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特許7371266カテーテルへの移植組織の移送のためのコネクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】カテーテルへの移植組織の移送のためのコネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20231023BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022545099
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020080398
(87)【国際公開番号】W WO2022089745
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-08-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514222743
【氏名又は名称】クリアストリーム・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】マクドナー,ドナル
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ,キアラン
(72)【発明者】
【氏名】オシェイ,ジョン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540482(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00903110(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第110251273(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12 - A61B 17/138
A61F 2/95 - A61F 2/97
A61M 39/02 - A61M 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填チューブから送達カテーテルへの移植可能デバイスの移送のためのコネクタであって、
送達カテーテルを所定位置に保持するように構成された第1の遠位端部を有する第1の接続部分と、
前記第1の遠位端部に向かって延在する装填チューブを受容する第2の近位端部を有する第2の接続部分であって、前記第2の接続部分は前記第1の接続部分に移動可能に接続される、第2の接続部分と、
前記第1および第2の接続部分を接続し、前記第1の遠位端部と前記第2の近位端部とが所定の距離だけ離間される弛緩構成を有し、前記第1の遠位端部と前記第2の近位端部とが離間するように移動されたときに前記第1の遠位端部および前記第2の近位端部を前記弛緩構成に付勢するように構成された付勢要素と
を備え、
前記送達カテーテルが前記所定位置にあるとき、前記移植可能デバイスの前記移送のために前記装填チューブと前記送達カテーテルの間に連続的な移行部を有する接続部を形成するように前記装填チューブは前記送達カテーテルに対して付勢される、コネクタ。
【請求項2】
離間要素を更に備え、前記送達カテーテルが受容されたとき、前記離間要素は、径方向において前記送達カテーテルの近位端部と前記付勢要素との間に配置され、ならびに/または、
前記付勢要素は、前記第1の接続部分および前記第2の接続部分のうちの少なくとも一方に収容される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記付勢要素は、前記第2の接続部分に接続された近位部分と前記第1の接続部分に接続された遠位部分とを有する弾性伸長可能要素を備え、または、
前記付勢要素は、前記第2の接続部分に接続された近位部分と前記第1の接続部分に接続された遠位部分とを有する弾性圧縮可能要素を備える、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記付勢要素は、前記第2の接続部分に接続された近位部分と前記第1の接続部分に接続された遠位部分とを有する弾性伸長可能要素を備え、前記弾性伸長可能要素は引張りばねである、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記付勢要素は、前記第2の接続部分に接続された近位部分と前記第1の接続部分に接続された遠位部分とを有する弾性圧縮可能要素を備え、前記弾性圧縮可能要素は圧縮ばねである、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1の遠位端部と前記第2の近位端部とが互いに対する最短距離よりも接近するように移動することを防止するように構成された停止要素を更に備える、請求項1からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1の接続部分は第1の管状体を備え、前記第2の接続部分は前記第1の管状体内で滑動可能な第2の管状体を備える、請求項1からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1の管状体は外側グリップを備える、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第2の接続部分は、第2の管状体と前記第2の管状体の遠位端部のキャップとを備え、前記第1の接続部分は、第1の管状体と前記第1の管状体内の内側管状体とを備え、前記内側管状体は前記キャップを通って前記第2の接続部分内に延在し、前記内側管状体は前記第2の管状体の内側に停止部分を備え、前記第1の接続部分と前記第2の接続部分との分離は前記キャップと前記停止部分との当接によって防止され、または、
前記第1の接続部分は、第1の管状体と前記第1の管状体の近位端部のキャップとを備え、前記第1の接続部分は前記キャップを通って前記第2の接続部分内に延在し、前記第2の管状体は前記第1の管状体の内側に停止部分を備え、前記第1の接続部分と前記第2の接続部分との分離は前記キャップと前記停止部分との当接によって防止される、請求項1からのいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記付勢要素は、前記停止部分と前記キャップとの間に延在する弾性圧縮可能要素を備える、請求項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記弾性圧縮可能要素は圧縮ばねである、請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
装填チューブから送達カテーテルへの移植可能デバイスの移送のためのコネクタを形成する方法であって、
所定位置で送達カテーテルを保持するように構成された第1の遠位端部を有する、コネクタの第1の接続部分を提供するステップと、
