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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】近接センサ付き薬物送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20231023BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20231023BHJP
   A61M 5/50 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61M5/20 572
A61M5/20 500
A61M5/20 510
A61M5/142 522
A61M5/20 540
A61M5/50
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022047935
(22)【出願日】2022-03-24
(62)【分割の表示】P 2020099955の分割
【原出願日】2015-12-18
(65)【公開番号】P2022084835
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】62/094,395
(32)【優先日】2014-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ビー・マッカロー
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525326(JP,A)
【文献】特表2013-528107(JP,A)
【文献】特表2014-500090(JP,A)
【文献】特表2012-501771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0128815(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/142
A61M 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着型注射器であって、
薬物で充填されているか、または充填されるように構成されたリザーバ(102、440、612)と、
前記リザーバ(102、440、612)に対して移動可能なプランジャ(112、456、632)と、
動作状態を有するカニューレ(114、444、614)であって、前記動作状態では、前記カニューレ(114、444、614)が前記リザーバ(102、440、612)と流体連通して接続されている、カニューレ(114、444、614)と、
前記プランジャ(112、456、632)に動作可能に連結された駆動部(116、442、630)であって、前記プランジャ(112、456、632)を移動させて、前記薬物を前記リザーバ(102、440、612)からカニューレ(114、444、614)を通して移動させる、駆動部(116、442、630)と、
ハウジング(122、402、610)であって、前記リザーバ(102、440、612)、前記カニューレ(114、444、614)、および前記駆動部(116、442、630)がそれぞれ、前記ハウジング(122、402、610)内に少なくとも部分的に配置される、ハウジング(122、402、610)と、
近接センサ(120)であって、前記近接センサ(120)が患者の皮膚と接触していない第1センサ状態と、前記近接センサ(120)が患者の皮膚と接触している第2センサ状態を有する、近接センサ(120)と、
前記近接センサ(120)に動作可能に連結された係止部(118)であって、前記係止部(118)は、前記近接センサ(120)が第1センサ状態にある場合に、前記リザーバ(102、440、612)に対する前記プランジャ(112、456、632)の移動に抵抗する第1の位置を有し、
前記係止部(118)は、前記近接センサ(120)が第2センサ状態にある場合に、前記リザーバ(102、440、612)に対する前記プランジャ(112、456、632)の移動を可能にする第2の位置を有する、係止部(118)と、
を含む、装着型注射器。
【請求項2】
前記ハウジング(122、402、610)内に少なくとも部分的に配置されたコントローラ(500)であって、前記近接センサ(120)および前記係止部(118)と連絡するコントローラ(500)を備える、請求項1に記載の装着型注射器。
【請求項3】
前記コントローラ(500)は、前記第2センサ状態において前記近接センサ(120)から受信した信号に応答して、前記係止部(118)を前記第1の位置から前記第2の位置に変更するように構成されている、請求項2に記載の装着型注射器。
【請求項4】
前記近接センサ(120)は、電気センサまたは電気機械センサを含む、請求項2または3に記載の装着型注射器。
【請求項5】
前記コントローラ(500)は、プロセッサおよびメモリを含む、請求項2から4のいずれか1項に記載の装着型注射器。
【請求項6】
前記カニューレ(114、444、614)は、患者の皮膚に挿入するために、前記ハウジング(122、402、610)の開口部を通して移動可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載の装着型注射器。
【請求項7】
前記ハウジング(122、402、610)内に少なくとも部分的に配置された挿入器であって、患者の皮膚に挿入するために前記開口部を通して前記カニューレ(114、444、614)を移動させるように構成された挿入器を含む、請求項6に記載の装着型注射器。
【請求項8】
前記カニューレ(114、444、614)は、前記カニューレ(114、444、614)が前記リザーバ(102、440、612)と流体連通して接続されていない動作前状態を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の装着型注射器。
【請求項9】
前記ハウジング(122、402、610)の外部に配置されたインジケータであって、前記プランジャ(112、456、632)の移動の視覚的表示を提供するために前記プランジャ(112、456、632)に動作可能に連結されたインジケータを備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の装着型注射器。
【請求項10】
前記係止部は、前記近接センサが第1センサ状態にある場合に、前記リザーバ(102、440、612)の前記第1端部と前記第2端部との間の前記プランジャ(112、456、632)の移動に機械的に抵抗する、請求項1から9のいずれか1項に記載の装着型注射器。
【請求項11】
前記駆動部(116、442、630)は、モータを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の装着型注射器。
【請求項12】
前記駆動部(116、442、630)は、圧縮ガスの供給源を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の装着型注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2014年12月19日出願の米国特許仮出願第62/094,395号明細書の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達装置に関し、特に、近接センサの状態に応じて薬物の送達を制限する薬物送達装置に関する。
【背景技術】
【0003】
薬液および製剤(例えば薬物)は、自動注射器または装着型注射器あるいは注入器などの薬物送達装置を用いることで患者へ投与することができる。これらの装置を、シリンジと薬液または製剤のバイアルとの組み合わせ、またはプレフィルドシリンジを用いた送達装置と置き換えることができる。針またはカニューレの挿入および薬物送達または投与の過程を自動化するために自動注射器および装着型注射器を用いてもよく、これによって、生理的または心理的な障害を示すグループまたはサブグループなどのシリンジ/バイアルの組み合わせまたはプレフィルドシリンジシステムの使用が不都合である特定の患者のグループまたはサブグループのための過程を簡略化することができる。
【0004】
いくつかの場合、自動化した針またはカニューレの挿入後、装置の構成要素(例えば注射器)が患者から取り外されて針またはカニューレがもはや患者に挿入されなくなったとしても、自動注射器および装着型注射器は、薬物の針またはカニューレの通過を継続して可能にすることができる。これによりいくつかの結果が生じる。第1に、患者は薬物の総量を投与されず、患者に悪影響を及ぼす可能性がある。第2に、患者は、薬物の総量が送達されなかったという事実に気づかない可能性があり、総量が送達されていない場合に送達されたと誤った印象を患者に与える。第3に、患者が、総量が送達されなかったという事実に気づいたとしても、患者はどの程度の投与量が送達されたかを決定することができない可能性がある。逆に、患者はどの程度の投与量が送達されなかったかを決定することができない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下により詳細に述べる通り、本開示は、従来の装置および方法の有利な代替手段を具現化する改善された薬物送達装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、薬物送達装置は、リザーバ、カニューレ、駆動部、係止部、ハウジングおよび近接センサを含むことができる。リザーバは、第1端部および第2端部を有するボアと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリとを含むことができる。カニューレは、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有することができる。プランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるように、駆動部をプランジャアセンブリに連結することができる。リザーバの第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を選択的に制限するように係止部を構成することができる。リザーバ、駆動部および係止部をハウジング内に少なくとも部分的に配置してもよい。近接センサは、ハウジングに対して移動するように動作可能に連結されてもよく、近接センサがハウジングから延びる第1センサ状態と、近接センサが第1センサ状態に対してハウジング側に後退する第2センサ状態とを有することができる。近接センサが第1センサ状態にある場合、係止部はプランジャアセンブリの移動を制限することができる。
【0007】
本開示のさらなる態様によれば、薬物送達装置が患者から取り外された後に薬物送達装置からの薬物の送達を制限する方法を提供することができる。本方法は、(a)薬物送達装置を提供することを含み、薬物送達装置は、リザーバ、カニューレ、駆動部、係止部、ハウジングおよび近接センサを含むことができる。リザーバは、第1端部および第2端部を有するボアと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリとを含むことができる。カニューレは、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有することができる。プランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるために、駆動部をプランジャアセンブリに連結することができる。リザーバの第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を選択的に制限するように係止部を構成することができる。リザーバ、駆動部および係止部をハウジング内に少なくとも部分的に配置してもよい。また、近接センサは、ハウジングに対して移動するように動作可能に連結されてもよく、近接センサがハウジングから延びる第1センサ状態と、近接センサが第1センサ状態に対してハウジング側に後退する第2センサ状態とを有することができる。近接センサが第1センサ状態にある場合、係止部はプランジャアセンブリの移動を制限することができる。本方法は、(b)薬物送達装置が患者から取り外されたとき、近接センサが第2センサ状態を占めた後に第1センサ状態を占めるようにすることをさらに含むことができる。また、本方法は、(c)近接センサが第1センサ状態へ移動したことを示すために、近接センサから係止部へ情報を伝達することを含むことができる。最後に、センサは、(d)近接センサが第1センサ状態にあるという情報を受信した際に、係止部にプランジャアセンブリの移動を制限させることを含むことができる。
【0008】
本開示の別の態様によれば、注射器などの薬物送達装置は、第1端部および第2端部を有するボアを含むリザーバと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリと、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有するカニューレとを含むことができる。注射器はまた、プランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるようにプランジャアセンブリに連結されたばねと、係止部がプランジャアセンブリおよびばねのいずれかに連結される場合に第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を制限するように、プランジャアセンブリおよびばねのいずれかに選択的に連結される係止部と、リザーバ、ばねおよび係止部がハウジング内に配置されたハウジングと、係止部に連結され、かつ、ハウジングに対して移動可能な近接センサとを含み、近接センサは、近接センサがハウジングから完全に延びる第1センサ状態と、近接センサがハウジング側に後退する第2センサ状態とを有し、近接センサが第1センサ状態にある場合、係止部はプランジャアセンブリおよびばねのいずれかに連結される。
【0009】
本開示の別の態様によれば、注射器などの薬物送達装置は、第1端部および第2端部を有するボアを含むリザーバと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリと、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有するカニューレとを含むことができる。注射器はまた、ガス源がプランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるように、プランジャと流体連通している動作状態を有するガス源と、第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を制限するようにガス源に選択的に連結された通気口を含む係止部と、リザーバ、ガス源および係止部がハウジング内に配置されたハウジングと、係止部に連結され、かつ、ハウジングに対して動作可能な近接センサとを含み、近接センサは、近接センサがハウジングから完全に延びる第1センサ状態と、近接センサがハウジング側に後退する第2センサ状態とを有し、近接センサが第1センサ状態にある場合、通気口はガス源に連結される。
【0010】
本開示のさらなる態様によれば、注射器などの薬物送達装置は、第1端部および第2端部を有するボアを含むリザーバと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリと、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有するカニューレとを含むことができる。注射器はまた、プランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるようにプランジャアセンブリに連結されたばねと、プランジャアセンブリに選択的に機械的に連結されるインジケータと、リザーバ、ばねおよびインジケータがハウジング内に少なくとも部分的に配置されたハウジングと、インジケータに連結され、かつ、ハウジングに対して移動可能な近接センサとを含み、近接センサは、近接センサがハウジングから完全に延びる第1センサ状態と、近接センサがハウジング側に後退する第2センサ状態とを有し、近接センサが第2センサ状態にある場合、インジケータはプランジャアセンブリに連結され、近接センサが第1センサ状態にある場合、インジケータはプランジャアセンブリから分離される。
【0011】
本開示は、添付の図面を併用した以下の説明からより十分に理解されるであろう。他の要素をより明確に示すために、いくつかの図は、選択された要素を省略して簡略化されている場合がある。いくつかの図における要素のこのような省略は、対応する明細書の記載に明示的に詳述されている場合を除いて、必ずしも任意の例示的な実施例の特定の要素の有無を示すものとは限らない。いずれの図面も必ずしも縮尺通りであるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プランジャアームと協働する摺動係止部と、第1の取り外し状態にある近接センサとを含む薬物送達装置の実施例の断面図である。
図2】近接センサが第1の取り外し状態にある場合の線2-2による図1の実施例の断面図である。
図3】近接センサが第2の装着状態にある場合の線2-2による図1の実施例の断面図である。
図4】プランジャアームと協働する回動係止部と、第1の取り外し状態にある近接センサとを含む薬物送達装置の別の実施例の断面図である。
図5】近接センサが第1の取り外し状態にある場合の線5-5による図4の実施例の断面図である。
図6図4および図5に示す実施例のレバーの端部の動作に関する図である。
図7】ばねと協働する摺動係止部と、第1の取り外し状態にある近接センサとを含む薬物送達装置の実施例の断面図である。
図8】近接センサが第2の装着状態にある場合の線8-8による図7の実施例の断面図である。
