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特許7371554ビスオキシムエステル系光重合開始剤、重合性組成物、ならびに硬化物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ビスオキシムエステル系光重合開始剤、重合性組成物、ならびに硬化物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/50 20060101AFI20231024BHJP
   C08F 265/04 20060101ALI20231024BHJP
   C07C 323/28 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
C08F2/50
C08F265/04
C07C323/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020059397
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021155642
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稗田 奈央
(72)【発明者】
【氏名】林 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 章世
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512886(JP,A)
【文献】特表2017-523465(JP,A)
【文献】特表2020-537681(JP,A)
【文献】特表2017-508738(JP,A)
【文献】国際公開第2019/076145(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/013108(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00 - 2/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
(R及びRは、独立して炭素数が1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。また、R及びRは、同一でない。Rは、独立して炭素数が1~8の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数が1~8のアルコキシ基である。)で表される構造を有することを特徴とするビスオキシムエステル系光重合開始剤。
【請求項2】
またはRが、メチル基であることを特徴とする請求項1記載のビスオキシムエステル系光重合開始剤。
【請求項3】
がメチル基であることを特徴とする請求項1または2記載のビスオキシムエステル系光重合開始剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のビスオキシムエステル系光重合開始剤を含む重合開始剤と、ラジカル重合性化合物を含有することを特徴とする重合性組成物。
【請求項5】
さらに、アルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする請求項4記載の重合性組成物。
【請求項6】
請求項4または請求項5記載の重合性組成物から形成されることを特徴とする硬化物。
【請求項7】
前記重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程を含むことを特徴とする請求項6記載の硬化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスオキシムエステル系光重合開始剤、重合性組成物、ならびに硬化物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子等を合成するために、重合開始剤として、熱または光、酸化-還元によりラジカルを発生させるラジカル重合開始剤が広く用いられている。特に、光重合開始剤は、光等の活性エネルギー線を吸収することで、光重合開始剤の結合開裂や基質からの水素引き抜きによりラジカルを発生させることができ、ラジカル重合性化合物の重合開始剤として利用される。例えば、オキシムエステル系誘導体やα-ヒドロキシアセトフェノン誘導体、α-アミノアセトフェノン誘導体、アシルホスフィンオキサイド誘導体、ハロメチルトリアジン誘導体、ベンジルケタール誘導体、チオキサントン誘導体等が利用されている。
【0003】
上記のような光重合開始剤とラジカル重合性化合物からなる光重合性組成物は、光照射により速やかに硬化するため、コーティング剤や塗料、印刷インキ、感光性印刷版、接着剤、各種フォトレジスト等の用途に適用されている。
【0004】
特許文献1~4には、オキシムエステル系誘導体が記載されており、これらのオキシムエステル誘導体は、高感度な光重合開始剤としてブラックレジストやカラーレジスト等に用いられることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2012-526185号公報
【文献】特表2017-512886号公報
【文献】中国特許公開109666088号公報
【文献】特開2007-269779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、液晶ディスプレイパネルなどで高い色純度が求められており、カラーレジストの作製においては顔料の含有量が増加していることから、硬化性を保つために光重合開始剤の含有量が増加する傾向にある。しかしながら、特許文献1に記載の側鎖にシクロアルキル基を有する1官能オキシムエステル系光重合開始剤は、感度が不十分であり、硬化性を保つために開始剤を多く配合しなければならない。よって、光重合開始剤の含有量が増加することで硬化物の着色が強くなり、液晶ディスプレイパネルなどの色再現性に悪影響を及ぼす。
【0007】
また、高感度な光重合開始剤として、特許文献2~4に記載の1分子中にオキシムエステル基を2つ有するビスオキシムエステル系光重合開始剤が提案されている。しかしながら、特許文献2~4に記載の化合物は結晶性の高い構造をしていることから、溶剤に対する溶解性が低いため、十分な光重合開始剤量を配合できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、波長365nm等の光に対する感度が高く、かつ溶解性の高い光重合開始剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【化1】
(R及びRは、独立して炭素数が1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。また、R及びRは、同一でない。Rは、独立して炭素数が1~8の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数が1~8のアルコキシ基である。)で表される構造を有するビスオキシムエステル系光重合開始剤に関する。
