(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】モータユニット及び液体供給装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20231023BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20231023BHJP
F02M 37/08 20060101ALI20231023BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
H02K5/00 A
H02K7/14 B
F02M37/08 E
F04D29/00 B
(21)【出願番号】P 2020566488
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2020001380
(87)【国際公開番号】W WO2020149383
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2019005221
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】堀底 伸一郎
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-183798(JP,A)
【文献】実開昭53-136508(JP,U)
【文献】国際公開第2009/133648(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00
H02K 7/14
F02M 37/08
F04D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内周面に嵌合される円板状のブラケットと、
前記ハウジング内に配置され、前記ブラケットと同軸上に配置されるモータ部と、を備え、
前記モータ部は、
前記ハウジングの内周面に嵌合され、筒状に湾曲した一枚の金属板から構成されるヨークと、
前記ヨークの内周面に配置された複数の永久磁石と、を有し、
前記ブラケットの軸方向における端面と前記ヨークの前記ブラケット側の一端部とが当接され、
前記ハウジングは、
前記ブラケットに対応する位置に形成され、前記ハウジングと前記ブラケットとの位置決めを行うための第1位置決め部を有し、
前記ヨークは、
前記金属板の突き合わせ面を避けた位置にて前記一端部から前記ブラケット側に突出するように設けられ、前記ブラケットとの位置決めを行うための複数の第1位置決め突起と、
前記突き合わせ面を避けた位置にて前記一端部から前記ブラケット側に突出するように設けられ、前記ヨークを搬送する機器に対して位置決めを行うための複数の第2位置決め突起と、を有し、
前記ブラケットは、
前記第1位置決め部と係合可能な第2位置決め部と、
複数の前記第1位置決め突起が各々挿入される複数の位置決め凹部と、を有し、
前記第2位置決め部と複数の前記位置決め凹部のうちの1つとが、前記モータ部の回転軸を中心に両側に振り分け配置され、
前記第1位置決め突起の個数をN1としたとき、隣接する前記第1位置決め突起同士の間の前記回転軸を中心とする周方向の角度は、360°/N1-30°以上かつ360°/N1+30°以下であり、
前記第2位置決め突起の個数をN2としたとき、隣接する前記第2位置決め突起同士の間の前記周方向の角度は、360°/N2-30°以上かつ360°/N2+30°以下であり、
前記第1位置決め突起、前記第2位置決め突起、及び前記第1位置決め部は、互いに周方向、径方向及び軸方向のいずれにも重ならない位置に配置されている
モータユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のモータユニットにおいて、
前記第1位置決め突起、前記第2位置決め突起、及び前記位置決め凹部は、それぞれ3個であり、
3個の前記位置決め凹部のうちの1つと、前記第2位置決め部とが、前記回転軸を中心に径方向で対向配置されている
モータユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のモータユニットにおいて、
前記第1位置決め部は、前記ハウジングの内周面から突出する凸部であり、
前記第2位置決め部は、前記第1位置決め部が挿入可能な凹部である
モータユニット。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のモータユニットにおいて、
前記永久磁石の前記周方向における中心は、
前記金属板の前記突き合わせ面を基準として前記周方向における角度が-30°以上+30°以下の範囲に位置する
モータユニット。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のモータユニットと、
前記モータ部によって駆動され、液体を圧送可能なポンプ部と、を備え、
前記ブラケットは、前記ポンプ部のケースである
液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニット及び液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動二輪車や四輪車等の車両用の液体供給装置は、燃料タンクから燃料を吸引し、エンジンに向かって圧送する燃料ポンプを備えている。燃料ポンプは、ポンプ部とポンプ部を駆動するモータ部と、を備えている。
