(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】シリコンベース電荷中和システム
(51)【国際特許分類】
H01J 27/02 20060101AFI20231023BHJP
H05F 3/04 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
H01J27/02
H05F3/04 J
(21)【出願番号】P 2022199129
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2020038190の分割
【原出願日】2016-03-03
【審査請求日】2022-12-14
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジェフター
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ クロチコフ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-108101(JP,A)
【文献】特表2013-508924(JP,A)
【文献】特表2012-524976(JP,A)
【文献】特開平6-140127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 27/02
H05F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって:
先端、テーパー部、シャフト、及びテールを備えるように構成された
シリコンベース
イオンエミッタを含んでおり、
前記テーパー部が前記先端と前記シャフトとの間にあり、
前記シャフトが前記テーパー部と前記テールとの間にあり、
前記
シリコンベース
イオンエミッタは、
前記シャフト
又は前記テールの
少なくとも一方に処理表面
を備えており、
該処理表面は前記テーパー部及び前記先端より高い電気伝導度又は低い抵抗を有し、
前記シリコンベースイオンエミッタは、非金属の部分と金属の部分との組立体を備え、
前記金属の部分は、前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトに配置される圧縮ばねスリーブとして構築され、
前記組立体は、0.03~0.06の範囲内にある第1の比S/Dを備え、
Sは前記シリコンベースイオンエミッタを収容する前記圧縮ばねスリーブの厚さであり、
Dは前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトの直径である、装置。
【請求項2】
前記シリコンベースイオンエミッタは、(2-5)/tan{タンジェント}(0.5α)の範囲にある第2の比L/Sを備え、
Lは前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトの露出した部分の長さであり、
αは前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトのテーパー付き部分のテーパーの角度である、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記シリコンベースイオンエミッタの先端は、1kHzから100kHzまでの高周波数範囲の交流(AC)への前記シリコンベースイオンエミッタの前記処理表面の接触に応答してイオンを発生する、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記シリコンベースイオンエミッタの前記処理表面は0.5ミクロン~10ミクロンの範囲の粗さの領域を含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記シリコンベースイオンエミッタの前記処理表面は金属めっき又は金属コーティングを含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項6】
前記シリコンベースイオンエミッタは、重量比で72%より多く、且つ99.99%未満のシリコンを含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項7】
装置であって、
先端、テーパー部、シャフト、及びテールを備えるように構成されたシリコンベースイオンエミッタを含んでおり、
前記テーパー部が前記先端と前記シャフトとの間にあり、
前記シャフトが前記テーパー部と前記テールとの間にあり、
前記シリコンベースイオンエミッタは、前記シャフト又は前記テールの少なくとも一方に処理表面を備えており、該処理表面は前記テーパー部及び前記先端より高い電気伝導度又は低い抵抗を有し、
前記
シリコンベース
イオンエミッタは、(2-5)/tan{タンジェント}(0.5α)の範囲にある第2の比L/Sを備え、
Lは前記
シリコンベース
イオンエミッタの
前記シャフトの露出した部分の長さであり、
Sは前記
シリコンベース
イオンエミッタを収容するスリーブの厚さであり、
αは前記
シリコンベース
イオンエミッタの前記シャフトのテーパー付き部分のテーパーの角度である
、装置。
【請求項8】
前記シリコンベース
イオンエミッタは、重量比で
72%より多く、且つ99.99%未満のシリコンを含
む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記
シリコンベースイオンエミッタの先端は、1kHzから100kHzまでの高周波数範囲の
交流(AC)への
前記シリコンベースイオンエミッタの前記処理表面の接触に応答してイオンを発生する、請求項
7に記載の装置。
【請求項10】
前記シリコンベースイオンエミッタの前記処理表面は0.5ミクロン~10ミクロンの範囲の粗さの領域を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記シリコンベースイオンエミッタの前記処理表面は金属めっき又は金属コーティングを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
イオン化バーであって、
高電圧電源と、
該高電圧電源に結合され、正イオン及び負イオンを発生するように構成されたシリコンベースイオンエミッタであって、先端、テーパー部、シャフト、及びテールを備えるように構成されたシリコンベースイオンエミッタと、を備え、
前記テーパー部が前記先端と前記シャフトとの間にあり、
前記シャフトが前記テーパー部と前記テールとの間にあり、
前記シリコンベースイオンエミッタは、前記シャフト又は前記テールの少なくとも一方に処理表面を備えており、該処理表面は前記テーパー部及び前記先端より高い電気伝導度又は低い抵抗を有し、
前記シリコンベースイオンエミッタは、非金属の部分と金属の部分との組立体を備え、
前記金属の部分は、前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトに配置される圧縮ばねスリーブとして構築され、
前記組立体は0.03~0.06の範囲内にある第1の比S/Dを備え、
Sは前記シリコンベースイオンエミッタを収容する前記スリーブの厚さであり、
Dは前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトの直径である、イオン化バー。
【請求項13】
前記高電圧電源から高電圧信号を受信するために、前記シリコンベースイオンエミッタが接続されるソケットを更に備える、請求項12に記載のイオン化バー。
【請求項14】
前記高電圧電源は、前記圧縮ばねスリーブおよび前記ソケットを介して前記シリコンベースイオンエミッタに少なくともコロナ開始電圧を供給するように構成されている、請求項13に記載のイオン化バー。
【請求項15】
前記シリコンベースイオンエミッタは、前記圧縮ばねスリーブ及び金属ピンを介して前記高電圧電源に結合される、請求項12に記載のイオン化バー。
【請求項16】
前記シリコンベースイオンエミッタは、(2-5)/tan{タンジェント}(0.5α)の範囲にある第2の比L/Sを備え、
Lは、前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトの露出した部分の長さであり、
αは、前記シリコンベースイオンエミッタの前記シャフトのテーパー付き部分のテーパーの角度である、請求項12に記載のイオン化バー。
【請求項17】
前記高電圧電源は、1kHzから100kHzまでの高周波数範囲で交流(AC)を提供し、前記シリコンベースイオンエミッタが正イオン及び負イオンを発生するように十分な高電圧を提供するように構成される、請求項12に記載のイオン化バー。
【請求項18】
前記シリコンベースイオンエミッタの表面又は/及び体積電気抵抗及び組成を監視するための測定装置を更に含む、請求項12に記載のイオン化バー。
【請求項19】
前記シリコンベースイオンエミッタの前記処理表面は金属めっき又は金属コーティングを含む、請求項12に記載のイオン化バー。
【請求項20】
前記シリコンベースイオンエミッタは、重量比で72%より多く、且つ99.99%未満のシリコンを含む、請求項12に記載のイオン化バー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「SILICON EMITTERS FOR IONIZERS WITH HIGH FREQUENCY WAVEFORMS」と題する、2009年6月18日に出願の米国特許出願第12/456,526号の一部継続出願であり、その米国特許出願の優先権を主張し、その米国特許出願は、2008年6月18日に出願の米国仮特許出願第61/132,422号の恩典及び優先権を主張する。米国特許出願第12/456,626号及び第61/132,422号はいずれも引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
[連邦政府支援研究に関する陳述]
該当なし
【0003】
[マイクロフィッシュ付録の参照]
該当なし
【0004】
本発明の実施形態は主に、静電荷中和及び制御のために使用されるイオン化デバイスに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、半導体、エレクトロニクス及び/又はフラットパネル産業において、信頼性があり、粒子放出が少ないイオナイザーの必要性に対して目標を定めている。
