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  • 特許-療法バクテリオファージ組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】療法バクテリオファージ組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20231023BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20231023BHJP
   A61L 2/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61L 15/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/02 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K35/76
A61L2/00
A61L15/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P31/02
A61P31/04
A61P43/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019565067
(86)(22)【出願日】2017-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 GB2017050376
(87)【国際公開番号】W WO2018146437
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-02-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-27
【微生物の受託番号】ECACC  17020901
【微生物の受託番号】ECACC  17020902
【微生物の受託番号】ECACC  17020903
(73)【特許権者】
【識別番号】519291618
【氏名又は名称】アルマタ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【弁理士】
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】ショー,カレン・ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】モラレス,サンドラ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】マーンズ,ジリアン
(72)【発明者】
【氏名】ランキン,デボラ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スムレカー,フレンク
【合議体】
【審判長】森井 隆信
【審判官】冨永 みどり
【審判官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】Trial registered on ANZCTR, Registration number:ACTRN12616000002482, Australian New Zealand Clinical Trials Registry, [online], 2016-DEC-14, [Retrieved on 2021-JAN-22], <URL:https://anzctr.org.au/Trial/Registration/TrialReview.aspx?ACTRN=12616000002482>
【文献】分子呼吸器病, (2004), 8, [4], p.331-333
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C12N
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
A61L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染の治療における使用のためのバクテリオファージ組成物であって、該バクテリオファージ組成物が、Sa87;J-Sa36;およびSa83からなるバクテリオファージを含み、抗生物質をさらに含む、前記バクテリオファージ組成物。
【請求項2】
Sa87;J-Sa36;およびSa83から本質的になる、請求項1に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項3】
薬学的に許容されうるキャリアー、希釈剤、賦形剤またはその組み合わせをさらに含む、請求項1または2に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項4】
薬剤として使用するための、請求項1~のいずれか一項記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項5】
細菌感染を治療するための薬剤製造における、請求項1~のいずれか一項記載のバクテリオファージ組成物の使用。
【請求項6】
前記組成物が、静脈内投与のために配合される、請求項に記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項7】
細菌感染が黄色ブドウ球菌肺感染である、請求項またはに記載の、バクテリオファージ組成物。
【請求項8】
a. 請求項1~のいずれか一項記載のバクテリオファージ組成物;および
b. (例えば薬剤における)該組成物の使用のための使用説明書
を含む、キット。
【請求項9】
バクテリオファージ組成物と組み合わせて、抗生物質の使用のための使用説明書をさらに含む、請求項記載のキット。
【請求項10】
前記使用説明書が、黄色ブドウ球菌感染を治療する際の、該組成物または該物質の使用のためのものである、請求項または記載のキット。
【請求項11】
前記使用説明書が、黄色ブドウ球菌肺感染を治療する際の、該組成物または該物質の使用のためのものである、請求項10記載のキット。
【請求項12】
表面上の細菌を殺すための、請求項1~のいずれか一項記載のバクテリオファージ組成物。
【請求項13】
表面が、哺乳動物の皮膚、装置(適切には医学的装置)、寝具類、家具、壁、床、またはその組み合わせである、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~のいずれか一項記載のバクテリオファージ組成物を表面に適用する工程を含む、表面上の細菌を殺す方法であって、表面が、ヒトを除く哺乳動物の皮膚、装置(適切には医学的装置)、寝具類、家具、壁、床、またはその組み合わせである、方法。
【請求項15】
非医学的適用のための、請求項1~12、及び13のいずれか一項記載のバクテリオファージ組成物または請求項またはに記載のキットの使用。
【請求項16】
請求項1~のいずれか一項記載のバクテリオファージ組成物を含む、包帯または創傷被覆材。
【請求項17】
前記組成物が、静脈内投与のために配合される、請求項に記載の使用。
【請求項18】
細菌感染が黄色ブドウ球菌肺感染である、請求項に記載の使用。
【請求項19】
請求項1~のいずれか一項に記載のバクテリオファージ組成物であって、吸入器または人工呼吸器を肺送達手段として肺送達される、前記バクテリオファージ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バクテリオファージの組成物、ならびに医学的および非医学的適用のための該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、典型的には小分子(化学的)抗生物質の型の抗細菌剤、例えばペニシリンまたはテトラサイクリンの広範な使用によって、抗生物質耐性細菌株の大規模な増加が導かれてきている。抗生物質耐性を与える突然変異、または抗生物質耐性酵素、例えばペニシリナーゼをコードする遺伝子は、世界中の病原性細菌において、ますます一般的になってきている。例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)細菌は、ますます感染の一般的な型になってきており、これらはしばしば手術後または臨床的セッティングにおける他の侵襲性治療後に得られる。MRSA感染は、慣用的な抗生物質を用いて治療することが非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
