IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青島膠南海爾洗濯機有限公司の特許一覧 ▶ 海爾智家股▲フン▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-洗濯機及びその制御方法 図1
  • 特許-洗濯機及びその制御方法 図2
  • 特許-洗濯機及びその制御方法 図3
  • 特許-洗濯機及びその制御方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】洗濯機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20231024BHJP
   D06F 33/32 20200101ALI20231024BHJP
   D06F 105/06 20200101ALN20231024BHJP
【FI】
D06F39/08 331
D06F39/08 321
D06F33/32
D06F105:06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021514012
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2019104904
(87)【国際公開番号】W WO2020052516
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】201811067369.9
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517110966
【氏名又は名称】青島膠南海爾洗濯機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】趙志強
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第200971428(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第108385336(CN,A)
【文献】特開2001-276482(JP,A)
【文献】米国特許第05823018(US,A)
【文献】特開2017-018467(JP,A)
【文献】特開平07-275557(JP,A)
【文献】中国実用新案第207435750(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
D06F 33/32
D06F 105/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機であって、
集水装置と内槽を含み、前記内槽は洗浄過程で貯水に用いられ、前記内槽の底部には前記集水装置と連通する排水孔が設けられており、
更に、前記排水孔と連通するスプレー水路を含み、前記スプレー水路の吐水端が前記内槽の上部と連通することで循環回路が形成され、
前記排水孔の下端には伸縮可能なバルブプラグが設けられており、前記バルブプラグには内蔵管路が設けられており、前記内蔵管路の一端は前記内槽の内部と連通し、他端は前記スプレー水路に接続されて前記内槽の上部と連通しており、
前記洗濯機にはロック装置が設けられており、前記内槽の底部には位置決め孔が設けられており、前記集水装置には、位置決めロッドが設けられており、前記内槽が脱水を完了して前記バルブプラグを封止する必要が生じた場合に、前記位置決めロッドが前記位置決め孔に伸入することで、前記内槽を特定の位置に、動かないよう保持することを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記バルブプラグはプラグヘッドとバルブステムを含み、且つT字型をなすよう設けられ、前記内蔵管路は、前記プラグヘッドを貫通して前記内槽の内部と連通し、且つ前記バルブステムの底部の側面に設置されている開口から伸出して前記スプレー水路に接続されることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記バルブステム部分に設置される内蔵管路は伸縮可能管路であり、前記バルブステムが上方へ運動して前記排水孔を封止する際に前記内蔵管路が伸張し、前記バルブステムが下方へ運動して前記排水孔