(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】圧力検知マット
(51)【国際特許分類】
A61G 7/057 20060101AFI20231023BHJP
G01L 1/14 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61G7/057
G01L1/14 J
(21)【出願番号】P 2021573133
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020019486
(87)【国際公開番号】W WO2020172662
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521375184
【氏名又は名称】ウェルセンス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロフェ、アリク
(72)【発明者】
【氏名】ブロッシュ、アサフ
(72)【発明者】
【氏名】グリーンウォルド、オーラ
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-523299(JP,A)
【文献】特表2014-526908(JP,A)
【文献】特表2014-504893(JP,A)
【文献】特開2018-112489(JP,A)
【文献】特公昭50-19057(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/057
G01L 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力検知マットであり、
第1非導電層に接触する第1導電層を含む第1部分であって、前記第1導電層が、第1の方向に向く第1の複数の導電性ストリップを定義する第1の複数の途切れ部分を除いて連続した層であり、
第1側部と前記第1側部に対向する第2側部を含み、
前記第1の複数の導電性ストリップの各導電性ストリップが、
前記第1側部及び前記第2側部にわたって延在する第1
の列と第2の列を含む複数の列として形成され、
前記第1の列の
長辺方向の第1の幅を有し、
前記第2の列が
前記第1の幅よりも大きい
長辺方向の第2の幅を有することを特徴とする
、第1部分と、
第2非導電層に重ねて設けられる第2導電層を含む第2部分であって、前記第2導電層が、第2の方向に向く第2の複数の導電性ストリップを定義する第2の複数の途切れ部分を除いて連続した層であることを特徴とする
、第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分の間に配設される絶縁層であって、前記第1の複数の導電性ストリップと
前記第2の複数の導電性ストリップが、
導電性ストリップの行と列から成る格子状の配列を形成し、該格子状の配列に複数のコンデンサーを備え、該複数のコンデンサーのそれぞれに印加される圧力を示すキャパシタンスを提供するように該複数のコンデンサーのそれぞれを構成し得ることを特徴とする
、絶縁層と、
を備え、
前記第1非導電層が第3の複数の途切れ部分を除いて連続した層であり、該第3の複数の途切れ部分が前記第1の複数の途切れ部分に対応していることを特徴とする、
圧力検知マット。
【請求項2】
前記導電性ストリップの前記第1の列が
前記第1部分の前記第1の方向に沿った第1端部から第1の距離だけ離れており、
前記導電性ストリップの前記第2の列が
前記第1端部から
前記第1の距離より大きい第2の距離だけ離れていることを特徴とする請求項1に記載の圧力検知マット。
【請求項3】
複数の列が
前記第1の列と前記第2の列との間に設けられ、
前記第1の列の
長辺方向の幅と
前記第2の列の
長辺方向の幅
とが異なることを特徴とする請求項1に記載の圧力検知マット。
【請求項4】
前記第1の列と前記第2の列との間に配設される
前記複数の列の各列の
長辺方向の幅は、
前記第1端部から
前記第1端部と対向する第2端部にかけて単調に増大又は減少することを特徴とする
請求項2に記載の圧力検知マット。
【請求項5】
圧力検知マットを個人の圧力を検出するために使用する際、圧力検知マットの
前記第1部分を当該個人の方に向けて配置することを特徴とする請求項1に記載の圧力検知マット。
【請求項6】
圧力検知マットを個人の圧力を検出するために使用する際、圧力検知マットの
前記第2端部が当該個人の頭部の下に配置されることを特徴とする
請求項4に記載の圧力検知マット。
【請求項7】
前記第2の方向が
前記第1の方向と実質的に直交する方向であることを特徴とする請求項1に記載の圧力検知マット。
【請求項8】
前記第1導電層が
前記第1非導電層と
前記絶縁層
との間に設けられることを特徴とする
請求項1に記載の圧力検知マット。
【請求項9】
前記第2非導電層が第4の複数の途切れ部分を除いて連続した層であり、該第4の複数の途切れ部分が
前記第3の複数の途切れ部分に対応していることを特徴とする
請求項1に記載の圧力検知マット。
【請求項10】
前記第2導電層が
前記第2非導電層と
前記絶縁層
との間に設けられることを特徴とする
請求項9に記載の圧力検知マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月22日付出願の米国仮特許出願第62/809158号に基づき、その優先権を主張するとともに、その全文を参照により本願に援用する。
【0002】
本開示の態様は、概して、褥瘡性潰瘍としても知られる圧迫による損傷の防止に役立つように構成された圧力検知マットに関する。
【背景技術】
【0003】
褥瘡性潰瘍や圧迫創傷又は褥瘡としても知られる圧迫損傷は、対象者の軟部組織の局在部位が骨ばっている隆起と外部表面との間で長期にわたって圧迫されるときに生じる病変である。圧迫損傷は、肘や膝、骨盤、腰、足首など、身体のさまざまな部位に生じ得る。圧力損傷は、継続的な圧迫や摩擦、せん断力、そして湿度や温度などのさまざまな要因が組み合わさって生じるものである。
【0004】
