(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】情報コード読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231024BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20231024BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20231024BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/14 017
G06K7/10 372
H04N23/63 300
(21)【出願番号】P 2019155218
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-01-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】外山 孝広
(72)【発明者】
【氏名】山下 勉
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-184015(JP,A)
【文献】特開2007-266882(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0171498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/14
H04N 23/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、
前記カメラによって撮像された撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理を実施するためのデコード部と、
前記デコード処理により得られた結果が保存される記憶部と、
前記デコード部によるデコード結果を利用した所定の処理を行うための処理部と、
表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部と、
を備える情報コード読取装置であって、
前記カメラにより撮像された撮像画像の前記記憶部への保存が禁止される状態で、当該カメラにより情報コードが撮像されている情報コード撮像状態であるか否かについて判定する判定部を有し、
前記表示制御部は、前記判定部により前記情報コード撮像状態であると判定されると、前記カメラによる撮像画像を表示し、前記判定部により前記情報コード撮像状態でないと判定されると、所定のデフォルト画像を表示するように前記表示部を制御し、
前記処理部は、前記カメラによる撮像画像が前記表示部に表示される場合に、前記カメラの撮像画像に対して前記デコード部により前記デコード処理が行われることで得られたデコード結果を利用して、前記所定の処理を行
い、
前記所定の処理は、前記撮像画像を保存することなく前記デコード結果を前記記憶部に保存する処理であることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記判定部により前記情報コード撮像状態であると判定される場合であっても、前記デコード部のデコード結果が予め登録される許可情報に一致しない場合には、前記所定のデフォルト画像を表示するように、前記表示部を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記判定部により前記情報コード撮像状態であると判定される場合であっても、前記デコード部のデコード結果に所定の許可情報が含まれない場合には、前記所定のデフォルト画像を表示するように、前記表示部を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報コード読取装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記判定部により前記情報コード撮像状態であると判定されると、前記カメラによる撮像画像として当該判定に用いた撮像画像に占める前記情報コードを表示することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報コード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読み取る情報コード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードやQRコード(登録商標)等の情報コードを用いて所望の情報を管理する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、利用者から送られてきたPDLデータが受信されると、このPDLデータを実解像度でレンダリングして形成した画像についてバーコード候補を検出するための処理がなされる。そして、バーコード候補が検出されることで行われたデコード処理が成功すると、そのデコード結果がPDLデータから形成した画像に追加されるようにプレビュー表示される。また、バーコード候補が検出されることで行われたデコード処理が失敗しても、PDLデータから形成した画像が上記バーコード候補をデコード可能に編集した状態でプレビュー表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、棚卸作業など、製品等にそれぞれ付されている情報コードを携帯端末のカメラで撮像して読み取る読取作業を行う際、カメラの撮像画像を携帯端末の表示画面にてプレビュー表示する場合がある。このように、カメラが向けられた情報コードをプレビュー表示することで、どの情報コードを読み取っているかを明確にすることができる。
