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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20231023BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20231023BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20231023BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20231023BHJP
【FI】
F01N3/08 B
B01D53/94 400
F01N3/24 N
F01N13/08 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020544675
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 AT2019060062
(87)【国際公開番号】W WO2019161427
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】A50166/2018
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597083976
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AVL LIST GMBH
【住所又は居所原語表記】HANS-LIST-PLATZ 1,A-8020 GRAZ,AUSTRIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,カール‐ハインツ
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0024985(US,A1)
【文献】特開2007-016613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
B01D 53/94
F01N 3/24
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのガスを導通するガスガイド導管(4)を有する混合装置(101)であって、
当該混合装置(101)には液体を噴射するための少なくとも一つの噴射装置(40)が配備されており、
当該噴射装置(40)の下流側には当該ガスガイド導管(4)のガス流内に突き出す、少なくとも一つの第一のガイド要素(1、1′、1″)が配置されている混合装置(101)において、
前記ガスガイド導管(4)は前記第一のガイド要素(1、1′、1″)の直接下流側において前記ガスガイド導管(4)の導管壁の少なくとも一つの膨隆部(3、3′、3″)を有し、
前記第一のガイド要素(1、1′、1″)は、前記膨隆部(3、3′、3″)の各縁端(12)において前記膨隆部(3、3′、3″)の上流側の側面に配置されていることを特徴とする混合装置(101)。
【請求項2】
前記噴射装置(40)の少なくとも一つの噴射ノズルが前記第一のガイド要素(1、1′、1″)に向けられていることを特徴とする、請求項1に記載の混合装置(101)。
【請求項3】
少なくとも前記第一のガイド要素(1、1′、1″)と前記導管壁(41)とが一体的に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の混合装置(101)。
【請求項4】
前記膨隆部(3、3′、3″)は、少なくとも部分的に球状又は円筒状の形を有することを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項5】
前記第一のガイド要素(1、1′、1″)は、前記膨隆部(3、3′、3″)に対して凹状の隆起を有することを特徴とする、請求項1から4のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項6】
少なくとも二つの第一のガイド要素(1、1′、1″)が好ましくは同じ流れ高さに設けられており、前記導管壁(41)の一つの膨隆部(3、3′、3″)が前記各第一のガイド要素(1、1′、1″)の直接下流側に配置されており、好ましくは前記各第一のガイド要素(1、1′、1″)に対して一つの膨隆部(3、3′、3″)が設けられていることを特徴とする、請求項1から5のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項7】
