(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】同期キャリア周波数信号送信方法、受信方法、および装置
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20231023BHJP
H04B 7/024 20170101ALI20231023BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20231023BHJP
H04W 16/28 20090101ALN20231023BHJP
【FI】
H04L27/26 420
H04B7/024
H04W56/00 110
H04W16/28 130
(21)【出願番号】P 2020519774
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(86)【国際出願番号】 CN2019093003
(87)【国際公開番号】W WO2020001476
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-04-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】201810686589.3
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 国▲海▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼ 云屏
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 博
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲鵬▼
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-219746(JP,A)
【文献】特開2000-151553(JP,A)
【文献】特開2001-144643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02- 7/12
H04L27/00-27/38
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期キャリア周波数信号送信方法であって、前記方法は、
第1アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報を取得するステップであって、前記同期キャリア周波数情報は、少なくとも1つの第2アクセスポイントの同期キャリア周波数チャネルを設定するために使用される、ステップと、
前記第1アクセスポイントによって、前記同期キャリア周波数情報を前記少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するステップと、
前記第1アクセスポイントによって、2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するステップであって、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号は、前記少なくとも1つの第2アクセスポイントが前記少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの
作動無線周波数基準クロックを設定できるようにするために使用され、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値であり、全てのアクセスポイントによって最終的に出力され、前記
作動無線周波数基準クロックとして使用される全ての信号は同じ周波数を有する、ステップと、
前記第1アクセスポイントによって、前記同期キャリア周波数チャネルで前記2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信するステップと、
を備え、
前記第1アクセスポイントによって2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成する前記ステップは、
前記第1アクセスポイントによって、局部水晶発振器の周波数を取得するステップと、
前記局部水晶発振器の前記周波数を少なくとも2つの位相同期回路(PLL)に入力し、前記局部水晶発振器の前記周波数が各PLLを使用して処理された後に、1つの同期キャリア周波数信号の周波数を取得するステップと、
コンバイナを使用して全ての同期キャリア周波数信号の周波数を結合して信号の1つのチャネルにし、前記信号のチャネルを出力するステップと、
処理用の周波数混合器に、前記コンバイナから出力された前記信号のチャネルを入力するステップであって、前記周波数混合器は、前記周波数混合器に入力された前記信号のチャネルを出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、
前記2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、前記周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記同期キャリア周波数情報は、同期キャリア周波数無線周波数情報および同期キャリア周波数信号情報を備え、
前記同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を備え、
前記同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および前記同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
同期キャリア周波数信号送信装置であって、前記装置は、
同期キャリア周波数情報を取得するように構成された取得ユニットであって、前記同期キャリア周波数情報は、少なくとも1つの第2アクセスポイントの同期キャリア周波数チャネルを設定するために使用される、取得ユニットと、
前記同期キャリア周波数情報を前記少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するように構成された送信ユニットと、
2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するように構成された生成ユニットであって、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号は、前記少なくとも1つの第2アクセスポイントが前記少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの
作動無線周波数基準クロックを設定できるようにするために使用され、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値であり、全てのアクセスポイントによって最終的に出力され、前記
作動無線周波数基準クロックとして使用される全ての信号は同じ周波数を有する、生成ユニットと、
を備え、
前記送信ユニットは、前記同期キャリア周波数チャネル上で前記2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信するようにさらに構成され、
前記生成ユニットは、局部水晶発振器の周波数を取得し、前記局部水晶発振器の前記周波数を少なくとも2つの位相同期回路PLLに入力し、前記局部水晶発振器の前記周波数が各PLLを使用して処理された後に、1つの同期キャリア周波数信号の周波数を取得し、コンバイナを使用して全ての同期キャリア周波数信号の周波数を結合して信号のチャネルにし、前記信号のチャネルを出力し、処理用の周波数混合器に、前記コンバイナから出力された前記信号のチャネルを入力し、前記周波数混合器は、前記周波数混合器に入力された前記信号のチャネルを出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、前記周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行する、ように特に構成されている、装置。
【請求項4】
前記同期キャリア周波数情報は、同期キャリア周波数無線周波数情報および同期キャリア周波数信号情報を備え、
前記同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を備え、
前記同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および前記同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を備える、
請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
同期キャリア周波数信号受信装置であって、前記装置は、
第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報を受信するように構成された受信ユニットと、
前記同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するように構成された決定ユニットと、
を備え、
前記受信ユニットは、前記同期キャリア周波数チャネル上で前記第1アクセスポイントから2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信するようにさらに構成されており、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの
作動無線周波数基準クロックを判断するために使用され、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値であり、全てのアクセスポイントによって最終的に出力され、前記
作動無線周波数基準クロックとして使用される全ての信号は同じ周波数を有し、
送信ユニットをさらに備え、
前記決定ユニットは、第1クロック信号を取得するために前記2つ以上の同期キャリア周波数信号を処理し、前記第1クロック信号の周波数に基づいて、第1キャリア周波数を取得するために、
作動無線周波数位相同期回路RFPLLに使用されるパラメータを構成するように、さらに構成されており、
前記送信ユニットは、前記第1キャリア周波数でデータを送信するように構成され、
前記決定ユニットは、低雑音増幅器を使用して前記2つ以上の同期キャリア周波数信号を増幅し、周波数混合器を使用して増幅信号を処理し、前記周波数混合器は、前記周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、前記周波数混合器を使用して処理された前記信号に基づいて、同じ信号の2つのチャネルを出力し、乗算器を使用して、第1混合信号を取得するために前記同じ信号の2つのチャネルを処理し、前記第1クロック信号を取得するために前記第1混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行する、ように特に構成されている、装置。
【請求項6】
前記同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数無線周波数情報を備え、前記同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を備え、
前記決定ユニットは、前記キャリア周波数の前記中心周波数または前記チャネル番号に基づいて前記同期キャリア周波数チャネルを決定するように、特に構成されている、
請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数信号情報を備え、前記同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および前記同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を備え、
前記決定ユニットは、前記2つ以上の同期キャリア周波数信号が受信される前に、各同期キャリア周波数信号の前記周波数、同期キャリア周波数信号の前記数、および前記同期キャリア周波数信号間の前記周波数差、または前記サブキャリア番号に基づいて、同期キャリア周波数信号間の周波数差を判断し、前記周波数差に基づいて、前記少なくとも1つの第2アクセスポイントの
作動チャネルの無線パラメータを設定し、
作動無線周波数基準クロックとして、同期キャリア周波数信号を使用して処理された信号を設定する、ようにさらに構成されている、
請求項
5または
6に記載の装置。
【請求項8】
命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令がコンピュータ上で実行されると、前記コンピュータは、請求項1
または2に記載の方法を実行できる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年6月28日に国家知識産権局に提出され、「同期キャリア周波数信号送信方法、受信方法、および装置」と題された、中国特許出願第201810686589.3号明細書の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、通信技術の分野に関し、具体的には、同期キャリア周波数信号送信方法、受信方法、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
多入力多出力(multiple-input multiple-output,MIMO)技術は、無線通信システムの速度を増大させるために、無線トランシーバのアンテナの品質を向上させることによって、送信機および受信機の複数のアンテナで無線信号を送信できるようにする技術である。
【0004】
MIMOの性能をさらに向上させるために、MIMOネットワーク(または分散MIMOと呼ばれる)が提案されている。MIMOネットワークでは、複数の独立したアクセスポイント(access point,AP)が互いに連携し、全てのAP上のアンテナは、大きなAP上のアンテナと見なされる。複数の独立したAPの物理的位置は散在しているので、複数のAP上のアンテナ間の相関は比較的小さい。この場合、ネットワークのスループットは、APの数を増やすことによって向上できる。
【0005】
しかしながら、MIMOネットワークのAPが実際に展開されると、基準クロックを提供する水晶発振器間の差により、AP間にキャリア周波数差が存在する。具体的には、AP内で水晶発振器によって提供される基準クロックは完全に同じではない可能性があるので、位相が回転し、送信信号では、位相誤差が蓄積するため、受信側で得られた信号の相対位相も常に回転している。この場合、ビット誤り率(bit error rate,BER)が増加し、受信側は信号を復号できない。位相は時間と共に変化するので、AP間のキャリア周波数差が大きいほど、位相差の変化が速く、ビット誤り率が高いことを示す。
【0006】
したがって、当業者にとって、MIMOネットワークのスループットを向上させるために、キャリア周波数同期を実施する上でMIMOネットワーク内の分散APをサポートするための技術的解決策が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本出願は、分散ネットワーク内のアクセスポイント間で周波数同期を実施し、これによりネットワークのスループットを向上させるための、同期キャリア周波数信号送信方法、受信方法、および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本出願は、同期キャリア周波数信号送信方法を提供する。方法は、分散型多入力多出力MIMOに適用されてもよく、方法は、
