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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231023BHJP
   G06N 3/063 20230101ALI20231023BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231023BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20231023BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
G06N3/063
H02J7/00 B
H02J7/02 F
H02J50/40
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022115560
(22)【出願日】2022-07-20
(62)【分割の表示】P 2019549674の分割
【原出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2022140531
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2017213048
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】伊佐 敏行
(72)【発明者】
【氏名】千田 章裕
(72)【発明者】
【氏名】豊高 耕平
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029470(JP,A)
【文献】特開平11-146569(JP,A)
【文献】特開2015-095983(JP,A)
【文献】特開2015-080408(JP,A)
【文献】特開2014-135884(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141141(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101924385(CN,A)
【文献】米国特許第5714866(US,A)
【文献】国際公開第2011/061809(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0180241(US,A1)
【文献】特開2007-240308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02J 50/00-50/90
H01M 10/42-10/48
G06N 3/063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークを用いて、第1の蓄電池および第2の蓄電池に無線で充電を行う機能を有する給電装置であって、
給電コイルと、
前記給電コイルと接続された制御回路と、を有し、
前記制御回路は、整流回路と、復調回路と、変調回路と、定電圧回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記第1の蓄電池の第1の残容量値と、前記第2の蓄電池の第2の残容量値とを推定する第1の機能と、
推定した前記第1の残容量値および推定した前記第2の残容量値を、前記ニューラルネットワークに与える第2の機能と、
前記ニューラルネットワークから出力された第1の値および第2の値に応じて、前記第1の蓄電池および前記第2の蓄電池のいずれかを選択し、選択された蓄電池への充電を行う第3の機能と、を有し、
前記第1の値は、前記第1の残容量値に応じた値であり、
前記第2の値は、前記第2の残容量値に応じた値である、給電装置。
【請求項2】
ニューラルネットワークを用いて、第1の蓄電池および第2の蓄電池に無線で充電を行う機能を有する給電装置であって、
給電コイルと、
前記給電コイルと接続された制御回路と、を有し、
前記制御回路は、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタを複数有し、
前記制御回路は、
前記第1の蓄電池の第1の残容量値と、前記第2の蓄電池の第2の残容量値とを推定する第1の機能と、
推定した前記第1の残容量値および推定した前記第2の残容量値を、前記ニューラルネットワークに与える第2の機能と、
前記ニューラルネットワークから出力された第1の値および第2の値に応じて、前記第1の蓄電池および前記第2の蓄電池のいずれかを選択し、選択された蓄電池への充電を行う第3の機能と、を有し、
前記第1の値は、前記第1の残容量値に応じた値であり、
前記第2の値は、前記第2の残容量値に応じた値である、給電装置。
【請求項3】
ニューラルネットワークを用いて、第1の蓄電池および第2の蓄電池に無線で充電を行う機能を有する給電装置であって、
給電コイルと、
前記給電コイルと接続された制御回路と、
前記制御回路と接続されたメモリと、を有し、
前記制御回路は、整流回路と、復調回路と、変調回路と、定電圧回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記第1の蓄電池の第1の残容量値と、前記第2の蓄電池の第2の残容量値とを推定する第1の機能と、
推定した前記第1の残容量値および推定した前記第2の残容量値を、前記ニューラルネットワークに与える第2の機能と、
前記ニューラルネットワークから出力された第1の値および第2の値に応じて、前記第1の蓄電池および前記第2の蓄電池のいずれかを選択し、選択された蓄電池への充電を行う第3の機能と、を有し、
前記第1の値は、前記第1の残容量値に応じた値であり、
前記第2の値は、前記第2の残容量値に応じた値であり、
前記メモリは、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタを有する、給電装置。
【請求項4】
ニューラルネットワークを用いて、第1の蓄電池および第2の蓄電池に無線で充電を行う機能を有する給電装置であって、
給電コイルと、
前記給電コイルと接続された制御回路と、
前記制御回路と接続されたメモリと、を有し、
前記制御回路は、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタを複数有し、
前記制御回路は、
前記第1の蓄電池の第1の残容量値と、前記第2の蓄電池の第2の残容量値とを推定する第1の機能と、
推定した前記第1の残容量値および推定した前記第2の残容量値を、前記ニューラルネットワークに与える第2の機能と、
前記ニューラルネットワークから出力された第1の値および第2の値に応じて、前記第1の蓄電池および前記第2の蓄電池のいずれかを選択し、選択された蓄電池への充電を行う第3の機能と、を有し、
前記第1の値は、前記第1の残容量値に応じた値であり、
前記第2の値は、前記第2の残容量値に応じた値であり、
前記メモリは、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタを有する、給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、給電装置に関する。また、本発明の一態様は、無線により通信する機能を有する給電装置に関する。また、本発明の一態様は、蓄電池を用いた電子機器に関する。
【0002】
また、本発明の一態様は半導体装置に関する。
【0003】
また、本発明の一態様は、ニューラルネットワーク、及びそれを用いた給電装置に関する。また、本発明の一態様は、ニューラルネットワークを用いた電子機器に関する。
【0004】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。表示装置、発光装置、記憶装置、電気光学装置、蓄電装置、半導体回路及び電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【0005】
なお、本発明の一態様は上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【背景技術】
【0006】
無線給電等、電力供給源と接触していない状態において、電子機器等への対象物に対して給電を行う手法は一般的に用いられている。無線給電では、端子へ接続することなく簡便に給電を行うことができる。特許文献1では、磁界共鳴方式を利用して給電及び通信を行う例が開示されており、また携帯電話及び携帯情報端末が有するそれぞれの受電装置と送電装置との間で適用することができる給電システムの例が開示されている。
【0007】
また、近年、チャネル形成領域に酸化物半導体または金属酸化物を用いたトランジスタ(Oxide Semiconductorトランジスタ、以下、OSトランジスタと呼ぶ)が注目されている。OSトランジスタはオフ電流が極めて小さい。そのことを利用して、OSトランジスタを用いたアプリケーションが提案されている。例えば、特許文献2では、ニューラルネットワークの学習に、OSトランジスタを用いた例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-128394号公報
【文献】特開2016-219011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、電子機器が有する蓄電池の劣化を抑制することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、電子機器の消費電力を低減することを課題の一とする。
【0010】
または、本発明の一態様は、優れた性能を有する給電装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、蓄電池の劣化を抑制することができる給電装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、複数の蓄電池の充電を効率的に行うことができる給電装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、蓄電池の劣化を抑制することができる給電装置の動作方法を提供することを課題の一とする。
【0011】
または、本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、新規なシステムを提供することを課題の一とする。
【0012】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全て解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、これらの課題も、本発明の一態様の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、給電コイルと、制御回路と、ニューラルネットワークと、を有する給電装置である。給電コイルが与える無線信号を用いて、蓄電池に充電を行う機能を有し、蓄電池は、給電コイルからの無線信号を受信する機能を有し、制御回路は、蓄電池の残容量値を推定する機能を有し、制御回路は、推定した残容量値をニューラルネットワークに与える機能を有し、ニューラルネットワークは、与えられた残容量値に応じた値を制御回路に出力し、制御回路は、ニューラルネットワークより出力された値に応じて蓄電池への充電条件を決定し、給電装置は、決定された充電条件に基づき、蓄電池への充電を行う機能を有する。
【0014】
または、本発明の一態様は、給電コイルと、制御回路と、ニューラルネットワークと、を有し、給電コイルが与える無線信号を用いて、第1の蓄電池および第2の蓄電池に充電を行う機能を有し、第1の蓄電池および第2の蓄電池は、給電コイルからの無線信号を受信する機能を有し、制御回路は、第1の蓄電池の残容量値および第2の蓄電池の残容量値を推定する機能を有し、制御回路は、推定した第1の蓄電池の残容量値および第2の蓄電池の残容量値をニューラルネットワークに与える機能を有し、ニューラルネットワークは、与えられた第1の蓄電池の残容量値に応じた第1の値と、第2の蓄電池の残容量値に応じた第2の値と、を制御回路に出力し、制御回路は、第1の値および第2の値に応じて、第1の蓄電池および第2の蓄電池のいずれかを選択し、選択された蓄電池への充電を行う機能を有する給電装置である。
【0015】
または、本発明の一態様は、蓄電池を有する電子機器及び給電装置を有するシステムであり、蓄電池は、給電装置により充電され、給電装置は、給電コイルと、制御回路と、ニューラルネットワークと、を有し、給電装置は、給電コイルが与える無線信号を用いて、蓄電池に充電を行う機能を有し、制御回路は、蓄電池の残容量値を推定する機能を有し、制御回路は、推定した残容量値をニューラルネットワークに与える機能を有し、ニューラルネットワークは、与えられた残容量値に応じた値を制御回路に出力し、制御回路は、出力された値に応じて、蓄電池への充電条件を決定し、給電装置は、決定された充電条件に基づき、蓄電池への充電を行う機能を有するシステムである。
【0016】