前記膨隆部(3、3′、3″)が自身の内側において第一の流面(31)を、前記第一のガイド要素(1、1′、1″)が自身の前記膨隆部(3、3′、3″)に対向する側面において第二の流面(11)を有し、前記第一の流面(31)と前記第二の流面(11)とが好ましくは連続して互いに結合することを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項8】
前記膨隆部(3、3′、3″)は、前記ガスガイド導管(4)の全内周に亘って広がっており、及び/又は、前記第一のガイド要素(1、1′、1″)は前記ガスガイド導管(4)の全内周に亘って広がっていることを特徴とする、請求項1から7のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項9】
前記ガスの主流方向に投影してみた場合、前記第一のガイド要素(1、1′、1″)の各面積の合計が前記ガスガイド導管(4)の断面積の少なくとも25%であることを特徴とする、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項10】
前記第一のガイド要素(1、1′、1″)の下流側において少なくとも一つの第二のガイド要素(2)が配置されており、好ましくは前記第二のガイド要素(2)が前記膨隆部(3、3′、3″)の直接下流側に配置されていることを特徴とする、請求項1から9のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項11】
前記膨隆部(3、3′、3″)の高さにおいて少なくとも一つの、好ましくは少なくとも二つの同心円状に配置されたノズル体(8、9)が前記ガスガイド導管(4)内に設けられており、前記各ノズル体は好ましくは円対称に構成されている及び/又は同心円状に配置されていることを特徴とする、請求項1から10のうちいずれか一項に記載の混合装置(101)。
【請求項12】
ガス又はガス混合物を混合する方法であって、
当該ガス又は当該ガス混合物は少なくとも一つのガスガイド導管(4)内を案内され、噴射装置(40)から液体が前記ガスガイド導管(4)内へと噴射され、当該ガス又は当該ガス混合物は当該噴射装置(40)の下流側において少なくとも一つの第一のガイド要素(1、1′、1″)によって少なくとも部分的に方向転換される方法において、
前記ガス又は前記ガス混合物の少なくとも一部が前記第一のガイド要素(1、1′、1″)の直接下流側における少なくとも一つの膨隆部(3、3′、3″)内において追加的に方向転換させられ
前記第一のガイド要素(1、1′、1″)は、前記膨隆部(3、3′、3″)の各縁端(12)において前記膨隆部(3、3′、3″)の上流側の側面に配置されていることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ガス又は前記ガス混合物の少なくとも一部は、前記膨隆部(3、3′、3″)内において旋回させられることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体の少なくとも一部が前記第一のガイド要素(1、1′、1″)の方向に噴霧されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一のガイド要素(1、1′、1″)は、両面において前記ガス又は前記ガス混合物によって流過されることを特徴とする、請求項12から14のうちいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのガスを導通するガスガイド導管を有する混合装置であって、当該混合装置には液体を噴射するための少なくとも一つの噴射装置が配備されており、当該噴射装置の下流側には当該ガスガイド導管のガス流内に突き出す、少なくとも一つの第一のガイド要素が配置されている混合装置に関する。
【0002】
加えて本発明は、ガス又はガス混合物を混合する方法であって、当該ガス又は当該ガス混合物は少なくとも一つのガスガイド導管内を案内され、噴射装置から液体が前記ガスガイド導管内へと噴射され、当該ガス又は当該ガス混合物は当該噴射装置の下流側において少なくとも一つの第一のガイド要素によって少なくとも部分的に方向転換される方法に関する。
【背景技術】
【0003】
機械製造において混合装置は、例えば内燃機関の排気ガス後処理装置や、燃料によっては燃料電池における予熱ユニットなど、多用途について用いられる。特に車両の内燃機関の排気ガス後処理には多くの場合、排気ガスと反応するために排気ガス導管に噴射される液状の添加物が用いられる。特に尿素溶液は、ディーゼル排気ガスの選択的触媒反応のためにSCR触媒(「選択式触媒反応」)に関連して窒素酸化物などの含窒素化合物の分解用として定着している。ここで排気ガスにおける添加物の最適分配、排気ガスとの混合及び噴射される当該排気ガス導管に対する当該添加物の付着の防止が重視される。特に尿素溶液の場合、尿素が導管壁において結晶化するという危険が生じる。これにより流れ抵抗が高くなる、あるいは尿素結晶が下流側における構成要素の損傷につながり得る。