【0010】
また、本発明は、前記ビスオキシムエステル系光重合開始剤とラジカル重合性化合物を含有する重合性組成物、ならびに該重合性組成物から形成される硬化物およびその製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるビスオキシムエステル系光重合開始剤における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。但し、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されるものではない。
【0012】
本発明のビスオキシムエステル系光重合開始剤は、光源から放出される365nm等の光を効率よく吸収して効率よくラジカルを発生でき、かつ非対称構造であることから、溶解性に優れる。よって、当該ビスオキシムエステル系光重合開始剤とラジカル重合性化合物を含む重合性組成物は、光の照射により良好に硬化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<ビスオキシムエステル系光重合開始剤>
本発明のビスオキシムエステル系光重合開始剤は、下記一般式(1)で表すことができる。
【化2】
(R及びRは、独立して炭素数が1~8の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。また、R及びRは、同一でない。Rは、独立して炭素数が1~8の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数が1~8のアルコキシ基である。)
【0014】
前記一般式(1)中、R及びRは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、1,3,3-トリメチルブチル基等のアルキル基が挙げられる。また、RまたはRは、非対称構造を形成して溶解性を高める観点から、どちらか一方がメチル基であることが好ましい。また、Rは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、1,3,3-トリメチルブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。また、Rは、感度を高める観点から、メチル基であることが好ましい。
【0015】
以下に本発明のビスオキシムエステル系光重合開始剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化3】
【0016】
<ビスオキシムエステル系光重合開始剤の製造方法>
前記ビスオキシムエステル系光重合開始剤の製造方法は、特に制限されず、例えば、a)ジフェニルチオエーテルを出発原料とし、該出発原料とR基を有するアシルハライドを、塩化アルミニウム等の作用で、フリーデル-クラフツ反応させて、ケトオキシムエステル系光開始剤の中間体Iを合成する、中間体Iの合成工程と、b)引き続き、中間体IとR基を有するアシルハライドを、塩化アルミニウム等の作用で、フリーデル-クラフツ反応させて、ケトオキシムエステル系光開始剤の中間体II合成する、中間体IIの合成工程と、c)引き続き、中間体IIと亜硝酸イソアミルを、塩化水素、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラート等の触媒存在下で、酸化反応させて、ヒドロキシルアミン化合物である中間体IIIを生成する、中間体IIIの合成工程と、d)中間体IIIと塩化アセチル又は無水物をエステル化させて、ビスオキシムエステル系光開始剤を合成する、ビスオキシムエステル系光開始剤の合成工程、を含む方法が挙げられる。
【0017】
前記工程aでは、例えば、出発原料と、塩化アルミニウムと有機溶剤Aとを攪拌・混合し、温度を0℃まで冷却し、次いで、R基を有するアシルハライドと有機溶液Aの混合溶液を滴下し、温度を0~10℃の範囲に調整して、0.5~2時間をかけて滴下した後、温度を0~30℃に保ち、引き続き1~3時間攪拌して、反応液を得る。得られた反応液に洗浄処理等を行って、白色の固体中間体Iが得られる。出発原料と塩化アルミニウムとのモル比(出発原料/塩化アルミニウム)は、通常、0.1~1.5程度であり、0.5~1.0程度であることが好ましい。また、出発原料とR基を有するアシルハライドとのモル比(出発原料/R基を有するアシルハライド)は、通常、0.1~1.5程度であり、0.5~1.0程度であることが好ましい。
【0018】
前記有機溶剤Aは、例えば、ジクロロエタン、ジクロロメタン、四塩化炭素等が挙げられる。
【0019】
前記工程bでは、例えば、上記の中間体Iと、塩化アルミニウムと上記の有機溶剤Aとを攪拌・混合し、温度を0℃まで冷却し、次いで、R基を有するアシルハライドと有機溶液Aの混合溶液を滴下し、温度を0~10℃の範囲に調整して、0.5~2時間をかけて滴下した後、温度を0~30℃に保ち、引き続き1~3時間攪拌して、反応液を得る。得られた反応液に洗浄処理等を行って、白色の固体中間体IIが得られる。中間体Iと塩化アルミニウムとのモル比(中間体I/塩化アルミニウム)は、通常、0.1~1.5程度であり、0.1~0.5程度であることが好ましい。また、中間体IとR基を有するアシルハライドとのモル比(中間体I/R基を有するアシルハライド)は、通常、0.1~1.5程度であり、0.5~1.0程度であることが好ましい。
【0020】
前記工程cでは、例えば、工程bで生成した中間体IIと、有機溶剤Bと亜硝酸イソアミルとの混合溶液中に、塩化水素等の触媒を加え、常温で攪拌しながら1~10時間反応して、反応液を得る。得られた反応液に洗浄処理等を行って、粘稠状液体の中間体IIIが得られる。中間体IIと亜硝酸イソアミルとのモル比(中間体II/亜硝酸イソアミル)は、通常、0.2~0.5程度であり、0.2~0.3程度であることが好ましい。
【0021】
前記有機溶剤Bとしては、例えば、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0022】
前記工程dでは、例えば、工程bで生成した中間体IIIと、ピリジン等のアミン系触媒と上記の有機溶剤Bを攪拌・混合し、温度を0℃まで冷却し、次いで、塩化アセチル又は無水物と有機溶剤Bを含む溶液を滴下し始め、0.5~1.5時間をかけて滴下し、続いて1~4時間攪拌して、反応液を得る。得られた反応液に洗浄処理等を行って、ビスオキシムエステル系光開始剤が得られる。中間体IIIと塩化アセチル又は無水物とのモル比(中間体III/塩化アセチル又は無水物)は、通常、0.2~0.5程度であり、0.2~0.3程度であることが好ましい。
【0023】
<重合性組成物>
