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  • 特許-車両用閉塞検知機構 図1
  • 特許-車両用閉塞検知機構 図2
  • 特許-車両用閉塞検知機構 図3
  • 特許-車両用閉塞検知機構 図4
  • 特許-車両用閉塞検知機構 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】車両用閉塞検知機構
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/10 20060101AFI20231024BHJP
   F01M 11/04 20060101ALI20231024BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20231024BHJP
   B60K 15/04 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
F01M11/10 Z
F01M11/04 B
B60K15/05 A
B60K15/04 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020027036
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021131066
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】家谷 俊旭
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-001612(JP,U)
【文献】特開昭62-113810(JP,A)
【文献】特開2014-189269(JP,A)
【文献】特開2018-168813(JP,A)
【文献】実開昭63-021146(JP,U)
【文献】特開平09-086195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/00-13/06
B60K 15/04
15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に用いられる流体が内部に貯められ、その内部と外部を連通する開口部が形成された容器と、
非導電性素材からなる本体部と、前記本体部の表面に露出し互いに離間する導電性素材からなるキャップ第一電極およびキャップ第二電極と、前記キャップ第一電極と前記キャップ第二電極を電気的に接続する前記本体部の内部に埋設されたキャップ導線と、を有し、前記開口部を閉塞することが可能なキャップと、
前記キャップで前記容器の前記開口部が閉塞された閉塞状態であることを、前記容器と前記キャップとの間に電気的な閉回路が形成されることによる通電状態に基づいて検知する閉塞検知部と、
を備えた車両用閉塞検知機構。
【請求項2】
前記キャップ第一電極と前記キャップ第二電極が、前記キャップによって前記開口部を閉塞する際の閉塞方向において、互いに異なる位置に形成されている
請求項1に記載の車両用閉塞検知機構。
【請求項3】
前記容器が、前記開口部としてオイル供給口が形成され、前記オイル供給口に容器ねじ部が形成された非導電性素材からなるシリンダヘッドカバーを有し、前記流体としてエンジンオイルを貯めるエンジンであり、
前記オイル供給口が、その開口先端に露出する導電性素材からなる容器第一電極と、前記容器ねじ部の一部に露出する導電性素材からなる容器第二電極と、前記閉塞検知部を介して前記容器第一電極と前記容器第二電極を電気的に接続する、前記シリンダヘッドカバーの内部に埋設された容器導線と、を有し、
前記キャップが、前記容器ねじ部にねじ込まれるキャップねじ部が形成され、前記オイル供給口を閉塞することが可能なオイルフィラーキャップであり、
前記キャップ第一電極が前記オイルフィラーキャップで前記オイル供給口を閉塞したときの前記開口先端との当接部に、前記キャップ第二電極が前記キャップねじ部の一部にそれぞれ設けられており、
前記閉塞状態において、前記キャップ第一電極が前記容器第一電極に、前記キャップ第二電極が前記容器第二電極にそれぞれ電気的に接続されることによって前記閉回路が形成される
請求項1又は2に記載の車両用閉塞検知機構。
【請求項4】
ドライバによるエンジン始動操作のタイミングで、前記閉塞検知部が前記閉塞状態の検知を行う
