(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20231024BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20231024BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231024BHJP
【FI】
H01M50/271 B
H01M50/262 S
H01M50/262 E
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2019213322
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】奥田 隼輔
(72)【発明者】
【氏名】中畑 拓也
(72)【発明者】
【氏名】金本 将季
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-160347(JP,A)
【文献】特開2017-037789(JP,A)
【文献】特開2016-012468(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176560(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M50/169
H01M50/103
H01M50/105
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に積層された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子を前記所定の方向で挟む位置に配置された一対のエンドプレートと、
前記複数の蓄電素子及び前記一対のエンドプレートを収容する外装体とを備え、
前記外装体は、
開口部を有し、前記複数の蓄電素子及び前記エンドプレートが前記開口部内に収容される第一部材と、
前記開口部を覆った状態で前記第一部材に接合される第二部材と、を備え、
前記第一部材と前記第二部材とは、前記開口部の全周に沿って相互に接合された熱溶着部を有し、
前記開口部は、当該開口部を平面視した場合に多角形状に形成されており、
前記一対のエンドプレートのうち、少なくとも一つのエンドプレートは、前記平面視した場合に、両端部のそれぞれが前記開口部内における角部に当接する当接部であり、前記両端部の間である中間部が前記開口部の内壁面に対して当接しない非当接部である
蓄電装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記開口部の角部をなす一対の縁辺に対して傾斜している
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記エンドプレートは、前記平面視で湾曲した形状を有する
請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記非当接部は、前記開口部に対して前記複数の蓄電素子を挿入する際の挿入方向において、当該蓄電素子の中央部に対応する位置から前記熱溶着部に対応する位置まで前記開口部の内壁面に当接していない
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記エンドプレートは、前記複数の蓄電素子が膨張していない状態では、前記開口部内において拘束されていない
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子とエンドプレートと外装体とを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分割された一対の外装体に、リチウムイオン電池などの複数の蓄電素子を収容して、一対の外装体の連結面同士を熱溶着した蓄電装置が知られている。このような、蓄電装置においては、複数の蓄電素子を挟む位置に配置された一対の平板状のエンドプレートも外装体内に収容されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電素子は、充放電に伴って徐々に膨張する特性を有している。このため複数の蓄電素子の膨張が進んでいくと、最外の蓄電素子がエンドプレートを介して外装体の内面を押圧する。これにより、外装体の熱溶着部に作用する応力が高まり、熱溶着部が損傷するおそれがある。
【0005】
本発明は、蓄電素子の膨張を起因とした外装体の熱溶着部の損傷を抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、所定の方向に積層された複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を所定の方向で挟む位置に配置された一対のエンドプレートと、複数の蓄電素子及び一対のエンドプレートを収容する外装体とを備え、外装体は、開口部を有し、複数の蓄電素子及びエンドプレートが開口部内に収容される第一部材と、開口部を覆った状態で第一部材に接合される第二部材と、を備え、第一部材と第二部材とは、開口部の全周に沿って相互に接合された熱溶着部を有し、開口部は、当該開口部を平面視した場合に多角形状に形成されており、一対のエンドプレートのうち、少なくとも一つのエンドプレートは、平面視した場合に、両端部のそれぞれが開口部内における角部に当接する当接部であり、両端部の間である中間部が開口部の内壁面に対して当接しない非当接部である。
【0007】
ここで、複数の蓄電素子が膨張する際には、第一部材に備わる開口部の一つの内壁面内では、その中央部が膨張時の押圧力を受けて最も変形しやすい。この変形を起因として内壁面の中央部に対応した位置の熱溶着部が損傷しやすい。一方、開口部の角部は、内壁面の中央部よりも剛性が大きいために、押圧力を受けたとしても変形しにくい。つまり、角部に対応した位置の熱溶着部は損傷しにくい。
