(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20231024BHJP
H01R 13/648 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01R31/54
H01R13/648
(21)【出願番号】P 2020006542
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】菅原 賢治
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-007944(JP,A)
【文献】特開2016-112625(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0073149(KR,A)
【文献】特開平04-335170(JP,A)
【文献】特開2010-243206(JP,A)
【文献】特開2002-058151(JP,A)
【文献】特開2010-073583(JP,A)
【文献】特開2008-108699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
H01R 13/648
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電線と、前記第1電線を被覆する筒状の第1シールド部材と、前記第1シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第1電線の一端部に設けられた第1コネクタと、を備えた第1ワイヤハーネスと、
第2電線と、前記第2電線を被覆する筒状の第2シールド部材と、前記第2シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第2電線の一端部に設けられた第2コネクタと、を備えた第2ワイヤハーネスと、
前記第1シールド部材における前記第1コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線と、前記第2シールド部材における前記第2コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線とを電気的に接続する接続部材と、を備え、
前記第1シールド部材における前記第1コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線が接地され、
前記第2シールド部材における前記第2コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線が前記第2コネクタの空きキャビティに挿入されているワイヤハーネス。
【請求項2】
前記第1シールド部材における前記第1コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線は、第1コネクタに接続されている、請求項
1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記接続部材がスプライスパーツである請求項
1又は請求項
2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
第3電線と、前記第3電線を被覆する筒状の第3シールド部材と、前記第3シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第3電線の一端部に設けられた第3コネクタと、を備えた第3ワイヤハーネスを備え、
前記第3シールド部材における前記第3コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線は、前記接続部材を介して前記第1シールド部材及び前記第2シールド部材と電気的に接続され、
前記第3シールド部材における前記第3コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線は、前記第2コネクタにおける前記空きキャビティとは別の空きキャビティに挿入されている、請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1のワイヤハーネスでは、電線が導体からなるシールド部材(特許文献1では導電層)に被覆されており、シールド部材に対して電気的に導通するドレイン線は、ワイヤハーネスの端部に設けられたコネクタのキャビティに挿入されている。コネクタのキャビティに挿入されたドレイン線は、同キャビティ内に設けられた端子に電気的に接続され、同端子は、ワイヤハーネスのコネクタが連結される相手側コネクタの端子に接続される。上記特許文献1のような構成では、ドレイン線がコネクタと連結されることから、そのコネクタを介して、ドレイン線を含むシールド部材の導通検査を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1とは異なり、シールド部材が相手側コネクタに電気的に接続されない構成の場合には、コネクタにドレイン線用のキャビティを設定せず、相手側コネクタに接続するためのドレイン線も省略することが一般的である。しかしながら、この場合には、コネクタを介したシールド部材の導通検査を行うことができないという問題があった。
【0005】
そこで、シールド部材が相手側コネクタに電気的に接続されない構成において、シールド部材の導通検査を行うことを可能にするワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、電線と、前記電線の一端部に接続されたコネクタと、前記電線を被覆する筒状のシールド部材と、前記シールド部材に電気的に導通され、前記シールド部材における前記コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線と、を備え、前記ドレイン線が前記コネクタの空きキャビティに挿入されている。
