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特許7371214自動立ち直りシステム、方法およびメガネ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】自動立ち直りシステム、方法およびメガネ
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/00 20060101AFI20231023BHJP
   G02C 5/04 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G02C5/00
G02C5/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022204005
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】202211144165.7
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522465385
【氏名又は名称】立訊精密科技(南京)有限公司
【氏名又は名称原語表記】Luxshare Precision Technology (Nanjing)Co., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 108-11, Building F, No. 5 Yongzhi Road, Qinhuai District, Nanjing City, Jiangsu Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】呂 高峰
(72)【発明者】
【氏名】王 成
(72)【発明者】
【氏名】李 春光
(72)【発明者】
【氏名】呉 忠裕
(72)【発明者】
【氏名】高 亜娟
(72)【発明者】
【氏名】姜 必栄
(72)【発明者】
【氏名】尤 冉
(72)【発明者】
【氏名】許 国軍
【審査官】中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180532(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第115629489(CN,A)
【文献】中国特許第112782869(CN,B)
【文献】中国実用新案第207516663(CN,U)
【文献】中国実用新案第210401874(CN,U)
【文献】中国実用新案第201965335(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113160520(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115308905(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C1/00-13/00
G02B27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネの先端に位置し、第1特徴位置との距離を取得するための距離センシングユニット(11)を含む判別校正モジュールと、
前記メガネの先端に取り付けられ、膨張によって前記メガネが上へ移動するように押し上げることが可能な押上エアークッション(21)を含む立ち直りモジュール(2)と、
前記距離センシングユニット(11)および前記押上エアークッション(21)に電気的に接続され、前記距離センシングユニット(11)からの距離信号に従って前記押上エアークッション(21)の開閉を制御して、前記メガネを立ち直らせるコントローラと、を含む、
ことを特徴とする自動立ち直りシステム。
【請求項2】
前記判別校正モジュールには、メガネの末端に位置するタッチセンシングユニット(12)がさらに含まれ、
前記タッチセンシングユニット(12)は、摺動によってトリガーされ、第2特徴位置に対する摺動距離を監視することが可能であり、
前記コントローラは、前記タッチセンシングユニット(12)に電気的に接続され、前記タッチセンシングユニット(12)の前記摺動距離を取得するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動立ち直りシステム。
【請求項3】
前記距離センシングユニット(11)は、複数設けられ、複数の前記距離センシングユニット(11)は前記メガネリムの外面に間隔をあけて設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動立ち直りシステム。
【請求項4】
