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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】シール要素を有するコンプレッサロータ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/08 20060101AFI20231023BHJP
   F04D 17/12 20060101ALI20231023BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
F04D29/08 D
F04D17/12
F04D29/28 Q
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022578749
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020069294
(87)【国際公開番号】W WO2022008049
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ミニー,ケビン
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-540927(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3470625(EP,A1)
【文献】特開2018-178993(JP,A)
【文献】米国特許第5628621(US,A)
【文献】特表2011-511900(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015212502(DE,A1)
【文献】特表2016-500420(JP,A)
【文献】特開2006-138255(JP,A)
【文献】国際公開第2019/207761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ軸に沿って伸びるタイボルトと、
前記タイボルトに連結された第1のロータシャフトと、
前記タイボルトに連結された第2のロータシャフトと、
前記第1のロータシャフトと前記第2のロータシャフトとの間に配置される第1のインペラ本体であって、前記ロータ軸に対して第1の角度を有する円錐台形状の外面を含む、第1のインペラ本体と、
前記第1のロータシャフトと前記第2のロータシャフトとの間に配置される第2のインペラ本体と、
前記ロータ軸を中心に回転するように、前記第1のインペラ本体と前記第2のインペラ本体とを結合するように配置されたハースカップリングと、
前記第2のインペラ本体に結合された第1の端部と、前記ロータ軸に対して変更可能な第2の角度を有する円錐台形状の内面を画定する第2の端部と、を有するシール要素であって、前記円錐台形状の外面の前記第1の角度と前記円錐台形状の内面の前記第2の角度が前記円錐台形状の外面と前記円錐台形状の内面とを点で互いに接触することを可能にする組立前の位置と、前記円錐台形状の外面の前記第1の角度と前記円錐台形状の内面の前記第2の角度が前記円錐台形状の外面と前記円錐台形状の内面を面と面で係合することを可能にする組立位置と、の間で移動可能な、シール要素と、
を有するコンプレッサロータ。
【請求項2】
前記第1のインペラ本体が、第1の輪郭を有する第1の外面を画定し、
前記第2のインペラ本体が、第2の輪郭を有する第2の外面を画定し、
前記シール要素が、前記第1の輪郭と前記第2の輪郭との間の連続した遷移を提供する外面を画定する、
請求項1に記載のコンプレッサロータ。
【請求項3】
前記シール要素の前記外面が、前記シール要素の前記第2の端部から前記シール要素の前記外面が非円筒状輪郭に遷移する点まで延びる円筒状輪郭を備える、請求項2に記載のコンプレッサロータ。
【請求項4】
前記第2のインペラ本体が円筒状の外面を含み、前記シール要素の前記第1の端部は、すべりばめ又は締まりばめによって前記円筒状の外面に固着されている、請求項1に記載のコンプレッサロータ。
【請求項5】
前記第1のインペラ本体の前記円錐台形状の外面にある第1の円周方向に延びる溝と、
前記溝内に位置決めされ、前記第1のインペラ本体の前記円錐台形状の外面と前記シール要素との間にシールを形成する第1のシール部材と、
をさらに備える請求項4に記載のコンプレッサロータ。
【請求項6】
前記第1の円周方向に延びる溝内の前記第1のシール部材が、Oリングである、請求項5に記載のコンプレッサロータ。
【請求項7】
前記第2のインペラ本体の前記円筒状の面内の第2の円周方向に延びる溝と、
前記溝内に位置決めされて前記第2のインペラ本体の前記円筒状の外面と前記シール要素との間にシールを形成する第2のシール部材と、
をさらに備える、請求項5に記載のコンプレッサロータ。
【請求項8】
前記第2の円周方向に延びる溝内の前記第2のシール部材が、Oリングである、請求項7に記載のコンプレッサロータ。
【請求項9】
