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特許7371102炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒及びこれの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒及びこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/62 20060101AFI20231023BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20231023BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20231023BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20231023BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20231023BHJP
   B01J 37/14 20060101ALI20231023BHJP
   C07C 33/14 20060101ALN20231023BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231023BHJP
【FI】
B01J23/62 Z
B01J35/10 301A
B01J37/04 102
B01J37/03 A
B01J37/18
B01J37/14
C07C33/14
C07B61/00 300
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021537980
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2019017381
(87)【国際公開番号】W WO2020141748
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0173960
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョングォン
(72)【発明者】
【氏名】ユク ソンウ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ボンシク
(72)【発明者】
【氏名】ミョン ワンジェ
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515656(JP,A)
【文献】特開2004-079438(JP,A)
【文献】特開平06-071178(JP,A)
【文献】特開2002-177778(JP,A)
【文献】特開2007-123195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C07B 31/00-63/04
C07C 1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒であって、
複合触媒100重量部に対して前記貴金属は10~20重量部、前記遷移金属は10~20重量部を含み、全体の貴金属-遷移金属は複合触媒100重量部に対して20~40重量部を含む、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属複合触媒であり、
前記複合触媒は水素化反応に利用され、
前記貴金属はパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及び白金(Pt)からなる群から選択された1種以上であり、そして
前記遷移金属は錫(Sn)、鉄(Fe)、レニウム(Re)及びガリウム(Ga)からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする炭素を担体として用い、そして
前記貴金属-遷移金属は均一な混合相をなす、貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項2】
貴金属-遷移金属は活性金属で、活性金属の金属結晶サイズが(metal crystallite size)1~20nmであることを特徴とする、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項3】
前記貴金属と遷移金属とは前記担体に貴金属1モル当たり遷移金属0.5モル~3モルの範囲で担持されていることを特徴とする、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項4】
前記貴金属-遷移金属複合触媒の平均粒子サイズ(d50)は3~50μmである、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項5】
前記炭素は活性炭、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、規則的なメソポーラス炭素(ordered mesoporous carbon、OMC)及び炭素ナノチューブからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項6】
前記炭素は比表面積が100~1,500m/g範囲であり、細孔容積(pore volume)は0.1~1.5ml/g範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項7】
前記炭素は2~25nmの規則的なメソ孔を持つことを特徴とする、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項8】
前記水素化反応はジカルボン酸官能基(dicarboxylic acid group)をジアルコール官能基(dialcohol group)に還元することを特徴とする、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項9】
前記水素化反応はカルボン酸官能基、アルデヒド官能基又はケトン官能基をアルコール官能基に還元することを特徴とする、請求項1に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項10】
