(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】固定具、及び固定装置
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20231023BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20231023BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
(21)【出願番号】P 2022564374
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 JP2022017271
(87)【国際公開番号】W WO2023026579
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/030842
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591135794
【氏名又は名称】高島株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】神原 崇之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 正輝
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-180159(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0179606(US,A1)
【文献】特開2018-21361(JP,A)
【文献】特開2015-158101(JP,A)
【文献】特許第4429028(JP,B2)
【文献】特開2020-165280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H02S 20/23
E04D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の太陽光モジュールを取付対象に取り付ける固定具であって、
前記太陽光モジュールを載置し、前記取付対象上に配置される支持部材と、
前記支持部材を介して、前記取付対象に固定部材により固定される基部、及び、前記基部に設けられ、前記太陽光モジュールの前記取付対象から離れる方向の移動を規制する規制部を有する押さえ部材と、
前記基部と前記取付対象との間に前記基部に対して傾斜する姿勢で設けられ、前記基部が前記取付対象に前記固定部材により固定されると、前記基部に押圧されて変形し、前記規制部の姿勢を前記太陽光モジュールの前記取付対象から離れる方向の移動を規制する姿勢とする変形部と、
を備える固定具。
【請求項2】
前記基部が前記取付対象に前記固定部材により固定される前において、前記変形部は、前記規制部を、前記規制部が前記太陽光モジュールの移動を規制する姿勢に対して傾斜させるとともに、前記規制部の傾斜方向と異なる向きに傾斜する、請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記変形部は、復元力を有する付勢部材である、請求項1に記載の固定具。
【請求項4】
前記取付対象及び前記基部の間に配置される介装部を備え、
前記変形部は、前記基部及び前記介装部の間に設けられ、
前記規制部は、前記基部に設けられて前記基部から立ち上がり、前記太陽光モジュールの側面と対向する第1規制部、前記第1規制部に設けられて前記太陽光モジュールの前記取付対象と反対側の主面に対向する第2規制部を備える、請求項1に記載の固定具。
【請求項5】
前記介装部に設けられ、前記太陽光モジュールの前記取付対象側の主面を支持する支持部備え、
前記第1規制部は、隣接する2つの太陽光モジュールの間に配置され、
前記第2規制部は、前記2つの太陽光モジュールの一方に対向する第3規制部、及び前記2つの太陽光モジュールの他方に対向する第4規制部を備える、
請求項4に記載の固定具。
【請求項6】
前記固定部材は、軸部を有し、
前記変形部は、前記基部及び前記軸部の間に設けられる、
請求項1に記載の固定具。
【請求項7】
前記固定部材は、ボルト、及び前記取付対象及び前記基部を介して前記ボルトに螺合するナットである、請求項1に記載の固定具。
【請求項8】
請求項1に記載の固定具と、
前記固定部材及び前記太陽光モジュールの設置場所に固定されるベース部材である前記取付対象のうち少なくともどちらか一方と、
を備える、固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光モジュールを設置場所に固定する固定具、及び固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、例えば家屋の屋根に複数固定した太陽光モジュールを用いて発電する太陽光発電システムが知られている。太陽光モジュールを屋根に固定する技術として、日本国特開2018-109322号公報には、屋根の隣接する2つの太陽光モジュールの間にベース部材を固定し、このベース部材に、隣接する2つの太陽光モジュールの縁部を押さえる押さえ部材を、ボルト及びナットにより固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボルト及びナットによる固定には以下の問題があった。すなわち、ボルト及びナットの締結忘れの有無を確認する為に、例えば、作業者が手作業によりボルト及びナットのゆるみを確認することが考えられるが、手作業による確認作業は、効率が悪い。
【0005】
この為、本発明は、固定装置を取り付け対象に固定する固定部材の固定忘れの有無の確認作業の効率を向上できる固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の実施形態に係る固定具は、板状の太陽光モジュールを取付対象に取り付ける固定具であって、支持部材と、押さえ部材と、変形部と、を備える。支持部材は、前記太陽光モジュールを載置し、前記取付対象上に配置される。押さえ部材は、前記支持部材を介して、前記取付対象に固定部材により固定される基部、及び、前記基部に設けられ、前記太陽光モジュールの前記取付対象から離れる方向の移動を規制する規制部を有する。変形部は、前記基部と前記取付対象との間に前記基部に対して傾斜する姿勢で設けられ、前記基部が前記取付対象に前記固定部材により固定されると、前記基部に押圧されて変形し、前記規制部の姿勢を前記太陽光モジュールの前記取付対象から離れる方向の移動を規制する姿勢とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固定装置を取り付け対象に固定する固定具の固定忘れの有無の確認作業の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る固定装置を用いた太陽光発電システムを示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同太陽光発電システムを示す断面図である。
【
図4】
図4は、同固定装置のベース部材及び支持部材を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、同固定装置の仮止め状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、同固定装置の変形例を示す側面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態に係る太陽光発電システムを示す断面図である。
【
図13】
図13は、同太陽光発電システムの固定装置を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、同固定装置の仮止め状態を示す断面図である。
【
図15】
図15は、同太陽光発電システムの変形例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、同太陽光発電システムの固定装置の変形例を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、同固定装置の仮止め状態を示す断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第3実施形態に係る太陽光発電システムを示す断面図である。
【
図19】
図19は、同太陽光発電システムのベース部材を示す正面図である。
