しないパラメータである。例えば、該パラメータは前記標識の体積、長さ又はサイズ(寸法)を有することができる。標識は変形し得るので、形状に依存しないパラメータを用いることは、2D画像上の標識の形状を決定する本方法の精度を増加させることができる。
【0029】
一実施態様によれば、前記磁気共鳴特性は当該信号の強度及び振幅の少なくとも一方を有する。より多くの特性が用いられるほど、標識の形成は一層正確となる。
【0030】
一実施態様によれば、前記標識は所定の形状及び/又は所定のコントラストを有する物体である。一例において、前記臓器は前立腺である。
【0031】
他の例においては、構造(例えば、金の粒(シード)又はワイヤ)の形状に関する事前知識を用いる方法が提供され得る。ユーザが画像において可能性として該構造であり得る特定の領域を選択した場合、当該システムは、この領域が確かに選択された構造の一部である一部であるという尤度を算出する。また、アルゴリズムが、当該画像において該構造の存在を予め定められた形状に基づいて自動的に検索することもできる。
【0032】
他の例においては、MRI画像からの3D物体の正確な位置特定及び印し付け(輪郭描写)が視覚的手掛かり(キュー)を用いて実行される治療計画システムが提供される。3D物体の構造を位置特定する方法は、MR画像上の識別された無信号域に関する尤度算出を用いて説明された前記方法であり得る。
【0033】
他の態様において、本発明は、磁気共鳴撮像誘導放射線治療装置を制御するプロセッサにより実行するためのマシン実行可能な命令を有するコンピュータプログラム製品に関するものであり、前記マシン実行可能な命令の実行は前記プロセッサに、
- 所定の標識により標識付けされた臓器(146)から磁気共鳴撮像システムを用いて取得された3D画像データ又は3D画像データ及び2D画像データを有する磁気共鳴データを受信させ、
- 前記3D画像データから又は前記2D画像データから再構成された再構成2D画像において前記標識の少なくとも1つの無信号域候補を識別させ、
- 前記識別された無信号域候補が前記標識の一部であるという尤度を算出するために前記3D画像データ及び前記識別された無信号域を処理させ、
- 前記算出された尤度の指示情報を出力させ、
- 前記出力に応答して、放射線治療計画に関するユーザ入力を受信させ、及び
- 前記臓器の照射を前記放射線治療計画に従って制御させる。
【0034】
他の態様において、本発明は磁気共鳴撮像システムを有する磁気共鳴撮像誘導放射線治療装置を制御する方法に関するものである。該方法は、
- 所定の標識により標識付けされた臓器(146)から前記磁気共鳴撮像システムを用いて3D画像データ又は3D画像データ及び2D画像データを有する磁気共鳴データを取得するステップと、
- 前記3D画像データから又は前記2D画像データから再構成された再構成2D画像において前記標識の少なくとも1つの無信号域候補を識別するステップと、
- 前記識別された無信号域候補が前記標識の一部であるという尤度を算出するために前記3D画像データ及び前記識別された無信号域を処理するステップと、
- 前記算出された尤度の指示情報を出力するステップと、
- 前記算出された尤度の出力に応答して、放射線治療計画に関するユーザ入力を受信するステップと、
- 前記臓器の照射を前記放射線治療計画に従って制御するステップと、
を有する。
【0035】
磁気共鳴画像データとは、ここでは、磁気共鳴撮像スキャンの間における磁気共鳴装置のアンテナによる原子スピンにより放出されたラジオ波信号の記録された測定値であると定義される。磁気共鳴撮像(MRI)画像とは、ここでは、磁気共鳴画像データ内に含まれる解剖学的データの再構成された2次元又は3次元視覚化であると定義される。この視覚化はコンピュータを用いて実行することができる。
【0036】
本発明の上述した実施態様の1以上は、組み合わされた実施態様が互いに排他的でない限り、組み合わすことができると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、治療システムの断面及び機能図を示す。
図2図2は、臓器の患部の照射を制御する方法のフローチャートである。
図3図3は、無信号域を伴う2DのMR画像の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好ましい実施態様を、図面を参照して例示のみとして説明する。
【0039】
以下の説明において、各図における同様の符号は同様の要素であるか、又は等価な機能を果たす。また、先に説明された要素は、当該機能が等価であれば、後の図では必ずしも説明されることはない。
【0040】
種々の構造、システム及び装置は、説明のためのみの目的で、且つ、当業者により良く知られた詳細により本発明を不明瞭にさせることがないように、各図では概略的に示される。それにも拘わらず、添付図面は、開示される主題の解説例を記載及び説明するために含まれている。
【0041】
図1は、治療システム100の断面及び機能図を示す。治療システム100は、放射線治療装置102及び磁気共鳴撮像モジュール106を有するものとして図示されている。放射線治療装置102は環状機構108を有する。該環状機構108は放射線治療源110を支持する。放射線治療源110は、代表的なもので、LINACX線源、X線2及び放射線同位体ガンマ放射線源とすることができる。該放射線治療源110に隣接するものは、該放射線治療源110により発生される放射線ビーム114をコリメートするための多分割ビームコリメータ112である。環状機構108は、放射線治療源110及びビームコリメータ112を放射線治療装置102の回転ポイント117の回りで移動させる(例えば、回転させる)ようにも構成される。回転ポイント117を回転軸116が通過する。