図9】ばねと協働する回動係止部と、第1の取り外し状態にある近接センサとを含む薬物送達装置の実施例の断面図である。
図10】近接センサが第2の装着状態にある場合の線10-10による図9の実施例の断面図である。
図11】通気口を含む係止部と、第2の装着状態にある近接センサとを含む薬物送達装置の実施例の断面図である。
図12】近接センサが第1の取り外し状態にある場合の図11の実施例の断面図である。
図13】流体送達インジケータと近接センサとを含む注射器の斜視図である。
図14】取り外し状態にある図13の実施例の部分断面図である。
図15】装着状態にある図13の実施例の部分断面図である。
図16図1から図15に示す上述の実施例のいずれか1つと協働することができる装着型注射器の斜視図である。
図17図16の装着型注射器の断面図である。
図18図16の装着型注射器の断面図である。
図19図1から図15に示す実施例のいずれか1つと協働することができる自動注射器の斜視図である。
図20図19の自動注射器の断面図である。
図21】第1の取り外し状態にある近接センサと可動プレートを含む係止部とを含む、薬物送達装置の実施例の断面図である。
図22】第2の装着状態にある近接センサと係止部とを含む図21の実施例の断面図である。
図23】近接センサとして機能する針アセンブリを含む図19および図20の自動注射器の代替版の断面図である。
図24図23の針アセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
注射器の形態の薬物送達装置は、近接センサにより決定されるように患者に対して注射器が移動する(例えば取り外される)場合の、薬液または製剤の送達を制限する様々なシステムを含むことができる。薬物送達システムは、近接センサにより決定されるように患者に対して注射器が移動する(例えば取り外される)場合の送達される(または送達されない)薬液または製剤の量を示すシステムを、代替的または追加的に含むことができる。注射器は例えば、装着型注射器または手持ち式の自動注射器であってもよい。注射器は、様々な薬液または製剤のうちの1つとともに使用することができる。
【0014】
一実施例では、注射器は、第1端部および第2端部を有するボアを含むリザーバと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリとを含む。注射器は、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有するカニューレと、プランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるようにプランジャアセンブリに連結されるばねとをさらに含む。注射器はまた、係止部がプランジャアセンブリおよびばねのいずれかに連結される場合に第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を制限するように、プランジャアセンブリおよびばねのいずれかに選択的に連結される係止部と、リザーバ、ばねおよび係止部がハウジング内に配置されたハウジングと、係止部に連結され、かつ、ハウジングに対して移動可能な近接センサとを含み、近接センサは、近接センサがハウジングから完全に延びる第1センサ状態と、近接センサがハウジング側に後退する第2センサ状態とを有し、近接センサが第1センサ状態にある場合、係止部はプランジャアセンブリおよびばねのいずれかに連結される。
【0015】
別の実施例によれば、プランジャアセンブリは、プランジャに取り付けられたプランジャアームを含み、係止部は、係止部がプランジャアセンブリに連結される場合にプランジャの移動を制限するようにプランジャアームに当接する壁を含み、近接センサは壁に連結され、近接センサが第1センサ状態にある場合、壁はプランジャアームに当接し、近接センサが第2センサ状態にある場合、壁はプランジャアームから離間される。
【0016】
別の実施例によれば、プランジャアームは自身に形成される少なくとも1つの肩部を有し、係止部がプランジャアセンブリに連結される場合、壁はプランジャの移動を制限するようにプランジャアームの少なくとも1つの肩部に当接する。
【0017】
別の実施例によれば、注射器は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ、プランジャアームに対して並進移動するようにハウジングに連結されるプレートをさらに含み、プレートは、係止部の壁を形成する第1端部と、近接センサを形成する第2端部とを有する。
【0018】
別の実施例によれば、注射器は、ハウジング内に配置され、かつ係止部の壁を形成する第1端部と、ハウジングの外側に配置可能であり、かつ近接センサを形成する第2端部とを有するレバーをさらに含む。
【0019】
別の実施例によれば、係止部は、係止部がばねに連結された場合にプランジャの移動を制限するようにばねに当接する壁を有し、近接センサは壁に取り付けられ、近接センサが第1センサ状態にある場合、壁はばねに当接し、近接センサが第2センサ状態にある場合、壁はばねから離間される。
【0020】
別の実施例によれば、注射器は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、かつ、ばねに対して並進移動するようにハウジングに連結されるプレートをさらに含み、プレートは、係止部の壁を形成する第1端部と、近接センサを形成する第2端部とを有する。
【0021】
別の実施例によれば、注射器は、ハウジング内に配置され、かつ係止部の壁を形成する第1端部と、ハウジングの外側に配置可能であり、かつ近接センサを形成する第2端部とを有するレバーをさらに含む。
【0022】
別の実施例によれば、注射器は近接センサに連結されたばねをさらに含み、ばねは、近接センサを第1センサ状態に向けて付勢する。
【0023】
別の実施例によれば、係止部は、プランジャアセンブリおよびばねのいずれかに可逆的に連結される。
【0024】
別の実施例によれば、係止部は、プランジャアセンブリおよびばねのいずれかに不可逆的に連結される。
【0025】
別の実施例によれば、近接センサは、近接センサがハウジング側に後退する第3センサ状態を有し、係止部は、近接センサが第3センサ状態にある場合にプランジャアセンブリおよびばねのいずれかに連結され、係止部は、センサが第2センサ状態を占めた後で第3センサ状態を占める場合に、プランジャアセンブリおよびばねのいずれかに可逆的に連結され、係止部は、センサが第2センサ状態および第3センサ状態のいずれかを占めた後で第1センサ状態を占める場合に、プランジャアセンブリおよびばねのいずれかに不可逆的に連結される。
【0026】
別の実施例によれば、係止部は、係止部がプランジャアセンブリおよびばねのいずれかに連結された場合、第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を防止する。
【0027】
別の実施例によれば、係止部は、係止部がプランジャアセンブリおよびばねのいずれかに連結された場合、第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を制限する。
【0028】
別の実施例によれば、注射器は手持ち式の自動注射器であり、注射器は近接センサを形成する針シールドを含む。
【0029】
別の実施例によれば、注射器は装着型注射器であり、注射器は、注射器を患者の身体に取り付けるために接着剤が塗布された表面を含む。
【0030】
さらなる実施例によれば、注射器は、第1端部および第2端部を有するボアを含むリザーバと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリと、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有するカニューレと、プランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるようにガス源がプランジャと流体連通している動作状態を有するガス源とを含む。注射器は、第1端部と第2端部との間のプランジャの移動を制限するようにガス源に選択的に連結された通気口を含む係止部と、リザーバ、ガス源および係止部がハウジング内に配置されたハウジングと、係止部に連結され、かつ、ハウジングに対して動作可能な近接センサとをさらに含み、近接センサは、近接センサがハウジングから完全に延びる第1センサ状態と、近接センサがハウジング側に後退する第2センサ状態とを有し、近接センサが第1センサ状態にある場合、通気口はガス源に連結される。
【0031】
別の実施例によれば、ガス源はガスの加圧容器である。
【0032】
別の実施例によれば、ガス源は、液体から気体または固体から気体への相変化が可能な材料の容器である。
【0033】
別の実施例によれば、通気口は封止部を含む。
【0034】
別の実施例によれば、通気口は穿孔可能な隔壁を含む。
【0035】
さらに別の実施例によれば、注射器は、第1端部および第2端部を有するボアを含むリザーバと、第1端部と第2端部との間のボア内で移動可能なプランジャを含むプランジャアセンブリと、カニューレがリザーバと流体連通して接続される動作状態を有するカニューレと、プランジャを第1端部と第2端部との間で移動させるようにプランジャアセンブリに連結されるばねとを含む。注射器は、プランジャアセンブリに選択的に機械的に連結されるインジケータと、リザーバ、ばねおよびインジケータがハウジング内に少なくとも部分的に配置されたハウジングと、インジケータに連結され、かつ、ハウジングに対して移動可能な近接センサとをさらに含み、近接センサは、近接センサがハウジングから完全に延びる第1センサ状態と、近接センサがハウジング側に後退する第2センサ状態とを有し、近接センサが第2センサ状態にある場合、インジケータはプランジャアセンブリに連結され、近接センサが第1センサ状態にある場合、インジケータはプランジャアセンブリから分離される。
【0036】
別の実施例によれば、プランジャアセンブリはプランジャに取り付けられたプランジャアームを含み、インジケータは、係合および脱係合するように移動可能な少なくとも1つのギヤを有するギヤ列を介してプランジャアームに機械的に連結され、近接センサは、少なくとも1つのギヤを脱係合するように移動させ、かつ近接センサが第1センサ状態にある場合にインジケータをプランジャアームから分離させるように、少なくとも1つのギヤに連結される。
【0037】
図1から図3に戻って、注射器100などの薬物送達装置は、リザーバ102、プランジャアセンブリ110、カニューレ114および駆動部116を含む。リザーバ102は、第1端部106と第2端部108とを有するボア104を含む。プランジャアセンブリ110は、第1端部106と第2端部108との間のリザーバ102のボア104内で移動可能なプランジャ112を含む。カニューレ114は、カニューレ114がリザーバ102と流体連通して接続される動作状態を含む。駆動部116は、ばねの形態で、プランジャ112を第1端部106と第2端部108との間で移動させるようにプランジャアセンブリ110に連結される。
【0038】
図1から図12に示した実施例によれば、注射器100はまた、ボア104の第1端部106と第2端部108との間のプランジャ112の移動を制限するように、プランジャアセンブリ110および駆動部116のいずれかに選択的に連結された係止部118を備える。例えば、係止部118は、プランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに連結されてもよい。例えば図1から図10を参照されたい。係止部118の別の実施例を図11および図12に示す。
【0039】
注射器100は、係止部118に連結され、かつ、リザーバ102、ばね116および係止部118が配置されたハウジング122に対して移動可能な近接センサ120を含む。近接センサ120は、近接センサ120がハウジング122から延びる(例えば完全に延びる)第1センサ状態(または位置)(例えば図1および図2参照)と、近接センサ120が第1センサ状態に対してハウジング122側へ後退して引き込まれる第2センサ状態(または位置)(例えば図3参照)とを有する。係止部118は、近接センサ120が第1センサ状態にある場合、プランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに連結されてプランジャ112の移動を制限または防止する。
【0040】
特定の実施例では、リザーバ102はプレフィルドシリンジの形態であってもよく、この場合、カニューレ114は、リザーバ102の第2端部108のハブ130に固定的または確実に取り付けられる針の形態であってもよい。図1を参照されたい。その他の実施例によれば、リザーバ102は予め充填されてもよいが、カニューレ114は、リザーバ102のハブ130に対して移動可能であってもよい。いくつかの実施例では、ハブ130は、カニューレ114が動作状態において隔壁を穿孔するために、ハブ130の方向へ移動することができるように隔壁を含むことができる。特定の実施例では、アセンブリは、動作状態においてカニューレ114をハブ130と流体接続させるようにカニューレ114とハブ130との間に配置されてもよく、アセンブリはまた、カニューレ114を患者に挿入することもできる。いくつかの実施例では、カニューレ114と隔壁との間の接合部で無菌状態を保つために、隔壁を穿孔するカニューレ114の端部の周りに障壁を配置することができる。いくつかの実施例では、カニューレ114は、リザーバ102(より具体的にはハブ130)に固定的または確実に取り付けられるかまたはこれに対して移動可能であってもよいが、リザーバ102は予め充填されなくてもよい。
【0041】
図1に示すように、プランジャアセンブリ110は、プランジャ112に取り付けられたプランジャアーム140を含んでもよい。係止部118は、係止部118がプランジャアセンブリ110に連結される場合に、プランジャ112の移動を制限するようにプランジャアーム140に当接する壁142を有する。近接センサ120が第1センサ状態(図1および図2)にある場合、近接センサ120は、壁142がプランジャアーム140に当接するように壁142(図示の通り、センサ120は壁142と一体的または壁142を有する1つの部品である)に連結され、近接センサ120が第2センサ状態(図3)にある場合、壁142はプランジャアーム140から離間される。
【0042】
いくつかの実施例では、プランジャアーム140には少なくとも1つの肩部144(図1)を形成してもよく、係止部118がプランジャアセンブリ110に連結される場合、壁142は、プランジャ112の移動を制限および/または防止するようにプランジャアーム140の少なくとも1つの肩部144に当接する。図1に示すように、プランジャアーム140は、少なくとも1つの肩部144を形成する少なくとも1つの特徴部150を有する長さの部分(すなわち、プランジャアーム140の長手方向軸148に沿った方向に延びるプランジャアーム140の寸法)を有する。例えば、プランジャアーム140は、突起部154(例えば歯部)を含む1つ以上の特徴部150が取り付けられたシャフト152を含んでもよい。いくつかの実施例では、突起部154を(1つの部品として)シャフト152と一体的に形成することができる。軸148に対して垂直に延びる突起部154の表面に沿って肩部144を形成し、突起部154がプランジャ112から最も離れて長手方向に位置決めされる場合、隣接する突起部154の間の空間またはノッチ156は、隣接する突起部154の間に壁142を配置することを可能にする。図1から図3に示す実施例の特徴部150もまた、プランジャアーム140内に形成される1つ以上の空間またはノッチ156として説明することができ、空間またはノッチ156は、シャフト152および突起部154として先述したプランジャアーム140の材料によって境界をつけられることが認められるであろう。これらは、開示された主題と同等の説明である。
【0043】
上述の通り、係止部118は、空間またはノッチ156に嵌合することによって係止部118をプランジャアセンブリ110に連結する壁142を含む。図1から図3に示す実施例によれば、注射器100は、ハウジング122内に少なくとも部分的に配置され、かつ、プランジャアーム140に対して並進移動するようにハウジング122に連結されるプレート158を含む。プレート158は、係止部118の壁142を形成する第1端部160と、近接センサ120を形成する第2端部162とを有してもよい。図2および図3を参照されたい。壁142を、例えば略平面構造として図2および図3に示すプレート158の一部であるとして説明したが、これは単なる例示にすぎない。係止部118の壁142は、ピン、フォークまたは明示されていないが意図する目的に適う任意の他の構成要素の一部によって形成することもできる。
【0044】
いくつかの実施例では、注射器100は(プレート158を介して)近接センサ120に連結されるばね166を含んでもよく、ばね166は、(再びプレート158を介して)近接センサ120を第1センサ状態に向けて付勢する。特定の実施例では、第2端部160は、ばね166が周りに配置されるガイド172を含んでもよく、ばね166の第1端部174はプレート158の肩部176に当接し、第2端部178はハウジング122の内面180に当接する。コイルばね166を図示したが、多数の付勢要素のうちのいずれかを使用してもよく、付勢要素は、プレート158の第1端部162をハウジング122から外側に付勢することができる。
【0045】
いくつかの実施例では、注射器100は、プレート158が動作線182に沿った並進移動以外をしないようにするハウジング122に取り付けられたガイドを含んでもよい。例えば、ガイドは、動作線182に対する横移動を防ぐようにプレートの側面のいずれかに(すなわち、図2に示すプレート158の右または左に)配置されてもよい。
【0046】