前記カルボン酸官能基は蓚酸(oxalic acid)、マロン酸(malonic acid)、琥珀酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、スベリン酸(suberic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、フタル酸(phthalic acid)、イソフタル酸(isopthalic acid)、シクロヘキサンジカルボン酸(cyclohexane dicarboxylic acid)及びテレフタル酸(terephthalic acid)からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項9に記載の、炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒。
【請求項11】
(a)炭素担体を溶媒に分散させた担体分散液を製造する段階;
(b)担体分散液に貴金属-遷移金属前駆体水溶液及び沈殿剤を投入して金属酸化物又は金属水和物を前記炭素担体に担持させて沈殿する段階;及び
(c)前記沈殿物を還元及び不動態化する段階を含む、請求項1に記載の炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒の製造方法であって、
貴金属-遷移金属複合触媒は複合触媒100重量部に対して前記貴金属は10~20重量部、前記遷移金属は10~20重量部を含み、全体の貴金属-遷移金属は複合触媒100重量部に対して20~40重量部を含み、
前記(b)段階で貴金属はパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及び白金(Pt)からなる群から選択される1種以上であり、そして
前記(b)段階で遷移金属は錫(Sn)、鉄(Fe)、レニウム(Re)及びガリウム(Ga)からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒の製造方法。
【請求項12】
前記(b)段階の沈殿はアルカリ性溶液沈殿剤を使用して、沈殿剤はヒドロキシド(OH)、カーボネイト(C0 2-)、及び尿素(Urea)からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項11に記載の炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒の製造方法。
【請求項13】
前記(b)段階の沈殿で沈殿物の製造の時のpHは3~7であることを特徴とする、請求項11に記載の炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒の製造方法。
【請求項14】
前記(c)段階の還元は水素雰囲気で300~600℃の範囲で行うことを特徴とする、請求項11に記載の炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒の製造方法。
【請求項15】
前記(c)段階の不動態化は1~20%酸素が含まれた窒素混合ガスで不動態化することを特徴とする、請求項11に記載の炭素を担体として用いる貴金属-遷移金属水素化複合触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は均一な組成の高含量金属が担持された炭素ベースの貴金属-遷移金属(transition metal)複合触媒及びこれの製造方法に関するもので、更に詳細には水溶液上でシクロヘキサンジカルボン酸(Cyclohexane dicarboxylic acid、CHDA)水素化反応を通じてシクロヘキサンジメタノール(Cyclohexane dimethanol、CHDM)を効率的に生産する貴金属-遷移金属複合触媒及び高い金属含量にも当触媒の組成及び金属サイズが均一であるように製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シクロヘキサンジメタノール(CHDM、1,4-cyclohexanedimethanol)はポリエステル或いはポリアミド樹脂生産のための基礎原料であり、現在商業的にアジアではSKケミカル、Mitsubishi商事、そしてShin Nippon Rikaの合弁会社であるSK NJCが生産しているし、全世界的にはIndorama[(旧)Eastman]社が全体市場を先占している。現在CHDM生産量はIndoramaが100 KTA、SK NJCが20KTA規模を保有しているし、SK NJCは既存保有している2個の生産ラインで1個生産ラインを追加増設して60KTAに増産計画にあると知られている。
【0003】
文献に知られた所によると、PTA(Purified terephthalic acid)を利用してCHDMを製造方法は大きく3つの方法がある。
【0004】
一番目、PTAを水溶液上でNaOHでionizationした後Saltに作ってPTA溶解度を増加させ水素添加反応する方法がある。この合成法は低い温度でPTA溶解度増加に従って水添反応温度を低くすることができる長所を持っているが(40~130℃)、反応後HClで中和処理してNa+イオンを回収する工程が追加に要求されている。残存Na Saltは反応後PETG重合に影響を与えるだけではなく、NaClを含有するBrine溶液は廃水処理費用を過多発生させ生産工程の経済性で不利である。
【0005】
二番目、esterificationによってPTAをDMT(Dimethyl terephthalate)に製造後DMCD(Dimethyl cyclohexane dicarboxylate)を経てCHDMを製造する方法がある。該当工程はDMCDでCHDMを生産する時、CuやCrベースの触媒を使用するので触媒価格側面では比較的安いが全体的には3段階(PTA→DMT→DMCD→CHDM)製造工程であるため、工程側面で不利である。又、前記過程は工程上で互いに違う溶媒を使用するので多量の廃水が発生する問題があり、原料であるPTAより高価であるDMTを原材料で使用している実情である。
【0006】
一方、三番目であるPTAでCHDAを経てCHDMを生産する工程はCHDA水素化反応の時活性金属に貴金属であるルテニウムを使用して触媒の価格的側面で不利ではあるが、2段階工程(PTA→CHDA→CHDM)で最終生成物であるCHDMを得られることができるので、工程短縮で製品原価を減らして工程技術の競争力を確保するなら経済性側面で有利であると判断される。
【0007】
従って、本発明ではcyclohexane dicarboxylic acid (CHDA)をdicarboxylic acidの代表物質で使用して、目標dialcoholであるcyclohexane dimethanol (CHDM)を効率的に生産する触媒の合成方法を提供しようとする。
【0008】
