IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JFEエンジニアリング株式会社の特許一覧

特許7371535自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設
<>
  • 特許-自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設 図1
  • 特許-自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設 図2
  • 特許-自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設 図3
  • 特許-自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設 図4
  • 特許-自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設 図5
  • 特許-自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20231024BHJP
   B66C 13/16 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B66C13/48 C
B66C13/48 B
B66C13/16 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020038475
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138505
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守樹
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 直之
(72)【発明者】
【氏名】中山 剛
(72)【発明者】
【氏名】片平 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】原田 泰博
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-034267(JP,A)
【文献】特開2019-137551(JP,A)
【文献】特開2016-069170(JP,A)
【文献】特開2017-219232(JP,A)
【文献】特開2011-027349(JP,A)
【文献】特開2007-126246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を貯留する貯留部において前記廃棄物を把持および放下する把持部による前記廃棄物の攪拌を制御する制御部を備えた自動運転制御装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物の種類を特定する廃棄物特定部と、
前記廃棄物特定部によって特定された種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する攪拌情報生成部と、
前記把持部による前記廃棄物の攪拌中において、前記貯留部から前記把持部が把持または放下した前記廃棄物に関する情報を受信した場合に、前記廃棄物に関する情報に基づいて、前記廃棄物の前記攪拌による均一性が増加する方向に、前記攪拌パターンを調整する学習部と、を備え
前記廃棄物に関する情報は、前記把持部が把持する前記廃棄物の重量の変化の情報であ
自動運転制御装置。
【請求項2】
廃棄物を貯留する貯留部において前記廃棄物を把持および放下する把持部による前記廃棄物の攪拌を制御する制御部を備えた自動運転制御装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物の種類を特定する廃棄物特定部と、
前記廃棄物特定部によって特定された種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する攪拌情報生成部と、
前記把持部による前記廃棄物の攪拌中において、前記貯留部から前記把持部が把持または放下した前記廃棄物に関する情報を受信した場合に、前記廃棄物に関する情報に基づいて、前記廃棄物の前記攪拌による均一性が増加する方向に、前記攪拌パターンを調整する学習部と、を備え、
前記廃棄物に関する情報は、前記把持部から放下された前記廃棄物の落下量の情報である
自動運転制御装置。
【請求項3】
廃棄物を貯留する貯留部において前記廃棄物を把持および放下する把持部による前記廃棄物の攪拌を制御する制御部を備えた自動運転制御装置であって、
前記制御部は、
前記廃棄物の種類を特定する廃棄物特定部と、
前記廃棄物特定部によって特定された種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する攪拌情報生成部と、
廃棄物の種類を含む情報を入力パラメータとし、前記攪拌パターンを出力パラメータとした機械学習により生成された攪拌学習モデルと、を有し、
前記攪拌情報生成部は、前記廃棄物特定部から取得した前記廃棄物の種類を含む情報を入力パラメータとして、前記攪拌学習モデルに入力して、出力パラメータとして前記廃棄物の前記攪拌パターンの情報を出力する
自動運転制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記把持部による前記廃棄物の攪拌中において、前記貯留部から前記把持部が把持または放下した前記廃棄物に関する情報を受信した場合に、前記廃棄物に関する情報に基づいて、前記廃棄物の前記攪拌による均一性が増加する方向に、前記攪拌パターンを調整する学習部を備える
請求項に記載の自動運転制御装置。
【請求項5】
記学習部によって、前記攪拌学習モデルを更新する
請求項に記載の自動運転制御装置。
【請求項6】
前記廃棄物に関する情報は、前記把持部が把持する前記廃棄物の重量の変化の情報である
請求項4または5に記載の自動運転制御装置。
【請求項7】
前記廃棄物に関する情報は、前記把持部から放下された前記廃棄物の落下量の情報である
請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の自動運転制御装置。
【請求項8】
前記廃棄物に関する情報は、前記把持部が把持している前記廃棄物の重量および容積に基づく比重である
請求項1、2、4、5、6、7のいずれか1項に記載の自動運転制御装置。
【請求項9】
前記把持部が、前記貯留部内を移動する移動部と、前記移動部に連結されて前記廃棄物を把持および放下する開閉部とを有し、
前記攪拌パターンは、前記開閉部における、開放量、開閉時間、および開閉回数の少なくとも1つをパラメータとして含む