【
図20】
図20は、固定装置及び軒側固定装置の仮止め状態を示す断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の第4実施形態に係る太陽光発電システムを示す断面図である。
【
図22】
図22は、同太陽光発電システムの押さえ部材を示す斜視図である。
【
図24】
図24は、固定装置の仮止め状態を示す断面図である。
【
図26】
図26は、本発明の第5実施形態に係る太陽光発電システムを示す断面図である。
【
図28】
図28は、同固定装置のベース部材及び支持部材を示す斜視図である。
【
図29】
図29は、同固定装置の仮止め状態を示す断面図である。
【
図30】
図30は、同固定装置の支持部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態に係る固定装置3を、
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1は、太陽光発電システム1を示す分解斜視図である。
図2は、太陽光発電システム1を示す断面図である。
図2では、右側が棟側であり、左側が軒側である。
図3は、固定装置3を示す斜視図である。
図4は、固定装置3のベース部材20及び支持部材22を示す斜視図である。
図5は、ベース部材20を示す斜視図である。
図6は、ベース部材20を示す平面図である。
図7は、ベース部材20を示す正面図である。
図8は、仮止め状態の固定装置3を示す断面図である。
図8では、右側が棟側であり、左側が軒側である。
【0010】
図1に示すように、太陽光発電システム1は、設置場所の一例として、家屋の屋根200に設置される。
図2に示すように、屋根200は、例えば、複数の屋根材201を備える。屋根材201は、例えばスレートである。屋根材201は、野地板202の上面203に設けられる。屋根材201は、棟側の端部が野地板202に載置され、軒側の端部が当該屋根材201より軒側の別の屋根材201上に載置される。屋根材201の上面204の、上下方向に対する傾斜方向である第1方向V1は、野地板202の上面203の上下方向に対する傾斜方向である第2方向V2と交差する。
【0011】
太陽光発電システム1は、
図1に示すように、複数の太陽光モジュール2と、複数の固定装置3と、複数の軒側固定装置4と、複数の化粧板5と、を備える。複数の太陽光モジュール2は、複数の固定装置3及び複数の軒側固定装置4により、屋根200に取り付けられる。複数の太陽光モジュール2は、例えば、棟から軒へ向かう方向に平行な第3方向V3、及び第3方向V3に直交する第4方向V4の双方向に複数配置される。なお、太陽光モジュール2の数は、設置場所の広さや求められる出力等によって適宜設定される。
【0012】
太陽光モジュール2は、板状に構成される。太陽光モジュール2は、例えば、太陽光パネル10と、フレーム11と、を備える。太陽光パネル10は、太陽電池素子により構成された複数のセル12が板状に一体に固定されて構成される。太陽光パネル10は、例えば矩形状の板状に構成される。
【0013】
図2に示すように、フレーム11は、太陽光パネル10の縁部に設けられる。
図2では、太陽光モジュール2は、断面が示されている。フレーム11は、導電性を有する金属材料より構成される基材、及び当該基材の表面に設けられて腐食を防ぐ保護層を有する。保護層は、例えば基材にメッキ処理が施されることで形成される。
【0014】
フレーム11は、例えば、上面部13と、側面部14と、下面部15と、を備える。上面部13は、太陽光パネル10の上面16の縁部、下面17の縁部、及び側面18を囲む形状に形成される。側面部14は、上面部13から下方に延設される。下面部15は、側面部14の下端からフレーム11の内方に延設される。
【0015】
固定装置3は、
図1及び
図2に示すように、例えば、第3方向V3に隣接する2つの太陽光モジュール2の間に設けられる。固定装置3は、これら隣接する2つの太陽光モジュール2を屋根200に固定する。
【0016】
図2及び
図3に示すように、固定装置3は、例えば、ベース部材20と、ベース部材20を屋根200に固定する固定部材21と、固定具6と、固定具6をベース部材20に固定する固定部材としてのボルト24及びナット25と、を備える。
【0017】
ベース部材20は、太陽光モジュール2が取り付けられる取付対象の一例である。ベース部材20は、一方向、例えば、屋根200に固定したときに第3方向V3に長い形状に形成される。ベース部材20の長手付方向の長さは、太陽光モジュール2の第3方向V3に沿う長さより小さい寸法に設定される。ベース部材20の上面26は、ベース部材20が屋根200に固定された状態において野地板202の上面203と平行になる平面に形成される。野地板202は、屋根材201が設けられる屋根200の基材の一例である。ベース部材20は、上面26がこの基材の上面と平行となる平面に形成される。
【0018】
ベース部材20は、例えば、
図2乃至
図5、
図7及び
図8に示すように、基部30と、一対の縦壁部34と、一対のフランジ31と、を備える。
【0019】
基部30の上面は、ベース部材20の上面26を構成する。上面26は、平面に形成される。基部30は、一方向に長い板状に形成される。基部30は、溝35と、規制部36と、を備える。
【0020】
溝35は、基部30を貫通し、基部30の長手方向に沿って延びる。溝35は、例えば、基部30の幅方向で中央に配置され、長手方向で基部30の一端の近傍から他端の近傍まで延びる。溝35は、ボルト24の後述するねじ部24cを、溝35の長手方向に移動可能に配置する。
【0021】
溝35は、第1部分37と、第2部分38と、を備える。第1部分37は、溝35の例えば一端部を構成する。第1部分37の、溝35の長手方向に沿う長さ及び幅は、ボルト24の後述するヘッド部24aが通過可能な寸法に設定される。
【0022】
第2部分38は、第1部分37より溝35の他端側を構成する。第2部分38の、溝35の長手方向に沿う長さ及び幅は、ねじ部24cを配置可能であり、ヘッド部24aが通過不能な寸法に設定される。本実施形態では、例えば、第2部分38の幅は、ボルト24の後述する基部24bを移動可能な幅に設定される。第2部分38の幅方向で一方の長手方向に沿う縁は、第1部分37の縁に直線状に連続する。
【0023】
規制部36は、ボルト24が回転することを規制可能に構成される。規制部36は、例えば、基部30の下面に設けられる。規制部36は、例えば、第2部分38の長手方向に沿う両縁に設けられる一対の縦壁部36aを備える。一対の縦壁部36a間の幅は、ボルト24の基部24bを配置可能であり、基部24bの外面に一対の縦壁部36aの内面が当接することでボルト24の回転を規制する幅に設定される。
【0024】
なお、規制部36は、他の例では、溝35の内面により構成されてもよい。例えば、基部30の厚みが、ボルト24及びナット25が締結された状態で基部24bの少なくとも一部を溝35内に配置する寸法である場合は、溝35の内面が基部24bに当接することで、ボルト24の回転が規制される。
【0025】
一対の縦壁部34は、例えば、基部30の長手方向に沿う縁に形成される。一対の縦壁部34の上下方向の長さは、ベース部材20が屋根200に固定された状態で、上面26が野地板202の上面203と平行な平面となる寸法に設定される。本実施形態の例では、縦壁部34の上下方向の長さは、軒側の一端、すなわち第1部分37側の一端から他端側に漸次長くなる寸法に設定される。
【0026】
一対のフランジ31は、一対の縦壁部34の外面の下端縁に形成される。一対のフランジ31は、例えば、矩形板状に形成される。一対のフランジ31には、固定部材21が挿通される孔32が1または複数形成される。孔32は、例えば、フランジ31の長手方向で一端側及び他端側のそれぞれに形成される。
【0027】
また、ベース部材20には、マーク26aが形成される。マーク26aは、例えば、凸部または凹みにより構成される。なお、マーク26aは、印刷によって構成されてもよい。マーク26aは、ベース部材20の軒側または棟側に配置される端部に形成され、ベース部材20の軒側の端部、または棟側の端部を示す。本実施形態では、マーク26aは、例えば、フランジ31の軒側の端部に形成され、軒側の端部を示す。マーク26aは、例えば、「軒」を表す文字、及び軒を指す矢印等の形状に形成される。
【0028】
固定部材21は、例えば、ねじである。固定部材21は、孔32に挿通されて屋根材201及び野地板202に締結されることで、ベース部材20を屋根材201及び野地板202に固定する。