病床などの面の上に寝たきりの患者がよく圧迫損傷を患う。圧迫損傷は、病院の診療科・部門を問わず、患者にリスクをもたらす。例えば、手術中、長時間にわたり手術台に横たわったままになる患者にとって、圧迫による損傷が問題となり得る。院内の他の部門(集中治療室、新生児回復期治療室、高度治療室など)の病床に横たわったままになる患者も、圧迫による損傷を患いやすい。ただし、圧迫損傷は入院患者に限らず生じる。車椅子に身体を拘束されている患者も、特に骨盤、腰部、足首などで圧迫による損傷を患いやすい。看護やリハビリテーション支援施設の入居者もまた圧迫損傷を患うことがある。したがって、病院に限らず、その他の環境においても、圧迫損傷の問題に遭遇する可能性がある状況が比較的多く存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧迫損傷は、早期発見により簡単に予防又は治療できるが、圧迫損傷の症状が持続すると、痛みを伴うようになるとともに、治療が困難及び高額になる。圧迫損傷は、多くの場合、医療庇護の下にあっても致命的となることが明らかになっている。推定によると、米国では毎年250万人が圧迫損傷を患っており、うち年間死亡数は6万人以上になると推定されている。
【0006】
病床に寝たきりになるような状況で圧力検知マットを活用すると、圧迫損傷の防止に役立つ。圧力検知マットは、容量センサー又は抵抗センサーを用いて、病床に寝たきりの患者の身体の異なる部位にかかる圧力を追跡する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様では、圧力検知マットを提供する。圧力検知マットは第1部分と第2部分を含み得る。第1部分は、第1導電層と、該第1導電層に重ねて設けられる第1非導電層とを含み得る。第2部分は、第2導電層と、該第2導電層に重ねて設けられる第2非導電層とを含み得る。第1導電層は、第1の方向に配置される複数の導電性ストリップを定義する途切れ部分を除いて連続した層であり得る。第2導電層は、第2の方向に配置される複数の導電性ストリップを定義する途切れ部分を除いて連続した層であり得る。また、圧力検知マットは、第1導電層と第2導電層の間に配設される絶縁層を含み得る。該第1の複数の導電性ストリップと第2の複数の導電性ストリップは、それの行と列で成る格子状の配列を形成し得、該格子状の配列には複数のコンデンサーを備え得る。複数のコンデンサーのそれぞれを、該複数のコンデンサーのそれぞれに印加される圧力を示すキャパシタンスを提供するように構成し得る。
【0008】
圧力検知マットの圧力検知マットシステムは、コンピューターで読み取り可能な命令を格納した非一時的なコンピューター読み取り可能媒体を含み得る。かかる命令は、プロセッサにより実行され、複数のコンデンサーからキャパシタンスデータを受信し、複数のコンデンサーのそれぞれにおけるキャパシタンス(つまり、圧力検知マットの複数のコンデンサーのそれぞれに印加される圧力を示すキャパシタンス)に基づいてキャパシタンス値を決定するように構成されている命令である。
【0009】
第1部分は、第1端部と第2端部を含み得る。第1の複数の導電性ストリップに含まれる各導電性ストリップは、第1の列と第2の列を含む複数の列として形成し得る。第1の列は第1の幅を有し、第1端部から第1の距離離して配置し得る。第2の列は、第1の幅よりも大きい第2の幅を有し、第1端部から、第1の距離よりも長い第2の距離離して配置し得る。
【0010】
圧力検知マットを使用して個人の圧力を検出する際、圧力検知マットの第1部分を当該個人の方に向けて配置し、圧力検知マットの第2端部が当該個人の頭部の下に位置するように構成し得る。
【0011】
第1列と第2列の間に多くの列を配設し得る。第1列の幅と第2列の幅は異なり得る。第1列と第2列の間に配設される各列の幅は、第1端部から第2端部にかけて単調に広がり得る。
【0012】
第1導電層の複数の導電性ストリップは複数の行を含み、第2導電層の少なくとも1つの導電性ストリップが複数の列を含み得る。複数の行と複数の列を、互いに直交するように配置し得る。また、他の形態では、複数の行と複数の列を互いに非平行となる方向に配置し得る。
【0013】
絶縁層は発泡材からなり得る。
【0014】
第1非導電層は、第3の複数の途切れ部分を除いて連続した層であり得る。該第3の複数の途切れ部分は、第1の複数の途切れ部分に対応し得る。
【0015】
第1導電層は、第1非導電層と絶縁層の間に配置し得る。
【0016】
第2非導電層は、第4の複数の途切れ部分を除いて連続した層であり得る。該第4の複数の途切れ部分は、第3の複数の途切れ部分に対応し得る。
【0017】
第2導電層は、第2非導電層と絶縁層の間に配置し得る。
【0018】
本開示の別の一態様では、圧力検知マットを提供する。圧力検知マットは第1部分と第2部分を含み得る。第1部分には、第1の非導電層と第2の非導電層の間に挟設され得る第1の導電層を含み得る。第1非導電層と第1導電層は、第1の方向に延びる第1導電性ストリップを少なくとも部分的に囲み得る第1のチャネル一式を定義し得る。第2部分には、第3の非導電層と第4の導電層の間に挟設され得る第2の導電層を含み得る。第3非導電層と第2導電層は、第2の方向に延びる第2導電性ストリップを少なくとも部分的に囲み得る第2のチャネル一式を定義し得る。圧力検知マットは、第1部分と第2部分の間に配設される絶縁層を含み得る。第1導電性ストリップと第2導電性ストリップは、コンデンサーにかかる圧力を示すキャパシタンスを提供するように構成し得るコンデンサーを形成し得る。
【0019】
第1のチャネル一式は、第3の導電性ストリップを少なくとも部分的に囲み得る。第2のチャネル一式は、第4の導電性ストリップを少なくとも部分的に囲み得る。第3の導電性ストリップと第4の導電性ストリップは、第2のコンデンサーに印加される圧力を示すキャパシタンスを提供するように構成される第2のコンデンサーを形成し得る。第1部分には、第1の導電リード線一式を含み得る。
【0020】
第1部分には、第2の導電リード線一式を含み得る。第1の導電性ストリップを第1部分の左側に配置し、第3の導電性ストリップを第1部分の右側に配置し得る。
【0021】
第1導電リード線一式は第1部分の第1側部に配設し得、第2導電リード線一式の少なくとも一部を、第1側部の反対側であり得る第1部分の第2側部に配設し得る。
【0022】
第1の導電リード線一式を、実質的に第2の方向に延びる第3のチャネル一式によって形成し、第1の非導電層と第1の導電層によって定義し得る。
