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特許7371511水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/00 20060101AFI20231024BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20231024BHJP
   A47B 88/975 20170101ALI20231024BHJP
   A47B 77/04 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
A47B67/00 501G
A47K1/00 S
A47B88/975
A47B77/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013865
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119881
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 剛
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-304945(JP,A)
【文献】特開2013-090660(JP,A)
【文献】特開2002-360457(JP,A)
【文献】特開2008-264207(JP,A)
【文献】特開2005-230098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0056569(US,A1)
【文献】独国実用新案第202010001998(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/00、77/04
A47B 88/00-88/994
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水受け部の排水口から下方に延びる排水トラップを収納するキャビネット本体と、前記キャビネット本体に対して開位置と閉位置との間で前後方向に移動可能に設けられた引出しと、を有する水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法であって、
前記閉位置において前記排水口と上下方向に重なる底板、前記底板の前方に設けられた前板、及び前記底板の左右の側部に設けられた一対の側方部材を有する引出し本体と、前記閉位置において前記排水トラップの前方及び側方を囲むように前記引出し本体の後部に取り付けられる排水ガード部材と、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の少なくとも一方との間に取り付けられる背板部材と、を用意する準備工程と、
施工現場にて、前記排水トラップの左右方向の位置に基づいて、前記排水ガード部材の左右方向の取付位置を決める位置決め工程と、
前記取付位置に基づいて、前記排水ガード部材と前記背板部材とを取り付ける取付工程と、
を備えたことを特徴とする水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法。
【請求項2】
前記位置決め工程の後、かつ、前記取付工程の前に、施工現場にて、前記取付位置に応じて前記背板部材を切断する切断工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法。
【請求項3】
前記切断工程において、前記背板部材を、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の一方との間に取り付けられる第1背板と、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の他方との間に取り付けられる第2背板と、に分割することを特徴とする請求項2記載の水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法。
【請求項4】
前記準備工程において、前記背板部材として、左右方向の長さが互いに異なる第1背板と第2背板とを用意し、
前記位置決め工程の後、かつ、前記取付工程の前に、施工現場にて、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の一方との間に取り付けられる背板と前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の他方との間に取り付けられる背板とを、前記取付位置に応じて前記第1背板及び前記第2背板から選択する選択工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法。
【請求項5】
