(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
A61G 7/012 20060101AFI20231023BHJP
A47C 19/04 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61G7/012
A47C19/04 A
(21)【出願番号】P 2021152218
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 裕平
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-371104(JP,A)
【文献】特開2021-132991(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108503(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0050343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00- 7/16
A47C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に接する脚部を有する下フレームと、床板が配置される上フレームと、前記下フレームに対して鉛直方向に昇降可能となるように前記上フレームを支持する昇降機構と、を備えるベッド装置であって、
前記昇降機構は、
第1軸にて前記下フレームにより支持されるとともに、第2軸にて前記上フレームを支持する第1アームと、
前記下フレームおよび前記上フレームの長手方向において前記第1軸から離れた第3軸にて前記下フレームにより支持されるとともに、前記長手方向において前記第2軸から離れた第4軸にて前記上フレームを支持する第2アームと、
前記第1軸を中心に前記第1アームを回動させる駆動源と、
第5軸にて前記第1アームに連結されるとともに、第6軸にて前記第2アームに連結され、前記第1アームの回動力を前記第2アームに伝達する第1リンク部材と、
前記鉛直方向において前記第5軸から離れた第7軸にて前記第1アームに連結されるとともに、前記鉛直方向において前記第6軸から離れた第8軸にて前記第2アームに連結され、前記第1アームの回動力を前記第2アームに伝達する第2リンク部材と、
を備えるベッド装置。
【請求項2】
前記第1アームに設けられ、前記第1軸を構成する第1ピンと、
前記第2アームに設けられ、前記第3軸を構成する第2ピンと、
前記下フレームに設けられ、前記鉛直方向および前記長手方向の少なくとも一方における遊びが生じるように前記第1ピンを受ける第1ベースと、
前記下フレームに設けられ、前記鉛直方向および前記長手方向の少なくとも一方における遊びが生じるように前記第2ピンを受ける第2ベースと、
をさらに備える請求項1に記載のベッド装置。
【請求項3】
前記第1ベースおよび前記第2ベースに加わる荷重を検出する少なくとも1つのセンサをさらに備える請求項2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記第1アームに設けられ、前記第2軸を構成する第1ローラと、
前記第2アームに設けられ、前記第4軸を構成する第2ローラと、
前記上フレームに設けられ、前記第1ローラを前記長手方向に転動可能に支持する第1レールと、
前記上フレームに設けられ、前記第2ローラを前記長手方向に転動可能に支持する第2レールと、
をさらに備える請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記第1軸と前記第2軸の間に位置する第9軸にて前記第1アームに回動可能に連結されるとともに、前記第9軸から離れた第10軸にて前記上フレームに回動可能に連結された第3アームと、
前記第3軸と前記第4軸の間に位置する第11軸にて前記第2アームに回動可能に連結されるとともに、前記第11軸から離れた第12軸にて前記上フレームに回動可能に連結された第4アームと、
をさらに備える請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マットレスが置かれる床板を支持する上フレームと、キャスタなどの脚部を有する下フレームと、上フレームを下フレームに対して昇降させる昇降機構とを備えたベッド装置が知られている。この種のベッド装置は、例えば医療や介護の目的で用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上フレームの昇降に伴い、ベッド装置の各部に捻じれが生じることがある。このような捻じれはベッド装置の各部に過度の負荷を与え得るし、円滑な昇降を妨げる一因となる。また、例えば上フレームに載せられた使用者の体重を測定するセンサをベッド装置に設ける場合、上記の捻じれが生じると測定結果が不正確となり得る。