不均一系触媒上でのcarbonyl groupの還元メカニズムを[メカニズム1]に表せた。不均一系触媒上でのカルボニル基(carbonyl group)をアルコールに転換する場合主に貴金属-遷移金属系複合触媒が使用される。複合触媒上で貴金属は水素を吸着して金属-水素化合物(metal-hydride)を形成し、遷移金属はルイス酸点(Lewis acid)と作用してcarbonyl groupをpolarizeする役割をする。以後、金属-水素化合物(metal-hydride)が活性化されたcarbonyl groupに結合してアルコールに転換される。従って不均一系触媒での効率的なcarbonyl groupの還元のためには貴金属-遷移金属活性の均一性が要求される。
[メカニズム1]
【0009】
炭素ベース担持触媒の製造は製法に従ってイオン交換法(ion-exchange method)、初期湿潤含浸法(incipient-wetness impregnation)、沈積-沈殿法(deposition-precipitation method)等の方法を使用できる。
【0010】
イオン交換法は活性成分である陽イオン(カチオン)/陰イオン(アニオン)を担体表面のイオンと交換する方法を利用して触媒活性を担体に担持する方法である。ゼオライト、シリカ、そしてシリカ-アルミナ等に金属を担持する時主に使用する。イオン交換法は活性物質が担体表面に移動するイオン拡散と表面でイオン交換される連続段階で進行される。効率的な触媒製造のためには数次反復的にイオン交換が必要で製造時間が増加することになって経済性が落ちる短所が存在する。
【0011】
初期湿潤含浸法は担持触媒製造にあって一番広く使用される方法に、先ず、活性金属前駆体を担体の総細孔容積に該当する溶媒に溶解する。以後活性金属溶液を乾燥された担体に加えて吸収させた後乾燥させて溶媒を除去する方法である。従って触媒の製造が簡単であるが高含量の金属担持触媒を製造する場合触媒の粒子及び構成が均一ではなくて活性が低下される短所が存在する。中国特開文献第101982236号でZhang XiaoouはCHDA-to-CHDM触媒としてRu-Sn/OMC(OMC=ordered mesoporous carbon)を提示している。触媒はRu、Sn塩化物前駆体を初期湿潤含浸法を通じて担持後乾燥、還元を経て製造した。前もって言及したように、初期湿潤含浸法で製造した触媒製法では20wt%以上の高含量の触媒製造が難しいだけではなく、塩化物は高度の腐食性を持っているので乾燥及び還元過程で耐食性装備が必要と言う短所が存在する。従って触媒製造にあって製造容易性、高い含量での均一な活性金属組成を持つ触媒製造法が確保されるべきである。
【0012】
沈積-沈殿法は活性成分水溶液と沈殿剤が炭素担体分散液内で反応して沈殿体が生成され、これらが担体表面に吸着及び固化される方法を利用した触媒製造方法である。従って既存の初期湿潤含浸法及びイオン交換方法に比べて高い量の活性金属の担持が可能な方法と報告されているし、担持された活性の均一度も又高いことと知られている。
【0013】
(特許文献1)韓国特開公報2002-0040809号(2002.05.30)
(特許文献2)中国特開公報103785418号(2014.05.14)
(特許文献3)中国特開公報106423202号(2017.02.22)
(特許文献4)米国登録特許公報2009-0131247号(2009.05.21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明は前記のような従来技術の問題点と過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0015】
本願発明の目的は均一な組成の高含量金属が担持された炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒を利用して反応時間が長いジカルボン酸(dicarboxylic acid)からジアルコール(dialcol)を生産する場合、反応速度及び反応の効率性が向上された貴金属-遷移金属複合触媒及び高い金属含量にも当触媒の組成及び金属サイズが均一であるように触媒を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するための本願発明に従った炭素ベース貴金属-遷移金属複合触媒にあって、複合触媒100重量部に対して前記貴金属は10~20重量部、前記遷移金属は10~20重量部を含め、全体の貴金属-遷移金属は複合触媒100重量部に対して20~40重量部を含むことができる。
【0017】
本発明の実施例に従うと、前記貴金属はパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及び白金(Pt)からなる群から選択される1種以上でありえるし、前記遷移金属は錫(Sn)、鉄(Fe)、レニウム(Re)及びガリウム(Ga)からなる群から選択された1種以上でありえる。
【0018】
前記全体活性金属は貴金属及び遷移金属を含めるし、好ましく貴金属ではルテニウム(Ru)が提供できるし、遷移金属では錫(Sn)が提供できるし、これを‘Ru-Sn/C’と表記したりするし、延いて、DP法(deposition-precipitation method)で製造して‘Ru-Sn/C-DP’と表記できる。
【0019】
本発明の実施例に従うと、貴金属-遷移金属は活性金属で、活性金属の金属結晶サイズが(metal crystallite size) 1~20nmでありえる。好ましくは活性金属の平均サイズは1~15nmが提供される。
【0020】
本発明の実施例に従うと、前記貴金属と遷移金属は前記担体に貴金属1モル当たり遷移金属0.5モル~3モル範囲で担持されていることを特徴とするし、好ましくは遷移金属と貴金属は同一なモル比で提供できる。
【0021】
本発明の実施例に従うと、前記貴金属-遷移金属複合触媒の平均粒子サイズ(d50)は3~50μmでありえる。
本発明の実施例に従うと、前記貴金属-遷移金属は均一な混合をなすことを特徴とする。
【0022】
本発明の実施例に従うと、前記炭素は活性炭、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、OMC(ordered mesoporous carbon)及び炭素ナノチューブからなる群から選択された1種以上であることを含むことができるし、好ましくは前記貴金属はルテニウムが提供されるし、前記遷移金属は錫が提供できる。
【0023】
本発明の実施例に従うと、前記炭素は比表面積が100~1,500m/g範囲であり、細孔容積(pore volume)は0.1~1.5ml/g範囲でありえる。
【0024】
本発明に従った一つの好ましい例で、前記炭素は2~25nmの規則的なメソ孔(mesopore、メソ細孔)を持つし、3次元バー型又は3次元チューブ型の気孔構造を持つ規則メソポーラス炭素(ordered mesoporous carbon、OMC)でありえる。即ち、前記活性金属が3次元的の規則的なメソ孔構造で配列された炭素担体内部に担持され既存の触媒に比べて触媒活性が高くて反応速度を向上させられる。