本発明の重合性組成物は、前記ビスオキシムエステル系光重合開始剤を含む重合開始剤およびラジカル重合性化合物を含有する。さらに、重合性組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有することで現像性を付与することができる。また、重合性組成物は、その他の成分を適宜組み合わせて含有させることができる。
【0024】
<重合開始剤>
本発明の重合開始剤は、前記ビスオキシムエステル系光重合開始剤を含有する。前記重合開始剤は、活性エネルギー線により分解し、発生したラジカルがラジカル重合性化合物の重合(硬化)を開始する働きを有する。前記ビスオキシムエステル系光重合開始剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0025】
また、前記重合開始剤は、前記ビスオキシムエステル系光重合開始剤以外の重合開始剤(以下、他の重合開始剤とも称す)を含有することができる。吸収帯の異なる2種類以上のビスオキシムエステル系光重合開始剤や他の重合開始剤を使用することで、例えば、高圧水銀ランプ等の複数の波長の光が放射されるランプに対し、重合性組成物の高感度化を図ることができる。また、重合性組成物に含まれるラジカル重合性化合物の重合性、重合性組成物に含まれる光を吸収や散乱する顔料等の種類、硬化物の膜厚等を考慮して、他の重合開始剤を用いることで、重合性組成物の表面硬化性や深部硬化性、透明性等を改良することができる。
【0026】
前記他の重合開始剤としては、公知のものが使用でき、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオフェノン、4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒロドキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン等のα―ヒドロキシアセトフェノン誘導体;2-メチル-4’-メチルチオ-2-モルホリノプロピオフェノン、2-ベンジル-2-(N,N-ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン等のα―アミノアセトフェノン誘導体;ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(メシチルカルボニル)フェニルホスフィナート等のアシルホスフィンオキサイド誘導体;1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[({1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エチリデン}アミノ)オキシ]エタノン、等のオキシムエステル誘導体;2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)1,3,5-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチルトリアジン誘導体;2,2-ジメトキシ-2-フエニルアセトフエノン等のベンジルケタール誘導体;イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;3-ベンゾイルー7-ジエチルアミノクマリン、3,3‘-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)等のクマリン誘導体;2-(2-クロロフェニル)-1-[2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニル-1,3-ジアゾール-2-イル]-4,5-ジフェニルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;3,3‘、4,4’-テトラキス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;カンファーキノン等が挙げられる。他の重合開始剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0027】
<ラジカル重合性化合物>
本発明のラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を好ましく用いることができる。前記ラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、イタコン酸エステル類、桂皮酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、N-置換マレイミド類、N-ビニル化合物類、不飽和ニトリル類、オレフィン類等が挙げられる。これらの中でも、反応性が高い(メタ)アクリル酸エステル類を含むことが好ましい。前記ラジカル重合性化合物は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0028】
前記(メタ)アクリル酸エステル類は、単官能化合物および多官能化合物を使用することができる。単官能化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ-ト、2―エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と脂環族アルコールとのエステル化合物;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等の鎖状または環状のエーテル結合を有するモノマー等;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の窒素原子を有するモノマー;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー;リン酸2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル等のリン原子を有するモノマー;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のケイ素原子を有するモノマー;2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有するモノマー;(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、マレイン酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有するモノマー等が挙げられる。
【0029】
前記多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ)フェニル)フルオレン、等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;ビス(4-(メタ)アクリロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-(メタ)アクリロイルチオフェニル)スルフィド、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸ジルコニウム、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
