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特許7371127口腔ケア器具用のヘッド及び口腔ケア器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】口腔ケア器具用のヘッド及び口腔ケア器具
(51)【国際特許分類】
   A46D 1/00 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A46D1/00 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021571626
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020070119
(87)【国際公開番号】W WO2020247978
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】19178404.0
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン、サリナ、エーベン
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-178542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46D 1/00
A46B 1/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア器具用のヘッド(10)であって、異なる種類の着色フィラメント(12、14、18)を備え、前記フィラメント(12、14、18)が、前記ヘッド(10)の取り付け表面(16)から延在し、共にグループ化されて、初期色パターン(20)を確定し、少なくとも2種類のフィラメント(12、14)が、相互にずれて時間制御された色変化特性を有し、前記種類のフィラメント(12、14)のそれぞれが、所定期間内で色を変化させ、前記所定期間が互いに異なり、それにより、前記初期色パターン(20)が、少なくとも第1の所定期間にわたって第1の色パターン(30)へ色特性を変化させ、後続の第2の所定期間にわたって第2の色パターン(40)へ色特性を変化させ、前記第2のパターン(40)が第1のパターン(30)とは異なり、
少なくとも1種類のフィラメント(12、14、18)が、水溶性染料着色剤を含むモノフィラメントであり、前記染料着色剤が、前記フィラメントの使用の増加に応じて前記所定期間のうちの少なくとも1つにわたって浸出することによって、初期色から第2及び/又は第3の色へ色を変化させる、ヘッド(10)。
【請求項2】
第1の種類のフィラメント(12)が、前記第1の期間内に初期色から第2の色へ色を変化させて、前記第1の色パターン(30)を確定し、第2の種類のフィラメント(14)が、前記第1の期間後の前記第2の期間内に、初期色から第2の色へ色を変化させて、前記第2の色パターン(40)を確定する、請求項1に記載のヘッド(10)。
【請求項3】
前記第1の種類のフィラメント(12)が、前記第2の期間内に前記第2の色から第3の色へ色を更に変化させて、前記第2の色パターン(40)を更に確定する、請求項2に記載のヘッド(10)。
【請求項4】
前記ヘッド(10)が、第3の種類のフィラメント(18)を含み、第3の種類のフィラメント(18)が、前記第1及び第2の期間後の、後続の第3の期間内に初期色から第2の色へ色を変化させて、第3の色パターン(50)を確定し、前記第3の色パターン(50)が前記第1及び第2の色パターン(30、40)とは異なる、請求項2又は3に記載のヘッド(10)。
【請求項5】
前記初期色パターン(20)が、全て同じ初期色を有するフィラメントを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項6】
前記第1の種類のフィラメント(12)の前記第2の色が、前記第2の種類のフィラメント(14)の前記第2の色とは異なる、請求項2~5のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項7】
前記第3の種類のフィラメント(18)の前記第2の色が、前記第1及び第2の種類のフィラメント(12、14)の前記第2の色とは異なる、請求項4~6のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項8】
前記染料着色剤が、前記フィラメントの半径の約20%~約40%等しい距離にわたって、前記フィラメントの断面領域の一部分内に内側に延在する着色外側領域に提供される、請求項1~7のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項9】
前記フィラメントが、染料着色剤加えた内側部分を含み、前記内側部分の前記染料着色剤が、前記着色外側領域の前記染料着色剤とは異なる、請求項に記載のヘッド(10)。
【請求項10】
少なくとも別の種類のフィラメント(12、14、18)が、水溶性染料着色剤を含むモノフィラメントであり、前記染料着色剤が、前記フィラメントの使用の増加に応じて、前記所定期間のうちの少なくとも1つにわたって浸出することによって、初期色から第2及び/又は第3の色へ色を変化させ、前記染料着色剤が、フィラメント(12、14、18)の半径の約20%以下距離にわたって、前記フィラメントの断面領域の一部分内に内側に延在する着色外側領域に提供される、請求項1~9のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項11】