から離れる際に前記内蔵管路が収縮することを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記洗濯機はガス室を更に含み、前記ガス室には前記内槽の水位を検出するための圧力センサが装着されており、前記内蔵管路の出口側の一端には三方分岐構造が設けられており、前記三方分岐構造の3つのポートは、前記内槽、前記スプレー水路及び前記ガス室とそれぞれ連通することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記集水装置の上部には集水装置カバーが設けられており、前記集水装置カバーの設置高さは前記内槽の高さよりも高く、前記スプレー水路の吐水端は、前記集水装置カバーに固定されるとともにスプレー口が設けられており、前記スプレー口は前記内槽の内部に面していることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記スプレー水路にはウォーターポンプが設けられており、前記ウォーターポンプは、前記内槽底部の洗浄水を吸引し、前記スプレー水路に沿って前記内槽の上部まで搬送することを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
洗濯機の制御方法であって、
前記洗濯機は集水装置と内槽を含み、前記内槽は洗浄過程で貯水に用いられ、前記内槽の底部には前記集水装置と連通する排水孔が設けられており、前記排水孔にはスプレー水路が連通しており、前記スプレー水路の吐水端が前記内槽の上部と連通することで循環回路が形成され、前記スプレー水路にはウォーターポンプが設けられており、制御方法には、前記内槽に水が存在するときに、前記洗濯機が前記ウォーターポンプを制御してスプレーを実現することが含まれており、
前記排水孔の下端には伸縮可能なバルブプラグが設けられており、前記バルブプラグには内蔵管路が設けられており、前記内蔵管路の一端は前記内槽の内部と連通し、他端は前記スプレー水路に接続されて前記内槽の上部と連通しており、
前記洗濯機にはロック装置が設けられており、前記内槽の底部には位置決め孔が設けられており、前記集水装置には、位置決めロッドが設けられており、前記内槽が脱水を完了して前記バルブプラグを封止する必要が生じた場合に、前記位置決めロッドが前記位置決め孔に伸入することで、前記内槽を特定の位置に、動かないよう保持することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
前記洗濯機はガス室を更に含み、前記ガス室には前記内槽の水位を検出するための圧力センサが装着されており、前記制御方法には、前記洗濯機がスプレーを行う前に前記内槽の水位を検出し、前記水位がスプレー時の要求を満たしていれば前記ウォーターポンプを起動してスプレーを行うことが含まれることを特徴とする請求項7に記載の洗濯機の制御方法。
【請求項9】
洗濯機は、給水過程/洗浄過程/排水過程で前記ウォーターポンプを起動してスプレーを行うことを特徴とする請求項7に記載の洗濯機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭用電気製品の分野に属し、具体的には、洗濯機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパルセータ式洗濯機は、内槽に脱水孔が設けられており、内槽と外槽が連通している。内槽は洗浄槽、外槽は貯水槽となるが、内槽と外槽の側壁の間に満たされる水は洗浄には関与せず、実際に洗浄に関与するのは内槽内の水のみである。よって、大量の水資源が無駄になってしまう。このほか、内槽と外槽の間の水が多すぎる場合には、洗浄液中の液体洗剤/粉末洗剤の濃度が低下する。また、水流が内槽と外槽の間を頻繁に行き来するため、使用を続けるうちに、内槽と外槽の側壁の間の領域が汚れの溜まり場となってしまう。このことから、水道水中の水垢、粉末洗剤からの遊離物、衣類のセルロース、人体の有機物及び衣類により持ち込まれる埃や細菌が内槽と外槽の側壁の間に極めて容易に滞留する。これらのカビは、使用履歴の長い洗濯機の内部に蓄積された大量の汚れが効果的に除去されないことで繁殖する。使用者の目に付かないこうした汚れが除去されなければ、次の洗浄後に細菌が衣類に付着して人体にもたらされ、交差感染の問題が招来される。
【0003】
