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特許7371018光学形状センサ、光学形状検知コンソールおよびシステム、並びに光学形状検知方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】光学形状センサ、光学形状検知コンソールおよびシステム、並びに光学形状検知方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20231023BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20231023BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20231023BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20231023BHJP
【FI】
A61B1/00 552
G02B6/32
G02B6/42
G02B3/00 B
A61B90/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020562837
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019051674
(87)【国際公開番号】W WO2019149600
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】18154130.1
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バン ダー マーク マルティヌス ベルナルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】バン ドスホーテン アンナ ヘンドリカ
(72)【発明者】
【氏名】ファン プッテン エイバート ゲルヤン
(72)【発明者】
【氏名】ト ホーフト ゲルト ウィム
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/193051(WO,A1)
【文献】特開2000-097846(JP,A)
【文献】国際公開第2016/161245(WO,A1)
【文献】特表2014-518097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 6/32
G02B 6/42
G02B 3/00-3/14
A61B 90/00-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学形状センサであって、前記光学形状センサは、
長手方向を規定する長さを有する光ファイバであって、前記光ファイバの前記長さに沿って延びる少なくとも2つのファイバコアを有する、光ファイバと、
前記光ファイバの光ファイバ近位端に配置された光結合部材であって、前記結合部材は、前記光ファイバ近位端に光接続された第1の遠位端面、および前記光ファイバの前記長手方向において前記第1の遠位端面から離間された第2の近位端面を有し、前記光結合部材は、各ファイバコア内に光を結合する、光結合部材と、
前記光結合部材から前記光ファイバ近位端への遷移部に位置する光学界面であって、前記光学界面は、部分的に反射性かつ実質的に透過性であり、前記光学界面は、光が前記光学界面で、前記光結合部材の前記第2の近位端面において反射された光の反射強度分布と時間において実質的に重ならない反射強度分布で反射されるような距離に、前記第2の近位端面から遠位に配置されて構成され、光学界面による光反射は、明確に識別することができるよう、前記光学形状センサからの形状検知信号よりも高い、光学界面と
を備える、光学形状センサ。
【請求項2】
前記光結合部材はGRIN(graded-index)レンズである、請求項1に記載の光学形状センサ。
【請求項3】
前記GRINレンズはk/4のピッチを有し、kは1以上の奇数の整数である、請求項2に記載の光学形状センサ。
【請求項4】
kは3、5、または7である、請求項3に記載の光学形状センサ。
【請求項5】
前記光学界面の光学界面屈折率は、前記光ファイバの光ファイバ屈折率および前記光結合部材の光結合部材屈折率の少なくとも一方と異なる、請求項1に記載の光学形状センサ。
【請求項6】
前記光結合部材の前記第1の遠位端は前記光ファイバ近位端に融着接続され、前記光学界面は融着接続された部分において提供される、請求項1に記載の光学形状センサ。
【請求項7】
前記光結合部材の前記第1の遠位端は、接着層を介して前記光ファイバ近位端に接続され、前記光学界面は前記接着層において提供される、請求項1に記載の光学形状センサ。
【請求項8】
前記光学界面に入射した光の強度に対する前記光学界面で反射された光の強度の比は10-6から10-5の範囲内である、請求項1に記載の光学形状センサ。
【請求項9】
前記光結合部材の前記第2の近位端面は、入力光を供給する光供給パッチコードの遠位端に接続され、前記光結合部材の前記第2の近位端面にはフォイルが配置され、前記フォイルは、前記光結合部材の前記第2の近位端面と前記光供給パッチコードの前記遠位端との接続部での光の反射を低減する、請求項1に記載の光学形状センサ。
【請求項10】
光学形状検知コンソールであって、前記光学形状検知コンソールは、
請求項1に記載の光学形状センサ内に入力光を送り、前記入力光に応答して、前記光学形状センサの各ファイバコアから光応答信号を受信する、光学調査ユニットと、
前記光応答信号から前記光学形状センサの形状を再構成する形状再構成ユニットであって、前記形状再構成ユニットは、前記光応答信号から、各ファイバコアの形状再構成のための開始位置を決定し、前記形状再構成ユニットは、ファイバコアの前記光応答信号において前記光学界面で反射された入力光の反射強度分布のピークを特定して、前記ピークから形状再構成のためのそれぞれの開始位置を決定する、形状再構成ユニットと
を備える、光学形状検知コンソール。
【請求項11】
前記形状再構成ユニットはさらに、前記ファイバコアの決定された前記開始位置を互いにアラインメントする、請求項10に記載の光学形状検知コンソール。
【請求項12】
前記形状再構成ユニットは、位相復元アルゴリズムを使用して、決定された前記開始位置をアラインメントする、請求項11に記載の光学形状検知コンソール。
【請求項13】
請求項1に記載の光学形状センサおよび請求項10に記載の光学形状検知コンソールを備える、光学形状検知システム。
【請求項14】
光学形状センサ内に入力光を送るステップであって、前記光学形状センサは、
長手方向を規定する長さを有する光ファイバであって、前記光ファイバの前記長さに沿って延びる少なくとも2つのファイバコアを有する、光ファイバと、
前記光ファイバの光ファイバ近位端に配置された光結合部材であって、前記結合部材は、前記光ファイバ近位端に光接続された第1の遠位端面、および前記光ファイバの前記長手方向において前記第1の遠位端面から離間された第2の近位端面を有し、前記光結合部材は、各ファイバコア内に光を結合する、光結合部材と、
前記光結合部材から前記光ファイバ近位端への遷移部に位置する光学界面であって、前記光学界面は、部分的に反射性かつ実質的に透過性であり、前記光学界面は、光が前記光学界面で、前記光結合部材の前記第2の近位端面において反射された光の反射強度分布と時間において実質的に重ならない反射強度分布で反射されるような距離に、前記第2の近位端面から遠位に配置されて構成される、光学界面と
を備える、入力光を送るステップと、
前記入力光に応答して、前記光学形状センサの各ファイバコアから光応答信号を受信するステップと、
前記光応答信号において、前記光学界面で反射された入力光の反射強度分布のそれぞれのピークを特定するステップと、