立ち直りモジュール(2)には、複数のクランプエアークッション(22)がさらに含まれ、
複数の前記クランプエアークッション(22)のうちの一部が前記メガネの1つのテンプルの内側に取り付けられ、他の一部が前記メガネの他のテンプルの内側に取り付けられ、
前記コントローラは、複数の前記クランプエアークッション(22)に電気的に接続され、前記クランプエアークッション(22)の開閉を制御するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動立ち直りシステム。
【請求項5】
前記押上エアークッション(21)は、前記メガネリムの鼻パッド溝に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動立ち直りシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の自動立ち直りシステムに適用される自動立ち直り方法であって、
メガネが快適な位置にあるときに距離センシングユニット(11)が記録した第1特徴位置との距離である初期距離を取得するステップS1と、
距離センシングユニット(11)が現在時刻で記録した第1特徴位置との距離である第1距離を取得するステップS2と、
前記第1距離が立ち直り距離以上であるか否かを判断し、はいであれば、ステップS4を実行し、いいえであれば、ステップS5を実行するステップS3と、
前記第1距離および前記初期距離に従って前記押上エアークッション(21)の開閉を制御して、前記押上エアークッション(21)が膨張しながらメガネを立ち直らせるステップS4と、
所定時間後に、ステップS3を実行するステップS5と、を含む、
ことを特徴とする自動立ち直り方法。
【請求項7】
ステップS4には、
前記押上エアークッション(21)が開放するように制御し、前記距離センシングユニット(11)によって第1特徴位置とのリアルタイムな距離をリアルタイム記録するステップS41と、
前記リアルタイムな距離が前記初期距離以下である場合、前記押上エアークッション(21)が閉鎖するように制御するS42と、が含まれる、
ことを特徴とする請求項6に記載の自動立ち直り方法。
【請求項8】
判別校正モジュールには、タッチセンシングユニット(12)がさらに含まれ、
前記自動立ち直り方法は、
前記タッチセンシングユニット(12)が監視した、前記メガネが快適な位置から立ち直り位置までに滑り下りた際に第2特徴位置に対して摺動する距離である摺動距離を取得するステップを含み、
ステップS4では、前記タッチセンシングユニット(12)の逆方向移動距離が前記摺動距離の60%となった場合、前記押上エアークッション(21)のガス充填速度が低下するように制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の自動立ち直り方法。
【請求項9】
立ち直りモジュール(2)には、複数のクランプエアークッション(22)がさらに含まれ、
前記メガネを立ち直らせた後、前記自動立ち直り方法は、
前記クランプエアークッション(22)が開放するように制御して、前記クランプエアークッション(22)が膨張しながら2つのテンプル間の距離を増加させることをさらに含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の自動立ち直り方法。
【請求項10】
リム(10)、テンプル(20)および請求項1~5のいずれか一項に記載の自動立ち直りシステムを含むメガネであって、
前記距離センシングユニット(11)および前記押上エアークッション(21)は、いずれも前記リム(10)に取り付けられ、
前記コントローラは、前記リム(10)または前記テンプル(20)内に設けられている、
ことを特徴とするメガネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルの技術分野に関し、特に、自動立ち直りシステム、方法およびメガネに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、VRメガネ、ARメガネおよびXRメガネは、既によく用いられる電子製品になっている。
【0003】
VRメガネ、ARメガネおよびXRメガネは、先端がレンズ、配線基板、ファンなどの部材があることにより重すぎ、末端が、部材が少ないことにより軽いので、着用中にトップヘビーに起因して斜めになったり、滑り下りたりしやすいという問題が存在している。そのため、ユーザがよく手動でメガネを立ち直らせざるを得ないが、ユーザの両手が不自由である場合、メガネを立ち直らせることができず、使用効果が悪くなってしまう。
【0004】
