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特許7371082新規なカテコール誘導体またはその塩、その製造方法およびそれを含む医薬組成物
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  • 特許-新規なカテコール誘導体またはその塩、その製造方法およびそれを含む医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】新規なカテコール誘導体またはその塩、その製造方法およびそれを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 333/38 20060101AFI20231023BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/4535 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20231023BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231023BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
C07D333/38 CSP
C07D409/12
A61K31/381
A61K31/4025
A61K31/4535
A61K31/496
A61K31/5377
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P29/00
A61P31/04
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021503013
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 KR2019008805
(87)【国際公開番号】W WO2020017878
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】10-2018-0084536
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515311291
【氏名又は名称】ヘキサファーマテック カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】#301,315,Banwol Hitech Village,278 Sandan-ro,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ハン,シン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェヒョン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-534072(JP,A)
【文献】国際公開第2017/034242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1:
【化1】
(式中、
Yは、OまたはSであり、
(1)Yが、Oの場合、
は、水素;またはモノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基であり、
は、C~Cアルキル基であり、
は、水素であり、
は、(4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル基;モノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基;窒素含有環で置換されたC~Cアルキル基(該窒素含有環は、C~Cアルキルで置換されていてもよい);またはC~Cアルキルで置換されていてもよいピペリジニル基であるか、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペラジン環を形成し(該ピペラジン環は、C~Cアルキルで置換されていてもよい)、
(2)Yが、Sの場合、
およびRは、それぞれ独立して、水素;C~Cアルキル基;またはモノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基であり、
は、水素であり、
は、C~Cアルキル基;またはモノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基であるか、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペラジン環を形成する(該ピペラジン環は、C~Cアルキルで置換されていてもよい))
で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
Yが、Oであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基である、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記窒素含有環が、モルホリン、ピペリジン、またはピロリジンである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
Yが、Oであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
が、水素であり、
が、(4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル基;ジメチルアミノエチル基;ジエチルアミノエチル基;ジイソプロピルアミノエチル基;C~Cアルキルで置換されていてもよいモルホリノエチル基;C~Cアルキルで置換されていてもよいピペリジノエチル基;C~Cアルキルで置換されていてもよいピロリジノエチル基;またはC~Cアルキルで置換されていてもよいピペリジニル基である、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
Yが、Oであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
が、水素であり、
が、(4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル基である、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
Yが、Oであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、C~Cアルキルで置換されていてもよいピペラジン環を形成する、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
Yが、Sであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基である、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
Yが、Sであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
が、水素であり、
が、イソプロピル基;またはジイソプロピルアミノエチル基である、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
Yが、Sであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、C~Cアルキルで置換されていてもよいピペラジン環を形成する、
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
下記からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容可能な塩
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-イソプロピル-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-イソプロピル-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-イソプロピル-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド;
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(4-モルホリノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(1-ピペリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(1-ピペリジノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(1-ピロリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(4-(1-メチル)ピペリジニル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(2-(1-メチル)ピロリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(2-(1-メチル)ピロリジノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-((S)-2-(1-エチル)ピロリジノメチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;および
N-((S)-2-(1-エチル)ピロリジノメチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩。
【請求項11】
N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドまたはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
化学式1a:
【化2】
で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法であって、
化学式2:
【化3】
で示される化合物と、化学式3:
【化4】
で示される化合物とをカップリングさせて、化学式1aで示される化合物を製造する工程を含む方法。
(式中、R、R、R、およびRは、請求項1で定義したものと同一であり、Zは、ハロゲンであり、RおよびRは、水素;またはそれらが結合しているホウ素原子と一緒になって、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを形成する。)
【請求項14】
化学式1b:
【化5】
で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法であって、
化学式6:
【化6】
で示される化合物と、化学式3:
【化7】
で示される化合物とをカップリングさせて、化学式1bの化合物を製造する工程を含む方法。
(式中、R、R、R、およびRは、請求項1で定義したものと同一であり、Zは、ハロゲンであり、RおよびRは、水素;またはそれらが結合しているホウ素原子と一緒になって、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを形成する。)
【請求項15】
化学式6の化合物が、化学式2:
【化8】
(式中、RおよびRは、請求項1で定義したものと同一であり、Zは、ハロゲンである)
で示される化合物をチオアミド化することによって得られる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
化学式1b:
【化9】
で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法であって、
化学式1a:
【化10】
で示される化合物をチオアミド化する工程を含む方法。
(式中、R、R、R、およびRは、請求項1で定義したものと同一である。)
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を有効成分として含む、オートファジー誘導用医薬組成物。
【請求項18】
ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症およびルー・ゲーリック病からなる群から選択される神経変性疾患;肝線維症、肝硬変、肝炎、および脂肪肝疾患からなる群から選択される肝疾患;糖尿病、高脂血症、肥満および炎症からなる群から選択される代謝性疾患;または敗血症の予防用、改善用または治療用の、請求項17に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩、その製造方法、およびそれを含む医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、アルキルアミノで置換されたアルキル部分および/またはN-アルキルで置換されたチオフェン-(チオ)カルボキサミド部分を有する新規なカテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩、その製造方法、およびそれを含む医薬組成物に関する。本発明のカテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩は、優れたオートファジー誘導活性を有する。
【背景技術】
【0002】
オートファジーは、オートファゴサイトーシスとも呼ばれ、不要な成分または機能不全を起こした成分を分解する天然の細胞内調節機構である。オートファジーによって、細胞成分の秩序だった分解と再利用が可能となる。オートファジーの過程では、オートファゴソームとして知られる二重膜小胞の内部に消費可能な細胞質成分が隔離されて、残りの細胞成分から分離される。次に、オートファゴソームは、利用可能なリソソームと融合し、小胞の内容物が最終的に分解されて再利用される。オートファジーには、マクロオートファジー、ミクロオートファジーおよびシャペロン介在性オートファジー(CMA)の3つの形態が一般に知られている。疾患を発症すると、オートファジーは、ストレスに対する適応反応として細胞の生存を促進すると見られているが、細胞死および病的状態を促進する場合もある。飢餓状態という極端な場合では、細胞成分の分解によって細胞のエネルギーレベルが維持されて、細胞の生存が促進される。
【0003】
一方、オートファジーが減少すると、ミスフォールディングタンパク質の蓄積などによって、様々な疾患が起こる場合がある。例えば、オートファジーの誘導によって、ハンチントン病(HD)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、プリオン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)などの神経変性疾患を治療できることが報告されている(例えば、韓国特許第10-1731908号)。また、オートファジーの誘導によって、肝線維症、肝硬変症、肝炎、脂肪肝疾患などの肝疾患を治療できることが報告されている(例えば、韓国特許公開第10-2017-0022790号)。さらに、オートファジーの誘導によって、糖尿病、高脂血症、肥満、炎症などの代謝性疾患を治療できることが報告されている(例えば、韓国特許公開第10-2018-0007307号)。さらに、オートファジーの誘導によって、敗血症に不随する過剰な免疫反応を抑制できることが報告されている(例えば、韓国特許公開第10-2012-0131401号)。
【0004】
したがって、オートファジーを誘発する物質は、神経変性疾患、肝疾患、代謝性疾患、敗血症などの様々なオートファジー関連疾患の予防、改善または治療に有用に適用できることが期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、アルキルアミノで置換されたアルキル部分および/またはN-アルキルで置換されたチオフェン-(チオ)カルボキサミド部分を有する特定のカテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩が、優れたオートファジー誘導活性を有することから、様々なオートファジー関連疾患の予防、改善または治療に有用に適用できることを見出した。
【0006】
したがって、本発明は、前記カテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩、その製造方法、それを含む医薬組成物、およびその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、新規なカテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0008】
本発明の別の一態様によれば、前記カテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法が提供される。
【0009】
本発明のさらに別の一態様によれば、前記カテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、医薬組成物が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の一態様によれば、オートファジー関連疾患の治療を必要とする哺乳動物においてオートファジー関連疾患を治療する方法であって、前記カテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む方法が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の一態様によれば、オートファジー関連疾患の予防用、改善用または治療用の薬剤を製造するための、前記カテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化合物、すなわち、アルキルアミノで置換されたアルキル部分および/またはN-アルキルで置換されたチオフェン-(チオ)カルボキサミド部分を有するカテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩は、優れたオートファジー誘導活性を有する。したがって、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、神経変性疾患、肝疾患、代謝性疾患、敗血症などの様々なオートファジー関連疾患の予防、改善または治療に有用に適用することができる。特に、本発明によるカテコール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩は、血液脳関門を透過することができる分子構造として、アルキル置換アミン部分を有することから、脳血流に関連する疾患、例えば、ハンチントン病(HD)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、プリオン病、多発性硬化症、ルー・ゲーリック病などの神経変性疾患の予防、改善または治療に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】肝障害モデルにおいて経口投与により肝機能改善活性を評価するための、試験例2による実験方法の概要を示す。
図2】肝障害モデルにおいて経口投与により肝機能改善活性を評価するための、試験例3による実験方法の概要を示す。
図3】試験例3で得られた組織標本にヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色を行うことによって得られた結果を示す。スケールバー:左図の黒色の線=100μm、右図の黒色の線=100μm。
図4】試験例3で得られた組織標本にマッソントリクローム染色を行うことによって得られた結果を示す。スケールバー:左図の黒色の線=100μm、右図の黒色の線=100μm。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、「アルキル」は、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を指す。例えば、C~Cアルキルは、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、イソペンチルなどの、1~6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素を意味する。
【0015】
「ヒドロキシ」は、-OH基を指す。「アルコキシ」は、ヒドロキシル基の水素原子をアルキルで置換することによって形成される基を指す。例えば、C~Cアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペンチルオキシ、およびイソペンチルオキシを含む。
【0016】
「ハロゲン」は、フルオロ基、ブロモ基、クロロ基またはヨード基を指す。
【0017】
「アミノ」は、-NH基を指す。「アルキルアミノ」は、アミノ基の水素原子をモノアルキルまたはジアルキルで置換することによって形成されるアミノを指す。例えば、C1-6アルキルアミノは、モノ-またはジ-C1-6アルキルで置換されたアミノを含む。
【0018】
本発明は、優れたオートファジー誘導活性を有する化合物またはその塩、すなわち、化学式1:
【化1】
(式中、
Yは、OまたはSであり、
(1)Yが、Oの場合、
は、水素;またはモノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基であり、
は、C~Cアルキル基であり、
は、水素であり、
は、(4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル基;C~Cアルキル基;モノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基;窒素含有環で置換されたC~Cアルキル基(該窒素含有環は、C~Cアルキルで置換されていてもよい);またはC~Cアルキルで置換されていてもよいピペリジニル基であるか、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペラジン環を形成し(該ピペラジン環は、C~Cアルキルで置換されていてもよい)、
(2)Yが、Sの場合、
およびRは、それぞれ独立して、水素;C~Cアルキル基;またはモノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基であり、
は、水素であり、
は、C~Cアルキル基;またはモノ-もしくはジ-C~Cアルキルアミノで置換されたC~Cアルキル基であるか、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、ピペラジン環を形成する(該ピペラジン環は、C~Cアルキルで置換されていてもよい))
で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0019】
本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩において、YはOであってもよい。好ましくは、YがOの場合、Rは、水素;またはジエチルアミノエチル基であってもよく、Rは、メチル基であってもよい。また、前記窒素含有環は、モルホリン、ピペリジン、またはピロリジンであってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、
Yが、Oであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
が、水素であり、
が、(4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル基;イソプロピル基;ジメチルアミノエチル基;ジエチルアミノエチル基;ジイソプロピルアミノエチル基;C~Cアルキルで置換されていてもよいモルホリノエチル基;C~Cアルキルで置換されていてもよいピペリジノエチル基;C~Cアルキルで置換されていてもよいピロリジノエチル基;またはC~Cアルキルで置換されていてもよいピペリジニル基である、
化合物またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0021】
本発明の別の一実施形態において、
Yが、Oであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
が、水素であり、
が、(4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル基である、
化合物またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0022】
本発明のさらに別の一実施形態において、
Yが、Oであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、C~Cアルキルで置換されていてもよいピペラジン環を形成する、
化合物またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0023】
本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩において、YはSであってもよい。好ましくは、YがSの場合、Rは、水素;またはジエチルアミノエチル基であってもよく、Rは、メチル基であってもよい。
【0024】
本発明の一実施形態において、
Yが、Sであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
が、水素であり、
