(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】チューブ装着ガイド及び確認を伴う注入ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20231023BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61M5/142 502
A61M5/168 502
A61M5/168 510
(21)【出願番号】P 2020558869
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 US2019032442
(87)【国際公開番号】W WO2019222365
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】バンダール, バギエシュ キショール
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, スティーヴン ワード
(72)【発明者】
【氏名】ヘキサメル, アーロン エム.
(72)【発明者】
【氏名】スレイビー, ジリ
(72)【発明者】
【氏名】メイン, ジェイソン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】オフスレイガー, スコット クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワレス, モリス ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】チンサパッリ, キールシカ ラクシュミ ニハリカ
(72)【発明者】
【氏名】ボージャン, ピーター エム.
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204092(WO,A1)
【文献】特開平01-265973(JP,A)
【文献】特開平06-015001(JP,A)
【文献】特開2007-222485(JP,A)
【文献】特開2008-289635(JP,A)
【文献】特表平11-507860(JP,A)
【文献】特表2007-528236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0105955(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入ポンプであって、
枢動するように取り付けられたドアを有するハウジングと、
少なくとも部分的に
前記ハウジング上の前記ドアの背後に配置され、前記注入ポンプ内にチューブを保持するように構成され
たチューブチャネルと、
前記ドアの背後に配置されたシャトルを含む圧送機構と、
前記チューブチャネルに沿った装着点における前記チューブの存在を検出するように構成された1つ又は複数の圧力センサ及び前記注入ポンプに配置された
追加の1つ又は複数のセンサからの1つ又は複数の入力に基づいて、摺動クランプをチャネルから自動的に排出するように構成されたソレノイドを含む摺動クランプ排出機器と、
を備え
、
前記チューブが導入され装着されており、かつ前記ドアが閉じられ係止されて閉鎖状態であることが、前記1つ又は複数の入力によって確定されると、前記摺動クランプが前記チャネルから自動的に排出される、注入ポンプ。
【請求項2】
前記摺動クランプが前記チャネル内に挿入された後に、前記チューブが閉塞状態となる、請求項1に記載の注入ポンプ。
【請求項3】
前記1つ又は複数のセンサが、前記ドアが閉鎖状態に置かれたときを検出するように構成された第1のホール効果センサと、前記ドアが前記閉鎖状態に置かれつつ係止されたときを検出するように構成された光学IRセンサと
、バルブが閉鎖されて前記チューブが閉塞状態となったことを検出するように構成された第2のホール効果センサとのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の注入ポンプ。
【請求項4】
前記摺動クランプが排出状態であり、前記ドアが
前記閉鎖状態であるとの確認を受信した後に、注入を開始するように構成された、請求項3に記載の注入ポンプ。
【請求項5】
前記摺動クランプが前記チャネル内に挿入された後に、前記ドアが、ロック解除となって、閉鎖状態と開放状態との間で遷移するように構成された、請求項1~4のいずれか一項に記載の注入ポンプ。
【請求項6】
センサをさらに備え、前記センサが、前記チャネル内の前記摺動クランプの存在を検出する、請求項1~5のいずれか一項に記載の注入ポンプ。
【請求項7】
前記センサが、ホール効果センサである、請求項6に記載の注入ポンプ。
【請求項8】
チューブ装着ガイドシステムをさらに備え、前記チューブ装着ガイドシステムが、チューブ装着中に、ユーザをガイドするように構成された1つ又は複数の視覚的指示部を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の注入ポンプ。
【請求項9】
前記視覚的指示部が、第1の発光ダイオード、第2の発光ダイオード、及びディスプレイを含み、前記第1の発光ダイオード及び前記第2の発光ダイオードが、前記注入ポンプにおける各装着点にチューブが適正に装着されているか否かを示すように構成された、請求項8に記載の注入ポンプ。
【請求項10】
閉塞センサをさらに備え、前記閉塞センサが、前記注入ポンプに接続された注入ラインが遮断されているかを判定するように構成された、請求項1~9のいずれか一項に記載の注入ポンプ。
【請求項11】
前記閉塞センサが、力曲線の勾配、圧力曲線の勾配、基準力測定結果との比較、基準圧力測定結果との比較、又は前記力曲線の下側の面積のうちの1つを計算することにより、注入ラインが遮断されているかを判定する、請求項10に記載の注入ポンプ。
【請求項12】
加速度計をさらに備え、前記加速度計が、閉塞又は前記注入ポンプに対する外部衝撃の有無の少なくとも一方を検出するように構成された、請求項1~11のいずれか一項に記載の注入ポンプ。
【請求項13】
少なくとも1つの他の注入ポンプ又は注射器ポンプを備えたラック内に配置される、請求項1~12のいずれか一項に記載の注入ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、2018年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/671,858号「INFUSION PUMP」の利益及び優先権を主張するものであり、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]従来の医療用注入ポンプは、流体を患者へと圧送する多種多様な方法を含んでいる。これらの方法のうち、最も一般的なものは、蠕動ポンプである。蠕動ポンプにおいては、実質的に直線状の前進において、複数のアクチュエータ又はフィンガが非経口流体送達チューブを揉むように機能する。蠕動圧送技術に関する第1の問題として、チューブが同一の様態で繰り返し変形されることから、時間の経過とともにチューブの弾性回復特性が破壊され、チューブが圧縮態様を維持するようになる。このチューブの弾性回復特性の破壊によって、ポンプの容積出力は経時的に著しく変化する。医療用流体の容積送達に用いられる別の一般的な種類のポンプは通常、カセットポンプとして知られている。カセットポンプは、蠕動ポンプにおいて明らかとなっている相当に急速な性能低下を示しはしないが、相当に複雑なポンプカセットをIVチューブと一体化する必要がある。これでは、患者に送達される薬剤をオペレータが変更したい場合にいつでも、IVセットと併せてカセットを変更する必要があるため費用の追加となり、患者ケアのコストが大幅に増大する。また、蠕動ポンプ及びカセットポンプの両者のほか、市場に存在する他の注入機器は、IVセットが適当に装着されるように、特定の圧送機器に関する相当に複雑な知識を要するため、医療用注入ポンプは一般的に、病院環境における看護又は医療スタッフの管轄に過ぎなかった。
【0003】
