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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ガス/湿分透過比が改善された電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/30 20210101AFI20231023BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231023BHJP
【FI】
H01M50/30
H01M10/052
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022523461
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2019001124
(87)【国際公開番号】W WO2021079163
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000107387
【氏名又は名称】日本ゴア合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 康太郎
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190639(JP,A)
【文献】特開2019-179638(JP,A)
【文献】特開2006-012814(JP,A)
【文献】国際公開第2019/132044(WO,A1)
【文献】特開2016-145361(JP,A)
【文献】特開2016-152068(JP,A)
【文献】特開2015-060803(JP,A)
【文献】特開2004-036749(JP,A)
【文献】特開2002-192614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、
正極、
負極、
電解質、及び、
少なくとも1つのフルオロポリマー膜、
を含む、電池であって、
前記ハウジングは開口部を含み、
前記正極は、少なくとも部分的に前記ハウジング内に配置されており、
前記負極は、少なくとも部分的に前記ハウジング内に配置されており、
前記電解質は、前記正極と前記負極の間に配置されており、
前記電解質は、電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されており、
前記少なくとも1つのガスは、二酸化炭素(「CO」)、水素(H)、一酸化炭素(CO)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれ、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、前記ハウジングの開口部を覆い、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、85%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、2.0g/cm2.1g/cmの密度を有し、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有する、
電池。
【請求項2】
前記電池は二次電池である、請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記二次電池はリチウムイオン電池である、請求項2記載の電池。
【請求項4】
前記正極は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(「NMC」)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(「NCA」)、リチウムマンガン酸化物(「LMO」)、リン酸鉄リチウム(「LFP」)、コバルト酸リチウム(「LCO」)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項1~3のいずれか1項記載の電池。
【請求項5】
前記負極は、リチウム、グラファイト、チタン酸リチウム(「LTO」)、スズ-コバルト合金又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項1~4のいずれか1項記載の電池。
【請求項6】
前記電解質は電解液の形態であり、前記電解液は少なくとも1つの溶媒及び少なくとも1つの電解塩を含む、請求項1記載の電池。
【請求項7】
前記電解液の少なくとも1つの溶媒は少なくとも1つの有機溶媒を含む、請求項6記載の電池。
【請求項8】
前記電解質の少なくとも1つの有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)又はそれらの混合物から選ばれる、請求項7記載の電池。
【請求項9】
前記電解質は少なくとも1つの添加剤を含み、前記少なくとも1つの添加剤は、電池の動作中にCO、H、CO又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つのガスを放出するように構成されている、請求項1~8のいずれかの1項記載の電池。
【請求項10】
前記電解質は少なくとも1つのセパレータ内に含浸されている、請求項1~9のいずれか1項記載の電池。
【請求項11】
前記少なくとも1つのセパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレン、少なくとも1つのテトラフルオロエチレン(TFE)ポリマー又はコポリマー、少なくとも1つのフッ化ビニリデンのホモポリマー、少なくとも1つのヘキサフルオロプロピレン(HFP)-フッ化ビニリデンコポリマー又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つの材料を含む、請求項10記載の電池。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、以下の少なくとも1つ:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度化PTFE(dPTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~11のいずれか1項記載の電池。
【請求項13】
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5より大きくそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する、請求項1~12のいずれか1項記載の電池。
【請求項14】
ハウジング、及び、
少なくとも1つのフルオロポリマー膜、
を含む、デバイスであって、
前記ハウジングは開口部を含み、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は前記ハウジングの開口部を覆い、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、85%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、2.0g/cm2.1g/cmの密度を有し、そして、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有し、
電池である、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、ガス透過性の湿分透過性に対する比が改善された電池に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
