(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
B65G1/04 503
B65G1/04 541
(21)【出願番号】P 2020023039
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】押川 誠享
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-21880(JP,U)
【文献】実開昭56-80393(JP,U)
【文献】特開昭61-60505(JP,A)
【文献】特開2016-52947(JP,A)
【文献】特開2018-131319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が保管される棚を有するラックと、
前記ラックに並んで配置された入庫コンベヤと、
前記ラックに並んで配置された出庫コンベヤと、
上下方向に伸びるマストと、前記ラックの長手方向に並んでおり前記マストに沿って独立して昇降する2台の昇降台と、前記2台の昇降台のそれぞれに上下2段に配置された移載装置と、前記マストを前記ラックの長手方向に移動させる移動装置と、有する入出庫装置と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
上側2台又は下側2台の移載装置を一組として、一方の2台の移載装置に入庫作業を、他方の2台の移載装置に出庫作業を割り付けるとともに、
前記入庫コンベヤから前記ラックの荷物格納予定位置までの移動と、前記ラックの荷物出庫位置から前記出庫コンベヤまでの移動を組み合わせて割り付け、
前記ラックの荷物格納予定位置として、前記ラックの上段側であって前記下側2台の移載装置がアクセス不能な上段棚又は下段側であって前記上側2台の移載装置がアクセス不能な下段棚以外を優先して決定する、
自動倉庫。
【請求項2】
前記コントローラは、前記上段棚又は前記下段棚を前記ラックの荷物格納予定位置として決定するときは、前記上側2台又は前記下側2台の移載装置それぞれに入庫作業と出庫作業を割り付ける制御を中断する、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記入庫コンベヤを昇降する入庫昇降装置及び前記出庫コンベヤを昇降する出庫昇降装置の少なくとも一方をさらに備える、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記出庫コンベヤの下流側に上下2段の搬出コンベヤをさらに備え、
前記コントローラは、出庫する荷物を把握して、前記出庫昇降装置が前記出庫コンベヤを前記上下2段の搬出コンベヤの一方に合わせることで荷物を仕分ける、請求項3に記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記コントローラは、前記上段棚又は前記下段棚に前記荷物の入庫が終了すれば、前記上側2台又は前記下側2台の移載装置それぞれに入庫作業と出庫作業を割り付ける制御を直ちに再開する、請求項2に記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫、特に、複数の移載装置が搭載された入出庫装置を有する自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫は、保管棚と、荷物を保管棚に沿って搬送することのできるスタッカクレーン等と称される入出庫装置とを有している。入出庫装置は、一対の保管棚の間を走行する台車と、台車から上方に向かって保管棚に沿って延びるマストと、マストに沿って昇降する昇降台を備えている。移載装置は、昇降台に取り付けられており、いずれの側の保管棚に対しても荷物を搬送装置との間で移載できる。以上の構成により、荷物は自動的に保管棚から取り出されて搬出され、搬入された荷物は自動的に保管棚に保管される。
【0003】
