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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】油圧装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/34 20060101AFI20231023BHJP
   F16F 15/023 20060101ALI20231023BHJP
   F16F 9/508 20060101ALI20231023BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
F16F9/34
F16F15/023 A
F16F9/508
E04H9/02 331Z
E04H9/02 351
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022142565
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2018229342の分割
【原出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2022177095
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム
(73)【特許権者】
【識別番号】323005120
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】稲石 文典
(72)【発明者】
【氏名】市川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉本 一哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 有輝
(72)【発明者】
【氏名】栗野 治彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 隆介
(72)【発明者】
【氏名】矢口 友貴
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-114408(JP,U)
【文献】特開平07-186678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/34
F16F 15/023
F16F 9/508
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震時に建物の揺れを抑制する制振装置又は免震装置の油圧ダンパーに適用される油圧装置であって、
作動油が流入する流入口、作動油が流出する流出口、並びに前記流入口及び前記流出口と連通する収納孔が設けられたハウジングと、
前記収納孔内に変位自在に収納された第1弁部であって、前記流入口と連通する第1開口の開口面積を調節するための第1弁部と、
前記収納孔内に変位自在に収装された第2弁部であって、前記流出口と連通する第2開口の開口面積を調節するための第2弁部と、
前記第1弁部と前記第2弁部とを連結するとともに、前記第1弁部の断面積及び前記第2弁部の断面積より小さい断面積を有する軸部と、
前記第1開口の開口面積が増大し、かつ、前記第2開口の開口面積が縮小する向きに前記第1弁部及び前記第2弁部を変位させる弾性力を発揮可能なバネとを備え、
前記収納孔内のうち前記軸部が位置する空間を中間室とし、弁体を前記第1弁部、前記第2弁部及び前記軸部を有するものとして構成したとき、
前記流入口は、前記第1開口を介して前記中間室と連通可能であり、
前記中間室は、前記第2開口を介して前記流出口と連通可能であり、
前記流入口から前記ハウジング内に流入した作動油は、前記流出口以外から流出することなく、当該流出口から流出し、
前記第1開口の開口面積を縮小させ、かつ、前記第2開口の開口面積を増大させる向きの圧力を前記第1弁部に作用可能なパイロット室であって、パイロット流路を介して前記中間室のみと常に連通するパイロット室が設けられており、
前記流入口に作動油の動圧が作用する前においては、前記第2開口が全閉であり、かつ、前記第1開口は全開となっており、
前記第1開口から前記中間室に作動油が流入すると、当該作動油は、前記弁体を変位させる動圧を当該弁体に作用させ、当該動圧が弁体に作用させる力が、前記バネが前記弁体に作用させる力より大きくなると、当該弁体は変位し始めることにより、基本作動中においては、前記中間室に流入した作動油の一部が、前記パイロット流路を介して前記パイロット室に流入するとともに、前記パイロット室の体積拡大に応じて前記第1開口の開口面積が縮小していき、
前記中間室から前記パイロット室に供給される作動油の量は、前記中間室と前記パイロット室との圧力差が小さくなるほど減少して、基本作動中においては、前記中間室の圧力は、前記第1開口の開口面積が小さくなるに応じて小さくなり、
前記基本作動は、前記流入口側の圧力と前記流出口側の圧力との圧力差が大きくなるに応じて、前記第2開口の開口面積を大きくしながら、前記第1開口の開口面積を小さくする作動である油圧装置。
【請求項2】
前記パイロット流路の少なくとも一部は、前記第1弁部に設けられている請求項1に記載の油圧装置。
【請求項3】
前記バネが配置された空間(以下、背圧室という。)であって、前記収納孔のうち前記第2弁部を挟んで前記中間室と反対側の背圧室と、