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用閉塞検知機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に用いられるエンジンオイルなどの流体を貯める容器の閉塞状態を検知する車両用閉塞検知機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジンオイル、ガソリン、ウィンドーウォッシャ液など種々の流体が用いられている。例えば、エンジンオイルは、特許文献1に示すように、エンジンのヘッドカバー1に形成された潤滑油供給口2から供給されてこのエンジン内に貯められる。潤滑油供給口2は、オイルフィラーキャップ3によって閉塞され、車両の走行中に潤滑油供給口2からエンジンオイルが漏れるのを防止している(特許文献1の段落0012、図1(A)(B)など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-168813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す構成においては、ドライバなどの作業者の不注意によって、潤滑油供給口2へのオイルフィラーキャップ3の締め忘れや、その締め付け不足によって、車両の走行中に潤滑油供給口2からエンジンオイルが漏れる虞がある。また、燃料タンクの給油口に設けられるフューエルキャップや、ウィンドーウォッシャタンクの補充口に設けられる補充口キャップの締め忘れなどによって同様のトラブルが生じる場合がある。
【0005】
そこで、この発明は、車両に用いられる流体を貯める容器の開口部をキャップで確実に閉塞することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明においては、
車両に用いられる流体が内部に貯められ、その内部と外部を連通する開口部が形成された容器と、
非導電性素材からなる本体部と、前記本体部の表面に露出し互いに離間する導電性素材からなるキャップ第一電極およびキャップ第二電極と、前記キャップ第一電極と前記キャップ第二電極を電気的に接続する前記本体部の内部に埋設されたキャップ導線と、を有し、前記開口部を閉塞することが可能なキャップと、
前記キャップで前記容器の前記開口部が閉塞された閉塞状態であることを、前記容器と前記キャップとの間に電気的な閉回路が形成されることによる通電状態に基づいて検知する閉塞検知部と、
を備えた車両用閉塞検知機構を構成した。
【0007】
前記構成においては、
前記キャップ第一電極と前記キャップ第二電極が、前記キャップによって前記開口部を閉塞する際の閉塞方向において、互いに異なる位置に形成されている構成とするのが好ましい。
【0008】
前記各構成においては、
前記容器が、前記開口部としてオイル供給口が形成され、前記オイル供給口に容器ねじ部が形成された非導電性素材からなるシリンダヘッドカバーを有し、前記流体としてエンジンオイルを貯めるエンジンであり、
前記オイル供給口が、その開口先端に露出する導電性素材からなる容器第一電極と、前記容器ねじ部の一部に露出する導電性素材からなる容器第二電極と、前記閉塞検知部を介して前記容器第一電極と前記容器第二電極を電気的に接続する、前記シリンダヘッドカバーの内部に埋設された容器導線と、を有し、
前記キャップが、前記容器ねじ部にねじ込まれるキャップねじ部が形成され、前記オイル供給口を閉塞することが可能なオイルフィラーキャップであり、
前記キャップ第一電極が前記オイルフィラーキャップで前記オイル供給口を閉塞したときの前記開口先端との当接部に、前記キャップ第二電極が前記キャップねじ部の一部にそれぞれ設けられており、
前記閉塞状態において、前記キャップ第一電極が前記容器第一電極に、前記キャップ第二電極が前記容器第二電極にそれぞれ電気的に接続されることによって前記閉回路が形成される構成とするのが好ましい。
【0009】
前記各構成においては、
ドライバによるエンジン始動操作のタイミングで、前記閉塞検知部が前記閉塞状態の検知を行う構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記のように、本願発明は、容器とキャップとの間で電気的な閉回路が形成されたか否かに基づいてキャップの閉塞を検知する構成を採用したので、車両に用いられる流体を貯める容器の開口部をキャップで確実に閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明に係る車両用閉塞検知機構の第一実施形態を示す平面図である。
