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特許7370864体積変調アーク療法(VMAT)計画の視覚化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】体積変調アーク療法(VMAT)計画の視覚化
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A61N5/10 P
A61N5/10 K
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019559734
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2018061442
(87)【国際公開番号】W WO2018202820
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】62/500,783
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーク トルビョーン
(72)【発明者】
【氏名】へーセ ハラルド セップ
(72)【発明者】
【氏名】ノイキルチェン クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】イゾラ アルフォンソ アガティノ
(72)【発明者】
【氏名】ウェーゼ ロルフ ユルゲン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-534135(JP,A)
【文献】特開2004-275636(JP,A)
【文献】特表2016-512778(JP,A)
【文献】特表2016-514613(JP,A)
【文献】国際公開第2016/140955(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/125600(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/162999(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/008052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングシステムを含むシステムであって、
前記コンピューティングシステムは、
プロセッサと、
コンピュータ可読記憶媒体と、
を含み、
前記コンピュータ可読記憶媒体は、放射線計画命令、放射線計画最適化命令及び放射線計画視覚化命令を含むコンピュータ可読及び実行可能命令を有し、前記プロセッサは、
前記放射線計画命令を実行して、前記プロセッサに、ユーザ入力に基づいて放射線治療計画を作成させ、
前記放射線計画最適化命令を実行して、前記プロセッサに、前記放射線治療計画に対する制約を考慮に入れて最適化された放射線治療計画を提案させ、
前記放射線計画視覚化命令を実行して、前記プロセッサに、ディスプレイモニタを介して、前記最適化された放射線治療計画からの3次元データを有する2次元プロットを構築及び視覚的に提示させ、2つの次元が前記2次元プロットの2つの軸に沿って表され、第3の次元が強度によって表される、システムであって、
前記3次元データの3次元は、リーフペアの開口サイズ、制御点及びコリメータ列である、システム。
【請求項2】
前記2次元プロットの第1の軸が前記制御点を表し、前記2次元プロットの第2の軸が前記コリメータ列を表し、前記2次元プロットのピクセルの強度が前記リーフペアの開口サイズを表し、前記強度は、グレースケール又はカラースケールによって表され、様々な強度は、様々なグレーの色調又は様々な色で表される、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記2次元プロットは更に、コリメータのジョーの上の位置及び下の位置を表す包絡線を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記放射線治療計画は、2つ以上のアークを含み、各アークについて異なるプロットが作成され、様々なプロットが同時に視覚的に提示される、請求項1から3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記放射線治療計画は、2つ以上の代替計画を含み、各代替計画について異なるプロットが作成され、様々なプロットが同時に視覚的に提示される、請求項1から3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
コンピューティングシステムを含むシステムであって、
前記コンピューティングシステムは、
プロセッサと、
コンピュータ可読記憶媒体と、
を含み、
前記コンピュータ可読記憶媒体は、放射線計画命令、放射線計画最適化命令及び放射線計画視覚化命令を含むコンピュータ可読及び実行可能命令を有し、前記プロセッサは、
前記放射線計画命令を実行して、前記プロセッサに、ユーザ入力に基づいて放射線治療計画を作成させ、