従って、自動的に立ち直り可能なメガネが差し迫って必要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、自動的にメガネを立ち直らせることができ、高い自動性および利便性を備える自動立ち直りシステム、方法およびメガネを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を講じた。
【0007】
自動立ち直りシステムは、
メガネの先端に位置し、第1特徴位置との距離を取得するための距離センシングユニットを含む判別校正モジュールと、
前記メガネの先端に取り付けられ、膨張によって前記メガネが上へ移動するように押し上げることが可能な押上エアークッションを含む立ち直りモジュールと、
前記距離センシングユニットおよび前記押上エアークッションに電気的に接続され、前記メガネを立ち直らせるように前記距離センシングユニットからの距離信号に従って前記押上エアークッションの開閉を制御するコントローラと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記判別校正モジュールには、メガネの末端に位置するタッチセンシングユニットがさらに含まれ、前記タッチセンシングユニットは、摺動によってトリガーされ、第2特徴位置に対する摺動距離を監視することが可能であり、前記コントローラは、前記タッチセンシングユニットに電気的に接続され、前記タッチセンシングユニットの前記摺動距離を取得するために用いられる。
【0009】
好ましくは、前記距離センシングユニットは、複数設けられ、複数の前記距離センシングユニットは前記メガネリムの外面に間隔をあけて設けられている。
【0010】
好ましくは、立ち直りモジュールには、複数のクランプエアークッションがさらに含まれ、複数の前記クランプエアークッションのうちの一部が前記メガネの1つのテンプルの内側に取り付けられ、他の一部が前記メガネの他のテンプルの内側に取り付けられ、前記コントローラは、複数の前記クランプエアークッションに電気的に接続され、前記クランプエアークッションの開閉を制御するために用いられる。
【0011】
好ましくは、前記押上エアークッションは、前記メガネリムの鼻パッド溝に取り付けられている。
【0012】
上述した自動立ち直りシステムに適用される自動立ち直り方法であって、前記自動立ち直り方法は、
メガネが快適な位置にあるときに距離センシングユニットが記録した第1特徴位置との距離である初期距離を取得するステップS1と、
距離センシングユニットが現在時刻で記録した第1特徴位置との距離である第1距離を取得するステップS2と、
前記第1距離が立ち直り距離以上であるか否かを判断し、はいであれば、ステップS4を実行し、いいえであれば、ステップS5を実行するステップS3と、
前記第1距離および前記初期距離に従って前記押上エアークッションの開閉を制御して、前記押上エアークッションが膨張しながらメガネを立ち直らせるステップS4と、
所定時間後に、ステップS3を実行するステップS5と、を含む。
【0013】
好ましくは、ステップS4には、
前記押上エアークッションが開放するように制御し、前記距離センシングユニットによって第1特徴位置とのリアルタイムな距離をリアルタイム記録するステップS41と、
前記リアルタイムな距離が前記初期距離以下である場合、前記押上エアークッションが閉鎖するように制御するS42と、が含まれる。
【0014】
好ましくは、判別校正モジュールには、タッチセンシングユニットがさらに含まれ、前記自動立ち直り方法は、
前記タッチセンシングユニットが監視した、前記メガネが快適な位置から立ち直り位置までに滑り下りた際に第2特徴位置に対して摺動する距離である摺動距離を取得するステップを含み、
ステップS4では、前記タッチセンシングユニットの逆方向移動距離が前記摺動距離の60%となった場合、前記押上エアークッションのガス充填速度が低下するように制御する。
【0015】
好ましくは、立ち直りモジュールには、複数のクランプエアークッションがさらに含まれ、
前記メガネを立ち直らせた後、前記自動立ち直り方法は、
前記クランプエアークッションが開放するように制御して、前記クランプエアークッションが膨張しながら2つのテンプル間の距離を増加させることをさらに含む。
【0016】
リム、テンプルおよび上述した自動立ち直りシステムを含むメガネであって、
前記距離センシングユニットおよび前記押上エアークッションは、いずれも前記リムに取り付けられ、前記コントローラは、前記リムまたは前記テンプル内に設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自動立ち直りシステム、方法およびメガネは、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0018】