【0029】
固定具6は、ベース部材20に載置される支持部材22と、太陽光モジュール2の上面19の一例であるフレーム11の上面部13を押さえる押さえ部材23と、付勢部44と、を備える。
【0030】
支持部材22は、
図2乃至
図4に示すように、基部30の上面26に載置される。支持部材22は、太陽光モジュール2のベース部材20側の主面の一例である太陽光モジュール2の下面の一部、例えば縁部の一部を支持する支持部を備える。すなわち、
図2乃至
図4に示すように、支持部材22は、太陽光モジュール2を載置し、ベース部材20上に配置される。支持部材22は、
図3及び
図4に示すように、例えば、支持部材用基部(介装部)41と、第1支持部42と、第2支持部43と、付勢部44と、を備える。支持部材22は、例えば、アルミ、鉄、または、樹脂で形成される。
【0031】
支持部材用基部41は、基部30の上面26に載置される。支持部材用基部41は、例えば矩形板状、具体的にはベース部材20の幅方向に長い矩形板状に形成される。支持部材用基部41の長手方向の長さは、基部30の幅より大きい寸法を有する。支持部材用基部41は、ボルト24のねじ部24cを配置する孔45を有する。また、支持部材用基部41は、付勢部44を配置する孔46を有する。孔46は、例えば、孔45の両側にそれぞれ形成される。2つの孔46は、例えば支持部材用基部41を厚み方向に貫通し、幅方向に開口する。
【0032】
第1支持部42は、第3方向V3に並ぶ隣り合う2つの太陽光モジュール2のうち、棟側の一方の下面の縁部の一部を支持する。第1支持部42は、例えば、支持部材用基部41の棟側、例えば棟側の縁の両端部にそれぞれ形成される。第1支持部42は、例えば、第1縦壁部47と、第1載置部48と、を備える。
【0033】
第1縦壁部47は、支持部材用基部41から立ち上がる板状に形成される。第1載置部48は、第1縦壁部47の上端に設けられる。第1載置部48は、太陽光モジュール2の下面の縁部の一部が載置される。第1載置部48は、例えば、第2支持部43側に延出する矩形板状に形成される。例えば、第1載置部48は、第2支持部43側の先端に向かって支持部材用基部41側に傾斜する。第1載置部48の先端の、支持部材用基部41に対する高さは、第1縦壁部47の上端の、支持部材用基部41に対する高さより低い。第1載置部48の上面には第1突部48aが形成される。第1突部48aは、例えば鋭頭に形成される。太陽光モジュール2が第1載置部48に載置されると、第1突部48aは、フレーム11の表面の保護層を突き破って基材と当接する。第1突部48aは、例えば、第1載置部48の第1縦壁部47側に配置される。第1載置部48の第1縦壁部47側とは、例えば、第1載置部48の第1縦壁部47側の一端またはこの一端の近傍である。なお、
図3及び
図4に示すように、例えば、第1縦壁部47は、中央側の上部の一部が矩形状の開口または切欠を有する。これにより、第1縦壁部47は、上方側が二つの矩形板状の部位を有し、これらの部位に連続して、第1載置部48及び第1突部48aは一対設けられる。
【0034】
第2支持部43は、支持部材用基部41に設けられ、第3方向V3に並ぶ2つの太陽光モジュール2の軒側の一方の下面の縁部の一部を支持する。第2支持部43は、例えば、第2縦壁部49と、第2載置部50と、を備える。第2縦壁部49は、支持部材用基部41から立ち上がる板状に形成される。第2縦壁部49は、例えば支持部材用基部41の軒側の縁の一端から他端まで延びる。例えば第2縦壁部49及び支持部材用基部41の角部には、これを貫通する水抜き用の孔56が形成される。
【0035】
第2載置部50は、第2縦壁部49の上端に形成される。第2載置部50は、太陽光モジュール2の下面の縁部の一部が載置される。第2載置部50は、第1支持部42側に延出する矩形板状に形成される。第2載置部50の先端部52は、上方に屈曲する形状に形成される。第2載置部50の上面には、第2突部50aが形成される。第2突部50aは、例えば鋭頭に形成されており、太陽光モジュール2が載置されると、フレーム11の表面の保護層を突き破って基材と当接する。
【0036】
押さえ部材23は、
図2、
図3、及び
図8に示すように、支持部材22の支持部材用基部41上に、付勢部44を介して載置される。押さえ部材23は、太陽光モジュール2の移動を規制可能に構成される。押さえ部材23は、例えば、基部60と、規制部61と、を備える。押さえ部材23は、例えば、鉄、アルミ、または、ステンレスで形成される。
【0037】
基部60は、例えば押さえ部材23の下端を構成し、付勢部44上に配置される。基部60は、例えばベース部材20の幅方向に長い矩形板状に形成される。基部60の長手方向の長さは、例えば支持部材用基部41の長手方向の寸法と同じ寸法に設定される。基部60の短手方向の長さは、支持部材用基部41の短手方向の長さより小さい寸法に設定される。基部60は、ボルト24のねじ部24cが挿通可能であってヘッド部24aが挿通不能な孔60aが形成される。孔60aは、ねじ部24cの径より大きく、ねじ部24cが配置された状態で、規制部61が後述する第1状態P1及び第2状態P2の間で変位可能な寸法を有する。
【0038】
規制部61は、基部60に設けられて、太陽光モジュール2の移動を規制可能に構成される。規制部61は、例えば、第1規制部62と、第2規制部63と、を備える。
【0039】
第1規制部62は、基部60の上面の軒側、例えば軒側の縁から上方に立ち上がる形状に形成される。第1規制部62は、例えば矩形板状に形成される。第1規制部62の棟側の面は、棟側の太陽光モジュール2の軒側の側面部14に当接することで、この太陽光モジュール2の軒側への移動を規制する。第1規制部62の棟側の面には、棟側の太陽光モジュール2の下面の縁部の一部が配置される第3載置部62aが設けられる。第3載置部62aは、板状に形成される。
【0040】
第1規制部62の軒側の面は、軒側の太陽光モジュール2の棟側の側面部14に当接することで、この太陽光モジュール2の棟側への移動を規制する。第1規制部62の軒側の面には、第2載置部50の先端部52が配置可能な凹み64が形成される。凹み64の深さは、先端部52の厚さと略同じ寸法に設定される。
【0041】
第1規制部62は、太陽光モジュール2がベース部材20に取り付けられた状態で、太陽光モジュール2の側面部14に当接してもよい。または、第1規制部62は、側面部14との間に隙間を有し、太陽光モジュール2が軒側または棟側に所定距離移動すると、側面部14に当接することで、太陽光モジュール2の移動を規制してもよい。
【0042】
第2規制部63は、例えば第1規制部62の上端に形成される。第2規制部63は、太陽光モジュール2の、ベース部材20とは反対側の主面の一例であるフレーム11の上面部13と当接することで、太陽光モジュール2の、ベース部材20から離れる方向の移動を規制する。第2規制部63は、例えば、第3規制部65と、第4規制部66と、を備える。
【0043】
第3規制部65は、棟側に延設される板状に形成される。第3規制部65は、第3載置部62aと対向する。第3規制部65及び第3載置部62a間の距離は、
図2に二点鎖線で示すように、第3規制部65及び第3載置部62a間に斜めの姿勢の太陽光モジュール2を挿入可能とする程度太陽光モジュール2の縁部の厚みより大きい寸法に設定される。ここで、斜めの姿勢とは、第3規制部65及び第3載置部62aの延設方向に対して、太陽光モジュール2の長手方向が傾斜し、太陽光モジュール2の棟側の一端が、軒側の一端よりも上方に配置される姿勢である。第3規制部65は、太陽光モジュール2が固定具6に取り付けられた状態で太陽光モジュール2の上面部13に当接してもよく、または、太陽光モジュール2が上方に所定距離移動されると太陽光モジュール2に当接することで、太陽光モジュール2の移動を規制してもよい。
【0044】
第4規制部66は、軒側に延設される板状に形成される。第4規制部66は、規制部61が第1状態P1にあるときに、第2載置部50と対向する。規制部61が第1状態P1にあるときの第4規制部66及び第2載置部50間の距離は、太陽光モジュール2の縁部の厚みと同じ、または、太陽光モジュール2の上面に平行な方向に移動させることで第4規制部66及び第2載置部50間に太陽光モジュール2を挿入可能な程度太陽光モジュール2の縁部の厚みより大きい距離に設定される。第4規制部66は、太陽光モジュール2が固定具6に取り付けられた状態で太陽光モジュール2の上面部13に当接してもよく、または、太陽光モジュール2が上方に所定距離移動されると太陽光モジュール2に当接することで、太陽光モジュール2の移動を規制してもよい。