第2の近位端部を有する、前記コネクタの第2の接続部分を提供するステップと、
前記第2の接続部分によって装填チューブを受容するステップであって、前記装填チューブは前記第1の遠位端部に向かって延在し、前記第2の接続部分は前記第1の接続部分に移動可能に接続される、ステップと、
前記第1および第2の接続部分を接続し、前記第1の遠位端部と前記第2の近位端部とが所定の距離だけ離間される弛緩構成を有し、前記第1の遠位端部と前記第2の近位端部とが離間するように移動されたときに前記第1の遠位端部および前記第2の近位端部を前記弛緩構成に付勢するように構成された付勢要素を提供するステップと
を備え、
前記送達カテーテルが前記所定位置にあるとき、前記移植可能デバイスの前記移送のために前記装填チューブと前記送達カテーテルの間に連続的な移行部を有する接続部を形成するように前記装填チューブは前記送達カテーテルに対して付勢される、方法。
【請求項13】
前記第1の接続部分は、第1の管状体と内側管状体とを備え、前記内側管状体は停止部分を備え、前記第2の接続部分は第2の管状体とキャップとを備え、前記第1の管状体は前記第2の管状体を受容する大きさに形成され、前記第2の管状体は前記内側管状体を受容する大きさに形成され、前記方法は、
前記付勢要素を提供するステップと、
前記内側管状体を前記第2の管状体の第2の遠位端部内に挿入するステップと、
前記内側管状体が前記キャップを通って延在し、前記停止部分が前記第2の管状体によって収容され、前記第1の接続部分と前記第2の接続部分との分離は前記キャップと前記停止部分との当接によって防止されるように、前記キャップを前記第2の管状体の遠位端部に取り付けるステップと、
前記内側管状体を前記第1の管状体に取り付けるステップであって、前記第2の管状体は前記第1の管状体内で滑動可能である、ステップと
を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記付勢要素は、弾性圧縮可能要素を備え、前記弾性圧縮可能要素の近位部分を前記内側管状体に、および遠位部分を前記第2の管状体に接続することによって提供される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記弾性圧縮可能要素は圧縮ばねである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記付勢要素は、弾性伸長可能要素を備え、前記弾性伸長可能要素の近位部分を前記第2の管状体に、および遠位部分を前記内側管状体に接続することによって提供され、または、
前記付勢要素は、弾性伸長可能要素を備え、前記弾性伸長可能要素の近位部分を前記第2の管状体に、および遠位部分を前記第2の管状体に接続することによって提供される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記付勢要素は、弾性伸長可能要素を備え、前記弾性伸長可能要素の近位部分を前記第2の管状体に、および遠位部分を前記内側管状体に接続することによって提供され、前記弾性伸長可能要素は引張りばねである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記付勢要素は、弾性伸長可能要素を備え、前記弾性伸長可能要素の近位部分を前記第2の管状体に、および遠位部分を前記第2の管状体に接続することによって提供され、前記弾性伸長可能要素は引張りばねである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の接続部分は、第1の管状体とキャップとを備え、前記第2の接続部分は、停止部分を備える第2の管状体を備え、前記第1の管状体は前記第2の管状体を受容する大きさに形成され、前記方法は、
前記付勢要素を提供するステップと、
前記第2の管状体を前記第1の管状体の近位端部に挿入するステップと、
前記第2の管状体が前記キャップを通って延在し、前記停止部分が前記第1の管状体によって収容され、前記第1の接続部分と前記第2の接続部分との分離は前記キャップと前記停止部分との当接によって防止されるように、前記キャップを前記第1の管状体の近位端部に取り付けるステップと
を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記付勢要素は、弾性圧縮可能要素であり、前記弾性圧縮可能要素の近位部分を前記第1の管状体に、および遠位部分を前記第2の管状体に接続することによって提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記弾性圧縮可能要素は圧縮ばねである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記付勢要素は、弾性伸長可能要素であり、前記弾性伸長可能要素の近位部分を前記第2の管状体に、および遠位部分を前記第1の管状体に接続することによって提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記弾性伸長可能要素は引張りばねである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記弾性圧縮可能要素は、前記停止部分と前記キャップとの間に延在するように提供される、請求項14、15、20または21に記載の方法。
【請求項25】
コネクタと装填チューブとを備える部品のキットであって、前記コネクタは、
送達カテーテルを所定位置に保持するように構成された第1の遠位端部を有する第1の接続部分と、
前記第1の遠位端部に向かって延在する前記装填チューブを受容する第2の近位端部を有する第2の接続部分であって、前記第2の接続部分は前記第1の接続部分に移動可能に接続される、第2の接続部分と、
前記第1および第2の接続部分を接続し、前記第1の遠位端部と前記第2の近位端部とが所定の距離だけ離間される弛緩構成を有し、前記第1の遠位端部と前記第2の近位端部とが離間するように移動されたときに前記第1の遠位端部および前記第2の近位端部を前記弛緩構成に付勢するように構成された付勢要素と
を備え、
前記装填チューブはマーカを備え、前記装填チューブは、前記マーカが前記第2の近位端部に位置付けられるまで前記装填チューブを前記第2の近位端部内に挿入することによって、前記第2の近位端部によって受容されるように構成され、
前記第2の近位端部で前記マーカが位置付けられると共に前記装填チューブが受容され、前記送達カテーテルが前記所定位置にあるとき、移植可能デバイスの移送のために前記装填チューブと前記送達カテーテルの間に連続的な移行部を有する接続部を形成するように前記装填チューブは前記送達カテーテルに対して付勢される、
部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装填チューブから送達カテーテルへの移植可能デバイスの移送のためのコネクタに関する。本開示は、コネクタを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