ポンプ部としては、例えばインペラを有する非容積型のポンプが用いられる。このようなポンプ部は、インペラと、インペラの全体を覆うように形成されたポンプケースと、を備えている。
【0003】
モータ部としては、例えばブラシ付きモータが用いられる。このようなモータ部は、円筒状のヨークと、ヨークの内周面に固定されている永久磁石と、ヨーク内に回転自在に支持されるアーマチュアと、アーマチュアに電力を供給するためのブラシと、を備えている。ヨークは、例えば一枚の金属板を湾曲形成させて円筒状に形成される。ブラシは、スプリング等によって、アーマチュアのコンミテータに向かって付勢されているとともに、外部電源に電気的に接続されている。
【0004】
このようなポンプ部とモータ部とは、ポンプケースとヨークとを同軸上に並べて重ね合わせたうえで、円筒状のハウジング内に収納される。このハウジングの軸方向端部をかしめることにより、ポンプ部とモータ部とが一体化される。
このような構成のもと、モータ部によってインペラが回転駆動すると、燃料タンク内の燃料がポンプ部内に吸引される。この後、燃料は、モータ部内を通って燃料ポンプに設けられた吐出パイプから吐出され、エンジンに圧送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ポンプ部とモータ部とを同軸上に配置するために、ヨークとポンプケースとを嵌合させる場合がある。また、ヨークとポンプケースとの周方向の位置決めを行うために、ヨークとポンプケースとに、凹凸嵌合させるための凸部や凹部を設ける場合がある。さらに、例えば、ヨークの生産性を向上させるために順送プレス加工装置等を用いる場合、ヨークに、加工装置に対する位置決めを行うための突起等を設ける場合がある。
単純に、これらのような構造を採用すると、ブラシのコンミテータへの付勢力やハウジングに対するポンプ部やモータ部の固定強度が不安定になる可能性があった。また、モータ部の性能が低下してしまう可能性があった。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、各部の位置決めを行いつつ、ハウジングに対する固定強度を安定させることができるとともに、モータ性能を向上させることができるモータユニット及び液体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面に係るモータユニットは、
円筒状のハウジングと、
前記ハウジングの内周面に嵌合される円板状のブラケットと、
前記ハウジング内に配置され、前記ブラケットと同軸上に配置されるモータ部と、を備え、
前記モータ部は、
前記ハウジングの内周面に嵌合され、筒状に湾曲した一枚の金属板から構成されるヨークと、
前記ヨークの内周面に配置された複数の永久磁石と、を有し、
前記ブラケットの軸方向における端面と前記ヨークの前記ブラケット側の一端部とが当接され、
前記ハウジングは、
前記ブラケットに対応する位置に形成され、前記ハウジングと前記ブラケットとの位置決めを行うための第1位置決め部を有し、
前記ヨークは、
前記金属板の突き合わせ面を避けた位置にて前記一端部から前記ブラケット側に突出するように設けられ、前記ブラケットとの位置決めを行うための複数の第1位置決め突起と、
前記突き合わせ面を避けた位置にて前記一端部から前記ブラケット側に突出するように設けられ、前記ヨークを搬送する機器に対して位置決めを行うための複数の第2位置決め突起と、を有し、
前記ブラケットは、
前記第1位置決め部と係合可能な第2位置決め部と、
複数の前記第1位置決め突起が各々挿入される複数の位置決め凹部と、を有し、
前記第2位置決め部と複数の前記位置決め凹部のうちの1つとが、前記モータ部の回転軸を中心に両側に振り分け配置され、
前記第1位置決め突起の個数をN1としたとき、隣接する前記第1位置決め突起同士の間の前記回転軸を中心とする周方向の角度は、360°/N1-30°以上かつ360°/N1+30°以下であり、
前記第2位置決め突起の個数をN2としたとき、隣接する前記第2位置決め突起同士の間の前記周方向の角度は、360°/N2-30°以上であり且つ360°/N2+30°以下であり、
前記第1位置決め突起、前記第2位置決め突起、及び前記第1位置決め部は、互いに周方向、径方向及び軸方向のいずれにも重ならない位置に配置されている。
【0009】
このように構成することで、ヨークに対する第1位置決め突起、及び第2位置決め突起の位置を最適化できるとともに、ブラケットに対する第2位置決め部、及び位置決め凹部の位置を最適化できる。このため、ハウジング、ヨーク、及びブラケットの位置決めを行いつつ、ハウジングに対するヨーク、及びブラケットの固定強度を安定させることができる。
【0010】
本発明の第2の側面では、上記第1の側面において、
前記第1位置決め突起、前記第2位置決め突起、及び前記位置決め凹部は、それぞれ3個であり、
3個の前記位置決め凹部のうちの1つと、前記第2位置決め部とが、前記回転軸を中心に径方向で対向配置されている。
【0011】
このように構成することで、ハウジング、ヨーク、及びブラケットの位置決めを行いつつ、ハウジングに対するヨーク、及びブラケットの固定強度を確実に安定させることができる。また、モータユニットのモータ性能を確実に向上させることができる。
【0012】
本発明の第3の側面では、上記第1の側面又は上記第2の側面において、