【0045】
付勢部44は、例えば支持部材用基部41と一体に形成される。付勢部44は、押さえ部材23が載置される。付勢部44は、ボルト24及びナット25が締結されて押さえ部材23を介して押圧されることで変形して、規制部61を変位させて第1状態P1にする。第1状態P1は、規制部61が太陽光モジュール2の移動を規制可能な状態であり、本実施形態では、第1規制部62が太陽光モジュール2のフレーム11の側面部14に当接可能であり、かつ、第2規制部63がフレーム11の上面部13に当接可能な姿勢にある状態である。
【0046】
また、付勢部44は、ナット25及びボルト24が締結されていない非固定状態では、
図8に示すように、押さえ部材23の規制部61を、第1状態P1とは異なる第2状態P2にする。第2状態P2は、第1状態P1に対して棟側に傾斜する姿勢にある状態である。第2状態P2では、第4規制部66と太陽光モジュール2の上面部13との間に、第1状態P1に比較して大きな隙間を有する。
【0047】
付勢部44は、例えば、支持部材用基部41の一対の孔46の第1支持部42側の縁に形成される。付勢部44は、例えば第2支持部43側に向かって上方に延出する板状に形成される。付勢部44は、
図8に示すように、例えば押さえ部材23の基部60の下面の、第1支持部42側の一端から他端側の中途部まで延びる。
【0048】
付勢部44は、上方から押圧されると、付勢部44の上面44aが支持部材用基部41の上面と面一となる位置まで、孔46の縁回りに回転可能に形成される。また、付勢部44は、孔46内に配置可能な大きさに形成される。付勢部44の厚みは、支持部材用基部41の厚み以下の寸法に設定される。付勢部44は、初期位置、すなわち押圧されていない状態の位置から回転すると、初期位置側に戻ろうとする復元力を有する。この復元力は、例えば、ボルト24及びナット25が締結された後、ナット25をゆるめることで、規制部61を第1状態P1から第2状態P2に戻す復元力である。
【0049】
図2に示すように、付勢部44は、下方に向かって押圧されて変形することで、押さえ部材23を、第3規制部65が棟側の太陽光モジュール2の移動を規制し、第4規制部66が軒側の太陽光モジュール2の移動を規制する姿勢とする。すなわち、第3規制部65及び第4規制部66は、太陽光モジュール2の上面の一部に当接する第1状態P1となる。
【0050】
また、付勢部44は、
図8に示すように、初期位置にある状態すなわち下方に押圧されていない状態では、押さえ部材23を棟側に傾斜させる。すなわち、第3規制部65及び第4規制部66は、第1状態P1に対して第1支持部42側に傾斜する第2状態P2となる。
【0051】
ボルト24及びナット25は、支持部材22及び押さえ部材23をベース部材20に固定する固定部材の一例である。この固定部材は、例えば軸部を備える。ボルト24の軸部24cは、この軸部の一例である。ボルト24及びナット25は、ベース部材20、支持部材22及び押さえ部材23を介して締結されることで、支持部材22及び押さえ部材23を、ベース部材20に固定する。また、ボルト24及びナット25は、締結されることで押さえ部材23を下方に押圧して付勢部44を変形して、押さえ部材23の姿勢を変化させることで、規制部61を第2状態P2から第1状態P1にする。
【0052】
ボルト24は、規制部36に当接してボルト24の回転を規制する当接部を有する。当接部は、例えば、ボルト24のヘッド部24a及びねじ部24cの間に設けられる。ボルト24は、例えば、角根丸頭ボルトであり、ヘッド部24aと、当接部の一例である基部24bと、ねじ部24cと、を有する。基部24bは、多角形例えば矩形状に形成される。ボルト24は、例えばヘッド部24aをベース部材20の基部30の下方に配置する姿勢で、ねじ部24cが、ベース部材20の溝35、支持部材22の孔45、及び押さえ部材23の孔60aに挿通される。ナット25は、例えばねじ部24cの基部60より上方の部分に螺合される。ナット25は、支持部材22の支持部材用基部41、及び押さえ部材23の基部60を介してボルト24と締結される。
【0053】
軒側固定装置4は、
図2に示すように、最も軒先側に配置される太陽光モジュール2を固定する。軒側固定装置4は、太陽光モジュール2を固定する固定装置の一例である。軒側固定装置4は、例えば、ベース部材20と、固定部材21と、支持部材22と、軒側押さえ部材70と、ボルト24と、ナット25と、を備える。
【0054】
軒側押さえ部材70は、押さえ部材23に対して、第4規制部66を備えず、化粧板5が係合される係合部72を備える点が異なる。すなわち、軒側押さえ部材70は、基部60と、第1規制部62と、第3規制部65と、係合部72と、を備える。係合部72は、化粧板5が係合される。係合部72は、例えば、第1規制部62の軒側の面に形成される。
【0055】
化粧板5は、
図2に示すように、軒側固定装置4の軒側押さえ部材70及び支持部材22の軒側を覆う。化粧板5は、本体5aと、被係合部5bと、を備える。本体5aは、板状に形成される。被係合部5bは、軒側押さえ部材70の係合部72に係合される。
【0056】
次に、固定装置3及び軒側固定装置4を用いた太陽光モジュール2の屋根200への固定作業を、最も軒側に配置される太陽光モジュール2、及びこの太陽光モジュール2に対して棟側に配置される太陽光モジュール2を固定する作業を一例に説明する。この説明では、最も軒側に配置される太陽光モジュール2を第1太陽光モジュール2Aと称し、棟側に配置される太陽光モジュール2を第2太陽光モジュール2Bと称する。
【0057】
作業者は、まず、仮止め状態の複数の固定装置3、及び仮止め状態の複数の軒側固定装置4を、屋根200の固定する位置に配置する。仮止め状態とは、ナット25がボルト24に締結されていない状態であって、規制部61が第2状態P2にある状態である。仮止めの状態では、支持部材22及び押さえ部材23は、溝35に沿って移動可能である。作業者は、ベース部材20をマーク26aが軒側に配置されて溝35が第3方向V3に平行となる姿勢にして、固定部材21により屋根200に固定する。
【0058】
次に、作業者は、係合部72に被係合部5bを係合させて、軒側固定装置4の軒側押さえ部材70に化粧板5を固定する。次に作業者は、ボルト24及びナット25を締結して、支持部材22及び軒側押さえ部材70をベース部材20に固定する。ボルト24及びナット25が締結されることで軒側押さえ部材70の基部60によって付勢部44が下方に押圧されて変形して、軒側押さえ部材70の第3規制部65が第1状態P1になる。
【0059】
次に、作業者は、軒側固定装置4のボルト24及びナット25が締結されていることを確認する。ボルト24及びナット25が締結されていると、規制部61は第1状態P1となる。ボルト24及びナット25が締結されていない状態では、規制部61は、第2状態P2である。作業者は、規制部61が第1状態P1であると、ボルト24及びナット25が締結されていると認識する。規制部61が第2状態P2である場合は、作業者は、ナット25を締めて、ボルト24及びナット25を締結する。
【0060】
次に、作業者は、
図2に示すように、第1太陽光モジュール2Aを傾斜させて、第3規制部65及び第3載置部62a間に端部を挿入する。次に、作業者は、第1太陽光モジュール2Aの棟側の端部を下げて、第1太陽光モジュール2Aを第1載置部48及び第3載置部62aに載置する。第1載置部48及び第3載置部62aに第1太陽光モジュール2Aが載置されると、第1突部48aがフレーム11のメッキ層を破り基材と当接することで、フレーム11の基材及び支持部材22が導通する。
【0061】
次に、作業者は、第1太陽光モジュール2Aの下面の棟側の端部を、第1太陽光モジュール2Aに対して棟側に固定された固定装置3の支持部材22の第2載置部50上に載置する。作業者は、支持部材22及び押さえ部材23を溝35に沿って移動することで、支持部材22及び押さえ部材23の位置を調整する。第1太陽光モジュール2Aが第2載置部50に載置されると、第2突部50aがフレーム11の保護層を破り基材と当接することで、フレーム11の基材及び支持部材22が導通する。
【0062】
次に、作業者は、固定装置3のボルト24及びナット25を締結して、支持部材22及び押さえ部材23をベース部材20に固定する。ボルト24及びナット25が締結されると、第3規制部65及び第4規制部66が第2状態P2から第1状態P1になる。次に、作業者は、軒側固定装置4と同様に、ボルト24及びナット25が締結されていることを確認する。ボルト24及びナット25が締結されていない場合は、
