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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020014874
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121836
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】権 鐘浩
(72)【発明者】
【氏名】中野 邦昭
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062442(JP,A)
【文献】特開2018-180223(JP,A)
【文献】特開2015-079140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向に沿って回転可能な無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの外周面に接触して前記定着ベルトに回転駆動力を与える加圧部材と、
前記定着ベルトを隔てて前記加圧部材と対向して前記定着ベルトの内側に配置され、前記定着ベルトの内周面に接触して定着ニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記定着ニップ部以外の前記定着ベルトの内周面に接触して前記定着ベルトを内側から支持するベルトガイドと、
前記ニップ形成部材及び前記ベルトガイドを保持するフレーム部材と、
を備え、
前記ベルトガイドは、
前記定着ニップ部のベルト回転方向の一方側において前記フレーム部材に固定される固定部と、
前記固定部から前記定着ベルトの内周面に沿って円弧状に湾曲して延びて径方向外側に向かう弾性力を有する円弧部と、
前記定着ニップ部のベルト回転方向の他方側の、前記円弧部の周方向一端部から前記フレーム部材に向かって延びて前記円弧部の内周面との対向面を有する接触部と、
を有し、
前記フレーム部材は、
前記定着ベルトの内周面と対向する側壁部と、
前記側壁部に固定され、前記ベルトガイドに向かって延びて前記接触部の前記対向面に重なるように面接触する規制部と、
を有し、
前記ベルトガイドの前記接触部は、前記フレーム部材の近傍まで延びた先端部が前記フレーム部材の前記側壁部と対向し、
前記フレーム部材の前記規制部は、前記側壁部から離れる方向に、前記定着ベルトの径方向外側に向かって突出するように延びる突出部を有し、
前記規制部の前記突出部は、前記接触部の前記対向面に重なるように面接触することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記円弧部の周方向一端部から法線方向に沿って延びることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記接触部と、前記規制部とは、前記円弧部の弾性変形に基づいて接触、離間が可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記規制部は、前記定着ベルトの回転軸線方向の中央部に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、及び定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、用紙等の記録媒体に転写された未定着トナー像を用紙に定着させるための方法として熱定着方式が広く採用されている。記録媒体は、定着部材と、加圧部材とが接触する定着ニップ部を通過することで、加圧、加熱されて未定着トナー像が定着される。さらに、定着部材として、無端状の定着ベルトを用いる方式が知られている。このような定着装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1で開示された従来の定着装置は、無端状の定着ベルトと、定着ベルトの径方向外側に配置された加熱部と、定着ベルトの径方向内側に配置されて加熱部側に膨出する円弧状部を含むベルトガイド部材と、ベルトガイド部材の円弧状部の周方向両端部が取り付けられる固定部材と、を備える。ベルトガイド部材は、円弧状部の周方向一端部側において、固定部材にボルトで固定される。さらに、ベルトガイド部材は、円弧状部の周方向他端部側において、円弧状部の加熱部側への膨出量を調整するために固定部材に設けられた調整部材に接続される。これにより、定着ベルトと、加熱部との間のギャップ距離を精度良く調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-62442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の定着装置のベルトガイド部材は、調整部材との接続箇所に、貫通孔を有する平板状の取付板部を有する。調整部材は、取付板部の貫通孔に挿入され、貫通孔の内側縁部に接触することで、ベルトガイド部材の円弧状部の加熱部側への膨出量を調整する。しかしながら、板状部材の貫通孔の内側縁部に他部材が接触する場合、2つの部材の相対的な移動が渋くなることがある。