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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】水平多関節ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
B25J9/06 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020525501
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2019022554
(87)【国際公開番号】W WO2019244657
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2018116365
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018151774
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 武士
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸政
(72)【発明者】
【氏名】室井 祐也
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-136442(JP,A)
【文献】特開2015-211998(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0114704(KR,A)
【文献】国際公開第2014/102887(WO,A1)
【文献】特開2006-120861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と複数のアームを備える水平多関節ロボットであって、
前記水平多関節ロボットは、
2つの前記アームの間に配置され、一方の前記アームに対して他方の前記アームを回動自在に接続するように構成されている第1接続部と、
前記基台と前記アームの間に配置され、前記アームを前記基台に対して回動自在に接続するように構成されている第2接続部と、
前記第1接続部と前記アームとの間に配置され、その高さ寸法が、前記アームの延伸方向に沿って一端部側に比して、他端部側が大きくなるように形成されている、リング部材と、を備える、水平多関節ロボット。
【請求項2】
前記水平多関節ロボットは、床面に設置されるように構成されていて、
前記リング部材は、その高さ寸法が、前記アームの基端部側に比して、先端部側の方が大きくなるように形成されている、請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【請求項3】
前記水平多関節ロボットは、天井から吊り下げられるように構成されていて、
前記リング部材は、その高さ寸法が、前記アームの先端部側に比して、基端部側の方が大きくなるように形成されている、請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【請求項4】
前記リング部材は、前記一方のアームと前記第1接続部との間に配置されている第1リング部材と、前記第1接続部と前記他方のアームとの間に配置されている第2リング部材と、を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の水平多関節ロボット。
【請求項5】
前記第1リング部材は、その高さ寸法が、前記他方のアームの基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線とのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されている、請求項4に記載の水平多関節ロボット。
【請求項6】
前記リング部材は、前記基台と前記第2接続部との間に配置されている第1リング部材と、前記第1接続部と前記他方のアームとの間に配置されている第2リング部材と、を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の水平多関節ロボット。
【請求項7】
前記第1リング部材は、その高さ寸法が、前記一方のアームの基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線とのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されている、請求項6に記載の水平多関節ロボット。
【請求項8】
前記第2リング部材は、その高さ寸法が、前記他方のアームの先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されている、請求項4~7のいずれか1項に記載の水平多関節ロボット。
【請求項9】
基台と複数のアームを備える水平多関節ロボットであって、
前記水平多関節ロボットは、
2つの前記アームの間に配置され、一方の前記アームに対して他方の前記アームを回動自在に接続するように構成されている第1接続部と、
前記基台と前記アームの間に配置され、前記アームを前記基台に対して回動自在に接続するように構成されている第2接続部と、を備え、
前記第1接続部及び前記第2接続部には、それぞれ、軸部材と軸受部材が配置されていて、
前記アームにおける前記軸部材との接触面である第1接触面、及び前記アームにおける前記軸受部材との接触面である第2接触面のうち、少なくとも1つの接触面が、水平方向から見て、前記アームの延伸方向に沿って傾斜するように形成されている、水平多関節ロボット。
【請求項10】
前記水平多関節ロボットは、床面に設置されるように構成されていて、
前記第2接触面が、水平方向から見て、前記アームの延伸方向における基端部側に比して、前記アームの延伸方向における先端部側の方が上方に位置するように形成されている、請求項9に記載の水平多関節ロボット。
【請求項11】
前記第1接触面が、水平方向から見て、前記アームの基端部側に比して、前記アームの先端部側の方が下方に位置するように形成されている、請求項9に記載の水平多関節ロボット。
【請求項12】
前記第2接触面は、前記他方のアームの基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線とのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されている、請求項9~11のいずれか1項に記載の水平多関節ロボット。
【請求項13】
前記第1接触面は、前記他方のアームの先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の水平多関節ロボット。
【請求項14】
前記第1接続部及び前記第2接続部のうち、少なくとも一方の接続部には、当該接続部の内部空間を密閉するように構成された密閉部材が配置されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の水平多関節ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
基台、第1アーム、第2アーム、及び重力方向に移動可能に構成され、第2アームに設けられた可動軸部を備える、天吊り型スカラロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されているロボットでは、第1アームと第2アームを接続する第2接続部の剛性を大きくするために、鋼材を用いたリング状のプレートからなる第2補強部が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-211998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、第2補強部の剛性を大きくすると、その重量増加によって第1アームに撓みが発生しやすくなると記載されている。第1アームに撓みが発生すると、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からずれが生じ、ロボットの作業精度が低下するおそれがあった。また、ロボットの姿勢によって、撓みによる変位量(教示した位置座標からのずれる量)が異なるため、教示作業が煩雑となるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、撓みによる変位量を一定にし、ロボットの作業精度の低下を抑制し、かつ、操作者による教示作業の効率化を図ることができ得る、水平多関節ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る水平多関節ロボットは、基台と複数のアームを備える水平多関節ロボットであって、前記水平多関節ロボットは、2つの前記アームの間に配置され、一方の前記アームに対して他方の前記アームを回動自在に接続するように構成されている第1接続部と、前記基台と前記アームの間に配置され、前記アームを前記基台に対して回動自在に接続するように構成されている第2接続部と、前記第1接続部と前記アームとの間に配置され、その高さ寸法が、前記アームの延伸方向における一端部側に比して、他端部側が大きくなるように形成されている、リング部材と、を備える。
【0008】
これにより、アームの撓みによる変位量を一定にし、ロボットの作業精度の低下を抑制し、かつ、操作者による教示作業の効率化を図ることができ得る。
【0009】