【0004】
米国特許出願公開第2015/0059319号明細書は、各ガイド要素が噴射場所の下流側において排気ガス導管内へと突き出ている混合装置について記述している。当該各ガイド要素は、当該排気ガスの方向転換、旋回及び混合を実施する役割を果たす。しかしながら当該ガイド要素の後流において当該添加物の付着が蓄積し得ることが短所であり、これら付着を再び除去するのは不可能あるいは極めて困難であるため、当該添加物が当該導管壁上に固化及び結晶化する可能性がある。
【0005】
米国特許出願公開第2014/0230149号明細書は、導管壁に排気ガスの混合ないし旋回を起こすための膨隆部を設けるという代わりとなる解決方法を教示している。しかしながら多くの場合、排気ガスないし排気ガスと添加物の最適な混合を得るには旋回の強さが不十分である。加えて強く流過されないが故に冷たい膨隆部において完全には再び蒸発しない付着が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2015/0059319号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0230149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、ガス又はガス混合物の混合、及び、ガス又はガス混合物と液体との混合の改良を可能にする、混合装置ないし排気ガスを後処理する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においてこの課題は、冒頭で述べた混合装置において、当該第一のガイド要素の直接下流側にある当該ガスガイド導管が当該ガスガイド導管の当該導管壁において少なくとも一つの膨隆部を有することによって解決される。換言すると排気ガスの少なくとも一部が当該第一のガイド要素の直接下流側における少なくとも一つの膨隆部内において追加的に方向転換される。これにより一方では当該ガス又は当該ガス混合物の均質化、他方では噴入された液体との混合が生じる。
【0009】
ここで「下流側」という表現は、当該混合装置の用途における当該ガスガイド導管内を案内されるガス又はガス混合物の流れ方向に対するものと理解される。
【0010】
本開示の範囲において「膨隆部」とは、当該ガスガイド導管の直径を広げる、当該ガスガイド導管の外壁の変形と理解される。したがって膨隆部は―ガスガイド導管の直径の形状に関わらず―当該ガスガイド導管に対して半径方向外側に広がっている。
【0011】
「直接」とは、第一のガイド要素と膨隆部の隣接した配置であると理解されるため、当該膨隆部は当該第一のガイド要素に直接隣接する。これにより当該ガス又は当該ガス混合物を追加的に方向転換させることができるため、ガス流における乱流を生成してよりよい混合につながる。当該第一のガイド要素と当該膨隆部は、循環空間を形成し、当該循環空間の内部において当該ガスの少なくとも一部が循環可能である。これにより当該ガスの主流方向に対向し当該第一のガイド要素の方向に向かう、当該膨隆部に沿った逆流が生じるため付着した液体が当該第一のガイド要素に向かって案内される。
【0012】
本発明における混合装置を内燃機関の排気ガス後処理装置において使用する場合、当該第一のガイド要素に向かって熱い排気ガスが流れることで当該排気ガスから当該ガイド要素への良好な熱伝達が行われて当該ガイド要素が当該排気ガスによって特によく加熱されることにより噴入された当該液体の蒸発を容易にする、ないし噴入された液体の付着を防止する、又は少なくとも低減する。当該液体が完全に蒸発しない場合、当該液体が当該第一のガイド要素において当該ガイド要素の縁まで移動し得て当該縁から排気ガスによって運び去ることができる。加えて上記の装置によって高い度合いの当該排気ガスの混合が得られ、さらに有利である。
【0013】
当該ガス又は当該ガス混合物―例えば当該排気ガス―の少なくとも一部が当該膨隆部内で旋回可能である場合、特に有利である。当該旋回により当該ガス自体が混合されて当該噴入された液体が当該ガスに対して均質に分散され、加えて当該膨隆部に付いた液体の受容も最適化される。
【0014】
当該第一のガイド要素が両面においてガス又はガス混合物によって流過されると当該第一のガイド要素に対する液体の付着をさらに減らすことが可能である。ここでは当該第一のガイド要素の両方の流面がガス又はガス混合物によって流過されることを意味し、このことは特に当該膨隆部内における流れ方向の方向転換によって生じる。
【0015】