これにより、ベルトガイド部材を、定着ベルトに好適に接触させることができなくなる虞があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、ベルトガイドを、定着ベルトの内周面に好適に接触させることが可能な定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の定着装置は、無端状の定着ベルトと、加圧部材と、ニップ形成部材と、ベルトガイドと、フレーム部材と、を備える。無端状の定着ベルトは、記録媒体の搬送方向に沿って回転可能である。加圧部材は、定着ベルトの外周面に接触して定着ベルトに回転駆動力を与える。ニップ形成部材は、定着ベルトを隔てて加圧部材と対向して定着ベルトの内側に配置され、定着ベルトの内周面に接触して定着ニップ部を形成する。ベルトガイドは、定着ニップ部以外の定着ベルトの内周面に接触して定着ベルトを内側から支持する。フレーム部材は、ニップ形成部材及びベルトガイドを保持する。ベルトガイドは、固定部と、円弧部と、接触部と、を備える。固定部は、定着ニップ部のベルト回転方向の一方側においてフレーム部材に固定される。円弧部は、固定部から定着ベルトの内周面に沿って円弧状に湾曲して延びて径方向外側に向かう弾性力を有する。接触部は、定着ニップ部のベルト回転方向の他方側の、円弧部の周方向一端部からフレーム部材に向かって延びて円弧部の内周面との対向面を有する。フレーム部材は、ベルトガイドに向かって延びて接触部の対向面に重なるように面接触する規制部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、フレーム部材の規制部が、ベルトガイドの接触部の対向面に面接触することで、ベルトガイドの円弧部の、径方向外側に向かう必要以上の広がりを抑制することができる。さらに、規制部と、接触部とは面接触するので、相対的に滑らかに移動することができる。したがって、ベルトガイドを、定着ベルトに向けて滑らかに変形させることができ、定着ベルトの内周面に好適に接触させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す概略断面正面図である。
図2】本発明の実施形態の定着装置の断面正面図である。
図3】本発明の実施形態の定着装置の切断部端面側面図である。
図4】本発明の実施形態の定着装置の部分断面正面図である。
図5】本発明の実施形態の定着装置の、定着ニップ部のベルト回転方向上流側から見た側面図である。
図6】本発明の実施形態の定着装置の、定着ニップ部のベルト回転方向下流側から見た側面図である。
図7】本発明の実施形態の定着装置の部分断面正面図であって、定着ベルトをベルトガイドに装着する前、接触部と規制部とが接触した状態を示す図である。
図8】本発明の実施形態の定着装置の部分断面正面図であって、定着ベルトをベルトガイドに装着した後、接触部と規制部とが離間した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態の画像形成装置1の構成を示す概略断面図である。本実施形態の画像形成装置1の一例としては、中間転写ベルト31を用いてトナー像を用紙Pに転写するタンデム方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、例えばプリント(印刷)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたいわゆる複合機であって良い。
【0012】
画像形成装置1は、図1に示すように、その本体2に設けられた給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着装置40、用紙排出部7及び制御部8を含む。
【0013】
給紙部3は、複数枚の用紙P(記録媒体)を収容し、印刷時に用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、給紙部3から送り出された用紙Pを二次転写部33及び定着装置40へと搬送し、さらに定着後の用紙Pを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。両面印刷が行われる場合、用紙搬送部4は、第一面の定着後の用紙Pを分岐部4bによって反転搬送部4cに振り分け、用紙Pを再度、二次転写部33及び定着装置40へと搬送する。露光部5は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部20に向かって照射する。
【0014】
画像形成部20は、中間転写ベルト31の下方に配置される。画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Y、シアン用の画像形成部20C、マゼンタ用の画像形成部20M及びブラック用の画像形成部20Bを含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。これにより、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の識別記号は省略することがある。
