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特許7371165摩擦により装着されたコンタクト要素を有するコンタクトアセンブリ、ならびにそのようなコンタクトアセンブリを有するモジュールコネクタ、接続アセンブリ、バッテリセルおよびバッテリモジュール
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  • 特許-摩擦により装着されたコンタクト要素を有するコンタクトアセンブリ、ならびにそのようなコンタクトアセンブリを有するモジュールコネクタ、接続アセンブリ、バッテリセルおよびバッテリモジュール 図1
  • 特許-摩擦により装着されたコンタクト要素を有するコンタクトアセンブリ、ならびにそのようなコンタクトアセンブリを有するモジュールコネクタ、接続アセンブリ、バッテリセルおよびバッテリモジュール 図2
  • 特許-摩擦により装着されたコンタクト要素を有するコンタクトアセンブリ、ならびにそのようなコンタクトアセンブリを有するモジュールコネクタ、接続アセンブリ、バッテリセルおよびバッテリモジュール 図3
  • 特許-摩擦により装着されたコンタクト要素を有するコンタクトアセンブリ、ならびにそのようなコンタクトアセンブリを有するモジュールコネクタ、接続アセンブリ、バッテリセルおよびバッテリモジュール 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】摩擦により装着されたコンタクト要素を有するコンタクトアセンブリ、ならびにそのようなコンタクトアセンブリを有するモジュールコネクタ、接続アセンブリ、バッテリセルおよびバッテリモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/543 20210101AFI20231023BHJP
   H01M 50/552 20210101ALI20231023BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20231023BHJP
【FI】
H01M50/543
H01M50/552
H01M50/296
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022084392
(22)【出願日】2022-05-24
(65)【公開番号】P2022183067
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】10 2021 113 768.3
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル エーハイム
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ビヨルン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク ケーニー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ディストラー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴォルフ
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170274(JP,A)
【文献】特開2019-009115(JP,A)
【文献】特開2018-200864(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03136511(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール接続部用の導電性コンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)であって、
前記コンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)は、コンタクト要素(4、4’、4’’)と、バスバー(6、6’、6’’)と、前記コンタクトアセンブリ(1)を、留め具(8、8’、8’’)と相補的に構成されている前記モジュール接続部の対応部(20)に留め付けるための留め具(8、8’、8’’)とを備え、
前記コンタクト要素(4、4’、4’’)は、前記留め具(8、8’、8’’)を挿入するための貫通開口部(10)と、前記モジュール接続部の対向コンタクト(52)のためのコンタクト面(50、50’、50’’)を有する、前記貫通開口部(10)に沿って管状に延びるコンタクト部分(12)と、前記コンタクト部分(12)に接続し、前記貫通開口部(10)をスリーブ状に延ばすカラー部分(14)とを備え、
前記バスバー(6、6’、6’’)は、少なくとも前記カラー部分(14)を受けるための受け開口部(16)を備え、
前記コンタクト要素(4、4’、4’’)は、第1の摩擦面(42)における摩擦係合により、前記受け開口部(16)において前記バスバー(6、6’、6’’)に取り付け可能に構成され、
前記コンタクト要素(4、4’、4’’)は、第2の摩擦面(70)における摩擦係合により、前記受け開口部(16)において前記バスバー(6、6’’)に、または前記貫通開口部(10)において前記留め具(8、8’)に取り付け可能に構成され、
前記第1の摩擦面(42)および前記第2の摩擦面(70)は、前記貫通開口部(10)に関して少なくとも径方向(72)に互いにオフセットされている、
コンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項2】
前記コンタクト要素(4、4’、4’’)は、前記コンタクト部分(12)と前記カラー部分(14)との間の肩部(66)を備え、前記コンタクト要素(4)は、前記肩部(66)で前記バスバー(6、6’、6’’)に当接する、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項3】