抗細菌剤、および特にいわゆる最終手段抗生物質(例えばメチシリン、バンコマイシン等)に対する耐性を示す病原性細菌の蔓延が増加しているため、代替抗細菌剤および療法戦略に関する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
バクテリオファージは、特定の細菌種または株に感染可能なターゲティング化療法剤である。バクテリオファージ-ターゲット結合は、ウイルス構造要素、例えば尾部線維によって促進される。通常はバクテリオファージ頭部内に包まれているウイルス核酸は、次いで、細菌ターゲット細胞内に(典型的には尾部を通じて)注入される。偏性溶解性バクテリオファージの場合、注入されたウイルス核酸は、細菌の細胞内機構を用いて、バクテリオファージ子孫の産生を導く。宿主細胞は、細胞周期の終了時に、ウイルス子孫の同時放出とともに、溶解によって殺される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の態様は、ここで、ほんの一例として、以下の図を参照しながら記載されるであろう。
図1図1は、黄色ブドウ球菌肺炎モデル:投薬群の統計分析における、ファージパネル対バンコマイシンの有効性を示す。テューキーの多重比較試験(Graphpad Prism 6、カリフォルニア州ラホヤ)を用いて、統計分析を行った。対比較において、有意な相違を示した群のみを示す(p<0.05)。2つの群を第三の群に比較した場合、示すp値は、2つの対比較のより高い方である。**p≦0.001、p≦0.05。
【発明を実施するための形態】
【0006】
1つの側面において、本発明は、Sa87、J-Sa36、Sa83、またはその突然変異体より選択される1つまたはそれより多いバクテリオファージを含む、バクテリオファージ組成物を提供する。前記バクテリオファージ組成物は、慣用的な抗細菌剤/療法剤の代替物であり、そしてこれに関連する1つまたはそれより多い問題を克服する。
【0007】
本発明のバクテリオファージ組成物は、薬剤において使用するために特に好適であり、そして黄色ブドウ球菌感染の治療に臨床的有効性を示す。例えば、驚くべきことに、前記バクテリオファージ組成物が、黄色ブドウ球菌肺感染の治療に特に適していることが見出されてきている。さらに、本発明のバクテリオファージ組成物は、広い範囲の黄色ブドウ球菌株に対して有効である。
【0008】
Sa87、J-Sa36、およびSa83を含む(または本質的にこれらからなる)(場合によって1つまたはそれより多いその突然変異体をさらに含む)バクテリオファージ組成物は、驚くべきことに、例えば、Sa87、J-Sa36、Sa83、およびJ-Sa37を含む(または本質的にこれらからなる)(場合によって1つまたはそれより多いその突然変異体をさらに含む)組成物と比較した際、減少したバクテリオファージ拮抗作用を示し、そして/または黄色ブドウ球菌ターゲット細菌において、耐性の発展を減少させる。
【0009】
バクテリオファージSa87、J-Sa36、およびSa83は、ECACC寄託番号17020901(Sa87)、17020903(J-Sa36)、および17020902(Sa83)の下に、2017年2月9日、European Collection of Cell Cultures(ECACC), Culture Collections, Public Health England, Porton Down, Salisbury, Wiltshire, SP4 0JG, United Kingdomに寄託された。寄託物はすべて、特許手続きのための微生物寄託の国際認識に関するブダペスト条約の条項の下に行われた。
【0010】
1つの態様において、バクテリオファージ組成物は、Sa87、J-Sa36、Sa83、またはその突然変異体より選択される少なくとも2つのバクテリオファージを含む。少なくとも2つのバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物は、本明細書において、バクテリオファージの「パネル」と称されうる。1つの態様において、バクテリオファージ組成物は、Sa87、J-Sa36、Sa83、またはその突然変異体を含む。適切には、バクテリオファージ組成物は、Sa87、J-Sa36、およびSa83を含んでもよい。1つの態様において、バクテリオファージ組成物は、Sa87、J-Sa36、およびSa83、またはその突然変異体から本質的になる。適切には、バクテリオファージ組成物は、Sa87、J-Sa36、およびSa83から本質的になる。
【0011】
用語「から本質的になる」は、本明細書において、バクテリオファージ組成物中に、明らかに示すバクテリオファージ(単数または複数)のみが存在するが、前記組成物がまた、さらなる非バクテリオファージ構成要素、例えば適切なキャリアー、希釈剤等を含有することも可能であることを意味する。
【0012】
用語「突然変異体」は、本明細書において、Sa87、J-Sa36、またはSa83と、1つまたはそれより多いヌクレオチドによって遺伝子的に異なるが、黄色ブドウ球菌ターゲット細菌を感染させそして溶解する能力をなお保持するバクテリオファージを指す。1つの態様において(あるいはまたはさらに)「突然変異体」バクテリオファージは、Sa87、J-Sa36、および/またはSa83と同じターゲット細菌株を溶解することが可能であり、そしてさらに、1つまたはそれより多いさらなる細菌株を溶解することが可能である。1つの態様において、突然変異体は、Sa87、J-Sa36、またはSa83に比較した際に、全ゲノムに渡って、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を有してもよい。
【0013】
1つの態様において、「突然変異体」は、バクテリオファージ子孫であってもよい。バクテリオファージ子孫は、本発明のバクテリオファージ(すなわち「親バクテリオファージ」)を用いて、黄色ブドウ球菌ターゲット細菌を溶解した後に得られうるバクテリオファージであってもよい。言い換えると、バクテリオファージ子孫は、第二世代(またはさらなる世代の)バクテリオファージであってもよい。
【0014】
1つの態様において、バクテリオファージ子孫は:1つまたはそれより多いバクテリオファージが、黄色ブドウ球菌ターゲット細菌を感染させ、そして溶解するように、前記ターゲット細菌と、1つまたはそれより多いバクテリオファージSa87、J-Sa36、および/またはSa83を接触させ;そして前記ターゲット細菌の溶解後に放出されるバクテリオファージを得る工程によって得られうる。前記バクテリオファージ子孫は、典型的には、適切な親バクテリオファージと比較した際、1つまたはそれより多いヌクレオチド突然変異を含むであろう。
【0015】
用語「得られうる」は、本明細書において、また、用語「得られる」も含む。1つの態様において、用語「得られうる」は、得られたを意味する。