【0042】
磁気共鳴撮像モジュール106は、主磁石122を有するものとして図示されている。環状機構108は、環状の形状のものであり、主磁石122を取り囲んでいる。図1に示された主磁石122は円筒状超伝導磁石である。しかしながら、本発明の実施態様に対しては他の磁石も適用可能である。主磁石122は超冷却低温槽124を有している。該低温槽124内には、一群の超伝導コイル126が存在する。電流が超伝導コイル126における電流の方向とは逆になる補償コイル128も存在する。これは、主磁石122を囲む又は取り囲む低磁場領域130を生成する。円筒状主磁石122は対称軸132を有するものとして図示されている。
【0043】
前記磁石のボア内には勾配磁場コイル134が存在し、該勾配磁場コイルは、磁気共鳴データの取得のために、主磁石122の撮像ボリューム138内の対象を空間的にエンコードするために使用される。勾配磁場コイル134は勾配磁場コイル電源136に接続される。勾配磁場コイル134は代表的なものであることを意図するものである。典型的に、勾配磁場コイルは3つの直交空間方向に空間的にエンコードするための3つの別個の組のコイルを含んでいる。上記撮像ボリューム138は、主磁石122の中心に位置される。
【0044】
撮像ボリューム138に隣接するものは、該撮像ボリューム138内の磁気スピンの向きを操作すると共に、これも該撮像ボリューム138内のスピンからのラジオ波を受信するためのラジオ波(RF)コイル140である。ラジオ波コイル140はラジオ波送受信器142に接続される。ラジオ波コイル140及びラジオ波送受信器142は、別々の送信及び受信コイル並びに別々の送信器及び受信器により置換することができる。ラジオ波コイル140及びラジオ波送受信器142は単なる代表的なものであると理解される。
【0045】
主磁石122の中心内には、被検者144も位置される。被検者144は、標的ボリューム(又は標的ゾーン)146を有し、患者担体148上に横たわっているものとして図示されている。RFコイル140は標的ボリューム146内にRFパルスを送信することができる。患者担体148は機械式位置決めシステム150を有している。該機械式位置決めシステム150は、主磁石122内で患者担体148を位置決めするように構成される。主磁石122の内部で利用可能な空間に依存して、機械式位置決めシステム150は患者担体148を磁石軸132に対して垂直な方向を含む異なる方向に移動させることができる。主磁石122内に一層多くの利用可能な空間が存在するなら、機械式位置決めシステム150は一層多くの自由度を有することができる。例えば、機械式位置決めシステム150は患者担体148を6つの自由度で位置決めすることができる。
【0046】
ラジオ波送受信器142、勾配磁場コイル電源136、機械式アクチュエータ104及び機械式位置決めシステム150は、全てコンピュータシステム152のハードウェアインターフェース154に接続されるものとして図示されている。コンピュータシステム152は治療システム100を制御するためにプロセッサ156を使用する。
【0047】
図1に図示されたコンピュータシステム152は代表的なものである。この単一のコンピュータシステム152により図示された機能を表すために、複数のプロセッサ及びコンピュータシステムを用いることもできる。コンピュータシステム152はハードウェアインターフェース154を有し、該ハードウェアインターフェースはプロセッサ156が治療システム100の要素に対してメッセージを送信及び受信することを可能にする。プロセッサ156は、表示装置158、コンピュータ記憶部160及びコンピュータメモリ162にも接続される。表示装置158は、タッチスクリーン型感知表示装置を有することができる。該表示装置は、ユーザが該表示装置158を一層効率的に操作することを可能にするために取り外し可能なスタイラスペンを備えることができる。
【0048】
放射線治療装置102は、ハードウェアインターフェース154に接続されるものとしては図示されていない。放射線治療装置102は、例えば、ハードウェアインターフェース154に接続され、機械式アクチュエータ104を介してコンピュータシステム152と通信することもできる。
【0049】
図1に示された例の場合、前記放射線治療装置の回転軸116は磁石軸132とは同軸的でない。回転ポイント117は、磁石軸132から中心がずれているものとして図示されている。標的ゾーン146は、磁石軸132から中心がずらされて離れていることが分かる。放射線治療装置102は、機械式アクチュエータ104により、当該放射線治療装置の回転ポイント117が標的ゾーン146内に位置するように移動されている。環状機構108が磁石122に対して移動されていることが分かる。
【0050】
放射線ビーム114は回転ポイント117を通過する。回転ポイント117を標的ゾーン146の中心に位置させることは、放射線ビーム114が放射線治療源110により発生され、環状機構108により回転される場合に、該標的ゾーンが連続的に治療されることを可能にする。
【0051】
コンピュータ記憶部160は、磁気共鳴撮像モジュール106により取得された画像磁気共鳴データ170を格納するものとして図示されている。コンピュータ記憶部160は、上記画像磁気共鳴データから再構成された診断画像(即ち、画像表現)172を更に格納するものとして図示されている。コンピュータ記憶部160は、標的ボリューム146の座標174を更に格納するものとして図示されている。コンピュータ記憶部160は、放射線治療制御信号178を更に格納するものとして図示されている。