[0003]当技術分野においては、セットをIVポンプに手動で装着する必要性が共通する。一般的に、当技術分野においては現在のところ、標準的なIVセットが用いられる場合は、前述の精度の急速な低下のほか、上記ポンプへのセットの正しい装着に関する困難にも直面する。医療用注入ポンプに関する装着技術の最先端は、圧送機器とドア又はカバーとの間のIVチューブを包囲するとともに、漸進的により複雑なセンサ及びアラームを追加することによってチューブがポンプに正しく装着されるようにする状態にしか進んでいない。それでも、誤装着が発生し得るため、病院スタッフの責任として、重大なエラーを最小限に抑える大きな努力が求められる。
【0004】
[0004]また、注入ポンプの最先端では、IVセットのポンプに対する導入又は除去に際して手動で、薬剤の自由流動状態が発生しないようにする必要がある。自由流動状態が発生しないようにする試みにおいて、病院スタッフが多大な注意及び努力を払っているにも関わらず、医療従事者にとっては、自由流動状態の防止に向けた追加予防策の実証可能な必要性が引き続き関心事となっている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明は、ポンプアセンブリに沿って長手方向に延びたV字状溝から成り、固定及び可動顎部並びにV字状溝若しくはシャトルの両端に配置された複数のバルブが関連付けられた圧送体を有する注入ポンプを提供する。
【0006】
[0006]運用に際して、看護師又は患者等のオペレータは、ポンプの前部に配置されたチューブ装着オリフィスに標準的なIVセットチューブを挿入することによって、薬剤の注入を開始することになる。また、オペレータは同時に、チューブと関連付けられた摺動クランプをチューブ装着オリフィスの上流すなわち流体源側に配置された適当な摺動クランプオリフィスに挿入することになる。その後、オペレータは、チューブ装着シーケンスを作動させて、チューブをチューブ路に装着することになる。一例においては、一連の歯止め及び可動上顎部がチューブを捕捉するとともに、一部がV字状溝及びバルブで構成されたチューブ路にチューブを引き込むように機能することになる。装着サイクルが進むにつれ、顎部及び歯止めがチューブを取り囲んで、チューブをチューブ路内に捕捉する。これに続いて、バルブが閉じてチューブを閉塞させると、摺動クランプは、チューブを閉塞させない位置まで移動することになる。圧送速度、許容範囲の空気量、温度、及び圧力を決定する関連電子機器からの適当な信号の受信によって、ポンプが作動し、流体が流体源から引き出されるとともに、一定の計測量だけポンプから放出される。
【0007】
[0007]仮に、チューブがチューブ路又はチューブ装着オリフィスに誤装着された場合は、適当なセンサがこのような状態の有無を判定して、そのための警報を有効化することになる。注入の最後には、オペレータによる作動によって、摺動クランプが自動的に閉鎖されるとともに、チューブがポンプから解除されることになる。
【0008】
[0008]ポンプは、薬剤の注入の安全性を向上させるとともに、当該ポンプを通過する流体の状態に関する情報を提供するための多様なセンサを含む。例えば、センサは、前述のシャトル若しくはV字状スロットの配置、バルブ動作、摺動クランプの位置、並びに誤装着の検出等、ポンプ内の様々な機械的サブアセンブリの状態に関する情報を提供する。
【0009】
[0009]ポンプを通過する流体の状態に関連するセンサは、精度に関する改善が行われている。これは、様々なセンサと垂直に接触した状態でチューブが配置されることにより、チューブ全体で容積勾配も応力勾配も存在しないようにセンサとチューブとを接触させる方法の開発によって実現されている。
【0010】
[0010]本明細書に記載の主題の態様は、単独又は本明細書に記載の1つ若しくは複数の他の態様との組合せにより有益となる場合がある。本開示の例示的な一態様において、注入ポンプは、枢動するように取り付けられたドアを有するハウジングを備える。
【0011】
[0011]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、当該注入ポンプ内にチューブを保持するように構成されたハウジング上のチューブチャネルを備える。チューブチャネルは、少なくとも部分的にドアの背後に配置されていてもよい。
【0012】
[0012]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、シャトル(shuttle)を含む圧送機構を備える。圧送機構は、ドアの背後に配置されていてもよい。
【0013】
[0013]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、摺動クランプをチャネルから排出するように構成された摺動クランプ排出機器を備える。
【0014】
[0014]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、摺動クランプ排出機器は、注入ポンプに配置された1つ又は複数のセンサからの1つ又は複数の入力に基づいて、摺動クランプを自動的に排出するように構成されたソレノイドを含む。
【0015】
[0015]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、1つ又は複数のセンサは、ドアが閉鎖状態に置かれたときを検出するように構成された第1のホール効果センサを含む。
【0016】
[0016]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、1つ又は複数のセンサは、ドアが閉鎖状態に置かれつつ係止されたときを検出するように構成されたIRセンサを含む。
【0017】
[0017]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、1つ又は複数のセンサは、チューブチャネルに沿った装着点におけるチューブの存在を検出するように構成された圧力センサを含む。
【0018】
[0018]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、1つ又は複数のセンサは、バルブが閉鎖されてチューブが閉塞状態となったことを検出するように構成された第2のホール効果センサを含む。
【0019】
[0019]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、摺動クランプが排出状態であることと、ドアが閉鎖状態であることと、の少なくとも一方の確認を受信した後、注入を開始するように構成されている。
【0020】
[0020]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、チューブは、摺動クランプがチャネル内に挿入された後、閉塞状態となる。
【0021】
[0021]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、摺動クランプのチャネル内の存在を検出するセンサを備える。
【0022】
[0022]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、チューブ装着ガイドシステムをさらに備えており、チューブ装着ガイドシステムは、チューブ装着中に、ユーザをガイドするように構成された1つ又は複数の視覚的指示部を含む。
【0023】
[0023]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、視覚的指示部は、第1の発光ダイオード、第2の発光ダイオード、及びディスプレイを含む。第1の発光ダイオード及び第2の発光ダイオードは、注入ポンプ上の各装着点においてチューブが適正に装着されているか否かを示すように構成されている。
【0024】
[0024]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、閉塞センサをさらに備える。閉塞センサは、注入ポンプに接続された注入ラインが遮断されているかを判定するように構成されている。
【0025】
[0025]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、閉塞センサは、力曲線(force curve)の勾配、圧力曲線(pressure curve)の勾配、基準力測定結果との比較、基準圧力測定結果との比較、又は力曲線の下側の面積を計算することにより、注入ラインが遮断されているかを判定する。