請求項1~のいずれか1項に記載の自動運転制御装置。
【請求項10】
前記攪拌パターンは、前記移動部における、把持高、放下高、移動経路、移動範囲、移動速度、移動時間、および停止時間の少なくとも1つをパラメータとして含む
請求項に記載の自動運転制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、廃棄物の画像データを入力パラメータとし、廃棄物の種類を出力パラメータとした入出力データセットを用いて機械学習により生成された種類学習済みモデルを有し、
前記廃棄物特定部は、前記貯留部に貯留された前記廃棄物の画像データまたは前記把持部によって把持された前記廃棄物の画像データを入力パラメータとして、前記種類学習済みモデルに入力して、出力パラメータとして前記廃棄物の種類の情報を出力する
請求項1~10のいずれか1項に記載の自動運転制御装置。
【請求項12】
前記廃棄物の種類は、破砕ごみおよび剪定ごみを含む少なくとも2種類である
請求項1~1のいずれか1項に記載の自動運転制御装置。
【請求項13】
廃棄物を貯留する貯留部、および前記貯留部に備えられ前記廃棄物を把持および放下する把持部を備えた廃棄物貯留部と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の自動運転制御装置と、を備える
自動運転制御システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の自動運転制御装置が実行する自動運転制御方法であって、
前記制御部は、
前記廃棄物の種類を特定し、
特定された前記廃棄物の種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する
自動運転制御方法。
【請求項15】
廃棄物を貯留する貯留部、および前記貯留部に備えられ前記廃棄物を把持および放下する把持部を備えた廃棄物貯留部と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の自動運転制御装置と、
前記廃棄物を焼却する廃棄物焼却部と、を備える
廃棄物処理施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットを備えたクレーンを自動で制御する自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭や事業所から回収された廃棄物には、様々な性状の廃棄物が混入している。そのため、回収した廃棄物をそのままの状態で廃棄物処理施設の焼却炉に投入すると、焼却炉内での燃焼が不安定になって、ダイオキシンなどの有害物質が発生する可能性がある。また、廃棄物処理施設に発電施設が併設されている場合、焼却炉内の燃焼が不安定になると、安定した電力を供給できないなどの問題が生じる可能性がある。
【0003】
そこで、焼却炉に投入する廃棄物の質を均一化(均質化)するために、廃棄物処理施設の廃棄物貯留ピット内において、廃棄物を攪拌する攪拌作業が必要になる。廃棄物の攪拌作業は、クレーンのバケットを用いて、所定の位置の廃棄物を把持し、別の位置に移動させる作業である。ところが、廃棄物の攪拌作業は自動化が困難であって、操作者がクレーンおよびバケットを操作して行う人手による作業が必要になる。また、操作者が目視によって廃棄物の攪拌具合を判断する必要がある。そのため、廃棄物の攪拌作業は、操作者の判断に依存する部分が大きく、手数を要する作業になっており、作業者の手数を削減できる技術の開発が求められていた。
【0004】
そこで、特許文献1~3に解決策となる技術が提案されている。特許文献1には、2台のカメラの視差から貯留ピット内に堆積した廃棄物の高さを計測し、その計測結果を用いて、廃棄物の高さが一番低い番地に廃棄物を運ぶようにクレーンを自動制御する技術が開示されている。特許文献2には、貯留ピットを複数の区画に分割し、分割した区画内の廃棄物の性状を判断し、その性状に応じて廃棄物をクレーンで搬送して廃棄物の均質化を行う技術が開示されている。特許文献3には、オペレータによるクレーンの操作履歴を収集し、クレーンの自動制御に利用可能な情報を出力する情報処理装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-126246号公報
【文献】特開2015-210043号公報
【文献】特開2018-172208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術においては、攪拌する廃棄物をバケットなどの開閉部によって把持し、把持した廃棄物の性状に応じた開閉部の開閉の自動制御や開閉部を移動させるクレーンなどの移動部の操作の自動制御については、何ら検討されていない。そのため、貯留部内の廃棄物を、自動制御によって、廃棄物の性状に応じて適切に分散させて攪拌させることが困難であるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、貯留部内の廃棄物を、自動制御によって、廃棄物の性状に応じて適切に分散させて攪拌させることが可能な自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、廃棄物を貯留する貯留部において前記廃棄物を把持および放下する把持部による前記廃棄物の攪拌を制御する制御部を備えた自動運転制御装置であって、前記制御部は、前記廃棄物の種類を特定する廃棄物特定部と、前記廃棄物特定部によって特定された種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する攪拌情報生成部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記把持部による前記廃棄物の攪拌中において、前記貯留部から前記把持部が把持または放下した前記廃棄物に関する情報を受信した場合に、前記廃棄物に関する情報に基づいて、前記廃棄物の前記攪拌による均一性が増加する方向に、前記攪拌パターンを調整する学習部を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、この構成において、前記廃棄物に関する情報は、前記把持部が把持する前記廃棄物の重量の変化の情報である。
【0011】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、この構成において、前記廃棄物に関する情報は、前記把持部から放下された前記廃棄物の落下量の情報である。
【0012】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、この構成において、前記廃棄物に関する情報は、前記把持部が把持している前記廃棄物の重量および容積に基づく比重である。