前記位置決め工程において、前記キャビネット本体の側板の内面から前記排水トラップまでの左右方向の距離に基づいて前記取付位置を決めることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンや洗面化粧台などの水まわり設備において、シンクやボウルなどの水受け部の下方に、引出しを有する水まわり用キャビネットを設けることが知られている。このような水まわり用キャビネットの収納空間内には、水受け部の排水口から下方に延びる排水トラップが収納される。そのため、従来、このような水まわり用キャビネットでは、引出しを閉めたときに引出しの背板が排水トラップに干渉しないように、引出しの奥行きを狭くしている。しかし、引出しの奥行きを狭くすると、排水トラップよりも後方の空間がデッドスペースになってしまい、水まわり用キャビネットの収納空間を有効活用できないという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、引出しの背板のうち排水トラップに干渉すると想定される箇所に前方に凹む凹部を予め設けておき、凹部によって排水トラップをよけることで水まわり用キャビネットの収納空間を有効活用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3642191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、例えば、水受け部における排水口の設置位置のバリエーション展開や水まわり用キャビネットに対する水受け部の取付位置のバリエーション展開などによりデザイン性が多様化しており、これに伴って、水まわり用キャビネットの収納空間における排水トラップの左右方向の位置も多様化している。そのため、特許文献1のように引出しの背板に凹部を予め設けておく方法では、多様化した排水トラップの位置に対応できないという問題がある。
【0006】
この問題を解決する手段として、例えば、施工現場において、排水トラップの左右方向の位置に応じて引出しの一部を切除するなどの加工を行い、引出しに排水トラップをよける構造を設けることが考えられる。しかし、枠組みが完成された引出しの一部を切除するなどの加工は非常に困難であるため、このような加工を施工現場で行うと、施工現場での作業負担が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、排水トラップの左右方向の位置によらず水まわり用キャビネットの収納空間を有効活用可能な引出しを設置できるとともに、施工現場での作業負荷を軽減できる水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、水受け部の排水口から下方に延びる排水トラップを収納するキャビネット本体と、前記キャビネット本体に対して開位置と閉位置との間で前後方向に移動可能に設けられた引出しと、を有する水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法であって、前記閉位置において前記排水口と上下方向に重なる底板、前記底板の前方に設けられた前板、及び前記底板の左右の側部に設けられた一対の側方部材を有する引出し本体と、前記閉位置において前記排水トラップの前方及び側方を囲むように前記引出し本体の後部に取り付けられる排水ガード部材と、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の少なくとも一方との間に取り付けられる背板部材と、を用意する準備工程と、施工現場にて、前記排水トラップの左右方向の位置に基づいて、前記排水ガード部材の左右方向の取付位置を決める位置決め工程と、前記取付位置に基づいて、前記排水ガード部材と前記背板部材とを取り付ける取付工程と、を備えたことを特徴とする水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法である。
【0009】
この水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法によれば、施工現場にて、排水トラップの位置に基づいて排水ガード部材の取付位置を決めた後、この取付位置に基づいて排水ガード部材と背板部材とを取り付けることで引出しを組み立てるため、どのような位置に排水トラップが取り付けられていても、排水トラップをよける最適な位置に排水ガード部材を取り付けることができる。これにより、排水トラップの左右方向の位置によらず水まわり用キャビネットの収納空間を有効活用可能な引出しを設置することができる。したがって、例えば、キッチンキャビネットにおいて、施工現場ごとに異なる排水トラップの設置位置に合わせて、最適な位置に排水ガード部材を取り付けることが可能であり、シンクに設けられた排水口(排水トラップ)の設置位置によらず引出しの収納空間を大きく確保することができる。また、背板部分が設けられていない引出し本体に排水ガード部材と背板部材とを取り付けるだけで、引出しに排水トラップをよける構造を設けることができるため、施工現場で引出しの一部を切除するなどの加工を行う場合と比べて、施工現場での作業負荷を軽減することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記位置決め工程の後、かつ、前記取付工程の前に、施工現場にて、前記取付位置に応じて前記背板部材を切断する切断工程をさらに備えたことを特徴とする水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法である。
【0011】
この水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法によれば、施工現場にて、排水トラップの位置に基づいて排水ガード部材の取付位置を決めた後、取付位置に応じて背板部材を適切な幅に切断し、適切な幅に切断した背板部材を排水ガード部材と一対の側方部材の少なくとも一方との間に取り付けることで、より容易に引出しの後部の最適な位置に排水ガード部材と背板部材とを取り付けることができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記切断工程において、前記背板部材を、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の一方との間に取り付けられる第1背板と、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の他方との間に取り付けられる第2背板と、に分割することを特徴とする水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法である。