前記ピークから各ファイバコアの形状再構成開始位置を決定するステップと、
前記形状再構成開始位置から開始して、前記光学形状センサの形状を再構成するステップとを含む、光学形状検知方法。
【請求項15】
コンピュータ上で実行されたとき、請求項14に記載の光学形状検知方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学形状検知の分野に関する。本発明は、インターベンショナル医療デバイスおよびインターベンショナル治療処置、特に、光学インテロゲーション技術を用いた低侵襲医療処置に適用される。
【背景技術】
【0002】
低侵襲医療インターベンションでは、カテーテルをターゲット領域に進めるためにガイドワイヤが使用される(例えば、低侵襲心臓血管インターベンション中にカテーテルを心臓まで進めるためのガイドワイヤ)。これらの処置は一般的に、例えば、カテーテルとガイドワイヤとの2次元投影画像を写すリアルタイムX線画像を用いてガイドされる。しかし、X線イメージングの課題として、イメージングの2D性質、患者や医師に害を及ぼし得る電離放射線、患者の腎臓にとって有害な造影剤等が存在する。より実行可能な代替手段は、有害な放射線を要さずに医療機器の完全な3次元形状情報を提供し得る光学形状検知技術を使用することである。光ファイバを使用して空間センシティブ曲がりおよび捩じれ検知を実装する1つの方法は、長さに沿ってFBG(fiber-Bragg gratings)を有する複数のコアを組み合わせることである。構成の一例として、長手方向のファイバ軸に沿ってらせん状に向けられた3つ以上のファイバコアを備え、らせんの中心における追加のまっすぐなファイバコアを含む構成が挙げられる。
【0003】
具体的には、低侵襲処置では、ガイドワイヤの近位端上でのカテーテルのバックロードを容易にするための光コネクタを備えた光学形状検知ガイドワイヤが使用される。ガイドワイヤは、診断または治療用カテーテルの導入前に、インターベンションのターゲット領域まで進められ得る。ガイドワイヤは、典型的には、ガイドワイヤの近位端においてカテーテルを装着すること、およびターゲット領域に到達させるためにガイドワイヤ上でカテーテルを前進させることを可能にする細いワイヤである。
【0004】
バックロードを可能にするには、形状検知可能ガイドワイヤと光学形状検知コンソールとの光接続を再確立する前に標準カテーテルをガイドワイヤにバックロードすることができる程度に十分小さい、ガイドワイヤのための光コネクタが必要である。
【0005】
バックロード可能なガイドワイヤについて、例えばWO2016/193051A1に記載されているように、1つまたは複数のGRIN(graded-index)レンズを備えた光コネクタが提案されている。そのコンパクトさや、本来的に低い表面反射のため、GRINレンズは光コネクタの光結合部材として有望な選択肢である。従来のレンズでは、表面上の任意の点における曲面とレンズ材料の屈折率との組み合わせにより、光は所与の点において所望の方向に屈折させられる。従来のレンズの作用にとって、(通常はレンズのガラス材料と周囲の空気との間の)屈折率差は不可欠であるが、欠点として、入射光の一部の反射も引き起こす。GRINレンズでは、従来のレンズとは異なり、径方向において変化するレンズの屈折率プロファイルによって光線が曲げられる。したがって、GRINレンズの作用は、GRINレンズの入力または出力における、レンズ材料と、光路沿いの隣接材料との間の屈折率差に決定的に依存することはない。この特性は、2つの光コネクタ間の接続が確立された際に、あらゆる空気のガラスへの移行を回避することによって光路内の反射を排除するために、または少なくとも高度に抑制するために使用される。光路沿いの任意の地点で屈折率が厳密に合致している場合に低反射が達成される。反射が低くないと、形状検知処置の実行中に検知光ファイバに沿った各地点から来る比較的弱い光応答信号が圧倒されるため、反射を低くする必要がある。
【0006】
GRINレンズの特性の1つは、いわゆるピッチである。GRINレンズに入射する光線は、GRINレンズの径方向の屈折率プロファイルのために連続的に屈折させられるので、GRINレンズ内の光場は、光伝搬軸に沿ってある周期長ごとに周期的に変化する。GRINレンズのピッチは、GRINレンズの幾何学的長さを周期長で割ったものとして定義される。例えば、ピッチが1/4、3/4、または5/4などの場合、光線が入力端面において光ファイバのファイバコアからGRINレンズに入ると、出力端面においてGRINレンズからコリメートされたビームのセットが出射され得る(その逆も同様である)。GRINレンズが所定のピッチを有する場合、GRINレンズの幾何学的長さは、GRINレンズの軸中心における屈折率と、GRINレンズの開口数とに基づいて固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光学形状検知(optical shape sensing:OSS)では、光ファイバセンサの例えば4つのコアにおけるひずみが測定され、これらの測定結果からセンサの3D形状が計算される。センサの3D形状再構築のための開始位置を定めるには、マルチコア検知ファイバの全てのファイバコアの相対的形状再構築開始位置をミクロンレベルで合わせるための何らかの方法が必要である。1つの可能性は、ファイバ内のFBGファイバからの反射またはレイリー後方散乱を利用する相関法を使用することである。この方法では、キャリブレーションとして、後方散乱の現在の状態が、過去に記録されたファイバの(おそらくは)数mmからの反射プロファイルと比較される。別の方法は、特にコネクタが直角に研磨されている場合、例えばコネクタ界面における屈折率ステップでの反射を利用する。屈折率ステップは、全てのコアについて全く同じ位置で発生する。これは、キャリブレーション方法に依存しないため、非常に有用な特性である。バックロード可能ガイドワイヤの接続にもこの原理を使用すること、すなわち、ガイドワイヤコネクターレンズとパッチコードコネクタレンズ間のインターフェースにおける屈折率ステップを、形状再構成のための開始点として使用することは理に適っているであろう。しかし、このアプローチにはいくつかの問題が存在する。1つの問題は、パッチコードのコネクタ端とガイドワイヤのコネクタ端との間に無菌バリア(例えば、フォイル)を設ける必要があるために生じ、これは、正確に分離することができない、短い距離(短い時間遅延)での2つの反射を伴う2つの屈折率ステップを生じさせる。別の問題はガイドワイヤの再接続中に、特に、コネクタからカテーテルをアンロードした後に生じる。コネクタは汚染されるか、または少なくとも濡れ、それにより屈折率ステップが変化し、よってこの界面での反射の強度が変化する。さらに別の問題は、バックロード可能ガイドワイヤの再接続により、中間層(例えば、無菌バリアを形成するフォイル)の圧縮にわずかな差が生じ、やはり反射が変化することである。したがって、2つのコネクタ間の界面における屈折率ステップは可変であることから、ファイバコアからの光応答信号において当該界面を識別することが困難になり、形状センサの形状再構成の精度が低下する。
【0008】
本発明の狙いは、光伝搬遅延のマイクロメートルのレベルまで、多数のチャネル(ファイバコア)内の信号における時間遅延を同時に正確に測定することである。全てのマーカーに共通の屈折率ステップ等の適切な物理マーカーを使用することで、複数のチャネル内の信号間の遅延を特定して補正することができる。個別のチャネルごとに、クロストークの結果として測定された遅延を乱し、システマチックまたはランダムなエラーを発生させ得る他の反射が存在する。反射は時間領域において非常に鋭い可能性があるが、測定は離散的に行われ、有限なサンプリング範囲のフーリエ変換が実行される。これにより、時間領域での反射ピークの幅が広がり、異なる反射に由来するピークの裾が互いに重なり始め、2つの所与の反射間の測定にクロストークが発生し得る。典型的なステップ長は0.05mmであり、典型的なサンプリング範囲は64ステップ(ノード)(3.2mmの間隔に対応する)を含み得る。
