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特許7371461車載更新装置、更新処理プログラム、及び更新方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】車載更新装置、更新処理プログラム、及び更新方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20231024BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019215678
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021086450
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】児玉 雄一
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/161778(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/087822(WO,A1)
【文献】特開2013-050862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00-8/77
G06F 9/44-9/445
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外の外部サーバから送信される更新プログラムを取得し、前記車両に搭載される車載ECUのプログラムを更新するための処理を行う車載更新装置であって、
前記車載ECUのプログラムを更新するための処理を制御する制御部を備え、
前記外部サーバと複数の通信経路にて通信可能に接続され、
前記複数の通信経路は、前記外部サーバと通信可能である前記車両外の充電装置による前記車両の充電を制御する充電制御装置を介する通信経路と、
前記車両に搭載され、前記外部サーバと通信可能である車外通信装置を介する通信経路とを含み、
前記制御部は、前記複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、
選択した前記通信経路にて前記外部サーバから、前記更新プログラムを取得し、
前記制御部は、前記車両の充電率を取得し、
取得した前記充電率が予め設定された閾値以上である場合、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理を行い、
更新対象の前記車載ECUが充電に関する前記車載ECUである場合における前記閾値は、更新対象の前記車載ECUが他の車載ECUである場合における前記閾値よりも小さい
車載更新装置。
【請求項2】
前記充電制御装置を介する通信経路は、前記充電制御装置と前記充電装置とを接続する給電線を用いた電力線搬送通信による通信経路を含む
請求項1に記載の車載更新装置。
【請求項3】
前記充電制御装置を介する通信経路は、前記充電装置と無線通信を行い、前記充電制御装置と通信可能に接続される無線通信装置を用いた通信経路を含む
請求項1又は請求項2に記載の車載更新装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記充電制御装置から前記車両の充電状況に関する情報を取得し、
取得した前記充電状況に関する情報に基づき、前記複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載更新装置。
【請求項5】
前記充電状況に関する情報は、前記車両の充電が可能であるか否かに関する情報を含み、
前記制御部は、前記車両の充電が可能である場合、前記充電制御装置を介する通信経路を選択し、
前記車両の充電が可能ではない場合、前記車外通信装置を介する通信経路を選択する
請求項4に記載の車載更新装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車載ECUのプログラムの更新、及び前記車両の充電の際に、前記車載ECUのプログラムの更新に関する承諾と、前記車両の充電に関する承諾とを受け付ける承諾画面を構成する承諾画面データを出力し、
承諾画面にて、前記車載ECUのプログラムの更新に関する承諾と、前記車両の充電に関する承諾とを受け付けた場合、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理と、前記車両を充電するための処理とを行う
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載更新装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記車載ECUのプログラムの更新の際に、前記車載ECUのプログラムが更新中であることを報知するための第1報知データを出力し、
前記車両の充電の際に、前記車両が充電中であることを報知するための第2報知データを出力する
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車載更新装置。
【請求項8】
コンピュータに、車両外の外部サーバから送信される更新プログラムを取得し、前記車両に搭載される車載ECUのプログラムを更新するための処理を実行させる更新処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記外部サーバと通信可能である前記車両外の充電装置による前記車両の充電を制御する充電制御装置を介する通信経路と、前記車両に搭載され、前記外部サーバと通信可能である車外通信装置を介する通信経路とを含み、前記外部サーバと通信可能である複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、
選択した前記通信経路にて前記外部サーバから、前記更新プログラムを取得し、
前記車両の充電率を取得し、
取得した前記充電率が予め設定された閾値以上である場合、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理を行い、
更新対象の前記車載ECUが充電に関する前記車載ECUである場合における前記閾値は、更新対象の前記車載ECUが他の車載ECUである場合における前記閾値よりも小さい
処理を実行させる更新処理プログラム。
【請求項9】
車両外の外部サーバから送信される更新プログラムを取得し、前記車両に搭載される車載ECUのプログラムを更新する更新方法であって、
前記外部サーバと通信可能である前記車両外の充電装置による前記車両の充電を制御する充電制御装置を介する通信経路と、前記車両に搭載され、前記外部サーバと通信可能である車外通信装置を介する通信経路とを含み、前記外部サーバと通信可能である複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、
選択した前記通信経路にて前記外部サーバから、前記更新プログラムを取得し、
前記車両の充電率を取得し、
取得した前記充電率が予め設定された閾値以上である場合、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理を行い、
更新対象の前記車載ECUが充電に関する前記車載ECUである場合における前記閾値は、更新対象の前記車載ECUが他の車載ECUである場合における前記閾値よりも小さい
更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載更新装置、更新処理プログラム、及び更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン制御等のパワー・トレーン系、エアコン制御等のボディ系等の車載機器を制御するための車載ECU(Electronic Control Unit)が搭載されている。車載ECUは、MPU(Micro Processing Unit)等の演算処理部、RAM(Random Access Memory)等の書き換え可能な不揮発性の記憶部、及び他の車載ECUと通信するための通信部を含む。車載ECUは、記憶部に記憶した制御プログラムを読み込んで実行することにより、車載機器の制御を行う。更に車両には、無線通信の機能を備えた中継装置(車載更新装置)が実装されており、中継装置を介して、車外のネットワークに接続されているプログラム提供装置(外部サーバ)と通信する。当該プログラム提供装置から車載ECUの制御プログラムがダウンロード(受信)されることにより、当該車載ECUの制御プログラムを更新することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-97851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の中継装置は、当該中継装置に備えられた無線通信機能が発揮できない場合、車外のネットワークに接続されているプログラム提供装置と通信できず、当該プログラム提供装置から制御プログラム(更新プログラム)を取得できない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車載更新装置と、更新プログラムを提供する車外の外部サーバとの通信の可用性を向上させる車載更新装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載更新装置は、車両外の外部サーバから送信される更新プログラムを取得し、前記車両に搭載される車載ECUのプログラムを更新するための処理を行う車載更新装置であって、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理を制御する制御部を備え、前記外部サーバと複数の通信経路にて通信可能に接続され、前記複数の通信経路は、前記外部サーバと通信可能である前記車両外の充電装置による前記車両の充電を制御する充電制御装置を介する通信経路と、前記車両に搭載され、前記外部サーバと通信可能である車外通信装置を介する通信経路とを含み、前記制御部は、前記複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、選択した前記通信経路にて前記外部サーバから、前記更新プログラムを取得する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車載更新装置と、更新プログラムを提供する車外の外部サーバとの通信の可用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載更新システムの構成を示す模式図である。