プレート158の第1端部160と第2端部162との間には開口部184が配置されている。開口部184は、第1端部162よりもプレート158の第2端部160に近接しているように見えるが、他の配置も可能である。さらに、開口部184は、開口部184の全周がプレート158によって画定されるようにプレート158によって完全に囲まれているように見えるが、開口部184の少なくとも一部分がプレート158によって囲まれていないことで、プレート158のみが開口部184の外周を部分的に画定することも可能である。さらに、開口部184の外周は図2において形状が長円形または鍵穴のように見えるが、開口部184は任意の特定の形状に限定されない。
【0047】
図1および図2に示すように、注射器100が患者の皮膚の表面に配置されない場合、ばね166によってプレート158に力が加えられた結果として、近接センサ120はハウジング122から延びる。図2を参照されたい。次に、プレート158は、プレート158が空間またはノッチ156のいずれかに存在するようにプランジャアセンブリ110、および特にプランジャアーム140に対して位置決めされる。図1および図2を比較されたい。注射器100が患者の皮膚の表面に配置される場合、近接センサ120は、ばね166の付勢に抗してハウジング122内へ移動される。結果として、プレート158は、プレート158がもはや空間またはノッチ156のいずれかに存在しないように、開口部184がプランジャアーム140と整列する位置内へ移動される。図3を参照されたい。これは、ばね116によってプランジャアーム140に力が加えられた結果として、プランジャアーム140および関連するプランジャ112の移動を可能にする。
【0048】
図1の向きに対する右側へのプランジャアーム140の移動中、注射器100は、患者の皮膚から取り外されるかまたは変位することがある。このような場合、開口部184がこれ以上プランジャアーム140と整列しない代わりにプレート158が空間またはノッチ156のいずれかに配置されるように、プレート158がばね166の付勢の下で移動することが可能になる。この型では、ばね166は、プレート158および近接センサ120の位置を示す機械力の形態で、情報を係止部118へ伝達する。この力は、ばね116の付勢時のプランジャアーム140のさらなる移動を防止し、かつリザーバ102から吐出される薬液または製剤の量を制限するプレート158と突起部154の1つとの間の係合を引き起こす可能性がある。すなわち、特定の実施例によれば、プレート158と突起部との間の係合は、任意のさらなる薬液または製剤がカニューレ114外へ通過することを防止することができる。その他の実施例によれば、プランジャアーム140および関連するプランジャ112は、係止部118が作動した後であっても制限された量の薬液または製剤がカニューレ114を介してリザーバ外へ通過することができるように、プレート158が空間またはノッチ156内に配置された状態になった後、ただしプレート158が突起部154に係合する前にある程度の距離を移動することができる。プランジャ112の全体的な移動を阻止しながらリザーバ102から吐出される薬液または製剤の量を制限することで、依然として著しい利点を得ることができることが認められるであろう。
【0049】
係止部118および近接センサ120を、例えば図1から図3に示すように並進するプレートによって形成する必要はない。図4および図5に示す実施例は、係止部118および近接センサ120の両方を形成する異なる構造を含む。図4および図5に示す注射器の実施例の構造の多くは図1から図3の実施例の構造と同一であり、同様の要素は同様の参照番号を有する。
【0050】
係止部118および近接センサ120の両方を形成する図4および図5に示す実施例の構造は、レバー190である。図5に示すように、レバー190は、ハウジング122内に配置され、かつ係止部118の壁142を形成する第1端部192と、ハウジング122の外側に配置可能で、かつ近接センサ120を形成する第2端部194とを有する。第1端部192と第2端部194との間には、ハウジング122に取り付けることができる枢軸196が配置されている。
【0051】
注射器100は近接センサ120に連結されたばね198を含んでもよく、ばね198は、センサ120がハウジング122から延びる場合、近接センサ120(レバー190)を第1センサ状態に向けて付勢する。図示の通り、ばね198は、枢軸196に配置され、かつ、第1センサ状態に向けて(すなわち、図5の向きに対して時計方向に)レバー190ひいてはセンサ120を付勢するように、レバー190の一方または他方に対してレバー190に力を加えるねじりばねである。他の付勢要素を代わりに用いてもよいことが認められるであろう。例えば、圧縮ばねを、レバー190ひいてはセンサ120を第1センサ状態に向けて付勢するようにレバー190の第1端部192とハウジング122との間に配置してもよい。
【0052】
レバー190を利用するために、注射器100の要素の向きについて若干の変更が必要である。レバー190の第2端部194のハウジング122内への移動は第1端部192が反時計方向に移動する原因となるため、プランジャアーム140、およびプランジャアーム140の空間またはノッチ156の向きは、図1から図3の実施例に示した向きとは逆となることがある。図4に示すように、空間またはノッチ156はプランジャアーム140の下に配置されてもよい。このようにして、注射器100を患者の皮膚に適用する際の第2端部194の移動が引き起こすレバー190の移動は、第1端部192がプランジャアーム140から離れて空間またはノッチ156それぞれの外へ移動する原因となる。そして、注射器100を患者の皮膚から取り外すと、意図的であろうとなかろうと、ばね198は、装置を係止するようにレバー190の第1端部192をプランジャアーム140側へそれぞれ空間またはノッチ156内へ移動させる。この型では、ばね198は、レバー190ひいては近接センサ120の位置を示す機械力の形態で、情報を係止部118へ伝達する。
【0053】
レバー190の1つの利点は、第2端部194の移動距離の拡大を可能にし、同様にして近接センサ120の感度を高めることができることである。特に、図6に示すように、第2端部194は、ハウジング122の表面に対して距離dを移動する(説明のために、この表面は患者の接触面でもある)。第1端部192は、同様にしてハウジング122の同一表面に対して距離Dを移動する。これら距離(dおよびD)は、レバー190の長さL、第2端部194に対するレバー190の長さl、およびハウジング122の表面に対する枢軸196のオフセットHに関連している。長さlが長さLの3分の1である場合、距離dの変化は(オフセットHが比較的小さいと仮定して)距離Dに対し約2倍の変化をもたらす。長さlが長さLの半分未満である限り、動作に対する感度の向上が実現されるであろう。
【0054】
レバー190を利用した実施例の感度は、レバー190の形状の変化によっても影響されることがある。図4から図6に示すレバー190は比較的直線状である。あるいは、レバー190は、第2端部194から第1端部192への移動の関係を変更するように、2つの端部192および194の間に屈曲部を有する形状であってもよい。
【0055】
図1から図3および図4から図6の実施例を、係止部118および近接センサ120の両方を形成する単一構造(プレート158、レバー190)を用いて図示してきたが、他の実施例をそのように限定しなくてもよい。例えば、係止部118を形成する第1プレートを注射器100の第1領域内に配置してもよく、かつ、センサ120を形成する第2プレートを第1領域から空間的に取り外された注射器100の第2領域内に配置してもよい点を除いて、プレート158と同様の並進するプレートによって係止部118およびセンサ120の両方をそれぞれ形成してもよい。センサ120を形成する第2プレートは、レバーまたはハウジング内に配置された他の機械システムによって係止部118を形成する第1プレートに連結されてもよい。単一構造が係止部118およびセンサ120の両方を形成した場合に可能となるより高い感度を提供するように、センサ120を係止部118に連結するレバーの枢軸を選択してもよい。さらに、係止部118およびセンサ120は単一構造によって形成されないため、係止部118がプランジャアーム140に近接して配置される一方で、レバーはセンサ120をカニューレ114に近接して配置することを可能にする。
【0056】
さらなる実施例では、センサ120の動作を係止部118の動作に変換するようにその他の構造または構造の組立体を用いてもよい。上述の例は実施例群の単なる1つの可能な実施例であり、個別の例は、係止部118およびセンサ120を注射器の空間的に離れた部分に配置可能にすることを必ずしも必要とせず、より優れた感度を可能にし、逆もまた同様である。さらに、実施例は、前述した実施例に加えて、またはそれらの代わりに、他の機能を提供することができる。例えば、中間構造またはアセンブリは、第1方向へ移動するセンサ120を第2方向へ移動する係止部118に連結することができ、第2方向は第1方向とは異なる(すなわち、係止部118が第1動作線に対して直角である第2動作線に沿って移動する一方で、センサ120は第1動作線に沿って移動することができる)。
【0057】
上述の通り、係止部118は、プランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに連結されてもよい。図7から図10に示すように、係止部118は、プランジャアセンブリ110の代わりにばね116に連結されてもよい。
【0058】
この実施例によれば、プランジャアセンブリ110はプランジャアーム140を含んでも含まなくてもよい。図7から図10に示すように、プランジャアセンブリ110はプランジャアーム140を含まないが、ばね116はプランジャ112に対して直接作用し、ばね116によって加えられる力はプランジャ112の移動を引き起こす。ばね116が、プランジャ112に直接力を加える代わりにプランジャアーム140などの中間構造に力を加えた場合、以下に説明する係止部118の実施例は同様に機能することが認められるであろう。
【0059】
図7に示す実施例によれば、係止部118は、係止部118がばね116に連結される場合に、プランジャ112の移動を制限するようにばね116に当接する壁200を有する。いくつかの実施例では、図示の通り、ばね116はコイルばねであってもよく、壁200は、プランジャ112に加えられた力を制限するようにばね116の隣接するコイル202の間に配置されてもよい。近接センサ120は壁200に取り付けられ、壁200は、近接センサ120が第1センサ状態にある場合にばね116に当接し、壁200は、近接センサ120が第2センサ状態にある場合にばね116から離間される。いくつかの実施例では、注射器は近接センサ120に連結されるばね204を含んでもよく、ばね204は、近接センサ120を第1センサ状態に向けて付勢する。
【0060】
図7および図8に示す実施例は、壁200を形成するプレート206を含んでもよい。プレート206は、ハウジング122内に少なくとも部分的に配置され、かつ、ばね116に対して並進移動するようにハウジング122に連結されてもよい。プレート206は、係止部118の壁200を形成する第1端部208と、近接センサ120を形成する第2端部210とを有してもよい。いくつかの実施例では、プレート206は、センサ120が第2センサ状態にある場合にばね116がプレート206を通過することができるような大きさの開口部212を含み、その結果、ばね116は、プレート206からの干渉なく自由に移動してプランジャ112に対して力を加える。
【0061】
プランジャアーム140に対するプレート158の動作および構成に関する説明を、ばね116に対するプレート206の動作および構成に対して同等の効果とともに適用する。例えば、図1から図3の型と同様に、図7および図8の注射器100が患者から取り外された場合、ばね204は、近接センサ120の位置を示す機械力の形態で情報を係止部118のプレート206に伝達する。
【0062】
いくつかの実施例では、注射器は、プレート206の代わりに図9および図10に示すようなレバー220を含んでもよい。図10に示すように、レバー220は、ハウジング122内に配置され、かつ係止部118の壁200を形成する第1端部222を有してもよい。レバー220もまた、ハウジング122の外側に配置可能で、かつ近接センサ120を形成する第2端部224を有してもよい。この注射器もまた、近接センサ120に連結されたばね228を有してもよく、ばね228は近接センサ120(レバー220)を第1センサ状態に向けて付勢する。例えば、ばね228はねじりばねであってもよい。
【0063】
プランジャアーム140に対するレバー190の動作および構成に関する説明を、ばね116に対するレバー220の動作および構成に対して同等の効果とともに適用する。例えば、図4から図6の型と同様に、図9および図10の注射器100が患者から取り外された場合、ばね228は、レバー220および近接センサ120の位置を示す機械力の形態で情報を係止部118の壁200に伝達する。さらに、単一構造によって、または1つ以上の中間構造または構造の組立体によって連結される分離構造によって形成される係止部118およびセンサ120に関する上述の説明を、図1から図6に示す実施例に対して適用したように、図7から図10に示す実施例について同等の効果とともに適用する。
【0064】
いくつかの実施例によれば、係止部118は、プランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに可逆的に連結されてもよい。例えば、投与の間に注射器100が患者の皮膚から取り外された場合、係止部118は、薬液または製剤のさらなる投与を制限するかまたは防止する。しかし、係止部118が可逆的である実施例では、注射器100が患者の皮膚に対して交換されたと近接センサ120が決定した場合、係止部118を係止解除するかまたは分離してもよい。他の実施例では、係止部118は、プランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに不可逆的に連結されてもよい。このような実施例は、注射器100が患者の皮膚に対して再び位置決めされたとしても、注射器100が動作することを防止する。いくつかの実施例では、係止部118を可逆的または不可逆的にする決定は、送達装置を使用する患者または介護者によって選択することができる。
【0065】
不可逆的な係止部118の一例を図1に示し、ここで、プランジャアーム140から上方に延びる特徴部150のうちの1つを除く全ては、特徴部150の間の空間またはノッチ156内に延在する横歯部151を含むことができる。図1の型では、特徴部150の全ては、プランジャ112に最も近接して位置する特徴部150を除いて歯部151を含む。このように構成され、注射器100が動作する前に、係止部118は、プランジャ112と隣接する歯部を含まない特徴部150との間に配置された空間またはノッチ156に存在する。注射器100が患者の皮膚に対して位置決めされると、近接センサ120および係止部118は、プランジャアセンブリ110がプランジャ112を駆動して薬物を患者に投与することができるように注射器100内へ移動する。これにより、プランジャアーム140は図1の向きに対して右側へ移動する。その後、注射器100が患者の皮膚から取り外されると、ばね166は、係止部118および近接センサ120を注射器100から例えば図1に示す位置へ戻すように付勢する。本明細書では、係止部118は、一方は歯部151を含む2つの特徴部150の間の空間またはノッチ156に位置決めされる。歯部151は、歯部151の底面が係止部118の上向き面と係合することによって係止部118および近接センサ120が注射器100内へ戻ることを防止するように、係止部118の上、または例えば係止部118に形成された凹部に存在する。図1は特徴部150が歯部151を有するとして示したが、これは、係止部118が不可逆的であるこれらの注射器100にのみ適用するものである。可逆的な係止部118については、注射器100は歯部151を含まない。
【0066】
注射器100のいくつかの実施例は、近接センサ120の状態に応じてプランジャアセンブリ110およびばね116の一方に可逆的に連結され、プランジャアセンブリ110およびばね116の他方に不可逆的に連結される係止部118を有してもよい。例えば、近接センサ120は、近接センサ120が第1センサ状態に対してハウジング側へ後退するが第2センサ状態までは後退しない第3センサ状態を有してもよい。いくつかの実施例では、第3センサ状態は、第1センサ状態と第2センサ状態との間の中間状態であると見なすことができる。近接センサ120が第3センサ状態にある場合、係止部118を、プランジャ112のさらなる移動を制限または防止するようにプランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに連結することができる。さらに、近接センサ120が第2センサ状態を占めた後に第3センサ状態にある場合、係止部118をプランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに可逆的に連結することができる。さらに、近接センサ120が第2センサ状態および第3センサ状態のいずれかを占めた後に第1センサ状態にある場合、係止部118をプランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに不可逆的に連結することができる。
【0067】
上記のことを示すために、以下の例を考慮する。患者は自身の皮膚に装置を適用する。結果として、近接センサ120はハウジング120に全体的または部分的に配置される。さらなる結果として、係止部118はプランジャアセンブリ110またはばね116から係合を解除されるかまたは連結を解除され、装置は薬液または製剤を患者へ注射し始める。
【0068】