リチウムイオン電池などの電池は、自動乗物及び携帯電話を含む様々な電子デバイスに電力を供給するために使用されている。過去数十年にわたって電池の性能は大幅に向上したが、電池性能の幾つかの特徴(例えば、電池寿命、電池出力など)の改善が依然として必要である。
【発明の概要】
【0003】
要旨
対象となる実施形態は、この要旨ではなく、特許請求の範囲によって規定される。この要旨は、様々な態様の概要であり、以下の「詳細な説明」セクションでさらに説明される幾つかの概念を紹介する。この要旨は、特許請求された主題の重要な又は本質的な特徴を特定することが意図されておらず、特許請求された主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図されていない。主題は、明細書全体、いずれか又はすべての図面、及び各特許請求の範囲の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0004】
本開示の幾つかの実施形態はハウジングを含む電池に関する。幾つかの実施形態において、前記ハウジングは開口部を含む。
【0005】
幾つかの実施形態において、前記電池は、少なくとも1つのフルオロポリマー膜をさらに含む。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は前記ハウジングの開口部を覆う。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、以下の少なくとも1つ:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度化PTFE(dPTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、85%~100%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、2.0g/cm~2.2g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5を超える二酸化炭素(CO)透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5より大きくそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。
【0006】
幾つかの実施形態において、前記電池は正極をさらに含む。幾つかの実施形態において、前記正極は、少なくとも部分的に前記ハウジング内に配置されている。幾つかの実施形態において、前記正極は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(「NMC」)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(「NCA」)、リチウムマンガン酸化物(「LMO」)、リン酸鉄リチウム(「LFP」)、コバルト酸リチウム(「LCO」)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
【0007】
幾つかの実施形態において、前記電池は負極をさらに含む。幾つかの実施形態において、前記負極は、少なくとも部分的に前記ハウジング内に配置されている。幾つかの実施形態において、前記負極は、リチウム、グラファイト、チタン酸リチウム(「LTO」)、スズ-コバルト合金又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記電池は電解質をさらに含む。幾つかの実施形態において、前記電解質は、前記正極と前記負極との間に配置される。幾つかの実施形態において、前記電解質は、電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されている。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのガスは、CO、H、CO又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。そして少なくとも1つのフルオロポリマー膜。幾つかの実施形態において、前記電解質は電解液の形態である。幾つかの実施形態において、前記電解液は、少なくとも1つの溶媒及び少なくとも1つの電解塩を含む。幾つかの実施形態において、前記電解液の少なくとも1つの溶媒は、少なくとも1つの有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、前記電解質の少なくとも1つの有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)又はそれらの混合物から選ばれる。幾つかの実施形態において、前記電解質は少なくとも1つの添加剤を含む。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つの添加剤は、電池の動作中に、CO、H、CO又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つのガスを放出するように構成されている。幾つかの実施形態において、前記電解質は、少なくとも1つのセパレータ内に含浸されている。幾つかの実施形態において、前記少なくとも1つのセパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレン、少なくとも1つのテトラフルオロエチレン(TFE)ポリマー又はコポリマー、少なくとも1つのフッ化ビニリデンのホモポリマー、少なくとも1つのヘキサフルオロプロピレン(HFP)-フッ化ビニリデンコポリマー又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つの材料を含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記電池は二次電池である。幾つかの実施形態において、前記二次電池はリチウムイオン電池である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面
本開示の幾つかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載されている。ここで詳細に図面を具体的に参照すると、示されている実施形態は、例として、そして本開示の実施形態の例示的な議論の目的のためであることが強調される。これに関して、図面とともに取られた記載は、本開示の実施形態がどのように実施されうるかを当業者に明らかにする。
【0011】
図1図1は、本開示による電池の例示的で非限定的な実施形態を示している。
図2図2は、本開示による電池の例示的で非限定的な実施形態を示している。
図3図3は、本開示による電池の例示的で非限定的な実施形態を示している。
【0012】
図4図4は、CO透過性を測定するために使用される例示的な試験装置を示している。
【0013】
図5図5は、湿分透過性を測定するために使用される例示的な試験装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
開示された利点及び改善の中で、本開示の他の目的及び利点は、添付の図と併せて以下の説明から明らかになるであろう。本開示の詳細な実施形態は、本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具体化されうる開示の単なる例示であることが理解されるべきである。さらに、本開示の様々な実施形態に関して与えられた実施例のそれぞれは、例示的であり、限定的ではないことが意図されている。