医療移植組織は、血管系における特定の場所において展開されるように設計され得る。医療移植組織を展開するために、送達カテーテルが、血管系を通って目標の場所に送られ、医療移植組織は送達カテーテルを通って押し動かされ、目標の場所において送達カテーテルから展開される。
【0003】
医療移植組織は、装填チューブから送達カテーテルに移送されることが必要とされ得る。医療移植組織を装填チューブから送達カテーテルに移送するために、装填チューブは、移送中に、送達カテーテルの内側に手作業で挿入されて、保持され得る。代替的に、装填チューブを送達カテーテルに接続するコネクタが使用される。どちらの方法も両手の使用を必要とし、装填チューブと送達カテーテルとの間の適切な接続が達成されるか否かを確実なものとすることは更に困難である。医療移植組織はしばしば壊れやすいものであるので、装填チューブと送達カテーテルとの間の接続が適切であることが重要である。例えば、もしも装填チューブが送達カテーテルの入口からあまりに離れて固定されると、接続は円滑な遷移を提供することができず、移植組織を損傷してしまうことがある。一方、装填チューブは、送達カテーテル内にあまりに深く押し入れられると損傷され得る(例えば、装填チューブはカテーテルの壁部からの内側向きの力によって潰れてしまうことがある)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、医療移植組織を安全に移送するために装填チューブと送達カテーテルとの間の接続を確実なものとするコネクタへの需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、装填チューブから送達カテーテルへの移植可能デバイスの移送のためのコネクタが提供され、コネクタは、送達カテーテルを受容するように構成された第1の遠位端部を有する第1の接続部分と、第1の遠位端部に向かって延在する装填チューブを受容するように構成された第2の近位端部を有する第2の接続部分であって、第2の接続部分は第1の接続部分に移動可能に接続される、第2の接続部分と、第1および第2の接続部分を接続し、第1の遠位端部と第2の近位端部とが所定の距離だけ離間される弛緩構成を有し、第1の遠位端部と第2の近位端部とが離間するように移動されたときに第1の遠位端部および第2の近位端部を弛緩構成に付勢するように構成された付勢要素とを備え、装填チューブが受容されたとき、第1の接続部分によって送達カテーテルが受容されると、移植可能デバイスの移送のための接続部を形成するように装填チューブは送達カテーテルに対して付勢される。第1の接続部分に及ぼされる力は、付勢要素を介して第2の接続部分に伝達されるので、装填チューブに及ぼされる力は、ユーザによって及ぼされる力に依存するのではなく、付勢要素の特性に依存し、このことは、装填チューブが送達カテーテル内にあまりに深く押し込められてしまうことを防止し得る。
【0006】
コネクタは、離間要素を更に備え得、送達カテーテルが受容されたとき、離間要素は、径方向において送達カテーテルの近位端部と付勢要素との間に配置される。離間要素は、移植可能デバイスと付勢要素との接触を防止し、このことは、移植可能デバイスへの損傷を防止し得る。
【0007】
付勢要素は、第1の接続部分および第2の接続部分のうちの少なくとも一方に収容され得、付勢要素への損傷を防止する。
【0008】
付勢要素は、第2の接続部分に接続された近位部分と第1の接続部分に接続された遠位部分とを有する弾性伸長可能要素を備え得る。弾性伸長可能要素は引張りばねである。付勢要素は、第2の接続部分に接続された近位部分と第1の接続部分に接続された遠位部分とを有する弾性圧縮可能要素を備え得、弾性圧縮可能要素は圧縮ばねであり得る。
【0009】
付勢要素は、任意の適切なばね定数を有するばねであってよい。ばね定数は、ばねによって装填チューブが送達カテーテル内にあまりに深く押し込められないように選択され得る。適切なばね定数は、装填チューブのために使用される材料およびその寸法などの様々な要因に依存し、通常の実験から決定され得る。
【0010】
第1の遠位端部は、送達カテーテルの雌ねじまたは雄ねじ山をそれぞれ受容する雄ねじまたは雌ねじ山を備え得る。
【0011】
コネクタは、第1の遠位端部と第2の近位端部とが互いに対する最短距離よりも接近するように移動することを防止するように構成された停止要素を更に備え得る。
第1の接続部分は第1の管状体を備え得、第2の接続部分は第1の管状体内で滑動可能な第2の管状体を備え得る。第1の管状体は外側グリップを備え得る。第1の管状体はより大きな径方向範囲を有しているので、第1の接続部分は、第1の管状体内で第2の管状体が滑動可能であると、ユーザによってより容易に取り扱われる。
【0012】
第2の接続部分は、第2の管状体と第2の管状体の遠位端部のキャップとを備え得、第1の接続部分は、第1の管状体と第1の管状体内の内側管状体とを備え、内側管状体はキャップを通って第2の接続部分内に延在し、内側管状体は第2の管状体の内側に停止部分を備え、第1の接続部分と第2の接続部分との分離はキャップと停止部分との当接によって防止される。第1の接続部分は、第1の管状体と第1の管状体の近位端部のキャップとを備え得、第1の接続部分はキャップを通って第2の接続部分内に延在し、第2の管状体は、第1の管状体の内側に停止部分を備え、第1の接続部分と第2の接続部分との分離はキャップと停止部分との当接によって防止される。
【0013】
付勢要素は、停止部分とキャップとの間に延在する弾性圧縮可能要素を備え得、弾性圧縮可能要素は圧縮ばねであり得る。弾性圧縮可能要素は、管状体、停止部分およびキャップによって完全に収容され得、要素への損傷を防止する。
【0014】
装填チューブは第2の接続部分によって受容され得、装填チューブは、例えば接着剤によって、第2の接続部分に固定的に取り付けられる。
【0015】
第2の態様によると、装填チューブから送達カテーテルへの移植可能デバイスの移送のためのコネクタを提供する方法が提供され、方法は、送達カテーテルを受容するように構成された第1の遠位端部を有する第1の接続部分を提供するステップと、第1の遠位端部に向かって延在する装填チューブを受容するように構成された第2の近位端部を有する第2の接続部分を提供するステップであって、第2の接続部分は第1の接続部分に移動可能に接続される、第2の接続部分を提供するステップと、第1および第2の接続部分を接続し、第1の遠位端部と第2の近位端部とが所定の距離だけ離間される弛緩構成を有し、第1の遠位端部と第2の近位端部とが離間するように移動されたときに第1の遠位端部および第2の近位端部を弛緩構成に付勢するように構成された付勢要素を提供するステップとを備え、装填チューブが受容されたとき、第1の接続部分によって送達カテーテルが受容されると、移植可能デバイスの移送のための接続部を形成するように装填チューブは送達カテーテルに対して付勢される。
【0016】