【0015】
画像形成部20は、所定の方向(図1における時計回り)に回転可能に支持された像担持体である感光体ドラム21を備える。画像形成部20は、さらに感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って帯電部、現像部及びドラムクリーニング部を備える。なお、現像部とドラムクリーニング部との間に一次転写部32が配置される。
【0016】
帯電部は、感光体ドラム21の外周面を所定電位に帯電させる。そして、露光部5から照射されたレーザー光によって感光体ドラム21の外周面に原稿画像の静電潜像が形成される。現像部は、この静電潜像にトナーを付着させて現像し、トナー像を形成する。4つの画像形成部20それぞれは、異なる色のトナー像を形成する。
【0017】
転写部30は、中間転写ベルト31、一次転写部32Y、32C、32M、32B、二次転写部33及びベルトクリーニング部34を備える。中間転写ベルト31は、4つの画像形成部20の上方に配置される。中間転写ベルト31は、所定の方向(図1における反時計回り)に回転可能に支持され、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねて一次転写される中間転写体である。4つの画像形成部20は、中間転写ベルト31の回転方向上流側から下流側に向けて一列に並んだいわゆるタンデム方式にして配置される。
【0018】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、中間転写ベルト31を挟んで、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に配置される。二次転写部33は、用紙搬送部4の、定着装置40よりも用紙搬送方向上流側であって、転写部30の、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも中間転写ベルト31の回転方向上流側に配置される。
【0019】
トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bで中間転写ベルト31の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト31の回転とともに所定のタイミングで4つの画像形成部20のトナー像が連続して重ねて中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の外周面にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。ドラムクリーニング部は、一次転写後に感光体ドラム21の外周面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。
【0020】
中間転写ベルト31の外周面のカラートナー像は、用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Pに、二次転写部33に形成される二次転写ニップ部で転写される。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。
【0021】
定着装置40は、トナー像が転写された用紙Pを加圧、加熱してトナー像を用紙Pに定着させる。
【0022】
制御部8は、不図示のCPU、画像処理部、記憶部、その他の電子回路及び電子部品を含む。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置1に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置1の機能に係る処理を行う。給紙部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30及び定着装置40それぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Pへの印刷を行う。記憶部は、例えば不図示のプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0023】
続いて、実施形態の定着装置40の構成について、図2図3及び図4を用いて説明する。図2は、実施形態の定着装置40の断面正面図である。図3は、実施形態の定着装置40の切断部端面側面図である。図4は、実施形態の定着装置40の部分断面正面図である。
【0024】
なお、図2図3及び図4では、説明の便宜上、定着ニップ部Nに対して、定着ベルト41を上方に配置し、加圧ローラー42(加圧部材)を下方に配置した構成を描画した。図2の、左方が定着装置40に対する用紙搬送方向上流側であり、右方が定着装置40に対する用紙搬送方向下流側である。図2は、図3のII-II線における断面図であり、図3は、図2のIII-III線における切断部端面図である。図4は、図2の一部を拡大した部分断面図であって、定着ベルト41、ベルトガイド45及びフレーム部材46以外の構成要素の描画を省略した。