その後、ただし総量が投与される前に、送達装置が妨害される可能性があり、近接センサ120により決定されるように装置が患者の皮膚から分離する原因となる。この妨害は、単にカニューレ114を患者の皮膚を浅く貫通させることがあるが、患者の皮膚から注射器100を、カニューレ114が完全に取り外されるかまたは投与部位の無菌状態が損なわれる程度に分離しない場合がある。このような状況で、薬液または製剤の送達は、カニューレ114の浅い貫通のために生じる可能性がある薬液または製剤の漏出を防ぐように、係止部118をプランジャアセンブリ110またはばね116に連結させることで中断することができる。しかし、この連結は可逆的であり、これにより、近接センサ120により決定されるようにカニューレ114を適切な深さまで後退させる力を加えることで、係止部118がプランジャアセンブリ110またはばね116から分離されて、薬液または製剤の投与を再開する。
【0069】
可逆的連結を有することで、リザーバ102に残る薬液または製剤は、首尾よく送達されることができ、最終的に廃棄物として処理されることはない。その結果、係止部118のプランジャアセンブリ110またはばね116への可逆的結合は、わずかな妨害または使用の誤りが発生した場合に投与量を確保しておく機会を提供する。さらに、これにより、加えられた圧力が「誤り」状態を回復または修正して送達の再開を可能にすることで、困難な解剖学的構造に対してより高い成功率をもたらすことができる。
【0070】
しかしながら、送達装置が、総量が投与される前にカニューレ114が患者から完全に取り外される(例えば、装置が患者から完全に離れ落ちる)ような程度まで妨害される状態になる場合、患者または介護者が注射器100を患者へ再び適用することを許容するのは望ましくないことがある。その結果、患者または介護者が注射器100を再び適用しようとする可能性を低減するために、係止部118を注射器100の任意のさらなる薬物送達を防止するようにプランジャアセンブリ110またはばね116に不可逆的に連結してもよい。
【0071】
この概念を説明するために、カニューレ114を深さ6mmまで挿入することが好ましく、かつ、深さ3mmが著しい漏出を引き起こさない実施例を考慮する。3mmの深さは送達継続閾値と呼ぶことができ、係属した送達が漏出の容認し難い危険性または不適切な投与を示す点、度合またはレベルを表すことができる。注射器100が適用され、近接センサ120が完全に後退した状態である場合、カニューレ114が深さ6mmまで挿入されたカニューレ114の状態に対応する。注射器100が妨害され、センサ120が完全に後退しないかまたは深さが3mmのカニューレに対応して完全に延びる(例えばセンサ120がハウジング122から3mm延びる)状態へ移動する場合、注射器100は、薬液または製剤を継続的に注射することができる。しかしながら、センサ120が深さ2mmのカニューレに対応する(例えばセンサ120がハウジング122から4mm延びる)状態へ移動する場合、注射器100は、係止部118をプランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに可逆的に連結することで薬液または製剤の注射を可逆的に制限することができる。センサ120が、その後に深さが3mmまたはそれ以上のカニューレに対応する(例えばセンサ120がハウジング122から3mm延びる)状態へ戻る場合、注射を再開することができる。
【0072】
しかしながら、センサ120が深さ0mmのカニューレに対応する(例えばセンサ120がハウジング122から6mm延びる)状態へ移動する場合、係止部118をプランジャアセンブリ110またはばね116に不可逆的に連結することで、注射は永久的かつ不可逆的に制限される。深さ0mmは装置取り外し閾値と呼ぶことができ、装置が損傷したか、取り外されたか、または、カニューレ114がさらなる送達/再適用が望ましくないかまたは危険となるような妨害を受けた可能性を示す点、度合またはレベルを表すことができる。カニューレの深さは0mmではないがいくつかの非ゼロの値(例えば1mm)であるという同様の結果が生じることがある。カニューレ114が患者の皮膚から完全に出ない場合であっても、依然として許容し難い危険性があると考えられるため、非ゼロの値を選択することができる。あるいは、センサ120が完全な分離を決定して、完全な分離(ハウジング122とセンサ120との間の例えば部分的な干渉)に対して偽陰性である場合に安全装置を作動させることを要件としないように、非ゼロの値を選択することができる。
【0073】
任意の特定の実施例の詳細は、例えば近接センサ120がハウジング120から延びる距離、カニューレ114の長さ、カニューレ114の患者への挿入の所望の深さ、および投与部位からの漏出の度合に対するカニューレの挿入の深さの関係性に影響されることがある。
【0074】
上述の実施例のいずれかによれば、係止部118は、係止部118がプランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに連結されると、第1端部106と第2端部108との間のプランジャ112の移動を制限して第1端部106と第2端部108との間のプランジャ112の移動を完全に防止することができる。あるいは、上述の実施例のいずれかによれば、係止部118は、係止部118がプランジャアセンブリ110およびばね116のいずれかに連結されると、第1端部106と第2端部108との間のプランジャ112の移動を完全に防止することなく、第1端部106と第2端部108との間のプランジャ112の移動を制限するだけでよい。すなわち、係止部118の係合または連結が直ちにプランジャ112の移動を完全に停止させることは、全ての実施例の要件ではない。特定の状況では、プランジャ112は、係止部118を作動させた後に限られた移動長さにわたって移動し続けることがある。係止部118の構造および動作の結果として、プランジャ112が移動する可能性がある特定の距離は既知でかつ既定のものであってもよく、または、距離は、係止部118の構造および動作または注射器100の製造における許容誤差に基づいて近似していてもよい。いくつかの実施例では、例えば、係止部118および空間またはノッチ156をプランジャアーム140上に形成する壁142の形状のために、係止部118の係合または連結の後に許容されるプランジャ112の任意の限られた移動長さが生じる可能性がある。すなわち、いくつかの実施例では、空間またはノッチ156は、壁142の幅あるいは厚みよりも大きい寸法を有することがある。したがって、いくつかの実施例では、係止部118が係合または連結された後であっても、空間またはノッチ156がより広くなる程度にプランジャ112が移動し続けることができることが予測できる。
【0075】
係止部118がプランジャアセンブリ110、特にプランジャアーム140に係合または連結する上述の実施例を、駆動部116がばねの形態ではない注射器100の実施例とともに用いることができる。例えば、係止部118が注射器100からの薬液または製剤の注射を制限するようにプランジャアセンブリ110に係合または連結する環境において、プランジャアーム140に作用する任意のデバイスを駆動部116として用いることができる。駆動部116がばねの形態ではない場合、係止部118と駆動部116との間の相互作用によって注射が制限される場合について他に考慮する必要がある。
【0076】
図11および図12に示す他の群の実施例によれば、注射器は、第1端部106および第2端部108を有するボア104を含むリザーバ102と、第1端部106と第2端部108との間のボア104内で移動可能なプランジャ112を含むプランジャアセンブリ110とを含む。注射器100はまた、カニューレ114がリザーバ102と流体連通して接続される動作状態を有するカニューレ114を含む。
【0077】
図11および図12に示す注射器100の実施例は、第1端部106と第2端部108との間でプランジャ112を移動させるようにガス源がプランジャ112と流体連通している動作状態を有するガス源250の形態で、駆動部116を含む。ガス源250は加圧ガスの容器であってもよい。いくつかの実施例では、ガス源250は、液体から気体または固体から気体への相変化が可能な材料の容器であってもよい。作動されると、ガス源250は正圧をプランジャアセンブリ110のプランジャ112に加える。いくつかの実施例では、ガス源250は、例えば注射器100の作動時に可動針によって穿刺される(従来のCOカートリッジ上の封止部と同様の)脆い封止部を含むことができる。近接センサ120の移動が針を自動的に移動させて脆い封止部を穿刺してガス源250を作動させることができるように、可動針を近接センサ120に動作可能に接続することができる。他の実施例では、注射器100は、注射器100の使用者が針を移動させてガス源250上の脆い封止部を破るためにボタンを押す必要があるような、可動針に動作可能に接続された独立したボタンを含んでもよい。さらに他の実施例では、注射器100は、注射器100の作動時にガス源250を開放して作動させる機械式または電気機械式の弁、または意図する目的を達成することが可能ないくつかの他の構造を含むことができる。
【0078】
このような実施例による注射器100は、第1端部106と第2端部108との間のプランジャ112の移動を制限または防止するようにガス源250に選択的に連結された通気口252を備える係止部118を含む。通気口252が開放されると、ガス源250からの正圧は、プランジャアセンブリ110のプランジャ112に対して力を加える代わりに通気口252を介して排出することができる。通気口252は、多数の異なる機構によって提供され、正圧がプランジャ112に送達される態様に依存することがある。例えば、通気口252を、不可逆的または可逆的な係止部を提供することができる破壊可能な壁または移動可能な封止部によって画定することができる。一実施例によれば、通気口252はダックビル弁の形態であってもよい。
【0079】
さらに、ガス源250および通気口252が脆い封止部または破壊可能な壁を有する場合、注射器100を「不可逆的な」係止部を有するものと見なすことができる。例えば、ガス源250および通気口252が開放されると、通気口252は、正のガス圧がプランジャアセンブリ110に加えられることを制限または防止する。このようなアセンブリでは、単一の圧力源(すなわち、ガス源250)のみが存在し、封止部が破損すると、特に通気口252の封止部も破損した場合に封止部が空になるまで内容物が排出されるため、開放された「通気口」は係止部が不可逆的に動作する原因となる。したがって、注射器100が患者から早期に取り外された場合、ガス源250は、その後に通気口252から排気されるガスを排出し続ける。ガス源250が使用済みとなった場合、その後に再投与しようとする試みは失敗するであろう。
【0080】
いくつかの実施例では、通気口252は、穿孔可能な隔壁またはダックビル弁などの封止部254、および通気カニューレ256を含むことができる。通気カニューレ256は、封止部254を穿孔して通気口252の外へ排気通路を設ける。リザーバ102、ガス源250および係止部118はハウジング122内に配置されてもよい一方で、近接センサ120は、ハウジング122の外側に全体的または部分的に配置されてもよい。
【0081】
いくつかの実施例によれば、近接センサ120は係止部118に連結され、ハウジング122に対して移動可能である。近接センサ120は、近接センサ120がハウジング122から延びる(例えば完全に延びる)第1センサ状態と、近接センサ120が第1センサ状態に対してハウジング122側へ後退して引き込まれる第2センサ状態とを有する。通気口252は、近接センサ120が第1センサ状態にある場合にガス源250に連結される。
【0082】
図11および図12に示す注射器100は、ガス源250をリザーバ102に接続するチャンバ258を含む。通気口252は、チャンバ258の壁内に配置される。通気カニューレ256は、先端が鈍く開口した針の形態であってもよく、通気レバー262の第1端部260に取り付けられる。通気レバー262の第2端部264は近接センサ120に連結され、ハウジング122の壁内の開口部268を介して延在するカップ状のボタン266の形態であってもよい。ボタン266の動作は、通気レバー262によって通気カニューレ256へ伝達される。
【0083】
近接センサ120、および特にボタン266は、ばね274によってハウジング122から外側へ付勢される。ばね274は、支持部276と通気レバー262の第2端部264との間に配置されてもよく、ボタン266は、通気レバー262の端部264に対して支持部276に対向して配置される。
【0084】
動作において、近接センサ120が延び(図12参照)、かつ、ガス源250がまだ作動されていない状態で、通気カニューレ256は封止部254に係合してチャンバ258を排気する。ガス源250はまだ作動されていないので、プランジャ112の移動に影響はない。しかしながら、近接センサ120がハウジング122内へ後退すると、通気カニューレ256がもはや封止部254を遮断せず、ガス源250によって正圧をチャンバ258内で生成することができるように、通気カニューレ256は移動される。例えば注射器100が患者から取り外されることによって総量が投与される前に近接センサ120が延びる場合、通気カニューレ256が封止部254と係合するように移動し、かつ、チャンバ258内の正圧が通気カニューレ256を介して排出されるように、ばね274は通気レバー262を付勢する。これにより、チャンバ258内の圧力を減少させ、プランジャ112の移動が制限されるか、さらには停止される。この構成では、ばね274は、通気レバー262および近接センサ120の位置を示す機械力の形態で、情報を係止部118、具体的には通気レバー262および通気カニューレ256へ伝達する。
【0085】
図11および図12に提供された実施例は、例示のみを意図している。封止部254、通気カニューレ256および通気レバー262の代わりにその他の構造を代用してもよい。チャンバ258はリザーバ102およびガス源250と連通して設けられているが、チャンバ258は他の実施例に存在しなくてもよい。さらに、いくつかの実施例では、カニューレ114は、図11および図12に示すように流れを可能にする開口針であってもよく、または、封止部254に挿し込まれた場合に封止を防ぐ任意のものであってもよい。このように、カニューレ114は、封止が弱いかまたは正方形の形状がさらに多くの流れを促進する可能性がある流路を周囲に形成するように、薄型の中実ロッドを含むことができる。例えば隔壁を針の周囲を再封止するように設計することができるので、図示の開口針は隔壁を穿刺するのに有用である。いくつかの実施例では、ダックビル弁の構成は、一方向の圧力に対して遮断されていない場合に良好に封止することができる。
【0086】
注射器100のいくつかの実施例では、リザーバ102はハウジング122の壁を通して視認することができる。このような実施例によれば、係止部118の動作の結果として薬液または製剤の投与が中断された場合、患者または介護者は、リザーバ102に残っている総投与量を視覚的に判定することができる。他の実施例では、リザーバ102は、窓を設けることなくハウジング122内に完全に囲まれてもよい。
【0087】
リザーバ102を可視化することが困難または不可能な状況に対処するために、注射器の実施例の第3の群を図13から図15に示す。この実施例の群は、本明細書に記載の注射器100の任意の実施例と併用して用いることができる。これらの実施例を、第1端部106および第2端部108を有するボア104を含むリザーバ102と、第1端部106と第2端部108との間のボア104内で移動可能なプランジャ112を含むプランジャアセンブリ110とを含む注射器とともに用いることができる。カニューレ114がリザーバ102と流体連通して接続される動作状態を有するカニューレ114を含んでもよい。注射器100は、プランジャ112を第1端部106と第2端部108との間で移動させるようにプランジャアセンブリ110に連結されるばね116をさらに含む。これらの構造の全ては例えば図1から図3に示され、図13から図15に関して記載した実施例にも適用することができる。
【0088】
先述の実施例とは対照的に、図13から図15に示す実施例はプランジャアセンブリ110に機械的に連結されたインジケータ290を含む。リザーバ102、プランジャアーム140およびインジケータ290は、ハウジング122内に少なくとも部分的に配置される。
【0089】
近接センサ120はインジケータ290に連結され、かつハウジング122に対して移動可能であり、近接センサ120は、近接センサ120がハウジング122から延びる(例えば完全に延びる)第1センサ状態と、近接センサ120が第1センサ状態に対してハウジング122側へ後退する第2センサ状態とを有する。この型では、センサ120は図4から図6および図9から図10の回動センサ120と類似しており、したがって、インジケータ290を、図4から図6および図9から図10の実施例または本明細書で開示した任意の他の実施例に組み入れることができることが理解されるべきである。すなわち、インジケータ290は、開示したように係止部を含む他の注射器と組み合わせることができる。図14および図15の型では、インジケータ290は、近接センサ120が第2センサ状態にある場合にプランジャアセンブリ110に連結され、インジケータ290は、近接センサ120が第1センサ状態にある場合にプランジャアセンブリ110から分離される。
【0090】
インジケータ290は、プランジャ112の内部運動をハウジング122の外部に反映して可視化を可能にする。注射器100が患者から取り外されたことを近接センサ120が検出すると、インジケータ290は、インジケータ290がリザーバ102に残っている投与量部分を示すことができるようにプランジャ112から分離される。特定の実施例によれば、注射器100が再び位置決めされるかそうでなければ調整された後に注射器100が注射を再開させる場合に、注射が再開されたときのプランジャアセンブリ110の動きをインジケータ290が継続して反映することができるように、インジケータ290をプランジャアセンブリ110に可逆的に連結してもよい。その他の実施例によれば、投与中に誤りが発生し場合の注射器100の状態を維持するようにインジケータ290をプランジャアセンブリ110から不可逆的に分離してもよい。注射器100の状態を維持することは、投与(すなわち、発生前)の予定された方法によって投与される量および患者の全般的な疾患/治療条件に応じて将来の行動を決定する際に患者または介護者を支援するのに有用である。