【0023】
第1の導電リード線一式を、第1の方向に延びる第4のチャネル一式によって形成し、第1の非導電層と第1の導電層によって定義し得る。
【0024】
第1の導電リード線一式を、圧力検知マットの接続領域(辺縁部と中央部を含み得る)に配設し得る。第1の導電リード線一式には、第1導電リード線と第2導電リード線を含み得る。第1導電リード線は第1の長さを有し、辺縁部に配設し得る。第2導電リード線は、第1の長さよりも長い第2の長さを有し、中央部に配設し得る。
【0025】
第1の導電リード線一式では、第1導電リード線と第2導電リード線の間に配置された多数の導電リード線を含み得る。第1導電リード線と第2導電リード線の間に配置される各導電リード線の長さは、辺縁部から中央部に向かって単調に短くなり得る。
【0026】
第2の導電リード線一式は、第1分節部、第2分節部、第3分節部を含み得る。第1分節部は、第1部分の第2側部に配置し得る。第2分節部は、第1の導電リード線一式から第1の方向に延在し得る。第3分節部は第2分節部から延在し得る。
【0027】
第1分節部は、第2分節部と実質的に直交し得る。
【0028】
第1の導電リード線一式の少なくとも1本の導電リード線が第1の幅を有し、第1導電性ストリップは、第1の幅よりも大きい第2の幅を有し得る。
【0029】
第1導電層は第1の表面積を有し、第1非導電層は第2の表面積を有し、第2非導電層は第3の表面積を有し得る。第1の表面積は、第2と第3の表面積よりも大きく設定し得る。
【0030】
第1部分は第1の厚みを有し、第1のチャネル一式は第1の厚みよりも小さい第1の深さを有し得る。
【0031】
第1と第2の非導電層を導電層に積層し得る。
【0032】
第1導電層を銅で形成し得る。
【0033】
第1導電層の表面抵抗は少なくとも0.10オームであり得る。
【0034】
本開示の別の一態様では、圧力検知マットを製造する方法を提供する。該方法は、第1非導電層と第2非導電層とその間に挟設される第1導電層を含む第1の積層シートを提供することと、第3非導電層と第4非導電層その間に挟設される第2導電層を含む第2の積層シートを提供することと、第1の積層シートの諸部分を取り除いて第1の複数のチャネルを定義することにより第1の方向に延びる第1の複数の導電性ストリップを形成することと、第2の積層シートの諸部分を取り除いて第2の複数のチャネルを定義することにより第2の方向に延びる第2の複数の導電性ストリップを形成することと、第1の積層レイヤーを絶縁層の第1の面に取り付けることと、第2の積層レイヤーを絶縁層の第2の面に取り付けることとを含み得る。
【0035】
該積層シートの一部を取り除くステップには、第1と第2の積層レイヤーのエッチングを含み得る。一例として、第1と第2の積層レイヤーの金属部分にレーザーを照射することによってエッチングを行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】第1図は、圧力検知マットの主要構成部分と、少なくとも1つの実施形態に関連する構成部分の概略図である。
【
図2】第2図は、少なくとも1つの実施形態に基づく個別ケア環境の概略図である。
【
図3】第3A図と第3B図は、圧力検知マットの複数の実施形態の部分図と分解図と斜視図を示す図である。
【
図4】第4図及び第4A図と第4B図は、少なくとも1つの実施形態に基づく導電層の平面図と詳細図をそれぞれ示す図である。
【
図5】第5図と第5A図は、少なくとも1つの実施形態に基づく導電層の平面図と詳細図をそれぞれ示す図である。
【
図6】第6図は、少なくとも1つの実施形態に基づく導電層の分解図を示す図である。
【
図7】第7図及び第7A図と7B図と第7C図は、少なくとも1つの実施形態に基づく圧力検知マットの部分捲り図と断面図と詳細図を示す図である。
【
図8】第8図は、コネクタの一例を示す斜視図である。
【
図9】第9図は、別のコネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の具体的な実施形態を必要に応じて開示するが、開示する実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明をさまざまな代替形態により具現化し得ることはもちろんである。各図は必ずしも原寸に比例しているとは限らず、特定の構成部分の詳細を示すために、一部の特徴を誇張又は極力簡素化して説明することもある。したがって、本出願に開示する具体的な構造や機能の詳細は、制限的なものとして解釈するべきではなく、本発明をさまざま採用する技術を当業者に教示するための単なる代表例として解釈するべきである。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる単数形(英文原稿では「a」や「an」や「the」という冠詞の付いた単数形)は、文脈により別途明示されない限り、複数形としての意味を含むものとする。例えば、構成部分が単数形で記載されていても、複数の構成部分を示す意味も含むものとする。
【0039】
本出願では「実質的」又は「約」という用語を、開示又は請求対象の実施形態を説明する際に用いる場合がある。「実質的」又は「約」という用語は、本開示において開示又は請求の対象となる数値又は相対的な特性を修正可能であることを示す。このような場合、「実質的」又は「約」という用語に基づいて数値又は相対的な特性を修正し得る範囲は、当該数値又は相対的な特性の±0%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%又は10%の範囲内であることを意味し得る。
【0040】
本開示の態様は、概して、圧迫による損傷の防止に役立つように構成された容量式圧力検知マットに関する。容量式圧力検知マットは他にも提案されている。先行技術の実装例として、絶縁体を間に挟んだ状態で導電性織編物を格子状に配列し、織リボンで接続して複数の電気コンデンサーを形成するように構成された圧力検知マットがある。該導電性織編物の格子状配列は、繊維製造に関連する標準的な工程で製造できる。かかる導電性織編物を用いた圧力検知マットの材料と製造工程は高額であるため、何回か再利用することにより経済的に利用できるようにする必要があり得る。圧力検知マットを再使用する場合は、マットを再使用するたびに、マットの洗浄と消毒が必要になるとともに、次の患者のために使用する前に十分な洗浄や消毒を怠ると、マットの衛生上の問題につながり得る。また、かかる導電性織編物を用いた圧力検知マットは、例えば集中治療室、手術室、介護室、車椅子など、異なる運用環境に合わせて特別に設計及び製造したものでなければならない。そのため、場合によっては、これらの圧力検知マットではモジュラー型ソリューションを提供できない。
