(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】保守情報参照装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231023BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2020084211
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 威裕
(72)【発明者】
【氏名】土本 秀男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀樹
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175056(JP,A)
【文献】特開2008-117317(JP,A)
【文献】特開2019-177990(JP,A)
【文献】特開2002-366687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の関与者が存在する設備における設備管理に関する複数の契約情報の参照を制御する契約情報参照装置において、
前記関与者には、前記契約情報への権限を有する顧客が含まれ、
前記契約情報
の示す保守契約が締結された設備ごとに、前記顧客の顧客IDを対応付けて記憶する
顧客データベースと、
前記
顧客データベース
における契約の内容を示す第1の契約情報に対するデータ参照申請を、第1の関与者の利用する第1の関与者操作端末から受け付けるデータ参照申請処理部と、
前記第1の契約情報に対応付けられた第1の
顧客IDの示す第1の
顧客が利用する第1の
顧客操作端末に対して、前記第1の関与者を示す情報を含む前記第1の契約情報への参照申請情報を通知し、
前記参照申請情報に対する前記第1の
顧客からの応答に応じて、前記第1の契約情報に対する前記第1の関与者への参照権限を、前記
顧客データベースに記憶する参照処理部とを有
し、
前記データ参照申請処理部は、前記契約情報の契約を有さない他の関与者が関与する設備を識別する設備IDを含む参照申請を受け付け、
前記参照処理部は、前記設備IDに基づいて特定される前記他の関与者を示す情報を含む前記参照申請情報を通知し、
前記参照処理部は、前記第1の顧客からの応答に応じて、前記契約情報への権限を有さない前記他の関与者への参照権限を前記顧客データベースに記憶することを特徴とする契約情報参照装置。
【請求項2】
請求項1に記載の契約情報参照装置において、
前記データ参照申請処理部は、第2の契約情報に対応付けられた第2の
顧客IDが識別する第2の
顧客が利用する第2の
顧客操作端末から、前記データ参照申請を受け付けることを特徴とする契約情報参照装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の契約情報参照装置において、
前記
顧客データベースは、前記データ参照申請への対応を示す申請状況を、前記第1の契約情報に対応付けて記憶し、
前記参照処理部は、前記申請状況
に対する前記参照権限の付与結果を、前記申請状況として記憶することを特徴とする契約情報参照装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の契約情報参照装置において、
前記参照処理部は、所定条件に従って、前記申請状況を変更する手段を有することを特徴とする契約情報参照装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の契約情報参照装置において、
前記参照処理部は、一定期間後に前記参照権限を付与される状態から付与されていない状態に変更することを特徴とする契約情報参照装置。
【請求項6】
請求項
4に記載の契約情報参照装置において、
前記参照処理部は、前記第1の契約情報の示す契約の変更および前記第1の契約情報の変化の少なくとも一方を検知した場合に、前記申請状況を変更する契約情報参照装置。
【請求項7】
複数の関与者が存在する設備における設備管理に関する複数の契約情報の参照を制御する契約情報参照装置を用いた契約情報参照方法において、
前記関与者には、前記契約情報への権限を有する顧客が含まれ、
前記契約情報
の示す保守契約が締結された設備ごとに、前記顧客の顧客IDを対応付けて
顧客データベースに記憶し、
前記契約情報参照装置のデータ参照申請処理部により、前記
顧客データベース
における契約の内容を示す第1の契約情報に対するデータ参照申請を、第1の関与者の利用する第1の関与者操作端
末から受け付け、
前記契約情報参照装置の参照処理部により、
前記第1の契約情報に対応付けられた第1の
顧客IDの示す第1の
顧客が利用する第1の
顧客操作端末に対して、前記第1の関与者を示す情報を含む前記第1の契約情報への参照申請情報を通知し、
前記参照申請情報に対する前記第1の
顧客からの応答に応じて、前記第1の契約情報に対する前記第1の関与者への参照権限を、前記
顧客データベースに記憶
し、
前記データ参照申請処理部は、前記契約情報の契約を有さない他の関与者が関与する設備を識別する設備IDを含む参照申請を受け付け、
前記参照処理部は、前記設備IDに基づいて特定される前記他の関与者を示す情報を含む前記参照申請情報を通知し、
前記参照処理部は、前記第1の顧客からの応答に応じて、前記契約情報への権限を有さない前記他の関与者への参照権限を前記顧客データベースに記憶することを特徴とする契約情報参照方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の契約情報参照方法において、
前記データ参照申請処理部は、第2の契約情報に対応付けられた第2の
顧客IDが識別する第2の
顧客が利用する第2の
顧客操作端末から、前記データ参照申請を受け付けることを特徴とする契約情報参照方法。
【請求項9】
請求項
7または8に記載の契約情報参照方法において、
前記
顧客データベースは、前記データ参照申請への対応を示す申請状況を、前記第1の契約情報に対応付けて記憶し、
前記参照処理部は、前記申請状況
に対する前記参照権限の付与結果を、前記申請状況として記憶することを特徴とする契約情報参照方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の契約情報参照方法において、
前記参照処理部は、所定条件に従って、前記申請状況を変更する手段を有することを特徴とする契約情報参照方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の契約情報参照方法において、
前記参照処理部は、一定期間後に前記参照権限を付与される状態から付与されていない状態に変更することを特徴とする契約情報参照方法。
【請求項12】
請求項
10に記載の契約情報参照方法において、