【0052】
コンピュータメモリ162は、プロセッサ156により処理のためのマシン実行可能な命令180、182、186、188、194を格納する。コンピュータメモリ162は、治療システム制御モジュール180を格納するものとして図示されている。治療システム制御モジュール180は、プロセッサ156が治療システム100の全体的機能を制御することを可能にするマシン実行可能な命令を含む。コンピュータメモリ162は放射線治療装置制御モジュール182を更に含むものとして図示されている。放射線治療装置制御モジュール182は、プロセッサ156が放射線治療装置102の機能を制御することを可能にするマシン実行可能な命令を含む。
【0053】
コンピュータメモリ162は、磁気共鳴撮像制御モジュール186を更に含むものとして図示されている。磁気共鳴撮像制御モジュール186は、プロセッサ156が磁気共鳴撮像モジュール106の機能及び動作を制御することを可能にするマシン実行可能なコードを含む。コンピュータメモリ162は、画像再構成モジュール188を更に格納するものとして図示されている。画像再構成モジュール188は、プロセッサ156により画像磁気共鳴データ170を画像172に変換するために使用されるマシン実行可能なコードを含む。
【0054】
コンピュータメモリ162は、放射線治療制御信号発生モジュール194を更に格納するものとして図示されている。放射線治療制御信号発生モジュール194は、プロセッサ156が放射線治療制御信号178を発生するために使用するコンピュータ実行可能なコードを含む。放射線治療制御信号178は、標的ボリューム146の座標と一緒に発生することができる。
【0055】
コンピュータメモリ162は、アルゴリズム199を更に有するものとして図示されている。アルゴリズム199は、プロセッサ156が分割された(セグメント化された)MR画像(そして、組織に分類された)における矛盾又は異常を基準画像若しくは基準データを用いることにより検出するために使用するコンピュータ実行可能なコードを含む。例えば、アルゴリズム199は、前記セグメント化されたMR画像における骨部分又は組織の寸法を該骨組織が超えてはならない基準直径(基準データの)と比較するように構成することができる。矛盾(例えば、上記寸法が上記直径を超えること)を識別することにより、アルゴリズム199は該セグメント化されたMR画像の修正をリクエストすることができる。
【0056】
他の例において、臨床的な関心のある殆どの構造は既知の特徴的形状及び他の構造に対する解剖学的位置を有するので、これらの特徴を使用する斯かるセグメント化されたMR画像の解析は、当該アルゴリズムを当該セグメント化されたMR画像の修正をリクエストするよう始動することができる。当該解析は、例えば、現在撮られたMR画像を前の機会に撮られたものに位置合わせする又は先験的に同一であると予測される2つの対象の画像を位置合わせすることにより実行することができる。
【0057】
コンピュータメモリ162は、更に、プロセッサ156が以下に記載する方法の少なくとも一部を実行することを可能にするコンピュータ実行可能なコードを含む。
【0058】
図2は、例えば検査ボリューム138内で位置決めされた臓器146の患部の照射を制御するための図1の治療システム100を動作させる方法のフローチャートである。当該臓器は例えば前立腺であり得る。該臓器は所定の標識(マーカ)を有することができる。例えば、ステップ201を実行する前に、直径1.0mm及び長さ3.0mmの1以上の前立腺純金基準マーカを当該臓器に経直腸的に挿入することができる。当該標識は、例えば先験的に知られた若しくは予め定められた寸法の金属物体又は先験的に知られた若しくは予め定められたコントラストを有し得る物体を有することができる。例えば、治療装置のユーザは、ワイヤ形状の代わりに種子(シード)形状又は樽形状を使用する等のように、当該標識の金属のタイプに基づいて斯様な形状の予め定められた構造を用意することもできる。
【0059】
ステップ201において、磁気共鳴撮像システム(例えば、106)を用いて当該臓器から磁気共鳴データを取得することができる。該取得された磁気共鳴データは、3D(三次元)画像データを有する(例えば、3D画像データを有する磁気共鳴データを取得することにより)。該3D画像データは3D取得法又は2Dマルチスライス取得法を用いて取得することができる。一例において、該取得された磁気共鳴データは2D画像データを更に有することができる。2つの異なる組の画像データを用いることは、同一の方法で取得されたデータを比較することに起因し得るバイアスを回避することができるので有利であり得る。当該2D及び/又は3D画像データの取得は、予め定められたパルスシーケンスを用いて実行することができる。斯かるパルスシーケンスは、例えば、スピンエコーMRIパルスシーケンス又はT1強調勾配エコーシーケンスを含むことができる。
【0060】
一例において、取得された磁気共鳴データは臓器146内の対応する組織を示す複数の区域(セグメント)に分割することができる。組織は、例えば、脂肪、水、骨又は空気組織等を有することができる。例えば、該分割するステップは各ボクセルを分割することにより、骨、空気及び軟組織(例えば、水部分及び脂肪部分等)に対応する区域を発生することにより実行することができる。例えば、骨区域は前記3D画像データにおける当該骨組織を示す第1群のボクセルを有することができる。
