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特許7371207X線診断装置及び医用画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】X線診断装置及び医用画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/12 20060101AFI20231023BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
A61B6/12
A61B6/00 360B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022183640
(22)【出願日】2022-11-16
(62)【分割の表示】P 2018002135の分割
【原出願日】2018-01-10
(65)【公開番号】P2023015313
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真吾
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217020(JP,A)
【文献】特開2016-019724(JP,A)
【文献】特開2017-185007(JP,A)
【文献】特表2005-510288(JP,A)
【文献】特開2017-189608(JP,A)
【文献】特開平4-2332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0188739(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線管と、
前記X線管から照射されたX線を検出し、検出したX線量に応じた検出信号を出力するX線検出器と、
前記検出信号に基づく複数のX線画像を収集する収集部と、
収集された前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、デバイスの先端領域が描出された領域を抽出する抽出部と、
抽出された前記領域と、当該領域を長さ方向に延長又は短縮した加工領域との差分処理を行なうことにより、複数の特徴点を生成する生成部と、
生成された前記複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう補正部と、
を備える、X線診断装置。
【請求項2】
X線を発生するX線管と、
前記X線管から照射されたX線を検出し、検出したX線量に応じた検出信号を出力するX線検出器と、
前記検出信号に基づく複数のX線画像を収集する収集部と、
収集された前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、デバイスの先端領域が描出された領域を抽出する抽出部と、
抽出された前記領域を長さ方向に延長又は短縮した第1の加工領域と、当該第1の加工領域と長さが異なるように前記領域を長さ方向に延長又は短縮した第2の加工領域との差分処理を行なうことにより、複数の特徴点を生成する生成部と、
生成された前記複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう補正部と、
を備える、X線診断装置。
【請求項3】
前記補正部により位置が補正されたX線画像を表示部に表示させる表示制御部を更に備える、請求項1又は2に記載のX線診断装置
【請求項4】
前記補正部は、位置を補正した前記複数のX線画像の間で対応する画素の画素値を加算処理し、
前記表示制御部は、前記補正部により加算処理されたX線画像を前記表示部に表示させる、請求項に記載のX線診断装置
【請求項5】
前記表示制御部は、前記デバイスの先端領域における長さ方向の端のうち前記デバイスの先端に対応する端よりも他方の端が前記表示部における表示領域の中心から離れて位置するように、X線画像を前記表示部に表示させる、請求項3又は4に記載のX線診断装置
【請求項6】
1つの前記デバイスの先端領域が描出された前記領域に基づいて、前記複数の特徴点を生成する、請求項1~のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項7】
前記抽出部は、前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、複数の前記デバイスの先端領域にそれぞれ対応する複数の前記領域を抽出し、
前記生成部は、異なる前記領域に基づく特徴点をそれぞれ生成することにより、前記複数の特徴点を生成する、請求項1~のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項8】
前記補正部は、前記複数の特徴点に基づく前記基準点を少なくとも2つ設定し、当該基準点のそれぞれが略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう、請求項1~のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項9】
前記補正部は、前記複数の特徴点のうち少なくとも2つを前記基準点として設定する、請求項に記載のX線診断装置
【請求項10】
前記補正部は、前記複数の特徴点のうち少なくとも1つの特徴点と、前記複数の特徴点の位置関係に基づく少なくとも1つの点とを前記基準点として設定する、請求項に記載のX線診断装置
【請求項11】
前記補正部は、前記複数の特徴点に基づく前記基準点を1つ設定し、当該基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう、請求項1~のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項12】
前記補正部は、更に、前記複数の特徴点に関する角度を前記複数のX線画像のそれぞれについて算出し、当該角度が略同一となるように前記複数のX線画像に対して角度の補正を行なう、請求項11に記載のX線診断装置
【請求項13】
前記補正部は、前記複数の特徴点のうちいずれか1つを前記基準点として設定する、請求項11又は12に記載のX線診断装置
【請求項14】
前記補正部は、前記複数の特徴点の位置関係に基づく点を前記基準点として設定する、請求項8、11及び12のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項15】
前記収集部は、前記複数のX線画像を順次収集し、
前記抽出部は、収集された前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、前記領域を順次抽出し、
前記生成部は、抽出された前記領域に基づいて、前記複数の特徴点を順次生成し、
前記補正部は、生成された前記複数の特徴点に基づく前記基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を順次行なう、請求項1~14のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項16】
前記収集部は、収集した前記複数のX線画像を記憶部に記憶させ、
前記抽出部は、前記記憶部から前記複数のX線画像を読み出し、読み出した前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、前記領域を抽出し、
前記生成部は、抽出された前記領域に基づいて、前記複数の特徴点を生成し、
前記補正部は、生成された前記複数の特徴点に基づく前記基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう、請求項1~14のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項17】
前記抽出部は、前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、前記デバイスのうち単位長さ当たりの質量が大きい先端領域が描出された前記領域を抽出する、請求項1~16のいずれか一項に記載のX線診断装置