【0009】
上記で説明したチャネル内クロストークに加えて、チャネル間クロストークも存在し、これも同様に考慮する必要がある。このようなクロストークは異なるチャネル間の光結合の結果として生じ、光学系の不完全さによって引き起こされる。
【0010】
本発明の目的は、改善された精度での形状再構成を可能にする光学形状センサを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、改善された精度で光学形状センサの形状を再構成するように構成された光学形状検知コンソールを提供することである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、光学形状センサおよび光学形状検知コンソールを備えた光学システムを提供することである。
【0013】
さらなる目的は、改善された精度での形状再構成を可能にする光学形状検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の側面によれば、光学形状センサが提供され、光学形状センサは、
長手方向を規定する長さを有する光ファイバであって、光ファイバの前記長さに沿って延びる少なくとも2つのファイバコアを有する、光ファイバと、
光ファイバの光ファイバ近位端に配置された光結合部材であって、結合部材は、光ファイバ近位端に光接続された第1の遠位端面、および光ファイバの長手方向において第1の端面から離間された第2の近位端面を有し、光結合部材は、各ファイバコア内に光を結合する、光結合部材と、
光結合部材から光ファイバ近位端への遷移部に位置する光学界面であって、光学界面は、部分的に反射性かつ実質的に透過性であり、光学界面は、光が光学界面で、光結合部材の第2の端面において反射された光の反射強度分布と時間において実質的に重ならない反射強度分布で反射されるような距離に、第2の端面から遠位に配置され、かつ、そのように構成される、光学界面とを備える。
【0015】
本発明は、光学形状センサ内の、光結合部材から光ファイバ近位端に遷移する箇所に、屈折率ステップを有する光学界面を設けるという考えに基づいている。この光学界面は、形状再構成のための全てのファイバコアの開始位置として有利に使用され得る。光結合部材の近位端における光学界面、すなわち、光学形状センサコネクタとパッチコードカウンタコネクタとの間の界面における光学界面とは異なり、ファイバ/結合部材遷移部における光学界面は、無菌バリアや、2つのコネクタ間の圧力等による影響を受けない。したがって、この界面での反射は安定しており、全てのファイバコアからの光応答信号において簡単に復元することができる。ファイバコアの光応答信号におけるこの光学界面での光反射の時間位置は確実に測定され、各ファイバコアの応答信号における時間遅延はゼロに調整され得るので、光ファイバの全てのファイバコアの相対的開始位置をミクロンレベルまで正確に合わせることができる。光結合部材から光ファイバ近位端への遷移部の光学界面は部分的に反射性であり、例えば、-50dB未満の反射を提供し、また実質的に透過性であって、例えば、光学界面での挿入損失は1dB未満であり得る。さらに、本発明によれば、光学界面は、光結合部材の近位端面から十分に離間されているため、ファイバから結合部材への遷移部で反射された光の反射強度分布は、結合部材の近位端面で反射された光の反射強度分布と時間において実質的に重ならない。「実質的に」とは、全く重なりが存在しない場合だけでなく、ファイバ/結合部材の遷移部における光学界面からの光反射が良好に認識可能であり、形状再構成の開始位置のための適切な選択肢となるような、わずかな無視できる重なりが含まれ得る。
【0016】
ファイバ/結合部材の遷移部における光学界面から結合部材の近位端面までの距離は1mm~5mmの範囲内またはそれ以上であり得る。この構成では、ファイバ/結合部材の遷移部における反射の反射強度ピークは、時間領域において、光結合部材の近位端面での反射の反射強度ピークから十分に離れている。簡単に言えば、例えば、いくらかの反射強度レベルにおいて、ミクロンレベルで反射ピーク位置を正確に決定するためにフーリエ変換が0.05mmのノードを64個必要とする場合、結合部材の各端面は少なくとも3.2mm離れていなければならない。
【0017】
さらに、光結合部材から光ファイバ近位端への遷移部での光学界面は、光反射が時間領域において他の測定される入力光反射から十分に離れているだけでなく、その光反射自体が十分な強度を有するように(よって、良好に認識可能であるように)構成されるべきである。これは、光結合部材の近位端面における反射率を減少させることによって、および/または、光結合部材から光ファイバ端近位への遷移部の光学界面での反射率を増加させることによって達成され得る。光結合部材から光ファイバ端部への遷移部における光学界面での屈折率差を調整することによって、光学界面の反射率を増加または減少させてもよい。
【0018】
一方では、明確に識別することができるよう、マーカー(光結合部材からファイバ近位端への遷移部の光学界面)反射がセンサからの形状検知信号よりも高いことが重要である。他方では、マーカー反射ピークの裾がセンサ信号と重なる。ファイバセンサからの形状検知信号がマーカー反射によって圧倒されないように注意する必要がある。典型的には、センサ信号より15dB~20dB高いマーカー信号が適していることが認められる。センサ信号は通常、ノイズフロアまたはレイリー散乱よりも25dB以上高い。センサ信号は、FBGからの後方反射に起因するものである。しかし、センサ信号の既知の構造は、それがフィルタリング除去されることを可能にするため、マーカー反射ピークは、フィルタリングされた残留バックグラウンドより30dB~40dB高いレベルで確認できるようになり得る。
【0019】
以下、本発明に係る光学形状センサのさらなる実施形態を説明する。
【0020】
ある好ましい実施形態では、光結合部材はGRIN(graded-index)レンズであり、好ましくはk/4のピッチを有し、ここで、kは1以上の奇数の整数である。
【0021】
光結合部材としてのGRINレンズは、光学形状センサがバックロード可能な光学形状センサである場合、例えばバックロード可能な形状検知可能ガイドワイヤである場合に有利である。そのようなGRINレンズのピッチは1/4、3/4、5/4、・・・で有利である。なぜなら、一方では、形状再構成の開始点を形成するマーカー光学界面がGRINレンズの近位端面から離されることにより、マーカー光学界面での光反射の強度がGRINレンズの近位端面での光反射の強度から十分に分離され、他方では、前述のピッチを有するGRINレンズは、近位端面におけるコリメートされたビームをセンサ光ファイバのファイバ近位端上にフォーカスさせるからである。
【0022】
GRINレンズのピッチは5/4または7/4であり得る。GRINレンズのピッチが3/4、5/4、または7/4の場合、GRINレンズの近位端面からの光学界面の十分に大きな距離と、制御可能な範囲内にGRINレンズ収差を維持することとの間の良好な妥協が見つけられ得る。これらのピッチを使用する場合、GRINレンズの開口数および径方向断面を、1/4ピッチのGRINレンズの場合とほぼ同じに保つことができる。さらに、上述のGRINレンズのピッチの範囲内では、バックロード可能な光学形状センサのGRINレンズの非常に小さな直径を考慮しても、GRINレンズを有する光コネクタの機械的強度は依然として高い可能性がある。典型的な直径は0.2mm~0.4mmである。