【0015】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、文脈が明確に別段の指示をしない限り、以下の用語は本明細書に明示的に関連付けられた意味をとる。本明細書で使用される「1つの実施形態において」、「実施形態において」及び「幾つかの実施形態において」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、そうであってもよい。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態において」及び「幾つかの他の実施形態において」という語句は、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らないが、そうであってもよい。本開示のすべての実施形態は、本開示の範囲又は主旨から逸脱することなく組み合わせることができることが意図されている。
【0016】
本明細書で使用されるときに、「に基づく(ベースとする)」という用語は排他的ではなく、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、記載されていない追加のファクターに基づくことを可能にする。さらに、本明細書全体を通して、「a」、「an」及び「the」の意味は、複数形の参照を含む。「in」の意味は、「in」及び「on」を含む。
【0017】
本明細書で参照されるすべての以前の特許、刊行物及び試験方法は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0018】
本明細書で使用されるときに、「ハウジング」という用語は、電池の構成要素を包囲するケーシングとして定義される。
【0019】
本明細書で使用されるときに、「電解質」は、負極と正極との間で荷電粒子を運ぶように構成された任意の媒体として定義される。電解質としては、限定するわけではないが、溶液、酸、塩基、ゲル、高分子電解質、セラミックなど又はそれらの任意の組み合わせを含む様々な形態をとることができる。
【0020】
本明細書で使用されるときに、「結晶化度」は、固体の構造的秩序の程度として定義される。結晶化度はパーセント単位で測定される。結晶化度が0%である固体は完全に非晶性であるが、結晶化度が100%である固体は完全に結晶性である。本明細書に記載されている膜の結晶化度は、X線回折(「XRD」)を使用して測定される。幾つかの非限定的な実施形態に従って本明細書に記載される特定の膜の結晶化度はまた、Satokawaら、Plastic course-Fluoropolymer, the Nikkan Kogyo Shimbun Edition 3, page 18(1978)に記載された手順に基づいて計算することができる。参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0021】
本明細書で使用されるときに、「湿分」は、水と空気を含む混合物として定義される。
【0022】
本明細書で使用されるときに、二酸化炭素(CO)透過性は、JIS K7126-1に示される「差圧」法を使用し、本明細書の実施例のセクションに記載される手順及び試験設備を使用することによって測定される。CO透過性の単位はcm・cm/(cm・s・cmHg)である。
【0023】
本明細書で使用されるときに、湿分透過性は、本明細書の実施例のセクションに示される「リッシー」法を使用して測定される。湿分透過性の単位はcm・cm/(cm・s・cmHg)である。
【0024】
本明細書で使用されるときに、「CO透過性の湿分透過性に対する比」は、CO透過性を湿分透過性で割ることによって計算される。CO透過性の湿分透過性に対する比には単位がない(つまり、無次元である)。
【0025】
本明細書で使用されるときに、「二次電池」は充電式電池である。
【0026】
本明細書で使用されるときに、「含浸された」とは、第一の物質の少なくとも一部が第二の物質の少なくとも一部を充填することを意味する。1つの非限定的な例において、液体は、多孔質固体の細孔に含浸していると言うことができる。第一の物質は、第二の物質を「部分的に含浸」又は「完全に含浸」することができる。第一の物質が第二の物質を完全に充填していない(すなわち、より多くの第一の物質を第二の物質に含浸させることができる)ときに、第一の物質は「第二の物質」を「部分的に含浸」する。第一の物質が第二の物質を完全に充填するときに、第一の物質は「第二の物質」を「完全に含浸」し、その結果、より多くの第一の物質を第二の物質に含浸させることができない。
【0027】
本明細書で使用されるときに、「電池の動作」としては、電池の充電、電池の放電又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0028】
本明細書で使用されるときに、「リチウムイオン電池」という用語は、電池の動作中にリチウムイオンが負極と正極との間を移動するように構成された任意の電池である。リチウムイオン電池の例としては、限定するわけではないが、リチウムイオンポリマー(LiPo)電池、リチウム硫黄(Li-S)電池及び薄膜リチウム電池が挙げられる。
【0029】
本開示の幾つかの実施形態は、少なくとも1つのハウジングを含む電池に関する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハウジングは、少なくとも1つの形状を有する。幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハウジングは筒形形状を有する。幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハウジングは矩形形状を有する。
【0030】
幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハウジングは、以下の少なくとも1つ:金属、金属合金又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハウジングは、以下の少なくとも1つ:鉄(Fe)、アルミニウム(Al)又はそれらの合金を含む。幾つかの非限定的な実施形態において、少なくとも1つのハウジングは少なくとも1つのプラスチックを含む。
【0031】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのハウジングは少なくとも1つの開口部を含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの開口部は少なくとも1つの断面形状を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの開口部は円形断面を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの開口部は矩形断面を有する。
【0032】
幾つかの実施形態において、電池は複数のハウジングを含む。幾つかの実施形態において、複数のハウジングは、少なくとも1つの第二のハウジング内に配置された少なくとも1つの第一のハウジングを含む。
【0033】
幾つかの実施形態において、電池は少なくとも1つの膜をさらに含む。
【0034】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのハウジングの少なくとも1つの開口部を覆う。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのハウジングの複数の開口部を覆う。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、複数のハウジングの少なくとも1つの開口部を覆う。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、複数のハウジングの複数の開口部を覆う。