ここで当該ガス又は当該ガス混合物の主流方向に投影して見た場合、当該第一のガイド要素が当該膨隆部全体を覆っている、又は部分的にのみ覆っているように設けることが可能である。
【0016】
当該噴射装置の少なくとも一つの噴射ノズルが当該第一のガイド要素に向けられていることが有利である。換言すると当該液体の少なくとも一部が当該第一のガイド要素の方向へと噴霧される、又は当該噴射ノズルの噴出方向が当該第一のガイド要素に向けられているように当該噴射装置が配置されている。したがって、特に、当該噴射装置が当該混合装置の一部である、ないし当該第一のガイド要素が当該噴射装置の噴霧範囲内及び/又はノズル範囲内に配置されていることが有利である。
【0017】
これにより当該液体の分散がさらに改良される。当該第一のガイド要素の上流側に配向された各面上に付着する液体は、当該面が強く流過されることで素早く再びガス流に吸収される。
【0018】
好ましい実施形態においては、少なくとも当該第一のガイド要素と当該導管壁が一体的に構成されているように設けられる。これにより限られた個数の個々の構成要素を用いて頑丈で製造が容易な形態を構成する。ここでまずは当該導管壁の当該膨隆部を形成する部分を当該第一のガイド要素と共に製造し、その後残りの当該導管壁と結合することが可能である、又は当該第一のガイド要素を完成した当該導管壁に対して後に導入、例えば溶接することが可能である。
【0019】
さらに当該膨隆部が少なくとも部分的に球状あるいは円筒状の形を有することが有利である。これにより当該膨隆部内の流れの循環が前述のすべての利点を享受する。
【0020】
さらに当該第一のガイド要素が当該膨隆部に対して凹状の隆起を有する場合には当該ガス又は当該ガス混合物の流れがさらに改良され得る。換言すると当該ガイド要素は当該膨隆部から離れて当該流れの方向に対向して隆起するように構成されている。これにより当該逆流が当該第一のガイド要素の当該隆起に沿って案内され得るため、まだ液状の当該付着の運搬を改良する。当該隆起と当該膨隆部とによって特に大きな循環空間が形成される。
【0021】
当該混合をさらに改良するために少なくとも二つの第一のガイド要素を好ましくは同じ流れ高さに設けることが可能であり、当該導管壁の一つの膨隆部がそれぞれの当該第一のガイド要素の直接下流側に配置されており、それぞれの当該第一のガイド要素毎に当該導管壁の一つの膨隆部が設けられていることが好ましい。当該ガスガイド導管の円周に沿って互いに対して等間隔に三つの第一のガイド要素が設けられていることが好都合である。
【0022】
ここで流れ高さとは、当該ガスの当該主流方向の垂直平面、すなわち実質的に当該主流方向に対して垂直、あるいは当該ガスガイド導管の長手方向軸に対して垂直である当該ガスガイド導管の横断面であると理解される。特に当該各第一のガイド要素が横断面において均等に分散されている場合、特に均質な混合を保証することが可能となる。その意味では、それぞれの当該第一のガイド要素に対して当該噴射装置の少なくとも一つの噴射ノズル(又は噴射ノズルの噴出方向)が向けられていることが特に有利である。
【0023】
当該膨隆部が自身の内側において第一の流面と当該ガイド板が自身の当該膨隆部に対向する側面において第二の流面を有することも有利であり、ここで当該第一の流面と当該第二の流面が連続して互いに結合することが好ましい。当該膨隆部の内側とは、当該流れ方向から見て当該ガスガイド導管の直径が当該ガスガイド導管の残りにおける直径よりも大きくなっている当該膨隆部の部分を意味する。これにより当該液体が当該面上で良好に流れることで当該第一のガイド要素への当該液体の流れの搬送を容易にする。したがって当該流面の領域における付着を防止することもできる。
【0024】
有利な実施形態において当該膨隆部が当該ガスガイド導管の全内周に亘って広がっている、及び/又は当該第一のガイド要素が当該ガスガイド導管の全内周に亘って広がっているよう設けられている。これにより当該ガス又はガス混合物自体の、あるいは液体との特に均一な混合が可能となる。ここで当該窪みは、当該ガスガイド導管の当該導管壁に沿って自身の形状を変えることも可能である。ここで当該第一のガイド要素も同様に当該ガスガイド導管の当該導管壁に沿って自身の形状を変えることも可能である。
【0025】
当該ガス又は当該ガス混合物の完全な混合を可能にするため、当該ガスの当該主流方向に投影して見た場合、当該第一のガイド要素の当該各面積の合計が当該ガスガイド導管の断面積の少なくとも25%であることが有利である。これによりガスと液体の間の高い混合効果が得られ、当該ガスガイド導管の中心において案内されたガスが残りのガス又は噴入された液体と混合されないように防止する。同じ流れ高さに配置された第一のガイド要素の当該面積の合計が当該ガスガイド導管を流れるガスの主流方向に投影して当該ガスガイド導管の断面積の少なくとも25%を覆うことが特に有利である。