【0023】
さらも重要なことに、レンズのガラス材料とファイバとを接合する融着接続プロセスの結果として、屈折率遷移層が形成され得る。具体的な手順に依存するが、この層の厚さは典型的には10nm~100nm、またはそれ以上であり得る。この種の層は、一般的に反射強度を低下させる。
【0024】
良好な近似のために、屈折率n=1.472のGRINレンズとモード屈折率nmode=1.451の光ファイバとの間の鋭い遷移の反射は、次式によって与えられる:
【数1】
【0025】
上記の与えられた値の場合、結果はR=5.1×10-5の反射となり、これは本発明の目的に対しては高い。屈折率遷移層の利点を利用すると、反射をさらに10~100倍減らすことができ、実践的な状況では約50倍が認められる。
【0026】
光学界面(OI)に入射した光の強度に対する光学界面(OI)で反射された光の強度の比は10-6から10-5の範囲内であり得る。
【0027】
さらに、ファイバ/結合部材の遷移部における光学界面の光学遷移層屈折率は、光ファイバの光ファイバ屈折率および光結合部材の光結合部材屈折率の少なくとも一方と異なっていてもよい。
【0028】
この実施形態では、マーカー光学界面と光ファイバ近位端との間、および/またはマーカー光学界面と光結合部材の屈折率との間の屈折率ステップにより、マーカー光学界面での光反射が良好に認識可能である。例えば、光結合部材および光ファイバは、同じまたは実質的に同じ屈折率を有し、この場合、マーカー光学界面は、光ファイバ材料の屈折率および光結合部材材料の屈折率とは異なる屈折率を有する、光ファイバ端部と遠位光結合部材端部との間の薄い材料層によって提供され得る。これは、例えば、光ファイバの屈折率および光結合部材の屈折率とは異なる屈折率を有する接着剤を使用することによって達成され得る。他の例では、光ファイバは、光結合部材の屈折率とは異なる屈折率を有してもよく、この場合、光ファイバ端部は光結合部材に融着接続され、融着接続部それ自体が、光ファイバ近位端から光結合部材の遠位端面への遷移部における光学界面の屈折率ステップを提供する。
【0029】
したがって、一実施形態では、光結合部材の第1の遠位端は光ファイバ近位端に融着接続され、光学界面は前記融着接続された部分において提供される。
【0030】
他の実施形態では、光結合部材の第1の遠位端は、接着層を介して光ファイバ近位端に接続され、光学界面は接着層において提供される。
【0031】
光結合部材の近位端面は、入力光を供給する光供給パッチコードの遠位端に接続され、光結合部材の近位端面にはフォイルが配置され、フォイルは、光結合部材の近位端面と光供給パッチコードの遠位端との接続部での光の反射を低減する。
【0032】
この手段は、結合部材の近位端面での反射の反射強度を低減する。光結合部材から光ファイバ近位端への遷移部でのマーカー光学界面における反射の反射強度に対して、光結合部材の近位端面での反射の反射強度をさらに低減するために、好ましくは、フォイルの屈折率は、形状センサ側の光結合部材およびパッチコード側のカウンタ光結合部材と合わせられる。その結果、光学界面における反射の反射ピークの特定の信頼性、したがって、形状再構成のための開始点の決定の精度がさらに改善される。
【0033】
特に、フォイルが圧縮可能および/または弾性である場合に有利である。圧縮可能なフォイルは、製造公差に起因し得る、光結合部材の近位端面の傾斜角または曲率を補償するのに役立ち得る。光結合部材の近位端面および/またはカウンタ光結合部材の遠位端面の傾斜角または曲率は、空隙のために、近位端面での屈折につながり得る。この空隙は、形状センサコネクタ部の光結合部材と、カウンタ光結合部材コネクタ部との間の圧縮可能フォイルによって回避され得る。
【0034】
本発明の第2の側面によれば、光学形状検知コンソールが提供され、光学形状検知コンソールは、
第1の側面に係る光学形状センサ内に入力光を送り、入力光に応答して、光学形状センサの各ファイバコアから光応答信号を受信する、光学調査ユニットと、
光応答信号から光学センサの形状を再構成する形状再構成ユニットであって、形状再構成ユニットは、光応答信号から、形状再構成のための各ファイバコアの開始位置を決定し、形状再構成ユニットは、光応答信号において光学界面で反射された光の反射強度分布のそれぞれのピークを特定して、ピークから形状再構成のためのそれぞれの開始位置を決定する、形状再構成ユニットとを備える。
【0035】
本発明のこの側面によれば、光学形状検知コンソールは、高い精度で形状再構成のための開始点を決定するために、光応答信号におけるファイバ/結合部材遷移部での光学界面における反射の反射強度分布のピークを使用する。形状再構成ユニットは、全てのファイバコアからの光応答信号のピークから、(例えば、時間領域における)各ファイバコアの相対的開始位置を決定する。形状再構成ユニットはさらに、決定された相対的開始位置間の遅延をゼロに調整することによって、時間領域における相対的開始位置を合わせ得る。これは、位相復元アルゴリズムを使用することによって行われ得る。
【0036】
次に、形状再構成ユニットは、ファイバコアのアラインメントされた開始位置から開始して、光学形状センサの3D形状を再構成し得る。
【0037】
本発明の第3の側面によれば、第1の側面に係る光学形状センサと、第2の側面に係る光学形状検知コンソールとを備える光学形状検知システムが提供される。
【0038】
本発明の第4の側面によれば、光学形状検知方法が提供され、光学形状検知方法は、
第1の側面に係る光学形状センサ内に入力光を送るステップと、
入力光に応答して、光学形状センサの各ファイバコアから光応答信号を受信するステップと、
光応答信号において、光学界面で反射された入力光の反射強度分布のそれぞれのピークを特定するステップと、
ピークから各ファイバコアの形状再構成開始位置を決定するステップと、
形状再構成開始位置から開始して、光学形状センサの形状を再構成するステップとを含む。
【0039】
本発明のさらなる側面によれば、コンピュータ上で実行されたとき、第4の側面に係る方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0040】
本発明に係る光学形状感知コンソール、光学形状検知システム、および光学形状検知方法は、光学形状センサに関して上記したものと同じまたは同様の利点を有する。クレームされる方法、コンソール、システム、およびコンピュータプログラムは、クレームされる光学形状センサと同様および/または同一の好適な実施形態を有し、特に、従属請求項に定義されているものおよび本明細書に開示されているものを有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の上記及び他の側面は、以下に記載される実施形態を参照しながら説明され、明らかになるであろう。
【0042】
図1図1は、光学形状センサおよび光学形状検知コンソールを備える光学形状検知システムの略図を示す。
図2図2は、図1の光学形状センサにおいて使用される光ファイバのある区間を示す。
図3図3は、図2の光ファイバの断面図を示す。
図4図4は、光ファイバおよびGRINレンズ構成の一実施形態を示す。
図5A-C】図5A図5Cは、異なるピッチを有する3つのGRINレンズを示す。
図6A-B】図6A図6Bは、異なるピッチを有するGRINレンズに接続された光ファイバを示す。
図7A-D】図7A図7Dは、光ファイバの4つのコアからの光応答信号の強度のグラフを示す。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る光ファイバおよびGRINレンズ構成を示す。
図9図9は、形状センサ側に1/4ピッチGRINレンズおよび3/4ピッチGRINレンズを有する、図4に係る光ファイバ/GRINレンズ構成からの反射強度分布のグラフを時間領域において示す。
