(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20231024BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20231024BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20231024BHJP
H01B 5/14 20060101ALN20231024BHJP
H01B 7/18 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
B60R16/02 620Z
H02G3/04
B60R13/02 B
H01B5/14 Z
H01B7/18 D
(21)【出願番号】P 2020055899
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 ゆり野
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】武久 愛
(72)【発明者】
【氏名】谷口 拓也
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204743(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155166(WO,A1)
【文献】特開2014-204485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/04
B60R 13/02
H01B 5/14
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両においてパネルと内装部材との間に配置される機能性シートと、
前記機能性シートに対して一方の面側に配置される伝送部材と、
前記伝送部材の一部を覆う導電性シートと、
を備え、
前記機能性シートは導電層と、熱調整機能及び防音機能のうち少なくとも一方の機能を奏する層とを有し、
前記導電性シートは前記導電層と電気的に接続されて
おり、
前記機能性シートに対して一方の面側に配置される第2伝送部材をさらに備え、
前記伝送部材と前記第2伝送部材との間に前記導電性シートが設けられており、
前記伝送部材と前記第2伝送部材とが交差部において交差しており、
前記交差部において前記伝送部材と前記第2伝送部材との間に前記導電性シートが介在している、配線モジュール。
【請求項2】
車両においてパネルと内装部材との間に配置される機能性シートと、
前記機能性シートに対して一方の面側に配置される伝送部材と、
前記伝送部材の一部を覆う導電性シートと、
を備え、
前記機能性シートは導電層と、熱調整機能及び防音機能のうち少なくとも一方の機能を奏する層とを有し、
前記導電性シートは前記導電層と電気的に接続されて
おり、
導電性を有する材料によって形成された留具をさらに備え、
前記留具は相互につながる第1接触部及び第2接触部を含み、
前記第1接触部は前記導電性シートに接触し、前記第2接触部は前記導電層に接触して前記機能性シートと前記導電性シートとを留める、配線モジュール。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の配線モジュールであって、
前記導電層には車体における金属部と電気的に接続可能な車体側接続部が設けられている、配線モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記導電性シートは前記機能性シートを構成するシートの導電層の一部が曲げられて設けられている、配線モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記伝送部材の端部に設けられたコネクタが前記機能性シートに配置され、
前記導電性シートが前記コネクタのうち少なくとも前記伝送部材が延び出る部分を覆う、配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート材上において電線が交差されて配線された配線部材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート材に沿って電線が配置された配線部材において、電線にはノイズが生じ、複数の電線間における場合は、クロストークなどのノイズが生じうる。
【0005】
そこで、シートに沿って伝送部材が配置された配線モジュールにおいて、伝送部材に生じるノイズを簡易に抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線モジュールは、車両においてパネルと内装部材との間に配置される機能性シートと、前記機能性シートに対して一方の面側に配置される伝送部材と、前記伝送部材の一部を覆う導電性シートと、を備え、前記機能性シートは導電層と、熱調整機能及び防音機能のうち少なくとも一方の機能を奏する層とを有し、前記導電性シートは前記導電層と電気的に接続されている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シートに沿って伝送部材が配置された配線モジュールにおいて、伝送部材に生じるノイズを簡易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は配線モジュールが組込まれた車両を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態1にかかる配線モジュールを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は実施形態1にかかる配線モジュールを示す斜視図である。
【
図5】
図5は
図4のV-V線に沿って切断された断面図である。
【
図6】
図6は
図4のVI-VI線に沿って切断された断面図である。
【
図8】
図8は実施形態2にかかる配線モジュールを示す平面図である。
【
図9】
図9は
図8のIX-IX線に沿って切断された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線モジュールは、次の通りである。
【0011】