【0005】
ACイオナイザーによれば、各エミッタが、或る期間中に高い正の電圧を受信し、別の期間中に高い負の電圧を受信する。それゆえ、各エミッタは、正及び負両方のイオンの出力を伴うコロナ放電を発生させる。
【0006】
正イオン及び負イオンの流れ(雲)は、電荷を中和し、静電荷に関連する技術的問題を防ぐために、帯電したターゲット(複数の場合もある)に向けられる。
【背景技術】
【0007】
本明細書において提供される背景の説明は、本開示の状況を一般的に提示することを目的としている。本出願に記名された発明者の成果は、その成果がこの背景セクションに記載されている限りにおいて、本開示に対する従来技術として明示的にも暗示的にも認められないとともに、それ以外に出願時において従来技術として適格とすることができない記載の態様も、本開示に対する従来技術として明示的にも暗示的にも認められない。
【0008】
電荷中和装置のイオンエミッタは、正及び負両方のイオンを発生させ、周囲空気又は気体媒体の中に供給する。気体イオンを発生させるために、印加される電圧の振幅は、イオン化セルとして配置される少なくとも2つの電極間にコロナ放電を引き起こすほど十分に高くなければならない。イオン化セルにおいて、少なくとも1つの電極はイオンエミッタであり、別の電極は基準電極とすることができる。また、イオン化セルは少なくとも2つのイオン化電極を含むことができる。
【0009】
有用な正の気体イオン及び負の気体イオンとともに、電荷中和装置のエミッタは、不要な粒子を含む副生成物を生成し、放出する場合がある。半導体プロセス及び類似のクリーンプロセスにおいて、粒子放出/汚染は、欠陥、製品信頼性問題及び利益の損失と相関関係にある。
【0010】
従来技術において既知である幾つかの要因が、不要な粒子の放出量に影響を及ぼす。主な要因のうちの幾つかは、例えば、材料組成、幾何学的形状、イオンエミッタの設計を含む。別の要因は、高電圧電源へのエミッタ接続の構成を含む。別の重要な要因は、イオンエミッタに印加される電力のプロファイル(例えば、高電圧及び電流の大きさ及び時間依存性)に関連付けられる。
【0011】
電力波形を用いて、高電圧電源によってエミッタに印加される電圧プロファイルを制御することができる。電圧/電流波形を用いて、エミッタ(複数の場合もある)によるイオン発生及び粒子放出の両方を制御することができる。
【0012】
DC(直流)電圧、AC(交流)電圧、又は両方の電圧の組み合わせによって、コロナ放電に電圧を供給することができる。本発明の多くの適用例の場合に、好ましい電力波形は、後に論じられるように、高周波数(HF)電源からの高周波数高電圧(HF-HV)出力である。この高電圧出力は、連続的ではなく、継続的とすることができる。すなわち、電圧出力は、時間とともに振幅によって可変にすることができるか、又は周期的にオフに切り替えることができる。
【0013】
エミッタの材料組成は、イオナイザーの粒子放出レベルに影響を及ぼすことが知られている。一般的なエミッタ材料は、ステンレス鋼、タングステン、チタン、酸化シリコン、単結晶シリコン、炭化シリコン、及び他のニッケル又は金めっき金属を含む。このリストは完全ではない。本発明者らの経験から、金属タイプのエミッタは、コロナに関連付けられる腐食及びスパッタリングの結果として、より多くの粒子を発生させる傾向がある。さらに、金属、又は一般的には高導電性粒子は多くの場合に、半導体産業において「キラー粒子」と見なされる(すなわち、それらの粒子は、ウェハー/チップの隙間なく配置された導電性トレースを短絡させる可能性がある)。したがって、本特許出願の枠組みにおいて、本発明者らは、以下に論じられるように、基本的に非金属イオンエミッタを考える。
【0014】
これらの材料のうちの1つにおいて、粒子放出が少ないという観点から、特許文献1においてScott Gehlkeによって、スーパークリーン(99.99%+の純度)単結晶シリコンが提案される。この単結晶シリコンは、清浄なエミッタのデファクトスタンダードとして半導体産業によって採用されてきた。特許文献2においてCurtis他によって提案されるスーパークリーン炭化シリコン(少なくとも99.99%の純度)が別の非金属材料である。しかしながら、炭化シリコンエミッタは高価であり、望ましくない粒子を放出する傾向がある。
【0015】
単結晶シリコンエミッタを備える既知のイオナイザーは、2つの高電圧DC供給源によって電力を供給される。クリーンルーム天井設置用のルームイオン化システム「NiLstat」5000(Ion Systems, Inc.)のようなシステムは、通常、1立方フィートの空気あたり、10ナノメートル(直径)より大きい60個未満の粒子を生成する。他のエミッタ材料は通常、1立方フィートの空気あたり、10ナノメートル(直径)より大きい200個を超える粒子を生成する。幾つかの材料は、1立方フィートの空気あたり、10ナノメートル(直径)より大きい数千個の粒子を生成する。
【0016】
(1)エミッタ材料の成分、(2)非金属エミッタの場合のコネクタ構成の要素、及び(3)特別な電力波形の印加、のうちの幾つかが、独立して重要であることが知られている場合があるが、従来技術は、高いイオン化信頼性及び清浄度に達するために、これらの要因を戦略的に組み合わせる利点を考慮してこなかった。
【0017】
本発明者らによる最近の実験の結果として、本発明者らは、新規の組み合わせを発見及び獲得しており、それらの組み合わせは、安定したイオン生成と、エミッタによる粒子発生の予想外に低いレベルとにつながった。清浄な、及び/又は少ない粒子放出のイオナイザーは、幾つかの先端技術産業において有用性を有する。詳細には、半導体産業は、スーパークリーンイオナイザーを明確に必要としている。それらのイオナイザーは、半導体デバイスを破壊する可能性がある静電荷及び電界を最小化するために必要とされる。また、異物粒子が半導体デバイスの信頼性を損なう場合があるため、粒子放出を可能な限り少なくすることも必要とされる。最先端の半導体技術は、ウェハー上に24~16個のナノメートル機構を構築している。ナノメートル機構の場合、10ナノメートルより大きい粒子を抑制することが間違いなく必要とされている。
【0018】
背景技術の部分における上記の一般的な説明の双方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】米国特許第5,447,763号
【文献】米国特許出願公開第2006/0071599号
【発明の概要】
【0020】
本発明者らによる最近の実験は、(1)シリコンベース材料の組成及びエミッタ設計、(2)エミッタコネクタの配置及び/又は構成、並びに(3)電力電圧波形のタイプが、エミッタによる信頼性の高い動作及び少ない粒子放出のために有益な新規の複合的な組み合わせと見なされるべきであることを示した。本発明者らによって見つけられた組み合わせは、エミッタによる、安定したイオン生成、及び粒子発生の予想外に低いレベルにつながる。清浄な、及び/又は少ない粒子放出のイオナイザーは、幾つかの先端技術産業において有用性を有する。詳細には、半導体産業は、スーパークリーンイオナイザーを明確に必要としている。それらのイオナイザーは、半導体デバイスを破壊する可能性がある静電荷及び電界を最小化するために必要とされる。また、異物粒子が半導体デバイスの信頼性を損なう場合があるため、粒子放出を可能な限り少なくすることも必要とされる。最先端の半導体技術は、ウェハー上に24~16個のナノメートル機構を構築している。ナノメートル機構の場合、10ナノメートルより大きい粒子を抑制することが間違いなく必要とされている。
【0021】
シリコンベース材料を含むエミッタ電極組成、電極コネクタ、及びエミッタに印加される電力波形の一致が、電荷中性化イオナイザーの以前には達成不可能であった信頼性及び清浄度を達成する新規の方法であることが証明された。本発明の例示的な実施形態の核心は、以下の組み合わせ、すなわち、99.99%未満から少なくとも70%の範囲内のシリコン重量比の材料/化学組成を有する非金属イオンエミッタと、エミッタ電極設計及び表面処理(加工)と、エミッタのための接続構成と、高周波数範囲の高電圧電源における動作との組み合わせである。この組み合わせにおいて、高周波数高電圧電力は、低い開始電圧によって特徴付けられるコロナ放電モードを発生させる。本発明の一実施形態において少なくとも1つの非金属エミッタから発生したイオンは、最小開始HF電圧及び電力において発生する正のイオン及び負のイオンを含む。
【0022】
この組み合わせは、クリーンルームイオナイザー/電荷中和装置の数多くの異なるタイプの場合に実効的であり、適用可能である。一例として、本発明の一実施形態におけるイオナイザーは、クラス1のクリーンルーム製造環境を対象とするインラインイオナイザーとして考えることができる。このイオナイザーは、清浄乾燥空気(CDA)又は窒素、アルゴン若しくは他の希ガスの流入する流れを有することができる。気体又は空気は、イオン化セル内のシリコンベースエミッタに沿って流れる。イオン化セル/チャンバは通常、空気/気体入口及び出口開口部を除いて密閉される。
【0023】
本発明の実施形態によるインライン電荷中和イオナイザーの設計は、高周波数高電圧電源のようなコンパクトな電源を使用することができる。電源の出力コネクタが、少なくとも1つのシリコンベースエミッタを収容する。イオン化セルは、清浄な両極性イオン化を生成する。空気流(又は窒素若しくはアルゴン流若しくは他の気体流)は、イオンをイオン化エミッタ(セル又はチャンバ)から電荷中和のターゲットに動かすのに十分である。
【0024】
電源の高周波電圧プロファイルは、約1KHz~100kHzのAC周波数範囲を有する。ピーク電圧は、エミッタのコロナ開始電圧(正及び負)を超える。高周波ACにおけるエミッタのイオン電流は、シリコンベース材料の電気抵抗によって実質的に制限される。
【0025】
本出願において、高電圧は、少なくとも1つのイオン発生電極と基準電極との間の電位差と定義される。幾つかの高周波ACイオン化セルにおいて、基準電極は、誘電体壁によって、イオン化電極から隔離することができる。それゆえ、電極間の直接的な電子なだれ、イオンなだれ(スパーク放電等)の可能性が実質的に排除され、エミッタからの粒子放出が大きく減少する。動作モード中に、電圧振幅が、イオン化電極に印加されるコロナ正及び負開始電圧を超えるときにはいつでも、イオンが発生する。