【0005】
その他にも、昇降機構を備えるベッド装置に関しては種々の課題が存在する。本発明は、上フレームの昇降動作の安定性を向上させることが可能なベッド装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るベッド装置は、載置面に接する脚部を有する下フレームと、床板が配置される上フレームと、前記下フレームに対して鉛直方向に昇降可能となるように前記上フレームを支持する昇降機構と、を備えている。前記昇降機構は、第1軸にて前記下フレームにより支持されるとともに、第2軸にて前記上フレームを支持する第1アームと、前記下フレームおよび前記上フレームの長手方向において前記第1軸から離れた第3軸にて前記下フレームにより支持されるとともに、前記長手方向において前記第2軸から離れた第4軸にて前記上フレームを支持する第2アームと、前記第1軸を中心に前記第1アームを回動させる駆動源と、第5軸にて前記第1アームに連結されるとともに、第6軸にて前記第2アームに連結され、前記第1アームの回動力を前記第2アームに伝達する第1リンク部材と、前記鉛直方向において前記第5軸から離れた第7軸にて前記第1アームに連結されるとともに、前記鉛直方向において前記第6軸から離れた第8軸にて前記第2アームに連結され、前記第1アームの回動力を前記第2アームに伝達する第2リンク部材と、を備えている。
【0007】
ベッド装置は、前記第1アームに設けられ、前記第1軸を構成する第1ピンと、前記第2アームに設けられ、前記第3軸を構成する第2ピンと、前記下フレームに設けられ、前記鉛直方向および前記長手方向の少なくとも一方における遊びが生じるように前記第1ピンを受ける第1ベースと、前記下フレームに設けられ、前記鉛直方向および前記長手方向の少なくとも一方における遊びが生じるように前記第2ピンを受ける第2ベースと、をさらに備えてもよい。
【0008】
ベッド装置は、前記第1ベースおよび前記第2ベースに加わる荷重を検出する少なくとも1つのセンサをさらに備えてもよい。
【0009】
ベッド装置は、前記第1アームに設けられ、前記第2軸を構成する第1ローラと、前記第2アームに設けられ、前記第4軸を構成する第2ローラと、前記上フレームに設けられ、前記第1ローラを前記長手方向に転動可能に支持する第1レールと、前記上フレームに設けられ、前記第2ローラを前記長手方向に転動可能に支持する第2レールと、をさらに備えてもよい。
【0010】
ベッド装置は、前記第1軸と前記第2軸の間に位置する第9軸にて前記第1アームに回動可能に連結されるとともに、前記第9軸から離れた第10軸にて前記上フレームに回動可能に連結された第3アームと、前記第3軸と前記第4軸の間に位置する第11軸にて前記第2アームに回動可能に連結されるとともに、前記第11軸から離れた第12軸にて前記上フレームに回動可能に連結された第4アームと、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上フレームの昇降動作の安定性を向上させることが可能なベッド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るベッド装置の概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る下フレームの概略的な平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る上フレームの概略的な平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る昇降機構の概略的な平面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るベースの近傍を示す概略的な斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るレールおよびローラを示す概略的な斜視図である。
【
図7】
図7は、組み立てられた下フレーム、上フレームおよび昇降機構において上フレームが最大限に下降した状態を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、組み立てられた下フレーム、上フレームおよび昇降機構において上フレームが上昇する途中の状態を概略的に示す図である。
【
図9】