少なくとも1種のフィラメント(12、14、18)が、内側着色コア領域(23、24)と外側着色シェル領域(21、22)とを含むコア-シェル型指示薬フィラメントであり、前記内側コア領域(23、24)の色が、前記外側着色シェル領域(21、22)の色とは異なり、前記フィラメントが、摩滅及び/又は劣化によって、所定期間にわたって色を変化させ、前記フィラメントが、押出フィラメントである、請求項1~10のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項12】
少なくとも1種類のフィラメント(12、14、18)が、染料(62、64)の組み合わせで染色されているモノフィラメント(60)であり、前記染料(62、64)がそれぞれ、摩耗及び使用に応じた変化に対する異なる耐性を有する色強度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項13】
前記フィラメント(12、14、18)が、前記自由端から前記取り付け表面まで測定される全長延長部を有し、少なくとも1種類のフィラメント(12、14、18)が、全長延長部の一部分にわたってを変化させる、請求項1~12のいずれか一項に記載のヘッド(10)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のヘッド(10)を備える、口腔ケア器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔ケア器具用のヘッドに関するものであり、ヘッドは、異なる種類のいくつかの着色フィラメントを含み、これらのフィラメントは、ヘッドの取り付け表面から延在し、グループ化されて初期色パターンを画定する。本開示は更に、このようなヘッドを備える口腔ケア器具に関する。
【背景技術】
【0002】
手動式又は電動式歯ブラシのような口腔ケア器具用の、複数のフィラメントで構成される毛束は、当該技術分野において周知である。一般的に、フィラメントは、使用者の口腔内に挿入されることを意図したヘッドの取り付け表面に取り付けられている。通常は、ヘッドに把持部ハンドルが取り付けられ、歯磨きの際には、このハンドルが使用者により握られる。ヘッドは、ハンドルに永久的に連結されているか、又はハンドルに繰り返し着脱可能となっている。
【0003】
歯磨きは、口腔衛生を維持するために最も効果的な方法であることが知られている。歯を効果的に洗浄し、良好な洗浄結果を達成するために、歯ブラシのヘッドに取り付けられたフィラメントは、歯から歯垢を分断させ、除去することができなければならない。しかしながら、歯ブラシの洗浄効果は、ユーザの歯磨き習慣、歯磨きの頻度、強度、及び持続時間などの要因に依存する。更に、最大の洗浄効果を達成するために歯ブラシに特定の洗浄特性を提供するいくつかの特徴が存在する。これらの特徴としては、ブラシフィラメントの材料、サイズ、形状、強度、及び弾性、並びにブラシ表面の長さ、幅、及び全体形状及び面積が挙げられる。歯ブラシの洗浄効果に影響を及ぼす他の特徴としては、毛束(個々のフィラメントの束)の数、毛束の列の数、及びブラシヘッド上の毛束の配列が挙げられる。しかしながら、摩耗が口腔衛生を維持する際の歯ブラシの効果を劇的に低下させる可能性の重要な要因であることは、当該技術分野において一般的に意見が一致している。例えば、当該技術分野では、摩耗に起因する歯ブラシの効果の低下が、歯周組織に蓄積される歯垢の増加及びリスクの増加をもたらし得ることが認識され、認知されている。更に、摩耗したフィラメントは、歯及び歯肉を損傷させる可能性がある。
【0004】
歯ブラシの摩耗度は、主に、フィラメントの特性と、歯磨き中にフィラメントに加えられる機械的力との関数である。摩耗度はまた、歯磨剤に通常含有される研磨材によってある程度加速され得る。ブラシの摩耗は、フィラメントの断裂、拡張、膨張、及び亀裂、並びに個々のフィラメントの元の方向からの逸脱として現れるフィラメントの強度及び弾性の低下をもたらす。更に、摩耗は、ブラシ表面領域の全体的な形状及びサイズの変化、及びフィラメントの感触の変化として現れる。歯ブラシの摩耗はユーザによって異なるが、研究では、一般に使用される歯ブラシは、約8~12週間の有効耐用年数を有することが示されている。その後、摩耗は、有効な口腔衛生を引き続き確実に維持するためのブラシの交換に値するフィラメントの十分な劣化を引き起こす。
【0005】
残念ながら、歯ブラシは通常、定期的に交換されておらず、多くの場合、有効耐用年数を超えて使用される。上述したように、歯科専門家は、約3か月の使用後、歯ブラシを交換することを推奨している。しかしながら、年間の歯ブラシの消費数が示すように、歯ブラシのユーザは歯ブラシを1年に約1回しか交換しない。歯科専門家は、使用中の歯ブラシの摩耗を評価して、廃棄及び交換されるべきであるかどうかを判定する必要性について、公衆を教育する努力を熱心に行ってきた。しかしながら、こうした努力は、ユーザが、廃棄されるべき歯ブラシの状態を念頭に置き、忘れずに歯ブラシの状態を監視し継続的に評価する責任を負うために、あまり成功してこなかった。