(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】配送方法
(51)【国際特許分類】
B60K 1/02 20060101AFI20231024BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20231024BHJP
B62D 53/00 20060101ALI20231024BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231024BHJP
B60K 1/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B60K1/02
B62B3/00 B
B62D53/00 B
B60K1/04 Z
B60K1/00
(21)【出願番号】P 2020027798
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敏広
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭二
【審査官】草野 顕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-131044(JP,A)
【文献】特開2013-162567(JP,A)
【文献】特開2016-022891(JP,A)
【文献】特開2011-111078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/02-1/04
B60K 7/00
B62B 3/00
B62D 53/00
B62D 63/06
B65G 61/00
B60L 1/00、3/00、7/00、11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪と、上記駆動輪を駆動する第1モータと、上記第1モータの電源となる第1バッテリーと、を有する電動車と、荷室と、配送センターで充電可能な第2バッテリー、とを有する複数の台車と、を用いて、荷物を配送する配送方法であって、
上記複数の台車のうちの1つの台車を第1台車とし、上記複数の台車のうち上記第1台車とは別の1つの台車を第2台車としたとき、上記第2バッテリーが充電済であり上記荷室に荷物が積み込まれている上記第1台車を上記電動車に連結して配送作業を行う一方で、この配送作業と並行して、上記第2台車において上記配送センターで上記第2バッテリーを充電するとともに上記荷室に荷物を積み込む配送前作業を行う第1配送ステップと、
上記第1配送ステップで上記配送作業が終了した上記電動車に上記配送前作業が完了した上記第2台車を上記第1台車と交換して連結して別の配送作業を行う一方で、この配送作業と並行して、交換した上記第1台車において上記配送センターで上記第2バッテリーを充電するとともに上記荷室に荷物を積み込む別の配送前作業を行う第2配送ステップと、
を有する、配送方法。
【請求項2】
上記複数の台車はいずれも、上記第2バッテリーを電源とする第2モータと、上記第2モータのみによって駆動される自走用車輪と、を有し、
上記第1配送ステップ及び上記第2配送ステップのそれぞれにおいて、配送エリアで上記第1台車又は上記第2台車を上記電動車から切り離した状態で配送先まで電動走行させる、請求項
1に記載の配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を配送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配送業者が集荷した荷物を配送先まで配送するのに使用される配送車両が知られている。この種の配送車両の一例である集配用貨物自動車が下記特許文献1に開示されている。この集配用貨物自動車は、運転席を有するキャビンと、荷室を有する荷台と、を備えている。この集配用貨物自動車の走行によって、荷室に積み込んだ荷物を配送先まで運搬して配送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配送車両として電動車を利用する場合、走行時に電動車のバッテリーが消費されるため、配送終了後にバッテリーの充電作業を行う必要がある。このため、バッテリーの充電が完了して電動車の次回の走行が可能となる状態まで待機することになり、電動車の稼働可能時間が短く抑えられる。その結果、荷物の配送効率が低下する要因に成り得る。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、電動車を利用して荷物を配送するときの効率を高めるのに有効な技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
駆動輪と、上記駆動輪を駆動する第1モータと、上記第1モータの電源となる第1バッテリーと、を有する電動車と、荷室と、配送センターで充電可能な第2バッテリー、とを有する複数の台車と、を用いて、荷物を配送する配送方法であって、