距離センシングユニットは、第1特徴位置との距離を取得し、該距離をコントローラに送信し、コントローラは、該距離に従って押上エアークッションが開放するように制御するか否かを確定し、メガネを立ち直らせる必要がある場合、押上エアークッションが開放するように制御して、押上エアークッションが膨張しながらメガネリムが上へ移動するように押し上げ、適当な位置に移動させた後、コントローラは、押上エアークッションが閉鎖するように制御することで、メガネの自動立ち直りを実現し、ユーザが手動でメガネを押し上げる必要がなく、メガネの立ち直り利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例に係る1つの角度でのメガネの模式図である。
図2】本発明の実施例に係る別の角度でのメガネの模式図である。
図3】本発明の実施例に係るさらに別の角度でのメガネの模式図である。
図4】本発明の実施例に係る自動立ち直り方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の解決しようとする技術問題、使用される技術案及び実現される技術効果をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本発明に係る技術案を更に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。なお、説明を容易にするために、図面において本発明に関連する一部のみを示しており、全体を示していない。
【0021】
本発明の説明において、「繋がる」、「連結」、「固定」という用語は、別途明確に規定・限定されない限り、広義に理解されるべきである。例えば、固定連結であってもよく、取り外し可能な連結であってもよく、もしくは一体になってもよく、機械的連結であってもよく、電気的接続であってもよく、直接繋がってもよく、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、本発明における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解できる。
【0022】
本発明において、別途明確に規定・限定されない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴との直接接触を含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが直接接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。さらに、第1特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることを含むか、或いは単に第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを示す。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含むか、或いは単に第1特徴の水平高さが第2特徴よりも低いことを示す。
【0023】
本実施例の説明において、用語「上」、「下」、「右」などの方位や位置関係は、図面に示す方位や位置関係に基づくものであり、説明を容易にし、操作を簡略化するためのものにすぎず、言及した装置又は素子は、特定の方位を有し、特定の方位から構成し操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないと理解すべきである。したがって、本発明を限定するものではないと理解すべきである。また、用語「第1」「第2」は、説明で区分するために使用されるものに過ぎず、特別な意味を含まない。
【実施例1】
【0024】
本実施例は、メガネに適用されることにより、メガネが斜めになったり、滑り下りたりする時にメガネを移動させるように押し上げることができ、ユーザが手動でメガネを押し上げられずに、メガネの自動立ち直りを実現することができる自動立ち直りシステムを提供する。なお、本実施例におけるメガネは、VRメガネ、ARメガネ、XRメガネなどのスマートメガネである。
【0025】
図1図3に示すように、自動立ち直りシステムは、判別校正モジュール、立ち直りモジュール2およびコントローラを含む。
【0026】
そのうち、判別校正モジュールは、メガネの先端に位置する距離センシングユニット11を含む。図1に示すように、距離センシングユニット11は、具体的にメガネリムの前面に位置する。さらに、距離センシングユニット11は、第1特徴位置との距離を取得するために用いられる。第1特徴位置は、ユーザの顔における、ある取得しやすい点、たとえば、ユーザの鼻先、鼻骨、眉などであってもよい。好ましくは、第1特徴位置は、ユーザの顔における変化しない点を選択した方がよい。本実施例において、距離センシングユニット11は、距離センサーまたはカメラであってもよい。