【0013】
この水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法によれば、施工現場にて背板部材を切断して、排水ガード部材と一対の側方部材の一方との間に取り付けられる第1背板と、排水ガード部材と一対の側方部材の他方との間に取り付けられる第2背板と、に分割することで、排水トラップが引出しに対して左右の端部以外に位置する場合にも、より容易に引出しの後部の最適な位置に排水ガード部材と背板部材(第1背板及び第2背板)とを取り付けることができる。
【0014】
第4の発明は、第1の発明において、前記準備工程において、前記背板部材として、左右方向の長さが互いに異なる第1背板と第2背板とを用意し、前記位置決め工程の後、かつ、前記取付工程の前に、施工現場にて、前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の一方との間に取り付けられる背板と前記排水ガード部材と前記一対の側方部材の他方との間に取り付けられる背板とを、前記取付位置に応じて前記第1背板及び前記第2背板から選択する選択工程をさらに備えたことを特徴とする水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法である。
【0015】
この水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法によれば、施工現場にて、排水トラップの位置に基づいて排水ガード部材の取付位置を決めた後、排水ガード部材と一対の側方部材の一方との間に取り付けられる背板と排水ガード部材と一対の側方部材の他方との間に取り付けられる背板とを、取付位置に応じて第1背板及び第2背板から選択することで、排水トラップが引出しに対して左右の端部以外に位置する場合にも、より容易に引出しの後部の最適な位置に排水ガード部材と背板部材(第1背板及び第2背板)とを取り付けることができる。
【0016】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記位置決め工程において、前記キャビネット本体の側板の内面から前記排水トラップまでの左右方向の距離に基づいて前記取付位置を決めることを特徴とする水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法である。
【0017】
この水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法によれば、位置決め工程において、キャビネット本体の側板の内面から排水トラップまでの左右方向の距離に基づいて排水ガード部材の取付位置を決めることで、引出しをキャビネット本体から外した状態で、排水ガード部材の取付位置を決めることができる。また、引出しをキャビネット本体から外した状態で、引出しの後部の最適な位置に排水ガード部材と背板部材とを取り付けることができる。これにより、施工性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、排水トラップの左右方向の位置によらず水まわり用キャビネットの収納空間を有効活用可能な引出しを設置できるとともに、施工現場での作業負荷を軽減できる水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る水まわり用キャビネットを備えたシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
図2】実施形態に係る水まわり用キャビネットを備えたシステムキッチンの一部を模式的に表す断面図である。
図3】実施形態に係る水まわり用キャビネットの一部を模式的に表す平面図である。
図4】実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しを模式的に表す正面斜視図である。
図5】実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しを模式的に表す背面斜視図である。
図6】実施形態に係る水まわり用キャビネットの変形例の一部を模式的に表す平面図である。
図7】実施形態に係る水まわり用キャビネットの変形例の一部を模式的に表す平面図である。
図8】実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しの組立方法を模式的に表す斜視図である。
図9】実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しの組立方法を模式的に表す斜視図である。
図10】実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しの組立方法を模式的に表す斜視図である。
図11】実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しの組立方法を模式的に表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る水まわり用キャビネットを備えたシステムキッチンを模式的に表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る水まわり用キャビネットを備えたシステムキッチンの一部を模式的に表す断面図である。
図2は、図1に示したA1-A2線による断面図である。
