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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-20
(45)【発行日】2023-10-30
(54)【発明の名称】製品鑑定証明システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/018 20230101AFI20231023BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231023BHJP
【FI】
G06Q30/018
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023531104
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2022040241
(87)【国際公開番号】W WO2023085115
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2021185284
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522371581
【氏名又は名称】熊谷 絵美
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 絵美
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068388(JP,A)
【文献】特開2020-170360(JP,A)
【文献】特開2018-173812(JP,A)
【文献】特許第6894033(JP,B1)
【文献】特許第6829927(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/080537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要鑑定製品のデジタル財データに基づいて上記要鑑定製品に個別に割り当てられるハッシュ化された識別子を生成する分散型ファイルサーバと、
上記分散型ファイルサーバにおいて生成された上記識別子に紐付けた上記要鑑定製品のNFT(Non-fungible token)をブロックチェーン上に記録すると共に生成されるトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードを出力する専用プラットフォームと、
上記要鑑定製品のNFTの所有者が移転する都度、その移転先の所有者の第1ブロックチェーンウォレットアドレスを当該NFTと紐付けて記録する記録手段と、
鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から第2ブロックチェーンウォレットアドレスを直接取得するとともに、当該鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応するNFTに紐付けられた第1ブロックチェーンウォレットアドレスを上記記録手段から読み出し、読み出した上記第1ブロックチェーンウォレットアドレスと上記第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性を判定することにより、上記要鑑定製品の鑑定証明を行うこと
を特徴とする製品鑑定証明システム。
【請求項2】
秘密鍵α1、要鑑定製品に関する製品情報を記録した小型記録媒体(a1)が貼着又は組み込まれた上記要鑑定製品と、上記専用プラットフォームより出力されて生成される上記トランザクションハッシュ又は上記二次元コードとを用いて更なる鑑定証明が行われ、
上記製品情報、上記要鑑定製品が消費者へ渡るまでの各流通段階における取引情報を、ブロックチェーン上に記録し、
上記製品情報及び上記取引情報を、製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記ブロックチェーンに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、
消費者が上記製品情報及び上記取引情報を、上記ブロックチェーンから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を更に備え、
上記専用プラットフォームは、上記トランザクションハッシュに基づいて生成した第1ハッシュと、上記製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記アプリケーション[A]を用いて、上記製品情報及び/又は上記取引情報を、上記ブロックチェーンに書き込む上で得られる第2ハッシュとに基づいて、新たに第3ハッシュを生成してこれを上記ブロックチェーン上に記録し、
鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに基づいて生成した第4ハッシュと、当該鑑定証明者が、上記要鑑定製品に付与された上記秘密鍵α1を使用し、上記アプリケーション[B]を用いて、上記製品情報及び上記取引情報に基づいて生成される第5ハッシュとに基づいて、新たに第6ハッシュを生成し、上記第1ブロックチェーンウォレットアドレスと上記第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性、及び上記第3ハッシュと上記第6ハッシュの同一性の双方を判定することにより、上記要鑑定製品の鑑定証明を行うこと
を特徴とする請求項1記載の製品鑑定証明システム。
【請求項3】
秘密鍵β1、要鑑定製品に関する製品情報を記録した小型記録媒体(b)が貼着又は組み込まれたギャランティカードと、上記専用プラットフォームより出力され生成される上記トランザクションハッシュ又は上記二次元コードとを用いて鑑定証明が行われ、
上記製品情報、上記要鑑定製品が消費者へ渡るまでの各流通段階における取引情報を、ブロックチェーン上に記録し、
上記製品情報及び上記取引情報を、製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記ブロックチェーンに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、
消費者が上記製品情報及び上記取引情報を、上記ブロックチェーンから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を更に備え、
上記専用プラットフォームは、上記トランザクションハッシュに基づいて生成した第1ハッシュと、上記製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記アプリケーション[A]を用いて、上記製品情報及び/又は上記取引情報を、上記ブロックチェーンに書き込む上で得られる第2ハッシュとに基づいて、新たに第3ハッシュを生成してこれを上記ブロックチェーン上に記録し、
鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに基づいて生成した第4ハッシュと、当該鑑定証明者が、上記ギャランティカードに付与された上記秘密鍵β1を使用し、上記アプリケーション[B]を用いて、上記製品情報及び上記取引情報に基づいて生成される第5ハッシュとに基づいて、新たに第6ハッシュを生成し、上記第1ブロックチェーンウォレットアドレスと上記第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性、及び上記第3ハッシュと上記第6ハッシュの同一性の双方を判定することにより、上記要鑑定製品の鑑定証明を行うこと
を特徴とする請求項1記載の製品鑑定証明システム。
【請求項4】
上記専用プラットフォームは、上記トランザクションハッシュをそのまま第1ハッシュとし、鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュをそのまま第4ハッシュとすること
を特徴とする請求項2又は3記載の製品鑑定証明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の鑑定証明が必要とされる製品(以下、要鑑定製品ともいう。)の製品鑑定証明システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の要鑑定製品は、通常、製造メーカー・製造者・著作者等によって製造された後、物流業者、卸売り業者、小売業者等の流通業者を通じて消費者に販売されるといった複雑な流通経路を辿る。このような要鑑定製品は、製造や流通の過程で、鑑定証明、すなわち物品が模造品でなく真正品であることの証明が消費者に求められている。また近年では、インターネットを通じて要鑑定製品が消費者に販売されることが非常に多く、また、上記要鑑定製品の中古品(二次流通、三次流通、その他n次流通含む)も同様にインターネットを通じて消費者へ販売されている。さらに、消費者間同士で売買されることも多くなってきたため、これら要鑑定製品のより多角的な鑑定証明の必要性が増大している。
【0003】
要鑑定製品には、通常、真正品であることを証明、保証するための証明書(以下、「ギャランティカード」ともいう。)が発行される。ギャランティカードには、物品の商品名、品番、製造メーカ・製造者(著作者)、製造場所、製造年月日等の物品に関する情報(以下、「製品情報」ともいう。)が記載される。しかしながら、近年は、インターネット等を通じてギャランティカードのみを入手することも可能となってきている。このため、ギャランティカードによる鑑定証明は十分信頼性のあるものとはいえなくなってきている。
【0004】
従来において、プラスチック製カード等の媒体に情報を格納したICチップを取り付けたものを証明書として用い、証明書の表面に印刷された情報とICチップのメモリから読み出した情報とを照合することによって証明書の正当性判定を行う手法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に開示されている方法を、要鑑定製品に適用した場合、偽造が難しくなることからギャランティカード自体の正当性は確認できるとしても、このギャランティカードと物品とを紐付けるものは、物品に刻印された品番のみとなる。このため、十分な鑑定証明を行うことが難しい。
【0005】