【0027】
上述した立ち直りモジュール2は、滑り下りたメガネを押し上げて、メガネを適当な位置に位置させるために用いられる。具体的には、立ち直りモジュール2は、押上エアークッション21を含む。押上エアークッション21は、通電した後、自動的に膨張することができる。押上エアークッション21は、メガネの先端、具体的に、リムとユーザの鼻との間に取り付けられることで、押上エアークッション21が膨張するときに、ユーザの鼻を支持点としてメガネリムが上へ移動するように押し上げることができる。本実施例において、押上エアークッション21は、メガネ内の電池によって給電される。一部の実施例において、押上エアークッション21は、メガネリムの鼻パッド溝に取り付けられる。リムの下面において外形の形状が鼻と合致する鼻パッド溝があり、鼻に掛けるために用いられる。押上エアークッション21は、鼻パッド溝に取り付けられることにより、リムをより良く移動させることができる。
【0028】
コントローラは、距離センシングユニット11および押上エアークッション21に電気的に接続される。コントローラは、距離センシングユニット11からの距離信号に従って押上エアークッション21の開閉を制御して、メガネを立ち直らせるために用いられる。具体的には、コントローラは、距離センシングユニット11によって取得された第1特徴位置との距離が初期距離ではなく、立ち直り距離以上であると確定した場合、メガネを立ち直らせる必要があることを意味する。その場合、コントローラは、押上エアークッション21が開放するように制御して、押上エアークッション21が膨張しながらメガネリムが上へ移動するように押し上げる。上へ移動する過程中に、コントローラは、距離センシングユニット11によって取得された第1特徴位置との距離をリアルタイム取得する。該距離が初期距離に等しい場合、メガネを所定位置に立ち直らせたことを意味する。その場合、コントローラは、押上エアークッション21が閉鎖するように制御し、メガネの自動立ち直りを実現することができる。なお、初期距離は、メガネがユーザの顔における適当な位置にある場合に距離センシングユニット11によって取得された第1特徴位置との距離である。立ち直り距離は、メガネリムを立ち直らせる必要がある位置までに滑り下りた場合に距離センシングユニット11によって取得された第1特徴位置との距離である。本実施例において、ユーザは、初期距離および立ち直り距離を設定することができ、即ち、ユーザは、どの位置がメガネの快適な位置であるか、どの位置が立ち直り必要のある位置であるかを設定することができ、ユーザによれば異なる設定を行うことができる。
【0029】
本実施例に係る自動立ち直りシステムでは、距離センシングユニット11は、第1特徴位置との距離を取得し、該距離をコントローラに送信し、コントローラは、該距離に従って押上エアークッション21が開放するように制御するか否かを確定し、メガネを立ち直らせる必要がある場合、押上エアークッション21が開放するように制御して、押上エアークッション21が膨張しながらメガネリムが上へ移動するように押し上げ、適当な位置に移動させた後、コントローラは、押上エアークッション21が閉鎖するように制御することで、メガネの自動立ち直りを実現し、ユーザが手動でメガネを押し上げる必要がなく、メガネの立ち直り利便性を向上させることができる。
【0030】
好ましくは、図1に示すように、判別校正モジュールには、タッチセンシングユニット12がさらに含まれる。タッチセンシングユニット12は、メガネの末端に位置し、具体的にメガネのテンプルに取り付けられ、ユーザの顔に接触する。タッチセンシングユニット12は、摺動によってトリガーされる。即ち、タッチセンシングユニット12は、ユーザの顔に対する移動を検出した場合に、自動的にトリガーされる。タッチセンシングユニット12は、第2特徴位置に対する摺動距離を監視することができる。即ち、タッチセンシングユニット12は、ユーザの顔において摺動する場合の摺動距離を監視することができる。コントローラは、タッチセンシングユニット12に電気的に接続され、タッチセンシングユニット12の摺動距離を取得し、摺動距離および距離信号に結び付けて押上エアークッション21を制御するために用いられる。本実施例において、タッチセンシングユニット12は、タッチセンサーであってもよい。
【0031】
なお、第2特徴位置は、ユーザの顔における位置である。一部の実施例において、メガネが快適な位置にある場合、ユーザの顔における、タッチセンシングユニット12に接触した位置は、第2特徴位置である。なお、タッチセンシングユニット12の摺動取得形態については、タッチ式ディスプレオパネルにおいてユーザの指の摺動長さを取得する形態を参照することができる。タッチセンシングユニット12は、タッチ式ディスプレオパネルに相当し、第2特徴位置における皮膚は、指に相当する。本実施例において繰り返し説明しない。