(1)車両においてパネルと内装部材との間に配置される機能性シートと、前記機能性シートに対して一方の面側に配置される伝送部材と、前記伝送部材の一部を覆う導電性シートと、を備え、前記機能性シートは導電層と、熱調整機能及び防音機能のうち少なくとも一方の機能を奏する層とを有し、前記導電性シートは前記導電層と電気的に接続されている、配線モジュールである。これにより、伝送部材の一部を覆う導電性シートが機能性シートにおける導電層と電気的に接続されていることによって、伝送部材に生じるノイズを機能性シート及び導電性シートによって簡易に抑制することができる。
【0012】
(2)(1)の配線モジュールにおいて、前記導電層には車体における金属部と電気的に接続可能な車体側接続部が設けられていてもよい。これにより、導電性シート及び機能性シートが車体における金属部と接続されることができ、導電性シート及び機能性シートのシールド効果が高まる。
【0013】
(3)(1)又は(2)の配線モジュールにおいて、前記機能性シートに対して前記一方の面側に配置される第2伝送部材をさらに備え、前記伝送部材と前記第2伝送部材との間に前記導電性シートが設けられていてもよい。これにより、伝送部材及び第2伝送部材が導電性シートに仕切られため、伝送部材及び第2伝送部材間のノイズが簡易に抑制される。
【0014】
(4)(3)の配線モジュールにおいて、前記伝送部材と前記第2伝送部材とが交差部において交差しており、前記交差部において前記伝送部材と前記第2伝送部材との間に前記導電性シートが介在していてもよい。これにより、交差部においても伝送部材及び第2伝送部材間のクロストーク等のノイズを簡易に抑制できる。
【0015】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの配線モジュールにおいて、前記導電性シートは前記機能性シートを構成するシートの導電層の一部が曲げられて設けられていてもよい。これにより、一つのシートによって導電性シートと機能性シートとが構成されるため、導電性シートと機能性シートとの電気的な接続状態が安定する。また一つのシートが曲げられた部分において導電性シートと機能性シートとを電気的に接続する接続部材を省略でき、配線部材において部品点数が増加することを抑制できる。
【0016】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの配線モジュールにおいて、導電性を有する材料によって形成された留具をさらに備え、前記留具は相互につながる第1接触部及び第2接触部を含み、前記第1接触部は前記導電性シートに接触し、前記第2接触部は前記導電層に接触して前記機能性シートと前記導電性シートとを留めていてもよい。これにより、留具を介して機能性シート及び導電性シートが電気的に接続される。機能性シート及び導電性シートを電気的に接続する部材を留具とは別に設けずに済む。
【0017】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの配線モジュールにおいて、前記伝送部材の端部に設けられたコネクタが前記機能性シートに配置され、前記導電性シートが前記コネクタのうち少なくとも前記伝送部材が延び出る部分を覆っていてもよい。これにより、コネクタに接続される伝送部材に生じるノイズも簡易に抑制できる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線モジュールについて説明する。
【0020】
<配線モジュールが組込まれる車両について>
図1は配線モジュール20が組込まれた車両10を示す概略斜視図である。車両10は、ボディ12を備える。ボディ12は、車両10の外形をなす部分である。ボディ12は、モノコックボディであってもよいし、ラダーフレーム上に搭載されるボディであってもよい。ここでは、ボディ12は、車室を囲む側方パネル、ルーフパネル13、さらには、乗員が乗り降りするための乗降用ドアパネル、荷物を出し入れするためのリアドアパネル等を含む。ボディ12は、金属によって形成されてもよいし、樹脂によって形成されてもよい。ボディ12は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ボディ12のうち車室の上方を覆う板状の部分がルーフパネル13である。ルーフパネル13は、ボディ12の外観形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。ルーフパネル13は、金属で形成されてもよいし、樹脂で形成されてもよい。ルーフパネル13は、金属と樹脂との組合せによって構成されていてもよい。ここでは、ルーフパネル13には、アンテナ用孔13hが形成されている(
図2参照)。
【0021】
配線モジュール20は、車両10に組込まれる。配線モジュール20は、パネルと内装部材との間に設けられる。本実施形態では、配線モジュール20が、ルーフパネル13を含むルーフ14に組込まれる例が説明される。配線モジュール20は、車両10におけるその他の部位、例えば、乗降用ドア、リアドア、インストルメントパネル等に組込まれてもよい。
【0022】
図2は実施形態1にかかる配線モジュール20を示す分解斜視図である。
図3は実施形態1にかかる配線モジュール20を示す斜視図である。
図2は配線モジュール20を斜め上方から見たときの図であり、
図3は配線モジュール20を斜め下方から見たときの図である。
【0023】
図2においては、ルーフ14が図示されている。ルーフ14としては、上記ルーフパネル13と内装部材16とが図示されている。内装部材16は、樹脂等で形成された板状部材である。内装部材16は、車室内の天井形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。内装部材16は、ルーフパネル13に対して下側に取付けられる。内装部材16は、車室内に露出する部分である。内装部材16は、ルーフライナ(roof liner)と呼ばれることもある。本実施形態では、配線モジュール20は、ルーフパネル13と内装部材16との間に設けられる。
【0024】
<配線モジュールの全体構造について>
配線モジュール20は、機能性シート30と、電線40と、導電性シート50とを備える。
【0025】