また、本発明に係る水平多関節ロボットは、基台と複数のアームを備える水平多関節ロボットであって、前記水平多関節ロボットは、2つの前記アームの間に配置され、一方の前記アームに対して他方の前記アームを回動自在に接続するように構成されている第1接続部と、前記基台と前記アームの間に配置され、前記アームを前記基台に対して回動自在に接続するように構成されている第2接続部と、前記第1接続部と前記アームとの間に配置され、その高さ寸法が、前記アームの延伸方向における一端部側に比して、他端部側が大きくなるように形成されている、リング部材と、を備える。
【0010】
これにより、アームの撓みによる変位量を一定にし、ロボットの作業精度の低下を抑制し、かつ、操作者による教示作業の効率化を図ることができ得る。
【0011】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施形態の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水平多関節ロボットによれば、アームの撓みによる変位量を一定にし、ロボットの作業精度の低下を抑制し、かつ、操作者による教示作業の効率化を図ることができ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。
図2図2は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図4図4は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図5図5は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
図6図6は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
図7図7は、本実施の形態1における変形例1の水平多関節ロボットの第2接続部近傍の概略構成を示す断面図である。
図8図8は、本実施の形態1における変形例1の水平多関節ロボットの第1接続部近傍の概略構成を示す断面図である。
図9図9は、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。
図10図10は、図9に示す水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。
図11図11は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図12図12は、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図13図13は、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
図14図14は、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
図15図15は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。
図16図16は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。
図17図17は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図18図18は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図19図19は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
図20図20は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
図21図21は、本実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボットの第1接続部近傍の概略構成を示す断面図である。
図22図22は、本実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボットの第2接続部近傍の概略構成を示す断面図である。
図23図23は、本実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図24図24は、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。
図25図25は、図24に示す水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。
図26図26は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図27図27は、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
図28図28は、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
図29図29は、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している場合がある。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0015】
本実施の形態1に係る水平多関節ロボットは、基台と複数のアームを備える水平多関節ロボットであって、水平多関節ロボットは、2つのアームの間に配置され、一方のアームに対して他方のアームを回動自在に接続するように構成されている第1接続部と、基台とアームの間に配置され、アームを基台に対して回動自在に接続するように構成されている第2接続部と、第1接続部とアームとの間に配置され、その高さ寸法が、アームの延伸方向における一端部側に比して、他端部側が大きくなるように形成されている、リング部材と、を備える。
【0016】
また、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットでは、当該水平多関節ロボットが、床面に設置されるように構成されていて、リング部材は、その高さ寸法が、アームの基端部側に比して、先端部側の方が大きくなるように形成されていてもよい。
【0017】
また、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットでは、リング部材は、一方のアームと第1接続部との間に配置されている第1リング部材と、第1接続部と他方のアームとの間に配置されている第2リング部材と、を有していてもよい。
【0018】
また、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットでは、第1リング部材は、その高さ寸法が、他方のアームの基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線とのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい。
【0019】
また、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットでは、第2リング部材は、その高さ寸法が、他方のアームの先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されていてもよい。
【0020】
また、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットでは、第1接続部及び第2接続部のうち、少なくとも一方の接続部には、当該接続部の内部空間を密閉するように構成された密閉部材が配置されていてもよい。
【0021】
さらに、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットでは、当該水平多関節ロボットが、真空チャンバ内に配置されていてもよい。
【0022】
以下、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットの一例について、図1図6を参照しながら説明する。
【0023】
[水平多関節ロボットの構成]
図1は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。なお、図1においては、水平多関節ロボットの上下方向及び前後方向を図に示す上下方向及び前後方向として表している。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100は、ハンド1と、マニピュレータ2と、制御装置10と、を備えていて、ハンド1により、ワークを保持して、搬送するように構成されている。ワークとしては、例えば、半導体ウエハ等が挙げられる。なお、ハンド1の構成は、ワークを保持して、搬送することができれば、どのような形態であってもよい。
【0025】
また、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100は、床面に設置されるように構成されている。
【0026】
マニピュレータ2は、基台20、複数のアーム(ここでは、第1アーム(他方のアーム)21及び第2アーム(一方のアーム)22)、第1接続部31、第2接続部32、及び第3接続部33を備えている。基台20の内部には、制御装置10が配置されている。なお、制御装置10は、基台20の外に配置されていてもよい。
【0027】
また、基台20には、第2接続部32が設けられている。第2接続部32は、例えば、ボールネジ機構、駆動モータ、駆動モータの回転位置を検出する回転センサ、及び駆動モータの回転を制御する電流を検出する電流センサ(いずれも図示せず)等を有していて、上下方向に伸縮し、かつ、第2アーム22を回動させるように構成されている。なお、駆動モータは、例えば、制御装置10によってサーボ制御されるサーボモータであってもよい。また、回転センサは、例えば、エンコーダであってもよい。