前記第1位置決め部は、前記ハウジングの内周面から突出する凸部であり、
前記第2位置決め部は、前記第1位置決め部が挿入可能な凹部である。
【0013】
円筒状であるハウジングは、例えばプレス加工を施すことにより凸部を形成しやすい。一方、ブラケットに凹部を形成する場合、加工方法として、鍛造、圧造、鋳造等、さまざまな加工方法を採用することが可能になる。このため、モータユニットの製造コストを低減できるとともに、モータユニットの製造方法のバリエーションを増大させることができる。
【0014】
本発明の第4の側面では、上記第1の側面~上記第3の側面の何れか1つにおいて、
前記永久磁石の前記周方向における中心は、
前記金属板の前記突き合わせ面を基準して前記周方向における角度が-30°以上+30°以下の範囲に位置する。
【0015】
このように構成することで、ヨークに対する永久磁石の位置を最適化でき、永久磁石の有効磁束を最大限利用することができる。このため、モータユニットのモータ性能を向上させることができる。
【0016】
本発明の第5の側面に係る液体供給装置は、
上記第1の側面~上記第4の側面の何れか1つに記載のモータユニットと、
前記モータ部によって駆動され、液体を圧送可能なポンプ部と、を備え、
前記ブラケットは、前記ポンプ部のケースである。
【0017】
このように構成することで、モータ部とポンプ部との位置決めを行いつつ、ハウジングに対するモータ部とポンプ部との固定強度を安定させることができる。また、液体供給装置のモータ性能を向上できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ハウジング、ヨーク、及びブラケットの位置決めを行いつつ、ハウジングに対するヨーク、及びブラケットの固定強度を安定させることができる。また、ヨークに対する永久磁石の位置を最適化でき、永久磁石の有効磁束を最大限利用することができる。このため、モータユニットのモータ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における液体供給装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態における液体供給装置の軸方向に沿う断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態におけるハウジングを外した状態の液体供給装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態におけるハウジング、ヨーク、及びポンプケースの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態におけるヨークをポンプ部側からみた平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態におけるモータ部をポンプ部側からみた平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態におけるアッパーケースを軸方向の上側からみた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(液体供給装置)
図1は、液体供給装置1の斜視図である。
図2は、液体供給装置1の軸方向に沿う断面図である。
液体供給装置1は、自動二輪車や四輪車等の車両用の燃料ポンプとして用いられる。液体供給装置1は、不図示の燃料タンク内に配置されるいわゆるインタンク式の燃料ポンプである。
【0022】
図1、
図2に示すように、液体供給装置1は、略円筒状で金属製のハウジング2と、ハウジング2の内周面に嵌合され、それぞれハウジング2の軸方向に並んで配置されたモータ部3、及びポンプ部4と、を備えている。ハウジング2、モータ部3、及びポンプ部4は、同軸上に配置されている。
液体供給装置1は、ポンプ部4を重力方向下側に向けて使用される。このため、以下の説明では、モータ部3側を上方、ポンプ部4側を下方などと称する場合がある。また、以下の説明では、ハウジング2、モータ部3、及びポンプ部4の軸方向を単に軸方向、ハウジング2、モータ部3、及びポンプ部4の径方向を単に径方向、ハウジング2、モータ部3、及びポンプ部4の周方向を単に周方向と称する。
【0023】
ハウジング2は、モータ部3が嵌合されるモータ嵌合部11と、モータ嵌合部11よりも段差を介して縮径形成され、ポンプ部4が嵌合されるポンプ嵌合部12と、が一体成形されたものである。ポンプ嵌合部12の内周面には、径方向内側に向かって突出する第1位置決め凸部(請求項における第1位置決め部)13が形成されている。第1位置決め凸部13は、ハウジング2を径方向外側から例えばプレス加工等により押圧することでなる。第1位置決め凸部13は、径方向からみて軸方向に長い長方形状に形成されている。また、ハウジング2におけるポンプ嵌合部12の下端には、径方向内側に向かう内フランジ部12aが屈曲延出されている。これら第1位置決め凸部13、及び内フランジ部12aは、ハウジング2とポンプ部4との位置決めに用いられる。
【0024】
モータ部3としては、例えばブラシ付きモータが採用される。モータ部3は、略円筒状のヨーク5と、ヨーク5の内周面に設けられた永久磁石8と、ヨーク5内に回転自在に設けられるアーマチュア6と、ヨーク5の上開口部5aを閉塞するアウトレットカバー7と、アウトレットカバー7に収納されているブラシ9と、を主構成としている。