機能性シート30は、ルーフ14に対して面状に広がるように、当該ルーフ14に組込まれる。例えば、機能性シート30は、ルーフ14に対して8割以上の面積に広がって配設されてもよい。また、例えば、機能性シート30は、車室内の複数の乗員席のヘッドレストの上方全体に広がるように配設されてもよい。機能性シート30がルーフ14に対して広がって配設されることで、ルーフ14に対してなるべく広い領域で、電線40等の固定を行える。また、機能性シート30が持つ機能を、ルーフ14に対してなるべく広い領域で、発揮することができる。
【0026】
電線40は機能性シート30に沿って配置されている。電線40はルーフ14に配置される機器70に接続される。電線40は機器70に接続可能となるように所定の経路に沿って延びている。機器70は、電線40を介して電気信号を送信し又は受信する。または、機器70は、電線40を介して電力供給を受けたり、電力を分配したりする。電線40と機器70との接続は、コネクタCを介して行われているものがある。コネクタCを介さずに電線40が機器70内に直接導入され、機器70内の電気要素に直接に接続されていてもよい。機器70としては、例えば、電子制御ユニット、ランプ(特にマップランプ、室内ランプ)、スピーカ、室内カメラ、モニタ、投影機器、外部通信用アンテナ、室内側アンテナ等が想定される。
図2における機器70Aは、電子制御ユニットであるとして説明する。この電子制御ユニット70Aは、車両10に設けられた他の電子制御ユニットと通信しつつ、ルーフ14に搭載される各機器70を制御する機器である。また
図2における機器70Bは、外部通信用アンテナユニットであるとして説明する。外部通信用アンテナユニット70Bは当該車両10と外部の機器、他の車両との間での無線通信を行う機器である。
【0027】
ここでは電線40は複数含まれる。複数の電線40は、電子制御ユニット70Aから前方に向かう経路、及び電子制御ユニット70Aから機器70に向う複数の経路のそれぞれに沿って配置される。
【0028】
電子制御ユニット70Aから前方に向かう経路に沿う電線40は、機能性シート30の領域内においては当該機能性シート30に取付けられることで、一定の経路に沿って保持されている。電子制御ユニット70Aから前方に向かう経路に沿う電線40は、機能性シート30の前部から外方に延出する。この電線40は、例えば、車両10におけるAピラー等に沿って配設されて、車両10における他の電子制御ユニット、電源等に接続される。
【0029】
電子制御ユニット70Aから複数の機器70に向う複数の経路に沿う複数の電線40は、機能性シート30に取付けられることで、一定の経路に沿って保持されている。この複数の電線40の経路は、任意である。
【0030】
導電性シート50は機能性シート30に重ねられる。導電性シート50は電線40を電磁遮蔽する。ここでは、導電性シート50は機能性シート30に部分的に重なっているものとして説明される。
【0031】
複数の電線40の経路同士は交差しないことが好ましい。複数の電線40の経路同士が交差しなければ、その交差部によって配線モジュール20の厚さが増えてしまうことが抑制される。また、交差部において電線40間にクロストーク等のノイズ問題が発生することが抑制される。しかしながら、複数の電線40の経路によっては交差部が生じてしまう恐れがある。この場合、交差部において導電性シート50が設けられることで、交差部において電線40間にノイズ問題が生じにくくなる。
【0032】
<配線モジュールの各部について>
以下、
図1から
図3に加えて
図4から
図7も参照しつつ配線モジュール20の各部についてより詳しく説明する。
図4は
図3の一部が拡大された平面図である。
図5は
図4のV-V線に沿って切断された断面図である。
図6は
図4のVI-VI線に沿って切断された断面図である。
図7は
図3の別の一部が拡大された平面図である。
【0033】
<機能性シート>
機能性シート30は、
図5に示すように導電層32、防音層34及び熱調整層36を含む。導電層32、防音層34及び熱調整層36はこの順で積層されている。機能性シート30において導電層32が最外層となっている。もっと、機能性シート30が3層以上の複数層構造を有している場合、導電層32を含む複数層の重ね合わせ順は任意であり、例えば、導電層32が中間層となるように複数層が積層されていてもよい。機能性シート30は、車両10に配置された状態で、導電層32が最上層となるように配置される。機能性シート30は、車両10に配置された状態で、導電層32が最下層となるように配置されてもよい。
【0034】
導電層32は例えば電波遮蔽機能を奏する電波遮蔽層である。電波遮蔽層は、機能性シート30の一方の面側と他方の面側の間で、電波が伝わり難いようにする層である。電波遮蔽層は、アルミニウム、鉄等の金属が一様に広がって形成された層であってもよい。
【0035】
防音層34は防音機能を奏する層である。防音層34は、機能性シート30の一方の面側及び他方の面側の間で、音が伝わり難いようにする層である。防音層34は、音を反射するものであってもよいし、音のエネルギーを熱エネルギーとして吸収するものであってもよい。具体的には、防音層34としては、不織シート、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。防音層34としては、吸音塗料が用いられてもよい。
【0036】
熱調整層36は熱調整機能を奏する層である。熱調整層36は室内側の機能性シート30の一方の面側及び他方の面側の間を通る熱を調整する層である。熱調整層36は、機能性シート30の一方の面側及び他方の面側の間で、熱が伝わり難いようにする層であってもよい。熱調整層36は、他の層よりも熱伝導率が低い層であってもよい。熱調整層36は、熱放射エネルギーを反射する層であってもよい。熱調整層36は、熱エネルギーを放射する層であってもよい。具体的には、熱調整層36としては、不織シート、発泡シート等のように、細かい隙間を含むシートが用いられてもよい。熱調整層36としては、断熱塗料、遮熱塗料、放熱塗料が用いられてもよい。
【0037】