上記複数の台車のうちの1つの台車を第1台車とし、上記複数の台車のうち上記第1台車とは別の1つの台車を第2台車としたとき、上記第2バッテリーが充電済であり上記荷室に荷物が積み込まれている上記第1台車を上記電動車に連結して配送作業を行う一方で、この配送作業と並行して、上記第2台車において上記配送センターで上記第2バッテリーを充電するとともに上記荷室に荷物を積み込む配送前作業を行う第1配送ステップと、
上記第1配送ステップで上記配送作業が終了した上記電動車に上記配送前作業が完了した上記第2台車を上記第1台車と交換して連結して別の配送作業を行う一方で、この配送作業と並行して、交換した上記第1台車において上記配送センターで上記第2バッテリーを充電するとともに上記荷室に荷物を積み込む別の配送前作業を行う第2配送ステップと、
を有する、配送方法、にある。
【発明の効果】
【0008】
上記の各態様によれば、配送車両において、第1台車と第2台車のいずれか一方が連結部によって電動車に連結された状態では、当該台車の第2バッテリーが電気接続部を介して電動車の第1モータに接続される。このため、台車側の第2バッテリーから電動車側の第1モータに給電が可能となり、この第2バッテリーを第1モータの電源として使用できる。
【0009】
このとき、電動車が台車を牽引して走行することで荷物の配送作業を行うことが可能になる。また、この配送作業と並行して、第1台車と第2台車のいずれか他方については、配送センターで第2バッテリーを充電するとともに荷室に荷物を積み込んで次回の配送作業まで待機することができる。
【0010】
その後、配送作業が終了した電動車に接続されている台車を、待機状態の別の台車に交換することによって、次回の配送作業に速やかに移行することができる。このため、第2バッテリーの充電待ちを極力回避することによって、電動車の待機時間を減らしてその稼働可能時間を増やすことができ、荷物の配送効率が低下するのを防ぐことが可能になる。
【0011】
以上のごとく、上記の各態様によれば、電動車を利用して荷物を配送するときの効率を高めるのに有効な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1の配送車両について電動車が第1台車を牽引する様子を示す側面図。
【
図2】
図1中の第1台車の電動走行時の様子を示す側面図。
【
図4】実施形態1にかかる配送システムについて第1配送ステップの実行時の様子を示す斜視図。
【
図5】実施形態1にかかる配送システムについて第2配送ステップの実行時の様子を示す斜視図。
【
図7】実施形態2の配送車両について電動車が2つの第1台車を牽引する様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述の各態様の好ましい実施形態について説明する。
【0014】
上記の配送車両において、上記複数の台車はいずれも、上記第2バッテリーを電源とする第2モータと、上記第2モータのみによって駆動される自走用車輪と、を有するのが好ましい。
【0015】
この配送車両によれば、台車を電動車から切り離した状態で電動走行させることができ、台車を荷物の配送に独立して使用することができる。これにより、自走不能な手押し台車を採用する場合に比べて、作業者の体力負担を軽減させることができる。
【0016】
上記の配送車両において、上記複数の台車はいずれも、上記自走用車輪としての左駆動輪及び右駆動輪と、上記第2モータとしての左駆動輪用モータ及び右駆動輪用モータと、上記左駆動輪用モータ及び上記右駆動輪用モータを制御するコントローラと、を有するのが好ましい。
【0017】
この配送車両によれば、台車を荷物の配送に独立して使用するとき、コントローラによる左駆動輪用モータ及び右駆動輪用モータの制御によって、台車をその向きを調整しながら電動走行させることが可能になる。
【0018】
上記の配送車両において、上記複数の台車のそれぞれの上記第2バッテリーの容量が上記電動車の上記第1バッテリーの容量を上回るのが好ましい。
【0019】
この配送車両によれば、電動車側の第1バッテリーの容量に比べて台車側の第2バッテリーの容量を増やすことによって、第2バッテリーを電動車のためのメインバッテリーと使用し、且つ第1バッテリーを電動車のためのサブバッテリーとして使用することができる。
【0020】
配送システムは、上記配送車両と、上記複数の台車のそれぞれの上記第2バッテリーを充電するために上記配送センターに設けられた充電設備と、を備えるのが好ましい。
【0021】
この配送システムによれば、配送センターの充電設備で各台車の第2バッテリーの充電を行うともに、この台車の荷室に荷物を積み込む配送前作業を事前に行うことが可能になる。
【0022】
上記の配送方法において、上記複数の台車はいずれも、上記第2バッテリーを電源とする第2モータと、上記第2モータのみによって駆動される自走用車輪と、を有し、
上記第1配送ステップ及び上記第2配送ステップのそれぞれにおいて、配送エリアで上記第1台車又は上記第2台車を上記電動車から切り離した状態で配送先まで電動走行させるのが好ましい。
【0023】
この配送方法によれば、配送エリアにおいて台車を電動車から切り離した状態で配送先まで電動走行させることができ、台車を荷物の配送に独立して使用することができる。これにより、自走不能な手押し台車を採用する場合に比べて、作業者の体力負担を軽減させることができる。
【0024】
以下、図面を参照しつつ、実施形態をより具体的に説明する。