【0026】
[0026]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、加速度計をさらに備える。加速度計は、閉塞及び/又は注入ポンプに対する外部衝撃の有無を検出するように構成されている。
【0027】
[0027]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、この注入ポンプは、少なくとも1つの他の注入ポンプ又は注射器ポンプを備えたラック内に配置されている。
【0028】
[0028]本明細書に記載の主題の態様は、単独又は本明細書に記載の1つ若しくは複数の他の態様との組合せにより有益となる場合がある。本開示の別の例示的な態様において、チューブを注入ポンプハウジング内に配置するためのチューブ装着ガイドシステムは、第1の視覚的指示部、第2の視覚的指示部、及び第3の視覚的指示部を備える。第1の視覚的指示部は、注入ポンプにおける摺動クランプの適正な装着及び不適正な装着を示すように構成されている。第2の視覚的指示部は、注入ポンプの第1の装着点におけるチューブの適正な装着及び不適正な装着を示すように構成されている。また、第3の視覚的指示部は、注入ポンプの第2の装着点におけるチューブの適正な装着及び不適正な装着を示すように構成されている。
【0029】
[0029]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、第2の視覚的指示部及び第3の視覚的指示部は、発光ダイオードを含む。
【0030】
[0030]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、発光ダイオードは、第1の色で発光することにより適正な装着を示す。また、発光ダイオードは、第2の色で発光することにより不適正な装着を示す。
【0031】
[0031]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、第2の視覚的指示部は、第1の装着点と関連付けられた圧力センサからの出力に基づいて発光する。
【0032】
[0032]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、第3の視覚的指示部は、第2の装着点と関連付けられた異なる圧力センサからの出力に基づいて発光する。
【0033】
[0033]本明細書に記載の主題の態様は、単独又は本明細書に記載の1つ若しくは複数の他の態様との組合せにより有益となる場合がある。本開示の別の例示的な態様において、閉塞を検出する方法は、圧力測定結果をモニタリングするステップと、圧力測定結果を閾値と比較するステップと、圧力測定結果が閾値よりも大きい場合に、注入ポンプのチューブ内に閉塞が存在すると判定するステップと、を含む。圧力測定結果は、現在のADC、基準ADC、及びADC圧力プロットの勾配に基づいていてもよい。また、閾値は、選択された閉塞検出モードに基づいていてもよい。
【0034】
[0034]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、選択された閉塞検出モードは、高速閉塞検出モード及び非高速閉塞検出モードの一方を含む。
【0035】
[0035]前述の態様のうちの任意の1つ又は複数と組み合わせて使用可能な本開示の別の例示的な態様によれば、閾値は、高速閉塞検出モードの場合に非高速閉塞検出モードの場合よりも低い。
【0036】
[0036]上記態様のいずれかが相互排他的である範囲においても、このような相互排他性によって、その他任意の態様の明示的な列挙の有無に関わらず、上記態様との組合せが一切限定され得ないことが了解されるものとする。上記態様のいずれかは、システム、方法、装置、機器、媒体等として請求されていてもよいが、これらに限定されない。
【0037】
[0037]したがって、本発明の第1の目的は、標準的な注入セットを用いて正確な量の薬剤を送達可能な注入ポンプを提供することである。
【0038】
[0038]本発明の別の目的は、適正なIVチューブ装着を検出可能な注入ポンプを提供することである。
【0039】
[0039]本発明の別の目的は、IVチューブ装着ガイドをユーザに提供可能な注入ポンプを提供することである。
【0040】
[0040]本発明のさらなる目的は、様々なポンプセンサ入力に基づく自動作動の摺動クランプ排出を提供することである。
【0041】
[0041]本発明の別の目的は、注入ポンプの閉塞検出を提供することである。
【0042】
[0042]本発明の付加的な目的は、注入ポンプの落下検出を提供することである。
【0043】
[0043]本発明のさらなる目的は、ラック構成に装着された注入ポンプの電力管理を提供することである。
【0044】
[0044]開示の注入ポンプの付加的な特徴及び利点については、以下の詳細な説明及び図面に記載があるため、これらにより明らかとなるであろう。本明細書に記載の特徴及び利点は、包括的なものではなく、特に、図面及び説明を考慮すれば、当業者には多くの付加的な特徴及び利点が明らかとなるであろう。また、任意特定の実施形態が本明細書に掲載の利点のすべてを有する必要はない。さらに、本明細書において使用する表現は、主に読みやすさ及び教示を目的として選択したものであり、本発明に係る主題の範囲を何ら限定するものではないことに留意するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1A】本開示の例示的な一実施形態に係る、ドアが閉じた注入ポンプの斜視図である。
【
図1B】本開示の例示的な一実施形態に係る、ドアが閉じた注入ポンプの斜視図である。
【
図1C】本開示の例示的な一実施形態に係る、ドアが開いた注入ポンプの斜視図である。
【
図1D】本開示の例示的な一実施形態に係る、ドアが開いた注入ポンプの斜視図である。
【
図2】本開示の例示的な一実施形態に係る、例示的な注入ポンプシステムのブロック図である。
【
図3A】本開示の例示的な一実施形態に係る、ソレノイド作動摺動クランプ排出機構の等角図である。
【
図3B】本開示の例示的な一実施形態に係る、ソレノイド作動摺動クランプ排出機構の等角図である。
【
図3C】本開示の例示的な一実施形態に係る、ソレノイド作動摺動クランプ排出機構の等角図である。
【
図3D】本開示の例示的な一実施形態に係る、ソレノイド作動摺動クランプ排出機構の等角図である。
【
図4A】自動摺動クランプ排出機構の代替実施形態を示した図である。
【
図4B】自動摺動クランプ排出機構の代替実施形態を示した図である。
【
図4C】自動摺動クランプ排出機構の代替実施形態を示した図である。
【
図5】本開示の例示的な一実施形態に係る、チューブ装着ガイドの例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図6】本開示の例示的な一実施形態に係る、チューブ装着ガイドの例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図7】本開示の例示的な一実施形態に係る、加速度計を用いたポンプの外乱を検出する例示的なフローチャートである。
【
図8A】本発明の例示的な一実施形態に係る、チューブ装着視覚的インジケータを備えた注入ポンプの部分図である。
【
図8B】本発明の例示的な一実施形態に係る、チューブ装着視覚的インジケータを備えた注入ポンプの部分図である。
【
図9A】本発明の例示的な一実施形態に係る、チューブ装着視覚的インジケータを備えた注入ポンプの部分図である。
【
図9B】本発明の例示的な一実施形態に係る、チューブ装着視覚的インジケータを備えた注入ポンプの部分図である。
【
図9C】本発明の例示的な一実施形態に係る、チューブ装着視覚的インジケータを備えた注入ポンプの部分図である。
【