機能性シート30が防音層34及び熱調整層36の両方を含むことは必須の構成ではない。機能性シート30は防音層34及び熱調整層36のいずれか一方のみを含むものであってもよい。また機能性シート30は防音層34及び熱調整層36に代えて熱調整機能及び防音機能の両方の機能を奏する1つの層を有していてもよい。例えば、不織シートによって構成された層は、熱調整層及び防音層としての機能を兼ね備えることができる。
【0038】
なお、各層は、単に重ね合されただけであってもよい。各層は、両面テープ、接着剤、溶着等によって固定されていてもよい。各層が固定される場合、全面的に固定されていてもよいし、面の一部のみが固定されていてもよい。
【0039】
またここでは機能性シート30は電線40又は機器70等の機能性シート30上に配置される部材が固定される機能も持つ。
【0040】
<電線>
電線40は伝送部材の一例である。電線40は、単芯電線であってもよいし、複数の単芯電線の複合物であってもよい。単芯電線は、芯線42と芯線42の周囲の被覆層44とを有する一般的な単芯電線であってもよいし、裸導線、シールド線、エナメル線、ニクロム線、同軸線等であってもよい。複数の単芯電線の複合物としては、シース付きのケーブルであってもよいし、シースのないケーブルであってもよい。シース付きのケーブルは、複数の単芯電線と複数の単芯電線を覆うシースとを有する。シースのないケーブルとしては例えば、ツイスト線のように複数の単芯電線が撚られてまとめられたものが採用される。電線40の用途としては、各種信号線、各種電力線であってもよく、機器70に応じて設定される。
【0041】
電線40は、機能性シート30に取付けられている。電線40が機能性シート30に対して一定の経路に沿って配置されるように取付けられていればよく、固定のための具体的構成は特に限定されない。なお、電線40は、導電性シートにも取付けられていてもよい。その場合、より強く固定することができる。
【0042】
例えば、電線40は、機能性シート30の一方の面に対して取付けられていてもよい。例えば、電線40は、機能性シート30の一方の面に対して溶着(融着ともいう)されていてもよい。これにより形成された溶着部は、電線40及び機能性シート30の少なくとも一方の一部が溶けて相互にくっついた状態となっている。電線40と機能性シート30との溶着は、超音波溶着によってなされてもよいし、加熱溶着によってなされてもよい。また、電線40と機能性シート30との少なくとも一方の表面が溶剤によって溶かされることで、電線40と機能性シート30とが溶着されてもよい。また、例えば、電線40は、機能性シート30に対して、接着剤、両面テープ等によって取付けられていてもよい。また、例えば、電線40は、縫糸等によって、機能性シート30に対して縫付けられていてもよい。また、例えば、電線40が機能性シート30の一方の面上に配設された状態で、機能性シート30の一方の面側から電線40を跨ぐように粘着テープが貼付けられることで、電線40が機能性シート30の一方の面に取付けられていてもよい。
【0043】
電線40は、機能性シート30の一方の面のみに取付けられる必要は無い。電線40は、機能性シート30の一方の面に取付けられる部分と、機能性シート30の他方の面に取付けられる部分とを併有していてもよい。この場合、電線40は、機能性シート30の中間部又は端縁部において一方の面から他方の面に向けて通るように付設されてもよい。
【0044】
また、例えば、電線40は、2つのシートの間に挟み込まれることで、機能性シート30に取付けられていてもよい。例えば、機能性シート30が複数層を含む場合において、電線40が各層を構成するシートの間に挟込まれていてもよい。また、機能性シート30に他のシートが重ね合される場合において、機能性シート30と当該他のシートとの間に、電線40が挟込まれていてもよい。この場合において、電線40を挟込む2つのシート同士は、溶着によって取付けられてもよいし、接着剤又は両面テープによって取付けられてもよい。また機能性シート30に他のシートが重ね合される場合、他のシートにも電線が取付けられてもよい。これにより、他のシートを重ね合わせることで、各種線を2重、3重と重ね合わせた状態で配索することが可能となる。
【0045】
複数の電線40は、第1電線40A及び第2電線40Bを含む。第1電線40Aと第2電線40Bとが交差部において交差している。第1電線40A及び第2電線40Bは機能性シート30に対して一方の面側に配置される。第1電線40A及び第2電線40Bの間には導電性シート50が設けられる。第1電線40A及び第2電線40Bは機能性シート30に取付けられている。
【0046】
図7に示すように機能性シート30にコネクタCが配置される。
図7に示すコネクタCは電子制御ユニット70Aに接続される。コネクタCには電線40の端部が収められている。
【0047】
<導電性シート>
導電性シート50は導電性を有する材料によってシート状に形成されている。導電性シート50はアルミニウム、鉄等の金属で形成される。ここでは導電性シート50が一層構造を有する部材であるものとして説明される。導電性シート50に別のシートが重ねられていてもよい。例えば、一層構造の導電性シート50に代えて機能性シート30と同じ積層構造を有するシートが設けられていてもよい。この場合、当該シートにおける導電層に対応する層が導電性シートとされる。
【0048】
導電性シート50は、機能性シート30における導電層32と電気的に接続される。導電性シート50は機能性シート30に部分的に重なるように設けられている。ここでは導電性シート50は離れた2箇所に設けられている。以下では、2つの導電性シート50について区別が必要な場合、一方が導電性シート50Aとされ、他方が導電性シート50Bとされる。
【0049】
導電性シート50Aは第1電線40Aと第2電線40Bとの間に設けられる。交差部において第1電線40Aと第2電線40Bとの間に導電性シート50Aが介在している。ここでは第1電線40Aは機能性シート30と導電性シート50Aとに囲まれる領域を通っている。第2電線40Bが機能性シート30と導電性シート50Aとに囲まれる領域の外を通っている。第2電線40Bは導電性シート50Aの上を通っている。第2電線40Bが導電性シート50Aを跨いでいる。第2電線40Bは機能性シート30に取付けられているが、導電性シート50Aに取付けられていない。第2電線40Bは導電性シート50Aを跨ぐ部分の両隣の位置において機能性シート30に取付けられているとよい。第2電線40Bは導電性シート50Aに取付けられていてもよい。