図2】実施形態1に係る車載更新装置の構成を示すブロック図である。
図3】車載更新装置による更新対象の車載ECUのプログラム更新の一態様を示す説明図(シーケンス図)である。
図4】車載更新装置による更新対象の車載ECUのプログラム更新の一態様を示す説明図(シーケンス図)である。
図5】車載更新装置の制御部が行う更新対象の車載ECUのプログラム更新に係る処理を例示するメインルーチンのフローチャートである。
図6】通信経路選択のサブルーチンに係る制御部の処理手順を例示するフローチャートである。
図7】承諾画面の内容例を示す概念図である。
図8】優先順位テーブルの内容例を示す概念図である。
図9】車載更新装置の制御部が行う充電と更新との優先順位の判定に係る処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載更新装置は、車両外の外部サーバから送信される更新プログラムを取得し、前記車両に搭載される車載ECUのプログラムを更新するための処理を行う車載更新装置であって、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理を制御する制御部を備え、前記外部サーバと複数の通信経路にて通信可能に接続され、前記複数の通信経路は、前記外部サーバと通信可能である前記車両外の充電装置による前記車両の充電を制御する充電制御装置を介する通信経路と、前記車両に搭載され、前記外部サーバと通信可能である車外通信装置を介する通信経路とを含み、前記制御部は、前記複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、選択した前記通信経路にて前記外部サーバから、前記更新プログラムを取得する。
【0011】
本態様にあたっては、車載更新装置は、充電制御装置を介する通信経路と、車外通信装置を介する通信経路とを含む複数の通信経路にて外部サーバと通信可能である。車外通信装置は、例えば、TCU(Telematics Control Unit)であり、無線通信により外部サーバと通信する。車外通信装置を介する通信経路は、当該無線通信を用いた通信経路である。車外通信装置の通信は、例えば、車両メーカにより提供される有償の通信サービスである。制御部は、車外通信装置を介する通信経路を選択し、車外通信装置を介する通信経路にて外部サーバと通信し、更新プログラムを取得することができる。例えば、車外通信装置に異常が生じた場合、又は上記の通信サービスが未契約である場合、車外通信装置を介する通信はできない。このような場合であっても、制御部は、充電制御装置を介する通信経路を選択し、充電装置による車両の充電が行われる際に、充電制御装置及び充電装置を介して外部サーバと通信し、更新プログラムを取得することができる。充電制御装置を介する通信経路にて外部サーバとの通信が行われた場合、車外通信装置を介する通信に関する通信費を節約することができる。車両の充電と、車載ECUのプログラムの更新とを並行して行うことができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載更新装置は、前記充電制御装置を介する通信経路は、前記充電制御装置と前記充電装置とを接続する給電線を用いた電力線搬送通信による通信経路を含む。
【0013】
本態様にあたっては、制御部は、外部サーバとの通信において、充電制御装置と充電装置とを接続する給電線を用いた電力線搬送通信による通信経路を選択することができる。制御部は、給電線により接続された充電制御装置と充電装置とを介して外部サーバと通信し、更新プログラムを取得することができる。充電制御装置と充電装置とが給電線により有線接続されているので、通信の安定性は高い。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載更新装置は、前記充電制御装置を介する通信経路は、前記充電装置と無線通信を行い、前記充電制御装置と通信可能に接続される無線通信装置を用いた通信経路を含む。
【0015】
本態様にあたっては、制御部は、外部サーバとの通信において、充電装置と無線通信を行う無線通信装置を用いた通信経路を選択することができる。充電制御装置は、無線通信装置を介して充電装置と通信する。例えば充電装置が非接触にて車両Cへ電力を供給する場合、制御部は、無線通信装置を用いた通信経路を選択し、充電制御装置、無線通信装置、及び充電装置を介して外部サーバと通信し、更新プログラムを取得することができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載更新装置は、前記制御部は、前記充電制御装置から前記車両の充電状況に関する情報を取得し、取得した前記充電状況に関する情報に基づき、前記複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択する。
【0017】
本態様にあたっては、制御部は、充電制御装置から車両の充電状況に関する情報を取得し、取得した充電状況に関する情報に基づいて通信経路を選択する。充電状況に関する情報には、例えば、充電装置から車両Cへの電力の供給方法に関する情報、すなわち非接触による給電、及び給電線による給電であることを示す情報が含まれる。例えば、制御部は、非接触による給電の場合、無線通信装置を介した通信経路を選択し、給電線による給電の場合、電力線搬送通信による通信経路を選択する。充電装置から車両Cへの電力の供給方法に応じて、通信経路を選択することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載更新装置は、前記充電状況に関する情報は、前記車両の充電が可能であるか否かに関する情報を含み、前記制御部は、前記車両の充電が可能である場合、前記充電制御装置を介する通信経路を選択し、前記車両の充電が可能ではない場合、前記車外通信装置を介する通信経路を選択する。
【0019】
本態様にあたっては、充電状況に関する情報には、車両の充電が可能であるか否かに関する情報が含まれる。車両の充電が可能である場合は、例えば充電制御装置と充電装置とが給電線によって接続されている場合、又は無線通信装置と充電装置とが無線通信によって接続されている場合である。この場合、制御部は、充電制御装置を介する通信経路により外部サーバと通信可能なので、充電制御装置を介する通信経路を選択する。車両の充電が可能ではない場合、制御部は、車外通信装置を介する通信経路を選択する。車両の充電が可能であるか否かに関する情報に応じて、通信経路を選択することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載更新装置は、前記制御部は、前記車載ECUのプログラムの更新、及び前記車両の充電の際に、前記車載ECUのプログラムの更新に関する承諾と、前記車両の充電に関する承諾とを受け付ける承諾画面を構成する承諾画面データを出力し、承諾画面にて、前記車載ECUのプログラムの更新に関する承諾と、前記車両の充電に関する承諾とを受け付けた場合、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理と、前記車両を充電するための処理とを行う。
【0021】
本態様にあたっては、制御部は、車載ECUのプログラムの更新、及び車両の充電の際に、承諾画面を構成する承諾画面データを出力する。承諾画面にて、車載ECUのプログラムの更新に関する承諾と、車両の充電に関する承諾とが受け付けられた場合、車載ECUのプログラムの更新と、車両の充電とは行われる。ユーザ、例えば車両の操作者の承諾を得た上で車載更新装置のプログラムの更新、及び車両の充電を行うことができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載更新装置は、前記制御部は、前記車両の充電率を取得し、取得した前記充電率が予め設定された閾値以上である場合、前記車載ECUのプログラムを更新するための処理を行い、更新対象の前記車載ECUが充電に関する前記車載ECUである場合における前記閾値は、更新対象の前記車載ECUが他の車載ECUである場合における前記閾値よりも小さい。
【0023】
本態様にあたっては、制御部は、車両の充電率を取得し、取得した充電率が閾値以上である場合、車載ECUのプログラムを更新するための処理を行う。車載ECUのプログラムを更新するための処理において、車両に充電された電力が使用される。車載ECUのプログラムを更新するための処理には、例えば更新プログラムの取得、及び更新プログラムの車載ECUへの送信等の処理が含まれる。充電率が閾値以上である場合に車載ECUのプログラムの更新は行われるので、車両の電力不足による更新の失敗を防止することができる。更新対象の車載ECUが充電に関する車載ECUである場合の閾値は、更新対象の車載ECUが他の車載ECUである場合の閾値よりも小さい。更新対象の車載ECUが充電に関する車載ECUである場合、当該車載ECUのプログラムの更新は行われやすい。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る車載更新装置は、前記制御部は、前記車載ECUのプログラムの更新の際に、前記車載ECUのプログラムが更新中であることを報知するための第1報知データを出力し、前記車両の充電の際に、前記車両が充電中であることを報知するための第2報知データを出力する。
【0025】
本態様にあたっては、制御部は、車載ECUのプログラムの更新の際に、第1報知データを出力し、車両の充電の際に、車両が充電中であることを報知するための第2報知データを出力する。出力された第1報知データ及び第2報知データは、例えば、車両の外部から視認可能な位置に設けられたインジケータにより取得される。当該インジケータは例えば、2つのLEDランプを備える。インジケータは、第1報知データを取得した場合、一方のLEDランプを点灯させ、第2報知データを取得した場合、他方のLEDランプを点灯させる。各LEDランプの点灯の組み合わせにより、車外の人に、車両が充電中であるか否か、及び車載ECUのプログラムが更新中であるか否かを報知することができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る更新処理プログラムは、コンピュータに、車両外の外部サーバから送信される更新プログラムを取得し、前記車両に搭載される車載ECUのプログラムを更新するための処理を実行させる更新処理プログラムであって、コンピュータに、前記外部サーバと通信可能である前記車両外の充電装置による前記車両の充電を制御する充電制御装置を介する通信経路と、前記車両に搭載され、前記外部サーバと通信可能である車外通信装置を介する通信経路とを含み、前記外部サーバと通信可能である複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、選択した前記通信経路にて前記外部サーバから、前記更新プログラムを取得する処理を実行させる。