前記留め具(8、8’、8’’)は、ねじ付き部分(26)を備え、前記ねじ付き部分(26)における雄ねじ(30)を有するねじ(28)として、または前記ねじ付き部分(26)における雌ねじ(24)を有するねじ付きスリーブ(22)として構成されている、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項4】
前記留め具(8、8’、8’’)は、径方向外方に延びる支持部分(32)を備え、前記留め具(8、8’、8’’)は、前記支持部分(32)で前記バスバー(6)に載っている、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項5】
前記カラー部分(14)は、前記バスバー(6、6’、6’’)の前記受け開口部(16)よりも短い、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項6】
前記留め具(8、8’)は、刻み付き部分(74)を備え、前記コンタクト要素(4、4’)の前記カラー部分(14)は、前記貫通開口部(10)への前記留め具(8、8’)の挿入後に前記刻み付き部分(74)によって変形させられる、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項7】
前記刻み付き部分(74)は、前記バスバー(6、6’)の前記受け開口部(16)よりも短い、
請求項6に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項8】
前記留め具(8、8’’)は、前記コンタクト要素(4、4’’)の前記貫通開口部(10)に回転可能に配置されている、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項9】
前記バスバー(6、6’、6’’)の前記受け開口部(16)は、段差穴(100)として構成されている、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項10】
前記バスバー(6、6’、6’’)の前記受け開口部(160)は、その周囲(108)において少なくとも1つの材料凹部(104)を有する、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項11】
前記第1の摩擦面(42)は、前記コンタクト要素(4、4’、4’’)の外面(44)に形成され、前記第2の摩擦面(70)は、前記コンタクト要素(4、4’’)の外面(101)または前記コンタクト要素(4、4’)の内面(71)に形成されている、
請求項1に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、1’’)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’’)を少なくとも1つとコンタクト保護ハウジング(112’’)とを備え、
前記コンタクト保護ハウジング(112’’)は、前記少なくとも1つのコンタクトアセンブリ(1、1’’)を受けるように構成されている、
モジュールコネクタ(118)。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’、11’’)を2つ有する接続アセンブリ(2)であって、
2つの前記コンタクトアセンブリ(1、1’、11’’)のそれぞれの前記留め具(8、8’、8’’)は、互いに相補的であるように構成されている、
接続アセンブリ(2)。
【請求項14】
少なくとも1つのバッテリ接続部(116)および少なくとも1つの電極を有するバッテリセルであって、
前記少なくとも1つのバッテリ接続部は、請求項1から11のいずれか一項に記載のコンタクトアセンブリ(1、1’)として構成され、前記コンタクトアセンブリ(1、1’)の前記バスバー(6、6’)は、前記バッテリセルの前記少なくとも1つの電極に導電可能に接続されている、
バッテリセル。
【請求項15】
請求項14に記載の少なくとも1つのバッテリセルおよび請求項12に記載の少なくとも1つのモジュールコネクタ(118)を有するバッテリモジュールであって、
コンタクトアセンブリ(1、1’)として構成されている前記バッテリセルの前記バッテリ接続部(116)の前記留め具(8、8’)は、前記モジュールコネクタ(118)の前記コンタクトアセンブリ(1、1’’)の前記留め具(8、8’’)と相補的に構成されている、
バッテリモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定ではないが例えば自動車分野およびエネルギー技術分野における応用のための、例えばバッテリモジュールの、モジュール接続部用の導電性コンタクトアセンブリに関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのそのようなコンタクトアセンブリを有するモジュールコネクタ、接続アセンブリ、バッテリセル、およびバッテリモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車工学および電力工学において、例えばバッテリモジュールなどの電気モジュールと電気モータまたは他の電気消費ユニットとの間における数百アンペア程度の電流の伝送には、銅、アルミニウム、または銅および/もしくはアルミニウムを含む合金から作製されるバスバーが用いられる場合が多い。電気モジュールを互いに接続することを可能とするために、バスバーには、バスバーの他の部分から突出し、画定されたコンタクト面を提供し、留め具により共に押し付けられるコンタクト部分が設けられる場合が多い。これに関して、突出するコンタクト部分は、それぞれのバスバーの形状における不連続部(discontinuity)に相当し、これが製造上の課題となる場合が多い。
【0003】