【0032】
一部の実施例において、コントローラは、摺動距離に従っていつ押上エアークッション21のガス充填速度を低下させるかを制御することができる。たとえば、メガネが上へ移動する過程中に、メガネの逆方向移動距離が摺動距離の60%となった場合、コントローラは、押上エアークッション21のガス充填速度が低下するように制御することにより、ガス充填速度が速すぎることに起因して立ち直らせ過ぎることを防止することができる。
【0033】
好ましくは、図1に示すように、距離センシングユニット11は、複数設けられ、距離信号の正確性を確保する。複数の距離センシングユニット11は、メガネリムの外面に間隔をあけて設けられている。そのうち、リムの外面は、具体的にリムの表面におけるユーザの顔に接触しない表面である。コントローラは、複数の距離センシングユニット11からの複数の距離信号に従ってメガネが立ち直り位置に達するか否かを確定し、さらに誤判定を防止することができる。図1において、距離センシングユニット11は、3つ設けられている。そのうちの2つの距離センシングユニット11は、それぞれ2つのレンズの下方の鼻に近づく部分に設けられ、他の1つの距離センシングユニット11は、リムの上面に位置する。
【0034】
本実施例において、図2および図3に示すように、立ち直りモジュール2には、複数のクランプエアークッション22がさらに含まれる。複数のクランプエアークッション22のうちの一部は、メガネの1つのテンプルの内側に取り付けられ、即ち、テンプルとユーザの顔との間に設けられ、他の一部は、メガネの他のテンプルの内側に取り付けられる。コントローラは、複数のクランプエアークッション22に電気的に接続され、クランプエアークッション22の開閉を制御するために用いられる。クランプエアークッション22が膨張する場合、テンプルとユーザの顔との距離が増加し、2つのテンプル間の距離が増加し、テンプルの変形力の作用下で、2つのテンプルが顔をクランプし、メガネ全体をユーザの顔にしっかりと固定することができる。クランプエアークッション22は、押上エアークッション21と組み合わせて使用されてもよい。押上エアークッション21がメガネを快適な位置に立ち直らせた後、クランプエアークッション22が開放してメガネをより良く快適な位置に固定することができる。本実施例において、図2および図3に示すように、各々のテンプルにいずれも2つのクランプエアークッション22が設けられている。
【0035】
本実施例に係る自動立ち直りシステムは、メガネの自動立ち直りを実現することができ、構造がシンプルであり、信頼性が高く、クランプエアークッション22を設けることにより、ユーザのメガネを着用する堅牢度を向上させることができる。
【実施例2】
【0036】
本実施例は、メガネを提供する。図1図3に示すように、メガネは、リム10、テンプル20および実施例1に記載の自動立ち直りシステムを含む。本実施例におけるメガネは、ARメガネ、VRメガネまたはXRメガネなどであってもよく、本実施例においてそれに対して限定されない。
【0037】
そのうち、距離センシングユニット11および押上エアークッション21は、いずれもリム10に取り付けられ、コントローラは、リム10またはテンプル20内に取り付けられる。メガネは、電池および制御キーをさらに含む。電池は、距離センシングユニット11、押上エアークッション21およびコントローラに電気エネルギーを提供するために用いられ、制御キーは、設定指令を入力するために用いられることができる。
【0038】
本実施例に係るメガネは、自動立ち直りシステムを含む。自動立ち直りシステムでは、距離センシングユニット11は、第1特徴位置との距離を取得し、該距離をコントローラに送信し、コントローラは、該距離に従って押上エアークッション21が開放するように制御するか否かを確定し、メガネを立ち直らせる必要がある場合、押上エアークッション21が開放するように制御して、押上エアークッション21が膨張しながらメガネリムが上へ移動するように押し上げ、適当な位置に移動させた後、コントローラは、押上エアークッション21が閉鎖するように制御することで、メガネの自動立ち直りを実現し、ユーザが手動でメガネを押し上げる必要がなく、メガネの立ち直り利便性を向上させることができる。
【実施例3】
【0039】
本実施例は、実施例1における自動立ち直りシステムに適用される自動立ち直り方法を提供する。図4に示すように、自動立ち直り方法は、以下のステップを含む。
【0040】