【0025】
本発明の実施例に従うと、前記炭素担体は硝酸(HNO)水溶液で前処理できる。この場合、前記硝酸(HNO)水溶液は、前記水溶液全体100重量部に対して、1~50重量部の硝酸を含むことができる。
【0026】
本発明の実施例に従うと、前記前処理過程は50~150℃温度範囲で遂行できる。前記前処理過程は1時間~10時間の間遂行できる。前記前処理過程は前記活性金属を担持する前に遂行できる。
【0027】
一方、本発明は均一な組成の高含量金属が担持された炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒を利用して水素化反応をする水素化方法を提供する。
【0028】
前記水素化反応はカルボン酸官能基(carboxylic acid group)をアルコール官能基(alcohol group)で水素化する水素化触媒の用途で提供されるし、好ましくはジカルボン酸官能基(dicarboxylic acid group)をジアルコール官能基(dialcohol group)で還元することを含むことができる。
【0029】
又、前記水素化反応はカルボン酸官能基、アルデヒド官能基又はケトン官能基をアルコール官能基で還元することを特徴とする。
【0030】
本発明の実施例に従うと、前記水素化反応圧力は20~150barであり反応温度が140~280℃であり反応時間が0.5~10時間でありえる。
【0031】
本発明の実施例に従うと、前記カルボン酸は蓚酸(oxalic acid)、マロン酸(malonic acid)、琥珀酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、スベリン酸(suberic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、フタル酸(phthalic acid)、イソフタル酸(isopthalic acid)、シクロヘキサンジカルボン酸(cyclohexane dicarboxylic acid)及びテレフタル酸(terephthalic acid)からなる群から選択された1種以上でありえる。
【0032】
本発明の実施例に従うと、前記アルデヒド官能基はホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、3-メチルブチルアルデヒド、2,2-ジメチルプロピオンアルデヒド、カプロンアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、3-メチルバレルアルデヒド、4-メチルバレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2,2-ジメチルブチルアルデヒド、3,3-ジメチルブチルアルデヒド、カプリルアルデヒド及びカプリンアルデヒド、グルタルジアルデヒドからなる群から選択された1種以上でありえる。
【0033】
本発明の実施例に従うと、前記ケトン官能基はアセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン及びアセトフェノンからなる群から選択された一つでありえる。
【発明の効果】
【0034】
以上説明した通りのように、本発明に従った均一な組成の高含量金属が担持された炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒及びこれの製造方法は反応時間が長いジカルボン酸(Dicarboxylic acid)からジアルコール(dialcohol)を生産する場合反応速度及び反応の効率性を向上させられるし、高い金属の含量にも触媒の組成及び金属サイズが均一であるように製造できる効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1は本発明の一実施例に従った沈積-沈殿法で製造したRu-Sn/C-DP触媒のSTEM-EDX分析結果である。
図2は本発明の一実施例に従った初期湿潤含浸法で製造したRu-Sn/C-IWI触媒のSTEM-EDX分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
後述する本発明に対した説明は、本発明が実施できる特定実施例を例示として参照する。これら実施例は当業者が本発明を実施するのに十分であるように詳細に説明される。本発明の多様な実施例は互いに違うが相互排除的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載されている特定形象、構造及び特性は一実施例に関して本発明の技術的思想及び範囲を逃れないながら他の実施例で具現できる。
【0037】
従って、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするのではないし、本発明の範囲は、適切に説明されるなら、その請求項たちが主張することと均等な全ての範囲と共に添付された請求項によりだけ限定される。
【0038】
又、本明細書で特別な言及がいない限り、“置換”乃至“置換された”とは、本発明の官能基の中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(-F、-Cl、-Br又は-I)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、置換又は非置換されたアルキル基、置換又は非置換された脂環族有機基、置換又は非置換されたアリール基、置換又は非置換されたアルケニル基、置換又は非置換されたアルキニル基、置換又は非置換されたヘテロアリール基、及び置換又は非置換されたヘテロ環基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味するし、前記置換基たちは互いに繋がって環を形成することもできる。
【0039】
本発明で、前記“置換”は特別な言及がいない限り、水素原子がハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基等の置換基で置換されたことを意味する。
【0040】
又、前記“炭化水素基”は特別な言及がいない限り、線形、分枝形又は環式の飽和又は不飽和炭化水素基を意味するし、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等は線形、分枝形又は環式でありえる。
【0041】
又、本明細書で特別な言及がいない限り、“アルキル基”とはC1~C30アルキル基を意味するし、“アリール基”とはC6~C30アリール基を意味する。本明細書で、“ヘテロ環基”とはO、S、N、P、Si及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるヘテロ原子を一つの環の内に1個~3個含有する基を言うし、例えば、ピリジン、チオフェン、ピラジン等を意味するがこれに制限されるのではない。