【0007】
また、本開示のワイヤハーネスは、第1電線と、前記第1電線を被覆する筒状の第1シールド部材と、前記第1シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第1電線の一端部に設けられた第1コネクタと、を備えた第1ワイヤハーネスと、第2電線と、前記第2電線を被覆する筒状の第2シールド部材と、前記第2シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第2電線の一端部に設けられた第2コネクタと、を備えた第2ワイヤハーネスと、前記第1シールド部材における前記第1コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線と、前記第2シールド部材における前記第2コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線とを電気的に接続する接続部材と、を備え、前記第1シールド部材における前記第1コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線が接地され、前記第2シールド部材における前記第2コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線が前記第2コネクタの空きキャビティに挿入されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シールド部材が相手側コネクタに電気的に接続されない構成において、シールド部材の導通検査を行うことを可能にするワイヤハーネスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態におけるワイヤハーネスの概略構成図である。
【
図2】
図2は、同形態におけるシールド部材の導通検査の態様を説明するための説明図である。
【
図3】
図3は、変更例におけるワイヤハーネスの概略構成図である。
【
図4】
図4は、ジョイントコネクタの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]電線と、前記電線の一端部に接続されたコネクタと、前記電線を被覆する筒状のシールド部材と、前記シールド部材に電気的に導通され、前記シールド部材における前記コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線と、を備え、前記ドレイン線が前記コネクタの空きキャビティに挿入されている。
【0011】
この構成によれば、シールド部材に電気的に導通されたドレイン線が、ワイヤハーネスのコネクタの空きキャビティに挿入されているため、同コネクタを介したシールド部材の導通検査を行うことが可能となる。ここで、コネクタの空きキャビティとは、コネクタに連結される相手側コネクタにおいて対応する端子が存在しないキャビティである。
【0012】
また、本開示のワイヤハーネスは、
[2]第1電線と、前記第1電線を被覆する筒状の第1シールド部材と、前記第1シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第1電線の一端部に設けられた第1コネクタと、を備えた第1ワイヤハーネスと、第2電線と、前記第2電線を被覆する筒状の第2シールド部材と、前記第2シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第2電線の一端部に設けられた第2コネクタと、を備えた第2ワイヤハーネスと、前記第1シールド部材における前記第1コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線と、前記第2シールド部材における前記第2コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線とを電気的に接続する接続部材と、を備え、前記第1シールド部材における前記第1コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線が接地され、前記第2シールド部材における前記第2コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線が前記第2コネクタの空きキャビティに挿入されている。
【0013】
この構成によれば、第2シールド部材に電気的に導通されたドレイン線が、第2コネクタの空きキャビティに挿入されているため、第2コネクタを介した第1シールド部材及び第2シールド部材の導通検査を行うことが可能となる。ここで、第2コネクタの空きキャビティとは、第2コネクタに連結される相手側コネクタにおいて対応する端子が存在しないキャビティである。
【0014】
[3]前記第1シールド部材における前記第1コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線は、第1コネクタに接続されていることが好ましい。
この構成によれば、第1コネクタ及び第2コネクタを介した第1シールド部材及び第2シールド部材の導通検査を行うことが可能となる。
【0015】
[4]前記接続部材がスプライスパーツであることが好ましい。
この構成によれば、第1シールド部材と第2シールド部材とを接続する接続部材を、導通検査に不向きなスプライスパーツとした場合でも、第1シールド部材及び第2シールド部材の導通検査を行うことが可能となる。
【0016】