図9は、組み立てられた下フレーム、上フレームおよび昇降機構において上フレームが最大限に上昇した状態を概略的に示す図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係るベッド装置が奏する効果の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るベッド装置1の概略的な斜視図である。ベッド装置1は、下フレーム2と、上フレーム3とを備えている。下フレーム2および上フレーム3は、いずれも長尺な形状を有している。本実施形態においては、下フレーム2および上フレーム3が長尺に延びる方向を長手方向Xと定義する。さらに、長手方向Xと交差する幅方向Yおよび鉛直方向Zを定義する。長手方向Xは、ベッド装置1の上に仰臥する利用者の体軸に沿う方向に相当する。幅方向Yは、ベッド装置1の上に仰臥する利用者の左右方向に相当する。鉛直方向Zは、重力方向に相当する。
【0014】
下フレーム2は、床などのベッド装置1の載置面に接する4つの脚部20を備えている。
図1の例において、各脚部20は、ベッド装置1を載置面上で移動可能に支持するキャスタである。ただし、各脚部20は、ベッド装置1を載置面に対し固定的に配置するものであってもよい。
【0015】
上フレーム3の上には、床板ユニット4(ベッドプラットフォーム)が配置される。
図1の例において、床板ユニット4は、回動可能に連結された複数の床板41,42,43,44,45を含む。これら床板41,42,43,44,45は、長手方向Xに並んでいる。
【0016】
ベッド装置1は、下フレーム2に対して鉛直方向Zに昇降可能となるように上フレーム3を支持する昇降機構5を備えている。ベッド装置1は、床板41,42,43,44,45の形状を変形させるための機構をさらに備えてもよい。
【0017】
図2は、下フレーム2の概略的な平面図である。下フレーム2は、フレーム部材21L,21Rと、横桟22A,22Bとを備えている。フレーム部材21L,21Rは、いずれも長手方向Xに延び、幅方向Yに並んでいる。横桟22A,22Bは、いずれも幅方向Yに延び、フレーム部材21L,21Rを連結している。上述の脚部20は、フレーム部材21L,21Rの両端部にそれぞれ設けられている。
【0018】
横桟22Aの上には、昇降機構5を支持するためのベース23AL,23AR(第1ベース)が設けられている。横桟22Bの上には、ベース23BL,23BR(第2ベース)が設けられている。ベース23AL,23BLはフレーム部材21L寄りに位置し、ベース23AR,23BRはフレーム部材21R寄りに位置している。
【0019】
さらに、ベース23AL,23AR,23BL,23BRのそれぞれに対してセンサ24AL,24AR,24BL,24BRが設けられている。これらセンサ24AL,24AR,24BL,24BRは、それぞれベース23AL,23AR,23BL,23BRに加わる荷重を検出するロードセルである。
【0020】
センサ24AL,24AR,24BL,24BRにより検出された荷重は、コントローラCTに出力される。例えば、コントローラCTは、下フレーム2または上フレーム3に取り付けられている。
【0021】
ここで、センサ24AL,24AR,24BL,24BRにより検出される荷重は、上フレーム3の荷重、昇降機構5の荷重、床板ユニット4の荷重、および、床板ユニット4に載せられるマットレスや利用者等の荷重の合計値に相当する。例えば、コントローラCTは、利用者がマットレスに載っている状態での荷重から、利用者がマットレスに載っていない状態での荷重(デフォルト値)を減算することにより、利用者の体重を測定することができる。
【0022】
図3は、上フレーム3の概略的な平面図である。上フレーム3は、複数の部材により矩形枠状に形成された外フレーム30を備えている。さらに、上フレーム3は、外フレーム30の内側に配置されたフレーム部材31L,31Rおよび横桟32A,32B,32Cを備えている。フレーム部材31L,31Rおよび横桟32A,32Bは、複数の連結部材33により外フレーム30と連結されている。
【0023】
フレーム部材31L,31Rは、いずれも長手方向Xに延び、幅方向Yに並んでいる。横桟32A,32B,32Cは、いずれも幅方向Yに延びている。横桟32Aはフレーム部材31L,31Rの一方の端部同士を連結し、横桟32Bはフレーム部材31L,31Rの他方の端部同士を連結し、横桟32Cはフレーム部材31L,31Rの中腹部同士を連結している。
【0024】
フレーム部材31Lにはレール34AL,34BLが設けられ、フレーム部材31Rにはレール34AR,34BRが設けられている。レール34AL,34AR(第1レール)は、長手方向Xにおいて横桟32A,32Cの間に位置している。レール34BL,34BR(第2レール)は、長手方向Xにおいて横桟32B,32Cの間に位置している。レール34AL,34AR,34BL,34BRは、後述するローラ54AL,54AR,54BL,54BRをそれぞれ支持する。
【0025】