【0028】
第2接続部32には、当該第2接続部32の軸心を通る回転軸L2回りに回動可能に第2アーム22の基端部が接続されている。第2アーム22の先端部には、第1接続部31を介して、回転軸L1回りに回転可能に第1アーム21の基端部が接続されている。なお、第1接続部31の構成については、後述する。
【0029】
また、第1アーム21の先端部には、第3接続部33を介して、回転軸L3回りに回転可能にハンド1が接続されている。第3接続部33は、例えば、駆動モータ、駆動モータの回転位置を検出する回転センサ、及び駆動モータの回転を制御する電流を検出する電流センサ(いずれも図示せず)等を有していて、ハンド1を回動(揺動)するように構成されている。
【0030】
制御装置10は、マイクロプロセッサ、CPU等の演算器と、ROM、RAM等の記憶器と、を備えている(図示せず)。記憶器には、基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算器は、記憶器に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、水平多関節ロボット100の各種動作を制御する。
【0031】
なお、制御装置10は、集中制御する単独の制御装置10によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置10によって構成されていてもよい。また、制御装置10は、マイクロコンピュータで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
【0032】
[第1接続部の構成]
次に、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100における第1接続部31の構成について、図2を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図2は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。なお、図2においては、発明の理解を容易にするために、リング部材とアームとの間に隙間を形成しているが、リング部材とアームを適宜な手段により、締結すると、当該隙間は形成されない。
【0034】
図2に示すように、第1接続部31は、軸部材41と軸受部材51を有している。また、第1接続部31には、第1リング部材61及び第2リング部材62と、密閉部材71~74が配置されている。
【0035】
軸受部材51は、その下端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第2アーム22の上端部に固定されている。また、軸受部材51の下端部と、第2アーム22の上端部との間には、円環状の第1リング部材61が配置されている。第1リング部材61は、適宜な手段により、第2アーム22の上端部に固定されている。
【0036】
第1リング部材61は、その高さ寸法が、第2アーム22の基端部側に比して、第2アーム22の先端部側の方が、大きくなるように形成されている。具体的には、例えば、第1リング部材61は、第2アーム22の撓みを補正する観点から、第2アーム22の先端部側の高さ寸法が、第2アーム22の基端部側の高さ寸法よりも0.1~1.0mm大きくなるように形成されていてもよい。
【0037】
また、第1リング部材61は、その高さ寸法が、第1アーム21の基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線Yとのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい(図4参照)。
【0038】
より詳細には、第1リング部材61は、その高さ寸法が、第1アーム21の姿勢(回動角度)に係らず、第1アーム21の基端部側の軸心と仮想線Yとのなす角度が第1角度になるように形成されている。ここで、第1角度θは、予め実験等により求めることができ、例えば、0.05~0.3°であってもよい。
【0039】
さらに、第1リング部材61は、水平方向から見て、その下端面が水平となるように形成されていてもよい。また、第1リング部材61は、水平方向から見て、その上端面が、傾斜するように形成されていてもよい。
【0040】
軸部材41は、その上端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第1アーム21の下端部に固定されている。また、軸部材41の上端部と第1アーム21の下端部の間には、円環状の第2リング部材62が配置されている。第2リング部材62は、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第1アーム21の下端部に固定されている。これにより、第2リング部材62は、第1アーム21の回動に伴って、第2アーム22に対して、回動することができる。
【0041】
第2リング部材62は、その高さ寸法が、第1アーム21の基端部側に比して、第1アーム21の先端部側の方が、大きくなるように形成されている。具体的には、例えば、第2リング部材62は、第1アーム21の撓みを補正する観点から、第1アーム21の先端部側の高さ寸法が、第1アーム21の基端部側の高さ寸法よりも0.1~1.0mm大きくなるように形成されていてもよい。
【0042】
また、第2リング部材62は、その高さ寸法が、第1アーム21の先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されていてもよい(図5及び図6参照)。換言すると、第2リング部材62は、その高さ寸法が、水平方向から見て、第1アーム21の先端部が水平となるように形成されていてもよい。
【0043】
さらに、第2リング部材62は、水平方向から見て、その下端面が水平となるように形成されていてもよい。また、第2リング部材62は、水平方向から見て、その上端面が、傾斜するように形成されていてもよい。
【0044】
また、第2アーム22の上端部には、第1リング部材61の下端面と当接する部分に、密閉部材71が配置されている。軸受部材51の下端部には、第1リング部材61の上端面と当接する部分に、密閉部材72が配置されている。密閉部材71及び密閉部材72としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
【0045】
同様に、軸部材41の上端部には、第2リング部材62の下端面と当接する部分に、密閉部材73が配置されている。また、第1アーム21の下端部には、第2リング部材62の上端面と当接する部分に、密閉部材74が配置されている。密閉部材73及び密閉部材74としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
【0046】
密閉部材71~74により、第1接続部31の内部空間を密閉状態に保つことができる。このため、例えば、水平多関節ロボット100が、真空チャンバ内に配置されている場合には、当該真空チャンバ内の気密性を保つことができる。
【0047】
[水平多関節ロボットの作用効果]
次に、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100の作用効果について、図1図6を参照しながら説明する。
【0048】
[第1リング部材の作用効果]
図3は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。図4は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
【0049】
まず、図3及び図4において、第1アーム21の先端部が、第2アーム22の先端部に対して遠い位置にある状態を第1状態と定義する。また、第1アーム21が第1状態にあるときに、鉛直方向に延びる仮想線Yと、第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度をθAとする。
【0050】
同様に、第1アーム21の先端部が、第2アーム22の基端部に対して近い位置にある状態を第2状態とする。また、第1アーム21が第2状態にあるときに、仮想線Yと、第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度をθBとする。
【0051】
図3に示すように、従来の水平多関節ロボット100Aでは、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときには、第2アーム22の撓み量に、第1アーム21の撓み量が付加される。このため、水平多関節ロボット100A全体としての撓み量は、第1アーム21の先端部が第1状態にあるときの方が、第1アーム21の先端部が第2状態にあるときに比して、大きくなる。
【0052】
換言すると、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、では異なる。
【0053】
すなわち、従来の水平多関節ロボット100Aでは、ロボットの姿勢によって、その撓み量が異なる。このため、ロボットの姿勢によって、教示した位置座標からのずれる量が異なるため、操作者による教示作業が煩雑となるおそれがあった。
【0054】
一方、図4に示すように、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100では、第1リング部材61の高さ寸法が、第2アーム22の基端部側に比して、第2アーム22の先端部側の方が、大きくなるように形成されている。
【0055】
これにより、第2アーム22の撓みを補正することができ、第2アーム22の撓みによる第1アーム21への影響を低減することができる。