図1及び図2に表したように、システムキッチン500は、水まわり用キャビネット100と、カウンター300と、を備えている。
【0021】
水まわり用キャビネット100は、物品を収納可能な収納空間を有する。水まわり用キャビネット100は、いわゆるフロアキャビネットである。カウンター300は、水まわり用キャビネット100の上方に設けられている。
【0022】
以下、本願明細書においては、水まわり用キャビネット100と対面する使用者からみた上方、下方、前方、後方、右側方、及び左側方を、それぞれ「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「右側方」、及び「左側方」とする。
【0023】
カウンター300の一部には、シンク310が設けられている。シンク310の後部には、吐水装置315が取り付けられている。吐水装置315は、シンク310に向けて湯水を吐出する。シンク310は、吐水装置315から吐出された湯水を受ける。シンク310の底には、排水口311が設けられており、排水口311の下方には、排水トラップ312が接続されている。シンク310は、吐水装置315などから受けた湯水を排水口311及び排水トラップ312などを介して、シンク310の外部に排出する。
【0024】
カウンター300の別の一部には、コンロ320が設けられている。コンロ320は、例えば、ガスコンロ、電気コンロ、または電磁調理器などである。
【0025】
なお、実施形態において、水まわり用キャビネットは、水や湯を吐出する吐水装置と、吐水装置から吐出された水を受ける水受け部と、を有する水まわり設備に設けられる。水受け部は、例えば、システムキッチンのシンクまたは洗面化粧台のボウルである。つまり、実施形態に係る水まわり用キャビネットは、例えば、システムキッチンまたは洗面化粧台に設けられる。換言すれば、実施形態に係る水まわり用キャビネットは、例えば、キッチン用キャビネットまたは洗面化粧台用キャビネットである。
【0026】
以下、水まわり用キャビネット100についてさらに詳しく説明する。
水まわり用キャビネット100は、キャビネット本体10と、引出し20と、を有する。
【0027】
キャビネット本体10は、前方及び上方が開放された箱状であり、床面に載置されている。キャビネット本体10の上方の開口は、カウンター300によって覆われている。この例では、キャビネット本体10は、区画された複数の収納空間を有している。キャビネット本体10の複数の収納空間には、それぞれ、引出し20が設けられている。
【0028】
引出し20は、キャビネット本体10に対して開位置と閉位置との間で前後方向に移動可能である。開位置とは、キャビネット本体10に取り付けられた引出し20が最も前方にあるときの位置である。閉位置とは、キャビネット本体10に取り付けられた引出し20が最も後方にあるときの位置である。つまり、引出し20が開位置にあるとき、引出し20は全開の状態であり、引出し20が閉位置にあるとき、引出し20は全閉の状態である。例えば、使用者は、閉位置にある引出し20を前方に移動させて引出し20を開けることで、キャビネット本体10の内部に物品を収納したり、キャビネット本体10の内部から物品を取り出すことができる。
【0029】
キャビネット本体10の収納空間の内部には、シンク310の排水口311から下方に延びる排水トラップ312が収納されている。この例では、排水トラップ312は、排水口311に接続され下方に延びる第1部分312aと、第1部分312aの下端から後方かつ上方に延びる第2部分312bと、第2部分312bの後端から下方に延びて排水管(図示せず)に接続される第3部分312cと、を有する。つまり、この例では、排水トラップ312は、いわゆるS字トラップである。
【0030】
以下、複数の引出し20のうち、シンク310の下方かつキャビネット本体10の上部に設けられた引出し20Aについて説明する。
図3は、実施形態に係る水まわり用キャビネットの一部を模式的に表す平面図である。
図4は、実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しを模式的に表す正面斜視図である。
図5は、実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しを模式的に表す背面斜視図である。
図3は、シンク310を取り外した状態で閉位置にある引出し20Aを上方から見た平面図である。
図3図5に表したように、引出し20Aは、引出し本体21と、排水ガード部材22と、背板部材23と、を有する。
【0031】
引出し本体21は、底板211と、前板212と、一対の側方部材213と、を有する。底板211は、引出し20Aの下部に設けられている。前板212は、引出し20Aの前部に設けられている。つまり、前板212は、底板211の前方に設けられている。一対の側方部材213は、引出し20Aの左右の側部に設けられている。つまり、一対の側方部材213は、底板211の左右の側部に設けられている。
【0032】
前板212は、平板状の部材であり、キャビネット本体10の前側の開口を開閉可能に設けられている。つまり、前板212は、水まわり用キャビネット100の扉として機能する。
【0033】
一対の側方部材213は、底板211の左側部に設けられた左側方部材213aと、底板211の右側部に設けられた右側方部材213bと、を有する。この例では、左側方部材213a及び右側方部材213bは、それぞれ、底板211及び前板212に接続された平板状の側板と、側板の上方に設けられ前板212に接続された支持バーと、を有する。左側方部材213aの後端には、第1取付部213cが設けられており、左側方部材213aの側板及び支持バーは、第1取付部213cに接続されている。右側方部材213bの後端には、第2取付部213dが設けられており、右側方部材213bの側板及び支持バーは、第2取付部213dに接続されている。なお、支持バーは必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0034】