または、本発明の一態様は、給電装置の動作方法であり、給電コイルと、制御回路と、ニューラルネットワークと、を有し、給電装置近傍には、複数の蓄電池が配置され、複数の蓄電池はそれぞれ、固有の識別番号を有し、給電装置は、給電コイルが与える無線信号を用いて、複数の蓄電池の少なくとも一に充電を行う機能を有し、制御回路が、複数の蓄電池のそれぞれの残容量値を推定する第1のステップと、制御回路が、推定されたそれぞれの残容量値をニューラルネットワークに与える第2のステップと、ニューラルネットワークが、それぞれの残容量値に応じたそれぞれの値を制御回路に出力する第3のステップと、制御回路が、それぞれの値に応じて、複数の蓄電池のいずれを充電するかを選択し、選択された前記蓄電池の充電を行う第4のステップと、制御回路が、選択された蓄電池の充電を停止する第5のステップと、を有し、第1のステップ乃至第5のステップを1つのサイクルとし、1つのサイクルは複数回繰り返され、繰り返される1つのサイクル毎に、第2のステップでは、識別番号と、第1のステップで推定された残容量値と、が紐付けされた組データを制御回路に蓄積し、第4のステップにおいて、充電条件は、蓄積された組データを用いて決定される給電装置の動作方法である。また、第1のステップにおいて、制御回路により、給電装置または蓄電池が有する時計の時刻が測定され、第2のステップでは、識別番号と、第1のステップで推定された残容量値と、時刻と、が紐付けられた組データを制御回路に蓄積することが好ましい。また、制御回路は、メモリを有することが好ましく、第2のステップにおいて、識別番号と、第1のステップで推定された残容量値と、が紐付けされた組データは、メモリに蓄積され、メモリは、チャネル形成領域にインジウムを含む金属酸化物を用いたトランジスタを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、電子機器が有する蓄電池の劣化を抑制することができる。また、本発明の一態様により、電子機器の消費電力を低減することができる。
【0018】
また、本発明の一態様により、優れた性能を有する給電装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、蓄電池の劣化を抑制することができる給電装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、複数の蓄電池の充電を効率的に行うことができる給電装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、蓄電池の劣化を抑制することができる給電装置の動作方法を提供することができる。
【0019】
また、本発明の一態様により、新規な半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、新規なシステムを提供するができる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】電子機器、給電装置およびブロックの一例を示す図。
図2】電子機器および給電装置の上面図および斜視図。
図3】電子機器、給電装置およびブロックの一例を示す図。
図4】電子機器、給電装置およびブロックの一例を示す図。
図5】給電装置の動作を示すフローチャート。
図6】給電装置の動作を示すフローチャート。
図7】給電装置の動作を示すフローチャート。
図8】電子機器および給電装置の上面図および斜視図。
図9】給電装置の上面図および斜視図。
図10】給電装置の上面図。
図11】電子機器の斜視図。
図12】ニューラルネットワークの構成例を示す図。
図13】半導体装置の構成例を示す図。
図14】メモリセルの構成例を示す図。
図15】オフセット回路の構成例を示す図。
図16】タイミングチャート。
図17】A:NOSRAMの構成例を示す機能ブロック図。B:メモリセルの構成例を示す回路図。
図18】A:メモリセルアレイの構成例を示す回路図。B、C:メモリセルの構成例を示す回路図。
図19】A:DOSRAMのメモリセルの構成例を示す回路図。B:DOSRAMの積層構造例を示す図。
図20】電子機器の一例。
図21】電子機器の一例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる形態で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。
【0024】
また、本明細書は、以下の実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0025】
なお、本明細書においてニューラルネットワークとは、生物の神経回路網を模し、学習によってニューロンどうしの結合強度を決定し、問題解決能力を持たせるモデル全般を指す。ニューラルネットワークは入力層、中間層(隠れ層ともいう)、出力層を有する。
【0026】
また、本明細書において、ニューラルネットワークについて述べる際に、既にある情報からニューロンとニューロンの結合強度(重み係数とも言う)を決定することを「学習」と呼ぶ場合がある。
【0027】
また、本明細書において、学習によって得られた結合強度を用いてニューラルネットワークを構成し、そこから新たな結論を導くことを「推論」と呼ぶ場合がある。
【0028】
また本明細書等において、チャネル形成領域に酸化物半導体または金属酸化物を用いたトランジスタをOxide Semiconductorトランジスタ、あるいはOSトランジスタと呼ぶ。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の給電装置について説明する。
【0030】
<給電装置>
図1には給電装置140と、給電装置140と無線により通信する機能を有する電子機器120と、のそれぞれのブロック図の一例を示す。また図2(A)には給電装置140および電子機器120の上面図の一例を示し、図2(B)には図2(A)に対応する斜視図の一例を示す。
【0031】
給電装置140は、コイル185と、制御回路186と、メモリ132と、を有する。制御回路186は、ニューラルネットワークNNを有する。
【0032】
ニューラルネットワークNNにおいて、後述するようにOSトランジスタを用いることができる。OSトランジスタを用いることにより後述するようにより少ないトランジスタ数で積和演算回路を構成することができる。そのため、ニューラルネットワークNNの回路規模の縮小を図ることができる。また、後述する構成を用いることにより、本発明の一態様のニューラルネットワークにおいて、演算精度の向上、消費電力の削減を図ることができる。
【0033】
例えば、アダプター162から給電装置140の制御回路186に電力が供給される。アダプター162は例えば、交流電源を直流電源に変換した後に出力する機能を有する。アダプター162はAC/DCアダプターと呼ばれる場合がある。制御回路186はパワーマネージメントICを有してもよい。
【0034】
図1に示す電子機器120は、蓄電池135と、制御回路182と、コイル183と、を有する。また電子機器120は保護回路137、充電制御回路171、センサ素子174、ヒューズ176、トランジスタ147、トランジスタ148等を有することが好ましい。充電制御回路171はクーロンカウンタCCを有してもよい。電子機器120が有するブロック161については後述する。
【0035】
電子機器120は図2(B)に示すように筐体139を有し、筐体139に囲まれた空間内に、蓄電池135、コイル183、等が配置される。筐体139は例えば金属を用いることができる。金属としてアルミニウム、ステンレス、等を用いることができる。また、金属は電磁波、電波、等を遮蔽する場合があるため、筐体139の少なくとも一部には金属より遮蔽性が低い材料、例えばガラス、石英、プラスチック、可撓性の樹脂、等を用いることが好ましい。例えば、筐体139において給電装置140に面する面において、金属より遮蔽性が低い材料を用いることができる。
【0036】
給電装置140上、あるいは給電装置140の近傍には、電子機器120が配置される。給電装置140から電子機器120が有する蓄電池135の充電を行うことができる。より具体的には例えば、給電装置140が有するコイル185から電子機器120が有するコイル183へ、無線信号を送信することにより、蓄電池135の充電を行うことができる。
【0037】
給電装置140は、コイル183の位置を検出する機能を有してもよい。また、給電装置140は検出したコイル183の位置情報に基づき、コイル183へ効率よく信号を送信できる距離までコイル185を移動させる機能を有してもよい。
【0038】
給電装置140は位置検出回路と、移動機構と、を有してもよい。また、給電装置140は、位置検出コイルを有してもよい。例えば、位置検出コイルが給電装置140に複数配置され、複数の位置検出コイルのそれぞれとコイル183との間で電磁誘導を生じさせる。電磁誘導がより大きい位置検出コイルは、コイル183により近いことがわかる。このようにしてコイル183の位置を検出することができる。例えば、図2(B)に示すように、給電装置140上に電子機器120が配置された後、コイル183の位置が検出され、矢印で示す方向にコイル185を移動させることができる。
【0039】
コイル185とコイル183は互いに無線信号の授受を行うことができる。コイル185およびコイル183は、送受信において、電磁誘導、電波受信、共鳴、等の方式を用いることができる。コイル185及びコイル183は、アンテナと呼ばれる場合がある。またコイル185およびコイル183は、Qi(チー)などの国際規格に準拠して送受信を行ってもよい。
【0040】
電子機器120への給電は無線給電を用いればよいため、電子機器120は給電のための端子を有さない場合がある。電子機器120が給電のための端子を有する場合、例えば筐体139において該端子部分が開口しており、該端子部分から水分、あるいは塵が電子機器120の筐体139の内部まで侵入してしまう場合がある。水分および塵の侵入により、制御回路等の各種回路、および蓄電池において、誤動作、あるいはショートが生じる場合がある。電子機器120において、給電のための端子を有さない構成とすることにより、防水性、および防塵性が向上する場合がある。
【0041】
本発明の一態様の電子機器において、メモリ、ニューラルネットワーク、CPU、その他の回路の少なくとも一部にOSトランジスタを適用することができる。OSトランジスタは短チャネル効果の影響を受けにくく、シリコントランジスタ等に比べて、ゲート絶縁膜を薄膜化せずとも良好なオンオフ比を得ることができる。また、ソース-ドレイン間の耐圧が高く、より高い電圧での動作においても、信頼性を確保することができる。よって、より高い電圧を用いた、より長い距離の無線給電において、回路を安定に動作できる場合がある。またOSトランジスタはシリコントランジスタに比べ、ノイズの影響を受けづらい場合がある。よって、無線給電において、より安定した給電を行える場合がある。OSトランジスタを有するメモリについては後述する。
【0042】
制御回路186および制御回路182は例えば、整流回路、復調回路、変調回路、定電圧回路、等を有する。また、制御回路186および制御回路182の少なくとも一方は例えば、電流及び電圧の検出回路、駆動回路、アナログ-デジタル変換回路、デジタル-アナログ変換回路、等を有する場合がある。
【0043】
制御回路182は、コイル183を介して給電装置140から与えられた電力を、制御回路182が内蔵する回路、および電子機器120が有する各ブロック、例えばブロック161へ供給することができる。電子機器120が有する各ブロックは、様々な構成を有することができる。ブロック161は例えば、表示部、撮像部、センサ素子、スピーカー、マイク、等から選ばれる一以上の構成を有する。例えば電子機器120が表示部を有する場合には、制御回路182は、該表示部の駆動回路へ電力を供給することができる。制御回路182はパワーマネージメントICを有してもよい。
【0044】
充電制御回路171は、蓄電池の充電を行う機能を有する。また充電制御回路171は蓄電池に対応するパラメータを測定する機能を有する。蓄電池135の電流は、充電制御回路171が有するクーロンカウンタCCにより測定されてもよい。
【0045】
充電制御回路171により蓄電池135のSOC(State of Charge)が推定されることが好ましい。SOCは例えば、満充電容量(Full Charge Capacity:FCC)を100%とし、蓄電池の容量を割合で示す値である。SOCは残容量値、あるいは充電率と呼ばれる場合がある。FCCとは例えば、満充電を行った後に放電を行う場合の、蓄電池の放電容量である。満充電とは例えば、蓄電池において定められた充電条件により、充電終了に至るまで充電が行うことを指す。FCCは充電終止電圧(充電上限電圧)、充電終止電流、等により変化する値である。
【0046】
蓄電池135のSOCはクーロンカウンタCCを用いて推定されてもよい。また蓄電池135のSOCは、蓄電池135のパラメータを単数、あるいは複数用いて推定される場合もある。
【0047】
充電制御回路171は、蓄電池135のパラメータが充電終止条件と一致した場合、あるいは充電終止電圧以上となった場合、あるいは充電終止電流以下となった場合、制御回路182に信号を与え、充電の終了を伝えることができる。
【0048】
制御回路182は蓄電池135の充電条件を、充電制御回路171に与える機能を有する。また制御回路182は、蓄電池135に対応するパラメータを、コイル183およびコイル185を介して、制御回路186に与える機能を有する。蓄電池135に対応するパラメータとは例えば、蓄電池135の電圧、電流、推定されたSOC、インピーダンス、開路電圧、固有の識別番号、等である。また、なお、電子機器120は時刻情報を出力する時計を有することが好ましい。電子機器120が時計(時刻を測定する機能を有する機器)を有する場合には、蓄電池135に対応するパラメータに紐付けて、該パラメータが取得された時刻が制御回路186に与えられてもよい。
【0049】
制御回路186は、蓄電池135に対応するパラメータをニューラルネットワークNNに与える機能を有する。与えられた該パラメータに基づき、ニューラルネットワークNNから数値V1が出力される。制御回路182には、ニューラルネットワークNNから出力された数値V1に対応する数値V12が、コイル185およびコイル183を介して制御回路186より与えられる。ここで数値V1および数値V12はそれぞれ、単一の数値でなくともよく、いくつかの数値が組となったデータでもよい。
【0050】
与えられた数値V12に基づき、制御回路186により蓄電池135の充電条件が決定され、決定された充電条件が充電制御回路171に与えられる。
【0051】