【0025】
なお、本明細書の説明で使用する図面では、特に断わらない限り、配送車両の進行方向を矢印Xで示すものとする。
【0026】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1の配送車両1は、荷物Wを屋外で配送するためのものである。この配送車両1は、電動車10と、複数の台車20と、連結部30と、電気接続部40と、を備えている。荷物Wは、1つの物品によって、或いは複数の物品の集合体によって構成される。ここでいう「配送」を、「運搬」、「配達」、「宅配」ということもできる。
【0027】
電動車10は、モータを利用して走行可能な車両であり、駆動輪11と、駆動輪11を駆動する第1モータ12と、第1モータ12の電源となる第1バッテリー13と、を有する。この電動車10は、作業者Aによる運転によって走行することができる。
【0028】
複数の台車20はいずれも、モータを利用して走行可能な車両であり、荷物Wを積み込むための荷室21と、後述の配送センター50で充電可能な第2バッテリー22と、第2バッテリー22を電源とする第2モータ23と、第2モータ23のみによって駆動される、を有する。
【0029】
各台車20には、コントローラ25と、操作盤26と、ハンドル27と、が設けられている。コントローラ25は、各台車20の全般的な制御を行う制御部として構成されている。作業者Aは、各台車20の制御のための入力操作を操作盤26において行うことができる。作業者Aは、各台車20の電動走行時にハンドル27を把持することができる。
【0030】
なお、台車20の数は、特に限定されるものではなく、必要に応じて2つ以上の適宜の数の台車20を使用することができる。
図1では、2つの台車20のうちの1つの台車である第1台車20Aと、2つの台車20のうち第1台車20Aとは別の1つの台車である第2台車20Bと、が例示されている。
【0031】
連結部30は、電動車10に複数の台車20のそれぞれを分離可能に連結する機能を有する。これにより、複数の台車20の中から選択された任意の1つの台車20を連結部30によって電動車10に連結できる。
【0032】
連結部30は、電動車10の背面に設けられたアーム部材31と、各台車20の前面に設けられたアーム部材32と、によって構成されている。アーム部材31とアーム部材32は、互いに連結及び連結解除が可能となるように構成されている。このため、電動車10と各台車20の連結のために、電動車10のアーム部材31と各台車20のアーム部材32とが互いに連結される。一方で、電動車10と各台車20の連結解除のために、電動車10のアーム部材31と各台車20のアーム部材32との連結が解除される。
【0033】
また、各台車20の前面には、電動車10のアーム部材31との連結及び連結解除が可能なアーム部材33が設けられている。このため、2つの台車20の連結のために、一方の台車20のアーム部材33と、他方の台車20のアーム部材32とが互いに連結される。一方で、2つの台車20の連結解除のために、一方の台車20のアーム部材33と、他方の台車20のアーム部材32との連結が解除される。
【0034】
電気接続部40は、第1台車20Aと第2台車20Bのいずれか一方が連結部30によって電動車10に連結された状態で、当該台車の第2バッテリー22を電動車10の第1モータ12に給電可能に接続する機能を有する。即ち、第1台車20Aが連結部30によって電動車10に連結された状態では、この第1台車20Aが電気接続部40によって電動車10の第1モータ12に給電可能に接続される。これに対して、第2台車20Bが連結部30によって電動車10に連結された状態では、この第2台車20Bが電気接続部40によって電動車10の第1モータ12に給電可能に接続される。
【0035】
電気接続部40は、第2バッテリー22と第1モータ12とを互いに有線接続するために、接続コードやコネクタなどの導電部材によって構成されている。これに代えて、公知のワイヤレス給電を利用して、第2バッテリー22を電動車10の第1モータ12に給電可能に接続することもできる。
【0036】
本実施形態の配送車両1では、電動車10の第1バッテリー13及び各台車20の第2バッテリー22として、既知のリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池などのように充放電が可能な二次電池が使用されている、また、複数の台車20のそれぞれの第2バッテリー22の容量が電動車10の第1バッテリー13の容量を上回るように構成されている。
【0037】
図1に示されるように、第1台車20Aの荷室21に積み込んだ荷物Wの配送を行う場合、第1台車20Aを連結部30によって電動車10に連結し、電動車10が第1台車20Aを牽引しながら配送エリアDまで走行する。このとき、第1台車20Aの第2モータ23は走行用に使用されず、自走用車輪24は第2モータ23によって駆動されない状態にある。一方で、第2台車20Bは、電動車10に対して分離された状態にある。
【0038】