アーマチュア6は、回転軸14と、回転軸14の外周面に嵌合固定されているアーマチュアコア15と、回転軸14のアーマチュアコア15よりもアウトレットカバー7寄りの外周面に嵌合固定されているコンミテータ16と、を主構成としている。
【0025】
アーマチュアコア15は、径方向外側に向かって放射状に延びる複数のティース17を有している。これらティース17に不図示の巻線が巻回されている。不図示の巻線の端末部は、コンミテータ16に接続されている。
コンミテータ16は、略円板状に形成された樹脂製のコンミテータ本体18を有する、いわゆるディスク型のコンミテータである。コンミテータ本体18のアーマチュアコア15とは反対側の一面18aに複数のセグメント19が周方向に並んで配置されている。セグメント19の径方向外側端には、コンミテータ本体18の外周面を通ってアーマチュアコア15側に屈曲延出されるライザ21が一体成形されている。各ライザ21に、不図示の巻線の一端が接続されている。
【0026】
このように形成されたアーマチュア6は、殆どが樹脂モールド部22によって覆われている。樹脂モールド部22は、略円柱状に形成されている。また、樹脂モールド部22は、アーマチュアコア15よりもポンプ部4側からコンミテータ本体18の軸方向略中央に至る間に延在されている。アーマチュアコア15は、ティース17の径方向外側端(外周面)のみが露出されており、不図示の巻線は樹脂モールド部22に埋没されている。樹脂モールド部22のポンプ部4側端には、角部に丸面取り部22aが形成されている。これにより、樹脂モールド部22のポンプ部4側端は先細りになる。
【0027】
アウトレットカバー7は、アーマチュアコア15側に開口部7aを有する略有底筒状に形成されている。アウトレットカバー7の底部7bには、径方向略中央に、アーマチュアコア15側に向かって突出する軸受円筒部23が一体成形されている。この軸受円筒部23に、回転軸14の上端部14aが回転自在に支持されている。
【0028】
また、アウトレットカバー7の底部7bには、軸受円筒部23を挟んで両側に、ブラシホルダ24が一体成形されている。ブラシホルダ24は、コンミテータ16側が開口された箱状に形成されている。ブラシホルダ24に、ブラシ9が軸方向に沿ってスライド移動自在に収納されている。また、ブラシホルダ24には、コイルスプリング26が圧縮変形した形で収納されている。ブラシ9は、コイルスプリング26によってコンミテータ16側に向かって付勢されている。ブラシ9の先端は、ブラシホルダ24から突出されてセグメント19に摺接されている。
【0029】
また、アウトレットカバー7の底部7bには、この底部7bを上下方向に貫通する端子27が設けられている。ブラシ9は、不図示のピグテールを介して端子27に接続されている。端子27には、不図示の外部電源が接続される。これにより、端子27、不図示のピグテール、ブラシ9、及びセグメント19を介して不図示の巻線に外部電力が供給される。
また、アウトレットカバー7の底部7bには、上方に向かって突出する吐出ポート28が一体成形されている。吐出ポート28は、液体供給装置1によって汲み上げられる燃料が吐出される箇所であり、不図示の燃料流路に接続されている。また、吐出ポート28を介し、アウトレットカバー7の内外が連通されている。
【0030】
アウトレットカバー7の周壁7cには、下方に向かって延出する位置決め片32が一体成形されている。位置決め片32は永久磁石8の間に介在され、永久磁石8(ヨーク5)とアウトレットカバー7との位置決めを行う。また、
図3に示すように、アウトレットカバー7の周壁7cには、下方に向かって延出する位置決め凸部33が一体成形されている。位置決め凸部33の延出長さは、位置決め片32の延出長さよりも十分短く設定されている。位置決め凸部33は、アウトレットカバー7とヨーク5との周方向の位置決めを行う。
【0031】
また、アウトレットカバー7の周壁7cには、外周面に全周に渡って嵌合凸条部29が径方向外側に張り出すように形成されている。嵌合凸条部29の外径は、ハウジング2におけるモータ嵌合部11の内径とほぼ同一に設定されている。このような嵌合凸条部29の外周面が、モータ嵌合部11の内周面に嵌合されている。アウトレットカバー7の周壁7cにおける嵌合凸条部29よりも下側は、ヨーク5とインロー嵌合されるインロー部31とされている。
【0032】
(ヨーク)
図3は、ハウジング2を外した状態の液体供給装置1の斜視図である。
図4は、ハウジング2、ヨーク5、及び後述のポンプケース41の分解斜視図である。
ヨーク5は、永久磁石8の磁束が通る磁路となる。
図2~
図4に示すように、ヨーク5は、例えば順送プレス加工装置を用いて形成される。ヨーク5は、一枚の金属板に例えばプレス加工を施して湾曲させ、略円筒状に形成されている。ヨーク5は、周方向の両端同士(一枚の金属板の長手方向両端同士)を突き合せた突き合わせ面5cを有している。
【0033】
ヨーク5の上開口部5aは、アウトレットカバー7におけるインロー部31の外周面に嵌合される。ヨーク5の上開口部5aの周縁には、アウトレットカバー7の位置決め凸部33に対応する位置に、この位置決め凸部33を挿入可能なヨーク位置決め凹部34が形成されている。ヨーク位置決め凹部34に位置決め凸部33が挿入されることにより、アウトレットカバー7とヨーク5との周方向の位置決めが行われる。