【0005】
ところで、セキュリティの関係でカメラの撮影を禁止する撮影禁止区域を設けてその区域内ではカメラにより撮像された撮像画像の保存を禁止する場合があり、カメラ機能を有する携帯端末を持って上記撮影禁止区域に入る際には、デバイス禁止機能によりカメラ機能を禁止状態にする運用がなされる。しかしながら、上記撮影禁止区域内では、カメラ機能を禁止状態にすると、情報コードを読み取る読取作業ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、撮像画像の保存が禁止される撮影禁止区域に入る場合でも情報コードを読み取る読取作業を実施可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
カメラ(13)と、
前記カメラによって撮像された撮像画像に対して情報コード(C)をデコードするためのデコード処理を実施するためのデコード部(11)と、
前記デコード処理により得られた結果が保存される記憶部と、
前記デコード部によるデコード結果を利用した所定の処理を行うための処理部(11)と、
表示部(14)と、
前記表示部を制御する表示制御部(11)と、
を備える情報コード読取装置(10)であって、
前記カメラにより撮像された撮像画像の前記記憶部への保存が禁止される状態で、当該カメラにより情報コードが撮像されている情報コード撮像状態であるか否かについて判定する判定部(11)を有し、
前記表示制御部は、前記判定部により前記情報コード撮像状態であると判定されると、前記カメラによる撮像画像を表示し、前記判定部により前記情報コード撮像状態でないと判定されると、所定のデフォルト画像を表示するように前記表示部を制御し、
前記処理部は、前記カメラによる撮像画像が前記表示部に表示される場合に、前記カメラの撮像画像に対して前記デコード部により前記デコード処理が行われることで得られたデコード結果を利用して、前記所定の処理を行い、
前記所定の処理は、前記撮像画像を保存することなく前記デコード結果を前記記憶部に保存する処理であることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、カメラにより撮像された撮像画像の保存が禁止される状態で、当該カメラにより情報コードが撮像されている情報コード撮像状態であるか否かについて判定部により判定される。そして、判定部により情報コード撮像状態であると判定されると、カメラによる撮像画像が表示され、判定部により情報コード撮像状態でないと判定されると、所定のデフォルト画像が表示されるように、表示制御部により表示部が制御される。そして、カメラによる撮像画像が表示部に表示される場合に、カメラの撮像画像に対してデコード部によりデコード処理が行われることで得られたデコード結果を利用して、処理部により所定の処理が行われる。
【0009】
これにより、カメラの撮影を禁止する撮影禁止区域に入る場合など、カメラにより撮像された撮像画像の保存が禁止される状態では、カメラを情報コードに向けることで判定部により情報コード撮像状態であると判定されると、カメラによる撮像画像が表示部に表示されて、デコード結果を利用した所定の処理が行われる。これにより、撮像画像の保存が禁止される撮影禁止区域に入る場合でも情報コードを読み取る読取作業を実施することができる。一方、カメラにより撮像された撮像画像の保存が禁止される状態では、判定部により情報コード撮像状態であると判定されない場合には、カメラによる撮像画像が表示されず、所定のデフォルト画像が表示部に表示される。このように、カメラを情報コードに向けない場合にはカメラによる撮像画像が表示部に表示されないため、読取作業時に、撮影禁止区域内で撮影行為を行っていると周囲の第三者等が誤認してしまうことを抑制することができる。
【0010】
請求項2の発明では、判定部により情報コード撮像状態であると判定される場合であっても、デコード部のデコード結果が予め登録される許可情報に一致しない場合には、所定のデフォルト画像を表示するように、表示制御部により表示部が制御される。これにより、撮影禁止区域内では、予め登録された情報コードでなければカメラによる撮像画像が表示されないため、撮像画像の保存禁止に関してさらにセキュリティ性を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明では、判定部により情報コード撮像状態であると判定される場合であっても、デコード部のデコード結果に所定の許可情報が含まれない場合には、所定のデフォルト画像を表示するように、表示制御部により表示部が制御される。これにより、撮影禁止区域内では、所定の許可情報が記録された情報コードでなければカメラによる撮像画像が表示されないため、撮像画像の保存禁止に関してさらにセキュリティ性を高めることができる。特に、所定の許可情報を記録するように情報コードを生成すればよく、許可すべきデコード結果を予め登録するような作業等をなくすことができる。
【0012】