フレーム部材31Lは、支持孔35AL,35BLを有している。フレーム部材31Rは、支持孔35AR,35BRを有している。支持孔35ALは、長手方向Xにおいてレール34ALと横桟32Aの間に位置している。支持孔35ARは、長手方向Xにおいてレール34ARと横桟32Aの間に位置している。支持孔35BLは、長手方向Xにおいてレール34BLと横桟32Cの間に位置している。支持孔35BRは、長手方向Xにおいてレール34BRと横桟32Cの間に位置している。支持孔35AL,35AR,35BL,35BRには、後述するピン63AL,63AR,63BL,63BRがそれぞれ挿入される。
【0026】
図4は、昇降機構5の概略的な平面図である。昇降機構5は、アーム50AL,50AR(第1アーム)と、アーム50AL,50ARを連結する連結部材51A,52Aとを備えている。アーム50AL,50ARは、互いに平行に延び、幅方向Yに並んでいる。連結部材51A,52Aは、いずれも幅方向Yに延びている。
【0027】
アーム50ALの一端にはピン53ALが設けられ、他端にはローラ54ALが設けられている。アーム50ARの一端にはピン53ARが設けられ、他端にはローラ54ARが設けられている。
【0028】
ピン53AL,53AR(第1ピン)は、それぞれ下フレーム2のベース23AL,23ARにより支持される(
図5参照)。アーム50AL,50ARは、ピン53AL,53ARを通る軸AX1(第1軸)を中心として下フレーム2に対し回動可能である。
【0029】
ローラ54AL,54ARは、それぞれ上フレーム3のレール34AL,34ARにより支持される(
図6参照)。アーム50AL,50ARは、ローラ54AL,54ARを通る軸AX2(第2軸)を中心として上フレーム3に対し回動可能である。
【0030】
連結部材51Aは、アーム50AL,50ARのうちピン53AL,53AR近傍の部分に接続されている。連結部材52Aは、アーム50AL,50ARのうちローラ54AL,54AR近傍の部分に接続されている。
【0031】
昇降機構5は、アーム50BL,50BR(第2アーム)と、アーム50BL,50BRを連結する連結部材51B,52Bとをさらに備えている。アーム50BL,50BRは、互いに平行に延び、幅方向Yに並んでいる。連結部材51B,52Bは、いずれも幅方向Yに延びている。
【0032】
アーム50BLの一端にはピン53BLが設けられ、他端にはローラ54BLが設けられている。アーム50BRの一端にはピン53BRが設けられ、他端にはローラ54BRが設けられている。
【0033】
ピン53BL,53BR(第2ピン)は、それぞれ下フレーム2のベース23BL,23BRにより支持される。アーム50BL,50BRは、ピン53BL,53BRを通る軸AX3(第3軸)を中心として下フレーム2に対し回動可能である。軸AX3は、長手方向Xにおいて軸AX1から離れている。
【0034】
ローラ54BL,54BRは、それぞれ上フレーム3のレール34BL,34BRにより支持される。アーム50BL,50BRは、ローラ54BL,54BRを通る軸AX4(第4軸)を中心として上フレーム3に対し回動可能である。軸AX4は、長手方向Xにおいて軸AX2から離れている。
【0035】
連結部材51Bは、アーム50BL,50BRのうちピン53BL,53BR近傍の部分に接続されている。連結部材52Bは、アーム50BL,50BRのうちローラ54BL,54BR近傍の部分に接続されている。
【0036】
昇降機構5は、リンク部材55,56(第1リンク部材および第2リンク部材)をさらに備えている。リンク部材55の一端は、連結部材51Aに設けられたブラケット57Aに対してピン58Aにより連結されている。すなわち、リンク部材55とアーム50AL,50ARは、連結部材51Aを介して連結されている。リンク部材55は、ピン58Aを通る軸AX5(第5軸)を中心として連結部材51Aおよびアーム50AL,50ARに対し回動可能である。
【0037】
リンク部材55の他端は、連結部材51Bに設けられたブラケット57Bに対してピン58Bにより回動可能に連結されている。すなわち、リンク部材55とアーム50BL,50BRは、連結部材51Bを介して連結されている。リンク部材55は、ピン58Bを通る軸AX6(第6軸)を中心として連結部材51Bおよびアーム50BL,50BRに対し回動可能である。
【0038】
リンク部材56の一端は、連結部材51Aに設けられたブラケット59Aに対してピン60Aにより連結されている。すなわち、リンク部材56とアーム50AL,50ARは、連結部材51Aを介して連結されている。リンク部材56は、ピン60Aを通る軸AX7(第7軸)を中心として連結部材51Aおよびアーム50AL,50ARに対し回動可能である。
【0039】
リンク部材56の他端は、連結部材51Bに設けられたブラケット59Bに対してピン60Bにより回動可能に連結されている。すなわち、リンク部材56とアーム50BL,50BRは、連結部材51Bを介して連結されている。リンク部材56は、ピン60Bを通る軸AX8(第8軸)を中心として連結部材51Bおよびアーム50BL,50BRに対し回動可能である。
