(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】延長したジョー先端を有するクリップアプライヤ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A61B17/128 100
(21)【出願番号】P 2020507078
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 IB2018055954
(87)【国際公開番号】W WO2019030679
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-05
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ストークス・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ライアン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フェーゲルマン・エリオット・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・グレゴリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ラバセトウォー・ディーシャ・ブイ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-171909(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03050519(EP,A1)
【文献】特開2010-046489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用
クリップアプライヤであって、
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端上にあり、間に組織を係合するために開放位置と閉鎖位置との間で移動するように構成された第1及び第2のジョーであって、前記第1及び第2のジョーはそれぞれ、クリップを前記ジョー内に受容及びガイドするためのクリップトラックを画定する内向き表面を有するクリップ係合部を有し、前記第1のジョーが、前記第2のジョーの長さよりも長い長さを有するように、前記クリップ係合部を越えて遠位に延在する延長先端部を有する、第1及び第2のジョーと、
前記細長いシャフトを通って延在し、前記ジョーを前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させるように構成されたジョー形成アセンブリと、
前記細長いシャフトを通って延在し、前記細長いシャフト内に配置されたクリップのスタック内の最遠位クリップを、前記第1及び第2のジョー内の前記クリップトラック内に遠位に前進させるように構成されたクリップ前進アセンブリと、を備え、
前記第1のジョーの前記クリップ係合部が、第1の弾性率値を有する第1の材料で形成され、前記延長先端部が、前記第1の弾性率値よりも大きい第2の弾性率値を有する第2の材料で形成されている、外科用
クリップアプライヤ。
【請求項2】
前記第1のジョー上の前記クリップトラックが、前記クリップ係合部と前記延長先端部との間の接合部で終端する、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項3】
前記延長先端部の少なくとも一部分が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部に対して横方向の角度で延在する、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項4】
前記延長先端部の少なくとも一部分が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部に対して0度超かつ90度未満の角度で延在する、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項5】
前記延長先端部の少なくとも一部分が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部に対して約12度~65度の範囲の角度で延在する、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項6】
前記延長先端部が、遠位方向に減少する幅、高さ、又はその両方を有し、これにより前記延長先端部が遠位にテーパ状になる、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項7】
前記第1のジョーの長さの前記第2のジョーの長さに対する比が、約1.1~1.75の範囲である、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項8】
前記第1のジョーの前記延長先端部が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部の色とは異なる色である、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項9】
前記延長先端部の最遠位端が、その上に形成されたボール形状の特徴部又は三角形状の特徴部を含む、請求項1に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項10】
外科用
クリップアプライヤであって、
その遠位端にジョーアセンブリを有する細長いシャフトであって、前記ジョーアセンブリは、間に組織を係合するために開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な対向する第1及び第2のジョーを含み、前記第1及び第2のジョーは、クリップを受容するためのクリップ係合部をそれらの間に画定し、前記第1のジョーは、前記クリップ係合部に対して横方向の角度で前記クリップ係合部の最遠位端を越えて遠位に延在する先端延長部を有する、細長いシャフトと、
前記細長いシャフト内に配置され、前記細長いシャフトを通して複数のクリップを遠位に前進させるように、かつ前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の前記クリップ係合部内に最遠位クリップを前進させるように構成されたクリップ前進アセンブリと、を備え、