したがって、歯ブラシが廃棄及び交換されるべきであるほど十分に摩耗の影響を受けているとき、それをユーザに合図する、又は警告する確実な手段を提供するための、より効果的なアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、前述の欠点のうち少なくとも1つを克服する、口腔ケア器具ためのヘッドを提供することである。このようなヘッドを備える口腔ケア器具を提供することもまた、本開示の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、口腔ケア器具用のヘッドであって、異なる種類の着色フィラメントを備え、フィラメントが、ヘッドの取り付け表面から延在し、共にグループ化されて、初期色パターンを確定し、少なくとも2種類のフィラメントが、相互にずれて時間制御された色変化特性を有し、種類のフィラメントのそれぞれが、所定期間内で色を変化させ、所定期間が互いに異なり、それにより、初期色パターンが、少なくとも第1の所定期間にわたって第1の色パターンへ色特性を変化させ、後続の第2の所定期間にわたって第2の色パターンへ色特性を変化させ、第2のパターンが第1のパターンとは異なる、ヘッドが提供される。
【0008】
一態様によれば、このようなヘッドを備える口腔ケア器具が提供され、ヘッドは、好ましくはハンドルに繰り返し取り付け可能であり、ハンドルから取り外し可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明を、種々の実施形態及び図面に関して、以下により詳細に記載する。
図1】本開示の一実施形態によるヘッドの相互にずれて時間制御された色変化特性を示す概略図であり、色が、初期色パターンから、第1の所定期間内に第1の色パターンまで、及び第2の所定期間内に第2の色パターンまで変化する。
図2】本開示の別の実施形態によるヘッドの相互にずれて時間制御された色変化特性を示す概略図であり、色が、初期色パターンから、第1の所定期間内に第1の色パターンまで、第2の所定期間内に第2の色パターンまで、及び第3の所定期間内に第3の色パターンまで変化する。
図3】本開示によるフィラメントの基材の概略図である。
図4】指示薬染料が添加される、図3の基材の概略図である。
図5】3か月の使用後の図4のフィラメントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
口腔ケア器具のヘッドは、電気歯ブラシの交換に好適なディスクの形態の円形形状を有してもよく、あるいは、近位端と遠位端との間に延在する長手方向の長さ延長部を有してもよく、遠位端は近位端と反対側にある。近位端は、ハンドルに最も近い端部であると定義される。ヘッドは、ハンドルに永久的に取り付けられているか、又はハンドルから繰り返し着脱可能となっている。
【0011】
ヘッドは、異なる種類のいくつかの着色フィラメントを含む。フィラメントは、一緒に束ねられて、ヘッドの取り付け表面から延在するフィラメントの毛束を形成してもよい。フィラメント又はフィラメントの毛束は、グループ化されて、均一であり得る、即ち、同じ全体色を有する初期色パターンを確定するか、あるいは、初期色パターンは少なくとも2つの異なる色を含んでもよい。
【0012】
少なくとも2種類のフィラメントは、相互にずれて時間制御された色変化特性を有し、この種のフィラメントはそれぞれ、所定期間内に色を変化させる。第1の種類のフィラメントの所定期間は、第2の種類のフィラメントの所定期間とは異なり、それにより、初期色パターンは、少なくとも第1の所定期間にわたって第1の色パターンへ色特性を変化させ、第2の所定期間にわたって第2の色パターンへ色特性を変化させ、第2のパターンは1のパターンとは異なる。第1の期間内に、第1の種類のフィラメントは色を変化させるが、第2の種類のフィラメントの色は同じままである。後続の第2の期間(即ち、第1の期間の後)内に、第2の種類のフィラメントが、色を変化させる、即ち、第1の種類のフィラメントに対して遅延又は時間シフトされて、色を変化させる。結果として、初期色パターンは、第1の期間内に、初期パターンとは異なる第1のパターンへ変化し、再度、第1のパターンは後続の第2の期間内に第2のパターンへ変化し、第2のパターンは初期及び第1の色パターンとは異なる。
【0013】
初期色パターンが、1か月又は2か月の期間内に第1の色パターンへ徐々に変化し得る一方、ブラシが頻繁に、つまり、1日に約2回使用される場合、第1の色パターンは、後続の何か月かで、即ち、第1の色変化が生じてから1/2か月で、第2の色パターンへ徐々に変化する。
【0014】
したがって、本開示によるフィラメント構成は、ユーザが、歯ブラシの摩耗を示す多段階の合図を視覚的に検出し、摩耗した歯ブラシを正しい時点で(例えば、3か月毎/頻繁な使用後)交換することができるように設計されている。本発明によれば、摩耗を示す合図が、摩耗に応じて色を変化させる能力を有するフィラメントの使用によって提供される。第2の色パターンが、口腔ケア器具のヘッド、又は歯ブラシ全体を直ちに交換しなければならないという情報をユーザに提供する一方、第1の色パターンは、ブラシを次の数週間内に交換しなければならないという予告をユーザに提供する。
【0015】
第1の種類のフィラメントが、第1の期間内に初期色から第2の色へ色を変化させて、第1の色パターンを確定し、第2の種類のフィラメントが、第1の期間後の第2の期間内に初期色から第2の色に色を変化させて、第2の色パターンを確定する場合、第1の種類のフィラメントは、第2の期間内に第2の色から第3の色へ更に色を変化させて、第2の色パターンに寄与し得る。このことは、視覚的なインパクトが更に大きい口腔ケア器具用のヘッドを提供し、ヘッド又は完全ブラシを交換する必要があることをより明確にユーザに伝えることができる。