例えば鍛造または押し出しにより、バスバーがコンタクト部分と一体に製造される場合、バスバーの残りの部分は、完全に自由に構成することができず、構造上の制約を受ける場合が多い。これは、そうしなければバスバー全体を製造することができない、または多大な労力をかけなければ製造できないためである。換言すると、一体に製造されるバスバーは、その幾何学的形状が制限され、したがって複雑な経路を有することができない。しかしながら、特にエレクトロモビリティの分野における最近のバッテリ利用例では、複雑な外形を有するバスバーが必要とされる。
これは特に、バッテリモジュールおよび電気モータが、設置スペースを節約するために、車両内でますます分散して配置されるようになってきているためである。
【0004】
それに代えて、コンタクト部分が初めは別個の構成要素として製造中にバスバーに溶接される場合、溶接性の側面を材料および構造の他の特性よりも優先しなければならないため、やはり制約が生じる。これは、特に軽量な材料または材料の組み合わせが、溶接に適さないために使用することができないことを意味し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の根本的課題は、幾何学的形状および材料の選定に関してより自由に構成することができ、よってより容易に製造することができるモジュール式接続部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、モジュール接続部用の導電性コンタクトアセンブリにより解決される。
コンタクトアセンブリは、コンタクト要素と、バスバーと、コンタクトアセンブリを、留め具と相補的であるように構成されるモジュール接続部の対応部に留め付けるための留め具とを備える。コンタクト要素は、留め具を挿入するための貫通開口部と、貫通開口部に沿って管状に延び、モジュール接続部の対向コンタクトのためのコンタクト面を有するコンタクト部分と、コンタクト部分に隣接し、貫通開口部をスリーブ状に延ばすカラー部分とを有する。バスバーは、少なくともカラー部分を受けるための受け開口部を備え、コンタクト要素は、受け開口部において第1の摩擦面においてバスバーに摩擦により取り付け可能であるように構成される。コンタクト要素は、バスバーによって受け開口部において、または留め具によって貫通開口部において、第2の摩擦面に摩擦により取り付け可能であるように構成され、第1の摩擦面および第2の摩擦面は、貫通開口部に関して少なくとも径方向に互いに対してオフセットされる。
【0007】
本発明は、コンタクト面を有するコンタクト部分がコンタクト要素に、よってバスバーとは別個の構成要素に設けられるので、好適である。したがって、複雑な経路を有するコンタクト要素とは完全に独立してバスバーを製造し、そしてコンタクト要素に装着することができる。第1の摩擦面を介して固定可能であることにより、共に溶接することが不要となり、それにより、コンタクト要素およびバスバーを、本来は溶接が不可能または非常に難しい材料から製造することができる。以下でより詳細に説明するように、第1の摩擦面から径方向にオフセットされた第2の摩擦面も、固定可能性(fixability)を提供するように有利に機能する。
【0008】
要約すると、これは、本発明に係るコンタクトアセンブリにおいて、幾何学的構造および材料の選定が制限されない、または少なくとも、冒頭で説明した一体に製造されるまたは共に溶接されるバスバーよりも制限の度合いが小さいことを意味する。これにより、全般的に改善された製造性が実現される。
【0009】
本発明は、各々がそれ自体で有利であり、必要に応じて互いに組み合わされ得る以下の構成によってさらに改善することができる。
【0010】
第1の例示的実施形態によれば、コンタクト要素は、そのコンタクト特性を改善するために、ニッケルおよび/または銀を含む被膜を有していてよい。特に、コンタクト要素は完全に被覆されてよい。これは、コンタクト要素がバスバーに取り付けられる前に別個の構成要素として設けられ、溶接プロセスによる熱応力に耐える必要がないからである。これが好適なのは特に、例えば電気めっき浸漬プロセスによって完全な被覆を実現することができ、それにより、一体に製造されるまたは共に溶接されるバスバーの選択的被覆プロセスに必要な時間のかかる封止工程および接合工程が不要となるためである。
【0011】
さらなる例示的実施形態によれば、コンタクト要素は、第1の摩擦面でバスバーに摩擦により取り付けられ、よってバスバーに装着されてよい。これにより、コンタクト要素が有利に繋ぎ止められた状態で保持され、本発明に係るコンタクトアセンブリの管理容易性(manageability)が向上する。例えば、コンタクト要素は、少なくとも部分的に、特にカラー部分がバスバーの受け開口部に摩擦により挿入される円筒形のコンタクトリングとして構成されてよい。コンタクト面は、カラー部分とは逆側を向くコンタクト部分の端面により形成されてよく、対向コンタクトからアクセス可能であってよい。
【0012】
モジュール接続部の保守または補修を可能とするために、コンタクトアセンブリの留め具は、留め具と相補的なモジュール接続部の対応部に脱着可能に取り付けられるように構成されることが好ましい。したがって、モジュール接続部は、脱着可能なモジュール接続部であることが好ましい。この目的で、留め具は、例えばねじ付き部分を備えてよい。特に、留め具は、ねじ付き部分における雄ねじを有するねじとして構成されてよい。代替的に、留め具は、ねじ付き部分における雌ねじを有するねじ付きスリーブとして構成されてよい。留め具と相補的であるように構成されるモジュール接続部の対応部は、いずれの場合も対応する相手ねじを有していてよい。ねじ接続部の使用は、前述の対向コンタクトにコンタクト要素のコンタクト面を押し付ける軸力の印加が可能となるため、この場合特に好適である。
結果として得られるコンタクト面における表面圧力により、接触力が増大し、したがって接触抵抗が低減する。
【0013】
留め具は、径方向外方に延びる支持部分を有していてよい。例えば、支持部分は、留め具の他の部分からプレート状に周方向に突出してよい。支持部分は、例えば、ねじとして構成される留め具のねじ頭部により、またはねじ付きスリーブとして構成される留め具の環状の幅広部により形成されてよい。コンタクトアセンブリの組み立て済み状態において、留め具の支持部分およびコンタクト要素のコンタクト部分は、コンタクト部分のコンタクト面のアクセス性を制限しないように、バスバーに関して互いに反対側にある。