【請求項18】
複数のX線画像を取得し、
取得した前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、デバイスの先端領域が描出された領域を抽出し、
抽出した前記領域と、当該領域を長さ方向に延長又は短縮した加工領域との差分処理を行なうことにより、複数の特徴点を生成し、
生成した前記複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう
各処理をコンピュータに実行させる、医用画像処理プログラム。
【請求項19】
複数のX線画像を取得し、
取得した前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、デバイスの先端領域が描出された領域を抽出し、
抽出した前記領域を長さ方向に延長又は短縮した第1の加工領域と、当該第1の加工領域と長さが異なるように前記領域を長さ方向に延長又は短縮した第2の加工領域との差分処理を行なうことにより、複数の特徴点を生成し、
生成した前記複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう
各処理をコンピュータに実行させる、医用画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置、X線診断装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内治療で使用されるカテーテルやガイドワイヤ、ステント等のデバイスは、被検体の心拍動や体動等によってその位置が変動する場合がある。このようなデバイスについて複数のX線画像を収集すると、X線画像ごとにデバイスが描出される位置が変動する。ここで、デバイスに付されたマーカをX線画像上で検出し、検出したマーカに基づいて各X線画像の位置を補正する技術が知られている。これにより、デバイスがX線画像上で止まっているように表示して、デバイスの視認性を向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-128578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、マーカの有無に関わらず、デバイスを含んだX線画像データの視認性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、抽出部と、生成部と、補正部とを備える。取得部は、複数のX線画像を取得する。抽出部は、取得された前記複数のX線画像のそれぞれにおいて、デバイスの先端領域が描出された領域を抽出する。生成部は、抽出された前記領域に基づいて、複数の特徴点を生成する。補正部は、生成された前記複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、前記複数のX線画像に対して位置の補正を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るX線画像データの一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る特徴点の生成について説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る特徴点の生成について説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るX線画像データの表示について説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態に係る特徴点の生成について説明するための図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るX線診断装置における処理回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、X線診断装置及び医用画像処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、医用画像処理装置を含んだ医用情報処理システムを一例として説明する。
【0009】
図1に示すように、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1は、X線診断装置10と、画像保管装置20と、医用画像処理装置30とを備える。ここで、図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、X線診断装置10、画像保管装置20及び医用画像処理装置30は、ネットワークを介して相互に接続される。
【0010】
X線診断装置10は、被検体PからX線画像データを収集する。例えば、X線診断装置10は、被検体Pから複数のX線画像データを収集し、収集した複数のX線画像データを画像保管装置20又は医用画像処理装置30に送信する。なお、X線診断装置10の構成については後述する。
【0011】
画像保管装置20は、X線診断装置10によって収集された複数のX線画像データを保管する。例えば、画像保管装置20は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。本実施形態では、画像保管装置20は、ネットワークを介してX線診断装置10から複数のX線画像データを取得し、取得した複数のX線画像データを、装置内又は装置外に設けられたメモリに記憶させる。
【0012】
医用画像処理装置30は、ネットワークを介して時系列の複数のX線画像データを取得し、取得した複数のX線画像データを用いて種々の処理を実行する。例えば、医用画像処理装置30は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。本実施形態では、医用画像処理装置30は、ネットワークを介してX線診断装置10又は画像保管装置20から複数のX線画像データを取得する。また、医用画像処理装置30は、取得した複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。なお、複数のX線画像データに対する位置の補正については後述する。
【0013】
図1に示すように、医用画像処理装置30は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、メモリ33と、処理回路34とを有する。
【0014】
入力インターフェース31は、各種指示や各種設定などを行なうためのトラックボール、スイッチ、ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース31は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路34へと出力する。なお、入力インターフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用画像処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース31の例に含まれる。
【0015】
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、各種のX線画像データを表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。
【0016】
メモリ33は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ33は、画像保管装置20から取得した複数のX線画像データを記憶する。また、例えば、メモリ33は、医用画像処理装置30に含まれる各回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。
【0017】
処理回路34は、取得機能34a、抽出機能34b、生成機能34c、補正機能34d及び表示制御機能34eを実行することで、医用画像処理装置30全体の動作を制御する。
