(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】自動車両ヘッドランプ用の光モジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 41/43 20180101AFI20231023BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20231023BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20231023BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20231023BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20231023BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20231023BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20231023BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20231023BHJP
F21S 41/47 20180101ALI20231023BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20231023BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231023BHJP
【FI】
F21S41/43
F21S41/143
F21S41/153
F21S41/25
F21S45/47
F21V29/503
F21V29/76
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21V19/00 450
F21S41/47
F21W102:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021513911
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2019074067
(87)【国際公開番号】W WO2020053192
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、アルブー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー、クレード
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン、ロエル
【審査官】的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0146553(US,A1)
【文献】特開平06-342939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/43
F21S 41/143
F21S 41/153
F21S 41/25
F21S 45/47
F21V 29/503
F21V 29/76
F21V 19/00
F21S 41/47
F21W 102/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両ヘッドランプ用の光モジュール(100)において、
- 複数のピクセルへと割り当てられた複数の電界発光体を備え、光線を放出することのできる、ピクセル化された少なくとも1つの光源(3)と、
- 前記少なくとも1つの光源(3)により放出された前記光線よって形成される光ビームを、当該光モジュール(100)の外部へ向かって直接的に映し出すように構成された投射用光学部品(10)
と、
- 前記光源から生じる光線が、前記光源における前記複数の電界発光体の外側に配置された部位によって反射されることを完全に、ないしは部分的に防止するために、前記少なくとも1つの光源(3)と前記投射用光学部品(10)との間に配置されたマスク(2)
と、を備え、
前記光源(3)の少なくとも1つの接続トラック(8)に付着された少なくとも1つの電気接続体(5)によって前記光源(3)に接続されたプリント回路基板(4)を更に備え、前記マスク(2)は、前記光源(3)から生じる光ビームが通ることを可能とすると共に、前記少なくとも1つの電気接続体(5)および/または前記少なくとも1つの接続トラック(8)および/または前記プリント回路基板(4)を少なくとも部分的に覆うように、開口(21)を具備していることを特徴とする光モジュール(100)。