図10】本発明の例示的な一実施形態に係る、視覚的インジケータを備えた注入ポンプの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[0056]以下の開示は、注入ポンプ100に関する。注入ポンプ100は、ポンプアセンブリ及び他の特徴を採用していてもよく、米国特許第6,213,738号に記載のもの、米国特許第6,123,524号に記載の自動チューブ装着を伴う容積注入ポンプ、米国特許第6,013,057号に記載の容積注入ポンプ、米国特許第6,129,517号に記載の容積注入ポンプ、米国特許第6,195,887号に記載の容積注入ポンプ、米国特許第6,213,723号に記載の容積注入ポンプ、及び英国特許出願第2238083A号に記載の蠕動ポンプが挙げられるが、これらに限定されず、これらすべての内容を本明細書に援用する。上記例は、何ら限定的なものではなく、本明細書に開示の概念は、注射器ポンプ等の他の医療機器及び/又は注入ポンプにも当てはまり得る。
【0047】
[0057]
図1A、
図1B、
図1C、及び
図1Dを参照して、所定量の流体(例えば、薬物又は栄養物)の患者への送達には、注入ポンプ100等の注入送達システムが用いられる。注入ポンプ100は、ハウジング110、ハウジング110に枢動接続されたドア120、ディスプレイ130、及びキーパッド140を含む。ディスプレイ130及びキーパッド140は、ビーコン150と併せてドア120上に配置されている。ディスプレイ130及びキーパッド140の使用により、後で圧送機構に伝達される流体送達量等を設定するように、注入ポンプ100、より具体的にはポンプのプロセッサをプログラムする。当然のことながら、他の種々実施形態においては、中央のタッチスクリーンにおいて、ディスプレイ130及びキーパッド140のうちの1つ又は複数の要素を組み合わせることも可能である。
【0048】
[0058]ビーコン150は、光又は音を発してポンプ100の動作状態又はステータスを示すインジケータビーコンとして用いられるようになっていてもよい。例えば、ポンプ100が通常動作で流体を注入している場合、ビーコン150は、連続した緑色光を発するようにしてもよい。中優先度の警報時、ビーコン150は、点滅する黄色光を発するようにしてもよい。同様に、高優先度の警報時、ビーコンは、点滅する赤色光を発するようにしてもよい。ビーコン150は、様々な間隔(例えば、パルス、明滅、連続光)での他の色の組合せ又は他の可聴警告を発して、ポンプ100の動作状態又はステータスを示すようにしてもよい。
【0049】
[0059]ポンプ100の使用時は、ポンプ100に装着されたチューブを通って流体が移動し得る。チューブ160は、ポンプ100のチューブチャネル162に沿って装着されている。チューブは、チューブチャネル162に沿って、摺動クランプ115、超音波空気センサ172、上流圧力センサ174a、上流バルブ176a、シャトル圧送領域180、下流バルブ176b、及び下流圧力センサ74bを通過する。ドア120上には、窪み186a、186b及びチューブガイド190等、他のチューブ係合特徴が配置されている。チューブガイド190は、チューブの位置をシャトル圧送領域180中に維持するように構成されている。
【0050】
[0060]
図1C及び
図1Dに示すように、圧力センサ174a、174bは、チューブ160が各センサに対して十分に保持されるように、対応するドア構造(例えば、突起又は止めねじ)を有する。例えば、突起184a及び184bは、圧力センサ174a、174bに対応する。また、突起182は、超音波空気センサ172に対応する。また、バルブ176a、176bそれぞれについて、対応するドア窪みが存在していてもよい。例えば、窪み186a及び186b(例えば、
図1Dに示すT字状窪み)は、チューブチャネルの外側へのチューブの逸脱又は「蛇行」を防止するように構成されている。図示のように、ドア120の窪み186a、186bは、チューブ160のバルブ176a、176bからの「離脱」を防止するようにサイズ規定及び成形されている。
【0051】
[0061]また、ドア120は、ポンプハウジング中のドア取り付け開口部194a及び194bに対応するペグ又はドアラッチ192a及び192bを含んでもよい。ドアラッチ192a、192bは、ドア開放又はドア閉鎖位置に応じて摺動クランプ115を挿入又は排出可能となるように、摺動クランプ機構に動作可能に接続された摺動可能なラッチバー機構に係合する。例えば、ラッチバー機構は、ポンプの下流側(例えば、
図1Dを見た場合の左側)に向かってばね付勢されてもよく、ドア120が閉じられると、ドアラッチ192a、192bは、ポンプハウジングに押し込まれるため、ラッチバー機構を右側に移動させる。
【0052】
[0062]また、ドア120は、ポンプ100中のホール効果センサと関連付けられた磁石188を含んでもよい。ホール効果センサは、磁石188の存在の検出によって、ドア120が閉じられているかを判定するように構成されている。
【0053】
[0063]一例において、(
図1C及び
図1Dに示す)開放位置から(
図1A及び
図1Bに示す)閉鎖位置までのドア120の移動をユーザが開始すると、この閉じるプロセスにおいて、バルブ176a、176bの少なくとも一方がチューブ160を閉塞させる場合がある。
【0054】
[0064]
図2は、注入ポンプシステムの高レベル構成要素図である。注入ポンプシステム200は、バッテリ又は電源230により給電されるメモリ212と接続したプロセッサ210を含む。プロセッサ210は、ディスプレイ240、モータ250及び関連する圧送機構252、並びに通信モジュール260と接続する。また、ポンプシステム200は、摺動クランプインジケータ272、チューブ装着インジケータ274、及び命令表示276等のチューブ装着ガイドモジュール270を含んでもよい。また、注入ポンプシステム200は、モータエンコーダ282、超音波空気センサ284、圧力センサ286、ホール効果センサ288、摺動クランプ位置センサ290、光学センサ292、温度センサ294、加速度計296、及び/又は周辺光センサ298等の様々なセンサモジュール280を含んでもよい。
【0055】
[0065]電源230は、多くの異なる形態が可能である。好適な一実施形態において、電源230は、充電式バッテリユニットの形態であってもよい。また、ポンプは、AC電源から給電されるようになっていてもよい。AC電源アセンブリは、電源コードと、ハウジングに差し込む関連端子とを有する。AC電源アセンブリは、必要に応じて標準的なコンセントに挿入することにより、充電式バッテリを再充電可能なプラグを有する。また、AC電力は、アセンブリを通じた供給によって、ポンプに給電することも可能である。
【0056】
ポンプと関連付けられたセンサ
[0066]前述の通り、ポンプサブアセンブリには複数のセンサが関連付けられており、その様々な要素の機能及び位置に関する情報を提供するように動作する。駆動モータシャフトエンコーダは、モータの電機子シャフトに取り付けられたエンコーダフラグホイールを備える。ポンプモータフラグホイールは、そのハブから半径方向外方に延びた複数のフラグ(例えば、12個のフラグ)を含んでいてもよい。
【0057】
[0067]これらのフラグは、光学スイッチとの協働によって、ポンプ駆動モータの電機子シャフトの位置を固定する。さらに、これらのスイッチは、発光ダイオード(「LED」)及び光電池から成っていてもよい。2つの光学スイッチの配置によって、第1のスイッチがフラグの縁部を検知可能であるとともに、第2のスイッチが後続フラグの中央部を検知可能である。この配置によって、エンコーダが読み出すモータシャフトの位置及び方向の分解能が高くなり得る。例えば、エンコーダの分解能は、モータシャフトの回転の約1/3072であってもよい。
【0058】
[0068]モータエンコーダは、シャフトの回転を直接検知する。インデックスホイールは、円周方向に同延の複数の半径方向配設スロットを有していてもよい。これらのスロットとは、インデックスホイール光学センサが関連付けられている。このセンサは、発光ダイオード並びに光学センサ若しくはスイッチを備える。一例において、インデックスホイールセンサは、インデックスホイール及びその内部のスロットとの協働によって、ポンプモータシャフトの回転位置に関する位置情報を提供する。
【0059】