[5]第3電線と、前記第3電線を被覆する筒状の第3シールド部材と、前記第3シールド部材の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線と、前記第3電線の一端部に設けられた第3コネクタと、を備えた第3ワイヤハーネスを備え、前記第3シールド部材における前記第3コネクタとは反対側の端部から引き出されたドレイン線は、前記接続部材を介して前記第1シールド部材及び前記第2シールド部材と電気的に接続され、前記第3シールド部材における前記第3コネクタ側の端部から引き出されたドレイン線は、前記第2コネクタにおける前記空きキャビティとは別の空きキャビティに挿入されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、第3ワイヤハーネスの第3コネクタに空きキャビティが設定されない場合であっても、第2コネクタを介して第3シールド部材の導通検査を行うことが可能となる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
図1に示すように、本実施形態にかかる車両用のワイヤハーネスWは、第1ワイヤハーネス10及び第2ワイヤハーネス20を備えている。また、ワイヤハーネスWは、第1ワイヤハーネス10のドレイン線14と第2ワイヤハーネス20のドレイン線24とを電気的に接続するための接続部材30を備えている。
【0020】
(第1ワイヤハーネス10)
第1ワイヤハーネス10は、複数の第1電線11と、複数の第1電線11をまとめて被覆する筒状の第1シールド部材12と、第1シールド部材12の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線13,14と、第1電線11の一端部に設けられた第1コネクタ15と、を備えている。
【0021】
第1シールド部材12には、金属箔を筒状に丸めた筒状部材や、複数の金属素線を編み込んで筒状に形成した金属編組などを用いることができる。なお、第1シールド部材12の外周は、図示しない筒状の外装部材によって被覆される。各ドレイン線13,14は、第1シールド部材12に電気的に接続されている。
【0022】
各第1電線11の一端部は、第1コネクタ15内に挿入されるとともに、第1コネクタ15が備える端子16に接続されている。また、各第1電線11の他端部は、車両に搭載された図示しない機器に接続される。
【0023】
第1コネクタ15は、いわゆるワイヤトゥワイヤタイプのコネクタである。第1コネクタ15の端子16は、第1コネクタ15に接続する相手側コネクタ41の端子42に接続される。相手側コネクタ41の端子42は、車両に搭載された図示しない機器に繋がる電線44に接続されている。
【0024】
一対のドレイン線13,14のうちの一方のドレイン線13は、第1コネクタ15内に挿入されるとともに、第1コネクタ15が備える端子17に接続されている。第1コネクタ15の端子17は、第1コネクタ15に接続する相手側コネクタ41の端子43に接続される。相手側コネクタ41の端子43に接続された電線45は、車両ボディやアース端子などに接地される。
【0025】
(第2ワイヤハーネス20)
第2ワイヤハーネス20は、複数の第2電線21と、複数の第2電線21をまとめて被覆する筒状の第2シールド部材22と、第2シールド部材22の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線23,24と、第2電線21の一端部に設けられた第2コネクタ25と、を備えている。
【0026】
第2シールド部材22には、金属箔を筒状に丸めた筒状部材や、複数の金属素線を編み込んで筒状に形成した金属編組などを用いることができる。なお、第2シールド部材22の外周は、図示しない筒状の外装部材によって被覆される。各ドレイン線23,24は、第2シールド部材22に電気的に接続されている。
【0027】
各第2電線21の一端部は、第2コネクタ25内に挿入されるとともに、第2コネクタ25が備える端子26に接続されている。また、各第2電線21の他端部は、車両に搭載された図示しない機器に接続される。
【0028】
第2コネクタ25は、いわゆるワイヤトゥワイヤタイプのコネクタである。第2コネクタ25の端子26は、第2コネクタ25に接続する相手側コネクタ46の端子47に接続される。相手側コネクタ46の端子47は、車両に搭載された機器D1に繋がる電線48に接続されている。
【0029】
一対のドレイン線23,24のうちの一方のドレイン線23は、第2コネクタ25の空きキャビティ27に挿入されている。第2コネクタ25に接続する相手側コネクタ46には、第2コネクタ25の空きキャビティ27に対応する端子が設けられていない。そして、本実施形態の空きキャビティ27においても端子が設けられていない。
【0030】
(接続部材30)
接続部材30はいわゆるスプライスパーツと呼ばれる部品であり、ハウジング31内に金属端子32を備えてなる。第1シールド部材12のドレイン線14及び第2シールド部材22のドレイン線24は、ハウジング31内に挿入されるとともに、金属端子32に接続されている。これにより、ドレイン線14,24が金属端子32を介して互いに電気的に接続される。
【0031】
ここで、スプライスパーツとしての接続部材30と、スプライスパーツとしての接続部材30とは異なるジョイントコネクタ60との違いを説明する。
図4には、上記実施形態の接続部材30の代わりにジョイントコネクタ60を用いた構成の一例を示す。ジョイントコネクタ60のハウジング61は、コネクタハウジング62と端子付きハウジング63の少なくとも2部品からなる。端子付きハウジング63は、コネクタハウジング62に対して着脱可能に構成される。
【0032】