【0027】
本態様にあたっては、コンピュータを、本開示の一態様の車載更新装置として機能させることができる。
【0028】
(10)本開示の一態様に係る更新方法は、車両外の外部サーバから送信される更新プログラムを取得し、前記車両に搭載される車載ECUのプログラムを更新する更新方法であって、前記外部サーバと通信可能である前記車両外の充電装置による前記車両の充電を制御する充電制御装置を介する通信経路と、前記車両に搭載され、前記外部サーバと通信可能である車外通信装置を介する通信経路とを含み、前記外部サーバと通信可能である複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、選択した前記通信経路にて前記外部サーバから、前記更新プログラムを取得する。
【0029】
本態様にあたっては、車載更新装置と、更新プログラムを提供する車外の外部サーバとの通信の可用性を向上させる更新方法を提供することができる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載更新装置2を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る車載更新システムSの構成を示す模式図である。図2は、実施形態1に係る車載更新装置2の構成を示すブロック図である。
【0032】
車載更新システムSは、車両Cに搭載された車載更新装置(車載中継装置)2を含む。車載更新装置は、車両Cに搭載された車外通信装置1、及び充電制御装置7と通信を行う。車外通信装置1は、車外ネットワークNを介して外部サーバ100と通信を行う。充電制御装置7は、車両C外の充電装置9と通信を行う。充電装置9は、車外ネットワークNを介して外部サーバ100と通信を行う。車外ネットワークNを介して、外部サーバ100から取得された更新プログラムを、車両Cに搭載されている車載ECU(車載制御装置)3に適用することにより、車載ECU3のプログラム更新は、行われる。
【0033】
外部サーバ100は、例えばインターネット又は公衆回線網等の車外ネットワークNに接続されているサーバ等のコンピュータであり、RAM、ROM(Read Only Memory)又はハードディスク等による記憶部110を備える。外部サーバ100には、車載ECU3の製造メーカ等によって作成された当該車載ECU3を制御するためのプログラム又はデータが、記憶部110に保存されている。当該プログラム又はデータは、更新プログラムとして、車両Cへ送信され、車両Cに搭載されている車載ECU3のプログラム又はデータを更新するために用いられる。このように構成された外部サーバ100は、OTA(Over The Air)サーバとも称される。車両Cに搭載される車載ECU3は、外部サーバ100から送信された更新プログラムを実行するプログラムとして適用することにより、自ECUが実行するプログラムを更新(リプロ)することができる。
【0034】
充電装置9は、車両駆動用のバッテリ8を搭載したプラグインハイブリッド自動車、又は電気自動車等の車両Cへ電力を送電し、バッテリ8の充電を行う装置である。充電装置9は、車両C外、例えば給電ステーションに設置されている。充電装置9は、車両Cへ非接触にて電力を供給(送電)する送電パッド91を備える。車両Cには、送電パッド91から送電された電力を受電する受電パッド80が設けられている。受電パッド80により受電された電力によって、バッテリ8は充電される。すなわち車両Cは充電される。充電装置9は、例えばWi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信プロトコルを用いて無線通信を行う無線通信部90を備える。無線通信部90は、接続されたアンテナ90aを介して、車両Cに搭載された後述の充電制御装置7と通信(データの送受信)を行う。
【0035】
充電装置9は、更に、先端部に充電ガンが設けられた給電線(充電ケーブル)92を備え、給電線92を介して電力を車両Cへ直流にて供給し、バッテリ8を充電する機能を有する。給電線92による充電の際に、充電ガンは、車両Cに設けられたインレット81に接続される。インレット81は、車内給電線によりバッテリ8と接続され、電力線搬送通信(PLC/Power Line Communication)を行うための通信線により後述の充電制御装置7が備えるPLC通信装置71と接続されている。バッテリ8は、給電線92、インレット81、及び車内給電線を介して充電装置9から供給された電力により充電される。充電装置9は、給電線92を用いた電力線搬送通信により充電制御装置7と有線通信が可能である。充電装置9は、非接触の給電(送電パッド91による給電)と、給電線92による給電との両方の給電が可能である構成としてあるが、どちらか一方の給電のみが可能な構成であってもよい。例えば、充電装置9は、給電線92による給電のみを行う場合、無線通信部90を備えていなくてもよい。充電装置9は、図示しない通信装置を備え、外部サーバ100と通信可能である。充電装置9と外部サーバ100との通信は、例えば、車外ネットワークNを介して行われる。
【0036】
車両Cには、車外通信装置1、第1表示装置50、入力装置51、第2表示装置52、IG(イグニッション)スイッチ6、及び種々の車載機器を制御するための複数の車載ECU3が搭載されている。車載更新装置2と、車外通信装置1とは、例えばシリアルケーブル等のワイヤーハーネスにより通信可能に接続されている。車載更新装置2及び車載ECU3は、CAN(Control Area Network/登録商標)又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルに対応した車内LAN4によって通信可能に接続されている。
【0037】
車外通信装置1は、車外通信部(図示せず)、及び車載更新装置2と通信するための入出力I/F(インターフェイス/図示せず)をそれぞれ含む。車外通信部は、LTE、4G、又は5G等の移動体通信のプロトコルを用いて無線通信をするための通信装置である。車外通信部は、例えば、3G、LTE、4G、又は5Gを用いて無線通信を行い、当該車外通信部に接続されたアンテナ1aを介して外部サーバ100と通信を行う。車外通信装置1と外部サーバ100との通信は、例えば公衆回線網又はインターネット等の車外ネットワークNを介して行われる。例えば、車外通信装置1の無線通信は、車両メーカにより提供される有償の通信サービスである。
【0038】
車外通信装置1の入出力I/Fは、車載更新装置2と、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。車外通信装置1と、車載更新装置2とは、入出力I/F及び入出力I/Fに接続されたシリアルケーブル等のワイヤーハーネスを介して相互に通信する。本実施形態では、車外通信装置1は、車載更新装置2と別装置とし、入出力I/F等によってこれら装置を通信可能に接続しているが、これに限定されない。車外通信装置1は、車載更新装置2の一構成部位として、車載更新装置2に内蔵されるものであってもよい。
【0039】
車載更新装置2は、複数の通信経路にて、外部サーバ100と通信可能である。複数の通信経路には、車外通信装置1を介する通信経路と、後述する充電制御装置7を介する通信経路とが含まれる。車載更新装置2は、制御部20、記憶部21、車内通信部23、及び入出力I/F24を含む。車載更新装置2は、例えば車外通信装置1が無線通信によって外部サーバ100から受信した更新プログラムを、車外通信装置1から取得する。車載更新装置2は、車内LAN4を介して当該更新プログラムを、所定の車載ECU3(更新対象の車載ECU3)に送信するように構成されている。車載更新装置2は、例えば、制御系の車載ECU3、安全系の車載ECU3、及びボディ系の車載ECU3等の複数の系統のセグメントを統括し、これらセグメント間での車載ECU3同士の通信を中継するゲートウェイ(中継器)である。又は、車載更新装置2は、車両C全体をコントロールするボディECUの一機能部として構成されるものであってもよい。
【0040】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU等により構成してあり、記憶部21に予め記憶された制御プログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行う。
【0041】
制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、車載ECU3のプログラムを更新するための処理を制御する。車載ECU3のプログラムを更新するための処理には、例えば更新プログラムを取得する処理、及び更新プログラムを更新対象の車載ECU3へ送信する処理等の処理が含まれる。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、外部サーバ100との複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択する選択部として機能する。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、選択した通信経路にて外部サーバ100から更新プログラムを取得する第1取得部として機能する。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、充電制御装置7から車両Cの後述する充電状況に関する情報を取得する第2取得部として機能する。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、車載ECU3のプログラムの更新、及び車両Cの充電の際に、後述する承諾画面データを出力する第1出力部として機能する。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、車載ECU3のプログラムの更新の際に、車載ECU3のプログラムが更新中であることを報知するための第1報知データを出力する第2出力部として機能する。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、車両Cの充電の際に、車両Cが充電中であることを報知するための第2報知データを出力する第3出力部として機能する。