引出し20Aの両側部には、それぞれ、引出し20Aを前後方向にスライドさせるための一対のスライド機構(図示せず)が設けられている。この例では、一対のスライド機構は、一対の側方部材213の外側方に設けられている。なお、一対の側方部材213の支持バーにスライド機構を設けてもよい。
【0035】
底板211は、前板212の下部に接続されている。底板211は、前板212から後方に延びる平板状の部材である。底板211は、閉位置において排水口311と上下方向に重なる。つまり、底板211は、閉位置において排水トラップ312と上下方向に重なる。この例では、底板211は、閉位置において排水トラップ312の第1部分312aと上下方向に重なり、排水トラップ312の第2部分312b及び第3部分312cとは上下方向に重ならない。
【0036】
このように、底板211を閉位置において排水トラップ312と上下方向に重なるものとすることで、引出し20Aの奥行きが大きくなり、引出し20Aの収納空間を広くすることができる。一方で、このようにして引出し20Aの奥行きを大きくした場合、底板211の後端に真っすぐな背板を設けると、閉位置において背板が排水トラップ312に干渉してしまうため、引出し20Aに排水トラップ312をよける構造(排水ガード部材22)を設ける必要がある。
【0037】
排水ガード部材22は、閉位置において排水トラップ312の前方及び側方を囲むように引出し本体21の後部に取り付けられている。この例では、引出し20Aの左右方向の中央よりも右側に設けられた排水トラップ312の前方及び側方を囲むように、排水ガード部材22は、引出し20Aの右側に取り付けられている。また、排水ガード部材22は、排水ガード部材22の少なくとも一部が上下方向において引出し本体21の底板211と重なるように取り付けられている。
【0038】
このような排水ガード部材22を設けることで、引出し20Aに収納した物品が排水トラップ312に干渉することを抑制しつつ、閉位置にあるときに引出し20Aの後部が排水トラップ312に干渉することを抑制できる。
【0039】
排水ガード部材22は、例えば、樹脂製である。この例では、排水ガード部材22は、前部に位置する第1壁部221と、第1壁部221の左側端から後方に延びる第2壁部222と、第1壁部221の右側端から後方に延びる第3壁部223と、を有する。第2壁部222及び第3壁部223は、互いに対向するように設けられている。この例では、第1壁部221、第2壁部222、及び第3壁部223は、一体に形成されている。
【0040】
第1壁部221は、排水トラップ312の前方に位置する。つまり、第1壁部221は、排水トラップ312と引出し本体21の前板212との間に位置する。この例では、第1壁部221は、引出し本体21の前板212と略平行に設けられている。また、この例では、第1壁部221は、引出し本体21の底板211の前後方向の中央よりも後方に設けられている。
【0041】
第2壁部222は、閉位置において排水トラップ312の左側方に位置する。つまり、第2壁部222は、閉位置において排水トラップ312と引出し本体21の左側方部材213aとの間に位置する。この例では、第2壁部222は、引出し本体21の左側方部材213aと略平行に設けられている。また、この例では、第2壁部222の後端は、引出し本体21の底板211の後端よりも後方に設けられている。第2壁部222の後端は、引出し本体21の底板211の後端と同じ位置に設けられてもよい。
【0042】
第3壁部223は、閉位置において排水トラップ312の右側方に位置する。つまり、第3壁部223は、閉位置において排水トラップ312と引出し本体21の右側方部材213bとの間に位置する。この例では、第3壁部223は、引出し本体21の右側方部材213bと略平行に設けられている。また、この例では、第3壁部223の後端は、引出し本体21の底板211の後端よりも後方に設けられている。第3壁部223の後端は、引出し本体21の底板211の後端と同じ位置に設けられてもよい。
【0043】
この例では、第2壁部222は、第1壁部221に対して略垂直に設けられている。また、第3壁部223は、第1壁部221に対して略垂直に設けられている。つまり、この例では、排水ガード部材22は、平面視においてコの字の形状である。排水ガード部材22は、閉位置において排水トラップ312の前方及び側方を囲むことができる形状であればよく、例えば、平面視において排水トラップ312を中心とした円弧などの形状であってもよい。
【0044】
なお、本願明細書において、「略平行」は、厳密に平行な状態に限定されず、2つの部材のなす角度が0度±10度以下の状態を含むものとする。同様に、本願明細書において、「略垂直」は、厳密に垂直な状態に限定されず、2つの部材のなす角度が90度±10度以下の状態を含むものとする。
【0045】
背板部材23は、平板状の部材であり、排水ガード部材22と引出し本体21の一対の側方部材213の少なくとも一方との間に取り付けられている。この例では、背板部材23は、第1背板231と、第2背板232と、を有する。
【0046】
第1背板231は、排水ガード部材22の第2壁部222の後端と引出し本体21の左側方部材213aの後端との間に取り付けられている。つまり、第1背板231は、第2壁部222の後端と左側方部材213aの後端との間の空隙を塞ぐように設けられている。
【0047】