【請求項2】
前記マスク(2)は、前記電気接続体(5)と前記光源(3)の接続トラック(8)との全てを少なくとも部分的に覆い、特に、各電気接続体(5)における前記プリント回路基板(4)の上に位置した全ての部分と、少なくとも各電気接続体(5)における前記光源(3)の上に位置した部分とを覆っている、請求項
1に記載の光モジュール(100)。
【請求項3】
前記電気接続体は、前記投射用光学部品(10)側を向いたプリント回路基板(4)および前記光源(3)の各表面に対してそれぞれ付着された連結体から成っている、請求項
1または2に記載の光モジュール(100)。
【請求項4】
自動車両ヘッドランプ用の光モジュール(100)において、
- 複数のピクセルへと割り当てられた複数の電界発光体を備え、光線を放出することのできる、ピクセル化された少なくとも1つの光源(3)と、
- 前記少なくとも1つの光源(3)により放出された前記光線よって形成される光ビームを、当該光モジュール(100)の外部へ向かって直接的に映し出すように構成された投射用光学部品(10)と、
- 前記光源から生じる光線が、前記光源における前記複数の電界発光体の外側に配置された部位によって反射されることを完全に、ないしは部分的に防止するために、前記少なくとも1つの光源(3)と前記投射用光学部品(10)との間に配置されたマスク(2)と、を備え、
前記マスク(2)が、プリント回路基板(4)に対して、またはプリント回路基板(4)および/
または前記光源(3)の取り付けられるベース(6)に対して取り付けられ
ているか、或いは、前記マスク(2)が、前記投射用光学部品(10)に対して取り付けられている
ことを特徴とする、光モジュール(100)。
【請求項5】
自動車両ヘッドランプ用の光モジュール(100)において、
- 複数のピクセルへと割り当てられた複数の電界発光体を備え、光線を放出することのできる、ピクセル化された少なくとも1つの光源(3)と、
- 前記少なくとも1つの光源(3)により放出された前記光線よって形成される光ビームを、当該光モジュール(100)の外部へ向かって直接的に映し出すように構成された投射用光学部品(10)と、
- 前記光源から生じる光線が、前記光源における前記複数の電界発光体の外側に配置された部位によって反射されることを完全に、ないしは部分的に防止するために、前記少なくとも1つの光源(3)と前記投射用光学部品(10)との間に配置されたマスク(2)と、を備え、
前記投射用光学部品(10)の方を向いた前記マスク(2)の表面が、25%未満、
または20%未満、
または5%未満の反射率を有している
ことを特徴とする、光モジュール(100)。
【請求項6】
自動車両ヘッドランプ用の光モジュール(100)において、
- 複数のピクセルへと割り当てられた複数の電界発光体を備え、光線を放出することのできる、ピクセル化された少なくとも1つの光源(3)と、
- 前記少なくとも1つの光源(3)により放出された前記光線よって形成される光ビームを、当該光モジュール(100)の外部へ向かって直接的に映し出すように構成された投射用光学部品(10)と、
- 前記光源から生じる光線が、前記光源における前記複数の電界発光体の外側に配置された部位によって反射されることを完全に、ないしは部分的に防止するために、前記少なくとも1つの光源(3)と前記投射用光学部品(10)との間に配置されたマスク(2)と、を備え、
前記マスク(2)は前記光源(3)から、0.2mmから5mmの間、
または0.2mmから1.5mmの間の距離だけ隔てられている
ことを特徴とする、光モジュール(100)。
【請求項7】
自動車両ヘッドランプ用の光モジュール(100)において、
- 複数のピクセルへと割り当てられた複数の電界発光体を備え、光線を放出することのできる、ピクセル化された少なくとも1つの光源(3)と、
- 前記少なくとも1つの光源(3)により放出された前記光線よって形成される光ビームを、当該光モジュール(100)の外部へ向かって直接的に映し出すように構成された投射用光学部品(10)と、
- 前記光源から生じる光線が、前記光源における前記複数の電界発光体の外側に配置された部位によって反射されることを完全に、ないしは部分的に防止するために、前記少なくとも1つの光源(3)と前記投射用光学部品(10)との間に配置されたマスク(2)と、を備え、
前記マスク(2)は接地に対して電気的に接続されている
ことを特徴とする、光モジュール(100)。
【請求項8】
前記マスク(2)は、電気伝導性材
料、または金属または合金、
またはアルミニウムまたはアルミニウム合金で作られている、請求項1から