図10A-B】図10A図10Bは、それぞれGRINレンズに接続された2つの光ファイバを、2つのGRINレンズ間の中間層と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、低侵襲医療処置のために使用され得る光学形状検知システム10を示す。光学形状検知システム10は、光学形状センサOSおよび光学形状検知コンソールCを備える。光学形状センサOSは、パッチコードPCを介して光学形状検知コンソールCに接続され得る。光学形状センサOSおよびパッチコードPCは、光接続デバイスOCDを介して互いに接続されてもよい。
【0044】
光学形状センサOSは、光ファイバの長さに沿って延びる少なくとも2つのファイバコアを有する光ファイバを含む。光学形状センサOSにおいて使用される光ファイバ30の例を図2および図3に示す。図2および図3に示される光ファイバ30は、4つのファイバコア31、32a、32b、および32cを有するマルチコアファイバである。ファイバコア31は、光ファイバ30の中心軸に沿って延びる中心ファイバコアである。ファイバコア32a、32b、および32cは、中心コア31の周りにらせん状に巻かれたアウターコアである。各コア31、32a、32b、32cはクラッド34内に埋め込まれてもよい。コア31、32a、32b、32cは、コーティング35(図2には示されていない)、例えばポリマーコーティングによって保護されている。図3に示すように、3つのアウターコア32a、32b、32cは、光ファイバ30の長手方向に垂直な断面において互いに等距離にある。
【0045】
コーティング35の外径Dは200μmであってもよい。クラッドの外径dは125μmであってもよい。各コア31、32a、32b、32cの直径は、例えば6μmであり得る。各アウターコア32a、32b、32cと中心コア31との間の距離は、例えば35μmであり得る。
【0046】
ファイバコア31、32a、32b、32cはそれぞれ、各自の長さに沿ってFBGを有し得る。
【0047】
再び図1を参照すると、光学形状センサOSは、バックロード可能ガイドワイヤGWとして構成され得る。ガイドワイヤGWの基端部PEは、パッチコードPCの遠位端DEと接続されるコネクタ部としての機能を有する。ガイドワイヤGWのコネクタ部は、パッチコードPCのカウンタコネクタ部と嵌合しなければならない。ガイドワイヤGWは患者と直接接触するため、ガイドワイヤGWは滅菌されている必要がある一方、パッチコードおよびコンソールCは滅菌されていない可能性がある。ガイドワイヤGWのコネクタ部とパッチコードPCのカウンタコネクタ部とは光接続デバイスOCDを形成する。線Bは、無菌側(ガイドワイヤGW)と非無菌側(パッチコードPC、コンソールC)との間のバリアを示す。
【0048】
バックロード可能なガイドワイヤGW(または、一般的に光学形状センサOS)では、光学形状センサOSとパッチコードPCとの間の接続は、ともに光結合部材を含む両コネクタ部に依拠する。結合部材は、GRIN(graded-index)レンズとして構成されてもよい。そのような光接続デバイスOCDの一例が図4に示されている。図4は、パッチコードPCのコネクタ部であり得る光コネクタ部OC1、および図2の光学形状センサOSのコネクタ部であり得る光コネクタ部OC2を示す。光コネクタ部OC2はGRINレンズGRIN2として構成され得る光結合部材OCM2を含み、GRINレンズGRIN2は光ファイバF2に接続され、光ファイバF2のファイバコアC21、C22、C23に入る/から出る光を結合する。結合部材は、ファイバF2の近位光ファイバ端に光接続される遠位端面OF2と、光ファイバF2の長手方向LCにおいて遠位端から離間された近位端面IF2とを有する。
【0049】
光学形状センサOSの光ファイバF2は、インターベンショナル処置においてガイドワイヤの光学的形状を検知するために、ガイドワイヤGWの全長にわたって延在し得る。光ファイバF2は、ファイバコアC21、C22、C23を有するマルチコアファイバであってもよい。光ファイバF2は、3つより多いファイバコアを有してもよく、例えば、光ファイバF2は、図2および図3に示される光ファイバのように構成され得る。図4において、光ファイバコアC22は、ファイバF2の長手方向軸LCに関して中心コアである。
【0050】
図1に示されるように光学形状検知コンソールCに接続され得る)パッチコードPCの光コネクタ部OC1は、GRINレンズGRIN1として構成され得る光結合部材OCM1を含み、GRINレンズGRIN1は光ファイバF1に接続され、光ファイバF1のファイバコアC11、C12、C13に入る/から出る光を結合する。結合部材は、遠位端面OF1と、光ファイバF1の遠位光ファイバ端に光接続される近位端面IF1とを有する。コネクタ部OC1は、コネクタ部OC2に対するカウンタコネクタ部を形成する。
【0051】
図4は、1/4ピッチGRINレンズGRIN2の代表的なケースを示している。ピッチについては、後により詳しく説明する。
【0052】
各ファイバコアC11、C12、C13からの光線は、GRINレンズGRIN1の近位端面IF1においてGRINレンズGRIN1に入り、コリメートされた光線としてGRINレンズGRIN1の遠位端面OF1においてGRINレンズGRIN1から出る。GRINレンズGRIN1のコリメーション効果は、GRINレンズGRIN1の1/4のピッチによるものである。次に、コリメートされた光線は、ここでは、光ファイバF2に接続されたGRINレンズGRIN2として構成された光結合部材OCM2を有する光コネクタ部OC2に入る。図4では、GRINレンズGRIN1およびGRINレンズGRIN2の構成全体のピッチは1/2である。各ケースにおいて1/4ピッチレンズとしてのGRINレンズGRIN1およびGRIN2の構成を考慮して、コリメートされたビームのセットは、ファイバF1、F2のファイバコアC11、C12、C13またはC21、C22、C23の焦点に向かって/から、コネクタOC1およびOC2に/から入射/出射し得る(その逆も同様である)。なお、ファイバコアC11から来た光線は、GRINレンズGRIN1およびGRIN2中を伝播した後、ファイバコアC23に入射し、すなわち、ファイバコアC11、C12、C13の画像は、ファイバコアC21、C22、C23において反転される。
【0053】
そのコンパクトさや、原則的に低い表面反射のため、GRINレンズは、医療インターベンショナルデバイスにおける光学形状検知技術のバックロード可能なバージョンに関する良い選択肢である。なぜなら、光は空気-ガラスへの移行において反射または屈折されず、例えばGRINレンズの半径方向に伸びるGRINプロファイルにおいて曲げられるからである。この特性は、接続が確立されたとき、すなわち、光ファイバとGRINレンズとが融着接続され、接着され、または他の態様で互いに接続されたとき、あらゆる空気からガラスへの移行を排除するために利用される。GRINレンズGRIN1の遠位端面OF1およびGRINレンズGRIN2の近位端面IF2における反射を低減または排除するために、コネクタOC1とコネクタOC2との間に薄い屈折率整合中間層IM(例えば、フォイル)が配置され得る。この整合層は、変形可能(圧縮可能)という機械的に好ましい特性を有し得る。一般的な用途では、整合層は流体またはゲルであり得る。本発明およびその適用例の範囲内において、整合層は弾性で圧縮可能なフォイルであり得る。このようにすることで、整合中間層IMは、接続部の任意の表面凹凸に対して変形することができ、光結合部材OCM1およびOCM2の表面OF1およびIF2の間の完全な機械的および光学的合致を提供することができる。
【0054】
図4は、GRINレンズの代表的な長さL(例えば、1.3mm)および代表的な直径d(例えば、0.3mm)を示す。図5A図5C図6Aおよび図6Bを参照して、GRINレンズの物理的原理をより詳細に説明する。