前記参照処理部は、前記第1の契約情報の示す契約の変更および前記第1の契約情報の変化の少なくとも一方を検知した場合に、前記申請状況を変更する契約情報参照方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立場が異なる複数の関与者が、他の関与者の情報を参照可能とする技術に関する。情報の一例として、エレベーターなどビル設備の稼働状態を示す稼働情報や保守情報などの契約情報がある。
【背景技術】
【0002】
一般に、同一ビルなどに任意の管理単位となる設備において、稼働情報や保守情報などの契約情報は、契約内容に従って、関与者への参照可否が判断される。ここで、一例を示すと、関与者としては、ビル管理に関わるビル管理会社、ビルオーナー、およびマンション管理組合などのユーザーが存在する。そして、ユーザーのそれぞれがビル設備の保守会社とビル設備保守契約をし、ビル設備の稼働状態を参照しようとする場合は、保守会社からそれぞれのユーザーに付与されたユーザーIDによってアクセス可否が判断される。そして、各ユーザーは、判断結果、つまり、自身の契約に基づいて、所有権があるビル設備の稼働データや保守データを参照することが可能になる。
【0003】
例えば、ビル管理会社では、ビルオーナーや管理組合に所有権があるデータにはアクセスができないため、ビルオーナーや管理組合の了承をとり、ビル設備の保守会社からデータを入手することがある。
【0004】
同一ビルの各種データを統合データベースに格納し、ビルテナントはデータベース管理者から与えられた権限に基づいて、統合データベースにアクセスしてデータを参照できる技術として、特開2006-48452号公報(特許文献1)に開示のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、システム管理者が所有権をもつ図面などのデータをまとめて統合データベースに格納して管理する。さらに、特許文献1では、これをビル内のテナントなどのユーザーに公開するものである。このため、所有権をもたないデータ、例えばテナントに所有権があるデータについては、システム管理者が、各テナントからデータを入手する必要がある。更に入手したデータの参照範囲を各テナントと取り決め、利用ユーザーごとにデータへのアクセス権限を決める必要があるため、システム管理に多大な時間とコストを費やすことになる。
【0007】
本発明の目的は、複数の関与者それぞれがその権限を有する情報について、簡便な構成で、他の関与者の情報からフレキシブルにアクセス、つまり、可視化を可能にすることにある。
【0008】
この一例として、関与者として、同一ビルに関与する、ビル管理に関わるビル管理会社、ビルオーナー、およびマンションであればマンション管理組合といったユーザーが挙げられる。また、情報として、各関与者に所有権などの権限を有するビル設備の稼働データや保守データが含まれる。また、これら情報の権限は、それぞれがビル設備の保守会社と契約しているビル設備保守契約に基づいている。さらに、可視化には、各情報を統合して参照することが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、以下の構成を採用した。複数の関与者が存在する設備における設備管理に関する複数の契約情報の参照を制御する契約情報参照装置において、前記関与者には、前記契約情報への権限を有する顧客が含まれ、前記契約情報の示す保守契約が締結された設備ごとに、前記顧客の顧客IDを対応付けて記憶する顧客データベースと、前記顧客データベースにおける契約の内容を示す第1の契約情報に対するデータ参照申請を、第1の関与者の利用する第1の関与者操作端末から受け付けるデータ参照申請処理部と、前記第1の契約情報に対応付けられた第1の顧客IDの示す第1の顧客が利用する第1の顧客操作端末に対して、前記第1の関与者を示す情報を含む前記第1の契約情報への参照申請情報を通知し、前記参照申請情報に対する前記第1の顧客からの応答に応じて、前記第1の契約情報に対する前記第1の関与者への参照権限を、前記顧客データベースに記憶する参照処理部とを有し、前記データ参照申請処理部は、前記契約情報の契約を有さない他の関与者が関与する設備を識別する設備IDを含む参照申請を受け付け、前記参照処理部は、前記設備IDに基づいて特定される前記他の関与者を示す情報を含む前記参照申請情報を通知し、前記参照処理部は、前記第1の顧客からの応答に応じて、前記契約情報への権限を有さない前記他の関与者への参照権限を前記顧客データベースに記憶することを特徴とする契約情報参照装置、である。
【0010】
また、本発明には、契約情報参照装置を用いた契約情報参照方法や契約情報参照装置をコンピュータとしてその機能を実現させるコンピュータプログラム製品も含まれる。
【0011】
なお、本明細書において、参照には、情報の可視化、閲覧を含み、情報へのアクセスが認められた場合に、参照も可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡便な構成で、施設管理への関与者は、所有権などの権限を有さない他の関与者のデータを、フレキシブルに参照することが可能になる。
【0013】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下側の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るビル内契約情報システムのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る顧客DBの一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る稼働状態確認画面の第1の表示例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るデータ参照申請画面の第1の表示例である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る申請状況管理DBの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るデータ参照申請画面の第2の表示例である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る稼働状態確認画面の第2の表示例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るデータ参照申請処理のフローの一例を示す図(その1)である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るデータ参照申請処理のフローの一例を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を説明する。まず、前提として、本実施形態を実現するためのハードウェア構成の定義を説明する。以下の説明では、「インタフェース装置」は、一つ以上のインタフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインタフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