方法は、第2の接続部分によって装填チューブを受容するステップを更に備え得る。装填チューブが製造中に容易に提供されると、組み立てプロセスはユーザによってより単純になる(ユーザは、コネクタを送達カテーテルに取り付けるだけでよい)。
【0017】
第1の接続部分は、第1の管状体と内側管状体とを備え得、内側管状体は停止部分を備え、第2の接続部分は第2の管状体とキャップとを備え得、第1の管状体は第2の管状体を受容する大きさに形成され、第2の管状体は内側管状体を受容する大きさに形成され、方法は、付勢要素を提供するステップと、内側管状体を第2の管状体の第2の遠位端部内に挿入するステップと、内側管状体がキャップを通って延在し、停止部分が第2の管状体によって収容され、第1の接続部分と第2の接続部分との分離はキャップと停止部分との当接によって防止されるように、キャップを第2の管状体の遠位端部に取り付けるステップと、内側管状体を第1の管状体に取り付けるステップであって、第2の管状体は第1の管状体内で滑動可能である、ステップとを備える。
【0018】
付勢要素は、弾性圧縮可能要素を備え得、弾性圧縮可能要素の近位部分を内側管状体に、および遠位部分を第2の管状体に接続することによって提供され得、弾性圧縮可能要素は圧縮ばねであり得る。
【0019】
付勢要素は、弾性伸長可能要素を備え得、弾性伸長可能要素の近位部分を第2の管状体に、および遠位部分を内側管状体に接続することによって提供され得、弾性伸長可能要素は引張りばねであり得る。付勢要素は、弾性伸長可能要素を備え得、弾性伸長可能要素の近位部分を第2の管状体に、および遠位部分を第2の管状体に接続することによって提供され得、弾性伸長可能要素は引張りばねであり得る。
【0020】
第1の接続部分は、第1の管状体とキャップとを備え得、第2の接続部分は、停止部分を備える第2の管状体を備え得、第1の管状体は第2の管状体を受容する大きさに形成され、方法は、付勢要素を提供するステップと、第2の管状体を第1の管状体の近位端部に挿入するステップと、第2の管状体がキャップを通って延在し、停止部分が第1の管状体によって収容され、第1の接続部分と第2の接続部分との分離はキャップと停止部分との当接によって防止されるように、キャップを第1の管状体の近位端部に取り付けるステップとを備え得る。
【0021】
付勢要素は、弾性圧縮可能要素であり得、弾性圧縮可能要素の近位部分を第1の管状体に、および遠位部分を第2の管状体に接続することによって提供され得、弾性圧縮可能要素は圧縮ばねであり得る。
【0022】
付勢要素は、弾性伸長可能要素であり得、弾性伸長可能要素の近位部分を第2の管状体に、および遠位部分を第1の管状体に接続することによって提供され得、弾性伸長可能要素は引張りばねであり得る。
【0023】
弾性圧縮可能要素は、停止部分とキャップとの間に延在するように提供される。
【0024】
第3の態様によると、装填チューブを含む第1の態様によるコネクタを備える部品のキットが提供され、任意選択的に、装填チューブはマーカを備え、装填チューブは、マーカが第2の近位端部に位置付けられるまで装填チューブを第2の近位端部内に挿入することによって、第2の近位端部によって受容されるように構成される。マーカは、装填チューブが正確に受容されることを確実なものとするようにユーザを補助し得る。
【0025】
次に、本開示のより良好な理解を可能とするとともに、本開示がどのように実行され得るかを示すために、単なる例示のために、添付の模式的図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】1つまたは複数の実施形態によるコネクタを示す図である。
図1B】装填チューブが受容された状態の図1Aのコネクタを示す図である。
図1C】装填チューブおよび送達カテーテルが受容された状態の図1Aのコネクタを示す図である。
図2A】1つまたは複数の実施形態による第1の構成にあるコネクタを示す図である。
図2B】第2の構成にある図2Aのコネクタを示す図である。
図2C】第3の構成にある図2Aのコネクタを示す図である。
図3A】1つまたは複数の実施形態による第1の構成にあるコネクタを示す図である。
図3B】第2の構成にある図3Aのコネクタを示す図である。
図3C】第3の構成にある図3Aのコネクタを示す図である。
図4】1つまたは複数の実施形態による更なるコネクタを示す図である。
図5】1つまたは複数の実施形態による更なるコネクタを示す図である。
図6A】1つまたは複数の実施形態によるコネクタの側面図である。
図6B図6Aのコネクタの分解図である。
図7】1つまたは複数の実施形態による別のコネクタを示す図である。
図8】1つまたは複数の実施形態によるコネクタを使用して装填チューブから送達カテーテルに移送され得る移植組織を示す図である。
図9A】装填チューブにおける移植組織を示す図である。
図9B】送達カテーテルにおける移植組織を示す図である。
図9C】装填チューブおよび送達カテーテルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の全体を通じて、「移植可能デバイス」または「医療移植組織」という語は、人間または動物の体に恒久的にまたは半恒久的に移植され得るデバイスを指し得る。
【0028】
図1Aは、装填チューブから送達カテーテルに移植可能デバイス(すなわち、医療移植組織)を移送するためのコネクタ100を示す。コネクタ100は、遠位端部120を有する第1の接続部分110と、近位端部150を有する第2の接続部分130とを備える。第1および第2の接続部分は、互いに対して移動可能である。より具体的には、コネクタ100は、第1の接続部分110が遠位方向に移動されたときに(例えば、矢印170によって示されるように、遠位方向の力が第1の接続部分に及ぼされたときに)付勢要素160が第2の接続部分130を遠位方向に付勢するように第1および第2の接続部分110、130を接続する付勢要素160を備える。付勢要素160は、遠位端部120と近位端部150とが所定の距離だけ離間される弛緩構成を有し、付勢要素160は、遠位端部120および近位端部150が弛緩構成から離間されたときに遠位端部120および近位端部150を弛緩構成に付勢するように構成される。すなわち、付勢要素160は、弾性的に変形可能であり、第1の接続部分110の遠位方向への移動が付勢要素160を変形させ、これは、結果として、付勢要素の変形に起因して付勢要素160によって第2の接続部分130に及ぼされる付勢力をもたらす。
【0029】
図1Aによって示される実施例において、付勢要素160は圧縮ばね(すなわち、弛緩構成から圧縮されたときに遠位方向の付勢力を伝達するように構成されたばね)であり、近位部分は第1の接続部分110に接続され、遠位部分は第2の接続部分130に接続される。しかしながら、第1の接続部分への遠位方向の力を第2の接続部分に伝達可能な任意の弾性的に変形可能な要素が適切であり得る。例えば、他の実施例において、第2の接続部分130に接続された近位部分と第1の接続部分110に接続された遠位部分とを有する引張りばね(すなわち、弛緩構成から伸長されたときに遠位方向の付勢力を伝達するように構成されたばね)が使用される。示された圧縮ばねの代わりに、他のタイプのばねまたは付勢要素も使用され得る。