図2図1の要部の断面図である。
図3】(a)は容器第一電極の断面図、(b)は容器第一電極の平面図、(c)は容器第一電極の斜視図である。
図4図1に示す車両用閉塞検知機構を備えた車両の油圧関係の検知フローを示すフロー図である。
図5】この発明に係る車両用閉塞検知機構の第二実施形態の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明に係る車両用閉塞検知機構1(以下、単に検知機構と略称し、車両用閉塞検知機構1と同じ符号を付する。)の第一実施形態を図1に示す。この検知機構1は、車両2に搭載されており、この車両2に用いられる流体が内部に貯められ、その内部と外部を連通する開口部11が形成された容器10と、容器10の開口部11を閉塞するキャップ20と、キャップ20で容器10の開口部が閉塞された閉塞状態であることを検知する閉塞検知部30と、を主要な構成要素としている。
【0013】
容器10は、この第一実施形態では、前記流体としてエンジンオイルが内部に貯められるエンジン10aである。このエンジン10aは、シリンダヘッド(図示せず)の上部を覆う樹脂製のシリンダヘッドカバー12を有している。シリンダヘッドカバー12には、開口部11としてオイル供給口11aが形成されている。オイル供給口11aは、シリンダヘッドカバー12から外向きに突出した円筒状をなし、この円筒の内径面に容器ねじ部13が形成されている。
【0014】
図2に示すように、オイル供給口11aの開口先端(円筒の先端)には、導電性素材からなる容器第一電極14が、容器ねじ部13のねじ山の一部には、導電性素材からなる容器第二電極15がそれぞれ露出するように形成されている。容器第一電極14は、オイル供給口11aの開口先端よりも僅かに突出している。容器第一電極14と容器第二電極15は、シリンダヘッドカバー12の樹脂材の中に埋設された容器導線16a、16bに電気的に接続されており、両容器導線16a、16bは閉塞検知部30に電気的に接続されている。
【0015】
図3(a)~(c)に示すように、容器第一電極14は、その表面が、一方向に沿って延設された山部17aと谷部17bが交互に並んだ凹凸状に形成されている。図3(b)に示すように、前記一方向は、後で詳述するオイルフィラーキャップ20aに対するオイル供給口11aの相対回転方向(図3(b)中の矢印mを参照)に対して所定角度だけ傾斜している。
【0016】
このようにすると、オイル供給口11aにオイルフィラーキャップ20aをねじ込む際に、このオイルフィラーキャップ20aの裏面(後述するキャップ第一電極22が形成されている面)に付着しているエンジンオイルが相対回転する容器第一電極14の山部17aによって掻き取られる。掻き取られたエンジンオイルは、谷部17bを通って(図3(b)中の矢印fを参照)オイルフィラーキャップ20aの裏面の外側に排出される。
【0017】
容器第一電極14に形成された山部17aの一方側は垂直に起立した壁面、他方側は緩やかな傾斜角の傾斜面となっており、エンジンオイルはこの傾斜面によって掻き取られる。このため、容器第一電極14とオイルフィラーキャップ20aの裏面との間で引っ掛かりが生じにくく、掻き取りをスムーズに行うことができる。このように、容器第一電極14とキャップ第一電極22の間のエンジンオイルを除去することにより両電極14、22の密着状態が高まり、閉塞検知部30によって閉塞状態を確実に検出することができる。
【0018】
なお、オイルフィラーキャップ20aをオイル供給口11aにねじ込んだときの容器第一電極14とキャップ第一電極22との間の圧接によってエンジンオイルが両電極14、22の間から十分排除される場合には、容器第一電極14への山部17aおよび谷部17bの形成を省略できる場合がある。
【0019】
容器第二電極15は、オイル供給口11aの開口先端からその内側奥方向に入った一部に、容器ねじ部13に沿うように形成されている。容器第二電極15の形状や大きさは特に限定されないが、図2に示すように、複数のねじ山に跨らないよう小さめに形成するのが好ましい。このようにすると、容器第二電極15と後述するキャップ第二電極23との接触可能範囲が小さくなるため、オイル供給口11aにオイルフィラーキャップ20aが所定位置までねじ込まれたときにのみ両電極15、23が接触し、閉塞検知部30による閉塞状態の検知精度を高めることができる。