【0091】
例えば、図14に示すように、プランジャアセンブリ110は、プランジャ112に取り付けられたプランジャアーム140を含んでもよい。このような実施例によれば、インジケータ290は、係合および脱係合するように移動可能な少なくとも1つのギヤ294を有するギヤ列292を介してプランジャアーム140に機械的に連結されてもよい。近接センサ120は、少なくとも1つのギヤ294を脱係合するように移動し、かつ、近接センサ120が第1センサ状態にある場合にインジケータ290をプランジャアーム140から分離するように、少なくとも1つのギヤ294に連結されてもよい。
【0092】
図14および図15に示す実施例によれば、ギヤ列292は、移動可能なピニオンギヤ294だけでなく、プランジャアーム140およびインジケータ290の対向面300および302に形成される2つのラック296および298も含む。ギヤ294が、図15に示すようにラック296および298に同時に係合する場合、ギヤ294はプランジャアーム140の動作をインジケータ290に伝達する。図14に示すようにギヤ294がラック296から係合を解除されると、インジケータ290はプランジャアーム140の任意の動作から分離される。
【0093】
ピニオンギヤ294は、ラック296および298と係合するようにばね304によって付勢される。リンケージ306は第1端部308のギヤ294を通過して、第2端部312のさらなるリンケージ310に取り付けられる。リンケージ310は、(図示のように)紐またはコード状の可撓性リンケージであってもよい。他の実施例では、リンケージ310は、追加のレバー、ギヤ、連結部などの剛性のある機械式リンケージを含んでもよい。図示の可撓性リンケージ310は、ドラム、ホイールまたはプーリ314周辺を通過して近接センサ120に接続されてもよい。近接センサ120は、枢軸320でハウジング112に取り付けられた第1端部318と、リンケージ310に取り付けられた第2端部322とを有するレバー316によって形成されてもよい。レバー316は、図14および図15に示すように、さらなるばね324によって枢軸320を中心に時計回りに移動するように付勢されてもよい。
【0094】
任意の上述の実施例の注射器100は装着型注射器であってもよく、注射器100は注射器100を患者の身体に取り付けるために接着剤が塗布された表面を含む。例えば、図16から図18は、図1から図15に示す任意の実施例を組み込むことができる装着型注射器400を示している。いくつかの実施例では、注射器400は装着可能な使い捨てのシステムであってもよい。注射器400は、患者または装着者に接着剤で取り付けることができる使い捨てのハウジング402を含んでもよい。
【0095】
使い捨てのハウジング402はプラスチック材料製であってもよい。図17から分かるように、ハウジング402は、装着者の肌に対して取り付けられるプレート404と、および、好ましくはプレート404の周縁408とドーム406の周縁410との間の接点の封止部によってプレート404に取り付けられるドーム406との2つの部分によって形成されてもよい。
【0096】
図17に示すように、ハウジング402は内部空間414を画定する内面412、および外面416を有する。特に、プレート404は内面418および外面420を有し、ドーム406は内面422および外面424を有する。図示の実施例によれば、ハウジング402の内面412はプレート404およびドーム406の内面418および422によって画定される一方で、ハウジング402の外面416はプレート404およびドーム406の外面420および424によって画定される。
【0097】
ハウジング402は装着者の肌に取り付けられてもよい。いくつかの実施例では接着剤を用いてもよい。接着剤は、1回の適用中にハウジングを肌に解放可能に固定するのに適している。図16に示すように、接着剤は、ハウジング402の外面416の部分428上の層426に配置され、特にプレート404の外面420に配置される。接着剤は、ハウジング402を装着者の肌に適用する前に、取り外し可能で使い捨てのシート430で覆われる。
【0098】
図17および図18から分かるように、リザーバ440、駆動部442、カニューレ(または構造、以下参照)444および挿入器446がハウジング402内に配置されている。図示の実施例によれば、リザーバ440は、第1端部454でポート452を有する剛性壁のシリンダまたはボア450と、薬液または製剤を、ポート452(図17)を介してリザーバ440から押し出すために第2端部460と第1端部454との間でシリンダ450の長手方向軸458に沿って移動するように取り付けられたプランジャ456との組み合わせによって少なくとも部分的に形成されてもよい。プランジャ456の移動は、駆動部442の動作によって引き起こされてもよい。さらに、図示の通り、弁451は、リザーバ440と、カニューレ444に流体連結された送出ライン453との間のポート452の出口に配置されてもよい。
【0099】
駆動部442はプランジャアームおよびばねを含んでもよい。プランジャアームは、プランジャ456をシリンダ450に沿って付勢するように少なくともプランジャ456の第1端部で接触してもよく、ばねは、プランジャアーム/プランジャ456を長手方向軸458に沿って移動させるようにプランジャアームに連結されてもよい。プランジャアームおよびばねの組み合わせもまた、駆動部またはアクチュエータの一例として参照してもよい。加圧ガスや相変化を受ける材料などの他の機構を、シリンダ450に沿ってプランジャ456を移動させるようにプランジャ456に力を加える駆動部442として用いてもよい。この点で、図1から図12に関連して上記に開示した実施例、または、意図する目的に適う任意の他の実施例に応じて、駆動部442を構成することができる。
【0100】
その他の実施例によれば、図17に示す剛性壁のシリンダ450およびプランジャ456の代わりに非剛性の折り畳み可能な袋を代用してもよい。リザーバ450が非剛性の折り畳み可能な袋状である実施例では、リザーバ450を圧縮して加圧するためにばねを基礎とした機械システムを用いてもよい。他の実施例では、プランジャ456を移動させるかまたは非剛性の折り畳み可能なリザーバを圧縮するために非機械的システムを用いてもよい。例えば、2成分系を含むガス生成システムを用いてもよく、これら成分は、混合されてガスが生成されるまで分離されている。いくつかの実施例では、膨潤性ゲルを用いてもよく、ここで、装置内部の供給源から水を導入することにより、プランジャを移動させるかまたはリザーバを圧縮するゲルの容積が増大する。さらなる例として、プランジャ456を移動させるかまたはリザーバを圧縮するために推進剤リザーバを開放して推進剤を吐出することができる。プランジャ456を移動させるかまたはリザーバを圧縮するために用いられる構造の動作を防止することによって注射器400が送達中に患者から分離された場合のこのような動作を制限するために、本開示の実施例を用いることができる。
【0101】
特定の実施例によれば、リザーバ440は、プレフィルドカートリッジまたはプレフィルドシリンジなどの予め充填された容器であってもよい。あるいは、注射器400はリザーバ440と流体連通している充填ポート480を含んでもよく、充填ポート480はシリンジのルアーチップを受けるように適合されるが、例えばゴム製の隔壁を代わりに用いることができる。使用において、医療提供者は薬液または製剤をシリンジから充填ポート480を介してリザーバ440へ注入することができ、シリンジを(上述の任意の材料が充填された)プレフィルドシリンジとして送達注射器400一式とともに医療提供者に提供してもよい。
【0102】
カニューレ(または構造)444は、尖端部490(またはカニューレ444全体)がハウジング402内に引き込まれる後退状態と、尖端部490がハウジング402から突出する展開状態とを有してもよく、挿入器446は、カニューレ(または構造)444を後退した状態から展開状態へ移動させる。いくつかの実施例では、注射器400は、上述の近接センサ1210のいずれか1つと類似している近接センサ120を含み、近接センサ120は、カニューレ444と同様の態様でハウジング402(具体的にはプレート404)から延び、展開状態と後退状態との間を移動することができる。
【0103】
カニューレ444は中空であってもよく、薬液または製剤を患者に直接投与するために用いることができる。あるいは、構造444の周りに嵌合するカニューレ492とともに構造444を用いてもよく、構造444は、カニューレ492を、注射部位を介して患者へ挿入するために用いられ、薬液または製剤は投与中にカテーテル492を通過して患者の体内に入る。特定の例示的な実施例によれば、注射器400は、軟質カニューレを皮下組織に自動的に挿入するための針を用いてもよく、針は、薬液または製剤が軟質カニューレを介して通過する前に引き抜かれる。
【0104】
図17に示すように、ハウジング402(具体的にはプレート404)は、カニューレ(または構造)444(および任意にはカニューレ492)が通過することを可能にする開口部または開放部494を有してもよい。特定の実施例によれば、開口部494を、カニューレ444(およびカテーテル492)の開放部494を介した移動に対する妨害または障害がないように閉塞していない状態とすることができる。しかしながら、カニューレ444の無菌状態および装置の容器閉塞完全性(CCI)を良好に維持するために、隔壁を開口部494の内部または上に配置してもよい。
【0105】
隔壁はゴム製であってもよく、針444が後退状態である場合にカニューレ444(および空間414)と患者の皮膚との間に配置されてもよい。展開状態では、針444(すなわち尖端部490)の少なくとも一部分が空間414から隔壁を介して延びる。したがって、隔壁は、内部空間414と外部環境との間の障壁として常に存在する。
【0106】
いくつかの実施例では、注射器400はコントローラ500を含む。コントローラは、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含んでもよく、プロセッサは、コントローラが行うように適合された動作を実行するようにプログラム化され、メモリは、実行可能な命令が記憶された1つ以上の有形の非一時的な可読メモリを含み、少なくとも1つのプロセッサによって実行される場合の命令は、コントローラが行うように適合された動作を少なくとも1つのプロセッサに実行させることができる。他の実施例では、コントローラは、コントローラが行うように適合された動作を実行する回路を含んでもよい。限定ではなく例示として、コントローラ500は、薬物送達システムに関連する上述の方法のいずれか1つを実行するように適合されてもよい。
【0107】
本開示の特定の実施例によれば、係止部および近接センサは、機能を一括して提供するプレートまたはレバーあるいは構造の組立体などの単一構造によって形成されてもよい。あるいは、係止部は近接センサから離間して形成された構造であってもよい。このような場合、機械式スイッチまたは光スイッチなどのスイッチの使用によって近接センサの移動を検出することができ、このスイッチはコントローラ500に接続されて、近接センサが位置または状態へ移動または変更する場合に、情報を信号(または複数の信号、あるいは信号無し(低対高))の形態でコントローラ500に提供することができる。いくつかの実施例では、係止部は、図17および図18に示すようにコントローラ500に接続された弁451であってもよく、近接センサは、可動カニューレ444またはハウジング内に取り付けられた他の可動近接センサの位置を検出するために例えばハウジング内に取り付けられた、電気センサ(例えばホール効果センサ)または電気機械式センサ(例えば線形可変差動変圧器(LVDT))を含んでもよい。コントローラ500はこうして弁451に動作可能に接続されてもよく、カニューレ444または他の近接センサに連結されたスイッチまたは他の装置から受信した信号に応答して、位置または状態の間で弁451の状態を変更する信号の形態で情報を弁451に伝達することが可能である。例えば、コントローラ500は、開閉位置または開閉状態の間で弁451を移動させることが可能な線形アクチュエータなどのアクチュエータに連結されてもよい。
【0108】
いくつかの実施例では、コントローラ500を用いる他の利点は、係止部または弁451の状態を可逆的または不可逆的として定義することを含むことができる。例えば、いくつかの実施例では、近接センサは、第1状態および第2状態だけでなく1つ以上の第3状態(例えば中間状態)も含むことがあり、ここで、係止部(例えば弁451)は可逆的状態を占めている状態から不可逆的状態へ移行してもよい。したがって、この機能は、近接センサおよび係止部(例えば弁451)と動作可能に連絡しているコントローラ500を用いることによって達成することができる。このように、特定の患者、投与される特定の薬液または製剤、または一般的に任意の他のパラメータに基づいてコントローラ500のメモリに記憶された論理またはソフトウェアによって、係止部の状態を可逆的から不可逆的へ変換する感度または閾値を具体的に管理することができる。
【0109】
図17および図18の係止部を弁451として説明してきたが、他の実施例では、係止部を他の形態とすることができる。例えば、図21および図22は注射器400の代替版を示しており、ここで、係止部は、例えば図1から図3に関して説明した近接センサ120に類似した可動プレート461を含む。プレート461は、先の実施例と同様に、注射器400を患者の皮膚へ適用する際にプレート461がハウジング402内へ後退して図22に示す位置まで後退するように、図21に示す位置へばね付勢される。図示の通り、プレート461もまた、注射器400の流体ライン453が通過する開口部465を含む。図21および図22では、流体ライン453は可撓性ラインである。また、図21では、プレート461内の開口部465の内縁463は、プレート461が閉鎖された流体ラインを挟持することができるように流体ライン453の上部側壁を圧迫する。このようにして、プレート461内の開口部465の内縁463は、リザーバ440内の流れが流体ライン453の挟持された部分を通過することを制限するかまたは防止する。したがって、プレート461は係止部として機能する。注射器400が患者の皮膚に適用されると、プレート461は、駆動部442の動作の下でリザーバ440に保存された薬液または製剤が流体ライン453を自由に通過することができるように、図22に示すように開口部465の内縁463が流体ラインから脱係合するように移動するハウジング内へ十分離れて後退する。
【0110】
上述の実施例のいずれかの注射器は手持ち式の自動注射器600であってもよく、注射器は、近接センサを形成する針シールドを含む。図19および図20を参照されたい。自動注射器600は、カニューレを患者へ挿入するかまたは挿入を可能にし、かつ、薬液または製剤をリザーバからカニューレを介して患者へ注射する組立体または構造体を配置することができるハウジング610を含んでもよい。特定の実施例によれば、カニューレを患者へ挿入する同一の組立体または構造体もまた、薬液または製剤をリザーバからカニューレを介して患者へ流入させることができる。自動注射器600はまた、カニューレをリザーバに接続し、カニューレをハウジング610内に引き込むか、または、カニューレが患者から取り外されると、カニューレとの接触を防止するその他の構造を展開する組立体または構造体を含んでもよい。以下に説明する自動注射器600の特定の実施例は、限定ではなく例示として提供される。いくつかの実施例では、自動注射器600は、カニューレ(例えば針)を患者へ挿入するように導くかまたは強制する組立体または構造体を含んでも含まなくてもよい。いくつかの実施例では、単にカニューレを患者と接触するように移動させることによってカニューレの患者への挿入が起こるように、カニューレを自動注射器600のハウジングに対して実質的に固定することができる。
【0111】
いくつかの実施例では、薬物送達システム600は、リザーバ612と流体連通して接続されるかまたは接続可能な第1端部616と、患者へ挿入することができる第2端部618とを有するリザーバ612およびカニューレ614を含む。カニューレ614は、例えば、針614の第2端部618が皮膚下に受け入れられてリザーバ612内の薬液または製剤の皮下注射を送達するような大きさにされる、面取りされた縁部を有する剛性針であってもよい。針614の第1端部616は、リザーバ612の壁620を介して配置されることでリザーバ612と流体連通して接続されてもよい。図示の通り、針614の第2端部618が患者に挿入されるまで針614の第1端部616をリザーバ612と流体連通して接続することができないように、針614の第1端部616を、壁620(壁620は例えば再封止可能な隔壁またはストッパであってもよい)を介して部分的にのみ配置してもよい。このように構成されて、本明細書で用いられ、かつ後述するように、この実施例の壁620は係止部である。また、いくつかの実施例では、患者から取り外されると、針614の第1端部616は再びリザーバ612との流体連通から分離された状態となる。このような状況で、針614の第1端部616を、リザーバ612と流体連通して接続可能であるとして説明することができるが、針614の第1端部616がリザーバ612と流体連通して接続可能であるが接続されていない他の機構が存在することが認められるであろう。
【0112】