【0013】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、上記の発明において、前記制御部は、廃棄物の種類を含む情報を入力パラメータとし、前記攪拌パターンを出力パラメータとした機械学習により生成された攪拌学習モデルを有し、前記攪拌情報生成部は、前記廃棄物特定部から取得した前記廃棄物の種類を含む情報を入力パラメータとして、前記攪拌学習モデルに入力して、出力パラメータとして前記廃棄物の前記攪拌パターンの情報を出力する。
【0014】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、この構成において、前記制御部は、前記把持部による前記廃棄物の攪拌中において、前記貯留部から前記把持部が把持または放下した前記廃棄物に関する情報を受信した場合に、前記廃棄物に関する情報に基づいて、前記廃棄物の前記攪拌による均一性が増加する方向に、前記攪拌パターンを調整する学習部によって、前記攪拌学習モデルを更新する。
【0015】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、上記の発明において、前記把持部が、前記貯留部内を移動する移動部と、前記移動部に連結されて前記廃棄物を把持および放下する開閉部とを有し、前記攪拌パターンは、前記開閉部における、開放量、開閉時間、および開閉回数の少なくとも1つをパラメータとして含む。
【0016】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、この構成において、前記攪拌パターンは、前記移動部における、把持高、放下高、移動経路、移動範囲、移動速度、移動時間、および停止時間の少なくとも1つをパラメータとして含む。
【0017】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、上記の発明において、前記制御部は、廃棄物の画像データを入力パラメータとし、廃棄物の種類を出力パラメータとした入出力データセットを用いて機械学習により生成された種類学習済みモデルを有し、前記廃棄物特定部は、前記貯留部に貯留された前記廃棄物の画像データまたは前記把持部によって把持された前記廃棄物の画像データを入力パラメータとして、前記種類学習済みモデルに入力して、出力パラメータとして前記廃棄物の種類の情報を出力する。
【0018】
本発明の一態様に係る自動運転制御装置は、上記の発明において、前記廃棄物の種類は、破砕ごみおよび剪定ごみを含む少なくとも2種類である。
【0019】
本発明の一態様に係る自動運転制御システムは、廃棄物を貯留する貯留部、および前記貯留部に備えられ前記廃棄物を把持および放下する把持部を備えた廃棄物貯留部と、前記把持部による前記廃棄物の攪拌を制御する制御部であって、前記廃棄物の種類を特定する廃棄物特定部と、前記廃棄物特定部によって特定された種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する攪拌情報生成部と、を備えた自動運転制御部と、を備える。
【0020】
本発明の一態様に係る自動運転制御方法は、廃棄物を貯留する貯留部において前記廃棄物を把持および放下する把持部による前記廃棄物の攪拌を制御する制御部を備えた自動運転制御装置が実行する自動運転制御方法であって、前記制御部は、前記廃棄物の種類を特定し、特定された前記廃棄物の種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する。
【0021】
本発明の一態様に係る廃棄物処理施設は、廃棄物を貯留する貯留部、および前記貯留部に備えられ前記廃棄物を把持および放下する把持部を備えた廃棄物貯留部と、前記把持部による前記廃棄物の攪拌を制御する制御部であって、前記廃棄物の種類を特定する廃棄物特定部と、前記廃棄物特定部によって特定された種類情報に基づいて、前記把持部による前記廃棄物の攪拌パターンの情報を出力する攪拌情報生成部と、を備えた自動運転制御部と、前記廃棄物を焼却する廃棄物焼却部と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る自動運転制御装置、自動運転制御システム、自動運転制御方法、および廃棄物処理施設によれば、自動制御によって、貯留ピット内の廃棄物を性状に応じて適切に分散させて攪拌することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態による自動運転制御システムを示すブロック図である。
図2図2は、従来技術による作業者の手動操作による廃棄物の攪拌方法を説明するための図である。
図3図3は、従来技術による自動運転制御システムにおける、剪定ごみの攪拌方法を説明するための図である。
図4図4は、従来技術による自動運転制御システムにおける、破砕ごみの攪拌方法を説明するための図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による廃棄物の攪拌方法を説明するための図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による廃棄物の攪拌方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による自動運転制御装置が適用される自動運転制御システムを示す。図1に示すように、自動運転制御システム1は、ネットワーク2を介して相互に通信可能な、攪拌制御装置10と、廃棄物貯留設備20と、廃棄物焼却設備30とを備える。本実施形態による廃棄物処理施設は、自動運転制御システム1の構成を備える。なお、廃棄物処理施設は、廃棄物貯留設備20および廃棄物焼却設備30を備えていればよく、攪拌制御装置10がネットワーク2を通じて廃棄物処理施設と通信可能な外部に設けられていてもよい。また、攪拌制御装置10は、廃棄物貯留設備20の内部に設けられていてもよく、設置場所は限定されない。
【0026】
ネットワーク2は、有線通信や無線通信が適宜組み合わされて構成され、例えば、インターネット回線網や携帯電話回線網などの通信網から構成される。具体的に、ネットワーク2は、例えば、専用線、インターネットなどの公衆通信網、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、携帯電話などの電話通信網や公衆回線、VPN(Virtual Private Network)などの一または複数の組み合わせからなる。攪拌制御装置10と廃棄物貯留設備20とは、ネットワーク2を介して接続されている。
【0027】
(攪拌制御装置)