【0025】
定着装置40は、図2及び図3に示すように、定着ベルト41、加圧ローラー42(加圧部材)、ニップ形成部材43、加熱部44、ベルトガイド45及びフレーム部材46を備える。
【0026】
定着ベルト41は、定着装置40の筐体部に、水平な軸線回りに回転可能に支持される。定着ベルト41は、無端状であって、例えば外径20mm~50mmの円筒形状で構成され、回転軸線方向(用紙Pの搬送方向と直交する幅方向)において加圧ローラー42とほぼ同じ長さを有する。定着ベルト41は、記録媒体である用紙Pの搬送方向に沿って回転可能である。
【0027】
定着ベルト41は、基材層である発熱層の外周側に弾性層、離型層が設けられた積層構造を有する。発熱層は、例えば厚さ30μm~50μmのニッケル等の金属製フィルムや、または例えば銅、銀、アルミニウム等の金属粉末を混入した厚さ50μm~100μmのポリイミドフィルムで構成される。弾性層は、例えば厚さ100μm~500μmのシリコンゴム等で構成される。離型層は、例えば厚さ30μm~50μmのPFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂で構成される。
【0028】
加圧ローラー42は、定着装置40の筐体部に、水平な軸線回りに回転可能に支持される。加圧ローラー42は、円柱形状で構成され、回転軸線方向(用紙Pの幅方向)において定着ベルト41とほぼ同じ長さを有する。加圧ローラー42には、不図示の加圧機構によって、定着ベルト41に向けて所定の圧力が付与される。加圧ローラー42の外周面は、定着ベルト41を介してニップ形成部材43を圧して定着ベルト41の外周面に接触し、定着ニップ部Nを形成する。
【0029】
加圧ローラー42は、モーターを含む駆動源(不図示)に連結され、当該モーターから動力を得て、図2において時計回りに回転する。加圧ローラー42は、定着ベルト41の外周面に接触し、定着ベルト41に回転駆動力を与える。
【0030】
加圧ローラー42は、芯金の外周側に弾性層、離型層が設けられた積層構造を有する。芯金は、例えば直径20mm程度のアルミニウム等の金属で構成される。弾性層は、例えば厚さ3mm~8mm程度のシリコンゴム等で構成される。離型層は、例えば厚さ10μm~50μm程度のPFA等のフッ素系樹脂で構成される。
【0031】
ニップ形成部材43は、定着ベルト41を隔てて加圧ローラー42と対向して定着ベルト41の内側に配置される。ニップ形成部材43は、定着ベルト41の内周面に接触し、定着ベルト41と加圧ローラー42との間に定着ニップ部Nを形成する。
【0032】
ニップ形成部材43は、定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向)に沿って、定着ベルト41とほぼ同じ長さで延びる略直方体形状を有する。ニップ形成部材43は、例えばアルミニウム等の金属や、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂で構成される基材を有する。ニップ形成部材43は、当該基材の定着ベルト41との対向側に、例えばエラストマー、シリコンゴム等で構成される弾性層を有することにして良い。さらに、ニップ形成部材43は、定着ベルト41との対向領域に、例えばPFA等のフッ素系樹脂で構成されたシート材(離型層)を有する。シート材は、定着ニップ部Nにおいて定着ベルト41の内周面に接触し、定着ニップ部Nよりも定着ベルト41の回転方向上流側及び下流側の、定着ベルト41とは接触しない領域まで延びる。
【0033】
加熱部44は、定着ベルト41に対して加圧ローラー42が配置された側とは反対側の領域に、所定の間隙を隔てて定着ベルト41の外周面に対向配置される。加熱部44は、定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向)に沿って、定着ベルト41及びベルトガイド45よりも長く延びる。
【0034】
加熱部44は、励磁コイル441と、不図示の保持部材、コア等と、を備える。励磁コイル441及びコアは、保持部材によって所定位置に保持される。励磁コイル441は、複数本の導線を束ねたリッツ線で構成され、定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向)に沿って延びるように巻き回されている。励磁コイル441は、定着ベルト41の周方向において、定着ベルト41の外周面に沿って円弧形状に構成される。
【0035】
加熱部44は、定着ベルト41を電磁誘導によって加熱する。詳細に言えば、加熱部44は、定着ベルト41の発熱層を誘導加熱によって発熱させることで、定着ベルト41を加熱する。
【0036】
ベルトガイド45は、定着ベルト41を隔てて加熱部44と対向して定着ベルト41の内側に配置される。ベルトガイド45は、定着ニップ部N以外の定着ベルト41の内周面に接触し、定着ベルト41を内側から支持する。ベルトガイド45は、定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向)に沿って、定着ベルト41とほぼ同じ長さで延びる板金で構成される。ベルトガイド45は、例えば厚さ0.1mm~0.5mmのSUS430等の弾性を有する磁性金属で構成される。