【0056】
また、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの第1アーム21の撓み量を従来の水平多関節ロボット100Aに比して小さくすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0057】
また、図4に示すように、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100では、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、が第1角度θとなるように、第1リング部材61が形成されている。
【0058】
これにより、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100では、ロボットの姿勢に係らず、第1アーム21の撓む量が同じとなる。したがって、ロボットの姿勢に係らず、教示した位置座標からのずれる量が同じとなるため、操作者による教示作業の負担を軽減することができる。
【0059】
[第2リング部材の作用効果]
図5及び図6は、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
【0060】
図5及び図6に示すように、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100では、第2リング部材62の高さ寸法が、第1アーム21の基端部側に比して、第1アーム21の先端部側の方が、大きくなるように形成されている。
【0061】
これにより、第1アーム21の撓みを補正することができ、教示した位置座標からのずれを小さくすることができる。このため、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0062】
また、本実施の形態1に係る水平多関節ロボット100では、第2リング部材62の高さ寸法が、第1アーム21の先端部側の軸心(回転軸L3)が鉛直方向に向くように形成されている。これにより、第1アーム21の先端部を水平にすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0063】
[変形例1]
次に、本実施の形態1に係る水平多関節ロボットの変形例について、図7及び図8を参照しながら説明する。
【0064】
本実施の形態1における変形例1の水平多関節ロボットは、リング部材が、基台と第2接続部との間に配置されている第1リング部材と、第1接続部と他方のアームとの間に配置されている第2リング部材と、を有する。
【0065】
また、本変形例1の水平多関節ロボットでは、第1リング部材は、その高さ寸法が、一方のアームの基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線とのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい。
【0066】
以下、本変形例1の水平多関節ロボットの一例について、図7及び図8を参照しながら説明する。
【0067】
[水平多関節ロボットの構成]
図7は、本実施の形態1における変形例1の水平多関節ロボットの第2接続部近傍の概略構成を示す断面図である。図8は、本実施の形態1における変形例1の水平多関節ロボットの第1接続部近傍の概略構成を示す断面図である。なお、図7及び図8においては、発明の理解を容易にするために、リング部材とアームとの間に隙間を形成しているが、リング部材とアームを適宜な手段により、締結すると、当該隙間は形成されない。
【0068】
図7及び図8に示すように、本変形例1の水平多関節ロボット100では、第1リング部材61が、基台20の上端部と第2接続部32における軸受部材51の下端部との間に配置されていて、第2リング部材62が、第1接続部31における軸部材41の上端部と、第1アーム21の下端部との間に配置されている。
【0069】
また、図7に示すように、第2接続部32における軸部材41の上端部と、第2アーム22の下端部との間には、円環状の第3リング部材63が配置されている。第3リング部材63は、その高さ寸法が、第2アーム22の先端部側と、第2アーム22の基端部側と、で同じになるように形成されている。
【0070】
軸部材41の上端部には、第3リング部材63の下端面と当接する部分に、密閉部材75が配置されている。また、第2アーム22の下端部には、第3リング部材63の上端面と当接する部分に、密閉部材76が配置されている。密閉部材75及び密閉部材76としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
【0071】
さらに、図8に示すように、第2アーム22の上端部と、第1接続部31における軸受部材51の下端部と、の間には、円環状の第4リング部材64が配置されている。第4リング部材64は、その高さ寸法が、第2アーム22の先端部側と、第2アーム22の基端部側と、で同じになるように形成されている。
【0072】
第2アーム22の上端部には、第4リング部材64の下端面と当接する部分に、密閉部材77が配置されている。また、軸受部材51の下端部には、第4リング部材64の上端面と当接する部分に、密閉部材78が配置されている。密閉部材77及び密閉部材78としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
【0073】
このように構成された、本変形例1の水平多関節ロボット100であっても、実施の形態1に係る水平多関節ロボット100と同様の作用効果を奏する。
【0074】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る水平多関節ロボットは、天井から吊り下げられるように構成されていて、リング部材は、その高さ寸法が、アームの先端部側に比して、基端部側の方が大きくなるように形成されている。
【0075】
以下、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットの一例について、図9図14を参照しながら説明する。
【0076】
[水平多関節ロボットの構成]
図9は、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。なお、図9においては、水平多関節ロボットの上下方向及び前後方向を図に示す上下方向及び前後方向として表している。
【0077】
図9に示すように、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100は、天井から吊り下げられるように構成されている点が、実施の形態1に係る水平多関節ロボット100と異なる。以下、図10を参照しながら、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100と実施の形態1に係る水平多関節ロボット100との違いを説明する。
【0078】
図10は、図9に示す水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。なお、図10においては、発明の理解を容易にするために、リング部材とアームとの間に隙間を形成しているが、リング部材とアームを適宜な手段により、締結すると、当該隙間は形成されない。
【0079】
図10に示すように、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、軸受部材51の上端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第2アーム22の下端部に固定されている。また、軸受部材51の上端部と第2アーム22の下端部との間に、第1リング部材61が配置されている。第1リング部材61は、適宜な手段により、第2アーム22の下端部に固定されている。
【0080】
また、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、第1リング部材61は、その高さ寸法が、第2アーム22の先端部側に比して、第2アーム22の基端部側の方が、大きくなるように形成されている。具体的には、例えば、第1リング部材61は、第2アーム22の撓みを補正する観点から、第2アーム22の基端部側の高さ寸法が、第2アーム22の先端部側の高さ寸法よりも0.1~1.0mm大きくなるように形成されていてもよい。
【0081】
また、第1リング部材61は、その高さ寸法が、第1アーム21の基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線Yとのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい(図12参照)。より詳細には、第1リング部材61は、その高さ寸法が、第1アーム21の姿勢(回動角度)に係らず、第1アーム21の基端部側の軸心と仮想線Yとのなす角度が第1角度になるように形成されている。
【0082】
さらに、第1リング部材61は、水平方向から見て、その下端面が傾斜となるように形成されていてもよい。また、第1リング部材61は、水平方向から見て、その上端面が、水平になるように形成されていてもよい。
【0083】
また、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、軸部材41の下端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第1アーム21の上端部に固定されている。また、軸部材41の下端部と第1アーム21の上端部の間に、第2リング部材62が配置されている。第2リング部材62は、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第1アーム21の上端部に固定されている。これにより、第2リング部材62は、第1アーム21の回動に伴って、第2アーム22に対して、回動することができる。