自動運転制御装置または自動運転制御部としての攪拌制御装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、および出力部15を備える。
【0028】
制御部11は、具体的に、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアを有するプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの主記憶部(いずれも図示せず)を備える。
【0029】
記憶部12は、RAMなどの揮発性メモリ、ROMなどの不揮発性メモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、およびリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体である。また、外部から装着可能なメモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて記憶部12を構成してもよい。
【0030】
記憶部12には、攪拌制御装置10の動作を実行するための、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベースなどが記憶可能である。これらの各種プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部などを制御することで、所定の目的に合致した機能を実現できる。本実施形態においては、制御部11がロードしたプログラムの実行によって、廃棄物特定部111、攪拌情報生成部112、および学習部113の機能が実行される。
【0031】
また、各種プログラムには、本実施形態による学習モデルに基づいた処理を実現するプログラムも含まれる。記憶部12には、種類学習済みモデル12a、攪拌学習モデル12b、および攪拌情報データベース12cが格納されている。
【0032】
種類学習済みモデル12aは、例えば、廃棄物の種類を認識するための学習モデルであって、入力パラメータとして廃棄物の画像データが入力されると、出力パラメータとして廃棄物の種類情報を出力する。種類学習済みモデル12aは、廃棄物の画像データを入力パラメータ、廃棄物の種類情報を出力パラメータとした入出力のデータセットを教師データとして、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)などの機械学習により生成された学習モデルである。すなわち、種類学習済みモデル12aは、画像データに含まれる廃棄物の形状、色、および大きさなどの情報に基づいて、廃棄物の種類情報を出力するプログラムである。
【0033】
攪拌学習モデル12bは、攪拌情報を生成するための学習モデルである。攪拌学習モデル12bに、入力パラメータとして廃棄物の種類、容積、および比重や重量などの情報が入力されると、出力パラメータとして廃棄物の攪拌方法のパターンの情報である攪拌情報を出力する。攪拌情報は例えば、後述するクレーン252の把持高、放下高、移動経路、移動範囲、移動速度、移動時間、および停止時間などから選ばれた少なくとも1つのパラメータを含むクレーン移動情報を含む。攪拌情報は例えば、後述するバケット253の開時間、閉時間、開閉回数、および開放量などから選ばれた少なくとも1つのパラメータを含むバケット開閉情報を含む。なお、以下の説明において、クレーン移動情報およびバケット開閉情報を含めて攪拌情報という。すなわち、攪拌情報には、廃棄物を攪拌するためのクレーン252およびバケット253の作動に関する動作パターン情報が含まれる。攪拌学習モデル12bは、廃棄物の種類、重量、容積、および比重を入力パラメータとし、攪拌情報を出力パラメータとした入出力のデータセットを教師データとして、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習などの機械学習により生成することができる。
【0034】
また、攪拌学習モデル12bは、攪拌された廃棄物の均質性を報酬とした例えば強化学習により生成することも可能である。すなわち、まず、攪拌情報に基づいて、制御部21がクレーン252およびバケット253を制御して動作させ、貯留ピット26内の廃棄物の状態の更新と攪拌動作の評価を行う。次に、更新された状態と攪拌された廃棄物の均質性を評価した点数などの報酬を制御部11にフィードバックする。制御部11は、得られる報酬の合計が最大化されるように、行動価値関数と方策を例えばQ学習などの強化学習によって最適化する。以上のように、攪拌学習モデル12bは、これらの状態の更新および動作の評価を行って、状態および報酬を制御部11にフィードバックするサイクルを繰り返して学習が進められて、報酬の合計が最大化するようにして生成される。なお、DQN(Deep-Q-Network)をはじめとする深層強化学習(Deep Reinforcement Learning)などの機械学習により生成することも可能である。
【0035】
攪拌情報データベース12cは、種々の状況に対応した攪拌情報が検索可能に格納されている。すなわち、攪拌情報データベース12cには、廃棄物の種類、容積、および比重に対応した、クレーン移動情報およびバケット開閉情報が格納される。すなわち、攪拌情報データベース12cには、廃棄物の種類、容積、および比重に対応して、クレーン252の移動経路、移動範囲、移動速度、移動時間、ならびに停止時間、およびバケット253の把持高、放下高、開時間、閉時間、開閉回数、ならびに開放量などの情報が格納されている。なお、把持高は、廃棄物50aを把持した時の高さであり、放下高は、廃棄物50aを放した時の高さである。把持高および放下高はそれぞれ、把持部25のクレーン252およびバケット253における移動経路の始点の高さ情報および終点の高さ情報に該当する。
【0036】
通信部13は、例えば、LANインターフェースボード、有線通信のための有線通信回路、または無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや有線通信回路や無線通信回路は、ネットワーク2に接続される。送信部および受信部としての通信部13は、ネットワーク2に接続して、廃棄物貯留設備20との間で通信を行う。
【0037】
入力手段としての入力部14は、例えば廃棄物貯留設備20に設置された撮像部23やセンサ部24から通信部22を通じて送信された各種情報を入力して、制御部11に出力するインターフェースを含む。なお、撮像部23やセンサ部24から入力部14への情報の送信は、有線通信を用いても無線通信を用いてもよい。また、入力部14は、キーボードや入力用のボタン、レバーや、液晶などのディスプレイに重畳して設けられる手入力のためのタッチパネル、または音声認識のためのマイクロホンなどの、ユーザインターフェースを含む。作業者などが入力部14を操作することによって、制御部11に所定の情報を入力可能に構成される。