【0008】
本態様では、エンドプレートの両端部である当接部が開口部内における角部に当接し、中間部である非当接部が開口部の内壁面に対して当接していない。これにより、エンドプレートを介して開口部の内壁面が受ける押圧力を角部に集中させて、内壁面の中央部には作用させないようにすることができる。したがって、外装体の熱溶着部の損傷を抑制することができる。
【0009】
当接部は、開口部の角部をなす一対の縁辺に対して傾斜していてもよい。
【0010】
これによれば、エンドプレートの当接部が角部をなす一対の縁辺に対して傾斜しているので、エンドプレートが押圧力を受けた際に、当該エンドプレートを内壁面に対して突っ張らせることができる。これにより、エンドプレートが変形しにくくなり、万が一、非当接部が内壁面に当接してしまうことを抑制できる。したがって、外装体の熱溶着部の損傷をより確実に抑制することができる。
【0011】
エンドプレートは、平面視で湾曲した形状を有していてもよい。
【0012】
これによれば、エンドプレートが湾曲した形状を有しているので、エンドプレート自体で弾性力を発揮することができる。このため、複数の蓄電素子が膨張した際に、エンドプレートが反発することとなり、複数の蓄電素子に対して拘束力を作用させることができる。したがって、エンドプレート自体の変形を抑制することができ、第一部材の内壁面に作用する押圧力も抑制することができる。これにより、外装体の熱溶着部の損傷をより確実に抑制することができる。
【0013】
非当接部は、開口部に対して複数の蓄電素子を挿入する際の挿入方向において、当該蓄電素子の中央部に対応する位置から熱溶着部に対応する位置まで開口部の内壁面に当接していなくてもよい。
【0014】
ここで、蓄電素子は、中央部が最も膨張量が大きくなる。つまり、蓄電素子の中央部では、膨張時に最も押圧力が大きくなる。非当接部は、蓄電素子の中央部に対応する位置から熱溶着部に対応する位置まで開口部の内壁面に当接していないために、最も押圧力が大きい箇所を避けることができる。したがって、エンドプレート自体が変形しにくくなるので、内壁面に作用する押圧力も抑制することができる。これにより、外装体の熱溶着部の損傷をより確実に抑制することができる。
【0015】
エンドプレートは、複数の蓄電素子が膨張していない状態では、開口部内において拘束されていなくてもよい。
【0016】
エンドプレートが例えば他の拘束部材を介して複数の蓄電素子とともに拘束されている場合には、複数の蓄電素子が膨張したとしても、拘束部材からの拘束力によってエンドプレートの変形が抑制されている。一方、エンドプレートが開口部内において拘束されていなければ、複数の蓄電素子が膨張することで受ける押圧力によって変形しやすい。つまり、外装体の熱溶着部の損傷を誘発しやすい。このような非拘束なエンドプレートに対して、本発明の構成が好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明における蓄電装置によれば、蓄電素子の膨張を起因とした外装体の熱溶着部の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るエンドプレートの概略構成を示す説明図である。
【
図4】実施の形態に係る本体部の内部構造を模式的に示す上面図である。
【
図5】変形例1に係るエンドプレートの概略構成を示す説明図である。
【
図6】変形例2に係るエンドプレートの概略構成を示す説明図である。
【
図7】変形例3に係るエンドプレートの概略構成を示す説明図である。
【
図8】変形例4に係るエンドプレートの概略構成を示す説明図である。
【
図9】変形例5に係るエンドプレートの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0020】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電装置の外装体における本体部と外蓋との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。Z軸方向は、本体部の開口部に対して複数の蓄電素子を挿入する際の挿入方向でもある。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(以下実施の形態及びその変形例では、直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0021】
[蓄電装置の全般的な説明]
まず、
図1及び
図2を用いて、実施の形態に係る蓄電装置1の全般的な説明を行う。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0022】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途または電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、船舶、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。上記の自動車としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)及びガソリン自動車が例示される。上記の電気鉄道用の鉄道車両としては、電車、モノレール及びリニアモーターカーが例示される。また、蓄電装置1は、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
【0023】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置1は、蓄電素子20と、複数の蓄電素子20を収容する外装体10とを備える。外装体10は、複数の蓄電素子20を収容する本体部11と、複数の蓄電素子20の上方に配置されるバスバープレート17と、バスバープレート17の上方を覆う外蓋12とを有する。