前記放射線計画最適化命令を実行して、前記プロセッサに、前記放射線治療計画に対する制約を考慮に入れて最適化された放射線治療計画を提案させ、
前記放射線計画視覚化命令を実行して、前記プロセッサに、ディスプレイモニタを介して、前記最適化された放射線治療計画からの3次元データを有する2次元プロットを構築及び視覚的に提示させ、2つの次元が前記2次元プロットの2つの軸に沿って表され、第3の次元が強度によって表される、システムであって、
前記3次元データの3次元は、制御点間のリーフペア開口の変化、制御点及びコリメータ列である、システム。
【請求項7】
前記2次元プロットの第1の軸が制御点を表し、前記2次元プロットの第2の軸がコリメータ列を表し、前記2次元プロットのピクセルの強度が制御点間のリーフペア開口の前記変化を表し、前記プロセッサは、制御点間のリーフペア開口の前記変化に基づいて、前記リーフペアの速度を決定する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記2次元プロットの第1の軸が制御点を表し、前記2次元プロットの第2の軸がコリメータ列を表し、前記2次元プロットのピクセルの強度がリーフペアの加速度を表し、前記プロセッサは、制御点間のリーフペア開口の前記変化に基づいて、前記速度を決定する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記強度は、グレースケール又はカラースケールによって表され、様々な強度が、様々なグレーの色調又は様々な色で表される、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
コンピューティングシステムを含むシステムであって、
前記コンピューティングシステムは、
プロセッサと、
コンピュータ可読記憶媒体と、
を含み、
前記コンピュータ可読記憶媒体は、放射線計画命令、放射線計画最適化命令及び放射線計画視覚化命令を含むコンピュータ可読及び実行可能命令を有し、前記プロセッサは、
前記放射線計画命令を実行して、前記プロセッサに、ユーザ入力に基づいて放射線治療計画を作成させ、
前記放射線計画最適化命令を実行して、前記プロセッサに、前記放射線治療計画に対する制約を考慮に入れて最適化された放射線治療計画を提案させ、
前記放射線計画視覚化命令を実行して、前記プロセッサに、ディスプレイモニタを介して、前記最適化された放射線治療計画からの3次元データを有する2次元プロットを構築及び視覚的に提示させ、2つの次元が前記2次元プロットの2つの軸に沿って表され、第3の次元が強度によって表される、システムであって、
前記3次元データの3次元は、離散化されたリーフ移動位置、制御点ガントリ角度及び開いたリーフペアの数であり、前記2次元プロットの第1の軸が前記離散化されたリーフ移動位置を表し、前記2次元プロットの第2の軸が前記制御点ガントリ角度を表し、前記2次元プロットのピクセルの強度が、開いたリーフペアの前記数を表す、システム。
【請求項11】
コンピューティングシステムを含むシステムの作動方法であって、
前記コンピューティングシステムは、プロセッサとコンピュータ可読記憶媒体とを含み、
前記コンピュータ可読記憶媒体は、放射線計画命令、放射線計画最適化命令及び放射線計画視覚化命令を含むコンピュータ可読及び実行可能命令を有し、
前記プロセッサが、前記コンピュータ可読記憶媒体からの前記放射線計画命令を実行することにより、放射線計画を生成するステップと、
前記プロセッサが、前記コンピュータ可読記憶媒体からの前記放射線計画最適化命令を実行することにより、前記放射線計画を最適化するステップと、
前記プロセッサが、前記コンピュータ可読記憶媒体からの前記放射線計画視覚化命令を実行することにより、最適化された放射線計画からの3次元データを有する2次元プロットを視覚的に表示することによって、前記最適化された放射線計画を視覚化するステップと、
を含み、
2つの次元が前記2次元プロットの2つの軸に沿って表され、第3の次元が強度によって表される、方法であって、
前記3次元データの3次元は、リーフペアの開口サイズ、制御点及びコリメータ列であるか、制御点間のリーフペア開口の変化、制御点及びコリメータ列であるか、又は、離散化されたリーフ移動位置、制御点ガントリ角度及び開いたリーフペアの数である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概して、放射線治療に関し、より具体的には、体積変調アーク療法(VMAT)に関する。
【背景技術】
【0002】
体積変調アーク療法(VMAT)は、ガントリが被験者の周りを回転し、コリメータリーフを動かすことにより放出ビームが成形されるデリバリタイプの外照射療法(EBRT)である。VMAT計画は、アークに沿った一連の個別の制御点(CP)に関して記述することができ、各CPは、コリメータリーフペアの配置(セグメント形状)、ビーム強度(線量率)及びガントリ速度を記述する。放射線治療計画システム(TPS)のプランナ及びオプティマイザのタスクは、適切で有効なVMAT計画を見つけることである。
【0003】