【0016】
一つ以上のI/O(Input/Output)インタフェースデバイス。I/Oインタフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインタフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインタフェースデバイスは、通信インタフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインタフェースデバイス、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
【0017】
一つ以上の通信インタフェースデバイス。一つ以上の通信インタフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インタフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよい。また、二つ以上の異種の通信インタフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の永続記憶デバイスである。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(たとえば補助記憶デバイス)であり、具体的には、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
【0020】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0021】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスである。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスである。但し、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア回路といった広義のプロセッサデバイスでもよい。ハードウェア回路には、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)が含まれる。
【0022】
また、以下の説明では、「kkk部」の表現にて機能を説明することがある。ここで、各機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェアデバイス(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0023】
また、以下の説明では、「xxxDB」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがある。ここで、当該情報は、どのような構造のデータでもよいし(例えば、構造化データでもよいし非構造化データでもよいし)、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。したがって、「xxxDB」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各DBの構成は一例であり、一つのDBは、二つ以上のDBに分割されてもよいし、二つ以上のDBの全部又は一部が一つのDBであってもよい。なお、「DB」は、データベースの略である。
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下、本明細書において、同一機能を有するものは、特に断らない限り、同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、エレベーターを構成する主ロープ、釣合い錘、乗りかご、巻上機、および防犯カメラ、映像記録装置などについての説明を省略する。また、以下の説明では、ビル設備の一例として、エレベーター、防犯カメラを採用する。但し、本発明は、エレベーターと防犯カメラに代えてまたは加えて、エレベーターと防犯カメラ以外のビル設備、例えば、エスカレーターのような乗客コンベアや、空調設備といったビル設備にも適用できる。
【0025】
図1は、本実施形態に係るシステム全体の構成を示すブロック図である。
【0026】
契約情報参照装置1には、通信ネットワーク4を通じてビル2内に設置されたエレベーター制御装置21、および防犯カメラ制御装置22が接続され、また、通信ネットワーク5を通じて顧客操作端末3が接続される。
【0027】
エレベーター制御装置21は、図示しないエレベーターに備えられた装置であり、エレベーターの稼働状態(例えば、故障の有無)を常時監視して記憶し、当該稼働状態を表す情報を契約情報参照装置1に送信する。エレベーター制御装置21は、複数のエレベーターのそれぞれに設けられる。
【0028】
また、防犯カメラ制御装置22は、図示しない防犯カメラに備えられた装置であり、防犯カメラの稼働状態(例えば、故障の有無)を常時監視して記憶し、当該稼働状態を表す情報を契約情報参照装置1に送信する。防犯カメラ制御装置22は、複数の防犯カメラのそれぞれに設けられる。
【0029】
このような複数のビル設備が設置されているビルは、一つに限定されず、複数であってもよい。また、本実施形態では、ビル設備を1つの管理単位として扱っているが、管理単位はこれに限定されない。例えば、複数のビル(建屋)で構成されるビル群を管理単位としてもよい。さらに、ビルの一部(フロア)を管理単位としてもよい。またさらに、ビル以外の工場、駅など他の構造物を管理単位としてもよい。
【0030】
通信ネットワーク4および5の各々は、例えば、インターネット、移動体通信網、有線LAN、無線LAN、専用回線、或いはこれらの組み合わせでもよい。また、通信ネットワーク4および5は、一つの通信ネットワーク(例えば、インターネット)であってもよい。また、顧客操作端末3は、顧客が所持ないし利用する情報処理端末であって、表示装置と入力装置とインタフェース装置とを備える。入力装置は、キーボードおよびマウスの他、表示装置と一体とされたタッチパネルであってもよい。このような顧客操作端末3の具体例は特に限定されないが、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、およびスマートフォンなどが該当する。また、顧客操作端末3は、一つに限定されず、複数であってもよい。
【0031】