図2に示されるように、後述の「第1配送ステップ」及び「第2配送ステップ」のそれぞれにおいて、配送車両1が配送エリアDに到達したとき、配送エリアDで第1台車20Aを電動車10から切り離した状態で、第1台車20Aの荷物Wを配送エリアD内にある配送先Eまで電動走行させることができる。このとき、作業者Aは、電動車10から降りて第1台車20Aのハンドル27を把持しつつ操作盤26において入力操作を行うことによって、電動車10を配送先Eまで電動走行させることができる。これにより、荷物Wを配送先Eに個別に配送することができる。
【0039】
図3に示されるように、各台車20は、自走用車輪24としての左駆動輪24L及び右駆動輪24Rと、第2モータ23としての左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rと、を有する。左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rは、コントローラ25によって制御される。また、コントローラ25は、左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rに制御信号を出力する一方で、左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rから速度情報を受け取る。第2バッテリー22からその電圧情報がコントローラ25へ出力される。
【0040】
各台車20において、第2バッテリー22は、左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rへの給電が可能であるとともに、左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rからの充電が可能となるように構成されている。このため、例えば、
図1に示されるように、電動車10で第1台車20Aを牽引するときには、左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rから第1台車20Aの第2バッテリー22に充電される。これに対して、
図2に示されるように、第1台車20Aが単独で電動走行するときには、第1台車20Aの第2バッテリー22から左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rに給電される。
【0041】
図4に示されるように、実施形態1にかかる配送システム2は、上記の配送車両1と、配送車両1の複数の台車20のそれぞれの第2バッテリー22を充電するために、荷物Wの集荷を行う配送センター50に設けられた充電設備51と、を備えている。
【0042】
充電設備51として、典型的には、ケーブルに充電コネクタが設けられている有線接続方式の充電スタンドを使用することができる。この場合、各台車20に設けられた充電ポートにケーブルの充電コネクタを有線接続することによって、第2バッテリー22の充電作業を行うことが可能になる。
【0043】
なお、有線接続方式の充電スタンドに代えて、ワイヤレス充電方式の充電スタンドを採用することもできる。この場合、路面に設置され且つ送電スタンドにケーブルを介して電気接続された送電コイルに、各台車20に搭載された受電コイルを近接させることによって、第2バッテリー22の充電作業を行うことが可能になる。
【0044】
ここで、実施形態1の配送方法を、主に
図4~
図6を参照しながら説明する。この配送方法は、電動車10と、予定台数の複数の台車20と、を準備し、電動車10と複数の台車20からなる配送車両1を使用することによって、荷物Wを配送先Eまで配送する方法である。
【0045】
実施形態1の配送方法は、荷物Wを配送する方法であり、
図6のステップS101からステップS112までの複数のステップを順次実行することによって実行される。なお、必要に応じて、
図6中の複数のステップに別のステップが追加されてもよいし、或いは
図6中の各ステップが複数に分割されてもよい。
【0046】
図6のステップS101は、
図4に示されるように、電動車10及び複数の台車20を準備するステップである。このステップS101によれば、配送元である配送センター50において、配送車両1を構成するための電動車10及び複数の台車20が予め準備される。
【0047】
図6において、ステップS102からステップS106までのステップは、第1台車20Aを使用して荷物Wを配送する「第1配送ステップ」である。また、この第1配送ステップに引き続き実行されるステップS107からステップS111までのステップは、第2台車20Bを使用して荷物Wを配送する「第2配送ステップ」である。
【0048】
図6のステップS102は、
図4に示されるように、複数の台車20のうち待機状態の第1台車20Aを電動車10に連結するステップである。ここでいう「待機状態」とは、第1台車20Aにおいて第2バッテリー22(
図1参照)が配送センター50の充電設備51によって充電済であり、且つ、第1台車20Aの荷室21に荷物Wが既に積み込まれている状態、即ち、配送前作業が完了した状態をいう。このステップS102によれば、配送前作業が完了した第1台車20Aが、連結部30(
図1参照)によって電動車10に連結される。
【0049】
図6のステップS103は、
図4に示されるように、電動車10で第1台車20Aを配送エリアDまで牽引するステップである。このステップS103によれば、荷物Wを配送エリアDにおいて配送先Eの周辺まで運搬することができる。