7のうちのいずれか一項に記載の光モジュール(100)。
【請求項9】
前記光源(3)を冷却するために前記投射用光学部品(10)とは反対の側で前記光源(3)に直接ないしは間接的に当接して配置された
ベース(6)であって、冷却板として作用する前記ベース(6)を更に備え、前記
ベース(6)
は放熱器(60)
および/または熱交換器に接続されている、請求項1から
8のうちのいずれか一項に記載の光モジュール(100)。
【請求項10】
前記
ベース(6)は、前記プリント回路基板(4)の上側表面が前記光源(3)の上側表面と実質的に面一であるように構成されている、請求項
1から4のうちのいずれか一項に従属する請求項
9に記載の光モジュール(100)。
【請求項11】
前記投射用光学部品(10)は、前記光源によって生じる像を投射するように構成された少なくとも1つの投射系(11)を備えている、請求項1から
10のうちのいずれか一項に記載の光モジュール(100)。
【請求項12】
請求項1から
11のうちのいずれか一項に記載の光モジュール(100)を備えた、自動車両用のヘッドランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両ヘッドランプ用の光モジュールに関するものである。本発明はまた、そのような光モジュールを備えた自動車両ヘッドランプおよび自動車両にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
被照射面上に情報が表示されることを可能とする自動車両用のヘッドランプが知られている。そのようなヘッドランプは一般的に、像を表示するためにマルチピクセル・モノリシック光源を備えた発光装置を具備している。光学装置が発光装置上に取り付けられている。その光学装置は、マルチピクセル光源の各ピクセルから生じる光ビームを導くために投射系を備えている。しかしながら、最終的に投射された像をぼやけさせる迷光反射の存在のせいで、光学装置の出力において良質な像を得ることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、投射されるビームの品質を最適化することを可能とする、自動車両ヘッドランプ用のマルチピクセル光源を有した光モジュールを提供することである。
【0004】
特に本発明は、先行技術の装置によって生成される像よりも鮮明でノイズの少ない投射像を生成する光モジュールを作り出すことを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的のために本発明は、自動車両ヘッドランプ用の光モジュールにおいて、
- 複数のピクセルへと割り当てられた複数の電界発光体を備え、光線を放出することのできる、ピクセル化された少なくとも1つの光源と、
- 当該少なくとも1つの光源により放出された光線よって形成される当該光ビームを、当該光モジュールの外部へ向かって直接的に映し出すように構成された投射用光学部品と、
を備えることを特徴とすると共に、
- 光源から生じる光線が、光源における複数の電界発光体の外側に配置された部位によって反射されることを完全に、ないしは部分的に防止するために、少なくとも1つの光源と投射用光学部品との間に配置されたマスク、を備えることを特徴とする光モジュールに関するものである。
【0006】
光モジュールが、光源の少なくとも1つの接続トラックに付着された少なくとも1つの電気接続体によって当該光源に接続されたプリント回路基板を更に備え、前記マスクは、光源から生じる光ビームが通ることを可能とすると共に、少なくとも1つの電気接続体および/または少なくとも1つの接続トラックおよび/またはプリント回路基板を少なくとも部分的に覆うように、開口を具備していてよい。
【0007】
マスクは、電気接続体と光源の接続トラックとの全てを少なくとも部分的に覆い、特に、各電気接続体におけるプリント回路基板の上に位置した全ての部分と、少なくとも各電気接続体における光源の上に位置した部分とを覆っていてよい。
【0008】
電気接続体は、投射用光学部品側を向いたプリント回路基板および光源の各表面に対してそれぞれ付着された連結体から成っていてよい。
【0009】
マスクは、プリント回路基板に対して、またはプリント回路基板および/若しくは光源の取り付けられるベースに対して取り付けられていてよく、或いは、マスクは、投射用光学部品に対して取り付けられる。
【0010】
投射用光学部品の方を向いたマスクの表面が、25%未満、ないしは20%未満、好ましくは5%未満の反射率を有していてよい。
【0011】