【0018】
例えば、処理回路34は、取得機能34aに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、画像保管装置20から複数のX線画像データを取得する。また、例えば、処理回路34は、抽出機能34bに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、取得機能34aによって取得された複数のX線画像データのそれぞれにおいて、デバイスの先端領域が描出された領域を抽出する。また、例えば、処理回路34は、生成機能34cに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、抽出機能34bによって抽出された領域に基づいて、複数の特徴点を生成する。また、例えば、処理回路34は、補正機能34dに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、生成機能34cによって生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。また、例えば、処理回路34は、表示制御機能34eに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、補正機能34dによって位置が補正されたX線画像データをディスプレイ32に表示させる。
【0019】
図1に示す医用画像処理装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ33へ記憶されている。処理回路34は、メモリ33からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路34は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路34にて、取得機能34a、抽出機能34b、生成機能34c、補正機能34d及び表示制御機能34eが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0020】
次に、複数のX線画像データを収集するX線診断装置10について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、X線診断装置10は、X線高電圧装置101と、X線管102と、コリメータ103と、フィルタ104と、天板105と、Cアーム106と、X線検出器107と、制御装置108と、メモリ109と、ディスプレイ110と、入力インターフェース111と、処理回路112とを備える。
【0021】
X線高電圧装置101は、処理回路112による制御の下、X線管102に高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管102に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管102が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行なうX線制御装置とを有する。なお、高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
【0022】
X線管102は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管102は、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。
【0023】
コリメータ(X線絞り装置ともいう)103は、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。コリメータ103は、絞り羽根をスライドさせることで、X線管102が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管102のX線照射口付近に設けられる。
【0024】
フィルタ104は、被検体Pに対する被曝線量の低減とX線画像データの画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体Pに吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像データのコントラストの低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタ104は、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、X線管102から被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
【0025】
天板105は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。
【0026】
Cアーム106は、X線管102、コリメータ103及びフィルタ104と、X線検出器107とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。なお、図2では、X線診断装置10がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。
【0027】
X線検出器107は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器107は、X線管102から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路112へと出力する。なお、X線検出器107は、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0028】
制御装置108は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構と、この機構を制御する回路とを含む。制御装置108は、処理回路112による制御の下、コリメータ103やフィルタ104、天板105、Cアーム106等の動作を制御する。例えば、制御装置108は、コリメータ103の絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、制御装置108は、フィルタ104の位置を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。また、例えば、制御装置108は、Cアーム106を回転・移動させたり、天板105を移動させたりする。
【0029】
メモリ109は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ109は、例えば、処理回路112によって収集されたX線画像データを受け付けて記憶する。また、メモリ109は、処理回路112によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。
【0030】
ディスプレイ110は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ110は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや、各種のX線画像データを表示する。例えば、ディスプレイ110は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。
【0031】
入力インターフェース111は、各種指示や各種設定などを行なうためのトラックボール、スイッチ、ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース111は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路112へと出力する。なお、入力インターフェース111は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路112へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース111の例に含まれる。