【0020】
キャップ20は、エンジン10aのシリンダヘッドカバー12に形成されたオイル供給口11aを閉塞することが可能なオイルフィラーキャップ20aである。オイルフィラーキャップ20aは、樹脂製の本体部21と、本体部21の表面に露出し互いに離間する導電性素材からなるキャップ第一電極22およびキャップ第二電極23と、キャップ第一電極22とキャップ第二電極23を電気的に接続する本体部21の樹脂材の中に埋設されたキャップ導線24を有する。
【0021】
本体部21は、容器ねじ部13にねじ込まれるキャップねじ部25が形成された部材である。キャップ第一電極22は、オイルフィラーキャップ20aでオイル供給口11aを閉塞したときのその開口先端との当接部すなわちキャップねじ部25の付け根部分に、キャップ第二電極23は、キャップねじ部25の一部にそれぞれ設けられている。キャップ第一電極22の表面は、本体部21とほぼ面一に配置されている。キャップ第二電極23の形状や大きさは特に限定されないが、図2に示すように、複数のねじ山に跨らないよう小さめに形成するのが好ましい。このようにすると、既述のように閉塞検知部30による閉塞状態の検知精度を高めることができる。
【0022】
エンジン10aのシリンダヘッドカバー12に形成されたオイル供給口11aにオイルフィラーキャップ20aを所定位置までねじ込むと、キャップ第一電極22が容器第一電極14に、キャップ第二電極23が容器第二電極15にそれぞれ接続して電気的な閉回路が形成される。すると、オイル供給口11a(容器10)とオイルフィラーキャップ20a(キャップ20)との間で通電可能となり、その通電状態に基づいて閉塞検知部30が閉塞状態であることを検知する。
【0023】
閉塞検知部30として、例えば、閉回路への通電に伴う電圧変化を検知する電圧計を採用することができるが、電流計などの他の検知手段も適宜採用することもできる。
【0024】
キャップ第一電極22とキャップ第二電極23は、オイルフィラーキャップ20aによってオイル供給口11aを閉塞する際の閉塞方向(すなわち、オイルフィラーキャップ20aのねじ込みに伴う移動方向)において、互いに異なる位置に形成されている。このようにすると、オイルフィラーキャップ20aをねじ込む際に、導電性を有する異物がキャップ第一電極22とキャップ第二電極23の間に介在するように挟まりにくくなるなどの効果が生じ、閉塞検知部30による誤検知を防止することができる。
【0025】
この発明に係る検知機構1で、エンジンオイルの交換後におけるオイルフィラーキャップ20aの締め忘れや、その締め付け不足を検知することにより、車両2の走行中にオイル供給口11aからエンジンオイルが漏れるトラブルを確実に防止することができる。
【0026】
この検知機構1が搭載された車両2におけるエンジンスタータ作動時の油圧関係の検知フローを、図1中の符号を参照しつつ図4を用いて説明する。まず、ドライバによって、エンジン10aのスタータを作動させるための操作が行われる(ステップS1)。次に、油圧センサによって油圧が正常値の範囲内かどうか検知される(ステップS2)。油圧が正常値の範囲外のときは(ステップS2のNO側)、油圧警告灯を点灯(ステップS3)した上で一連の検知フローを終了する(ステップS4)。
【0027】
その一方で、油圧が正常値の範囲内のときは(ステップS2のYES側)、容器10(エンジン10aのシリンダヘッドに形成されたオイル供給口11a)とキャップ20(オイルフィラーキャップ20a)によって形成される閉回路に通電が可能かどうか、検知機構1によって検知される(ステップS5)。検知機構1によって通電状態が検知されたときは(ステップS5のYES側)、エンジン10aの暖気運転(暖気が完了しているときは通常運転)を開始(ステップS6)した上で一連の検知フローを終了する(ステップS4)。
【0028】
その一方で、検知機構1によって通電状態が検知できなかったときは(ステップS5のNO側)、検知機構1によって、ドライバに対し閉塞状態の異常が通知(ステップS7)された上で一連の検知フローを終了する(ステップS4)。異常の通知方法は特に限定されないが、例えば、オイル供給口11aに設けられたオイルフィラーキャップ20aが浮き上がって、このオイル供給口11aからエンジンオイルが吹き上がる状態を車両2のインスツルメントパネルにアニメーション表示することで、閉塞状態の異常をドライバに分かりやすく通知することができる。