より具体的には、第1背板231は、左側方部材213aの後端に設けられた第1取付部213cを介して、左側方部材213aと接続されている。第1取付部213cは、第1背板231に対してネジ止めにより固定されている。また、第1背板231は、第2壁部222の後端に設けられた第1接続部材24aを介して、排水ガード部材22と接続されている。第1接続部材24aは、第1背板231及び第2壁部222に対してネジ止めにより固定されている。また、この例では、第1背板231は、底板211に対してネジ止めにより固定されている。
【0048】
第2背板232は、排水ガード部材22の第3壁部223の後端と引出し本体21の右側方部材213bの後端との間に取り付けられている。つまり、第2背板232は、第3壁部223の後端と右側方部材213bの後端との間の空隙を塞ぐように設けられている。
【0049】
より具体的には、第2背板232は、右側方部材213bの後端に設けられた第2取付部213dを介して、右側方部材213bと接続されている。第2取付部213dは、第2背板232に対してネジ止めにより固定されている。また、第2背板232は、第3壁部223の後端に設けられた第2接続部材24bを介して、排水ガード部材22と接続されている。第2接続部材24bは、第2背板232及び第3壁部223に対してネジ止めにより固定されている。また、この例では、第2背板232は、底板211に対してネジ止めにより固定されている。
【0050】
第1背板231及び第2背板232は、それぞれ、排水ガード部材22と引出し本体21の一対の側方部材213との間の空隙を塞ぐように設けられる。したがって、第1背板231の幅(左右方向の長さ)及び第2背板232の幅(左右方向の長さ)は、排水ガード部材22の取付位置によって決まる。つまり、第1背板231の幅及び第2背板232の幅は、排水トラップ312の左右方向の位置によって決まる。
【0051】
この例では、第1背板231の幅は、第2背板232の幅よりも大きいが、第1背板231の幅は、第2背板232の幅よりも短くてもよいし、第2背板232の幅と同じであってもよい。
【0052】
また、この例では、引出し20Aの前側には、収納ユニット25が設けられている。収納ユニット25は、前板212と排水ガード部材22との間、及び、前板212と背板部材23(第1背板231及び第2背板232)との間に設けられている。収納ユニット25は、包丁、まな板、ラップなどの物品を収納可能である。収納ユニット25は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0053】
以下、実施形態に係る水まわり用キャビネットの変形例について、説明する。
【0054】
図6は、実施形態に係る水まわり用キャビネットの変形例の一部を模式的に表す平面図である。
図6に表したように、この例では、排水トラップ312が、引出し20Aの左側に設けられている。背板部材23は、第1背板231と、第2背板232と、を有する。
【0055】
この例では、第1背板231は、排水ガード部材22の右側に設けられており、第2背板232は、排水ガード部材22の左側に設けられている。つまり、この例では、第1背板231の取付位置と第2背板232の取付位置との左右方向の位置関係が、図3に示した例に対して反転している。
【0056】
このように、引出し20Aに対する排水トラップ312の位置が左右反転している場合であっても、第1背板231の取付位置と第2背板232の位置とを入れ替えることで、適切な位置に排水ガード部材22を取り付けることができる。
【0057】
図7は、実施形態に係る水まわり用キャビネットの変形例の一部を模式的に表す平面図である。
図7に表したように、この例では、排水トラップ312が、引出し20Aの右側端部に設けられている。背板部材23は、1枚の板である。
【0058】
背板部材23は、引出し本体21の左側方部材213aの後端に設けられた第1取付部213cを介して、左側方部材213aに取り付けられている。また、背板部材23は、排水ガード部材22の第2壁部222の後端に設けられた第1接続部材24aを介して、排水ガード部材22に取り付けられている。排水ガード部材22の第3壁部223の後端は、引出し本体21の右側方部材213bの後端に設けられた第2取付部213dを介して、右側方部材213bに取り付けられている。つまり、この例では、第2背板232が省略されている。
【0059】
以下、実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しの組立方法について説明する。
図8図11は、実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しの組立方法を模式的に表す斜視図である。
図8に表したように、実施形態に係る水まわり用キャビネットの引出しの組立方法では、まず、引出し本体21と、排水ガード部材22と、背板部材23と、を用意する(準備工程)。
【0060】
この例では、準備工程において、背板部材23として、第1背板231及び第2背板232を用意した。なお、第1背板231の幅は、第2背板232の幅よりも大きい。この例では、第1背板231の幅と第2背板232の幅と排水ガード部材22の幅(左右方向の長さ)との和は、第1取付部213cと第2取付部213dとの間の左右方向の距離と略同じである。
【0061】
次に、図9に表したように、施工現場にて、シンク310(水受け部)の排水口311の下方に取り付けられた排水トラップ312の左右方向の位置に基づいて、排水ガード部材22の左右方向の取付位置P1を決める(位置決め工程)。位置決め工程においては、例えば、キャビネット本体10の側板11の内面11aから排水トラップ312までの左右方向の距離に基づいて排水ガード部材22の取付位置P1を決める。