前記第1及び第2のロータシャフトのそれぞれの1つを、前記ロータ軸に対して第1の角度を有する円錐台形状の外面を有する隣接するインペラ本体に結合するように配置された更なるハースカップリングと、
前記各ロータシャフトに結合された第1の端部と、前記ロータ軸に対して変更可能な第2の角度を有する円錐台形状の内面を画定する第2の端部とを有する更なるシール要素であって、前記隣接するインペラ本体の前記円錐台形状の外面の前記第1の角度と前記円錐台形状の内面の前記第2の角度が前記円錐台形状の外面と前記円錐台形状の内面とを点で互いに接触することを可能にする組立前の位置と、前記円錐台形状の外面の前記第1の角度と前記円錐台形状の内面の前記第2の角度が前記円錐台形状の外面と前記円錐台形状の内面を面と面で係合することを可能にする組立位置と、の間で移動可能な、更なるシール要素と、
を有する請求項1に記載のコンプレッサロータ。
【請求項10】
前記隣接するインペラ本体が、第1の輪郭を有する第1の外面を画定し、
前記それぞれのロータシャフトが、第2の輪郭を有する第2の外面を画定し、
前記更なるシール要素が、前記隣接するインペラ本体の前記第1の輪郭と前記それぞれのロータシャフトの前記第2の輪郭との間の連続した遷移を提供する更なる外面を画定する、
請求項9に記載のコンプレッサロータ。
【請求項11】
前記それぞれのロータシャフトが円筒状の外面を含み、
前記更なるシール要素の前記第1の端部が、すべりばめ又は締まりばめによって前記円筒状の外面に固着されている、
請求項10に記載のコンプレッサロータ。
【請求項12】
前記隣接するインペラ本体の前記円錐台形状の外面にある第1の円周方向に延びる溝と、
前記溝内に位置決めされ、前記隣接するインペラ本体の前記円錐台形状の外面と前記更なるシール要素との間にシールを形成する第1のシール部材と、
をさらに備える請求項11に記載のコンプレッサロータ。
【請求項13】
前記第1の円周方向に延びる溝内の前記第1のシール部材が、Oリングである、請求項12に記載のコンプレッサロータ。
【請求項14】
前記それぞれのロータシャフトの前記円筒状の面内の第2の円周方向に延びる溝部と、
前記溝内に位置決めされ、前記それぞれのロータシャフトの前記円筒状の外面と前記更なるシール要素との間にシールを形成する第2のシール部材と、
をさらに備える請求項12に記載のコンプレッサロータ。
【請求項15】
前記第2の円周方向に延びる溝内の前記第2のシール部材が、Oリングであることを特徴とする請求項14に記載のコンプレッサロータ。
【請求項16】
前記第1のシール部材及び/又は前記第2のシール部材が、Oリングシール部材、C字形シール部材、リーフシール部材、オメガ形シール部材、金属製シール部材、及び金属製布製シール部材から成る群から選択される請求項7又は14に記載のコンプレッサロータ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載のコンプレッサロータを備える遠心コンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、概して、ターボ機械の分野に関し、より詳細には、コンプレッサなどのターボ機械用のロータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、プロセス流体の圧縮、熱エネルギーの機械的エネルギーへの変換、流体の液化などを行うために、石油およびガス産業において広く使用されている。このようなターボ機械の一例は、遠心コンプレッサのようなコンプレッサである。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1図1は、ターボ機械、例えばこれに限定されないが、遠心コンプレッサを伴う工業的用途に使用され得る、開示されるロータ構造の1つの非限定的な実施形態の部分断面図を示す。
図2図2は、コンプレッサロータのための開示されたシール要素と、シール要素がその上に固着された2つの隣接するロータ構成要素との1つの非限定的な実施形態の拡大断面図を図示している。シール要素は、第1の位置(例えば、組立前の位置)と第2の位置(例えば、組立位置)との間で移動可能である。図2は、組立前の位置にあるときの開示されたシール要素を示す。
図3図3は、組立位置にあるときの、図2に示された開示されたシール要素を示す。
図4図4は、組立位置にあるときのシール要素の破線のアウトラインを示す図2図3の重ね合わせである(図3)。シール要素の破線のアウトラインは、図2に示す組立前の位置にあるとき、シール要素に重ねられる。
図5図5は、開示されたシール要素と、その上にシール要素が貼付されている2つの隣接するロータ構成要素との、別の非限定的な実施形態の拡大断面図を示す。シール要素は、組立前の位置と組立位置との間で移動可能である。図5は、組立前の位置にあるときの開示されたシール要素を示す。
図6図6は、組立位置にあるときの、図5に示された開示されたシール要素を示す。
図7図7は、組立位置(図6)にあるときのシール要素の破線のアウトラインを示す図5図6の重ね合わせである。シール要素の破線のアウトラインは、図5に示す組立前の位置にあるとき、シール要素に重ねられる。
【発明を実施するための形態】