【0042】
本発明の詳細な説明で用語ジカルボン酸(dicarboxylic acid)は一個の分子の中に二個のカルボン酸官能基を持つ有機酸を意味する。例えば、ジカルボン酸の分子式はHOOC-R-COOHで表せるし、本発明ではRがアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
【0043】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例たちに関して詳細に説明することにする。
【0044】
本発明に従うと、均一な組成の高含量金属が担持された炭素ベース貴金属-遷移金属複合触媒はシクロヘキサンジカルボン酸(Cyclohexane dicarboxylic acid、CHDA)の転換反応速度及び安定性を向上させる等反応の効率を向上させるのに提供できる。又、高い金属含量にも当触媒の組成及び金属サイズが均一であるように触媒を製造できる。
【0045】
以下では前述した均一な組成の高含量金属が担持された炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒の組成物及び複合触媒の製造方法に対してより具体的に説明することにする。
【0046】
本発明に従うと、炭素ベース貴金属-遷移金属複合触媒にあって複合触媒100重量部に対して前記貴金属は10~20重量部、前記遷移金属は10~20重量部を含め、全体貴金属-遷移金属は複合触媒100重量部に対して20~40重量部を含む炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒が提供される。
【0047】
先に、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及び白金(Pt)からなる群から選択される1種以上の貴金属を含むことができるし、これに制限されるのではない。前記貴金属は複合触媒全体100重量部に対して、1~20重量部で含むことができる。好ましくは10~15重量部で含むことができる。
【0048】
貴金属が前記範囲未満で含む場合には目的とする触媒の活性を期待し難い問題がありえるし、前記範囲を超過して含む場合には高い触媒価格と触媒製造の時金属成分の高い分散度を得ることが難しいので前記の範囲が適合である。
【0049】
遷移金属は錫(Sn)、鉄(Fe)、レニウム(Re)及びガリウム(Ga)からなる群から選択された1種以上の遷移金属を含むことができるが、これに制限されるのではない。遷移金属は複合触媒全体100重量部に対して1~20重量部で含むことができる。好ましくは10~15重量部で含むことができる。
【0050】
遷移金属が前記範囲未満で含まれる場合反応の転換効率が落ちたり目的生成物の選択度が低下され工程上での分離、回収費用が過多に使用されられるし、前記範囲を超過すると高い副産物の発生によって効率的ではないため、前記の範囲が好ましい。
【0051】
又、全体活性金属で本発明は貴金属及び遷移金属を含めるし、好ましく貴金属ではルテニウム(Ru)が提供できるし、遷移金属では錫(Sn)が提供できるしこれを‘Ru-Sn/C’と表記したりするし、延いて、DP法で製造して‘Ru-Sn/C-DP’と表記できる。
【0052】
本発明に従うと、貴金属-遷移金属は活性金属で、活性金属の金属結晶サイズが(metal crystallite size)1~20nmであることを特徴とする。好ましくは1~15nm範囲が提供される。結晶サイズが20nmを超過すると転換効率が低くて生産効率が低下される問題があるので前記範囲が適合である。
【0053】
前記複合触媒で遷移金属と貴金属のモル比率は貴金属1モル当たり遷移金属0.5モル~3モル範囲で担持されていることを特徴とするし、更に好ましくは同一なモル比で提供されることを特徴とする。貴金属1モル当たり遷移金属のモル比率が3を超過する場合metal-hydride生成量が少なくて高いCHDAの転換効率を期待し難く、貴金属1モル当たり遷移金属モル比率が0.5未満である場合carbonyl groupをpolarizeできるmetal siteが少なくて目的とする選択度を得られないので前記範囲が適合である。
【0054】
前記触媒で炭素ベース貴金属-遷移金属複合触媒の平均粒子サイズ(d50)は3~50μmであることを特徴とする。触媒粒子サイズが前記範囲未満である場合recycle過程で触媒が濾過膜を通過して触媒の損失を起こして生成物の純度及び触媒損失に従った費用上の問題がありえるし、前記範囲を超過する場合反応mediumでの分散度が低くなって触媒の効率が落ちる問題がありえる。
【0055】
前記複合触媒の活性金属である貴金属-遷移金属は均一な混合をなすことを特徴とする。触媒(Ru-Sn/C-DP)の二種の活性金属は例えば、ルテニウム(Ru)或いは錫(Sn)は独立的に存在しないし、均一な混合をなしている。特にDP法を利用することで、活性成分水溶液と沈殿剤が過量の炭素担体分散液内で反応して沈殿体が生成され、これらが担体表面に吸着及び固化される方法を利用することで、活性の組成が均一な混合を提供できる。
【0056】
二種金属触媒(bimetallic catalyst)では金属の均一な組成は触媒活性と相関関係を持つという文献報告がある。(非特許文献:J.Mol.Catal A-Chem 2015,410,184)。従って、同一な金属担持量で優秀な触媒活性を得るためには二つの金属間の高い均一度が必須的である。複合触媒上で貴金属は水素を吸着して金属-水素化合物(metal-hydride)を生成する役割をするし、遷移金属はルイス酸点(Lewis acid)で作用してcarbonyl groupをpolarizeする役割をする。以後、金属-水素化合物(metal-hydride)が活性化されたcarbonyl groupに吸着してアルコールに転換されるので、効率的なcarbonyl groupの還元のためには貴金属-遷移金属活性の均一性が必ず要求される。従って、本発明に従った触媒は均一な組成の貴金属-遷移金属活性を提供して、反応の効率を向上させる。
【0057】
次に、前記炭素担体は特別に制限されるのではないが、活性炭、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、OMC (ordered mesoporous carbon)及び炭素ナノチューブからなる群から選択される1種以上であることを使用できる。好ましくは全体の気孔中メソ孔の比率が高いカーボンブラックありえるし、具体的な例で、前記活性炭はSX ULTRA、CGSP、PK1-3、SX 1G、DRACO S51HF、CA-1、A-51、GAS 1240 PLUS、KBG、CASP及びSX PLUS等でありえるし、前記カーボンブラックはBLACK PEARLS、ELFTEX、VULCAN、MOGUL、MONARCH、EMPEROR及びREGAL等でありえるが、これに限定されるのではない。