また要鑑定製品にICチップを取り付け、ICチップに記録した製品情報を、スマートフォン、携帯電話等により読み出し可能にする技術も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2の開示技術を要鑑定製品に適用すると、上述した製品情報の読み出しに際し、パスワードを設定しない場合には、流通業者、消費者以外の第三者も製品情報を傍受することが可能となる。その結果、要鑑定製品が真正品であるか否か、製造年月日が新しいか否か等の消費者が知られたくない製品情報を第三者が傍受可能となる。一方、パスワードを設定した場合には、要鑑定製品が複雑な流通経路を辿るうちにパスワード自体が不明となり、必要な場合に鑑定証明が行えなくなる虞もある。また、パスワード事体はハッキングされる虞もある。
【0006】
また製品にシリアルコードを付与し、これをシリアルコードリーダーで読み取り、製品データベースに照会することにより、製品の鑑定証明を行う技術も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この特許文献3の開示技術を要鑑定製品に適用した場合も、特許文献2の開示技術と同様の問題が生じる。
【0007】
このため、小型記録媒体が貼着または組み込まれた要鑑定製品、と、同じく小型記録媒体が貼着または組み込まれたギャランティカード(形状、構造、大きさ等に応じて、マイクロチップ(ICチップ)、二次元コード、電子透かし等を適宜用いることができる)の2つ以上のマルチシグ認証を利用して物品の鑑定証明を行う方法が近年において新たに提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
この特許文献4の開示技術によれば、秘密鍵と、要鑑定製品に関する製品情報を記録した小型記録媒体を、要鑑定製品とギャランティカード(形状、構造、大きさ等に応じて、マイクロチップ(ICチップ)、二次元コード、電子透かし等)のそれぞれに貼着、又は組み込んでおく。そして、その製品情報及び上記要鑑定製品が消費者へ渡るまでの各流通段階における取引情報を、ブロックチェーン上に記録しておく。消費者は、要鑑定製品とギャランティカードにそれぞれ付与された秘密鍵を使用し、製品情報及び取引情報を、ブロックチェーンから読み込む。これにより、上記消費者のみが信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。また、製造メーカー・製造者・著作者等は、製品情報を、物流業者、卸売り業者、小売業者等は取引情報を、それぞれブロックチェーン上に順次書き込んでいくことにより、製品情報及び取引情報を相互補完しながら正確に記録することができ、さらに、製品情報及び取引情報が改竄されることを強固に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2001-357377号公報
【文献】国際公開第2014/207890号
【文献】特開2020-35197号公報
【文献】特許第6894033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、要鑑定製品は当然アナログ的(物理的・フィジカル的)な財(以下、アナログ財ともいう。)の他にデジタル的な財(以下、デジタル財ともいう。)も内含されている。デジタル財とは、例えば、デジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等のことである。上記デジタル財における更なる強固でしかも信頼性が高く多角的な鑑定証明に関する社会的ニーズは、インターネットの普及と共に近年において特に顕在化している。
【0011】
上述した特許文献4では上記アナログ財にフォーカスがなされ上記デジタル財における鑑定証明システム及び方法についての言及が不足していた。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、上述した特許文献4の開示技術に加え、要鑑定製品における更なる強固でしかも信頼性が高く多角的な鑑定証明を行うことが可能な鑑定証明システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明に係る製品鑑定証明システムは、要鑑定製品のデジタル財データに基づいて上記要鑑定製品に個別に割り当てられるハッシュ化された識別子を生成する分散型ファイルサーバと、上記分散型ファイルサーバにおいて生成された上記識別子に紐付けた上記要鑑定製品のNFT(Non-fungible token)をブロックチェーン上に記録すると共に生成されるトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードを出力する専用プラットフォームと、上記要鑑定製品のNFTの所有者が移転する都度、その移転先の所有者の第1ブロックチェーンウォレットアドレスを当該NFTと紐付けて記録する記録手段と、鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から第2ブロックチェーンウォレットアドレスを直接取得するとともに、当該鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応するNFTに紐付けられた第1ブロックチェーンウォレットアドレスを上記記録手段から読み出し、読み出した上記第1ブロックチェーンウォレットアドレスと上記第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性を判定することにより、上記要鑑定製品の鑑定証明を行うことを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る製品鑑定証明システムは、第1発明において、秘密鍵α1、要鑑定製品に関する製品情報を記録した小型記録媒体(a1)が貼着又は組み込まれた上記要鑑定製品と、上記専用プラットフォームより出力されて生成される上記トランザクションハッシュ又は上記二次元コードとを用いて更なる鑑定証明が行われ、上記製品情報、上記要鑑定製品が消費者へ渡るまでの各流通段階における取引情報を、ブロックチェーン上に記録し、上記製品情報及び上記取引情報を、製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記ブロックチェーンに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、消費者が上記製品情報及び上記取引情報を、上記ブロックチェーンから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を更に備え、上記専用プラットフォームは、上記トランザクションハッシュに基づいて生成した第1ハッシュと、上記製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記アプリケーション[A]を用いて、上記製品情報及び/又は上記取引情報を、上記ブロックチェーンに書き込む上で得られる第2ハッシュとに基づいて、新たに第3ハッシュを生成してこれを上記ブロックチェーン上に記録し、鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに基づいて生成した第4ハッシュと、当該鑑定証明者が、上記要鑑定製品に付与された上記秘密鍵α1を使用し、上記アプリケーション[B]を用いて、上記製品情報及び上記取引情報に基づいて生成される第5ハッシュとに基づいて、新たに第6ハッシュを生成し、上記第1ブロックチェーンウォレットアドレスと上記第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性、及び上記第3ハッシュと上記第6ハッシュの同一性の双方を判定することにより、上記要鑑定製品の鑑定証明を行うことを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る製品鑑定証明システムは、第1発明において、秘密鍵β1、要鑑定製品に関する製品情報を記録した小型記録媒体(b)が貼着又は組み込まれたギャランティカードと、上記専用プラットフォームより出力され生成される上記トランザクションハッシュ又は上記二次元コードとを用いて鑑定証明が行われ、上記製品情報、上記要鑑定製品が消費者へ渡るまでの各流通段階における取引情報を、ブロックチェーン上に記録し、上記製品情報及び上記取引情報を、製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記ブロックチェーンに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、消費者が上記製品情報及び上記取引情報を、上記ブロックチェーンから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を更に備え、上記専用プラットフォームは、上記トランザクションハッシュに基づいて生成した第1ハッシュと、上記製造メーカー・製造者・著作者及び各種業者が、上記アプリケーション[A]を用いて、上記製品情報及び/又は上記取引情報を、上記ブロックチェーンに書き込む上で得られる第2ハッシュとに基づいて、新たに第3ハッシュを生成してこれを上記ブロックチェーン上に記録し、鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに基づいて生成した第4ハッシュと、当該鑑定証明者が、上記ギャランティカードに付与された上記秘密鍵β1を使用し、上記アプリケーション[B]を用いて、上記製品情報及び上記取引情報に基づいて生成される第5ハッシュとに基づいて、新たに第6ハッシュを生成し、上記第1ブロックチェーンウォレットアドレスと上記第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性、及び上記第3ハッシュと上記第6ハッシュの同一性の双方を判定することにより、上記要鑑定製品の鑑定証明を行うことを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る製品鑑定証明システムは、第2発明又は第3発明において、上記専用プラットフォームは、上記トランザクションハッシュをそのまま第1ハッシュとし、鑑定証明時において、上記専用プラットフォームが、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュをそのまま第4ハッシュとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述した構成からなる本発明によれば、製造メーカー・製造者・著作者等による真正品の製品のみについて唯一無二の識別子を元にNFTを発行し、それをブロックチェーンデータに順次書き込んでいく。これにより、NFT自体を正確に記録でき、また、NFT自体が改竄されることを完全に防止することができる。このため、要鑑定製品についての製造メーカー・製造者・著作者等か、又は複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品を購入した消費者が、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明を適用した製品鑑定証明システムのシステム構成を示す図である。