第1アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報を取得するステップであって、同期キャリア周波数情報は、少なくとも1つの第2アクセスポイントの同期キャリア周波数チャネルを設定するために使用される、ステップと、第1アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するステップと、第1アクセスポイントによって、2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するステップであって、2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントが少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの作動無線周波数基準クロックを設定できるようにするために使用され、2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である、ステップと、同期キャリア周波数チャネルで2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信するステップと、を含む。
【0009】
本態様で提供される方法によれば、第1アクセスポイントは、第1アクセスポイントによって送信される同期キャリア周波数信号の同期キャリア周波数チャネルのネットワーク内の受信側のAPに通知するために、分散ネットワーク内のアクセスポイントに同期キャリア周波数情報を配信する。次に、第1アクセスポイントは、固定周波数差を有する2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信および処理した後に受信側のAPが同じ周波数を有する基準クロックを取得することを保証するために、同期キャリア周波数チャネルで固定周波数差を有する2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信する。加えて、基準クロックは、作動チャネルの基準クロックとして使用される。このように、受信側のAPの作動チャネルの基準クロックは同じであり、異なるAP間の、水晶発振器によって提供される異なる基準クロックによって生じる周波数差は、さらに排除される。この方法では、ネットワークのスループットが向上する。
【0010】
第1の態様を参照すると、第1の態様の一実装形態では、同期キャリア周波数情報は、同期キャリア周波数無線周波数情報および同期キャリア周波数信号情報を含み、同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を含み、同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を含む。
【0011】
同期キャリア周波数チャネルのRFPLLパラメータとして機能する同期キャリア周波数無線周波数情報は、同期キャリア周波数チャネル上で使用される。Frefパラメータとして機能する同期キャリア周波数信号情報は、作動チャネル上で使用される。
【0012】
第1の態様を参照すると、第1の態様の別の実装形態では、第1アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するステップは、第1アクセスポイントのアプリケーション層によって、UDPまたはTCPを使用して同期キャリア周波数情報表示を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するステップであって、同期キャリア周波数情報表示は同期キャリア周波数情報を含む、ステップ、または第1アクセスポイントのMAC層によって、第1フレームを少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するステップであって、第1フレームは同期キャリア周波数情報を搬送する、ステップを含む。
【0013】
第1フレームは、802.11フレームのうちの1つであってもよい。任意選択的に、第1フレームは、802.11フレームのactionフレームであってもよい。
【0014】
第1の態様を参照すると、第1の態様のさらに別の実装形態では、第1アクセスポイントによって2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するステップは、第1アクセスポイントによって、アナログ領域方式で2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するステップを含む。具体的には、プロセスは、
第1アクセスポイントによって、局部水晶発振器の周波数を取得するステップと、局部水晶発振器の周波数を少なくとも2つの位相同期回路(PLL)に入力するステップと、局部水晶発振器の周波数が各PLLを使用して処理された後に、1つの同期キャリア周波数信号の周波数を取得するステップと、コンバイナを使用して、全ての同期キャリア周波数信号の周波数を結合して信号の1つのチャネルにし、信号のチャネルを出力するステップと、処理用の周波数混合器に、コンバイナから出力された信号のチャネルを入力するステップと、2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行するステップと、を含む。コンバイナは、信号の複数のチャネルを結合して信号の1つのチャネルにするように構成されており、周波数混合器は、周波数混合器に入力された信号のチャネルを出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている。
【0015】
本実装形態で提供される方法によれば、第1アクセスポイントは、アナログ領域方式で2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成する。このようにすると、計算量は少なく、比較的小さい処理リソースのみが占有される。したがって、同期キャリア周波数信号は、便利に迅速に生成され得る。
【0016】
第1の態様を参照すると、第1の態様のさらに別の実装形態では、第1アクセスポイントによって2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するステップは、第1アクセスポイントによって、デジタル領域方式で2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するステップを含む。具体的には、処理は、
第1アクセスポイントによって、全てのサブキャリアから2つ以上のサブキャリアを選択するステップと、2つ以上のサブキャリアの振幅値をプリセット値に設定するステップと、選択された2つ以上のサブキャリア以外の残りのサブキャリアの振幅値をゼロに設定するステップと、時間領域信号を生成するために、全てのサブキャリアに対して逆離散フーリエ変換(IDFT)を実行するステップであって、時間領域信号は2つ以上の周波数成分を含む、ステップと、デジタル/アナログコンバータを使用して、時間領域信号に対してデジタルアナログ変換を実行し、変換された時間領域信号を出力するステップと、周波数混合器を使用して、デジタル/アナログコンバータから出力された変換信号を処理するステップであって、周波数混合器は、周波数混合器に入力された変換信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行するステップと、を含む。
【0017】
本実装形態では、第1アクセスポイントは、デジタル領域方式で同期キャリア周波数信号を生成する。本プロセスでは、異なるキャリア周波数信号間の周波数差を判断するために、異なるサブキャリアが選択され得る。選択方式は柔軟で多様化しており、実際の実行では、外部環境からの干渉はさらに回避され得る。
【0018】
第1の態様を参照すると、第1の態様のさらに別の実装形態では、第1アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するステップは、第1アクセスポイントによって、同期キャリア周波数チャネルまたは作動チャネルを使用して同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するステップを含む。
【0019】
第2の態様によれば、本出願は、同期キャリア周波数信号受信方法をさらに提供する。方法は、分散型多入力多出力MIMOネットワークに適用されてもよく、方法は、第2アクセスポイントによって、第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報を受信するステップと、第2アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するステップと、第2アクセスポイントによって、同期キャリア周波数チャネル上で第1アクセスポイントから2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信するステップであって、2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの作動無線周波数基準クロックを判断するために使用され、2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である、ステップと、を含む。
【0020】
本態様で提供される方法によれば、第2アクセスポイントは、第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報を受信することによって同期キャリア周波数チャネルを決定することができ、同期キャリア周波数チャネル上で、第1アクセスポイントによって送信された2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信する。これらの同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定されている。したがって、第2アクセスポイントのものであって同期キャリア周波数信号を処理することで取得された作動無線基準クロックは、固定値である。さらに、異なる第2アクセスポイントが第1アクセスポイントによって送信された固定周波数差を有する同期キャリア周波数信号を受信する限り、異なる第2アクセスポイントは、同期キャリア周波数信号を処理した後に固定値を有する作動無線基準クロックを取得することができる。このようにして、同じソースの目的が達成され、水晶発振器の差によって異なる基準クロックが提供されることが回避され、周波数差は排除される。
【0021】
第2の態様を参照すると、第2の態様の一実装形態では、同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数無線周波数情報を含み、同期キャリア周波数無線周波数情報はキャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を含み、第2アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するステップは、第2アクセスポイントによって、キャリア周波数の中心周波数またはチャネル番号に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するステップを含む。
【0022】
第2の態様を参照すると、第2の態様の別の実装形態では、同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数信号情報を含み、同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を含み、
第2アクセスポイントによって、2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信するステップの前に、方法は、第2アクセスポイントによって、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および同期キャリア周波数信号間の周波数差、またはサブキャリア番号に基づいて、同期キャリア周波数信号間の周波数差を判断するステップと、第2アクセスポイントによって周波数差に基づいて、第2アクセスポイントの作動チャネルの無線パラメータを設定し、作動無線周波数基準クロックとして、同期キャリア周波数信号を使用して処理された信号を設定するステップと、をさらに含む。
【0023】
第2の態様を参照すると、第2の態様のさらに別の実装形態では、第2アクセスポイントによって第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報を受信するステップは、第2アクセスポイントのアプリケーション層によって、第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報表示を受信するステップであって、同期キャリア周波数情報表示は同期キャリア周波数情報を含む、ステップ、または、第2アクセスポイントによって、第1アクセスポイントから第1フレームを受信するステップであって、第1フレームは同期キャリア周波数情報を搬送する、ステップを含む。
【0024】
第2の態様を参照すると、第2の態様のさらに別の実装形態では、方法は、第2アクセスポイントによって、第1クロック信号を取得するために2つ以上の同期キャリア周波数信号を処理するステップと、第2アクセスポイントによって第1クロック信号の周波数に基づいて、第1キャリア周波数を取得するために、作動無線周波数位相同期回路RFPLLに使用されるパラメータを構成するステップと、第2アクセスポイントによって、第1キャリア周波数でデータを送信するステップと、をさらに含む。
【0025】
第2アクセスポイントによって、第1キャリア周波数でデータを送信するステップは、第2アクセスポイントによって、第1キャリア周波数で分散MIMOネットワーク内の別のアクセスポイントとデータを共同送信するステップであって、分散MIMO内の別のアクセスポイントがデータを送信するときに使用されるクロック信号の周波数は、第1クロック信号の周波数と同じである、ステップを含む。
【0026】
第2の態様を参照すると、第2の態様のさらに別の実装形態では、第2アクセスポイントによって、第1クロック信号を取得するために2つ以上の同期キャリア周波数信号を処理するステップは、第2アクセスポイントによって、低雑音増幅器を使用して2つ以上の同期キャリア周波数信号を増幅し、次いで周波数混合器を使用して増幅信号を処理するステップであって、周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、電力分割器を使用して、周波数混合器を使用して処理された信号から同じ信号の2つのチャネルを出力し、第1混合信号を取得するために乗算器を使用して同じ信号の2つのチャネルを処理するステップと、第1クロック信号を取得するために第1混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行するステップと、を含む。
【0027】