【0050】
導電性シート50Aによって仕切られる第1電線40Aと第2電線40Bとの組み合わせは特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば第1電線40Aが電源線などノイズ源となり得る電線であり、第2電線40Bが通信線などノイズの影響を受けやすい電線であってもよい。また例えば第1電線40Aが通信線などノイズの影響を受けやすい電線であり、第2電線40Bが電源線などノイズ源となり得る電線であってもよい。
図2に示す例では第1電線40Aは外部通信用アンテナユニット70Bに接続される通信線である。第2電線40Bは例えばランプなど外部通信用アンテナユニットとは別の機器70に接続される電源線である。
【0051】
導電性シート50BはコネクタCのうち少なくとも電線40が延び出る部分を覆っている。ここでは導電性シート50BはコネクタC及びコネクタCが接続される機器70Aも全面的に覆っている。
【0052】
導電性シート50は留具60によって機能性シート30に留められている。従って配線モジュール20は留具60をさらに備える。
【0053】
<留具>
留具60は機能性シート30と導電性シート50とが重なる部分を留めている。留具60は第1接触部61及び第2接触部62を含む。第1接触部61及び第2接触部62は相互につながっている。ここでは第1接触部61及び第2接触部62は連結部63を介してつながっている。
【0054】
第1接触部61は導電性シート50に接触している。第2接触部62は導電層32に接触している。ここでは第1接触部61は導電性シート50を機能性シート30に向けて押さえ。また第2接触部62は機能性シート30を導電性シート50に向けて押さえる押え片である。もっとも第1接触部61及び第2接触部62は導電性シート50、導電層32にそれぞれ接触していればよく、押え片である必要はない。連結部63は機能性シート30及び導電性シート50を貫通している。
【0055】
ここでは
図6に示すように留具60は針金などの棒状部材が曲げられて形成されている。棒状部材の中間部が第1接触部61とされる。棒状部材の一端部及び他端部が第2接触部62とされる。第1接触部61及び第2接触部62の間が連結部63とされる。なお、
図6に示す例とは逆に、棒状部材の中間部が第2接触部62とされ、棒状部材の一端部及び他端部が第1接触部61とされてもよい。かかる留具60は例えばステープルなどであってもよい。U字状のステープルの両端部が機能性シート30及び導電性シート50を貫通後、曲げ変形されて留具60とされてもよい。なお、このほか連結部63が機能性シート30及び導電性シート50を貫通する留具60としては、ピアシング端子などが採用されてもよい。
【0056】
連結部63はシートを貫通していなくてもよい。例えば連結部は機能性シート30及び導電性シート50の外縁の外側で第1接触部61及び第2接触部62を連結していてもよい。かかる留具60としては例えば連結部がばね形状に形成されたばねクリップなどが採用されてもよい。
【0057】
留具60は機能性シート30及び導電性シート50を留める前から第1接触部61及び第2接触部62が一体の部材である。留具は機能性シート30及び導電性シート50を留める前に別体の部材であってもよい。留具は機能性シート30及び導電性シート50を留めた状態で、第1接触部及び第2接触部が相互につながっていればよい。かかる留具として例えば、ボルト及びナットなどであってもよい。
【0058】
<機能性シートと導電性シートとの電気的接続構造について>
機能性シート30における導電層32と導電性シート50とは電気的に接続されている。配線モジュール20は導電層32と導電性シート50との電気的接続部分を含む。かかる電気的接続部分は、直接接続部分であってもよいし、間接接続部分であってもよい。配線モジュール20は直接接続部分と間接接続部分とのうちいずれか一方又は両方を含んでいてもよい。
【0059】
直接接続部分は、導電層32と導電性シート50とが別の部材を介さずに直接的に接続される部分である。例えば、導電層32と導電性シート50とは1つの導体シートが曲げられたものである場合、導体シートにおける曲げ部が直接接続部分とみなされる。また、例えば、導電層32と導電性シート50とが接している場合、導電層32と導電性シート50との接触部分が直接接続部分とされる。導電層32と導電性シート50とが接している場合、導電層32と導電性シート50との接触状態は、導電層32と導電性シート50とが溶着されるなどして維持されていてもよい。また導電層32と導電性シート50とを接触状態に保持する保持部材が設けられていてもよい。例えば保持部材は留具60のように機能性シート30及び導電性シート50を挟んで押さえる部材であってもよい。
【0060】
間接接続部分は、導電層32と導電性シート50とが別の部材を介して間接的に接続される部分である。この場合、配線モジュールは導電層32と導電性シート50とを接続する電気接続部材を備える。
【0061】
ここでは配線モジュール20は間接接続部分を含む。ここでは導電層32と導電性シート50とが留具60を介して電気的に接続されている。従って、留具60は電気接続部材を兼ねる。具体的には、第1接触部61は導電性シート50に接触している。第2接触部62は導電層32に接触している。第1接触部61及び第2接触部62が連結されている。留具60は導電性を有する材料によって形成されている。これらより、導電層32と導電性シート50とが留具60を介して電気的に接続されている。ここでは機能性シート30及び導電性シート50は導電層32と導電性シート50とが相互に外向きとなるように積層されているが、このことは必須の構成ではない。例えば、導電層32が機能性シートにおいて中間層に位置していてもよい。この場合でも、第2接触部62が導電層32に接触していれば導電層32と導電性シート50とが留具60を介して電気的に接続されることができる。
【0062】
電気的に接続された導電層32及び導電性シート50は、配線モジュール20における電波遮蔽部をなす。配線モジュール20が車両10に組付けられた状態で、電波遮蔽部は車体における金属部に接地されている。車体における金属部はボディアースなどとも言う。