【0038】
出力手段としての出力部15は、制御部11による制御に従って、ディスプレイモニタに廃棄物貯留設備20の貯留ピット26内の画像などを表示したり、タッチパネルディスプレイの画面上に文字や図形などを表示したり、スピーカから音声を出力したりする。すなわち、出力部15は、所定の情報を外部に報知可能に構成される。なお、入力部14および出力部15を一体とした入出力部とし、入出力部をタッチパネルディスプレイやスピーカマイクロホンなどから構成してもよい。
【0039】
(廃棄物貯留設備)
廃棄物貯留部としての廃棄物貯留設備20は、制御部21、通信部22、撮像部23、センサ部24、把持部25、および貯留ピット26を備える。制御部21および通信部22はそれぞれ、物理的には上述した制御部11および通信部13と同様である。制御部21は、RAMやROMなどの主記憶部に格納された各種プログラムに従い、通信部13,22を通じて攪拌制御装置10から入力された制御信号に基づいて、把持部25を制御する。なお、制御部21は、必要に応じて、撮像部23およびセンサ部24を制御してもよい。
【0040】
撮像部23は、例えば赤外線カメラや撮像カメラなどから構成される。撮像部23は、貯留ピット26内の廃棄物50を撮像可能に構成される。また、撮像部23は、例えば把持部25のバケット253を撮像可能に構成される。撮像部23は、貯留ピット26内の廃棄物50の状態、すなわち廃棄物50の均一または不均一の状態を撮像し、撮像した画像のデータ(撮像画像データ)を、通信部22を介して攪拌制御装置10に送信する。また、撮像部23は、貯留ピット26においてバケット253が把持している廃棄物50を撮像し、撮像した廃棄物50の画像のデータ(撮像画像データ)を、通信部22を介して攪拌制御装置10に送信する。
【0041】
センサ部24は、例えばレーザセンサ、赤外線センサ、もしくは測距センサ、またはこれらのセンサを組み合わせたセンサなどから構成される。センサ部24は、例えば把持部25のバケット253から落下する廃棄物50を検知可能に構成される。センサ部24は、貯留ピット26においてバケット253から落下する廃棄物50の落下量を検出して、検出した廃棄物50の落下量のデータ(落下量データ)を、通信部22を介して攪拌制御装置10に送信する。
【0042】
把持部25は、貯留ピット26に貯留されている廃棄物50を把持して移動させる。開閉部としてのバケット253は、廃棄物50を把持する。移動部としてのクレーン252は、バケット253を連結して移動可能に構成される。クレーン252には、荷重計251が設けられている。荷重計251は、バケット253が把持した廃棄物50の重量を計測可能に構成される。荷重計251が計測した廃棄物50の重量のデータ(荷重データ)は、制御部21および通信部22を介して攪拌制御装置10に送信される。貯留ピット26の上方におけるクレーン252の2次元または3次元の現在位置、把持高、放下高、移動経路、移動範囲、および移動速度などのクレーン252の移動に関するパラメータは、把持部25から制御部21および通信部22を介して逐次、攪拌制御装置10に送信される。同様に、バケット253の開時間、閉時間、開閉回数、および開放量などの、バケット253の開閉に関するパラメータは、把持部25から制御部21および通信部22を介して逐次、攪拌制御装置10に送信される。
【0043】
貯留ピット26は、廃棄物50を一時的に貯留するピットである。把持部25は、貯留ピット26において移動可能に構成されている。貯留ピット26内の廃棄物は、廃棄物焼却設備30の焼却炉33に供給されて焼却される。
【0044】
(廃棄物焼却設備)
廃棄物焼却部としての廃棄物焼却設備30は、燃焼制御装置(ACC:Automatic Combustion Control)31、センサ部32、および焼却炉33を備える。燃焼制御装置31は、従来公知のあらかじめ定められた目標焼却量などの設定情報に基づいて、それぞれの操作端の操作量として、燃焼用空気量、冷却用空気量、ごみ供給装置送り速度、および火格子送り速度などを制御する。センサ部32は、例えば種々の場所に設けられた温度計や圧力計などから構成される。廃棄物焼却炉である焼却炉33は、ごみの燃焼が行われる炉、ごみを投入するごみ投入口、およびボイラ(いずれも図示せず)などを備える。センサ部32によって計測された、焼却炉33の内部の状態、および焼却炉33に関連する施設、具体的には、例えば電力を発電するための発電施設における、圧力や速度などの種々の物理量は、センサ部32からセンサ情報として出力される。センサ部32から出力されたセンサ情報は、パラメータとして燃焼制御装置31に供給される。燃焼制御装置31は、入力されたパラメータに基づいて焼却炉33の燃焼を制御する。
【0045】
次に、上述した攪拌制御装置10を備えた自動運転制御システム1による廃棄物攪拌方法について説明する前に、本発明者が知見した従来技術による廃棄物攪拌方法の問題点について説明する。図2は、従来技術による作業者の手動操作による廃棄物の攪拌方法を説明するための図である。図3は、従来技術による自動運転制御システムにおける、剪定ごみの攪拌方法を説明するための図である。図4は、従来技術による自動運転制御システムにおける、破砕ごみの攪拌方法を説明するための図である。
【0046】
図2に示すように、従来技術においては、まず、作業者Uが操作装置を用いて、クレーン252およびバケット253を操作して、貯留ピット26における所定位置の廃棄物50を把持する。次に、作業者Uは、バケット253が把持した廃棄物50aの種類を確認した後、クレーン252を移動させたりバケット253を開閉させたりすることによって、廃棄物50上に廃棄物50aをばら撒く。作業者Uは、バケット253の開閉動作に伴って落下する廃棄物50aの落下量を、目視または所定のモニタを通じて確認しつつ、廃棄物50上に廃棄物50aを均等に分散させる。これにより、廃棄物50は貯留ピット26内において、均等に分散されて攪拌される。
【0047】
これに対し、作業者Uによる操作の手間を低減するため、廃棄物50aのばら撒きを自動運転制御システムにより行う方法が提案された。従来の自動運転制御システムによる廃棄物50aのばら撒きにおいては、図3および図4に示すように、自動制御装置100がクレーン252およびバケット253を制御する。自動制御装置100は、クレーン252をあらかじめ設定された所定時間で移動させながら、バケット253をあらかじめ設定された所定回数で開閉させて、廃棄物50aを廃棄物50上に落下させる。
【0048】