【0058】
ここで、本発明に従うと、前記炭素担体で前記炭素は全体の気孔の中気孔のサイズが2~50nmであるメソ孔の体積比率が50%以上でありえる。好ましくは、前記炭素担体で前記炭素は全体の気孔の中メソ孔の体積比率が70%以上であり、更に好ましくは前記炭素担体で前記炭素は全体の気孔の中メソ孔の体積比率が75%以上でありえる。この時、前記メソ孔の体積比率が50%未満である場合には反応物及び生成物の炭素担体内微視的物質伝達速度問題がありえるし、前記気孔の平均サイズが50nm超過である場合には担体の物理的強度が弱い問題がありえるので前記の範囲が適合である。
【0059】
又、本発明に従うと、前記炭素は比表面積(BET)が100~1,500m/g範囲を含む規則的なメソポーラス炭素(ordered mesoporous carbon、OMC)を含む。好ましくは、前記炭素は比表面積(BET)が200~1,000m/g範囲を含む規則的なメソポーラス炭素(ordered mesoporous carbon、OMC)を含むことができる。この時、前記炭素の比表面積が100m/g未満である場合には活性金属の高分散が難しい問題がありえるし、前記炭素の比表面積である1,500m/gを超過する場合にはメソ孔の比率が低くなる問題がありえるので前記の範囲が適合である。
【0060】
共に場合に従って、本発明に従った触媒の前記炭素担体は中間サイズのメソポーラス以外にマイクロ気孔(micropore)を適正比率で含むし、好ましくは全体の気孔の中マイクロポア(Micropore)の体積比率が0~25%で含むことができる。この時、前記マイクロポアの体積比率が25%を超過して含まれる場合には反応物及び生成物の炭素担体内微視的物質伝達速度問題がありえるので前記の範囲が適合である。
【0061】
一方、本発明は触媒を製造する方法として、前記炭素担体は硝酸(HNO)水溶液で少なくとも1回以上前処理される炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒製造方法を提供する。
【0062】
先に、本発明の製造例に従うと、前記炭素担体は硝酸(HNO)水溶液で少なくとも1回以上前処理される過程が行われる。ここで、前記硝酸(HNO)水溶液は前記水溶液全体100重量部に対して1~50重量部の硝酸を含むことができる。好ましくは、前記硝酸(HNO)水溶液は水溶液全体100重量部に対して、5~40重量部の硝酸を含む水溶液でありえるし、更に好ましくは5~35重量部の硝酸を含む水溶液でありえる。
【0063】
より詳しくは水溶液全体100重量部に対して1重量部未満の硝酸で前処理を行う場合には望む触媒の活性を期待し難い問題がありえるし、50重量部以上の硝酸で前処理を行う場合には炭素担体表面の酸性度増加及び酸素官能基による活性金属の被毒によって触媒の活性低下、炭素担体構造の崩壊起こることがあるので前記の範囲が適合である。
【0064】
本発明の実施例に従うと、前記前処理過程は70~150℃温度範囲で遂行できるし、好ましくは80~110℃温度範囲で遂行できる。この時、前記前処理過程温度が70℃未満である場合に炭素担体表面に酸素官能基の導入が低下される問題がありえるし、前記前処理過程温度が150℃を超過する場合には炭素担体構造の崩壊問題がありえるので前記の範囲が適合である。
【0065】
一方、本発明に従った前記複合触媒は水素化反応に利用されることを特徴とするし、前記水素化反応はジカルボン酸官能基(dicarboxylic acid group)をジアルコール官能基(dialcohol group)に転換する水素化方法を提供する。
【0066】
水素化反応の温度は200~300℃範囲で2~8時間の間行われるし、圧力は50~150bar範囲で行われる。好ましくは前記CHDAの水素化反応温度は230~270℃範囲で行われるし、圧力は70~130bar範囲で行われる。この時、前記温度が200℃未満である場合には反応速度が十分ではなくて目的するCHDM収率より低く表れて好ましくないし、300℃を超過する場合には反応物及び生成物の分解反応等の副反応が行われることがある。前記圧力が50bar未満である場合にはCHDAの水素化反応の時反応に参与する水素が十分に溶媒に存在しなくて触媒活性が低下される問題があるし、前記水素化反応圧力が150barを超過してもそれ以上反応速度向上効果が得られないので経済的に不利である。最も好ましくは前記水素化反応温度は200~250℃であり、反応圧力は90~110bar範囲であり反応時間が2~6時間でありえる。
【0067】
そして、水素化反応は多様な反応器で遂行できるが、好ましくは回分式(Batch)反応器、連続攪拌反応器(CSTR)又はループ反応器内で遂行できる。
【0068】
本発明の実施例に従うと、前記触媒はカルボン酸官能基(carboxylic acid group)をアルコール官能基(alcohol group)に転換する水素化反応に利用される用途で提供できるし、好ましくはジカルボン酸官能基をジアルコール官能基で水素化する還元反応に提供できる。例えば、前記触媒を利用してカルボン酸官能基、アルデヒド官能基又はケトン官能基を対象にアルコール官能基で水素化する方法に適用できる。
【0069】
本発明の具体的な例で、前記貴金属-遷移金属複合触媒上でシクロヘキサンジカルボン酸(Cyclohexane dicarboxylic acid、CHDA)の水素化反応を通じてシクロヘキサンジメタノール(Cyclohexane dimethanol、CHDM)を生産したし、この時、水素化反応を通じて転換されたCHDAの転換率が95~99.9%範囲であり、生産されたCHDMの収率は85~99%範囲を持つことができる。
【0070】
ここで、前記カルボン酸は、特別に限定されるのではないし、例えば、蓚酸(oxalic acid)、マロン酸(malonic acid)、琥珀酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、スベリン酸(suberic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、フタル酸(phthalic acid)、イソフタル酸(isopthalic acid)、テレフタル酸(terephthalic acid)、蟻酸、酢酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸(Isostearic Acid)、オレイン酸、マイレン酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンカルボン酸及び安息香酸等を含むことができる。