[0069]動作時、インデックスホイールセンサは、ポンプエンコーダと協働して、この位置情報のほか、モータシャフトの方向情報を提供する。シャトル自体とは、線形累積位置センサが関連付けられている。このセンサは、線形位置ホール効果センサ及び複数の磁石を備える。シャトル位置センサ磁石は、対向極をシャトルホールスイッチに曝露するため、シャトルの線形位置の兆候を与えるように動作する磁場勾配を提供する。
【0060】
[0070]エンコーダ及び前述のその他関連するセンサの組合せは、可変速モータの速度を正確に制御するように動作可能な制御機構への入力を提供するが、このような速度制御がもたらす第1の特徴は、ポンプの出力の時間的変化である。また、このような速度制御によれば、個々のストローク当たりのポンプ出力の電子制御線形化のほか、ポンプの時間積分出力の向上が可能となる。
【0061】
[0071]また、注入ポンプは、超音波空気検出装置又はトランスデューサを含んでもよい。超音波トランスデューサは、第2のトランスデューサ要素と協働して、IV管類内の空気を検出する。
【0062】
[0072]ポンプによって、関連するセンサの面全体にチューブを等しく延長又は伸長可能であるため、関連するセンサの直下のチューブ中の容積勾配又は応力勾配が除去され、ハウジングと関連付けられたセンサ又はハウジングに接続されたセンサの応答の精度が向上する。本質的には、センサアームと関連付けられたセンサ又はセンサアームにより作動されるセンサのすべてが上述の動きを実行することによって、上述の結果を実現する。
【0063】
[0073]また、ポンプは、下流の圧力センサと、サーミスタから成る複数の温度センサとを含んでもよい。
【0064】
[0074]摺動クランプ115は、当該摺動クランプの存在及び/又は位置を識別するホール効果センサを含んでもよい。
【0065】
ソレノイド作動摺動クランプ
[0075]一例においては、ソレノイド作動の自由流動防止システムが摺動クランプ115を自動的に排出するようになっていてもよい。摺動クランプ115の自動排出では、排出に先立ってポンプ中の枢要なシステムを確認することにより、本明細書に論じる様々なセンサを利用して、患者の安全性の向上(例えば、自由流動状態の回避)を図るとともに、摺動クランプ排出のエラーを低減するようにしてもよい。摺動クランプ115の排出は、IVチューブが適正に導入及び装着されたこと、ドアが確実に閉じられたこと、並びに各センサがシステム診断チェックの実行に成功したことをシステムが確定した後に自動化されるようになっていてもよい。
【0066】
[0076]一例においては、ユーザが手動で摺動クランプ115を挿入した後、注入ポンプ100のドア120を開けるようにしてもよく、チューブ160が確実に閉塞状態に保持されるようになっていてもよい。ドア120が閉じられて適正な装着が確認された後は、ソレノイド作動の自由流動防止システムが摺動クランプ115を自動的に排出する。
【0067】
[0077]診断チェックには、注入ポンプ内の様々なセンサが用いられるようになっていてもよい。摺動クランプ115のホール効果センサの使用により、摺動クランプ115が存在することを確認するようにしてもよい。圧力センサ(例えば、圧力センサ174a、174b)が適正なIVチューブ装着を確認するようにしてもよい。また、ドア120が閉じられたことをホール効果センサ(例えば、ハウジング110中のホール効果センサ及びドア120中の関連する磁石188)が確認するようにしてもよい。ドアが固定及び係止されたことを光学IRセンサ等の光学センサが確認するようにしてもよい。また、ドアが閉じられて圧力が維持されていることを圧力センサが確認するようにしてもよい。ラッチ内に配置されたホール効果センサが、(1つ又は複数の)バルブが閉じられたことを確認するようにしてもよい。摺動クランプ排出に先立つシステム診断チェックには、上記センサの如何なる組合せが用いられるようになっていてもよい。確定した一組のセンサがそれぞれ、システム診断チェックの実行に成功した後は、ソレノイドが電圧の印加によって、摺動クランプ115を排出する。
【0068】
[0078]また、摺動クランプ排出は、患者情報、薬物情報、臨床医情報、及びポンプ情報等の他の枢要な情報を確認する補助モニタリングシステムにより管理されるようになっていてもよい。患者に接続された補助機器の使用により、患者の生命データに基づいて、薬剤の受容性を確認するようにしてもよい。
【0069】
[0079]
図3A、
図3B、
図3C、及び
図3Dに示すように、ソレノイド310は、摺動クランプチャネル320より上のポンプハウジング110内に配置されている。
図4A、
図4B、及び
図4Cは、自動摺動クランプ排出の複数の代替実施形態を示している。また、
図4Aに示すように、ソレノイド310は、摺動クランプチャネル側に配置されていてもよい。モータ又はラック-ピニオン等、他の機構が自動摺動クランプ排出に用いられるようになっていてもよい。また、カム-フォロワ機構が用いられるようになっていてもよい。別の例においては、(
図4B及び
図4Cに示すように)自動摺動クランプ排出に対して、プーリ362、364、及び/又は366が配置された形状記憶ワイヤ350が作動されるようになっていてもよい。例えば、形状記憶ワイヤは、第1の位置(例えば、摺動クランプの排出時)及び第2の位置(例えば、摺動クランプの装着時)を有していてもよい。摺動クランプの自動排出の準備が整った場合は、ワイヤに対する電流又は熱の印加により、ワイヤが第2の位置から第1の位置へと変化して、摺動クランプ115を自動的に排出するようになっていてもよい。
【0070】
[0080]
図5は、例示的なIVセット装着シーケンス500aを示している。例えば、IVチューブ装着が開始になると(ブロック502)、摺動クランプ115のホール効果センサは、摺動クランプ115が存在することを検出する(ブロック504)。その後、ドア120が開けられてIVチューブ160が装着されるが、これは、圧力センサ(例えば、圧力センサ174a、174b)により確認される(ブロック506)。ドア120が閉じられると、ドア120が閉鎖位置にあることを別のホール効果センサ(例えば、磁石188と関連付けられたセンサ)が確認し(ブロック508)、ドアリンクが係止されていることを光学IRセンサが確認する(ブロック510)。その後、少なくとも1つのバルブ(例えば、バルブ176a、176b)の閉鎖によってIVチューブ160が閉じられていることをホール効果センサが確認する(ブロック512)。ブロック504~512のそれぞれについて、ポンプは、以下に詳述する通り、チューブ装着ガイド(LED、ディスプレイ、音声等)を提供するようにしてもよい(ブロック514)。IVチューブ160、ドア120、及びバルブ(例えば、バルブ176a、176b)が装着及び/又は配置されたことを上記センサがそれぞれ確認した後、ポンプ100は、電力を供給して、ソレノイドに電圧を加える(ブロック516)。その後、ソレノイドの作動によって、摺動クランプ115を自動的に排出する(ブロック518)。摺動クランプ115が排出されると、ポンプ100は、注入を開始するようにしてもよい(ブロック520)。
【0071】
[0081]
図6は、代替的なIVセット装着シーケンス500bを示している。例えば、上記センサがポンプ構成要素の装着及び配置を確認した後(例えば、ブロック502~512)、ポンプは、患者、薬物、臨床医(例えば、医師又は看護師)、及び/又はポンプ情報を確認するようにしてもよい(ブロック552)。また、患者モニタリングシステムを通じて、患者の生命徴候が確認されるようになっていてもよい(ブロック554)。その後、これらの付加的な安全チェック及び制約に基づいて、ソレノイドの電圧印加及び排出が行われるようになっていてもよい(ブロック516及び518)。
【0072】
[0082]機械的なタイミングの摺動クランプ解除を使用するシステムとは異なり、本開示は、多数のセンサを用いたシステム診断チェックを利用する付加的な患者安全性の提供によって、適正なチューブ装着及びポンプ構成を保証する。
【0073】
閉塞検出
[0083]様々な技術を用いて力及び/又は圧力測定結果をモニタリングすることにより、閉塞が検出されるようになっていてもよい。また、ユーザは、高速閉塞検出と非高速閉塞検出との間の選択を行うようにしてもよい。高速閉塞検出モードにおいて、注射器ポンプ100は、以下に論じる力又は圧力閾値の50%での閉塞を報告するようにしてもよい。