【0040】
昇降機構5は、補助アーム61AL,61AR(第3アーム)をさらに備えている。補助アーム61ALの一端はピン62ALによってアーム50ALに連結され、他端はピン63ALによってフレーム部材31L(
図3参照)に連結される。補助アーム61ARの一端は、ピン62ARによってアーム50ARに連結され、他端はピン63ARによって上フレーム3のフレーム部材31R(
図3参照)に連結される。
【0041】
補助アーム61AL,61ARは、ピン62AL,62ARを通る軸AX9(第9軸)を中心としてそれぞれアーム50AL,50ARに対し回動可能であるとともに、ピン63AL,63ARを通る軸AX10(第10軸)を中心としてそれぞれ上フレーム3に対し回動可能である。軸AX9は、長手方向Xにおいて軸AX1,AX2の間に位置している。
【0042】
昇降機構5は、補助アーム61BL,61BR(第4アーム)をさらに備えている。補助アーム61BLの一端はピン62BLによってアーム50BLに連結され、他端はピン63BLによって上フレーム3のフレーム部材31L(
図3参照)に連結される。補助アーム61BRの一端は、ピン62BRによってアーム50BRに連結され、他端はピン63BRによって上フレーム3のフレーム部材31R(
図3参照)に連結される。
【0043】
補助アーム61BL,61BRは、ピン62BL,62BRを通る軸AX11(第11軸)を中心としてそれぞれアーム50BL,50BRに対し回動可能であるとともに、ピン63BL,63BRを通る軸AX12(第12軸)を中心としてそれぞれ上フレーム3に対し回動可能である。軸AX11は、長手方向Xにおいて軸AX3,AX4の間に位置している。
【0044】
昇降機構5は、駆動源64をさらに備えている。駆動源64は、コントローラCTにより制御される。本実施形態において、駆動源64は、モータ640と、シリンダ641と、シリンダ641に一部が収容されたロッド642とを含む。モータ640の駆動に伴い、シリンダ641からのロッド642の突出量が変化する。
【0045】
ロッド642の先端は、連結部材51Aに設けられたブラケット65に対してピン66により連結されている。モータ640は、リンク部材56に設けられたブラケット67に対してピン68により回動可能に連結されている。駆動源64は、ピン66を通る軸AX13(第13軸)を中心として連結部材51Aに対し回動可能であるとともに、ピン68を通る軸AX14(第14軸)を中心としてリンク部材56に対し回動可能である。
なお、
図4に示した軸AX1~AX14は、いずれも幅方向Yと平行である。
【0046】
図5は、ベース23ARの近傍を示す概略的な斜視図である。ベース23ARは、横桟22Aから上方に延出する中空のホルダ25と、ホルダ25に大部分が収容された可動部材26とを備えている。
【0047】
ホルダ25は、幅方向Yにおける側壁に形成された開口251と、上端部に形成された開口252とを有している。上述のセンサ24ARは、開口251を通じてホルダ25の内部に挿入されている。
【0048】
可動部材26の下端部261は、センサ24ARの上面(荷重の検出面)に接触している。
図5の例においては、下端部261がセンサ24ARの上面に向けて先細る形状を有している。
【0049】
可動部材26の上端部262は、開口252を通じてホルダ25から突出している。
図5においては上端部262が半円柱状であるが、この例に限られない。上端部262は、アーム50ARに設けられたピン53ARが挿入されるスリット263を有している。
【0050】
鉛直方向Zにおけるスリット263の深さおよび長手方向Xにおけるスリット263の幅は、いずれもピン53ARの直径よりも大きい。
図5の例において、スリット263の底部には、長手方向Xにおける幅がスリット263の他の部分よりも大きい拡幅部264が設けられている。さらに、スリット263の上部が閉塞部材265により閉じられている。閉塞部材265とピン53ARの間には隙間が形成されている。
【0051】
ピン53ARは、スリット263に挿入された状態において、長手方向Xおよび鉛直方向Zのそれぞれに僅かに移動可能である。すなわち、本実施形態におけるベース23ARは、鉛直方向Zおよび長手方向Xの双方における遊びが生じるようにピン53ARを受ける。
【0052】
図5の例においては、鉛直方向Zに長尺な孔253がホルダ25の側面に設けられている。さらに、可動部材26の側面に設けられた突起266が孔253に通されている。このような構造において、可動部材26は、突起266が孔253内で移動可能な範囲において、鉛直方向Zに移動可能となる。
【0053】
ピン53AL、ベース23ALおよびセンサ24ALの構造、ピン53BL、ベース23BLおよびセンサ24BLの構造、ピン53BR、ベース23BRおよびセンサ24BRの構造は、