が、イソプロピル基;またはジイソプロピルアミノエチル基である、
化合物またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0025】
本発明の別の一実施形態において、
Yが、Sであり、
が、水素;またはジエチルアミノエチル基であり、
が、メチル基であり、
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、C~Cアルキルで置換されていてもよいピペラジン環を形成する、
化合物またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0026】
好ましくは、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-イソプロピル-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-イソプロピル-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩;
N-イソプロピル-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド;
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(4-モルホリノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(1-ピペリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(1-ピペリジノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(1-ピロリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(4-(1-メチル)ピペリジニル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(2-(1-メチル)ピロリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-(2-(2-(1-メチル)ピロリジノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;
N-((S)-2-(1-エチル)ピロリジノメチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩;および
N-((S)-2-(1-エチル)ピロリジノメチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩
からなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0027】
より好ましくは、本発明の化合物は、N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、塩酸塩)であってもよく、N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、塩酸塩)であってもよい。
【0028】
本発明による化学式1の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態、例えば酸付加塩の形態であってもよい。特に、本発明の化合物は、アルキルで置換されたアミン部分を有するため、従来の化合物(例えば、韓国特許公開第10-2017-0022790号に開示されている化合物)とは異なり、酸付加塩の形態(例えば、塩酸塩の形態)で容易に単離することができる。すなわち、酸付加塩の形態の本発明の化合物は、従来の化合物(例えば、韓国特許公開第10-2017-0022790号に開示されている化合物)とは異なり、カラムクロマトグラフィー法を実施することなく、酸/塩基を使用した後処理によって容易に製造でき、容易にスケールアップすることができる。また、酸付加塩の形態の本発明の化合物は、優れた水溶性を有し、したがって、容易に製剤化することができ、経口投与した場合に優れた生物学的利用能を得ることができる。前記酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、フマル酸、グルコン酸、サッカリン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、パモ酸などの、無機酸または有機酸から誘導されてもよいが、これらに限定されない。前記酸付加塩は、従来の溶媒、例えば、水、アルコール、テトラヒドロフラン、アセトン、またはそれらの混合物中で、化学式1の化合物を無機酸または有機酸と反応させることによって製造してもよい。
【0029】
化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、不斉炭素を含む置換基を有していてもよく、したがって、ラセミ混合物(RS)の形態であってもよく、(R)異性体または(S)異性体などの光学異性体の形態であってもよい。したがって、特に明記しない限り、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、ラセミ混合物(RS)と(R)異性体または(S)異性体などの光学異性体の両方を含む。また、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、置換基に応じて、シス幾何異性体またはトランス幾何異性体の形態であってもよい。したがって、特に明記しない限り、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、シス幾何異性体とトランス幾何異性体の両方を含む。また、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、1種以上のジアステレオマー異性体またはそれらの混合物の形態であってもよい。したがって、特に明記しない限り、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、ジアステレオマー異性体とそれらの混合物の両方を含む。
【0030】
本発明による化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、無水形態、水和形態または溶媒和形態であってもよい。さらに、本発明による化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、非晶質形態または結晶形態であってもよい。非晶質形態または結晶形態は、水和形態または溶媒和形態であってもよい。水和物または溶媒和物は、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩に対して化学量論的量または非化学量論的量の水または有機溶媒を含んでいてもよい。
【0031】
また、本発明は、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の製造方法をその範囲内に含む。
【0032】
例えば、YがOである場合の化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩(すなわち、化学式1aの化合物またはその薬学的に許容可能な塩)は、以下の反応式1に示すように、化学式4の化合物を化学式5の化合物でアシル化して、化学式2の化合物を製造する工程;および化学式2の化合物と化学式3の化合物とをカップリングさせて、化学式1aの化合物を製造する工程により製造してもよい。
【化2】
【0033】
反応式1において、R、R、R、およびRは、前記で定義したものと同一であり、Zは、ハロゲンであり、RおよびRは、水素;またはそれらが結合しているホウ素原子と一緒になって、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを形成する。
【0034】
化学式4および化学式5の化合物は、公知の化合物であり、市販されている。アシル化は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、N-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)などのアシル化剤を使用して実施してもよい。また、アシル化は、化学式4の化合物と、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化リンなどとを反応させて塩化アシルを製造し、続いて化学式5の化合物とを反応させることによって実施してもよい。アシル化は、従来の有機溶媒、例えば、ジクロロメタン中で実施してもよい。
【0035】
カップリングは、触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))および塩基(例えば、炭酸ナトリウム)の存在下で実施してもよい。化学式2の化合物と化学式3の化合物の反応は、1:2~2:1のモル比、好ましくは約1:1のモル比で実施してもよい。カップリングは、水、C~Cアルコール、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、またはそれらの混合物中で実施してもよい。
【0036】
また、YがSである場合の化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩(すなわち、化学式1bの化合物またはその薬学的に許容可能な塩)は、以下の反応式2に示すように、化学式2の化合物をチオアミド化して、化学式6の化合物を製造する工程;および化学式6の化合物と化学式3の化合物とをカップリングさせて、化学式1bの化合物を製造する工程によって製造してもよい。
【化3】
【0037】
反応式2において、R、R、R、R、Z、R、およびRは、前記で定義したものと同一である。
【0038】
反応式2において、化学式2の化合物は、反応式1に示すように製造してもよい。チオアミド化は、化学式2の化合物と、P10、ビス(トリシクロヘキシルスズ)スルフィドまたはローソン試薬とを反応させることによって実施してもよい。チオアミド化反応は、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合溶媒中で実施してもよい。さらに、カップリング反応は、化学式2の化合物の代わりに化学式6の化合物を使用して、反応式1に示すように実施してもよい。
【0039】
また、YがSである場合の化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩(すなわち、化学式1bの化合物またはその薬学的に許容可能な塩)は、以下の反応式3に示すように、化学式1aの化合物のチオアミド化反応を実施して、化学式1bの化合物を製造する工程によって製造してもよい。
【化4】
【0040】
反応式3において、R、R、R、およびRは、前記で定義したものと同一である。
【0041】
反応式3において、化学式1aの化合物は、反応式1に示すように製造してもよい。さらに、チオアミド化は、化学式2の化合物の代わりに化学式1aの化合物を使用して、反応式2に示すように実施してもよい。
【0042】
本発明のカテコール誘導体、すなわち、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、優れたオートファジー誘導活性を有する。したがって、本発明の化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、神経変性疾患、肝疾患、代謝性疾患、敗血症などの様々なオートファジー関連疾患の予防、改善または治療に有用に適用することができる。
【0043】
したがって、本発明は、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を有効成分として含む、オートファジー誘導用医薬組成物をその範囲内に含む。
【0044】
オートファジー関連疾患には、オートファジーの誘導によって予防、改善または治療することができる様々な疾患が含まれるが、これらに限定されない。例えば、本発明の医薬組成物は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症およびルー・ゲーリック病からなる群から選択される神経変性疾患;肝線維症、肝硬変症、肝炎および脂肪肝疾患からなる群から選択される肝疾患;糖尿病、高脂血症、肥満、および炎症からなる群から選択される代謝性疾患;または敗血症の予防用、改善用または治療用の医薬組成物であってもよい。
【0045】
本発明の医薬組成物は、希釈剤、崩解剤、甘味剤、滑沢剤、香味剤などの薬学的に許容可能な担体を含んでいてもよい。本発明の医薬組成物は、従来の方法に従って、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などの経口剤形;または外用液剤、外用懸濁剤、外用乳剤、ゲル剤(例えば、軟膏)、吸入剤、スプレー剤、注射剤などの非経口剤形に製剤化してもよい。これらの剤形は様々な形態であってもよく、例えば、単回投与用の剤形であってもよく、複数回投与用の剤形であってもよい。