前記背圧室と前記流出口側とを常に連通させるドレン流路と
を備える請求項1又は2に記載の油圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地震時に建物の揺れを抑制する装置の油圧ダンパーに適用される油圧装置に関する。建物の揺れを抑制する装置とは、例えば、制振装置や免震装置等である。
【背景技術】
【0002】
油圧ダンパーは、シリンダ内の油圧室を第1油圧室と第2油圧室とに分割するとともに、当該シリンダ内を往復移動するピストンを有する。例えば、特許文献1に記載の油圧装置は、振動体の低速度域における非線形性を改善し、かつ、振動体の高速度域において十分な減衰性能を発揮させることを目的として、2つの弁部を連動させて変位させている。
【0003】
すなわち、当該文献に係る第1弁部は流入口側の開口面積(以下、第1開口面積という。)を調節する。第2弁部は流出口側の開口面積(以下、第2開口面積という。)を調節する。
【0004】
そして、当該油圧装置は、流入口側の圧力と流出口側の圧力との圧力差が小さいときには、主に第2弁部にて減衰力を発生させ、圧力差が大きくなると、主に第1弁部にて減衰力を発生させる。
【0005】
具体的には、当該油圧装置は、「基本作動」及び「復帰作動」が可能である。基本作動は、圧力差が大きくなるに応じて、第2開口面積を大きくしながら、第1開口面積を小さくする作動である。復帰作動は、圧力差が小さくなるに応じて、第2開口面積を小さくしながら、第1開口面積を大きくする作動である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-166623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明では、流入口側の圧力を利用して基本作動が実現され、かつ、バネの弾性力及び流出口側の圧力を利用して復帰作動が実現される。このため、圧力差が過度に大きくなった場合には、油圧装置が復帰作動しないおそれがある。
【0008】
すなわち、流入口側に大きな動圧が作用すると、圧力差が過度に大きくなって第1開口が閉じた状態になる。第1開口が閉じた状態になると、動圧が消失しても当該動圧が静圧として保持されて高圧が維持されるため、圧力差が大きい状態が保持されてしまう。このため、流入口側に大きな動圧が作用すると、油圧装置が復帰作動しないという不具合(以下、復帰作動不具合という。)が発生する。
【0009】
本開示は、上記点に鑑み、復帰作動不具合の発生を抑制可能な油圧装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
油圧ダンパーに適用される油圧装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、当該構成要件は、
作動油が流入する流入口(3A)、作動油が流出する流出口(3B)、並びに流入口(3A)及び流出口(3B)と連通する収納孔(3C)が設けられたハウジング(3)と、
収納孔(3C)内に変位自在に収納された第1弁部(5A)であって、流入口(3A)と連通する第1開口(31)の開口面積を調節するための第1弁部(5A)と、
収納孔内に変位自在に収装された第2弁部(5B)であって、流出口(3B)と連通する第2開口(32)の開口面積を調節するための第2弁部(5B)と、
第1弁部(5A)と第2弁部(5B)とを連結するとともに、第1弁部(5A)の断面積及び第2弁部(5B)の断面積より小さい断面積を有する軸部(5C)と、
第1開口(31)の開口面積が増大し、かつ、第2開口(32)の開口面積が縮小する向きに第1弁部(5A)及び第2弁部(5B)を変位させる弾性力を発揮可能なバネ(7)とを備え、
収納孔(3C)内のうち軸部(5C)が位置する空間を中間室(33)としたとき、流入口(3A)は、第1開口(31)を介して中間室(33)と連通可能であり、中間室(33)は、第2開口(32)を介して流出口(3B)と連通可能であり、
さらに、第1開口(31)の開口面積を縮小させ、かつ、第2開口(32)の開口面積を増大させる向きの圧力を第1弁部(5A)に作用可能なパイロット室(35)であって、パイロット流路(35A)を介して中間室(33)のみと常に連通するパイロット室(35)が設けられている
ことである。
【0011】
これにより、当該油圧装置では、基本作動中においては、パイロット流路(35A)を介して中間室(33)からパイロット室(35)に作動油が供給される。このため、パイロット室(35)の体積が拡大していくため、第1弁部(5A)は、バネ(7)の弾性力に対抗しながら、第1開口(31)の開口面積が縮小する向きに変位していく。
【0012】
パイロット室(35)に供給される作動油の量(以下、供給油量という。)は、中間室(33)とパイロット室(35)との圧力差が小さくなるほど減少する。基本作動中においては、中間室(33)の圧力(静圧)は、第1開口(31)の開口面積(以下、第1開口面積)が小さくなるに応じて小さくなる。
【0013】
このため、第1開口面積が小さくなるに応じて供給油量が減少するので、第1弁部(5A)が変位し難くなる。延いては、当該油圧装置では、第1開口(31)が完全に閉じた状態になることが抑制される。
【0014】
パイロット室(35)は、パイロット流路(35A)、中間室(33)及び第2開口(32)を通じて流出口(3B)側と連通しているので、仮に、第1開口(31)が完全に閉じた状態になった場合であっても、パイロット室(35)内の圧力が低下する。このため、当該油圧装置は、バネ(7)の弾性力により、速やかに復帰作動する。