S1:メガネが快適な位置にあるときに距離センシングユニット11が記録した第1特徴位置との距離である初期距離を取得する。
【0041】
そのうち、メガネが快適な位置にあるとは、メガネをユーザの顔に着用した後、ユーザが快適を感じた位置を指す。該位置は、ユーザにより設定されてもよい。第1特徴位置は、ユーザの顔におけるある取得しやすい点、たとえば、ユーザの鼻先、鼻骨、眉などであってもよい。好ましくは、第1特徴位置は、ユーザの顔における変化しない点を選択した方がよい。なお、コントローラによって初期距離が取得または設定される。
【0042】
好ましくは、本実施例において、初期距離を取得した後、処理速度を向上させるために、コントローラは、該初期距離をADC値に変換し、該値を閾値甲として定義することができる。
【0043】
S2:距離センシングユニット11が現在時刻で記録した第1特徴位置との距離である第1距離を取得する。
【0044】
本実施例において、第1距離は、初期距離に等しくてもよい。即ち、メガネが滑り下りていない場合に距離センシングユニット11が記録した距離である。なお、コントローラによって第1距離が取得される。
【0045】
S3:第1距離が立ち直り距離以上であるか否かを判断し、はいであれば、ステップS4を実行し、いいえであれば、ステップS5を実行する。
【0046】
そのうち、立ち直り距離は、メガネリムが立ち直り位置までに滑り下りた際に、距離センシングユニット11が記録した第1特徴位置との距離である。該距離は、ユーザにより予め設定されてもよい。第1距離が立ち直り距離以上である場合、メガネリムが立ち直らせる必要がある位置までに滑り下りたことを意味する。その場合、コントローラは、押上エアークッション21が開放するように制御することができる。なお、コントローラによって立ち直り距離が取得または設定される。
【0047】
本実施例において、プロセッサが立ち直り距離を取得した後、処理速度を向上させるために、コントローラは、該立ち直り距離をADC値に変換し、該値を閾値乙として定義することができる。第1距離に対応するADC値が閾値乙をトリガーした場合、コントローラは、押上エアークッション21が開放するように制御する。
【0048】
S4:第1距離および初期距離に従って押上エアークッション21の開閉を制御して、押上エアークッション21が膨張しながらメガネを立ち直らせる。
【0049】
上述した立ち直りモジュール2は、滑り下りたメガネを押し上げて、メガネを適当な位置に位置させるために用いられる。具体的には、立ち直りモジュール2は、押上エアークッション21を含む。押上エアークッション21は、通電した後、自動的に膨張することができる。押上エアークッション21は、メガネの先端、具体的に、リムとユーザの鼻との間に取り付けられることで、押上エアークッション21が膨張するときに、ユーザの鼻を支持点としてメガネリムが上へ移動するように押し上げることができる。本実施例において、押上エアークッション21は、メガネ内の電池によって給電される。一部の実施例において、押上エアークッション21は、メガネリムの鼻パッド溝に取り付けられる。リムの下面において外形の形状が鼻と合致する鼻パッド溝があり、鼻に掛けるために用いられる。押上エアークッション21は、鼻パッド溝に取り付けられることにより、リムをより良く移動させることができる。
【0050】
S5:所定時間後に、ステップS3を実行する。
【0051】
ステップS5では、コントローラは、ステップS3およびステップS4を繰り返し実行するように制御し、リムを立ち直らせる必要があるか否かを周期的に検出する。所定時間は、必要に応じて設定されてもよく、たとえば0.1秒、0.5秒、1秒などであり、本実施例においてそれに対して限定されない。
【0052】
本実施例に係る自動立ち直りシステムの自動立ち直り方法では、距離センシングユニット11は、第1特徴位置との距離を取得し、該距離をコントローラに送信し、コントローラは、該距離に従って押上エアークッション21が開放するように制御するか否かを確定し、メガネを立ち直らせる必要がある場合、押上エアークッション21が開放するように制御して、押上エアークッション21が膨張しながらメガネリムが上へ移動するように押し上げ、適当な位置に移動させた後、コントローラは、押上エアークッション21が閉鎖するように制御することで、メガネの自動立ち直りを実現し、ユーザが手動でメガネを押し上げる必要がなく、メガネの立ち直り利便性を向上させることができる。
【0053】
好ましくは、ステップS4には、以下のステップが含まれる。
【0054】
S41:押上エアークッション21が開放するように制御し、距離センシングユニット11によって第1特徴位置とのリアルタイムな距離をリアルタイム記録する。
【0055】