【0030】
前記(メタ)アクリル酸エステル類は、重合性組成物の感度の向上、酸素による硬化阻害の低減や、硬化物の塗膜の機械的強度や硬度、耐熱性、耐久性、耐薬品性の向上の観点から、前記多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物が好ましく、特に、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
【0031】
前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1から40質量部であることが好ましく、0.5から20質量部であることがより好ましく、1から15質量部であることがさらに好ましい。前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部未満では硬化反応が進行しないため好ましくない。また、前記重合開始剤の含有量は、前記ラジカル重合性化合物100質量部に対して、40質量部より多い場合、ラジカル重合性化合物への溶解度が飽和に達し、重合性組成物の成膜時に重合開始剤の結晶が析出し、皮膜表面の荒れが問題になる場合や、重合開始剤の分解残渣の増加により、硬化物の塗膜の強度が低下する場合があるため、好ましくない。
【0032】
なお、前記重合開始剤に、前記他の重合開始剤を含む場合、他の重合開始剤の割合は、重合開始剤中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
【0033】
<アルカリ可溶性樹脂>
前記重合性組成物は、さらにアルカリ可溶性樹脂を配合することにより、ネガ型レジストとして好適に使用することができる。前記アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に使用されるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶な樹脂であれば特に限定されないが、カルボキシル基を含む樹脂であることが好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0034】
前記アルカリ可溶性樹脂には、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物、カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂等が好ましく使用される。
【0035】
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物は、前述の(メタ)アクリル酸エステル類の単官能化合物から選ばれる少なくとも1種(但し、前記カルボキシル基を有するモノマーを除く)と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の二量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、コハク酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、マレイン酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、およびそれらの酸無水物等のエチレン性不飽和基含有カルボン酸から選ばれる少なくとも1種を含む共重合物である。
【0036】
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物としては、例えば、メチルメタクリレートと、シクロヘキシルメタクリレートと、メタクリル酸の共重合物等が挙げられる。さらに、スチレン、α-メチルスチレン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が共重合されても良い。
【0037】
また、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物は、ネガ型レジストの現像性と耐熱性、硬度、耐薬品性等の被膜特性を両立させる観点から、エチレン性不飽和基等の反応性基が側鎖に導入されたカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物も好ましく使用される。上記の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法として、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物のカルボキシル基の一部に、グリシジル(メタ)アクリレート等の分子内にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させる方法や、エポキシ基およびカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物に、メタクリル酸等のエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸を付加させる方法や、水酸基およびカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合物に、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等の分子内にイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させる方法等が挙げられる。
【0038】
前記カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂としては、エポキシ化合物と前記エチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応物であるエポキシアクリレート樹脂に、更に酸無水物を反応させた化合物が好適である。
【0039】
前記エポキシ樹脂としては、例えば、(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェニルフルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0040】
前記酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレインド酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物、ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0041】