【0061】
一例において、前記分割するステップは、前記取得されたMRデータを用いてMR画像を再構成すると共に、該再構成されたMR画像を分割することにより実行することができる。該分割するステップは、前記再構成されたMR画像を、各々が均一である(例えば、輝度及び/又はテクスチャの点で)領域又はセグメントの寄せ集めに区分けするステップを有することができる。該分割するステップは組織分類を有する。例えば、該分割するステップは、前記再構成されたMR画像の個々の要素に、当該個々の要素が属する組織を示す組織分類を割り当てるステップを有する。該個々の要素はボクセルを有することができる。前記組織分類は前記個々の要素に、例えば当該組織分類に固有の値(例えば、番号)を割り当てることにより割り当てることができる。例えば、前記MR画像の個々の要素は、特定の組織分類の仲間又は一部である自身の確率に従って分類することができる。斯かる分割は、例えば分割されたMRデータを位置合わせする場合に有利であり得る。例えば、前記2D及び3D画像データは分割することができ、分割されたMRデータは位置合わせすることができる。斯かる位置合わせのために、生の画像データ又は前記分割された画像は、これらの構造の間の幾何学的関係が適切である新たな基準フレームに変換することができる。
【0062】
オプションとしてのステップ203において、再構成された2D画像の画像データ及び前記3D画像データは位置合わせ又は重ね合わせることができる。該位置合わせは、例えば前記2つのMRI画像データを整列し、共通の特徴構造が重なり合い、該2つの画像データの間の差分が強調されるようにして実行することができる。該位置合わせは、前記2D及び3D画像データの間の空間的又は時間的一致を見つけることができる。該画像位置合わせは、前記2D画像データを前記3D画像データに整列するように空間的に位置合わせすることを含むことができる。画像位置合わせは、輝度に基づくもの又は特徴構造に基づくものとすることができる。輝度ベースの位置合わせは、画像における輝度パターンを、相関尺度を介して比較する一方、特徴構造ベースの位置合わせは、点、線及び輪郭等の画像特徴構造の間の一致を見つける。他の例において、前記2D画像データ及び3D画像データは、位置合わせされないで後続のステップにおいて使用することができる。
【0063】
ステップ205では、前記磁気共鳴データの再構成された2D画像において前記標識の少なくとも1つの無信号域(signal void)候補を識別することができる。例えば、前記2D画像は、前記3D画像データから又は前記2D画像データから再構成することができる。他の例において、撮像される臓器に関し、該臓器が用いることができる所定の形状又は構造を有するなら、少なくとも1つの無信号域候補を識別することができる(例えば、ここで標識に関して記載されることは、MRIシステム106を用いて撮像される所定の形状又は形態を有する他の構造に関して実行することもできる)。
【0064】
無信号域とは、再構成された画像におけるラジオ波信号を放出しない領域(例えば、該領域に活性化された陽子が存在しないため)を指す。ステップ205において識別される無信号域は、前記標識から生じる又は該標識に対応する無信号域であるか又はない可能性があるので、候補である。
【0065】
一例において、上記識別は自動的に実行することができる。例えば、無信号域は前記2D画像データのピクセルの磁気共鳴特性を用いて識別することができる。他の例において、無信号域は、再構成された画像の所与の位置としてランダムに選択することができる。
【0066】
一例において、再構成された2D画像は、例えば表示装置158上のグラフィックユーザインターフェース上に表示することができる。そして、治療システム100のユーザから選択情報を受信することができる。該選択情報は、前記の識別された無信号域を示す。無信号域の選択は、例えば上記グラフィックユーザインターフェースのカーソルの、前記再構成された2D画像における当該無信号域に対応する位置への移動(ドラッグ動作)により実行することができる。
【0067】
他の例において、無信号域の識別は、例えば表示装置158のセンサによる、該(タッチ感知性)表示装置158上での当該無信号域を示すタッチ動作を検出するステップを有する。該タッチ動作はドラッグ動作を含むことができる。他の例において、斯かるタッチ動作は、表示装置158の入力ペンを表示装置158に接触することなく当該無信号域に向けることにより実行することができる。
【0068】
一例においては、複数の無信号域を、ステップ205において、例えば標識の形状を決定するために識別することができる。このことは、ステップ205を複数回繰り返すことにより又は複数の無信号域を一度に識別することにより実行することができる。複数の無信号域の識別は、前述したように実行することができる。
【0069】
ステップ207において、前記3D画像データ及び識別された無信号域は、当該識別された無信号域候補が標識の一部であるという尤度を計算するために処理することができる。言い換えると、これは、当該無信号域における信号が当該標識から生じているか又は生じていないかの尤度である。識別された無信号域候補が標識の一部であるということは、該無信号域が当該臓器の撮像された部分における該標識の存在により発生された又は起因したことを意味する。
【0070】
当該無信号域が標識の一部であることの該尤度決定は、二進的決定(例えば、標識の一部である又は標識の一部でない)とすることができるが、当該無信号域が標識の一部である確率を表す値等の他の決定法を採用することができることも考えられる。