【0050】
図6のステップS104は、電動車10及び第1台車20Aによる配送作業と並行して、第2台車20Bの配送前作業を行うステップである。このステップS104は、ステップS103からステップS106までの間の適宜のタイミングで実行されるのが好ましい。このステップS104によれば、
図4に示されるように、第2台車20Bにおいて、第2バッテリー22(
図1参照)を配送センター50の充電設備51で充電するとともに、第2台車20Bの荷室21に荷物Wを積み込む配送前作業が行われる。
【0051】
図6のステップS105は、ステップS103に引き続き、第1台車20Aを電動車10から切り離して配送先Eまで走行させるステップである。このステップS105によれば、
図2に示されるように、作業者Aが第1台車20Aを電動走行させることにより、第1台車20Aの荷室21に積み込まれている荷物Wを配送先Eまで配送することができる。
【0052】
図6のステップS106は、ステップS105に引き続き、配送終了後に電動車10で第1台車20Aを配送センター50まで牽引するステップである。このステップS106によれば、第1台車20Aを荷室21が空の状態で或いは荷室21に一部の荷物Wが残留した状態で配送センター50に戻すことができる。
【0053】
図6のステップS107は、ステップS106に引き続き、電動車10に第1台車20Aと交換して第2台車20Bを連結するステップである。このステップS107によれば、配送前作業が完了した第2台車20Bが電動車10に連結される。
【0054】
図6のステップS108は、
図5に示されるように、電動車10で第2台車20Bを配送エリアDまで牽引するステップである。このステップS108によれば、荷物Wを配送エリアDにおいて配送先Eの周辺まで運搬することができる。このとき、配送エリアD及び配送先Eは、第1配送ステップのときと同一であってもよいし、或いは第1配送ステップのときと異なっていてもよい。
【0055】
図6のステップS109は、電動車10及び第2台車20Bによる配送作業(電動車10及び第1台車20Aによる配送作業とは別の配送作業)と並行して、第1台車20Aの配送前作業(第2台車20Bの配送前作業とは別の配送前作業)を行うステップである。このステップS109によれば、
図5に示されるように、第1台車20Aにおいて、第2バッテリー22(
図1参照)を配送センター50の充電設備51で充電するとともに荷室21に荷物Wを積み込む配送前作業が行われる。このステップS109は、ステップS108からステップS111までの間の適宜のタイミングで実行されるのが好ましい。
【0056】
図6のステップS110は、ステップS108に引き続き、第2台車20Bを電動車10から切り離して配送先Eまで走行させるステップである。このステップS110によれば、作業者Aが第2台車20Bを電動走行させることにより、この第2台車20Bの荷室21に積み込まれている荷物Wを配送先Eまで配送することができる。
【0057】
図6のステップS111は、ステップS110に引き続き、配送終了後に電動車10で第2台車20Bを配送センター50まで牽引するステップである。このステップS111によれば、第2台車20Bを荷室21が空の状態で或いは荷室21に一部の荷物Wが残留した状態で配送センター50に戻すことができる。
【0058】
図6のステップS112は、配送作業を終了するか否かを判定するステップである。このステップS112によれば、配送作業を継続する場合(ステップ112の「No」の場合)にステップS103に戻り、配送作業を終了する場合(ステップ112の「Yes」の場合)にそのまま処理を終了する。
【0059】
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
【0060】
上述の実施形態1によれば、配送車両1において、第1台車20Aと第2台車20Bのいずれか一方が連結部30によって電動車10に連結された状態では、当該台車の第2バッテリー22が電気接続部40を介して電動車10の第1モータ12に接続される。このため、台車20側の第2バッテリー22から電動車10側の第1モータ12に給電が可能となり、この第2バッテリー22を第1モータ12の電源として使用できる。
【0061】
このとき、電動車10が台車20を牽引して走行することで荷物Wの配送作業を行うことが可能になる。また、この配送作業と並行して、第1台車20Aと第2台車20Bのいずれか他方については、配送センター50で第2バッテリー22を充電するとともに荷室21に荷物Wを積み込んで次回の配送作業まで待機することができる。
【0062】
その後、配送作業が終了した電動車10に接続されている台車20を、待機状態の別の台車20に交換することによって、次回の配送作業に速やかに移行することができる。このため、第2バッテリー22の充電待ちを極力回避することによって、電動車10の待機時間を減らしてその稼働可能時間を増やすことができ、荷物Wの配送効率が低下するのを防ぐことが可能になる。
【0063】
従って、上述の実施形態1によれば、電動車10を利用して荷物Wを配送するときの効率を高めるのに有効な技術を提供することができる。