【0042】
記憶部21は、RAM等の揮発性のメモリ素子、又は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してある。記憶部21には、制御プログラムが予め記憶してある。記憶部21に記憶された制御プログラムは、車載更新装置2が読み取り可能な記録媒体22から読み出された制御プログラムを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムをダウンロードし、記憶部21に記憶させたものであってもよい。
【0043】
車内通信部23は、CAN、又はイーサネット等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスである。制御部20は、車内通信部23を介して車内LAN4に接続されている車載ECU3、又は他の中継装置等の車載機器と相互に通信する。車内通信部23は、複数個(図面上では3つ)設けられている。車内通信部23それぞれに、車内LAN4を構成する通信線が接続されている。このように車内通信部23が複数個設けられることにより、車内LAN4は複数のセグメントに分けられる。各セグメントそれぞれに車載ECU3が、当該車載ECU3の機能(制御系機能、安全系機能、ボディ系機能)に応じて接続される。
【0044】
入出力I/F24は、車外通信装置1の入出力I/Fと同様に、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F24を介して、車載更新装置2は、車外通信装置1、第1表示装置50、入力装置51、第2表示装置52、及びIGスイッチ6と通信を行う。
【0045】
第1表示装置50は、例えばカーナビゲーションのディスプレイ等のHMI(Human Machine Interface)装置である。第1表示装置50は、車載更新装置2の入出力I/F24とシリアルケーブル等のハーネスにより通信可能に接続されている。第1表示装置50には、車載更新装置2の制御部20から入出力I/F24を介して出力されたデータ又は情報が表示される。入力装置51は、例えばタッチパネルであり、車載更新装置2の入出力I/F24とシリアルケーブル等のハーネスにより通信可能に接続されている。入力装置51は、車両Cの乗員、例えば車両Cの操作者からの入力を受け付け、入力結果を入出力I/F24を介して制御部20に出力する。第1表示装置50及び入力装置51は一体に構成されていてもよい。第1表示装置50及び入力装置51と、車載更新装置2との接続形態は、入出力I/F24による接続形態に限定されず、第1表示装置50及び入力装置51と、車載更新装置2とは、車内LAN4を介した接続形態であってもよい。
【0046】
第2表示装置52は、例えば複数のLEDランプにより構成されたインジケータであり、車両Cの外部から視認可能な位置に取り付けてある。車両Cの外部から視認可能な位置は、例えば車両Cのダッシュボードの上部、又は車両Cの側面部における外側である。第2表示装置52は、車載更新装置2の入出力I/F24とシリアルケーブル等のハーネスにより通信可能に接続されている。第2表示装置52は、車載更新装置2の制御部20から入出力I/F24を介して出力された第1報知データ、及び第2報知データを受信(取得)する。詳細は後述するが、例えば、第2表示装置52は、第1報知データを取得した場合、一部のLEDランプを点灯させる。第2表示装置52は、第2報知データを取得した場合、他のLEDランプを点灯させる。第2表示装置52は、各LEDランプの点灯の組み合わせにより、車両C外の人、例えば車両C外にいるユーザに、車両Cが充電中であること、及び車載ECU3のプログラムが更新中であることを報知する。第2表示装置52と車載更新装置2との接続形態は、入出力I/F24による接続形態に限定されず、第2表示装置52と車載更新装置2とは、車内LAN4を介した接続形態であってもよい。
【0047】
IGスイッチ6は、車両Cのエンジン等の原動機(図示せず)の動作状態を切り替えるスイッチである。例えば車両Cの操作者はIGスイッチ6をオフからオンへ切り替えて車両Cを起動し、車両Cの走行を開始する。その後、車両Cの走行を終えて車両Cの操作者はIGスイッチ6をオンからオフへ切り替え、車両Cを停止する。IGスイッチ6は、車載更新装置2の入出力I/F24とシリアルケーブル等のハーネスにより通信可能に接続されている。入出力I/F24を介して、車載更新装置2の制御部20にIGスイッチ6の切替状態(オン又はオフ)が通知される。例えば、車載更新装置2の制御部20には、入出力I/F24を介して、IGスイッチ6のオン又はオフを示す信号がIGスイッチ6から入力されている。IGスイッチ6と車載更新装置2との接続形態は入出力I/F24による接続形態に限定されず、IGスイッチ6と車載更新装置2とは、車内LAN4を介した接続形態であってもよい。
【0048】
車載ECU3は、制御部30、記憶部31、及び車内通信部32を含む。記憶部31は、RAM等の揮発性メモリ素子、又は、ROM、EEPROM、若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してある。記憶部31には、車載ECU3のプログラム又はデータが記憶してある。このプログラム又はデータが、車載更新装置2から送信される更新プログラムによって更新される対象である。
【0049】
記憶部31は、第1記憶領域(第1面)及び第2記憶領域(第2面)を含んでもよい。この場合、記憶部31には、現状において車載ECU3が実行(適用)しているプログラム(現バージョン)及び、現バージョンの以前に適用されていたプログラム(旧バージョン)の2つのプログラムが記憶されている。これら現バージョンのプログラムと、旧バージョンのプログラムとは、第1記憶領域又は第2記憶領域のいずれかの記憶領域に分かれて、記憶されている。すなわち、第1記憶領域に現バージョンのプログラムが記憶されている場合、第2記憶領域に旧バージョンのプログラムが記憶されている。第1記憶領域に旧バージョンのプログラムが記憶されている場合、第2記憶領域に現バージョンのプログラムが記憶されている。記憶部31は、第1記憶領域及び第2記憶領域を含む場合、このように現バージョン及び旧バージョンの2つのプログラムを、いわゆる2面持ちとして記憶する。従って、万が一現バージョンのプログラムに問題が生じた場合であっても、制御部30は、以前に適用して正常に動作していた旧バージョンのプログラムを読み込み実行する(切り替える)ことで、車載ECU3の信頼性を担保することができる。以下、記憶部31が第1記憶領域及び第2記憶領域を含む場合を、記憶部31が2面持ちである場合と称し、記憶部31が第1記憶領域及び第2記憶領域の一方のみを含む場合を、記憶部31が1面持ちである場合と称する。
【0050】
記憶部31が2面持ちである場合、記憶部31には、現バージョン及び旧バージョンの2つのプログラムそれぞれのバージョンに関する情報、及び現在実行(適用)しているプログラムが記憶されている領域(動作面)に関する情報が記憶されている。すなわち、現状において第1記憶領域に記憶されているプログラムを実行している場合、記憶部31には、動作面は第1記憶領域であると記憶される。現状において第2記憶領域に記憶されているプログラムを実行している場合、記憶部31には、動作面は第2記憶領域であると記憶される。記憶部31には、プログラム(現バージョン及び旧バージョン)のバージョン情報及び動作面に関する情報が記憶される。
【0051】
制御部30は、CPU又はMPU等により構成してある。制御部30は、記憶部31(記憶部31が2面持ちの場合は記憶部31の動作面)に記憶されたプログラム及びデータを読み出し実行して制御処理等を行い、当該車載ECU3を含む車載機器又はアクチュエータ等が制御される。
【0052】
車載ECU3の制御部30は、車載更新装置2から送信される更新プログラムを、車内通信部32を介して受信し、当該更新プログラムを取得する。記憶部31が1面持ちである場合、制御部30が取得した更新プログラムを記憶部31に記憶することにより、更新プログラムは適用される。すなわち車載ECU3のプログラムは更新される。制御部30は、車載更新装置2から送信された更新プログラムを取得するにあたり、当該取得の準備処理として、記憶部31に記憶されているプログラム(現バージョンのプログラム)を消去する。当該消去のために車載ECU3における車載装置への制御機能を停止させる必要がある。記憶部31が2面持ちである場合、制御部30は、取得した更新プログラムを、動作面でない記憶領域(非動作面)に記憶する。すなわち、制御部30は、車載更新装置2から送信された更新プログラムを取得するにあたり、当該取得の準備処理として、非動作面に記憶されているプログラムを消去する。通常、非動作面に記憶されているプログラムは、現バージョンのプログラムの以前に実行された旧バージョンのプログラムである。従って、制御部30は車載ECU3における車載装置への制御機能を停止させることなく、当該旧バージョンのプログラムを消去し、車載更新装置2から送信された更新プログラムを、当該非動作面に記憶する。制御部30が記憶部31の動作面と非動作面とを切り替えることにより、受信(記憶)された更新プログラムは、現バージョンのプログラムとして適用される。すなわち車載ECU3のプログラムは更新される。
【0053】
充電制御装置7は、無線通信装置70と、PLC通信装置71とを備える。無線通信装置70は、例えばWi-Fi、又はBluetooth等の通信プロトコルを用いて無線通信を行うための通信装置である。無線通信装置70は、自装置に接続されたアンテナ70aを介して、充電装置9と無線通信を行う。無線通信装置70は、例えば、Wi-FiからCAN又はイーサネットへのプロトコル変換を行う。PLC通信装置71は、インレット81に充電ガンが接続されている場合、インレット81及び給電線92を介して充電装置9と電力線搬送通信を行う。PLC通信装置71は、例えば、電力線搬送通信の通信プロトコルからCAN又はイーサネットへのプロトコル変換を行う。充電制御装置7は、無線通信装置70による無線通信により充電装置9と通信を行う。また、PLC通信装置71による電力線搬送通信により充電装置9と通信を行う。本実施形態では、無線通信装置70及びPLC通信装置71は、充電制御装置7の一構成部位として、充電制御装置7にそれぞれ内蔵してあるが、充電制御装置7に内蔵されていなくてもよい。例えば、無線通信装置70及びPLC通信装置71のそれぞれは、充電制御装置7と別装置とし、入出力I/F等によって充電制御装置7と通信可能に接続してあってもよい。