【0024】
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体10は、複数の蓄電素子20及びバスバープレート17等を所定の位置に固定し、これら要素を衝撃などから保護する部材である。
【0025】
本体部11は、開口部111を有する第一部材の一例である。本体部11は、上部が開放された有底矩形筒状の部材であり、その開放部分が開口部111である。開口部111は、平面視において略四角形状である。本体部11の上端部には、開口部111を全周にわたって連続的に囲む壁部50が設けられている。本体部11の開口部111内には、複数の蓄電素子20、バスバープレート17に加えて、バスバープレート17に保持された複数のバスバー33と、制御回路等を含む接続ユニット80と、一対のエンドプレート39とが収容されている。
【0026】
外蓋12は、本体部11の開口部111を閉塞する矩形状の部材であり、第二部材の一例である。外蓋12は、本体部11の開口部111を覆った状態で本体部11に接合されている。外蓋12は、正極側の外部端子91及び負極側の外部端子92を有している。外部端子91及び92は、接続ユニット80及びバスバー33を介して複数の蓄電素子20と電気的に接続されており、蓄電装置1は、この外部端子91及び92を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。外部端子91及び92は、例えば、真鍮などの銅合金、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。本体部11は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジング(筐体)であり、蓄電素子20等を収容する。
【0027】
また、外装体10の本体部11及び外蓋12は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。外装体10は、これにより、蓄電素子20等が外部の金属部材等に接触することを回避する。なお、蓄電素子20等の電気的絶縁性が保たれる構成であれば、外装体10は、金属等の導電部材で形成されていてもよい。
【0028】
蓄電素子20は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角形)を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子20がX軸方向に配列されている。なお、蓄電素子20の形状、及び、配列される蓄電素子20の個数は限定されない。また、蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、また、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0029】
具体的には、蓄電素子20は、金属製の容器21を備えている。容器21は、略直方体形状に形成されており、一対の長側面211と、一対の長側面211に隣接する一対の短側面212とを有している。一対の長側面211はX軸方向で対向しており、一対の短側面212はY軸方向で対向している。複数の蓄電素子20のそれぞれは、容器21の長側面211同士が対向するように積層されて、本体部11内に収容されている。
【0030】
容器21の蓋部分には、金属製の正極端子221及び負極端子222が設けられている。蓋部分と正極端子221及び負極端子222との間には絶縁部材(図示省略)が介在しており、この絶縁部材によって蓋部分と正極端子221及び負極端子222とが絶縁されている。
【0031】
正極端子221及び負極端子222は、容器21の蓋部分から、バスバープレート17側に向けて(上方、つまりZ軸方向プラス側に向けて)突出して配置された電極端子である。この正極端子221及び負極端子222が、少なくとも1つのバスバー33及び接続ユニット80を介して外部端子91、92に接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。なお、容器21の蓋部分には、電解液を注液する注液部、及び、容器21内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁等が設けられていてもよい。また、容器21の内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0032】
バスバー33は、バスバープレート17に保持された状態で、少なくとも2つの蓄電素子20上に配置され、当該少なくとも2つの蓄電素子20の正極端子221及び負極端子222同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー33は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。なお、本実施の形態では、5つのバスバー33を用いて、蓄電素子20を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、かつ、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続している。
【0033】
また、接続ユニット80は、複数のバスバー及び制御基板等を有するユニットであり、8個の蓄電素子20からなる蓄電素子群と、外部端子91及び92とを接続する。接続ユニット80が有する制御基板は複数の電気部品を有し、これら複数の電気部品により、各蓄電素子20の状態を検出する検出回路、及び、充電及び放電を制御する制御回路等が形成されている。本実施の形態では、接続ユニット80は、バスバープレート17に固定されている。なお、検出回路及び制御回路は個別の基板に形成されていてもよい。また、接続ユニット80は、制御基板を有しなくてもよい。この場合、例えば、蓄電装置1の外部に配置された制御装置が各蓄電素子20の充電及び放電を制御してもよい。