第2の態様を参照すると、第2の態様のさらに別の実装形態では、第2アクセスポイントによって、第1クロック信号を取得するために2つ以上の同期キャリア周波数信号を処理するステップは、第2アクセスポイントによって、低雑音増幅器を使用して2つ以上の同期キャリア周波数信号を増幅し、次いで周波数混合器を使用して増幅信号を処理するステップであって、周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、周波数混合器を使用して処理された信号に対してアナログデジタル変換を実行し、第2混合信号を取得するためにデジタル領域内の変換信号を乗算するステップと、第1クロック信号を取得するために第2混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行する処理と、を含む。
【0028】
第3の態様によれば、本出願は、同期キャリア周波数信号送信装置をさらに提供し、装置は、
同期キャリア周波数情報を取得するように構成された取得ユニットであって、同期キャリア周波数情報は、分散型多入力多出力MIMO内の少なくとも1つの第2アクセスポイントの同期キャリア周波数チャネルを設定するために使用される、取得ユニットと、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するように構成された送信ユニットと、2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するように構成された生成ユニットであって、2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントが少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの作動無線周波数基準クロックを設定できるようにするために使用され、2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である、生成ユニットとを含み、送信ユニットは、同期キャリア周波数チャネル上で2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信するようにさらに構成されている。
【0029】
第3の態様を参照すると、第3の態様の一実装形態では、同期キャリア周波数情報は、同期キャリア周波数無線周波数情報および同期キャリア周波数信号情報を含み、同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を含み、同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を含む。
【0030】
第3の態様を参照すると、第3の態様の別の実装形態では、送信ユニットは、UDPまたはTCPを使用して同期キャリア周波数情報表示を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信し、同期キャリア周波数情報表示は同期キャリア周波数情報を含み、またはMAC層を使用して第1フレームを少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信し、第1フレームは同期キャリア周波数情報を搬送する、ように特に構成されている。
【0031】
第3の態様を参照すると、第3の態様のさらに別の実装形態では、生成ユニットは、局部水晶発振器の周波数を取得し、局部水晶発振器の周波数を少なくとも2つの位相同期回路(PLL)に入力し、局部水晶発振器の周波数が各PLLを使用して処理された後に、1つの同期キャリア周波数信号の周波数を取得し、コンバイナを使用して全ての同期キャリア周波数信号の周波数を結合して信号の1つのチャネルにし、信号のチャネルを出力し、処理用の周波数混合器に、コンバイナから出力された信号のチャネルを入力し、周波数混合器は、周波数混合器に入力された信号のチャネルを出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行する、ように特に構成されている。
【0032】
第3の態様を参照すると、第3の態様のさらに別の実装形態では、生成ユニットは、全てのサブキャリアから2つ以上のサブキャリアを選択し、2つ以上のサブキャリアの振幅値をプリセット値に設定し、選択された2つ以上のサブキャリア以外の残りのサブキャリアの振幅値をゼロに設定し、時間領域信号を生成するために全てのサブキャリアに対して逆離散フーリエ変換(IDFT)を実行し、時間領域信号は2つ以上の周波数成分を含み、デジタル/アナログコンバータを使用して、時間領域信号に対してデジタルアナログ変換を実行し、変換された時間領域信号を出力し、周波数混合器を使用して、デジタル/アナログコンバータから出力された変換信号を処理し、周波数混合器は、周波数混合器に入力された変換信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行する、ように特に構成されている。
【0033】
第3の態様を参照すると、第3の態様のさらに別の実装形態では、送信ユニットは、同期キャリア周波数チャネルまたは作動チャネルを使用して、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するように、特に構成されている。
【0034】
第4の態様によれば、本出願は、同期キャリア周波数信号受信装置をさらに提供し、装置は、
第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報を受信するように構成された受信ユニットと、同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するように構成された決定ユニットとを含み、受信ユニットは、同期キャリア周波数チャネル上で第1アクセスポイントから2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信するようにさらに構成されており、2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの作動無線周波数基準クロックを判断するために使用され、2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である。
【0035】
第4の態様を参照すると、第4の態様の一実装形態では、同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数無線周波数情報を含み、同期キャリア周波数無線周波数情報はキャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を含み、決定ユニットは、キャリア周波数の中心周波数またはチャネル番号に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するように、特に構成されている。
【0036】
第4の態様を参照すると、第4の態様の別の実装形態では、同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数信号情報を含み、同期キャリア周波数信号情報は各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を含む。
【0037】
決定ユニットは、2つ以上の同期キャリア周波数信号が受信される前に、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および同期キャリア周波数信号間の周波数差、またはサブキャリア番号に基づいて、同期キャリア周波数信号間の周波数差を判断し、周波数差に基づいて、第2アクセスポイントの作動チャネルの無線パラメータを設定し、作動無線周波数基準クロックとして、同期キャリア周波数信号を使用して処理された信号を設定するように、さらに構成されている。
【0038】
第4の態様を参照すると、第4の態様のさらに別の実装形態では、受信ユニットは、アプリケーション層を使用して、第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報表示を受信し、同期キャリア周波数情報表示は同期キャリア周波数情報を含み、または第1アクセスポイントから第1フレームを受信し、第1フレームは同期キャリア周波数情報を搬送する、ように特に構成されている。
【0039】
第4の態様を参照すると、第4の態様のさらに別の実装形態では、決定ユニットは、第1クロック信号を取得するために2つ以上の同期キャリア周波数信号を処理し、第1クロック信号の周波数に基づいて、第1キャリア周波数を取得するために、作動無線RFPLLに使用されるパラメータを構成するように、さらに構成されており、送信ユニットは、第1キャリア周波数に基づいてデータを送信するように構成されている。たとえば、送信ユニットおよび分散MIMO内の別のアクセスポイントは、第1キャリア周波数でデータを共同送信し、分散MIMO内の別のアクセスポイントがデータを送信するときに使用されるクロック信号の周波数は、第1クロック信号の周波数と同じである。
【0040】
第4の態様を参照すると、第4の態様のさらに別の実装形態では、決定ユニットは、低雑音増幅器を使用して2つ以上の同期キャリア周波数信号を増幅し、周波数混合器を使用して増幅信号を処理し、周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、周波数混合器を使用して処理された信号に基づいて、同じ信号の2つのチャネルを出力し、乗算器を使用して、第1混合信号を取得するために同じ信号の2つのチャネルを処理し、第1クロック信号を取得するために第1混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行する、ように特に構成されている。
【0041】
第4の態様を参照すると、第4の態様のさらに別の実装形態では、決定ユニットは、低雑音増幅器を使用して2つ以上の同期キャリア周波数信号を増幅し、次に周波数混合器を使用して増幅信号を処理し、周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、周波数混合器を使用して処理された信号に対してアナログデジタル変換を実行し、第2混合信号を取得するためにデジタル領域内の変換信号の周波数を加算または減算し、第1クロック信号を取得するために第2混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行する、ように特に構成されている。
【0042】
第5の態様によれば、本出願は、トランシーバ、プロセッサ、およびメモリを含むアクセスポイントをさらに提供する。メモリはプログラムおよび命令を格納し、プロセッサは、第1の態様および第1の態様の実装形態の同期キャリア周波数信号送信方法、または第2の態様および第2の態様の実装形態の同期キャリア周波数信号受信方法を実施するために、メモリ内に格納されたプログラムまたは命令を実行し得る。
【0043】
第6の態様によれば、本出願は、コンピュータ記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ記憶媒体はプログラムを格納し、プログラムが実行されると、本出願で提供された同期キャリア周波数信号送信方法および同期キャリア周波数信号受信方法を含む実施形態のステップの一部または全てが実施され得る。
【0044】
第7の態様によれば、本出願は、コンピュータプログラム製品をさらに提供する。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令、たとえば、同期キャリア周波数信号送信命令を含む。コンピュータプログラムがコンピュータ上にロードされて実行されると、本出願で提供された同期キャリア周波数信号送信方法および同期キャリア周波数信号受信方法を含む実施形態のステップの一部または全てが実施され得る。
【0045】
本出願で提供された方法によれば、送信側において、第1アクセスポイントは、各第2アクセスポイントによって送信される同期キャリア周波数信号が位置する同期キャリア周波数チャネルを示すために、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信し、次に示された同期キャリア周波数チャネル上で2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信する。受信側では、各第2アクセスポイントは、まず同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定し、次に同期キャリア周波数チャネルに基づいて2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信し、これらの同期キャリア周波数信号を処理する。これらの同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定されているので、同じ周波数の基準クロックは、同期キャリア周波数信号が処理された後に取得され、基準クロックは作動チャネルの基準クロックとして使用され、これにより、異なるアクセスポイント間にあって、水晶発振器によって提供された異なる基準クロックによって生じる周波数差を排除する。この方法では、異なるアクセスポイント間の周波数同期が実施され、ネットワークのスループットが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1a】本出願の一実施形態による適用シナリオ1の概略図である。
【
図1b】本出願の一実施形態による適用シナリオ2の概略図である。
【
図1c】本出願の一実施形態による適用シナリオ3の概略図である。
【
図1d】本出願の一実施形態による適用シナリオ4の概略図である。
【
図2a】本出願の一実施形態による、アクセスポイント間に周波数差がない分散MIMOの原理の概略図である。
【
図2b】本出願の一実施形態による、アクセスポイント間に周波数差がある分散MIMOの原理の概略図である。
【
図3A】本出願の一実施形態による、同期キャリア周波数信号送信方法のシグナリングフローチャートである。
【
図3B】本出願の一実施形態による、同期キャリア周波数信号送信方法のシグナリングフローチャートである。
【
図4a-1】本出願の一実施形態による、信号解析導出の概略図である。
【
図4a-2】本出願の一実施形態による、信号解析導出の概略図である。
【
図4b】本出願の一実施形態による、同じソースを有する基準クロックを取得するステップの概略図である。
【
図5】本出願の一実施形態による、別の同期キャリア周波数信号送信方法のシグナリングフローチャートである。
【
図6a】本出願の一実施形態による、アナログ領域を使用して同期キャリア周波数信号を生成するステップのフローチャートである。
【
図6b】本出願の一実施形態による、アナログ領域を使用して同期キャリア周波数信号を受信するステップのフローチャートである。
【
図7】本出願の一実施形態による、さらに別の同期キャリア周波数信号送信方法のシグナリングフローチャートである。
【
図8】本出願の一実施形態による、デジタル領域を使用して同期キャリア周波数信号を受信するフローチャートである。
【
図9】本出願の一実施形態による、さらに別の同期キャリア周波数信号送信方法のシグナリングフローチャートである。
【
図10a】本出願の一実施形態による、802.11フレームタイプの概略図である。
【
図10b】本出願の一実施形態による、802.11フレームタイプにおける異なるコードのフレームの概略図である。
【
図10c】本出願の一実施形態による、同期キャリア周波数信号情報を搬送するステップの概略図である。
【
図11】本出願の一実施形態による、デジタル領域を使用して同期キャリア周波数信号を生成するステップのフローチャートである。