【0084】
第2リング部材62は、その高さ寸法が、第1アーム21の先端部側に比して、第1アーム21の基端部側の方が、大きくなるように形成されている。具体的には、例えば、第2リング部材62は、第1アーム21の撓みを補正する観点から、第1アーム21の基端部側の高さ寸法が、第1アーム21の先端部側の高さ寸法よりも0.1~1.0mm大きくなるように形成されていてもよい。
【0085】
また、第2リング部材62は、その高さ寸法が、第1アーム21の先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されていてもよい(図13及び図14参照)。換言すると、第2リング部材62は、その高さ寸法が、水平方向から見て、第1アーム21の先端部が水平となるように形成されていてもよい。
【0086】
さらに、第2リング部材62は、水平方向から見て、その上端面が水平となるように形成されていてもよい。また、第2リング部材62は、水平方向から見て、その下端面が、傾斜するように形成されていてもよい。
【0087】
また、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、密閉部材71は、第2アーム22の下端部にはおける第1リング部材61の下端面と当接する部分に配置されている。密閉部材72は、軸受部材51の上端部における第1リング部材61の上端面と当接する部分に配置されている。
【0088】
同様に、密閉部材73は、軸部材41の下端部における第2リング部材62の下端面と当接する部分に配置されている。また、密閉部材74は、第1アーム21の上端部における第2リング部材62の上端面と当接する部分に配置されている。
【0089】
なお、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、第1リング部材61及び第2リング部材62が、第1接続部31に配置されている形態を採用したが、これに限定されない。実施の形態1における変形例1の水平多関節ロボット100のように、第1リング部材61が第2接続部32に配置されていて、第2リング部材62が第1接続部31に配置されている形態を採用してもよい。
【0090】
[水平多関節ロボットの作用効果]
次に、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100の作用効果について、図9図14を参照しながら説明する。
【0091】
[第1リング部材の作用効果]
図11は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。図12は、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
【0092】
図11に示すように、従来の水平多関節ロボット100Aでは、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときには、第2アーム22の撓み量に、第1アーム21の撓み量が付加される。このため、水平多関節ロボット100A全体としての撓み量は、第1アーム21の先端部が第1状態にあるときの方が、第1アーム21の先端部が第2状態にあるときに比して、大きくなる。
【0093】
換言すると、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、では異なる。
【0094】
すなわち、従来の水平多関節ロボット100Aでは、ロボットの姿勢によって、その撓み量が異なる。このため、ロボットの姿勢によって、教示した位置座標からのずれる量が異なるため、操作者による教示作業が煩雑となるおそれがあった。
【0095】
一方、図12に示すように、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、第1リング部材61の高さ寸法が、第2アーム22の先端部側に比して、第2アーム22の基端部側の方が、大きくなるように形成されている。
【0096】
これにより、第2アーム22の撓みを補正することができ、第2アーム22の撓みによる第1アーム21への影響を低減することができる。
【0097】
また、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの第1アーム21の撓み量を従来の水平多関節ロボット100Aに比して小さくすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0098】
また、図12に示すように、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、が第1角度θとなるように、第1リング部材61が形成されている。
【0099】
これにより、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、ロボットの姿勢に係らず、第1アーム21の撓む量が同じとなる。したがって、ロボットの姿勢に係らず、教示した位置座標からのずれる量が同じとなるため、操作者による教示作業の負担を軽減することができる。
【0100】
[第2リング部材の作用効果]
図13及び図14は、本実施の形態2に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
【0101】
図13及び図14に示すように、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、第2リング部材62の高さ寸法が、第1アーム21の先端部側に比して、第1アーム21の基端部側の方が、大きくなるように形成されている。
【0102】
これにより、第1アーム21の撓みを補正することができ、教示した位置座標からのずれを小さくすることができる。このため、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0103】
また、本実施の形態2に係る水平多関節ロボット100では、第2リング部材62の高さ寸法が、第1アーム21の先端部側の軸心(回転軸L3)が鉛直方向に向くように形成されている。これにより、第1アーム21の先端部を水平にすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0104】
(実施の形態3)
本実施の形態3に係る水平多関節ロボットは、基台と複数のアームを備える水平多関節ロボットであって、水平多関節ロボットは、2つのアームの間に配置され、一方のアームに対して他方のアームを回動自在に接続するように構成されている第1接続部と、基台とアームの間に配置され、アームを基台に対して回動自在に接続するように構成されている第2接続部と、を備え、第1接続部及び第2接続部には、それぞれ、軸部材と軸受部材が配置されていて、アームにおける軸部材との接触面である第1接触面、アームにおける軸受部材との接触面である第2接触面、及び基台における軸受部材との接触面である第3接触面のうち、少なくとも1つの接触面が、水平方向から見て、傾斜するように形成されている。
【0105】
また、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットでは、床面に設置されるように構成されていて、第1接触面及び第3接触面のうち、少なくとも1つの接触面が、水平方向から見て、アームの延伸方向における基端部側に比して、アームの延伸方向における先端部側の方が上方に位置するように形成されていてもよい。
【0106】
また、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットでは、第2接触面が、水平方向から見て、アームの基端部側に比して、アームの先端部側の方が下方に位置するように形成されていてもよい。
【0107】
また、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットでは、第1接触面が、他方のアームの基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線とのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい。
【0108】
また、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットでは、第2接触面が、他方のアームの先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されていてもよい。
【0109】
また、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットでは、第1接続部及び第2接続部のうち、少なくとも一方の接続部には、当該接続部の内部空間を密閉するように構成された密閉部材が配置されていてもよい。
【0110】
さらに、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットでは、当該水平多関節ロボットが、真空チャンバ内に配置されていてもよい。
【0111】
以下、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットの一例について、図15図20を参照しながら説明する。
【0112】
[水平多関節ロボットの構成]