また、図1に示す構成においては、給電装置140はアンテナ189を有し、電子機器120はアンテナ188を有する。アンテナ188およびアンテナ189はサーバ133とのデータの授受を行うことができる。サーバ133で学習を行う場合には、サーバ133からアンテナ189を介してニューラルネットワークNNに学習により更新された結合強度を与えることができる。あるいは、サーバ133からアンテナ188を介して制御回路182が有するメモリに学習により更新された結合強度を与え、該メモリからコイル183およびコイル185を介してニューラルネットワークNNに該結合強度を与えることができる。またその逆の経路を辿ることにより、ニューラルネットワークNNから学習のためのデータをサーバに与えることができる。
【0052】
メモリ132は、例えば、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを有することが好ましい。揮発性メモリとして例えば、DRAM、SRAM、等を用いることができる。メモリ132は制御回路186が有するCPUの外部メモリとして機能してもよい。
【0053】
メモリ132として、後述するOSトランジスタを有するメモリを用いることができる。ニューラルネットワークを用いた演算は計算規模が膨大となる場合があり、膨大なデータ量をメモリへ転送、またはメモリから読み出しを行う。本発明の一態様の電子機器においてOSトランジスタを有するメモリを用いることにより、消費電力の低減を図ることができる。消費電力が低減することにより、電子機器120の発熱の抑制を図ることができる。また、OSトランジスタを有するメモリを用いることにより、書き込み、読み出し等の速度を高められる場合がある。
【0054】
蓄電池135として例えば、二次電池を用いることが好ましい。二次電池として例えば、リチウムイオン電池等の電気化学反応を用いる二次電池、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ等の電気化学キャパシタ、空気電池、燃料電池等が挙げられる。
【0055】
二次電池の正極材料として例えば、元素A、元素X、及び酸素を有する材料を用いることができる。元素Aは第1族の元素および第2族の元素から選ばれる一以上であることが好ましい。第1族の元素として例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を用いることができる。また、第2族の元素として例えば、カルシウム、ベリリウム、マグネシウム等を用いることができる。元素Xとして例えば金属元素、シリコン及びリンから選ばれる一以上を用いることができる。また、元素Xはコバルト、ニッケル、マンガン、鉄、及びバナジウムから選ばれる一以上であることが好ましい。
【0056】
クーロンカウンタCCは、蓄電池135の電流の時間特性を用いて積算電荷量を算出する機能を有する。
【0057】
保護回路137は蓄電池135がある定められた条件を満たす場合に、蓄電池の動作を停止する機能を有する。例えば、蓄電池135の電流がある値を超える場合に、その動作を停止する。また例えば、蓄電池の電圧がある値以上、あるいはある値以下となる場合に、その動作を停止する。保護回路137は例えば、後述する充電制御回路171により測定される蓄電池135の電流及び電圧を用いて、蓄電池135の制御を行うことができる。保護回路137は、蓄電池135の動作を停止する場合に、蓄電池135の二つの電極、例えば正極および負極と接続し、該二つの電極を短絡させる経路を有してもよい。該経路に、抵抗素子または容量素子を設けてもよい。
【0058】
センサ素子174は、圧力センサ、温度センサ、加速度センサ、歪みセンサ、のうち一以上のセンサを有することが好ましい。
【0059】
また、センサ素子174として、撮像、または光源の照射により、近傍に使用者が居るか否かを検知する機能を有するセンサを用いることができる。センサ素子174の検知結果をニューラルネットワークに与えることができる。
【0060】
トランジスタ147及びトランジスタ148は、電流を遮断するスイッチとして機能し、保護回路137が蓄電池135を停止させると判断した場合に、スイッチを作動させる。図1に示す例では、トランジスタ147及びトランジスタ148として寄生ダイオードを有するMOSFETを示すが、トランジスタ147及びトランジスタ148として、OSトランジスタを用いてもよい。OSトランジスタの詳細については後述する。
【0061】
図3に示す構成は、図1に示す構成と、給電装置140がアンテナ189を有さない点が異なる。サーバ133で学習を行う場合には、サーバ133からアンテナ188を介して制御回路182が有するメモリに、学習により更新された結合強度を与え、該メモリからコイル183およびコイル185を介してニューラルネットワークNNに該結合強度を与えることができる。またその逆の経路を辿ることにより、ニューラルネットワークNNから学習のためのデータをサーバに与えることができる。
【0062】
図4に示す構成は、図1に示す構成と、制御回路182がニューラルネットワークNNを有する点、メモリ132が制御回路182に電気的に接続される点、および給電装置140がニューラルネットワークNN、メモリ132およびアンテナ189を有さない点が異なる。サーバ133で学習を行う場合には、サーバ133からアンテナ188を介して制御回路182がニューラルネットワークNNに該結合強度を与えることができる。またその逆の経路を辿ることにより、ニューラルネットワークNNから学習のためのデータをサーバに与えることができる。なお図4において給電装置140がニューラルネットワークNN、メモリ132およびアンテナ189を有してもよい。
【0063】
<給電装置の動作方法>
図5に示すフローチャートを用いて本発明の一態様の給電装置の動作を説明する。
【0064】
ステップS200により処理を開始する。次にステップS201において、使用者により、蓄電池135を有する電子機器120が給電装置140に配置される。より具体的には給電装置140上、あるいは近傍に配置される。ここで近傍とは例えば、500mmより小さい距離、あるいは300mmより小さい距離、あるいは100mmより小さい距離に配置されることを指す。
【0065】
次にステップS202により、電子機器120が有するコイル183が検出される。次にステップS203により、コイル185を移動させる。なお、コイル185の移動を行わなくてもよい場合がある。コイル185をコイル183の近傍まで移動させることにより、コイル185からコイル183へ、高い電力効率で信号の送信、および給電を行うことができる。
【0066】
次にステップS204により、蓄電池135に対応するパラメータが取得される。蓄電池135に対応するパラメータは充電制御回路171等により取得される。次にステップS205により、取得されたパラメータを用いて、充電制御回路171により蓄電池135のSOCが推定される。なお、蓄電池135のSOCは、ニューラルネットワークNNを用いて推定されてもよい。次にステップS206により、推定されたSOCがニューラルネットワークNNに与えられる。
【0067】
次にステップS207により、ニューラルネットワークNNによる推論が行われる。次にステップS208により、ニューラルネットワークNNの推論による演算結果に応じて、蓄電池135の充電が行われる。より具体的には例えば、ニューラルネットワークNNの出力に対応した数値が制御回路186に与えられ、与えられた数値に基づき充電条件が決定され、決定された条件を用いて蓄電池135の充電が行われる。
【0068】
次にステップS209において、使用者により、蓄電池135を有する電子機器120が給電装置140から取り外される。なお、ステップS209において蓄電池135の充電が完了していない場合もある。最後にステップS299により処理を終了する。
【0069】
<給電装置の動作方法2>
次に、図6に示すフローを用いて、本発明の一態様の給電装置の動作を説明する。
【0070】
ステップS300により処理を開始する。次に、ステップS301乃至ステップS303が行われるが、ステップS301、ステップS302、およびステップS303についてはそれぞれステップS201、ステップS202、およびステップS203を参照すればよい。
【0071】
次にステップS304により、蓄電池135の識別番号あるいは蓄電池135が搭載された電子機器120の識別番号と、蓄電池135に対応するパラメータと、が取得される。該識別番号は例えば、制御回路182が有する読み取り回路により取得される。また該パラメータは例えば、充電制御回路171により取得される。次にステップS305により、取得された該識別番号が制御回路186に与えられ、該識別番号に対応した結合強度がメモリ132からニューラルネットワークNNへと与えられる。次にステップS306により、取得されたパラメータを用いて、制御回路182等により蓄電池135のSOCが推定される。
【0072】
次にステップS307により、推定されたSOCがメモリに格納される。ここで、該SOCは識別番号に紐付けされてメモリに格納されることが好ましい。加えて、パラメータが取得された時刻が該SOC、および該識別番号と紐付けしてメモリに格納されることが好ましい。ここで格納されたデータは、後述する結合強度の更新において用いられる。
【0073】
次にステップS309により、結合強度が更新されたニューラルネットワークNNを用いて推論が行われる。次にステップS310により、ニューラルネットワークNNの推論による演算結果に応じて、蓄電池135の充電が行われる。より具体的には例えば、ニューラルネットワークNNの出力に対応した数値が制御回路186に与えられ、与えられた数値に基づいた条件を決定し、決定された条件により蓄電池135の充電が行われる。
【0074】
次にステップS311において、使用者により、電子機器120が給電装置から取り外される。次に、例えばある時間が経過後、ステップS301に戻る。ステップS301において、使用者により、電子機器120が給電装置に配置される。その後、ステップS302乃至ステップS311が処理され、ある時間が経過後、再びステップS301に戻る。すなわち図6に示すフローチャートにおいて、ステップS301乃至ステップS311が繰り返し行われる。この際に、ステップS307の処理が繰り返し行われるたびに、識別番号に対応したSOCおよび時刻がニューラルネットワークNNに蓄積される。蓄積されるこれらの値を用いてニューラルネットワークNNにより推論を行うことにより、電子機器120の推論の精度を向上させることができる。
【0075】
<給電装置の動作方法3>
次に、図7に示すフローチャートを用いて、本発明の一態様の給電装置の動作を説明する。図7に示すフローチャートでは、給電装置に蓄電池、あるいは蓄電池を有する電子機器が複数、配置される例を示す。
【0076】
図7においては、給電装置140に2つの電子機器120、ここでは電子機器120aおよび電子機器120bが配置される例を考える。電子機器120aは、蓄電池135aおよびコイル183aを有し、電子機器120bは、蓄電池135bおよびコイル183bを有する場合を考える。ここで、電子機器120aおよび電子機器120bにおいて、電子機器120の記載を参照することができる。また、蓄電池135aおよび蓄電池135bにおいて、蓄電池135の記載を参照することができる。また、コイル183aおよびコイル183bにおいて、コイル183の記載を参照することができる。
【0077】
ステップS400により、処理を開始する。次にステップS401により、電子機器120aに対して、図6に示すステップS301乃至ステップS310の処理を行う。
【0078】
次にステップS402において、使用者により、電子機器120bが給電装置140に配置される。ステップS402における給電装置140、電子機器120a、および電子機器120bの配置の一例として、図8(A)に上面図を、図8(B)に斜視図をそれぞれ示す。次にステップS403により、図6に示すステップS302乃至ステップS309の処理を行う。
【0079】
次にステップS404において、蓄電池135aに対応するニューラルネットワークNNの演算結果と、蓄電池135bに対応するニューラルネットワークNNの演算結果と、が比較される。演算結果の比較については後述する。
【0080】
ステップS405では、ステップS404の比較結果に応じて蓄電池135aの充電を続けるかが判断され、次に処理するステップが選択される。蓄電池135aの充電を続ける場合(Yes)にはステップS406へ進み、蓄電池135aの充電を続けない場合(No)、すなわち充電を中断する場合には、ステップS411へ進む。
【0081】
ステップS406へ進む場合には、ステップS406により蓄電池135aの充電が完了し、ステップS407へ進む。あるいは、ステップS406において、蓄電池135aの充電が完了する前に使用者により電子機器120aが給電装置140から取り外される場合がある。その場合も、ステップS407へ進む。次にステップS407において、ニューラルネットワークNNの演算結果に対応した充電条件を用いて、蓄電池135bの充電を開始する。次にステップS408において、電子機器120bが給電装置140から取り外される。最後にステップS459により、処理が終了する。
【0082】
ステップS411へ進む場合には、ステップS411によりコイル185をコイル183bの近傍に移動させる。次にステップS412において、ニューラルネットワークNNの演算結果に対応した充電条件を用いて、蓄電池135bの充電が行われる。次にステップS413において蓄電池135bの充電が完了し、ステップS414へ進む。ここでステップS413の前に、電子機器120bが給電装置140から取り外される場合には、ステップS414へ進めばよい。次にステップS414において、中断されていた蓄電池135aの充電を再開する。次にステップS415において、電子機器120aが給電装置140から取り外される。最後にステップS499により、処理が終了する。
【0083】
<結合強度の更新>