【0032】
処理回路112は、制御機能112a、収集機能112b及び表示制御機能112cを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。例えば、処理回路112は、メモリ109から制御機能112aに対応するプログラムを読み出して実行することにより、入力インターフェース111を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路112の各種機能を制御する。
【0033】
また、処理回路112は、メモリ109から収集機能112bに対応するプログラムを読み出して実行することにより、X線画像データを収集する。例えば、収集機能112bは、X線高電圧装置101を制御し、X線管102に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、収集機能112bは、制御装置108を制御し、コリメータ103が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、収集機能112bは、制御装置108を制御し、フィルタ104の位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、収集機能112bは、制御装置108を制御し、Cアーム106の回転及び移動、天板105の移動等を制御する。また、収集機能112bは、X線検出器107から受信した検出信号に基づいてX線画像データを生成し、生成したX線画像データをメモリ109に格納する。ここで、収集機能112bは、メモリ109が記憶するX線画像データに対して各種画像処理を行なう場合であってもよい。例えば、収集機能112bは、X線画像データに対して、画像処理フィルタによるノイズ低減処理や、散乱線補正を実行する。
【0034】
また、処理回路112は、メモリ109から表示制御機能112cに対応するプログラムを読み出して実行することにより、ディスプレイ110において、収集機能112bによって収集されたX線画像データを表示する。また、表示制御機能112cは、ディスプレイ110において、操作者の指示を受け付けるためのGUIを表示する。
【0035】
図2に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ109へ記憶されている。処理回路112は、メモリ109からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路112は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図2においては単一の処理回路112にて、制御機能112a、収集機能112b及び表示制御機能112cが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路112を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0036】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理医療デバイス(例えば、単純プログラマブル論理医療デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理医療デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ33又はメモリ109に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ33又はメモリ109にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態のプロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0037】
以上、医用画像処理装置30を含んだ医用情報処理システム1について説明した。かかる構成の下、医用情報処理システム1における医用画像処理装置30は、以下、詳細に説明する処理回路34による処理によって、マーカの有無に関わらず、デバイスを含んだX線画像データの視認性を向上させる。以下、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30が行なう処理について詳細に説明する。
【0038】
まず、X線診断装置10における収集機能112bは、複数のX線画像データを収集する。例えば、収集機能112bは、冠動脈内にデバイスが挿入された状態の被検体Pの心臓に対して、操作者からの指示に応じた期間中、連続的又は間欠的にX線を照射する。この際、X線検出器107は、被検体Pの心臓を透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路112に出力する。
【0039】
そして、収集機能112bは、X線検出器107から受信した検出信号に基づいて、被検体Pの血管内のデバイスが描出された複数のX線画像データを時系列的に生成する。例えば、収集機能112bは、図3に示すX線画像データI11を含んだ複数のX線画像データを生成する。なお、図3は、第1の実施形態に係るX線画像データの一例を示す図である。
【0040】
図3においては、被検体Pに挿入されるデバイスの一例として、先端領域を有するガイドワイヤD1を示す。ここで、先端領域は、ガイドワイヤD1の先端に位置し、X線画像データにおいてガイドワイヤD1の他の部分よりも濃く描出される部分である。例えば、先端領域は、単位長さ当たりの質量が大きくなるように作製される。これにより、先端領域を透過したX線は、ガイドワイヤD1における他の領域を透過したX線や、ガイドワイヤD1以外の領域を透過したX線と比較して大きく減衰し、X線画像データにおいて濃く描出される。
【0041】
例えば、先端領域は、ガイドワイヤD1において径の大きい部分である。また、例えば、先端領域は、ガイドワイヤD1において他の部分よりも高密度の材料で作製される部分である。また、例えば、先端領域は、ガイドワイヤD1の外面を構成するコイルの巻き数(単位長さ当たりの巻き数)が多い部分である。なお、ガイドワイヤD1に限らず、血管内に挿入されるデバイスは先端の位置を把握する必要性が大きいため、多くの場合、X線画像データにおいて濃く描出される先端領域を有する。
【0042】
X線画像データI11を含む複数のX線画像データを収集した後、X線診断装置10は、収集した複数のX線画像データを画像保管装置20に送信する。また、画像保管装置20は、X線診断装置10から送信された複数のX線画像データを、装置内又は装置外に設けられたメモリにおいて保管する。次に、医用画像処理装置30における取得機能34aは、画像保管装置20から複数のX線画像データを取得する。なお、取得機能34aは、画像保管装置20を介さず、X線診断装置10から複数のX線画像データを取得する場合であってもよい。そして、取得機能34aは、取得した複数のX線画像データをメモリ33に記憶させる。
【0043】
次に、抽出機能34bは、メモリ33から複数のX線画像データを読み出し、読み出した複数のX線画像データのそれぞれにおいて、先端領域が描出された領域を抽出する。次に、生成機能34cは、抽出された領域に基づいて、複数の特徴点を生成する。以下、この点について、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る特徴点の生成について説明するための図である。
【0044】
例えば、抽出機能34bは、図4に示すように、X線画像データI11において、ガイドワイヤD1の先端領域が描出された領域R11を抽出する。一例を挙げると、抽出機能34bは、X線画像データI11について高周波画像変換を行なうことで、領域R11を抽出する。以下では、領域R11を抽出したX線画像データI11を、X線画像データI12と記載する。
【0045】