いくつかの実施例では、薬物送達装置600は、針614の第2端部618への接近を制限するために少なくとも注射が完了した後に展開することができるシールド622を含む。特定の実施例によれば、シールド622は、シールド622が肌に対して配置されて針614の注入が作動する場合を除いて、シールド622の先端部626が針614の第2端部618を越えて延びることができるようにシールド622をハウジング610から展開する(ばねなどの)付勢要素を有してもよい。実際に、シールド622の先端部626を患者の皮膚の上にまたは対向して配置することで、自動注射器600の特定の実施例に応じて針614の注入を作動させることができる。本開示の特定の実施例によれば、シールド622は近接センサ120を形成してもよい。
【0113】
いくつかの実施例では、薬物送達装置600は、針614の第2端部618を患者の皮膚へ挿入するために、かつ、薬液または製剤をリザーバ612から針614を介して患者へ注射するために用いることができる少なくとも1つの駆動部630を含む。駆動部630は、特定の実施例による1つ以上のばねを含んでもよい。他の実施例では、駆動部630は、薬液または製剤を吐出するためにリザーバ612に加えることができる原動力を提供する流出したガスまたは相変化材料のような圧縮ガスの供給源または相変化を受ける材料の供給源を含んでもよい。さらに他の実施例によれば、駆動部630はモータなどの電気機械式システムを含んでもよい。
【0114】
駆動部630は、壁632を患者の皮膚へ向かって移動させるためにリザーバ622の壁632と協働してもよい。このような実施例によれば、壁632はボア634内で受けられるストッパであってもよく、ボア634に沿って第1端部から第2端部へ移動して薬液または製剤をリザーバ612から注射することができる。駆動部630もまた、リザーバ612をハウジング610に対して移動させて針614の第2端部618をハウジング610に対して患者の体内へ移動させるために、壁632および/またはボア634と協働してもよい。駆動部630がストッパ632と協働するこれらの実施例によれば、これは、針614の第1端部616がリザーバ612と流体連通する前に起こることがある。駆動部がボア634と協働するこれらの実施例によれば、駆動部は、ボア634と協働してリザーバ612および針614をハウジング610に対して移動させる1つの要素(例えば第1ばね)と、ストッパ632と協働してストッパ632をボア634に対して移動させる第2要素(例えば第2ばね)とを含んでもよい。
【0115】
いくつかの実施例では、駆動部630はアクチュエータ640に関連している。アクチュエータ640は、駆動部630に針614を挿入させて薬液または製剤をリザーバ612から針614を介して患者へ注射させるように駆動部を作動させる。特定の実施例によれば、アクチュエータ640はシールド622であってもよい。その他の実施例によれば、アクチュエータ640は、自動注射器600が患者の皮膚の上にまたは対向して配置されるとユーザによって押されるボタンであってもよい。図19および図20に示す実施例は、装置の一方端に配置されたアクチュエータ640を有しているが、アクチュエータ640は装置の側面に配置されてもよい。
【0116】
特定の実施例によれば、自動注射器600は少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含んでもよい。コントローラもまた、例えばバッテリなどの電源を含むかまたはこれに接続されてもよい。プロセッサは、コントローラが行うように適合された動作を実行するようにプログラム化され、メモリは、実行可能な命令が記憶された1つ以上の有形の非一時的な可読メモリを含み、少なくとも1つのプロセッサによって実行される場合の命令は、コントローラが行うように適合された動作を少なくとも1つのプロセッサに実行させることができる。あるいは、コントローラは、コントローラが行うように適合された動作を実行する他の回路を含んでもよい。
【0117】
第1端部616が壁620を貫通する前に、壁620は、リザーバ612と針614との連通を封止することによってボア634内の壁632またはストッパの移動を制限する。この方法では、壁620は本明細書で用いられるような係止部である。しかし、上述の通り、図19および図20の自動注射器600の針614の第2端部618が患者へ挿入されると、針614の第1端部616は壁620を貫通してリザーバ612と流体連通するようになる。いくつかの実施例では、針614の第2端部618が患者から取り外されると、少なくとも針614の第1端部616がもはやリザーバ612内に存在せず、むしろ壁620の内側に存在するか、または、第1端部616がさらに離れて壁620の対向面の間の位置に存在するように、例えば壁620を介して引き戻されることで、針614の第1端部616は再びリザーバ612との流体連通から分離された状態となる。この方法では、壁620は、針614の第1端部616が先に通過してリザーバ内へ入った開放部を自動的に封止することができ、これにより、流体送達機構を係止する。
【0118】
図23および図24は、図19および図20に示す自動注射器600の代替版を示しており、この機能性を容易にしている。図23および図24では、自動注射器600は、針614が患者から取り外された場合に針614をリザーバ612との流体連通から分離する針アセンブリ700を含む。図示の通り、針アセンブリ700は保持器702とばね704などの付勢部材とを含む。保持器702は針614に固定され、かつ、シールド622に隣接するハウジング610に摺動可能に配置される。ばね704はコイルばねであってもよく、リザーバ612の壁620と保持器702との間に配置される。図示の型では、保持器702の上面706は、ばね704の第1端部710が着座する環状凹部708を画定する。ばね704の第2端部712は、壁620(または壁620周囲の構成要素)に対して着座している。このように構成されて、ばね704は、針アセンブリ700をリザーバ612および壁620から離れるように(すなわち、図23に示す自動注射器600の向きに対して下側に)付勢する。
【0119】
したがって、針614の第2端部618が患者に挿入された場合、保持器702の底面714は患者の皮膚に当接することによって、本実施例の近接センサとして機能する。自動注射器600に対して患者の皮膚の方向に力が加えられると、針アセンブリ700は、針614の第1端部616が壁620を完全に貫通してリザーバ612と流体連通するように、ばね704の力に抗してハウジング610内へ移動する。これにより、リザーバ612内の薬剤が患者投与のために針614の第1端部616内へ入ることが可能になる。針614が患者から取り外された場合、ばね702は、保持器702を図23に示す位置へ戻すように必然的に付勢し、次に、針614および保持器702が互いに固定されているため針614を保持器702とともに引き込む。図23に示す型では、自動注射器600のハウジング610は、シールド622に隣接するハウジング610の内側によって担持された1つ以上の停止部716をさらに含む。ばね702は保持器702をリザーバ612から離れるように付勢し、保持器702は停止部716と接触する。したがって、停止部716は、保持器702が停止部716に係合している場合に針614の第1端部616が完全に引き抜かれてリザーバ612と流体連通しないように、リザーバ612から離れるように保持器702および針614の変位を制限する。図示の型では、これもまた、針614の第1端部616が係止部として機能する壁620内に存在することを意味している。すなわち、この構成の壁620は、装置が患者から取り外された場合に針614を介して流路を封止することで、壁623またはストッパの移動をさらに制限する。この型では、針614の第2端部618がその後に患者に再挿入された場合、例えば針アセンブリ700は、針614の第1端部616が壁620を完全に貫通してリザーバ612と流体連通するように、ばね704の力に抗してハウジング610内へ再び移動することができるので、係止部としての壁620は可逆的である。他の型では、装置は、このような可逆的動作の発生を防止する追加の構造を含むことができる。
【0120】
本開示は、薬物送達装置とともに用いるための様々なシステムおよび方法を説明する。システム、方法または薬物送達装置は、以下に挙げる薬液または製剤の使用を含むことができるが、以下のリストは包括的でも制限的でもないと見なされるべきである。薬液または製剤はリザーバ内に収容される。いくつかの場合、リザーバは、薬液または製剤での治療のために充填されるかまたは予め充填される主容器である。主容器はカートリッジまたはプレフィルドシリンジであってもよい。
【0121】
例えば、薬物送達装置、またはより具体的には装置のリザーバは顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子で充填されてもよい。このようなG-CSF剤は、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム)およびNeulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム)を含むがこれらに限定されない。様々な他の実施例では、薬物送達装置を、液体または凍結乾燥形態の赤血球生成促進剤(ESA)などの様々な医薬品とともに用いることができる。ESAは赤血球生成を促進する任意の分子であり、例えば、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファヘキサル、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エポエチンシータおよびエポエチンデルタだけでなく、以下の特許または特許出願で開示されているその分子または変異体あるいは類似体であり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許第4,703,008号明細書、米国特許第5,441,868号明細書、米国特許第5,547,933号明細書、米国特許第5,618,698号明細書、米国特許第5,621,080号明細書、米国特許第5,756,349号明細書、米国特許第5,767,078号明細書、米国特許第5,773,569号明細書、米国特許第5,955,422号明細書、米国特許第5,986,047号明細書、米国特許第6,583,272号明細書、米国特許第7,084,245号明細書、および米国特許第7,271,689号明細書、および、国際公開第91/05867号パンフレット、国際公開第95/05465号パンフレット、国際公開第96/40772号パンフレット、国際公開第00/24893号パンフレット、国際公開第01/81405号パンフレット、および国際公開第2007/136752号パンフレット。
【0122】
ESAは赤血球生成促進タンパク質であってもよい。本明細書で用いられるように、「赤血球生成促進タンパク質」は、例えば受容体に結合して受容体の二量化を引き起こすことで、エリスロポエチン受容体の活性化を直接的または間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味している。赤血球生成促進タンパク質は、エリスロポエチン、およびエリスロポエチン受容体に結合してこれを活性化するその変異体、類似体または誘導体、エリスロポエチン受容体に結合して受容体を活性化する抗体、またはエリスロポエチン受容体に結合してこれを活性化するペプチドを含む。赤血球生成促進タンパク質は、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータおよびその類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、模倣ペプチド(EMP1/ヘマタイドを含む)、および模倣抗体を含むが、これらに限定されない。例示的な赤血球生成促進タンパク質は、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチンアゴニスト変異体、およびエリスロポエチン受容体に結合して受容体を活性化するペプチドまたは抗体を含み(米国特許出願公開第2003/0215444号明細書および米国特許出願公開第2006/0040858号明細書で報告された化合物を含み、その各々の開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、同様に、以下の特許または特許出願で開示されているエリスロポエチン分子または変異体あるいはその類似体を含み、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許第4,703,008号明細書、米国特許第5,441,868号明細書、米国特許第5,547,933号明細書、米国特許第5,618,698号明細書、米国特許第5,621,080号明細書、米国特許第5,756,349号明細書、米国特許第5,767,078号明細書、米国特許第5,773,569号明細書、米国特許第5,955,422号明細書、米国特許第5,830,851号明細書、米国特許第5,856,298号明細書、米国特許第5,986,047号明細書、米国特許第6,030,086号明細書、米国特許第6,310,078号明細書、米国特許第6,391,633号明細書、米国特許第6,583,272号明細書、米国特許第6,586,398号明細書、米国特許第6,900,292号明細書、米国特許第6,750,369号明細書、米国特許第7,030,226号明細書、米国特許第7,084,245号明細書、および米国特許第7,217,689号明細書、米国特許出願公開第2002/0155998号明細書、米国特許出願公開第2003/0077753号明細書、米国特許出願公開第2003/0082749号明細書、米国特許出願公開第2003/0143202号明細書、米国特許出願公開第2004/0009902号明細書、米国特許出願公開第2004/0071694号明細書、米国特許出願公開第2004/0091961号明細書、米国特許出願公開第2004/0143857号明細書、米国特許出願公開第2004/0157293号明細書、米国特許出願公開第2004/0175379号明細書、米国特許出願公開第2004/0175824号明細書、米国特許出願公開第2004/0229318号明細書、米国特許出願公開第2004/0248815号明細書、米国特許出願公開第2004/0266690号明細書、米国特許出願公開第2005/0019914号明細書、米国特許出願公開第2005/0026834号明細書、米国特許出願公開第2005/0096461号明細書、米国特許出願公開第2005/0107297号明細書、米国特許出願公開第2005/0107591号明細書、米国特許出願公開第2005/0124045号明細書、米国特許出願公開第2005/0124564号明細書、米国特許出願公開第2005/0137329号明細書、米国特許出願公開第2005/0142642号明細書、米国特許出願公開第2005/0143292号明細書、米国特許出願公開第2005/0153879号明細書、米国特許出願公開第2005/0158822号明細書、米国特許出願公開第2005/0158832号明細書、米国特許出願公開第2005/0170457号明細書、米国特許出願公開第2005/0181359号明細書、米国特許出願公開第2005/0181482号明細書、米国特許出願公開第2005/0192211号明細書、米国特許出願公開第2005/0202538号明細書、米国特許出願公開第2005/0227289号明細書、米国特許出願公開第2005/0244409号明細書、米国特許出願公開第2006/0088906号明細書、および米国特許出願公開第2006/0111279号明細書、および、国際公開第91/05867号パンフレット、国際公開第95/05465号パンフレット、国際公開第99/66054号パンフレット、国際公開第00/24893号パンフレット、国際公開第01/81405号パンフレット、国際公開第00/61637号パンフレット、国際公開第01/36489号パンフレット、国際公開第02/014356号パンフレット、国際公開第02/19963号パンフレット、国際公開第02/20034号パンフレット、国際公開第02/49673号パンフレット、国際公開第02/085940号パンフレット、国際公開第03/029291号パンフレット、国際公開第2003/055526号パンフレット、国際公開第2003/084477号パンフレット、国際公開第2003/094858号パンフレット、国際公開第2004/002417号パンフレット、国際公開第2004/002424号パンフレット、国際公開第2004/009627号パンフレット、国際公開第2004/024761号パンフレット、国際公開第2004/033651号パンフレット、国際公開第2004/035603号パンフレット、国際公開第2004/043382号パンフレット、国際公開第2004/101600号パンフレット、国際公開第2004/101606号パンフレット、国際公開第2004/101611号パンフレット、国際公開第2004/106373号パンフレット、国際公開第2004/018667号パンフレット、国際公開第2005/001025号パンフレット、国際公開第2005/001136号パンフレット、国際公開第2005/021579号パンフレット、国際公開第2005/025606号パンフレット、国際公開第2005/032460号パンフレット、国際公開第2005/051327号パンフレット、国際公開第2005/063808号パンフレット、国際公開第2005/063809号パンフレット、国際公開第2005/070451号パンフレット、国際公開第2005/081687号パンフレット、国際公開第2005/084711号パンフレット、国際公開第2005/103076号パンフレット、国際公開第2005/100403号パンフレット、国際公開第2005/092369号パンフレット、国際公開第2006/50959号パンフレット、国際公開第2006/02646号パンフレット、および国際公開第2006/29094号パンフレット。
【0123】