【0034】
バスバープレート17は、複数の蓄電素子20の上方(正極端子221及び負極端子222が配置されている側)に配置される保持部材の一例であり、本実施の形態では、バスバー33を保持する部材である。より詳細には、バスバープレート17は、複数のバスバー33、接続ユニット80、及び、その他配線類等(図示せず)を保持し、これら部材の位置規制等を行うことができる部材である。また、バスバープレート17には、複数のバスバー33のそれぞれを保持し、かつ、複数のバスバー33それぞれの一部を複数の蓄電素子20の側に露出させるバスバー用開口部17aが複数設けられている。また、バスバープレート17は、本体部11に固定されることで、例えば、複数の蓄電素子20の上方(Z軸方向プラス側)への移動を規制する役目も有している。
【0035】
なお、複数の蓄電素子20の上方に配置されるバスバープレート17は、例えば、「バスバーフレーム」、または、「中蓋」等と呼ばれる場合もある。また、バスバープレート17は、例えば、PC、PP、PE、PS、PPS、PPE(変性PPEを含む)、PET、PBT、PEEK、PFA、PTFE、PES、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。
【0036】
一対のエンドプレート39は、本体部11内において複数の蓄電素子20を一括して挟む位置に配置される矩形状の板体である。具体的には、一対のエンドプレート39は、YZ平面に平行な姿勢で、複数の蓄電素子20をX軸方向で挟む位置に配置されている。つまり、一対のエンドプレート39は、最も外側に配置された蓄電素子20の容器21の長側面211に対して重なるように配置されている。エンドプレート39は、例えば、PC、PP、PE、PS、PPS、PPE(変性PPEを含む)、PET、PBT、PEEK、PFA、PTFE、PES、ABS樹脂、若しくは、それらの複合材料等の絶縁部材、または、絶縁塗装をした金属等により形成されている。エンドプレート39の詳細については後述する。
【0037】
[本体部と外蓋との接合構造]
次に、本体部11と外蓋12との接合構造について説明する。
図2及び後述の
図3の(c)に示すように、外蓋12の全周縁には、下方に向けて延設されたスカート部123が設けられている。スカート部123は、下面視において周方向に連続した矩形枠状に形成されている。
【0038】
また、外蓋12において、スカート部123よりも内方には、下面視において周方向に連続した矩形枠状に形成された接合部124が形成されている(
図3の(c)参照)。接合部124は、その下端部がスカート部123の下端部よりも上方に配置されている。接合部124は、本体部11の壁部50に対して接合される部位である。
【0039】
接合部124と壁部50との接合には熱溶着が採用されている。熱溶着は、接合対象である部材同士を熱により溶融した後に、密着させて再硬化させることにより接合する手法である。熱溶着としては、例えばヒートシール、超音波溶着などが挙げられる。本開示では、接着剤による接合は熱溶着に含まれないものとする。接着剤を用いた接合においても、接合対象である部材同士が溶融し、再硬化することになるが、硬化後に接合箇所を解析すれば当該部位に接着剤が残存している。このため、接合後においても、当該接合が熱溶着によるものか、接着剤によるものかを判別することが可能である。
【0040】
熱溶着時においては、本体部11では、壁部50の先端部(上端部)の全周が加熱され溶融されている。一方、外蓋12では、接合部124の下端部の全周が溶融されている。この両者が溶融した状態で、外蓋12を本体部11に近づけて、接合部124の下端部の全周を、壁部50の先端部の全周に押し付けることで、溶融した部位同士が混ざり合う。混ざり合った部位は、非加熱の状態で一定時間経過すると硬化し一体化されて接合される。この接合部位は、熱溶着部90である(
図3の(c)参照)。熱溶着部90は、開口部111の全周に沿って連続的に設けられている。換言すると、本体部11と外蓋12とは、開口部111の全周に沿って接合された熱溶着部90を有している。なお、
図3の(c)では、熱溶着部90に対して、接合部124の先端部(下端部)と壁部50の先端部(上端部)との界面が図示されているが、実際には両者が混ざり合った状態で硬化しているので、界面は存在していない。この熱溶着部90によって、本体部11と外蓋12とが全周にわたって封止され、気密性が確保されている。
【0041】
[エンドプレート]
次に、エンドプレート39の詳細について説明する。
図3は、実施の形態に係るエンドプレート39の概略構成を示す説明図である。具体的には、
図3の(a)は、エンドプレート39の上面図であり、
図3の(b)は、エンドプレート39の平面図であり、
図3の(c)は、エンドプレート39の断面図である。
図3の(a)においては、開口部111を二点鎖線で示し、蓄電素子20を破線で示している。また、
図3の(c)においては、本体部11及び外蓋12を二点鎖線で示し、蓄電素子20を破線で示している。
図3の(c)は、
図3の(a)及び
図3の(b)におけるIIIC-IIIC線を含む切断面を見た断面図である。
【0042】
ここでは、一対のエンドプレート39はそれぞれ姿勢が異なるものの同形状である。具体的には、X軸方向マイナス側に配置されるエンドプレート39は、中央部がX軸方向プラス側に向けて突出する姿勢であり、X軸方向プラス側に配置されるエンドプレート39は、中央部がX軸方向マイナス側に向けて突出する姿勢である。このため、本実施の形態では、X軸方向マイナス側に配置されるエンドプレート39の詳細について説明し、X軸方向プラス側に配置されるエンドプレート39の詳細については省略する。また、以降の説明において、開口部111内において、X軸方向で対向する一対の内壁面を第一内壁面118と称し、Y軸方向で対向する一対の内壁面を第二内壁面119と称す。