ニューラルネットワークの結合強度(重み)の更新の一例を説明する。
【0084】
まず、電子機器120の使用者は、電池の充電頻度、充電開始時刻、および充電開始時のSOCなどのデータを時刻と紐付けて給電装置140に蓄積することができる。給電装置140は、蓄積されたデータを用いて、特徴量を抽出することができる。特徴量の抽出にはニューラルネットワークを用いてもよいし、あらかじめ決定された数値範囲に基づいたグループ分け等を行ってもよい。抽出された特徴量に対応した結合強度をサーバから選択し、ニューラルネットワークNNに与える。与えられた結合強度を用い、ニューラルネットワークNNで算出した結果に基づき、給電装置140は充電条件を決定する。
【0085】
結合強度の更新は、先に述べた図5のステップS207、図6のステップS305あるいはステップS307等で行えばよい。あるいは、図5乃至図7に述べるステップが実行されない時に結合強度を更新し、メモリに蓄積しておいてもよい。
【0086】
また、給電装置140を用いて複数の蓄電池を充電する場合には、取得されるデータはそれぞれの蓄電池の識別番号と紐付けて登録される。複数の蓄電池を充電する場合には、充電条件とともに充電の優先度がニューラルネットワークNNにより決定される。
【0087】
給電装置140は、同時に複数の蓄電池を充電できる場合がある。例えば二以上の蓄電池を同時に充電できる場合がある。このような場合に給電装置140において、優先度が高いと判断された蓄電池に対応するコイル183と、給電装置140が有するコイル185との距離を、他の蓄電池に対応するコイル183に比べて近くなるように、コイル185を移動させることができる。あるいはコイル185が発する磁場、電場等が異方性を有する場合、優先度が高いと判断された蓄電池に対応するコイル183が、他の蓄電池に対応するコイル183に比べてより強い磁場、あるいは電場を受信できるよう、コイル185を回転、あるいは回転および移動させることができる。
【0088】
蓄電池135において、SOCが高い状態、例えば満充電の状態で長い時間保持されると、蓄電池135の劣化が速まる場合がある。蓄電池135の劣化とは例えば、時間の経過に伴う満充電容量の低下である。ここで電子機器120の使用のされ方の傾向について、それぞれの電子機器120が有する蓄電池135に紐付けされて蓄積された充電頻度、充電開始時刻、および充電開始時のSOC等からニューラルネットワークNNにより判断することができる。例えば電子機器120において、充電開始時のSOCが充分に大きい傾向にある、すなわち、充電時のSOCが例えば30%より大きい状態、あるいは40%より大きい状態が高い頻度で生じる場合、蓄電池135の充電終止条件を満充電容量よりも低い容量、例えば満充電の70%より大きく90%より小さい容量、をニューラルネットワークNNが推奨し、蓄電池の劣化を緩やかにすることができる。充電終止条件の推奨は例えば、給電装置140あるいは電子機器120が有する表示部、インジケータ等において示されることが好ましい。インジケータとしてランプ等を用いることができる。使用者は、推奨された条件を確認し、該条件を承諾するか否かを前記表示部あるいは給電装置140あるいは電子機器120が有する入力部(ボタン等)より信号として給電装置140へ与えることができる。
【0089】
また、充電レートを抑制することにより、蓄電池135の劣化を抑制できる場合がある。充電開始時のSOCが充分に大きい傾向にある電子機器120、あるいは充電の頻度が低い電子機器120においては低い充電レートを推奨することができる。
【0090】
次に、複数の蓄電池を充電する場合の順番について説明する。複数の蓄電池を順番に充電する場合において、SOCがより小さい蓄電池135が先に充電される場合を考える。すなわち、充電量をより多く必要とする蓄電池135より順番に充電を行う。このような順番で充電を行うことにより、それぞれの蓄電池において、充電が完了する時間の差をより小さくできる場合がある。
【0091】
本発明の一態様の給電装置は、複数の蓄電池を充電する場合にそれぞれの蓄電池において、充電が完了する時間の差をより小さくすることができる。
【0092】
一方、SOCがより大きい蓄電池135を有する電子機器120の充電をなるべく短い時間で完了させることを使用者が好む場合には、使用者は、ニューラルネットワークNNにより推奨された条件を承諾しない旨の信号を給電装置140あるいは電子機器120が有する表示部あるいは入力部(ボタン等)により給電装置140へ与えることができる。
【0093】
ニューラルネットワークNNが前記表示部あるいは入力部より与えられる信号を用いて、特徴量の抽出を行い、抽出された特徴量に基づいた結合強度をサーバから選択し、ニューラルネットワークNNに与える。このように、ニューラルネットワークNNの結合強度を更新することにより、使用者の好みや優先度に合わせた充電条件を提案することができ、さらに、蓄電池の劣化を抑制することができる。
【0094】
図9には、給電装置140がモータ141を有し、コイル185がモータ141上に配置される例を示す。図9(A)は給電装置140の上面図を示し、図9(B)は給電装置140の斜視図を示す。モータ141は二軸モータであり、第一軸に対応するモータ141aおよび第二軸に対応するモータ141bを有する。モータ141aは図9(A)に示す左右方向に移動し、モータ141a上のコイル185は図9(A)に示す上下方向に移動する。モータ141として例えば回転型モータ、磁力による浮上を利用したリニアモータ等を用いることができる。あるいは、コイル185はモータに替えて二軸アーム型ロボット上に配置されてもよい。
【0095】
図9に示す給電装置140は、チップ群190を有する。チップ群190は制御回路186やメモリ132を構成するチップの集合である。
【0096】
図9(C)は、チップ群190の拡大図である。チップ群190は例えば制御回路186を構成するIC191、IC192、IC193等と、メモリ132を構成するメモリ194、メモリ195等と、アンテナ196と、を有する。
【0097】
例えば、IC191としてCPU、GPU、ニューラルネットワーク等を有するICを用いることができる。また、IC192として、コイル185を介して無線給電を制御する機能を有するICを用いることができ、IC192は例えば整流回路、復調回路、変調回路、定電圧回路、等を有する。また、IC193として後述する通信モジュールを用いることができる。IC193はアンテナ196を介して通信を行う機能を有する。IC193は例えば5m以上、あるいは50m以上、あるいは500m以上の距離における通信を行うことができる。
【0098】
メモリ194として例えば後述するDOSRAMを、メモリ195として例えば後述するNOSRAMを、それぞれ用いることができる。また、CPU、GPU等が有するメモリに後述するNOSRAMを用いてもよい。
【0099】
図10には、給電装置140が位置検出コイル187を複数有する例を示す。複数の位置検出コイル187はそれぞれ、位置検出回路に電気的に接続される。位置検出回路はそれぞれのコイルに流れる電流を測定する機能を有する。図10(A)に示す給電装置140は、位置検出コイル187を9個有し、9個の位置検出コイル187が縦3列、横3行に配置される例を示す。また図10(B)に示す給電装置140は、縦長の位置検出コイル187aが横に6列、配置され、横長の位置検出コイル187bが縦に4行、配列される例を示す。
【0100】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0101】
(実施の形態2)
本実施の形態では、先の実施の形態に述べた電子機器120の一例について説明する。
【0102】
図11に、本発明の一態様に係る電子機器の一例として、タブレット型の情報端末6200を示す。情報端末6200は、筐体6221a、筐体6221b、筐体6221c、表示部6222、操作ボタン6223a、操作ボタン6223b、スピーカ6224、カメラ6226、タッチセンサ、を有する。図11(A)は情報端末6200の表示部6222を有する面からみた斜視図を、図11(B)は図11(A)に示す面の背面からみた斜視図を、それぞれ示す。
【0103】
情報端末6200において、筐体6221a、筐体6221bおよび筐体6221cで構成された筐体の内部に蓄電池6228、コイル6229、IC6231、IC6232、IC6233、メモリ6234、メモリ6235、アンテナ6236、等を有する。蓄電池6228については蓄電池135の記載を参照することができる。コイル6229についてはコイル183の記載を参照することができる。アンテナ6236についてはアンテナ188を参照することができる。
【0104】
IC6231乃至IC6233は例えば、先の実施の形態に述べた制御回路182が有するICである。例えば、IC6231としてCPU、GPU、ニューラルネットワーク等を有するICを用いることができる。また、IC6232として、コイル6229を介して無線給電を行う機能を有するICを用いることができる。IC6232は例えば整流回路、復調回路、変調回路、定電圧回路、等を有する。また、IC6233として後述する通信モジュールを用いることができる。IC6233はアンテナ6236を介して通信を行う機能を有する。IC6233は例えば5m以上、あるいは50m以上、あるいは500m以上の距離における通信を行うことができる。
【0105】
メモリ6234およびメモリ6235については実施の形態に述べたメモリ132の記載を参照することができる。例えば、メモリ6234として後述するDOSRAMを、メモリ6235として後述するNOSRAMを、それぞれ用いることができる。また、CPU、GPU等が有するメモリに後述するNOSRAMを用いてもよい。
【0106】
通信モジュールは、アンテナを介して通信を行うことができる。例えばCPU等の演算部からの命令に応じて電子機器をコンピュータネットワークに接続するための制御信号を制御し、当該信号をコンピュータネットワークに発信する。これによって、World Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピュータネットワークに電子機器を接続させ、通信を行うことができる。またその通信方法として複数の方法を用いる場合には、アンテナを当該通信方法に応じて複数有していてもよい。
【0107】
通信モジュールには、例えば高周波回路(RF回路)を設け、RF信号の送受信を行えばよい。高周波回路は、各国法制により定められた周波数帯域の電磁信号と電気信号とを相互に変換し、当該電磁信号を用いて無線で他の通信機器との間で通信を行うための回路である。実用的な周波数帯域として数10kHz乃至数10GHzが一般に用いられている。アンテナと接続される高周波回路には、複数の周波数帯域に対応した高周波回路部を有し、高周波回路部は、増幅器(アンプ)、ミキサ、フィルタ、DSP、RFトランシーバ等を有する構成とすることができる。無線通信を行う場合、通信プロトコル又は通信技術として、LTE(Long Term Evolution)、GSM(Global System for Mobile Communication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access:登録商標)などの通信規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
【0108】
また、通信モジュールは、電子機器を電話回線と接続する機能を有していてもよい。電話回線を通じた通話を行う場合には、通信モジュールは、CPU等の演算部からの命令に応じて、電子機器を電話回線に接続するための接続信号を制御し、当該信号を電話回線に発信する。
【0109】
通信モジュールにおいて、より高速でデータを転送、あるいは受信する場合には、より大きな電力を要する場合がある。そのような場合においても本発明の一態様の電子機器は、制御回路が有するニューラルネットワーク、メモリ、等においてOSトランジスタを用いることにより消費電力を低減することができる。電子機器全体の消費電力を抑制することができるため、高速のデータ転送、および受信を行った場合でも蓄電池の持続時間を長くできる場合がある。
【0110】
筐体6221a、筐体6221bおよび筐体6221cは別々の材料から構成されてもよい。あるいは同一の材料を含んでもよい。また筐体6221a、筐体6221bおよび筐体6221cのうち二以上が一続きの構成であってもよい。
【0111】
筐体6221a、筐体6221bおよび筐体6221cとして例えば金属を用いることができる。金属としてアルミニウム、ステンレス、等を用いることができる。また、金属は電磁波、電波、等を遮蔽する場合があるため、筐体6221a、筐体6221bおよび筐体6221cの少なくとも一は金属より遮蔽性が低い材料、例えばガラス、石英、プラスチック、可撓性の樹脂、等を用いることが好ましい。例えば、筐体6221aには、金属より遮蔽性が低い材料を用いることが好ましい。また表示部6222上に構成される筐体6221cは透過率の高い材料、例えばガラス、石英、プラスチック、樹脂、等を用いることができる。
【0112】
図11(A)に示すように、情報端末6200は、カメラ6226を有する構成であることが好ましい。また、図示しないが、情報端末6200は赤外線照射装置が搭載されてもよい。また、図示しないが、情報端末6200は視線検知センサを有する構成であってもよい。視線検知センサは例えば、電子機器120が有する撮像装置を用いて瞳、およびその周辺の画像を撮影し、検出装置を用いて、撮影された該画像から虹彩または瞳孔、あるいは瞳の輪郭、等の情報を検出する。視線検知センサが有する構成を用いて、生体認証を行ってもよい。情報端末6200が有するカメラ6226は例えば、撮像に用いるレンズを背面に有する。また図11(A)および図11(B)に例を示すように、情報端末6200は、操作ボタン6223bが配置される側面の反対側の側面に配置される操作ボタン6223cを有する。