次に、生成機能34cは、領域R11を長さ方向に延長又は短縮する。例えば、生成機能34cは、X線画像データI12に対するモルフォロジー演算により、領域R11を長さ方向に延長又は短縮するように変形する。以下では、領域R11を長さ方向に延長又は短縮したX線画像データI12を、X線画像データI13と記載する。また、以下では、長さ方向に延長又は短縮した領域R11を、加工領域R12と記載する。
【0046】
なお、領域R11を長さ方向に延長又は短縮する方法はモルフォロジー演算に限られるものではなく、領域R11の長さを実質的に変更する任意の方法が使用可能である。例えば、生成機能34cは、領域R11の端部の画素のうち長さ方向に所定数の画素(先端領域の径方向の画素数と同程度の数の画素など)を削除することにより、領域R11を長さ方向に短縮する。また、例えば、生成機能34cは、領域R11の端部に所定数の画素を追加することにより、領域R11を長さ方向に延長する。また、例えば、生成機能34cは、領域R11の長さ方向の端部の画素のうち長さ方向に所定数の画素の画素値を、ガイドワイヤD1以外の領域の画素における画素値と同程度の画素値により置換することで、領域R11を長さ方向に短縮する。また、例えば、生成機能34cは、領域R11の長さ方向の端部に隣接する所定数の画素の画素値を、領域R11内の画素における画素値と同程度の画素値により置換することで、領域R11を長さ方向に延長する。なお、以下では、領域R11を長さ方向に短縮した場合を例として説明する。
【0047】
次に、生成機能34cは、ガイドワイヤD1の先端領域が描出された領域R11と、領域R11を長さ方向に短縮した加工領域R12との差分処理を行なうことにより、複数の特徴点を生成する。例えば、生成機能34cは、図4に示すように、X線画像データI12とX線画像データI13との間で対応する画素の画素値を差分することで、領域R11と加工領域R12との差分処理を行なう。これにより、領域R11のうち加工領域R12に対応する領域は差分され、領域R11の両端が2つの特徴点として生成される。なお、X線画像データI12とX線画像データI13との対応する画素の画素値を差分した画像データについては、差分画像データI14と記載する。
【0048】
ここで、生成機能34cは、領域R11と加工領域R12とを差分した差分領域を加工することで、特徴点を生成する場合であってもよい。例えば、単に領域R11と加工領域R12との差分処理を行なった場合、差分領域は領域R11及び加工領域R12の両端の形状に応じた形状となる。これに対し、生成機能34cは、例えば、円形となるように差分領域を変形等することで、特徴点を生成することができる。
【0049】
次に、図5を用いて、生成機能34cによる特徴点の生成について別の例を説明する。図5は、第1の実施形態に係る特徴点の生成について説明するための図である。まず、抽出機能34bは、X線画像データI11において、ガイドワイヤD1の先端領域が描出された領域R11を抽出する。
【0050】
次に、生成機能34cは、抽出された領域R11を長さ方向に延長又は短縮することで、加工領域R12を含んだX線画像データI13を生成する。また、生成機能34cは、抽出された領域R11を長さ方向に延長又は短縮することで、加工領域R13を含んだX線画像データI15を生成する。ここで、生成機能34cは、加工領域R12と加工領域R13との長さが異なるように、加工領域R12及び加工領域R13の延長又は短縮を行なう。例えば、生成機能34cは、図5に示すように、長さ方向に短縮した領域R11を加工領域R12とし、長さ方向に延長した領域R11を加工領域R13とする。
【0051】
そして、生成機能34cは、加工領域R12と加工領域R13との差分処理を行なうことにより、複数の特徴点を生成する。例えば、生成機能34cは、図5に示すように、X線画像データI13とX線画像データI15との間で対応する画素の画素値を差分することで、加工領域R12と加工領域R13との差分処理を行なう。これにより、加工領域R13のうち加工領域R12に対応する領域は差分され、加工領域R13の両端が2つの特徴点として生成される。なお、X線画像データI13とX線画像データI15との対応する画素の画素値を差分した画像データについては、差分画像データI16と記載する。
【0052】
図4及び図5を用いて説明したように、抽出機能34bは、X線画像データI11において、ガイドワイヤD1の先端領域が描出された領域R11を抽出し、生成機能34cは、領域R11に基づいて、複数の特徴点を生成する。同様に、抽出機能34bは、複数のX線画像データのそれぞれにおいて、ガイドワイヤD1の先端領域が描出された領域を抽出し、生成機能34cは、抽出された領域に基づいて、複数の特徴点を生成する。
【0053】
次に、補正機能34dは、生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。
【0054】
例えば、補正機能34dは、複数のX線画像データのそれぞれについて生成された2つの特徴点を基準点として設定し、設定した2つの基準点のそれぞれが略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。一例を挙げると、補正機能34dは、形状テンプレートを用いたパターンマッチングを行なうことで各X線画像データにおける2つの特徴点を抽出し、抽出した2つの特徴点を基準点として複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。この場合、複数のX線画像データの間で、ガイドワイヤD1の先端領域の位置及び角度が略固定される。
【0055】
なお、パターンマッチングにおいては、抽出する対象が円形である場合、抽出する対象が円形でない場合と比較して、計算リソースや計算時間が削減される。これは、パターンマッチングによって矩形等の対象を抽出する場合には、対象の形状に応じた形状テンプレートを回転させながら各方向のパターンマッチングを行なう必要があるのに対し、円形の対象を抽出する場合には、円形のテンプレートを用いて1方向のパターンマッチングを行なえば十分であるためである。従って、生成機能34cが特徴点を円形となるように生成することにより、補正機能34dは、X線画像データにおける特徴点を容易に抽出することができる。
【0056】
また、例えば、補正機能34dは、複数のX線画像データのそれぞれについて生成された2つの特徴点のうちいずれか1つを基準点として設定する。一例を挙げると、補正機能34dは、2つの特徴点のうちガイドワイヤD1の先端側の特徴点を基準点として設定し、設定した基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。この場合、複数のX線画像データの間でガイドワイヤD1の先端位置は略固定され、X線画像データごとに先端領域の角度は変化する。
【0057】
ここで、補正機能34dは、X線画像データごとに1つ設定した基準点が略同一の位置となるように複数のX線画像データに対して位置の補正を行なうことに加えて、複数のX線画像データに対して角度の補正を行なう場合であってもよい。例えば、補正機能34dは、複数の特徴点に関する角度を複数のX線画像データのそれぞれについて算出し、算出した角度が略同一となるように、複数のX線画像データに対して角度の補正を行なう。
【0058】
一例を挙げると、補正機能34dは、まず、複数のX線画像データのそれぞれにおいて、2つの特徴点を結ぶ線分とX線画像データにおける基準線との角度を、複数の特徴点に関する角度として算出する。そして、補正機能34dは、算出した角度が複数のX線画像データの間で略同一となるように、複数のX線画像データの一部又は全部について、回転移動等の補正処理を行なう。この場合、複数のX線画像データの間で、ガイドワイヤD1の先端領域の位置及び角度は略固定される。
【0059】
また、特徴点を基準点として設定する場合について説明したが、基準点は特徴点に限られるものではない。例えば、補正機能34dは、複数のX線画像データのそれぞれについて、複数の特徴点の位置関係に基づく点を、基準点として設定する。ここで、複数の特徴点の位置関係に基づく点とは、例えば、各X線画像データにおける2つの特徴点の中点や、その他の内分点、外分点などである。