図2図2は、デジタル財鑑定証明の処理動作について説明するための図である。
図3図3は、デジタル財データからNFTのトランザクションハッシュや二次元コードを発行するまでのプロセスを示すフローチャートである。
図4図4は、アナログ財鑑定証明において必要となる構成について説明するための図である。
図5図5は、アナログ財鑑定証明の一実施形態を示す概略図である。
図6図6は、アナログ財鑑定証明を行う上で、専用プラットフォームに記録される、製品情報、取引情報の各情報を記録したブロックチェーンデータの例を示す図である。
図7図7は、ハイブリッド鑑定証明の処理動作について説明するための図である。
図8図8は、ブロックチェーンウォレットを通じた所有証明のフローチャートである。
図9図9は、所有証明データ(ブロックチェーンウォレットの所有証明)と共に、トランザクションハッシュ又は二次元コードに基づいて、ハイブリッドな鑑定証明を行う例を示す図である。
図10図10は、識別子等とアナログ財鑑定証明を織り交ぜたハイブリッドな鑑定証明を行う例を示す図である。
図11図11は、識別子等とアナログ財鑑定証明を織り交ぜたハイブリッドな鑑定証明を行う例を示す他の図である。
図12図12は、トレーサビリティを利用した鑑定証明方法のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した製品鑑定証明システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明を適用した製品鑑定証明システム1のシステム構成を示している。製品鑑定証明システム1は、製造メーカー・製造者・著作者等及び物流業者、卸売り業者、小売業者等(以下、これらを総称して各種業者等という。)が操作するための端末2、消費者が使用する端末72と、分散型ファイルサーバ3とがインターネット網を始めとする公衆通信網10を介して接続され、この公衆通信網10を介した専用プラットフォーム8を構成している。
【0021】
端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。各種業者等は、この端末2を操作し、要鑑定製品5から識別子を生成するための各種作業を行う。なお、鑑定証明対象の要鑑定製品5は、大きく分類してアナログ財とデジタル財に分類することができる。例えば、アナログ財は、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等、鑑定証明が必要とされるあらゆる製品が含まれる。デジタル財は、デジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツが含まれる。要鑑定製品5は、新品のみならず、中古品(二次流通、三次流通、その他n次流通)も含むものである。
【0022】
端末72も同様に、PC等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。消費者は、この端末72を操作し、要鑑定製品5に対して鑑定証明を試みる。
【0023】
分散型ファイルサーバ3は、端末2を同じファイルシステムにつなぐことを目的とした分散型ファイルシステムであり、いわゆるIPFS(Inter Planetary File System)等で構成されるが、これに限定されるものではない。分散型ファイルサーバ3は、公衆通信網10に対して端末2を介してアクセスする各種業者等がデータの提供を行い、消費者は当該データの要求をP2P(Peer to Peer)形式で行うことができる。分散型ファイルサーバ3は、要鑑定製品5のデジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツを保管する場所であり、当該保管と同時に後述の通り識別子と呼ばれる複数桁の文字列が生成される。要鑑定製品5の識別子を特定する際、新品の場合は、全く同一画像となるが、当該デジタルコンテンツと共に商品管理番号等の唯一無二の付帯情報が付加されるため、上記識別子は唯一無二の文字列が生成される。
【0024】
また、中古品の場合には、個々の傷や擦り傷、その他型崩れ等により、個々に特徴付けられたデジタル財となるため、上記識別子は唯一無二の文字列が生成される。なお、このような中古品ならではの、特徴付けられたデジタル財が、リセール業界における鑑定証明を行う上で非常に重要な意味をなす。例えば、中古品の時計を購入した者が、購入店に偽物とすり替えた時計を持ち込み、返品要求した場合、デジタル財に応じたNFTや後述する識別子がブロックチェーン上に保存されていれば、顧客へ販売した時計、顧客が持ち込んだ時計との差分をチェックする際の証拠とすることができる。
【0025】
専用プラットフォーム8は、ブロックチェーン8aを参照している。ブロックチェーン8aとしては、分散型台帳等のP2Pネットワークを有するブロックチェーンを利用できる。このブロックチェーン8a上では、要鑑定製品5の製品情報、要鑑定製品5が消費者に渡るまでの各流通段階における取引情報に加え、要鑑定製品5のデジタル財データに基づいてハッシュ化されて生成される識別子等が記録される。
【0026】
なお、ここでいうブロックチェーン8aとしては、分散型台帳等のP2Pネットワークを有するブロックチェーン以外に、パブリック型ブロックチェーン、プライベート型ブロックチェーン、コンソーシアム型ブロックチェーン等、いかなる種類のブロックチェーンを適用するようにしてもよい。
【0027】
また、ブロックチェーン上への記録は、特定のデータを証明するためのハッシュ値が繋がった状態を記憶する概念も含まれる。
【0028】
本発明を適用した製品鑑定証明システム1では、以下に説明するように、大きく分類してデジタル財鑑定証明と、ハイブリッド鑑定証明の2種類にわたる鑑定証明を実現することができる。
【0029】
デジタル財鑑定証明
先ずデジタル財鑑定証明の処理動作について説明をする。デジタル財の鑑定証明は、図2(a)に示すように要鑑定製品5についてデジタル財データを取得する。このデジタル財データの取得は、鑑定証明対象に対して行う。このデジタル財データは、要鑑定製品5について端末2やデジタルカメラ等を利用して撮像したデジタル財データからなるデジタル画像データである。このデジタル財データは、製造メーカー・製造者・著作者等がこのような端末2を介して撮像することにより得られたデジタル財データとして構成される以外に、元々この要鑑定製品5に対して付与され、或いは紐付けられて記憶媒体に記録されているものを使用するようにしてもよい。このデジタル財データは、デジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツであり、各拡張子として、例えばjpg、png、gif、mp3、mov等が付与される。
【0030】
製造メーカー・製造者・著作者等は、このようにして得られた要鑑定製品5のデジタル財データを専用プラットフォーム8に登録する。その結果、この専用プラットフォーム8が参照するブロックチェーン8aからNFTを発行すると共に、そのNFTに応じたトランザクションハッシュと二次元コードを自動生成する。このようにして発行、生成されたNFTのトランザクションハッシュや二次元コードを介して、要鑑定製品5が模造品か、或いは真正品かを判別することが可能となる。
【0031】
また図2(b)に示すように、分散型ファイルサーバにデジタル財データを記録し、識別子を発行するが、これから唯一無二の二次元コードAを現出することができる。また、ブロックチェーンを介して得られるトランザクションハッシュからも唯一無二の二次元コードBを現出できる。この二次元コードAと二次元コードBは互い異なるものとなるが、鑑定証明システムの認証要素の一つにすることができる。二次元コードBは周知のものであるが、二次元コードAが新たに加わることで、マルチシグ認証のセキュリティ性を高めることができる。なお、上記二次元コードAのみを認証要素としてもよいし、上記二次元コードBのみを認証要素としてもよい。さらには、マルチシグ認証の強度を高めるため上記二次元コードAおよびB合わせて認証要素としてもよい。
【0032】
図3は、このようなデジタル財データからNFTのトランザクションハッシュや二次元コードを発行するまでのプロセスを示すフローチャートである。
【0033】
先ずステップS11において、製造メーカー・製造者・著作者等は、要鑑定製品5についてのデジタル財データを取得し、専用プラットフォーム8へこれを登録する。このデジタル財データの登録するための処理動作は、製造メーカー・製造者・著作者等が端末2を介して専用プラットフォーム8へアクセスすることで行う。かかる場合において、製造メーカー・製造者・著作者等は、端末2内において専用プラットフォーム8へアクセスし、各種手続きを行う上で必要なアプリケーションを事前にインストールすることで実行するようにしてもよい。
【0034】
次にステップS12に移行し、専用プラットフォーム8側においてデジタル財データの登録を受け付ける。専用プラットフォーム8は、いわゆるNFTマーケットプレイス等で構成されるものであってもよい。専用プラットフォーム8は、デジタル財データの登録を受け付けた場合、そのデジタル財データに対して、NFTマーケットプレイスの登録番号を都度発行する。この登録番号は、デジタル財データの登録を受け付ける毎に都度発行されるものであることから、唯一無二のものとなる。
【0035】