図5に示したピン53AR、ベース23ARおよびセンサ24ARの構造と同様である。
【0054】
図6は、レール34ARおよびローラ54ARを示す概略的な斜視図である。
図6の例において、レール34ARは、上壁341と、上壁341に対向する底壁342と、上壁341および底壁342を接続する側壁343とを有している。上壁341および底壁342は、長手方向Xおよび幅方向Yと平行である。側壁343は、長手方向Xおよび鉛直方向Zと平行である。
【0055】
ローラ54ARは、上壁341と底壁342の間に位置しており、上壁341と接するとともに底壁342と離間している。上フレーム3からの荷重は、上壁341を介してローラ54ARに伝わる。ローラ54ARは、上壁341を長手方向Xと平行な第1方向D1および第2方向D2に転動可能である。
【0056】
軸AX2は、ローラ54ARの回転中心に相当する。ローラ54ARが上壁341を転動することにより、軸AX2も第1方向D1または第2方向D2に移動する。
【0057】
レール34ALおよびローラ54ALの構造、レール34BLおよびローラ54BLの構造、レール34BRおよびローラ54BRの構造は、
図6に示したレール34ARおよびローラ54ARの構造と同様である。
【0058】
図7、
図8および
図9は、組み立てられた下フレーム2、上フレーム3および昇降機構5を概略的に示す図である。これらの図は、
図2、
図3および
図4にそれぞれ示すA-A線に沿う断面に相当する。
【0059】
図7においては、上フレーム3が最大限に下降している。
図9においては、上フレーム3が最大限に上昇している。
図8においては、上フレーム3が
図7に示す位置と
図9に示す位置の中間に位置している。
【0060】
図7乃至
図9のいずれの例においても、鉛直方向Zにおいてリンク部材56がリンク部材55の下方に位置している。すなわち、軸AX7,AX8は、それぞれ鉛直方向Zにおいて軸AX5,AX6から離れている。
【0061】
図7乃至
図9の例においては、リンク部材55の一部が屈曲しており、リンク部材56が全体的に直線状である。他の例として、リンク部材55が全体的に直線状であってもよいし、リンク部材56の一部が屈曲していてもよい。
【0062】
図7に示すように、上フレーム3が最大限に下降した状態においては、アーム50AR,50BRがいずれも長手方向Xと平行である。他の例として、上フレーム3が最大限に下降した状態において、アーム50AR,50BRが長手方向Xに対し傾いていてもよい。
【0063】
図7の状態において駆動源64が駆動され、シリンダ641からのロッド642の突出量が増加すると、
図8に示すように連結部材51Aおよびアーム50ARが軸AX1を中心に回動し、アーム50ARが立ち上がる。このとき、ローラ54ARがレール34ARを転動して第1方向D1に移動する。
【0064】
連結部材51Aおよびアーム50ARの回動力は、リンク部材55,56を介して連結部材51Bおよびアーム50BRに伝達される。これにより、アーム50BRはアーム50ARとの平行を保った状態で回動する。このとき、ローラ54BRがレール34BRを転動して第1方向D1に移動する。
【0065】
図8においては、アーム50AR,50BRが立ち上がっているために、上フレーム3が
図7の状態に比べ上昇している。シリンダ641からのロッド642の突出量がさらに増加すると、アーム50AR,50BRがさらに立ち上がり、やがて
図9に示す状態に至る。
【0066】
上フレーム3の上昇に伴い、補助アーム61AR,61BRも回動する。補助アーム61AR,61BRの回動方向は、アーム50AR,50BRの回動方向と反対である。上フレーム3が上昇するほど、長手方向Xにおける軸AX2と軸AX10の間の距離、および、長手方向Xにおける軸AX4と軸AX12の間の距離が小さくなる。
【0067】
上フレーム3が上昇する際には、駆動源64も軸AX13,AX14において回動する。したがって、ロッド642の傾きも上フレーム3の上昇に伴い変化する。
【0068】
上フレーム3を下降させる際には、シリンダ641からのロッド642の突出量を低減させる。これにより、アーム50AR,50BRが上昇時とは逆方向に回動し、上フレーム3が下降する。このとき、ローラ54AR,54BRは、それぞれレール34AR,34BR内を転動して
図6に示した第2方向D2に移動する。
【0069】
本実施形態においては、アーム50AR,50BRの立ち上がりおよび立ち下がりに伴い、軸AX2,AX4が長手方向Xに移動する。これにより、上フレーム3は、長手方向Xに変位することなく鉛直方向Zと平行に昇降する。
【0070】
なお、昇降時のアーム50AL,50BLおよび補助アーム61AL,61BLの動きは、
図7乃至