【0074】
[0084]基準からの差分値
[0085]モータの始動後、基準力値(例えば、20サンプル等の力測定結果サンプルの移動又はスライディング平均ウィンドウ)が取得されるようになっていてもよい。力及び/又は圧力センサは、アナログ-デジタル変換器(「ADC(Analog to Digital Converter)」)カウントを出力するようにしてもよい。一例において、基準力値は、ポンプモータ始動後のADCカウントの20サンプルのウィンドウであってもよい。現在の力測定結果がモニタリングされ、差分値(例えば、現在値から減算された基準力値)が決定されるようになっていてもよい。差分値が所定の閾値を超えた場合は、閉塞警報が鳴動するようになっていてもよい。ポンプは、様々な閉塞検出感度(例えば、超高、高、中高、中、低、及び超低)に対する様々な設定を有していてもよい。
【0075】
[0086]一例において、注射器ポンプ100は、(感度=超高、閉塞圧力50psi、下限25psi、上限52psi)、(感度=高、閉塞圧力16psi、下限13psi、上限18psi)、(感度=中高、閉塞圧力13psi、下限10psi、上限15psi)、(感度=中、閉塞圧力10psi、下限7psi、上限12psi)、(感度=低、閉塞圧力7psi、下限4psi、上限9psi)、並びに(感度=超低、閉塞圧力4psi、下限1psi、上限6psi)といった流体圧力及び感度の場合に、高優先下流閉塞警報を生成するようにしてもよい。
【0076】
[0087]別の例において、注射器ポンプ100は、(感度=超高、閉塞圧力50psi、限界<52psi)、(感度=高、閉塞圧力16psi、下限12psi、上限20psi)、(感度=中高、閉塞圧力13psi、下限10psi、上限15psi)、(感度=中、閉塞圧力10psi、下限7psi、上限12psi)、(感度=低、閉塞圧力7psi、下限4psi、上限9psi)、並びに(感度=超低、閉塞圧力4psi、下限2psi、上限8psi)といった流体圧力及び感度の場合に、高優先下流閉塞警報を生成するようにしてもよい。
【0077】
[0088]注入ポンプの場合は、管類がチャネル中へと弛緩するため、温度によって力が変化する。例えば、チューブの材料特性が温度に基づいて変化し、基準力値及び現在のADC値の両者に対して、温度補償勾配が追加されるようになっていてもよい。ただし、注射器ポンプの場合、注射器の力接触は事実上、弛緩するものではなく、温度の変化によって材料特性が変化することはない。また、注射器ポンプの力センサは、-10~40℃で動作するように定格及び補償がなされており、これは、注射器の下流閉塞(「DSO(Down Stream Occlusion)」)検出におけるシステムレベルの温度変化に影響を及ぼすことなく、通常のポンプ動作範囲を網羅する。
【0078】
[0089]ポンプが定常状態に達した後は、高、中、又は低という閾値設定の代わりに、閉塞検出が圧力又は差圧の変化に基づいていてもよい。例えば、圧力が非常に安定する定常状態に達した後、圧力の急激な上方シフトは、ポンプが閉塞に向かっていることを示し得る。定常状態の後に差圧をモニタリングすることによって、より早い閉塞検出が可能となり得る。
【0079】
[0090]一例において、圧力測定結果の最後の2分間の圧力変化が1psi未満の場合は、定常状態が実現される。システムが定常状態の条件になっていない場合は、差圧検知が機能しない場合もある。
【0080】
[0091]また、ポンプは、流量の関数として圧力の変化をモニタリングするようにしてもよい。流量に基づいて、差分基準及び/又は差分閾値レベルが確立されていてもよい。例えば、基準からの圧力差が所定の関係(例えば、圧力増加=0.3×1分間の流量)を超えている場合は、閉塞の警告又は警報が鳴動する。
【0081】
[0092]圧力測定結果の勾配
[0093]2つの圧力測定結果の差から計算された勾配が閾値を超える場合には、閉塞警報が発せられるようになっていてもよい。圧力測定結果は、所定のウィンドウ又は期間(例えば、2秒ごと)に取得されるようになっていてもよい。一例においては、2つの異なる勾配測定結果の使用により、注入開始時の任意の制動力を考慮するようにしてもよい。誤警報を防止するため、初期閾値は、始動時の管類等のポンプ構成要素からの制動力を考慮して高くしてもよい。始動後、ポンプが制動力に打ち勝った後には、閾値を低くするようにしてもよい。
【0082】
[0094]力曲線の下側の面積
[0095]また、閉塞検出は、エネルギー消費又は基準線と現在の力線との間の面積であってもよい。面積計算結果は、閾値と比較されるようになっていてもよい。
【0083】
下流チューブ引っ張り検出
[0096]注入の世界においては、誤警報の問題がますます大きくなっている。患者の移動によって、下流の管類が強弱いずれかで引っ張られる場合がある。この患者の移動は、ライン管理の問題となることが多く、誤警報と真の閉塞との区別がますます困難になっている。
【0084】
[0097]圧力がモニタリングされるようになっていてもよく、この圧力は、現在のADCから基準ADCを減じて係数(1/DistCalSlope)を乗じたものに等しい(例えば、圧力=(現在のADC-基準ADC)×1/DistCalSlope)。現在のADCは、圧送段階に200Hzで取得されたADCカウントの50サンプルのウィンドウ又は連続移動平均であってもよい。基準ADCは、ポンプ始動後の最初の50個のADCカウントの50サンプルの積算合計であってもよい。「DistCalSlope」項は、製造校正時の2点勾配(2psi及び15psiで取得される点)である。例えば、「DistCalSlope」項は、15psi及び2psiにおいて取得されるADCの差をpsi値の差で除したものに等しい(例えば、DistCalSlope=(15psiにおけるADC-2psiにおけるADC)/(15-2))。
【0085】
[0098]基準ADCの決定後、現在のADCが通常として基準ADCよりも高い間は、基準が一定に保持される。現在のADCが基準ADCよりも低い場合は、基準ADCが現在のADCへと更新されるようになっていてもよい。例えば、現在のADCは、チューブの弛緩によって、基準ADCよりも低くなる場合があるため、基準ADCの現在のADCへの更新には、チューブの弛緩を考慮する。
【0086】
[0099]計算した圧力が確立閾値よりも高い場合は、閉塞が検出される。また、閉塞が検出された場合は、ポンプが停止されるようになっていてもよく、高優先閉塞警報が臨床医に伝えられる。
【0087】
[00100]上述の通り、ポンプは、様々な閉塞検出感度(例えば、超高、高、中高、中、低、及び超低)に対する様々な設定を有していてもよい。また、チューブ引っ張り及び突発的落下のシナリオをチューブ弛緩から識別するには、下限の更新が役立ち得る。一例において、チューブの強弱いずれかの引っ張りが検出された場合は、警告又はメッセージがユーザに伝達されて、管類の引っ張りが停止されるようになっていてもよい。
【0088】
加速度計
[00101]デジタル移動平均フィルタが不要なスパイク及び/又はノイズ信号を取り除く。ただし、機械的発生ノイズは予想できず不規則で、誤警報に至る可能性もある。場合によっては、機械的発生ノイズの方が電気的ノイズよりも問題となり得る。
【0089】
[00102]機械的に誘発された突発的ノイズ及び/又はスパイクの識別及び/又はフィルタリングには、加速度計の使用が役立ち得る。このようなノイズの例示的な原因としては、オペレータによる注入ポンプのドアの押圧、オペレータがポンプに与える衝撃、注入時のオペレータによるポンプ及び患者の移動等が考えられる。
【0090】