従来技術における槽間に水が存在しない洗濯機は、内槽壁の脱水孔を省略しており、上部にのみ脱水孔を設けている。よって、内槽と外槽の間には給水及び洗浄の過程で水が存在しない。一方、一般的な洗濯機は、外槽内の水を内槽内まで吸い上げて循環式スプレーを実現する。しかし、槽間に水が存在しない洗濯機の場合には内槽と外槽の間に水を有さないため、循環式スプレーを実現できず、衣類の吸水、洗浄、或いは消泡等の操作を行うことができない。また、内槽が回転するため、スプレー管路を内槽に固定的に接続することができず、可動部材を介して接続する必要がある。
【0004】
以上に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、洗濯機及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0007】
洗濯機は、集水装置と内槽を含む。前記内槽は洗浄過程で貯水に用いられ、内槽の底部には集水装置と連通する排水孔が設けられている。更に、排水孔と連通するスプレー水路を含み、前記スプレー水路の吐水端が内槽の上部と連通することで循環回路が形成される。
【0008】
前記排水孔の下端には伸縮可能なバルブプラグが設けられている。前記バルブプラグには内蔵管路が設けられている。前記内蔵管路の一端は内槽の内部と連通し、他端はスプレー水路に接続されて内槽の上部と連通している。
【0009】
前記バルブプラグはプラグヘッドとバルブステムを含み、且つT字型をなすよう設けられる。前記内蔵管路は、プラグヘッドを貫通して内槽の内部と連通し、且つバルブステムの底部の側面に設置されている開口から伸出してスプレー水路に接続される。
【0010】
バルブステム部分に設置される内蔵管路は伸縮可能管路である。バルブステムが上方へ運動して排水孔を封止する際に内蔵管路が伸張し、バルブステムが下方へ運動して排水孔から離れる際に内蔵管路が収縮する。
【0011】
前記洗濯機は、更にガス室を含む。前記ガス室には、内槽の水位を検出するための圧力センサが装着されている。前記内蔵管路の出口側の一端には三方分岐構造が設けられており、三方分岐構造の3つのポートは、内槽、スプレー水路及びガス室とそれぞれ連通する。
【0012】
前記集水装置の上部には集水装置カバーが設けられている。前記集水装置カバーの設置高さは内槽の高さよりも高い。前記スプレー水路の吐水端は、集水装置のカバーに固定されるとともに、スプレー口が設けられている。前記スプレー口は内槽の内部に面している。
【0013】
前記スプレー水路にはウォーターポンプが設けられている。前記ウォーターポンプは、内槽底部の洗浄水を吸引し、スプレー水路に沿って内槽の上部まで搬送する。
【0014】
洗濯機の制御方法において、前記洗濯機は集水装置と内槽を含む。前記内槽は洗浄過程で貯水に用いられ、内槽の底部には集水装置と連通する排水孔が設けられている。排水孔にはスプレー水路が連通しており、前記スプレー水路の吐水端が内槽の上部と連通することで循環回路が形成される。前記スプレー水路にはウォーターポンプが設けられている。制御方法には、内槽に水が存在するときに、洗濯機がウォーターポンプを制御してスプレーを実現することが含まれる。前記洗濯機は、更にガス室を含む。前記ガス室には、内槽の水位を検出するための圧力センサが装着されている。制御方法には、洗濯機がスプレーを行う必要がある場合に内槽の水位を検出し、水位がスプレー時の要求を満たしていればウォーターポンプを起動してスプレーを行うことが含まれる。
【0015】
洗濯機は、給水過程/洗浄過程/排水過程でウォーターポンプを起動してスプレーを行う。
【発明の効果】
【0016】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0017】
(1)槽間に水が存在しない洗濯機の内槽底部における排水孔部分のバルブプラグに内蔵管路を設置しているため、内槽の密閉及び排水過程に支障をきたすことなく、リアルタイムで内槽の水位検出及び循環式スプレーを実行可能である。また、水を集水装置に引き入れる必要がないため、集水装置に洗浄水が残留して清潔にできないとの事態が回避される。
【0018】