一般的に、臨床医は、治療するアークセグメント(長さ、位置、アーク数、…)、治療時間、分割回数、線量品質を示す線量目標、使用する機械(施設に複数のタイプの線形加速器及びコリメータがある場合)を規定する。次に、コンピュータ実施最適化アルゴリズムが、様々な制約を考慮に入れてソリューションを提案し、目的関数(局所最適)に関して様々な同等のソリューションの中から選択しなくてはならない。したがって、VMAT計画を作成するプロセス全体は複雑になる可能性があり、多くの近似値を利用する。
【0004】
計画を定量化するために、標的線量、リスク臓器線量、線量均一性といった線量ベースのメトリックが使用されてきている。線量は、個別のCPでのシミュレーションによってのみ近似されるため、送達時間、形状の複雑さ、形状の大きさ、形状の変化、総モニタユニット(MU)(治療ビームから放出される総線量)等といった送達特性の更なるメトリックも考慮されてきている。計画検査ツールには、線量率、ガントリ角度及び最大リーフ速度を示すCPスプレッドシート、最大又は平均リーフ速度のグラフ、セグメント形状のアニメーション及びセグメント形状が重ね合わされたデジタル再構成ラジオグラフ(DRR)が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、所与の計画が、制約について最善の妥協案ではない場合がある。残念ながら、計画におけるパラメータ(例えば各制御点の角度やリーフ位置/移動等)の多次元の性質により、計画がどのように送達されるかを理解することが難しく、これは、計画を比較したり及び/又は所与の状況に対する制限因子を理解したりすることを困難にする。例えばセグメント形状の時空間的な連続を理解することが困難である。更に、ビーム強度は時間的に変化し、データに別の独立した次元をもたらす可能性がある。
【0006】
本明細書に説明される態様は、上記問題及び/又は他の問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、システムが、プロセッサ及びコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピューティングシステムを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、放射線計画モジュール、放射線計画最適化モジュール及び放射線計画視覚化モジュールを含むコンピュータ可読及び実行可能命令を有する。プロセッサは、命令を実行して、当該プロセッサに、ディスプレイモニタを介して、放射線計画からの3次元データを有する2次元プロットを構築及び視覚的に提示させ、2つの次元がプロットの2つの軸に沿って表され、第3の次元が強度によって表される。
【0008】
別の態様では、方法が、放射線計画を生成するステップと、放射線計画を最適化するステップと、最適化された放射線計画からのデータの3次元を有する2次元プロットを視覚的に表示することによって、最適化された放射線計画を視覚化するステップとを含み、2つの次元がプロットの2つの軸に沿って表され、第3の次元が強度によって表される。
【0009】
別の態様では、コンピュータ可読媒体がコンピュータ実行可能命令でエンコードされる。コンピュータ実行可能命令は、プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、放射線計画を生成させ、放射線計画を最適化させ、最適化された放射線計画からのデータの3次元を有する2次元プロットを表示することによって、最適化された放射線計画を視覚的にまとめさせ、2つの次元がプロットの2つの軸に沿って表され、第3の次元が強度によって表される。
【0010】
これら及び他の態様は、本明細書に説明される実施形態から明らかとなり、当該実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの構成、また、様々なステップ及びステップの構成の形を取ってよい。図面は、好適な実施形態を例示することのみを目的とし、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0012】
図1図1は、本明細書に説明される実施形態による放射線治療計画ビジュアライザを含む例示的なシステムを図示する。
図2図2は、本明細書に説明される実施形態に従って、3次元計画データを、強度が第3の次元を表す2次元プロットに折りたたむ計画ビジュアライザによって構築及び提示されるプロットを示す。
図3図3は、本明細書に説明される実施形態に従って、3次元計画データを、強度が第3の次元を表す2次元プロットに折りたたむ計画ビジュアライザによって構築及び提示される別のプロットを示す。
図4図4は、本明細書に説明される実施形態に従って、3次元計画データを、強度が第3の次元を表す2次元プロットに折りたたむ計画ビジュアライザによって構築及び提示される更に別のプロットを示す。
図5図5は、本明細書に説明される実施形態に従って、3次元計画データを、強度が第3の次元を表す2次元プロットに折りたたむ計画ビジュアライザによって構築及び提示される更に別のプロットを示す。