【0046】
本発明の医薬組成物は、例えば、乳糖やトウモロコシ澱粉などの希釈剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;乳化剤;懸濁化剤;安定化剤;および/または等張化剤などを含んでいてもよい。必要に応じて、本発明の組成物は、甘味剤および/または香味剤をさらに含む。
【0047】
本発明の組成物は、経口投与してもよく、吸入投与経路、静脈内投与経路、腹腔内投与経路、皮下投与経路、脳室内投与経路、直腸投与経路および局所投与経路などにより非経口投与してもよい。したがって、本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、水性液剤、懸濁剤などの様々な形態に製剤化することができる。経口投与用錠剤の場合、乳糖、トウモロコシ澱粉などの担体、およびステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤が従来使用される。経口投与用カプセル剤の場合には、乳糖および/または乾燥トウモロコシ澱粉を希釈剤として使用することができる。経口投与用の水性懸濁剤が必要とされる場合、前記有効成分に乳化剤および/または懸濁化剤を配合してもよい。必要に応じて、特定の甘味剤および/または香味剤を使用してもよい。筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与または静脈内投与の場合、通常、前記有効成分の滅菌溶液を調製し、該溶液に緩衝剤を加えてpHを適切に調節する必要がある。静脈内投与の場合は、溶質の総濃度を調整して製剤を等張化する必要がある。本発明の組成物は、pH7.4の生理食塩水のような薬学的に許容される担体を含む水性液剤の形態であってもよい。この液剤は、局所ボーラス注射により患者の筋肉内の血流に導入してもよい。
【0048】
本発明のカテコール誘導体、すなわち、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、1日あたり約0.0001mg/kg~約100mg/kg、好ましくは1日あたり約0.001mg/kg~約100mg/kgの治療有効量で患者に投与してもよい。投与は、経口経路または非経口経路を介して、1日1回または1日数回実施してもよい。言うまでもないが、この投与量は、患者の年齢、状態、体重、感受性、疾患の程度、投与経路、投与期間などに応じて変更してもよい。本発明による医薬組成物は、投与方法に応じて、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、0.001~99重量%、好ましくは0.01~60重量%の量で含んでいてもよい。
【0049】
本発明は、オートファジーの誘導を必要とする哺乳動物においてオートファジーを誘導する方法であって、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を前記哺乳動物に投与する工程を含む方法をその範囲内に含む。例えば、本発明は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症およびルー・ゲーリック病からなる群から選択される神経変性疾患;肝線維症、肝硬変症、肝炎および脂肪肝疾患からなる群から選択される肝疾患;糖尿病、高脂血症、肥満および炎症からなる群から選択される代謝性疾患;または敗血症を予防、改善または治療する方法を含む。
【0050】
また、本発明は、オートファジーの誘導を必要とする哺乳動物においてオートファジーを誘導するための薬剤を製造するための、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用をその範囲内に含む。例えば、本発明は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病、多発性硬化症およびルー・ゲーリック病からなる群から選択される神経変性疾患;肝線維症、肝硬変症、肝炎および脂肪肝疾患からなる群から選択される肝疾患;糖尿病、高脂血症、肥満および炎症からなる群から選択される代謝性疾患;または敗血症の予防用、改善用または治療用の薬剤を製造するための、化学式1の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0051】
以下の実施例および試験例は、本発明を例示する目的で提供されたものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0052】
以下の実施例で製造した化合物の分析は、以下のようにして行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析は、Bruker分光計(400MHz)を使用して行い、化学シフトはppmの単位で分析した。カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(メルク社、70~230メッシュ)を使用して行った。特に明記しない限り、出発物質はいずれも市販品を購入し、さらに精製することなく使用した。すべての反応物およびクロマトグラフィー分画は、250nmのシリカゲルプレートを使用した薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析し、紫外線またはヨウ素(I)染色で可視化した。
【0053】
実施例1:N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化5】
5-ブロモチオフェン-2-カルボン酸(6.21g)、ジクロロメタン(30ml)、およびジメチルホルムアミド(0.25ml)の混合物を10分間撹拌した。塩化チオニル(2.64ml)を混合物に加えた後、撹拌しながら3時間還流した。反応混合物を室温に冷却した後、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物にジクロロメタン(45ml)を加えた後、0~10℃に冷却した。KCO(4.62g)を反応混合物に加えた後、20分間撹拌した。N-メチルピペラジン(3.30ml)を混合物に加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、精製水(45ml)で洗浄した。得られた洗浄水をジクロロメタン(30ml)で抽出した。抽出物を反応混合物と合わせた。得られた混合物を精製水(30ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮して、8.66gの中間体、すなわち、N-(4-メチルピペラジノ)-5-ブロモ-チオフェン-2-カルボキサミドを得た。(収率:100%)
N-(4-メチルピペラジノ)-5-ブロモ-チオフェン-2-カルボキサミド(8.66g)に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.48g)および1,2-ジメトキシエタン(51ml)を加えた。炭酸ナトリウム(9.36g)の精製水(51ml)溶液を混合物に加えた後、室温で30分間撹拌した。(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-(テトラメチル-1,3-オキサ)ボロラン(8.25g)のエタノール(51ml)溶液を反応混合物に加えた後、約80℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、濾過して不溶性物質を除去した。得られた不溶性物質をエタノール(40ml)で洗浄した後、得られた洗浄溶液を前記濾液と合わせた。得られた濾液を減圧下で濃縮して溶媒を除去した。得られた残留物に、精製水(200ml)および6N塩酸(10ml)を撹拌しながら加えた。得られた溶液をクロロホルムで2回(それぞれ100mlおよび50ml)洗浄した後、水酸化ナトリウム(約3.0g)を用いてpHをpH8~9に調整した。得られた溶液をクロロホルムで2回抽出した(それぞれ100mlおよび50ml)。合わせた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空中で濃縮した。得られた濃縮物に、アセトン(30ml)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体をアセトン(5ml)で洗浄し、30℃で3時間真空乾燥して、N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを得た(8.68g、収率:87.0%)。乾燥した固体(1.50g)を、メタノール(10ml)とクロロホルム(3ml)の混合溶媒に溶解した後、2N塩酸のエタノール(1.5ml)溶液を加えた。混合物を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物に、アセトン(10ml)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体をアセトン(5ml)で洗浄した後、真空乾燥して、1.52gの標題化合物を得た。(収率:91.6%、全体の収率:80.0%)
TLC Rf = 0.20 in 10% MeOH in chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.46 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 2.0Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 2.0Hz, 8.0Hz), 6.98 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.72 - 4.60 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.70 - 3.48 (m, 4H), 3.30-3.20(m, 2H), 2.99 (s, 3H)
【0054】
実施例2:N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化6】
実施例1と同じ手順で製造したN-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド(3.32g)、2-ジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩(1.72g)およびトルエン(50ml)の混合物に、水酸化ナトリウム(0.80g)を加えた。反応混合物を約85℃で4時間撹拌した後、室温に冷却した。反応混合物に精製水(50ml)を加えた後、30分間撹拌した。分離した有機層を飽和炭酸ナトリウム溶液で洗浄した後、1N塩酸(50ml)で抽出した。抽出物を酢酸エチル(20ml)で洗浄した後、水酸化ナトリウム(約2.0g)を用いてpHをpH7~8に調整した。得られた溶液をジクロロメタンで2回抽出した(それぞれ50mlおよび30ml)。得られた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空濃縮して、4.0gの粗生成物、すなわち、N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを得た(収率:89.5%)。得られた残留物に、4N塩酸のエタノール(6.0ml)溶液およびアセトン(60ml)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体をアセトン(5ml)で洗浄した後、真空乾燥して、4.08gの標題化合物を得た。(収率:87.4%、全体の収率:78.2%)
TLC Rf = 0.21 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.50 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.41 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 2.0Hz), 7.30 (dd, 1H, J = 2.0Hz, 8.4Hz), 7.13 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.72 - 4.60 (m, 2H), 4.42 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.97 (s, 3H), 3.70 - 3.60 (m, 6H), 3.50-3.38 (m, 4H), 3.30-3.20(m, 2H), 2.99 (s, 3H), 1.42 (t, 6H, J = 7.2Hz)
【0055】