さらに、能力アップを目的として、2台の移載装置を搭載した入出庫装置が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。この入出庫装置は、マストの両側にそれぞれ設けられた昇降台と、各昇降台において台車移動方向に並んで配置された2台の移載装置とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の入出庫装置のように、能力アップのために複数の移載装置を設けたものがある。
しかし、そのような装置において、複数の移載装置を効率よく利用する手法は特に提案されていない。
【0006】
本発明の目的は、自動倉庫において、能力アップのために複数の移載装置を効率よく利用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0008】
本発明の一見地に係る自動倉庫は、ラックと、入庫コンベヤと、出庫コンベヤと、入出庫装置と、コントローラとを備えている。
ラックは、荷物が保管される棚を有する。
入庫コンベヤは、ラックに並んで配置されている。
出庫コンベヤは、ラックに並んで配置されている。
入出庫装置は、上下方向に伸びるマストと、ラックの長手方向に並んでおりマストに沿って独立して昇降する2台の昇降台と、2台の昇降台のそれぞれに上下2段に配置された移載装置と、マストをラックの長手方向に移動させる移動装置と、有する。
コントローラは、上側2台又は下側2台の移載装置を一組として、一方の2台の移載装置に入庫作業を、他方の2台の移載装置に出庫作業を割り付ける。
コントローラは、入庫コンベヤからラックの荷物格納予定位置までの移動と、ラックの荷物出庫位置から出庫コンベヤまでの移動を組み合わせて割り付ける。
コントローラは、ラックの荷物格納予定位置として、ラックの上段側であって下側2台の移載装置がアクセス不能な上段棚又はラックの下段側であって上側2台の移載装置がアクセス不能な下段棚以外を優先して決定する。
この自動倉庫では、合計4台の移載装置に入出庫を組み合わせることにより、大量の荷物を迅速に処理することができ、その結果、入出庫時間を短縮できる。
この自動倉庫では、ラックの荷物格納予定位置として、ラックの上段棚又は下段棚以外が優先される。つまり、移載制限された棚への入庫を制限することにより、複数の移載装置を効率よく利用することができ、その結果、入出庫作業の効率を高めることができる。
【0009】
コントローラは、上段棚又は下段棚をラックの荷物格納予定位置として決定するときは、上側2台及び下側2台の移載装置それぞれに入庫作業と出庫作業を割り付ける制御を中断してもよい。
この自動倉庫では、上下の移載装置をそれぞれ入庫用と出庫用にする制御を中断させることで、上段棚又は下段棚に入庫又は出庫を行うことができる。
【0010】
自動倉庫は、入庫コンベヤを昇降する入庫昇降装置及び出庫コンベヤを昇降する出庫昇降装置の少なくとも一方をさらに備えていてもよい。
この自動倉庫では、入庫コンベヤ及び出庫コンベヤをそれぞれ昇降する入庫昇降装置又は出庫昇降装置により、上下の移載装置が入庫用及び出庫用のいずれに設定されても、入出庫動作を実行できる。
【0011】
自動倉庫は、出庫コンベヤの下流側に、上下2段の搬出コンベヤをさらに備えていてもよい。
コントローラは、出庫する荷物を把握して、出庫昇降装置が出庫コンベヤを上下2段の搬出コンベヤの一方に合わせることで、荷物を仕分けてもよい。
この自動倉庫では、出庫昇降装置を利用することで、荷物を仕分けできる。
【0012】
コントローラは、上段棚又は下段棚に荷物の入庫が終了すれば、上側2台及び下側2台の移載装置それぞれに入庫作業と出庫作業を割り付ける制御を直ちに再開してもよい。
この自動倉庫では、上側2台及び下側2台の移載装置に入庫作業と出庫作業を割り付ける制御の時間が長くなるので、入出庫能力が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る自動倉庫では、複数の移載装置を効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】自動倉庫の入出庫制御動作を示すフローチャート。
【
図6】自動倉庫の棚と移載装置の位置関係を示す模式図。