前記第1のジョーの前記クリップ係合部が、第1の弾性率値を有する第1の材料で形成され、前記先端延長部が、前記第1の弾性率値よりも大きい第2の弾性率値を有する第2の材料で形成されている、外科用
クリップアプライヤ。
【請求項11】
前記第1のジョーの前記先端延長部が、前記第1及び第2のジョーの前記クリップ係合部よりも可撓性である、請求項10に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項12】
前記先端延長部の少なくとも一部分が、前記クリップ係合部に対して0度超かつ90度未満の角度で延在する、請求項10に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項13】
前記第1及び第2のジョーがそれぞれ、その内向き表面に沿って長手方向に延在する上部レール及び下部レールを含み、前記上部レール及び前記下部レールは、前記クリップ係合部を画定する、請求項10に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項14】
前記先端延長部が、遠位方向に減少する幅、高さ、又はその両方を有し、前記先端延長部が遠位にテーパ状になる、請求項10に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項15】
前記第1のジョーの前記先端延長部が、前記第1及び第2のジョーの前記クリップ係合部の色とは異なる色である、請求項10に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【請求項16】
前記先端延長部の遠位端が、その上にボール形状の特徴部を含む、請求項10に記載の外科用
クリップアプライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
外科用クリップアプライヤ及びその使用方法は、脈管、他の管などの組織を結紮するために提供される。
【背景技術】
【0002】
外科用クリップアプライヤは、一般に手術中に血管、管、シャント、又は身体組織の一部分を結紮するために使用される。ほとんどのクリップアプライヤは、典型的には、細長いシャフトを備えるハンドルを有し、シャフトはその端部に、それらの間で結紮クリップを保持して成形するために形成された一対の移動可能な対向するジョーを有する。ジョーは、脈管又は管の周囲に位置付けられ、クリップは、ジョーの閉鎖によって脈管上で破砕又は形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
クリップアプライヤの使用中の視認性は、クリップの適切な位置決めのために重要であり得る。視認性の欠如は、例えば、誤ったクリップの位置決め、不適切なクリップサイズの選択、及び手術中の解剖学的構造に対する偶発的な損傷を含む、ユーザエラーの様々な機会につながり得る。
【0004】
したがって、既存の技術にもかかわらず、血管、管などの組織を結紮するための改良された装置及び方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
外科用クリップアプライヤ及びその使用方法は、本明細書において提供される。
【0006】
例示的な一実施形態では、外科用クリップアプライヤが提供され、細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端上の第1及び第2のジョーと、細長いシャフトを通って延在するクリップ前進アセンブリと、を含むことができる。第1及び第2のジョーは、間に組織を係合するために開放位置と閉鎖位置との間で移動するように構成することができ、各ジョーは、クリップをジョー内に受容及びガイドするためのクリップトラックを画定する内向き表面を有するクリップ係合部を有することができる。第1のジョーは、第1のジョーが第2のジョーの長さよりも長い長さを有するように、クリップ係合部を越えて遠位に延在する延長先端部を有することができる。装置はまた、細長いシャフトを通って延在し、ジョーを開放位置から閉鎖位置へと移動させるように構成されたクリップ形成アセンブリと、細長いシャフトを通って延在し、細長いシャフト内に配置されたクリップのスタック内の最遠位クリップを第1及び第2のジョー内のクリップトラック内に遠位に前進させるように構成されたクリップ前進アセンブリと、を含むことができる。
【0007】
ジョーは、様々な構成を有することができる。一実施形態において、第1のジョー上のクリップトラックは、クリップ係合部と延長先端部との間の接合部で終端することができる。別の実施形態において、第1のジョーの延長先端部の少なくとも一部分は、第1のジョーのクリップ係合部に対して横方向の角度で延在することができる。例えば、第1のジョーの延長先端部の少なくとも一部分は、第1のジョーのクリップ係合部に対して0度超かつ90度未満の角度で延在し得る。別の例では、延長先端部の少なくとも一部分は、第1のジョーのクリップ係合部に対して約12°~65°の範囲の角度で延在することができる。
【0008】
一態様では、延長先端部は、延長先端部が遠位にテーパ状になるように、少なくとも遠位方向に減少する幅を有することができる。他の態様では、第1のジョーのクリップ係合部は、第1の弾性率値を有する第1の材料で形成することができ、延長先端部は、第1の率よりも小さい第2の弾性率値を有する第2の材料で形成することができる。別の態様では、第1のジョーの長さの第2のジョーの長さに対する比は、約1.1~1.75.の範囲であり得る。一態様では、第1のジョーの延長先端部は、第1のジョーのクリップ係合部の色とは異なる色であり得る。別の態様では、第1のジョーの延長先端部の最遠位端は、その上に形成されたボール形状の特徴部を含むことができる。
【0009】
別の実施形態において、外科用クリップアプライヤが提供され、その遠位端にジョーアセンブリを有する細長いシャフトを含むことができる。ジョーアセンブリは、間に組織を係合するために開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な対向する第1及び第2のジョーを含むことができ、そこで第1及び第2のジョーは、それらの間にクリップを受容するためのクリップ係合部を画定する。第1のジョーは、クリップ係合部に対して横方向の角度でクリップ係合部の最遠位端を越えて遠位に延在する先端延長部を有することができる。外科用クリップアプライヤはまた、細長いシャフト内に配置されたクリップ前進アセンブリを含むことができる。クリップ前進アセンブリは、複数のクリップを細長いシャフトを通して遠位方向に前進させ、最遠位クリップを第1のジョーと第2のジョーとの間のクリップ係合部内に前進させるように構成され得る。