【0014】
コンタクトリングとして構成されるコンタクト要素は、軸方向において円形の断面を有していてよい。これにより、バスバーに対して任意の回転位置にコンタクト要素を挿入することができるので、受け開口部における挿入プロセスが簡略になる。勿論、コンタクトリングは、コンタクト要素が受け開口部において意図せず回ることを防止するために、少なくとも局所的に、例えばカラー部分において、非円形の断面、特に卵形、楕円形、正方形、矩形または多角形の断面を有していてもよい。
【0015】
コンタクト要素がバスバーの受け開口部に過度に深く挿入されることを防止するために、コンタクト要素およびバスバーは、既に説明した摩擦接続に加えて、互いとの少なくとも一面での形状嵌合を形成するように構成されてよい。好ましくは、形状接続は、貫通開口部に関して軸方向におけるものである。この目的で、コンタクト要素は、コンタクト部分とカラー部分との間に、好ましくは周方向の肩部を有していてよく、コンタクト要素は、肩部でバスバーに当接する。特に、コンタクト部分は、カラー部分よりも大きい外径を有していてよく、肩部は、コンタクト部分とカラー部分との間の肩状の移行部を形成してよい。
【0016】
コンタクト要素とバスバーとの間における前述の一面での形状嵌合を形成するために、バスバーの受け開口部は任意選択的に、その深さに沿っていくつかの異なる内径を有していてよい。特に、受け開口部は、より小さい内径を有する幅狭領域と、より大きい内径を有する幅広領域とを有していてよい。好ましくは、カラー部分の外径は、幅狭領域の内径よりもサイズが大きく、一方でコンタクト部分の外径は、幅広領域の内径よりもサイズが大きい。バスバーは、幅狭領域と幅広領域との間において受け開口部における段差を有していてよい。幅広領域に面する段差の段差面は、より小さい内径とより大きい内径との間の移行部を形成する。コンタクト要素の肩部は、この段差面に載ってよい。この目的で、受け開口部は、例えば適切な寸法の段差穴として構成されてよい。
【0017】
段差付きの受け開口部を有する本実施形態において、カラー部分に加えて、コンタクト部分の少なくとも一部も受け開口部に受けられてよい。これにより、特に既に述べたようにコンタクト部分の外径がカラー部分の外径よりも大きい場合、コンタクト要素とバスバーとの間の接触面積が増大する。有利な点として、これにより、電流を伝導するための導体断面が大きくなる。さらに、これにより、コンタクト要素が第2の摩擦面でバスバーに固定されてもよい。換言すると、第1の摩擦面および第2の摩擦面の両方が、コンタクト要素の外面に形成されてよく、コンタクト要素とバスバーとの間の摩擦接続をもたらすように機能してよい。好ましくは、第1の摩擦面および第2の摩擦面は、貫通開口部に関して軸方向に互いにオフセットされ、同軸に配置される。
特に、第1の摩擦面はカラー部分に配置されてよく、第2の摩擦面はコンタクト部分に配置されてよい。コンタクト要素の肩部は、第1の摩擦面と第2の摩擦面との間に位置してよい。
【0018】
任意選択的に、バスバーの受け開口部は、その周縁部に少なくとも1つの材料凹部を有していてよい。特に、少なくとも1つの材料凹部は、段差付きの受け開口部の幅広領域の周囲に配置されてよい。少なくとも1つの材料凹部により、バスバーの局所的な変形容易性が有利に増大し、それにより、より小さい力でコンタクト要素およびバスバーを装着することが可能となる。
【0019】
少なくとも1つの材料凹部は、例えば、受け開口部の内面において受け開口部に関して軸方向および径方向に延びる凹部により形成されてよい。好ましくは、凹部は、受け開口部の段差面を通して延び、または受け開口部の段差面と面一である。例えば、少なくとも1つの材料凹部は、軸方向細穴および/または径方向切り欠きにより形成されてよい。軸方向細穴は、段差穴の前に生成されることが好ましく、一方で径方向切り欠きは、段差穴が生成された後に加工されてよい。任意選択的に、受け開口部は、その周囲にわたって分散したいくつかのそのような材料凹部を有していてよい。有利な点として、これにより、コンタクト要素の肩部が実際に完全に受け開口部の段差面に載っているか否かを判定するための目視または測定による検査を行うことが可能となる。
特に、これにより、受け開口部の段差とコンタクト要素の肩部との間における塵、破片または他の汚染物質の意図しない混入を遮断することができる。
【0020】
段差付きの受け開口部の代替として、受け開口部は、その深さに沿って連続的な一定の内径のみを有していてもよく、カラー部分の外径は、この一定の内径よりも大きいサイズを有する。バスバーに取り付けられることに代えて、代替的に、コンタクト要素が第2の摩擦面で留め具に固定されてもよい。したがって、第1の摩擦面がコンタクト要素の外面に形成されてよく、第2の摩擦面がコンタクト要素の内面に形成されてよい。特に、第2の摩擦面は、コンタクト要素および留め具を互いに固定する、特にこれらを回転方向に固定されるように固定するために用いられてよい。本実施形態は、例えば留め具にねじり受け部が必要な場合に好適である。
【0021】
本発明に係るコンタクトアセンブリを組み立てる方法もまた、初めに述べた根本的課題を解決する。前記方法は、コンタクト要素、バスバーおよび留め具を提供する工程と、コンタクト要素をバスバーによって第1の摩擦面に摩擦によりロックする工程と、コンタクト要素をバスバーまたは留め具によって第2の摩擦面に摩擦によりロックする工程とを備える。特に、摩擦により固定する最後の2つの方法工程は、逐次的に行われてもよく、または同時に行われてもよい。上記の方法を好ましくは自動的に、特に完全に自動的に実現するように構成される組み立て機械もまた、初めに述べた根本的課題を解決する。
【0022】
バスバーの段差付きの受け開口部を有するコンタクトアセンブリの実施形態において、留め具の支持部分の外径は、少なくとも段差付きの受け開口部のより小さい内径よりも大きい。一定の受け開口部を有する実施形態において、支持部分の外径は、一定の受け開口部の内径よりも大きい。したがって、留め具は、支持部分でバスバーに周方向に載ってよい。好ましくは、支持部分は、ねじ付き部分の反対側に配置され、ねじ付き部分と支持部分との間の距離は、バスバーの受け開口部の長さよりも大きい。