なお、本実施形態での顧客とは、ビル2についての保守、管理契約(以下、保守契約)を締結している者、組織(契約者)を指す。本実施形態においては、契約者以外の関与者も自身の顧客操作端末3を用いて、契約情報の参照が可能になる。例えば、保守契約を締結していないビル2のビルオーナーがこれにあたる。
【0032】
契約情報参照装置1は、図示しないインタフェース装置、記憶装置12およびそれらに接続されたプロセッサを備える装置でもよいし、当該装置(例えばクラウド基盤)上に実現された装置でもよい。インタフェース装置は、通信ネットワーク4および5に接続される。契約情報参照装置1は、顧客情報入力部11と、収集処理部13と、参照処理部14と、データ参照申請処理部15とを備える。
【0033】
また、記憶装置12は、顧客DB12aと、稼働状態DB12bと、申請状況管理DB12cとを格納する。顧客DB12aは、顧客に関する情報を保持する。稼働状態DB12bは、エレベーター、および防犯カメラの稼働状態に関する情報である稼働状態情報を保持する。申請状況管理DB12cは、データ参照の申請状況やデータの統合に関する情報を保持する。
【0034】
契約情報参照装置1において、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶装置12は、メモリは含む。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)である。ROMに格納されたプログラムコードをCPUが読み出して実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとが協働して、顧客情報入力部11と、収集処理部13と、参照処理部14と、データ参照申請処理部15といった機能が実現される。記憶装置12は、ROMおよびRAMの他に、HDD(Hard Disk Drive)のような永続記憶装置を含む。
【0035】
収集処理部13は、顧客DB12aが表すエレベーターごとに、例えば30分に1回など、通信ネットワーク4を通じてエレベーター制御装置21に接続する。そして、収集処理部13は、エレベーターの稼働状態を表す稼働情報を定期的に収集し、収集された情報を稼働状態DB12bに登録する。なお、エレベーターの稼働状態情報には、エレベーターが稼働中か停止中かが判断できる情報が含まれている。また、防犯カメラ制御装置22に対してもエレベーターの場合と同様に処理が行われる。
【0036】
以下、各種情報について、説明する。保守契約を締結した顧客の顧客情報は、顧客情報入力部11が、営業活動を行う営業員からの入力に応じて、顧客DB12aに登録される。
【0037】
顧客DB12aは、
図2に示すように、保守契約の締結がされたビル設備ID毎に、1つの顧客情報を示す顧客レコードを有する。顧客レコードは、顧客IDと、ビルIDと、ビル住所と、ビル設備とおよびビル設備IDとから構成される。
【0038】
図2では、ビルAにおいて、顧客“△△ビル管理”が2台のエレベーターを保守契約し、顧客“○○管理組合”が1台の防犯カメラを保守契約している。また、ビルBにおいて、顧客“××不動産”が1台のエレベーターを保守契約している状態をしめしている。
【0039】
なお、記憶装置12が、ユーザーDB(図示せず)を格納してもよい。ここで、「ユーザー」とは、本実施形態では、顧客に属する者(例えば、従業員)である。ユーザーDBは、ユーザー毎にユーザーレコードを有してよい。ユーザーレコードは、ユーザーIDと、パスワードと、顧客IDとを含むことが望ましい。ユーザーIDおよびパスワードは、契約情報参照装置1にアクセス可能なユーザーを識別するための認証情報である。
【0040】
ここで、ユーザーIDおよびパスワードの使われた方について、説明する。顧客操作端末3は、ユーザーの操作により、通信ネットワーク5を通じて契約情報参照装置1に接続する。この接続に応じて、参照処理部14は、ユーザーにユーザーIDおよびパスワードを要求する。つまり、参照処理部14は、顧客操作端末3へ、ユーザーIDおよびパスワードの入力を促す情報を出力する。
【0041】
そして、参照処理部14は、ユーザーDBに登録されているユーザーIDおよびパスワードを受け付けた場合、顧客操作端末3に、顧客DB12aと稼働状態DB12bから取得した稼働状態情報を表示することが可能となる。参照処理部14が作成する参照データは、そのデータ形式が特に限定されることはないが、例えば、画像形式、HTML形式、XML形式、CSV形式などを採用することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、エレベーターの稼働状態情報の参照について説明するが、エレベーターの稼働状態に代えてまたは加えて、エレベーターについての問合せ対応、点検予定日、点検実績などを表示するようにしてもよい。また、エレベーター以外にもエスカレーターや空調設備といった保守対象装置の稼働状態を表示してもよい。このように、本実施形態では、エレベーターに関する各種契約情報を扱うことが可能である。
【0043】
次に、
図3を参照して、エレベーターなどビル設備の稼働状態確認画面の表示の一例について説明する。
図3は、本の実施形態に係る稼働状態確認画面の第1の表示例を示す図である。なお、
図3では、顧客“△△ビル管理”のユーザーが稼働状態確認画面を操作しているものとして説明する。
【0044】
参照処理部14によって顧客操作端末3に表示される稼働状態確認画面301は、
図3に示すとおりである。稼働状態確認画面301は、例えばGUI(Graphical User Interface)であり、顧客表示欄3011、ビルID表示欄3012、エレベーターの稼働状態表示欄3013、データ参照申請ボタン3015を有する。そして、エレベーターの稼働状態表示欄3013に表示する稼働状態の表示の一例として、稼働中台数表示欄3014などがある。これらのツール3011~3015(表示領域)の各々は、例えばGUI部品で実現できる。
【0045】
稼働中台数表示欄3014での表示は、稼働状態の表示の一例である。稼働中台数表示欄3014は、顧客が保守契約をした全てのエレベーターの台数を分母にした数値と、稼働中のエレベーター(すなわち、故障や点検などにより停止していないエレベーター)の台数を分子にした数値と示している。さらに、稼働中台数表示欄3014はこれら分母と分子の数値を使用したドーナツグラフとを示している。
図3の例では、2台中2(台)が稼働している。1台しか稼働していない場合、ドーナツグラフは、半分、つまり、1台分色が抜けた状態で表示される。また、分母、分子およびドーナツグラフは、重要な情報であるため、他の文字と色などを区別して表示してもよい。さらに、本図が、「エレベーター」の稼働状態であることを明確にするために、エレベーターのアイコンの色も他とは区別して表示してもよい。
【0046】