【0010】
一実施形態において、第1のジョーの先端延長部は、第1及び第2のジョーのクリップ係合部よりも可撓性であり得る。他の態様では、先端延長部の少なくとも一部分は、クリップ係合部に対して0度超かつ90度未満の角度で延在することができる。一態様では、先端延長部は、先端延長部が遠位にテーパ状になるように、遠位方向に減少する幅、高さ、又はその両方を有することができる。一実施形態において、第1のジョーの先端延長部は、第1及び第2のジョーのクリップ係合部の色とは異なる色であり得る。別の実施形態において、第1及び第2のジョーはそれぞれ、その内向き表面に沿って長手方向に延在する上部レール及び下部レールを含むことができ、そこで上部レール及び下部レールはクリップ係合部を画定する。他の態様では、先端延長部の遠位端は、その上にボール形状の特徴部を含み得る。
【0011】
外科用クリップを組織に適用する方法も提供される。一実施形態において、方法は、第1のジョーが組織の遠位側に隣接して位置付けられ、第2のジョーが組織の近位側に隣接して位置付けられた状態で、クリップアプライヤのシャフトの遠位端で第1のジョーと第2のジョーとの間に組織を位置付けることを含み得る。方法はまた、第1及び第2のジョーを接近させるよう制御されるクリップアプライヤ又はロボット/遠隔マニピュレータを作動させることを含み得る。第1及び第2のジョーは、それらの間に、変形して第1のジョーと第2のジョーとの間に組織を係合するクリップを有することができる。第1のジョーは、第1のジョーが組織の遠位側に隣接して位置付けられるとき、及びクリップアプライヤの作動中に、先端延長部が少なくとも部分的に視認可能であるように、第2のジョーの最遠位端を越えて遠位に延在する先端延長部を有することができる。
【0012】
一実施形態では、第1のジョーの先端延長部は、先端延長部の可視化を容易にするために、第1のジョーの残部と第2のジョーとは異なる色を有することができる。別の実施形態において、方法は、クリップアプライヤを作動させる前に、組織を切開するために先端延長部を操作することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
【
図1】外科用クリップアプライヤの例示的な一実施形態の側面図である。
【
図2】
図1の外科用クリップアプライヤの遠位部分の分解図である。
【
図3】
図1の外科用クリップアプライヤの遠位部分の斜視図である。
【
図4A】
図1の外科用クリップアプライヤの近位部分の斜視部分透視図である。
【
図4B】
図1の外科用クリップアプライヤの近位部分の別の斜視図である。
【
図5A】
図1の外科用クリップアプライヤのジョーの間に配置され得る予め形成されたクリップの平面図である。
【
図5B】組織と係合された成形クリップの平面図である。
【
図6A】外科用クリップアプライヤの遠位部分の斜視図であり、対向するジョーのうちの1つは、延長先端部を含む。
【
図6B】
図6Aの外科用クリップアプライヤの遠位部分の平面図である。
【
図7】ジョーの延長先端部の最遠位端にボール形状の特徴部を有する外科用クリップアプライヤの別の実施形態の遠位部分の平面図である。
【
図8】第1のジョーが組織の遠位側に隣接して配置され、第2のジョーが組織の近位側に隣接して配置された状態で、ジョーの間に位置付けられた組織を示す、
図6A及び
図6Bの外科用クリップアプライヤの側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0015】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及び装置が内部で用いられる対象の解剖学的構造、システム及び装置が一緒に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び手順に依存し得る。
【0016】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、器具のハンドルを握っている臨床医などのユーザを基準として使用されることが認識されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」などの空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0017】
外科手術中に外科用クリップを脈管、管などに適用するための外科用クリップアプライヤ及び方法が提供される。外科用クリップアプライヤは、細長いシャフトの遠位端上に対向する第1及び第2のジョーを含み、第1のジョーは、第1のジョーの長さが第2のジョーの長さよりも長いように、延長先端部を有することができる。そのような構成は、クリップアプライヤの配置及び作動中の第1のジョーの視認性を改善することができる。拡張先端部はまた、組織切開を補助することができる。代表的な外科用クリップアプライヤは、本明細書で述べ、図面に示すように、外科用クリップの適用を容易にするための様々な特徴を有し得る。しかしながら、外科用クリップアプライヤは、これらの特徴の一部のみを有してもよく、かつ/又は当該技術分野では周知の様々な他の特徴を有してもよいことは当業者には認識されるところであろう。本明細書に述べられる外科用クリップアプライヤは、特定の代表的な実施形態を代表することを意図したものに過ぎない。
【0018】
図1~
図4Bは、外科用クリップアプライヤ100の一実施形態を示す。図示のように、外科用クリップアプライヤ100は、一般に、静止ハンドル104を有するハウジング102と、ハウジング102に枢動可能に連結された可動ハンドル又はトリガ106とを含む。細長いシャフト108は、ハウジング102から遠位に延在し、その遠位端108d上に形成されたジョーアセンブリ110を含み、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な第1及び第2のジョー112、114を含む。第1及び第2のジョー112、114は、対向する内向き表面を含み、それぞれの内向き表面は、予め形成されたクリップ127の脚を第1及び第2のジョー112、114内に受容及びガイドするために、内向き表面に沿って形成されたクリップトラックを有する。細長いシャフト108は、回転ノブ103を介してハウジング102に対して回転することができる。
【0019】
図2及び
図3に示されるように、細長いシャフト108は、外側支持管120と、外側管120に遠位に連結された上部シュラウド122と、下部シュラウド124と、を含むことができる。外側支持管120並びに上部及び下部シュラウド122、124は、シャフト108の外側ケーシングを形成する。