図8に示すように、第3規制部65及び第4規制部66が第2状態P2である。
【0063】
次に、作業者は、第2太陽光モジュール2Bを、第1太陽光モジュール2Aと同様に傾斜する姿勢で、第3規制部65及び第3載置部62a間に挿入する。次に、作業者は、第2太陽光モジュール2Bの棟側の端部を下げて、第2太陽光モジュール2Bを第1載置部48及び第3載置部62aに載置する。第1載置部48及び第3載置部62aに第2太陽光モジュール2Bが載置されると、第1突部48aがフレーム11の保護層を破り基材と当接することで、フレーム11の基材及び支持部材22が導通する。
【0064】
次に、作業者は、上述の固定装置3による第1太陽光モジュール2Aの棟側の端部の固定作業と同様に、さらに棟側に固定される固定装置3によって、第2太陽光モジュール2Bの棟側の端部を固定する。以上により、固定装置3及び軒側固定装置4を用いた、第1太陽光モジュール2A及び第2太陽光モジュール2Bの固定作業が完了する。
【0065】
作業者は、軒側から3枚目以降の太陽光モジュール2についても同様の工程を繰り返すことにより、複数の太陽光モジュール2を屋根200に固定する。第3方向V3に並ぶ1列の複数の太陽光モジュール2は、複数の固定装置3の支持部材22及び複数のフレーム11を介して導通する。作業者は、例えば最も棟側の固定装置3の支持部材22にアース線を取り付け、軒側から棟側に並ぶ一列の複数の太陽光モジュール2をまとめてアースする。以上により、複数の固定装置3及び複数の軒側固定装置4を用いた複数の太陽光モジュール2の屋根200への固定作業が完了する。
【0066】
次に、ベース部材20が屋根200に固定された状態でのボルト24の交換作業の一例を説明する。作業者は、ボルト24を交換する場合は、先ず、ナット25及び押さえ部材23をねじ部24cから外す。次に、作業者は、ヘッド部24aを第1部分37に移動する。次に作業者は、ヘッド部24aを、第1部分37を通して上方に移動することで、ボルト24をベース部材20から外す。次に作業者は、他のボルト24のヘッド部24aを、第1部分37を通して下方に移動することで、ボルト24をベース部材20に取り付ける。以上により、ボルト24の交換作業が完了する。
【0067】
このように構成される固定装置3は、ボルト24及びナット25が締結されていない状態では、付勢部44により押さえ部材23が傾斜することで、規制部61は第2状態P2となる。この為、作業者は、規制部61が第2状態P2であることを目視で確認することで、ボルト24及びナット25が締結されていないことを認識できる。この為、作業者は、ボルト24及びナット25の締結忘れ、すなわち固定具6の固定忘れの有無の確認作業の効率を向上できる。
【0068】
さらに、付勢部44は、復元力を有する。この為、規制部61が第1状態P1にあるとき、ナット25は、基部60を介して付勢される。この為、ナット25がゆるむことを防止できる。
【0069】
さらに、固定装置3は、支持部材22を、ボルト24及びナット25を用いて押さえ部材23とともにベース部材20に固定する。この為、支持部材22及び押さえ部材23がずれることを防止できるので、太陽光モジュール2の固定作業の効率を向上できる。
【0070】
さらに、固定装置3は、ベース部材20が、2つの太陽光モジュール2の間に設けられ、第1規制部62は棟側及び軒側の太陽光モジュール2の側面部14に当接可能に形成され、第2規制部63は棟側及び軒側の太陽光モジュール2の上面部13に当接可能に形成される。この為、1つの固定装置3により、2つの太陽光モジュール2の移動を規制できる。
【0071】
ベース部材20の上面26は、ベース部材20が屋根材201に固定された状態で、野地板202と平行となる平面に形成される。この為、太陽光モジュール2を、野地板202と平行に固定できる。
【0072】
さらに、ベース部材20は、仮固定状態の支持部材22及び押さえ部材23を溝35に沿って移動することができるので、太陽光モジュール2の固定作業時に、支持部材22及び押さえ部材23の位置を調整できる。この為、支持部材22及び押さえ部材23の位置を調整する際にベース部材20を取り外す必要がないので、太陽光モジュール2の固定作業の効率を向上できる。
【0073】
さらに、ベース部材20は、縦壁部34の上下方向の長さによって、上面26を野地板202と平行とする構成であるので、ベース部材20の構成を簡単にできる。さらに、ベース部材20は、マーク26aを備える。この為、ベース部材20固定する作業の効率を向上できる。
【0074】
さらに、溝35は、ヘッド部24aを挿通可能な第1部分37を備える。この為、ベース部材20を屋根200から取り外すことなくボルト24を交換できる。さらに、ベース部材20は、ボルト24の回転を規制する規制部36を備える。この為、ボルト24及びナット25の締結作業の効率を向上できる。さらに、規制部36は、溝35の一対縁に形成される一対の縦壁部36aを備える。この為、規制部36の構成を簡単にできる。
【0075】
さらに、支持部材22は、2つの太陽光モジュール2の下方に配置される。この為、支持部材22は、紫外線を受けにくくなる為、樹脂材料で形成することが可能となる。
【0076】
なお、上述の例では、付勢部44は、押さえ部材23の基部60の下面の、第1支持部42側の一端から他端側の中途部まで延びる形状に形成されたが、これに限定されない。他の例では、
図9に示すように、付勢部44は、基部60の下面の、第1支持部42側の一端から他端まで又は一端から他端を超えて延びる形状に形成される。
【0077】
また、上述の例では、付勢部44が支持部材用基部41と一体に形成される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、付勢部44は、
図10に示すように、支持部材22とは別部材であって押さえ部材23と一体に形成される。
図10に示す例では、付勢部44は、基部60の第1支持部42側の一端に形成される。または、他の例では、
図11に示すように、付勢部44は、支持部材22及び押さえ部材23の双方とは別体であってもよい。
図11に示す例では、付勢部44は、一枚の板部材を一カ所で屈曲させた楔状に形成される。なお、
図10及び
図11に示す例では、支持部材用基部41は、例えば、孔46を有さない構成であってもよい。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態に係る太陽光発電システム1Aを、
図12乃至
図14を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の機能を有する構成は、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図12は、太陽光発電システム1Aを示す断面図である。
図12では、右側が棟側であり、左側が軒側である。
図13は、太陽光発電システム1Aの固定装置3Aを示す斜視図である。
図14は、固定装置3Aの仮止め状態を示す断面図である。
図14では、右側が棟側であり、左側が軒側である。
【0079】
太陽光発電システム1Aは、例えば家屋の屋根200に設置される。太陽光発電システム1Aは、
図12に示すように、複数の太陽光モジュール2と、複数の固定装置3Aと、複数の軒側固定装置4Aと、複数の化粧板5と、を備える。
【0080】
固定装置3Aは、ベース部材20と、固定部材21と、押さえ部材23Aと、押さえ部材23Aをベース部材20に固定するボルト24及びナット25と、を備える。本実施形態では、押さえ部材23Aは、固定具の一例である。押さえ部材23Aは、例えば、介装部81と、付勢部44Aと、基部60と、規制部61Aと、第1支持部42と、第2支持部43、を備える。押さえ部材23Aは、例えばアルミで形成される。
【0081】
介装部81は、
図12に示すように、ベース部材20上に載置される。介装部81は、例えば矩形板状に形成される。介装部81は、第1縁81a、第2縁81b、第3縁81c、及び第4縁81dを有する。介装部81は、ベース部材20の幅方向に長い板状に形成される。第1縁81a及び第2縁81bは、長手方向に沿う縁である。介装部81は、ボルト24のねじ部24cを配置する孔87が形成される。介装部81の長手方向の長さは、ベース部材20の基部30の幅より大きい寸法に設定される。介装部81は、ねじ部24cが配置可能な孔87を有する。