データ参照申請ボタン3015は、ビルAのビル設備において、アクセス中のユーザーの顧客“△△ビル管理”以外にビル設備の保守契約をしている顧客が存在する場合に表示される。ユーザーがデータ参照申請ボタン3015を押すことで、顧客操作端末3の表示画面において、ビルAで保守契約がされている全てのビル設備が確認できるデータ参照申請画面302が表示される。
【0047】
次に、
図4を参照して、データ参照の申請を行う画面の一例について説明する。
図4は、本実施形態に係るデータ参照申請画面の第1の表示例である。
【0048】
図4に示すように、参照処理部14によって顧客操作端末3に表示されるデータ参照申請画面302は、例えばGUI(Graphical User Interface)である。そして、データ参照申請画面302は、顧客表示欄3021、ビルID表示欄3022、ビル設備一覧表示欄3023を有する。ここで、ビル設備一覧表示欄3023は、当該ビルIDのビルで保守契約の締結がされたビル設備ID毎に、ビル設備レコードを有する。このうち、ビル設備レコードは、当該ビルIDの顧客と、ビル設備と、ビル設備IDと、参照可否と、参照申請および申請状況とから構成される。なお、ビル設備一覧表示欄3023に表示するデータは、顧客DBを参照し、当該ビルIDの顧客レコードの顧客、ビル設備、ビル設備IDのすべてを取得して表示する。
【0049】
次に、参照申請の表示について、詳細に説明する。顧客操作端末3の表示画面では、操作しているユーザーの顧客、が保守契約を締結しているビル設備の参照申請レコードの場合は、データ参照申請元の顧客表示欄3024、許可ボタン3025、拒否ボタン3026とを表示する。この例を、
図4の上図を用いて、説明する。
図4の上図では、顧客“△△ビル管理”が所有権をもつビルAのエレベーター(ビル設備ID“E001”または“E002”)に関わるデータについて、顧客“○○管理組合”からのデータ参照申請がなされていない場合の表示を示している。そして、データ参照申請元の顧客表示欄3024は空欄、許可ボタン3025および拒否ボタン3026は非活性状態となっている。
【0050】
また、顧客“△△ビル管理”が保守契約を締結していないビル設備の参照申請レコードの場合は、データ参照の申請ボタン3027を表示する。これらのツール3021~3027の各々は、例えばGUI部品で実現できる。
【0051】
次に、
図5を参照して、データ参照の申請状況やデータの統合に関する情報の登録の一例を説明する。
図5は、本実施形態に係る申請状況管理DBの一例を示す図である。
【0052】
ユーザーからの
図4の申請ボタン3027に対する操作に応じて、申請状況管理DB12cに、データ参照の申請状況やデータの統合に関する情報が登録される。
【0053】
図5に示すように、申請状況管理DB12cは、保守契約の締結がされたビル設備ID毎に、データ参照申請レコードを有する。そして、データ参照申請レコードは、申請元顧客と、申請元顧客IDと、ビルIDと、申請先顧客IDと、申請先ビル設備IDおよび申請状況とから構成される。なお、申請状況は、図示した“申請中”の他、“回答済”“参照完了”と、申請およびその許可状態により変化する。また、“回答済”“参照完了”については、一定条件を満たした場合(一定時間経過など)、“失効”“再申請可能”“(空白=初期状態)”と変化させてもよい。これらの処理については、後述する。
【0054】
次に、
図6を参照して、データ参照の申請を行ったあとのデータ参照申請画面の一例について説明する。
図6は、実施形態に係るデータ参照申請画面の第2の表示例である。
【0055】
ここでは、
図6に示すビル設備一覧表示欄3023の参照可否と、参照申請と、申請状況の表示について、申請状況ごとに説明する。
【0056】
まず、顧客“△△ビル管理”のユーザーが利用する場合には、データ参照申請画面として、顧客“○○管理組合”が保守契約をしている防犯カメラのビル設備レコードに対する以下の情報が表示される。その内容は、顧客、ビル設備、ビル設備IDの他、参照可否、参照申請、申請状況が表示される。ここで、本画面の初期状態はS3021に示す表示となっている。つまり、データ参照申請画面において、参照可否は“否”、参照申請のデータ参照の申請ボタンは活性表示、申請状況は“未申請”と表示される。
【0057】
ユーザーにより、データ参照の申請ボタン3027が操作(申請)されると、データ参照申請画面は、S3022の表示に更新される。つまり、参照申請のデータ参照の申請ボタン3027は非活性表示、申請状況は“申請中”と表示される。
【0058】
また、この申請に対して、申請先の顧客のユーザーにより自身が利用する顧客操作端末3に対して許可ボタン3025が操作されると、データ参照申請画面はS3023の表示に更新される。つまり、参照可否は“可”、参照申請のデータ参照の申請ボタン3027は非活性表示、申請状況は“許可”と表示される。また、これらの操作によって、データ参照申請処理部15は、
図5で説明した申請状況管理DB12cへの申請情報登録をし、申請状況を更新している。なお、申請が拒否された場合は、初期状態S3021の表示に戻してもよいし、加えて、拒否の回数なども表示してもよい。
【0059】
なお、データ参照申請画面の各レコードは、申請ごとに作成され、表示されるレコードも増加するものである。
【0060】
次に、顧客“○○管理組合”のユーザーが利用する場合のデータ参照申請画面について、
図6の下図を用いて説明する。この場合には、データ参照申請画面の初期状態はS3024の表示となっており、参照可否は“可”、参照申請のデータ参照申請元の顧客表示欄3024は空欄、許可ボタン3025および拒否ボタン3026は非活性表示、申請状況は“未申請”と表示される。顧客“△△ビル管理”のユーザーから、データ参照の申請ボタン3027に対する操作がされ、データ参照の申請がなされると、データ参照申請画面はS3025の表示に更新される。つまり、データ参照申請画面において、参照申請のデータ参照申請元の顧客表示欄3024は“△△ビル管理”、許可ボタン3025および拒否ボタン3026は活性表示、申請状況は“申請中”と表示される。
【0061】
顧客“○○管理組合”のユーザーにより、許可ボタン3025を操作されると、データ参照申請画面はS3026の表示に更新される。つまり、参照申請のデータ参照申請元の顧客表示欄3024は空欄、許可ボタン3025および拒否ボタン3026は非活性表示、申請状況は“許可”と申請を許可した顧客“△△ビル管理”を結合して表示される。
【0062】
なお、拒否ボタン3025が操作された場合は、データ参照申請画面を、顧客“○○管理組合”のユーザーが利用する場合の初期状態S3024の表示に戻してもよいし、加えて、顧客“△△ビル管理”の申請を拒否したことがわかるように情報を表示してもよい。
【0063】
このように、S3023の表示に更新された後に、顧客“△△ビル管理”のユーザーが稼働状態確認画面301を確認することで、顧客“○○管理組合”に対して、データ参照の申請を行ったデータが参照可能となる。