【
図12】本出願の一実施形態による、さらなる同期キャリア周波数信号送信方法のシグナリングフローチャートである。
【
図13】本出願の一実施形態による、同期キャリア周波数チャネル上の信号を使用してAPに同じソースの無線基準クロックを提供するステップの概略図である。
【
図14】本出願の一実施形態による、同期キャリア周波数信号送信装置の概略構造図である。
【
図15】本出願の一実施形態による、同期キャリア周波数信号受信装置の概略構造図である。
【
図16】本出願の一実施形態によるアクセスポイントAPの概略構造図である。
【
図17】本出願の一実施形態による、別のアクセスポイントAPの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本出願の実施形態の技術的解決策が説明される前に、本出願の実施形態で言及される用語および適用シナリオが最初に説明される。
【0048】
本出願の実施形態で提供される技術的解決策は、分散多入力多出力(multiple-input multiple-output,MIMO)の無線通信シナリオに適用され得る。MIMO技術は、無線通信システムの速度を増大させるために、無線トランシーバのアンテナの品質を向上させることによって、送信機および受信機の複数のアンテナで無線信号を送信できるようにする技術である。
【0049】
本出願に記載される分散MIMO(またはMIMOネットワークと呼ばれる)と従来のMIMO技術との違いは、従来のMIMO技術では、送信機の複数のアンテナが1つのデバイスに全て集中し、異なるデバイスが独立して作動する一方で、分散MIMOの送信機は異なる地理的位置に配置され、これらの送信機は協調した方式で動作し、管理されることが可能であり、受信機の側では、異なる位置の送信機が1つのデバイスとして動作すると見なされ得る点にある。
【0050】
以下では、本出願が適用されるシステムアーキテクチャまたはシナリオについて説明する。
【0051】
本出願の実施形態は、無線通信を実行するために分散MIMOが使用されるシナリオに適用され得る。分散MIMO内の各アクセスポイント(access point,AP)は少なくとも1つのアンテナを含み、各移動局(station,STA)は少なくとも1つのアンテナを含む。分散MIMO内のAP間の距離は本出願において限定されず、距離は1メートル、10メートル、数百メートル、数キロメートルなどであってもよい。分散MIMO内のAPは、有線(イーサネットまたは光ファイバ)方式で接続されてもよい。これらのデバイスは、直接またはスイッチを使用して接続され得る。たとえば、
図1aに示される適用シナリオ1では、各APは、有線方式で、スイッチ、またはスイッチが配置されたバックホール(Backhaul)ネットワークに接続されており、基準APは分散MIMO内のAPの1つである。別の適用シナリオでは、APは代わりに無線方式で互いに接続されてもよい。たとえば、
図1bに示される適用シナリオ2では、各APは無線方式でバックホール
ネットワークに接続されており、基準APは分散MIMO内のAPの1つである。2つのケースにおいて、基準APは、分散MIMO内の別のAPとの間でデータを送受信するように構成されている。
【0052】
加えて、適用シナリオ1および適用シナリオ2の基準APは、代わりに分散MIMOシステムの外部の独立したAPであってもよい。たとえば、
図1cに示される適用シナリオ3では、各APは、有線方式で、スイッチ、またはスイッチが配置されたバックホールネットワークに接続されており、基準AP(ref AP)は独立したAPである。たとえば、
図1dに示される適用シナリオ4では、各APは無線方式でBackhaulネットワークに接続されており、基準APは独立したAPである。基準APは、同期キャリア周波数チャネルで同期キャリア周波数信号を送信し、分散MIMO内の各APとのデータ送信を実行するように構成され得る。分散MIMO内のAPは基準APから同期キャリア周波数信号を受信および処理し、APの作動無線周波数基準クロックとして、同期キャリア周波数信号が処理された後に出力された信号を使用するように構成され得る。
【0053】
無線信号(wireless signal)は、Wi-Fi(802.11)またはLTE(3G、4G、または5G)の信号であってもよい。MIMO内の各APが無線形式でバックホールネットワークに接続されている適用シナリオでは、無線接続に使用される無線信号のタイプは、分散MIMO内のAPとSTAとの間の通信に使用される無線信号のタイプと同じであっても異なってもよい。加えて、本出願は、上記4つの適用シナリオのそれぞれの発展または関連する適用シナリオに、さらに適用され得る。これは、本出願の実施形態に限定されるものではない。
【0054】
ネットワークのスループットを向上させるには、無線スループット率を向上させるためにWi-Fi 802.11n(フレーム構造タイプ)から始まるMIMO技術が使用されるが、802.11フレームはバージョンと共に更新され、更新後には複数のタイプが存在し、更新された802.11フレームのタイプは、更新されたデバイスによって送信されたデータフレームが更新されていないデバイスによって受信および構文解析され得るように、更新前のタイプに対応できる。異なるタイプの802.11フレームにおいて、802.11nおよび802.11acは最大4つのストリームの送信をサポートでき、802.11axは最大8つのストリームの送信をサポートできる。同じソースのクロックが1つのAPで使用されるので、アンテナ間には小さなキャリア周波数差があるか、またはアンテナ間にキャリア周波数差はない。しかしながら、実際の環境の展開では、APに対するサイズ制限および同じAPの複数のアンテナ間の強い相関(相互干渉)などの要因のため、AP上のアンテナの数はあまり多くなり得ない。たとえば、現在のプロセスレベルでは、アンテナの数が8つを超えないようにする必要がある。
【0055】
MIMOの性能をさらに向上させるために、分散MIMOとも呼ばれるMIMOネットワークが提案されている。MIMOネットワークでは、複数の独立したアクセスポイントAPが互いに連携し、全てのAP上のアンテナは、1つのAP上のアンテナと見なされる。複数のAPの物理的位置は散在しているので、複数のアンテナ間の相関は小さい。したがって、ネットワークのスループットは、APの数を増やすことによって容易かつ簡単に向上できる。
【0056】
図2aに示されるように、理想的には、AP間にキャリア周波数差がないとき、原理は、単一のデバイスにMIMOを実装する原理と同じである。送信側では、送信される必要がある元データは「p」で表され、送信データxを取得するためにプリコーディングを通じて送信チャネルの逆数をこれに乗算し、送信データxは受信側に送信される
。送信データxが送信チャネル上で処理された後(対角行列が形成される)、受信側は、元データpを取得するために、送信データxを個別に復号する。
【0057】
しかしながら、分散MIMOの実際の展開は、
図2bに示されている。AP1とAP2との間には周波数差がある。たとえば、AP1およびAP2によってそれぞれ使用される独立した水晶発振器はまったく同じにはなり得ず、したがって周波数差が生成される。たとえば、
図2bでは、位相が回転しているので、送信信号では、位相誤差が常に蓄積される。以下の式に示されるように、四角の内容は、AP間で生成されたキャリア周波数差を示す。
【0058】
【0059】
チャネルで処理された後、受信側の信号は、以下のように表される。
【0060】
【0061】
この場合、受信側で取得した信号の相対位相は常に回転しており、ビット誤り率が増加する。その結果、受信側は信号を復号できない。したがって、MIMOネットワークのスループットを向上させるために、キャリア周波数同期を実施する上でMIMOネットワーク内の分散APをサポートする技術が必要とされる。本出願で提供される技術的解決策は、分散MIMO内のAP間のキャリア周波数差を排除することを意図しており、複数の展開APは外部環境によって制限されず、追加コストは増加しない。
【0062】
以下に、本出願の技術的解決策を詳細に説明する。
【0063】
図3Aおよび
図3Bを参照して、同期キャリア周波数信号送信方法が提供される。方法は、前述の分散MIMO内の様々な適用シナリオに適用され得る。前述の様々な適用シナリオは、少なくとも第1アクセスポイントおよび第2アクセスポイントを含む。第1アクセスポイントは、基準APであり、分散MIMO内の全ての第2アクセスポイントに同期キャリア周波数情報および同期キャリア周波数信号を送信するように構成されている。具体的には、方法は以下のステップを含む。
【0064】
301:第1アクセスポイントは同期キャリア周波数情報を取得し、分散型多入力多出力MIMO内の少なくとも1つの第2アクセスポイントに同期キャリア周波数チャネルを設定するために、同期キャリア周波数情報が使用される。具体的には、基準APおよび分散MIMO内のAPは、同期周波数キャリア情報を交換する。
【0065】
第1アクセスポイントが同期キャリア周波数情報を取得することは、以下を含む。第1アクセスポイントは別のデバイスから同期キャリア周波数情報を受信するか、または第1アクセスポイントは、同期キャリア周波数情報を生成し、同期キャリア周波数情報を取得する。同期キャリア周波数情報を取得する具体的な方法は、本実施形態では限定されない。
【0066】
同期キャリア周波数情報は、同期キャリア周波数無線周波数情報および同期キャリア周波数信号情報を含む。
【0067】
さらに、同期キャリア周波数無線周波数情報は、分散MIMO内のAPに同期キャリア周波数信号を送信するための同期キャリア周波数チャネルを決定するために使用される。任意選択的に、同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数またはチャネル番号、たとえば802.11におけるチャネル番号を含み、チャネル番号は、周波数および特定の帯域幅の無線周波数リソース情報に対応する。
【0068】
同期キャリア周波数信号情報は、分散MIMO内のAPに送信される同期基準信号の関連情報を提供するために使用され、同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数および同期キャリア周波数信号間の周波数差、各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号などを含む。たとえば、同期キャリア周波数信号情報は、同期キャリア周波数信号の周波数(同期キャリア周波数信号情報は代わりに802.11のサブキャリア番号に対応することもある)、同期キャリア周波数信号間の周波数差、信号の数、サブキャリア番号などを含む。
【0069】
302:第1アクセスポイントは、少なくとも1つの第2アクセスポイントに同期キャリア周波数情報を送信する。
【0070】
同期キャリア周波数情報は、ブロードキャスト方式で送信されてもよく、またはユニキャスト方式で各第2アクセスポイントに送信されてもよい。
【0071】
301および302は、分散MIMO内の第1アクセスポイントとAPとの間で同期キャリア周波数情報を交換するプロセスである。AP間の同期キャリア周波数情報交換は、802.11フレームを使用して実行されてもよく、またはアプリケーション層を使用して実行されてもよく、またはAPに何らかの固定値を設定することで実行されてもよい。現在、802.11フレームにおいてこのような情報を交換するための対応するタイプはなく、交換は、既存のActionタイプフレームのコード(code)を拡張することによって実施され得る。具体的には、前述の様々な方式の交換プロセスは、本出願の後続の特定の実施形態で詳細に説明され、詳細はここでは説明されない。
【0072】
303:第2アクセスポイントは、同期キャリア周波数情報を受信し、同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定する。
【0073】
具体的には、同期キャリア周波数情報が同期キャリア周波数無線周波数情報を含み、同期キャリア周波数無線周波数情報がキャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を含む場合、第2アクセスポイントは、キャリア周波数の中心周波数またはチャネル番号に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定し得る。
【0074】
たとえば、キャリア周波数のものであって同期キャリア周波数無線周波数情報に示されている中心周波数が2.412GHzであるか、またはキャリア周波数が802.11のチャネル番号であり、各チャネル番号が1つの周波数および特定の帯域幅の無線周波数リソース情報に対応する場合、第2アクセスポイントは、同期キャリア周波数無線周波数情報に基づいて、同期キャリア周波数チャネルの周波数が2.412GHzであると判断するか、または第2アクセスポイントは、同期キャリア周波数無線周波数情報に基づいて、802.11のチャネル番号によって示されるチャネルを決定する。
【0075】
加えて、方法は、第2アクセスポイントによって、同期キャリア周波数情報に基づいて関連パラメータを設定するステップを、さらに含む。
【0076】
具体的には、たとえば、同期キャリア周波数情報を受信した後、分散MIMO内のAP1またはAP2は、同期キャリア周波数無線受信パラメータ(受信周波数および受信周波数帯域幅など)を設定し、作動チャネルの無線パラメータを設定し、データを送受信するための基準クロック周波数を設定し、周波数は、無線周波数位相同期回路(radio frequency phase-locked loop,RFPLL)のパラメータを設定するために使用され得る。加えて、方法は、作動無線基準クロックとしての分散MIMO内のAPによって、同期キャリア周波数信号を使用して処理された信号を設定するステップを、さらに含む。
【0077】
304:第1アクセスポイントは2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成し、2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントが少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの作動無線周波数基準クロックを設定できるようにするために使用され、2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である。
【0078】
同期キャリア周波数信号は、異なる周波数を有する少なくとも2つの信号を含み、各同期キャリア周波数信号の周波数は、時間と共に変化してもよく、または変化しないままでもよいが、同期キャリア周波数信号間の周波数差は、たとえば10MHzなど、固定される必要がある。
【0079】
305:第1アクセスポイントは、同期キャリア周波数チャネルで2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信する。
【0080】
2つ以上の同期キャリア周波数信号は、802.11に対応するサブキャリア上に位置してもよく、または複数の独立したトーン信号であってもよく、トーン信号は、1つの周波数成分のみを含む信号である。
【0081】
任意選択的に、第1アクセスポイントが同期キャリア周波数信号を生成および送信するプロセスは、アナログ領域を使用して実施されてもよく、またはデジタル領域を使用して実施されてもよい。領域場またはデジタル領域を使用する実装形態の特定のプロセスは、後続の特定の実施形態で詳細に説明される。
【0082】