【0035】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、85%~100%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、90%~100%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、95%~100%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、99%~100%の結晶化度を有する。
【0036】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、85%~99%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、85%~95%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、85%~90%の結晶化度を有する。
【0037】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、90%~99%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、90%~95%の結晶化度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、95%~99%の結晶化度を有する。
【0038】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.0g/cm~2.2g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.05g/cm~2.2g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.1g/cm~2.2g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.15g/cm~2.2g/cmの密度を有する。
【0039】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.0g/cm~2.15g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.0g/cm~2.1g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.0g/cm~2.05g/cmの密度を有する。
【0040】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.05g/cm~2.15g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.05g/cm~2.1g/cmの密度を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、2.1g/cm~2.15g/cmの密度を有する。
【0041】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.5を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.55を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.75を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、1.0を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、1.25を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、1.5を超えるCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。
【0042】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.5より大きくそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.55より大きくそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.75より大きくそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、1.0より大きくそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、1.25を超えそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。
【0043】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.5より大きくそして1.25未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.5より大きくそして1未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.5より大きくそして0.75未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.5より大きくそして0.55未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。
【0044】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.55より大きくそして1.5未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.55より大きくそして1.25未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.55より大きくそして1未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.55より大きくそして0.75未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.75より大きくそして1.25未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、0.75より大きくそして1未満のCO透過性の湿分透過性に対する比を有する。
【0045】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの膜は、少なくとも1つのフルオロポリマー膜を含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、以下の少なくとも1つ:本明細書に記載の少なくとも1つの密度、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶化度、本明細書に記載の少なくとも1つのCO透過性の湿分透過性に対する比又はそれらの任意の組み合わせを有する。