【
図7】自動倉庫の棚の移載制限(アクセス可能な移載装置)を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫の全体構成
図1~
図3を用いて、自動倉庫1を説明する。
図1は、自動倉庫の模式的側面図である。
図2は、ラック及び入出庫装置の模式的側面図である。
図3は、ラック及び入出庫装置の模式的平面図である。
自動倉庫1は、外部から搬入された荷物Wを自動的に保管し、また、保管した荷物Wを自動的に取り出して搬出する設備である。
【0016】
自動倉庫1は、ラック3と、入出庫装置5とを有している。
ラック3は、荷物Wを保管する棚7を上下方向、および、第1方向(矢印Y)にマトリクス状に並べて有する。ラック3は、入出庫装置5の移動経路を間に挟むとともに前面同士が互いに対抗するように第2方向(矢印X)に間隔を隔てた状態で一対設置されている。なお、
図1において、第1方向はラック3において複数の棚7が並ぶ水平方向であり、第2方向はそれに直交する水平方向である。第3方向(矢印Z)は鉛直方向である。
なお、
図1では、見やすくするために、棚7は空白で示されており、荷物Wが四角形で示されている。
図8及び
図9でも同じである。
【0017】
入出庫装置5は、ラック3の前方側の走行経路を第1方向に沿って走行移動して、荷物Wを搬送する。入出庫装置5は、ローダークレーンであり、移動装置21と、マスト23と、昇降台25と、移載装置27(
図4)とを有している。
移動装置21は、棚内に設けられたレール(図示せず)に沿って、ラック3の側方を移動する。具体的には、移動装置21は、マスト23に装着されたモータ(図示せず)及びローラ(図示せず)を有している。
マスト23は、移動装置21に設けられており、第3方向に延びている。
昇降台25は、マスト23に案内されて第3方向に移動する部材である。昇降台25は、第1方向においてマスト23の両側に張り出すような構成となっている。
【0018】
移載装置27は、昇降台25に取り付けられ、棚7に向かってアーム(図示せず)を出退させることで棚7と昇降台25との間で荷物Wを移載する。
【0019】
自動倉庫1は、荷物Wを載置搬送によって入庫するための入庫コンベヤ31を有している。入庫コンベヤ31は、一方のラック3に対して第1方向に並んで配置されている。
自動倉庫1は、荷物Wを載置搬送によって出庫するための出庫コンベヤ33を有している。出庫コンベヤ33は、他方のラック3に第1方向に並んで配置されている。出庫コンベヤ33は、第3方向位置が、入庫コンベヤ31より高い。
自動倉庫1は、出庫コンベヤ33を昇降する出庫昇降装置35を有している。これにより、出庫コンベヤ33は、
図1の上側位置(実線)と下側位置(破線)との間で第3方向に移動可能である。
【0020】
自動倉庫は、出庫コンベヤ33の下流側に、上下2段の第1搬出コンベヤ41と第2搬出コンベヤ43とを有している。第1搬出コンベヤ41は、人間(図示せず)によるピッキング用である。第2搬出コンベヤ43は、ロボット(図示せず)によるピッキング用である。第1搬出コンベヤ41は、出庫コンベヤ33の下側位置と同じ高さに配置されている。第2搬出コンベヤ43は、出庫コンベヤ33の上側位置と同じ高さに配置されている。以上に述べた構成によって、出庫コンベヤ33が昇降することで、荷物Wを振り分けできる。これにより、入出庫装置5は、出庫された荷物Wのピック実行主体の種類に影響されずに、毎回同じように入出庫を同時に作業して、最短で移載を完了させることができる。
なお、第1搬出コンベヤ41及び第2搬出コンベヤ43の構成は必須ではなく、変更及び省略可能である。
【0021】
(2)昇降台及び移載装置の詳細構成
昇降台25は、第1方向においてマスト23の両側に並んで配置された第1昇降台25A及び第2昇降台25Bを有している。第1昇降台25A及び第2昇降台25Bは、互いに独立して昇降可能である。ここでは、第1昇降台25Aがマスト23の第1方向前側に配置されており、第2昇降台25Bがマスト23の第1方向後側に配置されている。