押し上げ過程中に、距離センシングユニット11が第1特徴位置とのリアルタイムな距離をリアルタイム記録して、リムを所定位置に立ち直らせるか否かを確定する。本実施例において、距離センシングユニット11の採集間隔または記録間隔は、実際の必要に応じて設定されてもよく、たとえば0.1秒、0.5秒、1秒などであり、本実施例においてそれに対して限定されない。立ち直りすぎるという問題を防止するために、採集間隔または記録間隔が大き過ぎなかった方がよい。
【0056】
S42:リアルタイムな距離が初期距離以下である場合、押上エアークッション21が閉鎖するように制御する。
【0057】
ステップS42では、リアルタイムな距離が初期距離以下である場合、リムを所定位置に押し上げて快適な位置に位置させたことを意味する。その場合、コントローラは、押上エアークッション21が閉鎖するように制御して、メガネの立ち直りを完成する。
【0058】
好ましくは、判別校正モジュールにはタッチセンシングユニット12が含まれると、自動立ち直り方法は、以下のステップを含む。
【0059】
メガネが快適な位置から立ち直り位置までに滑り下りた場合にタッチセンシングユニット12が監視した第2特徴位置に対して摺動する距離である摺動距離を取得する。
【0060】
なお、メガネが摺動し始めると、コントローラが、押上エアークッション21が開放するように制御するまで、タッチセンシングユニット12は第2特徴位置との距離をリアルタイム監視し、押上エアークッション21が開放する前に記録された距離を摺動距離とする。押上エアークッション21が開放する場合、コントローラは、直ちに摺動距離を取得する。そのうち、第2特徴位置は、ユーザの顔における位置である。一部の実施例において、メガネが快適な位置にある場合、ユーザの顔におけるタッチセンシングユニット12に接触した位置は、第2特徴位置である。
【0061】
ステップS4では、タッチセンシングユニット12の逆方向移動距離が摺動距離の60%となった場合、押上エアークッション21のガス充填速度が低下するように制御する。
【0062】
そのうち、タッチセンシングユニット12の逆方向移動とは、タッチセンシングユニット12の移動方向がメガネの滑り下り時の摺動方向と反対すると考えられてもよい。立ち直り過程中に、タッチセンシングユニット12の逆方向移動距離が摺動距離の60%となった場合、メガネがすぐに快適な位置に到達することを意味する。その場合、押上エアークッション21のガス充填速度が依然として大きければ、立ち直り過ぎるという問題を発生しやすい。その為、コントローラは、押上エアークッション21のガス充填速度が低下するように制御し、メガネをゆっくりと快適な位置に移動させることができる。
【0063】
好ましくは、立ち直りモジュール2には、複数のクランプエアークッション22が含まれると、メガネを立ち直らせた後、自動立ち直り方法は、以下のステップをさらに含む。
【0064】
クランプエアークッション22が開放するように制御して、クランプエアークッション22が膨張しながら2つのテンプル間の距離を増加させ、更にメガネをユーザの顔に着用する堅牢度を向上させることができ、短時間でメガネが滑り下りるという問題を発生しない。
【0065】
上記実施形態は、本発明の基本原理および特性を説明するためのものに過ぎない。本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の構想及び範囲から逸脱しない前提で、様々な変化および変更を行うことができる。これらの変化および変更は、本発明の保護範囲に属すべきである。本発明が保護しようとする範囲は、特許請求の範囲及びその等価物により決定される。
【符号の説明】
【0066】
11 距離センシングユニット
12 タッチセンシングユニット
2 立ち直りモジュール
21 押上エアークッション
22 クランプエアークッション
10 リム
20 テンプル
【要約】
【課題】本発明は、自動立ち直りシステム、方法およびメガネを提供する。
【解決手段】自動立ち直りシステムは、判別校正モジュール、立ち直りモジュールおよびコントローラを含む。判別校正モジュールは、メガネの先端に位置し、第1特徴位置との距離を取得するために用いられる距離センシングユニットを含む。立ち直りモジュールは、前記メガネの先端に取り付けられ、膨張によって前記メガネが上へ移動するように押し上げることが可能な押上エアークッションを含む。コントローラは、前記距離センシングユニットおよび前記押上エアークッションに電気的に接続され、前記距離センシングユニットからの距離信号に従って前記押上エアークッションの開閉を制御して、前記メガネを立ち直らせるために用いられる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4