【0064】
上述の実施形態1によれば、台車20を電動車10から切り離した状態で電動走行させることができ、台車20を荷物Wの配送に独立して使用することができる。
【0065】
上述の実施形態1によれば、台車20を荷物Wの配送に独立して使用するとき、コントローラ25による左駆動輪用モータ23L及び右駆動輪用モータ23Rの制御によって、台車20をその向きを調整しながら電動走行させることが可能になる。
【0066】
上述の実施形態1によれば、電動車10側の第1バッテリー13の容量に比べて台車20側の第2バッテリー22の容量を増やすことによって、第2バッテリー22を電動車10のためのメインバッテリーと使用し、且つ第1バッテリー13を電動車10のためのサブバッテリーとして使用することができる。
【0067】
上述の実施形態1によれば、配送システム2において、配送センター50の充電設備51で各台車20の第2バッテリー22の充電を行うともに、この台車20の荷室21に荷物Wを積み込む配送前作業を事前に行うことが可能になる。
【0068】
以下、実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0069】
(実施形態2)
図7に示されるように、実施形態2の配送車両101では、荷物Wの配送時に電動車10に連結部30を介して第1台車20Aが連結され、更にこの第1台車20Aに2つのアーム部材32,33を介して別の第1台車20Aが連結されている。
【0070】
一方の第1台車20Aの前側の第2バッテリー22は、電気接続部40と同様の要素からなる電気接続部41を介して他方の第1台車20Aの後側の第2バッテリー22に電気的に接続される。このため、前側の第2バッテリー22は、電気接続部40を介して電動車10側の第1モータ12に電気的に接続され、後側の第2バッテリー22は、電気接続部41を介して前側の第2バッテリー22に電気的に接続される。この場合、後側の第2バッテリー22は、2つの電気接続部40,41を介して電動車10側の第1モータ12に電気的に接続される。
【0071】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0072】
上述の実施形態2によれば、第1台車20Aの荷室21に積み込んだ荷物Wと第2台車20Bの荷室21に積み込んだ荷物Wを配送エリアDまで一度に運搬することが可能になる。このため、荷物Wの仕分けの効率化を図ることができる。
【0073】
また、上述の実施形態2によれば、2つの第2バッテリー22から第1モータ12に給電することが可能であるため、実施形態1の配送車両1に比べて、電動車10の走行可能距離を増やすのに有効である。
【0074】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0075】
なお、上述の実施形態2に特に関連する変更例では、3つ以上の第1台車20A或いは第2台車20Bを電動車10に直列的に連結することができる。
【0076】
本発明は、上述の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0077】
上述の実施形態では、各台車20が自走可能な台車である場合について例示したが、これに代えて、第2モータ23が省略された自走不能な台車を採用することもできる。このような台車は、作業者によって手押し操作される手押し台車として使用される。
【0078】
上述の実施形態では、各台車20が2つの駆動輪24L,24Rを有する場合について例示したが、各台車20の駆動輪の数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて1つ或いは3つ以上の駆動輪を設けるようにしてもよい。
【0079】
上述の実施形態では、各台車20の第2バッテリー22の容量が電動車10の第1バッテリー13の容量を上回る場合について例示したが、必要に応じて、第2バッテリー22の容量は、第1バッテリー13の容量と同一であってもよいし、第1バッテリー13の容量を下回ってもよい。
【0080】
上述の実施形態では、電動車10が有人の車両である場合について例示したが、これに代えて、無人の電動車を採用することもできる。また、電動車10は、電動での走行が可能であればよく、必要に応じて、電動走行用のモータに加えて、電動走行をアシストするエンジンを搭載することもできる。
【0081】
上述の実施形態では、荷物Wを屋外で配送するための技術について例示したが、この技術を、荷物Wを屋内で配送する技術に適用することもできる。
【符号の説明】
【0082】
W 荷物
1,101 配送車両
2 配送システム
10 電動車
11 駆動輪
12 第1モータ
13 第1バッテリー
20 台車
20A 第1台車(台車)
20B 第2台車(台車)
21 荷室
22 第2バッテリー
23 第2モータ
23L 左駆動輪用モータ
23R 右駆動輪用モータ
24 自走用車輪
24L 左駆動輪(自走用車輪)
24R 右駆動輪(自走用車輪)
25 コントローラ
30 連結部
40 電気接続部
50 配送センター
51 充電設備
D 配送エリア
E 配送先
S102~S106 第1配送ステップ
S107~S111 第2配送ステップ