【0055】
GRINレンズ、または一般的にGRIN光学コンポーネントは、当該コンポーネントを通る光伝搬を制御するために使用される屈折率の漸進的位置依存変化を有する。GRIN光学系の重要なサブセットは、屈折率が径方向距離rに沿ってのみ変化する複数の円柱(GRINロッドレンズとも呼ばれる)によって構成される。例えば、GRINロッドレンズは、ほぼ放物線状の径方向屈折率プロファイルを有する:
【数2】
ここで、gは勾配定数、nはGRINロッドレンズの中心の屈折率、rはGRINロッドレンズの長手方向中心軸に対する径方向位置を表す。GRINロッドレンズに入射する光は連続的に屈折するため、そのようなGRINロッドレンズ内の光場はz軸(円柱軸)に沿って周期的に変化し、周期長は下式の通りである。
【数3】
【0056】
GRINロッドレンズの長さを表す一般的な方法はピッチPであり、これは、GRINロッドレンズの幾何学的長さLを周期長zperiodで割ったものである:
【数4】
【0057】
式(3)によれば、GRINレンズの幾何学的長さLはGRINレンズのピッチPに比例する。
【0058】
例えば、図5Aは、ピッチP=0.25のGRINロッドレンズを示し、図5Bは、ピッチP=0.5のGRINロッドレンズを示し、図5Cは、ピッチP=1のGRINロッドレンズを示す。
【0059】
ピッチがP=1,2,3,4,・・・のGRINロッドレンズは、レンズの前面を後面に結像する(その逆も同様である)。ピッチがP=0.5,1.5,2.5,・・・のGRINロッドレンズも前面を背面に結像するが、この場合には画像が反転される(GRINレンズGRIN1およびGRINレンズGRIN2の両方によって形成される図4のGRINレンズ構成の場合と同様)。他の一般的に使用されるピッチはP=1/4,3/4,5/4,・・・であり、GRINロッドレンズは、前面上の全ての点からの光を後面においてコリメートする(その逆も同様である)。
【0060】
図6Aは、ピッチが3/4のGRINレンズの例を示し、図6Bは、ピッチが5/4のGRINレンズの例を示す。
【0061】
GRINロッドレンズの開口数は、GRINロッドレンズの中心の屈折率、およびGRINロッドレンズの外側境界における屈折率によって定められる:
【数5】
ここで、dは、円柱軸に垂直なGRINロッドレンズの直径である(図1を参照されたい)。
【0062】
要求される最小NA、および最大直径dがわかっている場合、GRINロッドレンズは、用途のニーズに応じた勾配定数gを有するように設計され得る:
【数6】
【0063】
さらに、要求されるピッチPがわかっている場合、GRINロッドレンズは以下のような長さLを有さなければならない:
【数7】
【0064】
図4の形状センサOSの光コネクタOC2のような光コネクタを作成するとき、ファイバF2およびGRINレンズGRIN2は、融着接続プロセスによって互いに結合され得る。融着接続は、光ファイバF2(図4)またはF(図6A、6B)とGRINレンズGRIN2(図4)またはGRINレンズGRIN(図6A、6B)とが、熱を使用してそれぞれの端部で結合されるプロセスである。言い換えれば、光ファイバとGRINレンズとは、光ファイバの材料およびGRINレンズの材料が溶接プロセスのように局所的に溶融されるという形態で、融着される。光ファイバとGRINレンズとを互いに結合する別のやり方として、接着剤の薄い層が使用され得る。
【0065】
光学形状検知では、光ファイバF2のファイバコアC21、C22、C23(図4)(または、光ファイバ30の4つのコア31、32a、32b、32c(図2図3))において歪みが測定される。ファイバコアの歪みは、光ファイバにおける曲げやねじれに起因し得る。光学形状検知コンソールC(図1)は光学調査ユニットOIUを備え、これは、光学形状センサOSの光ファイバF2のファイバコアC21、C22、C23に入力光を送り、入力光に応答して、光学形状センサOSのファイバコアC21、C22、C23(または31、32a、32b、32c)のそれぞれから光応答信号を受信するように構成される。各ファイバコアからの光応答信号は、光学形状センサOSに沿った光ファイバF2における歪みを示す。光学形状検知制御Cはさらに、光学調査ユニットOIUによって受信された光応答信号から光学形状センサOSの形状を計算によって再構成するように構成された形状再構成ユニットSRU(図1)を含む。光学形状検知は、光学形状センサOSの3D形状再構成を可能にする。光学形状センサOSの正確な形状再構成には、光学形状センサOSをミクロンレベルまで3D形状構築するために、光学形状センサOS沿いの明確な開始点または位置が要求される。しかし、ファイバコアから受信される光応答信号は、ファイバコアごとに相対的な時間遅延を有し、各ファイバコアの光応答信号から全てのファイバコアに関して形状再構成の開始位置を復元することは困難である。言い換えれば、ファイバコアから受信される応答信号は、ファイバコアごとに異なり得る相対的な開始位置しか提供しない。したがって、光学形状センサの形状を可能な限り正確に再構成するために、光学形状センサOSの全てのファイバコアについて、相対的開始位置をミクロンレベルで揃えるやり方が必要とされる。
【0066】
各ファイバコアの相対的開始位置を揃える1つの可能性は、光ファイバF2内のFBGからの反射または光ファイバF2内のレイリー後方散乱を使用する相関法を使用することである。このやり方では、キャリブレーションとして、後方散乱の現在の状態が、過去に記録されたファイバの(おそらくは)数mmからの反射プロファイルと比較される。しかし、この方法は不利である。なぜなら、そのようなキャリブレーションは、キャリブレーションプロセス中に、異なるファイバコアの相関セクションの相対的な物理的位置を正確に突き止めるために、例えば圧力点によって誘発され得る(一時的な)物理マーカーを有することを要求するからである。また、このやり方は、時間がかかるおそれがあるという点でも不利である。
【0067】
別の可能性は、図4の2つのGRINレンズGRIN1およびGRINレンズGRIN2の間の界面、すなわち、GRINレンズGRIN1の端面OF1とGRINレンズGRIN2の端面IF2との界面における入力光の反射を利用することである。このやり方は、キャリブレーション方法に依存しないという利点を有する。このやり方では、ガラス-空気-ガラスの屈折率ステップが、GRINレンズGRIN1とGRINレンズGRIN2との間の光学界面での反射の基礎となる。このステップは、全てのファイバコアに関してまったく同じ位置で発生し、相対的開始位置のアラインメントが容易に達成され得る。
【0068】
しかし、後者の方法では少なくとも2つの問題が存在する。その1つは、ガイドワイヤGWがバックロード可能ガイドワイヤである場合、パッチコードPCのコネクタOC1とガイドワイヤGWのコネクタOC2との間に、中間層IM(図4)のような無菌バリア(例えば、フォイル)が必要となることに基づく。さらに、図4の2つのGRINレンズGRIN1とGRINレンズGRIN2との間の界面では、血液による汚れ、接続界面の圧力変化や、コネクタOC1およびコネクタOC2の相互接続の無菌性を確保するために存在する中間層IMの状態に起因して、入力光の反射強度が大きく変化する可能性がある。別の問題は、端面OF1および端面IF2が光軸に対して厳密に直角に研磨されておらず、その結果、可変空隙が存在し得ることである。これらの状況は、以下で説明するように、ファイバコアからの光応答信号における界面の正確な復元を妨げるおそれがある。
【0069】