図15は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。なお、図15においては、水平多関節ロボットの上下方向及び前後方向を図に示す上下方向及び前後方向として表している。
【0113】
図15に示すように、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100は、ハンド1と、マニピュレータ2と、制御装置10と、を備えていて、ハンド1により、ワークを保持して、搬送するように構成されている。ワークとしては、例えば、半導体ウエハ等が挙げられる。なお、ハンド1の構成は、ワークを保持して、搬送することができれば、どのような形態であってもよい。
【0114】
また、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100は、床面に設置されるように構成されている。
【0115】
マニピュレータ2は、基台20、複数のアーム(ここでは、第1アーム(他方のアーム)21及び第2アーム(一方のアーム)22)、第1接続部31、第2接続部32、及び第3接続部33を備えている。基台20の内部には、制御装置10が配置されている。なお、制御装置10は、基台20の外に配置されていてもよい。
【0116】
また、基台20には、第2接続部32が設けられている。第2接続部32は、例えば、ボールネジ機構、駆動モータ、駆動モータの回転位置を検出する回転センサ、及び駆動モータの回転を制御する電流を検出する電流センサ(いずれも図示せず)等を有していて、上下方向に伸縮し、かつ、第2アーム22を回動させるように構成されている。なお、駆動モータは、例えば、制御装置10によってサーボ制御されるサーボモータであってもよい。また、回転センサは、例えば、エンコーダであってもよい。
【0117】
第2接続部32には、当該第2接続部32の軸心を通る回転軸L2回りに回動可能に第2アーム22の基端部が接続されている。第2アーム22の先端部には、第1接続部31を介して、回転軸L1回りに回転可能に第1アーム21の基端部が接続されている。なお、第1接続部31の構成については、後述する。
【0118】
また、第1アーム21の先端部には、第3接続部33を介して、回転軸L3回りに回転可能にハンド1が接続されている。第3接続部33は、例えば、駆動モータ、駆動モータの回転位置を検出する回転センサ、及び駆動モータの回転を制御する電流を検出する電流センサ(いずれも図示せず)等を有していて、ハンド1を回動(揺動)するように構成されている。
【0119】
制御装置10は、マイクロプロセッサ、CPU等の演算器と、ROM、RAM等の記憶器と、を備えている(図示せず)。記憶器には、基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算器は、記憶器に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、水平多関節ロボット100の各種動作を制御する。
【0120】
なお、制御装置10は、集中制御する単独の制御装置10によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置10によって構成されていてもよい。また、制御装置10は、マイクロコンピュータで構成されていてもよく、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等によって構成されていてもよい。
【0121】
[第1接続部の構成]
次に、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100における第1接続部31の構成について、図16を参照しながら詳細に説明する。
【0122】
図16は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。なお、図16においては、水平多関節ロボットにおける上下方向を図における上下方向として表している。また、図16においては、発明の理解を容易にするために、軸部材又は軸受部材と、アームと、の間に隙間を形成しているが、軸部材又は軸受部材とアームを適宜な手段により締結すると、当該隙間は形成されない。
【0123】
図16に示すように、第1接続部31は、軸部材41と軸受部材51を有している。軸受部材51は、第2アーム22の上端部に載置されていて、適宜な手段(例えば、ボルト等)により、第2アーム22に固定されている。なお、以下においては、第2アーム22の上端部における軸受部材51が載置されている部分を第2接触面22Aと称する。
【0124】
第2接触面22Aは、水平方向から見て、傾斜するように形成されている。より詳細には、第2接触面22Aは、第2アーム22の基端部側に対して、先端部側の方が、上方に位置するように形成されている。具体的には、例えば、第2接触面22Aは、第2アーム22の撓みを補正する観点から、第2アーム22の先端部側の端部が、基端部側の端部よりも0.1~1.0mm上方に位置するように形成されていてもよい。
【0125】
また、第2アーム22の第2接触面22Aは、第1アーム21の基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線Yとのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい(図18参照)。
【0126】
より詳細には、第2接触面22Aは、第1アーム21の姿勢(回動角度)に係らず、第1アーム21の基端部側の軸心と仮想線Yとのなす角度が第1角度になるように形成されている。ここで、第1角度θは、予め実験等により求めることができ、例えば、0.05~0.3°であってもよい。
【0127】
軸部材41は、その上端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第1アーム21の下端部に固定されている。なお、以下においては、第1アーム21の下端部における軸部材41の上端面と接触する部分を第1接触面21Aと称する。
【0128】
第1接触面21Aは、水平方向から見て、傾斜するように形成されている。より詳細には、第1接触面21Aは、第1アーム21の基端部側に比して、第1アーム21の先端部側の方が、下方に位置するように形成されている。具体的には、例えば、第1接触面21Aは、第1アーム21の撓みを補正する観点から、第1アーム21の先端部側の端部が、基端部側の端部よりも0.1~1.0mm下方に位置するように形成されていてもよい。
【0129】
また、第1アーム21の第1接触面21Aは、傾斜することにより、第1アーム21の先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されていてもよい(図19及び図20参照)。より詳細には、第1接触面21Aは、その傾斜角度が、第1アーム21の先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されている。換言すると、第1接触面21Aは、水平方向から見て、第1アーム21の先端部が水平となるように形成されていてもよい。
【0130】
さらに、第2アーム22の第2接触面22Aには、密閉部材71が配置されている。同様に、第1アーム21の第1接触面21Aには、密閉部材72が配置されている。密閉部材71及び密閉部材72としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
【0131】
密閉部材71及び密閉部材72により、第1接続部31の内部空間を密閉状態に保つことができる。このため、例えば、水平多関節ロボット100が、真空チャンバ内に配置されている場合には、当該真空チャンバ内の気密性を保つことができる。
【0132】
なお、第2接続部32の構成については、後述する変形例1の水平多関節ロボット100で詳細に説明するが、基本的には、第1接続部31と同様に構成されている。第2接続部32では、基台20における軸受部材51との接触面である第3接触面と、第2アーム22における軸部材41との接触面である第2接触面とが、水平方向から見て、水平となるように形成されている。
【0133】
[水平多関節ロボットの作用効果]
次に、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100の作用効果について、図15図20を参照しながら説明する。
【0134】
図17は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。図18は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
【0135】
まず、図17及び図18において、第1アーム21の先端部が、第2アーム22の先端部に対して遠い位置にある状態を第1状態と定義する。また、第1アーム21が第1状態にあるときに、鉛直方向に延びる仮想線Yと、第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度をθAとする。
【0136】
同様に、第1アーム21の先端部が、第2アーム22の基端部に対して近い位置にある状態を第2状態とする。また、第1アーム21が第2状態にあるときに、仮想線Yと、第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度をθBとする。
【0137】
図17に示すように、従来の水平多関節ロボット100Aでは、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときには、第2アーム22の撓み量に、第1アーム21の撓み量が付加される。このため、水平多関節ロボット100A全体としての撓み量は、第1アーム21の先端部が第1状態にあるときの方が、第1アーム21の先端部が第2状態にあるときに比して、大きくなる。