さらに、カルボキシル基含有エポキシアクリレート樹脂の合成の際に、必要に応じて、無水トリメリット酸等のトリカルボン酸無水物を用いて、反応後に残った酸無水物基を加水分解することにより、カルボキシル基を増やすことができる。また、エチレン性不飽和基含有の無水マレイン酸を用いて、更にエチレン性二重結合を増やすこともできる。
【0042】
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、20から300mgKOH/gであることが好ましく、40から180mg/KOHであることがさらに好ましい。酸価が20mgKOH/gよりも少ない場合、アルカリ水溶液への溶解性が乏しいため、未露光部の現像が困難となるため好ましくない。また、酸価が300mgKOH/gよりも多い場合、現像時に露光部も基材から脱離しやすい傾向にあるため、好ましくない。
【0043】
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000から100,000であることが好ましく、1,500から30,000であることが好ましい。重量平均分子量が1,000よりも小さい場合、露光部の耐熱性や硬度等が乏しいため、好ましくない。重量平均分子量が100,000よりも大きい場合は、未露光部の現像が困難となる場合があるため、好ましくない。尚、前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)、カラムとして3本のTSKgelHZM-M(東ソー社製)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度40℃、流速0.3ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度0.5質量%、注入量10マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
【0044】
また、前記アルカリ可溶性樹脂の割合は、重合性組成物の全固形分中、10から70質量%であることが好ましく、15から60質量%であることがより好ましい。前記割合が10質量%よりも少ない場合、現像性が乏しいため、好ましくない。前記割合が70質量%よりも多い場合、パターン形状の再現性や耐熱性が低下するため、好ましくない。
【0045】
なお、前記アルカリ可溶性樹脂は、合成反応後に有効成分であるアルカリ可溶性樹脂を単離精製したものを用いることができる他、合成反応により得られた反応溶液、その乾燥物等をそのまま用いることもできる。
【0046】
前記その他の成分として、重合性組成物には、コーティング剤や塗料、印刷インキ、感光性印刷版、接着剤、カラーレジストやブラックレジスト等の各種フォトレジスト等の用途で一般的に使用されている添加剤を配合できる。添加剤としては、例えば、増感剤(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;9,10-ジブトキシアントラセン等のアントラセン誘導体;クマリン、ケトクマリン等のクマリン誘導体;アクリジンオレンジ、9-フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2-ジメチルアミノ)エチル等の安息香酸エステル誘導体;トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等のアルキルアミン誘導体;カンファーキノン等)、重合禁止剤(p-メトキシフェノール、ヒドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、フェノチアジン等)、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、接着促進剤、可塑剤、エポキシ化合物、チオール化合物、エチレン性不飽和結合を有する樹脂、飽和樹脂、着色染料、蛍光染料、顔料(有機顔料、無機顔料)、炭素系材料(炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル等)、金属酸化物(酸化チタン、酸化イリジウム、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ等)、金属(銀、銅等)、無機化合物(ガラス粉末、層状粘度鉱物、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等)、分散剤、難燃剤等が挙げられる。添加剤は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0047】
前記添加剤の含有量は、使用目的に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、通常、前記ラジカル重合性化合物100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることより好ましい。
【0048】
前記重合性組成物には、粘度や塗装性、硬化膜の平滑性の改良のため、更に溶媒を加えることもできる。溶媒は、前記重合開始剤、前記ラジカル重合性化合物、前記アルカリ可溶性樹脂、前記その他の成分を、溶解または分散することができるものであり、乾燥温度において揮発する溶媒であれば、特に制限されるものではない。
【0049】
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール系溶媒、カルビトール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、ラクトン系溶媒、不飽和炭化水素系溶媒、セロソルブアセテート系溶媒、カルビトールアセテート系溶媒やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。溶媒は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0050】
前記溶媒の使用量は、重合性組成物の固形分100質量部に対して、10から1000質量部であることが好ましく、20から500質量部であることがより好ましい。
【0051】
<重合性組成物の調製方法>
前記重合性組成物を調製する場合には、収納容器内に前記重合開始剤、前記ラジカル重合性化合物、必要に応じて、前記アルカリ可溶性樹脂や前記その他の成分を投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミル等を用いて、常法に従って溶解または分散させればよい。また、必要に応じて、メッシュまたはメンブレンフィルター等を通してもろ過してもよい。
【0052】
なお、前記重合性組成物の調製において、前記重合開始剤は、重合性組成物に最初から添加しておいてもよいが、重合性組成物を比較的長時間保存する場合には、使用直前に重合開始剤を、ラジカル重合性を含む組成物中に溶解または分散させることが好ましい。