【0060】
一例を挙げると、補正機能34dは、複数のX線画像データのそれぞれについて生成された2つの特徴点の中点を基準点として設定し、設定した基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。ここで、補正機能34dは、更に、複数のX線画像データに対して角度の補正を行なう場合であってもよい。
【0061】
また、一例を挙げると、補正機能34dは、複数のX線画像データのそれぞれについて生成された2つの特徴点の中点と、2つの特徴点の一方(例えば、ガイドワイヤD1の先端側の特徴点)とを基準点として設定し、設定した基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。また、一例を挙げると、補正機能34dは、複数のX線画像データのそれぞれについて生成された2つの特徴点を結ぶ線分を1:2に内分する点と、2:1に内分する点とを基準点として設定し、設定した基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。
【0062】
また、補正機能34dは、基準点を3つ以上設定する場合であってもよい。例えば、補正機能34dは、複数のX線画像データのそれぞれについて生成された2つの特徴点と、2つの特徴点の中点とを基準点として設定し、設定した基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。ここで、設定した3つの基準点が略同一の位置となるように複数のX線画像データに対して位置の補正を行なった場合、複数のX線画像データの間で、ガイドワイヤD1の先端領域の位置及び角度は略固定される。
【0063】
そして、表示制御機能34eは、補正機能34dにより位置が補正されたX線画像データをディスプレイ32に表示させる。ここで、表示制御機能34eは、X線画像データの全体を表示領域としてもよいし、一部を表示領域としてもよい。以下、図6を参照して、X線画像データの一部を表示領域として表示させる場合について説明する。図6は、第1の実施形態に係るX線画像データの表示について説明するための図である。なお、図6は、位置が補正されたX線画像データI11の一部を表示領域として、ディスプレイ32に表示させる場合を示す。
【0064】
図6に示す表示領域A1は、表示制御機能34eが、ガイドワイヤD1の先端領域における長さ方向の端のうちガイドワイヤD1の先端に対応する端(以下、端E1)よりも他方の端(以下、端E2)が表示領域A1の中心C1から離れて位置するように、X線画像データI11をディスプレイ32に表示させる場合を示す。例えば、表示制御機能34eは、端E1が中心C1又は中心C1に近い所定位置となり、端E2が中心C1を起点として中心C1と端E1とを結ぶ半直線上に位置するように表示領域A1を設定し、X線画像データI11における表示領域A1をディスプレイ32に表示させる。
【0065】
このように表示させた場合、表示領域A1には、ガイドワイヤD1の先端よりも先の領域が広く表示されることとなる。ここで、血管内でガイドワイヤD1を進行させる手技が行われている場合、ガイドワイヤD1を操作する操作者は、これからガイドワイヤD1が進行する領域(ガイドワイヤD1の先端よりも先の領域)に関心があることが多い。従って、表示制御機能34eは、表示領域A1を表示することにより、血管内でガイドワイヤD1を進行させる操作を容易にすることができる。
【0066】
また、図6に示す表示領域A2は、表示制御機能34eが、ガイドワイヤD1の先端領域の中点が表示領域A2の中心C2に位置するように、X線画像データI11をディスプレイ32に表示させる場合を示す。例えば、表示制御機能34eは、端E1と端E2とを結ぶ線分の中点が中心C2に位置するように表示領域A2を設定し、X線画像データI11における表示領域A2をディスプレイ32に表示させる。このように表示させた場合、ガイドワイヤD1の先端領域が中央に表示されることとなり、先端領域の観察を容易にすることができる。
【0067】
なお、これまで、補正機能34dにより位置が補正されたX線画像データを表示させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御機能34eは、補正機能34dにより位置が補正されたX線画像データであって、更に画像処理が施されたX線画像データを、ディスプレイ32に表示させる場合であってもよい。
【0068】
例えば、まず、補正機能34dは、位置を補正した複数のX線画像データの間で対応する画素の画素値を加算処理する。一例を挙げると、補正機能34dは、時系列的に収集された複数のX線画像データのうち処理対象のX線画像データを構成する画素の画素値に、所定の重み付けを行なった過去のX線画像データを構成する画素の画素値を加算処理する。これにより、処理対象のX線画像データにおいて、高周波ノイズが低減される。そして、表示制御機能34eは、補正機能34dにより加算処理されたX線画像データをディスプレイ32に表示させる。ここで、表示制御機能34eは、加算処理されたX線画像データの全体を表示領域としてもよいし、一部を表示領域としてもよい。
【0069】
また、これまで、ポストプロセス処理を行なう場合を例として説明した。即ち、上述した実施形態では、取得機能34aが、画像保管装置20又はX線診断装置10から取得した複数のX線画像データをメモリ33に記憶させ、抽出機能34bが、メモリ33から読み出した複数のX線画像データのそれぞれにおいて、先端領域が描出された領域を抽出し、生成機能34cが、抽出された領域に基づいて、複数の特徴点を生成し、補正機能34dが、生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、補正機能34dは、X線診断装置10がX線画像データを収集するのに応じて、リアルタイムに位置の補正を行なってもよい。この場合、まず、取得機能34aは、X線診断装置10によって収集されたX線画像データを順次取得する。また、抽出機能34bは、取得された複数のX線画像データのそれぞれにおいて、先端領域が描出された領域を順次抽出し、生成機能34cは、抽出された領域に基づいて、複数の特徴点を順次生成する。そして、補正機能34dは、生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を順次行なう。この際、表示制御機能34eは、補正機能34dによって位置の補正が行われる度に、ディスプレイ32における表示画像を新たに位置が補正されたX線画像データに更新させながら表示させる。
【0071】
次に、X線診断装置10による処理の手順の一例を、図7を用いて説明する。図7は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101及びステップS107は、取得機能34aに対応するステップである。ステップS102は、抽出機能34bに対応するステップである。ステップS103は、生成機能34cに対応するステップである。ステップS104及びステップS105は、補正機能34dに対応するステップである。ステップS106は、表示制御機能34eに対応するステップである。
【0072】
まず、処理回路34は、画像保管装置20又はX線診断装置10から複数のX線画像データを取得する(ステップS101)。次に、処理回路34は、取得した複数のX線画像データのそれぞれにおいて、ガイドワイヤD1の先端領域が描出された領域R11を抽出する(ステップS102)。次に、処理回路34は、抽出した領域R11に基づいて、複数の特徴点を生成する(ステップS103)。
【0073】
次に、処理回路34は、生成した複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう(ステップS104)。また、処理回路34は、位置を補正した複数のX線画像データの間で対応する画素の画素値を加算処理する(ステップS105)。そして、処理回路34は、加算処理したX線画像データをディスプレイ32に表示させる(ステップS106)。