図2及び
図3に示されるように、複数の外科用クリップを含むクリップスタック126が、第1及び第2のジョー112、114の近位のシャフト108のクリップトラック又はホルダ128内に配置され、遠位方向に付勢される。フロア130は、クリップスタック126をシャフト108内に整列して維持するために、かつ最遠位クリップ126dをジョー112、114にガイドするためにクリップスタック126の下に延在する。リフタばね132は、クリップスタック126の遠位方向への移動を防止するために、最遠位クリップ126dがリフタばね132の周りに配置された状態で、ジョー112、114の直近に、かつクリップスタック126の遠位に位置付けられている。フィーダバー134は、最遠位クリップ126dをジョーに供給するために、細長いシャフト108を通って延在する。上部及び下部シュラウド122、124が取り外されたクリップアプライヤ100を示す
図3に示されるように、フォーマ管136は、ジョー112、114の近位端の周りに延在し、ジョー112、114を、それらの間に配置されたクリップ127を変形させるための閉鎖位置にカム運動させるように遠位に移動可能である。
【0020】
細長いシャフト108の外側支持管120は、様々な構成を有することができるが、この例示的な実施形態では、
図2~
図3に示されるように、外側管108は円筒管構成を有する。他の実施形態では、細長いシャフトは、正方形の管構成を有することができる。したがって、細長いシャフト108は、腹腔鏡下に、又は開放性のクリップアプライヤに使用されるように成形され得る。
【0021】
外科用クリップアプライヤ100は、トリガ106が起動されたときにジョー112、114を閉じるために一緒に動作する様々な構成要素を含むクリップ形成アセンブリを有し、それによって、ジョー内に配置された予め形成されたクリップ(例えば、クリップ127)を組織に適用(形成)する。クリップ形成アセンブリは、フォーマ管136、及びフォーマ管136を起動して遠位方向に移動させ、それによってジョー112、114を閉じるように構成されたトリガ106に連結された他の構成要素を包含する。外科用クリップアプライヤ100のクリップ前進アセンブリは、
図4A及び
図4Bに示されるように、トリガ106から近位に延在するリンク107を介してトリガ106に更に連結されるフィーダバー134を含む。このようにして、トリガ106が起動されると、フィーダバー134は、トリガ106の起動時にフォーマ管136が移動する遠位方向とは反対に近位に移動する。
【0022】
クリップ形成及びクリップ前進アセンブリは、任意の好適な構成を有することができる。例えば、図示した実施形態では、
図4A及び
図4Bに示されるように、クリップ形成アセンブリのフォーマ管136が、ピン141を介してトリガ106に連結されることになるハンドル102内のフォーマプレート140に内側連結部138を介して連結され、クリップ前進アセンブリのフィーダバー134は、フィーダプレート142を介してトリガ106に連結され、フィーダプレート142はまた、リンク107を介してトリガ106に連結される。
図4Aに示すように、フィーダプレート142は、外側連結具146の近位端(部分的に透けて示される)の上に配設され、これと嵌合するアーム144a、144bを、遠位端に有する。外側連結具146の遠位端にある接続ピン148は、フィーダバー134を外側連結具146に取り付ける。
図4A及び
図4Bは、外側ケーシングの一部が取り除かれたハンドル102を示し、
図4Bは、例示目的のみのために、フィーダプレート142を有さないハンドル102を示す。外科用クリップアプライヤ100は、簡潔さのために本明細書に記載されていない様々な他の構成要素及びアセンブリを含むことができることを理解されたい。
【0023】
当業者であれば、トリガが示され説明されているが、本明細書に開示されるクリップアプライヤはトリガを含む必要はなく、様々な他の作動機構を有することができることを理解するであろう。例えば、クリップアプライヤは給電されてもよく、装置の発射を制御するためにモータを作動させるための作動ボタンを含むことができる。他の実施形態では、ハウジングは、ロボットシステムに連結するように構成することができ、それにより、ロボット/遠隔マニピュレータシステムを介して装置の作動が制御される。
【0024】
使用時に、ハンドル102のトリガ106が起動される(例えば、静止ハンドル104に向かって移動される)とき、クリップ形成アセンブリのフォーマプレート140は遠位方向に前進して、フォーマ管136をジョー112、114の上を遠位に前進させ、それによってジョー112、114を閉鎖位置にカム運動させる。同時に、クリップ前進アセンブリのフィーダプレート142が近位方向に移動し、それによってフィーダバー134を近位方向に引っ張り、フィーダバー134をクリップスタック126の最遠位クリップ126dの近位に位置付ける。クリップの脚がジョーのそれぞれのクリップトラック内に受容されるように、ジョー112、114内に配置された予め形成されたクリップ127が成形クリップの形に完全に形成されると、トリガ106が解放され、クリップ前進アセンブリが遠位方向に移動する間にクリップ形成アセンブリを近位方向に移動させる。元の予め形成されたクリップ127は、
図5Aにおいてより詳細に示されている。クリップ形成アセンブリの近位移動は、フォーマ管136をジョーに対して後退させ、したがって、ジョー112、114が元の開放位置に移動することを可能にし、それによって、成形クリップ168を解放することができ、これは
図5Bにおいてより詳細に示される。クリップ前進アセンブリの遠位移動は、フィーダバー134を遠位に移動させ、フィーダバー134がそれによって最遠位クリップ126dを遠位方向に押し、それによって、リフタばね132の付勢力を克服し、リフタばね132を邪魔にならないところに偏向させ、それによって最遠位クリップ126dをジョー112、114の中へ前進させることができる。このようにして、最遠位クリップは、
図3のクリップ127のように、ジョーのクリップトラック内に位置付けられた状態になる。フロア130は、最遠位クリップをジョー112、114のクリップトラックへとガイドするのに役立つ。
【0025】
図5Aに示すように、元の予め形成されたクリップ127は、対向する第1及び第2の脚150、152と、それらの間に延在する中間部分154とを有することができる。第1及び第2の脚150、152はそれぞれ、それぞれの内側対向表面156a、156b及び外側対向表面158a、158bによって画定され得、そこで内側対向表面156a、156bは組織係合部160を画定する。第1及び第2の脚150、152はそれぞれ、それぞれの近位端162a、162bから遠位端164a、164bまで遠位に延在することができる。元の予め形成されたクリップ127の長さ(L