【0023】
その結果、留め具は、バスバーの受け開口部に受けられたコンタクト要素の貫通開口部に留め具のねじ付き部分が挿入されたときに、ねじ付き部分に対して逆側でバスバーに載ってよい。よって、支持部分は、特にねじまたはねじ付きスリーブとして構成される留め具のための支持面を提供する。この支持面は、上記で既に述べた軸力を伝達するように有利に機能し、この軸力はバスバーから肩部を介してコンタクト要素へと伝達され、よってコンタクト面への表面圧力として働き得る。
【0024】
別の可能な実施形態によれば、カラー部分は、バスバーの受け開口部と同じ長さを有していてよい。換言すると、貫通開口部に関して軸方向において測定されるカラー部分の高さは、受け開口部の長さと一致してよい。よって、カラー部分はその周囲においてバスバーと面一であり、留め具の支持部分は、バスバーおよびカラー部分の両方に載ってよい。本実施形態は、留め具に向上した支持安定性を与え、熱負荷の低い適用例に、またはバスバーおよびコンタクト要素が同じ材料から作製される、もしくは少なくとも同様の熱膨張係数を有する場合に特に好適である。それにより、バスバーとカラー部分との間の面一の装着が、構成要素の熱膨張によって妨げられない。
【0025】
予期される熱負荷が高い、かつ/または熱膨張挙動が大幅に変動する適用例では、カラー部分は代替的に、バスバーの受け開口部よりも短くなるように構成されてよい。換言すると、貫通開口部に関して軸方向において測定されるカラー部分の高さは、受け開口部の長さよりも小さくてよい。これにより、特に、カラー部分が外面においてバスバーの受け開口部から突出せず、その結果、留め具の支持部分のみがバスバーに載ることが確実になる。特に、これにより、コンタクト要素のカラー部分と留め具の支持部分との間に間隙が形成される。この間隙は、2つの点で好適である。
【0026】
一方では、間隙は、コンタクト要素が動作中の加熱時にバスバーおよび留め具よりも熱膨張する場合に、カラー部分が受け開口部から突出して留め具をバスバーから浮かすことを防止するために用いることができる。
【0027】
他方では、コンタクト要素の肩部と留め具の支持部分との間の間隙により、バスバーを締め付けることができる。バスバーがコンタクト要素および留め具よりも熱膨張する場合、特にカラー部分の外径の増大が受け開口部の内径の増大を補うことができないため、バスバーとコンタクト要素との間の摩擦接続がなくなることになる。一定の熱膨張を超えると、摩擦接続に必要な内径よりも大きい外径のサイズが存在しなくなる。それでもなお、バスバーの熱膨張が確実に前記締め付けの増大ももたらすため、バスバーに対するコンタクト要素の固定および接触は継続することになる。
【0028】
コンタクト要素と留め具との間の摩擦接続を補強するために、留め具は、刻み付き部分を有していてよい。刻み付き部分は、ねじ付き部分と支持部分との間に配置されることが好ましく、コンタクト要素の貫通開口部よりもサイズが大きい。例えば、刻み付き部分は、径方向に突出し、軸方向に延び、周方向において刻み付き部分にわたって分散されるリブを有していてよい。特に、刻み付き部分は、軸方向に平行な鋸歯部を有していてよい。刻み付き部分は、留め具の回転方向に対称な部分に刻みを付けることにより生成されてよい。しかしながら、これは丸い断面に限定されず、非円形の断面、特に卵形、楕円形、正方形、矩形または多角形の断面に、刻み付けと同様の表面構造が得られる他の形成プロセス(例えば型打ち)により、機械加工プロセス(例えば切削)により、かつ/または一次成形プロセス(例えば鋳造)により、生成されてもよい。
【0029】
刻み付き部分のより大きいサイズは、任意選択的に、貫通開口部への留め具の挿入後に、コンタクト要素のカラー部分が刻み付き部分によって変形、特に塑性変形するように選択される。カラー部分の材料厚さによっては、この変形が第1の摩擦面を形成するカラー部分の外面にも影響を及ぼすので、刻み付き部分はさらに、コンタクト要素とバスバーとの間の摩擦接続を補強するために用いることができる。
【0030】
別の可能な実施形態によれば、刻み付き部分は、バスバーの受け開口部よりも短い。換言すると、軸方向に測定される刻みの長さは、受け開口部を囲むバスバーの材料厚さよりも小さい。好ましくは、刻み付き部分は、コンタクト要素のカラー部分よりも短いが、刻み付き部分およびカラー部分は、合計して受け開口部よりも長い。よって、刻み付き部分が挿入されると、コンタクト要素のカラー部分は、その高さ全体にわたって変形しないが、コンタクト部分とは逆側に面する領域のみにおいて変形する。特に、カラー部分は、円錐状またはくさび状に広がる。バスバーの変形容易性によっては、カラー部分は、受け開口部においてダボ状に径方向に膨張し、受け開口部の内面と変形したカラー部分との間に、増大した摩擦接続を、状況によっては形状嵌合を生じさせる場合がある。
【0031】
ねじり収容(torsion accommodation)が好都合でない場合、またはねじり収容が留め付け手段の装着部に設けられる場合、留め付け手段自体が、コンタクト要素の貫通開口部に回転可能に、好ましくは自由に回転可能に配置されてもよい。回転可能とすることにより、留め具を利用して既に説明したねじ接続部を形成することが可能となり、簡略になる。
【0032】
受け開口部は、特にバスバーの端部に配置されてよい。加えて、バスバーは、さらなる受け開口部が任意選択的に配置される、少なくとも1つのさらなる端部を有してよい。したがって、コンタクトアセンブリは、このさらなる受け開口部に固定される少なくとも1つのさらなるコンタクト要素を有していてよい。
【0033】