【0074】
ここで、処理回路34は、更にX線画像データを取得したか否かを判定する(ステップS107)。更にX線画像データを取得した場合(ステップS107肯定)、処理回路34は、再度ステップS102に移行する。一方で、X線画像データを取得しなかった場合(ステップS107否定)、処理回路34は処理を終了する。
【0075】
なお、ステップS105は、行なわない場合であってもよい。この場合、処理回路34は、ステップS106において、位置を補正したX線画像データをディスプレイ32に表示させる。
【0076】
上述したように、第1の実施形態によれば、取得機能34aは、複数のX線画像データを取得する。抽出機能34bは、取得された複数のX線画像データのそれぞれにおいて、ガイドワイヤD1の先端領域が描出された領域R11を抽出する。生成機能34cは、抽出された領域R11に基づいて、複数の特徴点を生成する。補正機能34dは、生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、マーカが付されていないガイドワイヤD1について、視認性を向上させることができる。
【0077】
また、医用画像処理装置30は、マーカの有無に関わらず視認性を向上させることによち、ガイドワイヤにマーカとして付されるX線不透過金属等を不要なものとすることができる。これにより、医用画像処理装置30は、マーカに起因して生じるガイドワイヤの屈曲に関する制限を解除し、ガイドワイヤの操作性を向上させることができる。
【0078】
また、第1の実施形態によれば、補正機能34dは、位置を補正した複数のX線画像データの間で対応する画素の画素値を加算処理する。また、表示制御機能34eは、加算処理されたX線画像データをディスプレイ32に表示させる。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、X線画像データに描出されたガイドワイヤD1を強調した上で表示し、視認性を更に向上させることができる。
【0079】
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能34eは、ガイドワイヤD1の先端領域における長さ方向の端のうちガイドワイヤD1の先端に対応する端E1よりも、他方の端E2が表示領域A1の中心C1から離れて位置するように、X線画像データI11をディスプレイ32に表示させる。即ち、表示制御機能34eは、ガイドワイヤD1の先端よりも先の領域を広く表示させる。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、これからガイドワイヤD1が進行する領域を優先的に操作者に提示し、血管内でガイドワイヤD1を進行させる操作を容易にすることができる。
【0080】
また、第1の実施形態によれば、補正機能34dは、X線診断装置10がX線画像データを収集するのに応じて、リアルタイムに位置の補正を行なう。従って、第1の実施形態に係る医用画像処理装置30は、血管内におけるガイドワイヤD1の操作を容易にすることができる。
【0081】
例えば、慢性完全閉塞病変(Chronic Total Occlusion:CTO)に対する手技においては、冠動脈を閉塞させているプラークを、ガイドワイヤ等のデバイスによって貫通させる操作が行われる。かかる操作を行なうに当たっては、操作者は、まず、デバイスの先端をプラークの近傍まで進行させ、プラークのうちデバイスの先端を差し込む位置を決定する。この際、X線診断装置10は、心臓についてX線画像データを順次収集し、補正機能34dは、X線診断装置10がX線画像データを収集するのに応じて、リアルタイムに位置の補正を行なう。また、表示制御機能34eは、補正機能34dによって位置の補正が行われる度に、ディスプレイ32における表示画像を新たに位置が補正されたX線画像データに更新させながら表示させる。これにより、操作者は、プラークとデバイスとの現在の位置関係を参照しながら、デバイスの先端を差し込む位置を決定することができる。
【0082】
一例を挙げると、補正機能34dは、複数の特徴点に基づく基準点を1つ設定し、設定した基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。この場合、各X線画像データのデバイスの位置を略固定することで視認性を担保しつつも、操作者がデバイスを操作するのに応じて、デバイスの角度はリアルタイムに更新される。そして、操作者は、デバイスの現在の角度を参照しながら、任意の角度でプラークにデバイスの先端を差し込むことができる。先端をプラークに差し込んだ後も同様に、操作者は、デバイスの現在の角度を参照しながら任意の角度でデバイスを進行させ、プラークを貫通させることができる。
【0083】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、1つのデバイス(ガイドワイヤD1)の先端領域が描出された領域R11に基づいて、複数の特徴点を生成する場合について説明した。これに対して、第2の実施形態では、複数のデバイスの先端領域にそれぞれ対応する複数の領域を抽出し、異なる領域に基づく特徴点をそれぞれ生成することにより、複数の特徴点を生成する場合について説明する。
【0084】
第2の実施形態に係る医用画像処理装置30は、図1に示した医用画像処理装置30と同様の構成を有し、抽出機能34b及び生成機能34cによる処理の一部が相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0085】
まず、取得機能34aは、複数のX線画像データを取得する。例えば、取得機能34aは、図8に示すX線画像データI21を含んだ複数のX線画像データを取得する。なお、図8は、第2の実施形態に係る特徴点の生成について説明するための図である。
【0086】
図8においては、被検体Pに挿入されるデバイスの一例として、ガイドワイヤD2及びガイドワイヤD3を示す。例えば、ガイドワイヤD2及びガイドワイヤD3は、被検体Pにおける同一の冠動脈に対して、逆方向から挿入された2つのデバイスである。一例を挙げると、ガイドワイヤD2及びガイドワイヤD3は、CTOに対する手技において、冠動脈を閉塞させているプラークに向けて血流方向に沿って挿入されたデバイス、及び、血流の逆方向に沿って挿入されたデバイスである。ガイドワイヤD2及びガイドワイヤD3は、図8に示すように、それぞれが先端領域を有する。
【0087】
次に、抽出機能34bは、取得機能34aが取得した複数のX線画像データのそれぞれにおいて、複数のデバイスの先端領域にそれぞれ対応する複数の領域を抽出する。例えば、抽出機能34bは、X線画像データI21において、ガイドワイヤD2の先端領域が描出された領域R21と、ガイドワイヤD3の先端領域が描出された領域R31とを、それぞれ抽出する。なお、以下では、領域R21及び領域R31を抽出したX線画像データI21を、X線画像データI22と記載する。
【0088】
次に、生成機能34cは、領域R21及び領域R31を、それぞれ、長さ方向に延長又は短縮する。例えば、生成機能34cは、X線画像データI22に対するモルフォロジー演算により、領域R21及び領域R31を長さ方向に延長又は短縮する。以下では、領域R21及び領域R31を長さ方向に延長又は短縮したX線画像データI22を、X線画像データI23と記載する。また、以下では、長さ方向に延長又は短縮した領域R21を加工領域R22と記載し、長さ方向に延長又は短縮した領域R31を加工領域R32と記載する。また、以下では、領域R21及び領域R31を長さ方向に短縮した場合を例として説明する。
【0089】