【0026】
高周波AC電圧プロファイルが連続的ではなく、周期的であるときに、別の周波数(オプション)が妥当になる。すなわち、所定の時間間隔内でのみ、開始電圧プロファイルを超える高周波AC電圧を発生させる。このシナリオでは、アクティブ時間間隔中に(通常、約0.01秒以下~約1秒以上)、エミッタに高周波AC電圧が印加されるが、非アクティブ時間間隔中には、開始電圧未満の電圧を印加することができる。このオプションの高周波電圧波形は、基本的には、オン/オフ高電圧モードも含むことができる。通常の低電圧又はオン/オフ周波数範囲は約0.1ヘルツ~500ヘルツであるが、周波数はこの範囲外に存在することもできる。
【0027】
幾つかのシリコン含有エミッタ組成が例として与えられる。それらの例は、(a)ドープされた単結晶シリコン、(b)ドープされたポリシリコン、(c)ドープされたシリコン及び酸化シリコンの組み合わせ、並びに(d)基板上に堆積したドープされたシリコンである。ドーパント及び添加剤は主に、シリコンベースエミッタの表面及び体積電気抵抗率と、機械的特性とを制御することを目標とする。それらは好ましくは、ホウ素、ヒ素、炭素、リン等の既知の非金属ドーパント群から選択される。
【0028】
したがって、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態は、低放出の電荷中和のための方法であって、高周波交流(AC)電圧を発生させることと、少なくとも70%のシリコン重量比かつ99.99%未満のシリコン重量比を含む少なくとも1つの非金属エミッタであって、酸化物層が破壊された少なくとも1つの処理された表面部分を含む少なくとも1つの非金属エミッタに高周波AC電圧を送信することと、高周波AC電圧に応答して少なくとも1つの非金属エミッタからイオンを発生させることとを含む、方法を提供する。
【0029】
本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態は、上記の機能を可能にする要素を備える装置も提供する。例えば、本発明の一実施形態は、低放出の電荷中和のための装置であって、少なくとも70%のシリコン重量比かつ99.99%未満のシリコン重量比を含む少なくとも1つの非金属エミッタを備え、少なくとも1つの非金属エミッタは、シリコン酸化物層が破壊された少なくとも1つの処理された表面部分を含み、少なくとも1つの非金属エミッタは、高周波AC電圧に応答してイオンを発生させる、装置を提供する。
【0030】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の双方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0031】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の1つ(幾つか)の実施形態を示し、この説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0032】
本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態が、以下の図を参照して説明される。これらの図において、同様の参照符号は、別段の指定がない限り、様々な図の全体を通じて同様の部分を参照する。
【0033】
しかしながら、添付の図面は、本発明の通常の実施形態のみを示しており、本発明は他の同等に実効的な実施形態を認めることができるので、それゆえ、その範囲を制限するものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1(a)】従来の単結晶シリコンイオンエミッタ、又は(一般的に)非金属イオンエミッタの図である。
【
図1(b)】金属スリーブを備える単結晶シリコンエミッタの従来の部品及びアセンブリの図である。
【
図1(c)】金属スリーブ及び溝を備える単結晶シリコンエミッタの従来の部品及びアセンブリの図である。
【
図2】2つの単結晶シリコンエミッタを備える従来のDCルームイオン化天井システムの図である。
【
図3(a)】本発明の一実施形態によるシリコン含有エミッタの図であり、エミッタはあらかじめ選択された表面粗さ(又は処理された表面部分)を有するエミッタシャフトの部分を備える。
【
図3(b)】本発明の別の実施形態によるエミッタの図であり、エミッタは、部分的な導電性表面めっき又は部分的な導電性表面コーティング(又は他のタイプの処理された表面部分)を有するエミッタシャフトの部分を備える。
【
図3(c)】本発明の一実施形態による、シリコン含有エミッタと、エミッタの表面電気抵抗及び/又は体積電気抵抗を監視する装置との図である。
【
図4(a)】本発明の種々の実施形態による、径方向圧縮ばねスリーブ及び金属ピンの変形形態の1つを用いるシリコン含有エミッタの図である。
【
図4(b)】本発明の種々の実施形態による、径方向圧縮ばねスリーブ及び金属ピンの変形形態の1つを用いるシリコン含有エミッタの図である。
【
図5(a)】本発明の種々の実施形態による、テーパー部及び先端の異なる構成を有する3つのシリコン含有エミッタのうちの1つの図である。
【
図5(b)】本発明の種々の実施形態による、テーパー部及び先端の異なる構成を有する3つのシリコン含有エミッタのうちの1つの図である。
【
図5(c)】本発明の種々の実施形態による、テーパー部及び先端の異なる構成を有する3つのシリコン含有エミッタのうちの1つの図である。
【
図6】本発明の実施形態による、コロナイオン化期間の「始動」中にシリコン含有エミッタ先端の「ソフト」プラズマクリーニングを実行するためのHF波形の図である。
【
図7(a)】本発明の種々の実施形態による、或る動作モード中にシリコンベースエミッタに印加される高周波電力電圧波形の複数の例のうちの1つの図である。
【
図7(b)】本発明の種々の実施形態による、或る動作モード中にシリコンベースエミッタに印加される高周波電力電圧波形の複数の例のうちの1つの図である。
【
図7(c)】本発明の種々の実施形態による、或る動作モード中にシリコンベースエミッタに印加される高周波電力電圧波形の複数の例のうちの1つの図である。
【
図8(a)】本発明の種々の実施形態による被変調高周波電圧波形の複数の例のうちの1つの図である。
【
図8(b)】本発明の種々の実施形態による被変調高周波電圧波形の複数の例のうちの1つの図である。
【
図9(a)】本発明の一実施形態による、インラインイオナイザーのイオン化セル/チャンバの図である。高周波AC駆動シリコンベースエミッタが、両極性のイオンを発生させる。空気/気体流がエミッタからイオンの流れを動かしている。
【
図9(b)】本発明の一実施形態による、気体チャネル及びイオン化セルの図である。
【
図9(c)】本発明の一実施形態による、シリコンベースエミッタを備えるインラインイオナイザーの簡略化されたブロック図である。
【
図10(a)】本発明の一実施形態による、高周波ACイオン化バーの簡略化された構造を示す図である。
【
図10(b)】本発明の一実施形態による、高周波ACイオン化バーの簡略化された構造を示す図である。
【
図10(c)】本発明の一実施形態による、シリコンベースイオンエミッタを備えるノズルの細部を示す図である。
【
図10(d)】本発明の一実施形態による、シリコンベースイオンエミッタを備えるノズルの細部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の詳細な説明では、説明のために、本発明の種々の実施形態の完全な理解を提供するように幾つかの特定の詳細が述べられる。本発明のこれらの種々の実施形態は、単に例証的であり、いずれの点においても限定的であることを意図されないことを当業者は認識するであろう。本発明の他の実施形態を、本開示の利益を受ける当業者は容易に思いつくであろう。
【0036】
さらに、明確にするために、本明細書で述べる実施形態の通常有する特徴の全てが示されるか又は述べられるわけではない。任意のこうした実際の実施態様の開発時に、特定の設計目的を達成するために、多数の実施態様固有の選択が必要とされる場合があることを当業者は容易に理解するであろう。これらの設計目的は、実施態様ごとに及び開発者ごとに変わるであろう。さらに、こうした開発努力は、複雑でかつ時間がかかる場合があるが、それでも、本開示の利益を受ける当業者にとって日常的な技術的仕事であることが理解されるであろう。本明細書に開示された様々な実施形態は、本明細書の開示の範囲及び趣旨を限定することを意図したものではない。
【0037】
本発明の原理を実行するための例示的な実施形態が、図面を参照しながら本明細書において説明される。しかしながら、本発明は、具体的に説明され、図示される実施形態には限定されない。当業者は、本発明の基本概念から逸脱することなく、数多くの他の実施形態が可能であることは理解されよう。それゆえ、本発明の原理は、添付の特許請求の範囲内に入るあらゆる仕事に及ぶ。
【0038】
本明細書において使用されるときに、「1つの("a" and "an")」という用語は、量の制限を示すのではなく、参照される複数の項目のうちの少なくとも1つの項目の存在を示す。
【0039】
例えば、(2)導電性ソケットと接触しているピンタイプ電極として構成されるシリコン含有エミッタと、(3)高周波AC電圧波形を受信する容量性とを組み合わせる(1)インラインイオナイザーが、ほとんど粒子を伴わない電気的に平衡のイオン気体流を高い信頼性で生成することが、本発明者らによって実験的に示された。上述した組み合わせは、従来技術において知られる非金属シリコン含有エミッタ又は高周波AC電圧波形のいずれかによって別個に達成することができない信頼性及び清浄度のレベルを有するイオン化をもたらす。清浄度試験中に、直径が10nm以上の累積的粒子が測定された。粒子カウンター(CNC-凝縮粒子カウンター等)は、粒子をサイズ範囲に分類しなかった。
【0040】
例えば、DC又はパルス式DC(±20kV)電源に接続されるクリーンルームイオン化システム(例えば、NiLstatイオン化システム)(