【0030】
更に、コネクタ100における付勢要素160の位置も変更され得る。例えば、弛緩構成からの伸長によって遠位方向の力を伝達する付勢要素が使用されるとき、付勢要素160の遠位部分は長手方向に沿った任意のポイントにおいて第1の接続部分110に接続され得、付勢要素の近位部分は長手方向に沿った任意のポイントにおいて第2の接続部分130に接続され得る。これとは逆に、弛緩構成からの圧縮によって遠位方向の力を伝達する付勢要素が使用されるとき、付勢要素160の遠位部分は長手方向に沿った任意のポイントにおいて第2の接続部分130に接続され得、付勢要素160の近位部分は長手方向に沿った任意のポイントにおいて第1の接続部分110に接続され得る。示された実施例において、付勢要素160は第1の接続部分110によって収容される。いくつかの実施例において、付勢要素160は第2の接続部分130によって収容され得、または部分的にもしくは完全に第1の接続部分110の外部に設置されてもよい。
【0031】
図1Bにおいて示されるように、第2の接続部分130は、装填チューブが第1の接続部分110の遠位端部120に向かって(すなわち、その方向に)延在するように、近位端部150において装填チューブ180を受容するように構成される。例えば、近位端部150は開口を備え得、装填チューブがこの開口を通って延在するように構成される。装填チューブ180は、第2の接続部分130によって受容されたときに、摩擦嵌めによって第2の接続部分130に接続され得、または、他のやり方によって、例えば接着剤を介して、第2の接続部分130に固定され得る。
【0032】
図1Cにおいて示されるように、第1の接続部分110は、送達カテーテル190をその遠位端部120において受容するように構成される。より具体的には、第1の接続部分110は、送達カテーテル190を所定位置に保持するように構成される。例えば、遠位端部120は、摩擦嵌め、クリック嵌め、ねじ嵌め、または送達カテーテル190を適切な位置にしっかりと保持する任意の他の適切な接続機構によって、送達カテーテルを受容するように構成され得る。
【0033】
図1Bにおいて示されるように装填チューブ180が受容されたとき、コネクタ100のユーザは、送達カテーテル190を第1の接続部分110の遠位端部120に接続する(例えば、第1の接続部分110および送達カテーテル190の手動操作による)。その結果、ユーザによって、第1の接続部分110に対して遠位方向の力が及ぼされ、この遠位方向の力は、付勢要素160を介して第2の接続部分130に伝達され、次いで、装填チューブ180に伝達される。装填チューブ180が送達カテーテル190内に延在し始めると、送達カテーテル190によって近位方向の摩擦力が装填チューブ180に及ぼされる。この摩擦力は、付勢要素160をその弛緩構成から離れるように変形させる。有利には、付勢要素160の変形は、装填チューブ180が送達カテーテル190の内側にあまりに深く押し込められて装填チューブ180を損傷する(例えば、装填チューブ180が径方向に潰れて送達カテーテルへの医療移植組織の移送に影響することがある)ことがないようにする緩衝体として働く。換言すれば、送達カテーテルを接続するときに装填チューブに及ぼされる力は、コネクタのユーザによって及ぼされる力ではなく付勢要素160の特性(例えば、ばね定数)によって決められる。このように、コネクタ100は、ユーザが装填チューブ180を送達カテーテル190内にあまりに深く押し込めるリスクを減少させ、コネクタ100によって適切な接続部(すなわち、円滑で連続的な移行部を有する接続部)が形成される。
【0034】
装填チューブ180および送達カテーテル190の構成される位置は、接続部分の寸法および装填チューブ180とカテーテル190との間での医療移植組織の移送の特定の性質の要件に依存し得る。例えば、コネクタは、装填チューブおよび送達カテーテルの両方が正しい構成で受容されたときに装填チューブ180が送達カテーテル190内で終了するように、または部分的に送達カテーテル190内にあるように、装填チューブおよび送達カテーテルを受容するように構成され得る。付勢要素160によって第2の接続部分130に対して(故に、装填チューブ180に対して)及ぼされる力は、接続部分の寸法(例えば、長手方向長さ)、接続部分によって受容されたときの装填チューブ180および送達カテーテル190の構成、および付勢要素160の弾性特性(例えば、ばね定数)に依存する。したがって、所与のコネクタ100について、より小さいばね定数を有する付勢要素160が装填チューブ180に及ぼす力はより小さい。このように、付勢要素160は、装填チューブ180に及ぼされる力が閾値を超えないように選択され得る。このことは、装填チューブ180が損傷されることを防止するとともに、装填チューブ180と送達カテーテル190との間の適切な接続も確実なものとする。いくつかの実施例において、装填チューブ180は、対応するカテーテル190の内側に嵌合するように構成された任意の適切な外径(すなわち、対応するカテーテル190の内径よりも小さな外径)を有し得る。例えば、装填チューブは、11mm以下の外径、例えば、0.66mm(2フレンチスケール)から3.33mm(10フレンチスケール)の間の外径を有し得る。具体的な例として、装填チューブ180は、0.027インチ(0.6858mm)の内径と0.031インチ(0.7874mm)の外径とを有し、カテーテル190は0.038インチ(0.9652)の内径を有する。
【0035】
他の実施例において、送達カテーテル190の近位端部に、装填チューブ180に嵌合する大きさに形成された近位部分が提供され得る(すなわち、近位部分は、装填チューブの外径よりも大きな内径を有する)。近位部分は、送達カテーテル190の本体に向かって遠位方向にテーパー状になり得、送達カテーテルの(テーパー状の近位部分よりも遠位の)内径が装填チューブ180の内径未満になる。近位部分は、本明細書において開示される任意のコネクタに接続するように構成され得る。図9Cは、テーパー状の近位部分950を有する送達カテーテルの1つのこのような実施例を示す。テーパー状部分は、送達カテーテルの内径(すなわち、送達カテーテルの遠位部分の内径)より大きな内径を有する装填チューブから移植組織が円滑に移送されることを可能とする。それ故、装填チューブの内径は、送達カテーテルの内径よりも大きくても小さくてもよい。実施例において、装填チューブ180は、0.048インチ(1.2192mm)の内径と0.083インチ(2.1082mm)の外径とを有し、カテーテル190は、0.038インチ(0.9652mm)の内径を有する。なおも別の実施例において、装填チューブ180は、0.065インチ(1.651mm)の内径と0.1140インチ(2.8956mm)の外径とを有し、カテーテル190は、0.056インチ(1.4224mm)の内径を有する。
【0036】