装置とともに用いるための他の医薬品の例は、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)およびProlia(商標)(デノサマブ)などの抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF阻害薬)、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、およびNplate(登録商標)(ロミプロスチム)などの他の生物学的薬剤、Sensipar(登録商標)(シナカルセト)などの小分子薬剤などが挙げられるが、これらに限定されない。装置はまた、治療抗体、ポリペプチド、タンパク質、または、鉄等の他の化学薬品、例えばフェルモキシトール、鉄デキストラン、フェリックグリコネート、および鉄スクロースとともに用いてもよい。医薬品は液体形態であってもよく、凍結乾燥形態から再構成されてもよい。
【0124】
特定の例示的なタンパク質の中には以下に述べる特定のタンパク質があり、その融合物、断片、類似体、変異体、または誘導体が含まれる。
【0125】
完全ヒト化抗体およびヒトOPGL特異的抗体、特に完全ヒト化モノクローナル抗体を含むOPGL特異的抗体、ペプチボディおよび関連タンパク質など(RANKL特異的抗体、ペプチボディなどとも呼ばれる)、国際公開第03/002713号パンフレットに記載の抗体を含むがこれに限定されず、OPGL特異的抗体および抗体関連タンパク質、特にこの文献中に示される配列を有するものについてその全体が本明細書に組み込まれるが、特にこの文献中に示されるものに限定されない。9H7、18B2、2D8、2E11、16E1および22B3を有するものであり、この文献の図2に示される配列番号2の軽鎖および/または図4に示される配列番号4の重鎖のいずれかを有するOPGL特異的抗体を含み、各々は、その全体が上記公報に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0126】
ミオスタチン特異的ペプチボディを含むミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、および関連タンパク質など、特に、米国特許出願公開第2004/0181033号明細書および国際公開第2004/058988号パンフレットに記載のものであって、これらはその全体が特にミオスタチン特異的ペプチボディに関連する部分において参照により本明細書に組み込まれ、mTN8-19ファミリーのペプチボディ、例えばTN8-19-1からTN8-19-40、TN8-19 con1およびTN8-19 con2を含む配列番号305-351のもの、配列番号357から383のmL2ファミリー、配列番号384から409のmL15ファミリー、配列番号410から438のmL17ファミリー、配列番号439から446のmL20ファミリー、配列番号447から452のmL21ファミリー、配列番号453から454のmL24ファミリーのペプチボディ、および配列番号615から631のペプチボディを含むがこれらに限定されず、各々は、その全体が上記公報に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0127】
IL-4受容体特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質など、特にIL-4および/またはIL-13の受容体への結合によって媒介される活性を阻害するものであって、国際公開第2005/047331号パンフレットまたは国際出願US2004/37242号明細書および米国特許出願公開第2005/112694号明細書に記載のものを含み、その全体が特にそれら文献で指定されるものに限定されることなく、特にそれら文献に記載の抗体のようなIL-4受容体特異的抗体に関連する部分において参照により本明細書に組み込まれる。L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1であり、各々は、その全体が上記公報に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0128】
インターロイキン1受容体1(「IL1-R1」)特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質などであって、米国特許出願公開第2004/097712号明細書に記載のものを含むがこれに限定されず、その全体が特にそれら文献で指定されるものに限定されることなく、IL1-R1特異的結合タンパク質、特にモノクローナル抗体に関連する部分において参照により本明細書に組み込まれる。15CA、26F5、27F2、24E12および10H7であり、各々は、その全体が上記米国特許出願公開公報に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0129】
Ang2特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質などであって、国際公開第03/057134号パンフレットおよび米国特許出願公開第2003/0229023号明細書に記載のものを含むがこれに限定されず、各々はその全体が特にAng2特異的抗体およびペプチボディなどに関連する部分において参照により本明細書に組み込まれ、特にこれら文献に記載された配列は以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con4(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4-L1(N)、Con4-L1C、TN-12-9(N)、C17(N)、TN8-8(N)、TN8-14(N)、Con1(N)であり、国際公開第2003/030833号パンフレットに記載されたような抗Ang2抗体および製剤であって、その全体が、特に、Ab526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AblA1、AblF、AblK、AblPおよびAblPについて参照により本明細書に組み込まれ、上述の文献に記載される種々の順列におけるものであり、これらの各々は、その全体が上記公報に開示されるように、完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0130】
NGF特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質など、特に、米国特許出願公開第2005/0074821号明細書および米国特許第6,919,426号明細書に記載のものが含まれるが、これらに限定されず、その全体が、特にNGF特異的抗体およびこの点における関連タンパク質、特に4D4、4G6、6H9、7H2、14D10および14D11と指定されるNGF特異的抗体を含むがこれらに限定されないものに関する部分において参照により本明細書に組み込まれるものとし、これらの各々は、その全体が上記公報に開示されるように、完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0131】
CD22特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質など、例えば米国特許第5,789,554号明細書に記載されたようなものであって、その全体が、特にCD22特異的抗体および関連タンパク質、特にヒトCD22特異的抗体、例えば限定するものではないが、ヒト化および完全ヒト抗体、例えば限定するものではないがヒト化および完全ヒトモノクローナル抗体、特に、例えば限定するものではないが、ヒトCD22特異的IgG抗体、例えばヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖ジスルフィドの二量体、例えば限定するものではないが、エプラツマブ、CAS登録番号501423-23-0のヒトCD22特異的完全ヒト抗体について参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
IGF-1受容体特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質など、国際公開第06/069202号パンフレットに記載されたようなものであって、IGF-1受容体特異的抗体および関連タンパク質、例えば限定するものではないが、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52、およびIGF-1R-結合断片およびその誘導体と指定されるIGF-1特異的抗体についてその全体が本明細書に組み込まれるが、各々は、その全体が上記国際公開公報に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0133】
また、本開示の方法および組成物で用いるための抗IGF-1R抗体の非限定的な例の中には、次に記載されるものの各々および全てが挙げられる。
【0134】
(i)米国特許出願公開第2006/0040358号明細書(2006年2月23日公開)、米国特許出願公開第2005/0008642号明細書(2005年1月13日公開)、米国特許出願公開第2004/0228859号明細書(2004年11月18日公開)であって、例えば、それら文献に記載の抗体1A(DSMZ寄託番号DSM ACC2586)、抗体8(DSMZ寄託番号DSM ACC2589)、抗体23(DSMZ寄託番号DSM ACC2588)および抗体18を含むがこれらに限定されない。
【0135】
(ii)国際公開第06/138729号パンフレット(2006年12月28日公開)および国際公開第05/016970号パンフレット(2005年2月24日公開)、および、Lu et al.,2004,J Biol.Chem.279:2856-65であって、上述の文献に記載される抗体2F8、A12およびIMC-A12を含むがこれらに限定されない。
【0136】
(iii)国際公開第07/012614号パンフレット(2007年2月1日公開)、国際公開第07/000328号パンフレット(2007年1月4日公開)、国際公開第06/013472号パンフレット(2006年2月9日公開)、国際公開第05/058967号パンフレット(2005年6月30日公開)、および国際公開第03/059951号パンフレット(2003年7月24日公開)。
【0137】
(iv)米国特許出願公開第2005/0084906号明細書(2005年4月21日公開)であって、それら文献に記載の抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体*7C10、抗体GM607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、および抗体7H2HMを含むがこれらに限定されない。
【0138】
(v)米国特許出願公開第2005/0249728号明細書(2005年11月10日公開)米国特許出願公開第2005/0186203号明細書(2005年8月25日公開)米国特許出願公開第2004/0265307号明細書(2004年12月30日公開)、および米国特許出願公開第2003/0235582号明細書(2003年12月25日公開)、およびMaloney et al.,2003,Cancer Res.63:5073-83であって、それら文献に記載の抗体EM164、表面再構成EM164、ヒト化EM164、huEM164 v1.0、huEM164 v1.1、huEM164 v1.2、およびhuEM164 v1.3を含むがこれらに限定されない。
【0139】
(vi)米国特許第7,037,498号明細書(2006年5月2日発行)、米国特許出願公開第2005/0244408号明細書(2005年11月30日公開)および米国特許出願公開第2004/0086503号明細書(2004年5月6日公開)、および、Cohen,et al.,2005,Clinical Cancer Res.11:2063-73であって、例えば抗体CP-751,871、それら文献に記載のATCC受託番号PTA-2792、PTA-2788、PTA-2790、PTA-2791、PTA-2789、PTA-2793を有するハイブリドーマによって産生される抗体、および抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、および4.17.3の各々を含むがこれらに限定されない。
【0140】
(vii)米国特許出願公開第2005/0136063号明細書(2005年6月23日公開)および米国特許出願公開第2004/0018191号明細書(2004年1月29日公開)であって、上述の文献に記載される抗体19D12、および、番号PTA-5214の下ATCCに寄託される、プラスミド15H12/19D12HCA(γ4)中でポリヌクレオチドによってコードされる重鎖と、番号PTA-5220の下ATCCに寄託される、プラスミド15H12/19D12LCF(κ)中でポリヌクレオチドによってコードされる軽鎖と、を含む抗体を含むがこれらに限定されない。
【0141】
(viii)米国特許出願公開第2004/0202655号明細書(2004年10月14日公開)であって、上述の文献に記載される抗体PINT-6A1、PINT-7A2、PINT-7A4、PINT-7A5、PINT-7A6、PINT-8A1、PINT-9A2、PINT-11A1、PINT-11A2、PINT-11A3、PINT-11A4、PINT-11A5、PINT-11A7、PINT-11A12、PINT-12A1、PINT-12A2、PINT-12A3、PINT-12A4、およびPINT-12A5を含むがこれらに限定されず、これらの各々および全ては、特にIGF-1受容体を標的とする上述の抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質などについてその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0142】
B-7関連タンパク質1特異的抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」は文献でB7H2、ICOSL、B7h、およびCD275とも呼ばれる)であって、特に、B7RP特異的完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、特に、B7RP-1の第1免疫グロブリン様ドメインにおいてエピトープに結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、特に、とりわけ活性化T細胞においてB7RP-1とそのナチュラル受容体ICOSとの相互作用を阻害するもの、特に、上述の全てに関して、米国特許出願公開第2008/0166352号明細書、および国際公開第07/011941号パンフレットに開示されたものであり、例えば、以下のようにそれら文献で指定される抗体を含むがこれに限定されない抗体および関連タンパク質などについて、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。16H(それぞれ配列番号1および配列番号7の軽鎖可変配列および重鎖可変配列を有する)、5D(それぞれ配列番号2および配列番号9の軽鎖可変配列および重鎖可変配列を有する)、2H(それぞれ配列番号3および配列番号10の軽鎖可変配列および重鎖可変配列を有する)、43H(それぞれ配列番号6および配列番号14の軽鎖可変配列および重鎖可変配列を有する)、41H(それぞれ配列番号5および配列番号13の軽鎖可変配列および重鎖可変配列を有する)、および15H(それぞれ配列番号4および配列番号12の軽鎖可変配列および重鎖可変配列を有する)であって、これらの各々は、その全体が上記米国公報に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0143】
IL-15特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質などであって、特に、ヒト化モノクローナル抗体など、特に、米国特許出願公開第2003/0138421号明細書、米国特許出願公開第2003/023586号明細書および米国特許出願公開第2004/0071702号明細書、および米国特許第7,153,507号明細書に開示されているような抗体であって、各々は、IL-15特異的抗体および関連タンパク質、例えばペプチボディを含み、特に例えば、限定されないが、HuMax IL-15抗体および関連タンパク質、例えば146B7を含むがこれらに限定されないものについてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0144】