【0046】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、以下の少なくとも1つ:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度化PTFE(dPTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度化PTFE(dPTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0047】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、以下の少なくとも1つ:PTFE、dPTFE、ePTFE又はそれらの任意の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、PTFE、dPTFE、ePTFE又はそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0048】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのフルオロポリマー膜はePTFEを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのフルオロポリマー膜はePTFEからなる。
【0049】
幾つかの実施形態において、電池は複数の膜を含む。幾つかの実施形態において、複数の膜のうちの少なくとも1つの膜は、本明細書に記載の少なくとも1つのフルオロポリマーを含むフルオロポリマー膜である。幾つかの実施形態において、複数の膜のうちの少なくとも1つの膜は、本明細書に記載の少なくとも1つの密度、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶化度、本明細書に記載の少なくとも1つのCO透過性の湿分透過性に対する比、又はそれらの任意の組み合わせを有するフルオロポリマー膜である。
【0050】
幾つかの実施形態において、電池は複合膜を含む。幾つかの実施形態において、複合膜は、第一の膜及び第二の膜を含む。幾つかの実施形態において、複合膜は、第一の膜を第二の膜に取り付けることによって形成される。第一の膜を第二の膜に取り付ける方法としては、限定するわけではないが、ラミネート化、熱接着、レーザ溶接又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0051】
幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜は、複合膜の第一の表面を形成する。幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜は、複合膜の第二の表面を形成する。幾つかの実施形態において、複合膜は、少なくとも1つのハウジングの少なくとも1つの開口部を覆い、第一の膜に対応する第一の表面は、少なくとも1つのハウジングの内側に面し、第二の膜に対応する第二の表面は、少なくとも1つのハウジングの外側に面する。
【0052】
幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜、複合膜の第二の膜又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載の少なくとも1つのフルオロポリマーを含むフルオロポリマー膜である。複合膜の追加の非限定的な例は、2019年4月18日に出願された特許協力条約(PCT)出願番号PCT/IB2019/000489に記載されており、これを付録Aとして添付し、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0053】
幾つかの実施形態において、複合膜は、本明細書に記載の任意の密度(すなわち、単一の膜を含む任意の実施形態に対応する任意の密度)を有する。
【0054】
幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜は第一の密度を有する。幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜は第二の密度を有する。幾つかの実施形態において、第一の密度及び第二の密度は同じである。幾つかの実施形態において、第一の密度及び第二の密度は異なる。幾つかの実施形態において、第二の密度は第一の密度よりも小さい。幾つかの実施形態において、第二の密度は第一の密度よりも大きい。
【0055】
幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.0g/cm~2.2g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.05g/cm~2.2g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.1g/cm~2.2g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.15g/cm~2.2g/cmの範囲である。
【0056】
幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.0g/cm~2.15g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.0g/cm~2.1g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.0g/cm~2.05g/cmの範囲である。
【0057】
幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.05g/cm~2.15g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.05g/cm~2.1g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第一の膜に対応する第一の密度は、2.1g/cm~2.15g/cmの範囲である。
【0058】
幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜に対応する第二の密度は、0.7g/cm~2.0g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜に対応する第二の密度は、1.0g/cm~2.0g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜に対応する第二の密度は、1.7g/cm~2.0g/cmの範囲である。
【0059】
幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜に対応する第二の密度は、0.7g/cm~1.7g/cmの範囲である。幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜に対応する第二の密度は、0.7g/cm~1.0g/cmの範囲である。
【0060】
幾つかの実施形態において、複合膜の第二の膜に対応する第二の密度は、1.0g/cm~1.7g/cmの範囲である。
【0061】
幾つかの実施形態において、以下の少なくとも1つ:複合膜の第一の膜、複合膜の第二の膜又はそれらの任意の組み合わせは、本明細書に記載の少なくとも1つのフルオロポリマーを含むフルオロポリマー膜である。幾つかの実施形態において、以下の少なくとも1つ:複合膜の第一の膜、複合膜の第二の膜又はそれらの任意の組み合わせは、本明細書に記載の少なくとも1つの密度、本明細書に記載の少なくとも1つの結晶化度、本明細書に記載の少なくとも1つのCO透過性の湿分透過性に対する比又はそれらの任意の組み合わせを有するフルオロポリマー膜である。