【0071】
ステップ205において識別された各無信号域に対して、上記尤度又は確率を計算することができる。該尤度の計算は、例えば、画像輝度情報及び当該無信号域のピクセルの位置等の形態的情報の両方を用いることができる。例えば、無信号域のピクセルを3D画像データにおける画像輝度データと相関させる確率密度関数をベイズ(Bayesian)法で用いて、識別された各無信号域に関する尤度推定値を発生することができる。
【0072】
一例において、ステップ207における3D画像データの処理は、識別された無信号域に対応する2D画像データにおけるピクセルを識別するステップと、該ピクセルの磁気共鳴特性を前記3D画像データのボクセルの磁気共鳴特性と比較するステップと、該比較結果を用いて尤度を算出するステップとを有することができる。
【0073】
他の例において、ステップ207における3D画像データの処理は、前記標識の形状を記述する1以上のパラメータの基準値を供給するステップと、前記3D画像データを処理して前記標識の形状を前記無信号域の磁気共鳴特性を用いて決定するステップと、前記パラメータの値を該決定された標識の形状を用いて決定するステップと、該決定された値を前記基準値と比較するステップと、該比較結果を用いて尤度を算出するステップとを有することができる。前記標識の決定された形状は、例えば、該標識を含むボクセルの対数輝度上の分布を用いて確認することができ、該分布は所定の平均輝度値に対するガウス分布であるかをチェックすることができる。
【0074】
他の例において、ステップ207の処理は、前記標識の形状を当該無信号域がありそうな領域上にドラッグするステップ、及び長さ(及び体積)情報を用いてアルゴリズム的検索を当該3Dボリューム内のありそうな近くの画像要素(例えば、ボクセル)に限定するステップを有することができる。ワイヤは変形し得る(収縮又は膨張はしない)ので、本方法は、この情報を無信号域のありそうな位置を推定する際に使用することができる。
【0075】
例えば、再構成された2D画像を、識別された無信号域において標識を見つける尤度に関する確率マップ(カラーコーティング等)として表示することができる。
【0076】
ステップ209において、前記算出された尤度(又は複数の尤度)の指示情報を供給し又は出力することができる。例えば、該出力するステップは、図3に関して示されるように当該尤度の指示情報を2D画像に関連させて例えば視覚的キュー(手掛かり)を用いて表示するステップを有する。算出された尤度の出力に応答して、又は該算出された尤度を供給することに応答して、ステップ211において、放射線治療(又は、放射線治療計画)を指定するユーザ入力を受信することができる。該ユーザ入力は、例えば、当該臓器の患部の照射を制御するための、放射線治療計画に関する放射線の3D輪郭領域、方向及び/又は配置を指定することができる。
【0077】
ステップ213において、当該臓器の照射は上記放射線治療を用いて(又は上記放射線治療計画を用いて)制御することができる。該放射線治療とは、特定の組織(例えば、当該臓器)、例えば該臓器の腫瘍組織の、供給される高エネルギ放射線(例えば、所定の位置における)を用いた治療を指す。前述したような尤度を提供することにより、当該放射線の方向及び配置を正確に制御することができる。このことは、治療ボリューム、腫瘍又は患部が、治療され又は破壊されるために所望の又は十分な量の放射線を受けること、及び周囲の健康な又は非腫瘍組織の損傷又は悪影響が回避され又は最少にされることの両方を保証することができる。
【0078】
一例において、無信号域を識別する及び対応する尤度を決定するステップ205~207は反復することができ、各反復において前記標識の形状を前述したように決定することができる。前記標識の形状が前の反復からの標識の形状に対して変化する場合は、出力し、受信し及び当該装置を制御するステップ209~213を実行することができ、それ以外の場合はステップ205~207を反復することができる、等々である。
【0079】
図3は、前立腺の再構成された2DのMRI画像の一例を示す。該前立腺は金属ワイヤ又は金製種子状(gold seed)マーカ等のマーカを有している。
【0080】
先ず、追跡されるべき無信号域を選択することができる。例えば、該無信号域は金によるものであり得る。次いで、ユーザは当該前立腺領域を示す2D画像301にアクセスすることができる。該ユーザは、次いで、十字303及び305により図示されるように2D画像301における可能性のある黒い無信号域上にマウスを移動することができる。マウスポインタが当該2D画像上を移動又は迷動する際に、現在のポインタ位置303~305に対するモデル適合を計算するために、基礎となるアルゴリズム又はソフトウェアが起動される。モデル適合値は、次いで、非適合、可能性のある適合及び良好な適合なる3つの分類に対して正規化することができる。該分類は、例えば、非適合に対して白、可能性のある適合に対して黄色及び良好な適合に対して緑のように、それに応じてポインタ303~305のカラーを変化させることによりユーザインターフェース上に反映させることができる。非適合、可能性のある適合及び良好な適合は、ポインタ303~305により識別又は選択された無信号域が当該標識の一部であるか又は該標識の一部でないかの尤度を示し得る。例えば、非適合は、識別された無信号域が当該標識の一部でないことを示し得る。
【0081】