【0026】
当該混合をさらに強くするために当該第一のガイド要素の下流側に少なくとも一つの第二のガイド要素が配置されることが可能であり、この際当該第二のガイド要素が当該膨隆部の直接下流側に配置されていることが好ましい。これによりガスと液体のさらに改良された混合が得られる。ここで当該第二のガイド要素は、当該第一のガイド要素と当該膨隆部とによって誘発された流れ及び旋回に対して影響を与えるあるいは実質的に当該流れ及び旋回に対して効果を及ぼさないように配置又は形成され得る。基本的にさらに別のガイド要素を当該第一のガイド要素の上流側に配置することも可能である。
【0027】
当該膨隆部に対して当該第二のガイド要素を直接下流側に配置することで、当該第二のガイド要素は当該第一のガイド要素と当該膨隆部とによって誘発される流れに寄与して当該流れを強めることが可能である。
【0028】
本発明の別の様態においては、当該膨隆部の高さにおいて少なくとも一つの、好ましくは少なくとも二つの同心円状に配置されたノズル体が当該ガスガイド導管内に設けられており、当該ノズル体は円対称に構成される及び/又は同心円状に配置されているのが好ましい。例えばラバルノズル状の当該ノズル体は、当該流れ及び旋回を強くする、ないし、操向する上で役立ち、この際ノズル体とガイド要素の間には小さな間隔のみがある場合は特に有利である。当該形態では当該ガイド要素とノズル体の間の当該空間によって膨隆部と第一のガイド要素の間の当該領域からガスが吸引されることで当該循環流が強くされ得る。
【0029】
二つ又はそれ以上のノズル体が同心円状に配置されていてもよいが、複数のノズル体が前後に又は並んで配置されることも考え得る。
【0030】
加えて本発明の課題は、冒頭で述べた方法によって解消され、本発明においては当該ガス又は当該ガス混合物の少なくとも一部が当該第一のガイド要素の直接下流側における少なくとも一つの膨隆部内において追加的に方向転換される。
【0031】
当該ガス又は当該ガス混合物の少なくとも一部が当該膨隆部内において旋回されることが好都合である。
【0032】
本発明の別の様態においては、当該液体の少なくとも一部が当該第一のガイド要素の方向に噴霧される。当該第一のガイド要素が面において当該ガス又は当該ガス混合物によって流過されることが好都合である。
【0033】
以下に本発明について各図に示されている、限定するものではない実施形態に基づいて詳述する。図示されているのは、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の混合装置の第一の実施形態における一部を部分的に切り欠いた斜視図である。
図2図3の線II-IIに沿った当該第一の実施形態の断面図である。
図3図2の線III-IIIに沿った当該第一の実施形態の当該部分の縦断面図である。
図4】本発明の混合装置の第二の実施形態における一部を部分的に切り欠いた斜視図である。
図5図6の線V-Vに沿った図4における当該第二の実施形態の当該部分の断面図である。
図6図5の線VI-VIに沿った当該第二の実施形態の当該部分の縦断面図である。
図7】部分的に切り欠いたガスガイド導管の第三の実施形態における本発明の混合装置の一部の斜視図である。
図8図9の線VIII-VIIIに沿った当該第三の実施形態の当該部分の断面図である。
図9図8の線IX-IXに沿った当該第三の実施形態の当該部分の縦断面図である。
図10】第四の実施形態における本発明の混合装置の一部を部分的に切り欠いたないし透視した斜視図である。
図11】本発明による混合装置を有する排気ガス後処理装置を有する内燃機関の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下において内燃機関の排気ガス後処理装置における可能な用途における本発明による混合装置又は本発明による方法の利点について説明する。冒頭で述べたとおり例えば燃料電池などその他の構造における使用も可能である。
【0036】
したがって、図11は、例示的な実施例として、本発明による混合装置101を有する排気ガス後処理装置を有する、排気ガス導管4として構成されているガスガイド導管を有する内燃機関100の一部が示されている。以下において当該ガスガイド導管を「排気ガス導管」と称し、その符号を「4」とする。当該ガスガイド導管において流れる当該ガス又は当該ガス混合物は排気ガスである。
【0037】
当該排気ガス後処理装置は、一連の排気ガス後処理要素102、103、104を有し、当該排気ガス後処理要素は例えばSCR要素、DOC要素、LNT要素、sDPF要素、DPF要素あるいはその他の構成要素として構成され得て、当該排気ガスの流れ方向から見て前後に配置されている。本発明による混合装置101の上流側には噴射装置40が配置されており、当該噴射装置を用いて例えば尿素又は尿素溶液などの還元剤などの添加物の形における液体が当該排気ガス導管4へと導入され得る。