実施例3:N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩の製造
【化7】
実施例1と同じ手順で製造したN-(4-メチルピペラジノ)-5-ブロモ-チオフェン-2-カルボキサミド(2.92g)、トルエン(15ml)およびテトラヒドロフラン(15ml)の混合物を10分間撹拌した。ローソン試薬(4.25g)を混合物に加えた後、50℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、濾過して不溶性物質を除去した。得られた濾液に酢酸エチル(200ml)を加えた後、精製水(200ml)と2N塩酸(25ml)の混合溶液および精製水(200ml)と2N塩酸(15ml)の混合溶液でそれぞれ抽出した。合わせた抽出物を酢酸エチル(200ml)で洗浄した後、水酸化ナトリウム(約4.3g)を用いてpHをpH9~10に調整した。得られた溶液をクロロホルムで3回抽出した(それぞれ100ml、50mlおよび50ml)。得られた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空濃縮して、2.47gの中間体、すなわち、N-(4-メチルピペラジノ)-5-ブロモ-チオフェン-2-チオカルボキサミドを得た。(収率:80.0%)
N-(4-メチルピペラジノ)-5-ブロモ-チオフェン-2-チオカルボキサミド(2.47g)に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.04g)および1,2-ジメトキシエタン(15ml)を加えた。炭酸ナトリウム(2.81g)の精製水(15ml)溶液を混合物に加えた後、室温で30分間撹拌した。(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-(テトラメチル-1,3-オキサ)ボロラン(2.48g)のエタノール(15ml)溶液を反応混合物に加えた後、約80℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、濾過して不溶性物質を除去した。得られた濾液をエタノール(15ml)で洗浄した後、減圧下で濃縮して溶媒を除去した。得られた残留物に、精製水(60ml)および6N塩酸(3ml)を撹拌しながら加えた。得られた溶液をクロロホルムで2回(それぞれ30mlおよび15ml)洗浄した後、水酸化ナトリウム(約1.0g)を用いてpHをpH8~9に調整した。得られた溶液をクロロホルムで2回抽出した(それぞれ30mlおよび50ml)。得られた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空中で濃縮した。得られた濃縮物に、アセトン(10ml)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体(すなわち、N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド)を、メタノール(50ml)とクロロホルム(15ml)の混合溶媒に溶解した後、2N塩酸のエタノール(5ml)溶液を加えた。混合物を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物に、アセトン(50ml)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体をアセトン(5ml)で洗浄した後、真空乾燥して、2.49gの標題化合物を得た。(収率:80.0%)
TLC Rf = 0.33 in 10% MeOH in chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.30 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 7.21-7.15 (m, 3H), 6.98 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 5.20 - 5.10 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 3.85 - 3.65(m, 4H), 3.32 - 3.25(m, 2H), 3.00 (s, 3H)
【0056】
実施例4:N-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩の製造
【化8】
実施例2と同じ手順で製造したN-(4-メチルピペラジノ)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド(4.0g)、トルエン(15ml)およびテトラヒドロフラン(15ml)の混合物を10分間撹拌した。ローソン試薬(4.04g)を反応混合物に加えた後、50℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、濾過して不溶性物質を除去した。得られた濾液にクロロホルム(100ml)を加えた後、精製水(60ml)と2N塩酸(40ml)の溶液で抽出した。得られた抽出物をクロロホルム(30ml)で洗浄した後、水酸化ナトリウム(約4.4g)を用いてpHをpH8~9に調整した。得られた溶液をクロロホルムで3回抽出した(それぞれ100ml、50mlおよび50ml)。得られた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空中で濃縮した。得られた残留物に、4N塩酸のエタノール(6.0ml)溶液およびアセトン(60ml)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体をアセトン(5ml)で洗浄した後、真空乾燥して、4.0gの標題化合物を得た。(収率:83.0%)
TLC Rf = 0.29 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.35 (d, 1H, J = 3.6 Hz), 7.32 - 7.26 (m, 3H), 7.12 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 5.25 - 5.15 (m, 2H), 4.41 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.97 (s, 3H), 3.85 - 3.75 (m, 2H), 3.66 (t, 4H, J = 4.8Hz), 3.50 - 3.35(m, 6H), 3.01 (s, 3H), 1.42 (t, 3H, J = 7.2Hz)
【0057】
実施例5:N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化9】
N-メチルピペラジンの代わりに、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルアミンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:80.0%)
TLC Rf = 0.23 in 10% MeOH in chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.70 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.34 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 2.0Hz), 7.18 (dd, 1H, J = 2.0Hz, 8.0Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.94 (s, 3H), 3.85 (p, 2H, J = 6.4Hz), 3.73 (t, 2H, J = 6.4Hz), 3.38 (t, 2H, J = 6.4Hz), 1.47 - 1.42 (m, 12H)
【0058】
実施例6:N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化10】
N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-ブロモ-チオフェン-2-カルボキサミド(4.00g)(実施例5と同じ手順で製造した中間体)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.39g)および1,2-ジメトキシエタン(20ml)の混合物に、炭酸ナトリウム(3.80g)の精製水(20ml)溶液を加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌した後、(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)-(テトラメチル-1,3-オキサ)ボロラン(4.19g)のエタノール(20ml)溶液を加えた。反応混合物を約80℃で5時間撹拌し、室温に冷却した後、濾過して不溶性物質を除去した。得られた濾液をエタノール(40ml)で洗浄した後、減圧下で濃縮して溶媒を除去した。得られた残留物に、2N塩酸(70ml)を撹拌しながら加えた。得られた溶液を酢酸エチル(50ml)で2回洗浄した後、水酸化ナトリウム(約6.0g)を用いてpHをpH8~9に調整した。得られた溶液をジクロロメタンで2回抽出した(それぞれ100mlおよび50ml)。合わせた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空中で濃縮した。得られた濃縮物に、2N塩酸のエタノール(1.0ml)溶液を加えた。混合物を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物に、アセトン(60ml)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体をアセトン(5ml)で洗浄した後、真空乾燥して、5.53gの標題化合物を得た。(収率:83.0%)
TLC Rf = 0.15 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.76 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 2.0Hz), 7.31 (dd, 1H, J = 2.0Hz, 8.0Hz), 7.13 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.42 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.97 (s, 3H), 3.85 (p, 2H, J = 6.4Hz), 3.75 (t, 2H, J = 6.4Hz), 3.66 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.48 - 3.36 (m, 6H), 1.45 (dd, 12H, J = 2.4Hz, 6.4Hz), 1.42 (t, 6H, J = 7.2Hz)
【0059】
実施例7:N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩の製造
【化11】
実施例5と同じ手順に従って製造したN-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例4と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:75.0%)
TLC Rf = 0.30 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.58 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.24 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.18 - 7.08(m, 2H), 6.76 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.25 (t, 2H, J = 6.4Hz), 3.81 (p, 2H, J = 6.4Hz), 3.96 (s, 3H), 3.38 (t, 2H, J = 6.4Hz), 1.45 - 1.38 (m, 12H)
【0060】
実施例8:N-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩の製造
【化12】
実施例6と同じ手順に従って製造したN-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例4と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:80.0%)