次に、ステップS13へ移行し、ステップS12において登録を受け付けたデジタル財データ、発行された登録番号に加え、製造メーカー・製造者・著作者等の情報を一つのフォルダ等にまとめ、分散型ファイルサーバ3へ登録する処理を行う。製造メーカー・製造者・著作者等の情報の詳細は、氏名、法人情報、ペンネーム、雅号等であり、作品情報としては、作品名称、制作年、発表年等の情報、作品スペック(サイズ、フォーマット、使用技術)、作品の版権、作品に含まれる肖像権・意匠権等の権利情報等である。この登録時に、デジタル財データ、登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報を一つのフォルダにまとめて登録する方法は一例であり、デジタル財データ、登録番号そして製造メーカー・製造者・著作者等の情報(以下、これらを総称して、付帯情報という。)、これら3つの情報が互いに紐付いた状態で登録されるのであればいかなる方法に代替されるものであってもよい。
【0036】
次にステップS14へ移行し、分散型ファイルサーバ3において、登録した付帯情報についてそれぞれ固有のIDを発行する。デジタル財データについて発行したIDは第1ID、登録番号について発行したIDは第2IDa、製造メーカー・製造者・著作者等の情報について発行したIDは、第2IDbという。
【0037】
デジタル財データについては、全く同一のデジタル財データが他に存在していた場合、又は、デジタル財データが他者によって複製されたものである場合には、同一の第1IDが発行される場合がある。一方、登録番号は、唯一無二のものであるから、第2IDaも唯一無二のものとなる。製造メーカー・製造者・著作者等の情報は、例えば会社名や生年月日、著作権者の氏名や著作物のタイトル等、内容によっては、唯一無二のものにならない場合があるものの、個別に唯一無二のIDを振る設定が可能であるから、第2IDbも大半は唯一無二となる。例えば、分散型ファイルサーバ3に登録された日時、秒等の時間情報も付帯することができることにより、唯一無二の確度を高めることもできる。なお、このステップS14において少なくともデジタル財データについては、この分散型ファイルサーバ3へ記録しておく。しかもこの分散型ファイルサーバ3は、分散型の形態を採用することで、デジタル財データが紛失することを何重にも亘り防ぐための構成が施されている。また、そのような構成設定が可能となっている。
【0038】
次にステップS15に移行し、互いに紐付けられた付帯情報に基づいて、唯一無二の識別子を生成する。この生成された識別子は付帯情報に紐づけられることで、当該付帯情報が保有する識別子となりえる。この識別子は、上述した第1ID、第2IDa、第2IDbに基づいて生成されるものである。この第2IDaは唯一無二であり、第2IDbも唯一無二となるため、仮に同じデジタル財データ(第1ID)が同一もしくは複製されたものであっても、新たに生成される識別子は、必ず唯一無二のものとなる。このハッシュ化されて生成されるものを識別子と呼ぶ。
【0039】
なお、この識別子の生成については、フォルダ内に入れた付帯情報に基づいて分散型ファイルサーバ3において規定されたルールに基づいて生成されるものであってもよい。
【0040】
また、生成された識別子に基づいて二次元コードを生成してもよい(ステップS23)。
【0041】
ステップS16に移行し、専用プラットフォーム8は、分散型ファイルサーバ3から識別子を受け取る。ステップS23において二次元コードを生成した場合は、専用プラットフォーム8は、分散型ファイルサーバ3から二次元コードを受け取る。
【0042】
次にステップS17に移行し、専用プラットフォーム8は、付帯情報に基づいた識別子をブロックチェーン8aへ送信する。
【0043】
ブロックチェーン8aは、ステップS18において、専用プラットフォーム8から送信されてきた識別子に基づいて発行したNFTをブロックチェーン8a上に記録する。このようなブロックチェーン8aに、識別子に紐付けられたNFTをブロックチェーンデータとして記録することにより、当該NFTが改竄されることを完全に防止することができる。すなわち、ブロックチェーン8a内の各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンク(ハッシュ値)が含まれており、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。
【0044】
次にステップS19に移行し、NFTに応じたトランザクションハッシュ及び/又は二次元コードを生成する。このトランザクションハッシュ及び/又は二次元コードの生成は、ブロックチェーン8aへの記録と同時に行うようにしてもよい。ここでいうトランザクションハッシュは、NFTを特定するための例えばイーサリアム等の場合には、64桁程度の文字列で示される。このトランザクションハッシュの代替として、コントラクトアドレスとトークンIDの組み合わせで代替してもよい。ここでいうコントラクトアドレスとは、ブロックチェーン (イーサリアムなど) 上にコントラクトが展開されている固有アドレスをいう。またトークンIDとは、コントラクトアドレスが特定するNFTをいう。また二次元コードは、トランザクションハッシュを特定するためのコードである。発行したトランザクションハッシュ、二次元コードは、専用プラットフォーム8を構成するマーケットプレイスに送られ、マーケットプレイスはこれらを受け取る(ステップS20)。
【0045】
またブロックチェーン8aは必要に応じてこのNFTを各種業者等に送信する(ステップS21)。この送信するNFTは、発行したトランザクションハッシュ又は二次元コードに代替されるものであってもよい。各種業者等はこのNFTを受け取る(ステップS22)。各種業者等は、端末2を介して、このようなトランザクションハッシュ又は二次元コードを受信することができる。
【0046】
なお、デジタル財データを取得し、専用プラットフォーム8上において登録する権限は、各種業者等に限定して与えられる。例えば、要鑑定製品5は、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の場合には、各種業者等もしくは当該製品の販売代行の許諾を受けた者のみにこの専用プラットフォーム8上においてデジタル財データを登録する権限を与えるものであってもよい。
【0047】
各種業者等、又は真正品としての要鑑定製品5の新製品または中古品を購入した消費者は、要鑑定製品5とともに、このトランザクションハッシュ又は二次元コードを各種業者等又は専用プラットフォーム8を構成するマーケットプレイスから受け取る。トランザクションハッシュ又は二次元コードを受け取った各種業者等又は消費者は、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aにアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5のNFTを読み込むことができる。これにより、トランザクションハッシュ又は二次元コードを所有する真の各種業者等又は真の消費者だけが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。このため、これらのトランザクションハッシュ又は二次元コードを保有していない第三者は、このような鑑定証明自体を行うことができない。
【0048】
このように、デジタル財鑑定証明においては、各種業者等による真正品の要鑑定製品5のみについて唯一無二の識別子から派生する唯一無二のNFTを専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに順次書き込んでいく。これにより、NFT自体を正確に記録でき、また、NFT自体が改竄されることを完全に防止することができる。このため、要鑑定製品5についての各種業者等か、又は複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品5を購入した消費者が、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0049】
なお、デジタル財鑑定証明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えばステップS13において、デジタル財データに加え、付帯情報をまとめて登録して識別子を生成する場合について説明をしたが、これに限定されるものではなく、デジタル財データに対して少なくとも何らかの情報を紐付けて登録するものであればいかなるものであってもよい。ここでいう情報は、上述した登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報のような、デジタル財データに関係があるか、或いはデジタル財データに付随して生成されるいかなる情報やデータで構成されるものである。付帯情報は、登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報の何れか一方のみで構成されるものであってもよい。また付帯情報は、登録番号、製造メーカー・製造者・著作者等の情報の何れも含まれない代わりに、デジタル財データに関係があるか、或いはデジタル財データに付随して生成されるいかなる情報やデータで構成されるものであってもよい。
【0050】
ハイブリッド鑑定証明
次にハイブリッド鑑定証明の処理動作について説明をする。ハイブリッド鑑定証明では、上述したデジタル財鑑定証明に加えて、更にアナログ財鑑定証明を組み合わせることで、より高精度な要鑑定製品5の鑑定を行う。
【0051】
図4は、アナログ財鑑定証明では、要鑑定製品5、及びこれと共に販売され、流通するギャランティカード24を示す模式図である。要鑑定製品5には、秘密鍵α、製品情報(商品名、品番、製造メーカー・製造者(著作者)、製造場所、製造年月日等)を含む情報を記録した小型記録媒体(a)51aが貼着または組み込まれており、また、ギャランティカード24には、秘密鍵β、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(b)52aが貼着または組み込まれている。小型記録媒体(a)51a、小型記録媒体(b)52aとしては、要鑑定製品5及びギャランティカード24の形状、構造、大きさ等に応じて、ICチップ、二次元コード、電子透かし等の小型記録媒体等を適宜用いることができる。
【0052】
要鑑定製品5の小型記録媒体(a)51a、及びギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aの製品情報は、要鑑定製品5の出荷時に、各種業者等により入力される。
【0053】