【0063】
<電波遮蔽部とボディアースとの接地構造について>
車両10に配線モジュール20が組付けられた状態で、機能性シート30は、内装部材16とルーフパネル13との間に位置する。機能性シート30は導電層32が車外側を向くように取付けられる。機能性シート30は、内装部材16等に固定されていてもよいし、単に内装部材16の上に載置されるだけであってもよい。例えば、機能性シート30は、両面テープ、接着剤、溶着等によって内装部材16等に固定されてもよい。
【0064】
導電層32には車体側接続部が設けられている。車体側接続部はボディアースと電気的に接続可能に設けられる。かかる車体側接続部の構成は特に限定されるものではない。ここでは車体側接続部として、導電層32とは別に接続部材80が設けられている。かかる接続部材80は例えば、導電層32上に設けられた導電ゴム又は導電性接着剤などである。接続部材80はボディアースと直接接触される。また留具60が接続部材として用いられてもよい。つまり導電層32を押さえる第2接触部62がボディアースと直接接触されてもよい。
【0065】
車体側接続部は導電層32の一部であってもよい。例えば、車体側接続部は、導電層32が露出する導電層露出部であってもよい。この場合、導電層露出部がボディアースと直接接触される。
【0066】
もっとも導電層32に車体側接続部が設けられることは必須の構成ではない。例えば、機能性シート30及び導電性シート50が車体における金属部に接地されない場合、導電層32に車体側接続部が設けられなくてもよい。また例えば、車体側接続部が導電性シート50に設けられていてもよい。
【0067】
図5及び
図6には車体側接続部(ここでは留具60及び接続部材80)がボディアースに接触する例が示されている。具体的には、同図において、ルーフパネル13に対して車室側には補強バー13aが設けられている。補強バー13aは金属材料によって形成される。補強バー13aはステイ又はビームなどと呼ばれることもある。車両10において補強バー13aは例えば、車幅方向に延びるように設けられる。車両10において補強バー13aは例えば、前後方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。留具60及び接続部材80は、いずれかの補強バー13aに接触している。留具60及び接続部材80はいずれかの補強バー13aの下に位置するように設けられる。そして留具60及び接続部材80は補強バー13aの下面に接触している。留具60及び接続部材80は補強バー13aの側面に接触していてもよい。なお、車体における金属部は、ボディフレームに限られず、ボディパネルなどであってもよい。例えばルーフパネル13に車体側接続部が接触していてもよい。
【0068】
車両10に配線モジュール20が組付けられた状態で、車両10における金属部13aと配線モジュール20における電波遮蔽部とは電気的に接続される。従って、本開示は配線モジュール20における電波遮蔽部の接地構造を含むととらえることもできる。配線モジュール20における電波遮蔽部の接地構造は、金属部13aと電波遮蔽部との電気的接続部分を含む。かかる電気的接続部分は、金属部13aと導電層32とが直接接触して接続された直接接続部分であってもよい。かかる電気的接続部分は、金属部13aと導電層32とが接続部材80を介して接続された間接接続部分であってもよい。
【0069】
<配線モジュールに組み込まれる機器について>
ルーフ14に配置される上記機器70の一部又は全部が配線モジュール20に組み込まれてもよい。上記機器70の一部が配線モジュール20に組み込まれる場合、配線モジュール20に組み込まれる機器70の組み合わせは任意である。例えば、内部通信用アンテナなどの比較的軽量の機器70が配線モジュール20に組み込まれると良い。
【0070】
配線モジュール20に組み込まれる機器70は、例えば機能性シート30に対して取付けられてもよい。機能性シート30に対する機器70の固定位置は任意である。好ましくは、機器70は、機能性シート30に対して、機器70が果す役割に適した位置に取付けられる。例えば、機器70がマップランプである場合を想定すると、当該機器70は、機能性シート30のうち前席斜め上前方位置に配設されることになる部分に取付けられる。また、例えば、機器70が室内側アンテナである場合を想定すると、当該機器70は、機能性シート30のうち前席又は後席の上方位置に配設されることになる部分に取付けられる。
【0071】
<機能性シートと機器との位置関係について>
配線モジュール20が導電層32を含むため、外部通信用アンテナユニット70Bは、導電層32に対して車外側に設けられていることが好ましい。これにより、外部通信用アンテナ73a、73bと外部の機器(基地局等)との無線通信時に、導電層32が外部通信用アンテナ73a、73bと外部の機器との間に介在することが抑制され、当該機器間の無線通信が良好に行われる。本例ではルーフパネル13にアンテナ用孔13hが形成されている。外部通信用アンテナ73a、73bが当該アンテナ用孔13hに対応する位置に配設される。
【0072】
なお、外部通信用アンテナユニットがルーフパネル13上に配置される場合、アンテナ用孔13hに代えてアンテナ用電線が通される孔がルーフパネル13に形成されるとよい。またルーフパネル13が樹脂等で形成されている場合、外部通信用アンテナユニットはルーフパネル13と機能性シート30との間に配置されてもよい。この場合、ルーフパネル13にアンテナ用孔13h又は電線を通すための孔が形成される必要はない。
【0073】
また、配線モジュール20が導電層32を含むため、室内側アンテナは、導電層32に対して車室内側に設けられていることが好ましい。これにより、室内側アンテナ及び車室内の室内機器から放射される電波が、導電層32によって遮蔽され、車外側に伝播され難くなる。
【0074】
配線モジュール20が熱調整層36を含むことを前提とすると、機器70は、熱調整層36に対して車室内側に設けられた車室側の機器70を含むことが好ましい。ここでは、複数の機器70のうち外部通信用アンテナユニット70Bを除く機器70が、車室側の機器70であることが想定されている。
【0075】