【0038】
図1図2及び図3においては、排気ガスがその中を流れる当該排気ガス導管4の導管壁41の合計三つの第一のガイド要素1、1′、1″と三つの膨隆部3、3′、3″を有する本発明による混合装置101の第一の実施例が示されており、ここで当該第一のガイド要素1、1′、1″は、図示されない噴射装置の下流側に配置されている。当該排気ガスの主流方向5は矢印で示されている。当該第一のガイド要素1、1′、1″と当該膨隆部3、3′、3″とは視認性を高めるために部分的に切り欠かれて示されている。当該膨隆部3、3′、3″の領域において当該排気ガス導管4の当該導管壁41の直径がその前後よりも大きい。当該膨隆部3、3′、3″の領域において当該排気ガス導管4の当該導管壁41が半径方向において当該排気ガス導管4の長手方向軸XXから離れるように広がっている。
【0039】
当該第一のガイド要素1、1′、1″は、当該膨隆部3、3′、3″の各縁端12において当該膨隆部の上流側の側面に配置されており、これにより直接当該膨隆物と隣接している。当該排気ガス導管4は当該三つの膨隆部3、3′、3″を有する、実質的に丸い筒として構成されており、これにより当該排気ガス導管4の縦方向の延長に沿って当該排気ガスの主流方向5を定める。当然本発明を異なる横断面を有するガスガイド導管においても実施することが可能である。
【0040】
当該第一のガイド要素1、1′、1″は、当該排気ガス導管4の同じ高さにあり、これにより同じ流れ高さにもある。当該第一のガイド要素は当該導管壁41上に溶接されており、よって当該導管壁と一体的に結合されている。当該膨隆部3、3′、3″は、少なくとも部分的に球状又は円筒状に構成されており、ボールセグメントの形状を有し、実質的に連続した各第一の流面31を有し、当該各第一の流面は当該膨隆部3、3′、3″を形成する当該導管壁41の部分の全内面に亘って広がっている。当該第一のガイド要素1、1′、1″は、当該膨隆部3、3′、3″に対して凹状に隆起しており、当該膨隆部3、3′、3″の上流側の側面を完全に覆う。これにより当該排気ガスは、まずは当該第一のガイド要素1、1′、1″を通り越して流れてから初めて当該膨隆部3、3′、3″内に流れ得る。当該第一のガイド要素1、1′、1″は、実質的に連続した各第二の流面11を有し、当該第二の流面は当該第一のガイド要素1、1′、1″の当該膨隆部3、3′、3″に対向する全側面に亘って広がっている。当該各第一の流面31と当該各第二の流面11は、互いに隣接しているが連続して互いに結合するのではなく折曲縁を有する。当該形態によって当該膨隆部3、3′、3″と当該第一のガイド要素1、1′、1″とによって部分的に開放された各循環空間6が形成され、当該循環空間の内部において逆流7が生じ得て、当該逆流が当該第一の及び当該第二の流面31、11の排気ガスを当該膨隆部3、3′、3″の下流側の側面から当該膨隆部3、3′、3″の上流側の側面そして当該第一のガイド要素1、1′、1″の当該下流側の側面に沿って送る。これにより一方では当該第一のガイド要素1、1′、1″の下流側の流過と他方では当該排気ガスの旋回も生じる。図2において当該各第一のガイド要素1の各面積の合計が当該主流方向5に投影して見た場合、当該排気ガス導管4の断面積の少なくとも50%以上であることが見受けられる。
【0041】
図4図5及び図6においては、第二の実施形態が図示されており、当該第二の実施形態は一つのリング状の第一のガイド要素1と単一のトーラス状の膨隆部3のみを有する。当該第一のガイド要素1と当該膨隆部3とは当該排気ガス導管4の全内周に亘って広がっている。当該膨隆部3は、実質的に円筒状の中間セグメント33並びに当該中間セグメントの各端部において湾曲したセグメント32、34を有し、当該セグメントは横断面において実質的に円セグメントの形状を有する。ここで当該第一のガイド要素1は当該排気ガス導管4の内部空間に突き出す、当該膨隆部3に向かって傾むく、当該上流側の湾曲セグメント34の延長として構成されている。これにより一方では当該第一の流面31と当該第二の流面11とがこれによって連続的に互いに結合し、他方では当該膨隆部3を形成する当該導管壁41の部分が当該第一のガイド要素1と共に一体的に製造され、後に当該導管壁41の上流側及び下流側の部分と結合され得るという利点を奏する。これは製造が特に容易である別実施形態を表している。
【0042】