【0016】
第1及び第2の種類のフィラメントに加えて、ヘッドは、第3の種類のフィラメントを含んでもよく、第3の種類のフィラメントは、第1及び第2の期間後の後続の第3の期間内に初期色から第2の色へ色を変化させて、第3の色パターンを確定してもよく、第3の色パターンは第1及び第2の色パターンとは異なる。第3の種類のフィラメントの第2の色は、第1及び第2の種類のフィラメントの第2の色とは異なっていてもよい。
【0017】
例えば、ブラシが頻繁に、即ち、1日当たり平均2回使用される場合、初期色パターンは、1か月の期間の最後まで徐々に第1の色パターンへ変化し、第1のパターンが、後続の月の最後まで第2のパターンへ徐々に変化する一方、第2の色パターンは、更に後続の月の最後で、即ち、初回使用の3か月後まで第3の色パターンへ徐々に変化してもよい。このようなヘッドは、歯ブラシの寿命にわたって摩耗の更なる段階を視覚的に伝えることができる。ユーザは、通常、いつ新しい歯ブラシを使用し始めたかを簡単に忘れる。しかしながら、計3か月のブラシの寿命にわたって1か月毎に明確な合図が与えられる場合、ユーザは、ある期間にわたって歯磨きの効果の喪失を追跡し、ブラシ交換しなければならないときの早期のリマインダ(例えば、2か月前)を得ることができる。事前に購入決定を行うことができる。
【0018】
口腔ケア器具用の本ヘッドは、ユーザが、歯ブラシの摩耗を示す多段階の合図を視覚的に検出し、摩耗した口腔ケア器具又はそのヘッドのみを交換することができるような手段を提供するように設計されている。摩耗を示す合図が、摩耗に応じて色を変化させる能力を有するフィラメントの使用によって提供される。
【0019】
少なくとも1種類のフィラメントは、好ましくは、水溶性染料着色剤、好ましくは食品染料を含むポリアミドから作製されるモノフィラメントであってもよく、染料がフィラメントの使用の増加に応じて所定期間のうちの少なくとも1つにわたって浸出することによって、初期色から第2及び/又は第3の色に色を変化させる。
【0020】
染料は、フィラメントの着色外側領域に提供されてもよく、外側領域は、フィラメントの半径の約20%~約40%、好ましくは約20%~約30%に等しい距離にわたって、フィラメントの断面領域の一部分へ内側に延在する。このようなフィラメントの種類は、比較的遅い色変化特性を提供することができ、第2の色パターンに寄与するために使用されてもよい。
【0021】
選択されたフィラメントの染料浸透度及び染料定着度は、色の変化が摩耗に起因するフィラメントの劣化の確実な指標を提供するように、フィラメントの摩耗特性と連携させることができる。一般に、ナイロンブラシフィラメントでは、着色外側領域が上記寸法に対応する平均染料浸透度を有する場合、染料浸透及び染料定着の距離又は程度とフィラメント摩耗特性との間の好適な連携が達成され得る。
【0022】
着色外側領域は、フィラメントの使用に応じて摩耗を示す視覚的な合図を提供するように適合される。フィラメントは、天然又は合成材料であってもよい。着色領域は、ユーザに視認可能な初期色又は色を提供する。フィラメントの使用を継続することによって摩耗が生成されると、着色領域は、フィラメントが割り当てられた機能を効果的に実行するために必要な性能特性をもはや提供していないことをユーザに合図する点まで変化する。
【0023】
着色外側領域は、実質的に均一な浸透度を有する環状リングを提供してもよい。したがって、着色外側領域は、優勢である初期色強度又は色を提供する。連続的な歯磨きによって生成された摩耗に応じて、初期色が変化し、十分な摩耗後、色の変化が、フィラメントがもはや有効ではないことをユーザに合図する。
【0024】
着色外側領域は、リング染色プロセスによって提供され得る。リング染色プロセスでは、フィラメントは、少なくとも外側表面を着色し、また断面領域の一部分に浸透してある染料浸透度をもたらすのに十分な時間、染料と接触させられる。染色前のフィラメントは、透明であっても、半透明であっても、染料又は顔料などで着色されていてもよい。着色外側領域を提供するための染料は、食品染料又は認定された食品着色剤であってもよい。代表的な好適な食品染料又は着色剤は、FD&C赤色40号、エリスロシン(FD&C赤色3号)、ブリリアントブルーFCF(FD&C青色1号)、インジゴカルミン(FD&C青色2号)、タートラジン(FD&C黄色5号)、サンセットイエローFCF(FD&C黄色6号)、及びファストグリーンFCF(FD&C緑色3号)である。ナイロンブラシフィラメントを染色する際、上述したような食品染料又は着色剤は、最大約5重量パーセント又は多少より多くの量の染料を含む緩衝水溶液の形態で使用することができる。緩衝剤の量に応じて、このような水性染料溶液のpHは、約1.3~約13、好ましくは約3~約12の範囲であり得る。好適な緩衝剤は、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸カリウム、及び水酸化カリウムであってもよい。代表的な好適な濃度の緩衝剤は、水性染料溶液1リットル当たり約0.025~約0.2モルの範囲であってもよい。
【0025】
加えて、モノフィラメントは、染料着色剤、好ましくは食品染料を加えた内側部分を含んでもよい。内側部分の染料着色剤は、着色外側領域の染料着色剤とは異なっていてもよい。
【0026】