【0064】
次に、
図7を参照して、データ参照の申請が許可された後の稼働状態確認画面301の一例について説明する。
図7は、実施形態に係る稼働状態確認画面の第2の表示例を示す図である。
【0065】
なお、
図7では、顧客“△△ビル管理”のユーザーが顧客操作端末3の稼働状態確認画面に対する操作しているものとして説明する。
【0066】
参照処理部14によって顧客操作端末3に表示される稼働状態確認画面301は、例えばGUI(Graphical User Interface)である。そして、
図7に示すように、
図3で説明したツール3011~3015の表示に、顧客“○○管理組合”から許可された防犯カメラの稼働状態表示欄3016が追加表示される。防犯カメラの稼働状態表示欄3016に表示する稼働状態の表示の一例として、稼働中台数表示欄3017などがある。これらのツール3016~3017の各々は、例えばGUI部品である。なお、
図7においても、
図3と同様に、一部の表示を他と区別して表示してもよい。
【0067】
本実施形態では、エレベーターと防犯カメラの稼働状態表示欄を分けて表示するようにしたが、それに代えてまたは加えて、他の表示方法が採用されてよい。
【0068】
次に、
図8および
図9を参照して、データ参照申請の処理について説明する。
図8および
図9は、本実施形態に係るデータ参照申請処理のフローの一例を示す図である。
【0069】
図8および
図9では、顧客“△△ビル管理”が、ビルID“ビルA”において、顧客“○○管理組合”のデータを参照する申請の処理フローについて説明する。また、
図8および
図9では、契約情報参照装置1、顧客“△△ビル管理”のユーザーが利用する顧客操作端末3、顧客“○○管理組合”のユーザーが利用する顧客操作端末3との間で行われるフローについて説明する。なお、以下、顧客“△△ビル管理”のユーザーが利用する顧客操作端末3を△△ビル管理ユーザー端末31と称す。また、顧客“○○管理組合”のユーザーが利用する顧客操作端末3を、○○管理組合ユーザー端末32と称する。
【0070】
なお、システムへのログインやログアウトなどの基本操作については説明を省略する。また、本フローでは、顧客“△△ビル管理”ないしそのユーザーが、参照の申請元である。また、顧客“○○管理組合”ないしそのユーザーが参照の申請先となる。
【0071】
まず、△△ビル管理ユーザー端末31は、△△ビル管理ユーザーの操作に従って、データ参照申請画面を表示する(A001)。そして、△△ビル管理ユーザー端末31から契約情報参照装置1へ、顧客IDないしユーザーIDを含むアクセス要求を出力する。
【0072】
次に、契約情報参照装置1の参照処理部14は、アクセス要求に応じて、顧客DB12aを参照し、顧客“△△ビル管理”の保守契約があるビル設備のビルIDを確認する。つまり、契約情報参照装置1は、アクセス要求に含まれる顧客IDないしユーザーIDに対応するビルIDを特定する。そして、参照処理部14は、顧客情報DB12aから、特定されたビルIDの顧客レコードを結合して、△△ビル管理ユーザー端末31のデータ参照申請画面に表示させる(K001)。この際、参照処理部14は、他の顧客の顧客レコードも表示させる。また、参照処理部14は、申請状況管理DBも参照するが、データ参照申請レコードがないため、データ参照申請画面のビル設備レコードの申請状況に“未申請”と表示する。これらの内容は、
図4で説明したとおりである。
【0073】
次に、△△ビル管理ユーザー端末31は、データ参照申請画面を表示する。なお、本実施形態では、このデータ参照申請画面には、顧客“○○管理組合”の防犯カメラに関するビル設備レコードが表示されているものとする(
図4参照)。
【0074】
そして、△△ビル管理ユーザー端末31は、△△ビル管理ユーザーから、同一ビルに他顧客が保守契約をしているビル設備があるか(A002)、データ参照したい他顧客のビル設備があるか(A003)の判断結果を受け付ける。この結果、他顧客が保守契約をしているビル設備が無い場合(A002の無い)やデータ参照したい他顧客のビル設備が無い場合(A003の無い)は、本フローの処理を終了する。具体的には、△△ビル管理ユーザー端末31は、そのままデータ参照申請画面の表示を継続するか、△△ビル管理ユーザーからの終了指示に従って、その機能を停止する。
【0075】
また、他顧客が保守契約をしているビル設備が有り(A002の有る)、データ参照したい他顧客のビル設備が有る場合は(A003の有る)、A004に進む。
【0076】
次に、△△ビル管理ユーザー端末31は、△△ビル管理ユーザーから参照を希望するビル設備レコードの選択を受け付ける。本実施形態では、顧客“○○管理組合”の防犯カメラに関するビル設備レコードが選択されたものとする。このために、△△ビル管理ユーザー端末31は、△△ビル管理ユーザーから対応する申請ボタンの押下を受け付ける。そして、△△ビル管理ユーザー端末31は、契約情報参照装置1へ、自身の顧客IDないしユーザーIDを含むデータ参照申請を通知する(A004)。なお、保守契約を締結していないビルオーナーが、参照を希望する場合、ビルオーナーの顧客操作端末3が、ビルIDを含むデータ参照申請を通知する。この場合、ビルIDに対応付いた顧客IDを、ビルオーナーの顧客IDとして用いることで、以降の処理が可能になる。この場合、ビルオーナー特有の認証を行うことで、不正防止を図ることができる。
【0077】
次に、契約情報参照装置1のデータ参照申請処理部15は、データ参照申請の要求を受け付ける。そして、データ参照申請処理部15は、データ参照申請に含まれる顧客“△△ビル管理”の顧客IDに顧客“○○管理組合”の顧客IDと申請対象の防犯カメラのビル設備IDを紐付ける。このことで、データ参照申請処理部15は、データ参照申請レコードを作成し、申請状況管理DBに記憶する(K002)。
【0078】
なお、データ参照申請レコードの作成において、データ参照申請処理部15は、申請状況管理DBのデータ参照申請レコードの申請状況を“申請中”に更新する。
【0079】
次に、参照処理部14は、ユーザーDB(図示せず)から、△△ビル管理ユーザーおよび○○管理組合ユーザーのメールアドレスなどのユーザー情報を取得する(K003)。つまり、参照処理部14は、各顧客の連絡先を特定することになる。
【0080】
次に、参照処理部14は、○○管理組合ユーザー端末32に対して、△△ビル管理ユーザーからのデータ参照の申請がなされたことを示すデータ申請情報をメール送信にて通知する(K004)。つまり、参照処理部14は、○○管理組合ユーザー端末32へデータ参照申請メールを送信する。
【0081】
また、参照処理部14は、△△ビル管理ユーザー端末31に、データ参照申請メールを、○○管理組合ユーザー端末32へ送信したことを通知する。
【0082】