図5は、アナログ財鑑定証明の一実施形態を示す概略図である。アナログ財鑑定証明を行う上では、上述したデジタル財鑑定証明に必要な各構成要素に加え、要鑑定製品5の製品情報、要鑑定製品5が消費者に渡るまでの各流通段階における取引情報の各情報を、ブロックチェーン8aのブロックチェーンデータ8bとして記録する専用プラットフォーム8と、専用プラットフォーム8に公衆通信網10を介して、アプリケーション[A]9により接続される端末2a、及び専用プラットフォーム8に、公衆通信網10を介して、アプリケーション[B]11により接続される端末2bにより構成されている。
【0054】
各種業者等は、製品情報及び取引情報を、アプリケーション[A]9を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0055】
消費者は、アプリケーション[B]11を用いて、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵βを使用して、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み込むことができ、これにより消費者は信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0056】
アプリケーション[A]9は、端末2aにダウンロードされ作動するものであって、これを用いて、各種業者等は、製品情報及び取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込むことができる。また、アプリケーション[B]11は端末2bにダウンロードされ作動するものであり、消費者は、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み込むことができる。
【0057】
要鑑定製品5の小型記録媒体(a)51aに記録された秘密鍵α、製品情報を含む情報、及び、ギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β、製品情報を含む情報の読み取りは、端末2aに接続されたリーダー25や、スマートフォンとして構成された端末2bを近接させることにより無線通信を介して実現できる。かかる場合において、NFC(NearField Communication)、RFID(Radio Frequency IDenticifier)等の近距離無線通信により非接触で行うこともできる。
【0058】
図6は、アナログ財鑑定証明を行う上で、要鑑定製品5について、各種業者等が専用プラットフォーム8に、製品情報、取引情報の各情報を記録したブロックチェーンデータ8bの例を示している。
【0059】
要鑑定製品5は製造メーカー・製造者・著作者等によって製造された後、ギャランティカード24をセットにして出荷されるが、出荷の際には、まず、製造メーカー・製造者・著作者等の担当者は、アプリケーション[A]9を用いて、次のような製品情報、5W1H情報(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)を含む情報として、例えば、商品名、品番、製造メーカー、製造場所、製造年月日等を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0060】
次に、製造メーカー・製造者・著作者等の担当者は、アプリケーション[A]9を用いて、製造メーカー・製造者・著作者等の担当者が記録した製品情報の検品結果、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0061】
次に、要鑑定製品5が製造メーカー・製造者・著作者等から出荷された後、物流業者は、アプリケーション[A]9を用いて製造メーカー・製造者・著作者等から製品を受け取った日時、卸売り業者に納品した日時、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0062】
要鑑定製品5が物流業者から入荷された後、卸売り業者は、アプリケーション[A]9を用いて、その物流業者から製品を納品された日時、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0063】
このようにして、各種業者等の製品情報及び取引情報が、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに順次書き込まれていく。
【0064】
なお、ブロックチェーンデータ8bに製品情報及び取引情報を書き込む権限は、これらの情報に関わる各種業者等それぞれに限定して与えられる。例えば、各種業者等には製品情報を書き込む権限しか与えられないものであってもよい。
【0065】
このように、各種業者等が、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を順次書き込んでいくことから、要鑑定製品5が複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりしても、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報が正確に記録できる。
【0066】
さらに、製品情報及び取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込むことにより、製品情報及び取引情報が改竄されることを完全に防止することができる。すなわち、ブロックチェーンデータ8b内の各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンク(ハッシュ値)が含まれており、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。
【0067】
要鑑定製品5の新製品または中古品を購入した消費者は、端末2bを用いて、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵βを使用し、アプリケーション[B]11を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み込むことができる。これにより、要鑑定製品5及びギャランティカード24を所有する真の消費者だけが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0068】
このようなアナログ財鑑定証明においても同様に、複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品5を購入した消費者が、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。このアナログ財鑑定証明においては、各種業者等が、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに順次書き込んでいく。これにより、製品情報及び取引情報を正確に記録でき、また、製品情報及び取引情報が改竄されることを完全に防止することができる。このため、鑑定証明の信頼性をより高めることができる。
【0069】
またアナログ財鑑定証明においては、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵βを使用して、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み込むことにより、要鑑定製品5及びギャランティカード24を所有する真の消費者だけが、鑑定証明を行うことができる。このため、これらの要鑑定製品5又はギャランティカード24を保有していない第三者は、このような鑑定証明自体を行うことができない。
【0070】
なお、アナログ財鑑定証明を行う上で、要鑑定製品5に、小型記録媒体(a)と共に、秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)~秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)のn個(nは2以上の整数)の小型記録媒体を貼着または組み込むことができる。これにより、秘密鍵α、秘密鍵βだけでなく、秘密鍵α~αの全ての秘密鍵が揃ってはじめて鑑定証明が成立するマルチシグが採用でき、鑑定精度をより確実なものとすることができる。さらに、n個の小型記録媒体(a)~(a)を要鑑定製品5の各パーツに貼着または組み込むことにより、パーツの一部が模造品と交換されている場合でもこれを検知することができる。例えば、要鑑定製品5が自動車の場合、車体及び各タイヤそれぞれに小型記録媒体を貼着または組み込むことにより、全てが真正品でなければ鑑定証明が成立しなくなる。
【0071】
また、本発明の鑑定証明システムでは、好適には、小型記録媒体(a)~(a)及び上記小型記録媒体(b)の少なくとも1つに、GPS機能を備えることができる。これにより、要鑑定製品5の各パーツや、ギャランティカードを紛失したり、これらが盗難にあったりした場合でも、容易にその所在を検知することができる。
【0072】
このようなアナログ財鑑定証明に、上述したデジタル財鑑定証明を組み合わせたハイブリッド鑑定証明を行う場合には、図7(a)に示すように、アナログ財鑑定証明において求められる要鑑定製品5及びギャランティカード24に加え、デジタル財鑑定証明において求められるトランザクションハッシュ又は二次元コードの3つを準備する。
【0073】
そして、端末72を用いて、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵βを使用し、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み込む。これと共に、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、端末72にインストールされたアプリケーションにアクセスし、鑑定証明を行う。アプリケーション側においてトランザクションハッシュ又は二次元コードの整合性を判定することができることに加え、読み込まれた要鑑定製品5の製品情報及び取引情報が何れも正しいかを判定することができる。これらの判定結果が何れも正しいものと判定された場合に初めてその要鑑定製品5が真正品であるものと判断することができる。
【0074】