【0062】
より具体的には、例えば、図3図6、及び図7に表したように、キャビネット本体10の側板11の内面11aから排水トラップ312の左右方向の中央CL1までの距離D1を測定し、この距離D1に基づいて、排水ガード部材22の左右方向の中央が排水トラップ312の左右方向の中央CL1と一致するように、排水ガード部材22の取付位置P1を決める。
【0063】
次に、施工現場にて、排水ガード部材22と一対の側方部材213の一方(例えば、左側方部材213a)との間に取り付けられる背板と排水ガード部材22と一対の側方部材213の他方(例えば、右側方部材213b)との間に取り付けられる背板とを、取付位置に応じて第1背板231及び第2背板232から選択する(選択工程)。選択工程においては、排水ガード部材22と左側方部材213aとの間に第1背板231を取り付け、排水ガード部材22と右側方部材213bとの間に第2背板232を取り付ける第1パターン、及び、排水ガード部材22と左側方部材213aとの間に第2背板232を取り付け、排水ガード部材22と右側方部材213bとの間に第1背板231を取り付ける第2パターン、のいずれかを選択する。
【0064】
この例では、排水トラップ312が図3のような位置に設けられているため、第1パターンを選択する。例えば、排水トラップ312が図6のような位置に設けられている場合には、第2パターンを選択すればよい。
【0065】
次に、位置決め工程において決めた取付位置P1に基づいて、排水ガード部材22と背板部材23とを取り付ける(取付工程)。取付工程においては、まず、図10に表したように、引出し本体21の後部に背板部材23を取り付ける。背板部材23は、排水ガード部材22の取付位置P1をよけるように取り付けられる。この例では、排水ガード部材22の取付位置P1に対して左右方向の両側に、背板部材23(第1背板231及び第2背板232)が取り付けられる。
【0066】
より具体的には、図10に表したように、第1背板231の左側端を、引出し本体21の左側方部材213aの後端に設けられた第1取付部213cにネジ止めなどにより固定する。これにより、第1背板231は、第1取付部213cを介して引出し本体21の左側方部材213aの後部に取り付けられる。また、第2背板232の右側端を、引出し本体21の右側方部材213bの後端に設けられた第2取付部213dにネジ止めなどにより固定する。これにより、第2背板232は、第2取付部213dを介して引出し本体21の右側方部材213bに取り付けられる。さらに、第1背板231の右側端に、第1接続部材24aを取り付け、第2背板232の左側端に、第2接続部材24bを取り付ける。
【0067】
次に、図11に表したように、排水ガード部材22を取付位置P1に取り付ける。この例では、排水ガード部材22は、第1背板231と第2背板232との間に取り付けられる。第1背板231及び第2背板232は、排水ガード部材22の取付位置P1をよけるように取り付けられているため、第1背板231と第2背板232との間に取り付けることで、排水ガード部材22を取付位置P1に取り付けることができる。
【0068】
より具体的には、図11に表したように、排水ガード部材22の第2壁部222の後端を第1接続部材24aにネジ止めなどにより固定する。これにより、排水ガード部材22は、第1接続部材24aを介して第1背板231に取り付けられる。また、排水ガード部材22の第3壁部223の後端を第2接続部材24bにネジ止めなどにより固定する。これにより、排水ガード部材22は、第2接続部材24bを介して第2背板232に取り付けられる。
【0069】
なお、排水ガード部材22を取り付ける際には、例えば、排水ガード部材22を左右方向において内側に撓ませて第1接続部材24aと第2接続部材24bとの間に嵌める。これにより、第1接続部材24aと第2接続部材24bとの間の幅が排水ガード部材22の幅よりも多少狭くなっても、排水ガード部材22を取り付けることができる。
【0070】
以上により、排水トラップ312をよける最適な位置に排水ガード部材22を取り付け、排水ガード部材22と一対の側方部材213との間を背板部材23(第1背板231及び第2背板232)で塞いだ引出し20Aを組み立てることができる。
【0071】
なお、準備工程においては、1枚の背板部材23を用意してもよい。この場合、用意する背板部材23の幅は、第1取付部213cと第2取付部213dとの間の左右方向の距離から排水ガード部材22の幅を引いた差分の長さであることが好ましい。
【0072】
準備工程において1枚の背板部材23を用意した場合、必要に応じて、背板部材23を切断する切断工程を行ってもよい。切断工程においては、位置決め工程において決めた取付位置に応じて背板部材23を切断する。
【0073】
より具体的には、排水ガード部材22と引出し本体21の一対の側方部材213との間の空隙の幅に合わせて背板部材23を切断する。切断工程においては、用意した1枚の背板部材23から、所望の幅を有する背板を切り出してもよいし、1枚の背板部材23を第1背板231と第2背板232とに分割してもよい。
【0074】
準備工程において用意する背板部材23の幅が、第1取付部213cと第2取付部213dとの間の左右方向の距離から排水ガード部材22の幅を引いた差分の長さであれば、1枚の背板部材23を1回切断するだけで、排水ガード部材22と一対の側方部材213の一方との間に取り付けられる第1背板231と、排水ガード部材22と一対の側方部材213の他方との間に取り付けられる第2背板232と、に分割することができる。また、用意した背板部材23をそのままの幅で取り付けることができる場合には、切断工程は省略可能である。