図7A図7Dは、1/4ピッチのGRINレンズGRIN1およびGRIN2を有する2つのファイバF1およびF2が接続された場合において、入力光に応じて(図2および図3に示されるような光ファイバを有する)図4の構成の4つのファイバコアCore0~Core3から受信される光応答信号の例を示す。Core0は光ファイバF2の中心ファイバコアを示し、Core1、Core2、Core3はアウターコアを示す。
【0070】
図7A図7Dは、ファイバコアCore0、Core1、Core2、Core3のそれぞれについて、光コネクタOC1およびOC2(図4)沿いの対応するファイバコアの光応答信号の振幅分布を示す(時間領域光応答信号におけるノード4000~4200)。FPは、図4の2つのGRINレンズGRIN1およびGRIN2の間の光学界面、すなわち、間に中間層IM(フォイル)を有するGRINレンズ端面OF1およびIF2における光の反射の反射ピークを表す。ファイバコアCore0、Core1、Core2、Core3の反射ピークFPを比較すると、中心コアCore0の反射ピークFPが高いことがわかる。これは、光学界面は中心コアCore0に対して直角であり、多くの反射光が光ファイバF1のファイバコアCore0にまっすぐ戻されるからである。
【0071】
SP2は、図4の光ファイバF2とGRINレンズGRIN2との間の光学界面、すなわち、GRINレンズGRIN2の遠位端面OF2における光の反射の反射ピークを表す。ファイバコアCore0で示されているように、1/4ピッチGRINレンズであるGRINレンズGRIN2の場合、反射ピークFPおよび反射ピークSP2は約27目盛り(ノード)離れている。図7A~Dからもわかるように、アウターコアCore1~Core3については反射ピークSP2が反射ピークFPよりも高いが、Core0については反射ピークSP2が反射ピークFPよりも低い。
【0072】
SP1は、図4の光ファイバF1とGRINレンズGRIN1との間の光学界面、すなわち、GRINレンズGRIN1の近位端面IF1における光の反射の反射ピークを表す。CTPは、アウターコアから中心コアCore0へのクロストークに起因する光応答信号の振幅分布のピークを表す。
【0073】
図7A図7Dから、バックロード可能光学形状センサOSの場合、光ファイバF2とGRINレンズGRIN2との間の光学界面での反射が、形状再構成のための全てのファイバコアの共通の開始位置となり得ることがわかる。すなわち、光学形状センサOSのGRINレンズGRIN2から光ファイバF2への遷移における光学界面での光反射の時間位置を測定して、ファイバコア間の時間遅延をゼロに調整することが可能である。その時点で、光学界面での反射は穏やかであるか、または穏やかにされ得るが、良好に視認することができ、安定している。
【0074】
しかし、2つのGRINレンズGRIN1およびGRIN2の間の界面での反射の反射強度分布の裾は、光ファイバF2とGRINレンズGRIN2との間の光学界面での反射の反射強度分布と重なる可能性があり、これにより、反射ピークSP2の測定に使用され得る位置の精度(典型的なシステムでは、ノード距離の約0.02、または1ミクロン伝搬遅延である必要がある)が低下する。したがって、この重なりは、光ファイバF2とGRINレンズGRIN2との間の光学界面からの反射ピークSP2から、光ファイバF2の各ファイバコアの開始位置を正確に復元することを妨げ得る。
【0075】
したがって、本発明によれば、GRINレンズGRIN2から光ファイバF2の近位ファイバ端への遷移における部分的に反射性で、実質的に透過性の光学界面は、GRINレンズGRIN2から光ファイバF2への遷移における光学界面で、光が、GRINレンズGRIN2の近位端面IF2において反射された光の反射強度分布と実質的に重ならない反射強度分布で反射されるような距離に、GRINレンズGRIN2の近位端面IF2から遠位に配置されるべきであり、かつ、そのように構成されるべきである。
【0076】
本発明の原理によれば、GRINレンズGRIN2の長さは、反射ピークFPおよび反射ピークSP2を互いに引き離すために伸長される。しかし、バックロード可能な形状検知可能ガイドワイヤGWでは、GRINレンズGRIN2の直径を小さくする必要がある。光ファイバF2の開口数が典型的なNA=0.21であって、125ミクロン光ファイバセンサのフィールド径が典型的な70ミクロンであるとすると、十分に低いGRINレンズ収差で全てのファイバコアについて光を直径0.25~0.40mm以内でコリメートするために、1.0~1.5mmというかなり短い焦点距離(1/4ピッチ長)が必要になる。これらのパラメータは、最も広く利用されているガイドワイヤの直径0.36mm、0.46mm、または0.89mmに対して互換性を有する。
【0077】
したがって、所与の状況について、GRINレンズGRIN2の開口数および径方向断面を変更することなく、GRINレンズGRIN2の伸長を行う必要がある。本発明によれば、これは、コリメートされたビームを生成する3/4や5/4ピッチのGRINレンズ等のより高いピッチのレンズを使用することによって達成され得る。そのようなGRINレンズは、GRINレンズの収差と、反射ピークFPおよび反射ピークSP2の十分な分離との間の非常に優れた妥協である。後者は、形状再構成、および形状再構成に用いる共通の開始位置を見つけるための各相対的開始位置のアラインメントのために、各ファイバコアの相対的開始位置のより正確な復元を提供する。
【0078】
図8は、本発明の原理に従って構成された光学形状センサOSの実施形態を示す。光学形状センサOSは、3/4ピッチのGRINレンズGRIN2を有する光コネクタOC2を備える。このようにすることで、光ファイバF2の近位端からGRINレンズGRIN2の遠位端面OF2への遷移部における光学界面OIは、GRINレンズGRIN2の近位端面IF2から遠位に十分な距離に位置し、その結果、光学界面OIにおける反射強度分布の反射ピークSP2は、GRINレンズGRIN2の近位端面IF2における反射強度分布の反射ピークFPから十分に離れる。また、図8には、光ファイバF2を収容するファイバフェルールFFと、ファイバフェルールFFおよびGRINレンズGRIN2を機械的に安定した態様で収容するチューブまたはスリーブSLとが示されている。
【0079】
光ファイバF2はGRINレンズGRIN2に融着接続され得る。その場合、融着接続が光学界面OIを形成し得る。レンズのガラス材料とファイバとを接合する融着接続プロセスの結果として、屈折率遷移層が形成され得る。具体的な手順に依存するが、この層の厚さは典型的には10nm~100nm、またはそれ以上であり得る。この種の層は、一般的に反射強度を低下させる。
【0080】
適切な近似のために、屈折率n=1.472のGRINレンズと、モード屈折率nmode=1.451の光ファイバとの間の鋭い遷移の反射は次の式で与えられる:
【数8】
【0081】
上記の与えられた値の場合、結果はR=5.1×10-5の反射となり、これは本発明の目的にとっては高い。屈折率遷移層の利点を利用すると、反射をさらに10~100倍減らすことができ、実践的な状況では約50倍が認められる。
【0082】
光ファイバF2が接着によってGRINレンズGRIN2に接続される場合、光学界面OIは接着剤の層によって形成され得る。また、GRINレンズGRIN2として、5/4ピッチの図6BのGRINレンズを使用することもでき、あるいは、GRINレンズ収差があまり高くない場合には、レンズGRIN2として、さらに高い奇数クォーターのピッチのGRINレンズが使用され得る。
【0083】
一般的に、光学界面OIに入射した光の強度に対する光学界面OIで反射された光の強度の比は10-6から10-5の範囲内であり得る。
【0084】