【0082】
付勢部44Aは、介装部81に形成される。付勢部44Aは、例えば第1縁81aに形成される。付勢部44Aは、例えば介装部81の第1縁81aに対向する第2縁81b側に折り返す形状に形成される。付勢部44Aは、ボルト24及びナット25が締結されていない状態では、規制部61Aを第2状態P2にし、ボルト24及びナット25が締結されると、周方向の一端が介装部81に近づく方向に変形して、規制部61Aを第1状態P1にする。付勢部44Aは、ボルト24及びナット25が締結された状態からゆるめられると、規制部61Aを第1状態P1から第2状態P2側へ戻す復元力を有する。
【0083】
付勢部44Aは、例えば、介装部81から離れる方向に突となる湾曲状に形成される。ここで、付勢部44Aの開口する両端の一方から他方へ向かう方向を幅方向とする。幅方向は、介装部81の第1縁81aと平行である。付勢部44Aは、第1縁81aの一端から他端まで延びる。付勢部44Aは、幅方向に直交する断面が、幅方向で一端から他端まで一定の形状を有する。
【0084】
基部60は、付勢部44Aの周方向の一端に形成される。基部60は、付勢部44Aの一端で幅方向で一端から他端まで延びる。
【0085】
規制部61Aは、基部60に設けられて太陽光モジュール2の移動を規制可能に構成される。規制部61Aは、第1規制部62及び第2規制部63を備える。第1規制部62は、基部60の付勢部44Aに対して反対側に形成される。第1規制部62は、基部60の幅方向で一端から他端まで延びる。第1規制部62は、幅方向に直交する断面が、幅方向で一端から他端まで一定の形状を有する。第2規制部63は、第1規制部62の上端に形成される。第2規制部63は、第1規制部62の上端の幅方向で一端から他端まで延びる。規制部61Aは、幅方向に直交する断面が、幅方向で一端から他端まで一定の形状を有する。
【0086】
第1支持部42は、例えば付勢部44Aの上部に形成される。第1支持部42は、幅方向で付勢部44Aの一端から他端まで延びる。なお、第1載置部48は、例えば第1突部48aを有していない。第1載置部48は、例えば、ボルト24及びナット25が締結された状態では介装部81の上面と平行または略平行な平面となる平面に形成される。
【0087】
第2支持部43は、介装部81の、例えば軒側の一端に形成される。第2支持部43は、幅方向で介装部81の一端から他端まで延びる。第2支持部43は、幅方向に直交する断面が一定の形状を有する。なお、第2載置部50は、例えば第2突部50aを有していない。本実施形態において、これら介装部81、第1支持部42及び第2支持部43が支持部材を構成し、そして、このような支持部材を押さえ部材23Aが含む。
【0088】
軒側固定装置4Aは、ベース部材20と、固定部材21と、軒側押さえ部材70Aと、軒側押さえ部材70Aをベース部材20に固定するボルト24及びナット25と、を備える。軒側押さえ部材70Aは、固定具の一例である。軒側押さえ部材70Aは、固定装置3Aの押さえ部材23Aに対して、第4規制部66を備えず、係合部72を備える点が異なる。
【0089】
本実施形態では、
図14に示すように、ボルト24及びナット25が締結されていない状態では、規制部61は、第2状態P2となるので、第1実施形態と同様の作業及び効果が得られる。なお、軒側固定装置4においても、同様の作用及び効果が得られる。
【0090】
さらに、固定装置3Aは、支持部材22を備えない構成であるので、部品点数をすくなくできる。さらに、押さえ部材23Aは、幅方向に直交する断面が一定の形状を有するので、押し出し成形により形成できる。さらに、押さえ部材23Aをアルミで形成できるので、押さえ部材23Aはさびにくい。
【0091】
なお、上述の例では、押さえ部材23Aは、幅方向に直交する断面が一定の形状を有する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。押さえ部材23Aの他の例について、
図15乃至
図17を用いて説明する。
図15は、固定装置3Aの変形例を備える太陽光発電システム1Aを示す断面図である。
図15では、右側が棟側であり、左側が軒側である。
図16は、固定装置3Aの変形例を示す斜視図である。
図17は、固定装置3Aの変形例の仮止め状態を示す断面図である。
図17では、右側が棟側であり、左側が軒側である。
【0092】
図15乃至
図17に示すように、付勢部44Aは、介装部81の第1縁81aの中央側に形成され、第1支持部42は、第1縁81aの、幅方向で付勢部44Aの両側に形成される。第4規制部66は、第1規制部62の上端の幅方向で中央側に形成される。第3規制部65は、第1規制部62の上端の、幅方向で第4規制部66の両側に形成される。
【0093】
第2支持部43の第2縦壁部49は、介装部81の第2縁81bの規制部61Aを挟んで幅方向で両側のそれぞれに形成され、第2載置部50は、幅方向で中央に規制部61を配置する矩形状の孔50bを有する。孔50bの、規制部61Aと対向する縁に、先端部52が形成される。また、第2載置部50の第2縦壁部49と反対側の縁に、下方に延出する第3縦壁部53が形成される。第3縦壁部53は、規制部54が形成される。規制部54は、押さえ部材23Aのベース部材20に対する回転を規制可能に形成される。規制部54は、第3縦壁部53の下端の幅方向で中央側に形成され、ベース部材20の基部30及び一対の縦壁部34を間に配置する一対の突部55を備える。一対の突部55間の距離は、一対の縦壁部34の外面に当接することで押さえ部材23Aの回転を規制できる距離に設定される。
【0094】
このように構成される押さえ部材23Aは、例えば、ステンレスまたは鉄で形成される。このように構成される押さえ部材23Aは、例えば、介装部81、付勢部44A、規制部61A、第1支持部42、及び第2支持部43に対応する形状を有する一枚の板部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0095】
次に、本発明の第3実施形態に係る太陽光発電システム1Bを、
図18乃至
図20を用いて説明する。なお、第2実施形態と同様の機能を有する構成は、第2実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図18は、太陽光発電システム1Bを示す断面図である。
図18は、右側が棟側であり、左側が軒側である。
図19は、ベース部材20Bを示す正面図である。
図20は、固定装置3B及び軒側固定装置4Aの仮止め状態を示す断面図である。太陽光発電システム1Bは、例えば、屋根200に設置される。
図20は、右側が棟側であり、左側が軒側である。太陽光発電システム1Bは、
図18に示すように、複数の太陽光モジュール2と、複数の固定装置3Bと、複数の軒側固定装置4Bと、を備える。
【0096】
固定装置3Bは、ベース部材20Bと、ベース部材20Bを屋根200に固定する固定部材21と、押さえ部材23Bと、ボルト24と、ナット25と、を備える。ベース部材20Bは、例えば、本体90と、ボルト支持部91と、を備える。太陽光モジュール2は、ベース部材20Bの上面に載置される。なお、本実施形態では、屋根200は、例えば屋根材201を備えず、屋根200の上面が平面に構成される。
【0097】
図18及び
図19に示すように、本体90は、例えば、一方向に長い矩形の筒状に形成され、上壁93に長手方向で一端から他端まで延びる溝92が形成される。本体90は、上壁93上に太陽光モジュール2を載置することで、太陽光モジュール2を支持する支持部材を構成する。溝92は、上壁93を貫通する。溝92の幅は、ボルト24のねじ部24cを、溝92の長手方向に移動可能に配置する寸法に設定される。本体90の例えば底壁部96には、固定部材21を挿通する挿通孔97が形成される。挿通孔97は、例えば、1つの本体90に1つまたは複数形成される。
【0098】
ボルト支持部91は、ねじ部24cが上方に向く姿勢で、ヘッド部24aを支持する。本実施形態では、ボルト24は、基部24bを備えない構成であってもよい。ボルト支持部91は、本体90内に本体90の長手方向に移動可能に配置される。ボルト支持部91は、例えば、一対の側壁部94と、上壁部95と、を備える。一対の側壁部94の寸法、及び上壁部95の寸法は、ボルト支持部91が、本体90内に移動可能に嵌合する寸法に設定される。上壁部95は、ねじ部24cが挿通される孔95aが形成される。
【0099】
本実施形態では、押さえ部材23Bは、固定具の一例である。押さえ部材23Bは、