c)は、脚150、152のいずれかの長さによって画定され得る。上述のように、元の予め形成されたクリップ127が、遠位方向に移動してジョー112、114を閉じるフォーマ管136を介して組織166の周りで変形されると、組織166は、組織係合部160内に係合され得、
図5Bに示されるように成形クリップ168が得られる。成形クリップ168の幅(W
c)は、第1の脚150の外側表面158aから第2の脚152の外側表面158bまで、その間に係合された組織166を含み、横方向に延在する距離である。
【0026】
一般に、使用中、外科用クリップアプライヤの対向ジョーの一方、すなわち後側ジョーは、以下により詳細に記載されるように、組織の遠位側に隣接して配置される。結果として、後側ジョーは、外科手術中のカメラ角度が原因で、組織によって妨げられる場合がある。この後側ジョーの視認性の欠如は、手術中の解剖学的構造に対する不正確なクリップの位置決め、不適切なクリップサイズの選択、及び/又は偶発的な損傷をもたらすことがある。したがって、一対の対向するジョーの様々な実施形態が以下に記載され、そこで、ジョーは、対向ジョーを組織の周りに配置し、外科用クリップアプライヤの作動中に、後側ジョーの視認性を高めるように構成されている。一般に、一対の対向ジョーは、第2のジョーの長さよりも長い長さを有する第1のジョーを含む。対向ジョーは、一対の対向するジョーの間に位置付けられた組織を係合させるために、開放位置と閉鎖位置との間に位置する予め形成されたクリップを変形させるようにそれらの間で移動可能であり得る。第1のジョーの延長された長さは、第2のジョーの長さと比較して、従来の対向するジョー構成(すなわち、等しい長さの対向するジョー)で可能でない視認効果を提供することができ、それにより、外科手術中の外科用クリップアプライヤの効率及び有効性が改善される。更に、従来の対向ジョーとは異なり、第1のジョーの延長部はまた、ジョー内に配置された予め形成されたクリップを外すことなく組織の切開に使用することができ、これにより、組織へのより大きなアクセスがもたらされ、したがって、組織を中心としたクリップのより正確な位置決め及び配置をもたらす。
【0027】
一般に、ジョーアセンブリは、外科用クリップアプライヤの細長いシャフトの中へ延在する近位部分と、一対の対向するジョーを形成する2つの部分に分割する遠位部分とを含むことができる。
図6A及び
図6Bは、外科用クリップアプライヤ200のジョーアセンブリ210の例示的な実施形態の遠位部分210dを示す。外科用アプライヤ200は、外科用クリップアプライヤ100と類似してもよく(
図1~
図4B)、したがって本明細書で詳細に説明されない。図示のように、ジョーアセンブリ210の遠位部分210dは、外科用クリップアプライヤ200の遠位端に位置する。ジョーアセンブリ210は様々な構成を有することができるが、ジョーアセンブリ210は、
図6A及び
図6Bに示されるように、クリップトラック276、278を画定する内向き表面274a、274bを有するクリップ係合部270、272をそれぞれ有する第1及び第2のジョー212、214を含む。クリップトラック276、278は、
図5Aに示されるクリップ127のような元の予め形成されたクリップをジョーアセンブリ210内に受容及びガイドするようにサイズ決め及び構成され得る。
【0028】
図6A~
図6Bに示されるように、クリップ係合部270、272は、第1及び第2のジョー212、214の上側レール288、290及び下部レール292、294によって画定され得る。前述したように、クリップ係合部270、272の内向き表面274a、274bはそれぞれ、クリップトラック276、278を画定することができる。クリップトラック276、278は、最遠位の予め形成されたクリップをジョーアセンブリ210内に受容及びガイドするように適合され得る。例えば、クリップ前進アセンブリが作動されるとき、
図5Aのクリップ127のような最遠位の予め形成されたクリップは、第1及び第2のジョー212、214内のクリップトラック276、278内へと遠位に前進され、それによって、クリップ127のように予め形成されたクリップをそれらの間で位置決めする。クリップトラック276、278は様々な構成を有することができるが、この例示的な実施形態では、第1のジョー212上のクリップトラック276は、内向き表面274aの最遠位縁295に位置する接合部296で終端する。この例示的な実施形態において、クリップトラック276、278は、縁の閉じたクリップトラックである。他の実施形態では、クリップトラック276、278は、第1のジョー212の上部及び下部レール288、292が延長先端部280の近位端286bまで延在し、上部及び下部レール290、294が第2のジョー214の遠位端284bまで延在する、開放クリップトラックであり得る。
【0029】
図6A及び
図6Bに更に示されるように、ジョー開口部282は、第1のジョー212の遠位端284aと第2のジョー214の遠位端284bとの間に画定され得る。外科用クリップアプライヤ200の使用中、ジョー開口部282は、第1のジョー212と第2のジョー214との間の組織をガイドするのを助けることができる。ジョー開口部282の幅(W
j)は、少なくとも第1のジョーの構成に応じて変化し得るが、例示的な実施形態では、ジョー開口部282の幅(Wj)は、
図5Bに示される168のような成形クリップの幅(W
c)以上であり得る。
【0030】
更に、第1のジョー212は、そのクリップ係合部270を越えて遠位に延在する延長先端部280を有することができる。拡張先端部280は、手術中にジョーアセンブリ210を対象組織の周りに適切に配置するのを助けるために、様々な形状及びサイズを有することができるが、いくつかの実装形態において、延長先端部280は遠位にテーパ状になっていてもよい。例えば、
図6A~
図6Bに示されるように、延長先端部280が遠位にテーパ状になるように、延長先端部280は、遠位方向に減少する断面幅、高さ、又はその両方を有することができる。このテーパ構造は、組織を切開し、組織自体及び他の周囲組織への偶発的損傷を最小限に抑えるとき、外科用クリップアプライヤ200の精度を改善することができる。延長先端部280の断面形状も変化してもよく、正方形、矩形、円形、楕円形などであってもよい。
【0031】