【0054】
充電制御装置7は、複数の車載ECU3における一部の車載ECU3である充電ECUと通信可能に接続してある。充電ECUは、充電に関する車載ECU3であり、例えばバッテリ8及び受電パッド80と接続されている。充電ECUは、例えば、バッテリ8の充電を開始する際、バッテリ8の情報を充電制御装置7へ送信し、バッテリ8の充電中に、バッテリ8の充電率等の充電情報を監視(管理)し、充電情報を充電制御装置7へ送信する。また、受電パッド80からバッテリ8への給電(充電)を監視(管理)する。充電制御装置7は、充電装置9と無線通信又は電力線搬送通信を行い、充電ECUと共同してバッテリ8の充電(車両Cの充電)を制御する。充電制御装置7は、例えば、給電線92による給電(充電)の場合、給電線92を介して充電装置9と電力線搬送通信を行い、非接触の給電(充電)の場合、無線通信装置70を用いて充電装置9と無線通信を行う。充電制御装置7は、給電線92による給電の場合であっても、無線通信装置70を用いて充電装置9と無線通信を行ってもよい。複数の充電ECUが車両Cに搭載されていてもよい。例えば、バッテリ8を管理する充電ECUと、受電パッド80を管理する充電ECUとが、それぞれ充電制御装置7と接続されていてもよい。充電ECUは、充電制御装置7に内蔵されていてもよい。図1において充電ECUは、制御系のセグメントに含まれているが、ボディ系、又は安全系等の他のセグメントに含まれていてもよい。
【0055】
充電制御装置7は、車載更新装置2と通信可能である。図1において充電制御装置7は、充電ECU及び車内LAN4を介して車載更新装置2と通信を行う。車載更新装置2と充電制御装置7とが、例えば車内LAN4により接続され、通信を行ってもよい。充電制御装置7は、バッテリ8の充電完了後に、充電完了通知を車載更新装置2へ送信する。
【0056】
車載更新装置2は、充電制御装置7、PLC通信装置71、給電線92、及び充電装置9を介した通信経路にて、外部サーバ100と通信可能である。充電制御装置7、PLC通信装置71、給電線92、及び充電装置9を介した通信経路は、給電線92を用いた電力線搬送通信による通信経路に相当する。以下、給電線92を用いた電力線搬送通信による通信経路を、給電線92を用いた通信経路とも称する。車載更新装置2は、充電制御装置7、無線通信装置70、及び充電装置9を介した通信経路にて、外部サーバ100と通信可能である。充電制御装置7、無線通信装置70、及び充電装置9を介した通信経路は、無線通信装置70を用いた通信経路に相当する。給電線92を用いた電力線搬送通信による通信経路と、無線通信装置70を用いた通信経路とは、充電制御装置7を介する通信経路に含まれる。
【0057】
図3及び図4は、車載更新装置2による更新対象の車載ECU3のプログラム更新の一態様を示す説明図(シーケンス図)である。例えば、車載更新装置2は、車両Cが起動状態(IGスイッチ6がオン)である場合、車外通信装置1を介して外部サーバ100と定期的又は非定期的に通信する。車載更新装置2は、外部サーバ100に更新すべきプログラム又はデータ、すなわち更新プログラムが用意されている場合、更新通知を外部サーバ100から受信(取得)する。更新通知を受信したあとにIGスイッチ6がオフとなった場合、車載更新装置2は、所定の選択条件に基づいて、複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、以下の処理を行う。通信経路の選択についての詳細は後述する。車載更新装置2は、車両Cの起動状態時に、外部サーバ100から更新通知を受信しなかった場合であっても、IGスイッチ6がオフとなった際に、複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、以下の処理を行ってもよい。
【0058】
図3には、複数の通信経路の内、充電制御装置7を介する通信経路が選択された場合におけるプログラム更新の一態様が示してある。図3において、車載更新装置2が、充電制御装置7を介する通信経路を選択した場合に更新対象の車載ECU3のプログラム更新を実行する処理について、外部サーバ100、充電装置9,及び充電制御装置7の処理を含むシーケンス図を用いて説明する。以下、ステップをSと省略する。
【0059】
詳細は後述するが、車載更新装置2は、充電制御装置7を介する通信経路の内、給電線92を用いた電力線搬送通信による通信経路、又は無線通信装置70を用いた通信経路のいずれかの通信経路を選択する。車載更新装置2は、充電制御装置7へ選択した通信経路に応じた充電装置9との通信を要求する(S1)。車載更新装置2は、給電線92を用いた電力線搬送通信による通信経路を選択した場合、PLC通信装置71による充電装置9との通信を充電制御装置7へ要求する。車載更新装置2は、無線通信装置70を用いた通信経路を選択した場合、無線通信装置70による充電装置9との通信を充電制御装置7へ要求する。
【0060】
充電制御装置7は、PLC通信装置71又は無線通信装置70を介して、充電装置9と通信を行う。充電制御装置7は、充電装置9へ外部サーバ100との通信を要求する(S2)。充電装置9は、外部サーバ100と通信を行い、外部サーバ100から更新プログラムを取得する(S3)。車載更新装置2が外部サーバ100からの更新通知を取得していない場合、充電装置9は、外部サーバ100と通信を行い、更新プログラムの有無を確認する。外部サーバ100に更新プログラムがある場合、充電装置9は、更新プログラムを取得する。
【0061】
充電装置9は、取得した更新プログラムを充電制御装置7へ送信する(S4)。充電制御装置7は、PLC通信装置71又は無線通信装置70を介して充電装置9から送信された更新プログラムを取得し、取得した更新プログラムを車載更新装置2へ送信する(S5)。
【0062】
車載更新装置2は、充電制御装置7から送信された更新プログラムを取得し、更新対象の車載ECU3のプログラムを更新する(S6)。詳しくは、更新対象の車載ECU3が1面持ちである場合、車載更新装置2は、取得した更新プログラムを記憶部21に記憶させる。例えば車両Cの操作者による車載ECU3のプログラム更新の承諾が入力された場合、車載更新装置2は、更新対象の車載ECU3へ記憶部21の更新プログラムを送信する。送信された更新プログラムは記憶部31に記憶され、当該車載ECU3に適用される。すなわち当該車載ECU3のプログラムが更新される。更新対象の車載ECU3が2面持ちである場合、車載更新装置2は、取得した更新プログラムを更新対象の車載ECU3へ送信する。送信された更新プログラムは記憶部31の非動作面に記憶される。例えば車両Cの操作者による車載ECU3のプログラム更新の承諾が入力された場合、車載更新装置2は、車載ECU3に記憶部31の動作面と非動作面との切り替えを行わせる。すなわち車載ECU3のプログラムは更新される。詳細は後述するが、車載更新装置2は、第2表示装置52へ第1報知データを出力し、第2表示装置52へLEDランプの点灯を指示する(S7)。LEDランプが点灯することにより、車載ECU3のプログラムが更新中であることが報知される。車載ECU3は、プログラムの更新完了後に、更新完了通知を車載更新装置2へ送信する。
【0063】
図4には、車外通信装置1を介する通信経路を選択した場合におけるプログラム更新の一態様が示してある。図4において、車載更新装置2が、車外通信装置1を介する通信経路を選択した場合に更新対象の車載ECU3のプログラム更新を実行する処理について、外部サーバ100、及び車外通信装置1の処理を含むシーケンス図を用いて説明する。
【0064】
車載更新装置2は、車外通信装置1へ外部サーバ100との通信を要求する(S11)。車外通信装置1は、車外ネットワークNを介して外部サーバ100と通信を行い、外部サーバ100から更新プログラムを取得する(S12)。車載更新装置2が外部サーバ100からの更新通知を取得していない場合、車外通信装置1は、外部サーバ100と通信を行い、更新プログラムの有無を確認する。外部サーバ100に更新プログラムがある場合、車外通信装置1は、更新プログラムを取得する。
【0065】
車外通信装置1は、取得した更新プログラムを車載更新装置2へ送信する(S13)。車載更新装置2は、車外通信装置1から送信された更新プログラムを取得し、更新対象の車載ECU3のプログラムを更新する(S14)。S14の処理は前述のS6の処理と同様である。S14の処理の説明は、省略する。詳細は後述するが、車載更新装置2は、第2表示装置52へ第1報知データを出力し、第2表示装置52へLEDランプの点灯を指示する(S15)。LEDランプが点灯することにより、車載ECU3のプログラムが更新中であることが報知される。車載ECU3は、プログラムの更新完了後に、更新完了通知を車載更新装置2へ送信する。
【0066】
図5は、車載更新装置2の制御部20が行う更新対象の車載ECU3のプログラム更新に係る処理を例示するメインルーチンのフローチャートである。図6は、通信経路選択のサブルーチンに係る制御部20の処理手順を例示するフローチャートである。図7は、承諾画面の内容例を示す概念図である。詳細は後述するが、承諾画面は、車載ECU3のプログラムの更新、及び車両Cの充電の際に、車載ECU3のプログラムの更新に関する承諾(更新の承諾)と、及び車両Cの充電に関する承諾(充電の承諾)とを受け付ける画面である。承諾画面は、承諾画面データによって構成される。承諾画面には、更新の承諾を受け付ける更新承諾画面と、充電の承諾を受け付ける充電承諾画面と、更新の承諾及び充電の承諾とを一度に受け付ける更新充電承諾画面との3つの画面が含まれる。
【0067】
車載更新装置2の制御部20は、車両Cが起動状態(IGスイッチ6がオン)である場合、車外通信装置1を介して外部サーバ100と定期的又は非定期的に通信する。更新すべきプログラム又はデータ、すなわち更新プログラムが外部サーバ100に用意されている場合、制御部20は以下の処理を行う。又は、制御部20は、車外通信装置1を介して取得した外部サーバ100からの更新通知に基づいて、以下の処理を行ってもよい。制御部20は、更新通知を第1表示装置50に表示させ、入力装置51を介して車両Cの操作者から入力された更新の承認に基づいて、以下の処理を行ってもよい。例えば、車外通信装置1の無線通信に関する通信サービスが未契約である場合、制御部20は、IGスイッチ6がオンからオフとなった場合に以下の処理を行ってもよい。車両Cの起動状態時に、外部サーバ100から更新通知を受信しなかった場合であっても、制御部20は、IGスイッチ6がオンからオフとなった場合に以下の処理を行ってもよい。