コネクタハウジング62は複数のキャビティを有し、当該複数のキャビティのうちのキャビティ62a及びキャビティ62bの各々に第1シールド部材12のドレイン線14及び第2シールド部材22のドレイン線24が挿入される。一方、端子付きハウジング63は、第1端子部64a及び第2端子部64bを一体に有する金属端子64を内部に備える。
【0033】
端子付きハウジング63がコネクタハウジング62に装着された状態では、ドレイン線14の先端に設けられ、キャビティ62a内に配置された端子14aは、金属端子64の第1端子部64aに接続される。また、端子付きハウジング63がコネクタハウジング62に装着された状態では、ドレイン線24の先端に設けられ、キャビティ62b内に配置された端子24aは、金属端子64の第2端子部64bに接続される。すなわち、この状態では、ドレイン線14,24が端子付きハウジング63の金属端子64を介して互いに電気的に接続される。一方、端子付きハウジング63をコネクタハウジング62から外した状態では、金属端子64による端子14a,24aの接続状態が解除され、ドレイン線14,24同士が電気的に接続されていない状態となる。
【0034】
上記のようなジョイントコネクタ60とは異なる、本実施形態のようなスプライスパーツからなる接続部材30は、
図1に示すように、ドレイン線14,24を導通する金属端子32を収容するハウジング31に、各ドレイン線14,24を挿入するキャビティ31a,31bが形成されている。このため、ジョイントコネクタ60に比べて、接続部材30の構成の簡素化及び小型化に有利である。
【0035】
本実施形態の作用について説明する。
図2には、第1シールド部材12及び第2シールド部材22の導通検査の態様を示している。同図に示すように、第1シールド部材12及び第2シールド部材22の導通検査には、第1端子A1及び第2端子A2を有する検流計Aを用いる。導通検査の際には、第1コネクタ15を、相手側コネクタ41に接続していない状態とする。また、第2コネクタ25を、相手側コネクタ46に接続していない状態とする。
【0036】
そして、検流計Aに接続された第1端子A1を、第1シールド部材12のドレイン線13に接続された端子17を収容する第1コネクタ15のキャビティに挿入し、第1端子A1を端子17に接触させる。また、検流計Aに接続された第2端子A2を、第2シールド部材22のドレイン線23を収容する第2コネクタ25の空きキャビティ27に挿入し、第2端子A2をドレイン線23に接触させる。これにより、第1シールド部材12及び第2シールド部材22を含む回路に電流が適正に流れるかどうかを検流計Aによって検査することができる。
【0037】
本実施形態の効果について説明する。
(1)第2シールド部材22における第2コネクタ25側の端部から引き出されたドレイン線23は、第2コネクタ25の空きキャビティ27に挿入されている。この構成によれば、第2シールド部材22に電気的に導通されたドレイン線23が、第2コネクタの空きキャビティ27に挿入されているため、第2コネクタを介した第1シールド部材12及び第2シールド部材22の導通検査を行うことが可能となる。ここで、第2コネクタの空きキャビティ27とは、第2コネクタに連結される相手側コネクタにおいて対応する端子が存在しないキャビティである。
【0038】
(2)第1シールド部材12における第1コネクタ15側の端部から引き出されたドレイン線13は、第1コネクタ15に接続されている。この構成によれば、第1コネクタ15及び第2コネクタを介した第1シールド部材12及び第2シールド部材22の導通検査を行うことが可能となる。
【0039】
(3)第1シールド部材12と第2シールド部材22とを接続する接続部材30をスプライスパーツとした。スプライスパーツは、ジョイントコネクタ60との比較で、小型化に有利であるものの、ハウジング31内のドレイン線14,24に対して検流計の端子を接触させることが難しい。しかしながら、本実施形態のように、第2シールド部材22のドレイン線23を第2コネクタ25の空きキャビティ27に挿入した構成とすれば、接続部材30を導通検査に不向きなスプライスパーツとした場合でも、第1シールド部材12及び第2シールド部材22の導通検査を行うことが可能となる。
【0040】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・
図3に示すワイヤハーネスW1のような構成に変更してもよい。なお、
図3に示すワイヤハーネスW1の構成の説明において、上記実施形態と同様の構成については上記実施形態と同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0041】
図3に示す車両用のワイヤハーネスW1は、第1ワイヤハーネス10、第2ワイヤハーネス20及び第3ワイヤハーネス50を備えている。また、ワイヤハーネスW
1は、第1ワイヤハーネス10のドレイン線14と、第2ワイヤハーネス20のドレイン線24と、第3ワイヤハーネス50のドレイン線54とを電気的に接続するための接続部材30を備えている。
【0042】
第1ワイヤハーネス10は、上記実施形態と同様の構成を有する。
第2ワイヤハーネス20は、上記実施形態と略同様の構成を有する。第2ワイヤハーネス20の第2コネクタ25は、少なくとも2つの空きキャビティ27,28を有している。第2コネクタ25に接続する相手側コネクタ46には、第2コネクタ25の各空きキャビティ27,28に対応する端子が設けられておらず、第2コネクタ25の各空きキャビティ27,28においても端子が設けられていない。
【0043】
第3ワイヤハーネス50は、複数の第3電線51と、複数の第3電線51をまとめて被覆する筒状の第3シールド部材52と、第3シールド部材52の長さ方向の両端部から引き出された一対のドレイン線53,54と、第3電線51の一端部に設けられた第3コネクタ55と、を備えている。