[00103]ポンプ100がある高さから落下した場合又は衝撃によってポンプのサイフォン若しくはボーラスが生じた場合は、別個の高優先警報をユーザに送信可能である。ドアの移動又はキー選択(例えば、ディスプレイ又は物理的キーの押下)に起因する機械的移動/振動を加速度計が拾った場合には、フィードバック信号がポンプに送られて、警報も自動的再始動も行われないようにする。このイベントは、機械的に誘発された突発的スパイクのみが原因だからである。その結果、衝突/落下の後に別個の診断アルゴリズムがセンサ上で動作して、センサ及び/又は他の重要な構成要素の機能をテストする。例えば、診断アルゴリズムにより、衝撃又は落下のいずれにしても、センサ機能の如何なる無効化も低下も起こっていないことを確認し、ポンプが将来的な振動又は落下イベントを検出してフィルタリングできるようにする。衝撃はないものの、(1つ又は複数の)突発的且つ不規則な圧力スパイクが閉塞アルゴリズムにより検出された場合は、電気的に誘発されたに過ぎないことを加速度計により確認可能である。これらのスパイクが突発的且つ不規則で、予想閉塞スパイク範囲に入らない場合は、電気的に誘発されたセンサ障害警報が発せられる。
【0091】
[00104]よりわずかな移動/振動の検出にも十分な感度の加速度計によれば、力センサの信号特性に加えて、管類の引っ張りシナリオの強弱も確認される。
【0092】
[00105]
図7に示すように、ポンプ上の位置の選択のために印加される力を移動平均力センサがモニタリングするようにしてもよい(ブロック562)。外乱又は突発的な圧力/力スパイクが検出されたら(ブロック564)、システムは、外部から誘発された突発的又は不規則な外乱を加速度計が検出したかを確認するようにしてもよい(ブロック566)。外部から誘発された不規則な外乱を加速度計が検出した場合、ポンプは、力センサの外乱を無視して(ブロック568)、モニタリングを継続するようにしてもよい(ブロック562)。ただし、加速度計が外部イベントを検出していない場合、ポンプは、障害警報信号を生成して、閉塞の存在等の警報状態を示すようにしてもよい(ブロック570)。
【0093】
チューブ装着ガイド
[00106]また、チューブ装着ガイドには、注入ポンプ内のセンサが用いられるようになっていてもよい。IVセット又はチューブ装着ガイドは、適正なIVセット又はチューブ装着の視覚的確認を臨床スタッフに与えることによって、注入準備中の患者の安全性を保証するため都合が良い。例示的な一実施形態において、ディスプレイ及び視覚的指示部は、IVチューブ装着時に視覚的ガイドをユーザに与えるように、ポンプ上に配置されていてもよい。ポンプは、当該ポンプに近接するユーザの存否を検出するように構成されていてもよい。例えば、ポンプに近接するユーザの存否を長波長赤外(「LWIR(Long Wavelength Infrared)」)システムが検出するようにしてもよい。別の例においては、ユーザの存否の検出に、周辺光センサが用いられるようになっていてもよい。ユーザがポンプに近づくと、ポンプがユーザの存否を検出し、IVチューブが装着されていない場合は、摺動クランプを挿入する場所を示す視覚的指示部が提供される。例えば、発光リング等の形状が摺動クランプの挿入場所を示していてもよい。また、簡単な点状LEDが摺動クランプの挿入場所を示していてもよい。
【0094】
[00107]最初に、IVチューブの装着なく、ポンプの電源が投入されるようになっていてもよい。この段階では、摺動クランプ装着の光インジケータがパルス又は明滅していてもよい。パルス又は明滅の速度は、ポンプがバッテリ電力を消費しているか、又は、電源プラグを差し込んで電源コードを使用しているかによって決まり得る。ドアの開放に先立って、ユーザのさらなる視覚的ガイドをサポートするため、ディスプレイが用いられるようになっていてもよい。その後、ユーザは、摺動クランプを挿入してもよい。摺動クランプを挿入したら、ドアが開いた状態で摺動クランプの光が色を変え、摺動クランプの外周の光インジケータが「オン」状態となって次のステップをユーザに示す。ユーザがIVチューブチャネル全体にIVチューブを装着した場合は、種々重要な装着点が他の視覚及び音声ガイドを含むことにより、IVチューブ装着シーケンスを完了するようになっていてもよい。
【0095】
[00108]
図8Aに示すように、例えば黄色(例えば、黄色パルス光)で矩形状610a(例えば、摺動クランプエリア)が発光して、摺動クランプ615を挿入すべき場所(例えば、摺動クランプスロット620)を示す。また、この発光色は、摺動クランプ615が未挿入であることを示し得る(例えば、挿入後は、黄色発光が緑色発光に変化し得る)。ディスプレイ630は、命令又はプロンプトによって、付加的なガイドをユーザに提供するようにしてもよい。例えば、
図8Aに示すように、ディスプレイ630は、「IVチューブセットを装着するには、摺動クランプを開口に挿入します」等のメッセージをユーザに提供するようにしてもよい。
【0096】
[00109]ユーザが摺動クランプ615の装着に成功したら、発光形状610(例えば、摺動クランプエリアの周りの矩形)が(矩形状610aとして
図8Aに示す)黄色から(矩形状610bとして
図8Bに示す)緑色に変化して、摺動クランプ615が装着されたことを示すようにしてもよい。例えば、黄色から緑色への変化は、このチューブ装着シーケンスの段階が適正に完了したことの確認として機能し得る。この時点で、ユーザはドア640を開けてもよく、また、ドアの背後に配置された(例えば、LED光650及び660等の)付加的な視覚的指示部がユーザのチューブ装着をガイドするようにしてもよい。ドアが開けられると、ディスプレイ630はユーザに見えなくなるため、様々な装着点の確認には、色付きのLED650、660が用いられる。
図8Bにおいては、LED650、660で示された2つの異なる装着点670a、670bが存在する。また、LED等の視覚的指示部は、チューブ路に沿った他の装着点を示していてもよい。
【0097】
[00110]LED650、660は当初、チューブが装着されていない場合又は適正に装着されていない場合に、第1の色(例えば、赤色又は橙色)を表示していてもよい。LED650、660はその後、チューブが適正に装着されたら、第2の色(例えば、緑色)を表示するようにしてもよい。別の例において、LEDは、パルス又は明滅によって、チューブが装着されたかを示すようにしてもよい。例えば、明滅するLEDは、チューブが適正に装着されていないこと又は取り外されたことを示していてもよく、連続する色付きのLEDは、各装着点にチューブが適正に装着されたことを示していてもよい。最初は、LED650a等のインジケータがパルス状の橙色によって、視覚的ガイドを与えるとともに、次のチューブ装着ステップをユーザに知らせていてもよい。ユーザが各装着点(例えば、装着点670a)にチューブを装着した後、当該装着点670aと関連付けられたインジケータ(例えば、LED650a)は、パルス状の橙色から連続又は一定の緑色に変化するようになっていてもよい。その後、装着点670bと関連付けられた次のインジケータ(例えば、LED650b)がパルスを開始して、次の装着ステップをユーザに示すようにしてもよい。
【0098】
[00111]ポンプの状態並びにIVセット若しくはチューブの装着確認を示すには、色のほか、アニメーションが用いられるようになっていてもよい。例えば、アニメーションのほか、パルス、点滅、又は明滅光がポンプ及びIVチューブの装着状態を示していてもよい。当然のことながら、如何なる種類の視覚的インジケータ又は指示部が用いられるようになっていてもよく、一例として、LEDが設けられる。
【0099】
[00112]また、ポンプは、チューブ装着時のユーザへの通知又は警告のため、可聴指示部又は触覚指示部を使用するようにしてもよい。例えば、ポンプは、各種のビープ又は振動を用いて、チューブ装着の様々な段階を示すようにしてもよい。
【0100】
[00113]
図9A、
図9B、及び
図9Cは、チューブ装着時の例示的な視覚的インジケータを示している。
図9Aにおいては、摺動クランプ615の装着に成功した後、摺動クランプインジケータエリア(例えば、矩形状610b)が緑色発光している。
図9B及び
図9Cに示すように、連続する各装着点(例えば、装着点670a及び670b)にチューブが装着されると、LEDインジケータ650及び660は、赤色から緑色に変化する。また、LEDインジケータは、黄色から緑色に変化するようになっていてもよいし、その他任意の色の組合せであってもよい。図示のように、適正なチューブ装着が検出し、確認されたら、LED650、660は、第1の色から第2の色に変化する。色以外の視覚的インジケータが用いられるようになっていてもよい。また、インジケータ650、660は、様々な形体及び形状(例えば、円、リング、三角形、四角形等)を有していてもよい。