【0043】
図3に示すように、エンドプレート39は平面視矩形状の湾曲した板体である。エンドプレート39は、開口部111内に収容されて、最もX軸方向マイナス側に配置された蓄電素子20と、開口部111の第一内壁面118との間に介在している。エンドプレート39の上端部は、本体部11の上端部よりも下方、つまり熱溶着部90よりも下方に配置されている。
【0044】
エンドプレート39は、上面視において中央部がX軸方向プラス側に向けて突出、つまり蓄電素子20に向けて突出するように湾曲している。エンドプレート39は、Z軸方向の全長にわたって一様な形状を有している。エンドプレート39の両端部は、中央部よりもX軸方向マイナス側に配置されている。エンドプレート39におけるY軸方向の両端面は、開口部111の一対の第二内壁面119に対して対向している。なお、エンドプレート39におけるY軸方向の両端面は、一対の第二内壁面119に対して当接していてもよい。
【0045】
エンドプレート39におけるY軸方向の両端部は、開口部111内においてX軸方向マイナス側の一対の角部113、114に対して当接する当接部391、392である。当接部391、392は、開口部111の角部113、114をなす一対の縁辺に対して傾斜している。例えば、角部113は、開口部111の1つの第一内壁面118である縁辺115と、開口部111の1つの第二内壁面119である縁辺116とから構成されている。当接部391は、縁辺115に対して角度αで傾斜しており、縁辺116に対して角度βで傾斜している。ここで、角部113、114は、ある程度の範囲がある部位である。角部は、角のあたりという趣旨であり、例えば角部が丸まっている場合は、当該角部を構成する縁辺の角度が変わり始める境界の位置からが角部に含まれる。
【0046】
また、エンドプレート39の両端部の間である中間部は、開口部111の第一内壁面118に対して当接しない非当接部393である。本実施の形態では、エンドプレート39のY軸方向における両端面の間の全領域が非当接部393となっている。
【0047】
上述したように、エンドプレート39はZ軸方向の全長にわたって一様な形状であり、なおかつ、エンドプレート39の上端部は、熱溶着部90よりも下方に配置されている。このため、非当接部393は、
図3の(c)に示すように、Z軸方向における蓄電素子20の中央部に対応する位置から熱溶着部90に対応する位置まで開口部111の第一内壁面118に当接していない。
【0048】
次に、エンドプレート39の作用について説明する。
図4は、実施の形態に係る本体部11の内部構造を模式的に示す上面図である。
図4の矢印Y1は、蓄電素子20の膨張時に蓄電素子20からエンドプレート39に付与される押圧力を示している。また、
図4の矢印Y2は、押圧力Y1を受けたエンドプレート39から本体部11に付与される押圧力を示している。つまり、蓄電素子20が膨張していない状態では押圧力Y1、Y2が発生しておらず、エンドプレート39は開口部111内において拘束(圧迫)されていない。つまり、エンドプレート39は、本体部11に収容される前の状態から変形していない。なお、エンドプレート39は、複数の蓄電素子20とともに開口部111内に挿入された直後には、開口部111や膨張前の蓄電素子20から外力を受ける場合もある。この外力は、蓄電素子20が膨張した場合の押圧力Y1に比べて僅かな力(10%未満)であるので、この状態もエンドプレート39は拘束(圧迫)されていないものとする。
【0049】
複数の蓄電素子20は、充放電に伴って膨張する。この膨張によって蓄電素子20からエンドプレート39に対して押圧力Y1が付与される。具体的には、蓄電素子20は、容器21の長側面211の中央部が最も膨張する。このため、押圧力Y1は、エンドプレート39におけるY軸方向の中央部に対して作用する。また、エンドプレート39の非当接部393は、開口部111の第一内壁面118に対して当接していないが、当接部391、392は開口部111の角部113、114に当接している。このため、当接部391、392から角部113、114に対してのみ押圧力Y2が付与される。
【0050】
ここで、比較例として平板状のエンドプレートを想定する。複数の蓄電素子20が膨張する際には、平板状のエンドプレートの中央部に対して大きな押圧力が付与される。このため、開口部111の第一内壁面118では、その面内の中央部が平板状のエンドプレートの中央部から押圧力を受けて最も変形しやすい。この変形を起因として第一内壁面118の中央部に対応した位置の熱溶着部90が損傷しやすい。
【0051】
一方、開口部111の角部113、114は、第一内壁面118の中央部よりも剛性が大きいために、押圧力Y1を受けたとしても変形しにくい。つまり、角部113、114に対応した位置の熱溶着部90は損傷しにくい。
【0052】
本実施の形態では、上述したようにエンドプレート39の両端部である当接部391、392が開口部111内における角部113、114に当接し、中間部である非当接部393が開口部111の第一内壁面118に対して当接していない。これにより、エンドプレート39を介して開口部111の第一内壁面118が受ける押圧力を角部113、114に集中させて、第一内壁面118の中央部には作用させないようにすることができる。したがって、熱溶着部90の損傷を抑制することができる。