【0068】
IGスイッチ6がオフとなった場合、制御部20は、充電制御装置7から充電状況に関する情報を取得する(S21)。充電状況に関する情報には、バッテリ8の充電が可能であるか否かに関する情報、すなわち車両Cの充電が可能であるか否かに関する情報が含まれる。バッテリ8の充電が可能である場合(充電準備ができている場合)、制御部20は、バッテリ8の充電が可能であることを示す情報を取得する。以下、バッテリ8の充電が可能である場合を、車両Cの充電が可能である場合とも称する。車両Cの充電が可能である場合は、例えば、給電線92による車両C(充電制御装置7)と充電装置9との接続と、無線通信装置70と充電装置9との通信の確立との少なくも一方がなされている場合である。無線通信装置70と充電装置9の無線通信部90との通信が確立されている場合、車両C(充電制御装置7)と充電装置9とが無線通信によって接続されている。無線通信装置70と充電装置9の無線通信部90との通信が確立されている場合、例えば、車両Cは、送電パッド91から受電パッド80への送電が可能な場所に、位置している。無線通信装置70と充電装置9との通信は、例えば、車両Cが充電装置9の無線通信部90の通信圏内に位置する場合に自動的に確立される。無線通信装置70と充電装置9との通信は、車両Cの操作者による操作により確立されてもよい。バッテリ8の充電が可能ではない場合(充電準備ができていない場合)、制御部20は、バッテリ8の充電が可能ではないことを示す情報を取得する。以下、バッテリ8の充電が可能ではない場合を、車両Cの充電が可能ではない場合とも称する。車両Cの充電が可能ではない場合は、例えば、給電線92による車両Cと充電装置9との接続と、無線通信装置70と充電装置9の無線通信部90との通信の確立との両方がなされていない場合である。充電状況に関する情報には、更に、給電線92により車両Cと充電装置9と接続されているか否か(インレット81に充電ガンが接続されているか否か)という情報、及び無線通信装置70と充電装置9との通信が確立しているか否かという情報が含まれる。
【0069】
制御部20は、通信経路選択のサブルーチンを呼び出して実行し(S22)、取得した充電状況に関する情報に基づいて、複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択する。以下、図6を用いて、制御部20が行う通信経路選択のサブルーチンに係る処理について説明する。
【0070】
制御部20は、取得した充電状況に関する情報に基づいて、充電制御装置7が充電装置9と通信できるか否かを判定する(S31)。充電制御装置7が充電装置9と通信できない場合(S31:NO)、制御部20は、車外通信装置1を介する通信経路を選択し(S32)、メインルーチンへリターンする。充電制御装置7が充電装置9と通信できない場合は、例えば、給電線92による車両Cと充電装置9との接続と、無線通信装置70と充電装置9との通信の確立との両方がなされていない場合であり、車両Cの充電が可能ではない場合に相当する。
【0071】
例えば車外通信装置1による通信が有償の通信サービスである場合、制御部20は、車外通信装置1を介する通信経路の選択において、車外通信装置1の現在の通信量、及び更新プログラムのデータ量を考慮してもよい。例えば車外通信装置1による月ごとの通信量が記憶部21に記憶されている場合、制御部20は、現時点の通信量と予め設定された通信量の閾値とを比較してもよい。現時点の通信量が通信量の閾値未満である場合、制御部20は、車外通信装置1を介する通信経路を選択する。例えば、外部サーバ100から送信された更新通知に、更新プログラムのデータ量に関する情報が含まれている場合、制御部20は、更新通知に関わる更新プログラムのデータ量と、予め設定されたデータ量の閾値とを比較してもよい。更新通知に関わる更新プログラムのデータ量がデータ量の閾値未満である場合、制御部20は、車外通信装置1を介する通信経路を選択する。上述の現時点の通信量が通信量の閾値以上である場合、又は更新通知に関わる更新プログラムのデータ量がデータ量の閾値以上である場合、制御部20は、例えば、処理を終了する。後述する充電制御装置7を介する通信経路が選択されるまで、車載ECU3のプログラムの更新(更新プログラムの取得)は保留される。通信量、及びデータ量が考慮されることにより、車外通信装置1の通信量を抑制することができる。すなわち車外通信装置1の通信費用を節約(抑制)することができる。例えば、車外通信装置1による通信が有償の通信サービスであって、当該通信サービスが未契約である場合、制御部20は、処理を終了する。
【0072】
制御部20は、充電制御装置7が充電装置9と通信できる場合(S31:YES)、充電制御装置7を介する通信経路を選択し、更に当該通信経路の内、給電線92を用いた通信経路、及び無線通信装置70を用いた通信経路のいずれかの通信経路を選択する。詳しくは、制御部20は、取得した充電状況に関する情報に基づいて、給電線92により充電装置9と車両Cとが接続されているか否かを判定する(S33)。充電制御装置7が充電装置9と通信できる場合は、給電線92による車両Cと充電装置9との接続と、無線通信装置70と充電装置9との通信の確立との少なくも一方がなされている場合であり、車両Cの充電が可能である場合に相当する。給電線92により充電装置9と車両Cとが接続されていない場合(S33:NO)、すなわち無線通信装置70と充電装置9との通信の確立のみがなされている場合、制御部20は、無線通信装置70を用いた通信経路を選択し(S34)、メインルーチンへリターンする。
【0073】
給電線92により充電装置9と車両Cとが接続されている場合(S33:YES)、給電線92を用いた通信経路を選択し(S35)、メインルーチンへリターンする。給電線92による車両Cと充電装置9との接続と、無線通信装置70と充電装置9との通信の確立との両方がなされている場合、制御部20は、各通信経路の通信プロトコル(通信方式)に基づいて通信経路を選択してもよい。例えば制御部20は、通信速度の速い通信プロトコルが用いられている通信経路を選択する。例えば、給電線92を用いた通信経路における通信には、電力線搬送通信が含まれる。すなわち、給電線92を用いた通信経路における通信において、電力線搬送通信の通信プロトコルが用いられる。無線通信装置70を用いた通信経路における通信には、Wi-Fiによる無線通信が含まれる。すなわち無線通信装置70を用いた通信経路における通信において、通信プロトコルにWi-Fiが用いられる。一般的にWi-Fiによる無線通信は電力線搬送通信よりも高速であるので、制御部20は、無線通信装置70を用いた通信経路を選択する。
【0074】
制御部20は、通信経路選択のサブルーチンを用いて通信経路を選択したが、予め設定された通信経路の優先順位に従って通信経路を選択してもよい。この場合、例えば記憶部21に優先順位テーブルが記憶されている。図8は、優先順位テーブルの内容例を示す概念図である。図8の優先順位テーブルには、車外通信装置1を介する通信経路、給電線92を用いた通信経路、及び無線通信装置70を用いた通信経路と、それぞれの通信経路の優先順位とが対応付けて記憶されている。通信経路の優先順位は、任意に設定可能であり、例えば、車載更新装置2の製造時に設定されてもよく、車両Cの操作者による入力装置51への入力(入力装置51の操作)により設定されてもよい。通信経路の優先順位は、例えば、更新対象の車載ECU3ごとに設定されていてもよい。例えばプログラムのデータ量が多い車載ECU3においては、更新プログラムのデータ量は多くなると予測されるので、車外通信装置1を介する通信経路の優先順位は低く設定されてもよい。制御部20は、所定の選択条件に基づいて、通信経路を選択する。所定の選択条件には、例えば、充電状況に関する情報を用いた条件、及び、上記の通信経路の優先順位(優先順位テーブル)が含まれる。
【0075】
制御部20は、車両Cの操作者による入力装置51への入力に応じて、通信経路を選択してもよい。詳しくは、制御部20は、通信経路選択のサブルーチンを実行する代わりに、通信経路を選択するための第1選択画面を構成する第1選択画面データを第1表示装置50へ出力する。第1選択画面データは、例えば、記憶部21に記憶されている。第1表示装置50は、出力された第1選択画面データを取得し、第1選択画面を表示する。第1表示画面には、例えば車外通信装置1を介する通信経路、給電線92を用いた通信経路、及び無線通信装置70を用いた通信経路の3つの通信経路が表示される。3つの通信経路の内、使用できない通信経路には、例えば「通信不可」のメッセージが表示される。車両Cの操作者は、入力装置51の操作により、通信経路を選択(入力)する。このとき使用できない通信経路を選択することはできない。第1選択画面には、使用できる通信経路のみが表示されてもよい。制御部20は、車両Cの操作者により入力された通信経路を選択する。
【0076】
制御部20は、選択した通信経路を用いて、前述のようにして外部サーバ100と通信を行い、外部サーバ100から更新プログラムを取得する(S23)。取得された更新プログラムは、更新対象の車載ECU3の記憶部31が1面持ちである場合、記憶部21に記憶される。取得された更新プログラムは、更新対象の車載ECU3の記憶部31が2面持ちである場合、当該車載ECU3に送信され、当該車載ECU3の記憶部31の非動作面に記憶される。選択された通信経路による外部サーバ100との通信が途切れた場合、制御部20は、通信経路を改めて選択してもよい。制御部20は、改めて選択した通信経路を用いて外部サーバ100との通信を再開する。
【0077】
制御部20は、バッテリ8(車両C)の充電が可能であるか否かを判定する(S24)。バッテリ8(車両C)の充電が可能ではない場合(S24:NO)、制御部20は、上述の更新承諾画面を構成する更新承諾画面データを第1表示装置50へ出力する。(S25)。更新承諾画面データは、承諾画面データに含まれる。第1表示装置50は、出力された更新承諾画面データを取得し、更新承諾画面を表示する。図7に示すように、更新承諾画面には、更新の承諾を受け付けるボタンと、例えば、「ECUのプログラム更新を行います。」のようなメッセージとが含まれる。制御部20は、例えば車両Cの操作者による入力装置51への入力により、更新の承諾を受け付け、後述のS28の処理を行う。ユーザ、例えば車両Cの操作者の承諾を得た上で後述の車載ECU3のプログラムの更新を行うことができる。制御部20は、一定時間以上、更新の承諾の入力がない場合、処理を終了してもよい。
【0078】