306:第2アクセスポイントは、同じ同期キャリア周波数チャネルで同期キャリア周波数信号を受信し、第2アクセスポイントの作動チャネルの無線周波数基準クロックを取得するために、受信した同期キャリア周波数信号を処理する。
【0083】
第2アクセスポイントは、第1アクセスポイントから2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信し、第1クロック信号を取得するために、受信した同期キャリア周波数信号を処理し、第1クロック信号の周波数は、固定値との周波数差である。第2アクセスポイントは、第1キャリア周波数を取得するために、第1クロック信号の周波数に基づいてRFPLLを構成する。
【0084】
キャリア周波数は、以下のように定義される。キャリアまたはキャリア周波数(キャリア周波数)は、物理的な概念であり、特定の周波数を有する電波を指すことができる。キャリア周波数の単位はHzである。無線通信技術の分野では、情報を転送するためにキャリアが使用され得る。たとえば、デジタル信号は高周波キャリアに変調され、次いでデジタル信号は無線で送信される。
【0085】
第2アクセスポイントは、アナログ領域方式またはデジタル領域方式で同期キャリア周波数信号を受信および処理し得る。
【0086】
以下では、2つ以上の同期キャリア周波数信号を含む混合信号から基準クロックおよび作動チャネルのRFPLLを取得する方法が説明される。
【0087】
図4a-1および
図4a-2に示されるように、受信側で受信した信号の周波数は、送信側で送信した信号の周波数とは異なる。主な原因は、水晶発振器OSC1およびOSC2が、異なる基準クロックを有する2つの独立した水晶発振器だからである。したがって、出力周波数もまた異なり、非同期的に変化する。このように、出力周波数間には違いがある。しかしながら、分散MIMO内のAPで取得された2つの同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定されており、常に同じである。
【0088】
たとえば、角速度wは以下のように表される。
w2’-w1’=w2-w1
ここで、w1は送信された第1同期キャリア周波数信号の角速度を表し、w2は送信された第2同期キャリア周波数信号の角速度を表し、w1’は受信した第1同期キャリア周波数信号の角速度を表し、w2’は受信した第2同期キャリア周波数信号の角速度を表す。
【0089】
受信した2つの同期キャリア周波数信号は乗算される。具体的な処理プロセスは以下の通りである。
Srx*Srx=(cos(w1’t+Q1’)+cos(w2’t+Q2’))*(cos(w1’t+Q1’)+cos(w2’t+Q2’))
ここで、Srxは受信した同期キャリア周波数信号を表し、Qは初期位相を表し、tは時間を表す。
【0090】
各位相部分が簡素化された後に取得された周波数成分は、以下の通りである。
Srx*Srx=(cos(w1’t)+cos(w2’t))*(cos(w1’t)+cos(w2’t))
=cos(w1’t)*cos(w1’t)+2*cos(w2’t)*(cos(w1’t)+cos(w2’t)*cos(w2’t))
=A1*cos(w2’t-w1’t)+A2*cos(2w1’t)+A3*cos(2w2’t)+A4*cos(w1’t+w2’t)+C
ここで、Aは振幅を表し、Cは定数を表す。
【0091】
w2’-w1’=w2-w1が存在する場合、前述の式は以下のように導出され、ここでw2-w1は作動チャネルの予想される無線周波数基準クロックである。
w2’-w1’=A1*cos(w2t-w1t)+A2*cos(2w1’t)+A3*cos(2w2’t)+A4*cos(w1’t+w2’t)+C
【0092】
直流成分および高周波成分がバンドパスフィルタによって除去された後、w2-w1周波数成分を有する信号のみが残り、他の成分は全て除去される。w2-w1周波数成分の信号がバンドパスフィルタを使用して処理された後、出力信号はA1*cos(w2t-w1t)となる。
【0093】
分散MIMO内のAPの作動チャネルの、この方法で決定された基準クロックは、局部水晶発振器の影響を受けない。受信した同期キャリア周波数信号が処理された後、分散MIMO内の全てのAPの作動チャネルの無線周波数基準クロックが同じソースの基準クロックと類似するように、得られた周波数成分は全てf2-f1であり、固定値である。これによりAP間の周波数差を回避する。
【0094】
図4bに示されるように、REPLL1およびREPLL2はそれぞれ、AP1およびAP2によって処理された後に出力されたそれぞれのキャリア周波数である。
w
ref1=w
2’-w
1’=w
2-w
1
w
ref2=w
2’’-w
1’’=w
2-w
1
【0095】
したがって、AP1およびAP2は最終的に、同じ周波数を有する基準クロックを取得する。分散MIMO内により多くのAPがあるとき、本実施形態で提供される方法によれば、全てのAPによって最終的に出力され、作動無線周波数基準クロックとして使用される全ての信号は、同じ周波数を有する。
【0096】
307:第2アクセスポイントは、第1キャリア周波数でデータを送信する。具体的には、方法は、分散MIMO内の全てのAPによって、第1キャリア周波数でデータを共同送信するステップを含む。
【0097】
分散MIMO内の第2アクセスポイントおよび別のアクセスポイントは、第1キャリア周波数でデータを共同送信し、第1キャリア周波数は、REPLLによって処理された後に分散MIMO内のAPによって出力されたキャリア周波数である。分散MIMO内の別のアクセスポイントがデータを送信するときに使用されるクロック信号は、第1クロック信号と同じである。具体的には、分散MIMO内の全てのAPは、データを送信するために同じ周波数を使用し、これにより、データの同期送信を実施する。
【0098】
さらに、307は、時間同期後の同じ瞬間にデータを送信するステップを含み、分散MIMO内の複数のAPに対してプリコーディング操作が実行される。同じ瞬間の共同データ送信の具体的なプロセスは既存の共同送信ステップと同じであり、本出願では詳細は説明されない。
【0099】
本実施形態で提供された方法によれば、送信側において、第1アクセスポイントは、各第2アクセスポイントによって送信される同期キャリア周波数信号が位置するチャネルを示すために、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信し、次に示された同期キャリア周波数チャネル上で2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信する。受信側では、各第2アクセスポイントは、まず同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定し、次に同期キャリア周波数チャネルに基づいて2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信し、これらの同期キャリア周波数信号を処理する。これらの同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定されているので、同じ周波数の基準クロックは、同期キャリア周波数信号が処理された後に取得され、基準クロックは作動チャネルの基準クロックとして使用され、これにより、水晶発振器によって提供された異なる基準クロックによって生じる、異なるアクセスポイント間の周波数差を排除する。この方法では、異なるアクセスポイント間で周波数同期が実施され、ネットワークのスループットが向上する。
【0100】
加えて、本実施形態で提供される方法と、基準クロックとしてGPSクロックを使用してAP間の周波数差を低減する方法との違いは、本実施形態で提供される方法が外部環境によって制限されない点にある。たとえば、本実施形態で提供される方法は、屋内または屋外の建物の閉塞の影響を受けず、広い適用範囲を有し、異なる環境に適応することができる。加えて、この方法と、周波数差を排除するためにクロックボードを使用してクロックラインが展開される方法との違いは、この方法が費用を節約する点にある。
【0101】
本出願の本実施形態の第1アクセスポイント、すなわち基準APは、分散MIMO内のAPの1つ、または分散MIMOの外部の(MIMOネットワークに加わっていない)独立したAPであってもよいことに、留意すべきである。基準APが分散MIMO内のAPの1つである場合、基準APの作動チャネルの基準クロックは、基準APの同期キャリア周波数信号の基準クロックであるか、または同期キャリア周波数信号が処理された後に復元されたクロック信号であってもよい。第2アクセスポイントは一般に、アクセスポイントのタイプ、つまり、分散MIMO内のAPの一般的な用語を指す。たとえば、本実施形態では、第2アクセスポイントは、分散MIMO内のAP1およびMIMO内のAP2を含む。
【0102】
本実施形態では、分散MIMO内のAPの第1キャリア周波数間の周波数差は非常に小さく(一般に数Hz未満)、または周波数差がゼロのとき、AP間の周波数差は事実上排除されている。
【0103】
実施形態1
図5に示されるように、本実施形態では、同期キャリア周波数情報は、アプリケーション層を使用して交換される。基準APは、アナログ領域を使用して、2つの周波数を含む同期キャリア周波数信号を生成および送信する。分散MIMO内のAPは、アナログ領域を使用して、基準APによって送信された同期キャリア周波数信号を受信し、同期キャリア周波数信号を処理して、作動無線基準クロックとして機能する処理済み同期キャリア周波数信号を出力する。
【0104】
図5に示されるように、具体的な方法は以下の通りである。
【0105】
501:基準AP(第1アクセスポイント)のアプリケーション層と分散MIMO内のAPのアプリケーション層との間で同期キャリア周波数情報が交換される。同期キャリア周波数情報は、基準APの2.412GHzの無線周波数中心周波数、1MHzの第1信号周波数、および11MHzの第2信号周波数を搬送する。
【0106】
任意選択的に、基準APのアプリケーション層は、UDP/TCPプロトコルを使用して、分散MIMO内のAPに同期キャリア周波数情報表示を送信でき、同期キャリア周波数情報表示は同期キャリア周波数情報を含む。
【0107】
TCP(Transmission Control Protocol)プロトコルおよびUDP(User Datagram Protocol)プロトコルは、トランスポート層プロトコルである。TCPは、IP環境で信頼性の高いデータ送信を提供するために使用される。
【0108】
具体的には、基準APのアプリケーション層は、分散MIMO内のAP(第2アクセスポイント)のアプリケーション層に同期キャリア周波数情報表示を送信する。分散MIMO内のAPのアプリケーション層は、同期キャリア周波数情報表示を受信した後に、表示確認情報をフィードバックする。同期キャリア周波数情報表示は、基準APのアプリケーション層から送信されてもよく、または独立した第三者によって送信されてもよい。
【0109】
同期キャリア周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数(または802.11のチャネル番号)、同期キャリア周波数信号情報(特定の周波数値、周波数差、または802.11のサブキャリア番号)などを含む。
【0110】
502:第2アクセスポイントAP1は、同期キャリア周波数情報表示を受信し、同期キャリア周波数無線受信パラメータを設定する。同期キャリア周波数無線受信パラメータを設定するステップは、具体的には、受信中心周波数を2.412GHzに設定するステップを含み、受信中心周波数は、基準APによって送信された同期キャリア周波数情報の周波数と同じである。同期キャリア周波数無線RFPLLは、分散MIMO内のAPの水晶発振器の周波数に基づいて設定され得る。たとえば、本実施形態で設定された受信帯域幅は、20MHzである。
【0111】
加えて、第2アクセスポイントAP1は、同期キャリア周波数信号が処理された後に出力された信号が作動無線基準クロックとして使用されるように、さらに設定してもよい。
【0112】
同様に、分散MIMO内の第2アクセスポイントAP2もまた、ステップ502において受信および設定動作を実行し、具体的なプロセスは本実施形態では説明されない。
【0113】
503:基準APは、アナログ領域方式で同期キャリア周波数信号を生成および送信する。
【0114】
具体的なプロセスは、基準APによって、局部水晶発振器の周波数を取得するステップと、少なくとも2つの位相同期回路(PLL)を使用して局部水晶発振器の周波数が処理された後に出力周波数を取得するステップであって、出力周波数は、各同期キャリア周波数信号の周波数、または2つの同期キャリア周波数信号間の周波数差を含む、ステップと、基準APによって、コンバイナおよび周波数混合器を使用して順次出力周波数を処理するステップであって、周波数混合器は、周波数混合器に入力された信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、基準APによって、同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行するステップと、を含む。
【0115】
たとえば、基準APは、局部水晶発振器の出力周波数に基づいて、2つのPLLのパラメータを設定する。2つのPLLはそれぞれ位相同期回路1(PLL1)および位相同期回路2(PLL2)であり、2つのPLLの出力周波数がそれぞれ1MHzおよび11MHzとなるようになっている。同期キャリア周波数無線送信周波数は、2.412GHzに設定される。
【0116】
基準APは、アナログ領域を使用して、2つの同期キャリア信号を送信する。
【0117】
図6aに示されるように、同じ水晶発振器(oscillator)の出力基準信号が、位相同期回路1および位相同期回路2に与えられる。周波数f1(w
1=2πf
1)は位相同期回路1を使用して基準信号が処理された後に出力され、周波数f2(w
2=2πf
2)は、位相同期回路2を使用して基準信号が処理された後に出力される。出力周波数f1およびf2は、同期キャリア周波数信号情報を使用して搬送されて分散MIMO内のAPに送信されてもよく、または出力周波数f1およびf2の間の周波数差が、同期キャリア周波数信号情報を使用して分散MIMO内のAPに配信される。
【0118】
出力周波数f1およびf2は、コンバイナ(combiner)を使用して処理された後に、周波数混合器に出力される。周波数混合器は、入力信号をローカル周波数信号(高周波信号f0)と混合する。次に、電力増幅器を使用して混合信号に対して電力増幅が実行され、最終的に増幅した信号は、アンテナを使用して送信される。電力増幅器を使用して処理された後に送信された2つの同期キャリア周波数信号の周波数は、f0+f1およびf0+f2である。
【0119】
504:AP1は、アナログ領域方式で2つの同期キャリア周波数信号を受信し、第1クロック信号を取得するために2つの同期キャリア周波数信号を処理する。
【0120】
第1クロック信号を取得するために2つの同期キャリア周波数信号を処理するステップは、具体的には、AP1によって、低雑音増幅器を使用して2つの同期キャリア周波数信号を増幅し、次いで周波数混合器を使用して増幅信号を処理するステップであって、周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、電力分割器を使用して、周波数混合器を使用して処理された信号から同じ信号の少なくとも2つのチャネルを出力するステップと、第1混合信号を取得するために乗算器を使用して、同じ信号の少なくとも2つのチャネルを処理するステップと、第1クロック信号を取得するために第1混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行するステップと、を含む。