【0053】
<硬化物の製造方法>
本発明の硬化物は、前記重合性組成物から形成されるものである。硬化物の製造方法は、重合性組成物を基材に塗布後、当該重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程を含む製造方法である。
【0054】
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、スリットコート法、ドクターブレードコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法等の種々の方法が挙げられる。また、前記基材の材質は、例えば、ガラス、シリコン、金属、プラスチック等が挙げられ、制限されることは無い。また、前記基材の形状は、例えば、フィルム、シート、および立体形状の成形品等が挙げられ、制限されることは無い。
【0055】
上記の重合性組成物を活性エネルギー線で照射する工程は、電子線、紫外線、可視光線、放射線等の活性エネルギー線の照射により、前記重合開始剤を分解させて、前記ラジカル重合性化合物を重合させることで、硬化物を得ることができるものである。
【0056】
活性エネルギー線は、活性エネルギー線の波長が250から450nmの光であることが好ましく、硬化を迅速に行うことができる観点から、300から410nmの光であることがより好ましい。
【0057】
前記光の照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線無電極ランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、太陽光、YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー、アルゴンレーザー等のガスレーザー等を使用することができる。なお、前記重合開始剤の吸収が少ない可視光から赤外光の光を用いる場合には、前記添加剤として、その光を吸収する増感剤を使用することにより硬化を行なうことができる。
【0058】
前記活性エネルギー線の露光量は、活性エネルギー線の波長や強度、重合性組成物の組成に応じて適宜設定すべきである。一例として、UV-A領域での露光量は、10から5,000mJ/cmであることが好ましく、30から1,000mJ/cmであることがより好ましい。
【0059】
また、前記重合組成物に前記溶媒を含む場合、前記硬化物の製造方法は、乾燥工程を含むことができる。特に、重合性組成物を基板上に塗布後に、続いて、前記活性エネルギー線で照射する工程を適用する場合、当該活性エネルギー線で照射する工程の前に、乾燥工程を設けることが好ましい。
【0060】
前記乾燥工程において、溶媒を乾燥させる手法は、例えば、加熱乾燥、通風加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。加熱乾燥の方式としては、特に制限されることはないが、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線照射、電磁波照射等が挙げられる。また、通風加熱乾燥の方式としては、例えば、送風式乾燥オーブン等が挙げられる。
【0061】
前記重合性組成物の乾燥膜厚(硬化物の膜厚)は、用途に応じて適宜設定されるが、0.05から300μmであることが好ましく、0.1から100μmであることがより好ましい。
【0062】
<パターン形成方法>
前記重合性組成物が前記アルカリ可溶性樹脂を含む場合、フォトリソグラフィー法によりパターンを形成することができる。前述と同様にして重合性組成物を基材に塗布し、必要に応じて、乾燥して乾燥被膜を形成する。そして、乾燥被膜にマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、露光部では前記ラジカル重合性化合物が重合することで硬化膜となる。一方、レーザーを用いた直接描画により、マスクを介さずに高精度なパターン形状を作製することもできる。
【0063】
上記の露光後、未露光部は、例えば、0.3から3質量%の炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液により現像除去され、パターン化した硬化膜が得られる。さらに、硬化膜と基材との密着性を高めること等を目的に、後乾燥として180から250℃、20から90分でのポストベークが行われる。このようにして、硬化膜に基づく所望のパターンが形成される。
【0064】
本発明の重合性組成物は、ハードコート剤、光ディスク用コート剤、光ファイバー用コート剤、モバイル端末用塗料、家電用塗料、化粧品容器用塗料、光学素子用内面反射防止塗料、高・低屈折率コート剤、遮熱コート剤、放熱コート剤、防曇剤等の塗料・コーティング剤;オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、スクリーン印刷インキ、インクジェット印刷インキ、導電性インキ、絶縁性インキ、導光板用インキ等の印刷インキ;感光性印刷版;ナノインプリント材料;3Dプリンター用樹脂;ホログラフィー記録材料;歯科用材料;導波路用材料;レンズシート用ブラックストライプ;コンデンサ用グリーンシートおよび電極材料;FPD用接着剤、HDD用接着剤、光ピックアップ用接着剤、イメージセンサー用接着剤、有機EL用シール剤、タッチパネル用OCA、タッチパネル用OCR等の接着剤・シール剤;カラーレジスト、ブラックレジスト、カラーフィルター用保護膜、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、額縁レジスト、TFT配線用フォトレジスト、層間絶縁膜等のFPD用レジスト;液状ソルダーレジスト、ドライフィルムレジスト等のプリント基板用レジスト;半導体レジスト、バッファーコート膜等の半導体用材料等の各種用途に使用でき、その用途に特に制限は無い。
【実施例
【0065】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0066】
<(1)ビスオキシムエステル系光重合開始剤の合成>
[合成例1-a(中間体I(化合物1-a)の合成)]
【化4】
100mLの四つ口フラスコ中に0.04molのジフェニルチオエーテル、0.04molのAlCl、10mLのジクロロエタンを投入して、攪拌し、氷バスで冷却して温度が0℃までに低下した時に、0.04molのプロピオニルクロライドと15mLのジクロロエタンの混合溶液を、温度を0℃以下に調整しながら、約20分をかけて添加した。温度を0℃に保ち、引き続き2時間攪拌した。その後、0℃の10%塩酸水中に反応液を徐々に投入し、分液漏斗で下層を分液し、上層を50mLのジクロロエタンで抽出した後、抽出液と下層液とを合わせた。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、更にpHの値が中性を呈するまでに200mL水で3回洗浄し、3g無水硫酸マグネシウムで乾燥して水分を除去した後、回転蒸発によりジクロロエタンを蒸発させた。蒸発が終わった後、回転蒸発瓶中の粗製品を酢酸エチルとヘキサンで精製し、化合物1-a(収量:8.3g、LC純度:92.6%、収率:98.3%)を得た。