限定なしに、全体法、局所法およびハイブリッド法、例えばセグメントアプローチ法を含む、多様な配列整列法のいずれを用いて、パーセント同一性を決定してもよい。パーセント同一性を決定するプロトコルは、当業者の技術範囲内のルーチンの方法である。全体法は、分子の初めから終わりまで、配列を整列させ、そして個々のヌクレオチド対のスコアを足し、そしてギャップペナルティを課すことによって、最適整列を決定する。限定されない方法には、例えばCLUSTAL Wが含まれ、これに関しては、例えば、Julie D. Thompsonら, CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position-Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice, 22(22) Nucleic Acids Research 4673-4680 (1994);および反復改訂版を参照されたい。限定されない方法には、例えば、BLAST、Match-box、Align-Mが含まれ、これに関しては、例えば、Ivo Van WaIIeら, Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences, 20(9) Bioinformatics:1428-1435 (2004)を参照されたい。
【0016】
本発明のバクテリオファージ組成物は、1つまたはそれより多い黄色ブドウ球菌株をターゲティングする。1つの態様において、ターゲティングされる黄色ブドウ球菌株は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)である。別の態様において、ターゲティングされる黄色ブドウ球菌株は、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)である。
【0017】
本発明の組成物のバクテリオファージは、単一療法組成物の型で(好ましい)、または各々組成物の1つまたはそれより多いメンバーを含むいくつかの別個の組成物として、提供されてもよい。バクテリオファージをいくつかの別個の組成物中で提供する態様において、前記バクテリオファージを、連続してまたは同時に、被験体に投与してもよい(適切には同時に)。
【0018】
本発明の組成物中に包含するためのバクテリオファージは、当該技術分野に知られる任意の適切な方法によって増殖させてもよい。例えば、1つまたはそれより多くのバクテリオファージを、バクテリオファージの増殖を補助することが可能な宿主細菌株において、別個に増殖させてもよい。典型的には、バクテリオファージを、前記宿主細菌株中で高濃度まで増殖させ、力価決定し(titrated)、そして組み合わせて本発明の組成物を形成するであろう。
【0019】
(例えば本発明のバクテリオファージ組成物、方法または使用において)使用する各バクテリオファージの量は、ターゲット細菌種に対する病原性に応じるであろう。
組成物の発展に、カウント細菌株(count bacterial strains)、すなわち組成物(例えばパネル)の個々の有望なメンバーの指標である細菌株を用いてもよい。カウント株は、任意の他の株よりも、バクテリオファージ組成物の1つの有望なメンバーによって、少なくとも1000倍より多いプラーク形成を可能にしうる。この方式で、広範囲の細菌単離体に対して一貫して有効である組成物(例えばパネル)を達成しうる。
【0020】
典型的には、前記の1つまたはそれより多いバクテリオファージを組み合わせて、組成物1mlあたり、各ファージの少なくとも約1x10、1x10、1x10または1x1010、または1x1011のプラーク形成単位(PFU)を含む組成物を形成してもよい。適切には、前記の1つまたはそれより多いバクテリオファージを組み合わせて、組成物1mlあたり、各ファージの少なくとも約1x10または1x10 PFUを含む組成物を形成してもよい。
【0021】
本発明の組成物中に包含するためにバクテリオファージを選択する際、WO 2013/164640 A1(本明細書に援用される)中に解説される方法を用いてもよい。1つの態様において、前記方法は:
a. 2つまたはそれより多い異なるバクテリオファージを提供し、ここで、前記の2つまたはそれより多い異なるバクテリオファージは、独立に、ターゲット種または株の増殖を遅延させ;
b. 前記の2つまたはそれより多い異なるバクテリオファージの少なくとも2つを組み合わせ;そして
c. 2つまたはそれより多い異なるバクテリオファージの前記組み合わせの存在下で、ターゲット種または株の増殖を決定し、ここで、ターゲット種または株の増殖条件は、工程a.およびc.で同一であるかまたは同等であり;
d. ここで、前記の組み合わせが、前記の2つまたはそれより多い異なるバクテリオファージのいずれか1つによって、独立に達成される最大の増殖遅延と少なくとも同等に、ターゲット種または株の増殖を遅延させる場合、該組み合わせをバクテリオファージの組成物として許容し;そして
e. ここで、前記の組み合わせが、前記の2つまたはそれより多い異なるバクテリオファージのいずれか1つによって、独立に達成される最大の増殖遅延より少なく、ターゲット細菌種または株の増殖を遅延させる場合、該組み合わせをバクテリオファージの組成物としてまず拒絶する
工程を含む。適切には、ターゲットは、黄色ブドウ球菌ターゲット細菌株であってもよい。
【0022】
本発明者らは、驚くべきことに、前述の態様の方法を使用することによって、改善されたバクテリオファージ組成物(バクテリオファージSa87、J-Sa36およびSa83(および場合によってその突然変異体)を含む)が得られることを見出した。好適には、前記バクテリオファージ組成物は、慣用的なバクテリオファージ組成物および/またはバクテリオファージSa87、J-Sa36、Sa83、およびJ-Sa37(および場合によってその突然変異体)を含む組成物と比較した際、黄色ブドウ球菌に対して、改善された療法的有効性を示す。したがって、好ましいバクテリオファージ組成物は、Sa87、J-Sa36およびSa83を含むかまたはこれらから本質的になる。
【0023】
いくつかの態様において、本発明のバクテリオファージ組成物は、1つまたはそれより多いさらなるバクテリオファージをさらに含んでもよい。前記の1つまたはそれより多いさらなるバクテリオファージは、黄色ブドウ球菌種または株、あるいは異なる細菌ターゲット、例えば以下の属、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)、リステリア属(Listeria)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、エシェリキア属(Escherichia)、髄膜炎菌属(Meningococcus)、カンピロバクター属(Campylobacter)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、赤痢菌属(Shigella)、シュードモナス属(Pseudomonas)(例えば緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))、ブルクホルデリア属(Burkholderia)、クロストリジウム属(Clostridium)、レジオネラ属(Legionella)、アセチノバクター属(Acetinobacter)、サルモネラ属(Salmonella)、またはその組み合わせの1つまたはそれより多くより選択されるものをターゲティングしてもよい。
【0024】
1つまたはそれより多いさらなるバクテリオファージは、WO 2009/044163(本明細書に援用される)に解説されているもの、該明細書に記載されるバクテリオファージKおよび/またはバクテリオファージP68であってもよい。
【0025】
1つまたはそれより多いさらなるバクテリオファージは、本明細書に援用されるWO 2005/009451 A1に解説されているものであってもよい。適切には、前記の1つまたはそれより多いさらなるバクテリオファージは、シュードモナス属細菌、例えば緑膿菌細菌をターゲティングしてもよい。
【0026】