延長先端部280はまた、第1のジョー212のクリップ係合部270に対して様々な角度で延在し得る。図示した実施形態では、延長先端部280は、第1のジョー212のクリップ係合部270に対して0度超かつ90度未満である
【0032】
【数1】
で延在する。特定の例示的な実施形態では、延長先端部280は、第1のジョー212のクリップ係合部270に対して約0°~90°の範囲の角度で延在し得る。他の実施形態では、角度は、約12°~65°、約20°~25°、又は約45°~65°であり得る。延長先端部280は、これらの列挙された角度のいずれかの間で、第1のジョー212のクリップ係合部270に対してある角度で延在することができる。一実施形態では、延長先端部280は、第1のジョーのクリップ係合部270に対して曲線の形態であってもよく、又は他の実施形態では、延長先端部280は、他の好適な形状の形態であり得る。延長先端部280が、第1のジョー212のクリップ係合部270と同一直線上であるため、横方向の角度では延在しないことも想到される。延長先端部280の一部分は、第1のジョー212のクリップ係合部270に対して横方向の角度で延在し、したがって、延長先端部は、湾曲形状などの非線形形状であり得ることも想到される。
【0033】
延長先端部280はまた、様々な長さを有することができるが、いくつかの例示的な実施形態では、延長先端部280の長さは、
図5Aのクリップ127のような元の予め形成されたクリップの長さよりも短くてもよい。延長先端部280の長さ(L
e)は、第1のジョー212の内向き表面274aに実質的に平行な軸に沿って、その近位端286bからその遠位端286aまで測定される。他の実施形態では、延長先端部280は、クリップ127のような予め形成されたクリップの長さに等しい長さを有することができる。一実施形態では、延長先端部280の長さの、クリップ127のような、予め形成されたクリップの長さに対する比は、約0.15:1~約1:1の範囲であり得る。別の実施形態では、延長先端部280の長さの、クリップ127のような、予め形成されたクリップの長さに対する比は、約0.5:1~約1:1.5の範囲であり得る。更に別の実施形態では、延長先端部280の長さの、クリップ127のような、予め形成されたクリップの長さに対する比は、約0.15:1~1:1.5の範囲であり得る。
【0034】
クリップアプライヤの延長先端部の構造設計、例えば長さ及び/又は延長角度は、好ましくは、第1のジョーと第2のジョーとの間に組織をガイドすることができ、成形クリップを装置から解放することができる好適なジョー開口部の必要性とバランスがとられることに留意されたい。外科用ステープラなどの他の外科用装置とは異なり、第1のジョーと第2のジョーとの間の距離は、クリップが組織の周りで形成され、次いで解放されるまで、予め形成されたクリップがジョー間で前進及び保持され得るように、予め形成されたクリップの幅に関連する。したがって、クリップアプライヤの好適なジョー開口部は、限定され得る。
【0035】
更に、ジョー212、214が組織に係合し、その周囲でクリップを変形させるのに十分な強度を有する一方で、ジョー212、214の変形を防止するためのいくらかの可撓性を有するように、ジョーアセンブリ210のクリップ係合部270、272が可撓性及び強度のバランスを有することが有益であり得ることにもまた留意されたい。この同じバランスは、延長先端部280と共有することができ、又は延長先端部280は、ジョー212、214の残りの部分に対して異なり得る。
【0036】
一実施形態では、延長先端部280は、第1のジョー212のクリップ係合部270の材料とは異なる材料で形成され得る。例えば、延長先端部280の材料は、第1のジョー212のクリップ係合部270の材料のデュロメータ又は弾性率値よりも低い(より柔軟な)デュロメータ又は弾性率値を有することができる。先に述べたように、延長先端部280は、外科用クリップアプライヤ200の作動前に組織を切開するために使用することができ、延長先端部280がより軟性の(より柔軟な)材料で形成されるとき、ユーザは、ジョーアセンブリ210から予め形成されたクリップを早期に外さずに非外傷性切開を行うことができる。更に、外科用ステープラなどの他の外科用装置では、柔軟な延長先端部は、エンドエフェクタを効果的に動作させるのに必要な構造的安定性のために望ましくない場合がある。一実施形態において、第1のジョー212のクリップ係合部270は、第1のデュロメータ又は弾性率値を有する第1の材料で形成することができ、延長先端部280は、第1のデュロメータ又は弾性率値未満の第2のデュロメータ又は弾性率値を有する第2の材料で形成することができる。例示的な実施形態では、第2のデュロメータ値は、約ショア20A~ショア60Aの範囲であり得る。第2の材料の好適な非限定的な例としては、プラスチック又はエラストマーが挙げられる。他の例示的な実施形態では、第1の弾性率値は、約50GPa~220GPaであり得、第2の弾性率値は、約0.001GPa~20GPaであり得る。第1のジョーの第1の材料及び第2の材料は、これらの列挙された範囲のいずれかの間に、それぞれ第1の弾性率及び第2の弾性率を有することができる。
【0037】
別の実施形態において、延長先端部280の材料は、第1のジョー212のクリップ係合部270の材料のデュロメータ又は弾性率値よりも大きい(より硬い)デュロメータ又は弾性率値を有することができる。例えば、一実施形態において、第1のジョー212のクリップ係合部270は、第1のデュロメータ又は弾性率値を有する第1の材料で形成することができ、延長先端部280は、第1のデュロメータ値よりも大きい第2のデュロメータ又は弾性率値を有する第2の材料で形成することができる。
【0038】
他の実施形態では、延長先端部280は、ベース材料と、ベース材料上にオーバーモールドされ、ベース材料の上に配置され、かつベース材料とは異なる材料で形成された第2の材料と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、オーバーモールド材料は、ベース材料よりも剛性が低い(より柔軟な)ことがある。例えば、第1のジョー212のクリップ係合部270と同じ材料で形成され得るベース材料は、第1のデュロメータ又は弾性率値を有することができ、オーバーモールド材料は、第1のデュロメータ又は弾性率値よりも小さい第2デュロメータ又は弾性率値を有することができる。例示的な実施形態では、オーバーモールド材料は、約ショア20A~ショア80Aの範囲のデュロメータ値を有することができる。オーバーモールド材料の好適な非限定的な例としては、プラスチック又はエラストマーが挙げられる。他の例示的な実施形態では、ベース材料は、約50GPa~220GPaの弾性率値を有することができ、オーバーモールド材料は、約0.001GPa~20GPaの弾性率値を有することができる。本開示の第1のジョーのベース材料及びオーバーモールド材料はまた、これらの列挙された範囲のいずれかの間に、それぞれ第1の弾性率及び第2の弾性率を有してもよい。