ここで、バケット253が把持している廃棄物50aが剪定ごみや庭木(以下、剪定ごみと総称する)の場合、剪定ごみは伐採した枝木が多く含まれることから、塊状であることが多い。そのため、図3に示すように、途中で廃棄物50aがばら撒けずに、最後の方でバケット253に把持されて残った廃棄物50aをまとめて落下させることになる。したがって、廃棄物50aを均一にばら撒くことが困難になる。
【0049】
一方、バケット253が把持している廃棄物50aが破砕ごみである場合、破砕ごみは軽くて細かいことから、ばらけやすく落下しやすい。そのため、図4に示すように、クレーン252を移動させてバケット253を開閉させる動作を繰り返している途中で、ほとんどの廃棄物50aが落下してしまい、廃棄物50aを均一にばら撒くことが困難になる。
【0050】
以上のように、従来の自動制御装置100においては、人手による操作作業が不要になる一方、廃棄物50aを均一にばら撒いて廃棄物50を攪拌させることが困難であった。そこで、本発明者は上述した課題について鋭意検討を行い、バケット253が把持した廃棄物50aの種類を判別し、かつ廃棄物50aの種類に応じてばら撒きの方法を変更する方法を案出した。すなわち、廃棄物50aの種類や落下量に応じて、バケット253の開閉時間や開閉回数を変化させて、ばら撒き方を調整する方法を案出した。これによって、貯留ピット26内において、廃棄物50aを均一にばら撒くことが可能になる。以下に説明する一実施形態は、以上の検討に基づいて案出されたものである。
【0051】
(廃棄物攪拌方法)
次に、本発明の一実施形態による廃棄物攪拌方法について説明する。図5は、本実施形態による廃棄物の攪拌方法を説明するための図である。図6は、本実施形態による廃棄物の攪拌方法を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明において、各種情報の送受信はネットワーク2およびそれぞれの通信部13,22を介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する。また、制御部11,21および燃焼制御装置31などにおいて、各種情報を生成したり受信したりした場合、生成したり受信したりした各種情報は所定の記憶部に記憶されるが、この点についての都度の説明は省略する。
【0052】
図5に示すように、貯留ピット26においては、把持部25が移動可能に備えられているとともに、撮像部23およびセンサ部24が設けられている。撮像部23、センサ部24、および把持部25は、攪拌制御装置10から送信される制御信号に基づいて、制御部21が制御する。なお、攪拌制御装置10の制御部11が、撮像部23、センサ部24、および把持部25を直接的に制御してもよい。撮像部23は、所定位置の廃棄物50や、把持部25のバケット253が把持した廃棄物50aを撮像可能に設置されている。センサ部24は、バケット253から落下する廃棄物50aを検知可能に設置されている。なお、撮像部23やセンサ部24は、把持部25に設けてもよい。また、把持部25には、荷重計251(図5中、図示せず)が設けられている。
【0053】
次に、上述した貯留ピット26において実行される廃棄物攪拌方法について説明する。図6に示すように、まず、ステップST1において、廃棄物50aの特定を行う。
【0054】
すなわち、まず、貯留ピット26内の所定位置に存在する廃棄物50aを把持部25によって把持する。続いて、把持部25が把持した廃棄物50aを撮像部23によって撮像し、撮像した画像データを攪拌制御装置10に送信する。画像データを受信した制御部11の廃棄物特定部111は、画像データに基づいて、廃棄物50aの種類を複数種類の種類から特定する。具体的に例えば、廃棄物特定部111は、廃棄物50aが破砕ごみであるか剪定ごみであるかの2種類のごみのいずれであるかを判別する。すなわち、廃棄物特定部111は、取得した画像データを入力パラメータとして、種類学習済みモデル12aに入力する。廃棄物特定部111は、種類学習済みモデル12aから出力パラメータとして廃棄物50aの種類情報を取得する。ここで、廃棄物50aの種類の判定は、バケット253が把持した廃棄物50aの画像データを種類学習済みモデル12aに入力した場合に、確率が例えば50%を超えた種類とすることができる。本実施形態において、種類情報は、例えば破砕ごみおよび剪定ごみの2種類のいずれかとしたが、3種類以上としてもよく、必ずしも限定されない。また、撮像部23によって、バケット253により把持された廃棄物50aを撮像して判別する代わりに、バケット253が把持する位置に存在する廃棄物50を撮像して判別してもよい。
【0055】
また、廃棄物特定部111は、必要に応じて、廃棄物50aの種類情報以外にも、荷重計251により計測された、バケット253が把持した廃棄物50aの重量の情報を取得してもよい。また、廃棄物特定部111は、必要に応じて、撮像部23によって撮像された画像データから導出された廃棄物50aの容積と、荷重計251によって計測された廃棄物50aの重量とから導出された比重の情報を取得してもよい。
【0056】
次に、ステップST2において、攪拌情報生成部112は、取得した種類情報に基づいて攪拌情報を、生成、索出、または調整する。すなわち、本実施形態においては、廃棄物特定部111は、取得した廃棄物50aの種類情報と、バケット253が把持した廃棄物50aの重量、容積、または比重とを、攪拌情報生成部112に出力する。攪拌情報生成部112は、取得した廃棄物50aに関する情報に基づいて、攪拌情報データベース12cから、所定の攪拌情報を索出する。
【0057】
具体的に例えば、種類情報が破砕ごみである場合、索出される攪拌情報は、バケット253の開閉時間が例えば数秒と短く、かつ開閉回数が例えば10数回と多い、バケット253の開閉時間および開閉回数を含む情報である。また、例えば、種類情報が剪定ごみである場合、索出される攪拌情報は、バケット253の開閉時間が例えば10数秒と長く、かつ開閉回数が数回と少ない、バケット253の開閉時間および開閉回数を含む情報である。なお、攪拌情報データベース12cにあらかじめ格納されている攪拌情報は、例えば、作業者が手動で操作したクレーン252やバケット253の操作の情報を蓄積して得られた攪拌情報とすることができる。
【0058】
次に、ステップST3において、廃棄物貯留設備20における攪拌作業を実行する。すなわち、攪拌情報生成部112は、索出した攪拌情報に基づいて、廃棄物貯留設備20の制御部21に、クレーン252およびバケット253の動作を制御する攪拌信号を送信する。制御部21は、受信した攪拌信号に基づいてクレーン252およびバケット253の制御を行う。
【0059】
具体的に制御部21は、上述した攪拌情報に基づいて、クレーン252を貯留ピット26内の所定位置まで移動させ、バケット253により廃棄物50aを把持する。その後、バケット253によって廃棄物50を把持した状態で、クレーン252を移動させたりバケット253を開閉させたりして、貯留ピット26内に廃棄物50aをばら撒く。これによって、貯留ピット26内の廃棄物50が分散されて攪拌される。