バスバーは、少なくとも2つの電気モジュールの間に延びるバスバー、および電気モジュールの一部であるバスバー部分のいずれであってもよい。バスバー部分は、好ましくは電気モジュールの電極すなわち電気的な極に導電可能に接続され、よって電気モジュールの接続部を形成する。バスバーの場合、本発明に係るコンタクトアセンブリは、既に述べたように少なくとも1つのさらなるコンタクト要素を有していてよい。したがって、少なくとも1つのさらなる受け開口部が、バスバーに設けられてよい。特に、バスバーは、それが接続する電気モジュールごとに、本発明に係るコンタクトアセンブリのコンタクト要素のための受け開口部を有していてよい。
【0034】
初めに述べた根本的課題は、本発明に係る少なくとも1つのコンタクトアセンブリとコンタクト保護ハウジングとを有するモジュールコネクタによっても解決することができる。コンタクト保護ハウジングは、少なくとも1つのコンタクトアセンブリを収容するように構成される。ここで、本発明に係るモジュール式コネクタは、既に述べたコンタクトアセンブリの利点の恩恵を受ける。特に、幾何学的形状および材料の選定に関する構成の自由度の向上は、モジュール式コネクタ全体の製造性の改善に寄与する。さらに、本発明に係るモジュールコネクタは、向上した電気的安全性を特徴とする。これにより、可能な適用範囲が大きく広がる。
【0035】
コンタクト保護ハウジングは、電気絶縁性の材料から作製されることが好ましい。任意選択的に、コンタクト保護ハウジングは、留め具に配置された少なくとも1つのコンタクト保護キャップを有していてよい。少なくとも1つのコンタクト保護キャップは、例えば留め具の支持部分を囲んでいてよい。代替的にまたは追加的に、さらなるコンタクト保護キャップが留め具のねじ付き部分に取り付けられてよい。コンタクト要素の貫通開口部は、少なくとも部分的に、留め具と相補的な対応部、特にそのコンタクト保護キャップを収容するように構成されてよい。この目的で、貫通開口部の内部形状は、対応部のコンタクト保護キャップの外部形状よりも大きくてよい。
【0036】
各々が相補的な留め具を有する2つ以上のコンタクトアセンブリを有する接続アセンブリもまた、上述の課題を解決する。本発明に係る接続アセンブリにおいても、上記で既に述べた利点が利用される。加えて、本発明に係る接続アセンブリは、モジュール接続部を形成するために直接用いることができる。この目的で、2つのコンタクトアセンブリのコンタクト要素は、それぞれのバスバーに摩擦により取り付けられ、互いにコンタクト面で押し付けられ、互いに相補的に構成される留め具を介して共に保持される。
【0037】
本発明に係るコンタクトアセンブリと同様に構成される少なくとも1つのバッテリ端子を有するバッテリセルもまた、上記で既に述べた利点の恩恵を受け、結果として得られる製造性の改善により初めに述べた根本的課題を解決する。バッテリセルは、少なくとも1つの電極をさらに備えてよく、コンタクトアセンブリとして構成されるバッテリ端子のバスバーは、少なくとも1つの電極に導電可能に接続される。
【0038】
電気的安全性の理由から、本発明に係る接続アセンブリは、任意選択的に、各々がコンタクトアセンブリを収容するように構成される2つコンタクト保護ハウジングを備えてよい。本発明に係るバッテリセルもまた、少なくとも1つのバッテリ端子のためのコンタクト保護ハウジングを有していてよい。
【0039】
初めに述べた根本的課題は、本発明に係る少なくとも1つのバッテリセルおよび本発明に係る少なくとも1つのモジュールコネクタを有するバッテリモジュールによっても解決される。コンタクトアセンブリとして構成されるバッテリセルのバッテリ端子の留め具は、モジュールコネクタのコンタクトアセンブリの留め具と相補的に構成される。本発明に係るバッテリモジュールは、さらなるバッテリモジュールおよび/または電気コンシューマユニットに接続されてよい。
【0040】
勿論、バッテリセルは、各々が本発明に係るコンタクトアセンブリと同様に構成される2つのバッテリ端子を有していてもよい。したがって、バッテリセルは、2つの電極を有していてよく、コンタクトアセンブリの各々の1つのバスバーが、いずれの場合も1つの電極に導電可能に接続される。さらに、バッテリモジュールは、複数のバッテリセルおよび複数のモジュールコネクタを有していてもよく、その留め具は各々、互いに相補的な対として構成される。
【0041】
以下、いくつかの例示的実施形態によって図面を参照して本発明をより詳細に説明する。それらの例示的実施形態の様々な特徴は、上記の説明に従って必要に応じて互いに組み合わされてよい。特に、個々の特徴は、これらの特徴の効果が特定の適用例に必要な場合、上記の説明に従って説明されている実施形態に追加されてよい。反対に、個々の特徴は、これらの特徴の技術的効果が特定の適用例において重要でない場合、説明されている実施形態から省かれてもよい。図面において、同様、同一および機能的に同一な要素には、適宜、同一の参照符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1の例示的実施形態に係るコンタクトアセンブリの模式的な斜視分解組立図である。
図2図1のコンタクトアセンブリの模式的な斜視断面図である。
図3】分解組立図で示した第2の例示的実施形態に係るコンタクトアセンブリの模式的な斜視断面図である。
図4図3のコンタクトアセンブリの裏面の模式的な斜視図である。
図5】第3の例示的実施形態に係るコンタクトアセンブリの模式的な斜視図である。
図6】例示的実施形態に係る接続アセンブリの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1から図5までの例示的実施形態に基づいて、本発明に係るコンタクトアセンブリ1の概略的構造を以下で説明する。加えて、本発明に係る接続アセンブリ2の概略的構造を、図6を参照して簡単に説明する。
【0044】
図1から、例示的実施形態におけるコンタクトアセンブリ1は、コンタクト要素4、バスバー6および留め具8を備えることがわかる。コンタクト要素4およびバスバー6は、別個の構成要素として設けられてよく(図1参照)、以下でより詳細に説明するように、共に摩擦により装着されてよい(図2参照)。結果として、コンタクト要素4は、ニッケルおよび/または銀を含む被膜で完全に被覆されていてよい。
【0045】