【0113】
また、図11(A)に示した情報端末6200は、指紋、静脈、虹彩、瞳孔、又は声紋など生体情報を取得する装置を有する構成であってもよい。この構成を適用することによって、生体認証機能を有する情報端末6200を実現することができる。
【0114】
また、図11(A)に示した情報端末6200は、フラッシュライト、又は照明の用途として発光装置を有する構成であってもよい。
【0115】
図11(A)において操作ボタン6223a、スピーカ6224、およびカメラ6226は筐体6221cのベゼルに埋め込まれるように配置されている。
【0116】
また情報端末6200は光センサを有してもよい。光センサは、外光の照度を測定することができる。また、光センサは外光の入射角度を測定してもよい。
【0117】
また、本発明の一態様に係る情報端末6200に、位置入力装置としての機能を付加しても良い。位置入力装置としての機能は、表示部にタッチパネルを設けることで付加することができる。あるいは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。また、操作ボタン6223aおよび操作ボタン6223bに情報端末6200を起動する電源スイッチ、情報端末6200のアプリケーションを操作するボタン、音量調整ボタン、又は表示部6222を点灯、あるいは消灯するスイッチなどのいずれかを備えることができる。また、図11(A)および図11(B)に示した情報端末6200では、操作ボタンの数が4個(6223aが1個、6223bが2個、6223cが1個の計4個)の例を示しているが、情報端末6200の有する操作ボタンの数及び配置は、これに限定されない。
【0118】
また、図示していないが、図11(A)に示した情報端末6200は、筐体6221a、筐体6221bおよび筐体6221cで構成される筐体の内部にセンサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線などを測定する機能を含むもの)を有する構成であってもよい。特に、ジャイロセンサ、加速度センサなどの傾きを測定するセンサを有する測定装置を設けることで、情報端末6200の向き(鉛直方向に対して情報端末がどの向きに向いているか)を判断して、表示部6222の画面表示を、情報端末6200の向きに応じて自動的に切り替えるようにすることができる。
【0119】
また、図示していないが、図11(A)に示した情報端末6200は、マイクを有する構成であってもよい。情報端末6200をマイクおよびスピーカ6224を有する構成とすることにより、例えば、情報端末6200に携帯電話のような通話機能を付することができる。また、情報端末6200に音声解読機能を付することができる場合がある。情報端末6200に音声解読機能を設けることで、音声認識によって情報端末6200を操作する機能、更には、音声や会話を判読して会話録を作成する機能、などを情報端末6200に有することができる。これにより、例えば、会議などの議事録作成として活用することができる。
【0120】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0121】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したニューラルネットワークに用いることが可能な半導体装置の構成例について説明する。
【0122】
図12(A)に示すように、ニューラルネットワークNNは入力層IL、出力層OL、中間層(隠れ層)HLによって構成することができる。入力層IL、出力層OL、中間層HLはそれぞれ、1又は複数のニューロン(ユニット)を有する。なお、中間層HLは1層であってもよいし2層以上であってもよい。2層以上の中間層HLを有するニューラルネットワークはDNN(ディープニューラルネットワーク)と呼ぶこともでき、ディープニューラルネットワークを用いた学習は深層学習と呼ぶこともできる。
【0123】
入力層ILの各ニューロンには入力データが入力され、中間層HLの各ニューロンには前層又は後層のニューロンの出力信号が入力され、出力層OLの各ニューロンには前層のニューロンの出力信号が入力される。なお、各ニューロンは、前後の層の全てのニューロンと結合されていてもよいし(全結合)、一部のニューロンと結合されていてもよい。
【0124】
図12(B)に、ニューロンによる演算の例を示す。ここでは、ニューロンNと、ニューロンNに信号を出力する前層の2つのニューロンを示している。ニューロンNには、前層のニューロンの出力xと、前層のニューロンの出力xが入力される。そして、ニューロンNにおいて、出力xと重みwの乗算結果(x)と出力xと重みwの乗算結果(x)の総和x+xが計算された後、必要に応じてバイアスbが加算され、値a=x+x+bが得られる。そして、値aは活性化関数hによって変換され、ニューロンNから出力信号y=h(a)が出力される。
【0125】
このように、ニューロンによる演算には、前層のニューロンの出力と重みの積を足し合わせる演算、すなわち積和演算が含まれる(上記のx+x)。この積和演算は、プログラムを用いてソフトウェア上で行ってもよいし、ハードウェアによって行われてもよい。積和演算をハードウェアによって行う場合は、積和演算回路を用いることができる。この積和演算回路としては、デジタル回路を用いてもよいし、アナログ回路を用いてもよい。積和演算回路にアナログ回路を用いる場合、積和演算回路の回路規模の縮小、又は、メモリへのアクセス回数の減少による処理速度の向上及び消費電力の低減を図ることができる。
【0126】
積和演算回路は、チャネル形成領域にシリコン(単結晶シリコンなど)を含むトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)によって構成してもよいし、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう)によって構成してもよい。特に、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、積和演算回路のメモリを構成するトランジスタとして好適である。なお、SiトランジスタとOSトランジスタの両方を用いて積和演算回路を構成してもよい。以下、積和演算回路の機能を備えた半導体装置の構成例について説明する。
【0127】
<半導体装置の構成例>
図13に、ニューラルネットワークの演算を行う機能を有する半導体装置MACの構成例を示す。半導体装置MACは、ニューロン間の結合強度(重み)に対応する第1のデータと、入力データに対応する第2のデータの積和演算を行う機能を有する。なお、第1のデータ及び第2のデータはそれぞれ、アナログデータ又は多値のデジタルデータ(離散的なデータ)とすることができる。また、半導体装置MACは、積和演算によって得られたデータを活性化関数によって変換する機能を有する。
【0128】
半導体装置MACは、セルアレイCA、電流源回路CS、カレントミラー回路CM、回路WDD、回路WLD、回路CLD、オフセット回路OFST、及び活性化関数回路ACTVを有する。
【0129】
セルアレイCAは、複数のメモリセルMC及び複数のメモリセルMCrefを有する。図13には、セルアレイCAがm行n列(m,nは1以上の整数)のメモリセルMC(MC[1,1]乃至[m,n])と、m個のメモリセルMCref(MCref[1]乃至[m])を有する構成例を示している。メモリセルMCは、第1のデータを格納する機能を有する。また、メモリセルMCrefは、積和演算に用いられる参照データを格納する機能を有する。なお、参照データはアナログデータ又は多値のデジタルデータとすることができる。
【0130】
メモリセルMC[i,j](iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)は、配線WL[i]、配線RW[i]、配線WD[j]、及び配線BL[j]と接続されている。また、メモリセルMCref[i]は、配線WL[i]、配線RW[i]、配線WDref、配線BLrefと接続されている。ここで、メモリセルMC[i,j]と配線BL[j]間を流れる電流をIMC[i,j]と表記し、メモリセルMCref[i]と配線BLref間を流れる電流をIMCref[i]と表記する。
【0131】
メモリセルMC及びメモリセルMCrefの具体的な構成例を、図14に示す。図14には代表例としてメモリセルMC[1,1]、[2,1]及びメモリセルMCref[1]、[2]を示しているが、他のメモリセルMC及びメモリセルMCrefにも同様の構成を用いることができる。メモリセルMC及びメモリセルMCrefはそれぞれ、トランジスタTr11、Tr12、容量素子C11を有する。ここでは、トランジスタTr11及びトランジスタTr12がnチャネル型のトランジスタである場合について説明する。
【0132】
メモリセルMCにおいて、トランジスタTr11のゲートは配線WLと接続され、ソース又はドレインの一方はトランジスタTr12のゲート、及び容量素子C11の第1の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線WDと接続されている。トランジスタTr12のソース又はドレインの一方は配線BLと接続され、ソース又はドレインの他方は配線VRと接続されている。容量素子C11の第2の電極は、配線RWと接続されている。配線VRは、所定の電位を供給する機能を有する配線である。ここでは一例として、配線VRから低電源電位(接地電位など)が供給される場合について説明する。
【0133】
トランジスタTr11のソース又はドレインの一方、トランジスタTr12のゲート、及び容量素子C11の第1の電極と接続されたノードを、ノードNMとする。また、メモリセルMC[1,1]、[2,1]のノードNMを、それぞれノードNM[1,1]、[2,1]と表記する。
【0134】
メモリセルMCrefも、メモリセルMCと同様の構成を有する。ただし、メモリセルMCrefは配線WDの代わりに配線WDrefと接続され、配線BLの代わりに配線BLrefと接続されている。また、メモリセルMCref[1]、[2]において、トランジスタTr11のソース又はドレインの一方、トランジスタTr12のゲート、及び容量素子C11の第1の電極と接続されたノードを、それぞれノードNMref[1]、[2]と表記する。
【0135】
ノードNMとノードNMrefはそれぞれ、メモリセルMCとメモリセルMCrefの保持ノードとして機能する。ノードNMには第1のデータが保持され、ノードNMrefには参照データが保持される。また、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]、[2,1]のトランジスタTr12には、それぞれ電流IMC[1,1]、IMC[2,1]が流れる。また、配線BLrefからメモリセルMCref[1]、[2]のトランジスタTr12には、それぞれ電流IMCref[1]、IMCref[2]が流れる。
【0136】
トランジスタTr11は、ノードNM又はノードNMrefの電位を保持する機能を有するため、トランジスタTr11のオフ電流は小さいことが好ましい。そのため、トランジスタTr11としてオフ電流が極めて小さいOSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、ノードNM又はノードNMrefの電位の変動を抑えることができ、演算精度の向上を図ることができる。また、ノードNM又はノードNMrefの電位をリフレッシュする動作の頻度を低く抑えることが可能となり、消費電力を削減することができる。
【0137】
トランジスタTr12は特に限定されず、例えばSiトランジスタ又はOSトランジスタなどを用いることができる。トランジスタTr12にOSトランジスタを用いる場合、トランジスタTr11と同じ製造装置を用いて、トランジスタTr12を作製することが可能となり、製造コストを抑制することができる。なお、トランジスタTr12はnチャネル型であってもpチャネル型であってもよい。
【0138】
電流源回路CSは、配線BL[1]乃至[n]及び配線BLrefと接続されている。電流源回路CSは、配線BL[1]乃至[n]及び配線BLrefに電流を供給する機能を有する。なお、配線BL[1]乃至[n]に供給される電流値と配線BLrefに供給される電流値は異なっていてもよい。ここでは、電流源回路CSから配線BL[1]乃至[n]に供給される電流をI、電流源回路CSから配線BLrefに供給される電流をICrefと表記する。
【0139】
カレントミラー回路CMは、配線IL[1]乃至[n]及び配線ILrefを有する。配線IL[1]乃至[n]はそれぞれ配線BL[1]乃至[n]と接続され、配線ILrefは、配線BLrefと接続されている。ここでは、配線IL[1]乃至[n]と配線BL[1]乃至[n]の接続箇所をノードNP[1]乃至[n]と表記する。また、配線ILrefと配線BLrefの接続箇所をノードNPrefと表記する。
【0140】
カレントミラー回路CMは、ノードNPrefの電位に応じた電流ICMを配線ILrefに流す機能と、この電流ICMを配線IL[1]乃至[n]にも流す機能を有する。図13には、配線BLrefから配線ILrefに電流ICMが排出され、配線BL[1]乃至[n]から配線IL[1]乃至[n]に電流ICMが排出される例を示している。また、カレントミラー回路CMから配線BL[1]乃至[n]を介してセルアレイCAに流れる電流を、I[1]乃至[n]と表記する。また、カレントミラー回路CMから配線BLrefを介してセルアレイCAに流れる電流を、IBrefと表記する。
【0141】
回路WDDは、配線WD[1]乃至[n]及び配線WDrefと接続されている。回路WDDは、メモリセルMCに格納される第1のデータに対応する電位を、配線WD[1]乃至[n]に供給する機能を有する。また、回路WDDは、メモリセルMCrefに格納される参照データに対応する電位を、配線WDrefに供給する機能を有する。回路WLDは、配線WL[1]乃至[m]と接続されている。回路WLDは、データの書き込みを行うメモリセルMC又はメモリセルMCrefを選択するための信号を、配線WL[1]乃至[m]に供給する機能を有する。回路CLDは、配線RW[1]乃至[m]と接続されている。回路CLDは、第2のデータに対応する電位を、配線RW[1]乃至[m]に供給する機能を有する。