図2に示されるシステム200に類似)のための2つの単結晶シリコンエミッタ(特許文献1において論じられる)が、1立方フィートの空気あたり概ね60個の粒子(直径が10ナノメートルより大きい)を発生させる。対照的に、本発明の一実施形態によって開示されるイオナイザーは通常、1立方フィートの空気あたり10個未満の同じ直径のナノ粒子をもたらす。全体として、1立方フィートの空気あたりの、10ナノメートルより大きい10個の粒子は、本出願の時点において最も清浄度の高い従来技術のイオナイザーより名目上、6倍清浄度が高い。
【0041】
対照的な例において、金属エミッタ(タングステン)が、従来のシステム(例えば、特許文献1におけるシステム)で試験され、クリーンルームの粒子放出量に関して許容できないことを示した。米国特許出願公開第2003/0007307号(Lee他)において提案されるのに類似の高周波AC高電圧波形と組み合わせてタングステンエミッタを使用する本発明者らによる実験は、特許文献1において以前に開示された従来のシステムと比べて、清浄度に関してほとんど利益をもたらさなかった。粒子濃度カウントの結果として、タングステンエミッタを試験したいずれの場合も、1立方フィートの空気あたり600個を超える粒子(10ナノメートルより大きい)が存在した。
【0042】
しかしながら、高純度(99.99%+の純度)の単結晶シリコンエミッタ(
図1(a)、
図1(b)及び
図1(c)に示されるエミッタに類似)は、高い電気抵抗(メガオーム範囲内)を有する。このエミッタ(複数の場合もある)が高周波数(HF)AC電圧電源に接続されるとき、多くの場合に、イオン生成は効率的な電荷中和にとって十分ではない。この主な理由は、HF(高周波数)電流/電圧の大部分がストレーキャパシターに進み、エミッタ先端に進まないためである。
【0043】
高純度(99.99%+の純度)の単結晶シリコンエミッタに関連付けられる別の問題は、エミッタが表面酸化物「膜」(
図1(c)においてシリコンエミッタ101cの表面を包囲する破線102cによって示される酸化物層又は膜)を生成する傾向があることである。この膜/層102cは、絶縁性の高いシリコン酸化物(SiO
2)から構成される。清浄なシリコンウェハーの表面上のシリコン酸化物成長は、例えば、カリフォルニア州所在のスタンフォード大学による以下の刊行物、「Growth of native oxide」Stanford University Nanofabrication Facility、28 August 2003において論じられている。
【0044】
シリコン酸化物成長現象の最終結果は、非金属シリコンエミッタ/ピンが、この絶縁層によって包囲され、電気的ソケットとの、それゆえ、HF電源の高電圧出力への良好な信頼性のある接続を有しないことである。
【0045】
別の非金属イオンエミッタが、Curtis他に対する特許文献2において論じられている。このエミッタは、高純度99.99%炭化シリコンから形成される。この材料は、約30%の炭素を含む組成物である。炭化シリコンが高い硬度を有することは当該技術分野において既知である。また、炭化シリコンは、ピンタイプエミッタ構成として作製するのに、機械加工に費用もかかる。また、炭化シリコンは、金属タイプの高い電気伝導度を有する。高い炭素含有量を有する複合物に由来する導電性粒子は多くの場合に、半導体産業において望ましくない。
【0046】
半導体産業においてシリコン材料が広く受け入れられていることは、イオンエミッタ材料の相対的に低いコストを決定づける。さらに、シリコンベース材料の機械的特性が、機械加工(切断、研磨等)を簡単にした。低濃度のシリコンドーパント及び添加剤は、表面及び体積電気抵抗率を制御すること、及びシリコンベースエミッタの機械的特性を改善することを主に目標とする。それらは好ましくは、ホウ素、ヒ素、炭素、リン等の既知の非金属ドーパント群から選択することができる。
【0047】
本発明の一実施形態において、重量比で99.99%未満、70%より高いシリコン含有量を有するシリコンベース組成物が、キロオーム範囲内のエミッタ電気抵抗に達することを可能にした。この抵抗は、高周波数電流を流し、安定したコロナ放電をサポートするほど十分に低い。したがって、2つの以下の特定の要因、すなわち、シリコンベースエミッタの組成物及び設計と、高周波ACエミッタ駆動電力/電圧波形とが、観測される清浄度改善をもたらすために矛盾なく相互作用する。
【0048】
シリコンベースエミッタ及びHF電圧波形の組み合わせの利点のうちの1つは、コロナ放電の開始電圧が、非金属エミッタの場合のDC、DCパルス又は低周波数(50Hz~60Hz)電圧より著しく(約1000V~3000V又はそれ以上)低いことである。
【0049】
この効果の考え得る説明は、その範囲内の高周波数(約1kHz~100kHz又はそれ以上)において、エミッタに印加される電圧が、ミリ秒範囲又はマイクロ秒範囲内で極性を変更することである。それが、コロナ電荷担体(正のイオン及び負のイオン、電子)が、エミッタ先端から離れるように動くだけの十分な時間を有しない理由である。また、シリコンベース材料の特定の表面電荷保存(多くの場合「電荷メモリ」と称される)特性が、電極表面電子放出において役割を果たす場合がある。それが、正及び負の両方の高周波数コロナ放電開始電圧が低い理由である。HFコロナ放電の電圧が低いと、シリコンベースエミッタからの粒子放出も少ない。
【0050】
非金属シリコンベースエミッタと高周波AC電圧波形との間の相互作用に起因する平衡型イオナイザーのコロナ放電の粒子放出改善のための科学的根拠は、現在研究中である。コロナ放電、及び/又はイオン化、及び/又は非金属エミッタからの粒子放出の認識された理論は、観測された実験的清浄度を予測しないか、又は完全には説明しない。
【0051】
しかしながら、本発明を実施し、使用する方法は明確に理解される。以下の書面による説明は、本発明を実施し、使用する方法を静電荷制御分野の当業者に説明することに向けられる。
【0052】
シリコンベースエミッタの組成物とHF電圧波形との組み合わせを含む、本発明の実施形態に向けられる実験成果は、幾つかの事例において、新品の、又は長期に使用されていなかったエミッタを備えるイオナイザーが、HFコロナ放電を開始し、イオン発生を確実にもたらすことへの問題を示す。測定値は、シリコンエミッタと電気的ソケットとの間の高い接触抵抗を示す。この高い抵抗は、イオン化デバイスのコロナ開始問題に関する理由のうちの1つである。外気におけるシリコンウェハー上の相対的に厚い(10分の1~100分の1オングストローム又はそれ以上)酸化物「膜」のプロセス形成が、上記で引用された「Growth of native oxide」Stanford University Nanofabrication Facilityに記録される。例えば、6日間に、SiO2表面層は、12オングストロームの厚さに達する可能性がある。酸化シリコンは良好な絶縁体として知られている。したがって、この膜成長の結果として、シリコンベースエミッタの表面抵抗及び接触抵抗が高くなる。酸化物層の成長速度は可変であり、酸素及びオゾン濃度(ウェブリンクhttp://iopscience.iop.org/0953-8984/21/18/183001/pdf/cm9_18_183001.pdfにおける「Silicon oxidation by ozone」を参照)、温度、湿度等の数多くの周囲雰囲気要因によって決まる。オゾンは、コロナ放電の副生成物の1つであり、シリコンエミッタの酸化を加速させる場合がある。この現象は、シリコンベース非金属エミッタを備える相対的に低い電力電圧のHFイオナイザーの場合に深刻な影響をもたらす。本発明の例示的な実施形態は、エミッタと金属ソケットとの間の接触抵抗を小さくするために、シリコンベースエミッタの表面処理を含む。
【0053】
図1(a)は、従来のシリコンエミッタ100aを示す。エミッタ100aは、4つの特有の部分、すなわち、先端101aと、テーパー部102aと、シャフト103aと、テール104aとを備える。先端101aの形状及びサイズは、HVPS(高電圧電源)から入手可能な高電圧及び電流の量と、エミッタの材料と、製造技術及び方法とによって決まる。エミッタ先端101aは通常、あらゆるイオンエミッタの最も重大な部分である。エミッタ先端101aは、コロナ放電に直接さらされ、エミッタの存続寿命を決定する。シリコンエミッタは略円筒形のシャフト103aを有する。シャフト103aは主に、エミッタの長さと、テーパー部と、高電圧電源に接続されるソケット又はレセプタクルとの間の距離を規定する。テーパー部又は錐体102aは、先端101aとシャフト103aとの間の移行部分である。シリコンは本来、脆弱な材料であり、テーパー角は、エミッタの機械的強度と電気的特性との譲歩である。テール104aは丸みを帯びることができるか、斜角を付けることができるか、又は面取りすることができる。この部分は、エミッタ100aをソケット又はレセプタクルに挿入するのを助けるべきである。標準的な高純度シリコンエミッタは、化学研磨(それは通常、強酸処理によって達成される)の結果として滑らかな表面を有する。
【0054】
図1(b)は、金属スリーブを備えるシリコンエミッタの図を示す。シリコンエミッタ100aは、非金属シリコン部分101bと、ディンプル105bを備えるステンレス鋼チューブ102b(又はスリーブ102b)とを備える。スリーブ102bは、機械的な(取り扱いによる)損傷から脆弱なシリコンエミッタ101aを保護するべきである。また、スリーブ102bは、非金属の高純度シリコンエミッタと金属ソケット又はレセプタクルとの電気的接続を改善すべきである。ビュー103b及び104bは、シリコンエミッタ100aと、金属スリーブ102bとの組立図を示す。ビュー106bは、組み立てられたエミッタシャフト103aの断面を提示する。
【0055】
シリコンシャフト103aの大部分(又はかなりの部分)が、ビュー103bに示されるように、金属スリーブ102bの中に収容される。スリーブ102bをシリコンシャフト103a上に固定し、その間の信頼性のある電気的接触を達成するために、スリーブ102b上に少なくとも1つの突起105b(ディンプル)を形成するのが一般的である。3つ全ての構成要素の寸法(シリコンエミッタシャフトの直径、スリーブの内径及びディンプルの深さ)の公差を考慮に入れるとき、組立作業は極めて難しい(ビュー106b上のシリコンシャフト及びディンプルの断面図を参照)。
【0056】