(2)バルブプラグに内蔵管路を1つだけ設け、且つ一端に三方分岐部材を接続することで、内槽の外部に設置されているスプレー水路及びガス室の双方を内槽と連通させることができる。スプレー水路はスプレー機能を実現し、ガス室は水位検出機能を実現する。これにより、複数の機能を実現しながらも、余分な接続部材は追加されないため、内槽の底部及び洗濯機内部の構造が簡略化される。
【0019】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0020】
図面は本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなくこれらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の洗濯機を示す図である。
図2図2は、本発明のバルブプラグを示す図である。
図3図3は、本発明における三方分岐構造を示す図である。
図4図4は、本発明の制御方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0023】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明確とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0024】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0025】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0026】
図1に示すように、本発明は洗濯機に関する。前記洗濯機は内槽1と集水装置2を含む。内槽1の側壁のうち最高水位よりも下には脱水孔が設けられておらず、内槽1の上部に脱水孔が周設されている。洗浄過程では、内槽1内にのみ洗浄水を有する。よって、外槽を貯水槽とする必要はなく、内槽1が貯水槽となる。また、内槽1内の洗浄水を排出する必要があるため、内槽1の底部には排水孔が設けられているほか、排水孔の開閉を制御するバルブプラグ4が設けられている。
【0027】
洗濯機の動作過程には、排水過程と脱水過程が含まれる。また、洗濯機には集水装置2が設けられている。前記集水装置2は、槽状の構造として内槽1と同軸に装着し、内槽1の外部に覆設してもよいし、トレイ状構造として内槽1の底部に設置してもよい。
【0028】
内槽1の排水孔は、底部に設けられて排水に用いられる。内槽1から排出された水は、排水孔を通じて集水装置2に進入したあと、洗濯機の外部に排出される。
【0029】
本発明の洗濯機にはスプレー装置が更に設けられている。然るべきスプレー水路3を設置し、内槽1内の水を内槽1の上部まで引き上げて内槽1にスプレーすることで、衣類の吸水、洗浄効果の強化、消泡等の作用を奏する。スプレー水路3にはウォーターポンプ31が設置されている。これにより、内槽1内の水を吸引して内槽1の上部まで引き上げ、内槽1に向かってスプレーする。
【0030】
スプレー水路3は、一端を内槽1と連通させ、他端を内槽1上部の管路に設置すればよい。また、一般的には集水装置2の外部に設置して、洗浄過程で当該管路に支障をきたすことのないよう、内槽1は避けるようにする。
【0031】
前記スプレー水路3にはウォーターポンプ31が設けられている。前記ウォーターポンプ31は、内槽1底部の洗浄水を吸引し、スプレー水路3に沿って内槽1の上部まで搬送する。
【0032】
より良好なスプレー効果を達成するために、スプレー水路3の終端にスプレーヘッド32を設置してもよい。即ち、内槽1へのスプレー前に、洗浄水は当該スプレーヘッド32を通過するため、より良好な分布を実現可能となる。これにより、いっそう良好にスプレーするとの目的が達成される。また、前記集水装置2の上部には集水装置カバーが設けられている。前記集水装置カバーの設置高さは内槽1の高さよりも高い。前記スプレー水路3の吐水端は、集水装置2のカバーに固定されるとともにスプレーヘッド32が設けられている。前記スプレーヘッド32は内槽1の内部に面している。
【0033】
パルセータが回転して内槽1内の衣類を洗浄する際、内槽1と集水装置2の間に水は存在しない。このとき、内槽1底部の排水孔は封止状態でなければならない。従来技術では、排水孔にバルブプラグが設置されている。バルブプラグは、洗濯機の底部から集水装置を貫通して排水孔の位置まで伸出し、伸縮運動によって排水孔の開閉切替を実現する。バルブプラグが上方へ伸出すると、バルブプラグ上部のプラグヘッドが内槽に直接当止して、排水孔を封止する。一方、バルブプラグが下方へ収縮すると、バルブプラグが内槽から離れることで、排水孔から内槽内の水を流出可能となる。