【0121】
たとえば、AP1は、低雑音増幅器(LNA)および周波数混合モジュールを使用して、受信した同期キャリア信号を処理することによって、10MHzの固定周波数差を有する2つの周波数信号を取得し、電力分割器を使用して同じ信号の2つのチャネルを出力し、4つの周波数を含む混合信号を出力するために、アナログ信号乗算器に出力信号の2つのチャネルを入力し、次いでバンドパスフィルタを使用して混合信号を処理する。10MHzの信号、すなわち第1クロック信号(f2-f1)のみが残る。次に、第1クロック信号の周波数が、AP1の作動無線周波数基準クロックとして使用される。
【0122】
図6bに示されるように、伝播した後、基準APによって送信された信号は、受信アンテナを使用してLNAに結合され、f+f1およびf+f2の2つのトーン信号は局部周波数混合器を使用して取得され、ここでf=f0’-f0である。次に、バンドパスフィルタを使用して別の干渉信号が除去され、分配を通じて同じ周波数を有する信号の2つのチャネルを取得するために、干渉信号が除去された信号が電力分配器(電力分割器)に送信され、次いで信号の2つのチャネルが出力されて乗算器に送信される。乗算器は、4つの周波数および直流信号を含むトーン信号を出力する。4つの周波数は、それぞれf2-f1、2f+2f1、2f+f1+f2、および2f+2f2である。これらの出力信号はバンドパスフィルタによってフィルタリングされ、残りの周波数f2-f1の信号(予想される信号)が出力され、つまり第1クロック信号が出力される。本実施形態では、第1クロック信号の周波数は10MHzである。
【0123】
AP1は、作動無線周波数基準クロックとして第1クロック信号を使用し、第1キャリア周波数を取得するために無線周波数クロック基準信号を使用してRFPLLを構成する。
【0124】
同様に、分散MIMO内のAP2もまた、同期キャリア周波数信号を受信および処理し、10MHzの第1クロック信号を取得し、AP2の作動無線周波数基準クロックとして第1クロック信号を設定し、第1キャリア周波数を取得する。
【0125】
505:AP1およびAP2は、第1キャリア周波数でデータを共同送信するが、分散MIMO内のAP1およびAP2はいずれも同じ周波数の無線周波数基準クロックを使用する。
【0126】
本実施形態で提供される方法によれば、基準APは、アナログ領域方式で2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成する。このようにすると、計算量は少なく、比較的小さい処理リソースのみが占有される。したがって、同期キャリア周波数信号は、便利に迅速に生成され得る。
【0127】
実施形態2
図7に示されるように、本実施形態では、同期キャリア周波数信号情報は、アプリケーション層を使用して交換される。基準APは、アナログ領域を使用して、2つの周波数を含む同期キャリア周波数信号を送信する。分散MIMO内のAPは、デジタル領域を使用して、基準APによって送信された信号を受信し、処理された信号を作動無線周波数基準クロックとして使用するために信号を処理する。
【0128】
実施形態2と実施形態1との違いは、本実施形態の分散MIMO内のAPが、デジタル領域を使用して基準APによって送信された同期キャリア周波数信号を受信し、第1クロック信号を生成するための同期キャリア周波数信号を処理し、第1クロック信号を出力する点にある。
【0129】
具体的には、
図7を参照すると、方法は以下のステップを含む。
【0130】
701:基準APのアプリケーション層は、分散MIMO内のAPのアプリケーション層と同期キャリア周波数情報を交換する。基準APの無線周波数中心周波数は2.412GHz、第1の信号の周波数は1MHz、および第2の信号の周波数は11MHzである。
【0131】
702:同期キャリア周波数情報を受信した後、分散MIMO内のAPは、同期キャリア周波数無線受信パラメータを設定し、受信中心周波数を2.412GHzに設定し(APの水晶発振器の周波数に基づいて同期キャリア周波数無線RFPLLを設定し)、受信帯域幅を20MHzに設定する。同期キャリア周波数信号を使用して処理された信号は、作動無線周波数基準クロックとして使用される。
【0132】
加えて、分散MIMO内のAPは、同期キャリア周波数情報のチャネル番号または中心周波数に基づいて、送信予定の同期キャリア周波数チャネルを決定する。
【0133】
703:基準APは、アナログ領域方式で2つの同期キャリア周波数信号を生成および送信する。
【0134】
基準APは、2つのPLLの出力周波数が1MHzおよび11MHzとなるように、局部水晶発振器の出力周波数に基づいて2つのPLLのパラメータを設定し、同期キャリア周波数無線送信周波数を2.412GHzに設定する。具体的な生成および送信プロセスについては、実施形態1の説明を参照されたく、本実施形態では詳細は説明されない。
【0135】
704:AP1は、デジタル領域方式で2つの同期キャリア周波数信号を受信し、2つの同期キャリア周波数信号を処理し、処理された信号をAP1の作動無線周波数基準クロックとして使用する。
【0136】
具体的には、AP1は、低雑音増幅器を使用して2つの同期キャリア周波数信号を増幅し、次いで周波数混合器を使用して増幅信号を処理し、ここで周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、周波数混合器を使用して処理された信号に対してアナログデジタル変換を実行し、第2混合信号を取得するためにデジタル領域で変換信号の周波数を加算または減算し、第1クロック信号を取得するために、第2混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行する。
【0137】
具体的には、AP1は、LNAおよび周波数混合モジュールを使用して受信した同期キャリア周波数信号を処理することによって10MHzの周波数差を有する2つの周波数信号を取得し、次いで2つの周波数信号に対してアナログデジタル変換を実行し、4つの周波数を有する混合信号を出力するためにデジタル領域で2つの周波数信号を加算または減算し、混合信号がフィルタリングされた後、10MHzの信号が残り、信号は第1クロック信号として設定され、最終的に、第1クロック信号はAP1の作動無線周波数基準クロックとして設定される。
【0138】
図8に示されるように、伝播した後、基準APによって送信された信号は、受信アンテナを使用してLNAに結合され、f+f1およびf+f2の2つのトーン信号は局部周波数混合器を使用して取得され、ここでf=f0’-f0である。次に、f1’およびf2’を含む2つの同期キャリア周波数信号の混合信号を取得するために、トーン信号に対してデジタルフィルタリングが実行され、混合信号がデジタル領域方式で加算/減算される。混合信号がバンドパスフィルタによってフィルタリングされた後、第1クロック信号f2-f1が出力され、
分散MIMO内のAPの作動無線基準クロックとして機能する。
【0139】
分散AP1および分散AP2は各々、第1クロック信号に基づいてRFPLLを設定し、第1キャリア周波数を出力する。
【0140】
705:分散AP1および分散AP2は、第1キャリア周波数でデータを共同送信する。
【0141】
本実施形態では、受信側のAPは、デジタル領域方式で同期キャリア周波数信号を生成する。本プロセスでは、異なるキャリア周波数信号間の周波数差を判断するために、異なるサブキャリアが選択され得る。選択方式は柔軟で多様化しており、実際の実行では、外部環境からの干渉はさらに回避され得る。たとえば、異なる周波数のグループを有する同期キャリア周波数信号が選択およびシミュレーションされた後、環境によって生じたキャリア周波数差を排除する効果が理想的ではないとわかったとき、異なる周波数差を判断するために、異なるサブキャリアが再選択されてもよい。このようにして、APの再シミュレートおよび同期されたキャリア周波数信号間のキャリア周波数差は、ネットワーク要件を満たす。
【0142】
実施形態3
本実施形態で提供される方法によれば、同期キャリア周波数情報は、802.11フレームを使用して交換される。基準APは、デジタル領域を使用して、2つの周波数を含む同期キャリア周波数信号を送信する。分散MIMO内のAPは、アナログ領域を使用して、基準APによって送信された信号を受信し、処理された信号を作動無線周波数基準クロックとして使用するために信号を処理する。
【0143】
図9に示されるように、方法は、具体的に以下のステップを含む。
【0144】
901:基準APのMAC層は、分散MIMO内のAPのMAC層と同期キャリア周波数情報を交換する。任意選択的に、同期キャリア周波数情報は、802.11フレームを使用してMAC層で送受信される。
【0145】
同期キャリア周波数情報は、以下の情報を含む。基準APの無線周波数中心周波数は5.745GHzであり、第1サブキャリアの番号は「-21」であり、第2サブキャリアの番号は「7」である。各サブキャリア番号は1つの周波数に対応するので、2つの周波数間の周波数差は、第1サブキャリアおよび第2サブキャリアの番号に基づく計算を通じて取得され得る。本実施形態では、第1サブキャリアと第2サブキャリアとの間の対応する周波数差は8.75MHz(8750=(7-(-21))×312.5 kHz)である。
【0146】
任意選択的に、本実施形態では、802.11フレームは、802.11 actionフレームを使用して実装される。802.11 actionフレームには2つのタイプがある。一方のタイプはフィードバック確認を必要とし、他方のタイプはフィードバック確認を必要としない。802.11フレームのSubtypeのフィールドの値に基づいて、特定の差別化が決定され得る。
【0147】
図10aは、802.11フレームのいくつかのタイプおよびいくつかのSubtypeを示す。本出願の本実施形態の802.11 actionフレームは、フィードバック確認を必要とするタイプであってもよく、またはフィードバック確認を必要としないタイプであってもよい。フィードバック確認を必要としない802.11 actionフレームが使用される場合、MAC層またはアプリケーション層を使用して確認パケットが送信される。
【0148】
Bxは、桁数を表す。たとえば、B1は一桁目を表す。
【0149】
さらに、選択された802.11 actionフレームは、スペースを確保したフレーム、または情報を搬送するフレームである。具体的には、802.11 actionフレームは、actionフレームのコード(code)を拡張することによって実装され得る。
図10bに示されるように、802.11 actionフレームは、複数の異なるcode、たとえばcode 14から255に分割される。情報内容はいくつかのcodeのactionフレームには設定されず、これらのactionフレームは、確保したフレーム、たとえばcode 16およびcode 18から125として使用される。さらに、このcodeのactionフレームは、同期キャリア周波数信号情報を搬送するために使用されてもよい。
【0150】
図10cに示されるように、同期キャリア周波数信号情報は、code 21の802.11 actionフレームを使用して搬送される。「Action Details」では、キャリア中心周波数は5GHz、第1信号周波数は1kHz、および第2信号周波数は10001 kHz(10 MHz+1 kHz)である。同期キャリア周波数信号情報が802.11 actionフレーム向けに構成されているとき、類似の情報が表現される限り、異なるフォーマットが代わりに使用されてもよいことに留意すべきである。フォーマットは、本出願の実施形態に限定されるものではない。
【0151】
加えて、基準APと分散MIMO内のAPとの間で同期キャリア周波数情報を交換するプロセスにおいて、同期キャリア周波数無線周波数情報および同期キャリア周波数信号情報がそれぞれ送信されてもよく、2つのタイプの情報が同じ方法で送信されてもよく、または異なる方法で送信されてもよいことに留意すべきである。たとえば、基準APは、802.11のサブキャリア番号方式で、第1同期キャリア周波数信号および第2同期キャリア周波数信号の周波数、ならびに周波数差を配信してもよい。第1同期キャリア周波数信号および第2同期キャリア周波数信号の周波数は802.11nフレームおよび802.11acフレームで配信されてもよく、隣り合うサブキャリア間の周波数差は312.5kHzである。同期キャリア周波数無線周波数情報のキャリアの中心周波数は、802.11フレームのチャネル番号によって表すことができる。異なるチャネル番号は、各国の特定の周波数帯域幅を有する特定の中心周波数および無線リソースに対応するので、キャリア周波数を受信するための中心周波数は、チャネル番号を配信することによって決定され得る。
【0152】
本実施形態では、802.11フレーム方式で同期キャリア周波数情報を送信することで、アプリケーション層における基準APと分散APとの間の相互作用を回避し得る。分散APは、同期キャリア周波数チャネルを迅速に決定し、関連パラメータを設定することができる。このようにして、送信時間が短縮され、送信効率が向上する。
【0153】
902:同期キャリア周波数情報を受信した後、AP1は同期キャリア周波数無線受信パラメータを設定する。AP1は、受信中心周波数を5.745GHzに設定し、受信帯域幅を20MHzに設定し、作動無線周波数基準クロックとして、同期キャリア周波数信号を使用して処理された信号を設定し、チャネル番号に対応するチャネルに基づいて、基準APによって送信された同期キャリア周波数信号を受信する準備をする。
【0154】
903:基準APは、デジタル領域方式で2つの同期キャリア周波数信号を生成および送信する。
【0155】
903は、具体的に、基準APによって、2つ以上のサブキャリアを決定するステップと、2つ以上のサブキャリアに対して逆離散フーリエ変換(Inverse Discrete Fourier Transform,IDFT)を実行することによって時間領域信号を生成するステップであって、時間領域信号は2つ以上の周波数成分を含む、ステップと、デジタル/アナログコンバータ(DAC)を使用して時間領域信号に対してデジタルアナログ変換を実行し、次いで周波数混合器を使用して変換信号を処理するステップであって、周波数混合器は、周波数混合器に入力された変換信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行するステップと、を含む。
【0156】
逆離散フーリエ変換の特定の変更プロセスについては、離散フーリエ変換の変更プロセスを参照されたく、本実施形態では詳細は説明されない。
【0157】
本実施形態では、同期キャリア周波数信号の送信周波数は、5.745GHzに設定される。
【0158】
図11に示されるように、基準APは、64個のサブキャリア(256個のサブキャリア)から2つのサブキャリアを選択する。具体的には、どのサブキャリアが選択されるかは同期キャリア周波数信号情報に基づいて決定され、次いで選択された2つのサブキャリアは、固定信号、たとえばa+biに割り当てられ、ここでa+biはプリセット値である。別のサブキャリアの振幅値は0に設定される。次に、サブキャリアはIDFT操作を使用して時間領域信号(信号は2つの周波数成分:f1およびf2を含む)に変換され、次いで変換された時間領域信号は、時間領域信号に対してDA変換が実行された後に、周波数混合器に送信される。周波数混合器を使用して処理された後、信号の周波数は成分f0+f1およびf0+f2を含み、次いで電力増幅器を使用して信号に対して電力増幅が実行され、増幅信号はアンテナを使用して送信される。