リング染色プロセスはまた、フィラメントが断面領域にわたって3つの領域を有し、各領域が異なる色を有するフィラメントを提供するために採用されてもよい。フィラメントは、最初に、ある染料浸透度を提供する条件下で、選択された色の染料でフィラメントを最初に染色することによって調製することができる。その後、別の染料浸透度をもたらすように、別の選択された色の染料でフィラメントを染色する。それぞれの浸透度は、色の変化が、歯ブラシを交換すべきであることをユーザに合図する、又は両方の領域の色の変化が、歯ブラシを交換すべきであることをユーザに合図するように調整することができる。このようなフィラメントでは、着色最外領域は、フィラメントの断面領域の約5%未満と同等の低い浸透度を有し得る。
【0027】
上記に加えて、少なくとも別の種類のフィラメントが提供されてもよく、このフィラメントはモノフィラメントであり、好ましくはポリアミドから作製される。上記のフィラメントは、水溶性染料着色剤、好ましくは食品染料を含んでもよく、この染料は、フィラメントの使用の増加に応じて所定期間のうちの少なくとも1つにわたって浸出することによって、初期色から第2及び/又は第3の色に色を変化させ、この染料は、フィラメントの半径の約20%以下、好ましくは約10%以下の距離にわたって、フィラメントの断面領域の一部分内に内側に延在する着色外側領域に提供される。
【0028】
このようなフィラメントの種類は、上述のフィラメントに対応するが、比較的迅速な色変化特性を提供することができ、第1の色パターンに寄与するために使用されてもよい。
【0029】
フィラメントはまた、染料の組み合わせで染色されてもよい。各染料は、摩耗及び使用に応じた変化に対する異なる耐性を有する色強度を提供することができる。例えば、フィラメントは、一方の染料が他方の染料よりも摩耗及び使用に応じて変化しにくい2つの染料で染色されてもよい。この場合、色強度は、摩耗及び使用に応じて変化して、より耐性の高い染料によって主にもたらされる色強度を提供する。例えば、フィラメントの基材は青色であってもよい。ベース染料よりも耐性が低い水溶性指示薬染料を基材に添加することができる。指示薬染料は、例えば、赤色、緑色、黄色、橙色、紫色であってもよい。例えば、黄色の指示薬染料が青色の基材に添加される場合、全体的な色印象は緑色である。一定期間後、指示薬染料は、例えば水溶性であるために次第に消えていき、青色の基材が視認可能となり、ブラシヘッドを交換しなければならない、又はすぐに交換しなければならないという合図を提供する。
【0030】
フィラメントの摩耗と色の変化との間の相関度は、フィラメント材料、フィラメント材料の物理的及び化学的特性、並びに選択された染料(又は複数の染料)及び染色の状態を含む様々な要因に依存し得る。フィラメントの摩耗と色の変化との間の所望の相関度は、選択されたフィラメント材料を様々な染料及び染色条件にさらして、所望の相関性を提供するのに必要な染料浸透度及び染料定着度を確立することによって、経験的に決定することができる。好ましい相関度は、所望の期間のうちの1つの範囲内で(例えば、1か月以内、2か月以内、又は3か月以内)、所望の色の変化が生じるものである。
【0031】
歯ブラシの種類、例えば、回転振動運動を実施する手動又は電動歯ブラシ上でフィラメントを利用して、フィラメントを異なるレベルの応力にさらすことができる。フィラメントがさらされる様々なレベルの応力に適応するために、染料又は染料配合物、例えば、染料濃度は、適宜調整することができる。
【0032】
上記の代わりに、又は上記に加えて、少なくとも1種類のフィラメントは、内側着色コア領域と外側着色シェル領域とを含むコア-シェル型指示薬フィラメントであってもよく、内側コア領域の色は外側着色シェル領域の色とは異なり、フィラメントは、摩滅及び/又は劣化によって、所定期間にわたって色を変化させてもよい。フィラメントの種類は、共押出された、即ち、複合フィラメントであってもよい。
【0033】
着色外側シェル領域は、フィラメントの長手方向外側表面の全長に沿って延在してもよく、又は延在していなくてもよい。例えば、着色領域は、長さの一部分、例えば、通常はフィラメントの他の部分よりも強力な摩耗条件にさらされるフィラメント先端を含む部分に沿って延在してもよい。この場合、長さの上記の部分の色は、摩耗及び使用に応じて変化する。
【0034】
着色コアは、例えば、コア色とは異なる色を有する環状リングの形態の外側シェル材料によって完全に包囲されてもよい。外側シェルの摩滅による色の変化は、フィラメント摩耗を示す。色変化特性、即ち、内側コアが視認可能になるまでに通常の使用中に必要とされる期間は、外側シェルの厚さ/寸法によって調整することができる。シェルが厚くなるほど、異なって着色されたコアが視認可能になるまでの期間が長くなる。
【0035】
この技法では、着色外側シェルと、異なって着色されたコア領域との間に透明な境界線を有する、比較的暗く及び均一な色の外側シェル領域を提供することができる。
【0036】
換言すれば、共押出フィラメントは、フィラメントの断面領域の周囲の境界を提供する長手方向外側コーティング層を含んでもよく、したがって、断面領域は、フィラメントの使用に応じて摩耗を示す視覚的な合図を提供するように適合された2つの着色領域を提示する。フィラメントは、天然又は合成材料から作製することができる。着色外側シェル領域は、初期色を提供してもよい。フィラメントの使用を継続することによって摩耗が生成されると、着色領域は、フィラメントが割り当てられた機能を効果的に実行するために必要な性能特性をもはや提供していないことをユーザに合図する点まで変化する。外側着色シェル領域は、コア領域の外周全体で均一なコーティングであってもよい。