【0071】
共に、前記アルデヒド官能基を持つアルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、3-メチルブチルアルデヒド、2,2-ジメチルプロピオンアルデヒド、カプロンアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、3-メチルバレルアルデヒド、4-メチルバレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2,2-ジメチルブチルアルデヒド、3,3-ジメチルブチルアルデヒド、カプリルアルデヒド、カプリンアルデヒド及びグルタルジアルデヒド等を含むことができる。
【0072】
又、前記ケトン官能基を持つケトン類の例としてはアセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、シクロヘキサノン及びアセトフェノン等を含むことができる。
【0073】
一方、本発明の実施例に従うと、炭素ベースの貴金属-遷移金属前記複合触媒は下記のような製造方法が提供される。
【0074】
(a)炭素担体を溶媒に分散させた担体分散液を製造する段階;(b)担体分散液に貴金属-遷移金属前駆体水溶液及び沈殿剤を投入して金属酸化物又は金属水和物を前記炭素担体に担持させて沈殿する段階;及び(c)前記沈殿物を還元及び不動態化(passivation)する段階を含むことができる。この場合、複合触媒100重量部に対して前記貴金属は10~20重量部、前記遷移金属は10~20重量部を含め、全体の貴金属-遷移金属は複合触媒100重量部に対して20~40重量部を含むことができる。
【0075】
炭素担体を溶媒に分散させて60~100℃で30分~2時間程度攪拌させる。好ましくは80℃で1時間攪拌させることが提供される。前記担体は活性炭、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、OMC及び炭素ナノチューブからなる群から選択された少なくとも1種でありえる。ただ、これに制限されるのではない。
【0076】
溶媒は蒸留水が提供されるし、蒸留水ではイオン交換水又は超純水(DIW)のような高純度の水が提供される。使用する蒸留水に不純物を含有する場合には不純物が触媒に付着して触媒の活性を低下させることがある。
【0077】
貴金属は前駆体の形態でパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及び白金(Pt)からなる群から選択される1種以上であることを含むことができるし、この場合、通常的に使用される貴金属前駆体であればどのようなものも可能であり特別に制限されるのではない。好ましくはルテニウム(Ru)が提供されるし、ルテニウムの前駆体では塩化ルテニウム(Chloride)、アセチルアセトナート(Acetylacetonate)、ヨージド(Iodide)、オキシド(Oxide)及びニトロシル硝酸(Nitrosyl nitrate solution)前駆体から選択される1種以上を含むことができる。好ましくは塩化ルテニウムを含むことができる。
【0078】
遷移金属は前駆体の形態で錫(Sn)、鉄(Fe)、レニウム(Re)及びガリウム(Ga)からなる群から選択された1種以上を含めるし、好ましくは錫(Sn)が提供される。又、前記錫の前駆体では塩化錫(Chloride)、窒化物(Nitride)、ブロミド(Bromide)、オキシド(Oxide)やアセテート(Acetate)前駆体から選択される1種以上を含めるし、好ましくは塩化錫を含むことができる。
【0079】
貴金属及び遷移金属は前記範囲未満で含む場合には転換効率が落ちて目的とする触媒活性を期待し難い問題がありえるし、前記範囲を超過して含む場合高い触媒価格と触媒製造の時金属成分の高い分散度を得難いので前記範囲が好ましい。
【0080】
本発明の実施例に従うと、前記金属前駆体を完全に溶解させるために酸性の溶液が提供できるし、好ましくは塩酸が提供できるが、これに制限されるのではない。前記貴金属前駆体及び遷移金属前駆体を塩酸が含まれた水溶液に投入及び攪拌する。攪拌は約20~40分の間提供される。これを又前記炭素担体がある前記の炭素分散液に投入して貴金属-遷移金属-炭素担体混合溶液を製造する。貴金属-遷移金属酸化物又は水化物はpH調節を通じて炭素担体上に沈殿させる。
【0081】
本発明の実施例に従うと、沈殿は0~100℃、好ましくは60~80℃温度範囲で提供される。pH調節のための前記沈殿剤はアルカリ性溶液が提供できるし、ヒドロキシド(OH)、カーボネイト(C0 2-)、尿素(Urea)からなる群から選択された1種以上を含むことができるし、この場合通常的に使用されるアルカリ性溶液であればどのようなものでも可能であり特別に制限されるのではない。好ましくはアンモニウムヒドロキシドを含むことができる。
【0082】
沈殿後最終的に溶液のpHは約6程度となる。沈殿はアルカリ水溶液添加又は電気化学的手段でpH3以上の環境でできるし、好ましくはpHは3~7でありえる。
【0083】
前記沈殿が終わって、沈殿溶液を濾過して沈殿物を回収する。回収した沈殿物は80℃以上の蒸留水で何回洗浄して残存する有無機物を除去する。その後100℃程度で乾燥して水素雰囲気で300~600℃範囲で還元して触媒を製造できる。あわせて、還元温度は前述した通りのように200~600℃、好ましくは300~550℃、より更に好ましくは500℃の時最適の活性を表せることができる。
【0084】
延いて、前記還元する段階以後1~20%酸素が含まれた窒素混合ガスで不動態化する段階を更に含むことができる。
【0085】
これに最終的に均一な組成の高含量金属が担持された炭素ベースの貴金属-遷移金属複合触媒を製造できる。本発明に従った触媒は粉末、粒子、顆粒の形態でありえるし、好ましくは粉末の形態である。
【0086】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例(example)を提示する。ただ、下記の実施例は本発明の理解を助けるためのだけであり、本発明が下記の実験例によって限定されるのではない。
【実施例
【0087】
[製造例1]炭素担体の前処理
四つ口フラスコに30gの炭素担体と300gの蒸留水、そして60%濃度の300gの硝酸溶液を順に投入する。還流冷却装置が付着された撹拌機を利用して95℃で3時間加熱攪拌して前記炭素懸濁液を常温に冷やせる。酸処理された炭素懸濁液は減圧濾過を通じて沈殿物を収得するし、残存する有無機物の除去のため洗浄する。この時、濾過液のpHが7になるまで何回distilled waterを使用して洗浄した。収得した炭素粉末は100℃オーブンで24時間の間乾燥させて触媒の担体に使用した。