【0034】
バルブプラグは内槽と同期して運動しない。バルブプラグは集水装置に対し相対的に固定されており、内槽は軸方向に回転する。内槽の排水孔は円心位置に設置されているとは限らないため、バルブプラグが排水孔を封止する際には、内槽が回転しないよう保証するとともに、排水孔をちょうどバルブプラグの位置に停止させる必要がある。そこで、洗濯機には更にロック装置が設けられている。内槽の底部には位置決め孔が設けられており、集水装置或いは洗濯機のその他の底部には位置決めロッドが設けられている。内槽が脱水を完了してバルブプラグを封止する必要が生じた場合には、位置決めロッドが位置決め孔に伸入することで、内槽を特定の位置に動かないよう保持する。
【0035】
本発明の洗濯機では、洗濯機の内槽1の底部に排水孔が設けられており、当該部位を通じてスプレー水路3との連通を可能としている。よって、内槽1のその他の部位に別途孔を開ける必要がない。また、バルブプラグ4が存在することから、バルブプラグ4の中心軸方向の位置には内蔵管路が設けられている。当該内蔵管路の一端は内槽1の内部と連通し、他端はスプレー水路3に接続されて内槽1の上部と連通している。バルブプラグ4の内蔵管路をスプレー水路3の一部とすることで、スプレーのための循環水路を良好に実現可能となるほか、余分な部品が追加されないため、内槽1底部の構造が簡略化される。
【0036】
内蔵管路の具体的な設置方式は図2に示す通りである。前記バルブプラグ4はプラグヘッド42とバルブステム43を含んでいる。プラグヘッド42は、排水孔を封止して、内槽1内の水が集水装置2に進入しないよう防止するために用いられる。また、バルブステム43は、駆動装置に接続されて、バルブプラグ4の伸縮運動を制御するために用いられる。内蔵管路は内槽1との連通状態を維持する必要があるため、内蔵管路におけるプラグヘッド42側の一端はプラグヘッド42を貫通している。即ち、バルブプラグ4の上部には水孔が設けられている。水孔は内蔵管路のポートとなる。また、内蔵管路の他端はバルブステム43から伸出して、スプレー水路3と連通する必要がある。そのため、バルブステム43の一方の側には、水路を伸出させるための開口が設けられている。当該位置は、各装置の位置及び水路接続口の位置に応じて設定すればよい。また、当該ポートを通じてスプレー水路3と接続することで、バルブプラグ4及びバルブステム43の本来の機能に支障をきたさないことを前提に循環水路が形成される。
【0037】
内蔵管路はバルブステム43の内部に設置されており、且つバルブステム43は伸縮による制御機能を備えている。そのため、バルブカバー部分に設けられる内蔵管路は、全部又は一部を伸縮可能管路411として設置してもよい。図2の設置方式の場合には、バルブステム43が上方へ運動して排水孔を封止する際に、これに伴って内蔵管路も伸張する。また、バルブステム43が下方へ運動して排水孔から離れる際には、これに伴って内蔵管路が収縮する。よって、双方の機能ともに影響を受けることはない。
【0038】
従来技術では、内槽の底部と連通するガス室を有しており、ガス室に圧力センサを設置して内槽内の水位を検出している。ガス室も内槽と連通する必要があるため、本発明では、内蔵管路の出口側の一端に三方分岐構造6を設けている。三方分岐構造6の3つのポートは、内槽1、スプレー水路3及びガス室5とそれぞれ連通する。
【0039】
前記三方分岐構造6については図3に示す通りである。三方分岐構造6は3つの接続口を有しており、一般的には、1つが内槽1と連通する入水口、残りの2つがガス室5及びスプレー水路3にそれぞれ接続される吐水口となる。3つの接続口は、それぞれ、内蔵水路41の伸出側の一端に固定接続される内蔵水路接続口61、ガス室5から伸出する管路に固定接続されるガス室接続口62、スプレー水路3に固定接続されるスプレー水路接続口63である。
【0040】
本発明は、更に、洗濯機の制御方法を含む。前記洗濯機は上述した洗濯機であり、集水装置と、洗浄過程で貯水に用いられる内槽を含む。内槽の底部には集水装置と連通する排水孔が設けられている。排水孔にはスプレー水路が連通しており、前記スプレー水路の吐水端が内槽の上部と連通することで循環回路が形成される。また、前記スプレー水路にはウォーターポンプが設置されている。制御方法には、内槽に水が存在するときに、洗濯機がウォーターポンプを制御してスプレーを実現することが含まれる。