【0015】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る油圧装置の概念図である。
図2】第2実施形態に係る油圧装置の概念図である。
図3】第2実施形態に係る第1絞り部材及び第2絞り部材を示す図である。
図4】第3実施形態に係る油圧装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0018】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。斜線が付された図は断面図を示すものではない。
【0019】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された発明は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0020】
(第1実施形態)
本実施形態は、地震時に建物の揺れを抑制する装置の油圧ダンパーに適用される油圧装置に本開示に係る油圧装置の一例を適用したものである。建物の揺れを抑制する装置とは、例えば、制振装置や免震装置等である。
【0021】
当該油圧装置は、制振装置又は免震装置用の油圧ダンパーに適用される。なお、本実施形態に係る油圧装置1に適用される油圧ダンパーは、例えば、特許文献1に記載の油圧ダンパーと同様な構成である。
【0022】
1.油圧装置の構成
油圧装置1は、図1に示されるように、ハウジング3、弁体5及びバネ7等を少なくとも備える。ハウジング3には、流入口3A、流出口3B及び収納孔3C等が設けられている。
【0023】
流入口3Aは、上記油圧ダンパーから流出した作動油が流入する開口である。流出口3Bは、ハウジング3内に流入した作動油が流出する開口である。収納孔3Cは、流入口3A及び流出口3Bと連通するとともに、弁体5が変位自在に収納された穴状の空間である。
【0024】
弁体5は、第1弁部5A、第2弁部5B及び軸部5C等を少なくとも有して構成されている。第1弁部5Aは、流入口3Aと連通する第1開口31の開口面積(以下、第1開口面積という。)を調節するための弁部である。
【0025】
第2弁部5Bは、流出口3Bと連通する第2開口32の開口面積(以下、第2開口面積という。)を調節するための弁部である。軸部5Cは、第1弁部5Aと第2弁部5Bとを連結するとともに、第1弁部5Aの断面積及び第2弁部5Bの断面積より小さい断面積を有する連結部位である。
【0026】
本実施形態に係る弁体5は、流入口3A及び流出口3B等の開口を横切るように変位する。このため、弁体5、つまり第1弁部5A及び第2弁部5Bは、収納孔3Cの内壁に滑り接触しながら摺動変位する。
【0027】
なお、本実施形態では、第1弁部5Aの断面積と第2弁部5Bの断面積とは等しく、かつ、弁体5は、第1弁部5A、第2弁部5B及び軸部5Cが一体成形された一体成形品である。
【0028】
以下、収納孔3C内のうち軸部5Cが位置する空間を中間室33という。つまり、流入口3Aは、第1開口31を介して中間室33と連通可能であり、中間室33は、第2開口32を介して流出口3Bと連通可能である。
【0029】
バネ7は、第1開口面積が増大し、かつ、第2開口面積が縮小する向きに弁体5を変位させる弾性力を発揮する。当該バネ7は、収納孔3Cのうち第2弁部5Bを挟んで中間室33と反対側の空間(以下、背圧室34という。)に配置されている。
【0030】
背圧室34は、ドレン流路34Aを介して流出口3B側に常に連通している。このため、背圧室34の体積が変化すると、これに応じて作動油が背圧室34と流出口3B側との間をドレン流路34Aを介して流通する。
【0031】
第1弁部5Aを挟んで中間室33と反対側には、パイロット室35が設けられている。パイロット室35は、第1開口面積を縮小させ、かつ、第2開口面積を増大させる向きの圧力を第1弁部5Aに作用可能な圧力室である。
【0032】
当該パイロット室35は、パイロット流路35Aを介して中間室33と常に連通している。パイロット流路35Aの少なくとも一部は、第1弁部5Aに設けられている。具体的には、パイロット流路35Aは、第1弁部5Aを貫通して軸部5Cに到達し、軸部5Cにて中間室33に繋がっている。
【0033】
2.油圧装置の作動及び当該油圧装置の特徴
本実施形態に係る油圧装置1では、流入口3Aに作動油の動圧が作用する前においては、第2開口32が全閉であり、かつ、第1開口31は全開となっている。
【0034】
第1開口31から中間室33に作動油が流入すると、当該作動油は、弁体5を紙面右側に変位させる動圧を当該弁体5に作用させる。当該動圧が弁体5に作用させる力が、バネ7が弁体5に作用させる力より大きくなると、弁体5は紙面右側に変位し始める。
【0035】
これにより、基本作動中においては、中間室33に流入した作動油の一部が、パイロット流路35Aを介してパイロット室35に流入する。このとき、第1弁部5Aは紙面右側に変位するので、パイロット室35の体積拡大に応じて第1開口面積が縮小していく。
【0036】
中間室33からパイロット室35に供給される作動油の量(以下、供給油量という。)は、中間室33とパイロット室35との圧力差が小さくなるほど減少する。基本作動中においては、中間室33の圧力(静圧)は、第1開口面積が小さくなるに応じて小さくなる。
【0037】