【0142】
オフセット回路OFSTは、配線BL[1]乃至[n]及び配線OL[1]乃至[n]と接続されている。オフセット回路OFSTは、配線BL[1]乃至[n]からオフセット回路OFSTに流れる電流量、及び/又は、配線BL[1]乃至[n]からオフセット回路OFSTに流れる電流の変化量を検出する機能を有する。また、オフセット回路OFSTは、検出結果を配線OL[1]乃至[n]に出力する機能を有する。なお、オフセット回路OFSTは、検出結果に対応する電流を配線OLに出力してもよいし、検出結果に対応する電流を電圧に変換して配線OLに出力してもよい。セルアレイCAとオフセット回路OFSTの間を流れる電流を、Iα[1]乃至[n]と表記する。
【0143】
オフセット回路OFSTの構成例を図15に示す。図15に示すオフセット回路OFSTは、回路OC[1]乃至[n]を有する。また、回路OC[1]乃至[n]はそれぞれ、トランジスタTr21、トランジスタTr22、トランジスタTr23、容量素子C21、及び抵抗素子R1を有する。各素子の接続関係は図15に示す通りである。なお、容量素子C21の第1の電極及び抵抗素子R1の第1の端子と接続されたノードを、ノードNaとする。また、容量素子C21の第2の電極、トランジスタTr21のソース又はドレインの一方、及びトランジスタTr22のゲートと接続されたノードを、ノードNbとする。
【0144】
配線VrefLは電位Vrefを供給する機能を有し、配線VaLは電位Vaを供給する機能を有し、配線VbLは電位Vbを供給する機能を有する。また、配線VDDLは電位VDDを供給する機能を有し、配線VSSLは電位VSSを供給する機能を有する。ここでは、電位VDDが高電源電位であり、電位VSSが低電源電位である場合について説明する。また、配線RSTは、トランジスタTr21の導通状態を制御するための電位を供給する機能を有する。トランジスタTr22、トランジスタTr23、配線VDDL、配線VSSL、及び配線VbLによって、ソースフォロワ回路が構成される。
【0145】
次に、回路OC[1]乃至[n]の動作例を説明する。なお、ここでは代表例として回路OC[1]の動作例を説明するが、回路OC[2]乃至[n]も同様に動作させることができる。まず、配線BL[1]に第1の電流が流れると、ノードNaの電位は、第1の電流と抵抗素子R1の抵抗値に応じた電位となる。また、このときトランジスタTr21はオン状態であり、ノードNbに電位Vaが供給される。その後、トランジスタTr21はオフ状態となる。
【0146】
次に、配線BL[1]に第2の電流が流れると、ノードNaの電位は、第2の電流と抵抗素子R1の抵抗値に応じた電位に変化する。このときトランジスタTr21はオフ状態であり、ノードNbはフローティング状態となっているため、ノードNaの電位の変化に伴い、ノードNbの電位は容量結合により変化する。ここで、ノードNaの電位の変化をΔVNaとし、容量結合係数を1とすると、ノードNbの電位はVa+ΔVNaとなる。そして、トランジスタTr22のしきい値電圧をVthとすると、配線OL[1]から電位Va+ΔVNa-Vthが出力される。ここで、Va=Vthとすることにより、配線OL[1]から電位ΔVNaを出力することができる。
【0147】
電位ΔVNaは、第1の電流から第2の電流への変化量、抵抗素子R1の抵抗値、及び電位Vrefに応じて定まる。ここで、抵抗素子R1の抵抗値と電位Vrefは既知であるため、電位ΔVNaから配線BLに流れる電流の変化量を求めることができる。
【0148】
上記のようにオフセット回路OFSTによって検出された電流量、及び/又は電流の変化量に対応する信号は、配線OL[1]乃至[n]を介して活性化関数回路ACTVに入力される。
【0149】
活性化関数回路ACTVは、配線OL[1]乃至[n]、及び、配線NIL[1]乃至[n]と接続されている。活性化関数回路ACTVは、オフセット回路OFSTから入力された信号を、あらかじめ定義された活性化関数に従って変換するための演算を行う機能を有する。活性化関数としては、例えば、シグモイド関数、tanh関数、softmax関数、ReLU関数、しきい値関数などを用いることができる。活性化関数回路ACTVによって変換された信号は、出力データとして配線NIL[1]乃至[n]に出力される。
【0150】
<半導体装置の動作例>
上記の半導体装置MACを用いて、第1のデータと第2のデータの積和演算を行うことができる。以下、積和演算を行う際の半導体装置MACの動作例を説明する。
【0151】
図16に半導体装置MACの動作例のタイミングチャートを示す。図16には、図14における配線WL[1]、配線WL[2]、配線WD[1]、配線WDref、ノードNM[1,1]、ノードNM[2,1]、ノードNMref[1]、ノードNMref[2]、配線RW[1]、及び配線RW[2]の電位の推移と、電流I[1]-Iα[1]、及び電流IBrefの値の推移を示している。電流I[1]-Iα[1]は、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]、[2,1]に流れる電流の総和に相当する。
【0152】
なお、ここでは代表例として図14に示すメモリセルMC[1,1]、[2,1]及びメモリセルMCref[1]、[2]に着目して動作を説明するが、他のメモリセルMC及びメモリセルMCrefも同様に動作させることができる。
【0153】
[第1のデータの格納]
まず、時刻T01-T02において、配線WL[1]の電位がハイレベル(High)となり、配線WD[1]の電位が接地電位(GND)よりもVPR-VW[1,1]大きい電位となり、配線WDrefの電位が接地電位よりもVPR大きい電位となる。また、配線RW[1]、及び配線RW[2]の電位が基準電位(REFP)となる。なお、電位VW[1,1]はメモリセルMC[1,1]に格納される第1のデータに対応する電位である。また、電位VPRは参照データに対応する電位である。これにより、メモリセルMC[1,1]及びメモリセルMCref[1]が有するトランジスタTr11がオン状態となり、ノードNM[1,1]の電位がVPR-VW[1,1]、ノードNMref[1]の電位がVPRとなる。
【0154】
このとき、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]のトランジスタTr12に流れる電流IMC[1,1],0は、次の式で表すことができる。ここで、kはトランジスタTr12のチャネル長、チャネル幅、移動度、及びゲート絶縁膜の容量などで決まる定数である。また、VthはトランジスタTr12のしきい値電圧である。
【0155】
MC[1,1],0=k(VPR-VW[1,1]-Vth (E1)
【0156】
また、配線BLrefからメモリセルMCref[1]のトランジスタTr12に流れる電流IMCref[1],0は、次の式で表すことができる。
【0157】
MCref[1],0=k(VPR-Vth (E2)
【0158】
次に、時刻T02-T03において、配線WL[1]の電位がローレベル(Low)となる。これにより、メモリセルMC[1,1]及びメモリセルMCref[1]が有するトランジスタTr11がオフ状態となり、ノードNM[1,1]及びノードNMref[1]の電位が保持される。
【0159】
なお、前述の通り、トランジスタTr11としてOSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、トランジスタTr11のリーク電流を抑えることができ、ノードNM[2,1]及びノードNMref[2]の電位を正確に保持することができる。
【0160】
次に、時刻T03-T04において、配線WL[2]の電位がハイレベルとなり、配線WD[1]の電位が接地電位よりもVPR-VW[2,1]大きい電位となり、配線WDrefの電位が接地電位よりもVPR大きい電位となる。なお、電位VW[2,1]はメモリセルMC[2,1]に格納される第1のデータに対応する電位である。これにより、メモリセルMC[2,1]及びメモリセルMCref[2]が有するトランジスタTr11がオン状態となり、ノードNM[2,1]の電位がVPR-VW[2,1]、ノードNMref[2]の電位がVPRとなる。
【0161】
このとき、配線BL[1]からメモリセルMC[2,1]のトランジスタTr12に流れる電流IMC[2,1],0は、次の式で表すことができる。
【0162】
MC[2,1],0=k(VPR-VW[2,1]-Vth (E3)
【0163】
また、配線BLrefからメモリセルMCref[2]のトランジスタTr12に流れる電流IMCref[2],0は、次の式で表すことができる。
【0164】
MCref[2],0=k(VPR-Vth (E4)
【0165】
次に、時刻T04-T05において、配線WL[2]の電位がローレベルとなる。これにより、メモリセルMC[2,1]及びメモリセルMCref[2]が有するトランジスタTr11がオフ状態となり、ノードNM[2,1]及びノードNMref[2]の電位が保持される。
【0166】
以上の動作により、メモリセルMC[1,1]、[2,1]に第1のデータが格納され、メモリセルMCref[1]、[2]に参照データが格納される。
【0167】
ここで、時刻T04-T05において、配線BL[1]及び配線BLrefに流れる電流を考える。配線BLrefには、電流源回路CSから電流が供給される。また、配線BLrefを流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMCref[1]、[2]へ排出される。電流源回路CSから配線BLrefに供給される電流をICref、配線BLrefからカレントミラー回路CMへ排出される電流をICM,0とすると、次の式が成り立つ。
【0168】
Cref-ICM,0=IMCref[1],0+IMCref[2],0 (E5)
【0169】
配線BL[1]には、電流源回路CSからの電流が供給される。また、配線BL[1]を流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMC[1,1]、[2,1]へ排出される。また、配線BL[1]からオフセット回路OFSTに電流が流れる。電流源回路CSから配線BL[1]に供給される電流をIC,0、配線BL[1]からオフセット回路OFSTに流れる電流をIα,0とすると、次の式が成り立つ。
【0170】
-ICM,0=IMC[1,1],0+IMC[2,1],0+Iα,0 (E6)
【0171】
[第1のデータと第2のデータの積和演算]
次に、時刻T05-T06において、配線RW[1]の電位が基準電位よりもVX[1]大きい電位となる。このとき、メモリセルMC[1,1]、及びメモリセルMCref[1]のそれぞれの容量素子C11には電位VX[1]が供給され、容量結合によりトランジスタTr12のゲートの電位が上昇する。なお、電位VX[1]はメモリセルMC[1,1]及びメモリセルMCref[1]に供給される第2のデータに対応する電位である。
【0172】
トランジスタTr12のゲートの電位の変化量は、配線RWの電位の変化量に、メモリセルの構成によって決まる容量結合係数を乗じた値となる。容量結合係数は、容量素子C11の容量、トランジスタTr12のゲート容量、及び寄生容量などによって算出される。以下では便宜上、配線RWの電位の変化量とトランジスタTr12のゲートの電位の変化量が同じ、すなわち容量結合係数が1であるとして説明する。実際には、容量結合係数を考慮して電位Vを決定すればよい。
【0173】
メモリセルMC[1,1]及びメモリセルMCref[1]の容量素子C11に電位VX[1]が供給されると、ノードNM[1,1]及びノードNMref[1]の電位がそれぞれVX[1]上昇する。
【0174】
ここで、時刻T05-T06において、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]のトランジスタTr12に流れる電流IMC[1,1],1は、次の式で表すことができる。
【0175】
MC[1,1],1=k(VPR-VW[1,1]+VX[1]-Vth (E7)
【0176】
すなわち、配線RW[1]に電位VX[1]を供給することにより、配線BL[1]からメモリセルMC[1,1]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔIMC[1,1]=IMC[1,1],1-IMC[1,1],0増加する。
【0177】
また、時刻T05-T06において、配線BLrefからメモリセルMCref[1]のトランジスタTr12に流れる電流IMCref[1],1は、次の式で表すことができる。
【0178】
MCref[1],1=k(VPR+VX[1]-Vth (E8)
【0179】
すなわち、配線RW[1]に電位VX[1]を供給することにより、配線BLrefからメモリセルMCref[1]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔIMCref[1]=IMCref[1],1-IMCref[1],0増加する。
【0180】
また、配線BL[1]及び配線BLrefに流れる電流について考える。配線BLrefには、電流源回路CSから電流ICrefが供給される。また、配線BLrefを流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMCref[1]、[2]へ排出される。配線BLrefからカレントミラー回路CMへ排出される電流をICM,1とすると、次の式が成り立つ。
【0181】
Cref-ICM,1=IMCref[1],1+IMCref[2],1 (E9)