仮にアナログ財鑑定証明に用いられる要鑑定製品5に付与された秘密鍵α、及びギャランティカード24に付与された秘密鍵βが偽造されたり、違法に複製されたりするものであったとしても、このデジタル財鑑定証明に用いられるトランザクションハッシュ又は二次元コードを通じた鑑定証明がなされない限り、このハイブリッド鑑定証明を看過することはできないものとなる。即ち、このハイブリッド鑑定証明は、アナログ財鑑定証明に加え、デジタル財鑑定証明を織り交ぜることにより、より信頼性の高い鑑定証明システムを提供することが可能となる。
【0075】
なお本発明は、図7(a)に示すように、要鑑定製品5及びギャランティカード24に加え、トランザクションハッシュ又は二次元コードの3つを準備する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば図7(b)に示すように、要鑑定製品5又はギャランティカード24に加え、トランザクションハッシュ又は二次元コードの2つを準備することで同様にハイブリッド鑑定証明を行うことができる。
【0076】
つまり、アナログ財鑑定証明においては、要鑑定製品5に付与された秘密鍵α、又はギャランティカード24に付与された秘密鍵βを使用し、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み込む。これに加えて、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、端末72にインストールされたアプリケーションを介して整合性を判定することができる。これらの判定結果が何れも正しいものと判定された場合に初めてその要鑑定製品5が真正品であるものと判断することができる。
【0077】
また、上述したアナログ財鑑定証明の代替として、以下に説明するイーサリアム等のトークンを保管するためのブロックチェーンウォレットを通じて所有証明を行うようにしてもよい。以下に説明するブロックチェーンウォレットの所有証明は一例であり、これに限定されることなく他のいかなる所有証明手段に代替可能であることは勿論である。
【0078】
なお、上述したギャランティカード24の代替として、形状、構造、大きさ等に応じて、マイクロチップ(ICチップ)、二次元コード、電子透かし等を適宜用いることができる。
【0079】
図8は、ブロックチェーンウォレットを通じた所有証明のフローチャートを示している。
【0080】
ステップS31において先ず消費者はバックエンドに対してワンタイムトークンを要求する。ここでいう消費者41は、ウェブブラウザの拡張機能やスマホアプリとして利用できる暗号資産専用のブロックチェーンウォレットの消費者である。消費者41は、フロントエンド(front-end)を通じて情報の送受信を行い、このフロントエンドとは、消費者と直接データのやり取りを行う要素のことで、ウェブ制作ではウェブブラウザ側(クライアント側)を指します。バックエンド42とは、サーバーサイドの処理を指し、一般的に消費者41の目に見えることのないサーバやデータベース、機能、処理を担うプログラムやモジュールなど、仕組みや機能、部品をいう。
【0081】
次にステップS31に移行し、バックエンド42は消費者に対して、ワンタイムトークンを返却する。このワンタイムトークンの有効期限は、例えば数秒~数分間のものであってもよい。
【0082】
次にステップS33に移行し、消費者41からブロックチェーンウォレット43に署名作成依頼を出す。このブロックチェーンウォレット43は、暗号資産を扱うプログラムである。このブロックチェーンウォレット43では、アドレスやその秘密鍵は外部サーバに保存されるわけではなく送金処理なども全てブラウザ上で動作します。
【0083】
次にステップS34に移行し、ブロックチェーンウォレット43から署名を消費者41に対して返却する。
【0084】
次にステップS35へ移行し、消費者は、メッセージ、ワンタイムトークン、署名データ、ブロックチェーンウォレットアドレスをバックエンド42へ送信する。即ち、署名前において、バックエンド42に消費者認証用のワンタイムトークンを要求し、それを署名に利用するものである。署名データをバックエンド42に送信する際に上述したワンタイムトークンも一緒に送信する。バックエンド42では署名データとワンタイムトークンを検証する。
【0085】
バックエンド42では、署名付きのメッセージを規格にしたがってハッシュデータに変換する。そして、スマートコントラクト44に対して、そのハッシュメッセージと署名データを送信する(ステップS36)。ここでいうスマートコントラクト44は、ブロックチェーン8a上で契約を自動的に実行する仕組みであり、ブロックチェーン8aのサーバ上で動作する。
【0086】
次にステップS37に移行し、スマートコントラクト44からバックエンド42に向けて検証アドレスを返却する。バックエンド42は、検証アドレスの照合を行う。かかる場合においてバックエンド42は、ブロックチェーンウォレットアドレスと検証用ブロックチェーンウォレットアドレスとの整合性を確認する。
【0087】
次にステップS38に移行し、バックエンド42は、ブロックチェーンウォレット所有証明を消費者41へ送信する。要鑑定製品について消費者41が所有証明をしたい場合、このようにしてスマートコントラクト(ブロックチェーン8a)に記録されている所有証明データ(ブロックチェーンウォレット所有証明)を読み込むことで実現することができる。
【0088】
このため、上述したアナログ財鑑定証明の代替として、このようにブロックチェーン8aに記録されている所有証明データ(ブロックチェーンウォレット所有証明)を読み込むと共に、図9(a)に示すように、専用プラットフォーム8から発行されるトランザクションハッシュ又は二次元コードに基づいて、ハイブリッドな鑑定証明を行うことができる。
【0089】
これに加えて、このようなブロックチェーンウォレット所有証明を利用する場合には、図9(b)に示すように、更にアナログ財鑑定証明を組み合わせるようにしてもよい。かかる場合には、アナログ財鑑定証明における要鑑定製品5に付与された秘密鍵α及びギャランティカード24に付与された秘密鍵βを使用してもよいし、秘密鍵α又は秘密鍵βを使用してもよい。所有証明データ(ブロックチェーンウォレット所有証明)、トランザクションハッシュ又は二次元コードに加え、秘密鍵α及び/又は秘密鍵βに基づいて、ハイブリッドな鑑定証明を行うことが可能となる。
【0090】
また本発明によれば、NFTを介した鑑定証明は必須ではなく、図10に示すように、識別子を介した鑑定証明を行うようにしてもよい。識別子自体が唯一無二のものであるから、これを介して鑑定証明を行うことが可能となる。
【0091】
消費者又は製造メーカー・製造者・著作者等は、専用プラットフォーム8から識別子を取得する。このとき、識別子に加え、ステップS23において識別子に応じた二次元コードを生成している場合には、消費者又は製造メーカー・製造者・著作者等は、その二次元コードを取得してもよい。
【0092】
鑑定証明時には、この取得した識別子、又はその識別子に応じた二次元コードに加え、図10(a)に示すように要鑑定製品5に付与された秘密鍵α、或いは、図10(b)に示すように秘密鍵α及びギャランティカード24に付与された秘密鍵βを準備する。
【0093】
そして、端末2を用いて、秘密鍵α、或いは秘密鍵α及び秘密鍵βを使用し、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aに書き込まれた、要鑑定製品5の製品情報及び取引情報を読み込む。これと共に、識別子、又はその識別子に応じた二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8又は分散型ファイルサーバ3にアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5の識別子を読み込む。この読み込まれた要鑑定製品5の製品情報及び取引情報、識別子の何れもが正しいものと判定された場合に初めてその要鑑定製品5が真正品であるものと判断することができる。
【0094】
この図10の例において、更に所有証明データ(ブロックチェーンウォレット所有証明)を組み合わせたハイブリッドな鑑定証明を行うようにしてもよい。
【0095】
またデジタル財に限っては、図11に示すように、取得した識別子、又はその識別子に応じた二次元コードに加え、ギャランティカード24に付与された秘密鍵βを用いたハイブリッド鑑定証明を行うようにしてもよい。デジタル財は、要鑑定製品5が物品として具現化されるものではなく、小型記録媒体a自体を付すことができないため、秘密鍵αを省略し、秘密鍵βのみを使用して、ハイブリッド鑑定証明を行う。この図11の例において、更に所有証明データ(ブロックチェーンウォレット所有証明)を組み合わせたハイブリッドな鑑定証明を行うようにしてもよい。
【0096】
カウントアップによる鑑定証明
なお本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、更にカウントアップによる鑑定証明を織り交ぜて実施するものであってもよい。
【0097】
このカウントアップによる鑑定証明は、上述した鑑定証明が行われる都度、その鑑定証明の時点をブロックチェーン8a上に順次記録する。例えば、鑑定証明が8月19日の10時15分に行われた場合には、8月19日10時15分という時点がブロックチェーン8a上に記録され、次に9月23日21時54分に鑑定証明が行われた場合には、9月23日21時54分という時点がブロックチェーン8a上に記録され、次に11月4日13時34分に鑑定証明が行われた場合には、11月4日13時34分という時点がブロックチェーン8a上に記録される。その結果、ブロックチェーン8a上には、鑑定証明が記録された各時点が順次蓄積されることとなる。
【0098】
カウントアップによる鑑定証明は、このブロックチェーン8aに記録された時点に基づいて鑑定証明を行う。例えば、同時点において複数の鑑定証明がブロックチェーン8aにおいて記録されている場合、何れか一方の要鑑定製品5が真正品で、他方が偽物であることが明らかである。かかる場合には、その旨を通知するようにしてもよい。
【0099】
また、鑑定証明の時点の時間差が数十秒、数分~数十分、数時間の場合も、同一の物品を頻繁に鑑定すること自体が稀であることから疑わしい場合がある。かかる場合も同様にその旨を通知するようにしてもよい。
【0100】
このように、ブロックチェーン8aに順次記録された鑑定証明の時点に基づいて、その信憑性を判定する。このとき、ブロックチェーン8aに記録された時点の間隔において閾値を設け、その閾値未満であるか否かに基づいて鑑定証明を行うようにしてもよい。