【0037】
色を比較的迅速に変化させて第1の色パターンを提供するフィラメントの種類は、フィラメント半径の約10%以下、又は約5%以下に等しい距離にわたって、フィラメントの断面領域全体の一部分へ内側に延在するシェル領域を含んでもよい。色を比較的ゆっくりと変化させて第2又は第3の色パターンを提供するフィラメントの種類は、フィラメント半径の約20%~約10%、又は約10%~約15%の距離にわたって、フィラメントの断面領域全体の一部分へ内側に延在するシェル領域を含んでもよい。
【0038】
コアは補強要素であってもよく、フィラメントの剛性を制御するために比較的硬質で堅くてもよい一方、外側カバー材料はコア材料よりも軟らかく、よって、摩耗の影響をより受けやすくてもよい。使用時には、カバー材料は、フィラメントの丸みを帯びた端部の領域において摩耗し、剥離又は破損して、コア色を露出させて、ブラシを廃棄すべきである、又はすぐに廃棄すべきであると合図する。
【0039】
本開示によるフィラメントは、自由端からヘッドの取り付け表面まで測定される全長延長部を有する。少なくとも1種類のフィラメントは、上記の全長延長部の一部分のみにわたって、例えば、フィラメントの自由端から測定される、全長延長部の約1/3~約2/3の部分にわたって、色を変化させてもよい。フィラメントがある期間にわたって使用されて、フィラメントが摩耗した程度を示す際、着色はその部分で緩やかに薄らいでいってもよい。
【0040】
本明細書で使用するとき、用語「着色領域」は、押出成形される前に着色剤によって着色されるコア又はシェル材料を意味し得る。その用語はまた、独自の色を有するプラスチックで作製されたコア又はシェルを意味し得る。更に、透明又は半透明の領域はまた、少なくとも実際に着色又は染色された領域とは異なる光学的外観であるものとして、「着色」されているとみなされ、これは、色強度の変動する外側シェル/コアの場合も当てはまる。しかしながら、コア及びシェル材料は、視覚的に異なる色、例えば、白色コアと青色外装、透明コアと赤色外装、明るい赤色コアと暗い赤色外装などを有することが重要である。本開示による好ましいフィラメントは、白色又は透明なコアと、染色又は着色シェルとを含む。
【0041】
第2の色パターン全体が、実質的に均一な白色パターンを形成する、即ち、白色フィラメントのみを含み得るように、ヘッドは、任意の色変化特性を有さない規則的なフィラメント(例えば、白色フィラメント)を更に含んでもよい。あるいは、第2の色パターンは、着色ドット、例えば黄色のドットを露わにすることによって、ヘッド又は歯ブラシ全体を交換/再生すべきであることを合図する1つ以上の中央毛束を有する白色フィラメントからなってもよい。
【0042】
少なくとも1種類のフィラメントは、カオリン粘土などの研磨を伴う、若しくは伴わないポリアミド、又は例えば、ナイロン、カオリン粘土などの研磨材及び/又はポリアミド指示薬材料、例えばナイロン指示薬材料を伴う、若しくは伴わないポリブチレンテレフタレート(PBT)から製造されてよい。
【0043】
フィラメントは、異なる材料の少なくとも2つの区分を含んでもよい。少なくとも1つの区分は、熱可塑性エラストマー材料(TPE)を含み得、少なくとも1つの区分は、カオリン粘土又はポリエステルなどの研磨材を含む若しくは含まないポリアミド、又はナイロン、カオリン粘土などの研磨材を含む若しくは含まないポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、又は外側表面において着色された、ポリアミド指示薬材料、例えばナイロン指示薬材料を含み得る。これらの少なくとも2つの区分は、平行した構造において、又はコア-外装構造において配置されてもよく、これは、フィラメント全体の剛性の減少をもたらし得る。より硬質の材料、例えば、ポリアミド又はPBTを含む内側/コア区分、及びコア区分を取り囲み、より軟質の材料、例えばTPEを含む外側/外装区分を伴うコア-外装構造は、穏やかな清掃特性をもたらす比較的軟質の外側横方向表面を伴う、フィラメントを提供し得る。
【0044】
フィラメントの種類のうちの少なくとも1つは、フッ化物、亜鉛、ストロンチウム塩、香料、シリカ、ピロリン酸塩、過酸化水素、硝酸カリウム、又はこれらの組み合わせから選択される構成要素を備えてよい。例えば、フッ化物は、鉱化効果を提供し得、したがって、虫歯を防止し得る。亜鉛は、使用者の免疫系を強化し得る。過酸化水素は、歯を漂白/白くし得る。シリカは、より効果的に歯の歯垢及び残骸を除去する研磨効果を有し得る。ピロリン酸塩は、歯肉線に沿った新しい歯垢、歯石及び歯の結石の形成を阻害し得る。ピロリン酸塩を含むフィラメントは、歯肉及び口腔粘膜の炎症に対する持続的な保護を提供し得る。
【0045】
複数のこのようなフィラメントが共に束ねられて毛束を形成する場合、それらは、毛束の外側横方向表面におけるフィラメントがピロリン酸塩を含んで、歯肉線に沿った歯垢、歯石及び歯の結石の形成を阻害し得る様式にて配置されてよいが、毛束の中心に配置されたフィラメントはフッ化物を含んで、歯磨きプロセス中に歯を石灰化する。
【0046】
少なくとも1つの上記に掲載された構成要素を、シェル、即ち、フィラメントの外側区分上で、コーティングしてよい。このようなフィラメントは、比較的高濃度で構成要素(複数可)が直接歯に有効となるようにし得る、即ち、歯磨き中に、構成要素(複数可)が歯に直接接触し得る。