請求項4の発明では、判定部により情報コード撮像状態であると判定されると、上記カメラによる撮像画像として当該判定に用いた撮像画像に占める情報コードを表示するように、表示制御部により表示部が制御される。このため、判定部により情報コード撮像状態であると判定される場合であっても、カメラにより撮像された撮像画像がリアルタイムでプレビュー表示されることもなく、読み取った情報コードも静止画的に表示されるために容易に視認できる。これにより、読取作業時には、撮影禁止区域内で撮影行為を行っているとの第三者等の誤認を確実に抑制しつつ、読取作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図2】第1実施形態において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図3】
図3(A)は、所定のデフォルト画面が表示部に表示される状態を説明する説明図であり、
図3(B)は、カメラにて撮像されている撮像画像が表示部にプレビュー表示される状態を説明する説明図である。
【
図4】第1実施形態の第1変形例において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図5】第1実施形態の第2変形例において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報コード読取装置を携帯端末10に適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る携帯端末10は、バーコードやQRコード等の情報コードを光学的に読み取る携帯型の情報コード読取装置として機能するもので、カメラ機能を有するスマートフォン等に対して後述する読取処理を実行するための所定のアプリケーションプログラム(以下、単に、読取アプリともいう)をインストールすることで構成されている。
【0015】
この携帯端末10は、
図1に示すように、カメラ13に加えて、CPU等からなる制御部11、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部12、制御部11によって表示内容が制御されるタッチパネル式の表示部14、タッチパネルに対するタッチ操作やキー操作に応じた操作信号を制御部11に出力する操作部15、アクセスポイントを介した無線通信等により外部と通信するための通信部16などを備えている。なお、カメラ13は、表示部14の表示画面とは反対側となる背面に設けられており、携帯端末10の背面側を撮像するように構成されている。
【0016】
次に、本実施形態に係る携帯端末10の特徴的構成について説明する。
秘匿性が高い製品等を製造している工場等では、セキュリティの関係でカメラの撮影を禁止する撮影禁止区域が設けられる場合があり、この撮影禁止区域内ではカメラにより撮像された撮像画像の保存を禁止する必要がある。このため、カメラ機能を有する携帯端末10を持って上記撮影禁止区域に入る際には、デバイス禁止機能によりカメラ機能を禁止状態にする必要があるが、単にカメラ撮影を禁止するカメラ撮影禁止状態では、情報コードを読み取る読取作業ができないという問題がある。
【0017】
そこで、本実施形態では、読取アプリを起動させることで制御部11にてなされる読取処理において、撮影禁止区域内ではカメラ13にて情報コードが撮像されている撮像状態である場合に限って、その情報コードを表示部14にプレビュー表示して、撮像した情報コードをデコードするデコード処理を行う。なお、本実施形態では、携帯端末10が撮影禁止区域内にいるか否かについて、撮影禁止区域内に設けられる特定のアクセスポイントに通信部16を介して接続されるか否かに基づいて判定している。
【0018】
以下、携帯端末10が撮影禁止区域内にいると判定される場合に読取アプリを起動することで制御部11にてなされる読取処理について、
図2に示すフローチャート等を参照して詳述する。なお、以下の説明では、撮影禁止区域内に配置される物品に情報コードCとして付されたQRコードを読み取る読取作業を行う場合について説明する。
【0019】
携帯端末10を用いて読取作業を行う作業者が上述のように読取アプリを起動することで制御部11にて読取処理が開始されると、
図2のステップS101に示す撮像画像保存禁止処理がなされ、カメラ13により撮像された撮像画像の記憶部12への保存(記憶)が禁止される状態になる。
【0020】
次に、ステップS103に示すデフォルト画面表示処理がなされ、
図3(A)に示すように、カメラ13を情報コード(
図3(A)では商品コードと表示)に向けることを促す情報が表示された所定のデフォルト画面が表示部14に表示される。このように、所定のデフォルト画面が表示部14に表示されることで、カメラ13により撮像されている撮像画像を表示部14に表示するプレビュー表示が禁止される。
【0021】
続いて、カメラ13により撮像されている撮像画像を表示部14に表示するプレビュー表示とカメラ13による撮影とを許可する時間を設定するためのタイマのカウント値が0にリセットされて停止状態となる(S105)。
【0022】
次に、ステップS107に示す読取操作チェック処理にて、上記所定のデフォルト画面とともに表示される読取操作用のアイコンSに対してタッチ操作を行う読取操作がなされているかについてチェックされる。そして、読取操作用のアイコンSがタッチ操作されていない場合には(S109でNo)、ステップS111に示すタイマチェック処理にて、上記タイマのカウント値をチェックして、そのカウント値が0であってタイマが停止していると(S113でYes)、ステップS127に示すデフォルト画面表示処理がなされる。上述のように所定のデフォルト画面が表示部14に表示されている場合には、その表示状態が維持されるようにして、上記ステップS107からの処理が繰り返される。