【0067】
[合成例1-b(中間体II(化合物1-b)の合成)]
【化5】
100mLの四つ口フラスコ中に0.02molの化合物1-a、0.09molのAlCl、50mLのジクロロエタンを投入して、攪拌し、氷バスで冷却して温度が0℃までに低下した時に、0.04molの塩化ブチルと30mLのジクロロエタンの混合溶液を、温度を0℃以下に調整しながら、約20分をかけて添加した。温度を0℃に保ち、引き続き2時間攪拌した。その後、0℃の10%塩酸水中に反応液を徐々に投入し、分液漏斗で下層を分液し、上層を50mLのジクロロエタンで抽出した後、抽出液と下層液とを合わせた。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、更にpHの値が中性を呈するまでに200mL水で3回洗浄し、3g無水硫酸マグネシウムで乾燥して水分を除去した後、回転蒸発によりジクロロエタンを蒸発させた。蒸発が終わった後、回転蒸発瓶中の粗製品を酢酸エチルとヘキサンで精製し、化合物1-b(収量:6.4g、LC純度:96.2%、収率:95.8%)を得た。
【0068】
[合成例1-c(中間体III(化合物1-c)の合成)]
【化6】
100mLのナスフラスコ中に0.012molの化合物1-b、テトラヒドロフラン(THF)12mL、濃塩酸0.5g、亜硝酸イソアミル0.031mоlを投入して、常温で5時間攪拌した後、反応液をビーカーに入れ、酢酸エチルと10%食塩水で3回洗浄し、分液漏斗にて分層した。その後、5g無水硫酸マグネシウムを加入して乾燥した後、吸引ろ過を行い、更に、ろ液を回転蒸発させた。蒸発が終わった後、回転蒸発瓶中の粗製品を酢酸エチルとヘキサンで精製し、化合物1-c(収量:3.2g、LC純度:85.3%、収率:58.4%)を得た。
【0069】
[合成例1-d(化合物1の合成)]
【化7】
100mLのナスフラスコ中に0.009mоlの化合物1-c、テトラヒドロフラン(THF)10mL、ピリジン(Py)2gを投入して、攪拌し、アセチルクロリド0.029mоlを、約0.5時間をかけて滴下した。引き続いて2時間攪拌した後、冷水500mLを滴下し始め、分液漏斗で分層した。その5%塩酸水で一回洗い、3%炭酸水素ナトリウム水溶液10mLで一回洗い、続いて10%食塩水10mLで洗った後、10g無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶剤を回転蒸発させて、除去し、粘稠状液体を得た。該粘稠状液体に適量の酢酸エチルとヘキサンを加入し、ろ過、乾燥して、化合物1(収量:3.2g、LC純度:95.2%、収率:77.3%)を得た。H-NMRによる分析結果を表1に示す。
【0070】
[合成例10-b(中間体II(化合物10-b)の合成)]
100mLの四つ口フラスコ中に0.02molの化合物1-a、0.09molのAlCl、10mLのジクロロエタンを投入して、攪拌し、氷バスで冷却して温度が0℃までに低下した時に、0.02molのn-オクタノイルクロライドと40mLジクロロエタンの混合溶液を、温度を0℃以下に調整しながら、約20分をかけて添加した。温度を0℃に保ち、引き続き2時間攪拌した。その後、0℃の10%塩酸水中に反応液を徐々に投入し、分液漏斗で下層を分液し、上層を50mLのジクロロエタンで抽出した後、抽出液と下層液とを合わせた。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、更にpHの値が中性を呈するまでに200mL水で3回洗浄し、3g無水硫酸マグネシウムで乾燥して水分を除去した後、回転蒸発によりジクロロエタンを蒸発させた。蒸発が終わった後、回転蒸発瓶中の粗製品を酢酸エチルとヘキサンで精製し、化合物10-b(収量:7.5g、LC純度:96.0%、収率:94.5%)を得た。
【0071】
[合成例10-c(中間体III(化合物10-c)の合成)]
100mLのナスフラスコ中に0.008molの化合物10-b、テトラヒドロフラン12mL、濃塩酸0.6g、亜硝酸イソアミル0.020mоlを投入して、常温で5時間攪拌した後、反応液をビーカーに入れ、酢酸エチルと10%食塩水で3回洗浄し、分液漏斗にて分層した。その後、5g無水硫酸マグネシウムを加入して乾燥した後、吸引ろ過を行い、更に、ろ液を回転蒸発させた。蒸発が終わった後、回転蒸発瓶中の粗製品を酢酸エチルとヘキサンで精製し、化合物10-c(収量:1.8g、LC純度:90.0%、収率:48.0%)を得た。
【0072】
[合成例10-d(化合物10の合成)]
100mLのナスフラスコ中に0.003molの化合物10-c、テトラヒドロフラン5mL、ピリジン0.8gを投入して、攪拌し、アセチルクロリド0.010mоlを、約0.5時間をかけて滴下した。引き続いて2時間攪拌した後、冷水500mLを滴下し始め、分液漏斗で分層した。その5%塩酸水で一回洗い、3%炭酸水素ナトリウム水溶液10mLで一回洗い、続いて10%食塩水10mLで洗った後、1g無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶剤を回転蒸発させて、除去し、粗製品を得た。該粗製品に適量の酢酸エチルとヘキサンを加入し、ろ過、乾燥して、化合物10(収量:0.9g、LC純度:94.4%、収率:52.6%)を得た。H-NMRによる分析結果を表1に示す。
【0073】
[合成例15-b(中間体II(化合物15-b)の合成)]
100mLの四つ口フラスコ中に0.02molの化合物1-a、0.09molのAlCl、45mLのジクロロエタンを投入して、攪拌し、氷バスで冷却して温度が0℃までに低下した時に、0.02molのイソノナン酸クロライドと20mLのジクロロエタン10mLの混合溶液を、温度を0℃以下に調整しながら、約20分をかけて添加した。温度を0℃に保ち、引き続き2時間攪拌した。その後、0℃の10%塩酸水中に反応液を徐々に投入し、分液漏斗で下層を分液し、上層を50mLのジクロロエタンで抽出した後、抽出液と下層液とを合わせた。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、更にpHの値が中性を呈するまでに200mL水で3回洗浄し、3g無水硫酸マグネシウムで乾燥して水分を除去した後、回転蒸発によりジクロロエタンを蒸発させた。蒸発が終わった後、回転蒸発瓶中の粗製品を酢酸エチルとヘキサンで精製し、化合物15-b(収量:2.6g、LC純度:95.6%、収率:44.1%)を得た。
【0074】
[合成例15-c(中間体III(化合物15-c)の合成)]