図6図6は、本明細書に説明される実施形態による方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、線形加速器(LINAC)といった放射線治療システム100と、本例ではコンピューティングシステム124として示す治療計画システム(TPS)とを有するシステム10を概略的に示す。放射線治療システム100は、固定ガントリ102と、固定ガントリ102に回転可能に取り付けられた回転ガントリ104とを含む。回転ガントリ104は、治療領域108の周りを回転軸106に対して(例えば360°又はそれ以上若しくはそれ以下)回転する。
【0014】
固定ガントリ102は、治療放射線を送達する治療(例えばメガボルト(MV))放射線源112を有する治療ヘッド110と、治療ヘッド110を出る照射野を所定形状に成形可能なコリメータ114(例えばマルチリーフコリメータ)とを含む。放射線源112は、治療領域108の周りを回転ガントリ104と協働して回転する。コリメータ114は、共に独立して動くことができて照射野を成形するジョーのセットと複数のリーフとを含む。
【0015】
カウチといった被験者支持体116が、治療領域108内の被験者の一部を支持する。図示する患者支持体116は、テーブルトップ118及びベース120を含む。テーブルトップ118は、治療領域108に出入りするように平行移動する。
【0016】
オペレータコンソール122(例えばコンピュータ)は、ディスプレイといった人間が読み取り可能な出力デバイスと、キーボード及び/又はマウスといった入力デバイスとを含む。操作者は、コンソール122上でアクセス可能なソフトウェアによって、放射線治療システム100の動作を制御することができる。例えばコンソール122を使用して、VMAT、IMRT等の治療計画をロードすることができる。コンソール122は、計画に基づいて、アークに沿った制御点におけるガントリ回転、コリメーション及び治療送達等を制御する。
【0017】
コンピューティングシステム124は、物理メモリ及び/又は他の非一時的メモリといったコンピュータ可読記憶媒体126(一時的媒体を除く)を含む。コンピュータ可読記憶媒体126は、コンピュータ実行可能命令(「命令」)128を格納する。コンピューティングシステム124は更に、命令128を実行するプロセッサ130(例えば中央処理演算ユニット、即ち、CPU、マイクロプロセッサ、コントローラ等)を含む。コンピューティングシステム124は更に、出力デバイス132(例えばディスプレイモニタ)及び入力デバイス134(例えばマウス、キーボード等)を含む。
【0018】
命令128は、放射線治療計画モジュール(「プランナ」)136と、放射線治療計画最適化モジュール(「オプティマイザ」)138と、放射線治療視覚化モジュール(「ビジュアライザ」)140とを含む。プランナ136は、アークセグメント、各アークセグメントに沿った制御点、治療時間、分割回数、線量品質を示す線量目標、治療送達機械特性等といったユーザ入力に基づいて放射線治療計画を作成する。オプティマイザ138は、放射線治療計画を処理し、様々な制約を考慮に入れてソリューションを提案する。
【0019】
ビジュアライザ140は、最適化された放射線治療計画の送達特性のサマリを構築し視覚的に提示する。これには、放射線治療計画からの3以上の様々な次元のデータから様々なタイプの2次元(2D)プロットを作成することが含まれる。より詳細に説明すると、一例では、プロットは、例えば制御点インデックス/ガントリ角度(時間軸)とマルチリーフコリメータの空間軸の1つ(リーフペアインデックス又はリーフ移動軸上の位置)との両方を明示的に視覚化する一方で、別の空間次元をパラメータ組み合わせにおける強度(例えばグレースケール又はカラースケール)を規定する単一数値に折りたたむことによって、完全なVMATアークのリーフ開口特性(例えば統計値)といった特性を示す。
【0020】
一例では、このようなプロットは有益であり、放射線治療計画の送達特性の包括的な視覚的サマリを提供する。包括的な視覚的サマリは、放射線治療計画がどのように送達されるのかについての理解を深め、及び/又は、例えば様々なトライアル、アーク、設定等についての放射線治療計画の比較を容易にすることができる。トライアルとは、一般に、機械、アークの定義、コリメータの角度、送達時間及び/又は任意の他の設定が異なっている代替計画である。オプティマイザは、これらの設定のそれぞれについて、最適なソリューションを見つけるが、これらの設定に対して最適化は行わない(つまり、プランナの選択で最適な設定を見つける)。視覚化は、制御点スプレッドシート、最大又は平均リーフ移動のプロット、セグメント形状アニメーション等を含む技術以外の情報も考慮することができる。したがって、一例では、本明細書に説明するアプローチは、放射線治療を計画し、放射線治療計画を受け入れ、及び/又は、送達前の品質保証(QA)を簡素化するプロセスを容易にすることができる。
【0021】