入出庫装置5は、第1昇降装置26A及び第2昇降装置26Bを有している。第1昇降装置26A及び第2昇降装置26Bは、第1昇降台25A及び第2昇降台25Bをそれぞれ昇降する装置であり、公知である。第1昇降装置26A及び第2昇降装置26Bは、例えば、モータ、チェーン等からなる。
【0022】
移載装置27は、第1昇降台25Aに上下2段に装着された第1移載装置27A及び第2移載装置27Bを有している。第1移載装置27Aは、第2移載装置27Bの上方に設けられている。このようにして、第1移載装置27A及び第2移載装置27Bがマスト23の第1方向前側に配置されている。
移載装置27は、第2昇降台25Bに上下2段に装着された第3移載装置27C及び第4移載装置27Dを有している。第3移載装置27Cは、第4移載装置27Dの上方に設けられている。このようにして、第3移載装置27C及び第4移載装置27Dがマスト23の第1方向後側に配置されている。
【0023】
以上に述べたように、移載装置が4台となっているがそれらはマスト23の近傍に配置されているので、移載装置からマスト23に作用する曲げ方向の荷重が小さくなり、そのためマスト23の軽量化・小型化を実現できる。
【0024】
第1昇降台25Aと第2昇降台25Bとは独立して昇降自在であるので、両者が移載を行うときに高さ位置を同じにすることも異ならせることもできる。そのため、1台の入出庫装置5を用いて複数の棚7に対する荷物Wの同時移載が行い易くなり、そのため荷物Wを効率よく搬送できる。
【0025】
(3)自動倉庫の制御構成
図4を用いて、自動倉庫1の制御構成を説明する。
図4は、自動倉庫の制御構成を示すブロック図である。
自動倉庫1は、入出庫装置コントローラ51を有している。入出庫装置コントローラ51は、例えば、入出庫装置5に搭載され、自動倉庫1全体を制御するコントローラ(図示せず)と通信可能である。
【0026】
入出庫装置コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。入出庫装置コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
入出庫装置コントローラ51は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
入出庫装置コントローラ51の各要素の機能は、一部又は全てが、制御部を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、入出庫装置コントローラ51の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0027】
入出庫装置コントローラ51は、移動装置21の移動・停止を制御するための機能を有しており、移動装置21のモータ等(図示せず)に接続されている。これにより、入出庫装置コントローラ51は、移動装置21に制御信号を送信する。
入出庫装置コントローラ51は、第1昇降台25A及び第2昇降台25Bをマスト23に沿って上下動させる機能を有しており、第1昇降装置26A及び第2昇降装置26Bのモータ等(図示せず)に接続されている。これにより、入出庫装置コントローラ51は、第1昇降装置26A及び第2昇降装置26Bに制御信号を送信する。
入出庫装置コントローラ51は、第1移載装置27A、第2移載装置27B、第3移載装置27C及び第4移載装置27Dを駆動する機能を有しており、それら移載装置のモータ等(図示せず)に接続されている。これにより、入出庫装置コントローラ51は、第1移載装置27A、第2移載装置27B、第3移載装置27C及び第4移載装置27Dに制御信号を送信する。
【0028】
入出庫装置コントローラ51には、図示しないが荷物Wの大きさ、形状及び位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
自動倉庫1は、コンベヤコントローラ53を有している。コンベヤコントローラ53には、入庫コンベヤ31、出庫コンベヤ33、出庫昇降装置35、第1搬出コンベヤ41及び第2搬出コンベヤ43が接続されている。これにより、コンベヤコントローラ53はこれら装置に制御信号を送信する。