図1(c)は、シリコンエミッタ100cの別の設計の図を示す。破線によって提示される表面酸化物層(「膜」)102cを有するエミッタ部分101cが示される。エミッタ100cは、シリコン部分101cと、ディンプル104cを備えるスリーブ103cとを備える。スリーブ103cは、溝107cを備える1つ以上の部分/延長部分106cを有することができる。エミッタアセンブリはビュー105cに示される。この設計は、エミッタをノズル内に保持することを可能にし、延長部分106cを異なるソケット又はレセプタクルに挿入するために延長部分106cを使用する。
【0057】
図2は、特許文献1において使用されたのに類似の従来のDCルームイオン化システム200の図を示す。イオナイザーは、単結晶シリコンエミッタを支持する一対のロッド、正(+)ロッド201及び負(-)ロッド202を有する。ロッドは、専用の正及び負の高電圧電源(HVDC)203(シャーシ内に配置される)に接続される。エミッタロッドの断面図がビュー204に示される。ロッド202の端部は、ソケットタイプコネクタ205と、HVDC電源203に接続される高電圧ケーブル206とを有する。ソケット205は、ビュー204に示されるシリコンタイプエミッタ207を収容する。ロッド202の他の部分は、エミッタ207、コネクタ205及びHVケーブル206の、破壊力からの保護機構としての役割を果たす。ロッド設計は、シリコンエミッタ201、202を交換可能にする。
【0058】
本発明の例示的な実施形態の少なくとも幾つかの目標は、経済的なシリコンベース電荷中和システムによる、少ない粒子放出を提案することである。99.99%未満、70%より多いシリコン重量比を有するシリコンベースエミッタの組成物と、高周波数コロナ放電とを組み合わせて、少ない粒子放出という目標を達成可能にする。そのイオン化システムにおける非金属シリコン電極の場合、次の主な目標は、システムベースエミッタとHF高電圧電源との間の信頼性のある電気的接続を提供することである。
【0059】
図3(a)は、本発明の一実施形態によるシリコンベースエミッタ300aの図を示しており、エミッタ300aは、高電圧ソケット(図示せず)内に挿入することができるシャフト301aの研磨部分又はサンドキャスティング処理部分310a(すなわち、処理された表面部分310a)を備える。シャフト表面302aのこの部分310aは、約0.5ミクロン~10ミクロンの範囲内の粗さHを有する(ビュー303aを参照)。例えば、サンディング(sanding)による表面処理中に、シャフト表面302a上に以前にあった酸化物「膜」は破壊され、排除されるか、又は別の方法で除去される。サンディングは、高電圧ソケット(図示せず)との多点接触を可能にするエミッタシャフト表面プロファイルを作り出す。任意選択で、エミッタ300aのテール314aの丸みを帯びた端部304aに、類似の表面処理を施すことができる。エミッタ先端305a、テーパー部306a及びシャフト301aの部分311aは、通常の化学研磨された表面を有する。
【0060】
シリコンベースエミッタの更なる1つの実施形態が
図3(b)に示される。本発明のこの実施形態によれば、シリコンベースエミッタ300bは、金属めっき又は金属コーティング302b(又は導電性めっき又は金属コーティング302b)を有するエミッタシャフト301bの部分310b(すなわち、処理された表面部分310b)を備え、それにより、シャフト301bの部分310bは良好な表面導体になり、エミッタ300bの接触部分316が酸化しないように長期にわたって保護する。接触部分316は、エミッタシャフト301bのテール314b内に存在することができる。
【0061】
異なる既知のシリコンめっき方法(例えば、真空蒸着、電解めっき、噴霧等)を使用することができる。金属のようなめっき材料は、例えば、ニッケル、真鍮、銀、金及び他の金属、並びに半導体産業において許容可能である合金を含むことができる。
【0062】
図3(c)は、本発明の一実施形態による、シリコン含有エミッタと、シリコン含有エミッタの表面電気抵抗及び/又は体積電気抵抗を監視する装置との図を示す。これは、
図3(c)に示されるようなシリコンベースエミッタ300cの電気的品質動作の一例を示す。制御及び/又は監視は、エミッタ300c又はエミッタ300cの処理された表面部分302cの電気抵抗測定、又は電気抵抗及び/又は組成を監視することを含む。導電性電極303c及び304cが、エミッタ300cのそれぞれ、エミッタシャフト301cのサンディング(sanding)された部分302c(又は処理された表面部分302c)及びテール314cに取り付けられるか、又は接続される。標準的な抵抗R測定デバイス305を用いて、電気抵抗Rの測定を行い、記録することができる。このようにして、複素表面及び体積抵抗率と、エミッタ組成とを監視することができる。シリコンベースエミッタの要求される標準的な品質及び組成(99.99%未満、少なくとも70%より多いシリコン重量比を有する)は、キロオーム範囲内の複素抵抗を有することになる。表面処理及び管理動作後に、エミッタ300cを標準的な金属ソケット(図示せず)に挿入して、酸化シリコン「膜」の新たな層の形成を最小化することができる。
【0063】
本明細書において示される例示的な実施形態のうちの少なくとも幾つかは、二重の問題、すなわち、(1)非金属シリコンベースエミッタとソケットとの間に信頼性のある電気的接続を作り出すことと、(2)エミッタの接触部分が酸化するのを防ぐこととを解決できるようにする。
【0064】
図4(a)及び
図4(b)は、本発明の種々の実施形態による、径方向圧縮ばねスリーブ及び金属ピンの2つの変形形態を用いるシリコン含有エミッタの図を示す。シリコン含有エミッタ及び金属ピンは、後に論じられるように、スリーブの中に挿入される。本発明の一実施形態における、
図4(a)のシリコンベースエミッタ400aが最初に説明される。この例示的な実施形態によれば、エミッタ400aは、エミッタ部分401aを備え、エミッタ部分401aのシリコン部分は、低減された長さ/シャフト直径比を有する。短いシリコンベースエミッタ部分401aは、スリーブ402aの一方430から、金属径方向圧縮ばねスリーブ402aに接続される。スリーブ402aの他方431は、中実の金属延長ピン403aに接続される。本明細書において論じられる金属ピン403a及び403bは、ばねタイプスリーブ402a及び402bにそれぞれ挿入される金属電極403a及び403bとすることができる。このピン403aは、少なくとも1つ(又は複数の)溝と、ソケット及びイオン化セル(基準電極を含む)設計によって要求される可変長「L2」とを有することができる。例えば、ピン403aは溝435及び436を含むが、他の実施形態において、ピン403aは単一の溝のみを有する場合がある。ピン403aは、例えば、中実の金属ピン又はチューブとすることができる。従来のCNC、又は自動金属切断機械、又は他の金属処理方法を用いて、ピン403aを製造することができる。ビュー405aは、この例示的な実施形態による、シリコンエミッタ400aを備えるエミッタアセンブリ410aの図又は図面を示す。径方向圧縮ばねスリーブ402aは、
図1(a)及び
図1(b)に示されるようなディンプル105bを備える従来のスリーブ102bと比べて、シリコン部分401aとの著しく大きな接触面積を有する。その結果は、電気的接続の信頼性が高いこと、及び脆弱なシリコンエミッタ部分401aにかかる機械的応力が小さいことである。金属スリーブを備えるシリコンエミッタの設計は、スリーブのエッジから近隣の基準電極への「二次的な」コロナ放電を防ぐために幾つかの要件を有する。考慮されるべき主なパラメーターがビュー406aに示され、すなわち、Dはシリコンエミッタシャフト440の直径であり、Lはシリコンエミッタシャフト440の露出した部分441の長さであり、αはシャフト440のテーパー付き部分442のテーパーの角度であり、Sはスリーブ402aの厚さである。シリコン部分401aのエミッタ先端421a上(又はシリコン部分401bのエミッタ先端421b上)の電界の集中度が高い場合、第1の比S/Dは約0.03~0.06の範囲内にあるべきである。エミッタ先端421aとスリーブ402との間の距離に関連する別の要件は第2の比L/Sであり、比L/Sは、(2-5)/tan{タンジェント}(0.5α)の範囲内にあるべきである。パラメーターαは、少なくとも1つの非金属エミッタ部分401a又は401bのシャフト440のテーパー付き部分のテーパーの角度である。本発明の一実施形態における新たなシリコンエミッタ設計のこれらの条件は、幾つかの基準/仕様、すなわち、信頼性のある電気的接続、良好な機械的強度、及び金属部分からの粒子放出を発生させることになる「二次的な」コロナの可能性の最小化を満たすことになる。
【0065】
図4(b)は、金属径方向圧縮ばねスリーブ402bの別の構成を含むシリコンベースエミッタ400bの別の実施形態の図を示す。この場合、エミッタ400は、シリコンエミッタ部分401bを備え、シリコンエミッタ部分401bは直径D1を有し、金属スリーブ402bの一端461は直径D3を有する。シリコンエミッタ部分401bはエミッタ先端421bを有する。部分403bは、直径D4を有する中実の金属ピン403bであり、スリーブ402bの別の端部462が直径D2を有する。シリコンエミッタ部分401bの直径と金属スリーブ402bの直径との差(D1>D3)は、シリコン部分401bと金属スリーブ402bとの間に、信頼性がある又は良好な電気的接触を与えるのに必要とされる圧縮力を生み出す。同様に、直径の差(D2<D4)は、金属スリーブ402bと金属ピン403bとの間に、信頼性のある又は良好な電気的接続を与える。ビュー404b及び406bは、シリコンエミッタ400bの組立図を示す。ビュー405bは、この例示的な実施形態による、最小の接触圧及び局所応力を伴う大きな接触面積を有するシリコンエミッタ401b及びスリーブ部分402bを示す断面図である。その組立作業は簡略化される。いずれの例示的な実施形態(エミッタ400a及び400b)も最小量の高価なシリコンベース材料を使用し、非金属エミッタシャフトと金属スリーブとの信頼性のある大きな接触面積と、標準的なソケット又はレセプタクルへの良好な寸法一致とを有する。
【0066】