IFNγ特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質など、特にヒトIFNγ特異的抗体、特に完全ヒト抗IFNγ抗体であって、例えば米国特許出願公開第2005/0004353号明細書に記載のものであり、IFNγ特異的抗体、特に例えば、1118、1118*、1119、1121および1121*とそれら文献で指定される抗体についてその全体が本明細書に組み込まれる。これら各抗体の重鎖および軽鎖の全配列、および、それらの重鎖および軽鎖の可変領域および相補性決定領域の配列はそれぞれ、その全体が上記米国特許出願公開公報およびThakur et al.,Mol.Immunol.36:1107-1115(1999)に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。さらに、上記米国特許出願公開公報に提供されたこれら抗体の性質についての記載もまた、本明細書にその全体が組み込まれる。特異的抗体は、上記米国特許出願公開公報に開示されるように、配列番号17の重鎖および配列番号18の軽鎖を有するもの、配列番号6の重鎖可変領域および配列番号8の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号19の重鎖および配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号10の重鎖可変領域および配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号32の重鎖および配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号30の重鎖可変領域および配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列および配列番号22の軽鎖配列を有するもの、配列番号14の重鎖可変領域および配列番号16の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列および配列番号33の軽鎖配列を有するもの、および、配列番号14の重鎖可変領域および配列番号31の軽鎖可変領域を有するものを含む。意図される特定の抗体は、上記米国特許出願公開公報で開示され、かつ、同公報で開示された配列番号17の完全重鎖と、同公報で開示された配列番号18の完全軽鎖とを有する抗体1119である。
【0145】
TALL-1特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質など、ならびに他のTALL特異的結合タンパク質であって、例えば米国特許出願公開第2003/0195156号明細書および米国特許出願公開第2006/0135431号明細書に記載のものであり、各々はその全体がTALL-1結合タンパク質について参照により本明細書に組み込まれ、特に、表4および表5Bの分子は、各々が、その全体が上記公開公報に開示されるように完全に参照により本明細書に個々にかつ具体的に組み込まれる。
【0146】
副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質などであって、例えば米国特許第6,756,480号明細書に記載のものであり、特にPTH結合タンパク質に関連する部分においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
トロンボポエチン受容体(「TPO-R」)特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質などであって、例えば米国特許第6,835,809号明細書に記載のものであり、特にTPO-R結合タンパク質に関連する部分においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0148】
肝細胞成長因子(「HGF」)特異的抗体、ペプチボディ、および関連タンパク質などであって、HGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含み、例えば、米国特許出願公開第2005/0118643号明細書および国際公開第2005/017107号パンフレットに記載の、肝細胞増殖因子/細胞分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体、米国特許第7,220,410号明細書に記載のhuL2G7、米国特許第5,686,292号明細書および第6,468,529号明細書、ならびに国際公開第96/38557号パンフレットに記載のOA-5d5であり、特にHGF結合タンパク質に関連する部分においてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0149】
TRAIL-R2特異的抗体、ペプチボディ、関連タンパク質などであって、例えば米国特許第7,521,048号明細書に記載のものであり、特にTRAIL-R2結合タンパク質に関連する部分においてその全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0150】
アクチビンA特異的抗体、ペプチボディ、関連タンパク質などであって、例えば米国特許出願公開第2009/0234106号明細書に記載のものを含むがこれらに限定されず、特にアクチビンA結合タンパク質に関連する部分おいてその全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0151】
TGFベータ特異的抗体、ペプチボディ、関連タンパク質などであって、例えば米国特許第6,803,453号明細書および米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載のものを含むがこれらに限定されず、特にTGFベータ結合タンパク質に関連する部分おいてその全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0152】
アミロイドベータタンパク質特異的抗体、ペプチボディ、関連タンパク質などであって、例えば国際公開第2006/081171号パンフレットに記載のものを含むがこれらに限定されず、特にアミロイドβタンパク質結合タンパク質に関連する部分おいてその全体が参照により本明細書中に組み込まれる。意図される抗体の1つは、上記国際公報で開示されたような、配列番号8を含む重鎖可変領域と配列番号6を有する軽鎖可変領域とを有する抗体である。
【0153】
c-Kit特異的抗体、ペプチボディ、関連タンパク質などであって、例えば米国特許出願公開第2007/0253951号明細書に記載のものを含むがこれらに限定されず、特にc-Kitおよび/または他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質に関連する部分おいてその全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0154】
OX40L特異的抗体、ペプチボディ、関連タンパク質などであって、例えば米国特許出願第11/086,289号明細書に記載のものを含むがこれらに限定されず、特にOX40Lおよび/または他のOX40受容体リガンドと結合するタンパク質に関連する部分おいてその全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0155】
他の例示的なタンパク質には以下のものが含まれる。Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファまたはエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンベータ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロンベータ)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF阻害薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、インスリン溶液、Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、組換えヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エピラツズマブ、抗CD22mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムバブ、抗BlySmAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗C5補体)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Neulasta(登録商標)(ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、OrthocloneOKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリブマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンアルファ-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許7,153,507参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌感染防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSAmAb)、IL-1トラップ(ヒトIgG1のFc部分と両IL-1受容体成分(タイプI受容体および受容体アクセサリタンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGFトラップ(IgG1のFcと融合させたVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2RαmAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチミブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF阻害薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFαmAb)、HGS-ETR1(マパツムマブ)、ヒト抗TRAIL受容体-1mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4mAbおよびVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗C.ディフィーシレ毒素Aおよび毒素BCmAbs MDX-066(CDA-1)およびMDX-1388)、抗CD22dsFv-PE38複合体(CAT-3888およびCAT-8015)、抗CD25mAb(HuMax-TAC)、抗CD3mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38mAb(HuMax CD38)、抗CD40LmAb、抗クリプトmAb、抗CTGF突発性肺繊維症I期ファイブロジェン(FG-3019)、抗CTLA4mAb、抗エオタキシン1mAb(CAT-213)、抗FGF8mAb、抗ガングリオシドGD2mAb、抗ガングリオシドGM2mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepCmAb(HuMax HepC)、抗IFNαmAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1RmAb、抗IGF-1RmAb(HuMax-Inflam)、抗IL12mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23mAb(CNTO1275)、抗IL13mAb(CAT-354)、抗IL2RamAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、抗LLY抗体、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβmAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38複合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβmAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAKmAb、抗VEGFR/Flt-1mAb、抗ZP3mAb(HuMax-ZP3)、NVS抗体#1、およびNVS抗体#2。
【0156】
同じく含まれ得るのものとして、ロモソズマブ、ブロソズマブ、もしくはBPS804(ノバルチス)などのスクレロスチン抗体を含み得るが、これらに限定されない。さらに含まれ得るのものとして、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ブズピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX、またはXGEVA等の治療薬がある。さらに、本装置に含まれ得るものとして、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)と結合するモノクローナル抗体(IgG)、例えば、米国特許第8,030,547号明細書、米国特許出願第13/469,032号明細書、国際公開第2008/057457号パンフレット、国際公開第2008/057458号パンフレット、国際公開第2008/057459号パンフレット、国際公開第2008/063382号パンフレット、国際公開第2008/133647号パンフレット、国際公開第2009/100297号パンフレット、国際公開第2009/100318号パンフレット、国際公開第2011/037791号パンフレット、国際公開第2011/053759号パンフレット、国際公開第2011/053783号パンフレット、国際公開第2008/125623号パンフレット、国際公開第2011/072263号パンフレット、国際公開第2009/055783号パンフレット、国際公開第2012/0544438号パンフレット、国際公開第2010/029513号パンフレット、国際公開第2011/111007号パンフレット、国際公開第2010/077854号パンフレット、国際公開第2012/088313号パンフレット、国際公開第2012/101251号パンフレット、国際公開第2012/101252号パンフレット、国際公開第2012/101253号パンフレット、国際公開第2012/109530号パンフレットおよび国際公開第2001/031007号パンフレットに記載のものである。
【0157】
メラノーマまたは他のがん治療のためのタリモジーンラハーパレプベックまたは他の腫瘍崩壊性HSVも含むことができる。腫瘍崩壊性HSVの例としては、タリモジーンラハーパレプベック(米国特許第7,223,593号明細書および米国特許第7,537,924号明細書)、OncoVEXGALV/CD(米国特許第7,981,669号明細書)、OrienX010(Lei et al.,2013,World Journal of Gastroenterology,19:5138-5143)、G207、1716、NV1020、NV12023、NV1034、およびNV1042(Vargehes et al.2002,Cancer Gene Ther,2002,9(12):967-978)が含まれるが、これらに限られない。
【0158】
また、これにはTIMPsも含まれる。TIMPsはメタロプロテアーゼの内因性組織阻害剤(TIMPs)であり、多くの自然的過程において重要である。TIMP-3は様々な細胞によって発現され、細胞外マトリックス中に存在し、全ての主要な軟骨分解メタロプロテアーゼを阻害し、リウマチ性関節炎および変形性関節炎、ならびに、がんおよび心血管の病状を含む多くの結合組織分解性疾患において役割を果たすことができる。TIMP-3のアミノ酸配列、およびTIMP-3をコードするDNAの核酸配列は、2003年5月13日発行の米国特許第6,562,596号明細書に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。TIMPの変異の記載は、米国特許第61/782,613号明細書、米国特許第61/798,160号明細書、米国特許第61/802,988号明細書および米国特許第61/940,67号明細書に見られる。
【0159】
また、ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体を阻害する抗体、ならびにCGRP受容体および他の頭痛に関する標的を標的とする二重特異性抗体分子も含まれる。これらの分子に関するさらなる情報は国際公開第2A075238A1号パンフレットに記載されている。
【0160】
さらに、二重特異性T細胞エンゲージャ抗体(BiTe)、例えばブリノツモマブを本装置に用いることができる。あるいは、APJ大分子アゴニスト、例えばアペリンまたはその類似体を本装置に含むことができる。このような分子に関する情報は国際出願2013/075773号明細書に記載されている。
【0161】
上記の文章は本開示の異なる実施例の詳細な説明を述べているが、本発明の法的な範囲は、本発明の末尾に述べられる請求項の文言によって定義されることが理解されるべきである。あらゆる可能な実施例を説明することは不可能ではなくても実際的ではないため、詳細な説明は、単なる例示であり、本発明のあらゆる可能な実施例を説明していないと解釈されるものとする。現在の技術または本発明の出願日以降に開発される技術のいずれかを用いることで、多くの代替的な実施例を実施することができ、やはり、本発明を定義する請求項の範囲内に入るものとする。
【0162】
用語が「本明細書で使用される場合、用語「 」は...を意味すると本明細書によって定義される」という文または同様の文を用いて本発明で明確に定義されていない限り、その用語の意味を明示的にも暗示的にも、その普通または通常の意味を超えて限定する意図はなく、そのような用語は、本発明の任意の部分(請求項の用語以外)における任意の記述に基づいて範囲が限定されていると解釈されるものではないことが理解されるべきである。本発明の末尾の請求項に列挙された任意の用語が、読み手を混乱させないように明確化するためだけに、本発明において単一の意味に一致する態様で言及される限りでは、このような請求項用語を暗示的にもそれ以外にも、その単一の意味に限定するものではない。最後に、請求項の要素が、任意の構造を列挙することなく「手段」という語および機能を列挙することによって定義されていない限り、いかなる請求項の要素の範囲も米国特許法第112条第6段落の適用に基づいて解釈されるものではない。
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