【0039】
別の実施形態では、オーバーモールド材料は、ベース材料よりも剛性が高い(より硬い)ことがある。例えば、第1のジョー212のクリップ係合部270と同じ材料で形成され得るベース材料は、第1のデュロメータ又は弾性率値を有することができ、オーバーモールド材料は、第1のデュロメータ又は弾性率値よりも大きい第2デュロメータ又は弾性率値を有することができる。
【0040】
外科手術中に組織が第1のジョー212と第2のジョー214との間に位置付けられるときに、ユーザが第1のジョー212を識別するのを更に支援するために、他の実施形態では、第1のジョー212の延長先端部280は、第1のジョー212のクリップ係合部270の色とは異なる色であり得る。例えば、いくつかの実装形態では、延長先端部280は、黄色又は緑色であり得る。あるいは、又は色に加えて、延長先端部280は、第1のジョー212の識別を補助するために、マーキングなどの他の特徴を含むことができる。結果として、第1のジョー212が組織の遠位側に隣接して位置付けられるとき、延長先端部280は、ユーザに対してより容易に視認可能であり得、それによって外科手術中の外科用クリップアプライヤ200の効率及び有効性が改善される。
【0041】
第1のジョー212が延長先端部280を含むと仮定すると、第1のジョー212は、第2のジョー214の長さ(L
2)よりも長い長さ(L
1)を有することになる。第1のジョー212及び第2のジョー214の両方の長さはそれぞれ、
図6A及び
図6Bに示されるように、対応する近位端283a、283bからそれらの対応する遠位端284a、284bまで延在する。第1のジョー212の長さは、第1のジョー212の長さが第2のジョー214の長さよりも長い限り、変化し得る。一実施形態では、第1のジョー212の長さの第2のジョー214の長さに対する比は、約1.1~1.75の範囲であり得る。別の実施形態では、第1のジョー212の長さの第2のジョー214の長さに対する比は、約1.1~1.25又は約1.5~約1.75の範囲であり得る。本開示のジョーアセンブリは、これらの列挙された比のいずれかの第1のジョーの長さの第2のジョーの長さに対する比を有してもよい。上述したように、第1のジョー212の延長された長さは、第1のジョー212が対象組織の後ろに配置される外科手術中に第1のジョー212の視認性を有利に増大させることができ、かつ/又は組織切開を容易にすることができる。
【0042】
延長先端部280はまた、組織を切開するのを支援することができる他の特徴を含むことができる。例えば、外科用クリップ200(
図6A及び
図6B)に類似した外科用クリップアプライヤ300の遠位部分の別の例示的な実施形態である
図7に例示されるように、延長先端部280の最遠位端286aは、ボール形状の特徴部298を含むことができる。このボール形状の特徴部298は、組織の鈍的切開を支援することができる。延長先端部280は、三角形状の特徴部、又は切開された組織及び/若しくは他の周囲組織への損傷を最小限に抑えるための追加の特徴部などの、代替的な形状の特徴を含み得ることも想到される。また、延長先端部280は、急性組織損傷を誘発しない一方で、大まかな切開を容易にするために、局所的な鈍い鋸歯又はバブコック鉗子若しくはメリーランド鉗子の把持型特徴部などの把持特徴部を含むことができることも想到される。
【0043】
前述のように、外科用クリップアプライヤは、脈管、管、シャントなどの手術部位の周囲にクリップを形成するために使用され得る。
図8は、使用中、組織299が第1のジョー212と第2のジョー214との間に位置付けられるときの、外科用クリップアプライヤ200(
図6A~
図6B)を示す。組織299の位置決めの前に、ユーザは、第1のジョー212の延長先端部280を操作して組織299を切開することができる。
図8に示すように、第1のジョー212は、組織299の遠位側299aに隣接して位置付けられてもよく、そこで拡張先端部280は少なくとも部分的に視認可能であり、第2のジョー214は、組織299の近位側299bに隣接して位置付けられてもよい。ジョー212、214が組織299の周りに位置付けられると、外科用クリップアプライヤ200のトリガ(又は他の作動装置)を作動させて、
図5Aに示されるクリップ127のような最遠位の予め形成されたクリップを、クリップ前進アセンブリからジョー212、214内へ前進させ、クリップ127のような予め形成されたクリップが、変形し、ジョー212と214との間の組織299を係合するように第1及び第2のジョー212、214を接近させることにより、
図5Bに示されるクリップ168のような成形クリップを得ることができる。
【0044】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、装置を後の使用のために、再調整施設で、又は外科手技の直前に外科チームによってのいずれかで再組み立てることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。こうした技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0045】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書において引用されている全ての刊行物及び参照文献は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 外科用クリップアプライヤであって、
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端上にあり、間に組織を係合するために開放位置と閉鎖位置との間で移動するように構成された第1及び第2のジョーであって、前記第1及び第2のジョーはそれぞれ、クリップを前記ジョー内に受容及びガイドするためのクリップトラックを画定する内向き表面を有するクリップ係合部を有し、前記第1のジョーが、前記第2のジョーの長さよりも長い長さを有するように、前記クリップ係合部を越えて遠位に延在する延長先端部を有する、第1及び第2のジョーと、
前記細長いシャフトを通って延在し、前記ジョーを前記開放位置から前記閉鎖位置へと移動させるように構成されたジョー形成アセンブリと、