【0041】
前記洗濯機は、更にガス室を含む。前記ガス室には、内槽の水位を検出するための圧力センサが装着されている。制御方法には、洗濯機がスプレーを行う必要がある場合に内槽の水位を検出し、水位がスプレー時の要求を満たしていればウォーターポンプを起動してスプレーを行うことが含まれる。
【0042】
図4に示すように、洗濯機がスプレーを行う必要がある場合には、スプレー水路がバルブプラグの内蔵管路を通じて内槽と連通する必要がある。そのため、バルブプラグは排水孔を封止することで、洗浄水が内蔵管路を通じてスプレー管路に流れ込むよう保証せねばならない。また、バルブプラグが排水孔を封止する際には、ロック装置によって内槽をロックすることで、内槽の周方向の運動を防止する必要がある。
【0043】
スプレーシステムは内槽内の洗浄水を利用して循環させる必要があるため、ガス室を通じて内槽内の水位を判断可能としている。内槽内に水が存在し、且つ水量がスプレーに必要な水量を満たし得る場合、洗濯機はウォーターポンプを起動して内槽内の水を吸引することができる。内槽内の洗浄水は、バルブプラグの内蔵管路を通過したあと、三方分岐構造を通じてスプレー水路に流れ込む。そして、スプレー水路の他端に設置されているスプレーヘッドが水を内槽内に分散させるようスプレーすることで、吸水/洗浄/消泡等の目的を実現する。
【0044】
内槽内では、その他の水位検出装置やセンサによって内槽内の水量を検出してもよい。洗濯機は、検出装置又はセンサからのフィードバックによって、ウォーターポンプを起動するか否かを制御する。
【0045】
内槽内に水が存在しない場合、或いは、循環式スプレーを実現するだけの水量が不足している場合には、洗濯機は給水弁を自動的に開放して内槽に対する補水操作を実行する。或いは、ユーザに警告を発し、ユーザからの次の操作を待つ。そして、内槽内にスプレーを行うのに十分な水が満たされてから、ウォーターポンプを起動してスプレーを行う。
【0046】
一般的には、スプレーのための然るべき時間を設定しておく。設定時間に達すると、洗濯機はウォーターポンプを停止してスプレーを終了し、その他の操作を実行する。
【0047】
また、その他のパラメータからスプレーを終了すべきか否かを判断してもよい。例えば、排水過程でスプレーを行う際には、内槽内に水が存在しなくなった場合に、ウォーターポンプを停止してスプレーを終了する。或いは、その他の検出装置によって内槽の状態を判断し、スプレーの目的が達成されたか否かを判断する。そして、スプレーの目的が達成されている場合には、ウォーターポンプを停止してスプレーを終了する。
【0048】
洗濯機は、給水過程/洗浄過程/排水過程でウォーターポンプを起動してスプレーを行う。洗濯機が給水過程でスプレーを行う場合には、上部に位置する濡れていない衣類に吸水させることで、その後の洗浄過程が容易となる。また、洗濯機が洗浄過程でスプレーを行う場合には、内槽内の衣類に対する衝撃を強化できるため、スプレー洗浄が実現されて、洗浄効果が向上する。また、洗濯機が排水過程でスプレーを行う場合には、内槽において効果的な消泡を実現可能となる。よって、泡が大量に管路又は集水装置に進入して、システム動作に対する抵抗が増大するとの事態が防止される。
【0049】
本発明の有益な効果は次の通りである。バルブプラグに内蔵管路を設置し、且つ三方分岐構造を設けることで、内槽の外部に設置されているスプレー水路及びガス室の双方を内槽と連通させることができる。スプレー水路はスプレー機能を実現し、ガス室は水位検出機能を実現する。これにより、複数の機能を実現しながらも、余分な接続部材は追加されないため、内槽の底部及び洗濯機内部の構造が簡略化される。
【0050】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0051】
1 内槽
2 集水装置
3 スプレー水路
31 ウォーターポンプ
32 スプレーヘッド
4 バルブプラグ
41 内蔵水路
411 伸縮可能管路
42 プラグヘッド
43 バルブステム
5 ガス室
6 三方分岐構造
61 内蔵水路接続口
62 ガス室接続口
63 スプレー水路接続口
7 ロック装置
図1
図2
図3
図4