【0053】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、X軸方向(所定の方向)に積層された複数の蓄電素子20と、複数の蓄電素子20をX軸方向で挟む位置に配置された一対のエンドプレート39と、複数の蓄電素子20及び一対のエンドプレート39を収容する外装体10とを備えている。外装体10は、開口部111を有し、複数の蓄電素子20及びエンドプレート39が開口部111内に収容される本体部11(第一部材)と、開口部111を覆った状態で本体部11に接合される外蓋12(第二部材)と、を備えている。本体部11と外蓋12は、開口部111の全周に沿って相互に接合された熱溶着部90を有する。開口部111は、当該開口部111を平面視した場合に多角形状に形成されている。一対のエンドプレート39のうち、少なくとも一つのエンドプレート39は、開口部111を平面視した場合に、両端部のそれぞれが開口部111内における角部113、114に当接する当接部391、392であり、両端部の間である中間部が開口部111の第一内壁面118に対して当接しない非当接部393である。
【0054】
これによれば、エンドプレート39の両端部である当接部391、392が開口部111内における角部113、114に当接し、中間部である非当接部393が開口部111の第一内壁面118に対して当接していない。これにより、エンドプレート39を介して開口部111の第一内壁面118が受ける押圧力を角部113、114に集中させて、第一内壁面118の中央部には作用させないようにすることができる。したがって、熱溶着部90の損傷を抑制することができる。
【0055】
また、当接部391、392は、開口部111の角部113、114をなす一対の縁辺に対して傾斜している。
【0056】
これによれば、エンドプレート39の当接部391、392が角部113、114をなす一対の縁辺に対して傾斜しているので、エンドプレート39が押圧力Y1を受けた際に、当該エンドプレート39を開口部111の一対の第二内壁面119に対して突っ張らせることができる。これにより、エンドプレート39が変形しにくくなり、万が一、非当接部393が開口部111の第一内壁面118に当接してしまうことを抑制できる。したがって、熱溶着部90の損傷をより確実に抑制することができる。
【0057】
また、エンドプレート39は、開口部111の平面視で湾曲した形状を有する。
【0058】
これによれば、エンドプレート39が湾曲した形状を有しているので、エンドプレート39自体で弾性力を発揮することができる。このため、複数の蓄電素子20が膨張した際に、エンドプレート39が反発することとなり、複数の蓄電素子20に対して拘束力を作用させることができる。したがって、エンドプレート39自体の変形を抑制することができ、開口部111の第一内壁面118に作用する押圧力Y2も抑制することができる。これにより、熱溶着部90の損傷をより確実に抑制することができる。
【0059】
また、非当接部393は、Z軸方向(挿入方向)において、当該蓄電素子20の中央部に対応する位置から熱溶着部90に対応する位置まで、開口部111の第一内壁面118に当接していない。
【0060】
これによれば、非当接部393は、蓄電素子20の中央部に対応する位置から熱溶着部90に対応する位置まで開口部111の第一内壁面118に当接していない。このため、膨張した蓄電素子20における最も押圧力が大きくなる箇所(中央部)から、熱溶着部90までの直接的な力の伝達経路が分断される。したがって、蓄電素子20の膨張を起因とした力が熱溶着部90に作用しにくくなり、熱溶着部90の損傷をより確実に抑制することができる。
【0061】
また、エンドプレート39は、複数の蓄電素子20が膨張していない状態では、開口部111内において拘束されていない。
【0062】
ここで、エンドプレート39が例えば他の拘束部材を介して複数の蓄電素子20とともに拘束されている場合には、複数の蓄電素子20が膨張したとしても、拘束部材からの拘束力によってエンドプレート39の変形が抑制されている。一方、エンドプレート39が開口部111内において拘束されていなければ、複数の蓄電素子20が膨張することで受ける押圧力Y1によって変形しやすい。つまり、熱溶着部90の損傷を誘発しやすい。このような非拘束なエンドプレート39に対して、本開示の構成が好適である。
【0063】
[変形例1]
上記実施の形態では、エンドプレート39におけるY軸方向の両端面が、一対の第二内壁面119に対向している場合を例示した。この変形例1では、エンドプレート39におけるY軸方向の両端面が第一内壁面118に当接している場合について説明する。
図5は、変形例1に係るエンドプレート39aの概略構成を示す説明図である。
図5は、
図3に対応する図である。具体的には、
図5の(a)は、エンドプレート39aの上面図であり、
図5の(b)は、エンドプレート39aの平面図であり、
図5の(c)は、エンドプレート39aの断面図である。
図5の(c)は、
図5の(a)及び
図5の(b)におけるVC-VC線を含む切断面を見た断面図である。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0064】
図5に示すように、エンドプレート39aは、上面視において中央部がX軸方向プラス側に向けて突出、つまり蓄電素子20に向けて突出するように湾曲している。エンドプレート39aは、Z軸方向の全長にわたって均等な形状を有している。エンドプレート39aにおけるY軸方向の両端部は、中央部よりもX軸方向マイナス側に配置されている。エンドプレート39aにおけるY軸方向の両端面は、開口部111の第一内壁面118に対して面接触している。なお、当該両端面は、蓄電素子20が膨張した際に第一内壁面118に当接していればよく、蓄電素子20が膨張する前においては、第一内壁面118に当接していなくてもよい。
【0065】
エンドプレート39aにおけるY軸方向の両端部は、開口部111内においてX軸方向マイナス側の一対の角部113、114に対して当接する当接部391a、392aである。当接部391a、392aは、開口部111の角部113、114をなす一対の縁辺に対して傾斜している。また、エンドプレート39aの両端部の間である中間部は、開口部111の第一内壁面118に対して当接しない非当接部393aである。
【0066】
このようなエンドプレート39aにおいても上記実施の形態と同等の作用効果を奏することが可能である。