【0034】
ヨーク5における下開口部5bの周縁には、突き合わせ面5cを避けた位置に、複数(本実施形態では3個)の第1位置決め突起(請求項における第1位置決め突起)35がポンプ部4側に向かって延出形成されている。第1位置決め突起35は、ヨーク5とポンプ部4との周方向の位置決めを行う。
また、ヨーク5における下開口部5bの周縁には、突き合わせ面5cを避けた位置に、複数(本実施形態では3個)の第2位置決め突起(請求項における第2位置決め突起)36が形成されている。第2位置決め突起36は、ヨーク5の下開口部5bの周縁において、第2位置決め突起36を形成する箇所の周方向両側に凹部36aを形成することにより、下開口部5bの周縁からポンプ部4側に向かって突出した形になる。第2位置決め突起36は、例えば、順送プレス加工装置に対する位置決めを行うために使用される。
【0035】
ここで、
図5に基づいて、第1位置決め突起35、及び第2位置決め突起36の位置決め方法について詳述する。
図5は、ヨーク5をポンプ部4側からみた平面図である。
図5に示すように、第1位置決め突起35の個数をN1としたとき、第1位置決め突起35の周方向の配置位置は、隣接する第1位置決め突起35同士の間の回転軸14の軸心Cを中心とする周方向の角度αが、
α=360°/N1±30°・・・(1)
を満たすように設定されている。換言すると、角度αは、360°/N1-30°≦α≦360°/N1+30°であるように、設定されている。本実施形態では、第1位置決め突起35の個数N1は3個であり、
図5に示す角度α1,α2及びα3がほぼ120°であるように第1位置決め突起35が配置されている。
【0036】
また、第2位置決め突起36の個数をN2としたとき、第2位置決め突起36の周方向の配置位置は、隣接する第2位置決め突起36同士の間の回転軸14の軸心Cを中心とする周方向の角度βが、
β=360°/N2±30°・・・(2)
を満たすように設定されている。換言すると、角度βは、360°/N2-30°≦β≦360°/N2+30°であるように、設定されている。本実施形態では、第2位置決め突起36の個数N2は3個であり、
図5に示す角度α1,α2及びα3がほぼ120°であるように第2位置決め突起36が配置されている。
さらに、第1位置決め突起35、及び第2位置決め突起36は、それぞれ上記式(1),(2)を満たしつつ、互いに周方向、径方向及び軸方向のいずれにも重ならない位置に配置されている。
【0037】
図6は、モータ部3をポンプ部4側(下側)からみた平面図である。
図2、
図6に示すように、ヨーク5の内周面には、2つの永久磁石8が設けられている。永久磁石8は、軸方向からみてヨーク5の内周面に沿うように略半円状に形成されている。永久磁石8における軸方向の長さは、アーマチュアコア15の軸方向の長さよりも長く設定されている。そして、アーマチュアコア15の軸方向両端から永久磁石8の軸方向両端が突出するように(オーバーハングするように)配置されている。永久磁石8の磁場配向は径方向(永久磁石8の厚さ方向)に沿っている。
【0038】
このような永久磁石8は、回転軸14を中心に径方向で対向配置されている。また、2つの永久磁石8のうちの1つは、ヨーク5の突き合わせ面5cに対し、周方向に±30°の範囲Ar1に周方向の中心C1が位置するように配置されている。換言すると、永久磁石8のうちの1つの中心C1は、突き合わせ面5cを基準(即ち、角度ゼロ)として周方向における角度が-30°以上+30°以下の範囲内に配置されている。永久磁石8の内周面とアーマチュアコア15におけるティース17の径方向外側端との間には、微小隙間が形成される。
【0039】
(ポンプ部)
図2~
図4に示すように、回転軸14の下端部は、ポンプ部4に挿入されている。
ポンプ部4は、インペラ40を有する非容積型のポンプが用いられている。ポンプ部4は、インペラ40と、インペラ40の全体を覆うように形成されたポンプケース41と、により構成されている。ポンプケース41が、ハウジング2のポンプ嵌合部12に嵌合される。
【0040】
インペラ40は、樹脂材料からなる略円板状に形成された部材である。インペラ40の径方向略中央に、回転軸14の下端部14bが連結されている。これにより、回転軸14とインペラ40とが一体となって回転する。
インペラ40の上面および下面における外周側には、複数の羽根部(不図示)が形成されている。また、複数の羽根部の間は、インペラ40の下面と上面とを貫通している。さらに、インペラ40の径方向中央と羽根部との間には、インペラ40の下面と上面とを貫通する不図示の燃料流路孔が形成されている。
【0041】
(ポンプケース)
インペラ40の全体を覆うポンプケース41は、アッパーケース43と、ミドルケース44と、ロワケース42と、により構成されている。
【0042】
図7は、アッパーケース43を軸方向の上側からみた平面図である。
図2~
図4、
図7に示すように、アッパーケース43は、インペラ40のモータ部3側に配置されている。アッパーケース43は、インペラ40の上面を覆うように略円板状に形成されている。アッパーケース43の外周部に、ミドルケース44が接合されている。アッパーケース43の外径は、ヨーク5の外径よりも若干小さく設定されている。
【0043】