図9に示したアーム50AR,50BRおよび補助アーム61AR,61BRの動きと同様である。
【0071】
図10は、本実施形態に係るベッド装置1が奏する効果の一例を説明するための図であり、上フレーム3の昇降中のある時点における軸AX1~AX12の位置を表している。
【0072】
昇降中には、黒丸で示された軸AX1,AX2,AX3,AX4を頂点とする平行四辺形P1、二重丸で示された軸AX5,AX6,AX7,AX8を頂点とする平行四辺形P2、白丸で示された軸AX9,AX10,AX11,AX12を頂点とする平行四辺形P3が形成される。
【0073】
これら平行四辺形P1,P2,P3は、上フレーム3が上昇する際には鉛直方向Zにおける高さが増加するように変形する。反対に、平行四辺形P1,P2,P3は、上フレーム3が下降する際には鉛直方向Zにおける高さが減少するように変形する。
【0074】
上フレーム3の荷重は、主にアーム50AL,50AR,50BL,50BRが受ける。したがって、実質的には平行四辺形P1の変形により上フレーム3が昇降する。
【0075】
上フレーム3、床板ユニット4、マットレスおよびその上に載る利用者の荷重が大きい場合には、平行四辺形P1の円滑な変形が妨げられる可能性がある。これに対し、平行四辺形P1に加えて平行四辺形P2が形成されていれば、昇降機構5の骨格が補強され、平行四辺形P1の変形を円滑化できる。すなわち、本実施形態においてはリンク部材55,56を設けたことにより、上フレーム3の昇降動作の安定性が向上する。
【0076】
平行四辺形P3も同様に、平行四辺形P1の円滑な変形に寄与する。すなわち、本実施形態においては、補助アーム61AL,61AR,61BL,61BRを設けたことにより、上フレーム3の昇降動作の安定性がさらに向上する。
【0077】
補助アーム61AL,61AR,61BL,61BRは、上フレーム3の高さと軸AX2,AX4の位置の関係を定める役割も担う。これにより、昇降時に上フレーム3が長手方向Xに変位することが抑制される。
【0078】
なお、仮に軸AX1,AX3を構成するピン53AL,53AR,53BL,53BRがそれぞれベース23AL,23AR,23BL,23BRによって遊びを有することなく固定的に支持される場合、昇降機構5の捻じれ等に起因して、上フレーム3からの荷重が良好にセンサ24AL,24AR,24BL,24BRに加わらない場合がある。これに対し、本実施形態においては、ピン53AL,53AR,53BL,53BRがそれぞれベース23AL,23AR,23BL,23BRによって長手方向Xおよび鉛直方向Zにおける遊びを有するように支持されている。このような構成であれば、上フレーム3からの荷重がセンサ24AL,24AR,24BL,24BRに良好に伝わり、正確な荷重の検出が可能となる。
【0079】
上記の遊びは上フレーム3および昇降機構5のさらなる捻じれを生じさせ得るが、このような捻じれはリンク部材55,56および補助アーム61AL,61AR,61BL,61BRによって抑制される。
【0080】
以上の実施形態は、本発明の範囲を当該実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明は、各実施形態にて開示した構成を種々の態様に変形して実施することができる。
【0081】
例えば、ピン53AL,53AR,53BL,53BRは、必ずしも長手方向Xおよび鉛直方向Zの双方に遊びを有するように支持される必要はなく、長手方向Xおよび鉛直方向Zの一方に遊びを有するように支持されてもよい。
【0082】
また、ピン53AL,53AR,53BL,53BRがベース23AL,23AR,23BL,23BRによって固定的に支持される場合であっても、リンク部材55,56および補助アーム61AL,61AR,61BL,61BRを設けることで昇降動作の安定性を向上させる効果が得られる。
【0083】
ピン53AL,53AR,53BL,53BRは、それぞれアーム50AL,50AR,50BL,50BRに直接設けられる必要はない。例えば、ピン53AL,53ARが連結部材51Aに設けられ、ピン53BL,53BRが連結部材51Bに設けられてもよい。
【0084】
リンク部材55は、連結部材51A,51Bを介さずにアーム50AL,50BLまたはアーム50AR,50BRに対して直接連結されてもよい。同様に、リンク部材56は、連結部材51A,51Bを介さずにアーム50AL,50BLまたはアーム50AR,50BRに対して直接連結されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…ベッド装置、2…下フレーム、3…上フレーム、4…床板ユニット、5…昇降機構、50AL,50AR,50BL,50BR…アーム、51A,51B…連結部材、55,56…リンク部材、64…駆動源、61AL,61AR,61BL,61BR…補助アーム。