前記細長いシャフトを通って延在し、前記細長いシャフト内に配置されたクリップのスタック内の最遠位クリップを、前記第1及び第2のジョー内の前記クリップトラック内に遠位に前進させるように構成されたクリップ前進アセンブリと、を備える、外科用クリップアプライヤ。
(2) 前記第1のジョー上の前記クリップトラックが、前記クリップ係合部と前記延長先端部との間の接合部で終端する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(3) 前記延長先端部の少なくとも一部分が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部に対して横方向の角度で延在する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(4) 前記延長先端部の少なくとも一部分が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部に対して0度超かつ90度未満の角度で延在する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(5) 前記延長先端部の少なくとも一部分が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部に対して約12度~65度の範囲の角度で延在する、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
【0047】
(6) 前記延長先端部が、遠位方向に減少する幅、高さ、又はその両方を有し、これにより前記延長先端部が遠位にテーパ状になる、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(7) 前記第1のジョーの前記クリップ係合部が、第1の弾性率値を有する第1の材料で形成され、前記延長先端部が、前記第1の弾性率値よりも小さい第2の弾性率値を有する第2の材料で形成されている、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(8) 前記第1のジョーの長さの前記第2のジョーの長さに対する比が、約1.1~1.75の範囲である、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(9) 前記第1のジョーの前記延長先端部が、前記第1のジョーの前記クリップ係合部の色とは異なる色である、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
(10) 前記延長先端部の最遠位端が、その上に形成されたボール形状の特徴部又は三角形状の特徴部を含む、実施態様1に記載の外科用クリップアプライヤ。
【0048】
(11) 外科用クリップアプライヤであって、
その遠位端にジョーアセンブリを有する細長いシャフトであって、前記ジョーアセンブリは、間に組織を係合するために開放位置と閉鎖位置との間で移動可能な対向する第1及び第2のジョーを含み、前記第1及び第2のジョーは、クリップを受容するためのクリップ係合部をそれらの間に画定し、前記第1のジョーは、前記クリップ係合部に対して横方向の角度で前記クリップ係合部の最遠位端を越えて遠位に延在する先端延長部を有する、細長いシャフトと、
前記細長いシャフト内に配置され、前記細長いシャフトを通して複数のクリップを遠位に前進させるように、かつ前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の前記クリップ係合部内に最遠位クリップを前進させるように構成されたクリップ前進アセンブリと、を備える、外科用クリップアプライヤ。
(12) 前記第1のジョーの前記先端延長部が、前記第1及び第2のジョーの前記クリップ係合部よりも可撓性である、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(13) 前記先端延長部の少なくとも一部分が、前記クリップ係合部に対して0度超かつ90度未満の角度で延在する、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(14) 前記第1及び第2のジョーがそれぞれ、その内向き表面に沿って長手方向に延在する上部レール及び下部レールを含み、前記上部レール及び前記下部レールは、前記クリップ係合部を画定する、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(15) 前記先端延長部が、遠位方向に減少する幅、高さ、又はその両方を有し、前記先端延長部が遠位にテーパ状になる、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
【0049】
(16) 前記第1のジョーの前記先端延長部が、前記第1及び第2のジョーの前記クリップ係合部の色とは異なる色である、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(17) 前記先端延長部の遠位端が、その上にボール形状の特徴部を含む、実施態様11に記載の外科用クリップアプライヤ。
(18) 外科用クリップを組織に適用するための方法であって、
クリップアプライヤのシャフトの遠位端で第1のジョーと第2のジョーとの間に組織を位置付けることであって、前記第1のジョーが前記組織の遠位側に隣接して位置付けられ、前記第2のジョーが前記組織の近位側に隣接して位置付けられる、ことと、
前記クリップアプライヤを作動させて前記第1のジョー及び前記第2のジョーを接近させることであって、前記第1及び第2のジョーが、それらの間に、変形して前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に前記組織を係合するクリップを有する、ことと、を含み、
前記第1のジョーは先端延長部を有し、前記先端延長部は、前記第1のジョーが前記組織の前記遠位側に隣接して位置付けられるとき、及び前記クリップアプライヤの作動中に前記先端延長部が少なくとも部分的に視認可能であるように、前記第2のジョーの最遠位端を越えて遠位に延在する、方法。
(19) 前記第1のジョーの前記先端延長部が、前記第1のジョーの残部とは異なり、かつ、前記第2のジョーとは異なる色を有して、前記先端延長部の可視化を容易にする、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記クリップアプライヤを作動させる前に、前記先端延長部を操作して前記組織を切開することを更に含む、実施態様18に記載の方法。