【0029】
(4)入出庫制御動作
図5を用いて、自動倉庫1の入出庫制御動作を説明する。
図5は、自動倉庫の入出庫制御動作を示すフローチャートである。
入出庫装置コントローラ51は、上位のコントローラから指令される入庫指令に基づいて、入庫コンベヤ31からラック3の棚7に荷物Wを搬送するように入出庫装置5の作動を制御する入庫処理を実行する。
入出庫装置コントローラ51は、上位のコントローラから指令される出庫指令に基づいて、ラック3の棚7から出庫コンベヤ33に荷物Wを搬送するように入出庫装置5の作動を制御する出庫処理を実行する。
【0030】
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、制御部から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0031】
ステップS1では、上位のコンピュータからの入出庫指令に基づいて、入出庫同時割り付けモード(後述)が可能であるか否かが判断される。具体的には、入出庫装置コントローラ51が上記判断を実行する。可能であればプロセスはステップS2に移行し、可能でなければプロセスはステップS3に移行する。
ステップS2では、入出庫同時割り付けモードが実行される。入出庫同時割り付けモードでは、入出庫装置コントローラ51は、下記の制御動作(A)~(C)を実行する。
【0032】
(A)入出庫装置コントローラ51は、上側2台の移載装置(第1移載装置27A及び第3移載装置27C)及び下側2台の移載装置(第2移載装置27B及び第4移載装置27D)をそれぞれ1組として、下側の2台の移載装置に入庫作業を割り付け、さらに上側の2台の移載装置に出庫作業を割り付ける。
(B)入出庫装置コントローラ51は、入庫コンベヤ31からラック3の荷物格納予定位置までの移動と、ラック3の荷物出庫位置から出庫コンベヤ33までの移動を組み合わせて割り付ける。
【0033】
(C)入出庫装置コントローラ51は、ラック3の荷物格納予定位置として、ラック3の上段側であって下側2台の移載装置がアクセス不能な上段棚7A又は下段側であって上側2台の移載装置がアクセス不能な下段棚7B以外を優先して決定する。なお、具体的には、入出庫装置コントローラ51は、荷物格納予定位置として、出庫予定の荷物Wが格納されている棚7を基準として、そこから第1方向の3つ隣の位置にある空の棚7を検索する。
この自動倉庫では、2台の昇降台(第1昇降台25A及び第2昇降台25B)の合計4台の移載装置(第1移載装置27A、第2移載装置27B、第3移載装置27C及び第4移載装置27D)に入出庫を組み合わせることにより大量の荷物Wを迅速に処理することができ、その結果、入出庫時間を短縮できる。
この自動倉庫1では、ラック3の荷物格納予定位置として、ラック3の複数の上段棚7A又は複数の下段棚7B以外が優先される。言い換えると、上端から所定数の棚7と、下端から所定数の棚7との間にある棚7が優先される。つまり、移載制限された棚への入庫を制限することにより、入出庫作業の効率を高めることができる。
【0034】
図6及び
図7を用いて、入出庫装置5の移載制限を説明する。
図6は、自動倉庫の棚と移載装置の位置関係を示す模式図である。
図7は、自動倉庫の棚の移載制限(アクセス可能な移載装置)を示す模式図である。
図6では、自動倉庫の棚と移載装置の位置関係を示している。
図6に示すように、棚7の前側3連の棚7には、第3移載装置27C及び第4移載装置27Dはアクセスできない。さらに、棚7の上側3段の上段棚7Aには、第2移載装置27B及び第4移載装置27Dはアクセスできない。また、棚7の下側3段の下段棚7Bには、第1移載装置27A及び第3移載装置27Cはアクセスできない。また、棚7の後側3連の棚7には、第1移載装置27A及び第2移載装置27Bはアクセスできない。
上記以外の棚には、4台の移載装置のいずれもアクセス可能である。
【0035】
図7では、自動倉庫の棚の移載制限(アクセス可能な移載装置)を示している。