【0101】
また、鑑定証明の時点に加え、更にその鑑定証明を行った位置に関する位置情報を紐付けてブロックチェーン8aに記録するようにしてもよい。例えば、8月19日10時15分という時点に加え、その鑑定証明を行った位置が「東京都丸の内」であれば、8月19日10時15分という時点と、その位置情報としての「東京都丸の内」がブロックチェーン8aに記録される。次に鑑定証明が行われた時点が、12月21日14時9分という時点に加え、その鑑定証明を行った位置が「パリの住所〇×」であれば、12月21日14時9分という時点と、その位置情報としての「パリの住所〇×」がブロックチェーン8aに記録される。その結果、ブロックチェーン8a上には、鑑定証明が記録された各時点と、その位置情報が順次蓄積されることとなる。
【0102】
このとき、ブロックチェーン8aにおいて、最初の鑑定証明の時点における位置情報が東京であり、その後の鑑定証明の時点における位置情報がパリが記録されている場合であって、その時点間の間隔が僅か2時間である場合、東京からパリまで飛行機でも2時間で行くことは不可能であることから、何れか一方の要鑑定製品5が真正品で、他方が偽物であることが明らかである。かかる場合には、その旨を通知するようにしてもよい。具体的には、登録メールアドレスに不正検知をした旨の通知を行うようにしてもよいし、端末2に実装されたアプリケーションを介してアラートポップアップを表示したり、或いは注意喚起を示す赤字表示を画面上に表示したりする方法等を行うようにしてもよい。
【0103】
このように、ブロックチェーン8aに順次記録された鑑定証明の時点及び位置情報に基づいて、その信憑性を判定する。このとき、ブロックチェーン8aに記録された時点の間隔において閾値を設けて判断する場合、その位置情報との関係において当該閾値を設定するようにしてもよい。
【0104】
なお、この信憑性の判定は、所定時間内に移動が不可能な距離において鑑定証明が行われたか否かに基づく以外に、位置情報の如何を問わず、1日に所定回数以上の鑑定証明が実施されたか否か、或いは総鑑定証明回数が所定回を超えたか否かに基づいて行うようにしてもよい。即ち、所定期間における鑑定証明回数に基づいて、その信憑性を判定することとなる。所定期間における鑑定証明回数が閾値を超えたか否かに基づいてその信憑性を判別する。所定期間における鑑定証明回数が閾値を超えた場合、それほどの短期間において多くの鑑定証明が行われることは不自然であるため、信憑性が疑わしいものと判定し、アラートを通知するようにしてもよい。
【0105】
また、要鑑定製品5が化粧品等である場合、ICチップ入り開封検知シールが貼付されている場合、使用と同時に当該ICチップ入り開封検知シールが破損される。このため、複数回の鑑定証明自体が行われることがありえなくなり、仮に複数回の鑑定証明が行われた場合、明らかに偽物が出回っていることが裏付けられる。このようなケースにおいて、所定期間における鑑定証明回数に基づいて、その信憑性を判別するメリットがでてくるといえる。
【0106】
表1に、ブロックチェーン8aに順次記録された鑑定証明の時点及び位置情報の例を示す。鑑定結果表示回数は、鑑定証明の回数を示している。時点は、年月日と時間を介して表示される。位置情報は、国名、都道府県、市区町村レベルで表示されるが、これに限定されるものではない。
【0107】
【表1】
【0108】
ちなみに位置情報の取得は、例えば鑑定証明を行おうとする端末2及び/又は端末72に実装される。
【0109】
アプリケーションを介して現在位置情報を取得したり、アクセスしたIPアドレスを逆探知する形式により当該情報を取得したりするものであってもよい。
【0110】
トレーサビリティを利用した鑑定証明
【0111】
以下、トレーサビリティを利用した鑑定証明方法について説明をする。
【0112】
図12は、トレーサビリティを利用した鑑定証明方法のフローを示している。
【0113】
本フローを開始する前提として、製造メーカー・製造者・著作者、物流企業、消費者に対して、それぞれ上述したブロックチェーンウォレットアドレスが予め付与されていることが前提となる。このブロックチェーンウォレットアドレスが、本システムの運営業者側で割り振るようにしてもよい。このブロックチェーンウォレットアドレスを割り当てた製造メーカー・製造者・著作者、物流企業、消費者に対しては、その割り当てたブロックチェーンウォレットアドレスに紐付けられた秘密鍵をそれぞれ配布するようにしてもよい。また、製造メーカー、製造者、著作者、物流企業、消費者の各主体が独自にブロックチェーンウォレットアドレスを取得してもよい。
【0114】
先ずステップS41において、要鑑定製品5についてデジタル財データを取得する。このデジタル財データ取得は、鑑定証明対象に対して行う。このデジタル財データは、製造メーカー・製造者・著作者等がこのような端末2を介して撮像することにより得られたデジタル財データとして構成される以外に、元々この要鑑定製品5に対して付与され、或いは紐付けられて記憶媒体に記録されているものを使用するようにしてもよいことは上述と同様である。このデジタル財データは、デジタル画像、デジタル音声、デジタル楽曲、デジタル映像等の鑑定証明が必要とされるあらゆるデジタルコンテンツであり、各拡張子として、例えばjpg、png、gif、mp3、mov等が付与される。このとき、このデジタル財データとともに、上述した付帯情報や、要鑑定製品に関するあらゆる商品情報も一緒に取得するようにしてもよい。かかる場合には、このようなデジタル財データや登録番号、付帯情報、商品情報等をcsv形式のファイルに書き込んだものを取得するようにしてもよい。
【0115】
次にステップS42へ移行し、このようなデジタル財データや付帯情報、商品情報等を専用プラットフォーム8に登録することにより、上述と同様に、この専用プラットフォーム8が参照するブロックチェーン8aからNFTを発行すると共に、そのNFTに応じたトランザクションハッシュと二次元コードを自動生成する。このトランザクションハッシュは、IDのようなデータで具現化されるものであってもよく(TxIDともいう。)、ブロックチェーンアドレスとして具現化されるものであってもよい。
【0116】
そして、このトランザクションハッシュに基づいて更にハッシュ化した第1ハッシュを新たに生成する。なお、第1ハッシュをトランザクションハッシュに基づいて生成する以外に、トランザクションハッシュそのものをそのまま第1ハッシュとしてもよい。
【0117】
なお、発行したNFTは、トランザクションハッシュに紐づいていることは勿論であるが、このトランザクションハッシュから生成される第1ハッシュに対してもこのNFTが紐づいている。このNFTはブロックチェーン8a上で記録される。
【0118】
次にステップS43に移行し、上述したアナログ財鑑定証明と同様に、要鑑定製品5の小型記録媒体(a)51aに記録された秘密鍵α、製品情報、取引情報を含む情報、及び/又は、ギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β、製品情報、取引情報を含む情報を読み取る。そして読み取った情報をブロックチェーン8aに書き込む上で生成される第2ハッシュを得る。
【0119】
なお、ギャランティーカード24は、実際にカード状の物品として具現化される物理的ギャランティーカード以外に、物品として具現化されることなくデジタル情報としての論理的ギャランティーカードも含まれる。
【0120】
次に、ステップS44へ移行し、得られた第1ハッシュと第2ハッシュとに基づいて、新たに第3ハッシュを生成する。この第3ハッシュの生成方法としては、第1ハッシュと第2ハッシュの積又は和を求め、これを第3ハッシュとしてもよいし、その他いかなる周知の方法で求めるようにしてもよい。求めた第3ハッシュは、ブロックチェーン8a上に記録する。このとき、上述したNFTやそのNFTに応じたトランザクションハッシュと二次元コード紐付けてこの第3ハッシュを記録するようにしてもよい。
【0121】
以上のステップS41~ステップS44の前処理を事前に運営会社側で行っておいてもよいし、その他関係主体(製造メーカー・製造者・著作者・物流企業・消費者等)が自ら行っておいてもよい。その後の製造メーカー・製造者・著作者から、物流企業、消費者へと要鑑定製品5が流通する過程のプロセスは、以下に説明するステップS45以後となる。
【0122】
なお、本発明においては、ブロックチェーンウォレットアドレスについて、いわゆる中央集権型といえるWeb2.0で割り当てるようにしてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、個人情報(性別、国籍、人種、年齢等)を入力することなく、個人のデジタル資産を全てブロックチェーンウォレット内に保存し、何人もこれを消去することが不可能なWeb3.0により具現化してもよい。即ち、Web3.0は、中央集権に依存しない、いわゆる非中央集権型を適用するようにしてもよい。
【0123】
ステップS45では、先ず製造メーカー・製造者・著作者によって生成された要鑑定製品5が、物流企業へと移転する。即ち、このステップS45では、要鑑定製品5の所有者が製造メーカー・製造者・著作者から物流企業へと移転することとなる。このとき要鑑定製品5に付随する小型記録媒体(a)、小型記録媒体(b)も同様に移転する。また、要鑑定製品5のNFTの所有者も同様に移転する。
【0124】
移転する都度、その移転先の所有者のブロックチェーンウォレットアドレスを当該NFTと紐付けて記録する。移転する前は、NFTに紐付けられて製造メーカー・製造者・著作者のブロックチェーンウォレットアドレスが記録されていたが、移転する際に、新たに物流企業のブロックチェーンウォレットアドレスがNFTに紐付けられて記録される。かかる場合、各種業者等は、この移転する際のブロックチェーンウォレットアドレスをアプリケーション[A]等を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込むようにしてもよい。
【0125】
また、このステップS45において、物流企業は、要鑑定製品5とともに、このトランザクションハッシュ又は二次元コードを各種業者等又は専用プラットフォーム8を構成するマーケットプレイスから受け取る。トランザクションハッシュ又は二次元コードを受け取った物流企業は、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aにアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5のNFTを読み込むことができる。