示された実施例において、第2の接続部分130は、第1の接続部分110の管状体によって滑動可能に受容される管状体を備える。いくつかの実施形態において、第1の接続部分110の径方向範囲は、第2の接続部分130の径方向範囲よりも小さくされ得る。例えば、第1の接続部分110は、第2の接続部分130の管状体の内側に滑動可能に受容される管状体を備え得る。付勢要素160(圧縮可能または伸長可能)は、必要とされる付勢力をもたらすように適切に位置付けられ得る。送達カテーテルを取り付けるために第1の接続部分はユーザによって手作業で使用されるので、より大きな径方向範囲を有する第1の接続部分110が好ましくなり得、故に、第2の接続部分130がより小さな直径のもので、第1の接続部分110の内側に受容されるとコネクタ100はより使用しやすくなる(すなわち、ユーザが誤って第2の接続部分130を遠位方向に押しやって、ユーザから装填チューブ180に直接的な力を及ぼす可能性を低下させる)。
【0037】
図2Aは、付勢要素160として圧縮ばねを使用するコネクタ100を模式的に示す。ばねの近位部分は第1の接続部分110に接続され、ばねの遠位部分は第2の接続部分130に接続される。示された実施例において、付勢要素160は、第1の接続部分110内に完全に収容され、これは、使用中に付勢要素を損傷から有利に保護する。実施例において、第1の接続部分110が遠位方向に移動されたとき(図2Bにおいて矢印210によって示される)、圧縮ばねは圧縮し、第2の接続部分130に遠位方向の付勢力を及ぼす。すると、第2の接続部分130は、付勢要素160によって及ぼされる付勢力に基づいて遠位方向に移動する(図2Cにおいて矢印220によって示される)。圧縮ばねの代わりに他の弾性圧縮付勢要素が使用されてよいことは、当業者によって理解されよう。
【0038】
図3Aは、付勢要素160として引張りばねを使用するコネクタ100を示す。ばねの近位部分は第2の接続部分130に接続され、ばねの遠位部分は第2の接続部分130に接続される。示された実施例において、付勢要素160は、第1の接続部分110によって完全に収容され、やはり付勢要素160を損傷から保護する。代替的に、付勢要素160は、部分的にまたは全体的に第1の接続部分110の外部に置かれてもよい。実施例において、第1の接続部分110が遠位方向に移動されたとき(図3Bにおいて矢印310によって示される)、圧縮ばねは伸長し、第2の接続部分130に遠位方向の付勢力を及ぼす。すると、第2の接続部分130は、付勢要素160によって及ぼされる付勢力に基づいて遠位方向に移動する(図3Cにおいて矢印320によって示される)。引張りばねの代わりに他の弾性伸長付勢要素が使用されてよいことは、当業者によって理解されよう。
【0039】
図4は、本開示による別のコネクタ100を示す。上記において開示された実施例のうちの任意のものと同様に、コネクタ100は、第1の接続部分110と、第2の接続部分130と、付勢要素160とを備える。追加的に、コネクタは、付勢要素160の径方向内側に付勢要素160に沿って長手方向に延在するように位置付けられるように構成される、中央管腔を有する環状の離間要素410を備える。有利には、離間要素410は、装填チューブ180および/または送達カテーテル190を受容するための中央管腔を提供し、装填チューブ180および/または送達カテーテル190は付勢要素160から隔離される。このことは、移送中に医療移植組織が付勢要素160と相互作用することを防止し、それによって、装填チューブから送達カテーテルへの移送中、特には中間の長手方向の隙間が装填チューブ180と送達カテーテル190との間に存在するときに、医療移植組織への損傷を防止する。
【0040】
示された実施例において、離間要素410は個別の要素であるが、コネクタ100の別の要素が離間要素410として働いてもよい。例えば、図1Aから図1C図2、および図6において、第2の接続部分130も、移送中に医療移植組織と付勢要素160との間の相互作用を防止することによって、離間要素410として働く。
【0041】
図5は、本開示による更なるコネクタ100を示す。上記において開示された実施例のうちの任意のものと同様に、コネクタ100は、第1の接続部分110と、第2の接続部分130と、付勢要素160とを備える。コネクタは、停止要素(すなわち、ストッパ)610を更に備える。停止要素610は、第2の接続部分130が第1の接続部分110の遠位端部120への最短近接度を超えて移動することを防止するように構成される。有利には、このことは、(例えば、もしもユーザが誤って使用中に第2の接続部分130を近位方向に押しやったとしても)装填チューブ180が送達カテーテル190内にあまりに深く押し入れられることを防止する。示された実施例において、停止要素610は、第1の接続部分110から径方向内側に延在する突出部を備え、これは、第2の接続部分130が第1の接続部分110の遠位端部に向かって移動されると第2の接続部分130の遠位端部に当接する。他の実施例において、停止要素610は、第2の接続部分130から径方向外側に延在し、第1の接続部分110の一部分に当接するように構成された突出部を備え得る。第1および第2の接続部分は、遠位端部への最短近接度を超えた第2の接続部分130の移動を防止するように選択され得る。例えば、任意の適切なフランジ、突出部、凹部、またはこれらの組み合わせが使用され得る。追加的に、接続部分の相対的形状は、この特徴を達成するように設計され得る。例えば、ストッパは、第1の接続部分110のテーパー状の形状によって形成され得る。
【0042】
いくつかの実施例において、コネクタの一要素が上述されたストッパ610および離間要素410の両方として働くように構成され得ることが留意される。例えば、図4において示された離間要素410は、第2の接続部分130の内径よりも大きな外径を有し得、それによって、第2の接続部分130が第1の接続部分110の遠位端部120への最短近接度を超えて移動することを防止する。
【0043】
図6Aおよび図6Bは、本開示によるなおも別のコネクタ100を示す。上記において開示された実施例の場合と同様に、示されたコネクタ100は、送達カテーテルを受容するように構成された第1の接続部分110と、送達カテーテルを受容するように構成された第2の接続部分130と、接続部分を接続する付勢要素(図6Aにおいては示されない)とを備える。第1の接続部分110および第2の接続部分130は、第1および第2の管状体725、715を備え、第2の管状体715は第1の管状体725内に滑動可能に受容される。上記において開示された実施例と同様に、付勢要素160は、第1の接続部分130に及ぼされた遠位方向の力を第2の接続部分130に伝達する。上記において論じられたように、送達チューブおよび送達カテーテルが受容されたときに所与の寸法および構成を有する所与のコネクタ100について、より小さいばね定数を有する付勢要素160が装填チューブ180に及ぼす力はより小さい。このように、付勢要素160は、装填チューブに及ぼされる力が閾値を超えないように選択され得る。このことは、装填チューブがカテーテル内にあまりに深く押し込められて、損傷される(または、径方向に潰れる)ことを防止するとともに、装填チューブ180と送達カテーテル190との間の適切な接続も確実なものとする。