【0041】
織編物からなる圧力検知マットは精度・精密度を得るために一つ一つ較正する必要があり得る。織編物は、比較的弾性があり変形しやすい導電性の織り糸や編み糸を含む。また、利用可能な圧力検知マットを使用前に較正することになる。較正時、格子状配列内の各センサーのキャパシタンスを1種以上の既知の圧力に対して測定する。各センサーの既知の圧力と測定されたキャパシタンスとの間の関数関係を、各センサーの較正に用いる。織編物の幾何公差は、例えば0.5mm~1.5mmと比較的大きいので、キャパシタンスの測定値にばらつきが生じる。
【0042】
本開示の容量式圧力検知マットは、積層された導電性シートを、間隔を空けて配置したものであり得る。積層された導電性シートの幾何公差は、例えば0.5ミクロン~2ミクロンと、織編物の格子状配列の場合よりも比較的狭い。積層された導電性シートの公差帯域は、織編物からなる圧力検知マットと比べて狭いため、織編物からなる圧力検知マットと比較して較正を合理化し得る。場合によっては、積層された導電性シートを使用すると、圧力検知マットを使用する前に、圧力検知マットを一つ一つ較正する必要性を省略し得る。一例として、所定数の圧力検知マットの統計分析を採用し、積層された導電性シートで構成される圧力検知マットの必要較正頻度を決定できる。較正プロセスの頻度と回数を減らすと、製造効率が向上し、コストを削減できる可能性がある。
【0043】
本開示の容量式圧力検知マットの1つ又は複数には、既知の織編物製圧力検知マットと比べ、積層された導電性シートの2層以上及び2つ以上のセンサー間の相対的な動きを軽減する導電性積層シートなど、比較的弾力性の低い材料を含み得る。織編物は経時的に伸び始め、かかる伸長により圧力検知マットの耐用寿命が短縮される。この潜在的な問題を回避することで、本開示の圧力検知マットの比較的弾力性の低い材料を長持ちさせることができる。
【0044】
通常、使用可能な圧力検知マットを電源ソケットに差し込み、かつコンピューター又はコントローラに接続して測定データを収集する。本開示の容量式圧力検知マットの1つ又は複数は、ワイヤレス電源やワイヤレス通信に対応できるように構成されている。本開示の容量式圧力検知マットは、ワイヤレスネットワークによる通信を行うことができ、また充電式バッテリーで駆動し得る。本開示の容量式圧力検知マットは、手術室での使用に向けて、使い捨てマットとして構成し得る。本開示の圧力検知マットでは、同じ素材からなる積層シート材を異なるサイズに切断することにより、導電性積層シートをさまざまな用途や状況に適用できるモジュール式製造方法に適合し得る。本開示の実施形態として開示する圧力検知マットは、現在提案されている圧力検知マットの技術的な欠点の1つ又は複数に対して1つ以上の技術的な解決策を提供する。
【0045】
以下、各図を全体的に参照しながら、圧力検知マット100について説明する。圧力検知マット100は第1部分102と第2部分104を含み得る。第1部分102と第2部分104の間に絶縁層126を配設し得る。第6図に示すように、第1部分102には、第1非導電層108と第2非導電層110の間に挟設し得る第1導電層106を含み得る。第1非導電層108と第1導電層106は、第1のチャネル一式112を定義し得る。第1のチャネル一式112は、第1導電性ストリップ114を少なくとも部分的に囲み得る。第6図に示すように、第2部分104には、第3の非導電層118と第4の非導電層120の間に挟設し得る第2の導電層116を含み得る。第2導電層116と第3非導電層118は、第2の方向に延びる第2導電性ストリップ124を少なくとも部分的に囲み得る第2のチャネル一式122を定義し得る。第1導電層106と第2導電層116は、それぞれ第1のチャネル一式112と第2のチャネル一式122を除いて連続した層であり得る。第1導電性ストリップ114と第2導電性ストリップ124は、コンデンサー(コンデンサー128に印加する圧力を示すキャパシタンスを測定するように構成し得るコンデンサー128)の格子状配列を形成し得る。
【0046】
第1のチャネル一式112は、第3の導電性ストリップ130を少なくとも部分的に囲み得る。第2のチャネル一式122は、第4の導電性ストリップ132を少なくとも部分的に囲み得る。第3の導電性ストリップ130と第4の導電性ストリップ132は、別のコンデンサー128を形成し得る。例えば、第6図の第1導電層106を参照すると、第1の導電性ストリップ114を第1部分102の左側領域内に、第3の導電性ストリップ130を第1部分の右側領域に配設し得る。
【0047】
第1部分102には、第1の導電リード線一式134と、第2の導電リード線一式138を含み得る。第1の導電リード線一式134には第1の導電性部分140を含み、第2の導電リード線一式138には第1の導電性部分136を含み得る。第1図に示す駆動部20は、第1と第2の導電リード線一式134及び138を通してコンデンサー128に電圧を供給するように構成されている。第1図に示すプロセッサ50は、コンデンサー128全体の電位を測定し、各コンデンサー128についてインピーダンス値を計算し、そのデータをデータ格納装置60に格納するように構成し得る。
【0048】
圧力検知マット100は、第1側部142と、第1側部142の反対側の第2側部144と、第1端部146と、第2端部148を含む。第1端部146と第2端部148は、第1と第2の側部142、144の間に延在し得る。第1の導電リード線一式134は、第1部分102の第1側部142に配設し得る。第2の導電リード線一式138の少なくとも一部分を、第1部分102の第2側部144に配設し得る。第1の導電リード線一式134は、第1側部142と第2側部144のいずれか又はその両方に平行な方向に延存し得る第1非導電層108又は第2非導電層110の少なくとも1つと第1導電層106とにより定義される第3のチャネル一式150により形成し得る。第1の導電リード線一式134は、第1端部146と第2端部148のいずれか又はその両方に平行な方向に延存し得る第4のチャネル一式152により形成し得る。