次に、参照処理部14の処理により、△△ビル管理ユーザー端末31は、確認するデータ参照申請画面を表示する(A005)。このことで、△△ビル管理ユーザーは、顧客“○○管理組合”の防犯カメラに関するビル設備レコードの表示が“申請中”に更新されていることを確認できる。
【0083】
また、○○管理組合ユーザー端末32は、データ参照申請メールを受信する(B001)。
【0084】
次に、○○管理組合ユーザー端末32は、受信したデータ参照申請メールに基づいて、データ参照申請画面を表示する(B002)。ここで、○○管理組合ユーザー端末32は、受信したデータ参照申請メールに記載されたリンク先にアクセスすることで、この表示が可能になる。また、○○管理組合ユーザー端末32は、○○管理組合ユーザーの操作により、データ参照申請画面の表示を起動してもよい。このデータ参照申請画面の表示には、○○管理組合ユーザー端末32に対する〇〇管理組合ユーザーからの認証情報の入力が条件になる。また、本実施形態では、メールを利用したが、メッセンジャーアプリなどの他のメッセージ交換機能を用いてもよい。
【0085】
そして、契約情報参照装置1の参照処理部14は、B002において、○○管理組合ユーザー端末32でデータ参照申請画面を表示したことをトリガーに、K005を実行する。つまり、契約情報参照装置1の参照処理部14は、顧客DB12aを参照し、顧客“○○管理組合”の保守契約があるビル設備のビルIDを確認し、顧客“○○管理組合”以外の顧客を含めたすべての情報から、同一ビルIDの情報を結合する。そして、参照処理部14は、この結合した情報を示すデータ参照申請画面を、○○管理組合ユーザー端末32に表示させる(K005)。この画面例は、
図6に示したとおりである。
【0086】
次に、○○管理組合ユーザー端末32は、○○管理組合ユーザーからデータ参照申請画面で示される申請を許可するか、許可しないかを示す入力を受け付ける(B003)。ここで、○○管理組合ユーザーは、データ参照申請画面を参照し、△△ビル管理ユーザーから、防犯カメラに関するデータ参照の申請がなされたことを確認し、申請を許可するか否か判断することになる。
【0087】
まず、申請を許可する場合(B003の許可する)について説明し、申請を許可しない場合(B003の許可しない)については、後で
図9を用いて、詳細に説明する。
【0088】
申請を許可する場合、○○管理組合ユーザー端末32は、○○管理組合ユーザー端末32から入力される顧客“○○管理組合”の防犯カメラに関するビル設備レコードの許可ボタンの押下を検知する(B004)。この結果、○○管理組合ユーザー端末32は、契約情報参照装置1へ、申請を許可したことを通知する。
【0089】
次に、契約情報参照装置1では、データ参照申請処理部15が、申請状況管理DB12cを参照し、申請許可のデータ参照申請レコードを特定し、申請状況を“許可”に更新する(K006)。つまり、参照権限を付与する。
【0090】
ここで、データ参照申請処理部15は、更新された申請状況を、その後所定条件に従って変更することが望ましい。所定条件には、当該更新ない申請から一定期間を経過したことが含まれる。具体的には、K006で申請状況が許可に“更新”された場合、一定期間を経過すると、データ参照申請処理部15は、“拒否”“失効”“再申請可能”“(空白=初期状態)”のいずれかに変更する。つまり、権限が付与されていない状態とする。さらに、一定期間については、システム管理者等により、その期間を変化させてもよい。また、一定期間を、顧客、そのユーザー、関与者に応じて変えてもよい。
【0091】
さらに、収集処理部13が、申請されたデータの契約に関する変化を検知したことも含まれる。契約に関する変化には、契約の変化ないし契約情報の変化が含まれる。これらは、契約などにより、契約情報が変化(増加、減少を含む)した場合には、これまでとはデータの扱いを変える必要が出てくる可能性を考慮するためである。
【0092】
次に、参照処理部14は、ユーザーDB(図示せず)から、○○管理組合ユーザーおよび△△ビル管理ユーザーのメールアドレスなどのユーザー情報を取得する(K007)。なお、本処理は、K003と同様であるので、K003の結果を流用してもよい。
【0093】
次に、参照処理部14は、△△ビル管理ユーザー端末31に対して、データ参照の申請が許可されたことを示すメールを作成し、メール送信にて通知する(K008)。この処理では、メールを用いているが、上述のように、他のメッセージ交換機能を用いてもよい。
【0094】
また、この際、参照処理部14は、△△ビル管理ユーザーと○○管理組合ユーザーとの間で、データ参照の申請に基づいて許可されたことを、当該契約情報参照装置1のシステム管理者にメールで通知する(K009)。これにより、△△ビル管理ユーザーや○○管理組合ユーザーからの問い合わせなどに対処可能となる。なお、ここで、メール以外のメッセージ交換機能を用いてもよい。また、メールやメッセージ交換機能での宛先は、契約情報参照装置1の他の関係者(営業担当など)としてもよい。
【0095】
また、○○管理組合ユーザーの操作により、○○管理組合ユーザー端末32は、データ参照申請画面の、防犯カメラに関するビル設備レコードの表示が“許可”に更新されていることを表示する(B005)。このことで、○○管理組合ユーザーは、申請が許可したことを確認できる。ここで、○○管理組合ユーザーの操作とは、○○管理組合ユーザー端末32に対するデータ参照申請画面リロード指示や再表示の指示を含む。
【0096】
また、△△ビル管理ユーザー端末31は、申請許可メールを受信し、表示する(A006)。そして、△△ビル管理ユーザー端末31は、△△ビル管理ユーザーの操作に応じて、データ参照申請画面を表示する(A007)。ここで、△△管理ユーザーの操作とは、△△ビル管理ユーザー端末31に対するデータ参照申請画面リロード指示や再表示の指示を含む。
【0097】
また、契約情報参照装置1の参照処理部14は、顧客DB12aを参照し、顧客“△△ビル管理”の保守契約があるビル設備のビルIDを確認し、顧客“△△ビル管理”以外の顧客を含めたすべての情報から、同一ビルIDの情報を結合する。そして、参照処理部14は、この結合した情報を示すデータ参照申請画面を、△△ビル管理ユーザー端末31に表示させる(K010)。この際、参照処理部14は、申請状況管理DB12cも参照し、対象となるデータ参照申請レコードの申請状況に登録されている“許可”を取得する。そして、参照処理部14は、データ参照申請画面のビル設備レコードの申請状況を“許可”と顧客“△△ビル管理”を結合して表示させる。
【0098】
また、△△ビル管理ユーザー端末31は、データ参照申請画面を表示する(A008)。この内容を、△△ビル管理ユーザーが参照して、申請が許可されたことを確認できる。そして、△△ビル管理ユーザー端末31は、△△ビル管理ユーザーから稼働状態画面の表示要求を受け付ける(A009)。