マスクは、電気伝導性材料で作られていてよく、特に金属または合金、好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金で作られている。
【0012】
マスクは光源から、0.2mmから5mmの間、好ましくは0.2mmから1.5mmの間の距離だけ隔てられていてもよい。
【0013】
マスクは接地に対して電気的に接続されていてよい。
【0014】
光モジュールが、光源を冷却するために投射用光学部品とは反対の側で当該光源に直接ないしは間接的に当接して配置された冷却板を更に備え、当該冷却板は随意に放熱器などの冷却装置に接続されていてもよい。
【0015】
冷却板は、プリント回路基板の上側表面が光源の上側表面と実質的に面一であるように構成されていてよい。
【0016】
投射用光学部品は、光源によって生じる像を投射するように構成された少なくとも1つの投射系を備えていてよい。
【0017】
本発明はまた、上述したような光モジュールを備えた、自動車両用のヘッドランプにも関するものである。
【0018】
本発明はまた、上述したような光モジュールを備えた、ヘッドランプやリアライト、さもなければ車両の車室用の室内光ユニットなどの、自動車両用の光装置にも関するものである。
【0019】
最後に本発明はまた、上記で定義したようなヘッドランプを備える自動車両にも関するものである。
【0020】
これら本発明の目的、特徴、および利点は、添付図面を参照して限定を伴うことなく与えられる特定の一実施形態の下記説明において詳細に説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態による光モジュールの断面図。
【
図2】本発明の一実施形態による光モジュールにおける発光装置の断面図。
【
図3A】本発明の実施形態による光モジュールにおける、マスクを伴わない発光装置を上方から見た図。
【
図3B】本発明の実施形態による光モジュールにおける、マスクを伴った発光装置を上方から見た図。
【
図4】本発明の実施形態による光学モジュールの一部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による光モジュール100を模式的に示している。この光モジュール100は第1に、
図2を参照してより特定的に説明されることとなる発光装置1を備えている。その発光装置1は特に、少なくとも1つのマルチピクセル光源3ないしはピクセル化された光源3を備えている。より精確には、光モジュールは、複数のピクセルへと割り当てられた複数の電界発光体を備え、光ビームを形成する光線を放出することのできる、ピクセル化された光源を具備している。光モジュール100は、(発光装置1によって生成されたビームを外部の方へ導くために)入光面12を有する投射用光学部品10を特に備えた光学装置と、発光装置1と光学装置(より精確には投射用光学部品10)との間に差し挟まれたマスク2とを更に備えている。
【0023】
マスク2は、下記で説明されることとなるように(例えば、光学装置によって反射され、次いで発光装置によって反射された)迷光光線の少なくとも一部を吸収することを可能とする有利性がある。
【0024】
本実施形態による発光装置1は、
図2、並びに
図3Aおよび
図3Bを参照して以下に説明される。
【0025】
この発光装置1は、ピクセル化された光源3(即ち、その光源はピクセル同士のアレイ(配列)を形成する基本光源同士のアレイを備える)を具備している。光源3は、光源同士のアレイがその上に配置される支持体7(これはアルミニウム製の基体の形態であってよい)を更に備えている。その光源3は、基本光源同士のアレイに電力を供給するために接続トラック8をも備えている。
【0026】
光源3は、モノリシック光源であることが好ましい。モノリシックとは、各ピクセルが一方向へ光を放出するということである。従って、各ピクセルからの光ビームが直進するものである。かくして、この効果によって、あるピクセルによって放出された光が、隣り合うピクセルによって放出された光と重なり合うこととはならない、ということを保証することが可能となる。
【0027】
かくしてピクセル化されたモノリシック光源は、光モジュールから十分長い距離だけ離して置かれた壁面上へと像を投射し得る。光源3はまた、各ピクセルによって放出された光線の全てを包含した光ビームが円柱状であるように設計されていてもよい。
【0028】