1つの態様において、本発明の組成物は、WO 2013/068743 A9(本明細書に援用される)に解説されている1つまたはそれより多いバクテリオファージを含む。1つの態様において、本発明の組成物は、スタフィロコッカス属バクテリオファージK突然変異体を含み、該突然変異体は、以下より選択される、野生型黄色ブドウ球菌バクテリオファージKのヌクレオチド配列(配列番号1)に対応する、1つまたはそれより多くの以下の領域内に、1つまたはそれより多くの突然変異を含む:
a)ORF18およびORF19の間の領域;および/または
b)ORF41およびORF42の間の領域;および/または
c)ORF68;および/または
d)ORF86/88/90内の重複領域;および/または
e)ORF92;および/または
f)ORF93;および/または
g)ORF96;および/または
h)ORF100。
【0027】
好ましくは、スタフィロコッカス属バクテリオファージK突然変異体は、上述の領域のすべてに突然変異を含む(かまたはそれらからなる)。
上述のORF命名は、GeneMarkソフトウェア(http://exon.biology.gatech.edu/)を用いて同定可能である。次いで、BLASTを用いて個々の読み枠をNCBI GenBankに対して比較してもよく、そして次いで、最高のスコアリングマッチをそれぞれのORFに帰属させてもよい。適切には、上述のORFは、その解説が本明細書に援用される、O’Flaherty S.ら(J. Bacteriol. (2004), 186(9) 2862-2871)に記載されるバクテリオファージK ORFであってもよい。
【0028】
1つの態様において、配列番号1は、118のORFを含む。該ORFには、以下のように注釈をつけられうる(示すヌクレオチド番号付けは、配列番号1のものであり、そして開始コドンから停止コドンに方向付けられる):
【0029】
【化1】
【0030】
ORFのいくつかは、上記のヌクレオチド番号付けによって反映されるように、配列番号1に関して逆の方向で転写されると考えられる(例えばORF 1~33)。
1つの態様において、前記突然変異は、野生型スタフィロコッカス属バクテリオファージKの対応するヌクレオチド配列(配列番号1)のORF 96内で起こる。
【0031】
1つの態様において、突然変異は、野生型スタフィロコッカス属バクテリオファージKの対応するヌクレオチド配列(配列番号1)のC105975T、C18554T、G40894A、G78197A、G99388C、G102111A、T103720C、C105975Tおよび/またはA109329Gより選択される1つまたはそれより多い突然変異であってもよい。
【0032】
バクテリオファージK突然変異体は、野生型スタフィロコッカス属バクテリオファージKの対応するヌクレオチド配列(配列番号1)の116111位で挿入を含んでもよい(またはさらに含んでもよい)。適切には、挿入は、長さ少なくとも9000塩基対(例えば長さ9547塩基対)の挿入であってもよい。
【0033】
1つの態様において、本発明の組成物は、配列番号1に少なくとも70%または少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むスタフィロコッカス属バクテリオファージK(突然変異体)を含む。別の態様において、本発明の組成物は、配列番号1に少なくとも80%または少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むスタフィロコッカス属バクテリオファージK(突然変異体)を含む。適切には、本発明の組成物は、配列番号1に少なくとも95%または少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むスタフィロコッカス属バクテリオファージK(突然変異体)を含んでもよい。
【0034】
1つの態様において、バクテリオファージ組成物は、Sa87、J-Sa36、およびSa83、またはその突然変異体より選択される1つまたはそれより多い(好ましくは少なくとも2つの)バクテリオファージ、および薬学的に許容されうるキャリアー、希釈剤、賦形剤またはその組み合わせを含む。適切なキャリアー、希釈剤および/または賦形剤には、等張生理食塩水、例えばリン酸緩衝生理食塩水が含まれてもよい。
【0035】
本発明のバクテリオファージ組成物を、殺菌剤組成物として配合してもよい。殺菌剤組成物は、表面用のスプレーまたは液体洗浄剤の形であってもよい。組成物はハンドウォッシュであってもよい。適切には、組成物が局所適用用の配合物である場合、ローション、クリーム、軟膏、ペースト、ジェル、泡の型、または局所投与のために一般的に知られるキャリアーとしての任意の他の物理的型であってもよい。こうした増粘局所配合物は、配合物が、物質が配置される皮膚の領域に接着し、こうして殺菌しようとする特定の領域に、局在化された高濃度のバクテリオファージが導入されることが可能になるため、特に好適である。例えば、鼻腔への産物の適用に特に有用である、パラフィンおよびラノリンに基づくクリームが当該技術分野に一般的に知られる。しかし、他の増粘剤、例えばポリマー増粘剤を用いてもよい。配合物はまた、以下:水、保存剤、活性界面活性剤、乳化剤、酸化防止剤、または溶媒の1つまたはそれより多くも含んでもよい。
【0036】
本発明のバクテリオファージ組成物を、鼻、経口、非経口、筋内、静脈内、皮下、経皮、眼または耳投与のために配合してもよい。こうしたバクテリオファージ調製物を直接用いるか、適切な凍結保護剤(例えば10%スクロース)を含む水性または他の溶液中で凍結して保存するか、凍結乾燥してそして使用前に再水和するか、あるいは(限定されるわけではないが)錠剤、エマルジョン、軟膏、または含浸創傷被覆材または他の品目を含むいくつかの他の配合物中で安定にすることも可能である。肺細菌感染の治療に関する態様に関しては、バクテリオファージ組成物を、鼻または経口投与を通じた肺送達のために配合してもよい(例えばバクテリオファージ組成物のエアロゾル化によって)。したがって、1つの態様において、バクテリオファージ組成物は、肺送達手段、例えば吸入器または人工呼吸器中に含まれてもよい。
【0037】
1つの側面において、本発明のバクテリオファージ組成物を含む肺送達手段(例えば吸入器または人工呼吸器など)を提供する。
本発明は、薬剤としての本明細書のバクテリオファージ組成物の(例えば黄色ブドウ球菌感染の治療のための)使用にさらに関する。したがって、1つの側面において、薬剤として使用するための本発明のバクテリオファージ組成物を提供する。被験体にバクテリオファージ組成物を投与する工程を含む、疾患を治療する対応する方法もまた提供する。
【0038】
1つの側面において、細菌感染を治療する際に使用するための、本発明のバクテリオファージ組成物を提供する。関連する側面において、細菌感染を治療するための薬剤製造における本発明のバクテリオファージ組成物の使用、ならびに被験体にバクテリオファージ組成物を投与する工程を含む、細菌感染を治療する方法を提供する。
【0039】
適切には、バクテリオファージ組成物は、黄色ブドウ球菌細菌感染を治療する際に特に使用を見出す。1つの態様において、細菌感染は、肺細菌感染である。適切には、肺細菌感染は、黄色ブドウ球菌を含んでもよい(または黄色ブドウ球菌からなってもよい)。
【0040】
1つの側面において、本発明は、被験体における肺細菌感染を治療する際に使用するための薬剤製造における本発明のバクテリオファージ組成物の使用を提供し、ここで、バクテリオファージ組成物を被験体に投与し、そして細菌感染は黄色ブドウ球菌を含む。関連する側面において、被験体に本発明のバクテリオファージ組成物を投与する工程を含む、被験体において肺細菌感染を治療する方法を提供し、細菌感染は黄色ブドウ球菌を含む。
【0041】
Sa87、J-Sa36、Sa83、またはその突然変異体を含むかまたはこれらから本質的になるバクテリオファージ組成物は、黄色ブドウ球菌感染(例えば肺感染)を治療する際に特に好適である。