アッパーケース43の径方向中央には、回転軸14の下端部14bを挿通可能な挿通孔46が形成されている。また、アッパーケース43の上面43aには、挿通孔46の周囲を取り囲むように軸方向からみて略円環状の凹部47が形成されている。アッパーケース43の上面43aにおいて、凹部47よりも外周側は、ヨーク5が当接される当接面43bとなる。また、アッパーケース43の上面43aには、凹部47の外周部寄りに、アッパーケース43を上下方向に貫通する吐出口48が形成されている。この吐出口48から燃料が吐出される(詳細は後述する)。
【0044】
アッパーケース43の外周面43cには、ヨーク5の第1位置決め突起35に対応する位置に、この第1位置決め突起35を挿入可能な第1ケース位置決め凹部(請求項における位置決め凹部)45が複数(本実施形態では3個)形成されている。第1ケース位置決め凹部45の位置は、第1位置決め突起35の位置に対応していることから、周方向にほぼ120°間隔で配置されている。吐出口48は、3個の第1ケース位置決め凹部45のうちの1つの近傍に位置している。
【0045】
第1ケース位置決め凹部45に第1位置決め突起35が挿入されることにより、ポンプケース41に対するヨーク5の周方向の位置決めが行われる。第1ケース位置決め凹部45に第1位置決め突起35を挿入した状態では、アッパーケース43の当接面43bに、ヨーク5の下端(下開口部5bの周縁)が当接される。つまり、アッパーケース43の当接面43bに、ヨーク5の第2位置決め突起36が当接される。これにより、ポンプケース41に対するヨーク5の軸方向の位置決めが行われる。
【0046】
ミドルケース44は、インペラ40の外周面を取り囲むように略リング状に形成されている。ミドルケース44は、アッパーケース43と一体に形成されている。ミドルケース44の外径は、アッパーケース43の外径よりも若干大きく設定されている。ミドルケース44によって、インペラ40の径方向中心と、回転軸14の軸心Cとが一致される。ミドルケース44の軸方向の厚さは、インペラ40の軸方向の厚さと略同一か、若干厚くなるように形成されている。これにより、インペラ40とアッパーケース43との間、及びインペラ40とロワケース42との間に、それぞれ所定のクリアランスが形成される。
【0047】
アッパーケース43の外周面43c、及びミドルケース44の外周面44aには、軸方向に沿って延びる第2ケース位置決め凹部(請求項における第2位置決め部)51が形成されている。第2ケース位置決め凹部51は、ハウジング2の第1位置決め凸部13を挿入可能に形成されている。第2ケース位置決め凹部51は、周方向で隣り合う第1ケース位置決め凹部45の間に配置されている。より具体的には、3個の第1ケース位置決め凹部45のうち、吐出口48の近傍に位置する第1ケース位置決め凹部45と、第2ケース位置決め凹部51とは、挿通孔46(回転軸14)を中心に径方向で対向する位置に配置されている。
【0048】
ロワケース42は、インペラ40の下方に配置されている。ポンプケース41は、ミドルケース44が一体に形成されたアッパーケース43と、ロワケース42とで、インペラ40の全体を覆うように形成されている。
ロワケース42は、略円板状に形成されている。ロワケース42の外径は、ミドルケース44の外径とほぼ同一に設定されている。ロワケース42の外周面42aには、アッパーケース43、及びミドルケース44の第2ケース位置決め凹部51と連通する第3ケース位置決め凹部(請求項における第2位置決め部)52が形成されている。第3位置決め凹部52の周方向の幅、及び深さは、第2ケース位置決め凹部51の周方向の幅、及び深さとほぼ同一に設定されている。したがって、第3位置決め凹部52は、ハウジング2の第1位置決め凸部13を挿入可能に形成されている。
【0049】
ロワケース42の下面42bには、径方向中央に、回転軸14の下端部14bが回転自在に支持されている。ロワケース42の下面42bには、外周側に、下方に向かって突出した燃料吸入口53が形成されている。燃料吸入口53は、筒状に形成されている。燃料吸入口53の内周面側は、燃料の通路となる。燃料吸入口53を介してポンプケース41内に燃料が吸い上げられる。
また、ロワケース42の下面42bには、外周縁に、段差部49が形成されている。段差部49は、ロワケース42の下面42b側を縮径させることにより形成される。段差部49は、軸方向からみて、ハウジング2の内フランジ部12aと重なる位置に形成されている。
【0050】
段差部49には、シール部材としての角リング50が装着される。角リング50は、断面が略矩形状に形成されたフッ素ゴム等の耐油性に優れた材料からなる部材である。角リング50の外径は、ロワケース42の外径よりも若干小さく設定されている。このため、ハウジング2のポンプ嵌合部12には、アッパーケース43、ミドルケース44、及びロワケース42の外周面が嵌合される。角リング50の外周面とハウジング2のポンプ嵌合部12の内周面との間には、微小隙間が形成される。
【0051】
(液体供給装置の組立方法)
次に、液体供給装置1の組立方法について説明する。
まず、予めモータ部3とポンプ部4とを組み立てておく。そして、ポンプケース41の第1ケース位置決め凹部45にヨーク5の第1位置決め突起35を挿入する。これにより、モータ部3とポンプ部4との周方向の位置決めが行われる。
続いて、アッパーケース43の当接面43bに、ヨーク5の下端を当接させる。これにより、モータ部3とポンプ部4との軸方向の位置決めが行われるとともに、モータ部3とポンプ部4とが一体化される。ここで、当接面43bは、アッパーケース43の上面43aに形成されており、十分なスペースが確保されている。このため、当接面43bにヨーク5の下端を当接させても、これら当接面43bやヨーク5が座屈変形してしまうことがない。