ルーフ14は、太陽光線によって温度上昇する可能性がある。太陽光線による熱は、熱調整層36によって断たれるため、熱調整層36に対して車室内側は、車外側より温度上昇し難い。そこで、機器70が熱調整層36に対して車室内側に設けられていれば、機器70の周辺温度の上昇を抑制することができる。結果、機器70として、耐熱温度が高いものを用いなくてもよくなる。
【0076】
同様に、熱調整層36に対して車室側に電線40が設けられていれば、電線40の温度上昇を抑制することができる。このため、電線40として、耐熱温度が高いものを用いなくてもよくなる。
【0077】
本実施形態では、機能性シート30に対して車室側に配置される機器70(例えば電子制御ユニット70A)及び車外側に配置される機器70(例えば外部通信用アンテナユニット70B)が存在する。また本実施形態では、機能性シート30に対して車室側に電線40が配置されている。電線40は、機能性シート30の両面のそれぞれで、機器70に接続される。機能性シート30に対して車室側に配置される機器70に対しては、機能性シート30に対して車室側に配置されている電線40がそのまま接続される。機能性シート30に対して車外側に配置される機器に対しては、機能性シート30に対して車室側に配置されている電線40が例えば以下のように接続される。
【0078】
すなわち機能性シート30に表裏に貫通する電線挿通孔30aが形成される。機能性シート30に対して車室側に配置された電線40の端部が電線挿通孔30aに通されて機能性シート30に対して車外側の面に引出される。そして、電線40の端部のコネクタCが、機能性シート30に対して車外側の面の外側で車外側に配置される機器70に対してコネクタ接続される。
【0079】
なお一部又は全部の車室側の機器70がルーフパネル13又は補強バー13aに固定されることもあり得る。この場合、例えば、以下のようにして、車室側の機器70がルーフパネル13又は補強バー13aに固定される。すなわち、機能性シート30に表裏に貫通する取付孔30bが形成される。取付孔にボルト等が通されて機器70がルーフパネル13又は補強バー13aにねじ止めされる。
【0080】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成された配線モジュール20によると、第1電線40Aを覆う導電性シート50Aが機能性シート30における導電層32と電気的に接続されていることによって、第1電線40Aに生じるノイズを機能性シート30及び導電性シート50Aによって簡易に抑制することができる。
【0081】
また導電層32には車体における金属部13aと電気的に接続可能な車体側接続部が設けられている。これにより、導電性シート50A及び機能性シート30が車体における金属部13aと接続されることができ、導電性シート50A及び機能性シート30のシールド効果が高まる。
【0082】
また機能性シート30に対して一方の面側に配置される第2電線40Bをさらに備え、第1電線40Aと第2電線40Bとの間に導電性シート50Aが設けられている。これにより、第1電線40A及び第2電線40Bが導電性シート50Aによって仕切られるため、第1電線40A及び第2電線40B間のノイズ問題が簡易に抑制される。
【0083】
また交差部において第1電線40Aと第2電線40Bとの間に導電性シート50Aが介在している。これにより、交差部においても第1電線40A及び第2電線40B間のクロストーク等のノイズ問題を簡易に抑制できる。
【0084】
また留具60を介して機能性シート30及び導電性シート50が電気的に接続される。機能性シート30及び導電性シート50を電気的に接続する部材を留具60とは別に設けずに済む。
【0085】
また導電性シート50BがコネクタCのうち少なくともコネクタCの端子から電線40が延び出る部分を覆っている。導電性シート50Bが電線40の一部を覆っているので、コネクタCに接続される電線40に生じるノイズも簡易に抑制できる。
【0086】
また導電性シート50は機能性シート30に部分的に重なるように設けられている。これにより、導電性シート50が設けられる範囲が小さく抑えられる。
【0087】
また第1電線40Aは機能性シート30に取付けられている。これにより、配線モジュール20が車両10に取り付けられる際、第1電線40Aが機能性シート30と一体的に取り扱われることができる。
【0088】
[実施形態2]
実施形態2にかかる配線モジュールについて説明する。
図8は実施形態2にかかる配線モジュール120を示す平面図である。
図9は
図8のIX-IX線に沿って切断された断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0089】
配線モジュール120は導電性シート150が機能性シート30の導電層32と一体である点で配線モジュール20とは異なる。配線モジュール120において導電性シート150は機能性シート30を構成するシートの導電層32の一部が曲げられて設けられている。これにより、一つのシートによって導電性シート150と導電層32とが構成されるため、導電性シート150と導電層32との電気的な接続状態が安定する。また一つのシートが曲げられた部分において導電性シート150と機能性シート30とを電気的に接続する接続部材を省略でき、配線モジュール120において部品点数が増加することを抑制できる。なお
図9に示す例では、導電性シート150側において機能性シート30を構成するシートにおける他の層34、36も残っている。つまり、導電性シート150に防音層34及び熱調整層36が重なっている。もっとも導電性シート150において機能性シート30を構成するシートにおける導電層32以外の層は省略されてもよい。
【0090】
機能性シート30を構成するシートが曲げられるにあたり、
図8に示す例では、機能性シート30を構成するシートにスリットSが形成されている。
図8に示す例では2本のスリットSが、機能性シート30を構成するシートの外縁から内側に向けて延びる。そして機能性シート30を構成するシートのうち2本のスリットSによって挟まれた部分が折返されて、導電性シート150を含む部分をなしている。機能性シート30において導電性シート150をなすために折り返された部分に凹部が形成されている。
【0091】