【0159】
904:AP1は、アナログ領域方式で2つの同期キャリア周波数信号を受信し、2つの同期キャリア周波数信号を処理し、処理された信号をAP1の作動無線周波数基準クロックとして出力する。
【0160】
具体的には、AP1は、2つの同期キャリア周波数信号を受信し、次いでLNAおよび周波数混合モジュールを使用して受信した信号を処理することによって8.75MHzの周波数差を有する2つの周波数信号を取得し、電力分割器を使用して同じ信号の2つのチャネルを出力する。同じ信号の出力された2つのチャネルは、4つの周波数を含む混合信号を出力するために、アナログ信号乗算器に入力される。バンドパスフィルタを使用して混合信号が処理された後、8.75MHzの信号のみが残り、8.75MHzの信号は作動無線基準クロックとして出力される。具体的には、第1キャリア周波数を出力するためにREPLLが設定される。
【0161】
905:AP1およびAP2は、設定された作動無線周波数基準クロックに基づいて、データを共同送信する。
【0162】
本実施形態で提供される方法によれば、基準APは、同期キャリア周波数信号間の周波数差が柔軟に設定および選択され得るように、デジタル領域方式で同期キャリア周波数信号を生成し、これにより、外部環境による影響を回避する。加えて、作動無線周波数基準クロックは、アナログ領域を使用して迅速に決定および設定でき、これにより、AP間の同期効率をさらに向上させる。
【0163】
実施形態4
本実施形態で提供される方法によれば、同期キャリア周波数情報は、アプリケーション層を使用して交換される。基準APは、アナログ領域を使用して、2つの周波数を含む同期キャリア周波数信号を送信する。分散MIMO内のAPは、アナログ領域を使用して、基準APによって送信された信号を受信し、処理された信号を作動無線周波数基準クロックとして使用する。
【0164】
図12は、本実施形態による同期キャリア周波数信号送信方法のシグナリングフローチャートである。具体的には、方法は以下のステップを含む。
【0165】
1201から1203までのプロセスは、実施形態3の901から903までのプロセスと同じである。詳細なプロセスについては、実施形態3を参照されたく、本実施形態では、詳細は説明されない。
【0166】
1204:AP1は、デジタル領域方式で同期キャリア周波数信号を受信し、これらの同期キャリア周波数信号を処理し、処理された信号をAP1の作動無線周波数基準クロックとして出力する。
【0167】
1204は具体的に、低雑音増幅器を使用して受信した2つの同期キャリア周波数信号を増幅し、次いで周波数混合器を使用して増幅信号を処理するステップであって、周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている、ステップと、周波数混合器を使用して処理された信号に対してアナログデジタル変換を実行し、第2混合信号を取得するためにデジタル領域で変換信号の周波数を乗算するステップと、第1クロック信号を取得するために、第2混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行するステップと、を含む。
【0168】
たとえば、AP1およびAP2は、LNAおよび周波数混合モジュールを使用して受信した同期キャリア周波数信号を処理することによって、8.75MHzの周波数差を有する2つの周波数信号を取得し、次いで2つの信号に対してデジタルサンプリングを実行し、2つの信号を乗じた後に4つの周波数を含む混合信号を出力し、バンドパスフィルタを使用して混合信号を処理する。8.75MHzの信号、すなわち第1クロック信号のみが残り、次いで第1クロック信号は、AP1およびAP2の作動無線基準クロックとして使用される。
【0169】
1205:AP1およびAP2は、設定された無線作動基準クロックに基づいて、データを共同送信する。
【0170】
本実施形態では、基準APおよび分散ネットワーク内のAPは、デジタル領域方式で同期キャリア周波数信号をそれぞれ生成および受信する。異なるキャリア周波数信号間の周波数差を判断するために、異なるサブキャリアが選択される。選択方式は柔軟で多様化しており、実際の実行では、外部環境からの干渉はさらに回避され得る。
【0171】
この方法では、送信側の基準APによって設定された2つ以上の同期キャリア周波数信号は固定周波数差を有するので、2つ以上の同期キャリア周波数信号が受信側のAPによって処理された後、固定周波数差を有する信号が最終的に残り、信号は作動チャネルの無線周波数基準クロックとして使用される。このようにして、同じ基準クロックを有する異なる分散APの同時送信の目的が達成され、これにより、分散MIMO内のアクセスポイント間のデータ通信のキャリア周波数同期を実施し、異なるアクセスポイント間の、水晶発振器によって提供される異なる基準クロックによって生じる周波数差を排除する。この方法では、異なるアクセスポイント間の周波数同期が実施され、ネットワークのスループットが向上する。
【0172】
加えて、この方法では
、MIMO
ネットワーク内のクロックボードを構成する必要なく、作動チャネルの同じ無線周波数基準クロック(f=f2-f1)が分散MIMO内のAP向けに実現され得る。これは、各APに基準クロックを提供するために仮想水晶発振器またはクロックボードを構成するのと同等である。
図13に示されるように、この方法では、各APに同じソースのクロックを提供するためにクロックボードを構成する間接費が節約され、AP間の周波数差が事実上排除され、キャリア周波数間の同期の精度が向上して、分散MIMO内の各APがより容易に展開されるようになる。加えて、AP間の周波数差を解決するために同じソースの基準クロックとしてGPSクロックが使用される従来の方法とこの方法との違いは、GPSクロックの展開が環境によって制限されるという欠点をこの方法で回避することができる点にあり、GPS信号が建物によって遮断される心配はない。構成は、より柔軟でより信頼性が高い。
【0173】
図14は、本出願の一実施形態による、同期キャリア周波数信号送信装置の概略構造図である。同期キャリア周波数信号送信装置は、前述の任意の実施形態における第1アクセスポイントまたは基準APであってもよく、前述の実施形態の方法のステップを実施するように構成されている。
【0174】
図14に示されるように、送信装置140は、取得ユニット1401、生成ユニット1402、および送信ユニット1403を含み得る。加えて、送信装置140は、より多いかまたは少ない構成要素、たとえば記憶ユニットをさらに含んでもよい。これは本出願において限定されない。
【0175】
さらに、取得ユニット1401は同期キャリア周波数情報を取得するように構成されており、少なくとも1つの第2アクセスポイントの同期キャリア周波数チャネルを設定するために同期キャリア周波数情報が使用される。
【0176】
送信ユニット1403は、少なくとも1つの第2アクセスポイントに同期キャリア周波数情報を送信するように構成されている。
【0177】
生成ユニット1402は2つ以上の同期キャリア周波数信号を生成するように構成されており、2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントが少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの作動無線周波数基準クロックを設定できるようにするために使用され、2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である。
【0178】
送信ユニット1403は、同期キャリア周波数チャネルで2つ以上の同期キャリア周波数信号を送信するように、さらに構成されている。
【0179】
同期キャリア周波数情報は、同期キャリア周波数無線周波数情報および同期キャリア周波数信号情報を含む。同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数、またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を含む。同期キャリア周波数信号情報は、同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数および同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各同期キャリア周波数信号の周波数に対応するサブキャリア番号を含む。
【0180】
任意選択的に、本出願の本実施形態の特定の実装形態では、送信ユニット1403は、UDPまたはTCPを使用して同期キャリア周波数情報表示を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信し、同期キャリア周波数情報表示は同期キャリア周波数情報を含み、またはMAC層を使用して第1フレームを少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信し、第1フレームは同期キャリア周波数情報を搬送する、ように特に構成されている。
【0181】
任意選択的に、本出願の本実施形態の別の特定の実装形態では、生成ユニット1402は、局部水晶発振器の周波数を取得し、少なくとも2つの位相同期回路(PLL)を使用して局部水晶発振器の周波数を処理することによって出力周波数を取得し、ここで出力周波数は各同期キャリア周波数信号の周波数または2つの同期キャリア周波数信号間の周波数差を含み、コンバイナを使用して出力周波数を結合して信号の1つのチャネルにし、信号のチャネルを出力し、処理用の周波数混合器に、コンバイナから出力された信号のチャネルを入力し、2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して信号のチャネルが処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行する、ように特に構成されている。
【0182】
周波数混合器は、周波数混合器に入力された信号のチャネルを出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている。
【0183】
任意選択的に、本出願の本実施形態のさらに別の特定の実装形態では、生成ユニット1402は、2つ以上のサブキャリアを決定し、2つ以上のサブキャリアの振幅値をプリセット値に設定し、選択された2つ以上のサブキャリア以外の残りのサブキャリアの振幅値をゼロに設定し、2つ以上のサブキャリアに対して逆離散フーリエ変換(IDFT)を実行することによって時間領域信号を生成し、ここで時間領域信号は2つ以上の周波数成分を含み、デジタル/アナログコンバータを使用して時間領域信号に対してデジタルアナログ変換を実行し、変換された時間領域信号を出力し、周波数混合器を使用して、デジタル/アナログコンバータから出力された変換信号を処理し、2つ以上の同期キャリア周波数信号を取得するために、周波数混合器を使用して変換信号が処理された後に出力された信号に対して電力増幅を実行する、ように特に構成されている。
【0184】
周波数混合器は、周波数混合器に入力された変換信号のチャネルを出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されている。
【0185】
任意選択的に、本出願の本実施形態のさらに別の特定の実装形態では、送信ユニット1402は、同期キャリア周波数チャネルまたは作動チャネルを使用して、同期キャリア周波数情報を少なくとも1つの第2アクセスポイントに送信するように、特に構成されている。
【0186】
送信装置140に含まれる特定の技術的特徴は、前述の方法実施形態で詳細に説明されてきた。前述の説明を参照されたく、詳細はここでは説明されない。
【0187】
図15を参照すると、本出願の実施形態は、同期キャリア周波数信号受信装置をさらに提供する。同期キャリア周波数信号受信装置は、前述の任意の実施形態における第2アクセスポイントまたは分散MIMO内のAPであってもよく、前述の実施形態の方法のステップを実施するように構成されている。
【0188】
図15に示されるように、
受信装置150は、受信ユニット1501、決定ユニット1502、および送信ユニット1503を含み得る。加えて、
受信装置150は、より多いかまたは少ない構成要素、たとえば記憶ユニットをさらに含んでもよい。これは本出願において限定されない。
【0189】
さらに、受信ユニット1501は、第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報を受信するように構成されている。決定ユニット1502は、同期キャリア周波数情報に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するように構成されている。受信ユニット1501は、同期キャリア周波数チャネルで第1アクセスポイントから2つ以上の同期キャリア周波数信号を受信するようにさらに構成されており、2つ以上の同期キャリア周波数信号は、少なくとも1つの第2アクセスポイントの少なくとも1つの作動無線周波数基準クロックを判断するために使用され、2つ以上の同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である。
【0190】
同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数無線周波数情報を含み、同期キャリア周波数無線周波数情報は、キャリア周波数の中心周波数またはキャリア周波数に対応するチャネル番号を含む。
【0191】
決定ユニット1502は、キャリア周波数の中心周波数またはチャネル番号に基づいて同期キャリア周波数チャネルを決定するように、特に構成されている。
【0192】
任意選択的に、本出願の本実施形態の特定の実装形態では、同期キャリア周波数情報は同期キャリア周波数信号情報を含み、同期キャリア周波数信号情報は、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数および同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各キャリア周波数のサブキャリア番号を含む。
【0193】
決定ユニット1502は、2つ以上の同期キャリア周波数信号が受信される前に、各同期キャリア周波数信号の周波数、同期キャリア周波数信号の数、および同期キャリア周波数信号間の周波数差、または各キャリア周波数のサブキャリア番号に基づいて、同期キャリア周波数信号間の周波数差を判断し、周波数差に基づいて、第2アクセスポイントの作動チャネルの無線パラメータを設定し、作動無線周波数基準クロックとして、同期キャリア周波数信号を使用して処理された信号を設定するように、さらに構成されている。
【0194】
任意選択的に、本出願の本実施形態の別の実装形態では、受信ユニット1501は、アプリケーション層を使用して、第1アクセスポイントから同期キャリア周波数情報表示を受信し、同期キャリア周波数情報表示は同期キャリア周波数情報を含み、または第1アクセスポイントから第1フレームを受信し、第1フレームは同期キャリア周波数情報を搬送する、ように特に構成されている。
【0195】