【0101】
[00114]
図9Bに示すように、チューブが装着点670aに適正に装着されると、LEDインジケータ650は、(650aとして示す)第1の色から(650bとして示す)第2の色に変化して、チューブが適正に装着されたことの視覚的指示部をユーザに提供する。上述の通り、可聴ビープ等の他の指示部がユーザに提供されるようになっていてもよい。この
図9Bの時点では、チューブが装着点670bに装着されていないため、LEDインジケータ660は依然として、(660aとして示す)第1の色であり、当該装着点においてはチューブが適正に装着されていないことを示す。
【0102】
[00115]
図9Cに示すように、チューブが装着点670bに適正に装着されると、LEDインジケータ660は、(660aとして示す)第1の色から(660bとして示す)第2の色に変化して、当該各装着点においてチューブが適正に装着されたことの視覚的指示部をユーザに提供する。チューブが適正に装着されてドアが閉じられた後、ポンプは、すぐに注入を予定可能となり得る。その後、摺動クランプインジケータエリア(例えば、矩形状610b)が異なる色で作動して、摺動クランプの排出及び注入の開始をユーザに示すようにしてもよい。
【0103】
[00116]本明細書において論じる通り、摺動クランプの排出は、様々なセンサによる確認の後に自動で発生するようになっていてもよい。ただし、自動排出を伴わない実施形態においては、ユーザがドアを閉じた後に、発光エリア等の視覚的指示部が摺動クランプ排出ボタンの位置を示すようにしてもよい。別の例において、このボタンは、バックライトであってもよく、摺動クランプ排出ボタン全体がユーザに対して明るくなる。また、ディスプレイは、「摺動クランプを排出するには、ボタンを押します」等のメッセージによって、ユーザを促すようにしてもよい。注入が完了したら、摺動クランプの挿入によってドアを再び開放し得るように、摺動クランプエリアが光によって再度示されるようになっていてもよい。
【0104】
[00117]摺動クランプ及びチューブ装着ガイドのための色指定のほか、LEDの電源を一旦切ってすぐに入れ直すことにより、IVチューブ装着の様々な段階を示すようにしてもよい。例えば、装着が未試行の場合は、LEDがゆっくりとパルス発光するようになっていてもよい。装着に成功して完了した場合は、LEDが永久にオンであってもよい。また、チューブ装着段階をさらに識別するため、様々なLED色が用いられるようになっていてもよい。黄色がゆっくりとパルス発光するようになっていてもよいし、LEDがゆっくりと「点いたり消えたり」している場合は、装着が未試行であることを示す。装着に成功して完了した場合は緑色が用いられるようになっていてもよく、また、装着に成功していないこと又はIVが装着点から飛び出していることを示すために点滅する場合は、LEDが赤色であってもよい。
【0105】
[00118]本明細書に記載のガイドによれば、視覚及び音響ガイドによって、それぞれ完了した装着ステップの確認によりIVチューブ装着(例えば、挿入)ガイドを強化することによって、患者の安全性が向上するため都合が良い。例えば、3色又は離散色LED、導光器、拡散器、拡散器を組み込んだ導光器、表示画面、スピーカ等の音響要素(又は、これらの組合せ)がポンプ上に配置され、特定の組合せ又はシーケンスで作動することにより、IVチューブの装着に際してユーザをガイドするようにしてもよい。
【0106】
他のポンプガイド/動作インジケータ
[00119]また、LED(例えば、
図8A~
図9Cの610、650、660又は
図10の910、950a~950c)の使用により、ポンプが「オン」であることのほか、流れの方向を示すようにしてもよい。いくつかの例(例えば、3色LED等の多色LEDを伴う)において、
図10に示すように、消費電力削減のためにディスプレイがオフの場合は、LEDの使用により、基本的なポンプ状態の一部を示すようにしてもよい。
図10に示すように、装着点LED(例えば、950a~950c)は、視認性の向上のため、ポンプの外部縁部に組み込まれていてもよい。また、LED950a~950cの使用により、低電力状態消費レベルにおけるポンプステータスを示すようにしてもよい。
【0107】
[00120]視覚的指示部並びに/又は可聴指示部及び触覚指示部等の他のインジケータは、ディスプレイと協働して、ガイド及び情報をユーザに提供するようにしてもよい。
【0108】
[00121]上記モードそれぞれの動作は、ポンプ設定内で変化し得る。また、ディスプレイは、電源コード又はバッテリのいずれによって動作が行われているかに依存し得る。例えば、バッテリを節約するため、LED(例えば、
図8A~
図9Cの610、650、660又は
図10の910、950a~950c)等の光インジケータが用いられるようになっていてもよい。ただし、電源コードを介した動作の場合は、LED/光インジケータ及びディスプレイの両者の使用により、視覚的指示及びプロンプトをユーザに与えるようにしてもよい。
【0109】
ラック電源管理
[00122]本明細書に開示の注入ポンプ及び/又は注射器ポンプは、1つ又は複数のポンプ(例えば、注入及び/又は注射器ポンプ)を収容するように構成されたラックと併用されるようになっていてもよい。ラックは、内部の各ポンプハウジングに対して、動的な電力及び熱管理を提供していてもよい。電力及び熱管理は、各ポンプが送達する薬物の重要性に基づいていてもよい。例えば、ACが取り外された後の患者に対するバッテリ消耗のリスクを低減するレベルまでバッテリが充電されるように、重要度の高い薬物を送達するラックに収容されたポンプには、より多くの電力が配分されていてもよい。
【0110】
[00123]ラックは、ポンプ識別、ポンプ間通信、ポンプ-ラック間及びラック-ポンプ間通信、ポンプバッテリ充電等を補助するようにしてもよい。また、ラックは、薬物の重要性に基づいて電力を管理するとともに、薬物所要量当たりのモータ消費を管理するようにしてもよい。
【0111】
[00124]ラックは、有線又は無線接続を介した共通ディスプレイ及び外部接続を提供していてもよい。
【0112】
[00125]ラックは、当該ラックに収容された様々な注入ポンプ及び/又は注射器ポンプのバッテリ消費及び充電を制御する複数の方法又は手順を実装していてもよい。ラックは、より大きな電流を引き込んで高速充電を行うポンプ電源又は電源アダプタを可能にし得る。例えば、ラックは、AC電源が取り外された後の患者に対するバッテリ消耗のリスクを低減するレベルまでバッテリが充電されるように、ラック電力を各ポンプに配分するようにしてもよい。重要ではないIV溶液と併せて重要な薬物を患者が受けている場合は、ラックに収容された他のポンプよりも速くバッテリを充電できるように、重要な療法を施しているポンプに充電の優先度が与えられていてもよい。また、ラックは、モータの駆動等、バッテリ充電以外にポンプが使用している電力の量を管理するようにしてもよい。あるポンプがモータの駆動により多くの電力を使用している場合は、電源プラグを抜いた場合に、ラックに収容されたすべてのポンプについてバッテリでの動作時間が同様となるように、当該ポンプがより大きな充電電流を有し得るようになっていてもよい。また、ラックは、充電の必要性、送達中の薬物等の基準に基づいて、ポンプごとに、ポンプの高速充電対トリクル充電の優先順位を付け、割り当てるようにしてもよい。
【0113】
[00126]また、ラックは、電力供給に関する熱的制約を超える場合等、障害モードを検出するようにしてもよい。
【0114】
[00127]上記説明により本開示の多くの特徴及び利点が明らかであるため、添付の特許請求の範囲は、本開示のこのようなすべての特徴及び利点を網羅することが意図される。さらに、当業者であれば、多くの改良及び変更に容易に想到し得るため、本開示は、図示及び記載の構成及び動作にのみ限定されるものではない。したがって、上記実施形態は、例示に過ぎず、何ら限定的なものと考えるべきではなく、また、本開示は、本明細書に記載の詳細に限定されず、現在又は将来的に予測可能であるか予測不可能であるかに関わらず、以下の特許請求の範囲及びその全範囲の同等物により規定されるものとする。