【0047】
フィラメントのうちの少なくともいくつかは、実質的に円筒状のフィラメントであってよい、即ち、フィラメントは、実質的に円筒状の、外側の横方向表面を有してよい。換言すれば、その長手方向軸に沿ったフィラメントの断面領域の形状及び寸法は、実質的に変化しなくてよい、即ち、断面領域の形状及び寸法は、フィラメントの長手方向の延在にわたって実質的に一定であってよい。本開示との関連において、「フィラメントの外側の横方向表面」という用語は、その側面における、フィラメントの外側面又は外側表面を意味する。このタイプのフィラメントは、先細フィラメントと比較して、増大した曲げ剛性を提供し得る。より高い曲げ剛性は、フィラメントの歯間間隙/空隙内への貫入を更に促進し得る。円筒状のフィラメントは、実質的に端が丸みを帯びた先端/自由端を有して、穏やかな清掃特性を提供し得る。端が丸みを帯びた先端は、歯磨き中に、歯肉が傷つけられるのを防ぎ得る。
【0048】
上記の円筒形フィラメントの代わりに、又はそれに加えて、少なくともいくつかのフィラメントは、その長手方向軸に沿って実質的に円筒状の部分及びテーパ状部分を含んでもよく、テーパ状の部分は、フィラメントの自由端に向かって長手方向に先細になる。換言すれば、フィラメントは、先が尖った先端を有する、テーパ状のフィラメントであってもよい。テーパ状のフィラメントは、歯磨き中に、2本の歯の間の領域内並びに歯周ポケット内へと最適に貫入することができ、したがって、向上した洗浄特性を提供し得る。テーパ状のフィラメントは、約8mm~約16mm、任意に約12.5mmの範囲内で、ヘッドの取り付け表面上に延在する全体の長さ、及びフィラメントの先端から測定される約5mm~約10mmの範囲内のテーパ状の部分を有してよい。先が尖った先端は、針形状であってよく、枝分かれ状又は羽根状の端部を有してもよい。先細になっている部分は、化学的及び/又は機械的な先細り形成プロセスにより製造することができる。
【0049】
本開示による口腔ケア器具は、ハンドル及びヘッドを備える歯ブラシであってよい。ヘッドはハンドルから延在し、またハンドルに繰り返し着脱可能なものであってよい、又はヘッドは取り外しできないようにハンドルに連結されていてよい。歯ブラシは、電動式歯ブラシ又は手動式歯ブラシであってよい。
【0050】
本開示による口腔ケア器具用のヘッドは、毛束孔、例えば盲端穴を備える剛毛支持部を備えてよい。本開示による毛束は、ステープル留めプロセス/定着毛束付け法により、上記毛束孔に固定/定着させてよい。これは、毛束のフィラメントが、固定具、例えば金属製の固定ワイヤ又は固定プレートなどの周囲で、実質的にU形状の様式にて曲げられる/折り畳まれることを意味する。定着具と共にフィラメントを毛束孔内へと押し込み、これにより、定着具が毛束孔の反対側の壁内へと貫入し、それにより、フィラメントを剛毛支持部へと定着/固定/締結する。定着具は、正係合及び摩擦係合により、反対側の壁に固定されてもよい。毛束穴が盲端穴である場合、定着具は、フィラメントを穴の底部に対して保持する。換言すれば、実質的に垂直の様式において、U形状の湾曲部にわたって定着具を位置させてよい。毛束のフィラメントが、実質的にU形状の構成において定着具の周囲で湾曲するため、各フィラメントの第1のリム及び第2のリムは、フィラメントの方向において剛毛支持部から延在する。ステープル留めプロセスに使用してよい/ステープル留めプロセスにおける使用に好適なフィラメントの種類はまた、「両端フィラメント」とも称される。ステープル留めプロセスにより製造される口腔ケア器具用のヘッドは、比較的低コストかつ時間的に効率のよい様式において提供することができる。比較的大きな断面領域を有する第1の種類の毛束を提供することを可能にするために、より大きな全体の毛束を形成することができるように、複数の小さな毛束穴を、互いにごく近接した最小間隔で配置することができる。
【0051】
あるいは、毛束は、高温の毛束付けプロセスの手段により、ヘッドに取り付け/固定されてよい。口腔ケア器具のヘッドを製造する1つの方法は、次の工程を含んでよい。第1に、本開示による所望の量のフィラメントを提供することにより、毛束を形成してよい。第2に、毛束を型穴内に定置させて、それにより、ヘッドに取り付けられるべきであるフィラメントの端部が上記穴内へと延在するようにしてよい。第3に、ヘッド、又はヘッド及びハンドルを備える口腔ケア器具の本体を、型穴内へと延在するフィラメントの端部の周囲に射出成形プロセスにより形成して、それにより、毛束をヘッドに定着させてよい。あるいは、口腔ケア器具の残りの部分が形成される前に、型穴内へと延在するフィラメントの端部の周囲に射出成形プロセスによりヘッドの第1の部分-所謂「シールプレート」-を形成することにより、毛束を定着させてよい。射出成形プロセスを開始する前に、型穴内へと延在する少なくとも1つの毛束の端部を任意に溶融/融着させて、溶融密集体又は溶融球にしてフィラメントと一緒に連結させ、これにより、溶融密集体又は溶融球が穴内に配置されてよい。毛束は、口腔ケア器具の仕上げヘッド上の毛束の所望の位置に対応する盲穴を有する型支柱により、型穴内に保持されてよい。換言すれば、高温の毛束付けプロセスの手段によりヘッドに取り付けられた毛束のフィラメントは、それらの長さに沿った中間部分に折り重ならなくてよく、また固定具/ステープルを使用することによりヘッドに取り付けられなくてよい。毛束は、固定具無しの毛束付けプロセスの手段により、ヘッド上に取り付けられてよい。高温の毛束付け製造プロセスは、複雑な毛束形態を可能にする。例えば、毛束は、その自由端、即ち、その上部表面にて特定のトポグラフィ/形状を有してよく、歯の輪郭に最適に適合するように形状づけられてよく、また歯間の貫入を更に強化するように形状づけられてよい。例えば、トポグラフィは、1つ又は2つの方向において角がとられる若しくは丸みをつけられてよい、先が尖ってよい、又は線状、凹状若しくは凸状に形成されてよい。