TLC Rf = 0.25 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.66 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.40 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.30 - 7.25(m, 2H), 7.11 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.40 (t, 2H, J = 4.8Hz), 4.13 (t, 2H, J = 6.4Hz), 3.96 (s, 3H), 3.83 (p, 2H, J = 6.4Hz), 3.63 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.45 - 3.33 (m, 6H), 1.42 (dd, 12H, J = 2.4Hz, 6.4Hz), 1.38 (t, 6H, J = 7.2Hz)
【0061】
実施例9:N-イソプロピル-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化13】
N-メチルピペラジンの代わりに、イソプロピルアミンを使用して、実施例2と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:73.0%)
TLC Rf = 0.20 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.68 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.36 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 2.4Hz), 7.29 (dd, 1H, J = 2.4Hz, 8.4Hz), 7.11 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.40 (t, 2H, J = 4.8Hz), 4.20 (p, 1H, J = 6.8Hz), 3.97 (s, 3H), 3.65 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.46-3.37 (m, 4H), 1.41 (t, 6H, J = 7.2Hz), 1.28 (d, 6H, J = 6.8Hz)
【0062】
実施例10:N-イソプロピル-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミド塩酸塩の製造
【化14】
実施例9と同じ手順に従って製造したN-イソプロピル-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例4と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:70.0%)
TLC Rf = 0.26 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.56 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.30-7.25 (m, 2H), 7.08 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.80 (p, 1H, J = 6.8Hz), 4.38 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.95 (s, 3H), 3.62 (t, 2H, J = 4.8Hz), 3.45 - 3.35 (m, 4H), 1.39 (t, 6H, J = 7.2Hz), 1.33 (d, 6H, J = 6.8Hz)
【0063】
実施例11:N-イソプロピル-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-チオカルボキサミドの製造
【化15】
N-メチルピペラジンの代わりにイソプロピルアミンを使用して、実施例1と同じ手順に従って、中間体(すなわち、N-イソプロピル-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド)(3.5g)を製造した(収率:85.0%)。トルエン(50ml)を加え、10分間撹拌した。混合物にローソン試薬(5.0g)を加えた後、約80℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、濾過して不溶性物質を除去した。得られた濾液を真空で濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3(v/v))で精製した後、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物を、酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒(1/3(v/v)、10ml)中で1時間撹拌した後、濾過した。得られた固体をヘキサン(5ml)で洗浄した後、40℃で5時間乾燥して、2.4gの標題化合物を得た(収率:65.0%)。
TLC Rf = 0.35 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.53 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.24 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.19 (d, 1H, J = 2.0Hz), 7.14 (dd, 1H, J = 2.0Hz, 8.4Hz), 6.82 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.80 (p, 1H, J = 6.8Hz), 3.92 (s, 3H), 1.32 (d, 6H, J = 6.8Hz)
【0064】
実施例12:N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化16】
N-メチルピペラジンの代わりに、2-(ジエチルアミノ)エチルアミンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:34.8%)
TLC Rf = 0.13 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.71 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.94 (s, 3H), 3.76 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.41 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.38 - 3.34 (m, 4H), 1.38 (t, 6H, J = 7.2 Hz)
【0065】
実施例13:N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化17】
水酸化ナトリウム(0.96g)の精製水(10ml)-テトラヒドロフラン(50ml)混合溶媒溶液に、実施例12と同じ手順で製造したN-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド(2.21g)および2-ジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩(0.99g)を加えた。反応混合物を約70℃で4時間撹拌し、室温に冷却した後、水層と有機層に分離した。得られた有機層を減圧濃縮した後、1N塩酸(20ml)で抽出した。得られた抽出物を酢酸エチル(20ml)で洗浄した後、水酸化ナトリウム(約0.9g)を用いてpHをpH8~9に調整した。得られた溶液をジクロロメタンで2回抽出した(それぞれ50mlおよび30ml)。得られた抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、真空濃縮して、粗生成物としてN-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを得た。得られた残留物に、エタノール(15ml)を加えた。得られた溶液に1N塩酸のエーテル(15ml)溶液を加えた。混合物を1時間加熱した後、濃縮した。得られた残留物に、アセトン(50ml)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した後、濾過した。得られた固体をアセトン(5ml)で洗浄した後、真空乾燥して、2.20gの標題化合物を得た。(収率:73.3%)
TLC Rf = 0.23 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.75 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.31 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.42 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 3.97 (s, 3H), 3.77 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.66 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.50 - 3.35 (m, 10H), 1.42 (t, 6H, J = 7.2 Hz), 1.39 (t, 6H, J = 7.2 Hz)
【0066】
実施例14:N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化18】
N-メチルピペラジンの代わりに、2-(ジメチルアミノ)エチルアミンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:64.5%)
TLC Rf = 0.12 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.69 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.94 (s, 3H), 3.76 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.40 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.01 (s, 6H)
【0067】
実施例15:N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化19】
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドの代わりに、実施例14と同じ手順で製造したN-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例13と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:54.7%)
TLC Rf = 0.34 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.77 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.41 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.30 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.42 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 3.97 (s, 3H), 3.78 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.66 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.50 - 3.35 (m, 6H), 3.01 (s, 6H), 1.42 (t, 6H, J = 7.2Hz)
【0068】
実施例16:N-(2-(4-モルホリノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化20】
N-メチルピペラジンの代わりに、4-(2-アミノエチル)モルホリンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:16.8%)