【0138】
換言すると、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、では異なる。
【0139】
すなわち、従来の水平多関節ロボット100Aでは、ロボットの姿勢によって、その撓み量が異なる。このため、ロボットの姿勢によって、教示した位置座標からのずれる量が異なるため、操作者による教示作業が煩雑となるおそれがあった。
【0140】
一方、図18に示すように、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100では、第2アーム22の第2接触面22Aが、第2アーム22の基端部側に対して、先端部側の方が、上方に位置するように形成されている。
【0141】
これにより、第2アーム22の撓みを補正することができ、第2アーム22の撓みによる第1アーム21への影響を低減することができる。
【0142】
また、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの第1アーム21の撓み量を従来の水平多関節ロボット100Aに比して小さくすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0143】
また、図18に示すように、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100では、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、が第1角度θとなるように、第2アーム22の第2接触面22Aが形成されている。
【0144】
これにより、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100では、ロボットの姿勢に係らず、第1アーム21の撓む量が同じとなる。したがって、ロボットの姿勢に係らず、教示した位置座標からのずれる量が同じとなるため、操作者による教示作業の負担を軽減することができる。
【0145】
図19及び図20は、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
【0146】
図19及び図20に示すように、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100では、第1アーム21の第1接触面21Aは、第1アーム21の基端部側に比して、第1アーム21の先端部側の方が、下方に位置するように形成されている。
【0147】
これにより、第1アーム21の撓みを補正することができ、教示した位置座標からのずれを小さくすることができる。このため、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0148】
また、本実施の形態3に係る水平多関節ロボット100では、第1接触面21Aが、傾斜することにより、第1アーム21の先端部側の軸心(回転軸L3)が鉛直方向に向くように形成されている。これにより、第1アーム21の先端部を水平にすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0149】
[変形例1]
次に、本実施の形態3に係る水平多関節ロボットの変形例について、図21図23を参照しながら説明する。
【0150】
本実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボットは、水平多関節ロボットは、床面に設置されるように構成されていて、第3接触面が、水平方向から見て、アームの延伸方向における基端部側に比して、アームの延伸方向における先端部側の方が上方に位置するように形成されている。
【0151】
また、本変形例1の水平多関節ロボットでは、第3接触面は、アームの基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線とのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい。
【0152】
以下、本変形例1の水平多関節ロボットの一例について、図21図23を参照しながら説明する。
【0153】
[水平多関節ロボットの構成]
図21は、本実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボットの第1接続部近傍の概略構成を示す断面図である。図22は、本実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボットの第2接続部近傍の概略構成を示す断面図である。図23は、本実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
【0154】
なお、図21及び図22においては、水平多関節ロボットにおける上下方向を図における上下方向として表している。また、図21及び図22においては、発明の理解を容易にするために、アームと、軸部材又は軸受部材と、の間に隙間を形成しているが、アームと、軸部材又は軸受部材と、を適宜な手段により、締結すると、当該隙間は形成されない。
【0155】
図21に示すように、本変形例1の水平多関節ロボット100は、実施の形態3に係る水平多関節ロボット100と基本的構成は同じであるが、第1接続部31において、第2アーム22の第2接触面22Aが、水平方向から見て、水平になるように形成されている点が異なる。
【0156】
また、図22に示すように、第2接続部32は、軸部材41及び軸受部材51を有している。軸受部材51は、基台20の上端部に載置されていて、適宜な手段(例えば、ボルト等)により、基台20に固定されている。なお、以下においては、基台20の上端部における軸受部材51が載置されている部分を第3接触面20Aと称する。
【0157】
第3接触面20Aは、水平方向から見て、傾斜するように形成されている。より詳細には、第3接触面20Aは、基台20の基端部側に対して、先端部側の方が、上方に位置するように形成されている。具体的には、例えば、第3接触面20Aは、第2アーム22の撓みを補正する観点から、基台20の先端部側の端部が、基端部側の端部よりも0.1~1.0mm上方に位置するように形成されていてもよい。
【0158】
さらに、図23に示すように、基台20の第3接触面20Aは、第2アーム22の基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線Yとのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい。
【0159】
より詳細には、第3接触面20Aは、第2アーム22の姿勢(回動角度)に係らず、第2アーム22の基端部側の軸心と仮想線とのなす角度が第1角度θになるように形成されている。ここで、第1角度θは、予め実験等により求めることができ、例えば、0.05~0.3°であってもよい。
【0160】
また、図22に示すように、軸部材41は、その上端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第2アーム22の下端部に固定されている。なお、以下においては、第2アーム22の下端部における軸部材41の上端面と接触する部分を第1接触面22Bと称する。第1接触面22Bは、水平方向から見て、水平となるように形成されている。
【0161】
さらに、基台20の第3接触面20Aには、密閉部材73が配置されている。同様に、第2アーム22の第1接触面22Bには、密閉部材74が配置されている。密閉部材73及び密閉部材74としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
【0162】
密閉部材73及び密閉部材74により、第2接続部32の内部空間を密閉状態に保つことができる。このため、例えば、水平多関節ロボット100が、真空チャンバ内に配置されている場合には、当該真空チャンバ内の気密性を保つことができる。
【0163】
このように構成された、本変形例1の水平多関節ロボット100であっても、実施の形態3に係る水平多関節ロボット100と同様の作用効果を奏する。
【0164】
(実施の形態4)
本実施の形態4に係る水平多関節ロボットは、実施の形態3に係る水平多関節ロボットにおいて、水平多関節ロボットが天井から吊り下げられるように構成されていて、第1接触面及び第3接触面のうち、少なくとも1つの接触面が、水平方向から見て、アームの延伸方向における基端部側に比して、アームの延伸方向における先端部側の方が下方に位置するように形成されている。
【0165】
また、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットでは、第2接触面が、水平方向から見て、アームの基端部側に比して、アームの先端部側の方が上方に位置するように形成されていてもよい。
【0166】
以下、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットの一例について、図24図29を参照しながら説明する。
【0167】
[水平多関節ロボットの構成]
図24は、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットの概略構成を模式的に示す正面図である。なお、図24においては、水平多関節ロボットの上下方向及び前後方向を図に示す上下方向及び前後方向として表している。
【0168】