【0049】
第4A図に示すように、圧力検知マット100には、コネクタ(図示せず)と係合又は接続するように構成した接続領域154を含み得る。接続領域154には、辺縁領域154aと中央領域154bを含み得る。第1の導電リード線一式136には、周辺領域154aに配設される第1導電リード線156と、中央領域154bに配設される第2の導電リード線158を含み得る。第1導電リード線156は、第2導電リード線158より短く形成し得る。第1導電リード線156と第2導電リード線158の間には、多数の導電リード線を配設し得る。これら付加的な導電リード線のそれぞれの長さは、辺縁領域154aから中央領域154bにかけて単調に短く成り得る。
【0050】
第4B図に示すように、第2導電リード線134には、第1部分102の第1側部142に配設され得る第1分節部134aと、第2分節部134bと、第3分節部134cを含み得る。第2分節部134bは、第1分節部134aから第3分節部134cまで第1の方向に延在し得る。第3分節部134cは、第2の導電リード線一式140と第2分節部134bの間に延在し得る。一例として、第1分節部134aを第2分節部134bと実質的に直交するように配置し得る。導電リード線134、138、又は第1の導電性部分136、140、又はその両方の幅は、それぞれが1つ以上の導電性ストリップ114、124、130、132の幅よりも大きいものであり得る。
【0051】
一又は複数の実施形態において、第1導電層106の導電性ストリップ114、130は列単位に形成し、第2導電層116の導電性ストリップ124、132は行単位に形成し得る。各列、又は導電性ストリップ114と導電性ストリップ130間に配設される各導電性ストリップは、それぞれ異なる幅又は距離を有し得る。一例として、導電性ストリップ114、130の間に配設される各列又は導電性ストリップの幅は、第1端部146と第2端部148の間で単調に増大し得る。圧力検知マット100を使用中の個人により印加される圧力を検出する際、第1部分102を、当該マットを占用する該個人に面して配設し得る。一例として、第2端部148を、該個人の頭部又は頭頸部の下に配設し得る。個人の頭頸部は、該占用者の身体の他の部分よりも動きやすい(例えば、上方に傾動、横に滑動、又は転動しやすい)ため、第2端部148付近に配設される大き目の導電性ストリップは、第1端部146付近に配設される小さ目の導電性ストリップよりも優れた分解能を提供し得る。
【0052】
ここで、第1図のブロック図を参照しながら、圧力の検知を行い得るシステム10の一実施形態を説明する。システム10には、複数のコンデンサー128などのセンサーや駆動部20、電源11に接続し得る制御装置40、プロセッサ50、データ格納装置60、そして表示装置70を含む圧力検知マット100を少なくとも1つ含み得る。電源としては、電源コードを壁コンセントに接続したり、又はバッテリー電源(任意に充電可能なバッテリ電源)を用いたりして電力を供給し得る。バッテリーによる電力供給により、システム10の電源をオフにしなくてもベッドを動かすことができる。安全対策として、及びコンプライアンス状態を追跡するために、制御装置40の電源オフを確認する際にはシャットダウンガード22を介して介護者の認証(例えば、介護者による従業員識別番号の入力)を要求するようにしてもよい。第1図に示すシステムは容量性センサシステムであり、他の実施形態では抵抗性又はピエゾ抵抗性システムなどの他の方式を用いることができる。
【0053】
コンデンサー128は、圧力検知マット100の異なる位置に配設し得る。一実施例では、圧力検知マット100の表面全体にわたり、コンデンサー128を2次元格子状に配設し得る。駆動部20を、圧力検知マット100のコンデンサー128に電圧を供給するように構成し得る。また、プロセッサ50を、コンデンサー128全体の電位を測定し、各コンデンサー128のインピーダンス値を計算し、データ格納装置60にデータを格納し得る。格納されたデータは、表示装置70(コンピューター画面、ラップトップ、PDA(個人向け情報端末)、タブレットデバイス、携帯電話画面、印刷紙面、統合表示画面など)で更に処理、分析及び表示し得る。システム10は、第1図ブロック図において個別のブロックとして図示されているが、任意にスタンドアロン型システムとして統合してもよい。
【0054】
ここで、第2図を参照すると、個別ケア環境400には、共通の遠隔制御センター500と連通する多数のサブシステム400a~400hを含み得る。個別ケア環境400の例としては、病院、看護施設、在宅ケア又はリハビリ環境が挙げられる。個別ケア環境400が病院の場合は、共通遠隔制御センター500がナースステーションとなり得る。第1図に示すように、各サブシステム400a~400hはベッドを含む。サブシステム400a~400hを、ナースステーションなどの共通遠隔制御センター500と通信できるように構成し得る。かかる通信は、ナースコールシステムへの配線、あるいはナースステーションとの無線通信方式(例:Bluetooth、ZigBee、Wi-Fi、セルラー方式など)により実現できる。あるいは、サブシステム400a~400hを、例えば各個人の自宅など、お互いに離れた場所に配置して、遠隔制御センター500を有人観測ステーションとすることもできる。
【0055】
第3A図は、圧力検知マット100の一部の斜視図を示す。第1部分102は、第2部分104と絶縁層126の上に配置される。一例として、第1部分102、第2部分104、及び絶縁層126は細長い長方形であり得る。第1部分102には、第1導電性ストリップ114を少なくとも部分的に囲み得る第1のチャネル一式112を含み得る。第2部分104には、第2導電性ストリップ124を少なくとも部分的に囲み得る第2のチャネル一式122を含み得る。第1導電性ストリップ114を、第1の方向(例えば側部から側部にかけて)に延在させ、第2導電性ストリップ124を、第2の方向(例えば端部から端部にかけて)に延在させ得る。第1部分104と第2部分104の間に示す破線は、コンデンサー128を表し得る。同図にはコンデンサー128を1つだけ図示しているが、実際にはコンデンサーを、第1部分102の導電性ストリップと第2部分104の導電性ストリップとの交点ごとに形成する。