図9は、1/4ピッチGRINレンズGRIN2および3/4ピッチGRINレンズGRIN2について、図4の構成からの光応答信号を時間領域において示す。2つのGRINレンズGRIN1とGRINレンズGRIN2との間の光学界面からの反射ピークFP、および光ファイバF2からGRINレンズGRIN2への遷移における光学界面からの反射ピークFPは、GRINレンズGRIN2が1/4ピッチGRINレンズの場合、大きく重なる。3/4ピッチGRINレンズGRIN2を使用する図8に係る構成の場合、状況ははるかに良くなる。
【0085】
図8に係る光学形状センサOSの有利な効果は、図9に示されるように、1/4ピッチ(図9の「SP2(1/4ピッチ)」)を有するGRINレンズと比較して、3/4ピッチGRINレンズGRIN2では、2つのGRINレンズGRIN1およびGRIN2の間の界面で反射された光の反射ピークFPの裾と、光学界面OIで反射された光のピークSP2の周りの反射強度分布との重なりがはるかに少ない。反射ピークSP2(3/4ピッチ)は、反射ピークSP2(1/4ピッチ)と比較して、反射ピークFPから3倍ずれている。図9において矢印Vで示されるように、反射ピークFPは可変で予測できないため(圧縮やフォイルの血液混入等に依存する)、その効果を補正することは容易ではない。これは、例えば、予測可能であってフィルタ除去可能なFBGからの信号とは状況が異なる。
【0086】
また、図9には、光ファイバF1と1/4ピッチのGRINレンズGRIN1との光学界面における反射ピークSP1が示されている。反射ピークSP1は、反射ピークFPよりも反射ピークSP2(3/4ピッチ)からさらに離れているので、より高いピッチのGRINレンズGRIN1を使用する必要はない。
【0087】
したがって、3/4ピッチGRINレンズGRIN2を使用することにより、光学界面OIでの反射からの反射ピークSP2に対する2つのGRINレンズGRIN1およびGRIN2の間の界面での反射からの反射ピークFPの影響が低減され、したがって、各ファイバコアC21~C23(または31、32a、32b、32c)のピークSP2の位置をより低いバックグラウンド強度で測定することができ、よって、より正確に測定することができる。
【0088】
3/4ピッチまたは5/4ピッチのGRINレンズGRIN2の場合の反射ピークSP2の反射ピーク位置決定の精度は、反射ピークFPに対する反射ピークSP2の高さを増加させることによってさらに改善することができる。これは、図10AおよびBに示されるように、屈折率が合わせられた、最適化された中間層IMを使用することによって、または、図4のGRINレンズGRIN1およびGRIN2の端面OF1およびIF2を小さい角度で研磨することによって反射ピークFPを下げることで実現され得る。層IM(例えば、フォイル)は、端面OF1およびIF2の角度研磨によって導入される幾何学的差異を克服するのに十分な厚さおよび圧縮性を有し得る。フォイルIMがない場合、端面OF1の角度研磨のため、光はある角度でGRINレンズGRIN1から出る。角度研摩の向きは、レンズGRIN1およびGRIN2の両方で同一ではない可能性があるため、レンズ間の適切な光接続は不可能であろう。2つのレンズGRIN1およびGRIN2の間に圧縮性フォイルIMを使用することにより、光は再び第2のGRINレンズGRIN2に向かってまっすぐに出射される。このように、圧縮性フォイルは、GRINレンズGRIN1およびGRIN2の両方の角度研磨が同じ方向を有さなくとも、適切な接続を可能にする。フォイルIMは、GRINレンズGRIN2の端面IF2での光の反射を低減するために屈折率整合されてもよい。
【0089】
代替的なまたは追加の手段は、反射ピークSP2を増大させることである。これは、GRINレンズGRIN2と光ファイバF2との間の屈折率の差を調整することによって、例えば、融着接続バージョンの場合(上記のnおよびnmodeの例を参照されたい)、光学界面OIでの十分な屈折率ステップを提供するために、十分に異なる屈折率を有する材料をこれらの要素の材料として選択することによって、または、光ファイバF2とGRINレンズGRIN2とが接着される場合は、光学界面OIでの十分な屈折率ステップを提供する適切な接着剤を使用することによって実現され得る。一般的に、光学界面OIの光学界面屈折率は、光ファイバF1の光ファイバ屈折率および光結合部材OCM2の光結合部材屈折率の少なくとも一方と異なっていてもよい。
【0090】
再び図1を参照して、光学調査ユニットOIUは、光学形状センサOS内に入力光を送り、入力光に応答して、光学形状センサOSのファイバコア(例えば、C21、C22、C23)のそれぞれから光応答信号を受信するように構成される。各チャネルまたはファイバコアの受信光は干渉計からの出力として測定され、よって、位相および強度の両方が測定される。形状再構成ユニットSRUは、光応答信号から光学形状センサOSの形状を再構成するように構成される。ここで、形状再構成ユニットSRUは、光応答信号からの形状再構成のために光学形状センサの各ファイバコアの開始位置を決定するように構成される。形状再構成ユニットSRUは、光応答信号において上述のように光ファイバF2からGRINレンズGRIN2への遷移における光学界面OIでの反射の反射強度分布のピークSP2を特定または測定し、これらのピークから形状再構成のために各ファイバコアの相対的開始位置を決定するように構成される。
【0091】
形状再構成ユニットSRUはさらに、形状再構成のためにファイバコアの開始位置を合わせるように構成され、例えば、各チャネルの干渉計信号の位相復元アルゴリズムを使用して、形状再構成のためのファイバコアの特定された開始位置を合わせる。
【0092】
光学形状検知方法では、入力光が光学形状センサOS内に送られ、入力光に応答して、光学形状センサOSの各ファイバコア(例えば、ファイバコアC21、C22、C23)から光応答信号が受信される。光学形状センサOSの形状は光応答信号から再構成される。光学界面OI(図4図8)で反射された光の反射強度分布のそれぞれのピークが光応答信号において特定される。ピークから各ファイバコアの形状再構成開始位置が決定され、形状再構成開始位置から開始して光学形状センサの形状が再構成される。
【0093】
方法は、コンピュータ上で実行されたとき、上記のような方法をコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムによって実行され得る。
【0094】
本発明は、図面および上記において詳細に図示および記載されているが、かかる図示および記載は説明的または例示的であり、非限定的であると考えられるべきである。本発明は、開示の実施形態に限定されない。開示の実施形態の他の変形例が、図面、開示、および添付の特許請求の範囲から、クレームされる発明に係る当業者によって理解および実施され得る。
【0095】
特許請求の範囲において、「含む」という用語は他の要素またはステップを排除するものではなく、単数形は複数を除外しない。単一の要素又は他のユニットが、請求項に記載される複数のアイテムの機能を果たし得る。複数の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせが好適に使用することができないとは限らない。
【0096】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共にまたは他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体またはソリッドステート媒体等の適切な非一時的媒体上で記憶および/または分配されてもよいし、インターネットまたは他の有線若しくは無線テレコミュニケーションシステムを介して等の他の形態で分配されてもよい。
【0097】
特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5(A)】
図5(B)】
図5(C)】
図6(A)】
図6(B)】
図7
図8
図9
図10(A)】
図10(B)】