【0044】
示された実施例において、第2の接続部分130は、第2の管状体715の遠位端部に配設されたキャップ730を備える。第1の接続部分110は、キャップ730を通って第2の管状体715内に延在する(および、滑動可能に受容される)内側管状体740を追加的に備える。内側管状体740は、第2の管状体715の内側に停止部分(または停止要素)750を追加的に備える。第1の接続部分110と第2の接続部分130との分離はキャップ730と停止部分750との当接によって防止される。
【0045】
第1の接続部分110は、送達カテーテル190を接続する際にユーザを補助するためのグリップ(換言すれば、把持部)720を追加的に備え得る。例えば、グリップ720は、第1の接続部分110の表面にいくつかの凹部を有し得る。
【0046】
送達カテーテルを第1の接続部分110に接続するために任意の適切な機構が使用され得るが、示された実施例においては、ルアーロック710が使用される。同様に、受容する装填チューブの外径に極めて一致された内径を有する摩擦嵌合部760など、装填チューブを接続するための任意の適切な機構が使用され得る。
【0047】
図6Bは、図6Aにおいて示されたコネクタ100の分解図を示す。分解図から分かるように、コネクタ100の個々の構成要素は、コネクタ100を形成するために容易に組み立てられ得る。より詳細には、示された実施例において、付勢要素160は、内側管状体740に装着されるように構成されるとともに、停止部分750とキャップ730との間に延在するように構成された圧縮ばねである。キャップと停止部分との間の圧縮ばねの位置は、以下のような組み立ての方法を提供する。付勢要素160およびキャップ730が内側管状体740に装着される。次いで、内側管状体740が、第1の管状体725の遠位部分において、例えば、締り嵌め、摩擦嵌め、クリック嵌め、または接着剤によって、第1の管状体725に接続される。次いで、第2の管状体715が、キャップが第2の管状体715に接続される(例えば、締り嵌め、摩擦嵌め、クリック嵌め、または接着剤を介して)まで、第1の管状体725内に挿入される。この場合、内側管状体740は離間要素410としても働くことが理解されよう。
【0048】
付勢要素160は、停止部分750とキャップ730との間に延在する圧縮ばねとして示されているが、他の圧縮可能付勢要素が使用されてよい。追加的に、前述の実施例に関して論じられたように、他の場所が付勢要素160のために使用されてよい。代替的に、前述の実施例に関して論じられたように、引張りばねまたは他の伸長可能付勢要素が使用されてよい。
【0049】
グリップ720は省略されてよいことも当業者によって理解されよう。
【0050】
図7は、本開示による別のコネクタ100を示す。上記において開示された実施例の場合と同様に、示されたコネクタ100は、送達カテーテルを受容するように構成された第1の接続部分110と、送達カテーテルを受容するように構成された第2の接続部分130と、接続部分を接続する付勢要素160とを備える。第1および第2の接続部分110、130は、やはり、第1および第2の管状体825、815を備える。第1の接続部分110は、第1の管状体825の近位端部にキャップ820を備える。第2の管状体815は、キャップ820を通って第1の管状体825内に延在する(および、滑動可能に受容される)。第2の管状体815は、第1の管状体825の内側に停止部分または停止要素810を備え、第1の接続部分と第2の接続部分との分離はキャップ820と停止部分810との当接によって防止される。
【0051】
前述の実施例のように、圧縮可能または伸長可能な付勢要素160が使用され得る。例えば、付勢要素は、キャップ820と停止部分810との間に延在する圧縮ばねなどの圧縮可能付勢要素160を備え得る。この構成において、組み立ての方法は以下のようになり得る。停止部分810が第2の管状体815の遠位端部に接続される(または、停止部分810は第2の管状体と一体であり得る)。次いで、付勢要素160が第2の管状体815に装着される。次いで、第2の管状体815および付勢要素160が第1の管状体825内に挿入される。第2の管状体815がキャップ820を通って延在するように、キャップ820が第1の管状体825に装着および接続される。キャップ820は、締り嵌め、摩擦嵌め、クリック嵌め、または接着剤を介してなど任意の適切な機構によって第1の管状体825に接続され得る。
【0052】
付勢要素160は、停止部分810とキャップ820との間に延在する圧縮ばねとして示されているが、他の圧縮可能付勢要素が使用されてよいことがやはり理解されよう。追加的に、前述の実施例に関して論じられたように、他の場所が圧縮可能付勢要素160のために使用されてよい。代替的に、前述の実施例に関して論じられたように、引張りばねまたは他の伸長可能付勢要素が使用されてよい。
【0053】
付勢要素160がキャップ820と停止部分810との間に延在する構成において、第2の管状体は離間要素410として働くことが留意される。
【0054】
本開示によるコネクタは、以下の方法、すなわち、
送達カテーテルを受容するように構成された第1の遠位端部を有する第1の接続部分を提供するステップと、
遠位端部に向かって延在する装填チューブを受容するように構成された第2の近位端部を有する第2の接続部分を提供するステップであって、第2の接続部分は第1の接続部分に移動可能に接続される、第2の接続部分を提供するステップと、
第1および第2の接続部分を接続し、第1の遠位端部と第2の近位端部とが所定の距離だけ離間される弛緩構成を有し、第1の遠位端部と第2の近位端部とが弛緩構成から離間するように移動されたときに第1の遠位端部および第2の近位端部を弛緩構成に付勢するように構成された付勢要素を提供するステップとを備え、装填チューブが受容されたとき、第1の接続部分によって送達カテーテルが受容されると、移植可能デバイスの移送のための接続部を形成するように装填チューブは送達カテーテルに対して付勢される、方法によって形成され得る。
【0055】
上記において記載されたステップの順序は必ずしも時間的な順序を意味するものではないことが留意される。装填チューブ180は、ユーザにとって接続プロセスを単純化するために、製造中に第2の接続部分130に接続されてもよい。
【0056】
本明細書における実施例のうちのいくつかにおいて開示されるように、第1の接続部分は、第1の管状体と内側管状体とを備え得、内側管状体は停止部分を備え得、第2の接続部分は第2の管状体とキャップとを備え得、第1の管状体は第2の管状体を受容する大きさに形成され、第2の管状体は内側管状体を受容する大きさに形成される。この場合、方法は(必ずしも時間の経過順ではないが)、
付勢要素を提供するステップと、
内側管状体を第2の管状体の第2の遠位端部内に挿入するステップと、