図7に示すように、ラック3において、前側3連の棚7、後側3連の棚7、上側3段の上段棚7A、下側3段の下段棚7Bでは、アクセス可能な移載装置が制限されている。特に、上記のように下側の2台の移載装置に入庫が割り付けられている場合は、3段からなる上段棚7Aには、荷物Wを入庫できない。したがって、3段からなる上段棚7Aを入庫先として優先しないことで、能力の低下を防止する。
【0036】
なお、上側2台の移載装置に入庫が割り付けられている場合は、3段からなる下段棚7Bには、荷物Wを入庫できない。したがって、3段からなる下段棚7Bを入庫先として優先しないことで、能力の低下を防止する。
ステップS2が終了すれば、プロセスはステップS1に戻る。
【0037】
ステップS3では、個別入出庫モードが実行される。具体的には、個別入出庫モードでは、入出庫装置コントローラ51は、上側2台及び下側2台の移載装置に入庫作業と出庫作業を割り付ける制御を中断する。そして、入出庫装置コントローラ51は、上側の2台の移載装置に入庫作業を行わせる。この時に下側2台の移載装置には作業が割り付けられない。したがって、上段棚7Aをラックの荷物格納予定位置として決定できる。
なお、入出庫装置コントローラ51は、上段棚7Aへの荷物Wの入庫を終了すれば、上側2台及び下側2台の移載装置それぞれに入庫作業と出庫作業を割り付ける制御を直ちに再開することが好ましい。その理由は、上側2台及び下側2台の移載装置それぞれに入庫作業と出庫作業を割り付ける制御の時間が長くなるので、入出庫能力が向上するためである。
ただし、変形例では、個別入出庫モードによる入庫又は出庫を連続して実行してもよい。
ステップS3が終了すれば、プロセスはステップS1に戻る。
【0038】
(5)入出庫動作の一例
図1、
図8及び
図9を用いて、入出庫装置5による入出庫動作の一例を説明する。
図8及び
図9は、自動倉庫の模式的側面図である。
図1の状態から、入出庫装置5は、
図8の状態に移動する。つまり、マスト23、昇降台25、及び移載装置27が第1方向前側に移動する。
そして、第3移載装置27Cが第3荷物W3の位置に移動し、次に第3移載装置27Cが第3荷物W3を第2昇降台25Bに移載する。なお、このときに第4移載装置27Dは動作しない。またこのとき、同時に、第1昇降装置26Aが第2移載装置27Bを空いた棚7の位置に移動させ、最後に第2移載装置27Bが第1荷物W1を空いた棚7に移載する。なお、このときに第1移載装置27Aは動作しない。上記の第1荷物W1を棚7へ移載する時に、複数の棚7の候補があるが、上段棚7A以外の棚7が優先される。その理由は、上段棚7Aでは、第2移載装置27Bがアクセスできないからである。
【0039】
図8の状態から、入出庫装置5は、
図9の状態に移動する。つまり、マスト23、昇降台25、及び移載装置27が第1方向前側に移動する。
そして、第1移載装置27Aが第4荷物W4の位置に移動し、次に第1移載装置27Aが第4荷物W4を第1昇降台25Aに移載する。なお、このときに第2移載装置27Bは動作しない。またこのとき、同時に、第2昇降装置26Bが第4移載装置27Dを空いた棚7の位置に移動させ、最後に第4移載装置27Dが第2荷物W2を空いた棚7に移載する。なお、このときに第3移載装置27Cは動作しない。上記の第2荷物W2を棚7へ移載する時に、複数の棚7の候補があるが、上段棚7A以外の棚7が優先される。その理由は、上段棚7Aでは、第4移載装置27Dがアクセスできないからである。
図9の状態から、入出庫装置5は入庫コンベヤ31及び出庫コンベヤ33側に戻り、第1移載装置27Aが第4荷物W4を出庫コンベヤ33に荷卸しし、第3移載装置27Cが第3荷物W3を出庫コンベヤ33に荷卸しする。さらに、第2移載装置27Bが新たな荷物Wを入庫コンベヤ31から荷積みし、第4移載装置27Dが新たな荷物Wを入庫コンベヤ31から荷積みする。なお、第2移載装置27Bが第1荷物W1を空いた棚7に移載するときに、第1移載装置27Aが第4荷物W4を第1昇降台25Aに移載させてもよい。
【0040】