【0004】
当業者に理解されるように、遠心コンプレッサのようなターボ機械は、タイボルト構造(スルーボルト又はタイロッド構造とも呼ばれる)のロータを伴うことがあり、タイボルトは、複数のインペラ本体を支持し、隣接するインペラ本体は、ハースカップリング又は曲線カップリングを伴うような弾性的に平均化されたカップリング技術を用いて相互に連結することができる。これらの結合タイプは、異なる形態のフェースギヤの歯(それぞれ直線と曲線)を使用して、2つの構成要素間に堅牢な結合を形成する。
【0005】
これらのカップリングおよび関連する構造は、例えば、ゼロ回転/分(RPM)の初動ロータ速度から最大ロータ速度(例えば、数万RPMを伴う場合がある)まで、大幅に変化する力(例えば、遠心力)を受けることがある。さらに、これらのカップリング及び関連の構造は、コンプレッサによって処理されるプロセス流体内に存在する可能性がある汚染物質及び/又は副産物に曝される可能性がある。そのように曝されている場合、そのようなカップリングおよび関連構造は、その長期耐久性に影響を及ぼす可能性があるような方法で影響を受ける可能性がある。例として、二酸化炭素(CO)、液体水、高圧レベルの組合せは、特定の鉄鋼構成要素を腐食、錆、ピットを発生させる化学化合物である炭酸(HCO)の形成につながる可能性がある。物理的破片がプロセス流体中にも存在する可能性があり、それは、もしハースカップリングおよび関連構造物に到達できれば、潜在的にそれらの機能性および耐久性に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
以上のことを考慮して、本発明者は、例えば、遠心コンプレッサにおいて一貫した高性能及び長期耐久性を達成することは、適切な密封構造でそれぞれのハースカップリングを適切に覆い、コンプレッサによって処理されるプロセス流体のそれぞれのハースカップリング上への通過を抑制し、従って、上述した問題を改善する、開示された実施例を含むことができることを認識した。
【0007】
以下の詳細な説明では、そのような実施形態の完全な理解を提供するために、様々な特定の詳細が記載されている。しかしながら、当業者は、開示された実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施され得ること、本発明の態様が開示された実施形態に限定されないこと、および本発明の態様が様々な代替実施形態で実施され得ることを理解するであろう。他の例では、当業者によってよく理解されるであろう、方法、手順、および構成要素は、不必要かつ負担のかかる説明を避けるために詳細に説明されていない。
【0008】
さらに、種々の動作は、本発明の実施形態を理解するのに役立つ方法で行われる複数の離散的なステップとして説明され得る。しかし、説明の順位は、これらの動作が提示される順番に実行される必要があることを意味するものと解釈すべきではなく、また、別段の指示がない限り、偶数の順位に依存するものと解釈すべきではない。さらに、「一実施形態における」という語句の繰り返し使用は、必ずしも同一の実施形態を指すものではないが、それを用いてもよい。開示された実施形態は、所与の用途の必要性に応じて、当業者によって適切に組み合わされ得るので、相互に排他的な実施形態と解釈される必要はないことに留意されたい。
【0009】
図1は、限定されるものではないがコンプレッサ(例えば、遠心コンプレッサなど)などのターボ機械を伴う工業的用途に使用され得る、開示されるロータコンプレッサ100の1つの非限定的実施形態の要部断面図を示す。
【0010】
開示された一実施形態において、タイボルト102は、タイボルト102の第1の端部と第2の端部との間で、ロータ軸103に沿って延びる。視覚的なクラッタリングを避けるために、本開示の目的のために、タイボルト102の各端部に関連する構造的及び/又は作動的関係は同じであるので、タイボルトの一端部だけが図示されている。ロータシャフト104はタイボルト102の第1の端部に固定されてもよい。第2のロータシャフトは、タイボルトの第2の端部に固定されてもよい(上述のように、タイボルトの第2の端部も第2のロータシャフトも示されていない)。ロータシャフトは、当該技術分野ではスタブシャフトと呼ばれ得る。特定の実施形態では、2つよりも多いロータシャフトが関与してもよいことが理解されるであろう。
【0011】
複数のインペラ本体がロータシャフトの間に配置されタイボルト102によって支持されていてもよい。例証を簡単にするために、第1のインペラ本体106と第2のインペラ本体106の一部のみが図1に示されている。実例として、インペラ本体106の裏側は、ハースカップリング108を介してロータ軸103周りに回動するために、インペラ本体106の入口側に機械的に連結されている。図示の実施例では、更なるハースカップリング109を使用して、インペラ本体106の入口側を隣り合うロータシャフト104と機械的にそれぞれ結合することができる。インペラ本体及びハースカップリングの前述の配置は単なる一例であり、限定的な意味で解釈すべきではないことが理解されるであろう。
【0012】