【0067】
ここで、膨張した蓄電素子20からの押圧力をエンドプレート39aが受けると、当該エンドプレート39aにおけるY軸方向の両端面が第一内壁面118に押圧力を付与する。当該両端面は、第一内壁面118に対して面接触しているので、押圧力が分散される。これにより、角部113、114に付与される押圧力を弱めることができ、角部113、114の損傷を抑制することが可能である。
【0068】
[変形例2]
上記実施の形態では、エンドプレート39におけるY軸方向の中央部が蓄電素子20に向けて凸となるようにエンドプレート39の全体が湾曲している場合を例示した。この変形例2では、エンドプレート39bにおけるY軸方向の両端部が屈折している場合について説明する。
【0069】
図6は、変形例2に係るエンドプレート39bの概略構成を示す説明図である。
図6は、
図3に対応する図である。具体的には、
図6の(a)は、エンドプレート39bの上面図であり、
図6の(b)は、エンドプレート39bの平面図であり、
図6の(c)は、エンドプレート39bの断面図である。
図6の(c)は、
図6の(a)及び
図6の(b)におけるVIC-VIC線を含む切断面を見た断面図である。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0070】
図6に示すように、エンドプレート39bは、平板部395bと、平板部395bにおけるY軸方向の両端部から第一内壁面118に向けて屈折するように突出した一対の突出部396b、397bとを備えている。各突出部396b、397bは、平板部395bに対して直交するように屈折している。各突出部396b、397bは、開口部111の角部113、114に対して当接する当接部の一例である。具体的には、各突出部396b、397bの先端面が第一内壁面118に対して面接触し、各突出部396b、397bの外側面が第二内壁面119に対して面接触している。なお、各突出部396b、397bの先端面及び外側面は、蓄電素子20が膨張した際に第一内壁面118及び第二内壁面119に当接していればよく、蓄電素子20が膨張する前においては、第一内壁面118及び第二内壁面119に当接していなくてもよい。
【0071】
エンドプレート39bの一対の突出部396b、397bの間である平板部395b(中間部)は、開口部111の第一内壁面118に対して当接しない非当接部の一例である。
【0072】
このようなエンドプレート39bにおいても上記実施の形態と同等の作用効果を奏することが可能である。
【0073】
ここで、膨張した蓄電素子20からの押圧力をエンドプレート39bが受けると、当該エンドプレート39bにおける各突出部396b、397bの先端面が第一内壁面118に押圧力を付与する。当該先端面は、第一内壁面118に対して面接触しているので、押圧力が分散される。これにより、角部113、114に付与される押圧力を弱めることができ、角部113、114の損傷を抑制することが可能である。
【0074】
[変形例3]
上記変形例2では、エンドプレート39bの一対の突出部396b、397bが平板部395bに対して直交するように屈折している場合を例示した。この変形例3では、エンドプレート39におけるY軸方向の両端部が屈折している場合について説明する。
図6は、変形例2に係るエンドプレート39cの一対の突出部396c、397cが平板部395cに対して傾斜するように屈折している場合について説明する。
【0075】
図7は、変形例3に係るエンドプレート39cの概略構成を示す説明図である。
図7は、
図6に対応する図である。具体的には、
図7の(a)は、エンドプレート39cの上面図であり、
図7の(b)は、エンドプレート39cの平面図であり、
図7の(c)は、エンドプレート39cの断面図である。
図7の(c)は、
図7の(a)及び
図7の(b)におけるVIIC-VIIC線を含む切断面を見た断面図である。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0076】
図7に示すように、エンドプレート39cは、平板部395cと、平板部395cにおけるY軸方向の両端部から第一内壁面118に向けて屈折するように突出した一対の突出部396c、397cとを備えている。各突出部396c、397cは、平板部395cに対して、先端に向かうほど互いの間隔が広がる傾きで屈折している。各突出部396c、397cは、開口部111の角部113、114に対して当接する当接部の一例である。具体的には、各突出部396c、397cの先端面が第一内壁面118に対して面接触し、各突出部396c、397cの外側面は第二内壁面119に対して傾斜し、接触していない。なお、各突出部396c、397cの先端面は、蓄電素子20が膨張した際に第一内壁面118に当接していればよく、蓄電素子20が膨張する前においては、第一内壁面118に当接していなくてもよい。
【0077】
エンドプレート39cの一対の突出部396c、397cの間である平板部395c(中間部)は、開口部111の第一内壁面118に対して当接しない非当接部の一例である。
【0078】
このようなエンドプレート39cにおいても上記変形例2と同等の作用効果を奏することが可能である。
【0079】
[変形例4]
上記実施の形態では、エンドプレート39におけるY軸方向の中央部が蓄電素子20に向けて凸となるようにエンドプレート39の全体を湾曲させることで、非当接部393を形成している場合を例示した。この変形例4では、エンドプレート39dにスリット部390dを設けて非当接部となす場合について説明する。
【0080】
図8は、変形例4に係るエンドプレート39dの概略構成を示す説明図である。
図8は、
図3に対応する図である。具体的には、
図8の(a)は、エンドプレート39dの上面図であり、
図8の(b)は、エンドプレート39dの平面図であり、