場合によっては、シリコンベースエミッタは、通常の表面/体積電気抵抗と、高電圧ソケットへの良好な電気的接続とを有するにもかかわらず、高周波数コロナ放電を開始し、イオン発生を確実にもたらすことへの問題を有する。本発明者らの実験は、この問題の核心が、エミッタ先端(エミッタの「主要部分(working horse)」)の表面上に厚みのある絶縁性の酸化物「膜」が形成されることに起因することを示す。本発明の1つ以上の例示的な実施形態がこの問題に対処する。シリコン含有エミッタの先端の形状は、絶縁性酸化物「膜」の形成速度及び厚さに好影響を及ぼす場合がある。
【0067】
図5(a)、
図5(b)及び
図5(c)は、本発明の種々の実施形態による、テーパー部及び先端の異なる構成を有する3つのシリコン含有エミッタの図を示す。
図5(a)、
図5(b)及び
図5(c)に示される種々の先端構成及びテーパー部構成は、動作HFコロナ開始電圧及びイオン化電流パラメーターを決定する。
【0068】
図5(a)において、平坦化された切頭先端を有するシリコンベースエミッタ501が示される。この先端設計は、環状高周波数コロナ放電を生み出す傾向がある(平坦化された先端510は、エミッタ501のテーパー部511と交わる)。このエミッタ501は、イオン電流密度及び粒子放出を低減することができる。しかしながら、開始HFコロナ電圧が高いという特徴を有する。テーパー部511は、平坦化された先端510に対してαの角度値にある。
【0069】
シリコンベースエミッタ502(
図5(b))は、約60ミクロン~400ミクロンの範囲の半径Zの小さな丸みを帯びた先端514を有し、その先端は作製するのが安価であり、コロナ電流変動を最小化する。(エミッタ502)のテーパー部分516は、小さな丸みを帯びた先端514から延在する。
【0070】
先鋭化されたシリコンベースエミッタ503(
図5(c))は、約40ミクロン~50ミクロン、又はそれ未満の範囲内の半径Yを有する鋭い先端520を有する。このエミッタ503は、最も低いコロナ開始電圧V
onを有する。しかしながら、エミッタ503の場合のイオン電流密度は最大であり、スパッタリング、腐食及び酸化物「膜」成長は、最も高い速度である。このシリコンベースエミッタ503は、窒素又はアルゴンのような無酸素の気体におけるイオン化のために使用されることが好ましい。エミッタ503のテーパー/円錐部分521は、鋭い先端520に対して、約10度~20度の範囲内の角度αを有することが好ましい。全てのシリコンベースエミッタ(501、502、503)が、本発明の例示的な実施形態による組成を有し、インラインイオナイザー、イオン化バー、及びHF AC電圧によって駆動される他の電荷中和装置に導入されるときに、少ない粒子カウントを提供することができる。先端の尖鋭度及び曲率(すなわち、先端の構成)は、開始電圧、イオン電流及びイオンバランスを含むイオナイザー動作パラメーターに影響を及ぼすか、又はそれらのパラメーターを決定するが、本発明の範囲に影響を及ぼさない。
【0071】
本発明の1つ以上の例示的な実施形態は、シリコンエミッタ先端上の酸化物「膜」成長に対処する。その実施形態は、コロナ放電の特定のモードを用いて、酸化物膜からシリコンエミッタ先端を清浄化し、エミッタプロファイルから独立してイオナイザー始動を助ける。
【0072】
図6は、本発明の一実施形態による、コロナイオン化期間の「始動」中に、エミッタ先端を含む、シリコンの「ソフト」プラズマクリーニングを実行するためのHF波形の図を示す。
【0073】
高電圧「HF始動」タイプ波形600がエミッタに印加される。この高電圧駆動モードは、始動期間(Ts期間として表示される)中に、エミッタに一群の(1から最大で数百までに達する双極パルス605)の短い持続時間の双極電圧バーストを与える。ミリ秒、マイクロ秒又はそれ未満の範囲内の電力プロファイルの非常に短い持続時間のため、HFコロナ関連プラズマは、極めて限られたエネルギーを有する。この方法は、エミッタ先端の昇温、及びエミッタ先端の表面破壊(スパッタリング、腐食及び粒子放出)の両方を防ぐ。短い持続時間のHFプラズマバーストは、シリコン酸化物膜からのエミッタ先端の「穏やかな」清浄化のみを実行する。「始動」期間Tsの持続時間、バーストパルス振幅、及びパルス数は、シリコン酸化物膜の厚さ、気体媒体、エミッタ先端設計等によって異なる場合があり、それらによって決まる場合がある。HFバーストパルスの電圧振幅は、通常の(動作)コロナ開始電圧正(+)Von及び負(-)Von(
図6において、2つの水平破線610及び615によってそれぞれ示される)より著しく高い(約25%~100%以上)。初期「始動」モードは、通常/動作高周波数コロナ放電及びイオン生成を開始するのを助けた。通常/動作モード中(時間Top中)に、高電圧振幅は、粒子放出を最小化するために、コロナ開始電圧(+)Von又は(-)Vonより10%~20%だけ高くすることができる。連続動作モードにおいて、HFコロナ放電は、清浄な乾燥気体媒体内でシリコンエミッタが酸化するのを防ぐことができる。それゆえ、少なくとも1つの非金属エミッタのソフトプラズマクリーニングは、動作期間中の電圧/電力波形とは異なる電圧/電力波形によって、コロナイオン化期間の始動期間中に実行される。
【0074】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)は、本発明の一実施形態による、動作モード中にシリコンベースエミッタに印加される高周波電力電圧波形の複数の例の図を示す。異なる動作HF電圧波形が、シリコンベースエミッタのための双極イオン化を実効的に引き起こす。高周波AC電圧の機能は、最小駆動電圧において両極性のイオン(正イオン及び負イオン)を生成することである。イオンを生成するために、ピーク電圧(正及び負のピーク電圧)がコロナ開始電圧を超える。
図7(a)に示されるように、高周波AC電圧プロファイル700は連続的であるが、そのプロファイルは、連続的に又は不連続に、及び周期的に変調することもできる。
【0075】
図7(a)は、約1kHzから約100kHzまでの周波数範囲を有する場合がある連続サイン波タイプ駆動電圧700を提示する。電圧700の正及び負の電圧振幅は、正のコロナ開始電圧(+)Von705より高く、負のコロナ開始電圧(-)Von710より低い。この電圧タイプ波形700は、本明細書において説明されるシリコンベースエミッタに最大電力を与え、最大イオン電流を生成する。
【0076】
図7(b)は、「オン」期間755及び「オフ」期間756を有するパルス列752の複数の群を含む、電圧波形750の図を示す。波形750は、少なくとも1つの変調部分を含み、各変調部分は、1つのオン期間755及び1つのオフ期間756を有する1つのパルス列752を含む。パルス列752内のオン期間755中に、波形750は、特定のエミッタのための、正のコロナ開始電圧閾値705を超え、負のコロナ開始電圧閾値710を超える振幅758を有する。パルス列752内のオフ期間756中に、波形750は、コロナ開始電圧閾値705及び710を超えない振幅760を有する。
図7(b)の例において、この振幅760は、約0の電圧の大きさである。それぞれ
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)における波形700、750及び780の更なる詳細は、同一所有者の、本願の譲受人に譲渡された、Peter Gefter他に対する米国特許第8,009,405号においても説明される。「オフ」期間756中に(それは小さなデューティファクターとすることができる)、コロナ放電(イオン生成)及び粒子放出は止まる。デューティファクターは、必要とされるイオン出力に応じて、約100%~約0.1%、又はそれ未満の範囲内で可変とすることができる。最小デューティファクターは、粒子放出及びエミッタ腐食速度を抑制するのを助ける。
【0077】
図7(c)は、電圧波形の別の変形形態780の図を示しており、デューティファクターは約100%に近いが、シリコンエミッタに印加される電圧振幅は、コロナ開始電圧より低い値(コロナ開始電圧から約90%~約50%、又はそれ未満の範囲内)まで周期的に降下する。この波形の利点は、粒子放出、及び高い電圧スイング(電圧/電界変動)の両方を最小化できることである。
【0078】
波形780は少なくとも1つの変調部分を含み、各変調部分はオン期間785及び非動作期間786を有するパルス列782を含む。パルス列782内のオン期間785中に、波形780は、特定のエミッタのための、正のコロナ開始電圧閾値((+)Vmax)705を超え、負のコロナ開始電圧閾値((-)Vmax)710を超える振幅788を有する。パルス列782内の非動作期間786中に、波形780は、コロナ開始電圧閾値705及び710を超えない振幅790を有するが、振幅790は0ボルトより高い。
【0079】
図8(a)及び
図8(b)は、本発明の一実施形態による、被変調高周波電圧波形の例の図を示す。
図8(a)は、高周波電圧及び低周波数電圧の混合(合成)の結果としての連続被変調波形800を提示する。低周波数成分(又はオフセット電圧)が
図8(b)に示される。この電圧波形850は主に、高周波数成分(
図7(a)に示される波形700に類似)によってイオンを生成し、低周波数成分によってイオンをエミッタから移動させる。
【0080】
シリコンベースエミッタを備えるインラインイオナイザーは、半導体産業において最も不可欠な作業/プロセス(例えば、空気中浮遊微粒子清浄度クラス1(Airborne Particulate Cleanness Class 1)のような環境)において使用することができる。
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)は、イオン化セルの簡略化された図及びインラインイオナイザーのブロック図を提示する。インラインイオナイザー設計によれば、HF周波数電圧の印加は
図8(a)に示される波形に類似とすることができ、その範囲は約20kHz~約100kHz以上に拡張される。
【0081】
図9(a)は、本発明の一実施形態による、インラインイオナイザーのイオン化セル/チャンバの図を示す。高周波AC駆動シリコンベースエミッタ902aが両極性のイオンを発生させる。空気/気体流908aが、エミッタ902aからイオンの流れを移動させている。また、
図9(a)に示されるように、イオン化セル900aはHF HV発生器901aに接続される。シリコンベースエミッタ902aはソケット903a内に配置され、HF発生器901aに接続されるキャパシター(C1)を介して接続される。エミッタ902aは、ソケット903aへの信頼性のある接続を提供するために、