100mLのナスフラスコ中に0.01molの化合物15-b、テトラヒドロフラン5mL、濃塩酸0.3g、亜硝酸イソアミル0.004mоlを投入して、常温で5時間攪拌した後、反応液をビーカーに入れ、酢酸エチルと10%食塩水で3回洗浄し、分液漏斗にて分層した。その後、5g無水硫酸マグネシウムを加入して乾燥した後、吸引ろ過を行い、更に、ろ液を回転蒸発させた。蒸発が終わった後、回転蒸発瓶中の粗製品を酢酸エチルとヘキサンで精製し、化合物15-c(収量:0.6g、LC純度:94.9%、収率:31.6%)を得た。
【0075】
[合成例15-d(化合物15の合成)]
100mLのナスフラスコ中に0.001mоlの化合物15-c、テトラヒドロフラン2mL、ピリジン0.3gを投入して、攪拌し、アセチルクロリド0.004mоlを、約0.5時間をかけて滴下した。引き続いて2時間攪拌した後、冷水500mLを滴下し始め、分液漏斗で分層した。その5%塩酸水で一回洗い、3%炭酸水素ナトリウム水溶液10mLで一回洗い、続いて10%食塩水10mLで洗った後、1g無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶剤を回転蒸発させて、除去し、粗製品を得た。該粗製品に適量の酢酸エチルとヘキサンを加入し、ろ過、乾燥して、化合物15(収量:0.6g、LC純度:96.9%、収率:86.8%)を得た。H-NMRによる分析結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
<(2)UV吸収特性の評価>
表1に記載される化合物のアセトニトリル溶液について、UV-VISスペクトル測定装置(1.0cm石英セル、島津製作所製、UV-2450)を用いて、波長200から600nmにおけるUV-VISスペクトルを測定した。その結果を表2に示す。
【0078】
また、比較参考例として、化合物R1、化合物R2、化合物R3、および化合物R4の結果を表2に示す。
【化8】
【0079】
【表2】
【0080】
表2において、λmaxは最大吸収波長(nm)、εmaxは最大吸収波長にけるモル吸光係数(L・mol-1・cm-1)、ε313は波長313nmにおけるモル吸光係数(L・mol-1・cm-1)、ε365は波長365nmにおけるモル吸光係数(L・mol-1・cm-1)を示す。
【0081】
一般に、露光波長における光重合開始剤のモル吸光係数が大きいほど、光が吸収されやすく、ラジカルの発生が起こりやすい。すなわち、光重合開始剤の高感度化には、露光波長におけるモル吸光係数が大きい化合物が好適である。UV硬化に使用されるや超高圧水銀ランプや高圧水銀ランプは波長365nm(i線)を主波長とし、波長313nm(j線)等の光を効率よく放出する。表2の結果より、本発明のビスオキシムエステル系光重合開始剤は、高圧水銀ランプ等から放出される波長365nm及び波長313nmのモル吸光係数が大きいことが分かる。さらに、LEDからは波長365nm等の単一の光が放出されるが、化合物1、化合物10、および化合物15は、波長365nmのモル吸光係数が大きいことが分かる。
【0082】
<実施例1~3、比較例1~4>
<重合性組成物(A)の調製>
表3に示す量のラジカル重合性化合物、アルカリ可溶性樹脂、その他の成分を混合撹拌し、さらに、重合開始剤を添加してよく撹拌し、実施例1~3および比較例1~4の重合性組成物(A)を調製した。
【0083】
【表3】
【0084】
上記の表3中、
DPHAは、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(商品名:アロニックスM-402、東亞合成社製);
RD200は、メタクリル酸メチル/メタクリル酸/シクロヘキシルマレイミド(質量%:61/14/25)共重合物、重量平均分子量:17,000、酸価:90(合成品);
F-477は、フッ素系レベリング剤(商品名:メガファックF-477、DIC社製);
PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(富士フイルム和光純薬試薬);を示す。
【0085】
<(3)感度の評価>
上記で調製した重合性組成物(A)を、スピンコーターを用いて、アルミニウム基板上に塗布した。塗布後、アルミニウム基板を90℃のクリーンオーブン中で2.5分間乾燥処理により溶媒を乾燥させ、厚さ1.5μmの均一な塗布膜を作製した。次いで、超高圧水銀灯を光源とするプロキシミティー露光機を用い、マスクパターンを介して10mJ/cmの範囲で、段階露光を行った。露光後のアルミニウム基板を1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液に23℃で60秒間浸漬して、現像による未露光部の除去を行った。続いて純水にて30秒間洗浄を行い、パターン形状を得た。各重合開始剤の評価結果を、表5に示す。
〇:溶解せずに残膜する。
×:溶解して膜が残らない。
【0086】
<重合性組成物(B)の調製>
表4に示す量のラジカル重合性化合物、アルカリ可溶性樹脂、その他の成分を混合撹拌し、さらに、重合開始剤を添加してよく撹拌し、実施例1~3および比較例1~4の重合性組成物(B)を調製した。
【0087】
【表4】
【0088】
上記の表4中、
PE4Aは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東京化成工業試薬);
BYK302は、シリコン系表面調整剤(ビックケミージャパン社製);
PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(富士フイルム和光純薬試薬);を示す。
【0089】
<(4)色差(b値)の評価>
上記で調製した重合性組成物(B)を、スピンコーターを用いて、ガラス基板上に塗布した。塗布後、ガラス基板を90℃のクリーンオーブン中で2.5分間乾燥処理により溶媒を乾燥させ、厚さ1.5μmの均一な塗布膜を作製した。そして、高圧水銀ランプが設置されたコンベア式UV照射装置を使用して300mJ/cmの照射を行い、試験片を作製した。得られた試験片の硬化度を測定した結果、すべての試験片において硬化度は90%以上であった。得られた試験片について、分光測色計(CM-3500d、ミノルタカメラ製)を用いてL,a,b表色系の値をJIS-Z-8722に従って、透過法にて測定した。bの値を黄色度の指標として評価し、bが小さいほど黄色度が低い。その結果を表5に示す。
〇:b値が1%未満である。
△:b値が1%以上~2%未満である。
×:b値が2%以上である。
【0090】
<(5)溶解性の評価>
表2に示す各重合開始剤をPGMEAに混合し、25℃、ミックスローターで攪拌した際に溶解する最大濃度を測定した。各光重合開始剤の溶解性を表5に示す。
〇:PGMEAに溶解する最大濃度が20%以上である。
×:PGMEAに溶解する最大濃度が20%未満である。
【0091】
【表5】
【0092】
評価(3)~(5)の結果、表に示されるように、本発明のビスオキシムエステル系光重合開始剤は、感度が高く、高い溶解性を示し、硬化膜の着色を抑えることが明らかである。