【0126】
ステップS46に移行し、物流企業から消費者へと要鑑定製品5が移転する。このとき要鑑定製品5に付随する小型記録媒体(a)、小型記録媒体(b)も同様に移転する。また、要鑑定製品5のNFTの所有者も同様に移転する。
【0127】
移転する都度、その移転先の所有者のブロックチェーンウォレットアドレスを当該NFTと紐付けて記録するため、新たに消費者のブロックチェーンウォレットアドレスがNFTに紐付けられて記録される。
【0128】
また、このステップS46において、消費者は、要鑑定製品5とともに、このトランザクションハッシュ又は二次元コードを各種業者等又は専用プラットフォーム8を構成するマーケットプレイスから受け取る。トランザクションハッシュ又は二次元コードを受け取った消費者は、トランザクションハッシュ又は二次元コードを用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーン8aにアクセスし、そこに記録されている要鑑定製品5のNFTを読み込むことができる。
【0129】
このような消費者は、専用プラットフォーム8を介して要鑑定製品5の鑑定証明を試みることができる。以下、この鑑定証明を試みる消費者を鑑定証明者という。
【0130】
ステップS47において、鑑定証明者は、先ず専用プラットフォーム8、ひいてはブロックチェーン8aへアクセスすることにより、ログへの書き込み作業を行う。このログへの書き込み作業は、アプリケーションのユーザインターフェース上から実現することができ、例えば鑑定証明者の氏名や生年月日等を始めとする個人情報やその他いかなる情報を、ユーザインターフェース上の誘導に沿って記入する。ユーザインターフェースの誘導が無くても、鑑定証明者から入力されるいかなる情報、或いは情報として意味を持たないいかなる文字列であっても、このログへの書き込み作業とみなしてよい。
【0131】
かかる場合において、鑑定証明者は、ブロックチェーンウォレットアドレスの割り当て時において、自らに対して秘密鍵が割り当てられている場合、この秘密鍵を介してログにアクセスするようにしてもよい。鑑定証明者が自らブロックチェーンアドレスを生成し、それを利用してもよいことは勿論である。秘密鍵を通じて署名した段階で、自動的にブロックチェーン8a上にてブロックチェーンウォレットアドレスを取得することができる。或いはこの秘密鍵をユーザインターフェース上において入力し、専用プラットフォーム8側において、その秘密鍵に対して割り当てられているブロックチェーンウォレットアドレスの有無を検証するようにしてもよい。その結果、秘密鍵に対してブロックチェーンウォレットアドレスが割り当てられていた場合、これに対して専用プラットフォーム8側において署名を行う。この署名がなされた場合を、ログの書き込み成功とし、それ以外はログの書き込み失敗とする。この署名はプログラムにより自動的に実行されるものであってもよい。
【0132】
ログの書き込みをするためには、必ず秘密鍵を通じて署名が必要になる。署名をすると自動的にブロックチェーン8a上にてブロックチェーンウォレットアドレスを取得することができる。このため、ユーザインタフェース上で鑑定証明者に対してログの書き込みを促すことで、ブロックチェーンウォレットアドレスを得ることができる。具体的には、秘密鍵を通じて公開鍵を取得することができ、この公開鍵を通じてブロックチェーンウォレットアドレスを取得できる。
【0133】
専用プラットフォーム8は、ブロックチェーンウォレットアドレスの所有者である旨を判断することができる。一方でログの書き込みに失敗した場合には、ブロックチェーンウォレットアドレスの所有者でない旨を判断することができる。ブロックチェーンウォレットアドレスの所有者である旨を判別した場合、その判別したブロックチェーンウォレットアドレス(以下、第2ブロックチェーンウォレットアドレスという。)を読み出す。
【0134】
なお、第2ブロックチェーンウォレットアドレスの取得方法は、上述した方法に限定されるものではなく、他のいかなる方法で取得するものであってもよい。この第2ブロックチェーンウォレットアドレスを取得する際には、この鑑定証明者から直接入力してもらうことで取得するようにしてもよい。
【0135】
また、このステップS47において、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応するNFTに紐付けられたブロックチェーンウォレットアドレスをブロックチェーン8aから読み出す。このブロックチェーン8aから読み出したブロックチェーンウォレットアドレスを、以下第1ブロックチェーンウォレットアドレスという。
【0136】
次にこの第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスの同一性を判別する。第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスが同一であれば照合が終了する。照合の終了を通じて、要鑑定製品5が模造品でなく真正品であることを判別することができる。一方、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスが非同一であれば、鑑定証明者が要鑑定製品5の所有者ではないことを判別することができる。
【0137】
その理由として、NFTの所有者が移転する都度、これに紐付けられて記録される第1ブロックチェーンウォレットアドレスが、真正品である旨の証拠となる。この第1ブロックチェーンウォレットアドレスと同一の第2ブロックチェーンウォレットアドレスの保有者が、現時点においてその真正品としての要鑑定製品5を保有している旨の証拠となる。このため、この第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスの同一性を判別することで要鑑定製品5の鑑定証明を行うことができる。
【0138】
これに加えて、更にステップS48において説明する鑑定証明を組み合わせて判断するようにしてもよい。
【0139】
ステップS48では、鑑定証明者から取得したトランザクションハッシュ又はこれに応じた二次元コードに対応するNFTに紐付けられたトランザクションハッシュに基づいて第4ハッシュを生成する。この第4ハッシュの生成方法は、上述した第1ハッシュの生成方法と同様である。
【0140】
また、ステップS48では、要鑑定製品5の小型記録媒体(a)51aに記録された秘密鍵α、製品情報、取引情報を含む情報、及び/又は、ギャランティカード24の小型記録媒体(b)52aに記録された秘密鍵β、製品情報、取引情報を含む情報を読み取る。そして読み取った情報をブロックチェーン8aに書き込む上で生成される第5ハッシュを得る。
【0141】
次に、得られた第4ハッシュと第5ハッシュとに基づいて、新たに第6ハッシュを生成する。この第6ハッシュの生成方法は、上述した第3ハッシュの生成方法と同様である。
【0142】
このようにして得られた第6ハッシュと第3ハッシュの同一性を判定する。
【0143】
要鑑定製品5が真正品であれば、小型記録媒体(a)51a、小型記録媒体(b)52aから読み取った情報をブロックチェーン8aに書き込む上で生成される第5ハッシュは、第2ハッシュと同一になる。また鑑定証明者が真正品を保有しているのでれば、専用プラットフォーム8を構成するマーケットプレイスから受け取るトランザクションハッシュ又は二次元コードに紐付けられるトランザクションハッシュに基づいて生成する第4ハッシュは、第1ハッシュと同一である。
【0144】
このため、このような第4ハッシュと第5ハッシュとに基づいて生成される第6ハッシュが第3ハッシュと同一であるか否かを介して、同様に要鑑定製品5が真正品であるか否かを判別することができる。具体的には、第6ハッシュを生成した後、これと同一の第3ハッシュがブロックチェーン8a上に格納されているか否かを検索する。このように、単なる第1ハッシュ、第2ハッシュのみならず、これらに基づいて生成した第3ハッシュを介して判別を行うことにより、より秘匿性を向上させることができる。これに加えて、ブロックチェーン8aへの書き込み時において、第1ハッシュ、第2ハッシュの2つを書き込むのではなく、これらが反映された第3ハッシュを一つだけ書き込めばよいことから書き込み速度を向上させることができ、処理動作を高速化させることができる。
【0145】
そして、本発明では、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性、及び第3ハッシュと第6ハッシュの同一性の双方を判定することにより、要鑑定製品5の鑑定証明を行うようにしてもよい。即ち、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとが同一であり、かつ第3ハッシュと第6ハッシュが同一であれば照合が終了する。照合の終了を通じて、要鑑定製品5が真正品である旨を判別する。これに対して、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレス、第3ハッシュと第6ハッシュの何れか一方又は両方が非同一の場合は、鑑定証明者が要鑑定製品5の所有者ではないことを判別することができる。
【0146】
このように本発明では、第1ブロックチェーンウォレットアドレスと第2ブロックチェーンウォレットアドレスとの同一性、及び第3ハッシュと第6ハッシュの同一性という全く異なる方式に基づいて鑑定証明を行うことができる。このため、何れか一方の方式の鑑定証明をうまく潜り抜けて真正品と判定されたとしても、他方の方式の鑑定証明で偽造品と判定された場合、その要鑑定製品5については真正品とは判別されないものとなる。このように、要鑑定製品5のうち、より強固に鑑定証明を行う物品についてより高度な鑑定証明精度の下で実現できる。
【符号の説明】
【0147】
1 製品鑑定証明システム
2、72 端末
3 分散型ファイルサーバ
5 要鑑定製品
8 専用プラットフォーム
8a ブロックチェーン
8b ブロックチェーンデータ
10 公衆通信網
24 ギャランティカード
25 リーダー
43 ブロックチェーンウォレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12