【0052】
この後、ハウジング2の内周面に、モータ部3とポンプ部4とを嵌合させる。この際、ハウジング2におけるモータ嵌合部11の上開口縁部11aから、ポンプ部4、モータ部3の順でハウジング2内に挿入していく。またこのとき、ハウジング2の第1位置決め凸部13と、ポンプケース41の第2ケース位置決め凹部51、及び第3ケース位置決め凹部52との位置を合わせる。そして、第2ケース位置決め凹部51、及び第3ケース位置決め凹部52に第1位置決め凸部13が挿入されるように、ハウジング2にモータ部3とポンプ部4とを挿入させていく。これにより、モータ部3及びポンプ部4とハウジング2との周方向の位置決めが行われる。
【0053】
ここで、モータ部3とポンプ部4との周方向の位置決めを行うヨーク5の第1位置決め突起35、及びポンプケース41の第1ケース位置決め凹部45と、ハウジング2とポンプ部4(モータ部3)との周方向の位置決めを行うハウジング2の第1位置決め凸部13、及びポンプケース41の第2ケース位置決め凹部51と第3ケース位置決め凹部52とは、周方向で互いに位置がずれている。このため、モータ部3とポンプ部4との周方向の位置決めと、ハウジング2とポンプ部4(モータ部3)との周方向の位置決めと、がそれぞれ独立して行われるので、各位置決めが安定する。
【0054】
また、ヨーク5に形成されている第1位置決め突起35及び第2位置決め突起36は、それぞれヨーク5の突き合わせ面5cを避けるように形成されている。このうえで、第1位置決め突起35の周方向の配置位置は、上記式(1)を満たすように設定されている。また、第2位置決め突起36の周方向の配置位置は、上記式(2)を満たすように設定されている。このため、モータ部3とポンプ部4との固定強度が周方向にバランスよく分散される。
【0055】
この後、ポンプ部4のロワケース42に装着されている角リング50を、ハウジング2の内フランジ部12aに当接させる。そして、ロワケース42の段差部49と内フランジ部12aとにより、角リング50を若干押し潰した状態のまま、モータ嵌合部11の上開口縁部11aを、アウトレットカバー7の嵌合凸条部29の上から径方向内側にかしめる。これにより、ハウジング2のポンプ嵌合部12に、ポンプ部4が嵌合される。また、ハウジング2のモータ嵌合部11に、モータ部3が嵌合される。そして、これらハウジング2、モータ部3、及びポンプ部4が一体化される。さらに、角リング50により、ハウジング2とポンプ部4との間のシール性が確保される。以上により、液体供給装置1の組み立てが完了する。
【0056】
(液体供給装置の動作)
次に、液体供給装置1の動作について説明する。
モータ部3の回転軸14を回転させると、この回転軸14と一体となってインペラ40が回転される。すると、燃料がインペラ40の不図示の燃料流路孔を通過し、インペラ40の下側から上側に向かって圧送される。この後、アッパーケース43の吐出口48を介し、モータ部3のヨーク5内に燃料が吐出される。ヨーク5内に吐出された燃料は、永久磁石8と樹脂モールド部22(アーマチュアコア15におけるティース17の径方向外側端)との間の微小隙間を介して吐出ポート28に圧送される。この後、吐出ポート28を介して不図示のエンジン等に燃料が圧送される。
【0057】
このように、上述の実施形態では、アッパーケース43の上面43aを、ヨーク5の下端が当接される当接面43bとしている。このため、当接面43bにヨーク5の下端を当接させても、これら当接面43bやヨーク5が座屈変形してしまうことを防止できる。とりわけ、本実施形態のように、コンミテータ16がディスク型のコンミテータであり、コイルスプリング26によって、ブラシ9がコンミテータ16を軸方向に押圧するような場合であっても、当接面43bやヨーク5の座屈変形を防止できる。例えば、ヨーク5の内周面にアッパーケース43を嵌合するような構成を採用すると、当接面43bのスペースを確保し辛く、このスペースを確保しようとすると、アッパーケース43が大型化してしまう。このため、上述の実施形態では、液体供給装置1を小型化できる。
【0058】
また、モータ部3とポンプ部4との周方向の位置決めを行うヨーク5の第1位置決め突起35、及びポンプケース41の第1ケース位置決め凹部45と、ハウジング2とポンプ部4(モータ部3)との周方向の位置決めを行うハウジング2の第1位置決め凸部13、及びポンプケース41の第2ケース位置決め凹部51第3ケース位置決め凹部52とは、周方向で互いに位置がずれている。このため、モータ部3とポンプ部4との周方向の位置決めと、ハウジング2とポンプ部4(モータ部3)との周方向の位置決めと、がそれぞれ独立して行われるので、各位置決めを安定させることができる。
さらに、ヨーク5に形成されている第1位置決め突起35及び第2位置決め突起36は、それぞれヨーク5の突き合わせ面5cを避けるように形成されている。このうえで、第1位置決め突起35の周方向の配置位置は、上記式(1)を満たすように設定されている。また、第2位置決め突起36の周方向の配置位置は、上記式(2)を満たすように設定されている。このため、モータ部3とポンプ部4との固定強度が周方向にバランスよく分散される。なお、上記式(1),(2)における「±30°」の項は、この範囲であればモータ部3とポンプ部4との固定強度が周方向にバランスよく分散させることができるからである。