もっとも、スリットSの形状は上記したものに限られない。例えば、1つのスリットが機能性シートを構成するシートの内側にU字状又はC字状等に形成されていてもよい。そして機能性シートを構成するシートのうちスリットに囲まれた部分が折返されて、導電性シートを含む部分をなしていてもよい。この場合、機能性シートにおいて導電性シートをなすために折り返された部分に貫通孔が形成される。
【0092】
また機能性シート30を構成するシートが曲げられるにあたり、スリットSが形成されていなくてもよい。例えば、機能性シートを構成するシートにおいて一部に側方に向けて凸状に突出する部分が設けられていてもよい。そして機能性シートを構成するシートのうち凸状に突出する部分が折返されて、導電性シートを含む部分をなしていてもよい。この場合、機能性シートにおいて導電性シートをなすために折り返された部分に凹部が形成されにくい。
【0093】
また、配線モジュール120は第1電線40Aと第2電線40Bとの間には導電性シート150が設けられている点では配線モジュール20と同じである。しかしながら、配線モジュール120は第1電線40Aと第2電線40Bとが交差していない点で配線モジュール20とは異なる。ここでは導電性シート150は第1電線40Aと第2電線40Bの並行経路部に設けられるとよい。
【0094】
具体的には、第1電線40Aと第2電線40Bとには、一部の経路に並行経路部が設けられる。並行経路部において、第1電線40A及び第2電線40Bは、他の一部の経路よりも相互に近い距離で並行している。このため、並行経路部において、他の一部の経路よりも第1電線40A及び第2電線40B間にノイズ問題が生じやすい。そこで、当該並行経路部において第1電線40Aと第2電線40Bとの間に、導電性シート150が設けられることによって、並行経路部において、第1電線40A及び第2電線40B間のノイズ問題を簡易に抑制できる。
【0095】
図8に示す例では、第1電線40A及び第2電線40Bは、並行経路部の両方の端部において分岐して相互に異なる方向に延びている。第1電線40A及び第2電線40Bは、並行経路部のいずれか一方の端部において分岐して相互に異なる方向に延びていてもよい。この場合、並行経路部のいずれか他方の端部にコネクタCが設けられてもよい。つまり第1電線40A及び第2電線40Bは同じコネクタCから並行に延びる部分を有し、この部分に導電性シート150が設けられてもよい。
【0096】
また第1電線40A及び第2電線40Bに第1並行経路部及び第2並行経路部が設けられてもよい。第1電線40A及び第2電線40Bは、第1並行経路部において第2並行経路部よりも相互に近い距離で並行している。この場合、第1並行経路部及び第2並行経路部のうち第1並行経路部に導電性シート150が設けられるとよい。
【0097】
[付記]
ルーフ14に配置される機器70として光通信可能な機器が設けられてもよい。光通信可能な機器用に、配線モジュール20に光ファイバなどの光通信ケーブルが設けられていてもよい。光通信ケーブルは少なくとも一部の経路において第1電線40A又は第2電線40Bと並行していてもよい。光通信ケーブル同士の間及び光通信ケーブルと電線との間には電磁誘導に起因するノイズ問題は生じにくいため、これらの間に導電性シートは設けられていなくてもよい。
【0098】
[変形例]
これまで電線40が第1電線40A及び第2電線40Bを含むものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば第2電線40Bが省略されてもよい。
【0099】
これまで伝送部材が電線40であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。伝送部材は電線40以外の導電部材であってもよい。例えば伝送部材はバスバーであってもよい。また例えば伝送部材は導電パターンが印刷された印刷回路などであってもよい。導電パターンが機能性シート30に直接印刷されていてもよい。
【0100】
これまで導電性シート50、150は機能性シート30に部分的に重なるように設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。導電性シート50、150は機能性シート30に全面的に重なるように設けられていてもよい。
【0101】
これまで第1電線40A及び第2電線40Bが機能性シート30に取付けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第1電線40A及び第2電線40Bの一方又は両方は機能性シート30に取付けられていなくてもよい。機能性シート30に取付けられていない電線40は、例えば自重によって機能性シート30に沿って配置された状態とされてもよい。また例えば、機能性シート30に取付けられていない電線40は、機能性シート30の両側外方において別部材に取付けられて機能性シート30に沿って配置された状態とされてもよい。
【0102】
これまで機能性シート30と導電性シート50、150とを留める留具60を備えるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。機能性シート30と導電性シート50、150とが留具60以外の部材で固定されていてもよい。例えば、機能性シート30と導電性シート50、150とが導電性接着剤によって固定されていてもよい。この場合、機能性シート30において、導電層32と導電性シート50との間、又は、導電層32と金属部との間において他の層が設けられていないと良い。
【0103】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0104】
10 車両
12 ボディ
13 ルーフパネル
13a 補強バー
13h アンテナ用孔
14 ルーフ
16 内装部材
20 配線モジュール
30 機能性シート
30a 電線挿通孔
30b 機器取付孔
32 導電層
34 防音層
36 熱調整層
40 電線
40A 第1電線
40B 第2電線
42 芯線
44 被覆層
50、50A、50B、150 導電性シート
60 留具
61 第1接触部
62 第2接触部
63 連結部
70、70A、70B 機器
72a、72b 外部通信用アンテナ
C コネクタ
S スリット