【0062】
幾つかの実施形態において、電池は正極をさらに含む。
【0063】
幾つかの実施形態において、正極は、少なくとも部分的に少なくとも1つのハウジング内に配置される。幾つかの実施形態において、正極は、少なくとも1つのハウジング内に完全に配置されている。
【0064】
幾つかの実施形態において、正極は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(「NMC」)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(「NCA」)、リチウムマンガン酸化物(「LMO」)、リン酸鉄リチウム(「LFP」)、コバルト酸リチウム(「LCO」)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、正極は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(「NMC」)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(「NCA」)、リチウムマンガン酸化物(「LMO」)、リン酸鉄リチウム(「LFP」)、コバルト酸リチウム(「LCO」)及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0065】
幾つかの実施形態において、電池は負極をさらに含む。幾つかの実施形態において、負極は、少なくとも部分的にハウジング内に配置されている。幾つかの実施形態において、負極は、ハウジング内に完全に配置されている。
【0066】
幾つかの実施形態において、負極は、リチウム、グラファイト、チタン酸リチウム(「LTO」)、スズ-コバルト合金又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、負極は、リチウム、グラファイト、チタン酸リチウム(「LTO」)、スズ-コバルト合金及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0067】
幾つかの実施形態において、電池は電解質をさらに含む。幾つかの実施形態において、電解質は、正極と負極との間に配置される。
【0068】
幾つかの実施形態において、電解質は、電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されている。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのガスは、二酸化炭素(「CO」)、水素(H)、一酸化炭素(CO)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのガスは、CO、H、CO及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選ばれる。
【0069】
幾つかの実施形態において、電解質は電解液の形態である。幾つかの実施形態において、電解液は、少なくとも1つの溶媒及び少なくとも1つの電解塩を含む。
【0070】
幾つかの実施形態において、電解液の少なくとも1つの溶媒は、少なくとも1つの有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、電解質の少なくとも1つの有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)又はそれらの混合物から選ばれる。幾つかの実施形態において、電解質の少なくとも1つの有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びそれらの混合物からなる群より選ばれる。
【0071】
幾つかの実施形態において、電解質は少なくとも1つの添加剤を含む。少なくとも1つの添加剤の幾つかの例としては、限定するわけではないが、炭酸ビニレン(VC)、亜硫酸エチレン(ES)及び炭酸フルオロエチレン(FEC)が挙げられる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの添加剤は、電池の動作中に本明細書に記載の少なくとも1つのガスを放出するように構成されている。
【0072】
幾つかの実施形態において、電解質は、少なくとも1つのセパレータ内に含浸されている。幾つかの実施形態において、電解質は、複数のセパレータ内に含浸されている。幾つかの実施形態において、電解質は、少なくとも1つのセパレータ内に部分的に含浸されている。幾つかの実施形態において、電解質は、複数のセパレータ内に部分的に含浸されている。幾つかの実施形態において、電解質は、少なくとも1つのセパレータ内に完全に含浸されている。幾つかの実施形態において、電解質は、複数のセパレータ内に完全に含浸されている。
【0073】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのセパレータ又は複数のセパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレン、少なくとも1つのテトラフルオロエチレン(TFE)ポリマー又はコポリマー、少なくとも1つのフッ化ビニリデンのホモポリマー、少なくとも1つのヘキサフルオロプロピレン(HFP)-フッ化ビニリデンコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つの材料を含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのセパレータ又は複数のセパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレン、少なくとも1つのテトラフルオロエチレン(TFE)ポリマー又はコポリマー、少なくとも1つのフッ化ビニリデンのホモポリマー、少なくとも1つのヘキサフルオロプロピレン(HFP)-フッ化ビニリデンコポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を含む。
【0074】
幾つかの実施形態において、電池は一次電池である。
【0075】
幾つかの実施形態において、電池は二次電池である。幾つかの実施形態において、二次電池はリチウムイオン電池である。幾つかの実施形態において、二次電池は、鉛酸電池、ニッケル金属水素化物(NiMH)電池、ナトリウムイオン電池、臭化亜鉛電池、亜鉛セリウム電池、バナジウムレドックス電池(VRB)、溶融塩電池又は銀亜鉛電池から選ばれる。
【0076】
本開示による電池の1つの非限定的な例が図1に示されている。部分分解図である図1の例示的な実施形態に示されるように、電池100は、ハウジング103中に配置された正極101及び負極102を含む。幾つかの実施形態において、ハウジング103は、圧力ベントの形をとることができる開口部104を含むことができる。幾つかの実施形態において、膜(図示せず)は開口部104を覆う。幾つかの実施形態において、セパレータ105は、正極101と負極102との間に配置される。セパレータ105は電解質(図示せず)で含浸されうる。
【0077】
本開示による電池の別の非限定的な例が図2に示されている。ここでも部分分解図である図2の例示的な実施形態に示されているように、電池200は、筒形ハウジング203内に配置された正極201及び負極202を含む。幾つかの実施形態において、筒形ハウジング203は、ガス放出ベントの形をとることができる開口部204を含むことができる。幾つかの実施形態において、膜(図示せず)は開口部204を覆う。幾つかの実施形態において、複数のセパレータ205は、正極201と負極202との間に配置される。複数のセパレータ205は電解質(図示せず)で含浸されうる。