コンタクト要素4は、留め具8を挿入するための貫通開口部10を備える。コンタクト要素4のコンタクト部分12は、貫通開口部10に沿って、管状に延びる。コンタクト要素4のカラー部分14が、コンタクト部分12に隣接し、貫通開口部10をスリーブ状に延ばす。
【0046】
バスバー6は、少なくともカラー部分14を受けるための受け開口部16を有する。受け開口部16は、例えばバスバー6の端部18に配置される。バスバー6は、少なくとも2つの電気モジュール(不図示)の間に延びるバスバー、および電気モジュールの一部であるバスバー部分のいずれであってもよい。
【0047】
留め具8は、留め具8と相補的な対応部20(図3参照)にコンタクトアセンブリ1を留め付けるために用いられる。留め具8は、コンタクト要素4に摩擦により装着されてもよく(図2参照)、またはコンタクト要素4の貫通開口部10において自由に回転可能に配置されてもよい。
【0048】
図1および図2に示す例示的実施形態において、コンタクトアセンブリ1の留め具8は、雌ねじ24を有するねじ付きスリーブ22として構成される。雌ねじ24は、留め具8のねじ付き部分26に配置される。図3において、留め具8は、ねじ付き部分26における雄ねじ30を有するねじ28として示されている。図4および図5においては、いずれの場合もコンタクトアセンブリ1が留め具なしで示されている。
【0049】
示されている全ての実施形態において、留め具8は、径方向外方に延びる支持部分32を有し、支持部分32は、留め具8の他の部分からプレート状に周方向に突出する。ねじ付きスリーブ22として構成される図1および図2の留め具8の場合において、支持部分32は、環状の幅広部34により形成される。ねじ28として構成される図3の留め具8は、支持部分32を形成するねじ頭部36を有する。コンタクトアセンブリ1の組み立て済み状態において、支持部分32は、バスバー6を基準としてコンタクト要素4のコンタクト部分12の反対側に位置する(図2参照)。さらに、支持部分32は、バスバー6の受け開口部16に受けられたコンタクト要素4の貫通開口部10に留め具8のねじ付き部分26が挿入されたときに、その外面においてねじ付き部分26に関してバスバー6上に位置する。
【0050】
受け開口部16は、その深さに沿って連続的に一定の内径38を有していてよく、カラー部分14の外径40は、この一定の内径38よりも大きいサイズを有する。特に、コンタクト要素4は、受け開口部16における第1の摩擦面42においてバスバー6に摩擦により取り付け可能であるように構成される。第1の摩擦面42は、カラー部分14の外面44に配置される。図2において、コンタクト要素4は、第1の摩擦面42によってバスバー6に摩擦により固定されており、よってバスバー6に接合された状態で示されている。示されている例示的実施形態において、コンタクト要素4は、カラー部分14がバスバー6の受け開口部16に摩擦により挿入される円筒形のコンタクトリング46として構成される。カラー部分14とは逆側を向くコンタクト部分12の端面48において、コンタクト要素4は、対向コンタクト52のためのコンタクト面50を有する(図3参照)。
【0051】
図1に示すコンタクトリング46は、貫通開口部10に関する軸方向64において丸い断面54を有する。代替的に、コンタクトリング46は、少なくとも局所的に、例えばカラー部分14において、非円形の断面(不図示)、特に卵形、楕円形、正方形、矩形または多角形の断面を有していてもよい。
【0052】
図2は、カラー部分14がバスバー6の受け開口部16よりも短いことを示す。すなわち、軸方向64において貫通開口部10に関して測定されるカラー部分14の高さ56は、受け開口部16の長さ58よりも小さい。熱膨張プロセスを補うために、コンタクトアセンブリ1の組み立て済み状態において、コンタクト要素4のカラー部分14と留め具8の支持部分32との間には環状の間隙60が設けられる。
【0053】
代替的に、カラー部分14は、バスバー6の受け開口部16と同じ長さになるように構成されてもよい。これは、接合済み状態において、カラー部分14がバスバー6と面一になり(図4参照)、バスバー6と共に留め具8の支持部分32に対する可能な限り最大の支持面を提供することを意味する。
【0054】
図2はまた、コンタクト要素4およびバスバー6がさらに、少なくとも1つの面において軸方向64における形状嵌合62を形成することを示す。この目的で、コンタクト要素4は、コンタクト要素4がバスバー6に当接する、コンタクト部分12とカラー部分14との間の周方向の肩部66を有する。コンタクト部分12は、カラー部分14よりも大きい外径68を有し(図1参照)、肩部66は、コンタクト部分12とカラー部分14との間の肩状の移行部を形成する。これにより、バスバー6を、コンタクト要素4と留め具8との間で、特に肩部66と支持部分32との間で締め付けることができる。
【0055】
さらに、図1に示すコンタクトアセンブリ1のコンタクト要素4は、貫通開口部10における第2の摩擦面70において、すなわちコンタクト要素4の内面71において、留め具8に摩擦により取り付け可能であるように構成される。第1の摩擦面42および第2の摩擦面70は、径方向72において貫通開口部10に関して互いにオフセットされる。図2は、留め具8において第2の摩擦面70で摩擦により固定された状態のコンタクト要素4を示す。特に、コンタクト要素4および留め具8は、回転方向に固定されるように互いに固定される。
【0056】
図1および図2に示す実施形態において、コンタクト要素4と留め具8との間の摩擦接続は、留め具8における刻み付き部分74により補強される。この刻み付き部分74は、コンタクト要素4の貫通開口部10よりも大きいサイズを有する。示されている例示的実施形態において、刻み付き部分74は、径方向に突出し、軸方向に延び、周方向78において刻み付き部分74にわたって分散されるリブ76を有する。特に、ここでの刻み付き部分74は、軸に平行な鋸歯部80を有する。
【0057】