他の例において、無信号域は2D画像301上で自動的に発生又は識別され、該2D画像における当該無信号域に対応する領域(例えば、ピクセル)には、該領域が適合されるべきモデルの中心である場合、該適合の良さに対応する値が割り当てられる。この値は、次いで、当該モデルが良く適合する場所を一目で示すようなカラーコード化された重ね合わせ(オーバーレイ)へと調整される。
【0082】
一例において、本開示は、ユーザが代表的な2D医療画像スライスと対話する場合における基となる3D構造上のユーザインターフェースの手掛かり(キュー)を提供する。該ユーザインターフェースは、当該画像上の無信号域が実際に隣接するスライス上で相互接続され、金属ワイヤ標識の候補を形成することを示すことができる。MR画像解像度は標識の寸法と比較して劣り得るものであるか、又は該画像はノイズが多いか若しくはコントラストに欠け得るので、ユーザインターフェースは視覚的手掛かりに対する適合品質(quality of fit)を含むことができ、ユーザが幾つかの無信号域候補を矢継ぎ早に供給し、ワイヤの最もありそうなケースが何であるかを素早く理解することができるようにする。本方法は、ユーザが臓器又は構造を先験的に知られたモデルでラベル付けする又は輪郭付けすることを要する他のアプリケーションのために用いることもできる。
【0083】
当業者により理解されるように、本発明の態様は、装置、方法又はコンピュータプログラム製品として実施化することができる。従って、本発明の態様は、完全にハードウェアの実施態様、完全にソフトウェアの実施態様(ファームウエア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)又はソフトウェア態様及びハードウェア態様(ここでは、全て、“回路”、“モジュール”若しくは“システム”と称することができる)を組み合わせた実施態様の形態をとることができる。更に、本発明の態様は、コンピュータ実行可能なコードが具現化された1以上のコンピュータ読取可能な媒体に実施化されたコンピュータプログラム製品の形をとることができる。
【0084】
1以上のコンピュータ読取可能な媒体の如何なる組み合わせも用いることができる。該コンピュータ読取可能な媒体は、コンピュータ読取可能な信号媒体又はコンピュータ読取可能な記憶媒体であり得る。ここで使用される“コンピュータ読取可能な記憶媒体”とは、計算装置のプロセッサにより実行可能な命令を記憶することができる如何なる有形記憶媒体をも含む。該コンピュータ読取可能な記憶媒体は、コンピュータ読取可能な非一時的記憶媒体と称することができる。上記コンピュータ読取可能な記憶媒体は、有形コンピュータ読取可能な媒体と称することもできる。幾つかの実施態様において、コンピュータ読取可能な記憶媒体は、計算装置のプロセッサによりアクセスすることができるデータを記憶することもできる。コンピュータ読取可能な記憶媒体の例は、これらに限定されるものではないが、フロッピーディスク、磁気ハードディスクドライブ、固体ハードディスク、フラッシュメモリ、USBメモリ(USB thumb drive)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、光ディスク、光磁気ディスク及びプロセッサのレジスタファイルを含む。光ディスクの例は、コンパクトディスク(CD)、デジタル汎用ディスク(DVD)、例えばCD-ROM、CD-RW、CD-R、DVD-ROM、DVD-RW又はDVD-Rディスクを含む。コンピュータ読取可能な記憶媒体なる用語は、ネットワーク又は通信リンクを介して当該計算装置によりアクセスすることが可能な種々のタイプの記録媒体も指す。例えば、データはモデムを介して、インターネットを介して又はローカルエリアネットワークを介して取り出すことができる。コンピュータ読取可能な媒体上に具現化されたコンピュータ実行可能なコードは、これらに限定されるものではないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、又はこれらの何らかの適切な組み合わせを含む如何なる適切な媒体を用いて伝送することもできる。
【0085】
コンピュータ読取可能な信号媒体は、コンピュータ実行可能なコードが内部に(例えば、ベースバンド内に又は搬送波の一部として)具現化された伝搬されるデータ信号を含むことができる。このような伝搬される信号は、これらに限定されるものではないが、電磁的、光学的又はこれらの何れかの適切な組み合わせのものを含む種々の形態の何れかをとることができる。コンピュータ読取可能な信号媒体は、コンピュータ読取可能な記憶媒体ではなく、且つ、命令実行システム、装置若しくはデバイスにより又はこれらに関連して使用するためのプログラムを通知、伝搬又は伝送することができる如何なるコンピュータ読取可能な媒体とすることもできる。
【0086】
“コンピュータメモリ”又は“メモリ”は、コンピュータ読取可能な記憶媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な如何なるメモリでもある。“コンピュータ記憶部”又は“記憶部”は、コンピュータ読取可能な記憶媒体の他の一例である。コンピュータ記憶部は、如何なる不揮発性コンピュータ読取可能な記憶媒体でもある。幾つかの実施例において、コンピュータ記憶部はコンピュータメモリとすることもでき、その逆も同様である。
【0087】