【0088】
[実施例1]沈積-沈殿法を使用したRu-Sn/C触媒の製造
触媒の製造装置は1000ml用量の五ツ口フラスコを利用して各枝に還流冷却器、pH電極、高速撹拌機(overhead stirrer)、温度センサー及び沈殿剤注入管を付着させて使用する。先ず、還流冷却装置が付着されたフラスコに前記[製造例1]で製造された炭素担体10gと蒸留水300mlを入れ分散させて80℃の温度で約1時間攪拌させる(400rpm)。ルテニウム-錫前駆体溶液を作るため30mlの0.05mのHCl溶液にRuCl.3HO 3.9gとSnCl.2HO 3.5gを同時に溶解させた後400rpmの速度で30分の間攪拌した。ルテニウム-錫前駆体溶液を炭素担体が分散されている80℃の炭素担体分散液に添加した後1時間の間攪拌してあげる。沈殿剤(1MのNHOH)をルテニウム-錫-炭素担体混合溶液に漸進的に追加して(5cc/min)最終pHを6に合わせた後、1時間攪拌しながら維持する。沈殿が終わった後、沈殿溶液を常温に冷やせた後、回収した沈殿物は80℃以上の蒸留水で洗浄して残存有無機物たちを除去してあげる。洗浄が終わった後沈殿物は100℃convection ovenで乾燥する。これを水素(100cc/min H:30/N:70)を流しながら500℃で3時間の間還元させた後、窒素(100cc/min)を流しながら室温に冷やせた。以後3%酸素/窒素混合ガス(100cc/min Air:15/N:85)を1時間の間流しながら不動態化して触媒を製造した。前記のように製造された触媒を“Ru-Sn/C-DP”で表記する。
【0089】
[比較例1]初期湿潤含浸法を使用したRu-Sn/C触媒の製造
30wt%硝酸で前処理した炭素担体にルテニウムと錫を担持するためルテニウム前駆体(3.9gのRuCl.3HO)と錫前駆体(3.5gのSnCl.2HO)を蒸留水に溶かした後二つの前駆体を一気に担持する初期湿潤含浸法で担持した。以後100℃convectionオーブンで12時間の間乾燥する。これを水素(100cc/min H:30/N:70)を流しながら500℃で3時間の間還元させた後、窒素(100cc/min)を流しながら室温に冷やせた。以後3%酸素/窒素混合ガス(100cc/min Air:15/N:85)を1時間の間流しながら不動態化して触媒を製造した。前記のように製造された触媒を“Ru-Sn/C-IWI”と表記する。
【0090】
[実験例1]STEM-EDX分析を通じたRu-Sn/C触媒の表面分析
前記実施例1及び比較例2で製造された触媒に対して、各触媒のSTEM-EDX(Energy Dispersive X-Ray spectroscopy) mapping結果をそれぞれ[図1]及び[図2]に表せた。[図1]は[実施例1]で本発明に従った、沈積-沈殿法を使用したRu-Sn/C触媒を表れるし、[図2]は[比較例1]で初期湿潤含浸法で製造したRu-Sn/C-IWI触媒のSTEM-EDX分析結果を表せる。
【0091】
実験例2]Cyclohexane dicarboxylic acid転換実験
Dicarboxylic acidで代表されるCHDAの水素化反応を通じた通じたCHDM転換実験を行った。本反応は最大作業圧力が100barである耐酸性のtitanium-lined stainless材質の回分式反応器(batch reactor)で遂行した。反応器に反応物であるCHDAと触媒を重量比で3.75:1になるように注入し、反応溶媒では蒸留水を充填した。この時溶媒対比反応物の量は1.6wt%で固定した。以後水素を反応圧力である90barまで加圧した後水素感知器を通じて反応器のleak可否を確認した後減圧及び換気(purge)して反応器内部の酸素を全て除去した。水素化反応は反応器の内部温度を反応温度(230℃)まで加熱後、水素雰囲気の反応圧力(90bar)で加圧及び維持しながらoverhead stirrerを利用して反応混合物を1000rpmで6時間攪拌しながら進行した。metal filterを通じて反応時間別生成物をsamplingしたし、N,O-Bis(trimethylsilyl) trifluoroacetamide (BSTFA)でsilylationをした後、HP-1カラム(Agilent)が具備されたガスクロマトグラフィー(DS-SCIENCE)を利用して生成物及び残余反応物を分析した。触媒活性(activity)は時間に従った生成物の転換率(Conversion)及び収率(Yield)で比べたし、下記に[数学式1]~[数学式3]で表せた。
[数学式1]
[数学式2]
[数学式3]
【0092】
前記[実験例1]に従った[図1]~[図2]のSTEM分析結果、沈積-沈殿法で製造した触媒の場合、ルテニウムと錫の粒子たちが炭素担体の上に均等に分散されていることを確認できる。EDX上でgreen dotはルテニウムをred dotは錫を表せるし、EDX結果を通じてalloying statusを確認できる。沈積-沈殿法で製造した触媒の場合electron imageで確認された単一粒子状でルテニウム(Ru)が存在する位置に錫(Sn)が混在されていることを確認できるし、ルテニウムと錫がRu-Sn alloy phaseを上手く形成していることで判断できる。
【0093】
反面[図2]の初期湿潤含浸法で製造した触媒の場合、沈積-沈殿法で製造した触媒と違って完璧な均一状を見せずに一部独立的に存在するルテニウム結晶たちを観察できる。このように独立的に存在するルテニウムはカルボニル基をpolarizeできないので反応参与度が落ちるので活性が低いことと判断できる。
【0094】
又、触媒の性能を比べるために実施例1及び比較例1で製造されたRu-Sn/C触媒をCHDA水素化反応に適用した[実施例2]。各触媒の反応速度を比べるために時間に従ったCHDM生成された収率で触媒活性を平価した結果を図3に表せた。[図3]に表せた通りのように、反応3時間を基準に比べた結果沈積-沈殿法で製造した触媒(Ru-Sn/C-DP)が初期湿潤含浸法で製造した触媒(Ru-Sn/C-IWI)に比べて約1.5倍優秀な活性を見せることを確認した。不均一系触媒で反応は活性点の表面上で行われるので同一な活性点の量を持つ触媒の場合、触媒中の活性種の密度、均一度が高いほど触媒の活性が高い特性を見せる。従って沈積-沈殿法で製造した触媒で更に優秀な活性を見せることを確認できた。これを通じて沈積-沈殿法を利用して製造した触媒が更に効率的にCHDMを生産することを分かる。
【0095】
以上本発明の実施例に従った図面を参照して説明したが、本発明が属する分野で通常の知識を持つ者であれば前記内容を基に本発明の範疇内で多様な応用及び変形を行うことができることである。

図1
図2
図3