【0075】
以下、実施形態に係る水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法の作用効果について説明する。
近年、収納空間内に排水トラップを収納する水まわり用キャビネットにおいて、デザイン性の多様化により、排水トラップの左右方向の位置が多様化している。施工現場ごとに排水トラップの位置が異なる場合には、引出しが排水トラップに干渉することを抑制しつつ収納空間を有効活用する手段として、施工現場において排水トラップの左右方向の位置に応じて引出しの一部を切除するなどの加工を行い、引出しに排水トラップをよける構造を設けることが考えられる。しかし、枠組みが完成された引出しの一部を切除するなどの加工は非常に困難であり、施工現場での作業負担が大きくなってしまう。
【0076】
これに対し、実施形態によれば、施工現場にて、排水トラップ312の位置に基づいて排水ガード部材22の取付位置を決めた後、この取付位置に基づいて排水ガード部材22と背板部材23とを取り付けることで引出し20Aを組み立てるため、どのような位置に排水トラップ312が取り付けられていても、排水トラップ312をよける最適な位置に排水ガード部材22を取り付けることができる。これにより、排水トラップ312の左右方向の位置によらず水まわり用キャビネット100の収納空間を有効活用可能な引出し20Aを設置することができる。したがって、例えば、キッチンキャビネットにおいて、施工現場ごとに異なる排水トラップ312の設置位置に合わせて、最適な位置に排水ガード部材22を取り付けることが可能であり、シンク310に設けられた排水口311(排水トラップ312)の設置位置によらず引出し20Aの収納空間を大きく確保することができる。また、背板部分が設けられていない引出し本体21に排水ガード部材22と背板部材23とを取り付けるだけで、引出し20Aに排水トラップ312をよける構造を設けることができるため、施工現場で引出しの一部を切除するなどの加工を行う場合と比べて、施工現場での作業負荷を軽減することができる。
【0077】
また、実施形態によれば、施工現場にて、排水トラップ312の位置に基づいて排水ガード部材22の取付位置を決めた後、取付位置に応じて背板部材23を適切な幅に切断し、適切な幅に切断した背板部材23を排水ガード部材22と一対の側方部材213の少なくとも一方との間に取り付けることで、より容易に引出し20Aの後部の最適な位置に排水ガード部材22と背板部材23とを取り付けることができる。
【0078】
また、実施形態によれば、施工現場にて背板部材23を切断して、排水ガード部材22と一対の側方部材213の一方との間に取り付けられる第1背板231と、排水ガード部材22と一対の側方部材213の他方との間に取り付けられる第2背板232と、に分割することで、排水トラップ312が引出し20Aに対して左右の端部以外に位置する場合にも、より容易に引出し20Aの後部の最適な位置に排水ガード部材22と背板部材23(第1背板231及び第2背板232)とを取り付けることができる。
【0079】
また、実施形態によれば、施工現場にて、排水トラップ312の位置に基づいて排水ガード部材22の取付位置を決めた後、排水ガード部材22と一対の側方部材213の一方との間に取り付けられる背板と排水ガード部材22と一対の側方部材213の他方との間に取り付けられる背板とを、取付位置に応じて第1背板231及び第2背板232から選択することで、排水トラップ312が引出し20Aに対して左右の端部以外に位置する場合にも、より容易に引出し20Aの後部の最適な位置に排水ガード部材22と背板部材23(第1背板231及び第2背板232)とを取り付けることができる。
【0080】
また、実施形態によれば、位置決め工程において、キャビネット本体11の側板11の内面11aから排水トラップ312までの左右方向の距離に基づいて排水ガード部材22の取付位置を決めることで、引出し20Aをキャビネット本体11から外した状態で、排水ガード部材22の取付位置を決めることができる。また、引出し20Aをキャビネット本体11から外した状態で、引出し20Aの後部の最適な位置に排水ガード部材22と背板部材23とを取り付けることができる。これにより、施工性を向上させることができる。
【0081】
以上説明したように、実施形態によれば、排水トラップの左右方向の位置によらず水まわり用キャビネットの収納空間を有効活用可能な引出しを設置できるとともに、施工現場での作業負荷を軽減できる水まわり用キャビネットにおける引出しの組立方法が提供される。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水まわり用キャビネットなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0083】
10 キャビネット本体、 11 側板、 11a 内面、 20、20A 引出し、 21 引出し本体、 22 排水ガード部材、 23 背板部材、 24a、24b 第1、第2接続部材、 25 収納ユニット、 100 水まわり用キャビネット、 211 底板、 212 前板、 213 一対の側方部材、 213a 左側方部材、 213b 右側方部材、 213c 第1取付部、 213d 第2取付部、 221~223 第1~第3壁部、 231、232 第1、第2背板、 300 カウンター、 310 シンク、 311 排水口、 312 排水トラップ、 312a~312c 第1~第3部分、 315 吐水装置、 320 コンロ、 500 システムキッチン、 P1 取付位置
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