【0042】
用語「治療する」または「治療すること」は、本明細書において、予防的治療(例えば疾患の開始を防止するため)ならびに修正治療(corrective treatment)(疾患をすでに患う被験体の治療)を含む。好ましくは、「治療する」または「治療すること」は、本明細書において、修正治療を意味する。
【0043】
本発明の使用または方法は、典型的には、本明細書記載のバクテリオファージ組成物を被験体に投与する工程を含む。本明細書において、「被験体」は、哺乳動物、例えばヒトまたは他の動物である。好ましくは、用語「被験体」は、ヒト被験体を指す。1つの態様において、被験体は、黄色ブドウ球菌感染(例えば黄色ブドウ球菌肺感染)を伴うヒト被験体である。
【0044】
本発明のバクテリオファージ組成物を、療法的に有効な量または予防的に有効な量で、被験体に投与してもよい。
「療法的に有効な量」は、細菌感染(またはその症状)を治療するために、単独でまたは組み合わせて被験体に投与した際、感染またはその症状のこうした治療を達成するために十分な、組成物の任意の量である。
【0045】
「予防的有効量」は、単独でまたは組み合わせて被験体に投与した際、細菌感染(またはその症状)の開始または再発を阻害するかまたは遅延させる、組成物の任意の量である。いくつかの態様において、予防的に有効な量は、細菌感染の開始または再発を完全に防止する。開始の「阻害」は、細菌感染の開始(またはその症状)の可能性を減少させるか、または開始を完全に防止するかいずれかを意味する。
【0046】
適切な投薬範囲は、望ましい療法効果を生じるものである(例えば組成物を療法的にまたは予防的に有効な量で投与する)。
1つの態様において、バクテリオファージ組成物を、各ファージ少なくとも約1x10 PFUまたは各ファージ少なくとも約5x10 PFUの投薬量で被験体に投与する。適切には、バクテリオファージ組成物を、各ファージ少なくとも約1x10 PFUまたは各ファージ少なくとも約1x10 PFUの投薬量で投与してもよい。適切な投薬範囲は、各ファージ約1x10 PFU~各ファージ約1x1011 PFUの間、好ましくは各ファージ約5x10 PFU~各ファージ約5x10 PFUの間であってもよい。
【0047】
いくつかの態様において、バクテリオファージ組成物を少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与する。適切には、バクテリオファージ組成物を1日2回投与してもよい。したがって、1つの態様において、各ファージ少なくとも約5x10 PFUの投薬量を、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与する。別の態様において、各ファージ少なくとも約1x10 PFUを、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与する。さらなる態様において、各ファージ少なくとも約1x10 PFUを、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与する。適切には、各ファージ約1x10 PFU~各ファージ約1x1011 PFUの間の投薬範囲を、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与する。好ましくは、各ファージ約5x10 PFU~各ファージ約5x10 PFUの間の投薬範囲を、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与してもよい。
【0048】
薬剤として使用するためのバクテリオファージ組成物を、治療しようとする状態に基づいて選択される任意の経路によって投与してもよい。1つの態様において、投与経路は、鼻、経口、肺、非経口、筋内、静脈内、皮下、経皮、眼、耳またはその組み合わせである。肺細菌感染の治療において用いた際、バクテリオファージ組成物を、鼻または経口で、例えば適切な肺送達手段、例えば吸入器または人工呼吸器を用いて、エアロゾル化を通じて、投与してもよい。
【0049】
1つの態様において、抗生物質(適切には化学的抗生物質)を、本発明のバクテリオファージ組成物と組み合わせて投与してもよい。抗生物質およびバクテリオファージの組み合わせ投与は、WO 2008/110840およびWO 2005/009451に解説され、その解説は本明細書に援用される。抗生物質を、バクテリオファージ組成物と同時にまたは連続して投与してもよい。適切には、抗生物質治療が始まる前に、バクテリオファージ複製が確立されるように、組成物の後に、1つまたはそれより多い抗生物質を投与してもよい。この場合、抗生物質治療を、1つまたはそれより多いバクテリオファージの適用から1時間またはそれより長く、あるいは1日またはそれより長く遅延させてもよい。1つの態様において、抗生物質治療を、少なくとも12または24時間、適切には少なくとも48時間、遅延させてもよい。別の態様において、抗生物質治療を、少なくとも3または4日、適切には少なくとも5日、遅延させてもよい。別の態様において、抗生物質治療を、少なくとも1週間、例えば少なくとも8、9または10日、遅延させてもよい。組成物の各ファージが異なる株特異性を示すバクテリオファージ組成物を被験体に投与する際、少なくとも1つまたはそれより多いバクテリオファージが、細菌感染をターゲティングすることが可能であれば十分であろう。
【0050】
したがって、いくつかの態様において、バクテリオファージ組成物は、1つまたはそれより多い抗生物質、例えば1つまたはそれより多い化学的抗生物質を含む。バクテリオファージ組成物および抗生物質(例えば化学的抗生物質)の組み合わせは、黄色ブドウ球菌感染を治療する際、特に、肺黄色ブドウ球菌感染を治療する際に用いた場合、予期せぬ改善された有効性を示す、増進された(例えば相乗性)療法剤を提供しうる。
【0051】
黄色ブドウ球菌種または株の抗生物質に対する感受性に基づいて、抗生物質を選択してもよい。適切には、黄色ブドウ球菌種または株は、治療しようとする被験体に存在するものと同じ種または株であってもよい。1つの態様において、黄色ブドウ球菌種または株は、治療し、そして抗生物質感受性に関して試験しようとする被験体から採取される。当該技術分野に知られるin vitro感受性アッセイによって、感受性を決定してもよい。
【0052】
あるいはまたはさらに、治療しようとする黄色ブドウ球菌感染と一緒に存在する(例えば細菌バイオフィルムの一部として)ことが知られている(または存在する可能性が高いと考えられている)細菌に対して活性であることが知られるため、抗生物質を選択してもよい。
【0053】
1つの態様において、抗生物質は、ペニシリン、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン、セファロスポリン、ベータ-ラクタマーゼ阻害剤、テトラサイクリンまたはその組み合わせ、あるいはその薬学的に許容されうる塩を含む(またはそれらからなる)。
【0054】
1つの態様において、抗生物質は:バンコマイシン、ナフシリン、オキサシリン、テイコプラニン、ペニシリン、メチシリン、フルクロキサシリン、ジクロキサシリン、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セフロキシム、クリンダマイシン、セファゾリン、アモキシシリン/クラブラン酸、アンピシリン/スルバクタム、リンコマイシン、エリスロマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ダプトマイシン、リネゾリド、リファンピン、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、チゲサイクリンまたはその組み合わせまたはその薬学的に許容されうる塩の1つまたはそれより多くを含む。適切には、抗生物質は、バンコマイシンおよび/またはテイコプラニン、またはその薬学的に許容されうる塩であってもよい。