任意選択的に、本出願の本実施形態のさらに別の特定の実装形態では、決定ユニット1502は、第1クロック信号を取得するために2つ以上の同期キャリア周波数信号を処理し、ここで第1クロック信号は固定値の周波数差であり、第1キャリア周波数を取得するために、第1クロック信号に基づいてRFPLLを構成する、ようにさらに構成されている。送信ユニット1503は、第1キャリア周波数でデータを送信するように構成されている。
【0196】
さらに、送信ユニット1503は、第1キャリア周波数で分散MIMO内の別のアクセスポイントとデータを共同送信するように特に構成されており、分散MIMO内の別のアクセスポイントがデータを送信するときに使用されるクロック信号は、第1クロック信号と同じである。
【0197】
任意選択的に、本出願の本実施形態のさらに別の特定の実装形態では、決定ユニット1502は、低雑音増幅器を使用して2つ以上の同期キャリア周波数信号を連続的に増幅し、周波数混合器を使用して増幅信号を処理し、ここで周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、同じ信号の少なくとも2つのチャネルを出力するために、周波数混合器を使用して処理された増幅信号を処理し、第1混合信号を取得するために乗算器を使用して同じ信号の少なくとも2つのチャネルを処理し、第1クロック信号を取得するために第1混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行する、ように特に構成されている。
【0198】
任意選択的に、本出願の本実施形態のさらに別の特定の実装形態では、決定ユニット1502は、低雑音増幅器を使用して2つ以上の同期キャリア周波数信号を連続的に増幅し、周波数混合器を使用して増幅信号を処理し、ここで周波数混合器は、周波数混合器に入力された増幅信号を出力のためにローカル周波数信号と混合するように構成されており、周波数混合器を使用して処理された増幅信号に対してアナログデジタル変換を実行し、第2混合信号を取得するためにデジタル領域内で変換信号を加算または減算し、第1クロック信号を取得するために第2混合信号に対してバンドパスフィルタリング処理を実行する、ように特に構成されている。
【0199】
受信装置150に含まれる特定の技術的特徴は、前述の方法実施形態で詳細に説明されてきた。前述の説明を参照されたく、詳細はここでは説明されない。
【0200】
本出願は、アクセスポイントAPをさらに提供する。
図16に示されるように、アクセスポイントは、水晶発振器または水晶1601、同期キャリア周波数無線モジュール1602、クロック選択モジュール1603、およ
び作動
無線モジュール1604を含む。同期キャリア周波数無線モジュールは、新たに追加された機能モジュールであり、作動キャリア周波数信号を使用して同期キャリア周波数信号を送受信するように構成され得る。
【0201】
水晶発振器1601は、同期キャリア周波数無線モジュールに期無線基準クロックを提供し、クロック選択モジュール1603は、作動無線モジュール1604に作動無線基準クロックを提供するように構成されている。クロック選択モジュール1603は、アクセスポイントによって使用される作動チャネルの基準クロックとして、同期無線基準クロックまたは作動無線基準クロックを選択するように、さらに構成されている。
【0202】
なお、本出願の本実施形態で説明されたアクセスポイントは、分散MIMO内のAPであってもよく、MIMOネットワークの外部の独立したAP、すなわち基準APであってもよいことに、留意すべきである。
【0203】
別の特定の実装形態では、
図17に示されるように、本出願で提供されたアクセスポイントAPは、プロセッサ171、トランシーバ172、およびメモリ173を含む。APは、より多いかまたは少ない構成要素をさらに含んでもよく、またはいくつかの構成要素を組み合わせてもよく、または異なる構成要素の配置を有してもよい。これは本出願において限定されない。
【0204】
APの制御センターとして、プロセッサ171は、様々なインターフェースおよび回線を使用して、アクセスポイント全体の様々な部分に接続されており、メモリ173に格納されたソフトウェアプログラムおよび/またはモジュールを起動または実行し、メモリ内に格納されたデータを呼び出すことによって、基地局の様々な機能および/またはデータ処理を実行する。
【0205】
プロセッサ171は、集積回路(integrated circuit,IC)を含んでもよく、たとえば、単一のパッケージICを含んでもよく、もしくは同じ機能または異なる機能を有する複数の接続されたパッケージICを含んでもよい。たとえば、プロセッサは、CPUのみを含んでもよく、またはGPU、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor,DSP)、およびトランシーバモジュール内の制御チップ(たとえば、ベースバンドチップ)の組み合わせであってもよい。
【0206】
トランシーバ172は、受信機、送信機、およびアンテナなどの構成要素を含んでもよく、同期キャリア周波数情報および同期キャリア周波数信号を送受信し、STAとの通信接続を確立し、データを送信するように構成されている。
【0207】
具体的には、トランシーバ172は、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network,WLAN)モジュール、Bluetoothモジュール、またはベースバンド(baseband)モジュールなどの通信モジュールを含んでもよく、通信モジュールに対応する無線周波数(radio frequency,RF)回路は、無線ローカルエリアネットワーク通信、Bluetooth通信、赤外線通信、および/またはセルラー通信システム通信を実行するように構成されている。トランシーバモジュールは、AP内の構成要素の通信を制御するように構成されており、直接メモリアクセス(direct memory access)をサポートし得る。
【0208】
本出願の異なる実装形態では、トランシーバ172内のトランシーバモジュールは、一般に集積回路チップ(integrated circuit chip)の形態で提示され、トランシーバモジュールおよび対応するアンテナグループが含まれることを必要とせずに、選択的に組み合わせられてもよい。たとえば、トランシーバ172は、セルラー通信システム内の通信機能を提供するために、ベースバンドチップ、無線周波数チップ、および対応するアンテナのみを含んでもよい。たとえば、端末は、トランシーバモジュールによって確立された無線通信接続を使用して、たとえば無線ローカルエリアネットワークアクセスまたはWCDMA(登録商標)アクセスを通じて、セルラーネットワーク(cellular network)またはインターネット(Internet)に接続され得る。
【0209】
メモリ173は、本出願の技術的解決策を実行するためのアプリケーションプログラムコードを格納するように構成されており、アプリケーションプログラムコードはプロセッサによって制御および実行される。プロセッサは、前述の実施形態の同期キャリア周波数信号送信方法を実施するために、メモリに格納されたアプリケーションプログラムコードを実行するように構成されている。
【0210】
さらに、メモリは、読み取り専用メモリ(read-only memory,ROM)または静的情報および命令を格納できる別のタイプのスタティックストレージデバイス、ランダムアクセスメモリ(random access memory,RAM)または情報および命令を格納できる別のタイプのダイナミックストレージデバイスであってもよい。あるいは、メモリは、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory,EEPROM)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact disc read-only memory,CD-ROM)または別のコンパクトディスクストレージ、光ディスクストレージ(圧縮光ディスク、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)光ディスクなどを含む)、磁気ディスク記憶媒体またはその他の磁気ストレージデバイス、もしくは命令またはデータ構造の形態であってコンピュータによってアクセス可能な予想されるプログラムコードを搬送または格納できるその他いずれかの媒体であってもよい。しかしながら、これは上記に限定されるものではない。メモリは、独立して存在してもよく、プロセッサと一体であってもよい。
【0211】
たとえば、本出願の
図14に示される装置実施形態では、取得ユニット1401および送信ユニット1403によって実装される機能は、APのトランシーバ172によって実装されてもよく、またはプロセッサ171によって制御されるトランシーバ172によって実装されてもよい。
生成ユニット1402によって実装される機能は、プロセッサ171によって実装されてもよい。
【0212】
たとえば、本出願の
図15に示される装置実施形態では、受信ユニット1501および送信ユニット1503によって実装される機能は、APのトランシーバ172によって実装されてもよく、またはプロセッサ171によって制御されるトランシーバ172によって実装されてもよい。決定ユニット1502によって実装される機能は、プロセッサ171によって実装されてもよい。
【0213】
加えて、本出願の
図16に示されるAPでは、同期キャリア周波数無線モジュール、クロック選択モジュール、および作動無線モジュールの全ての機能が、プロセッサ171およびトランシーバ172によって実装されてもよい。たとえば、同期キャリア周波数無線モジュールのトランシーバ機能はトランシーバ172によって実装され、処理機能はプロセッサ171によって実行される。
【0214】
前述の実施形態における「ユニット」は、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit,ASIC)、1つ以上のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行するプロセッサおよびメモリ、集積論理回路、および/または前述の機能を提供できるその他のデバイスであってもよい。
【0215】
さらに、メモリ173は、コンピュータプログラム製品を格納するように構成されている。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令、たとえば、同期キャリア周波数信号送信命令を含む。コンピュータプログラムがコンピュータ上にロードされ実行されると、本願の実施形態で説明された手順または機能が、全てまたは部分的に生成される。
【0216】
コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよく、またはコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信されてもよい。たとえば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターに有線または無線方式で送信され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み取り専用メモリROM、ランダムアクセスメモリRAMなどであり得る。
【0217】
本出願の実施形態では、システムがさらに提供される。
図1aから
図1dに示されるように、システムは、MIMOネットワークであってもよい。具体的には、MIMOネットワークは、スイッチ、少なくとも2つのアクセスポイントAP、および少なくとも1つの端末を含む。各APは、有線または無線方式でスイッチに接続されてもよく、各APは、有線または無線方式で端末にも接続されている。
【0218】
少なくとも2つのAPは、基準APおよび分散MIMO内のAPを含む。基準APは、分散MIMO内の各APに同期キャリア周波数情報および少なくとも2つの同期キャリア周波数信号を配信するように構成されており、同期キャリア周波数信号間の周波数差は固定値である。このように、分散MIMO内の各APは、異なるAPの基準クロックが同じとなるように、同じチャネルの受信した同期キャリア周波数信号に基づいて、無線作動のために使用される無線周波数基準クロックを決定し、これにより、水晶発振器によって提供される基準クロックの差によってAP間のキャリア周波数差が生じるという問題を解消する。
【0219】
端末は、サイトまたは移動局(station,STA)、ユーザ機器、ユーザ端末、クライアントなどとも呼ばれ、MIMOネットワークにアクセスするためにユーザによって使用される端末である。具体的には、端末は、携帯電話、タブレットコンピュータ、パームトップコンピュータ、モバイルインターネットデバイスなどを含み得る。WLAN端末は、WLANサイト機能を有するあらゆるデバイス、たとえば携帯電話(cellphone)、スマートフォン(smartphone)、コンピュータ(computer)、タブレットコンピュータ(tablet computer)、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant,PDA)、モバイルインターネットデバイス(mobile Internet device,MID)、ウェアラブルデバイス、および電子書籍リーダ(e-book reader)である。
【0220】
本発明の実施形態の技術が、必要な一般的ハードウェアプラットフォームに加えて、ソフトウェアによっても実装され得ることを、当業者は明確に理解し得る。このような理解に基づき、本質的にまたは部分的に従来技術に貢献する本発明の実施形態の技術的解決策は、ソフトウェア製品の形態で実装されてもよい。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体、たとえばROM/RAM、磁気ディスク、または光ディスクに格納されてもよく、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、ネットワークデバイスなどであり得る)が本発明の実施形態または実施形態の一部で説明された方法を実行できるようにする、いくつかの命令を含む。
【0221】
本明細書の実施形態の同じかまたは類似の部分については、互いに参照されたい。特に、同期キャリア周波数信号送信装置および同期キャリア周波数信号受信装置の実施形態は基本的に方法実施形態と類似であるため、簡潔に説明されている。関連する部分については、方法実施形態の説明を参照されたい。
【0222】
加えて、本出願の説明では、「複数の」は、別途指定されない限り、2つまたは3つ以上を意味する。加えて、本出願の実施形態の技術的解決策を明確に説明するため、基本的に同じ機能および基本的に同じ目的を有する同じアイテムまたは類似のアイテム間で区別するために、本出願の実施形態では「第1」および「第2」などの用語が使用される。「第1」および「第2」などの用語が実行シーケンスの数を制限するよう意図するものではないこと、ならびに「第1」および「第2」などの用語が明確な違いを示すものではないことを、当業者は理解し得る。
【0223】
前述の説明は、本出願の実施形態であるが、本出願の保護範囲を限定するよう意図するものではない。
【符号の説明】
【0224】
140 送信装置
150 受信装置
171 プロセッサ
172 トランシーバ
173 メモリ
1401 取得ユニット
1402 生成ユニット
1403 送信ユニット
1501 受信ユニット
1502 決定ユニット
1503 送信ユニット
1601 水晶発振器、水晶
1602 同期キャリア周波数無線モジュール
1603 クロック選択モジュール
1604 作動無線モジュール