【0037】
ベルトガイド45は、固定部451と、円弧部452と、接触部453と、を有する。
【0038】
固定部451は、円弧部452の、定着ベルト41の回転方向下流側であって、定着ニップ部Nのベルト回転方向上流側に配置される。固定部451は、円弧部452の周方向一端部から定着ベルト41の径方向内側にフレーム部材46に向かって屈曲して延び、さらにフレーム部材46の近傍で定着ニップ部N側に向かって屈曲して延びる。
【0039】
固定部451は、定着ニップ部Nのベルト回転方向の一方側(本実施形態では、定着ニップ部Nのベルト回転方向上流側)においてフレーム部材46に固定される。詳細に言えば、固定部451は、ネジ471を用いて、フレーム部材46の側壁部462の外面に固定される。
【0040】
円弧部452は、定着ベルト41の径方向中心部を隔てて、定着ニップ部Nの反対側に配置される。円弧部452は、固定部451から定着ベルト41の内周面に沿って円弧状に湾曲して延びる。円弧部452は、径方向外側に向かう弾性力を有する。円弧部452は、ほぼ全域にわたって、定着ベルト41の内周面に接触する。円弧部452は、定着ベルト41を隔てて励磁コイル441と対向する。
【0041】
接触部453は、円弧部452の、定着ベルト41の回転方向上流側であって、定着ニップ部Nのベルト回転方向下流側に配置される。接触部453は、円弧部452の周方向一端部から定着ベルト41の径方向内側にフレーム部材46に向かって屈曲し、フレーム部材46の近傍まで延びる。
【0042】
接触部453は、定着ニップ部Nのベルト回転方向の他方側(本実施形態では、定着ニップ部Nのベルト回転方向下流側)の、円弧部452の周方向一端部からフレーム部材46に向かって延びる。接触部453は、円弧部452の内周面との対向面4531を有する。
【0043】
フレーム部材46は、定着ベルト41の径方向略中心部であって、ニップ形成部材43と、ベルトガイド45の円弧部452との間に配置される。フレーム部材46は、定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向)に沿って、定着ベルト41よりも長く延びる。
【0044】
フレーム部材46は、ニップ形成部材43及びベルトガイド45を保持する。ニップ形成部材43は、フレーム部材46の、定着ニップ部Nと対向するニップ対向壁部461に固定される。ベルトガイド45は、フレーム部材46の、定着ニップ部Nの定着ベルト41の回転方向上流側の側壁部462に固定される。
【0045】
フレーム部材46は、規制部463を有する。規制部463は、定着ニップ部Nの定着ベルト41の回転方向下流側の側壁部462の外面に、ネジ472を用いて固定される。規制部463は、例えば定着ベルト41の回転軸線方向から見てL字形状で構成される。詳細に言えば、規制部463は、側壁部462の外面に沿って定着ニップ部N側からベルトガイド45の円弧部452側に向かって延び、さらに屈曲して定着ベルト41の径方向外側に向かって突出するように延びる。
【0046】
規制部463は、側壁部462から離れる方向に突出する突出部4631を有する。突出部4631は、ベルトガイド45に向かって延びる。突出部4631は、ベルトガイド45の接触部453の対向面4531の内側(円弧部452側)に重なるように面接触する。すなわち、規制部463は、ベルトガイド45に向かって延びて接触部453の対向面4531に重なるように面接触する。
【0047】
上記の構成によれば、フレーム部材46の規制部463が、ベルトガイド45の接触部453の対向面4531に面接触することで、ベルトガイド45の円弧部452の、径方向外側に向かう必要以上の広がりを抑制することができる。さらに、規制部463と、接触部453とは面接触するので、相対的に滑らかに移動することができる。したがって、ベルトガイド45を、定着ベルト41に向けて滑らかに変形させることができ、定着ベルト41の内周面に好適に接触させることが可能になる。
【0048】
なお、本実施形態では、ベルトガイド45の固定部451が定着ニップ部Nのベルト回転方向上流側に設けられ、接触部453が定着ニップ部Nのベルト回転方向下流側に設けられることとしたが、これらは互いの位置を入れ替えても良い。
【0049】
また、ベルトガイド45の接触部453は、図2及び図4に示すように、円弧部452の周方向一端部から法線方向に沿って延びる。この構成によれば、接触部453は、規制部463に引っ掛かり易く、さらに対向面4531が規制部463に対して移動し易くなる。
【0050】
図5は、定着装置40の、定着ニップ部Nのベルト回転方向上流側から見た側面図である。図6は、定着装置40の、定着ニップ部Nのベルト回転方向下流側から見た側面図である。なお、図5及び図6は、定着装置40の、ベルトガイド45及びフレーム部材46以外の構成要素の描画を省略した。
【0051】