【0023】
上記繰り返し処理中に、作業者が読取操作用のアイコンSに対してタッチ操作を行うと(S109でYes)、ステップS115に示す画像解析処理がなされる。この処理では、カメラ13により撮像される撮像画像からQRコードと認識される領域を抽出するための処理がなされる。具体的には、QRコードの三隅に配置されるファインダパターンを抽出するための処理がなされる。
【0024】
続いて、ステップS117の判定処理にて、カメラ13により情報コードとしてQRコードが撮像される情報コード撮像状態であるか否かについて判定される。ここで、撮像画像からファインダパターンが抽出されないために情報コード撮像状態でないと判定される場合には(S117でNo)、上記ステップS111以降の処理がなされる。なお、上記ステップS117の判定処理を行う制御部11は、「判定部」の一例に相当し得る。
【0025】
一方、カメラ13を情報コードCに向けた状態で作業者が読取操作用のアイコンSに対してタッチ操作を行っている場合には(S109でYes)、上記ステップS115の画像解析処理にてファインダパターンが抽出されるため、ステップS117の判定処理にて情報コード撮像状態であると判定される(S117でYes)。この場合には、
図3(B)に示すように、ステップS119に示す撮像画像表示処理がなされ、カメラ13にて撮像されている情報コードC等の撮像画像が動画的に表示部14にプレビュー表示される。なお、表示部14を、カメラ13にて撮像されている撮像画像をプレビュー表示させる状態と上記所定のデフォルト画面を表示させる状態とを切り替えるように制御する制御部11は、「表示制御部」の一例に相当し得る。
【0026】
続いて、ステップS121に示すデコード処理にて、撮像されている情報コードをデコードするための処理がなされる。なお、デコード処理を行う制御部11は、「デコード部」の一例に相当し得る。
【0027】
そして、ステップS123に示すタイマ起動処理がなされ、予め決められた時間(例えば、3秒)だけカウントするように、タイマのカウント値が所定の設定値に設定されると、上記デコード処理により得られた読取結果が記憶部12に保存(記憶)された後(S125)、上記ステップS107からの処理がなされる。なお、上記読取結果を記憶部12に保存(記憶)する処理を行う制御部11は、デコード結果を利用して所定の処理を行う「処理部」の一例に相当し得る。
【0028】
このため、上述のようにタイマが起動した後では、読取操作用のアイコンSに対してタッチ操作がなされない場合でも(S109でNo)、時間とともに減少するカウント値が0にならずタイマが停止していない場合には(S113でNo)、カメラ13にて撮像されている情報コードC等の撮像画像が表示部14にプレビュー表示される状態が維持される。すなわち、情報コード撮像状態ではなくなったとしても、タイマが停止するまでは、撮像画像が動画的に表示部14にプレビュー表示される状態が維持される。
【0029】
そして、タイマが停止する前に、読取操作用のアイコンSに対するタッチ操作に応じて新たな情報コードが撮像されることでデコードされると(S121)、ステップS123のタイマ起動処理にて、タイマのカウント値が上記所定の設定値に再び設定されて、カメラ13にて撮像されている撮像画像が表示部14にプレビュー表示される状態が維持される。
【0030】
その後、情報コード撮像状態になることなくタイマのカウント値が0になってタイムアウトになることでタイマが停止すると(S113でYes)、ステップS127に示すデフォルト画面表示処理がなされる。これにより、再び、上記所定のデフォルト画面が表示部14に表示される状態になった後(
図3(A)参照)、上記ステップS107からの処理がなされる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末10では、カメラ13により撮像された撮像画像の保存が禁止される状態で、当該カメラ13により情報コードが撮像されている情報コード撮像状態であるか否かについて判定される。そして、情報コード撮像状態であると判定されると(S117でYes)、カメラ13による撮像画像がプレビュー表示され、情報コード撮像状態でないと判定されると(S117でNo)、タイマが停止している場合には所定のデフォルト画像が表示されるように、表示部14が制御される。そして、カメラ13による撮像画像が表示部14にプレビュー表示される場合に、カメラ13の撮像画像に対してデコード処理が行われることで得られたデコード結果が所定の処理として記憶部12に保存(記憶)される。
【0032】
これにより、カメラの撮影を禁止する撮影禁止区域に入る場合など、カメラ13により撮像された撮像画像の保存が禁止される状態では、カメラ13を情報コードに向けることで情報コード撮像状態であると判定されると、カメラ13による撮像画像が表示部14に表示されて、デコード結果を利用した所定の処理が行われる。これにより、撮像画像の保存が禁止される撮影禁止区域に入る場合でも情報コードを読み取る読取作業を実施することができる。一方、カメラ13により撮像された撮像画像の保存が禁止される状態では、情報コード撮像状態であると判定されない場合には、カメラ13による撮像画像が表示されず、所定のデフォルト画像が表示部14に表示される。このように、カメラ13を情報コードに向けない場合にはカメラ13による撮像画像が表示部14に表示されないため、読取作業時に、撮影禁止区域内で撮影行為を行っていると周囲の第三者等が誤認してしまうことを抑制することができる。