TLC Rf = 0.32 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.71 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.14 - 4.09(m, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.87 - 3.77 (m, 4H), 3.74 - 3.69 (m, 2H), 3.43 (t, 2H, J = 5.6 Hz), 3.28 - 3.23 (m, 2H)
【0069】
実施例17:N-(2-(1-ピペリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化21】
N-メチルピペラジンの代わりに、1-(2-アミノエチル)ピペリジンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:52.7%)
TLC Rf = 0.15 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.69 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 3.94 (s, 3H), 3.76 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.75 - 3.67 (m, 2H), 3.38 - 3.35 (m, 2H), 3.02 (t, 2H, J = 12 Hz), 2.03 - 1.95 (m, 2H), 1.92 - 1.77 (m, 3H), 1.63 - 1.52 (m, 1H)
【0070】
実施例18:N-(2-(1-ピペリジノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化22】
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドの代わりに、実施例17と同じ手順で製造したN-(2-(1-ピペリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例13と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:82.6%)
TLC Rf = 0.27 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.75 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.31 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.42(t, 2H, J = 4.8 Hz), 3.97 (s, 3H), 3.78 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.75 - 3.67 (m, 2H), 3.70 (t, 2H, J = 11 Hz), 3.52 - 3.35 (m, 6H), 3.02 (m, 2H), 2.03 - 1.95 (m, 2H), 1.91 - 1.79 (m, 3H), 1.62 - 1.55 (m, 1H), 1.42 (t, 6H, J = 7.2 Hz)
【0071】
実施例19:N-(2-(1-ピロリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化23】
N-メチルピペラジンの代わりに、1-(2-アミノエチル)ピロリジンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:20.9%)
TLC Rf = 0.08 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.69 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.94 (s, 3H), 3.76 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.85 - 3.78 (m, 2H), 3.75 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.46 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 3.22 - 3.15 (m, 2H), 2.28 - 2.13 (m, 2H), 2.13 - 2.00 (m, 2H)
【0072】
実施例20:N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化24】
N-メチルピペラジンの代わりに、4-(アミノメチル)-N,N-ジメチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:48.4%)
TLC Rf = 0.37 in 10% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.80 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.34 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.18 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.08 - 4.04 (m, 2H), 4.02 (s, 2H), 3.94 (s, 3H), 3.82 - 3.75 (m, 2H), 2.99 (s, 6H), 2.05 - 1.94 (m, 4H)
【0073】
実施例21:N-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化25】
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドの代わりに、実施例20と同じ手順で製造したN-((4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例13と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:72.3%)
TLC Rf = 0.44 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.87 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.31 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 7.12 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 4.42 (t, 2H, J = 4.8Hz), 4.08 - 4.02 (m, 2H), 4.03 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.82 - 3.75 (m, 2H), 3.66 (t, 2H, J = 4.8Hz), 2.99 (s, 6H), 2.04 - 1.94 (m, 4H), 1.42 (t, 6H, J = 7.2Hz)
【0074】
実施例22:N-(4-(1-メチル)ピペリジニル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化26】
N-メチルピペラジンの代わりに、4-アミノ-1-メチルピペリジンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:63.4%)
TLC Rf = 0.20 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.71 - 7.67 (m, 1H), 7.30 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.18 - 4.08 (m, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.62 - 3.57 (m, 2H), 3.25 - 3.14 (m, 2H), 2.92 (s, 3H), 2.31 - 2.24 (m, 2H), 1.98 - 1.87 (m, 2H)
【0075】
実施例23:N-(2-(2-(1-メチル)ピロリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化27】
N-メチルピペラジンの代わりに、2-(2-アミノエチル)-1-メチル-ピロリジンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:55.6%)
TLC Rf = 0.16 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.64 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.17 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.86 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.94 (s, 3H), 3.73 - 3.66 (m, 1H), 3.53 - 3.48 (m, 2H), 3.41 - 3.35 (m, 1H), 3.23 - 3.15 (m, 1H), 2.97 (s, 3H), 2.57 - 2.47 (m, 1H), 2.35 - 2.25 (m, 1H), 2.25 - 2.04 (m, 2H), 1.92 - 1.80 (m, 2H)
【0076】
実施例24:N-(2-(2-(1-メチル)ピロリジノ)エチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化28】
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドの代わりに、実施例23と同じ手順で製造したN-(2-(2-(1-メチル)ピロリジノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例13と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:60.9%)
TLC Rf = 0.12 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.37 (s, 1H), 10.21 (s, 1H), 8.71 (t, 1H, J = 6.0 Hz), 7.78 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.26 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 7.10 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.39 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 3.88 (s, 3H), 3.48 - 3.51 (m, 3H), 3.43 - 3.15 (m, 5H), 3.10 - 3.00 (m, 1H), 2.79 (d, 3H, J = 4.8Hz), 2.40 - 2.35 (m, 1H), 2.22 - 2.13 (m, 1H), 2.07 - 1.80 (m, 3H), 1.72 - 1.63 (m, 1H), 1.27 (t, 6H, J = 7.2Hz)
【0077】
実施例25:N-((S)-2-(1-エチル)ピロリジノメチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化29】
N-メチルピペラジンの代わりに、(S)-2-(アミノメチル)-1-エチル-ピロリジンを使用して、実施例1と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:42.1%)