シール要素120が、任意の2つの隣接するインペラ本体(例えば、隣接するインペラ本体106、106)のそれぞれの外面に貼付されている。シール要素120は、コンプレッサによって処理される処理液のそれぞれのハースカップリング108上への通過を抑制するのに隣り合うインペラ本体106、106間の円周方向に延びる間隔126にまたがるように(例えば、360°に沿って)配置することができる。同様に、シール要素130が、インペラ本体と、これに隣接するロータシャフト(例えば、インペラ本体106と、これに隣接するロータシャフト104)とのそれぞれの外面に取り付けられて、コンプレッサによって処理される処理液のハースカップリング109上への通過を抑制する。
【0013】
以下でより詳細に説明するように、シール要素120は、第1の位置(組立前の位置)と第2の位置(組立後の位置)との間でそれぞれ移動可能であり得る。シール要素120の前述の可動特徴は、シール要素130に同様に適用できる。図2は、第1の位置にある場合のシール要素120を示しており、図3は、第2の位置にある場合のシール要素120を示している。
【0014】
図4は、組立位置(図3)にあるときのシール要素の外形(破線によって概略的に表される)を示す図2及び図3の重ね合わせであり、これは、図2に示す組立前の位置にあるときのシール要素に重ね合わされる。
【0015】
図2および図3でより良く理解されるように、シール要素120は、例えば、第2のロータ構成要素106”に機械的に結合された第1の端部121と、第1のインペラ本体106’に機械的に結合された第2の端部123とを有してもよい。一般に、第2のロータ構成要素106”は、第1のインペラ本体106’に隣接する第2のインペラ本体、ロータ軸またはバランスピストンのような任意の所与のロータ構成要素であってもよく、図1のコンテキストで上述したように、ハースカップリングによってロータ軸を中心に回転するために第1のインペラ本体106’に機械的に接続される。従って、以下の説明は、第2のロータ構成要素106”がインペラ本体、ロータシャフト又はバランスピストンの何れであるかに関わらず同様に適用することができ、説明の簡略化のために、第1のインペラ本体106’を第2のロータ構成要素106”に接続するヒースカップリングは、図2-7には図示されていない。
【0016】
限定するものではないが、第1のインペラ本体106’は、ロータ軸に対して固定される第1の角度を有する円錐台形状の外面140を画定することができる。シール要素120の第2の端部123は、ロータ軸に対して弾性的に変更可能な第2の角度を有し、したがって円錐台形状の外面140に対して変更可能な円錐台形状の内面142を画定することができる。
【0017】
図2において理解できるように、第1の位置(例えば、組立前の位置)では、円錐台形状の外面140の第1の角度および円錐台形状の内面142の第2の角度は、円錐台形状の外面140を有するシール要素120の第2の端部123の初期接触点を画定し得るような円錐台形状の面140、142が点144で互いに接触することを可能にするようなものである。図3において理解されるように、第2の位置(例えば、組立位置)では、円錐台形状の外面140の第1の角度および円錐台形状の内面142の第2の角度は、双頭矢印146によって概略的に表されるように、円錐台形状の面140、142が面と面との係合を行うことを可能にするようなものである。
【0018】
すなわち、第1のインペラ本体106’に対して第2のロータ構成要素106”によって加えられた軸方向圧縮荷重に応答するようなシール要素120の円錐台形状の内面142は、シール要素120が第2のロータ構成要素106”と共に第1のインペラ本体106’に向けてシール要素120の第1の軸方向端部121と反対の方向に移動し、第1のインペラ本体106’の円錐台形状の外面140に係合するにつれて、シール要素120の円錐台形状の内面142を弾性的に屈曲させる。シール要素120の円錐台形状の内面142が撓むことにより、シール要素はばね荷重状態にされ、これは次に、第1のインペラ本体106’の円錐台形状の外面140に円周方向にクランプするように配置された付勢力を発生させる。例えば、シール要素120は、サービス作業のために、第2の位置(組立位置)から第1の位置に移動可能であり、この場合には、シール要素120のユーザフレンドリな除去及び/又は置換えが可能になることが理解される。
【0019】
図2-3に示すように、第2のロータ構成要素106”は、円筒状の外面141を含むことができ、この場合、シール要素120の第1の端部121は、すべりばめ(slip fit)によって、又は締まりばめ(当該技術分野では「圧入ばめ」とも呼ばれる)によって円筒状の外面141に固着することができ、これは、例えば、シール要素120の第1の端部121を第2のロータ構成要素106”の円筒状の外面141に固着するための焼きばめ技術を含むことができる。
【0020】
1つの非限定的な実施形態においては、第1の円周方向に延びる溝160を第1のインペラ本体106’の円錐台形状の外面140内に配置し、第1のシール部材162を溝160内に配置して、第1のインペラ本体106’の円錐台形状の外面140とシール要素120との間にシールを形成してもよい。