【0078】
本開示による電池のさらに別の非限定的な例が図3に示されている。ここでも部分分解図である図3の例示的な実施形態に示されているように、電池300は、ハウジング303中に配置された正極301(カソードホイルの形)及び負極302(アノードホイルの形)を含む。幾つかの実施形態において、ハウジング303は開口部(図示せず)を含むことができる。幾つかの実施形態において、膜(図示せず)は開口部(図示せず)を覆う。幾つかの実施形態において、セパレータ305は、正極301と負極302の間に配置される。セパレータ305は、電解質(図示せず)で含浸されうる。
【実施例
【0079】

本開示による例示的な非限定的な膜サンプルを、本明細書に記載されるように試験した。結果を以下の表1に示す。表1は、以下の番号が付けられた各サンプル(すなわち、サンプル膜1~5及び比較サンプル膜1~2のそれぞれ)について、結晶化度、CO透過性、湿分透過性及びCO/湿分透過性比の試験結果を示している。
【0080】
比較サンプル膜2は、ダニキン製の「NEOFLON(登録商標)PFAフィルムAF-0250」として入手可能である。
【0081】
結晶化度は、X線回折(「XRD」)を使用して測定した。
【0082】
CO透過性及び湿分透過性は、それぞれ以下の例9及び10に示されている手順を使用して測定した。
【0083】
【表1】
【0084】
例1:サンプル膜3及び4の調製の一般手順
【0085】
サンプル膜番号3及び4を調製するための非限定的な手順は以下の通りである。
【0086】
溶媒ナフサ、ホワイトオイル、ナフテン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、ハロゲン化物、イソパラフィン系炭化水素のシアン化物又はそれらの任意の組み合わせから選ばれた液体潤滑剤を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の未焼結微粉末に加えて、PTFE微粉末ペーストを形成した。PTFE微粉末ペーストを押出機に装填し、テープ形状に押出して、押出PTFEテープを得た。押出PTFEテープをカレンダロールで圧延し、乾燥機に連続的に導入し、乾燥処理を行って液体潤滑剤を除去し、乾燥PTFEテープを得た。乾燥したPTFEテープを延伸装置に連続的に導入し、テープの進行方向(すなわち、機械方向)に延伸して、延伸されたPTFEフィルムを得た。延伸時の温度は、すべてのサンプルで250℃~320℃の範囲であった。また、全サンプルでドロー比は100%以上であった。延伸されたPTFEフィルムを連続的に熱処理することにより多孔質構造を固定(ヒートセット)し、巻き上げてサンプル膜番号3及び4を得た。熱処理時間はすべてのサンプルで10秒未満であった。
【0087】
例2:サンプル膜3の調製のための特定の手順:
【0088】
ナフサ溶媒をFluon(登録商標)CD123(旭硝子株式会社製の未焼結PTFE微粉末)に添加し、PTFE微粉末ペーストを形成した。PTFE微粉末ペーストを押出機に充填し、幅16cm、厚さ720μmのテープ形状に押出し、押出PTFEテープを得た。押出PTFEテープをカレンダロールで240μmの厚さに圧延し、乾燥機に連続的に導入し、300℃の温度で乾燥させて溶媒ナフサを除去し、乾燥したPTFEテープを得た。乾燥したPTFEテープを延伸装置に連続的に導入し、300℃の温度でテープの前進方向(すなわち、機械方向)に105%のドロー比で延伸して、延伸されたPTFEフィルムを得た。
【0089】
延伸されたPTFEフィルムを350℃で3秒間連続熱処理して多孔質構造を固定(ヒートセット)し、巻き上げてサンプル膜3を得た。
【0090】
例3:サンプル膜4の調製のための特定の手順:
【0091】
サンプル膜4は、ドロー比を110%に設定したことを除いて、サンプル膜3と同じ方法で調製した。
【0092】
例4:サンプル膜1、2及び5の調製のための一般手順:
【0093】
サンプル膜番号1、2及び5を調製するために使用された一般手順を本例に示す。サンプル膜番号1、2及び5は複合膜であった。具体的には、サンプル膜番号1、2及び5の調製は、複合膜を形成するために延伸する前に、乾燥PTFEテープに追加のPTFEフィルムを付加する点で、サンプル膜番号3及び4の調製とは異なった。
【0094】
ドロー比は、すべてのサンプルで100%以上の範囲であった。熱処理時間は全サンプルで3秒以下であった。
【0095】
二軸延伸テープは、例1~3と同様の方法で押出PTFEテープを調製することにより、すなわち、押出PTFEテープをカレンダロールで圧延し、PTFEテープを長手方向及び横方向に二軸延伸し、そして二軸延伸テープを乾燥させることにより得られた。長手方向ドロー比は全サンプルで200%以上であった。
【0096】
例5:サンプル膜1の調製のための特定の手順
【0097】
乾燥PTFEテープを例2と同じ方法でフィルムとして調製した。押出PTFEテープもまた、例2と同じ方法で(すなわち、サンプル膜3として)調製し、カレンダロールで厚さ600μmまで圧延した。圧延されたPTFEテープを、500%の長手方向のドロー比及び1000%の横方向のドロー比で二軸延伸した。二軸延伸テープを乾燥機に導入し、300℃の温度で乾燥させて溶媒ナフサを除去し、乾燥させて厚さ35μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0098】
二軸延伸フィルム及び追加のPTFEフィルムを同じサイズに切断し、ロール間で組み合わせ、延伸装置により300℃の温度でテープ前進方向(機械方向)に105%のドロー比で延伸し、延伸されたPTFEラミネートを得た。延伸されたPTFEラミネートを350℃で1秒間連続熱処理して多孔質構造を固定(ヒートセット)し、巻き上げてサンプル膜1を得た。
【0099】
例6:サンプル膜2の調製のための特定の手順
【0100】
サンプル膜2は、ドロー比を110%に設定したことを除いて、サンプル膜1と同じ方法で調製した。
【0101】
例7:サンプル膜5の調製のための特定の手順
【0102】
サンプル膜5は、ドロー比を105%に設定し、延伸を行わなかったことを除いて、サンプル膜1と同じ方法で調製した。
【0103】
例8:比較サンプル膜1の調製
【0104】
比較サンプル膜1は次のように調製した。
【0105】
例2に記載の押出PTFEテープをカレンダロールで80μm厚さに圧延し、乾燥機に導入し、300℃の温度で乾燥させて溶媒ナフサを除去し、それにより乾燥PTFEテープを得た。乾燥PTFEテープを延伸装置に連続的に導入し、360℃の温度でテープ前進方向(機械方向)に110%のドロー比で延伸し、延伸されたPTFEフィルムを得た。延伸されたPTFEフィルムを360℃で10秒間連続熱処理し、多孔質構造を固定(ヒートセット)して巻き取り、比較サンプル膜1を得た。
【0106】
例9:CO透過性の測定
【0107】
一般に、CO透過性は、本明細書に記載の市販の測定装置などの市販の測定装置によって測定することができる。2つの非限定的な方法の例-差圧法及び等圧法をCO透過性の測定に使用できる。
【0108】
ここで、試験サンプルのCO透過性は、図4に示す試験設備を使用して測定した。装置はGTR-11MJGG(GTR Tech)であった。「差圧法」を使用した。
【0109】
条件は次のとおりであった。温度:30℃。透過領域:15.2cm(φ44mm)。透過性ガス:H、CO、N。供給圧力:0.5kgf/cm。差圧:113cmHg。時間:0.2~10分。
【0110】