【0055】
1つの態様において、本発明の使用または方法は:
a. in vivoでの被験体へのバクテリオファージ組成物の投与;
b. 1つまたはそれより多い抗生物質に対する、感染由来(例えば被験体中に存在するもの)または同じ株による別の感染由来の細菌細胞試料の感受性のin vitro監視;および
c. 前記の1つまたはそれより多い抗生物質に対する前記感受性が誘導されたことが確立されている際の、前記の1つまたはそれより多い抗生物質の投与
を含む。
【0056】
1つの態様において、抗生物質に対する、採取された細菌の感受性が、組成物によって誘導された時点で、抗生物質(例えば化学的抗生物質)を投与する。いくつかの態様において、時点は、少なくとも12または24時間、適切には少なくとも48時間であってもよい。他の態様において、バクテリオファージ組成物および抗生物質を、1日から2ヶ月離れた間隔で、好ましくは1~4週間離れた間隔で、適切には2週間離れた間隔で、投与してもよい。
【0057】
1つの態様において、少なくとも約50または約100mg/kg(適切には少なくとも約150mg/kg)の用量で、1日1回または2回、抗生物質を投与する。適切には、約100mg/kgの用量で、1日1回または2回、抗生物質を投与してもよい。
【0058】
1つの側面において、表面上の細菌(例えば黄色ブドウ球菌)を殺す方法であって、(殺菌剤組成物として配合された)本発明のバクテリオファージ組成物を表面に適用する工程を含む、前記方法において、バクテリオファージ組成物を用いてもよい。適切には、表面は、汚染の部位または汚染が見込まれる部位である。
【0059】
1つの態様において、表面は、哺乳動物(例えばヒト)の皮膚、例えば鼻腔である。あるいはまたはさらに、表面は、装置(適切には医学的装置)、寝具類、家具、壁または床、(例えば臨床環境におけるもの)であってもよい。
【0060】
適切には、バクテリオファージ組成物を、細菌のコロニー形成単位(CFU)に対して、(適切には各々の)バクテリオファージの少なくとも4:1、5:1、6;1、7:1、8:1、9:1、10:1、少なくとも20:1、40:1、50:1、少なくとも100:1のPFUの比で、表面に適用してもよい。
【0061】
1つの側面において、本発明はまた:本発明記載のバクテリオファージ組成物;および(例えば薬剤における)該組成物の使用のための使用説明書を含むキットも提供する。キットは、抗生物質(例えば化学的抗生物質)、およびバクテリオファージ組成物と組み合わせて該抗生物質を使用するための使用説明書をさらに含んでもよい。キットはまた、例えば前述の態様に記載するような、抗生物質耐性を試験するための手段も含んでもよい。
【0062】
1つの態様において、使用説明書は、本明細書に記載するような本発明のバクテリオファージ組成物を投薬するための詳細を提供する。1つの態様において、本発明のキットに含まれる使用説明書は、黄色ブドウ球菌感染、例えば肺感染を治療する際の、前記キットの使用のためのものである。
【0063】
本発明は、1つの側面において、非医学的適用のための本発明のバクテリオファージ組成物またはキットの使用を提供する。例えば、バクテリオファージ組成物またはキットを、食品衛生、農業または作物保護において、そして/または環境衛生適用において、用いてもよい。したがって、1つの態様において、キットは、非医学的適用におけるバクテリオファージ組成物の使用のための使用説明書を含む。
【0064】
1つの側面において、本発明のバクテリオファージ組成物を含む、包帯または創傷被覆材を提供する。創傷被覆材は、パッドまたは絆創膏型被覆材であってもよい。創傷被覆材または包帯に適用する前に、バクテリオファージを、殺菌剤配合物または局所クリームとして、創傷被覆材または包帯に適用してもよい。あるいは、創傷被覆材または包帯を、バクテリオファージを含有するキャリアー中に浸漬し、そして乾燥させて、前記バクテリオファージを被覆材または包帯内に含浸させてもよい。また、当該技術分野に一般的に知られる技術を用いて、バクテリオファージを、包帯または創傷被覆材の表面上に吸着させてもよい。このアプローチの利点は、包帯または創傷被覆材が、バクテリオファージを、細菌を含有しうる創傷と接触させることを可能にすることである。関連する側面において、本発明はまた、包帯または創傷被覆材を被験体に適用することによって、細菌の増殖を阻害し、そして/または細菌を治療し、そして/または殺す方法も提供する。
【0065】
1つの側面において、本発明は、被験体における肺細菌感染を治療する方法であって、被験体に4つのバクテリオファージパネルを投与する工程を含み、パネルがバクテリオファージSa87、J-Sa36、J-Sa37、およびSa83を含み、そして細菌感染が黄色ブドウ球菌を含む、前記方法を提供する
別に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の一般の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。Singletonら, DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 第20版, John Wiley and Sons, New York (1994)およびHale & Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991)は、当業者に、本開示で用いる用語の多くの一般的な辞書を提供する。
【0066】
本開示は、本明細書に開示する例示的な方法および材料によって限定されず、そして本明細書に記載するものと類似のまたは同等の任意の方法および材料を、本開示の態様の実施または試験に用いてもよい。数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。本明細書に提供する見出しは、本開示の多様な側面または態様の限定ではなく、これらは、本明細書を全体として参照することによって得られうる。したがって、すぐ下に定義する用語は、本明細書を全体として参照することによって、より完全に定義される。
【0067】
用語の他の定義は、本明細書全体で現れうる。例示的な態様をより詳細に記載する前に、この開示は、記載する特定の態様のみに限定されないことが理解されるものとし、これは、こうした態様がもちろん、多様でありうるためである。本明細書に用いる用語が、特定の態様を記載する目的のためのみのものであり、そして本開示の範囲は付随する請求項によってのみ限定されるであろうため、こうした用語は限定するとは意図されないこともまた理解されるものとする。
【0068】
値の範囲を提供する場合、文脈が別に明らかに述べない限り、下限の単位の1/10まで、その範囲の上限および下限の間の介在する値各々もまた、特に開示すると理解される。言及する範囲における任意の言及する値または介在する値、およびその言及する範囲における任意の他の言及するまたは介在する値の間の各々のより小さい範囲が、本開示内に含まれる。これらのより小さい範囲の上限または下限は、独立に、その範囲に含まれるかまたは排除されてもよく、そしてより小さい範囲にどちらかの限界が含まれるか、どちらも含まれないか、またはどちらも含まれる各範囲もまた、言及する範囲における特に排除される何らかの限定に応じて、本開示内に含まれる。言及する範囲に、一方または両方の限界が含まれる場合、含まれる限界のいずれかまたは両方を排除する範囲もまた、本開示に含まれる。
【0069】
本明細書において、そして付随する請求項において、単数形「a」、「an」、および「the」には、別に明らかに言及しない限り、複数の指示対象が含まれることに注目しなければならない。したがって、例えば、「バクテリオファージ組成物」への言及には、こうした候補剤の複数が含まれ、そして「バクテリオファージ」への言及は、1つまたはそれより多いバクテリオファージおよび当業者に知られるその同等物への言及が含まれるなどである。