【0021】
1つの非限定的な実施態様において、第2の円周方向に延在する溝170を第2のロータ構成要素106”の円筒状の外面141内に配置し、第2のシール部材172を溝170内に配置して、第2のロータ構成要素106”の円筒状の外面141とシール要素120との間にシールを形成することができる。
【0022】
これに限定されるものではないが、シール部材162又はシール部材172は、エラストマー材料又はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)材料のような非エラストマー材料、C形シール部材、リーフシール部材、オメガ形シール部材、金属製シール部材、金属布シール部材又は他のシール部材を含むことができるOリングシール部材とすることができる。当業者には理解されるように、金属布シールは、織り、編み、または他の方法で織物の層にプレスすることができる、金属、セラミックまたはポリマー繊維のような高温耐性材料を含むことができる。
【0023】
図4において理解されるように、角度θは、第1のインペラ本体106’の円錐台形状の外面140上に円周方向にクランプするために第2の位置(例えば、組立位置)にあるときにシール要素120の円錐台形状の内面142”が撓むことになる角度を概略的に表す。円錐台形状の内面142’は、第1の位置にあるときにシール要素120を示し、円錐台形状の内面142’は、円錐台形状の面140、142’が点144で互いに接触することを許容する角度にある。
【0024】
1つの非限定的な実施形態において、図2-3に示されるように、第1のインペラ本体106’は、第1の輪郭を有する第1の外面148を画定することができ、第2のロータ構成要素106”は、第2の輪郭を有する第2の外面150を画定することができ、シール要素120は、第1の輪郭と第2の輪郭との間に連続した輪郭遷移を提供する外面122を画定することができる。
【0025】
図2-3に示す実施形態では、シール要素120の外面122は、第1のインペラ本体106’の第1の外面148によって画定された第1の輪郭と、第2のロータ構成要素106”の第2の外面150によって画定された第2の輪郭との間の曲線状の輪郭移行を含むことができる。すなわち、シール要素120の外面122によって画定される輪郭遷移は、曲線輪郭形状などの、輪郭形状の特異なタイプを含むことができる。
【0026】
比較として、図5-6に示される実施形態では、シール要素120’の外面122’は、シール要素120’の第1の端部121から点125(シール要素120’の第1の端部121と第2の端部123との間)まで延在する円筒状輪郭を含むことができ、この場合、シール要素120’の外面122’は、非円筒状輪郭、例えば曲線状輪郭に変化する。すなわち、シール要素120’の外面122’によって画定される輪郭遷移は、円筒状輪郭と曲線状輪郭のような2つの異なるタイプの輪郭形状を含むことができる。
【0027】
シール要素120に関連する図2-4の文脈で上述したさらなる構造的および/または動作的特徴は、シール要素120’にも同様に適用可能である。例えば、シール要素120’は、第1の位置(組立前の位置)と第2の位置(組立位置)との間でそれぞれ移動可能である。図5は、第1の位置にあるときのシール要素120’を示し、図6は、第2の位置にあるときのシール要素120’を示す。図7は、組立位置(図6)にあるとき、シール要素120’の外形(破線によって概略的に表される)を示す図5及び図6の重ね合わせであり、これは、図5に示す組立前の位置にあるとき、シール要素120’に重ね合わされる。したがって、そのような構造的および/または動作的特徴は、図2-4の文脈で十分に詳細に説明されている。ここでは、リーダを重荷と歩数の繰り返しから予備するために、繰り返しは行われないだろう。
【0028】
動作に際して、開示された実施形態は、ハースカップリングを覆うように適切に配置され、コンプレッサによって処理されているプロセス流体のそれぞれのハースカップリング上への通過を抑制し、従って、汚染物質、化学的副産物、及び/又は物理的破片に対するハースカップリング及び関連構造の潜在的な露光を抑制するのに有効なシール要素を使用する。
【0029】
動作において、開示された実施形態は、隣接するインペラ本体又はロータシャフト及び隣接するインペラ本体のような、任意の2つの隣接するロータ部品のそれぞれの外面上へのシール要素のユーザフレンドリな組立を可能にする。追加的に、開示された実施形態により、シール要素を、例えば、サービス作業を容易にする、2つのこのような隣接するロータ部品のそれぞれの外面から、ユーザに優しい分解が可能になる。
【0030】
本開示の実施の形態は、例示的な形態で開示されたが、以下の特許請求の範囲に記載されるように、発明およびその同等物の範囲から逸脱することなく、その中に多くの修正、追加、および削除を行うことができることは、当業者には明白であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7