図1は、コンソール122及びコンピュータシステム124を、システム10の別個のコンポーネントとして示すが、変形例では、コンソール122及びコンピューティングシステム124は、同じコンピューティングシステムの一部である(例えばコンソール122又はコンピューティングシステム122)。別の変形例では、コンピューティングシステム124及び/又は放射線治療システム100は、システム10とは別個であってもよい。更に、コンピューティングシステム124は、コンソール122の近く(同じ部屋、隣の部屋の中等)にあっても、遠隔(例えばより遠い部屋、異なる施設の中等)にあってもよい。
【0022】
図2図3図4及び図5は、ビジュアライザ140を用いて構築及び視覚的に提示されるサマリの非限定的な例を示す。説明及び簡潔さのために、図示するサマリは、2つの計画標的体積(PTV)と、複数の制御点を持つシングルアークとを有する放射線治療計画をまとめたものである。
【0023】
図2の場合、ビジュアライザ140は、制御点及びコリメータ列の関数として、リーフペアの開口サイズのプロット200を構築し提示する。
【0024】
第1の(又はx)軸202は制御点を表し、第2の(又はy)軸204はコリメータ列/リーフペアを表し、包絡線206はコリメータの上下のジョーの位置を表す。プロット200では、リーフペアの開口サイズは、グレースケールを使用する強度によって表される。白は最小開口サイズ(即ち、完全に閉じた状態)を示し、黒は最大開口サイズ(即ち、完全に開いた状態)を示し、それらの間のグレーレベルは、明るいグレーから暗いグレーへの色調で増加する開口(又は暗いグレーから明るいグレーへの色調で減少する開口)を示す。
【0025】
マーキング208は、視覚化されるグレーのレベルを示し、これは、白から黒までの全範囲であっても、白又は第1のグレーレベルから黒又は第2のより暗いグレーレベルまでの部分範囲であってもよい。包絡線206の外側の値は、これらの領域はジョーの包絡線206の外側にあるため、白である。特定の制御点210及び特定のコリメータ列のリーフペア212について、リーフペアの相対的な開口サイズは、214のグレースケール値によって示される。この特定の例では、プロット200は、領域220に比べて、第1の領域216及び第2の領域218においてより大きいリーフペアの開口を示す。これは、領域216及び218がより暗い強度を含むからである。
【0026】
一例では、隣接する制御点での開口サイズの変動の程度が、更なる最適化を検討する必要があることを示す場合がある。これは、例えば大きいリーフ移動は、精度の低い線量シミュレーションに関連付けられるからである。一般に、プロット200は、3次元のデータを2Dプロットに折りたたみ、第3の次元は強度で表される。変形例では、カラースケールを使用して強度が表される。比較のために、このようなプロットを2つ以上同時に表示することができる。例えば異なるアーク(複数のアークがある場合)のプロットを同時に並べて表示することができる。別の例では、送達時間の異なる様々なトライアルのプロットを並べて表示し、オプティマイザによる選択を視覚的に比較することができる。
【0027】
一例では、軸202及び204の一方又は両方の範囲を設定可能にすることができる。したがって、軸202及び204の一方又は両方は、リーフペア及び制御点の範囲全体を表すことができる。別の例では、軸202及び204の少なくとも一方が、範囲全体の(より小さい)パッチ又はサブセットを表すことができる。更に別の例では、軸202及び204の少なくとも一方が、範囲全体ではなく、範囲全体の複数のサブセットを表すことができる。制御点インデックスの代わりに又はそれに加えて、ガントリ角度を第1の(又はx)軸として使用することができる。モニタリングユニット(MU)のプロット、開口サイズの平均値及び/又は最大値、合計MU値等といった他の情報を、プロットの領域に重ねて表示することができる。
【0028】
図3は、折りたたまれた第3の次元が制御点間のリーフペア開口の変位又は変化を表し、グレースケールが反転されていることを除いて、プロット200と実質的に同様のプロット300を示す。
【0029】
第1の軸302は制御点を表し、第2の軸304はコリメータ列/リーフペアを表し、包絡線306はコリメータの上下のジョーの位置を表す。プロット300では、リーフペアの開口サイズの変化は、グレースケールを使用する強度によって表される。白は最小変化を示し、黒は最大変化を示し、それらの間のグレーレベルは、明るいグレーから暗いグレーへの色調で増加する変化を示す。マーキング308は、視覚化されるグレーのレベルを示す。一例では、強度は、左右の変位の合計として計算される。
【0030】
この特定の例は、大きいリーフ移動がある制御点の領域310の間で振動するように見えるセグメントの重みを示す。これは、最適化の前に、時間的平滑化パラメータの値を増加させることを示す可能性がある。2つ以上の(ユーザが選択した及び/又はデフォルトの)制御点の導関数を取ることにより、プロット300(又は新しいプロット)における強度は、制御点間のリーフペアの変位ではなく、速度(変位の導関数)及び/又は加速度(速度の導関数)を示す。
【0031】
図4の場合、ビジュアライザ140は、2つの計画標的体積(PTV)についてのリーフ移動位置及びガントリ角度の関数として、開いたリーフペアの数のプロット400を構築し提示する。