内側管状体がキャップを通って延在し、停止部分が第2の管状体によって収容され、第1の接続部分と第2の接続部分との分離はキャップと停止部分との当接によって防止されるように、キャップを第2の管状体の遠位端部に取り付けるステップと、
内側管状体を第1の管状体に取り付けるステップであって、第2の管状体は第1の管状体内で滑動可能である、ステップと
を備え得る。
【0057】
付勢要素は、弾性圧縮可能要素または弾性伸長可能要素を備え得、本明細書において開示される実施例において論じられるようにコネクタ上の任意の適切な場所に提供され得る。
【0058】
例えば、付勢要素は、弾性圧縮可能要素(例えば、圧縮ばね)を備え得、弾性圧縮可能要素の近位部分を内側管状体に、および遠位部分を第2の管状体に接続することによって提供され得る。いくつかの実施例において、弾性圧縮可能要素は、停止部分とキャップとの間に延在するように提供される。
【0059】
代替的に、付勢要素は、弾性伸長可能要素(例えば、引張りばね)を備え得、弾性伸長可能要素の近位部分を第2の管状体に、および遠位部分を内側管状体に接続することによって提供され得、または、弾性伸長可能要素の近位部分を第2の管状体に、および遠位部分を第2の管状体に接続することによって提供され得る。
【0060】
本明細書におけるいくつかの実施例において開示されるように、第1の接続部分は、代わりに、第1の管状体とキャップとを備え得、第2の接続部分は、停止部分を備える第2の管状体を備え、第1の管状体は第2の管状体を受容する大きさに形成され、この場合、方法は(必ずしも時間の経過順ではないが)、
付勢要素を提供するステップと、
第2の管状体を第1の管状体の近位端部に挿入するステップと、
第2の管状体がキャップを通って延在し、停止部分が第1の管状体によって収容され、第1の接続部分と第2の接続部分との分離はキャップと停止部分との当接によって防止されるように、キャップを第1の管状体の近位端部に取り付けるステップと
を備え得る。
【0061】
ここでもやはり、付勢要素は、弾性圧縮可能または伸長可能要素を備え得る。
例えば、付勢要素は、弾性圧縮可能要素(例えば、圧縮ばね)であり得、弾性圧縮可能要素の近位部分を第1の管状体に、および遠位部分を第2の管状体に接続することによって提供され得る。いくつかの実施例において、弾性圧縮可能要素は、停止部分とキャップとの間に延在するように提供される。
【0062】
代替的に、付勢要素は、弾性伸長可能要素(例えば、引張りばね)であり得、弾性伸長可能要素の近位部分を第2の管状体に、および遠位部分を第1の管状体に接続することによって提供される。
【0063】
デバイスは、ユーザに対して、本明細書において開示された実施例のうちの任意のものによるコネクタと、コネクタによって受容される装填チューブとを備える部品のキットとして提供され得る。装填チューブはマーカを備え得、装填チューブは、マーカが第2の近位端部に位置付けられるまで装填チューブを第2の近位端部内に挿入することによって、第2の近位端部によって受容されるように構成され得る。医療移植組織の移送のための確実な接続が達成されるように送達カテーテルが接続されるとき、ユーザは、マーカ、コネクタおよび装填チューブの視覚的な手掛かりから、コネクタにおける意図された位置まで装填チューブが延在するように容易に組み立てることができる。
【0064】
本明細書において説明されるコネクタは、任意の医療移植組織、例えば、図8において示されるようなステム910とステムから径方向外側に延在する複数の柔軟性剛毛920とを有する塞栓形成デバイス900のために適し得る。剛毛の第1のグループは、第1の長手方向に延在するように構成された第1の剛毛セグメント920aにグループ化され得る。剛毛の第2のグループは、第1の長手方向とは反対向きの第2の長手方向に延在するように構成された第2の剛毛セグメント920bにグループ化され得る。移植組織900は、例えば、いずれかの側に剛毛を有するセグメントの一方の長手方向内側に設置された流動規制膜930も備え得る。
【0065】
図9Aは、装填チューブ180における移植組織900を示す。装填チューブ180は、本明細書において開示されるコネクタのうちの任意のものを使用して送達カテーテル190に接続される(簡略化のために、図9Aにおいてコネクタは省略されている)。コネクタを使用して装填チューブ180が送達カテーテル190に接続されると、移植組織900は、装填チューブ180を通って遠位方向に押され得(例えば、装填チューブ180を通って長手方向に延在する押圧要素を使用する)、次に、送達カテーテル190内に押され得る。図9Bは、装填チューブ180から移送された後の、送達カテーテル190における移植組織900を示す。
【0066】
1つの示された実施例に関して説明された特徴は、他の実施例にも適用可能であることは理解されよう。例えば、任意の適切な付勢要素が、各実施例において使用され得、上記において開示されたデバイスの任意の適切なポイントに位置付けられ得る。更に、開示されたコネクタのうちの任意のものは、離間要素、停止要素、または本明細書において説明された他の要素のうちの任意のもののうちの1つまたは複数を追加的に備え得る。
【0067】
コネクタの様々な構成要素は、任意の適切な材料から作製され得る。例えば、構成要素は、成形プラスチックまたは金属から作製され得る。
【0068】
上記の全ては完全に本開示の範囲内にあり、上記において開示された特定の組み合わせに限定されることなく、上述された特徴の1つまたは複数の組み合わせが適用される代替的な実施形態の基礎を形成するものとみなされる。
【0069】
このことに鑑みて、本開示の教示を実現する多くの代替例が存在するであろう。当業者は、当技術分野における通常の一般的な知識に鑑みて、本開示の範囲内で、開示されているかまたは上記から導出されるかに関わらず本開示のいくつかのまたは全ての技術的効果を維持しながら、上記の開示をそれ自体の環境および要件に適するように変更および適合させることができるものと予期される。全てのこのような同等物、変更、または適合は、本開示の範囲内にある。
【符号の説明】
【0070】
100 コネクタ
110 第1の接続部分
120 遠位端部
130 第2の接続部分
150 近位端部
160 付勢要素
170 矢印
180 装填チューブ
190 送達カテーテル
195 矢印
210 矢印
220 矢印
310 矢印
320 矢印
410 離間要素
610 停止要素、ストッパ
710 ルアーロック
715 第2の管状体
720 グリップ
725 第1の管状体
730 キャップ
740 内側管状体
750 停止部分、停止要素
760 摩擦嵌合部
810 停止部分、停止要素
815 第2の管状体
820 キャップ
825 第1の管状体
900 移植組織、塞栓形成デバイス
910 ステム
920 剛毛
920a 第1の剛毛セグメント
920b 第2の剛毛セグメント
930 流動規制膜
950 テーパー状の近位部分
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C