次に、生成機能34cは、領域R21及び領域R31と、加工領域R22及び加工領域R32との差分処理を行なうことにより、異なる領域に基づく複数の特徴点を生成する。例えば、生成機能34cは、図8に示すように、X線画像データI22とX線画像データI23との間で対応する画素の画素値を差分することで、領域R21及び領域R31と、加工領域R22及び加工領域R32との差分処理を行なう。これにより、領域R21のうち加工領域R22に対応する領域が差分され、領域R21の一端に対応する1つの特徴点が生成される。また、領域R31のうち加工領域R32に対応する領域が差分され、領域R31の一端に対応する1つの特徴点が生成される。即ち、生成機能34cは、図8に示す差分処理によって、異なる領域に基づく2つの特徴点を生成する。なお、X線画像データI22とX線画像データI23との対応する画素の画素値を差分した画像データについては、差分画像データI24と記載する。
【0090】
ここで、図8は、領域R21に基づく特徴点及び領域R31に基づく特徴点を、それぞれ1つずつ生成する場合を示す。具体的には、図8は、生成機能34cが、領域R21及び領域R31のそれぞれを、一方の端の位置を固定した状態で長さ方向に短縮した場合を示す。これにより、領域R21及び領域R31と加工領域R22及び加工領域R32との差分処理を行なう際、位置が固定された側の端は差分され、他方の端に対応する特徴点が領域R21及び領域R31から1つずつ生成される。
【0091】
なお、生成機能34cは、領域R21及び領域R31の双方又は一方を両端から短縮する場合であってもよい。例えば、生成機能34cは、領域R21及び領域R31を両端から短縮することで加工領域R22及び加工領域R32を生成する。この場合、生成機能34cは、領域R21及び領域R31と加工領域R22及び加工領域R32とを差分することで、領域R21に基づく特徴点及び領域R31に基づく特徴点を、それぞれ2つずつ生成する。
【0092】
次に、補正機能34dは、生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。例えば、補正機能34dは、領域R21に基づく特徴点と領域R31に基づく特徴点とを基準点として設定し、設定した2つの基準点のそれぞれが略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。また、例えば、補正機能34dは、複数の特徴点に基づいて基準点を1つ設定し、設定した基準点が略同一の位置となるように複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。更に、補正機能34dは、複数の特徴点のうち領域R21に基づく特徴点と領域R31に基づく特徴点とに関する角度が略同一となるように、位置の補正を行なった複数のX線画像データに対して角度の補正を行なう。これにより、複数のX線画像データの間で、ガイドワイヤD2とガイドワイヤD3との間の領域の位置及び角度が略固定される。そして、表示制御機能34eは、位置が補正されたX線画像データをディスプレイ32に表示させる。
【0093】
上述したように、第2の実施形態に係る抽出機能34bは、複数のX線画像データのそれぞれにおいて、複数のデバイスの先端領域にそれぞれ対応する複数の領域を抽出する。
また、生成機能34cは、異なる領域に基づく特徴点をそれぞれ生成することにより、複数の特徴点を生成する。また、補正機能34dは、生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。従って、第2の実施形態に係る医用画像処理装置30は、マーカの有無に関わらず、複数のデバイスの間の領域について視認性を向上させることができる。
【0094】
例えば、第2の実施形態に係る医用画像処理装置30は、CTOに対する手技において、冠動脈を閉塞させているプラークの両側に位置するガイドワイヤD2及びガイドワイヤD3について、間の領域の位置及び角度を略固定したX線画像データを表示する。また、例えば、医用画像処理装置30は、ガイドワイヤD2及びガイドワイヤD3の少なくとも一方が操作されている最中に、リアルタイムに位置の補正を行なったX線画像データを表示することで、ガイドワイヤD2とガイドワイヤD3とプラークとの現在の相対位置を提示する。これにより、医用画像処理装置30は、プラークの視認性を向上させ、プラークを貫通させる手技を容易にすることができる。同様に、医用画像処理装置30は、X線画像データにおいて、複数のデバイスに挟まれた任意の領域の視認性を向上させることができる。
【0095】
なお、上述した実施形態では、被検体Pの心臓(冠動脈)について収集された複数のX線画像データについて説明した。しかしながら、医用画像処理装置30は、心臓について収集されたX線画像データに限らず、任意の部位について収集されたX線画像データに対して位置の補正を行ない、視認性を向上させることができる。
【0096】
また、上述した実施形態では、マーカを有さないデバイスが描出されたX線画像データについて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、医用画像処理装置30は、マーカを2つ有するデバイスが描出されたX線画像データについて、2つのマーカをそれぞれ特徴点として抽出し、X線画像データに対して位置の補正を行なってもよい。また、例えば、医用画像処理装置30は、マーカを1つ有するデバイスが描出されたX線画像データについて、マーカに基づく特徴点と、デバイスの先端領域が描出された領域に基づく特徴点とを抽出し、X線画像データに対して位置の補正を行なってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、医用画像処理装置30が、抽出機能34b、生成機能34c及び補正機能34dを有する処理回路34を備える場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置10における処理回路112が、抽出機能34b、生成機能34c及び補正機能34dに対応した機能を有する場合であってもよい。例えば、処理回路112は、図9に示すように、抽出機能34bに対応する抽出機能112d、生成機能34cに対応する生成機能112e、及び、補正機能34dに対応する補正機能112fを有する。なお、図9は、第2の実施形態に係るX線診断装置10における処理回路112の一例を示す図である。
【0098】
この場合、まず、収集機能112bは、複数のX線画像データを収集する。次に、抽出機能112dは、収集機能112bが収集した複数のX線画像データのそれぞれにおいて、デバイスの先端領域が描出された領域を抽出する。次に、生成機能112eは、抽出機能112dによって抽出された領域に基づいて、複数の特徴点を生成する。次に、補正機能112fは、生成機能112eによって生成された複数の特徴点に基づく基準点が略同一の位置となるように、複数のX線画像データに対して位置の補正を行なう。そして、表示制御機能112cは、補正機能112fによって位置が補正されたX線画像データを、ディスプレイ110に表示させる。
【0099】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0100】
また、上述した実施形態で説明した医用画像処理方法は、予め用意された医用画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0101】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、マーカの有無に関わらず、デバイスを含んだX線画像データの視認性を向上させることができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
10 X線診断装置
30 医用画像処理装置
34 処理回路
34a 取得機能
34b 抽出機能
34c 生成機能
34d 補正機能
34e 表示制御機能
図1
図2
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図5
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図7
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図9