図3(a)及び
図3(b)においてそれぞれ上記で論じられたようなシャフトのサンディング(sanding)又は金属めっきされた部分を有することができる。
【0082】
エミッタ901aは通常、空気/気体チャネル904aの中央部分に配置される。好ましくは、チャネル904aの外側の、チャネル904aの出口906a付近に基準電極905aが配置される。基準電極905aは制御システム907aに接続される。高周波AC電圧(エミッタ901aに印加される)のピーク電圧(正又は負の電圧)がコロナ開始電圧を超えるときに、エミッタ901aによって正イオン920及び負イオン921が発生する。発生したイオン雲を離れたターゲット電荷中和装置(図示せず)に向かって移動させるために、外部供給源(図示せず)からの空気/気体流908aが依然として必要である。エミッタ902aの先端909a付近のコロナ放電は、シリコンエミッタ902aの先端909a付近に、イオン及び電子を伴う強烈なHFプラズマ910aを生成する。コロナ開始電圧は、正イオンの場合に約(+)5kV~6kV、負イオンの場合に(-)4.5kV~5.5kVである。
【0083】
プラズマ内の粒子のような発生/放出コロナ副生成物は、イオンエミッタ組成、イオンエミッタ設計及び駆動電圧波形の組み合わせとして上記で論じられた方法、装置及び手段によって最小化される。
【0084】
図9(b)は、本発明の一実施形態による、ブロック901b内のイオン化セル及び気体チャネルの別のビュー900bの図を示す。チャネル902bは入口933b及び出口934bを有する。ソケット906bを備えるシリコンベースエミッタ905bは、チャネル902bの空洞960内に配置される交換式ユニットとして形成することができる。エミッタソケット906b及び基準電極907bは、高電圧HF電源908bに接続される。イオン化された気体流(矢印961によって示される)が、ウェハーのような帯電したターゲット909bにイオン雲を移動させ、イオン雲は、帯電したターゲット909b上のこれらの電荷965を中和することになる。
【0085】
図9(c)は、本発明の一実施形態による、シリコンベースエミッタ904cを備えるインラインイオナイザー900cの簡略化されたブロック図を示す。正及び負のイオン901cが、イオン化セル902c内に生成される。高電圧HV-HF電源903cが、イオン901cを発生させるために必要とされる電圧及び電流を与える。電源903cは、キャパシターC1を通して、シリコンベースエミッタ904cに高周波AC電圧を送達する。シリコンベースエミッタ904c上の電圧は、基準電圧905cと比較される。
【0086】
空気流又は気体流906cを生成するために、空気、窒素又はアルゴンの加圧供給源が、入口を介してインラインイオナイザー900cに接続される。空気流又は気体流906cは、正及び負のイオン901cを同伴し、イオン901cを、イオナイザー出口934cを通してターゲット(例えば、
図9(b)のターゲット909b)に向かって搬送する。
【0087】
インラインイオナイザー900cは、マイクロプロセッサ908cを備える制御システム907cと、気体圧力センサー909cと、コロナ放電センサー910cと、動作状態インジケーター911cとを含む。インラインイオナイザー900cは多くの場合に、ウェハーロード/アンロード動作を有する半導体ツールにおいて作動している。それが、インラインイオナイザー900cが、コロナ放電及び気体流を用いない、相対的に長いアイドル(「スタンドオフ」)期間を有する場合がある理由である。それらの期間中に、シリコンエミッタの先端が、シリコン酸化物層を成長させる場合がある。
図3(a)及び
図6において示された例示的な実施形態において上記で論じられたように、制御システム907cは、「始動」モードにおいて高電圧電源903cを始動させることによって、気体イオン化プロセスを開始する。コロナ放電センサー905c及びプロセッサ908cは、強く、安定したコロナ及びイオン生成が達成される時点まで、コロナ放電の状態を絶えず監視している。その後、制御システム907c及び電源903cは、通常動作モードに切り替えられる。
【0088】
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)、及び
図10(d)は、本発明の一実施形態による、高周波ACイオン化バー1000aの簡略化された構造と、シリコンベースイオンエミッタを備えるノズルの細部との図を示す。
図10(a)及び
図10(b)は、複数のシリコンベースエミッタ1001a~1008a(一例として)を備える高周波ACイオン化バー1000aの図を示す。各シリコンエミッタはステンレス鋼スリーブを有する。ステンレス鋼スリーブは、
図10(c)においてスリーブ1020cとして、
図10(d)においてスリーブ1020dとして示される。各ステンレス鋼スリーブ1020aがノズル内に設置される。各ノズルは、ソケットと、任意選択で、1つ又は2つの空気/気体噴射オリフィスとを有する。ノズルの断面図が、
図10(c)においてノズル1030cとして、
図10(d)において1030(d)として示される。
【0089】
ソケット1009cは、共通高電圧バスと、いずれもイオン化バー1000aの筐体1010a内に位置するオリフィス及びマニホールド(図示せず)とに接続される。ノズル1030dの断面
図1040は、シリコンエミッタ1003d(
図4(a)及び
図4(b)において上記で論じられたようなスリーブ及び溝を備える)及びオリフィス1004dの相対的な位置を示す。バスは、高電圧AC電源からのHF電力を各ノズル及びエミッタに分配する。HF-HV電源は、マイクロプロセッサベース制御システムとともに、同じ筐体1010a内に配置されることが好ましい。シリコンベースイオンエミッタは、約10kHz~26kHzの基本周波数(
図7(a)に示されるのに類似)を有する約6kV~8kVの範囲内のHF AC電圧を受信する。このHF高電圧は、各エミッタ1001a~1008aと基準電極1011aとの間にコロナ放電を生成する。この高周波AC電圧はそれ自体で、シリコンが99%未満から70%より大きい範囲内にあるエミッタ組成が利用されるときに、清浄な双極イオン化を引き起こすのに十分である。上記で論じられたように、高周波数自体は、イオン雲を遠くに移動させることはできない。HFイオン化バー1000aは多くの場合に、ターゲットから相対的に短い距離(例えば、約50mm~300mm)においてフラットパネル又は半導体ツール内に設置される。この場合、帯電したターゲット(図示せず)の電界が、逆極性のイオンを引き付ける。しかしながら、より長い距離(例えば、約400mm~1500mm)における効率的な電荷中和の場合、イオン雲は、空気/気体流若しくは電界、又は両方の組み合わせからの支援を必要とする。多くの場合に、清浄な層流を与えるHEPAフィルターと組み合わせて、HFイオン化バーを使用することができる。
【0090】
図8aは、ターゲットへのイオン送達を助けるために、更なる低周波数場(約0.1Hz~200Hzの周波数を有する)を生成する被変調HF波形800を示す。期間T2中に、正の電圧波804の振幅802及び負の電圧波808の振幅806は概ね等しいので、オフセット電圧は0に近く、イオン雲はシリコンエミッタ付近において振動する。対照的に、T1のような期間中に、電圧波形800は正のオフセット810を有し、正極性のイオン雲(そのイオンは反発する)がターゲットに移動している(
図8(b)を参照)。同様に、T3のような期間中に、電圧波形800は負のオフセット815を有し、負極性のイオン雲(そのイオンは反発する)がターゲットに移動している。オフセット電圧の振幅及び周波数は、イオン化バー1000aとターゲットとの間の距離によって決まる。
【0091】
シリコンベースエミッタを備える高周波数イオン化バー1000aは、少ない放出をもたらし、清浄な空気/気体イオン化をもたらし、例えば、約400mmから1500mmまでの距離における動きの速い大きな物体(フラットパネル等)の電荷を中和することができる。
【0092】
本発明の別の実施形態は、低放出の電荷中和のための方法を提供し、少なくとも1つの上記の非金属エミッタが、低減されたシリコン部分長/シャフト直径比を含む。
【0093】
本発明の別の実施形態は、低放出の電荷中和のための方法を提供し、上記のスリーブは、金属径方向圧縮ばねスリーブを含み、少なくとも1つのエミッタ、金属ピン及びスリーブの直径の差が、少なくとも1つのエミッタ、スリーブ、金属電極間の信頼性のある電気的接続を提供する圧縮力を生成する。
【0094】
本発明の別の実施形態は、低放出の電荷中和のための装置を提供し、少なくとも1つの上記の非金属エミッタが、低減された長さ/シャフト直径比を含む。
【0095】
本発明の別の実施形態は、低放出の電荷中和のための装置を提供し、上記のスリーブは、金属径方向圧縮ばねスリーブを備え、少なくとも1つのエミッタ、金属ピン及びスリーブの直径の差が、少なくとも1つのエミッタ、スリーブ及び金属電極間の信頼性のある電気的接続を提供する圧縮力を生成する。
【0096】
本発明の別の実施形態は、シリコン重量比99.99%未満から少なくとも70%の範囲内の化学組成を有する非金属イオンエミッタと、エミッタの幾何学的形状及び表面処理(加工)と、エミッタと高周波数範囲において動作する高電圧電源との間の接続構成とを組み合わせることによって、信頼性のある、低粒子放出の電荷中和装置を作り出すための装置及び方法を提供する。この組み合わせにおいて、エミッタは、低い開始電圧と少ない粒子放出とによって特徴付けられる高周波数コロナ放電を確実に発生させる。この組み合わせは、クラス1のクリーンルームを対象にした数多くの異なるタイプのクリーンルームイオナイザー/電荷中和装置の場合に有効である。シリコン含有エミッタと、高周波AC電圧との組み合わせは、10ナノメートルより大きい粒子のカウントに基づいて、従来のイオナイザーより清浄であるイオナイザーをもたらす。清浄度に関するこの改善は、本発明者らによって実験的に特定された。
【0097】
本発明の図示された実施形態の上記説明は、要約書に記載されたものを含めて、網羅的であることも、本発明を開示された正確な形態に限定することも意図していない。本発明の特定の実施形態及び本発明の例が、本明細書において例示の目的で説明されているが、当業者が認識するように、様々な均等な変更が、本発明の範囲内で可能である。