光源3は、ピクセル群を形成するために発光ダイオード同士のアレイ(ピクセル化LEDとも呼ばれる)を備えていてよい。光源3は、200から10000ピクセルの間、出来れば2000から6000ピクセルの間の多数のピクセルを備えていることが好ましい。変形例として、この光源は、多数のマイクロミラーを備えた微小電気機械システムの形態をとる、マイクロミラー同士のアレイとすることができるであろう。それらのマイクロミラーは、全てが同じ軸線周りに可動となっていて、少なくとも2つの別個の向きをとり得るものである。その第1の向きによれば、マイクロミラーは(照射範囲内で)光モジュールの外部へ光線を送る。その第2の向きによれば、光線が照射範囲外へ逸らされる。各マイクロミラーの向きは、電磁気力の影響下で個別に制御され得る。そのようなマイクロミラー同士のアレイによって、遙かに多くのピクセル数を得ることが可能となる。
【0029】
発光装置1は、プリント回路基板4を更に備えている。プリント回路基板4は、光源3を制御することができるように構成されている。その基板は、中に光源3の配置される開口を備えている。
【0030】
本実施形態において、光源3は、電気接続体5によってプリント回路基板4に接続されている。それらの電気接続体5は、光源3の各接続トラック8をプリント回路基板4へ電気的に接続するように構成されている。
【0031】
本実施形態によれば、少なくとも1つの電気接続体5は半田付け線を含んでいてよい。半田付け線は、(限定されることなく)アルミニウム、金、若しくは錫、または、少なくとも1つの前述の金属に基づいた如何なる他の合金で作られていてもよい。従って、その組成ゆえに、そのような電気接続体5は反射性のものである。その結果、光学装置によって反射されてから発光装置1へ戻るかもしれない光線を、反射してしまうリスクがあるのである。マスク2の存在によって、電気接続体5の少なくとも一部(好ましくは、全て)が、そのような迷光光線を受けて反射してしまうのを防止することが可能となる。
【0032】
図1に示すように、発光装置は、光学装置と協働するように企図されている。光学装置は、光学投射系11を備えている。その光学投射系11は、当該装置の寸法に比べて当該装置の(少なくとも30、好ましくは100程度の比率の)非常に長い(有限ないしは無限の)距離の所に、当該装置の一部(例えば、光源自体もしくはシールド)または光源の中間像の、実像であって、ことによるとアナモルフィックな(歪像である)像を作り出す。投射系は、1つないし複数の反射器、さもなければ1つないし複数のレンズ、または1つないし複数のライトガイド(導光体)、或いは寧ろ、これらの候補同士の組合せから成っていてよい。
【0033】
光学装置は、反射防止コーティングを備えた入光面12を含んでいる。そのような反射防止コーティングにもかかわらず、光学装置はなおも、光源3から生じた光ビームの僅かな部分を発光装置1の方へ反射してしまう。この影響によって、不必要な迷光光線が生じてしまう。その迷光光線は、光モジュールから出て行った場合には、光モジュールによって投射される像を劣化させてしまうのである。具体的には光学装置は、半導体光源によって放出された光を投射するための投射用光学部品10を備えている。この投射用光学部品が最終的に、当該装置の一部(例えば、光源自体もしくはシールド)または光源の中間像の、実像であって、ことによるとアナモルフィックな像を作り出すのである。この像は、光モジュールや光源の寸法に対して大きさが(少なくとも30、好ましくは少なくとも100程度の比率で)非常に大きい。この投射用光学部品が、1つないし複数の反射器、さもなければ1つないし複数のレンズ、または1つないし複数のライトガイド、或いは寧ろ、これらの候補同士の組合せから成っていてよいのである。
【0034】
この反射された迷光光線によって投射像が劣化させられる影響を軽減するために、光モジュール100は、発光装置1と光学装置との間に配置されたマスク2を更に備えている。このマスク2は、光学装置によって反射された光線の少なくとも一部が、光源3によって、特に電気接続体5、接続トラック8、支持体7、或いはプリント回路基板4までもによって、もう一度反射されてしまうのを防止するように設計および構成されている。かくしてマスク2は、光モジュール100外への迷光放射の全部ないし一部を防止する。その放射は、少なくとも1つの光源3の外側、特に複数の電界発光体の外側に配置された部位での反射によって放出されるかもしれないものである。
【0035】
本実施形態によれば、マスク2は、光源3から生じたモノリシック光線が光学装置へ到達するのを可能とするために、それらの光線の通過を許容する開口21を備えている。この開口21の形状および寸法は、光源3のものに極めて近いことが好ましい。その開口は、光源3によって放出された光線のみが通過するのを可能とするよう、この光源3の輪郭と同じ形状の輪郭を備えているのが好ましい。
【0036】
マスク2は、光学装置の方を向いた反射防止性の表面22を更に備えている。その表面22は、プリント回路基板4の少なくとも一部、および/または電気接続体5の少なくとも一部を覆うように構成されている。