ここで使用される“プロセッサ”とは、プログラム、マシン実行可能な命令又はコンピュータ実行可能なコードを実行することができる電子部品を含む。“プロセッサ”を有する計算装置を参照する場合、2以上のプロセッサ又は処理コアを可能性として含むと解釈されるべきである。プロセッサは、例えば、マルチコア・プロセッサであり得る。プロセッサは、単一のコンピュータシステム内の又は複数のコンピュータシステムの間に分散された一群のプロセッサを指すこともできる。計算装置なる用語は、各々がプロセッサ若しくは複数のプロセッサを有する計算装置の集合又はネットワークを可能性として指すとも解釈されるべきである。コンピュータ実行可能なコードは、同一の計算装置内にあり得るか、又は複数の計算装置の間に分散さえもされ得る複数のプロセッサにより実行することができる。
【0088】
コンピュータ実行可能なコードは、プロセッサに本発明の一態様を実行させるマシン実行可能な命令又はプログラムを有し得る。本発明の態様に関する処理を実行するためのコンピュータ実行可能なコードは、1以上のプログラミング言語の如何なる組み合わせで書くこともでき、これらプログラミング言語は、ジャバ、スモールトーク、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及び“C”プログラミング言語又は同様のプログラミング言語等でマシン実行可能な命令にコンパイルされる従来の手続型プログラミング言語を含む。幾つかの事例において、コンピュータ実行可能なコードは、高レベル言語の形態又は事前にコンパイルされた形態であり得ると共に、実行しながらマシン実行可能な命令を発生するインタープリタと一緒に使用することもできる。
【0089】
上記コンピュータ実行可能なコードは、単独型ソフトウェアパッケージとして全体的にユーザのコンピュータ上で若しくは部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的に遠隔コンピュータ上で、又は全体として遠隔コンピュータ上若しくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピュータはユーザのコンピュータにローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む何らかのタイプのネットワークを介して接続することができ、又は該接続は外部コンピュータに対してなすことができる(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いることによりインターネットを介して)。
【0090】
本発明の態様は、本発明の実施態様による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート、説明図及び/又はブロック図における各ブロック又はブロックの一部は、適用可能な場合は、コンピュータ実行可能なコードの形態のコンピュータプログラム命令により実施化することができると理解される。更に、互いに排他的でない場合、異なるフローチャート、説明図及び/又はブロック図におけるブロックは組み合わせることもできると理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又はマシンを生成する他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに対して、上記コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行する上記命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて特定される機能/動作を実施するための手段を生成するように、供給することができる。
【0091】
コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイスに特定の態様で機能するように指令することができる斯かるコンピュータプログラム命令は、コンピュータ読取可能な媒体に記憶することもでき、かくして、該コンピュータ読取可能な媒体に記憶された上記命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて特定される機能/動作を実施する命令を含む製品を形成するようにする。
【0092】
上記コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイスにロードされ、一連の処理ステップが該コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイス上で実行されて、コンピュータで実施する処理が形成され、かくして、上記コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行する命令が、前記フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて特定される機能/動作を実施するための処理をもたらすようにすることもできる。
【0093】