【0182】
配線BL[1]には、電流源回路CSから電流Iが供給される。また、配線BL[1]を流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMC[1,1]、[2,1]へ排出される。さらに、配線BL[1]からオフセット回路OFSTにも電流が流れる。配線BL[1]からオフセット回路OFSTに流れる電流をIα,1とすると、次の式が成り立つ。
【0183】
-ICM,1=IMC[1,1],1+IMC[2,1],1+Iα,1 (E10)
【0184】
そして、式(E1)乃至式(E10)から、電流Iα,0と電流Iα,1の差(差分電流ΔIα)は次の式で表すことができる。
【0185】
ΔIα=Iα,1-Iα,0=2kVW[1,1]X[1] (E11)
【0186】
このように、差分電流ΔIαは、電位VW[1,1]とVX[1]の積に応じた値となる。
【0187】
その後、時刻T06-T07において、配線RW[1]の電位は基準電位となり、ノードNM[1,1]及びノードNMref[1]の電位は時刻T04-T05と同様になる。
【0188】
次に、時刻T07-T08において、配線RW[1]の電位が基準電位よりもVX[1]大きい電位となり、配線RW[2]の電位が基準電位よりもVX[2]大きい電位となる。これにより、メモリセルMC[1,1]、及びメモリセルMCref[1]のそれぞれの容量素子C11に電位VX[1]が供給され、容量結合によりノードNM[1,1]及びノードNMref[1]の電位がそれぞれVX[1]上昇する。また、メモリセルMC[2,1]、及びメモリセルMCref[2]のそれぞれの容量素子C11に電位VX[2]が供給され、容量結合によりノードNM[2,1]及びノードNMref[2]の電位がそれぞれVX[2]上昇する。
【0189】
ここで、時刻T07-T08において、配線BL[1]からメモリセルMC[2,1]のトランジスタTr12に流れる電流IMC[2,1],1は、次の式で表すことができる。
【0190】
MC[2,1],1=k(VPR-VW[2,1]+VX[2]-Vth (E12)
【0191】
すなわち、配線RW[2]に電位VX[2]を供給することにより、配線BL[1]からメモリセルMC[2,1]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔIMC[2,1]=IMC[2,1],1-IMC[2,1],0増加する。
【0192】
また、時刻T07-T08において、配線BLrefからメモリセルMCref[2]のトランジスタTr12に流れる電流IMCref[2],1は、次の式で表すことができる。
【0193】
MCref[2],1=k(VPR+VX[2]-Vth (E13)
【0194】
すなわち、配線RW[2]に電位VX[2]を供給することにより、配線BLrefからメモリセルMCref[2]のトランジスタTr12に流れる電流は、ΔIMCref[2]=IMCref[2],1-IMCref[2],0増加する。
【0195】
また、配線BL[1]及び配線BLrefに流れる電流について考える。配線BLrefには、電流源回路CSから電流ICrefが供給される。また、配線BLrefを流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMCref[1]、[2]へ排出される。配線BLrefからカレントミラー回路CMへ排出される電流をICM,2とすると、次の式が成り立つ。
【0196】
Cref-ICM,2=IMCref[1],1+IMCref[2],1 (E14)
【0197】
配線BL[1]には、電流源回路CSから電流Iが供給される。また、配線BL[1]を流れる電流は、カレントミラー回路CM、メモリセルMC[1,1]、[2,1]へ排出される。さらに、配線BL[1]からオフセット回路OFSTにも電流が流れる。配線BL[1]からオフセット回路OFSTに流れる電流をIα,2とすると、次の式が成り立つ。
【0198】
-ICM,2=IMC[1,1],1+IMC[2,1],1+Iα,2 (E15)
【0199】
そして、式(E1)乃至式(E8)、及び、式(E12)乃至式(E15)から、電流Iα,0と電流Iα,2の差(差分電流ΔIα)は次の式で表すことができる。
【0200】
ΔIα=Iα,2-Iα,0=2k(VW[1,1]X[1]+VW[2,1]X[2]) (E16)
【0201】
このように、差分電流ΔIαは、電位VW[1,1]と電位VX[1]の積と、電位VW[2,1]と電位VX[2]の積と、を足し合わせた結果に応じた値となる。
【0202】
その後、時刻T08-T09において、配線RW[1]、[2]の電位は基準電位となり、ノードNM[1,1]、[2,1]及びノードNMref[1]、[2]の電位は時刻T04-T05と同様になる。
【0203】
式(E11)及び式(E16)に示されるように、オフセット回路OFSTに入力される差分電流ΔIαは、第1のデータ(重み)に対応する電位Vと、第2のデータ(入力データ)に対応する電位Vの積の項を有する式から算出することができる。すなわち、差分電流ΔIαをオフセット回路OFSTで計測することにより、第1のデータと第2のデータの積和演算の結果を得ることができる。
【0204】
なお、上記では特にメモリセルMC[1,1]、[2,1]及びメモリセルMCref[1]、[2]に着目したが、メモリセルMC及びメモリセルMCrefの数は任意に設定することができる。メモリセルMC及びメモリセルMCrefの行数mを任意の数iとした場合の差分電流ΔIαは、次の式で表すことができる。
【0205】
ΔIα=2kΣW[i,1]X[i] (E17)
【0206】
また、メモリセルMC及びメモリセルMCrefの列数nを増やすことにより、並列して実行される積和演算の数を増やすことができる。
【0207】
以上のように、半導体装置MACを用いることにより、第1のデータと第2のデータの積和演算を行うことができる。なお、メモリセルMC及びメモリセルMCrefとして図14に示す構成を用いることにより、少ないトランジスタ数で積和演算回路を構成することができる。そのため、半導体装置MACの回路規模の縮小を図ることができる。
【0208】
半導体装置MACをニューラルネットワークにおける演算に用いる場合、メモリセルMCの行数mは一のニューロンに供給される入力データの数に対応させ、メモリセルMCの列数nはニューロンの数に対応させることができる。例えば、図12(A)に示す中間層HLにおいて半導体装置MACを用いた積和演算を行う場合を考える。このとき、メモリセルMCの行数mは、入力層ILから供給される入力データの数(入力層ILのニューロンの数)に設定し、メモリセルMCの列数nは、中間層HLのニューロンの数に設定することができる。
【0209】
なお、半導体装置MACを適用するニューラルネットワークの構造は特に限定されない。例えば半導体装置MACは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、オートエンコーダ、ボルツマンマシン(制限ボルツマンマシンを含む)などに用いることもできる。
【0210】
以上のように、半導体装置MACを用いることにより、ニューラルネットワークの積和演算を行うことができる。さらに、セルアレイCAに図14に示すメモリセルMC及びメモリセルMCrefを用いることにより、演算精度の向上、消費電力の削減、又は回路規模の縮小を図ることが可能な集積回路を提供することができる。
【0211】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0212】
(実施の形態4)
本実施の形態は、本発明の一態様のOSトランジスタ、およびそれを用いた不揮発性メモリについて説明する。先の実施の形態で述べたメモリ132として、OSトランジスタを用いた不揮発性メモリを用いることができる。
【0213】
以下に、OSトランジスタについて説明する。
【0214】
OSトランジスタのチャネル形成領域は、金属酸化物を有することが好ましい。チャネル形成領域が有する金属酸化物はインジウム(In)を含むことが好ましい。チャネル形成領域が有する金属酸化物がインジウムを含む金属酸化物の場合、OSトランジスタのキャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、チャネル形成領域が有する金属酸化物は、元素Mを含む酸化物半導体であると好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)またはスズ(Sn)などとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素(B)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)などがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である。また、チャネル形成領域が有する金属酸化物は、亜鉛(Zn)を含む金属酸化物であると好ましい。亜鉛を含む金属酸化物は結晶化しやすくなる場合がある。
【0215】
チャネル形成領域が有する金属酸化物は、インジウムを含む金属酸化物に限定されない。半導体層は、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜鉛を含む金属酸化物、ガリウムを含む金属酸化物、スズを含む金属酸化物などであっても構わない。
【0216】
メモリ132には、OSトランジスタを用いたメモリ装置を適用することができる。例えば、以下に説明するNOSRAM(登録商標)、DOSRAM(登録商標)等を適用することができる。
【0217】
NOSRAMとは、メモリセルの書き込みトランジスタがOSトランジスタで構成されているゲインセル型DRAMのことである。NOSRAMはNonvolatile Oxide Semiconductor RAMの略称である。以下にNOSRAMの構成例を示す。
【0218】
<NOSRAM>
図17(A)はNOSRAMの構成例を示すブロック図である。NOSRAM240には、パワードメイン242、243、パワースイッチ245乃至247が設けられている。パワードメイン242には、メモリセルアレイ250が設けられ、パワードメイン243にはNOSRAM240の周辺回路が設けられている。周辺回路は、制御回路251、行回路252、列回路253を有する。
【0219】
外部からNOSRAM240に電圧VDDD、VSSS、VDHW、VDHR、VBG2、クロック信号GCLK2、アドレス信号(Address)、信号CE、WE、PSE5が入力される。信号CE、WEはチップイネーブル信号、書き込みイネーブル信号である。信号PSE5は、パワースイッチ245乃至247のオンオフを制御する。パワースイッチ245乃至247は、パワードメイン243への電圧VDDD、VDHW、VDHRの入力をそれぞれ制御する。
【0220】
なお、NOSRAM240に入力される電圧、信号等は、NOSRAM240の回路構成、動作方法に応じて適宜取捨される。例えば、NOSRAM240にパワーゲーティングされないパワードメインを設け、信号PSE5を生成するパワーゲーティング制御回路を設けてもよい。
【0221】
メモリセルアレイ250は、メモリセル10、書込みワード線WWL、読出しワード線RWL、書込みビット線WBL、読出しビット線RBL、ソース線SLを有する。
【0222】
図17(B)に示すように、メモリセル10は2T1C(2トランジスタ1容量)型のゲインセルであり、ノードSN1、トランジスタM1、M2、容量素子C1を有する。トランジスタM1は書き込みトランジスタであり、バックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM1のバックゲートは、電圧VBG2を供給する配線BGL2に電気的に接続されている。トランジスタM2は読出しトランジスタであり、pチャネル型Siトランジスタである。容量素子C1はノードSN1の電圧を保持する保持容量である。
【0223】
電圧VDDD、VSSSはデータ“1”、“0”を表す電圧である。なお、書込みワード線WWL、RWLの高レベル電圧は、VDHW、VDHRである。
【0224】
図18(A)にメモリセルアレイ250の構成例を示す。図18(A)に示すメモリセルアレイ250では、隣接する2行で1本のソース線が供給されている。
【0225】
メモリセル10は原理的に書き換え回数に制限はなく、データの書き換えを低エネルギーで行え、データの保持に電力を消費しない。トランジスタM1が極小オフ電流のOSトランジスタであるため、メモリセル10は長時間データを保持することが可能である。よって、NOSRAM240でキャッシュメモリ装置を構成することで、キャッシュメモリ装置を不揮発性の低消費電力なメモリ装置とすることができる。
【0226】
メモリセル10の回路構成は、図17(B)の回路構成に限定されない。例えば、読出しトランジスタM2を、バックゲートを有するOSトランジスタ、またはnチャネル型Siトランジスタでもよい。或いは、メモリセル10は3T型ゲインセルでもよい。例えば、図18(B)、図18(C)に3T型ゲインセルの例を示す。図18(B)に示すメモリセル15は、トランジスタM3乃至M5、容量素子C3、ノードSN3を有する。トランジスタM3乃至M5は、書込みトランジスタ、読出しトランジスタ、選択トランジスタである。トランジスタM3はバックゲートを有するOSトランジスタであり、トランジスタM4、M5はpチャネル型Siトランジスタである。トランジスタM4、M5を、nチャネル型Siトランジスタまたはバックゲートを有するOSトランジスタで構成してもよい。図18(C)に示すメモリセル16では、3個のトランジスタはバックゲートを有するOSトランジスタで構成されている。
【0227】