【0060】
次に、ステップST4において、攪拌制御装置10の制御部11における学習部113は、上述した攪拌情報に基づいて実行された攪拌作業の分析または学習を行う。すなわち、攪拌作業において、バケット253の開閉に伴って廃棄物50aの一部が落下すると、バケット253が把持している廃棄物50aの重量が変化するため、荷重計251によって廃棄物50aの落下重量を検出できる。なお、クレーン252の停止および移動による加減速に伴って、荷重計251の計測値においては過渡影響が生じる。そこで、制御部11または制御部21は、通常の廃棄物50aを把持した状態のクレーン252の速度、荷重、およびロープ長などの移動データに基づき、荷重計251の計測値から動的な影響部分を排除して廃棄物50aの重量を導出する。導出された廃棄物50aの落下重量は、学習部113にフィードバックされる。
【0061】
一方、上述した攪拌情報において、バケット253における開放量および開時間が設定されている。制御部11は、廃棄物50aの種類ならびに落下重量、およびバケット253の開放量ならびに開時間を含む情報を、学習部113に入力する。また、学習部113に入力される情報は、廃棄物50aの種類、重量、容積、および比重から選択された情報、攪拌作業におけるクレーン252の把持高、放下高、移動経路、移動範囲、移動速度、移動時間、ならびに停止時間、およびバケット253の開時間、閉時間、開閉回数、ならびに開放量などから選択された情報とすることができる。
【0062】
分析学習手段としての学習部113は、取得した情報に基づき、実行されている攪拌作業における残りの攪拌作業において、廃棄物50aのばら撒きの均一性が増加するように、クレーン252の移動に関する各種パラメータ、バケット253の開放量、開閉時間、および開閉回数を再計算する。学習部113は、導出した情報を攪拌情報生成部112に出力する。なお、ばら撒きの均一性は、把持部25の位置情報と、この位置におけるバケット253から落下した廃棄物の重量や容積とに基づいて、制御部11によって評価できる。なお、撮像部23による貯留ピット26内の表層の廃棄物50aを撮像した画像データを、均一性を評価する学習済みモデルに入力して、ばら撒きの均一性を評価するようにしてもよい。さらに、後段の焼却炉33における燃焼状態の変化に基づいて、廃棄物の攪拌の均一性や均質性の評価を行うことも可能である。
【0063】
次に、ステップST5において、制御部11は、荷重計251から取得した情報に基づいて、バケット253が把持している廃棄物50aが全て落下したか否かを判定する。なお、判定は制御部21が行ってもよい。制御部11または制御部21が、廃棄物50aが全て落下していないと判定した場合(ステップST5:No)、攪拌制御処理はステップST2に復帰する。ステップST2において攪拌情報生成部112は、学習部113から取得した情報に基づいて、攪拌情報を調整して攪拌情報データベース12cに格納する。この場合、攪拌情報データベース12cへの攪拌情報の格納は、攪拌情報の更新でも攪拌情報の追記でもよい。これにより、廃棄物50aの種類、重量、容積、および比重に対応した、クレーン移動情報およびバケット開閉情報を、攪拌情報として攪拌情報データベース12cに蓄積できる。
【0064】
その後、ステップST5において、バケット253が把持している廃棄物50aが全て落下する(ステップST5:Yes)まで、ステップST2~ST4が繰り返し実行される。すなわち、攪拌作業中において攪拌情報が逐次調整されて、調整された攪拌情報に基づいて貯留ピット26における攪拌作業が実行される。その後、バケット253が把持している廃棄物50aが全て落下すると、ステップST6に移行する。
【0065】
ステップST6において制御部11は、分析および学習結果を反映させる。すなわち、制御部11の攪拌情報生成部112は、攪拌作業の開始時点における廃棄物50aの種類および重量に対応した、攪拌作業の開始から終了までの攪拌情報を、新たな攪拌情報として攪拌情報データベース12cに格納する。これにより、攪拌情報データベース12cにおいては、廃棄物50aの種類および重量の組に対応して、攪拌作業の開始から終了までの攪拌情報が更新される。なお、新たな攪拌情報は攪拌情報データベース12cに追記してもよい。制御部11は、次回以降の攪拌作業において、今回の廃棄物50aの種類および重量に該当した場合、更新または追記された攪拌情報を、攪拌情報データベース12cから索出して出力する。以上により、攪拌制御処理が終了する。
【0066】
(第1変形例)
次に、上述した一実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例においては、上述した攪拌制御処理のステップST3,ST4において、バケット253から落下した廃棄物50aをセンサ部24によって検出して、落下した廃棄物50aの容積や重量を検出する。制御部21は、センサ部24によって検出された廃棄物50aの落下容積や落下重量の情報を制御部11にフィードバックする。制御部11は、廃棄物50aの種類ならびに落下容積や落下重量、およびバケット253の開放量ならびに開時間を含む情報を、学習部113に入力する。学習部113は、取得した情報に基づき、クレーン252の移動に関するパラメータ、バケット253の開放量、開閉時間、および開閉回数を再計算する。その他の構成は上述した一実施形態と同様である。
【0067】
(第2変形例)
次に、上述した一実施形態の第2変形例について説明する。第2変形例においては、上述した攪拌制御処理のステップST3,ST4において、撮像部23によってバケット253を撮像して、バケット253に把持されている廃棄物50aの容積を導出し、荷重計251により計測された廃棄物50aの重量とから、廃棄物のごみ嵩比重を導出する。制御部21は、撮像部23によって検出された廃棄物50aの比重の情報を制御部11にフィードバックする。制御部11は、廃棄物50aの種類ならびに比重、およびバケット253の開放量ならびに開時間を含む情報を、学習部113に入力する。学習部113は、取得した情報に基づき、クレーン252の移動に関するパラメータ、バケット253の開放量、開閉時間、および開閉回数を再計算する。その他の構成は上述した一実施形態と同様である。
【0068】
(第3変形例)