図8の(c)は、エンドプレート39dの断面図である。
図8の(c)は、
図8の(a)及び
図8の(b)におけるVIIIC-VIIIC線を含む切断面を見た断面図である。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0081】
図8に示すように、エンドプレート39dは、全体として平板状であり、そのY軸方向中央部の上端部にはスリット部390dが形成されている。スリット部390dは、上方が開放された平面視矩形状の開口である。スリット部390dの下端部は、蓄電素子20の中央部よりも下方に配置されている。つまり、スリット部390dは、Z軸方向(挿入方向)において、当該蓄電素子20の中央部に対応する位置から熱溶着部90に対応する位置まで、開口部111の第一内壁面118に当接しない。このようにスリット部390dは、開口部111の第一内壁面118に対して非当接部の一例である。
【0082】
また、エンドプレート39dにおけるY軸方向の両端部は、開口部111の角部113、114に対して当接する当接部391d、392dである。具体的には、当接部391d、392dは、蓄電素子20が膨張した際に第一内壁面118に当接していればよく、蓄電素子20が膨張する前においては、第一内壁面118に当接していなくてもよい。
【0083】
このようなエンドプレート39dにおいても上記実施の形態と同等の作用効果を奏することが可能である。
【0084】
また、エンドプレート39dにはスリット部390dが設けられているのでエンドプレート39d自体が軽量化されている。したがって、蓄電装置1の軽量化を図ることが可能である。
【0085】
[変形例5]
上記実施の形態では、Z軸方向の全長に沿って一様な形状のエンドプレート39を例示した。この変形例5では、Z軸方向の全長に沿って一様な形状でないエンドプレート39eについて説明する。
【0086】
図9は、変形例5に係るエンドプレート39eの概略構成を示す説明図である。
図9は、
図3に対応する図である。具体的には、
図9の(a)は、エンドプレート39eの上面図であり、
図9の(b)は、エンドプレート39eの平面図であり、
図9の(c)は、エンドプレート39eの断面図である。
図9の(c)は、
図9の(a)及び
図9の(b)におけるIXC-IXC線を含む切断面を見た断面図である。なお、以下の説明において、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0087】
図9に示すように、エンドプレート39eは、下端部が平板状に形成されており、その全体が開口部111の第一内壁面118に当接している。また、エンドプレート39eの上端部は、Y軸方向の中央部がX軸方向プラス側に向けて突出、つまり蓄電素子20に向けて突出するように湾曲している。ここで、エンドプレート39eにおけるY軸方向の両端部は、開口部111内において一対の角部113、114に対して当接する当接部391e、392eである。当接部391e、392eは、Z軸方向の全長にわたって各角部113、114に対して当接する。
【0088】
エンドプレート39eにおいて下端部から上端部までの間の形状は、下端部から上端部に向けて徐々に湾曲するように滑らかな曲板形状となっている。このような形状であるために、エンドプレート39eの両端部の間である中間部であって、エンドプレート39eにおける下端部よりも上方の部位は、第一内壁面118に当接しない非当接部393eとなる。この場合においても、非当接部393eは、
図9の(c)に示すように、Z軸方向における蓄電素子20の中央部に対応する位置から熱溶着部90に対応する位置まで開口部111の第一内壁面118に当接していない。
【0089】
このようなエンドプレート39eにおいても上記実施の形態と同等の作用効果を奏することが可能である。
【0090】
[その他]
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及び変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0091】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、開口部111が平面視で四角形状である場合を例示したが、開口部は他の多角形状であってもよい。その場合、開口部は、複数の蓄電素子の並び方向(X軸方向)で対向する一対の第一内壁面を有していることがよい。
【0092】
また、上記実施の形態及びその変形例では、エンドプレート39の上端部が、熱溶着部90の下方に配置されている場合を例示したが、エンドプレートの上端部が熱溶着部90と同等、または上方に配置されていてもよい。この場合においても、エンドプレートの非当接部は、Z軸方向において蓄電素子20の中央部に対応する位置から熱溶着部90に対応する位置まで第一内壁面118に当接していないことが望まれる。
【0093】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0095】
1 蓄電装置
10 外装体
11 本体部
12 外蓋
17 バスバープレート
17a バスバー用開口部
20 蓄電素子
21 容器
33 バスバー
39、39a、39b、39c、39d、39e エンドプレート
50 壁部
80 接続ユニット
90 熱溶着部
91、92 外部端子
111 開口部
113、114 角部
115、116 縁辺
118 第一内壁面
119 第二内壁面
123 スカート部
124 接合部
211 長側面
212 短側面
221 正極端子
222 負極端子
390d スリット部
391 当接部
391、391a、391d、391e、392、392a、392d、392e 当接部
393、393a、393e 非当接部
395b、395c 平板部(非当接部)
396b、396c、397b、397c 突出部(当接部)
Y1、Y2 押圧力
α、β 角度