【0056】
一例として、絶縁層126を非導電性材料で形成し得る。つまり、絶縁層126の材料は、絶縁層126を通過する又は横切る電流などの電荷の流れを差し止める役割を果たし得る。非導電性材料としては、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡材、又はその他適切な材料からなるフィルムを使用し得る。
【0057】
第1部分102と第2部分104は、それぞれ絶縁層126に粘着剤などで機械的に取り付け得る。一例として、両面テープ(DST:Double-Sided Tape)を、絶縁層126と第1部分102又は第2部分104のいずれか又はその両方に沿って敷設し得る。その後、絶縁層126を第1と第2部分102、104の上に、若しくはその逆に第1と第2部分102、104を絶縁層126の上に敷設し得る。
【0058】
第3B図は、一又は複数の実施形態による圧力検知マット100を示す図である。一例として、圧力検知マット100には、第1部分102又は第2部分104、又はその両方に直接固定できる1つ以上のカバー160を含み得る。カバー160は、両面テープ(DST)などの接着材、スプレーや多数のビーズなどの形態で塗布し得る接着剤などによって、第1と第2部分102、104に固定し得る。かかる粘着性物質をカバー160又は第1と第2部分102、104の外側部分、又は同内側部分に適用し得る。
【0059】
カバー160は、布地又は重合物質を材料として形成し得る。例えば、カバー160の材料としては、液体がカバー160を通って第1と第2部分102、104に浸透するのを防ぐように構成した耐水性の材料から成るものを使用し得る。カバー160に水などの液体が浸透すると、コンデンサー128の1つ又は複数がショートする可能性がある。一例として、カバー160は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は発泡PTFEからなるカバーであり得る。耐水性カバー160は、熱傷患者による使用、又は患者の身体などからカバー160に液体が排出されるような手術室の環境での使用において有用となり得る。
【0060】
別の例として、カバー160を1つ又は複数使用することにより、圧力検知マット100の寿命を延長し得る。
【0061】
第4図は、第1導電層106の平面図を示す図である。第1導電層106は、導電性ストリップ114と第1導電性ストリップ130を少なくとも部分的に囲み得る第1のチャネル一式112を定義し得る。第1のチャネル一式112を、導電性ストリップ130、114の一方の側部と両端に描かれている黒線で示す。第1導電性ストリップ114は幅W1を有し得、第3導電性ストリップ130は第1の幅よりも大きく幅W3を有し得る。第1導電性ストリップ114と第3導電性ストリップ130の間に配設した導電性ストリップの少なくとも1つは幅W2を有し得る。第2の幅W2は、第3の幅W3よりも小さく、第1の幅W1よりも大きいものであり得る。第1導電性ストリップ114を、第1端部146から第1の距離L1離し、第1導電性ストリップと第3導電性ストリップ114、130の間に配設された導電性ストリップの1つを第2の距離L2離し、第2導電性ストリップ124を、第1端部146から第3の距離L3離し得る。第3の距離L3と第2の距離L2は、それぞれ第1の距離L1より大きいものであり得る。
【0062】
第1導電層106には、第4図の左側と右側に破線で示すように右側領域A1と左側領域A2を含み得る。前述の如く、左側領域A2には、右側領域A1の導電性ストリップよりも幅の広い導電性ストリップを含み得る。かくして、左側領域A2を、占用者の頭部又は頸部領域に配置し得る。
【0063】
図4Aは、第1部分102の接続領域154の詳細図を示す。接続領域154には、第1の導電性部分136、140が含まれる。第1の導電性部分136、140には、辺縁部154aと中央部154bを含み得る。第1の導電リード線156を周辺部154aに配設し、第2の導電リード線158を中央部154bに配設し得る。第1導電性部分140の導電リード線156、158及びその他多数の導電リード線は、第4のチャネル一式152に含まれるチャネル(縦の白線に隣接する黒線で示される)の間に縦方向に配設される白線で示したものであり得る。第1導電性部分140は、第1導電性部分140を囲む破線内に配設される縦の黒線で示す第6チャネル一式168により形成し得る。
【0064】
第5チャネル一式166と第2の導電リード線一式138は、第1導電性部分136と多数の導電性ストリップの間に延在し得る。一例として、第5チャネル一式166の一番外側の方にある各チャネルは、接続領域154から最も離れた位置にある導電性ストリップまで延びるようにし得る。そして、第5チャネル一式166の一番内側の方にある各チャネルは、第1部分102の中央部に位置する導電性ストリップ(W2の線上にある導電性ストリップなど)まで延びるようにし得る。
【0065】
第1の導電リード線一式134の第3分節部134cは、第1の導電リード線一式134の第2分節部134bと第1導電性部分140との間に延在するようにし得る。黒線で示すチャネルと、第3分節部134cの導電リード線134は、導電リード線134の第2分節部134bのチャネルに対して直交するように配置し得る。一例として、圧力検知マット100の辺縁付近に配置された第1分節部134cの導電リード線134とチャネルは、導電性ストリップに近い方の第1分節部134cの導電リード線134のチャネルと同じ長さであり得る。
【0066】
第1の導電リード線一式134の第3分節部134cの最も外側の方にある導電リード線とチャネルは、W2の線の右側にある導電性ストリップなど、第1部分102の中央部に向かって配設された導電性ストリップまで延びるようにし得る。第1の導電リード線一式134の第3分節部134cの最も内側の方にある導電リード線とチャネルは、第1の導電性ストリップ114など、第1端部146に最も近い位置にある導電性ストリップまで延びるようにし得る。
【0067】