【0098】
これらの変更は、上記の詳細な説明を考慮して本発明に対して行うことができる。添付の特許請求の範囲において用いられる用語は、本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に本発明を限定するように解釈されるべきではない。それとは逆に、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。特許請求の範囲は、請求項解釈の確立されたドクトリンに従って解釈されるべきである。
なお、以下に示す参考態様がある。
[態様1]
低放出の電荷中和のための方法であって:
交流(AC)及び高電圧を発生させることと;
先端、テーパー部、シャフト、及びテールを備えるように構成された先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタに高電圧を伝えることと;を含んでおり、
前記テーパー部が前記先端と前記シャフトとの間にあり、
前記シャフトが前記テーパー部と前記テールとの間にあり、
前記高電圧と前記交流は1kHz~100kHzの高周波数範囲にあり、
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、重量比で少なくとも70%を超え且つ99.99%未満のシリコンを含んでおり、
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、増大した表面電気伝導度もしくは低い電気抵抗を有する前記シャフト及び/又は前記テールの処理表面の少なくとも部分を備えており、
該方法は、
前記非金属イオンエミッタの前記シャフト及び/又は前記テールの前記処理表面の高周波数範囲における高電圧及び交流への接触に応答して前記非金属イオンエミッタの前記先端からイオンを発生させることをさらに含み、
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの前記シャフト及び/又は前記テールの前記処理表面の部分は、研磨又はサンディング処理に起因するあらかじめ選択された0.5ミクロン~10ミクロンの範囲の粗さの領域を含む、方法。
[態様2]
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの表面電気抵抗及び/又は体積電気抵抗及び組成を監視するための測定デバイスを設けることを更に含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
シリコンベース部分を備える前記非金属イオンエミッタの前記シャフト及び金属電極が、ばねタイプスリーブの中に挿入される、態様1に記載の方法。
[態様4]
通常の(動作)期間中の電圧/電力波形より25%~100%大きい振幅の短い持続時間のパルスバーストを有する電圧/電力波形によって生み出されたコロナプラズマイオン化期間の始動期間中に前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタのプラズマクリーニングを実行することを更に含む、態様1に記載の方法。
[態様5]
前記非金属イオンエミッタによる粒子放出を最小化するために、最小の開始HF電圧振幅及び/又は小さなデューティーファクターを備えるコロナ放電波形を動作期間中に前記非金属イオンエミッタに適用する、態様1に記載の方法。
[態様6]
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、非金属の部品/部分と金属の部品/部分との組立体を備え、
前記金属の部品/部分は、前記非金属イオンエミッタの前記シャフトに配置される圧縮ばねスリーブとして構築され、
前記組立体は、0.03~0.06の範囲内にある第1の比S/Dを備え、
Sは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタを受容する前記スリーブの厚さであり、
Dは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの前記シャフトの直径である、
態様1に記載の方法。
[態様7]
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、(2-5)/tan{タンジェント}(0.5α)の範囲にある第2の比L/Sを備え、
Lは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタのシャフトの露出した部分の長さであり、
Sは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタを収容するスリーブの厚さであり、
αは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの前記シャフトのテーパー付き部分のテーパーの角度である、
態様1に記載の方法。
[態様8]
低放出の電荷中和のための装置であって:
先端、テーパー部、シャフト、及びテールを備えるように構成された先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタを含んでおり、
前記テーパー部が前記先端と前記シャフトとの間にあり、
前記シャフトが前記テーパー部と前記テールとの間にあり、
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、重量比で少なくとも70%を超え且つ99.99%未満のシリコンを含んでおり、
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、増大した表面電気伝導度もしくは低い電気抵抗を有する前記シャフト及び/又は前記テールの処理表面の少なくとも部分を備えており、
前記非金属イオンエミッタの先端は、前記非金属イオンエミッタの前記シャフト及び/又は前記テールの前記処理表面の1kHzから100kHzまでの高周波数範囲の高電圧及び交流(AC)への接触に応答してイオンを発生させ、
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの前記シャフト及び/又は前記テールの前記処理表面の部分は、研磨又はサンディング処理に起因するあらかじめ選択された0.5ミクロン~10ミクロンの範囲の粗さの領域を含む、低放出の電荷中和のための装置。
[態様9]
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの表面電気抵抗及び/又は体積電気抵抗及び組成が監視される、態様8に記載の装置。
[態様10]
シリコンベース部分を備える前記非金属イオンエミッタの前記シャフト及び金属電極が、ばねタイプスリーブの中に挿入される、態様8に記載の装置。
[態様11]
通常の(動作)期間中の電圧/電力波形より25%~100%大きい振幅の短い持続時間のパルスバーストを有する電圧/電力波形によって生み出されたコロナプラズマイオン化期間の始動期間中に前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタのソフトプラズマクリーニングが実行される、態様8に記載の装置。
[態様12]
前記非金属イオンエミッタによる粒子放出を最小化するために、最小の開始HF電圧振幅及び/又は小さなデューティーファクターを備えるコロナ放電波形が動作期間中に前記非金属イオンエミッタに適用される、態様8に記載の装置。
[態様13]
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、非金属の部品/部分と金属の部品/部分との組立体を備え、
前記金属の部品/部分は、前記非金属イオンエミッタの前記シャフトに配置される圧縮ばねスリーブとして構築され、
前記組立体は、0.03~0.06の範囲内にある第1の比S/Dを備え、
Sは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタを収容する前記スリーブの厚さであり、
Dは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの前記シャフトの直径である、
態様8に記載の装置。
[態様14]
前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタは、(2-5)/tan{タンジェント}(0.5α)の範囲にある第2の比L/Sを備え、
Lは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタのシャフトの露出した部分の長さであり、
Sは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタを収容するスリーブの厚さであり、
αは、前記先細の少なくとも1つのシリコンベースの非金属イオンエミッタの前記シャフトのテーパー付き部分のテーパーの角度である、
態様8に記載の装置。
[態様15]
先端、テーパー部、シャフト、及びテールを備えるように構成されたシリコンベースの非金属イオンエミッタを含んでおり、
前記テーパー部が前記先端と前記シャフトとの間にあり、
前記シャフトが前記テーパー部と前記テールとの間にあり、
前記シリコンベースの非金属イオンエミッタは、重量比で少なくとも70%を超え且つ99.99%未満のシリコンを含んでおり、
前記シリコンベースの非金属イオンエミッタは、前記テーパー部及び前記先端より高い電気伝導度もしくは低い電気抵抗を有する前記シャフト及び/又は前記テールの処理表面の少なくとも部分を備え、
前記シリコンベースの非金属イオンエミッタの前記シャフト及び/又は前記テールの前記処理表面の部分は、研磨又はサンディング処理に起因するあらかじめ選択された0.5ミクロン~10ミクロンの範囲の粗さの領域を含む、装置。
[態様16]
前記非金属イオンエミッタの先端は、前記非金属イオンエミッタの前記シャフト及び/又は前記テールの前記処理表面の1kHzから100kHzまでの高周波数範囲の高電圧及び交流(AC)への接触に応答してイオンを発生する、態様15に記載の装置。
【符号の説明】
【0099】
300a シリコンベースエミッタ
301a シャフト
302a シャフト表面
305a 先端
306a テーパー部
310a 処理表面部分
314a テール