【0029】
この一連の検知フローは、ドライバによるエンジン10aの始動操作のタイミングで1回行えば十分であり、例えば、アイドリングストップからのエンジンの再始動時のように、ドライバの操作によらない始動時は省略することができる。
【0030】
この発明に係る検知機構1の第二実施形態を図5に示す。この第二実施形態においては、エンジン10aのシリンダヘッドカバー12に形成された開口部11としてのオイルレベルゲージ挿入孔11bに、キャップ20としてのオイルレベルゲージ20bが挿入される。
【0031】
オイルレベルゲージ挿入孔11bの内部の開口端に近い位置には、導電性素材からなる環状の容器第一電極14が、この容器第一電極14よりも深い位置には、導電性素材からなる環状の容器第二電極15が、このオイルレベルゲージ挿入孔11bの内面に露出するようにそれぞれ形成されている。容器第一電極14と容器第二電極15は、シリンダヘッドカバー12の樹脂材の中に埋設された容器導線16a、16bに電気的に接続されており、両容器導線16a、16bは閉塞検知部30(図1参照)に電気的に接続されている。
【0032】
オイルレベルゲージ20bは、樹脂製の棒状体26と、棒状体26の下端に連設されたゲージ部27を有し、棒状体26の上部側に導電性素材からなる環状のキャップ第一電極22が、下部側に導電性素材からなる環状のキャップ第二電極23が形成されている。キャップ第一電極22とキャップ第二電極23は、棒状体26の樹脂材の中に埋設されたキャップ導線24によって電気的に接続されている。キャップ第一電極22とキャップ第二電極23の間にはOリング28が設けられ、エンジンオイルの液密が確保されている。
【0033】
棒状体26に設けられたストッパ29がオイルレベルゲージ挿入孔11bの開口端に突き当たるまでオイルレベルゲージ20bを挿入すると、キャップ第一電極22が容器第一電極14に、キャップ第二電極23が容器第二電極15にそれぞれ接続して電気的な閉回路が形成される。すると、オイルレベルゲージ挿入孔11b(容器10)とオイルレベルゲージ20b(キャップ20)との間で通電可能となり、その通電状態に基づいて閉塞検知部30(図1参照)が閉塞状態であることを検知する。
【0034】
上記の他に、この発明に係る検知機構1は、燃料タンクの給油口に設けられるフューエルキャップや、ウィンドーウォッシャタンクの補充口に設けられる補充口キャップなどにも適用することができる。また、この発明に係る検知機構1は、液体だけではなく気体を貯める容器10に設けられるキャップ20の閉塞状態の検知にも適用することができる。
【0035】
さらに、この発明に係る検知機構1は、例えば、衝突事故などによって車両2に大きな衝撃や荷重が作用したときに、シリンダヘッドカバーなどの樹脂製の車両部品をそのまま継続使用することができるかどうかについての可否判断に適用することができる。
【0036】
すなわち、車両に大きな衝撃などが作用したときは、外見上は車両部品に損傷などの大きな問題が見られない場合でも、安全の面からその車両部品の交換や補修を行った方がよい場合がある。このとき、容器10にキャップ20を確実に設けているにも関わらず、検知機構1によって閉塞状態が確認できない場合、容器導線16a、16bやキャップ導線24が樹脂材の内部で断線する程度の内部損傷が生じている可能性があり、その車両部品を交換するなどの判断をすることができる。
【0037】
上記の各実施形態において説明した検知機構1は、この発明を説明するための単なる例示に過ぎず、車両2に用いられる流体を貯める容器10の開口部11をキャップ20で確実に閉塞する、というこの発明の課題を解決し得る限りにおいて、各構成要素に適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 車両用閉塞検知機構(検知機構)
2 車両
10 容器
10a エンジン
11 開口部
11a オイル供給口
11b オイルレベルゲージ挿入孔
12 シリンダヘッドカバー
13 容器ねじ部
14 容器第一電極
15 容器第二電極
16a、16b 容器導線
17a 山部
17b 谷部
20 キャップ
20a オイルフィラーキャップ
20b オイルレベルゲージ
21 本体部
22 キャップ第一電極
23 キャップ第二電極
24 キャップ導線
25 キャップねじ部
26 棒状体
27 ゲージ部
28 Oリング
29 ストッパ
30 閉塞検知部
図1
図2
図3
図4
図5