【0052】
以下は、図面を参照した、本開示による口腔ケア器具及びその部品の例示的な実施形態の非限定的な考察である。
【0053】
図1は、本開示の一実施形態による、手動又は電動歯ブラシであり得る口腔ケア器具用のヘッド10の相互にずれて時間制御された色変化特性を概略的に示す。ヘッド10は、異なる種類のいくつかの着色フィラメント12、14を含む。フィラメントは、共に束ねられて、ヘッド10の取り付け表面16から延在するフィラメントの毛束を形成する。フィラメント又はフィラメントの毛束は、初期色パターン20を確定するようにグループ化される。少なくとも2種類のフィラメント12、14は、相互にずれて時間制御された色変化特性を有し、上記種類のフィラメント12、14はそれぞれ、所定期間内に色を変化させる。上記所定期間は相互に異なり、それにより、初期色パターン20が、少なくとも第1の所定期間にわたって第1の色パターン30へ色特性を変化させ、後続の第2の所定期間にわたって第2の色パターン40へ色特性を変化させ、第2のパターン40は第1のパターン30とは異なる。
【0054】
図1の実施例では、第1及び第2の種類のフィラメント12、14は、上述のように異なる色のコア-シェル構造を有する共押出フィラメントである。第1の種類のフィラメント12が、比較的迅速な色変化特性を提供するためにコア23を取り囲む比較的小さいシェル構造21を含む一方で、第2の種類のフィラメント14は、コア24を取り囲むより厚いシェル構造22を有し、これにより、第1の種類のフィラメント12の色変化の後に、上記の種類のフィラメント14の色変化が生じる。第1の種類のフィラメント12が、例えば、規則的な使用の1か月又は2か月の最後に、第1の色パターン30を提供する第1の色変化に寄与する一方、第2の種類のフィラメント14は、例えば、3か月の最後に、第2の色パターン40を提供する第2の色変化に寄与して、ヘッド又は全体の歯ブラシを廃棄しなければならないことを示す。
【0055】
図2は、本開示の別の実施形態によるヘッド10の相互にずれて時間制御された色変化特性を概略的に示す。図2の実施形態は、図1と同様である。しかしながら、図2の実施形態では、第1及び第2の種類のフィラメント12、14に加えて、第3の種類のフィラメント18が設けられる。ここでも、第1の種類のフィラメント12が、例えば、規則的な使用の1か月の最後に、第1の色パターン30を提供する第1の色変化に寄与する一方、第2の種類のフィラメント14は、例えば、2か月の最後に、第2の色パターン40を提供する第2の色変化に寄与し、第3の種類のフィラメント18は、規則的な使用の3か月の最後に、第3の色パターン50を提供する第3の色変化に寄与して、ヘッド又は全体の歯ブラシを廃棄しなければならないことを示す。第3の色パターン50は、第1及び第2の色パターン30、40とは異なり、比較的厚い外側シェル構造を有する第3の種類のフィラメント18によって提供されてもよく、即ち、このシェルは第1及び第2の種類のフィラメント12、14のシェルよりも厚い。
【0056】
図3~5は、図1及び/又は2に示す実施形態で代替的に使用することができるモノフィラメント60を概略的に示す。
【0057】
図4に示すフィラメント60は、染料62、64(染料62は、図3に示すような特定の色を基材に提供する)と、基材に添加される、好ましくは水溶性である指示薬染料との組み合わせで染色される(図4を参照)。染料62、64はそれぞれ、摩耗及び使用に応じた変化に対する異なる耐性を有する色強度を提供する。本実施例では、フィラメントは2つの染料62、64で染色され、基材62の染料(図3に示す)の方が、基材に添加された指示薬染料64よりも摩耗及び使用に応じた変化に対する耐性が高い(図4)。図5、色強度が摩耗及び使用に応じてどのように変化して、基材62のより耐性の高い染料によって主に提供される色強度を提供するかを示す。例えば、フィラメント60の基材62の色は、青色であってもよい。ベース染料64よりも耐性が低い指示薬染料64は黄色であってもよい(図4参照)。黄色の指示薬染料64が青色62で染色された基材に添加される場合、全体的な色印象は緑色である。一定期間後、指示薬染料64は次第に消えていき、青色の基材62が視認可能となり、ブラシヘッドを交換しなければならない、又はすぐに交換しなければならないという合図を提供する(図5を参照)。
【0058】
本開示との関連において、「実質的に」という用語は、理論上は正確な一致又は挙動を示すことが期待されるが、実際にはわずかに正確ではないものとして具体化され得る要素又は機構の構成を意味する。そのようなものであるから、本用語は、定量的な値、測定値、又はその他の関連する表現が、問題とされる対象物の基本的機能に変化をもたらすことなく、記載される基準から変動し得る程度を示すものである。
【0059】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5