ベルトガイド45の固定部451は、図5に示すように、定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向)に沿って配列された複数のネジ471を用いて、フレーム部材46の側壁部462の外面に固定される。これにより、ベルトガイド45の位置を安定させることができる。
【0052】
フレーム部材46の規制部463は、図6に示すように、定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向)の中央部に配置される。この構成によれば、ベルトガイド45の変形の自由度が高くなる。したがって、ベルトガイド45の円弧部452が変形し易くなり、定着ベルト41に対する密着度を向上させることが可能である。
【0053】
なお、規制部463は、例えば1つのネジ472を用いて、フレーム部材46の側壁部462の外面に固定される。規制部463は、例えば位置決め穴4632を有する。位置決め穴4632は、ベルトガイド45の円弧部452が定着ベルト41に対して接近及び離間する方向(図6の上下方向)に延びる長穴で構成される。位置決め穴4632は、定着ベルト41の回転軸線方向と交差する方向(図6の紙面奥行き方向)に、規制部463を貫通する。
【0054】
位置決め穴4632は、ネジ472の直径よりも僅かに大きな幅(定着ベルト41の回転軸線方向(用紙幅方向、図6の左右横方向)の長さ)を有し、ネジ472が挿入される。規制部463は、長穴である位置決め穴4632が延びる方向に、すなわち円弧部452が定着ベルト41に対して接近及び離間する方向に沿って移動させることができる。これにより、ベルトガイド45の接触部453と、フレーム部材46の規制部463との接触位置を任意に変更することが可能である。
【0055】
例えば、ベルトガイド45の接触部453と、フレーム部材46の規制部463とは、ベルトガイド45の円弧部452の弾性変形に基づいて接触、離間が可能である。図7は、定着装置40の部分断面正面図であって、定着ベルト41をベルトガイド45に装着する前、接触部453と規制部463とが接触した状態を示す図である。図8は、定着装置40の部分断面正面図であって、定着ベルト41をベルトガイド45に装着した後、接触部453と規制部463とが離間した状態を示す図である。
【0056】
定着ベルト41をベルトガイド45に装着する前、ベルトガイド45の円弧部452は、外力の影響を受けず、弾性変形して径方向外側に向かって広がろうとする。ベルトガイド45は、図7に示すように、接触部453がフレーム部材46の規制部463に引っ掛かっている。詳細に言えば、接触部453の、円弧部452の内周面との対向面4531が、規制部463の突出部4631に引っ掛かっている。これにより、円弧部452は、所定のサイズ以上に径方向外側に向かって広がることが抑制される。
【0057】
定着ベルト41をベルトガイド45に装着すると、ベルトガイド45の円弧部452は、外周面に定着ベルト41が接触し、弾性変形して径方向内側に向かって狭められる。これにより、図8に示すように、接触部453の、円弧部452の内周面との対向面4531は、規制部463の突出部4631から離間する。そして、円弧部452は、ほぼ全域にわたって、定着ベルト41の内周面に接触する。
【0058】
上記のように、接触部453と、規制部463とは、ベルトガイド45の円弧部452の弾性変形に基づいて接触、離間が可能であることにしても良い。この構成によれば、定着ベルト41をベルトガイド45に装着する前、円弧部452は、所定のサイズ以上に径方向外側に向かって広がらない。これにより、ニップ形成部材43、ベルトガイド45及びフレーム部材46を、定着ベルト41の内部に挿入し易くなる。また、定着ベルト41をベルトガイド45に装着した状態において、接触部453と、規制部463とは離間する。これにより、円弧部452は、変形し易くなり、定着ベルト41の内周面に密着し易くなる。
【0059】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0060】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置1は、複数色の画像を順次重ねて形成するいわゆるタンデム型のカラー印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではなく、タンデム型ではないカラー印刷用の画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であって良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、定着装置及び画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
40 定着装置
41 定着ベルト
42 加圧ローラー(加圧部材)
43 ニップ形成部材
45 ベルトガイド
46 フレーム部材
451 固定部
452 円弧部
453 接触部
463 規制部
4531 対向面
N 定着ニップ部
P 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8