【0070】
本明細書で論じる刊行物は、本出願の出願日前のその開示に関してのみ提供される。本明細書のいかなるものも、こうした刊行物が、付随する請求項に対する先行技術を構成するとの承認とは見なされないものとする。
【0071】
本発明は、ここで、以下の図および実施例を参照して、ほんの一例として、言及されるであろう。
【実施例
【0072】
実施例1
バクテリオファージパネルの組み立て
最近の多様な黄色ブドウ球菌臨床単離体のパネルに対して、一緒に広い活性を有した、4つのバクテリオファージ、Sa87、J-Sa36、J-Sa37およびSa83の組成物(パネル)(未公表データ)を、動物研究に用いた。例示的な方法において、産生周期中に内因性プロファージを放出しない、製造宿主SPS1216およびSPS1226を用いて、ファージ溶解物を調製した。ファージ添加前に、バイオリアクター中で、OD600 0.2まで培養を増殖させた。37℃でのインキュベーションを続けて、そして吸光度を少なくとも60分ごとに読み取った。細菌溶解後、培養を採取し、そして数回の濾過工程で、ファージから不純物を分離した後、クロマトグラフィ工程を行って、宿主細胞タンパク質および宿主細胞DNAなどの破片の減少を可能にした。精製後、スピンカラム(Amicon(登録商標)Ultra 15-100kDa、Merck Millipore、ドイツ・ダルムシュタット)を用いて、最終ファージ力価が≧1x1011PFU/mLであるように、溶解物をさらに濃縮した。プロセス終了時、緩衝液を交換して、そしてすべての材料を濾過滅菌(0.22μmフィルター)し、そして2~8℃で保存した。プラークアッセイを用いて、ファージストックの力価を決定した(Carlson, K., E. KutterおよびA. Sulakvelidze(監修), Bacteriophages: Biology and Application, (2005) 437-494, CRC Press中, フロリダ州ボカラトン、Hyman, P.ら, Meth. Mol. Biol. (2009) 501:175-202)。各ファージが、ファージあたり2x1010PFU/mLの濃度で最終パネルに存在するように、4つの精製ファージ試料を合わせ、そして次いで、さらに1:10または1:100に希釈して、3つの投薬溶液を得た。最終内毒素レベルは<1000EU/mLであり、これは動物研究には許容しうるものであった。
【0073】
実施例2
細菌株
黄色ブドウ球菌UNT109-3およびUNT144-3(UNT培養コレクションより得た)の凍結ストックを、TrypticaseTMダイズ・ブロス(BBLTM Laboratories)+5%脱線維素ヒツジ血液(TSBb)内に接種し、そして37℃で18時間インキュベーションした(振盪)。18時間後、培養を新鮮なTSBb中に1:10で希釈し、そしてマウスに接種するために新鮮なTSB中で希釈する前に、さらに5時間インキュベーションした。
【0074】
実施例3
ネズミ肺炎モデルにおける黄色ブドウ球菌病原性の評価
感染動物モデルにおいて以前から利用されてきている、2つの黄色ブドウ球菌臨床単離体、UNT109-3(NRS234、自然弁心内膜炎)およびUNT144-3の、個々のファージおよび4-ファージパネルに対する感受性を評価した。いくつかの態様において、両方の株は、パネルに、ならびに個々のファージ、Sa87、J-Sa36、およびSa83に完全に感受性であった。ファージSa87、J-Sa36、およびSa83は、ファージJ-Sa37に比較した際、UNT109-3に対して、改善された有効性を示した。次いで、2つの株の病原性をネズミ肺感染モデルにおいて評価した。雌Hsd:ICR(CD-1)マウス(Harlan Laboratories、テキサス州ヒューストン)に、感染前の第-4日および第-1日に、150および100mg/kgシクロホスファミドを投与して、好中球減少性にした。次いで、5匹のマウスの群を、0.15mLのケタミンHCl(100mg/kg体重)に加えてキシラジン(10mg/kg体重)の混合物の腹腔内(IP)注射によって麻酔した。マウスを麻酔したら、外鼻孔上に滴を置き、そして50μl接種物の吸入を可能にすることによって、鼻内感染させた。感染24時間後、CO吸入によってマウスを安楽死させ、そして細菌力価に関して、肺をプロセシングした。黄色ブドウ球菌の回収および検出を容易にするため、脳心臓注入寒天(DifcoTM Laboratories)+0.5%活性炭(Sigma-Aldrich)プレート上で、細菌カウントを数え上げた(Barr, J. G.ら, J. Clin. Pathol. (1987) 40:372-376)。7.13 lоg10 CFUの株UNT109-3を投与されたマウスは、24時間採取前に、すべて感染に屈し、不適切な病原性であることが示された。6.95 lоg10 CFUの株UNT144-3に感染したマウスはすべて、試料採取まで生存し、そして感染2および24時間後、それぞれ、6.78±0.34および8.17±0.91の平均lоg10 CFU/肺対力価を示した。これらのデータは、肺力価および生存の両方に関する、UNT144-3株の病原性が、他のMRSA単離体に関して得られる歴史的な結果に匹敵することを示す(未公表データ)。これらの結果に基づいて、有効性研究において使用するため、UNT144-3を選択した。
【0075】
実施例4
黄色ブドウ球菌肺炎モデルにおける4ファージパネルの有効性
5匹のマウスの6つの群を、上述のように好中球減少性にした。麻酔したら、50μL中の株UNT144-3の6.98 lоg10 CFUの接種物を鼻内送達し、2時間で、7.24 lоg10 CFU/肺対の平均細菌肺力価を生じ、これは非治療対照群において、24時間で、9.18 lоg10 CFU/肺対に増加した(図1)。100mg/kgバンコマイシンを、感染2時間後および6時間後に皮下注射として投与し;PBS-Mg希釈剤を、感染2時間後および6時間後に、非治療対照群に鼻内送達した。
【0076】
3つのファージパネル治療群:ファージあたり2x1010PFU/mL、ファージあたり2x10PFU/mL、およびファージあたり2x10PFU/mLを、有効性に関して評価した。以下に記載するように、投薬群にしたがって、各マウスが、各時点で、各ファージの1x10PFU、各ファージの1x10PFU、または各ファージの1x10PFUを投与されるように、50μL用量のファージを、感染2時間後および6時間後の両方で投与した。50μLファージの第一の投与の時点で、肺中のコロニーカウントは、7.24 lоg10 CFU/肺対であった。したがって、感染多重度は、最初のファージ用量を投与する、2時間の時点で、3つの投薬群に関して、~60、~6、および~0.6であった。
【0077】
ファージパネルの2つの用量の投与は、1x10PFU/ファージ、1x10PFU/ファージ、および1x10PFU/ファージに関して、それぞれ、6.08、6.16および7.8 lоg10 CFU/肺対の黄色ブドウ球菌肺力価を生じた。これらは、24時間ビヒクル対照群に比較して、1.38~3.1 lоg10 CFU減少に、そして感染2時間後の細菌力価に比較して、1x10PFU/ファージおよび1x10PFU/ファージ群に関して、1.08~1.16 lоg10 CFU減少に対応した。図1は、異なる治療群の比較を示し、ANOVA分析(テューキー多重比較検定)によって決定されるように、統計的有意性を示した。1x10PFU/ファージ、1x10PFU/ファージ治療群は、24時間非治療対照に対して、肺CFUの有意な減少を示した(どちらもP<0.0001)。バンコマイシン投与(2時間および6時間で、100mg/kg SC)は、2つの最高のファージ用量と類似の、5.55 lоg10 CFUの24時間細菌肺力価を生じた(これらの3群の間に有意な相違は観察されなかった)。