【0033】
なお、上記読取処理におけるステップS117の判定処理では、撮像画像からファインダパターンが抽出される場合に情報コード撮像状態であると判定しているが、これに限らず、QRコードを構成する他の特徴パターンなど、QRコードと認識される領域が抽出される場合に情報コード撮像状態であると判定してもよい。また、QRコードと異なるコード種別の情報コード(例えば、バーコード等の一次元コードやデータマトリックスコード、マキシコード等の二次元コード)を読み取る読取作業を行う場合でも、上記ステップS117の判定処理では、そのコード種別の情報コードと認識される領域が抽出される場合に情報コード撮像状態であると判定してもよい。
【0034】
また、上記読取処理におけるステップS117の判定処理では、カメラ13にて撮像されている撮像画像から情報コードと認識される領域が抽出される場合に情報コード撮像状態であると判定することに限らず、撮像画像に対して行ったデコード処理が成功した場合に情報コード撮像状態であると判定してもよい。この場合には、上記ステップS121のデコード処理をなくすことができる。
【0035】
また、情報コード撮像状態であると判定される場合であっても、所定の条件が成立する場合には、撮像画像がプレビュー表示されることなく上記所定のデフォルト画像が表示される状態が維持されてもよい。
【0036】
具体的には、例えば、
図4に示す読取処理の第1変形例のように、情報コード撮像状態であると判定される場合であっても(S117でYes)、その判定後にデコード処理がなされて(S118)、このデコード処理でのデコード結果が予め登録される許可情報に一致しない場合には(S118aでNo)、上記ステップS111以降の処理を行うことで、上記所定のデフォルト画像が表示される状態が維持される。これにより、撮影禁止区域内では、予め登録された情報コードでなければカメラ13による撮像画像が表示されないため、撮像画像の保存禁止に関してさらにセキュリティ性を高めることができる。
【0037】
また、例えば、
図5に示す読取処理の第2変形例のように、情報コード撮像状態であると判定される場合であっても(S117でYes)、その判定後にデコード処理がなされて(S118)、このデコード処理でのデコード結果に所定の許可情報が含まれない場合には(S118bでNo)、上記ステップS111以降の処理を行うことで、上記所定のデフォルト画像が表示される状態が維持される。このようにしても、撮影禁止区域内では、所定の許可情報が記録された情報コードでなければカメラ13による撮像画像が表示されないため、撮像画像の保存禁止に関してさらにセキュリティ性を高めることができる。特に、所定の許可情報を記録するように情報コードを生成すればよく、許可すべきデコード結果を予め登録するような作業等をなくすことができる。
【0038】
また、上記読取処理におけるステップS119の撮像画像表示処理では、カメラ13にて撮像されている撮像画像が表示部14にプレビュー表示されることに限らず、例えば、情報コード撮像状態であると判定された撮像画像に占める情報コードの部分が静止画として表示部14に表示されてもよい。このため、情報コード撮像状態であると判定される場合には、カメラ13により撮像された撮像画像がリアルタイムでプレビュー表示されることもなく、読み取った情報コードも静止画的に表示されるために容易に視認できる。これにより、読取作業時には、撮影禁止区域内で撮影行為を行っているとの第三者等の誤認を確実に抑制しつつ、読取作業を円滑に行うことができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る携帯端末10は、撮影禁止区域内にいるか否かについて、撮影禁止区域内に設けられる特定のアクセスポイントに接続されるか否かに基づいて判定することに限らず、例えば、GPS信号等を利用して測定した現在位置情報に基づいて判定してもよい。また、携帯端末10は、作業者等が操作部15に対して所定の操作を行った場合や上位機器等から所定の指示を受けた場合に、撮影禁止区域内にいると判定してもよい。
【0040】
(2)上記読取処理では、ステップS107の読取操作チェック処理及びステップS109の判定処理をなくすことで、作業者による読取操作を待つことなく上記ステップS115以降の処理を行うようにしてもよい。
【0041】
(3)上記読取処理におけるステップS125の処理では、デコード結果を利用した所定の処理として、読取結果を記憶部12に保存(記憶)する処理を行うことに限らず、例えば、通信部16を介して読取結果を上位機器等に送信する処理など、他の処理を行うようにしてもよい。
【0042】
(4)本発明は、カメラ機能を有するスマートフォン等の汎用機器に対して読取アプリ等をインストールすることで構成される携帯端末に適用されることに限らず、情報コードを読み取る専用の端末に対して読取アプリ等をインストールすることで構成される情報コード読取装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…携帯端末(情報コード読取装置)
11…制御部(デコード部,処理部,表示制御部,判定部)
12…記憶部
13…カメラ
14…表示部
C…情報コード