このため、第1開口面積が小さくなるに応じて供給油量が減少するので、第1弁部5Aが変位し難くなる。延いては、当該油圧装置1では、第1開口31が完全に閉じた状態になることが抑制される。したがって、当該油圧装置1では、復帰作動不具合の発生を抑制される。
【0038】
パイロット室35は、パイロット流路35A、中間室33及び第2開口32を通じて流出口3B側と連通している。したがって、仮に、第1開口31が完全に閉じた状態になった場合であっても、パイロット室35内の圧力が速やかに低下する。このため、油圧装置1は、バネ7の弾性力により、速やかに復帰作動する。
【0039】
パイロット流路35Aの少なくとも一部は、第1弁部5Aに設けられている。これにより、パイロット流路35Aを外部配管等の別部品にて構成した場合に比べて、油圧装置1の構成が簡素になるので、当該油圧装置1の小型化が可能となる。
【0040】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る油圧装置1のパイロット室35は、パイロット流路35A(以下第1パイロット流路35Aという。)のみでパイロット室35以外の空間と連通する構成であった。
【0041】
これに対して、本実施形態に係る油圧装置1のパイロット室35は、図2に示されるように、第1パイロット流路35A及び第2パイロット流路35Bを介してパイロット室35以外の空間と連通している。
【0042】
1.油圧装置の構成
以下の説明は、上述の実施形態に係る油圧装置との相違点に関する説明である。上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、以下の説明では、重複する説明は省略されている。
【0043】
すなわち、第1パイロット流路35Aは、第1開口31より下流側の空間(本実施形態では、中間室33)とパイロット室35とを連通させる。第2パイロット流路35Bは、流入口3A側とパイロット室35とを連通させる。
【0044】
第1パイロット流路35Aには、第1絞り部材R1が着脱自在に設けられている。第2パイロット流路35Bには、第2絞り部材R2が着脱自在に設けられている。本実施形態に係る第1絞り部材R1及び第2絞り部材R2は、止めねじ(芋ねじ)状の部材にオリフィス状の流路が設けられた部材である(図3参照)。
【0045】
2.油圧装置の作動及び当該油圧装置の特徴
本実施形態に係る油圧装置1では、基本作動中においては、第2パイロット流路35Bを介して流入口3A側からパイロット室35に作動油が供給される。したがって、パイロット室35に作動油が確実に供給され得るので、当該油圧装置1は確実に基本作動する。
【0046】
パイロット室35は、第1パイロット流路35Aを介して第1開口31より下流側の空間と連通しているので、仮に、第1開口31が完全に閉じた状態になった場合であっても、パイロット室35内の圧力が速やかに低下する。このため、油圧装置1は、バネ7の弾性力により、速やかに復帰作動する。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態に係る油圧装置1の弁体5は、図4に示されるように、第2弁部5Bを備えておらず、かつ、その他の構成は、第2実施形態に係る油圧装置1と同じである。このため、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。重複する説明は省略する。
【0048】
本実施形態に係る油圧装置1では、第2パイロット流路35Bを介してパイロット室35に導入される作動油の動圧により、第1弁部5Aが紙面右側に変位する。
そして、パイロット室35は、第1パイロット流路35Aを介して第1開口31より下流側の空間と連通しているので、第2実施形態と同様に、仮に、第1開口31が完全に閉じた状態になった場合であっても、油圧装置1は速やかに復帰作動する。
【0049】
(その他の実施形態)
第1実施形態に係る油圧装置1では、着脱自在な絞り部材がパイロット流路35Aに設けられていなかった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、着脱自在な絞り部材がパイロット流路35Aに設けられた構成であってもよい。
【0050】
第1実施形態及び第2実施形態に係る弁体5は、第1弁部5A、第2弁部5B及び軸部
Cが一体成形された一体成形品であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
上述の実施形態に示された構成は、概念的なものである。したがって、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0052】
上述の実施形態に係るパイロット流路35Aの少なくとも一部は、第1弁部5Aに設けられていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、当該発明は、パイロット流路35Aが外部配管等の別部品にて構成されていてもよい。
【0053】
したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0054】
1… 油圧装置 3…ハウジング 3A… 流入口
3B… 流出口 3C…収納孔 5… 弁体
5A… 第1弁部 5B…第2弁部 5C… 軸部
7… バネ 31…第1開口 32… 第2開口
33… 中間室 34…背圧室 34A… ドレン流路
35… パイロット室 35A…パイロット流路
図1
図2
図3
図4