ノードSN3は保持ノードである。容量素子C3の一方の電極はノードSN3に電気的に接続され、ノードSN3の電圧を保持する機能を有する。容量素子C3の他方の電極は配線CNLに電気的に接続される。容量素子C3を意図的に設けず、トランジスタM4のゲート容量などで保持容量を構成してもよい。配線PDLには固定電圧(例えば、VDDD)が入力される。配線PDLはソース線SLに代わる配線であり、固定電圧(例えば、電圧VDDD)が入力される。配線CNLにも例えば電圧VDDDが入力される。
【0228】
制御回路251は、NOSRAM240の動作全般を制御する機能を有する。例えば、制御回路251は、信号CE、WEを論理演算して、外部からのアクセスが書き込みアクセスであるか読み出しアクセスであるかを判断する。
【0229】
行回路252は、アドレス信号が指定する選択された行の書込みワード線WWL、読出しワード線RWLを選択する機能をもつ。列回路253は、アドレス信号が指定する列の書込みビット線WBLにデータを書き込む機能、および当該列の読出しビット線RBLからデータを読み出す機能をもつ。
【0230】
<DOSRAM>
DOSRAMとは、1T1C型のメモリセルを有するRAMのことであり、Dynamic Oxide Semiconductor RAMの略称である。以下、図19を参照して、DOSRAMについて説明する。
【0231】
図19(A)に示すように、DOSRAM350のメモリセル16は、ビット線BL(またはBLB)、ワード線WL、配線BGL6、PLに電気的に接続される。ビット線BLBは、反転ビット線である、例えば、配線BGL6、PLには、電圧VBG6、VSSSが入力される。トランジスタM6、および容量素子C6を有する。トランジスタM6はバックゲートを有するOSトランジスタである。
【0232】
容量素子C6の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM350には原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、メモリセル16の回路構成が単純であるため、大容量化が容易である。メモリセル16の書込みトランジスタがOSトランジスタであるので、DOSRAM350の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッシュの頻度を低減できる、あるいは、リフレッシュ動作を不要にすることができるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。
【0233】
図19(B)に示すように、DOSRAM350において、メモリセルアレイ360は、周辺回路365上に積層することができる。これは、メモリセル16のトランジスタM6がOSトランジスタであるからである。
【0234】
メモリセルアレイ360には、複数のメモリセル16が行列状に配置され、メモリセル16の配列に応じて、ビット線BL、BLB、ワード線WL、配線BGL6、PLが設けられている。周辺回路365には、制御回路、行回路、列回路が設けられる。行回路は、アクセス対象のワード線WLの選択等を行う。列回路は、BLとBLBとでなるビット線対に対して、データの書き込みおよび読出し等を行う。
【0235】
周辺回路365をパワーゲーティングするために、パワースイッチ371、372が設けられている。パワースイッチ371、372は、周辺回路365への電圧VDDD、VDHW6の入力をそれぞれ制御する。なお、電圧VDHW6はワード線WLの高レベル電圧である。パワースイッチ371、372のオンオフは、信号PSE6で制御される。例えば、信号PSE6はPMU113で生成される。
【0236】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0237】
(実施の形態5)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した電子機器の一例を説明する。
【0238】
図20(A)および図20(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図20(A)および図20(B)に示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9631、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。表示部9631に可撓性を有するパネルを用いることで、より広い表示部を有するタブレット端末とすることができる。図20(A)は、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図20(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
【0239】
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部に蓄電池9635を有する。蓄電池9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
【0240】
表示部9631は、一部をタッチパネルの領域とすることができ、表示された操作キーにふれることでデータ入力をすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタンが表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631にキーボードボタン表示することができる。
【0241】
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0242】
図20(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末9600は、筐体9630、太陽電池9633、蓄電池9635、コイル9641、および制御回路9634を有する。制御回路9634は、保護回路9639と、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9638と、を有する。また制御回路9634は、CPU、GPU、ニューラルネットワーク等を有するIC、コイルを介して無線給電を制御する機能を有するIC、通信モジュール、等を有することが好ましい。
【0243】
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630aおよび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631を保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。
【0244】
また、この他にも図20(A)および図20(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0245】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電池9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。
【0246】
また、図20(B)に示す制御回路9634の構成、および動作について図20(C)にブロック図を示し説明する。図20(C)には、太陽電池9633、蓄電池9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図20(B)に示す充放電制御回路9638に対応し、充放電制御回路9638および保護回路9639が制御回路9634に対応する箇所となる。
【0247】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池9633で発電した電力は、蓄電池9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにして蓄電池9635の充電を行う構成とすればよい。
【0248】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄電池9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0249】
本発明の一態様の電子機器の一例を図21(A)乃至(G)に示す。本発明の一態様の電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0250】
図21(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。
【0251】
図21(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電池7407も湾曲される場合がある。このような場合には、蓄電池7407として、可撓性を有する蓄電池を用いることが好ましい。可撓性を有する蓄電池7407の曲げられた状態を図21(C)に示す。
【0252】
また携帯電話機7400は、CPU、GPU、ニューラルネットワーク等を有するIC、コイルを介して無線給電を制御する機能を有するIC、通信モジュール、等を有することが好ましい。
【0253】
また、フレキシブルな形状を備える蓄電池を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0254】
図21(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、および蓄電池7104を有する。また携帯電話機7400は、CPU、GPU、ニューラルネットワーク等を有するIC、コイルを介して無線給電を制御する機能を有するIC、通信モジュール、等を有することが好ましい。
【0255】
図21(E)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
【0256】
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
【0257】
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0258】
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
【0259】
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
【0260】
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0261】
携帯情報端末7200は、蓄電池を有する。また携帯情報端末7200は、CPU、GPU、ニューラルネットワーク等を有するIC、コイルを介して無線給電を制御する機能を有するIC、通信モジュール、等を有することが好ましい。
【0262】
携帯情報端末7200はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋センサ、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサや、タッチセンサ、加圧センサ、加速度センサ、等が搭載されることが好ましい。
【0263】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0264】
10:メモリセル、15:メモリセル、16:メモリセル、113:PMU、120:電子機器、120a:電子機器、120b:電子機器、132:メモリ、133:サーバ、135:蓄電池、135a:蓄電池、135b:蓄電池、137:保護回路、139:筐体、140:給電装置、140a:給電装置、140b:給電装置、141:モータ、141a:モータ、141b:モータ、147:トランジスタ、148:トランジスタ、161:ブロック、162:アダプター、171:充電制御回路、174:センサ素子、176:ヒューズ、182:制御回路、183:コイル、183a:コイル、183b:コイル、185:コイル、186:制御回路、187:位置検出コイル、187a:位置検出コイル、187b:位置検出コイル、188:アンテナ、189:アンテナ、190:チップ群、191:IC、192:IC、193:IC、194:メモリ、195:メモリ、240:NOSRAM、242:パワードメイン、243:パワードメイン、245:パワースイッチ、247:パワースイッチ、250:メモリセルアレイ、251:制御回路、252:行回路、253:列回路、350:DOSRAM、360:メモリセルアレイ、365:周辺回路、371:パワースイッチ、372:パワースイッチ、6200:情報端末、6221a:筐体、6221b:筐体、6221c:筐体、6222:表示部、6223a:操作ボタン、6223b:操作ボタン、6223c:操作ボタン、6224:スピーカ、6226:カメラ、6228:蓄電池、6229:コイル、6231:IC、6232:IC、6233:IC、6234:メモリ、6235:メモリ、6236:アンテナ、7100:携帯表示装置、7101:筐体、7102:表示部、7103:操作ボタン、7104:蓄電池、7200:携帯情報端末、7201:筐体、7202:表示部、7203:バンド、7204:バックル、7205:操作ボタン、7206:入出力端子、7207:アイコン、7400:携帯電話機、7401:筐体、7402:表示部、7403:操作ボタン、7404:外部接続ポート、7405:スピーカ、7406:マイク、7407:蓄電池、9600:タブレット型端末、9625:スイッチ、9626:スイッチ、9627:電源スイッチ、9628:操作スイッチ、9629:留め具、9630:筐体、9630a:筐体、9630b:筐体、9631:表示部、9633:太陽電池、9634:制御回路、9635:蓄電池、9636:DCDCコンバータ、9637:コンバータ、9638:充放電制御回路、9639:保護回路、9640:可動部、9641:コイル
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