第4B図は、第1の導電リード線一式134の各部の詳細図を示す図である。第1導電リード線の第1分節部134aは、第1側部142と導電性ストリップの間に延設し得る。第2分節部134bは、第3分節部134cと第1分節部134aの間に延在し得る。
【0068】
第5図は、第2部分104の平面図を示す図である。第2部分104は、右側領域A3と左側領域A4を含み得る。右側領域A3を、第1部分102の右側領域A1の下又は上に配設し、左側領域A4を左側領域A2の下又は上に配設し得る。
【0069】
第2部分104は、第2部分104の導電性ストリップを囲み得る第2のチャネル一式122を含み得る。各導電性ストリップは、第2端部148に最も近いチャネルと第3の導電リード線一式170の間に延在し得る。第2導電性ストリップ124など、第2側部144に最も近い導電性ストリップは、長さL4を有し、第1側部142に最も近い導電性ストリップは、長さL4よりも長い長さL5を有し得る。
【0070】
第5A図は、第5図の5Aの線に沿った詳細図を示す図である。第2部分104は、第3の導電リード線一式174を含み得るコネクタ領域172を含み得る。第3の導電リード線一式174に含まれる各導電リード線は、第7のチャネル一式176から成り得る。第3の導電リード線一式174には、第3の導電リード線178と第4の導電リード線180を含み得る。一又は複数の実施形態では、第3導電リード線178を第2導電性ストリップ124に接続し、第4導電リード線180を第1側部142の近くに配設された導電性ストリップに接続し得る。第4導電リード線180の長さは、第3導電リード線178の長さより短いものであり得る。
【0071】
第3の導電リード線一式170は、第8のチャネル一式182により形成して、第1導電リード線184と第2導電リード線186を含むようにしてもよい。第1の導電リード線184を第3導電リード線178に接続し、第2導電リード線186を第4導電リード線180に接続し得る。第1導電リード線184と第2導電リード線186及びその間に配設される導電リード線はそれぞれ、第3導電リード線178又は第4導電リード線180又はその両方に実質的に直交する位置にあり得る端部を含み得る。
【0072】
一又は複数の実施形態において、第1部分102の導電リード線134、138及び導電リード線136、140はそれぞれ、第2部分104の導電リード線170及び導電リード線174の幅よりも小さい幅を有し得る。
【0073】
圧力検知マット100を作動中、導電リード線136、140、174を介して導電リード線134、138、170及び導電性ストリップ112、122、130、132に電圧を印加し得る。第1部分102と第2部分104の間にコンデンサー128を形成し得る。各コンデンサー128からのキャパシタンスの測定は、プロセッサ50によって、導電リード線134、138、170及び導電リード線136、140、174に隣接する1つ又は複数の導電性ストリップ112、122、130、132を介して行い得る。
【0074】
第6図は、チャネルを形成(例えばエッチング)する前の第1部分102又は第2部分104の分解図を示す図である。導電層106、116の上に配置される非導電層108、118は、導電層106、116の上面に重ねて貼り付け、非導電層110、120は、導電層106の底面に重ねて貼り付けるようにし得る。非導電層108、110、118、120は、加熱や加圧、溶接、接着剤、又はその組合せにより導電層106、116に恒久的に取り付け得る。
【0075】
一又は複数の実施形態では、非導電層108、110、118、120は、導電層106、116よりも小さいものであり得る。つまり、非導電層108、110、118、120は、導電層106、116の表面積よりも小さい表面積を有し得る。非導電層108、110、118、120の表面積は、導電層106、116の表面積よりも小さいため、導電層106、116の一部を露出し得る。第1部分102の露出した部分を第1裸線162(第4図)と呼び、第2部分104の露出した部分を第2裸線164(第5図)と呼ぶこともある。第1裸線162と第2裸線を使用して、第1部分102と第2部分104の電気的特性を1種類以上検査し得る。
【0076】
例として、電気計測装置を1つ又は複数の裸線162、164を係合して、導電層106、116の抵抗、導電率又はその他の電気特性を測定し得る。裸線162、164は、それぞれ第1部分102と第2部分104の辺縁部に配置し得る。裸線162、164を辺縁部に置くと、導電層106、116から非導電層108、110、118、120を分解せずに測定点を得ることが可能になる。
【0077】
第7図は、圧力検知マット100の部分斜視図を示す図である。マットの各層をより分かりやすく描写するために、圧力検知マット100の一角を扇形に展開した状態で、圧力検知マット100の少なくとも一部の層を示す。
【0078】
第7A図は、
図7における7Aの線に沿った圧力検知マット100の部分断面図を示し、第7B図は、
図7の7Bの線に沿った圧力検知マット100の部分断面図を示す。第7A図と第7B図は、いずれもマットの各層をわかりやすく示すために拡大して図示している。図に示すように、カバー160はそれぞれマットの上面と底面を形成し得る。前述のように、圧力検知マット100のすべての構成要素にカバー160を使用するとは限らない。第1非導電層108と第4非導電層120のそれぞれの全体にわたってカバー160を敷設し得る。
【0079】
第1導電層106と第2導電層116はそれぞれ、少なくとも部分的に導電性金属又は合金素材から形成し得る。一例として、導電層106、116は、それぞれ150nm銅張積層材などの銅積層材により形成し得る。銅積層材の厚さは、25ミクロンから75ミクロンの範囲であり得る。一例として、150nm銅張積層材の材料特性を表1に示す。一又は複数の実施形態において、導電層106、116は、それぞれ銀、アルミニウム、又はその他の適切な導電性材料で形成し得る、又はそれを含み得る。
【0080】
【0081】