【0078】
実施例5
感染後、マウス肺ホモジネートから生じるコロニーの分析
ネズミ肺感染モデルから回収した総数27の黄色ブドウ球菌コロニーを、個々のファージ構成要素(Sa83、Sa87、J-Sa36、J-Sa37)に対する、および4ファージパネルに対する感受性に関して評価した。2時間の非治療コホート由来のコロニーは、BHI-チャコールプレート上で均一であるようであり;したがって、3匹の異なるマウスの各々から、単一コロニーを単離した。いくつかの場合、正常コロニーおよび半透明コロニーの両方が観察され、そしてしたがって、群あたり3匹の異なるマウス由来の両方のコロニータイプを評価した(例えば24時間非治療およびバンコマイシン群)。ファージ治療群間に見られる3つの黄色ブドウ球菌形態型の各々由来の4つのコロニーもまた評価した(総数12):これらには、典型的な黄色ブドウ球菌形態を持つコロニーならびに半透明コロニーが含まれた。未希釈(neat)、10-1、10-2、10-3、および10-4連続ファージ希釈の5μLスポットを用いて、4つの個々のファージおよびファージパネルに対するファージ感受性を評価するため、27の回収されたコロニーの菌叢上でスポット試験を行った(Carlson, K.、上記、Hyman, P.、上記)。3つ組で試験を行った。感受性対照株(SPS1216およびSPS1226)を並行して行った。生産性ファージ感染に起因する細菌菌叢の可視の透明化が観察された場合(例えば、一貫したスコアリングまたは連続希釈における個々のプラークへの進行)、細菌は感受性であると見なされた。27のコロニーは、ファージパネル、ならびに3つの個々のファージSa83、Sa87およびJ-Sa36に関して、UNT144-3に対して同等の感受性を示した。
【0079】
本研究において、本発明者らは、1x10PFU/ファージ(最初の用量の時点で、各ファージのMOIは~6)および1x10PFU/ファージ(最初の用量の時点で、各ファージののMOIは~60)は、100mg/kg SCで投与したバンコマイシンに匹敵することを立証した。さらに、感染マウスから再単離した黄色ブドウ球菌単離体は、ファージパネルに対して感受性なままであった。これらのデータは、ファージ療法剤の評価および開発における第一段階を提供し、これには、投薬措置の最初の評価も含まれる。
【0080】
表1. 黄色ブドウ球菌好中球減少性肺モデル
【0081】
【表1】
【0082】
表2. 4ファージパネル対バンコマイシンの評価
【0083】
【表2】
【0084】
実施例6
3ファージバクテリオファージパネルの組み立て
黄色ブドウ球菌をターゲティングするいくつかのバクテリオファージ(Sa87、J-Sa36、Sa83、およびJ-Sa37)を許容性宿主細胞上で増殖させ、そして次いで:細菌菌叢上のスポット試験、数え上げプラークアッセイおよびプレート読み取りアッセイ系を用いたブロス培養によって、ある範囲の黄色ブドウ球菌株に対して試験した。プレート読み取り装置は、マルチウェルプレート形式で、適切な宿主とともに、バクテリオファージを含有するブロス培地の光学密度を監視する。後者の方法は、評価しようとする感染プロセスの詳細な動力学を可能にする。優れたプラーク形成を示すバクテリオファージを選択する。
【0085】
候補バクテリオファージを液体(ブロス)培養中で増殖させ、そして溶解物を調製する。清澄化溶解物を、スクロースクッションを通じた遠心分離によって精製する(遠心分離前に、36mlポリプロピレンチューブ中、27mlの各溶解物を、5mlの無菌10%w/vスクロース「クッション」上に注意深く上層する)。
【0086】
次いで、個々のバクテリオファージ(Sa87、J-Sa36、Sa83、およびJ-Sa37を含む)を、より高いMOI(感染効率[細菌宿主細胞に対する感染バクテリオファージの比])で個々に、そして混合物としての両方で再試験する。この試験の結果は驚くべきものであり、バクテリオファージSa87、J-Sa36、Sa83、J-Sa37は、各バクテリオファージを単離して試験した際、非常に限定された耐性の発展しか伴わずに、細菌宿主数の有効な減少を生じる。しかし、4つすべてのバクテリオファージ(Sa87、J-Sa36、Sa83、J-Sa37)の混合物を用いた際、耐性型の発展は、バクテリオファージを単離して用いた際よりもより迅速であり、増進された細菌エスケープを可能にする混合バクテリオファージ感染におけるアンタゴニスト効果を示す。
【0087】
さらなる試験は、バクテリオファージJ-Sa37が、細菌耐性の発展の減少において、バクテリオファージSa87、J-Sa36および/またはSa83の効果に対してアンタゴニスト性であるようである(OD600の光学密度によって測定されるように)ことを明らかにし、これはJ-Sa37のアンタゴニスト効果を例示する。Sa87、J-Sa36およびSa83を有する、改善されたバクテリオファージ組成物を提供し、これは、肺炎モデルを用いて試験した際、増進された療法効果を立証する(実施例3~5を参照されたい)。
【0088】
実施例7
Sa87、J-Sa36およびSa83の突然変異体の調製
慣用技術を用いて、バクテリオファージSa87、J-Sa36、およびSa83を黄色ブドウ球菌株で反復継代した(例えば、本明細書に援用される、Kellyら(2011), Bioengineered Bugs, 2:1, 31-37を参照されたい)。以前は耐性であった黄色ブドウ球菌株を溶解させることが可能なエスケープファージを選択する。バクテリオファージSa87、J-Sa36および/またはSa83に比較して、前記エスケープファージの遺伝子突然変異は、遺伝子配列決定によって確認される。実施例6の方法論に基づいて、Sa87、J-Sa36、および/またはSa83を含むバクテリオファージ組成物中の包含に関して、エスケープファージを選択する。バクテリオファージ組成物は、肺炎モデルを用いて試験した際、バクテリオファージSa87、J-Sa36、およびSa83を有する組成物に対して、同様に増進された療法有効性を示す(実施例3~5を参照されたい)。
【0089】
配列
配列番号1
【0090】
【化2-1】
【0091】
【化2-2】
【0092】
【化2-3】
【0093】
【化2-4】
【0094】
【化2-5】
【0095】
【化2-6】
【0096】
【化2-7】
【0097】
【化2-8】
【0098】
【化2-9】
【0099】
【化2-10】
【0100】
【化2-11】
【0101】
【化2-12】
【0102】
【化2-13】
【0103】
【化2-14】
【0104】
【化2-15】
【0105】
【化2-16】
【0106】
【化2-17】
【0107】
【化2-18】
【0108】
【化2-19】
【0109】
【化2-20】
【0110】
【化2-21】
【0111】
【化2-22】
【0112】
【化2-23】
【0113】
【化2-24】
【0114】
【化2-25】
【0115】
【化2-26】
【0116】
【化2-27】
【0117】
【化2-28】
【0118】
【化2-29】
【0119】
【化2-30】
【0120】
【化2-31】
【0121】
上記明細書に言及するすべての刊行物は、本明細書に援用される。本発明の範囲および精神から逸脱しない、本発明の記載する方法および系の多様な修飾および変形は、当業者に明らかであろう。本発明は特定の好ましい態様と関連して記載されてきているが、請求するような発明は、こうした特定の態様に過度に限定されないことを理解しなければならない。実際、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連分野の当業者に明らかである、本発明を実行するための記載する様式の多様な修飾は、以下の請求の範囲内にあると意図される。
図1
【配列表】
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