図3Bに示すように、反射防止性の表面は、発光装置1におけるプリント回路基板4と少なくとも1つの電気接続体5との大分部を覆っている。マスク2は、全ての電気接続体5(それらの接続における、プリント回路基板4の上に位置した部分の全てと、光源3の上に位置した部分のうち少なくとも1つとを含む)を覆っているのが有利である。更には、光学装置の方を向いたマスクの表面22が、25%未満、ないしは20%未満、好ましくは5%未満の反射率を有しているのが有利である。
【0037】
かくして、光学装置によって反射されてプリント回路基板4および/または少なくとも1つの電気接続体5の方へ差し向けられた光線の少なくとも一部は、吸収されて、光モジュール100から生じる光ビームと「干渉する」こととはならない。
【0038】
マスク2は、プリント回路基板4および/または少なくとも1つの電気接続体5と接触しないように、プリント回路基板4、少なくとも1つの電気接続体5、および光源3より上に配置される。そのマスクは、光源3に出来るだけ近づけて配置されるのが有利である。但し、浮き彫り状になった各電気接続体5の存在は、そのマスク2が、これらの電気接続体5より僅かに上方に、かくして光源3より上(好ましくは、光源3の発光面の0.5mm以内、或いは0.2mmから5mmの間、出来れば0.2mmから1.5mmの間の距離)に位置することを要求する。
【0039】
マスク2は、光源3との近接のせいで被る加熱を放散させるために、熱伝導性材料で作られていることが好ましい。それに加えてマスク2は、電気伝導性材料で作られて接地へ接続されているのが有利である。それは、マスク2と少なくとも1つの接続トラック5との間での電弧の形成を回避するためである。
【0040】
かくしてマスク2は、アルミニウムやアルミニウム合金などの伝導性材料で作られるのが好ましい。
【0041】
マスク2は、2mm未満、1mm未満、ないしは0.5mm未満の厚さを備えることが有利である。マスク2の厚さが0.5mm以下である場合に、空気との熱交換によるマスク2の冷却が最適化される。
【0042】
本実施形態において、マスク2は(その中央部位において)光源3に近づく方向へ突き出でた突出部分23を備えている。この突出部分23は、マスク2の残部とは異なる浮き彫り状部分を形成している。マスクの周縁部分は特に、その取付けに役立つものである。また、非突出部分におけるマスク2と空気との間の熱交換が、かくして促進される。一実施形態において、マスク2は、プリント回路基板4か、またはプリント回路基板がその上に載せられるベースかの何れかに取り付けられることによって、発光装置1上に据え付けられる。マスクは、光源3を支持するとの同じ構成要素に対して取り付けられるのが有利である。代替実施形態において、マスク2は光学装置上に据え付けられる。
【0043】
図3Bに示すように、マスク2は、発光装置1および/または光学装置と協働するために、少なくとも1つの取付け要素24を備えるように機械加工されていてよい。この少なくとも1つの取付け要素24は、穿孔またはネジ穴を含んでいてよい。
【0044】
更に、本発明の実施形態において、発光装置1は冷却装置を備えている。この冷却装置は、発光装置を冷却するように設計されている。その冷却装置は、熱伝導性材料で作られたベース6を備えている。このベース6の解放された面61が、光源によって生み出される熱を取り除くように、放熱器60(
図4で見られる)および/または熱交換器と接触している。
【0045】
一実施形態において、熱伝導体ベース6は、突起62を備えた中央部分を具備している。その突起62に対して直接、光源3が取り付けられる。この構成によって、光源3により生じる熱を取り除くことが容易となる。
【0046】
突起62はまた、光源3が持ち上げられることを可能ともする。かくして、その突起は、光学装置(より精確には、投射用光学部品)の方を向いた光源とプリント回路基板4との表面同士が、実質的に同じ高さにあるように、そしていずれにせよ電気接続体5を介した両者の電気的接続を最適化する各自の高さにあるように設計されている。この場合、実質的に同じ高さにあるとは、2つの表面同士の間の高さの差が2mm未満、好ましくは1mm未満であることを意味する。
【0047】
熱伝導体ベース6は、プリント回路基板4の上側表面が光源3の上側表面と実質的に面一となるように構成されているのである。
【0048】
本発明はまた、上述したような光モジュール100を備えるヘッドランプにも関するものである。その発明はまた、当該ヘッドランプを備えた輸送手段、例えば自動車両にも関するものである。