第1及び第2の非導電層108、110を第1導電層106に、第3及び第4の非導電層118、120を第2導電層116に積層し得る。例として、導電層106、116を非導電性被膜で被覆し得る。別の例として、非導電層108、110、118、120を、それぞれ、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの可塑性物質又は重合材料、又はそれらの組合せから成り得る。1つ又は複数の非導電層108、110、118、120の厚さは銅材料の厚さの約半分であり得る。例えば、銅材料の厚さが49ミクロンで、非導電層108、110、118、120の厚さが23ミクロンであり得る。
【0082】
非導電層108、110、118、120の厚さを増やすことで、多くの利点を得ることが可能になる。例えば、非導電層108、110、118、120の厚さを増やすと、導電層106、116の断裂や亀裂を防止できるとともに、圧力検知マット100の耐久性を向上し、耐用寿命を延長できる可能性がある。別の例として、非導電層108、110、118、120の厚さが上記範囲内の場合、マットの占用者がマットの上に横になったまま動く際に生じる銅材料の動きに伴う雑音を防止又は低減し得る。ポテトチップの袋やその他金属箔に包装された食品の場合と同様に、導電層106、116は、非導電層を伴わない場合、占用者がマットの上で動く際に雑音を生じる傾向がある。かかる雑音は、患者やマットの近辺にいる他の患者に不快感をもたらし得る。1枚又は複数の非導電層108、110、118、120を使用することにより、かかるノイズを軽減し得る。
【0083】
絶縁層126は、第1部分102と第2部分104の間に挟設することができ、その厚さは第1部分102又は第2部分104の厚さよりも指数関数的に増大し得る。例えば、絶縁層126の厚さは1.0mm~7mmの範囲であり得る。
【0084】
各チャネル112、122の幅は0.05mm~5mmの範囲であり得る。チャネルの幅が大きくなるにつれてピクセルのサイズも大きくなり得る。一又は複数の実施形態において、チャネル112、122は、各部分102、104の非導電層108、110、118、120の少なくとも1つ及び導電層106、116に広がるように延在し得る。一又は複数の実施形態において、チャネル112を定義する面は、最上部のカバー160の上ではなく、絶縁層126の全長にわたって敷設し得る。このような配置により、導電層106と圧力検知マット100の一番外側の部分との間に防水性又は少なくとも耐水性のバリアが設けられる。
【0085】
第7A図と第7B図の断面図は、第3導電性ストリップ130を形成する第1のチャネル一式112と、第4導電性ストリップ132を形成する第2のチャネル一式122のみを示しているが、図示する構成は、信号検出リード線や信号受信リード線及びその他の導電性ストリップの一式を形成する他のチャネルにも同様に適用する。
【0086】
チャネル112、122はレーザーエッチング過程によって形成し得る。この過程には、導電性積層材を作業面に沿って延設することを含み得る。該導電性積層材は、所定の大きさと形状に切断したものを使用し得る。また、導電性積層材料のコイル材の一部分を該導電性積層材として使用し得る。導電性積層材を、真空蒸着により仕掛品の表面に沿って所定の位置に固定又は保持し得る。吸引装置を、所定の真空圧を印加するように構成して、導電性積層材を仕掛品の表面に比較的平らに保持できるようにしてもよい。その後、1つ又は複数のレーザーを照射して導電性積層材を除去又はエッチングすることによりチャネルを形成し得る。別の例として、前記レーザーの1つによってコイル材から導電性積層材の一部を切断したり、該材料の周辺部を必要な長さと幅に切断したりし得る。
【0087】
チャネルの幅、長さ、位置及び深度は、座標測定装置又はその他の適切な測定装置により測定し得る。別の例として、第1と第2部分102、104のいずれかの試験サンプルの全体又は複数の区分にわたる電気抵抗を測定し得る。測定した試験サンプルの電気抵抗を、既知の電気抵抗を持つマスターサンプルに対して比較し得る。抵抗測定装置は、非導電層108、110、118、120で覆われていない又は積層加工されていない導電層106、116の一部に取り付け得る。
【0088】
例として、該レーザーは光ファイバレーザーシステムや、CO2レーザーシステム、又はその他の適切なレーザーシステムであり得る。レーザー光は、導電性積層材の上を2つ以上の既知の基準座標間を横切るように、いくつか異なる速度で移動し得る。レーザー光が所定の位置に近づいて方向の変更が必要になると、レーザーの速度が低下し得る。しかし、レーザーの速度が低下すると、レーザーの出力や焦点の調整など、何らかの調整を行うことが必要になり得る。
【0089】
図7C図は、圧力検知マットの一部の斜視図を示す図である。図中、上下のカバー160を第1部分102と第2部分104から捲り剥がした状態を示している。また、第1部分102と第2部分104も、それぞれ絶縁層126から捲り剥がした状態で示している。明確にするために述べておくが、図中、非導電層108、110、118、120は導電層106、116から捲り剥がされていない。
【0090】
第8図は、コネクタの一例を示す斜視図である。例えば、コネクタはフラットフレックスコネクタ202であり得る。コネクタ202は、ハウジング204と、第1と第2部分102、104の信号受信リード線に固定し得る多数のコネクターリード線を含み得る。
【0091】
第9図は、コネクタの別の例を示す斜視図である。例えば、コネクタはフレキシブルプリント回路コネクタ220であり得る。コネクタ220は、基板222に配設し得る多数のリード線224を含み得る。該リード線は、第1及び第2部分102、104の信号受信リード線に固定し得る多数の接続点226を含み得る。
【0092】
コネクタ202、220には、遠隔制御センター500にデータを通信するように接続及び構成された送信機などの通信機器を備え得る(
図2)。かかる通信は、配線あるいは無線通信方式(例:Bluetooth、ZigBee、Wi-Fi、セルラー方式など)により実現できる。
【0093】
上記、代表的な実施形態を説明したが、かかる実施形態は、本発明の可能なすべての形態の説明を提供するためのものではない。むしろ、明細書で用いられる用語は、制限的なものではなく記述的なものあり、発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加え得ることを理解されたい。また、さまざまな実施形態の特徴を組み合わせて、本発明の更に別の形態を形成し得る。