例10:湿分透過性の測定
【0111】
一般に、湿分透過性は市販の測定装置で測定できる。使用できる非限定的な方法の1つは等圧法である。
【0112】
ここで、試験サンプルの湿分透過性は、図5に示す試験設備を使用して測定した。装置はLyssyL-80シリーズであった。等圧法を使用した。
【0113】
条件は次のとおりであった。温度:40℃。透過領域:5×10。相対湿度:90%。供給圧力:0kgf/cm。時間:24時間。
【0114】
上記の本開示の実施形態に対する変形、改変及び変更は、当業者に明らかになるであろう。そのようなすべての変形、改変、変更などは、本開示の主旨及び範囲内に含まれることが意図されており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0115】
本開示の幾つかの実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は例示にすぎず、限定的ではなく、多くの変更が当業者に明らかになりうることが理解される。例えば、本明細書で論じられるすべての寸法は、例としてのみ提供されており、例示的であり、限定的ではないことが意図されている。
【0116】
本明細書で明確に識別される任意の特徴又は要素はまた、特許請求の範囲で規定される本発明の実施形態の特徴又は要素として具体的に除外されうる。
【0117】
本明細書に記載の開示は、本明細書に具体的に開示されていない1つ以上の要素、制限又は限定がない状態で実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各場合において、「含む」、「本質的になる」及び「からなる」という用語のいずれかを、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。使用されている用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定ではなく、このような用語及び表現の使用は、示され、説明されている特徴の同等物又はその一部を除外する意図はないが、本開示の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。
(態様)
(態様1)
ハウジング、
正極、
負極、
電解質、及び、
少なくとも1つのフルオロポリマー膜、
を含む、電池であって、
前記ハウジングは開口部を含み、
前記正極は、少なくとも部分的に前記ハウジング内に配置されており、
前記負極は、少なくとも部分的に前記ハウジング内に配置されており、
前記電解質は、前記正極と前記負極の間に配置されており、
前記電解質は、電池の動作中に少なくとも1つのガスを放出するように構成されており、
前記少なくとも1つのガスは、二酸化炭素(「CO 」)、水素(H )、一酸化炭素(CO)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれ、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、前記ハウジングの開口部を覆い、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、85%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、2.0g/cm ~2.2g/cm の密度を有し、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5を超えるCO 透過性の湿分透過性に対する比を有する、
電池。
(態様2)
前記電池は二次電池である、態様1記載の電池。
(態様3)
前記二次電池はリチウムイオン電池である、態様2記載の電池。
(態様4)
前記正極は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(「NMC」)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(「NCA」)、リチウムマンガン酸化物(「LMO」)、リン酸鉄リチウム(「LFP」)、コバルト酸リチウム(「LCO」)又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる、先行の態様のいずれか1項記載の電池。
(態様5)
前記負極は、リチウム、グラファイト、チタン酸リチウム(「LTO」)、スズ-コバルト合金又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる、先行の態様のいずれか1項記載の電池。
(態様6)
前記電解質は電解液の形態であり、前記電解液は少なくとも1つの溶媒及び少なくとも1つの電解塩を含む、態様1記載の電池。
(態様7)
前記電解液の少なくとも1つの溶媒は少なくとも1つの有機溶媒を含む、先行の態様のいずれか1項記載の電池。
(態様8)
前記電解質の少なくとも1つの有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)又はそれらの混合物から選ばれる、態様7記載の電池。
(態様9)
前記電解質は少なくとも1つの添加剤を含み、前記少なくとも1つの添加剤は、電池の動作中にCO 、H 、CO又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つのガスを放出するように構成されている、先行の態様のいずれかの1項記載の電池。
(態様10)
前記電解質は少なくとも1つのセパレータ内に含浸されている、先行の態様のいずれか1項記載の電池。
(態様11)
前記少なくとも1つのセパレータは、ポリプロピレン、ポリエチレン、少なくとも1つのテトラフルオロエチレン(TFE)ポリマー又はコポリマー、少なくとも1つのフッ化ビニリデンのホモポリマー、少なくとも1つのヘキサフルオロプロピレン(HFP)-フッ化ビニリデンコポリマー又はそれらの任意の組み合わせから選ばれる少なくとも1つの材料を含む、態様10記載の電池。
(態様12)
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、以下の少なくとも1つ:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高密度化PTFE(dPTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)又はそれらの任意の組み合わせを含む、先行の態様のいずれか1項記載の電池。
(態様13)
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5より大きくそして1.5未満のCO 透過性の湿分透過性に対する比を有する、先行の態様のいずれか1項記載の電池。
(態様14)
ハウジング、及び、
少なくとも1つのフルオロポリマー膜、
を含む、デバイスであって、
前記ハウジングは開口部を含み、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は前記ハウジングの開口部を覆い、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、85%~100%の結晶化度を有し、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、2.0g/cm ~2.2g/cm の密度を有し、そして、
前記少なくとも1つのフルオロポリマー膜は、0.5を超えるCO 透過性の湿分透過性に対する比を有し、
電池である、デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5