TLC Rf = 0.29 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 9.85 (s, 1H), 9.44 (s, 1H), 8.97 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.82 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.44 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.13 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 6.83 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.85 (s, 3H), 3.72 - 3.65 (m, 1H), 3.65 - 3.53 (m, 2H), 3.48 - 3.38 (m, 2H), 3.15 - 3.05 (m, 2H), 2.18 - 2.08 (m, 1H), 2.03 - 1.93 (m, 1H), 1.93 - 1.76 (m, 2H), 1.28 (t, 3H, J = 7.2 Hz)
【0078】
実施例26:N-((S)-2-(1-エチル)ピロリジノメチル)-5-(4-(2-ジエチルアミノ)エトキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミド塩酸塩の製造
【化30】
N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドの代わりに、実施例25と同じ手順で製造したN-((S)-2-(1-エチル)ピロリジノメチル)-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)チオフェン-2-カルボキサミドを使用して、実施例13と同じ手順に従って標題化合物を製造した。(収率:37.6%)
TLC Rf = 0.24 in 20% MeOH in Chloroform
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.41 (s, 1H), 10.25 (s, 1H), 9.14 (t, 1H, J = 5.6 Hz), 7.92 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.53 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.27 (dd, 1H, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.40 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 3.88 (s, 3H), 3.82 - 3.72 (m, 1H), 3.67 - 3.50 (m, 4H), 3.48 - 3.40 (m, 2H), 3.40 - 3.18 (m, 4H), 3.18 - 3.03 (m, 2H), 2.18 - 2.08 (m, 1H), 2.03 - 1.93 (m, 1H), 1.93 - 1.75 (m, 2H), 1.45 - 1.35 (m, 9H)
【0079】
試験例1:オートファジー誘導活性
オートファジー検出キット(ab139484、Abcam)を製造業者の説明書に従って使用することにより、Hela細胞(韓国細胞株バンク)において本発明の化合物のオートファジー誘導活性を測定した。具体的には、10%ウシ胎児血清(FBS)を含む100μLのEBSS(Earle’s Balanced Salt Solution、WELGENE社(LB 002-03))を96ウェルプレートの各ウェルに添加した。Hela細胞(1×10個)を各ウェルに加えた後、COインキュベーター内において37℃で一晩インキュベートして細胞を安定化した。各実施例で製造した各化合物(試験化合物)を10%FBS含有EBSSに10nMまたは100nMの濃度で添加して培地を作製し、安定化した細胞を含む各ウェルの培地と交換した。陽性対照として、ラパマイシンをジメチルスルホキシドに溶解し、1ウェルあたり500nMの濃度で処理した。各化合物および陽性対照による処理後、細胞をCOインキュベーター内において37℃で4時間または24時間インキュベートし、1×アッセイバッファー(10×アッセイバッファーに9mLの蒸留水を加えて調製したもの)で2回洗浄した。5%ウシ胎児血清、1μL/mlの緑色検出試薬および1μL/mlの核染色試薬を含むEBSS100μLを各ウェルに添加した。細胞をCOインキュベーター内において37℃で1時間インキュベートした後、1×アッセイバッファーで2回洗浄した。マイクロプレートリーダー(Cytation 3)を使用して、488nmで吸光度を測定した。この試験を4回繰り返した。
【0080】
上述のようにして、試験化合物(100nM)または陽性対照(ラパマイシン、500nM)でHela細胞を処理し、4時間インキュベートすることによって得られた吸光度を以下の表1に示す。また、上述のようにして、試験化合物(10nMもしくは100nM)または陽性対照(ラパマイシン、500nM)でHela細胞を処理し、24時間インキュベートすることによって得られた吸光度を以下の表2に示す。
【表1】
【表2】
【0081】
上記の表1に示した結果から、本発明による各試験化合物で処理後に4時間インキュベートした場合、これらの化合物は、陽性対照の1/5の濃度であっても、陽性対照(すなわちラパマイシン)と同等またはこれよりも高いオートファジー誘導活性を示したことが分かる。特に、表2の結果からは、本発明による各試験化合物で処理後に24時間インキュベートした場合、これらの化合物は、陽性対照の1/50の濃度または1/5の濃度であっても、陽性対照(すなわちラパマイシン)よりも優れた(すなわち、少なくとも5倍以上の)オートファジー誘導活性を示したことが分かる。したがって、本発明による化合物は、優れたオートファジー誘導活性を示すことから、神経変性疾患、肝疾患、代謝性疾患、敗血症などの様々なオートファジー関連疾患の予防、改善または治療に有用に適用することができる。
【0082】
試験例2:肝障害モデルにおける経口投与による肝機能改善活性の評価(1)
ジメチルニトロソアミン(DMN)により肝障害を誘発した雄性SDラットに、本発明による化合物を3週間にわたり経口投与して、肝機能改善活性を評価した。具体的には、7週齢の雄性SDラット(Orient Bio社、韓国)を室温で7日間かけて実験室環境に適応させた。全体的な症状を観察し、健康なラットのみを実験に使用した。ラットを、9群(各群n=5)、すなわち、正常対照群、DMNのみを投与する群、および本発明の化合物(実施例2、実施例5、実施例6、実施例9、実施例10、実施例20または実施例21の化合物)とDMNの両方を投与する群に分けた。DMNを精製水に溶解し、10mg/kgの用量で3週間連続して腹腔内投与した(週3回、4週間)。第1週の肝障害の誘発完了後3日目に血液サンプルを採取し、ALT(アラニントランスアミナーゼ)値とAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)値を測定して肝障害を確認した。本発明の化合物は、3週間にわたり投与し、すなわち、第1週の肝障害の誘発完了後4日目からDMN投与期間中にかけて投与した。本発明の7種の化合物をそれぞれ精製水またはコーン油に溶解し、経口ゾンデを使用して、25mg/kgの用量で1日1回、3週間にわたり経口投与した。血液サンプルは、0日目(第1週の肝障害誘発が完了した3日後)および試験化合物の投与後7日目、14日目および21日目に採取した。採取した血液を凝固アクチベーターの入ったバキュテイナチューブに注入し、室温で約20分間放置して各血液サンプルを凝固させた。10分間遠心分離した後、得られた血清を使用して血液生化学的検査を行った。実験方法の概要を図1に示す。
【0083】
上記のように血液生化学的検査を行って得られた血清ALT値および血清AST値を以下の表3および表4に示す。
【表3】
【表4】
【0084】
表3および表4に示した結果から分かるように、3週間後のDMN投与群の血清ALT値は約3倍となり、血清AST値は約2倍となった。しかし、本発明の化合物とDMNの両方を投与した群では、投与の3週間後におけるALT値は101.18~126.10U/Lとなり(すなわち、DMN投与群と比較して約19~35%減少し);投与の3週間後におけるAST値は195.10~250.76U/Lとなった(すなわち、DMN投与群と比較して約17~35%減少した)。したがって、本発明の化合物は、肝線維症などの肝障害に対して効果的な改善活性を有することが確認できる。
【0085】
試験例3:肝障害モデルにおける経口投与による肝機能改善活性の評価(2)
ジメチルニトロソアミン(DMN)により肝障害を誘発した雄性SDラットに、本発明による化合物を4週間にわたり経口投与して、肝機能改善活性を評価した。具体的には、7週齢の雄性SDラット(Orient Bio社、韓国)を室温で7日間かけて実験室環境に適応させた。全体的な症状を観察し、健康なラットのみを実験に使用した。ラットを、3群(各群n=10)、すなわち、正常対照群、DMNのみを投与する群、本発明の化合物(実施例21の化合物)とDMNの両方を投与する群に分けた。DMNを精製水に溶解し、10mg/kgの用量で3週間連続して腹腔内投与した(週3回、4週間)。第4週の肝障害の誘発完了後に血液サンプルを採取し、ALT(アラニントランスアミナーゼ)値とAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)値を測定して肝障害を確認した。本発明の化合物は、第4週の肝障害の誘発完了後1日目から4週間投与した。本発明の化合物(実施例21の化合物)を精製水に溶解し、経口ゾンデを使用して、25mg/kgの用量で1日1回、4週間にわたり経口投与した。血液サンプルは、0日目(第4週の肝障害の誘発が完了した1日後)および試験化合物の投与後7日目、14日目、21日目および28日目に採取した。採取した血液を凝固アクチベーターの入ったバキュテイナチューブに注入し、室温で約20分間放置して各血液サンプルを凝固させた。10分間遠心分離した後、得られた血清を使用して血液生化学的検査を行った。また、最後の投与から24時間後に、剖検を実施して肝切除を行い、肝臓を固定して組織標本を作製した。組織標本からスライドを調製し、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色を行って、肝臓組織への損傷および肝臓組織における炎症性細胞の浸潤を顕微鏡で観察した。また、マッソントリクローム染色を行って、肝臓組織におけるコラーゲン線維の沈着を顕微鏡で観察した。実験方法の概要を図2に示す。
【0086】
上記のように血液生化学的検査を行って得られた血清ALT値および血清AST値を以下の表5および表6に示す。
【表5】
【表6】
【0087】
表5および表6に示した結果から分かるように、4週間後のDMN投与群の血清ALT値は約4~5倍となり、血清AST値は約3.2倍となった。しかし、本発明の化合物(実施例21の化合物)とDMNの両方を投与した群では、投与の3週間後および4週間後におけるALT値は、それぞれ44.48U/Lおよび48.33U/Lとなり(すなわち、DMN投与群と比較してそれぞれ30%および26%減少し);投与の3週間後および4週間後におけるAST値は、それぞれ112.06U/Lおよび110.45U/Lとなった(すなわち、DMN投与群と比較して22%および30%減少した)。したがって、本発明の化合物は、肝線維症などの肝障害に対して効果的な改善活性を有することが確認できる。
【0088】
また、上記のようにして、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色およびマッソントリクローム染色を実施することによって得られた結果を図3および図4にそれぞれ示す。図3に示した結果から、肝臓組織への損傷の程度および肝臓組織における炎症性細胞の浸潤の程度を測定した。また、図4に示した結果から、肝臓組織におけるコラーゲン線維の沈着の程度を測定した。これらの結果を以下の表7に示す。
【表7】
【0089】
図3および表7に示した結果から分かるように、正常対照群と比較して、4週間後のDMN投与群における肝臓組織への損傷は約17倍となり、肝臓組織における炎症性細胞の浸潤は約5倍となった。しかし、本発明の化合物(実施例21の化合物)とDMNの両方を投与した群では、肝臓組織への損傷は、細胞1000個あたり276.0個となり、肝臓組織における炎症性細胞の浸潤は、85.33個/mmとなった(すなわち、DMN投与群と比較してそれぞれ約50%および約55%改善した)。
【0090】
また、図4および表7に示した結果から分かるように、正常対照群と比較して、4週間後のDMN投与群の肝臓組織におけるコラーゲン線維の沈着は約12倍となった。しかし、本発明の化合物(実施例21の化合物)とDMNの両方を投与した群では、肝臓組織におけるコラーゲン線維の沈着は10.98%/mmとなった(すなわち、DMN投与群と比較して約62%減少した)。
【0091】
したがって、本発明の化合物は、肝線維症などの肝障害に対して効果的な改善活性を有することが確認できる。
図1
図2
図3
図4