バッテリ8(車両C)の充電が可能である場合(S24:YES)、制御部20は、上述の更新充電承諾画面を構成する更新充電承諾画面データを第1表示装置50へ出力する(S26)。更新充電承諾画面データは、承諾画面データに含まれる。第1表示装置50は、出力された更新充電承諾画面データを取得し、更新充電承諾画面を表示する。図7に示すように、更新充電承諾画面には、更新の承諾と充電の承諾とを一度に受け付けるボタンと、例えば、「ECUのプログラム更新とバッテリの充電を行います。」のようなメッセージとが含まれる。制御部20は、例えば車両Cの操作者による入力装置51への入力により、更新の承諾と充電の承諾とを一度に受け付ける。すなわち更新の承諾と充電の承諾とは、同時に、又は並行して受け付けられる。車両Cの操作者の承諾を得た上で、後述の車両Cの充電と、後述の車載ECU3のプログラム更新とを行うことができる。制御部20は、一定時間以上、更新の承諾と充電の承諾との入力がない場合、処理を終了してもよい。更新充電承諾画面が表示されることにより、更新の承諾と充電の承諾とを一度に行うことができる。更新の承諾と充電の承諾との受け付けを簡便化することができる。すなわち車両Cの操作者は、更新の承諾と充電の承諾とを個別に行う必要がない。車両Cの操作者は、一度の操作、いわゆるワンクリックの操作によって、更新の承諾と充電の承諾とを行うことができる。
【0079】
制御部20は、充電制御装置7にバッテリ8の充電を開始させる。例えば、制御部20は、充電制御装置7へバッテリ8の充電を開始させる指示を出力する。充電制御装置7は、当該指示を取得し、バッテリ8の充電を行う(開始する)。当該指示を出力する処理は、車両Cを充電するための処理に含まれる。
【0080】
例えば、車両Cの充電が可能である場合であって、外部サーバ100に更新プログラムが用意されていなかった場合、制御部20は、更新充電承諾画面データの代わりに、充電承諾画面を構成する充電承諾画面データを第1表示装置50へ出力する。充電承諾画面データは、承諾画面データに含まれる。第1表示装置50は、出力された充電承諾画面データを取得し、充電承諾画面を表示する。図7に示すように、充電承諾画面には、充電の承諾を受け付けるボタンと、例えば、「バッテリの充電を行います。」のようなメッセージとが含まれる。制御部20は、例えば車両Cの操作者による入力装置51への入力により、充電の承諾を受け付ける。制御部20は、充電制御装置7にバッテリ8の充電を開始させる。車両Cの操作者の承諾を得た上で、車両Cの充電を行うことができる。制御部20は、一定時間以上、充電の承諾の入力がない場合、処理を終了してもよい。
【0081】
車両Cの充電が可能である場合であっても、更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合、制御部20は、更新承諾画面データを出力する。更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合、プログラムの更新のために充電ECUの機能が停止するので、バッテリ8の充電を行うことができないためである。この場合、例えば、充電ECUのプログラムの更新完了後に、制御部20は充電承諾画面データを出力する。
【0082】
承諾画面データ(更新承諾画面データ、充電承諾画面データ、及び更新充電承諾画面データ)は、例えば、車載更新装置2の製造時に予め記憶部21に記憶されている。第1表示装置50が、承諾画面データを保持していてもよい。第1表示装置50は、制御部20から送信された承諾画面を表示させる指示を取得し、承諾画面を表示する。充電装置9は、承諾画面データを保持しており、承諾画面データを車載更新装置2へ送信してもよい。
【0083】
制御部20は、車両Cが充電中であることを報知するための第2報知データを第2表示装置52へ出力する(S27)。詳細は後述するが、第2表示装置52によって車両Cが充電中であることが報知される。
【0084】
制御部20は、車載ECU3のプログラムを更新する(S28)。詳しくは、更新対象の車載ECU3が1面持ちである場合、制御部20は更新プログラムを当該車載ECU3へ送信する。送信された更新プログラムは、更新対象の車載ECU3の記憶部31に記憶され、当該車載ECU3へ適用される。すなわち当該車載ECU3のプログラムが更新される。更新対象の車載ECU3が2面持ちである場合、更新プログラムは当該車載ECU3の記憶部31の非動作面に記憶されている。制御部20は、当該車載ECU3の制御部30へ記憶部31の動作面と非動作面の切り替えを要求する。記憶部31の動作面と非動作面の切り替えにより、更新プログラムが当該車載ECU3へ適用される。すなわち当該車載ECU3のプログラムが更新される。
【0085】
制御部20は、車載ECU3のプログラムが更新中であることを報知するための第1報知データを第2表示装置52へ出力する(S29)。例えば第2表示装置52は、2つのLEDランプを備えている。1つのLEDランプ、又は当該LEDランプの近傍の位置には、「充電」という表示がなされている。例えば「充電」と記載されたシールが貼り付けてある。他のLEDランプ、又は当該LEDランプの近傍の位置には、「更新」という表示がなされている。第2表示装置52は、出力された第1報知データを取得した場合、「更新」と表示されたLEDランプを点灯させる。第2表示装置52は、出力された第2報知データを取得した場合、「充電」と表示されたLEDランプを点灯させる。車両Cの充電のみが行われる場合、「充電」と表示されたLEDランプが点灯する。車載ECU3のプログラムの更新のみが行われる場合、「更新」と表示されたLEDランプが点灯する。車両Cの充電及び車載ECU3のプログラムの更新の両方が行われる場合、「充電」と表示されたLEDランプと、「更新」と表示されたLEDランプとの両方が点灯する。第2表示装置52は、車両Cの外部から視認可能な位置に取り付けてあるので、LEDランプの点灯及び消灯の組み合わせにより、車両Cが充電中であること、及び車載ECU3のプログラムが更新中であることの一方又は両方を、車両C外の人に報知することができる。車両C外の人は、例えば車両Cから降りた車両Cの操作者である。
【0086】
例えば、制御部20は、外部サーバ100との通信を更新処理の一部とみなし、S22にて通信経路を選択後、第1報知データを出力してもよい。車両Cが通信中(更新プログラムのダウンロード中)であることを、車両C外の人に報知することができる。LEDランプの数は2つに限らず、3つ以上あってもよい。例えば、第2表示装置52は、「充電」と表示されたLEDランプと、「更新」と表示されたLEDランプと、「通信」と表示されたLEDランプとの3つのLEDランプを備えている。制御部20は、S22にて通信経路を選択後、車両Cが通信中であることを報知するための第3報知データを第2表示装置52へ出力してもよい。第2表示装置52は、出力された第3報知データを取得した場合、「通信」と表示されたLEDランプを点灯させる。「通信」と表示されたLEDランプが点灯することにより、車両Cが通信中であることを、車両C外の人に報知することができる。
【0087】
LEDランプの点灯、点滅、及び消灯の組み合わせにより、報知は行われてもよい。例えば、制御部20は、選択した通信経路が車外通信装置1を介する通信経路である場合、通信経路が車外通信装置1を介する通信経路であることを報知するための第4報知データを第2表示装置52へ出力する。第2表示装置52は、出力された第4報知データを取得した場合、「通信」と表示されたLEDランプを点灯させる。制御部20は、選択した通信経路が充電制御装置7を介する通信経路である場合、通信経路が充電制御装置7を介する通信経路であることを報知するための第5報知データを第2表示装置52へ出力する。第2表示装置52は、出力された第5報知データを取得した場合、「通信」と表示されたLEDランプを点滅させる。給電線92を用いた通信経路による通信が行われる場合と、無線通信装置70を用いた通信経路による通信が行われる場合とにおいて、出力される第5報知データは異なってもよい。例えば、第2表示装置52は、取得した第5報知データに応じて(給電線92を用いた通信経路の場合と、無線通信装置70を用いた通信経路の場合とにおいて)、「通信」と表示されたLEDランプの点滅の間隔を異ならせる。「通信」と表示されたLEDランプの点灯又は点滅によって、車両Cと外部サーバとの通信に用いられている通信経路を、車両C外の人に報知することができる。
【0088】
制御部20は、更新対象の車載ECU3のプログラムの更新完了後に、当該車載ECU3から送信された更新完了通知を取得し、第2表示装置52に「更新」と表示されたLEDランプを消灯させる。制御部20は、車両Cの充電完了後に、充電制御装置7から送信された充電完了通知を取得し、第2表示装置52に「充電」と表示されたLEDランプを消灯させる。制御部20は、処理を終了する。
【0089】
車載更新装置2は、複数の通信経路のうちいずれかの通信経路を選択し、選択した通信経路にて外部サーバ100と通信を行う。車載更新装置2の制御部20は、車外通信装置1を介する通信経路を選択し、外部サーバ100と通信し、更新プログラムを取得することができる。制御部20は、充電制御装置7を介する通信経路を選択することにより、充電装置9により車両Cが充電を行う際に、充電制御装置7及び充電装置9を介して外部サーバ100と通信し、更新プログラムを取得することができる。充電制御装置7を介する通信経路が選択されることにより、車外通信装置1を介する通信に関する通信量及び通信費用を節約することができる。バッテリ8の充電と、車載ECU3のプログラムの更新とを並行して行うことができるので、車載ECU3のプログラムの更新の際に、車両Cの電力不足による更新の失敗を防ぐことができる。
【0090】
制御部20は、複数の通信経路の内、給電線92を用いた電力線搬送通信による通信経路を選択することができる。充電制御装置7と充電装置9とが給電線92により有線接続されているので、安定性の高い通信(有線通信)を行うことができる。
【0091】
制御部20は、複数の通信経路の内、無線通信装置70を用いた通信経路を選択することができる。例えば、充電装置9が非接触にて車両Cへ電力を供給する場合であっても、制御部20は、無線通信装置70による無線通信を行う充電制御装置7と充電装置9とを介して外部サーバ100と通信し、更新プログラムを取得することができる。
【0092】