図18に示すように、例えば、介装部81と、付勢部44Aと、基部60と、規制部61Bと、を備える。規制部61Bは、例えば、基部60と、一対の第1規制部62と、第3規制部65と、第4規制部66と、を備える。
【0100】
付勢部44Aは、本実施形態では、介装部81の軒側の一端、及び基部60の軒側の一端に設けられる。
【0101】
一方の第1規制部62は、基部60の軒側または付勢部44に形成される。一方の第1規制部62は、例えば付勢部44に形成される。一方の第1規制部62は、軒側の太陽光モジュール2の側面部14が当接可能に形成される。他方の第1規制部62は、基部60の棟側に形成される。本実施形態では、他方の第1規制部62は、基部60の棟側の縁に形成される。他方の第1規制部62は、棟側の太陽光モジュール2の側面部14が当接可能に構成される。
【0102】
第3規制部65は、一方の第1規制部62の例えば上端に形成される。第4規制部66は、他方の第1規制部62の例えば上端に形成される。
【0103】
軒側固定装置4Bは、固定装置3Bに対して、他方の第1規制部62、及び第4規制部66を備えない構成である。
【0104】
このように構成された固定装置3B及び軒側固定装置4Bは、
図20に示すように、ボルト24及びナット25が締結されていない状態では、他方の第1規制部62及び第3規制部65が太陽光モジュール2から離間することで第2状態P2となる。このような固定装置3B及び軒側固定装置4Bは、第2実施形態と同様の作用及び効果が得られる。なお、第3方向V3に並ぶ軒側固定装置4B及び全ての固定装置3Bのそれぞれのベース部材20Bの本体90の少なくとも2つ、例えば全部は、一体に形成されてもよい。
【0105】
次に、本発明の第4実施形態に係る太陽光発電システム1Cを、
図21乃至
図25を用いて説明する。なお、第3実施形態と同様の機能を有する構成は、第3実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図21は、太陽光発電システム1Cを示す断面図である。
図21は、右側が棟側であり、左側が軒側である。
図22は、押さえ部材23Cを示す斜視図である。
図23は、押さえ部材23Cを示す断面図である。
図24は、固定装置3Cの仮止め状態を示す断面図である。
図24は、右側が棟側であり、左側が軒側である。
【0106】
太陽光発電システム1Cは、例えば屋根200に設置される。太陽光発電システム1Cは、複数の太陽光モジュール2と、複数の固定装置3Cと、を備える。複数の太陽光モジュール2は、複数の固定装置3Cにより、屋根200に固定される。
図21乃至
図24に示すように、固定装置3Cは、ベース部材20Bと、固定部材21と、押さえ部材23Cと、ボルト24と、一対のナット25と、を備える。
【0107】
本実施形態では、押さえ部材23Cは、固定具の一例である。押さえ部材23Cは、基部60と、一対の第1規制部62と、第3規制部65と、第4規制部66と、付勢部44Cと、を備える。第1規制部62の寸法は、第3規制部65及び第4規制部66が第1状態P1にある状態で、基部60の下面60e及びベース部材20Bの上面の間に隙間を有する寸法に設定される。一対の規制部62は、ベース部材20Bの幅方向で、例えば基部60の一端から他端まで延びる。第3規制部65及び第4規制部66は、ベース部材20Bの幅方向で、例えば基部60の一端から他端まで延びる。
【0108】
付勢部44Cは、基部60の下面60eに形成される。付勢部44Cは、下面60eから下方に延出する形状に形成される。付勢部44Cの一端は、例えば、孔60aの縁の棟側の第1規制部62側、または軒側の第1規制部62側に形成される。本実施形態では、付勢部44Cの一端は、孔60aの縁の棟側の第1規制部62側に形成される。また、付勢部44Cは、ベース部材20Bの幅方向で、例えば基部60の一端から他端まで延びる。
【0109】
付勢部44Cは、先端側に当接部104を有する。
図23に示すように、押さえ部材23Cがねじ部24cに取り付けられていない状態では、例えば当接部104は、孔60aの軸方向で孔60aと対向する位置に配置される。当接部104は、押さえ部材23Cがねじ部24cに取り付けられると、ねじ部24cに当接する。
【0110】
一方のナット25は、ボルト支持部91を介してボルト24に締結される。他方のナット25は、基部60を介してボルト24に締結される。
【0111】
付勢部44Cは、当接部104がねじ部24cに当接することで基部60を介して、押さえ部材23Cを押圧する。
図24に示すように、ボルト24及びナット25が締結されていない状態では、付勢部44Cによって押さえ部材23が傾斜することで、第3規制部65及び第4規制部66を第2状態P2にする。付勢部44Cは、他方のナット25がボルト24に締結されると、付勢部44Cが基部60により押圧されることで変形して、第3規制部65及び第4規制部66を第1状態P1にする。
【0112】
付勢部44Cは、例えば、下面60e側の一端及び当接部104の間に、屈曲部109を有する。屈曲部109は、ねじ部24c側に開く形状に形成される。押さえ部材23Cがねじ部24cに取り付けられると、当接部104がねじ部24cに当接する。屈曲部109は、押さえ部材23Cが取り付けられる前に比較して、開く。
【0113】
このように構成される固定装置3Cは、第2実施形態と同様の作用及び効果を有する。
【0114】
なお、上述の例では、付勢部44Cは、基部60と一体に形成される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、
図25に示すように、付勢部44Cは、基部60とは別部材に構成される。すなわち、付勢部44Cは、押さえ部材23Cとは別部材である。この変形例では、例えば、付勢部44Cの、基部60側の一端部105は、ねじ部24cを配置する環状に形成される。
【0115】
なお、本発明は、上述した各実施形態の構成に限定されない。例えば、上述した支持部材22は、第1載置部48上に太陽光モジュール2の下面の縁部の一部が載置されることから、支持部材22の強度を向上させる形状としてもよい。また、上述した第1実施例において、基部60がベース部材20にボルト24及びナット25により固定される前において、付勢部44は、規制部61を、規制部61が太陽光モジュール2の移動を規制する姿勢に対して傾斜させるとともに、規制部61の傾斜方向と同じ向きに傾斜する例を説明したが、これに限定されず、付勢部44は、規制部61の傾斜方向と異なる向きに傾斜する構成としてもよい。
【0116】
次に、本発明の第5実施形態に係る太陽光発電システム1に係る固定装置3の支持部材22Dの構成を
図26乃至
図30に示す。なお、第5実施形態に係る支持部材22Dは、上述した第1実施形態に係る支持部材22と比較し、付勢部44の傾斜方向、第1載置部48の第1突部48aの位置、第1載置部48の下部に形成される曲折部470及び支持部材用基部41に設けられる孔45を2つ有する構成が異なる。
【0117】
図29に示すように、第5実施形態の例における固定装置3の22Dは、付勢部44Dと押さえ部材23の基部60の傾斜方向が異なり、付勢部44Dの上端と基部60の下面が接触する構成である。例えば、支持部材用基部41は、一対の付勢部44Dと、曲折部451を有する。
【0118】
一対の付勢部44Dは、例えば、支持部材用基部41の第1支持部42の第1縦壁部47と第2支持部43の第2縦壁部49との対向方向と直交する支持部材用基部41の幅方向における面の縁部にそれぞれ設けられる。一対の付勢部44Dは、支持部材用基部41の第1縦壁部47と第2縦壁部49との対向方向で第2縦壁部49側から中央側の範囲に形成される。
【0119】
付勢部44Dは、支持部材用基部41の第2縦壁部49側に一体に連続する基端を有し、基端から先端に向かって、第1縦壁部47側かつ第1載置部48側に延出する。付勢部44Dは、第1載置部48側に向かって支持部材用基部41に対して傾斜する。言い換えると、付勢部44Dは、付勢部44Dの軒側の端部(基端)が支持部材用基部41と接続し、付勢部44Dの棟側の端部(先端)がベース部材20と離間するように傾斜する。
【0120】
付勢部44Dは、基端と第2縦壁部49との距離よりも、先端と第1縦壁部との距離の方が大きい。付勢部44Dは、先端が基部60に接触することで、第2状態P2となるように押さえ部材23を傾斜させる。
【0121】