図24に示すように、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100は、天井から吊り下げられるように構成されている点が、実施の形態3に係る水平多関節ロボット100と異なる。以下、図25を参照しながら、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100と実施の形態3に係る水平多関節ロボット100との違いを説明する。
【0169】
図25は、図24に示す水平多関節ロボットにおける第1接続部の概略構成を示す断面図である。なお、図24においては、発明の理解を容易にするために、軸部材又は軸受部材と、アームと、の間に隙間を形成しているが、軸部材又は軸受部材と、アームと、を適宜な手段により、締結すると、当該隙間は形成されない。
【0170】
図25に示すように、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、軸受部材51の上端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第2アーム22の下端部に固定されている。
【0171】
また、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、第2接触面22Aは、第2アーム22の基端部側に対して、先端部側の方が、上方に位置するように形成されている。具体的には、例えば、第2接触面22Aは、第2アーム22の撓みを補正する観点から、第2アーム22の先端部側の端部が、基端部側の端部よりも0.1~1.0mm上方に位置するように形成されていてもよい。
【0172】
また、第2アーム22の第2接触面22Aは、第1アーム21の基端部側の軸心と鉛直方向に延びる仮想線Yとのなす角度が、予め設定されている所定の第1角度になるように形成されていてもよい(図27参照)。
【0173】
より詳細には、第2接触面22Aは、第1アーム21の姿勢(回動角度)に係らず、第1アーム21の基端部側の軸心と仮想線Yとのなす角度が第1角度になるように形成されている。ここで、第1角度θは、予め実験等により求めることができ、例えば、0.05~0.3°であってもよい。
【0174】
また、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、軸部材41の下端部が、適宜な手段(例えば、ボルト)により、第1アーム21の上端部に固定されている。
【0175】
第1接触面21Aは、第1アーム21の基端部側に比して、第1アーム21の先端部側の方が、下方に位置するように形成されている。具体的には、例えば、第1接触面21Aは、第1アーム21の撓みを補正する観点から、第1アーム21の先端部側の端部が、基端部側の端部よりも0.1~1.0mm下方に位置するように形成されていてもよい。
【0176】
また、第1アーム21の第1接触面21Aは、傾斜することにより、第1アーム21の先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されていてもよい(図28及び図29参照)。より詳細には、第1接触面21Aは、その傾斜角度が、第1アーム21の先端部側の軸心が鉛直方向に向くように形成されている。換言すると、第1接触面21Aは、水平方向から見て、第1アーム21の先端部が水平となるように形成されていてもよい。
【0177】
さらに、第2アーム22の第2接触面22Aには、密閉部材71が配置されている。同様に、第1アーム21の第1接触面21Aには、密閉部材72が配置されている。密閉部材71及び密閉部材72としては、例えば、Oリングを用いてもよい。
【0178】
密閉部材71及び密閉部材72により、第1接続部31の内部空間を密閉状態に保つことができる。このため、例えば、水平多関節ロボット100が、真空チャンバ内に配置されている場合には、当該真空チャンバ内の気密性を保つことができる。
【0179】
なお、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、第1接触面21Aが傾斜するように形成に配置されている形態を採用したが、これに限定されない。実施の形態3における変形例1の水平多関節ロボット100のように、第1接触面に代えて、第3接触面が傾斜するように形成されている形態を採用してもよい。
【0180】
[水平多関節ロボットの作用効果]
次に、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100の作用効果について、図24図29を参照しながら説明する。
【0181】
図26は、従来の水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。図27は、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットにおけるアームの撓み状態を示す模式図である。
【0182】
図26に示すように、従来の水平多関節ロボット100Aでは、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときには、第2アーム22の撓み量に、第1アーム21の撓み量が付加される。このため、水平多関節ロボット100A全体としての撓み量は、第1アーム21の先端部が第1状態にあるときの方が、第1アーム21の先端部が第2状態にあるときに比して、大きくなる。
【0183】
換言すると、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、では異なる。
【0184】
すなわち、従来の水平多関節ロボット100Aでは、ロボットの姿勢によって、その撓み量が異なる。このため、ロボットの姿勢によって、教示した位置座標からのずれる量が異なるため、操作者による教示作業が煩雑となるおそれがあった。
【0185】
一方、図27に示すように、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、第2アーム22の第2接触面22Aが、第2アーム22の基端部側に対して、先端部側の方が、上方に位置するように形成されている。
【0186】
これにより、第2アーム22の撓みを補正することができ、第2アーム22の撓みによる第1アーム21への影響を低減することができる。
【0187】
また、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの第1アーム21の撓み量を従来の水平多関節ロボット100Aに比して小さくすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0188】
また、図27に示すように、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、第1アーム21の先端部が、第1状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Aとのなす角度θAと、第1アーム21の先端部が、第2状態にあるときの仮想線Yと第1アーム21の基端部の軸心L1Bとのなす角度θBと、が第1角度θとなるように、第1リング部材61が形成されている。
【0189】
これにより、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、ロボットの姿勢に係らず、第1アーム21の撓む量が同じとなる。したがって、ロボットの姿勢に係らず、教示した位置座標からのずれる量が同じとなるため、操作者による教示作業の負担を軽減することができる。
【0190】
図28及び図29は、本実施の形態4に係る水平多関節ロボットの要部を示す模式図である。
【0191】
図28及び図29に示すように、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、第1アーム21の第1接触面21Aは、第1アーム21の基端部側に比して、第1アーム21の先端部側の方が、下方に位置するように形成されている。
【0192】
これにより、第1アーム21の撓みを補正することができ、教示した位置座標からのずれを小さくすることができる。このため、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0193】
また、本実施の形態4に係る水平多関節ロボット100では、第1接触面21Aが、傾斜することにより、第1アーム21の先端部側の軸心(回転軸L3)が鉛直方向に向くように形成されている。これにより、第1アーム21の先端部を水平にすることができる。このため、ロボットが動作するときに、教示した位置座標からのずれを小さくすることができ、ロボットの作業精度の低下を抑制することができる。
【0194】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明の水平多関節ロボットは、アームの撓みによる変位量を一定にし、ロボットの作業精度の低下を抑制し、かつ、操作者による教示作業の効率化を図ることができ得るため、有用である。
【符号の説明】
【0196】
1 ハンド
2 マニピュレータ
10 制御装置
20 基台
20A 第3接触面
21 第1アーム
21A 第1接触面
22A 第2接触面
22 第2アーム
22B 第1接触面
31 第1接続部
32 第2接続部
33 第3接続部
41 軸部材
51 軸受部材
61 第1リング部材
62 第2リング部材
63 第3リング部材
64 第4リング部材
71 密閉部材
72 密閉部材
73 密閉部材
74 密閉部材
75 密閉部材
76 密閉部材
77 密閉部材
78 密閉部材
100A 水平多関節ロボット
100 水平多関節ロボット
L3 回転軸
L1B 軸心
L1A 軸心
Y 仮想線
L3 回転軸
L1 回転軸
L2 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29