さらに、刻み付き部分74のより大きいサイズは、貫通開口部10への留め具8の挿入後にカラー部分14が刻み付き部分74によって塑性変形するように選択される。この変形は、カラー部分14の外面44に影響を及ぼし(図2参照)、よって、コンタクト要素4とバスバー6との間の摩擦接続をも補強する。
【0058】
図2が示すように、刻み付き部分74は、バスバー6の受け開口部16よりも短い。すなわち、軸方向64に測定される刻み付き長さ82は、受け開口部16を囲むバスバー6の材料厚さ84よりも小さい。さらに、刻み付き部分74は、コンタクト要素4のカラー部分14よりも短いが、刻み付き部分74およびカラー部分14は、合計して受け開口部16よりも長い。これにより、コンタクト要素4および留め具8がバスバー6の両側から受け開口部16に挿入されると、刻み付き部分74がカラー部分14に至るまで延びることが確実になる。それにより、コンタクト部分12とは逆側を向くカラー部分14の領域86が円錐状に広がり、受け開口部16においてダボ状に拡張する(図2参照)。このようにして、受け開口部16の内面120とカラー部分14の変形した領域86との間に形状嵌合が形成される。
【0059】
図3に示すコンタクトアセンブリ1のコンタクト要素4は、留め具8に代えて、第2の摩擦面70によってバスバー6に取り付けられるように構成される。この目的で、バスバー6の受け開口部16は、その深さに沿って2つの異なる内径90、94を有する。特に、受け開口部16は、より小さい内径90を有する幅狭領域88と、より大きい内径94を有する幅広領域92とを有する。カラー部分14の外径40は、幅狭領域88の内径90よりも大きいサイズを有し、一方でコンタクト部分12の外径68は、幅広領域92の内径94よりも大きいサイズを有する。
【0060】
受け開口部16において、バスバー6は、幅狭領域88と幅広領域92との間の段差96を有する。コンタクト要素4の肩部66は、この段差96に平坦に載ってよい(図5参照)。ここで、幅広領域92に面する段差96の段差面98は、より小さい内径90とより大きい内径94との間の移行部を形成する。受け開口部16は、対応する寸法の段差穴100として構成される。
【0061】
図5に示すように、本実施形態においては、カラー部分14に加えてコンタクト部分12の少なくとも一部分も、バスバー6の受け開口部16に受けられてよい。第2の摩擦面70は、軸方向64において第1の摩擦面42からオフセットされ、コンタクト部分12の外面101により形成される。
【0062】
径方向切り欠き102として構成される材料凹部104(図5参照)によって、コンタクト要素4の肩部66が段差面98まで実際に延びることを保証することができる。加えて、材料凹部104により、バスバー6の端部18がより容易に変形可能となる。それにより、より小さい力でコンタクト要素4およびバスバー6を装着することが可能となる。切り欠き102の代替として、軸方向細穴106が材料凹部104を形成してもよい。これは図3および図4において見ることができ、ここでは、いくつかの軸方向細穴106が段差穴100の幅広領域92の周囲108にわたって分散されている。
【0063】
相互の挿入を容易にするために、コンタクト要素4、バスバー6および/または留め具8は、挿入ベベル110を有していてよい(図1参照)。
【0064】
図2のコンタクトアセンブリ1’および図3のコンタクトアセンブリ1’’は、共に図6の接続アセンブリ2を形成する。特に、コンタクトアセンブリ1’の留め具8’は、コンタクトアセンブリ1’’の留め具8’’と相補的に構成される。換言すると、留め具8’’は、留め具8’に対する対応部20に相当し、その逆も然りである。この目的で、留め具8’は雌ねじ24を有し、留め具8’’は雄ねじ30としての対応する相手ねじを有する。コンタクト要素4’、4’’のコンタクト面50’、50’’は、向かい合って接触し、留め具8’、8’’によって共に押し付けられる。
【0065】
さらに、接続アセンブリ2は、コンタクトアセンブリ1’、1’’のためのそれぞれのコンタクト保護ハウジング112’、112’’を有する。それぞれのコンタクト保護ハウジング112’、112’’の一部として、留め具8’、8’’は、コンタクト保護キャップ114’、114’’を有する。
【0066】
本発明によれば、図6に示すコンタクトアセンブリ1’は、バッテリセル(不図示)のバッテリ端子116に相当してよく、バスバー6’は、バッテリセルの電極(不図示)に導電可能に接続される。図6に示すコンタクトアセンブリ1’’は、コンタクト保護ハウジング112’’と共に、本発明に係るモジュールコネクタ118に相当してもよい。モジュールコネクタ118は、上記のバッテリセルと共に、バスバー6’、6’’を介してさらなるバッテリモジュール(不図示)および/または電気コンシューマユニット(不図示)に接続され得るバッテリモジュール(不図示)を形成してよい。
【符号の説明】
【0067】
1、1’、1’’ コンタクトアセンブリ
2 接続アセンブリ
4、4’、4’’ コンタクト要素
6、6’、6’’ バスバー
8、8’、8’’ 留め具
10 貫通開口部
12 コンタクト部分
14 カラー部分
16 受け開口部
18 端部
20 対応部
22 ねじ付きスリーブ
24 雌ねじ
26 ねじ付き部分
28 ねじ
30 雄ねじ
32 支持部分
34 幅広部
36 ねじ頭部
38 内径
40 外径
42 第1の摩擦面
44 外面
46 コンタクトリング
48 端面
50、50’、50’’ コンタクト面
52 対向コンタクト
54 断面
56 高さ
58 長さ
60 間隙
62 形状嵌合
64 軸方向
66 肩部
68 外径
70 第2の摩擦面
71 内面
72 径方向
74 刻み付き部分
76 リブ
78 周方向
80 鋸歯部
82 刻み付き長さ
84 材料厚さ
86 領域
88 領域
90 内径
92 領域
94 内径
96 段差
98 段差面
100 段差穴
101 外面
102 切り欠き
104 材料凹部
106 軸方向細穴
108 周囲
110 挿入ベベル
112’、112’’ コンタクト保護ハウジング
114’、114’’ コンタクト保護キャップ
116 バッテリ端子
118 モジュールコネクタ
120 内面
図1
図2
図3
図4
図5
図6