この自動倉庫1では、出庫コンベヤ33を昇降する出庫昇降装置35により、移載装置の上側の組と下側の組が入庫用及び出庫用のいずれに設定されても、入出庫動作を実行できる。
この自動倉庫では、入出庫装置コントローラ51は、出庫する荷物Wを把握して、出庫昇降装置35によって出庫コンベヤ33を上下2段の第1搬出コンベヤ41及び第2搬出コンベヤ43の一方に合わせることで、荷物Pを仕分けする。
【0041】
2.実施形態の特徴
前記実施形態は下記のようにも説明できる。
自動倉庫1は、ラック3(ラックの一例)と、入庫コンベヤ31と、出庫コンベヤ33と、入出庫装置5と、入出庫装置コントローラ51とを備えている。
入庫コンベヤ31(入庫コンベヤの一例)は、ラック3に並んで配置されている。
出庫コンベヤ33(出庫コンベヤの一例)は、ラック3に並んで配置されている。
入出庫装置5は、上下方向に伸びるマスト23(マストの一例)と、ラック長手方向に並んでおりマスト23に沿って独立して昇降する第1昇降台25A及び第2昇降台25B(2台の昇降台の一例)と、2台の昇降台のそれぞれに上下2段に配置された第1移載装置27A、第2移載装置27B、第3移載装置27C、第4移載装置27D(移載装置の一例)と、マスト23を第1方向(ラック3の長手方向の一例)に移動させる移動装置21(移動装置の一例)と、有する。
入出庫装置コントローラ51は、下側の組の移載装置に入庫作業を、上側の組の移載装置に出庫作業を割り付ける。
入出庫装置コントローラ51は、入庫コンベヤ31からラック3の荷物格納予定位置までの移動と、ラック3の荷物出庫位置から出庫コンベヤまでの移動を組み合わせて割り付ける。
入出庫装置コントローラ51は、ラック3の荷物格納予定位置として、ラック3の上段側であって下側2台の移載装置がアクセス不能な上段棚7A又は下段側であって上側2台の移載装置がアクセス不能な下段棚7B以外を優先して決定する。
この自動倉庫1では、第1移載装置27A、第2移載装置27B、第3移載装置27Cに入出庫を組み合わせることにより大量の荷物を迅速に処理することができ、その結果、入出庫時間を短縮できる。
この自動倉庫1では、ラック3の荷物格納予定位置として、ラック3の上段棚7A又は下段棚7B以外が優先される。つまり、移載制限された棚への入庫を制限することにより、入出庫作業の効率を高めることができる。
【0042】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
入出庫装置は、例えば、床面にレールが設けられてその上を走行する走行台車を有するスタッカクレーンでもよい。
入出庫装置は、例えば、地上側にモータが設けられ、ベルトやワイヤで装置全体を引っ張って駆動する地上駆動式装置でもよい。
【0043】
下側の2台の移載装置に入庫作業を割り付け、上側の2台の移載装置に出庫作業を割り付けてもよい。
入庫コンベヤが昇降装置によって昇降してもよい。
上段棚及び下段棚の段数は2に限定されず、1又は3以上であってもよい。
移載装置27の構成は特に限定されない。例えば、アームを用いて荷物Wを押したり引いたりすることで、棚と昇降台との間を滑らせて移載するものや、アームに取り付けられたフォークを用いて荷物を持ち上げで移動させ、荷物を降ろすことで載置させて移載するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、複数の移載装置が搭載された入出庫装置を有する自動倉庫に広く適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 :自動倉庫
3 :ラック
5 :入出庫装置
7 :棚
21 :移動装置
23 :マスト
25 :昇降台
25A :第1昇降台
25B :第2昇降台
26A :第1昇降装置
26B :第2昇降装置
27 :移載装置
27A :第1移載装置
27B :第2移載装置
27C :第3移載装置
27D :第4移載装置
31 :入庫コンベヤ
33 :出庫コンベヤ
35 :出庫昇降装置
41 :第1搬出コンベヤ
43 :第2搬出コンベヤ
51 :入出庫装置コントローラ
53 :コンベヤコントローラ
W :荷物