【0044】
第3シールド部材52には、金属箔を筒状に丸めた筒状部材や、複数の金属素線を編み込んで筒状に形成した金属編組などを用いることができる。なお、第3シールド部材52の外周は、図示しない筒状の外装部材によって被覆される。各ドレイン線53,54は、第3シールド部材52に電気的に接続されている。
【0045】
各第3電線51の一端部は、第3コネクタ55を介して車両に搭載された機器D2に接続されている。第3コネクタ55は、機器D2のコネクタ接続部位に接続されるコネクタであり、第2コネクタ25に設けられるような空きキャビティが設けられていない。
【0046】
第3ワイヤハーネス50における一方のドレイン線53は、第2コネクタ25の空きキャビティ28に挿入されている。すなわち、第2コネクタ25は、自身の系統のドレイン線23が挿入される空きキャビティ27と、別系統の第3ワイヤハーネス50におけるドレイン線53が挿入される空きキャビティ28とを有している。なお、第3シールド部材52と第2シールド部材22とは、互いに近い位置に配置されている。
【0047】
ワイヤハーネスW1において、第1シールド部材12のドレイン線14と、第2シールド部材22のドレイン線24と、第3シールド部材52のドレイン線54は、接続部材30のハウジング31内に挿入されるとともに、ハウジング31内の金属端子32に接続されている。これにより、ドレイン線14,24,54が金属端子32を介して互いに電気的に接続される。
【0048】
ワイヤハーネスW1において、第1シールド部材12、第2シールド部材22及び第3シールド部材52の導通検査について説明する。同導通検査には、上記実施形態と同様の検流計A(
図2参照)を用いる。導通検査の際には、第1コネクタ15を、相手側コネクタ41に接続していない状態とし、第2コネクタ25を、相手側コネクタ46に接続していない状態とする。
【0049】
そして、検流計Aに接続された第1端子A1を、第1シールド部材12のドレイン線13に接続された端子17を収容する第1コネクタ15のキャビティに挿入し、第1端子A1を端子17に接触させる。また、検流計Aに接続された第2端子A2を、第2シールド部材22のドレイン線23を収容する第2コネクタ25の空きキャビティ27に挿入し、第2端子A2をドレイン線23に接触させる。これにより、第1シールド部材12及び第2シールド部材22を含む回路に電流が適正に流れるかどうかを検流計Aによって検査することができる。
【0050】
また、検流計Aに接続された第1端子A1を、第1シールド部材12のドレイン線13に接続された端子17を収容する第1コネクタ15のキャビティに挿入し、第1端子A1を端子17に接触させる。そして、検流計Aに接続された第2端子A2を、第3シールド部材52のドレイン線53を収容する第2コネクタ25の空きキャビティ28に挿入し、第2端子A2をドレイン線53に接触させる。これにより、第1シールド部材12及び第3シールド部材52を含む回路に電流が適正に流れるかどうかを検流計Aによって検査することができる。
【0051】
上記構成によれば、第3シールド部材52における第3コネクタ55側の端部から引き出されたドレイン線53は、第2シールド部材22のドレイン線23が挿入された空きキャビティ27とは別の、第2コネクタ25の空きキャビティ28に挿入されている。これにより、第3ワイヤハーネス50の第3コネクタ55に空きキャビティが設定されない場合であっても、第2コネクタ25を介して第3シールド部材52の導通検査を行うことが可能となる。
【0052】
・上記実施形態のワイヤハーネスWにおいて、ドレイン線23の先端に取り付けられ、空きキャビティ27内に配置される端子を備えてもよい。これにより、検流計Aの第2端子A2をドレイン線23に導通させやすい構成となる。同様に、
図3に示す構成のワイヤハーネスW1においては、ドレイン線23,53の先端に取り付けられ、各空きキャビティ27,28内に配置される端子を備えてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、接続部材30をスプライスパーツとしたが、これに限定されず、接続部材30の代わりにジョイントコネクタ60を用いてもよい。
・上記実施形態は、ワイヤハーネスWは、複数のワイヤハーネス(第1ワイヤハーネス10及び第2ワイヤハーネス20)を備えるが、これ以外に例えば、ワイヤハーネスWが第2ワイヤハーネス20のみからなる構成にも適用可能である。この場合、第2シールド部材22のドレイン線24が接地される。
【符号の説明】
【0054】
W ワイヤハーネス
10 第1ワイヤハーネス
11 第1電線
12 第1シールド部材
13 ドレイン線
14 ドレイン線
14a 端子
15 第1コネクタ
16 端子
17 端子
20 第2ワイヤハーネス
21 第2電線(電線)
22 第2シールド部材(シールド部材)
23 ドレイン線
24 ドレイン線
24a 端子
25 第2コネクタ(コネクタ)
26 端子
27 空きキャビティ
28 空きキャビティ
30 接続部材(スプライスパーツ)
31 ハウジング
31a キャビティ
31b キャビティ
32 金属端子
41 相手側コネクタ
42 端子
43 端子
44 電線
45 電線
46 相手側コネクタ
47 端子
48 電線
A 検流計
A1 第1端子
A2 第2端子
D1 機器
D2 機器
W1 ワイヤハーネス
50 第3ワイヤハーネス
51 第3電線
52 第3シールド部材
53 ドレイン線
54 ドレイン線
55 第3コネクタ
60 ジョイントコネクタ
61 ハウジング
62 コネクタハウジング
62a キャビティ
62b キャビティ
63 端子付きハウジング
64 金属端子
64a 第1端子部
64b 第2端子部