ここで使用される“ユーザインターフェース”とは、ユーザ又は操作者がコンピュータ又はコンピュータシステムと対話することを可能にするインターフェースである。“ユーザインターフェース”は、“ヒューマンインターフェース装置”と称することもできる。ユーザインターフェースは、情報若しくはデータを操作者に供給し、及び/又は操作者から情報若しくはデータを受信することができる。ユーザインターフェースは、操作者からの入力がコンピュータにより受信されることを可能にし得ると共に、コンピュータからユーザに出力を供給することができる。言い換えると、ユーザインターフェースは操作者がコンピュータを制御又は操作することを可能にし得ると共に、該インターフェースはコンピュータが操作者の制御又は操作の効果を示すことを可能にし得る。ディスプレイ又はグラフィックユーザインターフェース上でのデータ又は情報の表示は、操作者への情報の供給の一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポインティングスティック、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウエブカム、ヘッドセット、ギアスティック、舵輪、ペダル、ワイヤグローブ、ダンスパッド、リモコン及び加速度計を介してのデータの受信は、全て操作者からの情報又はデータの受信を可能にするユーザインターフェースの構成部品の例である。
【0094】
ここで使用される“ハードウェアインターフェース”は、コンピュータシステムのプロセッサが外部計算デバイス及び/又は装置と対話し、及び/又は斯かる計算デバイス及び/又は装置を制御することを可能にするインターフェースを含む。ハードウェアインターフェースは、プロセッサが外部計算デバイス及び/又は装置に制御信号又は命令を送信することを可能にし得る。ハードウェアインターフェースは、プロセッサが外部計算デバイス及び/又は装置とデータを交換することも可能にし得る。ハードウェアインターフェースの例は、これらに限定されるものではないが、汎用直列バス、IEEE 1394ポート、パラレルポート、IEEE 1284ポート、直列ポート、RS-232ポート、IEEE 488ポート、ブルートゥース(登録商標)接続、無線ローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インターフェース、MIDIインターフェース、アナログ入力インターフェース及びデジタル入力インターフェースを含む。
【0095】
ここで使用される“ディスプレイ”又は“表示装置”は、画像又はデータを表示するように構成された出力装置又はユーザインターフェースを含む。ディスプレイは、視覚、音響及び/又は触覚データを出力することができる。ディスプレイの例は、これらに限定されるものではないが、コンピュータモニタ、テレビジョンスクリーン、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、陰極線管(CRT)、蓄積管、バイステーブルディスプレイ、電子ペーパ、ベクトルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネッセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プロジェクタ及びヘッドマウント(頭部装着)ディスプレイを含む。
【0096】
以上、本発明を図面及び上記記載において詳細に図示及び説明したが、このような図示及び説明は解説的又は例示的であって限定するものではないと見なされるべきである。即ち、本発明は開示された実施態様に限定されるものではない。
【0097】
開示された実施態様に対する他の変形例は、当業者によれば、請求項に記載された本発明を実施するに際して図面、本開示及び添付請求項の精査から理解し、実施することができるものである。尚、請求項において、“有する”なる文言は他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。また、単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を満たすことができる。また、特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組合せを有利に使用することができないということを示すものではない。また、コンピュータプログラムは、光記憶媒体又は他のハードウェアと一緒に若しくは他のハードウェアの一部として供給される固体媒体等の適切な媒体により記憶/分配することができるのみならず、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介して等のように他の形態で分配することもできる。また、請求項における如何なる符号も、当該範囲を限定するものと見なしてはならない。
【符号の説明】
【0098】
100 治療システム
102 放射線治療装置
104 機械式アクチュエータ
106 磁気共鳴撮像モジュール
108 環状機構
110 放射線治療源
112 多分割ビームコリメータ
114 放射線ビーム
116 回転軸
117 回転ポイント
122 主磁石
124 低温槽
126 超伝導コイル
128 補償コイル
130 低磁場領域
132 磁石軸
134 勾配磁場コイル
136 勾配磁場コイル電源
138 撮像ボリューム
140 ラジオ波コイル
142 ラジオ波送受信器
144 被検者
146 標的ボリューム
148 患者担体
150 機械式位置決めシステム
152 コンピュータシステム
154 ハードウェアインターフェース
156 プロセッサ
158 ユーザインターフェース
160 コンピュータ記憶部
162 コンピュータメモリ
164 上部距離
166 底部距離
170 画像磁気共鳴データ
172 診断画像
174 標的ボリュームの座標
178 放射線治療制御信号
180 治療システム制御モジュール
182 放射線治療装置制御モジュール
186 磁気共鳴撮像制御モジュール
188 画像再構成モジュール
194 放射線治療制御信号発生モジュール
199 プログラム
210~213 ステップ
301 2D画像
303~305 ポインタ
図1
図2
図3