【0032】
第1の軸402は、離散化されたリーフ移動位置を表し、第2の軸404は、制御点ガントリ角度を表す。ビジュアライザ140は、リーフの移動方向を離散化し、各制御点ガントリ角度の各位置での開いた列の数をカウントする。プロット400の(グレースケール)強度はこのカウントに対応する。輪郭線406によって、左右のキャリッジ移動が示される。
【0033】
プロット400は、上から下に右-左-右に行く軌道408を有する大きいPTVと、上から下に左-右-左に行く軌道410を有する小さいPTVとを示す。プロット400では、「破線」412並びに「点線」414及び416は、軌道408及び410を区別するのを助けるために、この説明における視覚的補助としてのみ提供されている。線412は2つのPTVを区別するのに役立ち、線414及び416は軌道経路を視覚化するのに役立つ。これらの線は、プロット400の一部であってもなくてもよい。
【0034】
この特定の例は、2つのPTVの最大開口が、2つの軌道408及び410が交差する(暗い)領域418及び420にあることを示す。この特定の例はまた、オプティマイザ138が、領域422及び424におけるPTV間のスムーズなソリューションを見つけるのが難しいことも示す。制御点間の差を取ることにより、プロット400(又は新しいプロット)は、開いた状態から閉じた状態への変化及び/又は閉じた状態から開いた状態への変化を示す。変形例では、プロット400は、単一のPTVのみの軌道、又は、3つ以上のPTVの軌道を示すことができる。
【0035】
図5の場合、ビジュアライザ140は、制御点モニタユニットによりプロット400の各制御点における強度に重みを付けることにより計算されるプロット500を構築し提示する。
【0036】
一例では、これにより、オプティマイザが治療を優先するアークセグメントに関する追加情報が得られる。この特定の例は、治療のための主要アークセグメントが領域502にあることを示す。軸402が360度を対象とする場合、これらのセグメントは、オプティマイザ138が、治療(放射線量)の大部分は360アークの中間セクションの約180度で提供されるべきであると決定したことを示す。このような情報は、2Dプロット500に折りたたまれない限り読み取ることが難しい。これにより、領域502について計画に別のアークが追加される。
【0037】
図6は、本明細書における一実施形態による例示的な方法を示す。
【0038】
ステップ602において、プランナ136を用いて放射線治療計画が作成される。
【0039】
ステップ604において、オプティマイザ138を用いて放射線療法計画が最適化される。
【0040】
ステップ606において、最適化された放射線治療計画は、本明細書に及び/又は別の方法で説明されるように、ビジュアライザ140を用いて視覚的にまとめられる。
【0041】
ステップ608において、計画が受入れ基準を満たしているかどうかが判断される。
【0042】
ステップ610において、計画が受入れ基準を満たす場合、放射線治療計画が使用される。なお、受入れ基準を満たす場合でも、計画は調整されても、削除されても、及び/又は、使用されなくてもよい。
【0043】
ステップ612において、放射線治療計画が受入れ基準を満たさない場合、当該放射線治療計画が調整される。なお、受入れ基準を満たさない場合でも、計画を使用することはできる。
【0044】
上記の幾つかは、コンピュータ可読記憶媒体(一時的媒体を除く)にエンコード又は埋め込まれたコンピュータ可読命令によって実現することができる。当該コンピュータ可読命令は、コンピュータープロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、上記ステップを行わせる。更に又は或いは、コンピュータ可読命令の少なくとも1つは、信号、搬送波又は他の一時的媒体によって運ばれる。
【0045】
本発明は、図面及び上記説明において詳細に例示され、説明されたが、当該例示及び説明は、例示的に見なされるべきであり、限定的に見なされるべきではない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変形態様は、図面、開示内容及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。
【0046】
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、単数形も、複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0047】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体上に記憶及び/又は分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するといった他の形式で分配されてもよい。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6