付勢部44Dは、例えば、支持部材用基部41の一部に孔46または切込みを形成し、これにより支持部材用基部41から切り離された部分を第1載置部48側に折り曲げることで形成される。すなわち、孔46は、付勢部44Dを形成するために設けられることから、支持部材用基部41の第1縦壁部47と第2縦壁部49との対向方向で第2縦壁部49側及び中央側の範囲に形成される。
【0122】
例えば、第1縦壁部47の開口または切欠の隅部は、強度向上のため、所定の曲率半径の曲面状に形成される。第1縦壁部47は、一対の曲折部470を備える。一対の曲折部470は、開口または切欠の隅部より第1載置部48側に設けられる。一対の曲折部470は、第1縦壁部47の上部の中央側に形成される開口または切欠の縁部に一体に連続する基端を有する。一対の曲折部470は、第1縦壁部47の一部を基端から第1縦壁部47の内面側に向かって折り曲げることで形成される。すなわち、曲折部470は、第1縦壁部47を形成するための開口または切欠を形成するときに、曲折部470を形成する小片を残して開口または切欠を形成し、この小片を曲げ加工することで形成される。曲折部470は、第1縦壁部47となす角度が鋭角となる。曲折部470の一部は、第1載置部48の下部に位置する。
【0123】
第1載置部48の第1突部48aは、例えば、第1載置部48の内側の側面の中央部に設けられる。
【0124】
支持部材用基部41は、孔45を2つ有し、各孔45に配置された2つの曲折部451を備える。曲折部451は、例えば、支持部材用基部41に孔45を形成するときに、曲折部451を形成する第2縦壁部49側で連続する矩形状の小片を残して孔45を形成し、この小片を第1載置部48と反対側へ折り曲げることで形成される。すなわち、2つの曲折部451は、2つの孔45の第2縦壁部49側の縁部にそれぞれ設けられる。
【0125】
2つの曲折部451は、支持部材22Dをベース部材20上に配置した際に、先端がベース部材20の溝35の内部に位置する。曲折部451の第2縦壁部49と平行方向の幅は、例えば、溝35のベース部材20の短手方向の幅よりも小さい。曲折部451の基端から先端までの長さは、例えば、一対の縦壁部36aの基端から先端までの長さ以上、かつ、一対の縦壁部34の上端から屋根200までの長さのうちの最小値未満である。2つの曲折部451の少なくとも一方が、一対の縦壁部36aと当接することで、支持部材22Dのベース部材20の短手方向の移動を規制するとともに、ボルトの回転軸に沿った軸周りの支持部材22Dの回転を規制する。
【0126】
孔45は、第1縦壁部47と第2縦壁部49との対向方向で、ベース部材20の溝35に沿って2つ並んで設けられる。2つの孔45のうち、第1縦壁部47側の一方はボルト24が挿通し、第2縦壁部49側の他方はボルト24が挿通しない。なお、2つの孔45は、大きさが異なっていてもよい。
【0127】
このように構成された支持部材22Dは、第1実施形態の支持部材22と同様に、ボルト24及びナット25が挿通されていない状態またはボルト24及びナット25が挿通されているが仮止め状態である非固定状態では、基部60の先端が支持部材用基部41に接触し、基部60の第1規制部62側を付勢部44Dにより支持部材用基部41から第1載置部48側へ離間するように規制部61を持ち上げられた状態にする。言い換えると、規制部61は、非固定状態では棟側に傾斜した第2状態P2となり、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0128】
本実施形態の支持部材22Dは、上記の効果に加え、強度が向上する効果を得ることができる。付勢部44Dは、支持部材用基部41の第2縦壁部49側から中央側の範囲に設けられる構成である。これにより、支持部材22Dは、支持部材用基部41の第1縦壁部47側の面積(幅)を第2縦壁部49側の面積(幅)よりも広く確保できる。すなわち、本実施形態の支持部材用基部41は、第1実施形態の支持部材用基部41と比較して、第1縦壁部47側の強度が向上する。また、曲折部470を第1載置部48の下部に設けることにより、第1載置部48に太陽光モジュール2の荷重が印加され、第1載置部48が支持部材用基部41側に変形したときに、第1載置部48を支持できるため、第1縦壁部47の変形を抑制することができる。加えて、第1縦壁部47が曲折部470を有することから、第1縦壁部47の強度も向上できる。
【0129】
また、上述した規制部61の第3載置部62aは、
図2、
図3及び
図8に示すように、板状である構成を説明したがこれに限定されない。第3載置部62aは、
図26、
図27及び
図29に示すように、その先端に段部620を備える構成でもよい。段部620の上面は、第3載置部62aよりも基部60側に位置する。段部620は、その一部が第1載置部48の端部の下部に位置する。これにより、第1載置部48に荷重がかかって第1載置部48が支持部材用基部41側に撓むように変形した際に、第1載置部48の先端が段部620の上面に接触する。すなわち、曲折部470に加えて、段部620でも第1載置部48を支持することができ、第1載置部48及び第1縦壁部47の変形を抑制できる。
【0130】
上述した規制部61の第1規制部62は、
図2、
図3及び
図8に示すように、矩形板状に形成され、第1規制部62の軒側の面には、第2載置部50の先端部52が配置可能な凹み64が形成される例を説明したが、これに限定されない。第1規制部62は、
図26、
図27及び
図29に示すように、第1規制部62の軒側の面に、例えば、第1規制部62に窪み640を設けることで、凹み64と窪み640との間に太陽光モジュール2の側面部14の一部が当接する突起64Dが形成される構成としてもよい。
【0131】
また、上述した軒側固定装置4は、
図2に示すように、軒側押さえ部材70の係合部72を1つ備える構成を説明したがこれに限定されず、
図26に示すように係合部72を2つ備える構成でもよい。
【0132】
また、第1乃至第5実施形態では、付勢部44、44A、44C、44Dは、規制部61、61A、61Bを第1状態P1から第2状態P2に復帰する復元力を備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、付勢部44、44A、44C、44Dは、復元力を備えない構成であってもよい。
【0133】
また、第1、2、5の実施形態の固定装置3、3Aは、ベース部材20を備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、第3、4の実施形態のように屋根200の上面が平面である場合は、第1、2の実施形態の固定装置3、3Aは、ベース部材20に代えて、第3、4実施形態の固定装置3B、3Cのベース部材20Bが用いられてもよい。
【0134】
また、第3、4の実施形態の固定装置3B、3Cは、ベース部材20Bを備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、屋根200が、第1、2の実施形態のように屋根材201により平面ではない構成である場合は、第3、4の実施形態の固定装置3B、3Cは、ベース部材20Bに代えて、第1、2の実施形態の固定装置3、3Aのベース部材20Bが用いられてもよい。
【0135】
また、第1乃至5実施形態では、固定具6、押さえ部材23、23A、23B、23Cを取付対象であるベース部材20、20Bに固定する、軸部を有する固定部材の一例としてボルト24を用いる構成が説明されたが、これに限定されない。例えば、固定部材は、ナットを備えず、軸部を有してベース部材20、20Bに差し込まれることで、固定具6、押さえ部材23、23A、23B、23Cをベース部材20、20Bに固定できる構成であってもよい。
【0136】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0137】
1、1A、1B、1C…太陽光発電システム、2…太陽光モジュール、3、3A、3B、3C…固定装置、6…固定具、20…ベース部材、20B…ベース部材、21…固定部材、22、22D…支持部材、23、23A、23B、23C…押さえ部材、24…ボルト、24a…ヘッド部、24b…基部、24c…ねじ部、25…ナット、41…支持部材用基部、42…第1支持部、43…第2支持部、44、44A、44C、44D…付勢部、45…孔、46…孔、47…第1縦壁部、48…第1載置部、49…第2縦壁部、50…第2載置部、60…基部、61…規制部、62…第1規制部、62a…第3載置部、63…第2規制部、65…第3規制部、66…第4規制部、81…介装部、104…当接部、109…屈曲部、451…曲折部、470…曲折部、620…段部、P1…第1状態、P2…第2状態。