次に、上述した一実施形態の第3変形例について説明する。第3変形例においては、上述した攪拌制御処理のステップST2,ST3,ST4において、学習部113による機械学習を行う。この場合、初期の攪拌学習モデル12bは、上述した一実施形態、第1変形例、および第2変形例によって得られた各種情報を教師データとすることができる。すなわち、攪拌学習モデル12bは、廃棄物50aにおける、種類情報と、重量、容積、および比重から選ばれた少なくとも1種類の情報とを入力パラメータとし、蓄積された攪拌情報を出力パラメータとした入出力データセットを教師データとして、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習などの機械学習により生成することができる。
【0069】
図6に示すステップST2において、攪拌情報生成部112は、取得した種類情報に基づいて攪拌情報を生成する。具体的に、第3変形例において廃棄物特定部111は、取得した廃棄物50aの種類情報と、バケット253が把持した廃棄物50aの重量、容積、または比重とを、攪拌情報生成部112に出力する。攪拌情報生成部112は、取得した廃棄物50aに関する情報を入力パラメータとして、攪拌学習モデル12bに入力する。攪拌学習モデル12bは、廃棄物50aに対応した攪拌情報を出力パラメータとして出力し、攪拌情報データベース12cに格納する。
【0070】
次に、ステップST3において、攪拌情報生成部112は、攪拌学習モデル12bから出力された攪拌情報に基づいて、廃棄物貯留設備20の制御部21に、クレーン252およびバケット253の動作を制御する攪拌信号を送信する。制御部21は、受信した攪拌信号に基づいてクレーン252およびバケット253の制御を行う。制御部21は、上述した攪拌情報に基づいて、クレーン252およびバケット253を制御して、貯留ピット26内に廃棄物50aをばら撒き、攪拌させる。
【0071】
次に、ステップST4において、上述した一実施形態や第1、第2変形例と同様に、攪拌制御装置10の制御部11における学習部113は、上述した攪拌情報に基づいて実行された攪拌作業の分析を行う。学習部113は、取得した各種情報に基づいて、実行されている攪拌作業の残りの攪拌作業において、廃棄物50aのばら撒きの均一性が向上するように、上述したクレーン252の移動に関する各種パラメータ、およびバケット253の開閉に関する各種パラメータを再計算して導出する。学習部113は、導出した各種パラメータに基づいて機械学習を行い、攪拌学習モデル12bを更新する。これにより、攪拌情報をより最適化することができる。なお、以上のステップST2,ST3,ST4によって強化学習を行って、攪拌学習モデル12bを生成してもよい。
【0072】
以上説明した一実施形態においては、貯留ピット26に貯留されている廃棄物50の一部を把持する把持部25によって、貯留ピット26内の廃棄物50を攪拌する場合に、廃棄物50の種類に対応させて、貯留ピット26内の廃棄物50を攪拌させる攪拌パターンを変更している。これにより、貯留ピット26内の廃棄物50を高い均一性で攪拌することが可能になる。また、攪拌作業中においても、バケット253が把持した廃棄物50aの重量、容積、または比重に応じて、バケット253の開閉パターンを逐次変更していることにより、廃棄物50をさらに高い均一性でばら撒くことが可能になる。これにより、後段における焼却炉33による廃棄物50の焼却を安定して行うことができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよく、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。
【0074】
例えば、上述の一実施形態において挙げた入力パラメータや出力パラメータはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて上述したパラメータと異なる、入力パラメータや出力パラメータを用いてもよい。また、教師データとしての入力パラメータおよび出力パラメータの入出力データセットもあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、上述した教師データとは異なる教師データを用いてもよい。
【0075】
また、上述した一実施形態においては、記憶部12に種類学習済みモデル12aを格納しているが、種類学習済みモデル12aを、公衆回路網などのネットワーク2を介して攪拌制御装置10と通信可能な、廃棄物50,50aの画像の判断を行う廃棄物種類判別サーバの記憶部に格納しておくことも可能である。この場合、撮像部23が撮像した廃棄物50,50aの画像データは、ネットワーク2を介して廃棄物種類判別サーバに送信され、判別結果が攪拌制御装置10に送信される。また、攪拌学習モデル12bや攪拌情報データベース12cも同様に、ネットワーク2を介して接続された外部のサーバの記憶部に格納しておくことが可能であり、必要に応じて、ネットワーク2を経由して情報の送受信を行うことが可能である。
【0076】
また、上述した一実施形態においては、機械学習の一例としてニューラルネットワークを用いたディープラーニング(深層学習)を用いたが、それ以外の方法に基づく機械学習を行ってもよい。例えば、サポートベクターマシン、決定木、単純ベイズ、k近傍法など、他の教師あり学習を用いてもよい。また、教師あり学習に代えて半教師あり学習を用いてもよい。
【0077】
また、一実施形態においては、上述してきた「部」を、「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御回路に読み替えることができる。
【0078】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「その後」、「続いて」などの表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本実施形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。すなわち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0079】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 自動運転制御システム
2 ネットワーク
10 攪拌制御装置
11,21 制御部
12 記憶部
12a 種類学習済みモデル
12b 攪拌学習モデル
12c 攪拌情報データベース
13,22 通信部
14 入力部
15 出力部
20 廃棄物貯留設備
23 撮像部
24,32 センサ部
25 把持部
26 貯留ピット
30 廃棄物焼却設備
31 燃焼制御装置
33 焼却炉
50,50a 廃棄物
111 廃棄物特定部
112 攪拌情報生成部
113 学習部
251 荷重計
252 クレーン
253 バケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6