無線通信装置70は、車外ネットワークNと通信可能である図示しない無線通信機器と無線通信を行ってもよい。無線通信機器は、例えば、車両Cの操作者の自宅に設置された無線LANルータ(Wi-Fiルータ)、車両Cの操作者により携帯される携帯型の無線LANルータ、車両Cの操作者により携帯されるスマートフォン等の通信端末、又は公衆無線LANに関する通信装置が含まれる。無線通信機器を介した通信経路を用いて外部サーバ100と通信し、更新プログラムを取得することができる。すなわち、複数の通信経路には、これらの無線通信機器を介した通信経路が含まれる。車外通信装置1は、Wi-Fi、又はBluetooth等の無線通信プロトコルによる通信を行ってもよく、充電装置9の無線通信部90、又は上記の無線通信機器と、無線通信を行ってもよい。
【0093】
無線通信装置70と、車両Cの操作者により携帯される通信端末、例えばスマートフォンとの間において通信が確立している場合、当該通信端末を第1表示装置50、及び入力装置51の代わりに用いることができる。例えば、承諾画面データが出力された場合、通信端末の画面に承諾画面が表示される。車両Cの操作者は、通信端末の操作により、充電の承諾、及び更新の承諾の入力を行うことができる。
【0094】
(実施形態2)
実施形態2に係る構成の内、実施形態1と同様な構成部については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0095】
実施形態2に係る車載更新装置2の制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、バッテリ8の充電率(State Of Charge/SOC)、すなわち車両Cの充電率を取得する第3取得部として機能する。制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、車両Cの充電と、車載ECU3のプログラムの更新との優先順位(充電と更新との優先順位)を判定する判定部として機能する。
【0096】
記憶部21には、充電と更新との優先順位の判定に用いられる閾値(以下、判定閾値)が記憶されている。更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合における判定閾値は、更新対象の車載ECU3が充電ECU以外の他の車載ECU3である場合における前記閾値よりも小さい。更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合における判定閾値は、例えば40%である。更新対象の車載ECU3が充電ECUと異なる他の車載ECU3である場合における判定閾値は、例えば50%である。判定閾値は、特許請求の範囲における閾値に相当する。
【0097】
図8は、車載更新装置2の制御部20が行う充電と更新との優先順位の判定に係る処理を例示するフローチャートである。車載更新装置2の制御部20は、車両Cが起動状態(IGスイッチ6がオン)である場合、車外通信装置1を介して外部サーバ100と定期的又は非定期的に通信する。更新すべきプログラム又はデータ、すなわち更新プログラムが外部サーバ100に用意されている場合、制御部20は以下の処理を行う。又は、制御部20は、車外通信装置1を介して取得した外部サーバ100からの更新通知に基づいて、以下の処理を行ってもよい。制御部20は、更新通知を第1表示装置50に表示させ、入力装置51を介して車両Cの操作者から入力された更新の承認に基づいて、以下の処理を行ってもよい。
【0098】
IGスイッチ6がオフとなった場合、制御部20は、充電制御装置7からバッテリ8の充電率を取得する(S41)。制御部20は、取得した充電率が判定閾値以上であるか否かを判定する(S42)。例えば、上記の更新通知には更新対象の車載ECU3に関する情報が含まれている。更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合、制御部20は、例えば、取得した充電率が40%以上であるか否かを判定する。更新対象の車載ECU3が他の車載ECU3である場合、制御部20は、例えば、取得した充電率が50%以上であるか否かを判定する。
【0099】
バッテリ8の充電率が小さい場合、更新プログラムの取得、及び車載ECU3への更新プログラムの送信を含む車載ECU3のプログラムの更新処理において、必要な起電力が得られない、すなわち更新処理(プログラムの更新)が失敗するおそれがある。制御部20は、取得した充電率が判定閾値以上である場合(S42:YES)、更新対象の車載ECU3のプログラムの更新処理(車載ECU3のプログラムを更新するための処理)を実行し(S44)、処理を終了する。更新プログラムは、例えば現在のプログラムの不具合を改善するためのプログラムである。従って、プログラムが更新された充電ECUによりバッテリ8の充電が行われることが望ましい。更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合における判定閾値は、更新対象の車載ECU3が他の車載ECU3である場合における前記閾値よりも小さく設定されているので、充電ECUのプログラムの更新は、行われやすい。
【0100】
制御部20は、実施形態1の更新プログラムの適用に係る処理と同様にして、更新対象の車載ECU3のプログラムの更新に関する処理、及びバッテリ8の充電に関する処理を行う。制御部20は、複数の通信経路の内、いずれかの通信経路を選択し、選択した通信経路により外部サーバ100と通信を行う。制御部20は、外部サーバ100から更新プログラムを取得する。前述のようにして車載ECU3のプログラムの更新、及びバッテリ8の充電が行われる。更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合、充電ECUのプログラムの更新が行われ、当該更新の完了後に、バッテリ8の充電が行われる。
【0101】
制御部20は、取得した充電率が判定閾値未満である場合(S42:NO)、バッテリ8の充電を優先する(S43)。すなわち制御部20は、充電率に基づいて更新と充電との優先順位を判定し、バッテリ8の充電の優先順位が車載ECU3のプログラムの更新の優先順位よりも高いと判定する。制御部20は、充電承諾画面データを出力する。第1表示装置50に充電承諾画面が表示される。制御部20は、充電承諾画面にて車両Cの充電に関する承諾を受け付け、充電制御装置7へ充電を開始させる。バッテリ8の充電が開始される。
【0102】
制御部20は、定期的に充電率を取得し、取得した充電率が判定閾値以上である場合、S44の処理を行い、車載ECU3のプログラムの更新を行う。なお、バッテリ8の充電が既に開始されている(行われている)ので、改めて充電の承諾の入力を受け付ける必要はない。更新対象の車載ECU3が充電ECUである場合、充電は終了される。前述のようにして充電ECUのプログラムの更新が行われる。例えば、当該更新の完了後に充電は再開される。
【0103】
バッテリ8の充電率が小さい場合、例えば、更新プログラムの取得、又は車載ECU3のプログラムの更新において、必要な起電力が得られない、すなわち更新プログラムの取得、又は車載ECU3のプログラムの更新が失敗するおそれがある。判定閾値による充電率の判定(充電率に基づく更新と充電との優先順位の判定)を行うことにより、バッテリ8の充電率が小さいことによる更新プログラムの取得、又は車載ECU3のプログラムの更新の失敗を防ぐことができる。
【0104】
優先順位の判定は、充電率に基づくものに限らない。制御部20は、更新に要する時間に基づいて優先順位を判定してもよい。更新に要する時間には、例えば更新プログラムの取得に必要な時間、及び更新プログラムの適用に必要な時間等の時間が含まれる。更新に要する時間は、例えば更新通知に含まれる。例えば、制御部20が、外部サーバ100と通信を行い、更新に要する時間を推定してもよい。例えば、更新に要する時間が一定時間以上である場合、バッテリ8の充電は行われる。充電完了後に車載ECU3のプログラムの更新は行われる。更新に要する時間が一定時間未満である場合、充電と更新とは並行して行われる。充電率に基づく優先順位の判定と、更新に要する時間に基づく優先順位の判定とを組み合わせた判定が行われてもよい。
【0105】
例えば更新と充電との優先順位が予め設定されていてもよい。更新と充電との優先順位は、例えば、車載更新装置2の製造時に予め記憶部21に記憶される。制御部20は、記憶されている当該優先順位に従って、車載ECU3のプログラムの更新、及びバッテリ8の充電を行う。車載ECU3ごとに更新と充電との優先順位が設定されていてもよい。
【0106】
車両Cの操作者の選択(入力)により車載ECU3のプログラムの更新、及びバッテリ8の充電の少なくとも一方が行われてもよい。例えば、制御部20は、車載ECU3のプログラムの更新と、バッテリ8の充電と、車載ECU3のプログラムの更新及びバッテリ8の充電との内、いずれかを選択するための第2選択画面を構成する第2選択画面データを、第1表示装置50へ出力する。第1表示装置50は、出力された第2選択画面データを取得し、第2選択画面を表示する。第2選択画面には、車載ECU3のプログラムの更新と、バッテリ8の充電と、車載ECU3のプログラムの更新及びバッテリ8の充電との内、いずれかを選択するためのボタンが含まれる。車両Cの操作者による入力装置51の操作により、車載ECU3のプログラムの更新と、バッテリ8の充電と、車載ECU3のプログラムの更新及びバッテリ8の充電との内、いずれかが選択される。制御部20は、車両Cの操作者による選択結果に応じて、車載ECU3のプログラムの更新、及びバッテリ8の充電の少なくとも一方を行う。無線通信装置70と、車両Cの操作者により携帯される通信端末、例えばスマートフォンとの間において通信が確立している場合、当該通信端末は、第1表示装置50、及び入力装置51の代わりとして用いられてもよい。
【0107】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
C 車両
S 車載更新システム
N 車外ネットワーク
1 車外通信装置
1a アンテナ
2 車載更新装置
3 車載ECU
4 車内LAN
6 IGスイッチ
7 充電制御装置
8 バッテリ
9 充電装置
20 制御部
21 記憶部
22 記録媒体
23 車内通信部
24 入出力I/F
30 制御部
31 記憶部
32 車内通信部
50 第1表示装置
51 入力装置
52 第2表示装置
70 無線通信装置
70a アンテナ
71 PLC通信装置
80 受電パッド
81 インレット
90 無線通信部
90a アンテナ
91 送電パッド
92 給電線
100 外部サーバ
110 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9