【0099】
A009に応じて、契約情報参照装置1の参照処理部14は、顧客DB12aの顧客“△△ビル管理”となっている顧客レコードのビル設備IDと、申請状況管理DB12cの申請元顧客“△△ビル管理”となっているデータ参照申請レコードを特定する。そして、参照処理部14は、これらから、申請状況が“許可”となっているレコードの申請先顧客IDと申請先ビル設備IDを取得して、これらをキーに稼働状態DBからビル設備の稼働状態を取得する。そして、参照処理部14は、取得した稼働状態を、△△ビル管理ユーザー端末31の稼働状態画面に表示させる(K011)。
【0100】
そして、△△ビル管理ユーザー端末31は、この稼働状態画面を表示する。これにより、△△ビル管理ユーザーは、稼働状態を確認できる。具体的には、ビル設備ID“E001”および“E002”のエレベーターと、顧客ID“002”かつビル設備ID“K001”の防犯カメラの稼働状態を確認できる。
【0101】
次に、〇〇管理組合ユーザー端末32のB003において、許可しない場合について、
図9を用いて説明する。
【0102】
B003で申請を許可しない場合、○○管理組合ユーザー端末32は、○○管理組合ユーザーから、顧客“○○管理組合”の防犯カメラに関するビル設備レコードの拒否ボタンの押下を受け付ける。そして、○○管理組合ユーザー端末32は、契約情報参照装置1へ、申請を拒否することを通知する(B006)。
【0103】
次に、契約情報参照装置1のデータ参照申請処理部15は、申請状況管理DB12cを参照し、申請許可のデータ参照申請レコードを特定し、申請状況を“拒否”に更新する(K012)。なお、申請状況の“拒否”は、K006(“許可”)と同様に、所定条件に従って変更が可能である。但し、この場合、“拒否”から“許可”への変更は抑止することが望ましい。
【0104】
次に、契約情報参照装置1の参照処理部14は、ユーザーDB(図示せず)から、○○管理組合ユーザーおよび△△ビル管理ユーザーのメールアドレスなどのユーザー情報を取得する。この処理は、K003やK007と同様なので、これらの結果を流用してもよい。そして、参照処理部14は、△△ビル管理ユーザー端末31に対して、データ参照の申請が拒否されたことをメール送信にて通知する(K013)。さらに、参照処理部14は、〇〇管理組合ユーザー端末32に対して、申請拒否メールを△△ビル管理ユーザー端末31へ通知したことを、メールで通知する。
【0105】
そして、参照処理部14は、システム管理者等に、データ参照の申請が拒否されたことをメールで通知する(K014)。この処理は、K009と同様の処理である。このことにより、システム管理者等は、△△ビル管理ユーザーや○○管理組合ユーザーからの問い合わせなどに対処可能となる。
【0106】
以上のK013、K014のメールは、上述のように他のメッセージ交換機能を用いてもよい。
【0107】
また、○○管理組合ユーザー端末32は、データ参照申請画面を表示した際、防犯カメラに関するビル設備レコードの表示が空欄(初期状態)に更新されて表示することになる(B005)。このことで、○○管理組合ユーザーは、本画面からも、システム上申請が拒否されていることを確認できる。
【0108】
また、△△ビル管理ユーザー端末31は、申請拒否メールを受信する(A011)。そして、このメールを△△ビル管理ユーザーが確認し、△△ビル管理ユーザーの操作により、△△ビル管理ユーザー端末31がデータ参照申請画面を立ち上げる(A007)。
【0109】
A007の処理に応じて、契約情報参照装置1の参照処理部14は、顧客DB12aを参照し、顧客“△△ビル管理”の保守契約があるビル設備のビルIDを特定する。そして、参照処理部14は、顧客“△△ビル管理”以外の顧客を含めたすべての情報から、特定された同一ビルIDの情報を結合して、△△ビル管理ユーザー端末31に、データ参照申請画面に表示させる(K015)。この際、申請状況管理DB12cも合わせて参照する。そして、参照処理部14は、対象となるデータ参照申請レコードの申請状況に登録されている“拒否”を取得して、データ参照申請画面のビル設備レコードの申請状況を未申請(初期状態)と表示させる(A013)。
【0110】
K015の処理に応じて、△△ビル管理ユーザー端末31は、データ参照申請画面を表示する。△△ビル管理ユーザーは、この内容を参照して、システム上申請が拒否されたことを確認できる。
【0111】
以上で、本実施形態の処理フローの説明を終了する。なお、本実施形態では、データ参照申請画面に一ビルの情報が表示されるものとして説明しているが、複数のビルをまとめて表示するような構成としてもよい。さらに、ビルの一部を対象としてもよいし、ビル以外の設備を対象としてもよい。
【0112】
また、本実施形態では、データ参照の申請について説明しているが、申請先の顧客ないしそのユーザーが、データの参照範囲や機能に制限を設けられる構成としてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、データ参照の申請を単純に許可するのみとして説明しているが、申請先の顧客ないしそのユーザーが、データ参照の期限を設けられる構成や、一度、申請を許可したあとに無効とする機能を設ける構成としてもよい。
【0114】
また、本実施形態では、保守契約を締結している顧客を対象として説明をしている。但し、例えば、保守会社と契約している管理会社の上流の、保守会社と直接の契約が無いビルオーナーの情報を、顧客DBに格納されている契約顧客の顧客IDとビルIDと紐付けて管理する。そして、このような関与者でも管理会社への申請によりデータの参照ができる構成としてもよい。
【0115】
以上説明した実施形態によれば、同一ビル内に、ビル管理に関わるビル管理会社、ビルオーナー、およびマンションであればマンション管理組合などが存在し、それぞれがビル設備の保守会社とビル設備保守契約をしている場合でも、以下のことが可能になる。この契約に基づいて、ビル管理会社、ビルオーナー、およびマンション管理組合など各関与者それぞれに所有権があるビル設備の稼働データや保守データを統合して参照することが可能となる。
【0116】
また、各テナントからデータを入手したり、入手したデータの参照範囲を各テナントと取り決め、関与者ごとにデータへのアクセス権限を決める必要がないため、システムを管理する時間とコストを削減できる効果を奏する。
【0117】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
1…契約情報参照装置
2…ビル
3…顧客操作端末
4、5…通信ネットワーク
11…顧客情報入力部
12…記憶装置
12a…顧客DB
12b…稼働状態DB
12c…申請状況管理DB
13…収集処理部
14…参照処理部
15…データ参照申請処理部
21…エレベーター制御装置
22…防犯カメラ制御装置
100…ビル内情報参照システム