したがって、ハウジング2に対するモータ部3、及びポンプ部4の固定強度を安定させることができる。
【0059】
また、2つの永久磁石8のうちの1つは、ヨーク5の突き合わせ面5cに対し、周方向に±30°の範囲Ar1に周方向の中心C1が位置するように配置されている。永久磁石8は、径方向(永久磁石8の厚さ方向)に沿って磁場配向されているので、周方向中央の磁束密度よりも周方向両端の磁束密度が大きい。このため、磁路を阻害しやすいヨーク5の突き合わせ面5cと永久磁石8の周方向の中心C1とをできる限り一致させることにより、永久磁石8の有効磁束を最大限利用することができる。よって、モータ部3のモータ性能を向上させることができる。
【0060】
また、第1位置決め突起35、第2位置決め突起36、及び第1ケース位置決め凹部45は、それぞれ3個設けられている。そして、3個の第1ケース位置決め凹部45のうち、吐出口48の近傍に位置する第1ケース位置決め凹部45と、挿通孔46を中心に径方向で対向する位置に、第2ケース位置決め凹部51が配置されている。このため、ハウジング2、ヨーク5、及びポンプケース41の位置決めを行いつつ、ハウジング2に対するヨーク5、及びポンプケース41の固定強度を確実に安定させることができる。また、モータ部3のモータ性能を確実に向上させることができる。
【0061】
また、ハウジング2とポンプケース41との周方向の位置決めを行うにあたって、ハウジング2を径方向外側からプレス加工等により押圧することにより、第1位置決め凸部13を形成している。さらに、ポンプケース41に、位置決め凸部13が挿入される凹部(第2ケース位置決め凹部51、及び第3ケース位置決め凹部52)を形成している。このように、略円筒状で金属製のハウジング2は、例えばプレス加工を施すことにより凸部(第1位置決め凸部13)を形成しやすい。一方、ポンプケース41に凹部(第2ケース位置決め凹部51、及び第3ケース位置決め凹部52)を形成する場合、加工方法として、鍛造、圧造、鋳造等、さまざまな加工方法を採用することが可能になる。このため、液体供給装置1の製造コストを低減できるとともに、液体供給装置1の製造方法のバリエーションを増大させることができる。
【0062】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0063】
例えば、上述の実施形態では、自動二輪車や四輪車等の車両用の燃料ポンプとして用いられる液体供給装置1について説明した。しかしながら、ポンプ部4を有さない、モータ部3にブラケット等を備えたものに、上述の実施形態の構成を適用することができる。この場合、上述の実施形態におけるポンプケース41をブラケットとすればよい。より具体的には、アッパーケース43をブラケットとし、このブラケットに当接面43b、外周面43cの構成を採用すればよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、第1位置決め突起35、第2位置決め突起36、及び第1ケース位置決め凹部45は、それぞれ3個設けられている場合について説明した。しかしながら、これらに限られるものではなく、各々3個以上であってもよい。第1位置決め突起35の個数をN1としたとき、第1位置決め突起35の周方向の配置位置が、上記式(1)を満たせばよい。また、第2位置決め突起36の個数をN2としたとき、第2位置決め突起36の周方向の配置位置が、上記式(2)を満たせばよい。これらに加え、第1位置決め突起35、及び第2位置決め突起36は、互いに周方向、径方向及び軸方向のいずれにも重ならない位置に配置されていればよい。これらのうえで、ポンプケース41の複数の第1ケース位置決め凹部45のうちの1つと、第2ケース位置決め凹部51、及び第3ケース位置決め凹部52と、が挿通孔46(回転軸14)を中心に径方向で対向する位置であることが望ましい。
【0065】
また、上述の実施形態では、モータ部3として、例えばブラシ付きモータを採用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータ部3として、例えばブラシレスモータを採用することも可能である。
【0066】
本出願は、2019年1月16日出願の日本特許出願(特願2019-005221)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のモータユニット及び液体供給装置によれば、例えば、各部の位置決めを行いつつ、ハウジングに対する固定強度を安定させることができるとともに、モータ性能を向上させることができる。この効果を奏する本発明は、例えば、自動二輪車や四輪車等の車両用の燃料ポンプに関して有用である。
【符号の説明】
【0068】
1…液体供給装置、2…ハウジング、3…モータ部(モータユニット)、4…ポンプ部、5…ヨーク、8…永久磁石、13…第1位置決め凸部(第1位置決め部)、14…回転軸、35…第1位置決め突起、36…第2位置決め突起、41…ポンプケース(モータユニット、ケース)、43…アッパーケース(ブラケット)、43a…上面(一端部)、45…第1ケース位置決め凹部(位置決め凹部)、51…第2ケース位置決め凹部(第2位置決め部)、52…第3ケース位置決め凹部(第2位置決め部)、Ar1…範囲、C1…周方向の中心