これにより大きな循環空間6が定められ、当該循環空間内において逆流7が当該膨隆部3の下流側の各領域において当該排気ガス導管4の中心から当該導管壁41の方向へ、当該主流方向5に対向して当該導管壁41沿いと当該膨隆部3の上流側の側面と当該第一のガイド要素1の下流側の側面に沿って当該排気ガス導管4の中心内へと延びる。補助的に当該膨隆部3の高さにおいて当該第一のガイド要素1から距離をおいて二つのリング状で互いに対して同心円状に配置されたノズル体8、9が配置されている。ここで特に当該ノズル体8、9は、円対称に構成されており当該排気ガス導管4の長手方向軸XXに対して同心円状に配置されている。
【0043】
また当該ノズル体は、当該導管壁41に対して凹状に隆起しており、当該外側のノズル体8は自身の下流側において当該第一のガイド要素1を超える。これにより通過隙間10が生じ、これにより当該第一のガイド要素1と当該外側のノズル体8がベンチュリノズルとして機能し、排気ガスを当該膨隆部3の当該上流部分から吸い出す。このことは逆流7を強め、これに伴い混合と旋回を強める。当該ラバル上のノズル体8、9の下流側の部分は当該膨隆部3の方向において隆起しており、当該排気ガスを当該排気ガス導管4の中心から当該排気ガス導管4の当該導管壁41の方向へと案内し、このことが同様に逆流7に貢献する。
【0044】
図7図8及び図9は第三の実施形態を図示しており、当該第三の実施形態は当該第二の実施形態に似ているものの、ここではリング状の第二のガイド要素2が設けられており、当該第二のガイド要素が当該膨隆部3の下流側の縁に設けられている。当該第一のガイド要素1と同様、当該第二のガイド要素2も一体的且つ当該膨隆部3の内部へ突き出す、当該膨隆部3を形成する当該導管壁41の部分の延長として構成されている。ここで「内部へ突き出す」とは当該第二のガイド要素2が当該長手方向軸XXに沿って当該膨隆部3の当該領域内に広がっていることを意味する。これにより当該部分を特に容易に製造することが可能である。当該第二のガイド要素は、当該膨隆部3に対して凹状の隆起を有することで当該第一のガイド要素1と当該第二のガイド要素2が互いに対して傾いている。これにより当該膨隆部3の領域における当該逆流7をさらに強める。
【0045】
図10において本発明の実施形態が示されており、ここでは排気ガス導管4の部分断面における、配備された噴射装置40を有する当該混合装置101が図示されている。当該噴射装置40は、排気ガス後処理装置の場合、例えば液状の添加物などの液体を噴入又は噴射するのに役立つ。図10における図では当該噴射装置40が当該混合装置101の一部であるものの、他の実施例においてはさらに離れて位置付けられていることも可能である。
【0046】
図10において、当該排気ガス導管4は、第一の区画Aにおいて切り欠かれた形で示されているが、区画Bにおいて当該排気ガス導管は外側からしか見えない。
【0047】
図10において当該噴射装置40が当該排気ガス導管4内において当該三つの膨隆部3、3′、3″の上流側に配置されて三つの噴射ノズルを有する。各ノズルの噴出方向は、一つの第一のガイド要素1、1″の方向に向いて噴霧方向に拡大する噴霧コーン42内で液状の添加物を噴霧する。もし添加物が当該第一のガイド要素1、1″上に付着すると、当該添加物は直ちに通り越して流れる排気ガスによって取り込まれる、又は当該第一のガイド要素1、1″の隆起した形状によって当該第一のガイド要素の端に運搬されてそこで当該排気ガスに押し流される。
【0048】
内燃機関100の排気ガス後処理装置における用途を用いて示したとおり、本発明におけるガス又はガス混合物を混合する方法においてガス又はガス混合物が少なくとも一つのガスガイド導管4に案内され、噴射装置40からの液体が当該ガスガイド導管4内に噴射され、この際に当該ガス又は当該ガス混合物が当該噴射装置40の下流側において少なくとも一つの第一のガイド要素1、1′、1″によって少なくとも部分的に方向転換される。当該ガス又は当該ガス混合物の少なくとも一部は、当該第一のガイド要素1、1′、1″の直接下流側における少なくとも一つの膨隆部3、3′、3″内において追加的に方向転換又は旋回させられる。この際当該液体―排気ガス後処理装置の場合は尿素又は尿素溶液あるいはその他の適切な添加物―の少なくとも一部が当該第一のガイド要素1、1′、1″の方向に噴霧又は噴入される。当該第一のガイド要素1、1′、1″が両面において当該ガス又は当該ガス混合物―排気ガス後処理装置の場合は特に熱い排気ガス―によって流過される場合、当該液体が蓄積することを防止することが可能である。
図1
図2
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図4
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図7
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図9
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図11